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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】水漏れ修理用装着具及び水漏れ修理方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/17 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
F16L55/17
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023084661
(22)【出願日】2023-05-23
(62)【分割の表示】P 2022129718の分割
【原出願日】2022-08-16
(65)【公開番号】P2024027085
(43)【公開日】2024-02-29
【審査請求日】2023-11-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518395500
【氏名又は名称】株式会社ボロリ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】喜瀬 裕巨
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-121297(JP,A)
【文献】米国特許第05247967(US,A)
【文献】特開2010-181026(JP,A)
【文献】特開平11-311392(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0284114(US,A1)
【文献】米国特許第05706862(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1580154(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の本体部の水漏れを修理する装着具であって、
両面が粘着力を持つ両面粘着性テープと前記両面粘着性テープに前記粘着力により粘着されたパッキンシートの複数の組であって、各組は他の組から伸延方向において分離している複数の組と、
ねじ部とバンド部を有するホースバンドと、
を備え、
前記複数の組は、前記パッキンシートと前記両面粘着性テープが交互に積層するように前記粘着力により相互に粘着され、
積層された前記複数の組は、前記配管の本体部に最も近い層の前記両面粘着性テープが前記配管の本体部と前記パッキンシートの間に挟まれ、且つ、前記複数の組が前記配管の本体部の少なくとも水漏れ穴を覆うように前記配管の本体部に前記粘着力により粘着され、
前記ホースバンドは、前記配管の本体部と前記ホースバンドのバンド部により前記複数の組が挟持されるように、前記配管の本体部に巻装され、
前記複数の組は、前記ホースバンドの前記ねじ部が締められたことにより前記ホースバンドのバンド部に生じた締付力により、前記配管の本体部に圧着された、
水漏れ修理用装着具。
【請求項2】
配管の本体部の水漏れを修理する装着具であって、
両面が粘着力を持つ両面粘着性テープと前記両面粘着性テープに前記粘着力により粘着されたパッキンシートの複数の組であって、各組は他の組から伸延方向において分離している複数の組と、
ねじ部とバンド部を有するホースバンドと、
を備え、
前記複数の組は、前記パッキンシートと前記両面粘着性テープが交互に積層するように前記粘着力により相互に粘着され、
積層された前記複数の組は、前記ホースバンドのバンド部に最も近い層の前記両面粘着性テープが前記ホースバンドのバンド部と前記パッキンシートの間に挟まれるように、前記ホースバンドのバンド部に前記粘着力により粘着され、
前記ホースバンドは、前記配管の本体部と前記ホースバンドのバンド部により前記複数の組が挟持され、且つ、挟持された前記複数の組が前記配管の本体部の少なくとも水漏れ穴を覆うように、前記配管の本体部に巻装され、
前記複数の組は、前記ホースバンドの前記ねじ部が締められたことにより前記ホースバンドのバンド部に生じた締付力により、前記配管の本体部に圧着された、
水漏れ修理用装着具。
【請求項3】
前記配管の円周方向において前記配管の半周以内の範囲が前記複数の組により覆われている、
請求項1又は2に記載の水漏れ修理用装着具。
【請求項4】
前記複数の組が前記配管を覆う範囲においては、前記ホースバンドが前記配管の本体部から最も離れた前記組に直接的に接触し、前記複数の組が前記配管を覆わない範囲においては、前記ホースバンドが前記配管に直接的に接触している、
請求項1又は2に記載の水漏れ修理用装着具。
【請求項5】
前記配管の円周方向において前記配管の半周以内の範囲が前記複数の組により覆われ、
前記複数の組が前記配管を覆う範囲においては、前記ホースバンドが前記配管の本体部から最も離れた前記組に直接的に接触し、前記複数の組が前記配管を覆わない範囲においては、前記ホースバンドが前記配管に直接的に接触している、
請求項1又は2に記載の水漏れ修理用装着具。
【請求項6】
配管の本体部の水漏れを修理する方法であって、
両面が粘着力を持つ両面粘着性テープと前記両面粘着性テープに前記粘着力により粘着されたパッキンシートの複数の組であって、各組は他の組から伸延方向において分離している複数の組を用意する第1用意ステップと、
ねじ部とバンド部を有するホースバンドを用意する第2用意ステップと、
前記複数の組を前記パッキンシートと前記両面粘着性テープが交互に積層するように前記粘着力により相互に粘着する第1粘着ステップと、
積層された前記複数の組を、前記配管の本体部に最も近い層の前記両面粘着性テープが前記配管の本体部と前記パッキンシートの間に挟まれ、且つ、前記複数の組が前記配管の本体部の少なくとも水漏れ穴を覆うように前記配管の本体部に前記粘着力により粘着する第2粘着ステップと、
前記ホースバンドを、前記配管の本体部と前記ホースバンドのバンド部により前記複数の組が挟持されるように、前記配管の本体部に巻装する巻装ステップと、
前記ホースバンドの前記ねじ部が締められることにより前記ホースバンドのバンド部に生じた締付力により前記複数の組が前記配管の本体部に圧着されるように、前記ホースバンドの前記ねじ部を締めるねじ締めステップと、
を有する、
水漏れ修理方法。
【請求項7】
配管の本体部の水漏れを修理する方法であって、
両面が粘着力を持つ両面粘着性テープと前記両面粘着性テープに前記粘着力により粘着されたパッキンシートの複数の組であって、各組は他の組から伸延方向において分離している複数の組を用意する第1用意ステップと、
ねじ部とバンド部を有するホースバンドを用意する第2用意ステップと、
1つの前記組を、前記両面粘着性テープが前記配管の本体部と前記パッキンシートの間に挟まれ、且つ、前記組が前記配管の本体部の少なくとも水漏れ穴を覆うように前記配管の本体部に前記粘着力により粘着する第1粘着ステップと、
前記第1粘着ステップで前記配管の本体部に前記粘着力により粘着された1つの前記組の前記パッキンシート及び前記両面粘着性テープ並びに用意した前記複数の組のうちの残りの組の前記パッキンシート及び前記両面粘着性テープが交互に積層するように、用意した前記複数の組のうちの残りの各々の組を該組の両面粘着性テープにより粘着する第2粘着ステップと、
前記ホースバンドを、前記配管の本体部と前記ホースバンドのバンド部により前記第1粘着ステップ及び前記第2粘着ステップで粘着された前記複数の組が挟持されるように、前記配管の本体部に巻装する巻装ステップと、
前記ホースバンドの前記ねじ部が締められることにより前記ホースバンドのバンド部に生じた締付力により前記複数の組が前記配管の本体部に圧着されるように、前記ホースバンドの前記ねじ部を締めるねじ締めステップと、
を有する、
水漏れ修理方法。
【請求項8】
配管の本体部の水漏れを修理する方法であって、
両面が粘着力を持つ両面粘着性テープと前記両面粘着性テープに前記粘着力により粘着されたパッキンシートの複数の組であって、各組は他の組から伸延方向において分離している複数の組を用意する第1用意ステップと、
ねじ部とバンド部を有するホースバンドを用意する第2用意ステップと、
前記複数の組を前記両面粘着性テープと前記パッキンシートが交互に積層するように前記粘着力により相互に粘着する第1粘着ステップと、
積層された前記複数の組を、前記ホースバンドのバンド部に最も近い層の前記両面粘着性テープが前記ホースバンドのバンド部と前記パッキンシートの間に挟まれるように、前記ホースバンドのバンド部に前記粘着力により粘着する第2粘着ステップと、
前記ホースバンドを、前記配管の本体部と前記ホースバンドのバンド部により前記複数の組が挟持され、且つ、挟持された前記複数の組が前記配管の本体部の少なくとも水漏れ穴を覆うように、前記配管の本体部に巻装する巻装ステップと、
前記ホースバンドの前記ねじ部が締められることにより前記ホースバンドのバンド部に生じた締付力により前記複数の組が前記配管の本体部に圧着されるように、前記ホースバンドの前記ねじ部を締めるねじ締めステップと、
を有する、
水漏れ修理方法。
【請求項9】
配管の本体部の水漏れを修理する方法であって、
両面が粘着力を持つ両面粘着性テープと前記両面粘着性テープに前記粘着力により粘着されたパッキンシートの複数の組であって、各組は他の組から伸延方向において分離している複数の組を用意する第1用意ステップと、
ねじ部とバンド部を有するホースバンドを用意する第2用意ステップと、
1つの前記組を、前記両面粘着性テープが前記ホースバンドのバンド部と前記パッキンシートの間に挟まれるように、前記ホースバンドのバンド部に前記粘着力により粘着する第1粘着ステップと、
前記第1粘着ステップで前記ホースバンドのバンド部に前記粘着力により粘着された1つの前記組の前記パッキンシート及び前記両面粘着性テープ並びに用意した前記複数の組のうちの残りの組の前記パッキンシート及び前記両面粘着性テープが交互に積層するように、用意した前記複数の組のうちの残りの各々の組を該組の両面粘着性テープにより粘着する第2粘着ステップと、
前記ホースバンドを、前記配管の本体部と前記ホースバンドのバンド部により前記第1粘着ステップ及び前記第2粘着ステップで粘着された前記複数の組が挟持され、且つ、挟持された前記複数の組が前記配管の本体部の少なくとも水漏れ穴を覆うように、前記配管の本体部に巻装する巻装ステップと、
前記ホースバンドの前記ねじ部が締められることにより前記ホースバンドのバンド部に生じた締付力により前記複数の組が前記配管の本体部に圧着されるように、前記ホースバンドの前記ねじ部を締めるねじ締めステップと、
を有する、
水漏れ修理方法。
【請求項10】
記配管の円周方向において前記配管の半周以内の範囲を覆うように前記複数の組の長さを調整するステップを更に有し
請求項6乃至9の何れか1項に記載の水漏れ修理方法。
【請求項11】
前記巻装ステップでは、前記複数の組が前記配管を覆う範囲においては、前記ホースバンドを前記配管の本体部から最も離れた前記組に直接的に接触させ、前記複数の組が前記配管を覆わない範囲においては、前記ホースバンドを前記配管に直接的に接触させる、
請求項6乃至9の何れか1項に記載の水漏れ修理方法。
【請求項12】
記配管の円周方向において前記配管の半周以内の範囲を覆うように前記複数の組の長さを調整するステップを更に有し
前記巻装ステップでは、前記複数の組が前記配管を覆う範囲においては、前記ホースバンドを前記配管の本体部から最も離れた前記組に直接的に接触させ、前記複数の組が前記配管を覆わない範囲においては、前記ホースバンドを前記配管に直接的に接触させる、
請求項6乃至9の何れか1項に記載の水漏れ修理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水漏れ修理用装着具及び水漏れ修理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の水道管などの配管は老朽化・腐食などにより穴が空くことがあり、これが水漏れの一つの原因になる。水漏れが発生すると、家屋の床下が浸水するなどの被害が発生する。特に二階建て以上の家屋の場合、下階の部屋にも被害を及ぼしてしまう。このような場合、閉栓をした上で、早急に水道管を修理することが望まれる。しかし、代替の配管を用意して、それにより水漏れが生じた配管を置き換えるためには、相応の時間を要する。そこで、既存の配管に対して水漏れの応急処置をして、既存の配管の使用を継続し、その傍らで置き換え用の配管を置き換え可能な状態になるまで準備をすることが望まれる。ここで、置き換え用の配管を置き換え可能な状態になるまで準備をするために必要な時間は場合によっては長期化する。従って、長時間にわたり水漏れを防止することができる程度まで応急処置をする必要がある。更には、配管の交換は費用が嵩むため、応急処置のみで済ませ、配管の交換をしないことを望む者も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-264392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
家屋の配管に対応した水漏れ修理用装着具として、例えば、特許文献1に開示されている配管補修具を用いることも考えられる。特許文献1には、配管の水漏れ穴に弾性ゴムで形成された平板状のシール材を当接させ、そのシール材を挟むようにして薄型金属板で形成されたバンドを配管に環装し、バンドをねじにより締める技術が開示されている。しかし、特許文献1の技術では、水漏れ穴にシール材を当接させてから、バンドを締めるまでの期間においてシール材が水漏れ穴から移動してしまうおそれがある。特に、配管の多くは、床下の狭い空間に設けられているため、指先や何かしらの道具を用いてシール材が水漏れ穴から移動してしまうことを防止することは困難である。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、水漏れ修理のための作業環境が悪くても、水漏れ穴を確実に覆って水漏れを防止することができる水漏れ修理用装着具及び水漏れ修理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、配管の本体部の水漏れを修理する装着具であって、両面が粘着力を持つ両面粘着性テープと前記両面粘着性テープに前記粘着力により粘着されたパッキンシートの複数の組であって、各組は他の組から伸延方向において分離している複数の組と、ねじ部とバンド部を有するホースバンドと、を備え、前記複数の組は、前記パッキンシートと前記両面粘着性テープが交互に積層するように前記粘着力により相互に粘着され、積層された前記複数の組は、前記配管の本体部に最も近い層の前記両面粘着性テープが前記配管の本体部と前記パッキンシートの間に挟まれ、且つ、前記複数の組が前記配管の本体部の少なくとも水漏れ穴を覆うように前記配管の本体部に前記粘着力により粘着され、前記ホースバンドは、前記配管の本体部と前記ホースバンドのバンド部により前記複数の組が挟持されるように、前記配管の本体部に巻装され、前記複数の組は、前記ホースバンドの前記ねじ部が締められたことにより前記ホースバンドのバンド部に生じた締付力により、前記配管の本体部に圧着された、水漏れ修理用装着具が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水漏れ修理のための作業環境が悪くても、水漏れ穴を確実に覆って水漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態による水漏れ修理用装着具に含まれるホースバンドの正面図、平面図及び前面図を示す。
図2】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態による水漏れ修理用装着具に含まれるパッキンシートの正面図、平面図及び前面図を示す。
図3】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態による水漏れ修理用装着具に含まれる両面粘着性テープの正面図、平面図及び前面図を示す。
図4】本発明の第1実施形態による水漏れ修理方法を説明するためのフローチャートである。
図5】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の第1実施形態においてパッキンシート及び両面粘着性テープが装着された配管の部分側面図及びVB-VB断面図を示す。
図6】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の第1実施形態において水漏れ修理用装着具が装着された配管の部分側面図及びVIB-VIB断面図を示す。
図7】本発明の第2実施形態による水漏れ修理方法を説明するためのフローチャートである。
図8】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の第2実施形態においてパッキンシート及び両面粘着性テープが粘着されたホースバンドの側面図及び正面図を示す。
図9】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の第2実施形態において水漏れ修理用装着具が装着された配管の部分側面図及びIXB-IXB断面図を示す。
図10】本発明の第3形態及び第4実施形態による水漏れ修理方法を説明するためのフローチャートである。
図11】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の第3実施形態及び第4実施形態においてパッキンシート及び両面粘着性テープが装着された配管の部分側面図及びXIB-XIB断面図を示す。
図12】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の第3実施形態及び第4実施形態において水漏れ修理用装着具が装着された配管の部分側面図及びXIIB-XIIB断面図を示す。
図13】本発明の第5実施形態及び第6実施形態による水漏れ修理方法を説明するためのフローチャートである。
図14】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の第5実施形態及び第6実施形態においてパッキンシート及び両面粘着性テープが粘着されたホースバンドの部分側面図及び部分正面図を示す。
図15】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の第5実施形態及び第6実施形態において水漏れ修理用装着具が装着された配管の部分側面図及びXVB-XVB断面図を示す。
図16】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明の第7実施形態において水漏れ修理用装着具が装着された配管のXVIB-XVIB断面図及び部分側面図を示す。
図17】本発明の第7実施形態において水漏れ修理用装着具が装着された配管の斜視図を示す。
図18】本発明の第8実施形態において水漏れ修理用装着具が装着された配管の断面を示す斜視図を示す。
図19】本発明の第8実施形態において水漏れ修理用装着具が装着された配管の側面図を示す。
図20】本発明の第8実施形態において水漏れ修理用装着具が装着された配管の断面を示すXX-XX矢視図である。
図21】実施例における測定用の水路の回路図である。
図22】実施例における水漏れ修理用装着具が装着された配管の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0010】
[第1実施形態]
本実施形態では、水漏れ修理用装着具として、図1に示すようなホースバンド101、図2に示すようなパッキンシート201及び図3に示すような両面粘着性テープ301を用いる。
【0011】
図1を参照すると、ホースバンド101は、バンド部103、ハウジング部105、ねじ歯車部109及びつまみ部111を備える。バンド部103は、細長い短冊状であり、少なくとも配管の全周を包囲したときに或る程度の余りが生ずる程度に長く、且つ、管の水漏れ穴部分の最大外径又は最大長さに対して2倍~数十倍程度の幅を有し、更に、0.数ミリから数ミリ程度の厚みを持つ。また、バンド部103には、はす歯部107が形成されている。ねじ歯車部109及びつまみ部111は回転軸が一致するように一体化されており、また、ハウジング部105の内部に自転可能に収容されている。図1(a)の破線で示すように、バンド部103を円弧上に屈曲させ、バンド部103の先端部をハウジング部105の内部に通すことが可能である。バンド部103の先端部をハウジング部105の内部に通すことにより、ねじ歯車部109とはす歯部107は、ねじ部を構成するようになる。ハウジング部105の内部に通されたバンド部103は、つまみ部111及びねじ歯車部109を回転させることにより、ねじ歯車部109とはす歯部107の噛合を介して、ハウジング部105に対してバンド部103の長手方向にスライドすることが可能である。従って、つまみ部111を回転させることによりバンド部103により構成される円筒の半径を調整することが可能になる。ホースバンド101の各部は鉄、ステンレス鉱などの金属を素材としている。
【0012】
図2に示すパッキンシート201及び図3に示す両面粘着性テープ301は、共通の幅及び長さを有する。また、パッキンシート201の素材は例えば天然ゴムであり、弾性、耐水性及び耐摩耗性を有する。パッキンシート201の厚みは例えば1mmである。両面粘着性テープ301の基材は、例えば、不織布であり、この両面に粘着力を有する塗布部材としてアクリル系粘着剤が塗布されている。両面粘着性テープ301の厚みは例えば0.16mmである。1枚のパッキンシート201と1枚の両面粘着性テープ301は、両面粘着性テープ301の片面側の塗布部材により相互に粘着され、組を成している。この組の幅は、管の水漏れ穴部分の最大外径又は最大長さに対してホースバンド101と同様に2倍~数十倍程度の幅を有し、また、幅に対して1~5倍程度の長さを有する。但し、この組は、通常は、配管に巻かれたときに最大でも半周程度しか覆わない。但し、この組は、配管に巻かれたときに半周以上を覆ってもよい。
【0013】
上述したホースバンド101、パッキンシート201及び両面粘着性テープ301の寸法、素材はあくまで例示したものであり、本発明においては、他の寸法、他の素材を採用してもよい。
【0014】
図4を参照すると、本実施形態による水漏れ修理方法においては、まず、ステップS401において、作業員が閉栓を実行する。これにより、図5(a)及び図5(b)に示すような水漏れ穴505を有する配管501の本体部503に水が流入することが防止される。次に、ステップS402において、作業員は、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組を用意する。次に、ステップS403において、作業員は、ホースバンド101を用意する。
【0015】
次に、ステップS404において、作業員は、図5(a)及び図5(b)に示すように、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の1つの組を、両面粘着性テープ301が配管501の本体部503とパッキンシート201の間に挟まれ、且つ、この組が配管501の本体部503の少なくとも水漏れ穴505を覆うように配管501の本体部503に両面粘着性テープ301の粘着力により粘着させる。
【0016】
次に、ステップS405において、作業員は、図6(a)及び図6(b)に示すように、ホースバンド101を、配管501の本体部503とホースバンド101のバンド部103によりパッキンシート201と両面粘着性テープ301の組が挟持されるように、配管501の本体部503に巻装する。この際、作業員は、バンド部103の先端をハウジング部105の内部穴に通してから、つまみ部111を回す。これにより、はす歯部107によりねじ歯車部109が長手方向に送られ、これにより、ホースバンド101は図1の実線により示す状態から破線により示す状態(又は図6に示す状態)に移行する。
【0017】
このとき、巻装のために位置が安定せずに動いているバンド部103がパッキンシート201に接触して、パッキンシート201に外力を与える。仮に両面粘着性テープ301を使用しないで、パッキンシート201を直接的に配管501の本体部503に当てているならば、初期位置においてパッキンシート201が水漏れ穴505を覆っていても、バンド部103から与えられる外力により、パッキンシート201が水漏れ穴505を覆わない位置に移動してしまう可能性が高い。しかし、本実施形態では、配管501の本体部503とパッキンシート201の間に挟まれている両面粘着性テープ301により、パッキンシート201が配管501の本体部503に粘着されているので、パッキンシート201は、バンド部103から外力が与えられても、水漏れ穴505を覆う初期位置を維持することができる。
【0018】
また、水漏れ穴505は、配管501の本体部503の上方に空く場合もあるが、本体部503の側方又は下方に空く場合もある。本実施形態では、両面粘着性テープ301を利用することにより、水漏れ穴505が配管501の本体部503のどの位置に空いていても、水漏れ穴505を覆うようにしてパッキンシート201を配管501の本体部503に粘着させることができる。特に、両面粘着性テープ301を用いて配管501の本体部503にパッキンシート201を粘着させるので、配管501が床下に配設されていて作業環境が悪い場合であっても、作業員は単独で両手又は片手を使って、ホースバンド101を配管501の本体部503に巻装することに集中することができるようになる。
【0019】
次に、ステップS406において、作業員は、ねじ部を締める。つまり、作業員は、つまみ部111を回転させることにより、バンド部103の周長を短くする。ここで、周長とは、ハウジング部105において重なり合う、バンド部103の2つの部分間の直線距離である。ねじ部を締めることにより、ホースバンド101のバンド部103はバンド部103の内周側にある配管501の本体部503並びにパッキンシート201及び両面粘着性テープ301に対して本体部503の中心方向に向かう締付力を与えるようになる。これにより、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組は、配管501の本体部503に圧着される。
【0020】
最後に、ステップS407において、作業員が開栓を実行する。これにより、水漏れ穴505が水漏れ修理用装着具により塞がれた配管501に水が流入する。
【0021】
本実施形態では、パッキンシート201は、ねじ部を締めるときにバンド部103から締付力、円周方向の力などの外力が与えられても、配管501の本体部503とパッキンシート201の間に挟まれている両面粘着性テープ301により、パッキンシート201が配管501の本体部503に粘着されているので、水漏れ穴505を覆う初期位置を維持することができる。
【0022】
[第2実施形態]
本実施形態は、第1実施形態と比較して、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組を粘着させる対象とそれに関連した作業手順が異なる。つまり、第1実施形態では、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組を配管501の本体部503に粘着させてから、ホースバンド101のバンド部103を配管501の本体部503に環装するのに対し、本実施形態では、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組をホースバンド101のバンド部103に粘着させてから、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組が粘着している、ホースバンド101のバンド部103を配管501の本体部503に環装する。
【0023】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、水漏れ修理用装着具として、図1に示すようなホースバンド101、図2に示すようなパッキンシート201及び図3に示すような両面粘着性テープ301を用いる。ホースバンド101、パッキンシート201及び両面粘着性テープ301についての重複した説明は省略する。
【0024】
図7を参照すると、本実施形態による水漏れ修理方法においては、まず、ステップS701において、作業員が閉栓を実行する。これにより、図9(a)及び図9(b)に示すような水漏れ穴505を有する配管501の本体部503に水が流入することが防止される。次に、ステップS702において、作業員は、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組を用意する。次に、ステップS703において、作業員は、ホースバンド101を用意する。
【0025】
次に、ステップS704において、作業員は、図8(a)及び図8(b)に示すように、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の1つの組を、両面粘着性テープ301がホースバンド101のバンド部103とパッキンシート201の間に挟まれるように、ホースバンド101のバンド部103に両面粘着性テープ301の粘着力により粘着させる。
【0026】
次に、ステップS705において、作業員は、図9(a)及び図9(b)に示すように、ホースバンド101を、配管501の本体部503とホースバンド101のバンド部103によりパッキンシート201と両面粘着性テープ301の組が挟持され、且つ、挟持されたパッキンシート201と両面粘着性テープ301の組が配管501の本体部503の少なくとも水漏れ穴505を覆うように、配管501の本体部503に巻装する。この際、作業員は、バンド部103の先端をハウジング部105の内部穴に通してから、つまみ部111を回す。これにより、はす歯部107によりねじ歯車部109が長手方向に送られ、これにより、ホースバンド101は図1の実線により示す状態から破線により示す状態(又は図9に示す状態)に移行する。
【0027】
このとき、ホースバンド101のバンド部103にパッキンシート201と両面粘着性テープ301の組が粘着しているので、ホースバンド101のバンド部103を配管501の本体部503の円周方向に回転させたり、配管501の本体部503の長軸方向にスライドさせたりした場合、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組もホースバンド101のバンド部103と共に回転したり、スライドしたりする。従って、作業員は、ホースバンド101のバンド部103を回転させたりスライドさせたりすることにより、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組を水漏れ穴505を覆う位置まで運ぶことができる。
【0028】
また、配管501の本体部503とパッキンシート201の間には両面粘着性テープ301を挟ませていないので、円滑にパッキンシート201と両面粘着性テープ301(パッキンシート201とバンド部103の間に挟持されている)の組を水漏れ穴505を覆う位置まで運ぶことができる。
【0029】
また、水漏れ穴505は、配管501の本体部503の上方に空く場合もあるが、本体部503の側方又は下方に空く場合もある。本実施形態では、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組がホースバンド101のバンド部103に粘着されているので、作業者は、ホースバンド101のバンド部103を配管501の本体部503の円周方向に回転させることにより、例えば、初期位置において配管501の本体部503の上部付近を覆っているパッキンシート201と両面粘着性テープ301の組を配管501の本体部503の下部付近を覆う位置まで運ぶことができる。特に、これにより、配管が床下に配設されていて作業環境が悪い場合であっても、作業員が単独で両手又は片手を使って、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組が水漏れ穴を覆うようにホースバンドを配管501の本体部503に巻装することに集中することができるようになる。
【0030】
次に、ステップS706において、作業員は、ねじ部を締める。ねじ部を締めることにより、ホースバンド101には内周方向に向かう締付力が生じ、これにより、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組は、配管501の本体部503に圧着される。
【0031】
本実施形態では、ホースバンド101のバンド部103とパッキンシート201の間に挟まれている両面粘着性テープ301により、パッキンシート201がホースバンド101のバンド部103に粘着されているので、ねじ部を締めるときにも、バンド部103の位置を調整することにより、バンド部103と一緒に動くパッキンシート201と両面粘着性テープ301の最終的な位置を調整することができる。特に微調整することもできる。
【0032】
最後に、ステップS707において、作業員が開栓を実行する。これにより、水漏れ穴505が水漏れ修理用装着具により塞がれた配管501に水が流入する。
【0033】
なお、配管501の本体部503への水漏れ修理用装着具の取り付けが終了した後で、ねじ部を緩めるだけで、バンド部103並びにパッキンシート201及び両面粘着性テープ301の組を一体的に移動させることができる。従って、配管501の本体部503への水漏れ修理用装着具の装着位置の調整を伴う再取り付けが容易である。
【0034】
[第3実施形態]
本実施形態は、第1実施形態と比較して、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組の数が異なる。つまり、第1実施形態では、一組のパッキンシート201と両面粘着性テープ301を配管501の本体部503に装着するのに対して、本実施形態では、複数組のパッキンシート201と両面粘着性テープ301を配管501の本体部503に装着する。
【0035】
本実施形態では、水漏れ修理用装着具として、図1に示すようなホースバンド101、図2に示すようなパッキンシート201及び図3に示すような両面粘着性テープ301を用いる。特に、パッキンシート201及び両面粘着性テープ301を複数用いる。
【0036】
図10を参照すると、本実施形態による水漏れ修理方法においては、まず、ステップS1001において、作業員が閉栓を実行する。これにより、図11(a)及び図11(b)に示すような水漏れ穴505を有する配管501の本体部503に水が流入することが防止される。次に、ステップS1002において、作業員は、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の複数の組を用意する。次に、ステップS1003において、作業員は、ホースバンド101を用意する。
【0037】
次に、ステップS1004において、作業員は、パッキンシート201-i及び両面粘着性テープ301-iの複数の組をパッキンシート201と両面粘着性テープ301が交互に積層するように両面粘着性テープ301の粘着力により相互に粘着させる。ここで、i=1~組数nであり、nは例えば3である。
【0038】
次に、ステップS1005において、作業員は、図11(a)及び図11(b)に示すように、積層された複数の組を、配管501の本体部503に最も近い層の両面粘着性テープ301-1が配管501の本体部503とパッキンシート201-1の間に挟まれ、且つ、積層された複数の組が配管501の本体部503の少なくとも水漏れ穴505を覆うように配管501の本体部503に両面粘着性テープ301-1の粘着力により粘着させる。
【0039】
次に、ステップS1006において、作業員は、図12(a)及び図12(b)に示すように、ホースバンド101のバンド部103を、配管501の本体部503とホースバンド101のバンド部103によりパッキンシート201と両面粘着性テープ301の複数の組が挟持されるように、配管501の本体部503に巻装する。
【0040】
次に、ステップS1007において、作業員は、ねじ部を締める。
【0041】
最後に、ステップS1008において、作業員が開栓を実行する。これにより、水漏れ穴505が水漏れ修理用装着具により塞がれた配管501に水が流入する。
【0042】
本実施形態によれば、第1実施形態が奏する効果と同様な効果を奏することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、特に次に説明するような効果を奏することができる。つまり、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の複数の組が積層されると、ある程度の高さを持つようになるため、ホースバンド101のバンド部103は、積層されたパッキンシート201と両面粘着性テープ301の複数の組の頂部に密着するが、その頂部の両側近傍においては配管501の本体部503から離間する。離間する範囲は、積層された部分が高いほど広くなる。そして、離間した部分が広いほど、ホースバンド101のバンド部103による積層されたパッキンシート201と両面粘着性テープ301に対する締付力は強くなる。従って、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組を1つのみ使用した場合に比べ、複数使用した場合のほうが、ホースバンド101のバンド部103によるパッキンシート201に対する締付力が強くなる。従って、水漏れ防止の効果(気密性)が高くなる。
【0044】
また、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組を1つのみ使用した場合に比べ、複数使用した場合のほうが、パッキンシート201全体の厚みが増すので、パッキンシート201による高低差の吸収能力を高めることができる。従って、水漏れ穴505の周辺において、配管501の本体部503の表面に凹凸がある場合であっても、パッキンシート201は隙間なく水漏れ穴505及びその周辺部分を塞ぐことが可能になる。従って、水漏れ防止の効果(気密性)が高くなる。
【0045】
更に、同じ厚みにするために厚い1枚のみのパッキンシートを使用する場合と比較して次のような効果を奏することができる。
【0046】
1枚1枚のパッキンシート201を薄くすることができるため、配管501の本体部503の断面形状において、本体部503の表面の輪郭における凹凸とほぼ同一の形状を各々のパッキンシート201を持つことができるようになる。したがって、本体部503の表面にパッキンシート201を隙間なく密着させることができる。従って、水漏れ防止の効果(気密性)を高めることができる。
【0047】
また、パッキンシート201の積層方向において相互に隣接する部材(パッキンシート201と両面粘着性テープ301)は、強い摩擦力をもって相互に接触する。従って、パッキンシート201の本体部503の表面の凹凸に沿う形状が堅牢に維持される。従って、水漏れ防止の効果(気密性)を高めることができる。
【0048】
更に、パッキンシート201は配管505の本体部503の半径方向において圧縮性を有するため、ホースバンド101のバンド部103により締められた場合、配管501の本体部503側の表面は凹凸を持ちながらも、ホースバンド101のバンド部103側の表面は平滑になる。従って、パッキンシート201とホースバンド101のバンド部103の間に隙間が生じない。従って、ホースバンド101のバンド部103による締付力は、パッキンシート201の表面上の分布において均一性を持つようになる。従って、水漏れ防止の効果(気密性)を高めることができる。
【0049】
[第4実施形態]
本実施形態は、第3実施形態と比較して、パッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの組を積層するための順序が異なる。図10を参照すると、第3実施形態では、ステップS1004において複数の組を積層させてから、ステップS1005において積層済みの組を配管501の本体部503に粘着させる。これに対し、本実施形態では、ステップS1009において、一組のパッキンシート201と両面粘着性テープ301を水漏れ穴505を覆うようにして配管501の本体部503に粘着させてから、ステップS1010において、一組以上のパッキンシート201と両面粘着性テープ301を積層させる。
【0050】
より詳細に説明すると、ステップS1009では、作業員は、一組のパッキンシート201-1と両面粘着性テープ301-1を、両面粘着性テープ301-1が配管501の本体部503とパッキンシート201-1の間に挟まれ、且つ、その組が配管501の本体部503の少なくとも水漏れ穴505を覆うように配管501の本体部503に両面粘着性テープ301-1の粘着力により粘着させる。ステップS1010では、作業員は、ステップS1009で配管501の本体部503に両面粘着性テープ301-1の粘着力により粘着された一組のパッキンシート201-1及び両面粘着性テープ301-1並びに用意した複数の組のうちの残りの組のパッキンシート201-2~201-n及び両面粘着性テープ301-2~301-nが交互に積層するように、用意した複数の組のうちの残りの各々の組を該組の両面粘着性テープ301-2~301-nにより粘着する。
【0051】
第3実施形態では、パッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの複数の組を積層してから配管501の本体部503に粘着するので、積層したときのパッキンシート201の表面の曲率が配管501の本体部503の曲率と異なると、層間でせん断力が発生し、これによりパッキンシート201に皺や伸びが発生する可能性がある。これに対して、本実施形態では、配管501の本体部503の表面形状又は下の層の表面形状に合わせつつ、パッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの組が1層ずつ積層されていくので、層間でせん断力が発生せず、従って、パッキンシート201-iに皺や伸びが生ずることを未然に防ぐことができる。これにより、水漏れ防止の効果(気密性)が一層高くなる。
【0052】
[第5実施形態]
本実施形態は、第3実施形態と比較して、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の複数の組を粘着させる対象とそれに関連した作業手順が異なる。つまり、第3実施形態では、パッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの複数の組を配管501の本体部503に粘着させてから、ホースバンド101のバンド部103を配管501の本体部503に環装するのに対し、本実施形態では、パッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの複数の組をホースバンド101のバンド部103に粘着させてから、パッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの複数の組が粘着している、ホースバンド101のバンド部103を配管501の本体部503に環装する。
【0053】
本実施形態では、水漏れ修理用装着具として、図1に示すようなホースバンド101、図2に示すようなパッキンシート201及び図3に示すような両面粘着性テープ301を用いる。特に、パッキンシート201及び両面粘着性テープ301を複数用いる。
【0054】
図13を参照すると、本実施形態による水漏れ修理方法においては、まず、ステップS1301において、作業員が閉栓を実行する。これにより、図15(a)及び図15(b)に示すような水漏れ穴505を有する配管501の本体部503に水が流入することが防止される。次に、ステップS1302において、作業員は、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の複数の組を用意する。次に、ステップS1303において、作業員は、ホースバンド101を用意する。
【0055】
次に、ステップS1304において、作業員は、パッキンシート201-i及び両面粘着性テープ301-iの複数の組をパッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iが交互に積層するように両面粘着性テープ301の粘着力により相互に粘着させる。ここで、i=1~組数nであり、nは例えば3である。
【0056】
次に、ステップS1305において、作業員は、図14(a)及び図14(b)に示すように、積層された複数の組を、ホースバンド101のバンド部103に最も近い層の両面粘着性テープ301-1がホースバンド101のバンド部103とパッキンシート201-1の間に挟まれるようにホースバンド101のバンド部103に両面粘着性テープ301の粘着力により粘着させる。
【0057】
次に、ステップS1306において、作業員は、図15(a)及び図15(b)に示すように、ホースバンド101を、配管501の本体部503とホースバンド101のバンド部103によりパッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの複数の組が挟持されるように、配管501の本体部503に巻装する。
【0058】
次に、ステップS1307において、作業員は、ねじ部を締める。
【0059】
最後に、ステップS1308において、作業員が開栓を実行する。これにより、水漏れ穴505が水漏れ修理用装着具により塞がれた配管501に水が流入する。
【0060】
本実施形態によれば、パッキンシート201と両面粘着性テープ301を粘着させる対象が共通である第2実施形態が奏する効果と同様な効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の複数の組を装着する点が共通である第3実施形態が奏する効果と同様な効果を奏することができる。
【0061】
[第6実施形態]
本実施形態は、第5実施形態と比較して、パッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの組を積層するための順序が異なる。図13を参照すると、第5実施形態では、ステップS1304において複数の組を積層させてから、ステップS1305において積層済みの組をホースバンド101のバンド部103に粘着させる。これに対し、本実施形態では、ステップS1309において、一組のパッキンシート201-1と両面粘着性テープ301-1の組をホースバンド101のバンド部103に粘着させてから、ステップS1310において、一組以上のパッキンシート201-2~201-nと両面粘着性テープ301-2~301-nを積層させる。
【0062】
より詳細に説明すると、ステップS1309では、作業員は、一組のパッキンシート201-1と両面粘着性テープ301-1を、両面粘着性テープ301-1がホースバンド101のバンド部103とパッキンシート201-1の間に挟まれるようにホースバンド101のバンド部103に両面粘着性テープ301-1の粘着力により粘着させる。ステップS1310では、作業員は、ステップS1309でホースバンド101のバンド部103に両面粘着性テープ301-1の粘着力により粘着された一組のパッキンシート201-1及び両面粘着性テープ301-1並びに用意した複数の組のうちの残りの組のパッキンシート201-2~201-n及び両面粘着性テープ301-2~301-nが交互に積層するように、用意した複数の組のうちの残りの各々の組をその組の両面粘着性テープ301により粘着する。
【0063】
第5実施形態では、パッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの複数の組を積層してからホースバンド101のバンド部103に粘着するので、積層したときのパッキンシート201の表面の曲率がホースバンド101のバンド部103の曲率と異なると、層間でせん断力が発生し、これによりパッキンシート201に皺や伸びが発生する可能性がある。これに対して、本実施形態では、ホースバンド101のバンド部103の曲率又は下の層の表面の曲率に合わせつつ、パッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの組が1つずつ積層されていくので、層間でせん断力が発生せず、従って、パッキンシート201に皺や伸びが生ずることを未然に防ぐことができる。これにより、水漏れ防止の効果(気密性)が一層高くなる。
【0064】
特に、ホースバンド101のバンド部103を予め配管501の本体部503の表面の曲率に合わせて曲げてから、ホースバンド101のバンド部103にパッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの組を一層ずつ積層していくことにより、ホースバンド101のバンド部103を配管501の本体部503に環装したときに、パッキンシート201に皺や伸びが生ずることを未然に防止することができる。
【0065】
[第7実施形態]
本実施形態における水漏れ修理用装着具は、第3実施形態の水漏れ修理用装着具と同一である。本実施形態が第3実施形態と異なる点は、図16図17に示すように、配管501の本体部503が水漏れ穴505の付近において凹むようにして変形している点である。
【0066】
図16図17に示すように、複数組のパッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iを水漏れ穴505付近の凹部の上に積層させることにより、水漏れ穴505付近に凸部を形成する。このような構成が得られた場合、第3実施形態で既に説明したように、ホースバンド101のバンド部103は、積層されたパッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iの複数の組の頂部に密着するが、その頂部の両側近傍においては配管501の本体部503から離間する。従って、ホースバンド101によるバンド部103の積層されたパッキンシート201-iと両面粘着性テープ301-iに対する締付力は強くなる。従って、パッキンシート201と両面粘着性テープ301の組を1つのみ使用した場合に比べ、複数使用した場合のほうが、ホースバンド101のバンド部103によるパッキンシート201に対する締付力が強くなる。従って、水漏れ防止の効果(気密性)が高くなる。
【0067】
なお、第3実施形態の水漏れ修理用装着具を第4実施形態乃至第6実施形態の水漏れ修理用装着具に置き換えても同様な効果を奏することができる。
【0068】
[第8実施形態]
本実施形態における水漏れ修理用装着具は、第3実施形態の水漏れ修理用装着具と同一である。
【0069】
本実施形態が第3実施形態と異なる点は、第3実施形態においては水漏れ修理用装着具を配管501の円筒状の本体部503に生じた水漏れ穴505に適用しているのに対して、本実施形態においては水漏れ修理用装着具を図18乃至図20に示すようなエルボ型接手1801に生じた水漏れ穴1807に適用している点である。
【0070】
図18乃至図20を参照すると、エルボ型接手1801は、円筒状の本体部1803及び円筒状の本体部1805を繋いでおり、本発明においては、配管501の本体部とみなすことができる。
【0071】
本体部1803からエルボ型接手1801に流入してきた水は、エルボ型接手1801の外側角部にて折り返されるので、外側角部には他の部分と比較して強い水圧がかかる。このため、図18乃至図20に示すように外側角部に水漏れ穴1807が生じやすい。
【0072】
第3実施形態による水漏れ修理用装着具を外側角部に生じた水漏れ穴1807を塞ぐために利用することができる。
【0073】
ホースバンド101のねじ部を締めたとき、エルボ型接手1801の外側角部付近においてバンド部103の内面がパッキンシート201―3と面接触する部分において、両者間で摩擦力が生じ、また、バンド部103の両側部103b、103cは、エルボ型接手1801の内側角部に抗力を伴いつつ当接するようになるので、ホースバンド101が回転したり、スライドしたりすることが避けられている。
【0074】
なお、第3実施形態の水漏れ修理用装着具を第4実施形態乃至第6実施形態の水漏れ修理用装着具に置き換えても同様な効果を奏することができる。
【0075】
[実施例]
実施例は、次に説明するような実験装置を用いて実施された。
【0076】
図21に示すように、実験装置は、水源2101の内部に設けられた吸入口2103、動力源2107により水源2101から吸入口2103を介して水を吸入するポンプ2105、配管2109を介してポンプ2105に接続された調整弁2111、調整弁2111に配管2113を介して接続された調整弁2115、調整弁2115に接続された配管2117を有する。また、実験装置は、配管2113内部の水圧を測定するための水圧計2123、配管2117内部の水圧を測定するための水圧計2125、配管2113から水を排出するための排出弁2119、排出された水を受ける水槽2121を有する。
【0077】
配管2117及び水圧計2125は、例えば、図22に示すようなものである。配管2117は、図18乃至図20に示すエルボ型接手1801、円筒状の本体部1803、1805を有する。本体部1803の端部は閉じられている。
【0078】
エルボ型接手1801には、水漏れ修理装着具が装着される。
【0079】
実施例は、次に説明するような方法により実施された。
【0080】
まず、水漏れ修理装着具をエルボ型接手1801に装着した。次に、調整弁2111、2115を開いて、水圧計2123、2125により測定される水圧が初期水圧として設定されている値を超えるまでポンプ2105により配管2109、2113、2117に水を流入させた。次に、水圧計2123、2125により測定される水圧が所定値になるまで排出弁2119により水を排出させた。次に調整弁2111、2115を閉じてから、排出弁2119を開くことにより、配管2113から全ての水を排出させた。これにより、配管2117の水圧は所定値を持つようになり、また、配管2113から配管2117に流入する水が用意されていないようになった。そして、所定時間(例えば、10分)経過後の水圧計2125により測定された水圧(以下、「測定対象水圧」という。)を記録した。
【0081】
実施形態1による水漏れ修理装着具を用いた場合、初期水圧0.75メガパスカルに対して測定対象水圧も0.75メガパスカルであった。
【0082】
従って、実施形態1による水漏れ修理装着具の有効性を確認することができた。
【0083】
[比較例1]
比較例1においては、パッキンシート201及び両面粘着性テープ301の代わりに水漏れ補修用のブチルシート(商品名:ゴリラテープエクストリームウォータープルーフ<ブラック>、ワイドタイプ101.6mm、メーカ:呉工業株式会社)が用いられた。つまり、エルボ型接手1801の外側角部に空いている水漏れ穴505を覆うようにしてブチルシートによりエルボ型接手1801の外側角部を包んだ。そして、ブチルシートをエルボ型接手1801とホースバンド101のバンド部103により挟むようにしてホースバンド101のバンド部103をエルボ型接手1801に環装させてから、ホースバンド101のねじ部を締めた。
【0084】
比較例1では、初期水圧0.75メガパスカルに対して測定対象水圧はゼロパスカルであった。観察すると、ブチルシートは、水漏れ穴付近において水圧により破れ、全ての水は外部に流出していた。水漏れ補修用のブチルシートであっても、上水路の水圧程度の水圧に弱いことがわかった。
【0085】
[比較例2]
比較例2においては、実施例で利用したパッキンシート201と同じパッキンシートが用いられたが、基材が不織布である両面粘着性テープ301の代わりに基材がブチルである両面粘着性テープ(商品名:ゴリラ両面テープストロング、メーカ:呉工業株式会社)が用いられた。つまり、エルボ型接手1801の外側角部に空いている水漏れ穴505を覆うようにしてブチル基材の両面粘着性テープによりエルボ型接手1801の外側角部を包ってから、パッキンシート201を同じ表面領域を包むようにして基材がブチルである両面粘着性テープに粘着させた。そして、基材がブチルである両面粘着性テープ及びパッキンシート201をエルボ型接手1801とホースバンド101のバンド部103により挟むようにしてホースバンド101のバンド部103をエルボ型接手1801に環装させてから、ホースバンド101のねじ部を締めた。
【0086】
比較例2では、初期水圧0.75メガパスカルに対して測定対象水圧はゼロパスカルであった。観察すると、エルボ型接手1801の外側角部とパッキンシート201により挟まれていたブチルベースの両面粘着性テープは、当初ははみ出ていなかったのであるが、測定対象水圧を測定した時刻においては水漏れ穴付近を含む広い範囲にわたりパッキンシート201の外縁からはみ出ていた。水漏れ穴505から外部に流出しようとする水により両面粘着性テープの基材であるブチルが破壊的に変形し、これによりエルボ型接手1801の外側角部とパッキンシート201の間に隙間が生じ、この隙間から水が流出したと考えられる。
【0087】
[比較例3]
比較例3においては、実施例で利用したパッキンシート201と両面粘着性テープ301の組の代わりに折り畳んだペーパータオルを利用した。つまり、エルボ型接手1801の外側角部に空いている水漏れ穴505を覆うようにして折り畳んだペーパータオルによりエルボ型接手1801の外側角部を包った。そして、折り畳んだペーパータオルをエルボ型接手1801とホースバンド101のバンド部103により挟むようにしてホースバンド101のバンド部103をエルボ型接手1801に環装させてから、ホースバンド101のねじ部を締めた。
【0088】
比較例3では、初期水圧0.75メガパスカルに対して測定対象水圧は0.43メガパスカルであった。観察すると、折り畳んだペーパータオルは全体にわたり水を含有していた。水漏れ穴505から外部に流出しようとする水がペーパータオルに浸透し、徐々に外部に流出したと考えられる。
【0089】
[比較例4]
比較例4においては、実施例で利用したパッキンシート201と両面粘着性テープ301の代わりに養生テープを利用した。つまり、エルボ型接手1801の外側角部に空いている水漏れ穴505を覆うようにして養生テープによりエルボ型接手1801の外側角部を包ったそして、養生テープをエルボ型接手1801とホースバンド101のバンド部103により挟むようにしてホースバンド101のバンド部103をエルボ型接手1801に環装させてから、ホースバンド101のねじ部を締めた。
【0090】
比較例4では、初期水圧0.75メガパスカルに対して測定対象水圧は0.1メガパスカルであった。観察すると、養生テープの折り目付近が水により浸されていた。水漏れ穴505から外部に流出しようとする水が養生テープの折り目により生じる隙間を通り、徐々に外部に流出したと考えられる。
【0091】
[他の実施形態]
両面粘着性テープの代わりに接着剤を用いてもよい。特に接着剤として速乾性の接着剤を用いれば、作業時間を短縮することができる。この場合、「両面が粘着力を持つ両面粘着性テープ301と両面粘着性テープ301に粘着力により粘着されたパッキンシート201の組」が「接着剤が塗布されたパッキンシート」に置き換わり、「両面粘着性テープ」が「接着剤」に置き換わり、「粘着力」が「接着」に置き換わり、「粘着」が「接着」に置き換わる。
【0092】
本発明においては、水漏れ穴は、円形穴、楕円穴、亀裂状穴など、様々な形状の穴を含む。
【0093】
上記の実施の形態は、上水の配管だけではなく下水の配管、水以外の液体の配管にも適用することができる。
【0094】
本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の種々の形で実施することができる。そのため、前述した各実施形態は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるべきではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更はすべて本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、配管の水漏れを修理することに利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
101 ホースバンド
103 バンド部
105 ハウジング部
107 はす歯部
109 ねじ歯車部
111 つまみ部
201 パッキンシート
301 両面粘着性テープ
図1
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