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特許7486249太陽光パネルの架台、その製造方法及び太陽光パネルの設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】太陽光パネルの架台、その製造方法及び太陽光パネルの設置方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/23 20140101AFI20240510BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20240510BHJP
【FI】
H02S20/23 A
E04D13/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023162872
(22)【出願日】2023-09-26
【審査請求日】2023-10-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516254588
【氏名又は名称】株式会社YKスチール
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 清実
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼谷 武士
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特許第7271012(JP,B2)
【文献】特許第4414569(JP,B2)
【文献】特開2023-038079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/00-20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋上において太陽光パネルを支持する枠体を備えており、
前記枠体が、水平方向に並んだ複数台の前記太陽光パネルを跨ぐように直線状に延びており、
前記枠体内に固化した充填材が充填されており、
前記充填材内に埋め込まれた鉄筋と、
前記充填材内で前記鉄筋を支持する支持材とをさらに備えており、
前記支持材が、前記枠体の幅方向に沿って延び、
前記枠体の幅方向に関する前記支持材の両端が、前記枠体の一方の側壁の内表面及び他方の側壁の内表面とそれぞれ接触していることを特徴とする太陽光パネルの架台。
【請求項2】
建物の屋上において太陽光パネルを支持する枠体を備えており、
前記枠体が、水平方向に並んだ複数台の前記太陽光パネルを跨ぐように直線状に延びており、
前記枠体内に固化した充填材が充填されており、
前記枠体が、
その長さ方向に延びた複数の枠部材と、
前記複数の枠部材同士を前記長さ方向に関して連結させる連結部材とを有しており、
前記連結部材に、前記長さ方向に長尺な貫通孔が形成されており、
前記連結部材の貫通孔を貫通した螺子部材が前記枠部材に対して締め付けられていることで前記連結部材が前記枠部材と固定されており、
前記連結部材の上面の少なくとも一部が水平面に対して傾斜した平面に沿っており、
前記太陽光パネルが、前記傾斜した平面に沿うように配置されていると共に前記連結部材の上面の前記一部に固定されていることを特徴とする太陽光パネルの架台。
【請求項3】
前記充填材がモルタルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光パネルの架台。
【請求項4】
前記充填材の強度を向上させるバインダー材が前記充填内に含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光パネルの架台。
【請求項5】
前記枠体が、その長さ方向と直交する断面に関して矩形の形状を有しており、
前記枠体の天井壁及び底壁のいずれかに前記長さ方向に延びた開口が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光パネルの架台。
【請求項6】
前記枠体の幅方向に関して前記枠体の側壁から前記開口に向かって突出する突出部が形成されていることを特徴とする請求項に記載の太陽光パネルの架台。
【請求項7】
前記一方の側壁及び前記他方の側壁のそれぞれに貫通孔が形成されており、
前記支持材の両端のそれぞれに開口していると共に、前記枠体の幅方向に関して前記貫通孔と対向する凹部が前記支持材に形成されており、
前記凹部内に螺子山が形成されていることを特徴とする請求項に記載の太陽光パネルの架台。
【請求項8】
請求項7に記載の太陽光パネルの架台を製造する方法であって、
前記支持材の前記凹部が前記貫通孔と前記枠体の幅方向に関して対向するように前記支持材を前記枠体内に配置する配置工程と、
前記配置工程後に、前記枠体の外側から前記貫通孔を通じて前記支持材の凹部へと螺子部材を挿入する挿入工程と、
前記挿入工程後に、前記枠体内に、固化前の前記充填材を充填する充填工程と、
前記充填工程後に、前記枠体内の前記充填材を固化させる固化工程とを備えていることを特徴とする太陽光パネルの架台の製造方法。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の太陽光パネルの架台を用いて太陽光パネルを設置する方法であって、
屋上構造物を支持する2本の隣り合う建物の梁を跨ぐように前記枠体を配置することを特徴とする太陽光パネルの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルを設置するための架台、その製造方法及び太陽光パネルの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光パネルを建物の屋上に設置するための架台が用いられている。特許文献1の固定フレームはその一例であり、屋上に固定された固定フレームのスライド溝に太陽光パネルを挿入することで太陽光パネルが屋上に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7278460号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、太陽光パネルが屋上に設置される際に、屋上を支持する建物の構造物が太陽光パネル及びその架台による荷重に耐えられるかどうかが必ずしも十分に考慮されていない点に着眼した。
【0005】
本発明の目的は、太陽光パネルを含めた荷重を建物の構造物に支持させやすい太陽光パネルの架台、その製造方法及び太陽光パネルの設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の太陽光パネルの架台は、建物の屋上において太陽光パネルを支持する枠体を備えており、前記枠体が、水平方向に並んだ複数台の前記太陽光パネルを跨ぐように直線状に延びており、前記枠体内に固化した充填材が充填されている。
【0007】
従来の太陽光パネルの設置方法によると、例えば上述した特許文献1に示すように、太陽光パネルごとに固定フレームが設置される。このため、太陽光パネルと固定フレームによる荷重が屋上の構造物に対して局所的に発生しやすい。これに対し、本発明の枠体は複数台の太陽光パネルを跨ぐように延びているので、従来技術と比べて荷重が分散しやすい。
【0008】
一方で、枠体が長尺になると、太陽光パネルの荷重が枠体に発生させる曲げ等の変形によって屋上への枠体の接触範囲が局所的になり、太陽光パネル及び架台の荷重がそこに集中するおそれが生じる。これに対し、本発明の枠体内には充填材が充填されている。これにより、枠体の強度が高められている。よって、枠体の変形が抑制されるため、枠体の変形による荷重の集中が抑制される。
【0009】
以上により、本発明の架台は、太陽光パネルを含めた荷重を建物の構造物に支持させやすいものとなっている。
【0010】
また、本発明においては、前記充填材がモルタルであることが好ましい。これによると、コンクリートを使用した場合、骨材に偏りが生じ、強度にばらつきが生じるおそれがある。モルタルを使用することにより、このような強度のばらつきが抑制される。
【0011】
また、本発明においては、前記充填材の強度を向上させるバインダー材が前記充填内に含まれていることが好ましい。これによると、枠体全体の強度が向上する。
【0012】
また、本発明においては、前記枠体が、その長さ方向と直交する断面に関して矩形の形状を有しており、前記枠体の天井壁及び底壁のいずれかに前記長さ方向に延びた開口が形成されていることが好ましい。これによると、開口を通じて枠体内の水分を枠体外に逃がすことができ、枠体内の水分の凍結や枠体の腐食による破損が抑制される。
【0013】
また、本発明においては、前記枠体の幅方向に関して前記枠体の側壁から前記開口に向かって突出する突出部が形成されていることが好ましい。これによると、内部の充填材の全体又は一部分が枠体から脱出することが抑制される。
【0014】
また、本発明においては、前記充填材内に埋め込まれた鉄筋と、前記充填材内で前記鉄筋を支持する支持材とをさらに備えており、前記支持材が、前記枠体の幅方向に沿って延び、前記枠体の幅方向に関する前記支持材の両端が、前記枠体の一方の側壁の内表面及び他方の側壁の内表面とそれぞれ接触していることが好ましい。これによると、鉄筋により枠体全体の強度を向上できる。また、支持材に鉄筋を適切に支持させることができる。
【0015】
また、本発明においては、前記一方の側壁及び前記他方の側壁のそれぞれに貫通孔が形成されており、前記支持材の両端のそれぞれに開口していると共に、前記枠体の幅方向に関して前記貫通孔と対向する凹部が前記支持材に形成されており、前記凹部内に螺子山が形成されていることが好ましい。これによると、架台の製造時、枠体内に充填材を充填する際に、枠体の外側から貫通孔を通じ、ボルト等の螺子部材で支持材を適切に支持することができる。このときに使用した螺子部材は、充填された充填材の固化後に枠体から取り外してもよいし、枠体に取り付けたままでもよい。
【0016】
また、本発明においては、前記枠体が、その長さ方向に延びた複数の枠部材と、前記複数の枠部材同士を前記長さ方向に関して連結させる連結部材とを有しており、前記連結部材に、前記長さ方向に長尺な貫通孔が形成されており、前記連結部材の貫通孔を貫通した螺子部材が前記枠部材に対して締め付けられていることで前記連結部材が前記枠部材と固定されていることが好ましい。これによると、枠部材を連結させることで枠体全体の長さを確保できる。また、貫通孔を通じて連結部材を螺子部材で枠部材に取り付ける際に、貫通孔が長尺であるため、取り付け位置を調整可能である。
【0017】
また、本発明においては、前記連結部材の上面の少なくとも一部が水平面に対して傾斜した平面に沿っており、前記太陽光パネルが、前記傾斜した平面に沿うように配置されていると共に前記連結部材の上面の前記一部に固定されていることが好ましい。これによると、太陽光パネルを、連結部材の上面に沿って傾斜させつつ架台上に設置できる。
【0018】
上記本発明に係る太陽光パネルの架台の製造方法は、前記支持材の前記凹部が前記貫通孔と前記枠体の幅方向に関して対向するように前記支持材を前記枠体内に配置する配置工程と、前記配置工程後に、前記枠体の外側から前記貫通孔を通じて前記支持材の凹部へと螺子部材を挿入する挿入工程と、前記挿入工程後に、前記枠体内に、固化前の前記充填材を充填する充填工程と、前記充填工程後に、前記枠体内の前記充填材を固化させる固化工程とを備えている。
【0019】
例えば、本発明の支持材の代わりに、比較的長尺な螺子軸に枠体を幅方向に貫通させ、両側方からナットをボルトに取り付けて締め付ける方法も考えられる。しかしながら、この方法によると、両側からナットを締め付けることで枠体や内部の充填材が破損するおそれがある。これに対し、本発明の支持材を用いた上記製造方法によると、このような締め付けによる破損を生じるおそれがない。
【0020】
上記本発明に係る太陽光パネルの架台を用いて太陽光パネルを設置する方法は、屋上構造物を支持する2本の隣り合う建物の梁を跨ぐように前記枠体を配置する。
【0021】
これによると、本発明の架台を用いることで荷重を分散できるのみならず、2本の梁に荷重を適切に支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態である太陽光パネルの架台の正面図である。
図2図1の太陽光パネルの架台における一部の平面図である。
図3図1の太陽光パネルの架台におけるIII-III’線断面図(一部端面図を含む)である。
図4図1の一点鎖線IVで囲まれた範囲の拡大図である。
図5図1の一点鎖線Vで囲まれた範囲の拡大図である。
図6図1の太陽光パネルの架台の製造方法に係るフローチャートである。
図7図1の実施形態の変形例に係る枠体の断面図(一部端面図を含む)である。
図8図1の実施形態の変形例に係る太陽光パネル及び左連結部材を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態である太陽光パネルの架台1(以下、架台1という。)について、図1図5を参照しつつ説明する。架台1は、建物の屋上に設置された太陽光パネルセット500を支持する架台である。太陽光パネルセット500は、左太陽光パネル510及び右太陽光パネル520を有している。左太陽光パネル510の右端と右太陽光パネル520の左端が接続した状態で、複数の太陽光パネルセット500が左右方向及び前後方向のそれぞれに沿って並んで設置されている。なお、以下において、図1及び2に示すように、架台1を設置する建物の屋上の上下方向を上下方向とし、架台1の横方向を左右方向、上下方向及び左右方向と直交する方向を前後方向という。
【0024】
架台1は、図1に示すように、枠体100及びパネル連結構造部200を有している。枠体100は、図2に示すように、複数台の太陽光パネルセット500を左右方向に跨ぐように直線状に延びている。
【0025】
枠体100は複数の枠部材300及び枠体連結構造部400を有している。複数の枠部材300は、図1及び図2に示すように、左右方向に沿って一列に並んでいる。各枠部材300は、図2に示すように、左太陽光パネル510及び右太陽光パネル520からなる太陽光パネルセット500全体を左右方向に跨いでいる。枠体100は、太陽光パネルセット500の前端及び後端のそれぞれにおいて太陽光パネルセット500を支持している。枠体100は複数の枠部材300及び枠体連結構造部400を有している。複数の枠部材300は、枠体連結構造部400によって左右方向に沿って互いに連結された状態で、太陽光パネルセット500の前端及び後端のそれぞれに設置されている。このような枠部材300の連結構造及び太陽光パネルセット500の支持構造の詳細について、以下において説明する。
【0026】
各枠部材300は、図3に示すように、C型鋼310、支持材320、鉄筋330及び充填340を有している。C型鋼310は、図3及び図4に示すように、左右方向に延び、左右方向と直交する断面に関して矩形の形状を有している。また、C型鋼310は左右対称な構造を有している。C型鋼310は、天井壁311、底壁312、前壁313及び後壁314を有している。天井壁311は前突出部311a及び後突出部311bを有している。前突出部311aは、前壁313の上端部全体から後突出部311bに向かって突出している。後突出部311bは、後壁314の上端部全体から前突出部311aに向かって突出している。前突出部311a及び後突出部311bがそれぞれ互いに向かって突出している。天井壁311には、左端から右端まで左右方向に延びた開口311cが形成されている。
【0027】
前壁313の右端部には、図4に示すように、左右方向に等間隔に貫通孔313a及び313bが形成されている。後壁314の右端部には、同様に、貫通孔314b(図3参照)を含む2つの貫通孔が形成されている。貫通孔313bと貫通孔314bとは対向している。前壁313及び後壁314の他の貫通孔も、前後方向に対向している。同様に、前壁313の左端部には、2つの貫通孔が形成されている。後壁314の左端部には、2つの貫通孔が形成されている。前壁313の左端部の2つの貫通孔と、後壁314の左端部の2つの貫通孔とはそれぞれ前後方向に対向している。
【0028】
支持材320は、図3に示すように、C型鋼310の内部において、前後方向に沿って延びた部材である。支持材320の長さは、C型鋼310の内部空間の前後方向の長さと同様である。支持材320は、丸パイプ321並びにナット322a及び322bを有している。丸パイプ321の前端にはナット322aが接続している。丸パイプ321の後端にはナット322bが接続している。支持材320は貫通孔313b及び314bの間に設置されている。ナット322aの前端が前壁313の内表面に接触している。ナット322bの後端が後壁314の内表面に接触している。同様に、支持材320は、前壁313の貫通孔313aと後壁314の他の貫通孔との間に設置され、支持材320の前端が前壁313の内表面に、支持材320の後端が後壁314の内表面に接触している。同様に、前壁313の左端部の2つの貫通孔と、後壁314の左端部の2つの貫通孔との間にも、支持材320が設置されている。
【0029】
鉄筋330は鋼製の棒材331及び332を有している。棒材331及び332は、C型鋼310の左右方向に沿って延びた部材である。棒材331及び332の左右方向の長さは、C型鋼310の内部空間の左右方向の長さと同様である。棒材331及び332は、C型鋼310の内部において、互いに平行に配置されている。棒材331及び332は、支持材320上に設置されている。棒材331及び332は、支持材320に支持されている。なお、鉄筋330の棒材は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0030】
充填340は、C型鋼310の内部に、左右方向に関して太陽光パネルセット500を跨ぐ範囲で充填されている。充填340には、モルタル、コンクリート等が使用されてよいが、モルタルであることが好ましい。充填340には、バインダー材が使用されてもよい。バインダー材には、グラスファイバー、砂・砂利等が使用されてもよい。
【0031】
枠体連結構造部400は、図4に示すように、左右方向に隣り合う2つの枠部材300同士を連結させる部材である。枠体連結構造部400は、左右連結部材410(本発明でいう連結部材)及び前後連結部材450を有している。
【0032】
左右連結部材410は左連結部材420、右連結部材430及び中間連結部材440を有している。左連結部材420は、図3及び4に示すように、左右方向に延び、左右方向と直交する断面に関して矩形の概略形状を有している。左連結部材420は、下方に開口したコ字形状の部材である。左連結部材420は、天井壁421、前壁422及び後壁423を有している。
【0033】
天井壁421の上面は、図4に示すように、水平面に対して、左方から右方に向かって下方に傾斜した平面に沿っている。天井壁421は、右太陽光パネル520を固定する貫通孔421aを有している。前壁422及び後壁433の内表面は、枠部材300の前壁313及び後壁314の外表面にそれぞれ接触している。前壁422の右端部には、左右方向に等間隔に貫通孔422a、422b及び422cが形成されている。貫通孔422a、422b及び422cは、それぞれ左右方向に長尺な孔である。同様に、後壁423の右端部には、左右方向に等間隔に貫通孔423b(図3参照)を含む3つの貫通孔が形成されている。3つの貫通孔は、それぞれ左右方向に長尺な孔である。貫通孔422bと貫通孔423bとは対向している。前壁422及び後壁423の他の貫通孔も、同様に前後方向に対向している。
【0034】
図3に示すように、C型鋼310の前壁313の貫通孔313bと左連結部材420の前壁422の貫通孔422bとが前後方向に対向している。貫通孔313bに対する貫通孔422bの位置は、C型鋼310に対して左連結部材420を左右に動かすことで調整されている。貫通孔422bを貫通したボルト461(本発明でいう螺子部材)が、貫通孔313bを貫通し、C型鋼310及び左連結部材420を支持材320のナット322aとの間に挟み込みつつ、ナット322aの螺子山に対して締め付けられている。同様に、C型鋼310の後壁314の貫通孔314bと左連結部材420の後壁423の貫通孔423bとが前後方向に対向している。そして、貫通孔423bを貫通したボルト461が、貫通孔314bを貫通し、C型鋼310及び左連結部材420を支持材320のナット322bとの間に挟み込みつつ、ナット322bの螺子山に対して締め付けられている。なお、ボルト461並びにナット322a及び322bの少なくともいずれかには、ボルト461をこれらのナットに締め付ける際にその供回りを防止するための防止構造が設けられていることが好ましい。あるいは、供回りを防止するためのワッシャーが併用されてもよい。これにより、ボルト461の締め付けの際に、充填材340に過度な負荷が掛かるのが抑制される。
【0035】
また、左連結部材420の前壁422における貫通孔422bの左側の貫通孔422aにおいても同様である。貫通孔422a及びこれと前後方向に対向するC型鋼310の前壁313の貫通孔を貫通したボルト461が、C型鋼310及び左連結部材420をナット322aとの間に挟み込みつつ、ナット322aの螺子山に対して締め付けられている。さらに、左連結部材420の後壁423における貫通孔423bの左側の貫通孔においても同様である。これらによって、左連結部材420と枠部材300とが固定されている。
【0036】
右太陽光パネル520は、図3及び図4に示すように、その右前端部付近が、左連結部材420の天井壁421の上面の左端部付近に沿うように配置されている。この部分において、Z型金具462の左部が右太陽光パネル520を天井壁421との間に挟み込み、Z型金具462の右部と天井壁421の上面とがボルト463及びナット464によって固定されている。これにより、右太陽光パネル520と枠体100とが固定されている。
【0037】
右連結部材430は、図4に示すように、左右方向に直交する平面C1に対して、左連結部材420と対称な構成を有していると共に、左連結部材420と対称に配置されている。右連結部材430は、左連結部材420が取り付けられた枠部材300の右隣の枠部材300に、左連結部材420と同様に固定されている。また、右連結部材430には、左太陽光パネル510が左連結部材420と右太陽光パネル520との固定構造と同様に固定されている。
【0038】
中間連結部材440は、左連結部材420及び右連結部材430を互いに固定させることにより、左連結部材420に固定された枠部材300と右連結部材430に固定された枠部材300とを互いに固定させる部材である。中間連結部材440は、図4に示すように、左右方向に延び、左右方向に直交する断面に関して矩形の概略形状を有している。中間連結部材440は、下方に開口したコ字形状を有している。中間連結部材440は、天井壁441、前壁442及び後壁(図示なし)を有している。天井壁441には、前後連結部材450との固定に使用される貫通孔441aが形成されている。
【0039】
前壁442には、平面C1に対して互いに対称な配置関係で並んだ貫通孔442a及び442bが形成されている。後壁にも同様に、貫通孔442a及び442bと前後方向に対向する2つの貫通孔が形成されている。前壁442及び後壁の内表面において、その左側部分はそれぞれ左連結部材420の右端部の前壁422及び後壁423の外表面に接触している。前壁442及び後壁の内表面において、その右側部分は、それぞれ右連結部材430の左端部の前壁432及び後壁(図示なし)の外表面に接触している。中間連結部材440の前壁442の貫通孔442a及び左連結部材420の前壁422の貫通孔422cを貫通したボルト465が、左連結部材420の内側に配置されたナット(不図示)との間に中間連結部材440及び左連結部材420を挟み込みつつ、このナットに対して締め付けられている。同様に、中間連結部材440の後壁の貫通孔及び左連結部材420の後壁423の貫通孔を貫通したボルト465が、左連結部材420の内側に配置されたナットとの間に中間連結部材440及び左連結部材420を挟み込みつつ、このナットに対して締め付けられている。これによって、中間連結部材440と左連結部材420とが固定されている。これと同様の方法により、中間連結部材440と右連結部材430とが固定されている。これらによって、一方の枠部材300の右端部と他方の枠部材300の左端部とが固定されている。このようにして、複数の枠部材300が枠体連結構造部400によって互いに連結されており、左右方向に並んだ複数台の太陽光パネルセット500を跨ぐように直線状に延びている。
【0040】
前後連結部材450は、前後方向に並んだ枠部材300を互いに固定させる部材である。前後連結部材450は、図2に示すように、最前列の枠部材300から最後列の枠部材300まで延びている。前後連結部材450は、図4に示すように、前後方向に延び、前後方向と直交する断面に関して矩形の形状を有している。前後連結部材450は右方に開口している。前後連結部材450は、天井壁451、底壁452及び左壁453を有している。底壁452には、前後方向に並んだ複数の貫通孔452aが形成されている。前後連結部材450の底壁452の貫通孔452aと中間連結部材440の天井壁441の貫通孔441aとを貫通したボルト466が、中間連結部材440及び前後連結部材450をナット467との間に挟み込みつつ、ナット467に対して締め付けられている。これによって、前後連結部材450と中間連結部材440が固定されている。同様にして、複数の中間連結部材440が前後連結部材450に固定されることで、枠部材300が前後方向に並行して配置される。
【0041】
パネル連結構造部200は、図1及び図5に示すように、左太陽光パネル510の右端部と右太陽光パネル520の左端部とを固定する構造部である。パネル連結構造部200は、台座210、パネル支持部材220及びパネル挟持部材240を有している。台座210は、下方に開口したコ字形状の部材である。台座210は、枠部材300を前後方向に跨ぐように配置された状態で枠部材300に固定されている。台座210と枠部材300との固定方法には、溶接による方法や、ボルトやナット等を用いた方法の他、どのような方法が採用されてもよい。台座210の左半分の上面は左方に向かうほど下方に配置されるように傾斜している。この部分には左太陽光パネル510の右端部が載せられている。台座210の右半分の上面は右方に向かうほど下方に配置されるように傾斜している。この部分には右太陽光パネル520の左端部が載せられている。
【0042】
台座210にはパネル支持部材220が2組のボルト231及びナット(不図示)により固定されている。パネル支持部材220は、下方に開口したコ字形状の部材である。パネル支持部材220は、台座210を前後方向に跨ぐように配置された状態で台座210に固定されている。
【0043】
パネル挟持部材240は、パネル支持部材220の上方に配置された平板部材である。パネル挟持部材240は、1つのボルト231及び2つのナット232によりパネル支持部材220に固定されている。これにより、パネル挟持部材240は、左太陽光パネル510及び右太陽光パネル520を台座210との間に挟み込みつつ台座210に対して固定されている。
【0044】
以下に、架台1の製造方法及び設置方法について、説明する。まず、図6を参照しつつ、架台1に用いられる枠部材300の製造方法について説明する。S1において、C型鋼310の前壁313の右端部に貫通孔313a及び313bを形成する。同様に後壁314の右端部に貫通孔314bを含む2つの貫通孔を形成する。同様に、前壁313及び後壁314の左端部に、それぞれ2つの貫通孔を形成する。
【0045】
次に、S2において、前壁313の貫通孔313b及び後壁314の貫通孔314bの間に支持材320を配置する(本発明でいう配置工程)。その際、支持材320のナット322aの凹部が貫通孔313bと前後方向に関して対向し、ナット322bの凹部が後壁314の貫通孔314bと前後方向に関して対向するように、支持材320をC型鋼310内に配置する。
【0046】
また、C型鋼310の外側から貫通孔313bを通じて、ナット322aの凹部へと仮ボルト(本発明でいう螺子部材、図示なし)を挿入する(本発明でいう挿入工程)。C型鋼310を仮ボルトとナット322aとの間に挟み込みつつ、仮ボルトをナット322aの螺子山に対して締め付ける。同様に、C型鋼310の外側から貫通孔314bを通じて、ナット322bの凹部へと仮ボルトを挿入する(本発明でいう挿入工程)。C型鋼310を仮ボルトとナット322bとの間に挟み込みつつ、仮ボルトをナット322bの螺子山に対して締め付ける。
【0047】
同様に、C型鋼310の前壁313の貫通孔313a及び後壁314の貫通孔の間に支持材320を配置し、それぞれの貫通孔へと仮ボルトを挿入する。C型鋼310を仮ボルトとナット322a及び322bとの間に挟み込みつつ、仮ボルトをナット322a及び322bの螺子山に対して締め付ける。さらに、同様に、C型鋼310の前壁313及び後壁314の左端部のそれぞれに左右に並んだ2つの貫通孔においても、それぞれ前壁313と後壁314との貫通孔の間に支持材320を設置し、仮ボルトを挿入する。そして、C型鋼310を、前壁313においてはナット322a、後壁314においてはナット322bとの間に挟み込みつつ、仮ボルトをナット322a又は322bの螺子山に対して締め付ける。
【0048】
次に、鉄筋330を支持材320上に配置する。C型鋼310の内部において、棒材331及び332を互いに平行に配置する。
【0049】
次に、S3において、固化前の充填340をC型鋼310内部に充填する(本発明でいう充填工程)。図3に示すように、C型鋼310の天井壁311付近まで充填340を充填する。なお、充填340は、少なくとも鉄筋330がその内部に埋没する程度まで充填されればよい。
【0050】
次に、S4において、充填340が固化するまで、C型鋼310を静置する(本発明でいう固化工程)。
【0051】
次に、S5において、前壁313及び後壁314のそれぞれの貫通孔から仮ボルトを取り外す。このようにして、枠部材300を製造する。製造した枠部材300は現場へ輸送される。
【0052】
続いて、枠部材300を使用して、架台1を建物の屋上に設置し、太陽光パネルセット500をこれに固定する方法を説明する。
【0053】
枠部材300と、左連結部材420及び右連結部材430とを固定する。左連結部材420の左端部と枠部材300のC型鋼310の右端部とを互いの貫通孔を通じて固定することで、左連結部材420と枠部材300とを固定する。左連結部材420の貫通孔422a等は長尺であるため、取り付け位置を調整しつつ、左連結部材420をボルト461でC型鋼310に取り付けていく。なお、ボルト461は仮ボルトとして使用したものでもよい。同様にして、右連結部材430の右端部と、別の枠部材300のC型鋼310の左端部とを固定することで、右連結部材430と枠部材300とを固定する。次に、中間連結部材440と左連結部材420及び右連結部材430とを固定する。この際、左連結部材420の貫通孔422c及び右連結部材430の貫通孔は長尺であるため、取り付け位置を調整しつつ、左連結部材420及び右連結部材430を中間連結部材440に取り付けていく。これを繰り返すことによって、複数の枠部材300を枠体連結構造部400によって互いに連結させる。そして、屋根等の屋上構造物を支持する2本の隣り合う梁600を跨ぐように、連結させた複数の枠部材300によって構成された枠体100を設置する。これを前後方向に関して所定の間隔で繰り返し、複数の枠体100を前後方向に配列させる。そして、枠体100の中間連結部材440同士を前後連結部材450によって固定する。
【0054】
次に、太陽光パネルセット500の前端部及び後端部を、それぞれ枠部材300に固定する。右太陽光パネル520の右前端部と枠部材300の左連結部材420とを固定し、左太陽光パネル510の左前端部と右連結部材430とを固定する。同様にして、右太陽光パネル520の右後端部と別の枠部材300の左連結部材420とを固定し、左太陽光パネル510の左端部と右連結部材430とを固定する。そして、パネル連結構造部200によって左太陽光パネル510の右端部と右太陽光パネル520の左端部とを枠部材300に固定する。同様にして、太陽光パネルセット500を枠部材300に固定していき、複数の太陽光パネルセット500を左右方向に並べていく。さらに、これを前後方向に繰り返すことで、複数の太陽光パネルセット500を前後方向に並べていく。
【0055】
以上のような架台1によると、枠体100は複数台の太陽光パネルセット500を跨ぐように長尺に延びているので、従来技術と比べて荷重が分散しやすい。このため、例えば太陽光パネルごとに固定フレームが設置されると、太陽光パネルと固定フレームによる荷重が屋上の構造物に対して局所的に発生しやすいという、従来の太陽光パネルの設置方法による問題が発生しにくいものとなる。
【0056】
一方で、枠体100が長尺であると、太陽光パネルセット500の荷重が枠体100に曲げ等の変形を発生させる可能性が高まる。仮に、枠体100が変形すると、これによって屋上への枠体100の接触範囲が局所的になり、太陽光パネルセット500及び架台1の荷重がそこに集中するおそれが生じる。これに対し、枠体100のC型鋼310内には充填材340が充填されている。これにより、枠体100の強度が高められている。よって、枠体100の変形が抑制されるため、枠体100の変形による荷重の集中が抑制される。
【0057】
以上により、架台1は、太陽光パネルセット500を含めた荷重を建物の構造物に支持させやすいものとなっている。
【0058】
また、充填340にコンクリートを使用した場合、骨材に偏りが生じ、強度にばらつきが生じるおそれがあるが、充填340にモルタルを使用することにより、このような強度のばらつきが抑制される。
【0059】
また、充填材340の強度を向上させるバインダー材が充填340内に含まれていることで、枠体100全体の強度が向上すると共に、充填材340の経年劣化による破損が抑制される。
【0060】
また、C型鋼310が、その左右方向と直交する断面に関して矩形の形状を有しており、天井壁311に左右方向に延びた開口311cが形成されている。これによると、開口311cを通じてC型鋼310内の水分をC型鋼310外に逃がすことができ、C型鋼310内の水分の凍結や枠体100の腐食による破損が抑制される。
【0061】
また、C型鋼310の前後方向に関して、前壁313及び後壁314のそれぞれから開口311cに向かって突出する前突出部311a及び後突出部311bが形成されている。これによると、C型鋼310内部の充填材340の全体又は一部分がC型鋼310から脱出することが抑制される。
【0062】
また、枠部材300は、充填材340内に埋め込まれた鉄筋330と、充填材340内で鉄筋330を支持する支持材320とを備えており、支持材320が、枠部材300の前後方向に沿って延びている。支持材320の前端が前壁313の内表面に、支持材320の後端が後壁314の内表面に接触している。これによると、鉄筋330により枠体100全体の強度を向上できる。また、支持材320に鉄筋330を適切に支持させることができる。
【0063】
また、C型鋼310の左端部及び右端部のそれぞれに貫通孔が形成されている。例えば、C型鋼310の前壁313に貫通孔313bが、後壁に貫通孔314bが形成されている。また、支持材320は、C型鋼310の前後方向に関して貫通孔313b及び314bと対向する凹部を有するナット322a及び322bを有している。ナット322a及び322bの凹部内に螺子山が形成されている。これらによって、架台1の製造時、C型鋼310内に充填材340を充填する際に、C型鋼310の外側から貫通孔313b等を通じ、仮ボルトで支持材320を適切に支持することができる。また、支持材320がC型鋼310内に設置されている。一方、仮に、ナット322a等がC型鋼310の外部に配置されていると、C型鋼310の側面から側方へと突出した突起物が形成されることになる。このような突起物は、枠部材300の現場への輸送時に他の資材と衝突したり、それ自体が破損したりするおそれを生じる。これに対し、支持材320全体がC型鋼310内に設置されていることで、C型鋼310の側面にこのような突起物が形成されない。
【0064】
また、枠体100が、左右方向に延びた複数の枠部材300と、複数の枠部材300同士を左右方向に関して連結させる枠体連結構造部400とを有している。また、枠体連結構造部400は左連結部材420及び右連結部材430を有している。例えば、左連結部材420には、左右方向に長尺な貫通孔422a及び422bが形成されている。そして、貫通孔422a及び422bをそれぞれ貫通した各ボルト461が枠部材300に対して締め付けられていることで左連結部材420が枠部材300と固定されている。これによると、枠部材300同士を連結させることで枠体100全体の長さを確保できる。また、貫通孔422a等を通じて左連結部材420をボルト461で枠部材300に取り付ける際に、貫通孔422aが長尺であるため、取り付け位置を調整可能である。
【0065】
また、例えば、左連結部材420の天井壁421の上面は、水平面に対して、左方から右方に向かって下方に傾斜した平面に沿っている。右太陽光パネル520はその右前端部付近が、左連結部材420の天井壁421の上面の左端部付近に沿うように配置されている。この部分において、Z型金具462の左部が右太陽光パネル520を天井壁421との間に挟み込み、Z型金具462の右部と天井壁421の上面とがボルト463及びナット464によって固定されている。これによると、右太陽光パネル520を、左連結部材420の上面に沿って傾斜させつつ架台1上に設置できる。
【0066】
また、上記枠部材300の製造方法による利点は以下の通りである。例えば、支持材320の代わりに、比較的長尺な螺子軸に枠体を幅方向に貫通させ、両側方からナットをボルトに取り付けて締め付ける方法も考えられる。しかしながら、この方法によると、両側からナットを締め付けることで枠体や内部の充填材が破損するおそれがある。これに対し、支持材320を用いた上記方法によると、このような締め付けによる破損を生じるおそれがない。
【0067】
架台1を用いて太陽光パネルを設置する方法によると、屋根等の屋上構造物を支持する2本の隣り合う建物の梁600を跨ぐように枠体100を配置している。これによると、太陽光パネルセット500及び架台1自体の荷重を分散できるのみならず、2本の梁600に荷重を適切に支持させることができる。
【0068】
以上のように、本実施形態では、枠体100の強度を向上させる方法として、(1)充填材340(モルタル)の充填、(2)鉄筋330の設置及び(3)充填材340へのバインダー材の添加が採用されている。これらの方法は、枠体100の強度の要求に応じて適宜組み合わせたり省いたりすることが可能である。また、充填材340の配合、鉄筋330における棒材の本数(後述の変形例参照)、バインダー材の種類や量を調整することにより枠体100の強度を調整することも可能である。
【0069】
また、枠体100が複数の枠部材300の連結によって構成されている。このため、太陽光パネルセット500を設置する領域の大きさや梁間の距離に応じて適切な長さの枠体100を構成することが容易である。また、架台1を設置する屋根が変則的な形状を有している場合等、設置環境に適切に対応することも容易である。
【0070】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。以下、上述の実施形態に係る変形例について説明する。また、上述の実施形態と共通の部分については上述と同じ符号を用いると共に、説明を適宜省略する。
【0071】
前記実施形態では、C型鋼310の天井壁311に開口311cが形成されている。しかし、底壁312に開口が形成されていてもよい。これによると、開口が下方に向くので、雨水等が浸入しにくくなる。
【0072】
前記実施形態では、鉄筋330は棒材331及び332を有している。しかし、鉄筋が、棒材331及び332と前後方向に延びる別の棒材とを組み合わせてメッシュ状に形成されていてもよい。
【0073】
前記実施形態では、支持材320は丸パイプ321並びにナット322a及び322bを有している。しかし、支持材320は高ナットであってもよい。高ナットの両端は開口しており、凹部が形成されている。凹部内の両端には、それぞれ螺子山が形成されている。
【0074】
前記実施形態では、C型鋼310の左右方向に直交する断面は、上下方向と比較して前後方向に長尺である。しかし、図7に示すように、C型鋼710の左右方向に直交する断面が、前後方向と比較して上下方向に長尺であってもよい。また、前記実施形態では、鉄筋330は、棒材331及び332を有し、棒材331及び332が支持材320上に配置されている。しかし、図7に示すように、鉄筋730は、棒材731~734を有していてもよい。棒材731及び732は支持材320上に設置されている。棒材733及び734は支持材320の下端に設置されている。この時、棒材733及び734は、支持材320に溶接、結束等で固定されている。また、鉄筋730の棒材は、支持材320の下端にのみ設置されていてもよく、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0075】
左太陽光パネル510及び右太陽光パネル520の設置角度に合わせて、左連結部材及び右連結部材の天井壁の上面の傾斜角度が変更されてもよい。例えば、前記実施形態の図4と比較して、図8に示すように、左連結部材820の天井壁821の上面は、水平面に対して傾斜が急になっていてもよい。また、前記実施形態の図4と比較して、左連結部材の天井壁の上面は、水平面に対して傾斜が緩くなっていてもよい。また、左連結部材の天井壁の上面の傾斜角度と右連結部材の天井壁の上面の傾斜角度とが異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 架台
100 枠体
300 枠部材
310、710 C型鋼
311 天井壁
311a 前突出部
311b 後突出部
311c 開口
313 前壁
313a、313b 貫通孔
314 後壁
314b 貫通孔
320 支持材
322a、322b ナット
330、730 鉄筋
340 充填
420 左連結部材
421、821 天井壁
422 前壁
422a、422b 貫通孔
423 後壁
423b 貫通孔
430 右連結部材
461 ボルト
500 太陽光パネルセット
510 左太陽光パネル
520 右太陽光パネル
【要約】
【課題】太陽光パネルを含めた荷重を建物の構造物に支持させやすい。
【解決手段】架台1は、太陽光パネルセットを支持する枠体を有している。枠体は、左右方向に並んだ複数台の太陽光パネルセットを跨ぐように直線状に延び、2本の隣り合う梁を跨ぐように設置される。枠体における枠部材300のC型鋼内部には、充填が充填されている。充填材はモルタルであることが好ましい。また、充填材内に鉄筋が埋め込まれていたり、バインダー材が含まれていたりすることが好ましい。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8