(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】全固体バッテリー及び全固体バッテリーの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20240510BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240510BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240510BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20240510BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/052
H01M10/0562
H01M10/0585
(21)【出願番号】P 2023560977
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2022004609
(87)【国際公開番号】W WO2022225219
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0052421
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523373474
【氏名又は名称】ベイラブ コープ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ジヒョン セオ
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0104461(KR,A)
【文献】特開2020-95887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058
H01M 10/052
H01M 10/0562
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の電解質フィルムと固体の電極フィルムとを結合して全固体バッテリーを製造する方法であって、
前記電解質フィルムと前記電極フィルムとのそれぞれに金属ホイルが予め付着される段階と、
前記電解質フィルム及び
前記電極フィルムを
、第1圧着ローラー及び第2圧着ローラーを含む一対の圧着ローラーの間に供給する供給段階と、
前記電解質フィルムの一面と前記電極フィルムの一面と
がバッテリーの材料無しに圧着によって互いに付着
される圧着段階と、を含み、
前記電解質フィルムは、
結晶質固体の正規化密度を1と定義するとき、1未満の密度を有する非晶質材料から形成
され、
前記供給段階で、前記第1圧着ローラー及び前記第2圧着ローラーのうち少なくとも一つは、移動ユニットによって、お互いに向かって、またはお互いから遠くへ移動可能であり、
前記供給段階で、前記電解質フィルムと前記電極フィルムとを前記一対の圧着ローラーに向かって案内するための一対のガイドローラーによって、前記電解質フィルムと前記電極フィルムの張力が調節され、
前記圧着段階で、100℃~400℃に加熱された前記一対の圧着ローラーによって、前記電解質フィルムと前記電極フィルムとがお互いに圧着されることを特徴とする、全固体バッテリーの製造方法。
【請求項2】
前記供給段階で、前記電解質フィルムの一面と前記電極フィルムの一面とを互いに向き合う状態で一対の圧着ローラーの間に向けて案内し、
前記圧着段階で、前記電解質フィルムと前記電極フィルムとを前記一対の圧着ローラーの間を通過させながら互いに対して圧着することを特徴とする、請求項
1に記載の全固体バッテリーの製造方法。
【請求項3】
前記圧着段階で、前記一対の圧着ローラーを加熱ユニットによって既設定の温度に加熱することを特徴とする、請求項
2に記載の全固体バッテリーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全固体バッテリー及びその製造方法に関し、具体的には、製造過程においてリチウム層なしに、かつポリマーのような有機電解質なしに製造可能な全固体バッテリー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全固体バッテリーは、電池の正極と負極との間にある電解質を既存の液体から固体に代替したバッテリーを意味する。
【0003】
電解質が液体から製造された一般的な従来のバッテリーでは、正極と負極とが接触する場合、火災が発生する危険がある。しかし、全固体バッテリーは、リチウムイオンが移動する電解質を固体から製造することによって電解質及び電極が常に固定されているので、外乱があっても破損するか爆発することなしに正常作動することができる。
【0004】
一方、全固体バッテリーの材料として、生産性を高めるために、ポリマーを多く使用する。例えば、電解質フィルム(electrolyte film)に電極フィルム(electrode film)を付着することができる。この場合、ポリマーなどの有機物素材を電解質フィルムと電極フィルムとの接着及び成形の目的で使用可能である。
【0005】
例えば、特許文献1は、バッテリー製造において多量の溶媒を使用する湿式工程の問題点を解決するために、溶媒を使用せず、ポリマーを使用する方法を提示している。
【0006】
しかし、接着及び成形の目的でポリマーのような有機電解質素材を使用する場合、イオン伝導率(イオン伝導度)や温度変化に対する安全性が落ちる問題がある。
【0007】
また、従来には、負極の材料として、リチウムからなったフィルムを使用する場合があった。
【0008】
しかし、リチウムフィルム(リチウム層)は酸化しやすいだけでなく、比較的低温で溶けることができるから、製造及び性能維持が容易でない問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前述した問題を解決するためのものであり、リチウム層がない全固体バッテリー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、ポリマーを使用しない全固体バッテリー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
具体的には、本発明は、ポリマーなしでも、固体電解質(または固体電解質フィルム)と電極(または電極フィルム)とを直接付着することができるので、イオン伝導度及び生産性を向上させることができる全固体バッテリー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前述した目的を達成するためのものであり、ポリマーを含まない固体の電解質フィルムと固体の電極フィルムとを結合して全固体バッテリーを製造する方法であって、電解質フィルム及び電極フィルムを供給する供給段階と、前記電解質フィルムの一面と前記電極フィルムの一面とを圧着によって互いに付着する圧着段階とを含み、前記電解質フィルムは既設定の密度を有する非晶質材料から形成することを特徴とする全固体バッテリーの製造方法を提供する。よって、ポリマーなどの有機電解質がなくても、電極フィルムと電解質フィルムとを圧着によって容易に付着することができる。
【0014】
ここで、前記電解質フィルムと同じ材料の結晶質固体の正規化密度(normalized
density)を1と定義するとき、前記電解質フィルムの正規化密度は1未満であることが好ましい。よって、ポリマーなどの有機電解質がなくても、電極フィルムと電解質フィルムとを圧着によって容易に付着することができる。
【0015】
また、前記供給段階で、前記電解質フィルムの一面と前記電極フィルムの一面とを互いに向き合う状態で一対のローラーの間に向けて案内し、前記圧着段階で、前記電解質フィルムと前記電極フィルムとを前記一対のローラーの間を通過させながら互いに圧着させることができる。よって、電極フィルムと電解質フィルムとの連続的な圧着が可能であり、全固体バッテリーの量産が可能である。
【0016】
また、前記圧着段階で、前記一対のローラーを加熱ユニットによって既設定の温度に加熱することができる。よって、電極フィルムと電解質フィルムとの圧着による付着効率を向上させることができる。
【0017】
また、前記供給段階に先立ち、前記電極フィルムの他面と前記電解質フィルムの他面とに金属ホイルをそれぞれ付着する段階をさらに含むことができる。よって、電極フィルムと電解質フィルムのみを圧着によって付着することにより、より容易に全固体バッテリーを量産することができる。
【0018】
本発明は、前述した製造方法によって製造された全固体バッテリーを提供することができる。
【0019】
また、本発明は、電極フィルムと、前記電極フィルムの一面に圧着によって付着される電解質フィルムとを含み、前記電解質フィルムは既設定の密度を有する非晶質材料から形成されることを特徴とする全固体バッテリーを提供する。
【0020】
前記電解質フィルムと同じ材料の結晶質固体の正規化密度を1と定義するとき、前記電解質フィルムの正規化密度は1未満であることが好ましい。
【0021】
前記電解質フィルムの一面と前記電極フィルムの一面とを向き合う状態で一対の圧着ローラーの間を通過させることにより、前記電解質フィルムと前記電極フィルムとを互いに付着することができる。
【0022】
加熱ユニットによって加熱された前記一対の圧着ローラーによって前記電解質フィルムと前記電極フィルムとを互いに付着することができる。
【0023】
前記電極フィルムの他面と前記電解質フィルムの他面とに金属ホイルをそれぞれ付着することができる。
【0024】
前記金属ホイルは、前記電極フィルムの他面に配置された第1金属ホイルと、電解質フィルムの他面に配置された第2金属ホイルとを含むことができる。
【0025】
前記第1金属ホイルは正極集電体として機能し、前記第2金属ホイルは負極集電体として機能するように形成することができる。
【0026】
前記電極フィルムは正極層になることができ、前記電解質フィルムは電解質層になることができる。
【0027】
本発明は、固体の電解質フィルム及び固体の電極フィルムを供給する供給段階と、前記電解質フィルムの一面と前記電解質フィルムの一面と向き合う前記電極フィルムの一面とを圧着によって互いに付着する圧着段階とを含み、前記電解質フィルムは非晶質材料から形成し、前記電解質フィルムと同じ材料の結晶質固体の正規化密度を1と定義するとき、前記電解質フィルムの正規化密度は1未満であることを特徴とする全固体バッテリーの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、リチウム層がない全固体バッテリー及びその製造方法を提供することができる。
【0029】
また、本発明によれば、ポリマーを使用しない全固体バッテリー及びその製造方法を提供することができる。
【0030】
また、本発明によれば、ポリマーなしでも、電解質フィルムと電極フィルムとを直接付着することができるので、イオン伝導度及び生産性を向上させることができる全固体バッテリー及び製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】リチウム層がない全固体バッテリーの概念図である。
【
図2】リチウム層がない全固体バッテリーを製造するための構成の概念図である。
【
図3】リチウム層がない全固体バッテリーの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施例による全固体バッテリーの製造方法を添付図面に基づいて詳細に説明する。添付図面は本発明の例示的な形態を示すものであり、これは本発明をより詳細に説明するために提供するものに過ぎず、これによって本発明の技術的な範囲が限定されるものではない。
【0033】
また、図面番号に関係なく、同一または対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、それについての重複説明は省略し、説明の便宜のために示したそれぞれの構成部材のサイズ及び形状は誇張されるかまたは縮小されていることがある。
【0034】
一方、第1または第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用することができるが、前記構成要素が前記用語によって限定されず、前記用語は一構成要素を他の構成要素と区別する目的のみで使用される。
【0035】
また、本発明の説明において、関連した公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨をあいまいにする可能性があると判断される場合、公知技術に係わる詳細な説明を省略する。
【0036】
【0037】
図1を参照すると、本発明の実施例による全固体バッテリーは、電極フィルム(「正極フィルム」または「正極層」ともいう)11、電解質フィルム(「電解質層」ともいう)12、第1金属ホイル21、及び第2金属ホイル22を含むことができる。
【0038】
前記電極フィルム11、電解質フィルム12、前記第1金属ホイル21、及び前記第2金属ホイル22はいずれも固体から形成することができる。
【0039】
前記電極フィルム11の一面(
図1で、電極フィルムの下面)に前記電解質フィルム12を配置することができる。そして、前記電極フィルム11の他面(
図1で、電極フィルムの上面)に前記第1金属ホイル21を配置することができる。
【0040】
すなわち、前記電極フィルム11の一面に前記電解質フィルム12を付着し、前記電極フィルム11の他面に前記第1金属ホイル21を付着することができる。ここで、電極フィルム11の他面は電極フィルム11の一面と対向する側に配置される面を意味することができる。
【0041】
前記電解質フィルム12の一面(
図1で、電解質フィルムの上面)に前記電極フィルム11を配置することができる。そして、前記電解質フィルム12の他面(
図1で、電解質フィルムの下面)に前記第2金属ホイル22を配置することができる。
【0042】
すなわち、前記電解質フィルム12の一面に前記電極フィルム11を付着し、前記電解質フィルム12の他面に前記第2金属ホイル22を付着することができる。ここで、電解質フィルム12の他面は電解質フィルム12の一面と対向する側に配置される面を意味することができる。
【0043】
前記第1金属ホイル21と前記第2金属ホイル22とは互いに異なる金属から形成することができる。例えば、前記第1金属ホイル21はAl(アルミニウム)などから形成し、前記第2金属ホイル22はCu(銅)、SUS(ステンレス鋼)などから形成することができる。
【0044】
前記第1金属ホイル21は正極集電体(または正極集電極)として機能し、前記第2金属ホイル22は負極集電体(または負極集電極)として機能するように形成することができる。
【0045】
前記電極フィルム11はリチウム化合物から形成することができる。例えば、前記電極フィルム11は、LiCoO2、LiO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiMn2O4、LiFePO4、LiSなどから形成することができる。
【0046】
図1に示すように、全固体バッテリーは別途の負極フィルムを含んでいないが、全固体バッテリーの放電の際、電極フィルム11のリチウムイオンが移動して電解質フィルム12と第2金属ホイル22との間にリチウム層13を形成することができ、このようなリチウム層13が負極として機能することができる。反対に、全固体バッテリーの充電の際は、リチウム層13のリチウムイオンが電極フィルム11に再び移動し、リチウム層13がなくなる。
【0047】
このように、本発明によれば、全固体バッテリーの製造過程において、リチウムフィルム(またはリチウム層)を別に備えなくても、全固体バッテリーの作動過程で電極フィルムに含まれたリチウムイオンの移動によって負極としてのリチウム層を形成することができる。
【0048】
すなわち、酸化しやすいだけでなく、比較的低温で溶けることができるリチウムフィルム(リチウム層)を全固体バッテリーの製造過程で別に備える必要がないので、全固体バッテリーを容易に製作することができ、大量生産することができる。
【0049】
電解質(electrolyte)として全固体電解質(solid-state electrolyte)は、無機質固体電解質、固体高分子電解質、複合高分子電解質などに区分することができる。
【0050】
固体高分子電解質は、高分子(ポリマー)鎖を介してイオンを伝導する高分子ホスト物質の無溶媒性塩溶液である。溶媒キャスト法(solution casting)によって製造しやすいので、大規模の製造工程に適しているが、ポリマーを使用するから、イオン伝導度が無機質固体電解質よりも低く、速度が低くて高速充電に制限的である。
【0051】
複合高分子電解質は、高分子(ポリマー)溶液内に粒子を添加することによって複合高分子電解質になることができる。複合高分子電解質もポリマーを使用することによる低いイオン伝導度の問題がある。
【0052】
これとは違い、無機質固体電解質の場合、結晶体または遊離状態の無機質から構成され、格子を通しての拡散によってイオンが伝導される。無機質固体電解質は、高いイオン伝導性、高い強度(GPa水準)、高い伝送数の利点がある。
【0053】
本発明の実施例によれば、前記電解質フィルム12は無機質固体電解質から形成することができる。また、例えば、前記電解質フィルム12は酸化物固体電解質または硫化物固体電解質から形成することができる。
【0054】
このように、前記電解質フィルム12がポリマーを含まないことにより、イオン伝導性の良好な全固体バッテリーを提供することができる。
【0055】
一方、ポリマーは、電極フィルムと電解質フィルムとの付着のためのバインダー材料として使用することができる。しかし、前述したように、ポリマーを使用する場合、イオン伝導性が低下することがある。
【0056】
本発明によれば、ポリマーを使用しなくても、電極フィルム11と電解質フィルム12とを圧着によって互いに付着することができる。
【0057】
具体的には、前記電解質フィルム12は非晶質材料から形成することができる。すなわち、前記電解質フィルム12は非晶質固体から形成することができる。よって、電解質フィルム12と電極フィルム11との圧着によって電解質フィルム12と電極フィルム11とを互いに付着することができる。
【0058】
特に、前記電解質フィルム12と同じ材料から形成された結晶質固体の正規化密度(δ)を1と定義するとき、前記電解質フィルム12の正規化密度は1未満になることが好ましい。すなわち、前記電解質フィルム12の正規化密度は0よりは大きく1よりは小さくなることができる。ここで、正規化密度は、同じ材料の結晶質固体の密度と非晶質固体の密度とを比較するために定義される数である。
【0059】
すなわち、熱力学的安定範囲外の低温で形成された非晶質の場合、原子間の距離が安定距離以上になる密度(すなわち、1より小さい正規化密度)を有することができる。すなわち、低密度の非晶質固体の合成が可能である。このような低密度の非晶質固体の合成については既に公知となっているので、これについての具体的な説明は省略する。
【0060】
前記電解質フィルム12を低密度の非晶質材料(非晶質固体)から形成するので、電解質フィルム12と電極フィルム11とをポリマーなどの有機電解質がなくとも圧着によって互いに付着することができる。
【0061】
以下、他の図面を参照して、電解質フィルム12と電極フィルム11とを圧着によって付着する構成について説明する。
【0062】
図2はリチウム層がない全固体バッテリーを製造するための構成の概念図である。具体的には、
図2は全固体バッテリーの電解質フィルムと電極フィルムとを圧着によって付着する過程を示す図である。
【0063】
図2を参照すると、本発明は、前述した電極フィルム11と電解質フィルム12との付着のために、一対の圧着ローラー41、42を含む。一対の圧着ローラー41、42は、第1圧着ローラー41と、前記第1圧着ローラー41から既設定の間隔で離隔した第2圧着ローラー42とを含むことができる。
【0064】
図示されていないが、前記第1圧着ローラー41及び前記第2圧着ローラー42のうちの少なくとも一つは相対に近づくかまたは相対から遠ざかるように別途の移動ユニットに結合されることができる。一対の圧着ローラー41、42の間の距離は、一対の圧着ローラー41、42の間に進入する電極フィルム11及び電解質フィルム12の厚さ及び圧着強度を考慮して決定することができる。
【0065】
前記電解質フィルム12の一面と前記電極フィルム11の一面とを向き合う状態で前記一対の圧着ローラー41、42の間に向けて案内することができる。図示の実施例で、第1圧着ローラー41は電極フィルム11の上側に配置し、第2圧着ローラー42は電解質フィルム12の下側に配置することができる。
【0066】
本発明は、前記電極フィルム11と前記電解質フィルム12とを前記一対の圧着ローラー41、42の間に向けて案内するための一対のガイドローラー31、32をさらに含むことができる。
【0067】
前記一対のガイドローラー31、32は、前記電極フィルム11を前記一対の圧着ローラー41、42の間に向けて案内するための第1ガイドローラー31と、前記電解質フィルム12を前記一対の圧着ローラー41、42の間に向けて案内するための第2ガイドローラー32とを含む。
【0068】
前記一対のガイドローラー31、32は、移動ユニット(図示せず)によって上下方向及び左右方向のうちの少なくとも一方に移動することができるように形成することができる。前記一対のガイドローラー31、32の移動によって前記電極フィルム11及び前記電解質フィルム12の張力を調節することができる。例えば、前記一対のガイドローラー31、32によって前記電極フィルム11及び前記電解質フィルム12の張力を既設定の張力に維持することができる。
【0069】
前記電極フィルム11と前記電解質フィルム12とは、前記一対の圧着ローラー41、42の間を通過する過程で、互いに対して圧着することができる。そして、前記電極フィルム11の一面及び前記電解質フィルム12の一面(すなわち、前記電極フィルム11と前記電解質フィルム12とが向き合う面)は圧着によって互いに付着することができる。
【0070】
前述したように、電解質フィルム12を既設定の密度の非晶質材料から形成するので、ポリマーなどの有機電解質がなくても、電極フィルム11の一面を電解質フィルム12の一面に圧着によって付着することができる。
【0071】
また、電極フィルム11と電解質フィルム12との付着効率を高めるために、前記一対の圧着ローラー41、42を加熱ユニット(図示せず)によって既設定の温度に加熱することができる。例えば、前記一対の圧着ローラー41、42は100℃~400℃に加熱することができる。これは、既設定の温度が100℃未満の場合、付着効率の改善が小さいことがあり、400℃を超える場合、電極フィルム11及び前述した金属ホイル21、22が酸化または劣化して損傷することがあるからである。
【0072】
前記電極フィルム11の他面と前記電解質フィルム12の他面とに前述した金属ホイル21、22が付着した状態で、前記電極フィルム11と前記電解質フィルム12とを前記一対の圧着ローラー41、42の間に供給することができる。
【0073】
すなわち、前記電極フィルム11と前記電解質フィルム12とを前記一対の圧着ローラー41、42の間に供給するに先立ち、前記電極フィルム11の他面に第1金属ホイル21を予め付着し、前記電解質フィルム12の他面に第2金属ホイル22を予め付着することができる。
【0074】
したがって、第1金属ホイル21が付着された電極フィルム11と第2金属ホイル22が付着された電解質フィルム12とを一対の圧着ローラー41、42によって連続的に圧着することで、全固体バッテリー50の連続的な製造及び量産が可能になる。
【0075】
以下、他の図面をもっと参照して、本発明による全固体バッテリーの製造方法について説明する。
【0076】
図3はリチウム層がない全固体バッテリーの製造方法のフローチャートである。以下、全固体バッテリーの製造方法を説明するにあたり、
図1及び
図2に基づいて説明した全固体バッテリーの構成及び特徴を全固体バッテリーの製造方法にも同様に適用することができるというのは明らかである。
【0077】
また、本発明による全固体バッテリーの製造方法において、全固体バッテリーの構成要素はリチウムフィルム(リチウム層)及びポリマーを含まなくてもよく、全固体バッテリーは固体の電解質フィルムと固体の電極フィルムとを結合して製造することができる。
【0078】
図1~
図3を一緒に参照すると、本発明による全固体バッテリーの製造方法は、電解質フィルム12及び電極フィルム11を供給する供給段階(S20)と、電解質フィルム12と電極フィルム11とを付着する圧着段階(S30)とを含むことができる。
【0079】
前記供給段階(S20)では、電解質フィルム12及び電極フィルム11を供給することができる。ここで、前記電解質フィルム12の一面と前記電極フィルム11の一面とが向き合う状態で供給することができる。前記電解質フィルム12の一面及び前記電極フィルム11の一面は互いに対向する側面であり、付着対象面に相当する。
【0080】
前記圧着段階(S30)では、前記電解質フィルム12の一面と前記電極フィルム11の一面とを圧着によって互いに付着することができる。
【0081】
特に、前記電解質フィルム12は、既設定の密度を有する非晶質材料から形成することが好ましい。よって、ポリマーなどの有機電解質がなくても、電極フィルム11の一面を対向する電解質フィルム12の一面に圧着によって容易に付着することができる。
【0082】
例えば、前記電解質フィルム12と同じ材料の結晶質固体の正規化密度を1と定義するとき、前記電解質フィルム12の正規化密度は1未満であることが好ましい。このような電解質フィルム12の特性により、電極フィルム11の一面を対向する電解質フィルム12の一面に圧着によって容易に付着することができる。ポリマーを使用しないので、イオン伝導性(イオン伝導率)の低下を防止することができる。
【0083】
具体的には、前記供給段階(S20)で、前記電解質フィルム12の一面と前記電極フィルム11の一面とが向き合う状態で一対の圧着ローラー41、42の間に向けて案内することができる。すなわち、前記電解質フィルム12及び前記電極フィルム11を長手方向に沿って前記一対の圧着ローラー41、42の間に連続的に案内することができる。
【0084】
前記供給段階(S20)では、一対のガイドローラー31、32によって、前記電極フィルム11及び前記電解質フィルム12を前記一対の圧着ローラー41、42の間に向けて案内することができる。また、前記一対のガイドローラー31、32の位置移動によって前記電極フィルム11及び前記電解質フィルム12の張力を好ましい張力範囲内に調節することができる。
【0085】
圧着段階(S30)で、前記電解質フィルム12と前記電極フィルム11とを前記一対の圧着ローラー41、42の間を通過させながら互いに対して押圧して圧着することができる。すなわち、前記電解質フィルム12と前記電極フィルム11とを長手方向に沿って前記一対の圧着ローラー41、42を連続的に通過させながら連続的に互いに圧着することができる。
【0086】
したがって、前記電解質フィルム12と前記電極フィルム11との圧着によって全固体バッテリーを容易に大量生産することができる。
【0087】
前記圧着段階(S30)で、前記一対の圧着ローラー41、42は加熱ユニット(図示せず)によって既設定の温度に加熱することができる。前記一対の圧着ローラー41、42の加熱温度は前述した通りであり、一対の圧着ローラー41、42の加熱によって、前記電解質フィルム12と前記電極フィルム11との圧着による付着効率を向上させることができる。
【0088】
本発明による全固体バッテリーの製造方法は、前記供給段階(S20)に先立ち、前記電極フィルム11の他面と前記電解質フィルム12の他面とに金属ホイル21、22をそれぞれ付着する段階(S10)をさらに含むことができる。ここで、電極フィルム11の他面及び電解質フィルム12の他面は互いに対して遠い側面であり、前述した一面の反対側面を意味することができる。
【0089】
具体的には、前記供給段階(S20)に先立ち、前記電極フィルム11の他面に第1金属ホイル21を予め付着することができ、前記電解質フィルム12の他面に第2金属ホイル22を予め付着することができる。
【0090】
したがって、前記電極フィルム11及び電解質フィルム12のみを連続的な圧着によって付着することで、より容易に全固体バッテリーを量産することができる。
【0091】
以上で説明した本発明の好適な実施例は例示の目的のために開示したものであり、本発明に係わる通常の知識を有する当業者であれば本発明の思想及び範囲内で多様な修正、変更、付加が可能であり、このような修正、変更及び付加は下記の特許請求の範囲に属するものと見なさなければないであろう。
【符号の説明】
【0092】
11 電極フィルム
12 電解質フィルム
21 第1金属ホイル
22 第2金属ホイル
31 第1ガイドローラー
32 第2ガイドローラー
41 第1圧着ローラー
42 第2圧着ローラー
50 全固体バッテリー