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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】汎用パレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/12 20060101AFI20240510BHJP
B65D 6/22 20060101ALI20240510BHJP
B65D 19/06 20060101ALI20240510BHJP
B65D 19/38 20060101ALI20240510BHJP
【ＦＩ】
B65D19/12 A
B65D6/22
B65D19/06
B65D19/38 Z
【請求項の数】
7
(21)【出願番号】P 2024016452
(22)【出願日】2024-02-06
【審査請求日】2024-02-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524051184
【氏名又は名称】有限会社坂本材木梱包
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 達夫
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開２００４－２５００６７（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０００－２５５５６８（ＪＰ，Ａ）
【文献】実開平７－１１５３６（ＪＰ，Ｕ）
【文献】実開昭５５－１７０２４１（ＪＰ，Ｕ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｂ６５Ｄ １９／１２
Ｂ６５Ｄ ６／２２
Ｂ６５Ｄ １９／０６
Ｂ６５Ｄ １９／３８
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を積載する床面を有すると共にフォークリフトの爪が差し込まれるフォーク爪差込路を有する平板な四角形状のパレット台で形成された平パレットと、前記パレット台上の４隅にポールが立設されたポールラック型パレットと、前記パレット台上の周縁に４枚の囲い板が立設されて箱形状に形成されたボックスラック型パレットとに汎用可能な汎用パレットであって、前記パレット台の４隅に垂直方向にそれぞれ形成され、前記ポールを立設させるために前記ポールの基端部を挿入するポール立設路と、
前記パレット台の４辺のそれぞれの辺に沿って前記ポール立設路の上端部から連通した径路として水平方向にそれぞれ形成され、前記ポールが倒れた状態で収納されるポール収納溝と、
前記パレット台の４隅にそれぞれ設けられ、前記ポールを前記ポール立設路と前記ポール収納溝との間で倒立自在に前記パレット台に支持する倒立機構と、
前記パレット台の側面に挿入口が形成され、前記４枚の囲い板を前記パレット台内に収納する囲い板収納路と、
前記パレット台の４隅にそれぞれ立設された前記ポール同士の間に前記４枚の囲い板をそれぞれ着脱する着脱機構と、を有することを特徴とする汎用パレット。
【請求項2】
前記倒立機構は、前記ポール立設路を形成すると共に前記ポールの倒れ方向に側面を有しない横断面コ字状のポール立設路部材と、
前記ポール立設路部材の対向する側面に対向してそれぞれ形成され、前記ポールを立設する垂直方向に穿設された垂直状長孔及び前記垂直状長孔の上端から連続して前記ポール収納溝の水平方向に穿設された短尺な水平状長孔からなる逆Ｌ字状の一対の倒立ガイド用長孔と、
前記ポールの基端部を水平方向に貫通した両端部が前記一対の倒立ガイド用長孔に掛け渡され、前記ポールの倒立に連動して前記倒立ガイド用長孔に沿ってスライド自在なスライド棒と、でなる請求項１に記載の汎用パレット。
【請求項3】
前記ポールの基端部を水平方向に貫通する貫通孔は、前記倒立ガイド用長孔の前記垂直状長孔に対応して形成されると共に前記垂直状長孔よりも短尺な立設補助長孔として形成されている請求項２に記載の汎用パレット。
【請求項4】
前記ポールの下面には凹部が形成されていると共に前記ポール立設路の底面には前記凹部に着脱自在に嵌合する凸部が形成されている請求項１から３の何れか1項に記載の汎用パレット。
【請求項5】
前記ポールが前記ポール収納溝に収納された状態で前記パレット台の前記床面に面一になるように前記ポールと前記ポール収納溝とのサイズ関係が形成されている請求項１から３の何れか1項に記載の汎用パレット。
【請求項6】
前記着脱機構は、前記ポールと前記囲い板の一方にフックが設けられると共に他方にフック孔が設けられ、フックとフック孔とが係合する係合手段である請求項１から３の何れか1項に記載の汎用パレット。
【請求項7】
前記４枚の囲い板を挿入する前記囲い板収納路は前記パレット台の直交方向にそれぞれ形成されていると共に形成された一対の囲い板収納路は収納路の底面高さが異なる段差を有する請求項１から３の何れか1項に記載の汎用パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用パレットに係り、特に平パレット、ポールラック型パレット、ボックスラック型パレットと、に汎用可能な汎用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
トラック等の各種の輸送手段によって各種の物品を搬送する際には、パレットを用いて輸送手段へ積載したり積み下ろしたりする。また、各種の物品をパレットに積載した状態で倉庫等に段積み保管する際にも使用される。
【0003】
従来のパレットは平板な四角形状のパレット台で形成された平パレットが一般的に使用される（例えば特許文献１）。しかし、平パレットは、積載した物品の積載上面が平面にならないような物品の場合、パレットを段積み（例えば２段以上）ができないため、効率的に輸送したり保管したりすることができない。このため、パレット台上の４隅にポール（ポストとも言う)が立設されたポールラック型パレット（ポストパレットとも言う）が使用される（例えば特許文献２）。
また、平パレットは、積載する物品の形状や大きさ等の形態が一定ではない場合、荷崩れしないように積載することは難しいため、平パレットを使用できない。このため、パレット台上の周縁に４枚の囲い板が立設されて箱形状に形成されたボックスラック型パレットが使用され、囲い板が網の場合は網パレット（例えば特許文献３）という。
また、平パレットは、積載する物品の形状や大きさ等の形態が一定ではない場合、荷崩れしないように積載することは難しいため、平パレットを使用できない。このため、パレット台上の周縁に４枚の囲い板が立設されて箱形状に形成されたボックスラック型パレットが使用され、囲い板が網の場合は網パレット（例えば特許文献３）という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開２０１７－１７８３５５号公報
【文献】特開２０１３－１４３３３号公報
【文献】特開２０２３－３７７０３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各種の形態の物品の搬送や保管のために、平パレット、ポールラック型パレット、ボックスラック型パレットの３種類のパレットを予め備えておくことはコスト面において高くなるだけでなく、パレットを保管しておくための広いスペースも確保しなくてはならないという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、積載する物品の各種の形態に応じて１つのパレットで平パレット、ポールラック型パレット、ボックスラック型パレットに簡単且つ迅速に組み替えすることができる汎用パレットを提供することを目的とする。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、積載する物品の各種の形態に応じて１つのパレットで平パレット、ポールラック型パレット、ボックスラック型パレットに簡単且つ迅速に組み替えすることができる汎用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の汎用パレットは目的を達成するために、物品を積載する床面を有すると共にフォークリフトの爪が差し込まれるフォーク爪差込路を有する平板な四角形状のパレット台で形成された平パレットと、パレット台上の４隅にポールが立設されたポールラック型パレットと、パレット台上の周縁に４枚の囲い板が立設されて箱形状に形成されたボックスラック型パレットとに汎用可能な汎用パレットであって、パレット台の４隅に垂直方向にそれぞれ形成され、ポールを立設させるために前記ポールの基端部を挿入するポール立設路と、パレット台の４辺のそれぞれの辺に沿ってポール立設路の上端部から連通した径路として水平方向にそれぞれ形成され、ポールが倒れた状態で収納されるポール収納溝と、パレット台の４隅にそれぞれ設けられ、ポールをポール立設路とポール収納溝との間で倒立自在にパレット台に支持する倒立機構と、パレット台の側面に挿入口が形成され、４枚の囲い板をパレット台内に収納する囲い板収納路と、前記パレット台の４隅にそれぞれ立設された前記ポール同士の間に前記４枚の囲い板をそれぞれ着脱する着脱機構と、を有することを特徴とする。
ここで、垂直方向及び水平方向とはパレット台を平坦場所に置いた状態での方向を言う。
ここで、垂直方向及び水平方向とはパレット台を平坦場所に置いた状態での方向を言う。
【0007】
本発明によれば、パレット台上の４隅にポールを立設させるポール立設路を形成し、パレット台の４辺のそれぞれの辺に沿ってポールを倒れた状態で収納するポール収納溝を形成し、パレット台の４隅に設けた倒立機構によってポールがポール立設路とポール収納溝との間で倒立自在なようにパレット台にポールを支持するようにした。
これによって、ポールをポール収納溝に収納している状態では、平パレットとして使用でき、ポールをポール立設路に挿入している状態では、ポールラック型パレットとして使用できる。しかも、倒立機構によってポール収納溝に収納されているポールを立てるだけで自動的にポールの基端部がポール立設路に挿入して立設されるので、平パレットからポールラック型パレットに簡単且つ迅速に組み替えることができる。逆に、ポールラック型パレットから平パレットに組み替える場合にも簡単且つ迅速に組み替えることができる。
これによって、ポールをポール収納溝に収納している状態では、平パレットとして使用でき、ポールをポール立設路に挿入している状態では、ポールラック型パレットとして使用できる。しかも、倒立機構によってポール収納溝に収納されているポールを立てるだけで自動的にポールの基端部がポール立設路に挿入して立設されるので、平パレットからポールラック型パレットに簡単且つ迅速に組み替えることができる。逆に、ポールラック型パレットから平パレットに組み替える場合にも簡単且つ迅速に組み替えることができる。
【0008】
更に、ポールはパレット台の倒立機構に支持されているので、ポールが紛失してしまうこともない。
【0009】
また、パレット台の側面に４枚の囲い板をパレット台内に収納する囲い板収納路を形成し、立設された４本のポール同士の間に着脱機構によって４枚の囲い板をそれぞれ着脱するようにした。これによって、ポールラック型パレットをボックスラック型パレットに簡単且つ迅速に組み替えることができる。逆に、ボックスラック型パレットをポールラック型パレットに簡単且つ迅速に組み替えることができる。
また、４枚の囲い板はパレット台内に予め収納されているので、組み替えの更なる迅速化を図ることができると共に、囲い板が紛失することもない。
また、４枚の囲い板はパレット台内に予め収納されているので、組み替えの更なる迅速化を図ることができると共に、囲い板が紛失することもない。
【0010】
本発明の態様として、倒立機構は、ポール立設路を形成すると共にポールの倒れ方向に側面を有しない横断面コ字状のポール立設路部材と、ポール立設路部材の対向する側面に対向してそれぞれ形成され、ポールを立設する垂直方向に穿設された垂直状長孔及び垂直状長孔の上端から連続してポール収納溝の水平方向に穿設された短尺な水平状長孔からなる逆Ｌ字状の一対の倒立ガイド用長孔と、ポールの基端部を水平方向に貫通した両端部が一対の倒立ガイド用長孔に掛け渡され、ポールの倒立に連動して倒立ガイド用長孔に沿ってスライド自在なスライド棒と、からなることが好ましい。
【0011】
このように、ポールを水平方向に貫通するスライド棒を２本の倒立ガイド用長孔に掛け渡して倒立機構を構成する場合、倒立ガイド用長孔を垂直状長孔と垂直状長孔の上端から連続してポール収納溝の方向に延びた短尺な水平状長孔とで構成するようにした。この場合、垂直状長孔のみでは、ポールを倒立させる際にポールの底部とポール立設路部材とが干渉し合ってポールのスムーズな倒立動作を行うことができない。
一方、本発明のように水平状長孔があることによってポールの底部がポール収納溝部材と干渉する際の逃げ道になり、ポールをスムーズに倒立させることができる。
一方、本発明のように水平状長孔があることによってポールの底部がポール収納溝部材と干渉する際の逃げ道になり、ポールをスムーズに倒立させることができる。
【0012】
本発明の態様として、ポールの基端部を水平方向に貫通する貫通孔は、倒立ガイド用長孔の前記垂直状長孔に対応して形成されると共に垂直状長孔よりも短尺な立設備補助長孔として形成されていることが好ましい。
【0013】
これにより、ポールの倒立動作の際に、スライド棒に遊びができるので、ポールを更にスムーズに倒立動作させることができる。
【0014】
本発明の態様として、ポールの下面には凹部が形成されていると共にポール立設路の底面には凹部に着脱自在に嵌合する凸部が形成されていることが好ましい。これにより、ポールをポール立設路に立設させたときに、ポールがぐらつかないように強固に立設することができる。
本発明の態様として、ポールがポール収納溝に収納された状態でパレット台の床面に面一になるようにポールとポール収納溝とのサイズ関係が形成されていることが好ましい。これにより、平パレットとして使用する際に、パレット台の上面全体を物品の積載スペースとして使用でき、積載効率が向上する。
本発明の態様として、ポールがポール収納溝に収納された状態でパレット台の床面に面一になるようにポールとポール収納溝とのサイズ関係が形成されていることが好ましい。これにより、平パレットとして使用する際に、パレット台の上面全体を物品の積載スペースとして使用でき、積載効率が向上する。
【0015】
本発明の態様として、着脱機構は、ポールと囲い板の一方にフックが設けられると共に他方にフック孔が設けられ、フックとフック孔とが係合する係合手段であることが好ましい。これにより、ポールと囲い板を係合手段で係合するのみで、ポール同士の間に囲い板を簡単且つ迅速に着脱できる。
本発明の態様として、４枚の囲い板を挿入する囲い板収納路はパレット台の直交方向にそれぞれ形成されていると共に形成された一対の囲い板収納路は収納路の底面高さが異なる段差を有することが好ましい。これにより、それぞれの囲い板収納路から直交方向に囲い板を挿入しても直交中心部で干渉し合うことがないので、スムーズに挿入することができる。また、囲い板を直交方向に収納することでパレット台のバランスに偏りが生じ難い。この場合、段差の高さとしては、一方の囲い板収納路に２枚の囲い板を挿入し、他方の囲い板収納路に２枚の囲い板を挿入しても干渉しない程度とする。
本発明の態様として、４枚の囲い板を挿入する囲い板収納路はパレット台の直交方向にそれぞれ形成されていると共に形成された一対の囲い板収納路は収納路の底面高さが異なる段差を有することが好ましい。これにより、それぞれの囲い板収納路から直交方向に囲い板を挿入しても直交中心部で干渉し合うことがないので、スムーズに挿入することができる。また、囲い板を直交方向に収納することでパレット台のバランスに偏りが生じ難い。この場合、段差の高さとしては、一方の囲い板収納路に２枚の囲い板を挿入し、他方の囲い板収納路に２枚の囲い板を挿入しても干渉しない程度とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の汎用パレットによれば、積載する物品の各種の形態に応じて１つのパレットで平パレット、ポールラック型パレット、ボックスラック型パレットに簡単且つ迅速に組み替えすることができる。
したがって、平パレット、ポールラック型パレット、ボックスラック型パレットの３種類のパレットを予め備えておく必要がないので、コストを抑えることができるだけでなく、パレットを保管しておくための広いスペースも必要ない。
したがって、平パレット、ポールラック型パレット、ボックスラック型パレットの３種類のパレットを予め備えておく必要がないので、コストを抑えることができるだけでなく、パレットを保管しておくための広いスペースも必要ない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態の汎用パレットの全体を示す斜視図で、平パレット１０Ａとして使用する場合
【図2】ポールが収納されるポール収納溝の構造を主として説明する上層フレームの斜視図
【図3】囲い板を収納する囲い板収納路の構造を主として説明する中間層フレームの斜視図
【図4】フォークリフトの爪が差し込まれるフォーク爪差込路の構造を主として説明する下層フレームの斜視図
【図5】ポールを倒立する倒立機構の説明図
【図6】ポールとスライド棒との構造を主として説明する説明図
【図7】４本のポールを立設して平パレットからポールラック型パレットに組み替えた斜視図
【図8】囲い板及び囲い板に設けられたフックを説明する説明図
【図9】ポールラック型パレットからボックスラック型パレットに組み替えた斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面にしたがって本発明の汎用パレットの好ましい実施の形態について説明する。
本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。したがって、以下に説明する本発明の実施の形態の汎用パレットは一例であり、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。したがって、以下に説明する本発明の実施の形態の汎用パレットは一例であり、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0019】
［汎用パレットの全体構成］
本発明の実施の形態の汎用パレット１０は、物品（図示せず）を積載する床板３０を有すると共にフォークリフト（図示せず）の２本の爪（図示せず）が差し込まれるフォーク爪差込路１２を有する平板な四角形状のパレット台１４として形成された平パレット１０Ａと、パレット台１４上の４隅にポール１６が立設されたポールラック型パレット１０Ｂと、パレット台１４上の周縁に４枚の囲い板１９が立設されて箱形状に形成されたボックスラック型パレット１０Ｃとに組み替えることによって、汎用可能なパレットとして形成されたものである。
また、本発明の実施の形態の汎用パレット１０は、材質の一例として鉄製の場合で説明するため、部材同士の固定、接続、取り付け等については特に説明しないが溶接によって行うこととする。なお、固定、接続、取り付けができる方法であればよく、溶接に限定するものではなく、ビスや溶接とビスとの組み合わせ等でもよい。
本発明の実施の形態の汎用パレット１０は、物品（図示せず）を積載する床板３０を有すると共にフォークリフト（図示せず）の２本の爪（図示せず）が差し込まれるフォーク爪差込路１２を有する平板な四角形状のパレット台１４として形成された平パレット１０Ａと、パレット台１４上の４隅にポール１６が立設されたポールラック型パレット１０Ｂと、パレット台１４上の周縁に４枚の囲い板１９が立設されて箱形状に形成されたボックスラック型パレット１０Ｃとに組み替えることによって、汎用可能なパレットとして形成されたものである。
また、本発明の実施の形態の汎用パレット１０は、材質の一例として鉄製の場合で説明するため、部材同士の固定、接続、取り付け等については特に説明しないが溶接によって行うこととする。なお、固定、接続、取り付けができる方法であればよく、溶接に限定するものではなく、ビスや溶接とビスとの組み合わせ等でもよい。
【0020】
図１に示すように、本発明の実施の形態の汎用パレット１０は、主として、平パレット１０Ａをポールラック型パレット１０Ｂに組み替える際に、パレット台１４の４隅にポール１６を垂直方向に立設するためのポール立設路１８（図５参照）と、ポール１６を水平方向に倒して収納するポール収納溝２０と、ポール１６を倒立自在にパレット台１４に支持する倒立機構２２と、ポールラック型パレット１０Ｂをボックスラック型パレット１０Ｃに組み替える際に囲い板１９をパレット台１４の内部から取り出したり収納したりするための囲い板収納路２４と、ポール１６同士の間に囲い板１９を着脱する着脱機構２６（図６から図９参照）とで構成される。
なお、図１は、本発明の実施の形態の汎用パレット１０の全体を示す斜視図で、平パレット１０Ａとして使用する場合であり、４枚の囲い板１９は想像線Ｍで示すように、囲い板収納路２４に挿入されてパレット台１４の内部に収納された状態で使用される。
そして、本実施の形態の汎用パレット１０では、平パレット１０Ａとポールラック型パレット１０Ｂとボックスラック型パレット１０Ｃとの間で組み替えるためのパレット台１４の構造を説明し易いように、パレット台１４を、ポール１６が収納されるポール収納溝２０を有する上層フレーム１４Ａと、囲い板１９が収納される囲い板収納路２４を有する中間層フレーム１４Ｂと、フォークリフトの爪が差し込まれるフォーク爪差込路１２を有する下層フレーム１４Ｃとの３つの層構成に分けて説明する。但し、パレット台１４を上記の３層構成の構造に限定するものではなく、本発明の範囲を逸脱しないのであれば、他の構造を採用することができる。
図２は、ポール１６が収納されるポール収納溝２０の構造を主として説明する上層フレーム１４Ａの斜視図である。図３は、主として囲い板１９を収納する囲い板収納路２４の構造を説明する中間層フレーム１４Ｂの斜視図である。図４は、主としてフォークリフトの爪が差し込まれるフォーク爪差込路１２の構造を主として説明する下層フレーム１４Ｃの斜視図である。
なお、図１は、本発明の実施の形態の汎用パレット１０の全体を示す斜視図で、平パレット１０Ａとして使用する場合であり、４枚の囲い板１９は想像線Ｍで示すように、囲い板収納路２４に挿入されてパレット台１４の内部に収納された状態で使用される。
そして、本実施の形態の汎用パレット１０では、平パレット１０Ａとポールラック型パレット１０Ｂとボックスラック型パレット１０Ｃとの間で組み替えるためのパレット台１４の構造を説明し易いように、パレット台１４を、ポール１６が収納されるポール収納溝２０を有する上層フレーム１４Ａと、囲い板１９が収納される囲い板収納路２４を有する中間層フレーム１４Ｂと、フォークリフトの爪が差し込まれるフォーク爪差込路１２を有する下層フレーム１４Ｃとの３つの層構成に分けて説明する。但し、パレット台１４を上記の３層構成の構造に限定するものではなく、本発明の範囲を逸脱しないのであれば、他の構造を採用することができる。
図２は、ポール１６が収納されるポール収納溝２０の構造を主として説明する上層フレーム１４Ａの斜視図である。図３は、主として囲い板１９を収納する囲い板収納路２４の構造を説明する中間層フレーム１４Ｂの斜視図である。図４は、主としてフォークリフトの爪が差し込まれるフォーク爪差込路１２の構造を主として説明する下層フレーム１４Ｃの斜視図である。
【0021】
（上層フレーム）
図２に示すように、パレット台１４を構成する上層フレーム１４Ａは、ポール１６を収納するポール収納溝２０を形成する４つのポール収納溝部材２８を、パレット台１４に物品を積載する積載面サイズに四角筒状に配置する。そして、４つのポール収納溝部材２８を十字状の連結板２９で連結し、その上に矢印Ｓのように床板３０を敷設して固定することにより形成される（図１参照）。但し、床板３０は、図２に示すように、４個のポール収納溝２０に対応するポール収納溝部分２０Ａ、及び倒立機構２２が取り付けられる際に必要な４箇所の第１のスリット３２に対応する第１のスリット部分３２Ａは塞がれない形状をしている。
また、ポール収納溝部材２８の高さはポール１６を水平方向に倒してポール収納溝２０に収納したときに、正四角柱であるポール１６の正四角形の一辺と同じになるように形成されている。これにより、床板３０の面とポール収納溝２０に収納された際のポール１６の面とが面一になるので、本実施の形態の汎用パレット１０を平パレット１０Ａとして使用する際に、パレット台１４の上面全体を積載面スペースとして広く利用することができる。
図２に示すように、パレット台１４を構成する上層フレーム１４Ａは、ポール１６を収納するポール収納溝２０を形成する４つのポール収納溝部材２８を、パレット台１４に物品を積載する積載面サイズに四角筒状に配置する。そして、４つのポール収納溝部材２８を十字状の連結板２９で連結し、その上に矢印Ｓのように床板３０を敷設して固定することにより形成される（図１参照）。但し、床板３０は、図２に示すように、４個のポール収納溝２０に対応するポール収納溝部分２０Ａ、及び倒立機構２２が取り付けられる際に必要な４箇所の第１のスリット３２に対応する第１のスリット部分３２Ａは塞がれない形状をしている。
また、ポール収納溝部材２８の高さはポール１６を水平方向に倒してポール収納溝２０に収納したときに、正四角柱であるポール１６の正四角形の一辺と同じになるように形成されている。これにより、床板３０の面とポール収納溝２０に収納された際のポール１６の面とが面一になるので、本実施の形態の汎用パレット１０を平パレット１０Ａとして使用する際に、パレット台１４の上面全体を積載面スペースとして広く利用することができる。
【0022】
また、４つのポール収納溝部材２８には、倒立機構２２が取り付けられて機能する際に必要な逆Ｌ字状の切り欠き３４がそれぞれ形成されている。切り欠き３４が必要なことは倒立機構２２の説明する際に行う。
なお、４つのポール収納溝部材２８を床板３０で連結するだけで、強度的に問題ない場合には、連結板２９を省略することも可能である。また、４つのポール収納溝２０をポール１６の倒れ方向から見て反時計回りに形成したが、時計回りに形成してもよい。
なお、４つのポール収納溝部材２８を床板３０で連結するだけで、強度的に問題ない場合には、連結板２９を省略することも可能である。また、４つのポール収納溝２０をポール１６の倒れ方向から見て反時計回りに形成したが、時計回りに形成してもよい。
【0023】
（中間層フレーム）
図３に示すように、パレット台１４を構成する中間層フレーム１４Ｂは、上層フレーム１４Ａと同じ積載面サイズに形成されると共に格子状骨組みで箱状に形成されている。即ち、中間層フレーム１４Ｂは四角形の４側面を形成する額縁状の４枚の側面板３６の上面に格子状上板３８が接続されると共に下面にも格子状下板４０が接続され、これにより、箱形状に形成される。本実施の形態では、格子状上板３８及び格子状下板４０は、２本の横板３８Ａ、４０Ａと２本の縦板３８Ｂ、４０Ｂとで格子形状を組む例で示しているが、これに限定されない。また、額縁状に形成された側面板３６には、格子状上板３８及び格子状下板４０の横板３８Ａ、４０Ａ同士及び縦板３８Ｂ、４０Ｂ同士を連結する２本の垂直板３６Ａがそれぞれ設けられる。そして、２本の垂直板３６Ａ同士の間隔は囲い板１９が収納可能な間隔に形成されている。これにより、中間層フレーム１４Ｂには、囲い板１９を収納する囲い板収納路２４が形成される。なお、図３の縦方向に形成された囲い板収納路２４を囲い板収納路２４Ａとし、横方向に形成された囲い板収納路２４を囲い板収納路２４Ｂとすることにする。
囲い板収納路２４は囲い板収納路２４Ａ又は囲い板収納路２４Ｂの一方に４枚の囲い板１９を重ねて収納できるように形成することも可能である。しかし、本実施の形態のように、４枚の囲い板１９を挿入する囲い板収納路２４は、中間層フレーム１４Ｂの直交方向に形成されていると共に形成された２個の囲い板収納路２４Ａ、２４Ｂは底面高さが異なる段差を有することが好ましい。図３では、囲い板収納路２４Ａに段差を形成するための段差形成部材４２を設けた。
図３に示すように、パレット台１４を構成する中間層フレーム１４Ｂは、上層フレーム１４Ａと同じ積載面サイズに形成されると共に格子状骨組みで箱状に形成されている。即ち、中間層フレーム１４Ｂは四角形の４側面を形成する額縁状の４枚の側面板３６の上面に格子状上板３８が接続されると共に下面にも格子状下板４０が接続され、これにより、箱形状に形成される。本実施の形態では、格子状上板３８及び格子状下板４０は、２本の横板３８Ａ、４０Ａと２本の縦板３８Ｂ、４０Ｂとで格子形状を組む例で示しているが、これに限定されない。また、額縁状に形成された側面板３６には、格子状上板３８及び格子状下板４０の横板３８Ａ、４０Ａ同士及び縦板３８Ｂ、４０Ｂ同士を連結する２本の垂直板３６Ａがそれぞれ設けられる。そして、２本の垂直板３６Ａ同士の間隔は囲い板１９が収納可能な間隔に形成されている。これにより、中間層フレーム１４Ｂには、囲い板１９を収納する囲い板収納路２４が形成される。なお、図３の縦方向に形成された囲い板収納路２４を囲い板収納路２４Ａとし、横方向に形成された囲い板収納路２４を囲い板収納路２４Ｂとすることにする。
囲い板収納路２４は囲い板収納路２４Ａ又は囲い板収納路２４Ｂの一方に４枚の囲い板１９を重ねて収納できるように形成することも可能である。しかし、本実施の形態のように、４枚の囲い板１９を挿入する囲い板収納路２４は、中間層フレーム１４Ｂの直交方向に形成されていると共に形成された２個の囲い板収納路２４Ａ、２４Ｂは底面高さが異なる段差を有することが好ましい。図３では、囲い板収納路２４Ａに段差を形成するための段差形成部材４２を設けた。
【0024】
２個の囲い板収納路２４Ａ、２４Ｂに段差を形成することにより、それぞれの囲い板収納路２４から直交方向に囲い板１９を挿入しても直交中心部で囲い板１９同士が挿入を邪魔する等の干渉トラブルがないので、スムーズに挿入することができる。このように、囲い板１９を直交方向に収納することでパレット台１４のバランスに偏りが生じ難い。したがって、段差の高さとしては、一方の囲い板収納路２４Ａに２枚の囲い板１９を挿入し、他方の囲い板収納路２４Ｂに２枚の囲い板を挿入しても干渉しない程度とする。
また、中間層フレーム１４Ｂの４枚の側面板３６には、倒立機構２２が取り付けられる際に必要な４箇所の第２のスリット４４が形成されると共に、上層フレーム１４Ａの第１のスリット３２に連続するように第２のスリット４４が形成されている。
なお、ポール１６をポール収納溝２０に収納する際、格子状上板３８がポール収納溝２０の底板となり、ポール収納溝２０に収納されたポール１６が水平状態で維持される。
また、中間層フレーム１４Ｂの４枚の側面板３６には、倒立機構２２が取り付けられる際に必要な４箇所の第２のスリット４４が形成されると共に、上層フレーム１４Ａの第１のスリット３２に連続するように第２のスリット４４が形成されている。
なお、ポール１６をポール収納溝２０に収納する際、格子状上板３８がポール収納溝２０の底板となり、ポール収納溝２０に収納されたポール１６が水平状態で維持される。
【0025】
（下層フレーム）
図４に示すように、パレット台１４を構成する下層フレーム１４Ｃは、上層フレーム１４Ａ及び中間層フレーム１４Ｂと同じ積載面サイズに形成される。下層フレーム１４Ｃは、対向する２本の太い角棒４６を３枚の上面板４８と３枚の下面板５０とで連結すると共に、３枚の上面板４８と３枚の下面板５０との間に、２本の角棒４６と平行な２本の補強板５２が介在される。角棒４６と補強板５２との間にフォークリフトの爪が差し込まれるフォーク爪差込路１２が形成される。
また、下層フレーム１４Ｃの上面板の４隅には、倒立機構２２が取り付けられる際に必要な４箇所の第３のスリット５４が形成されると共に、上層フレーム１４Ａの第１のスリット３２及び第２のスリット４４に連続するように形成されている。
以上の構造を有する上層フレーム１４Ａ、中間層フレーム１４Ｂ、下層フレーム１４Ｃを積層して接続することによりパレット台１４が形成される。
図４に示すように、パレット台１４を構成する下層フレーム１４Ｃは、上層フレーム１４Ａ及び中間層フレーム１４Ｂと同じ積載面サイズに形成される。下層フレーム１４Ｃは、対向する２本の太い角棒４６を３枚の上面板４８と３枚の下面板５０とで連結すると共に、３枚の上面板４８と３枚の下面板５０との間に、２本の角棒４６と平行な２本の補強板５２が介在される。角棒４６と補強板５２との間にフォークリフトの爪が差し込まれるフォーク爪差込路１２が形成される。
また、下層フレーム１４Ｃの上面板の４隅には、倒立機構２２が取り付けられる際に必要な４箇所の第３のスリット５４が形成されると共に、上層フレーム１４Ａの第１のスリット３２及び第２のスリット４４に連続するように形成されている。
以上の構造を有する上層フレーム１４Ａ、中間層フレーム１４Ｂ、下層フレーム１４Ｃを積層して接続することによりパレット台１４が形成される。
【0026】
（倒立機構）
次に、図５から図７により、ポール１６をポール立設路１８とポール収納溝２０との間で倒立させるための倒立機構２２について説明する。
図５は、主として倒立機構２２を説明する説明図であり、図６は主としてポール１６とスライド棒６０との構造を説明する説明図である。また、図７は４本のポール１６を立設して平パレット１０Ａからポールラック型パレット１０Ｂに組み替えた斜視図である。なお、図５において、パレット台１４の詳しい構造は省略して図示している。
次に、図５から図７により、ポール１６をポール立設路１８とポール収納溝２０との間で倒立させるための倒立機構２２について説明する。
図５は、主として倒立機構２２を説明する説明図であり、図６は主としてポール１６とスライド棒６０との構造を説明する説明図である。また、図７は４本のポール１６を立設して平パレット１０Ａからポールラック型パレット１０Ｂに組み替えた斜視図である。なお、図５において、パレット台１４の詳しい構造は省略して図示している。
【0027】
図５から図７に示すように、倒立機構２２は、主として、ポール立設路１８を形成するポール立設路部材５６と、ポール立設路部材５６に形成された逆Ｌ字状の一対の倒立ガイド用長孔５８と、一対の倒立ガイド用長孔５８に沿ってスライド自在なスライド棒６０とで構成される。
図５に示すように、ポール立設路部材５６は、ポール１６の倒れ方向に側面を有しない横断面コ字状に形成される。そして、矢印Ｎで示したように、パレット台１４の４隅に取り付けられ、固定される。この取り付けにおいて、コ字状のポール立設路部材５６の対向する側面の一方は上層フレーム１４Ａの第１のスリット３２（図２参照）、中間層フレーム１４Ｂの第２のスリット４４（図３参照）、下層フレーム１４Ｃの第３のスリット５４（図３参照）に挿入される形でパレット台１４の４隅に取り付けられる。
一対の倒立ガイド用長孔５８は、ポール立設路部材５６の対向する側面に対向してそれぞれ形成され、ポール１６を挿入（立設）する方向に穿設された垂直状長孔５８Ａと垂直状長孔５８Ａの上端から連続してポール収納溝２０の方向（水平方向）に延びた短尺な水平状長孔５８Ｂとで構成される。これにより、倒立ガイド用長孔５８は逆Ｌ字状に形成される。
図５に示すように、ポール立設路部材５６は、ポール１６の倒れ方向に側面を有しない横断面コ字状に形成される。そして、矢印Ｎで示したように、パレット台１４の４隅に取り付けられ、固定される。この取り付けにおいて、コ字状のポール立設路部材５６の対向する側面の一方は上層フレーム１４Ａの第１のスリット３２（図２参照）、中間層フレーム１４Ｂの第２のスリット４４（図３参照）、下層フレーム１４Ｃの第３のスリット５４（図３参照）に挿入される形でパレット台１４の４隅に取り付けられる。
一対の倒立ガイド用長孔５８は、ポール立設路部材５６の対向する側面に対向してそれぞれ形成され、ポール１６を挿入（立設）する方向に穿設された垂直状長孔５８Ａと垂直状長孔５８Ａの上端から連続してポール収納溝２０の方向（水平方向）に延びた短尺な水平状長孔５８Ｂとで構成される。これにより、倒立ガイド用長孔５８は逆Ｌ字状に形成される。
【0028】
スライド棒６０は、図５及び図６に示すように、ポール１６の基端部を水平方向に貫通しており、その両端部がポール立設路部材５６の対向する側面に形成された一対の倒立ガイド用長孔５８に掛け渡される。これにより、スライド棒６０は倒立ガイド用長孔５８に沿ってスライド自在に支持される。スライド棒６０の両端には円板状部６０Ａが形成され、スライド棒６０が２本の倒立ガイド用長孔５８から外れないように支持される。
上記構成の倒立機構２２において、ポール１６をポール収納溝部材２８に収納するためにポール１６を水平に倒すためには、倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａの上端部分はポール収納溝部材２８の途中位置まで形成する必要がある。したがって、図２で説明したポール収納溝部材２８に形成した逆Ｌ字状の切り欠き３４は、倒立ガイド用長孔５８の上端部分に重なるように形成されている。これにより、ポール収納溝部材２８がスライド棒６０のスライドを邪魔しないようになっている。
上記構成の倒立機構２２において、ポール１６をポール収納溝部材２８に収納するためにポール１６を水平に倒すためには、倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａの上端部分はポール収納溝部材２８の途中位置まで形成する必要がある。したがって、図２で説明したポール収納溝部材２８に形成した逆Ｌ字状の切り欠き３４は、倒立ガイド用長孔５８の上端部分に重なるように形成されている。これにより、ポール収納溝部材２８がスライド棒６０のスライドを邪魔しないようになっている。
【0029】
（倒立機構の作用）
次に、上記のように構成された倒立機構２２によってポール１６を倒立動作させる際のスライド棒６０と倒立ガイド用長孔５８の作用を説明する。
<ポール立設の場合>
図５に示すように、想像線（２点鎖線）で記載したポール１６がポール収納溝２０に収納された状態のとき、スライド棒６０は倒立ガイド用長孔５８の水平状長孔５８Ｂの端に位置している。この状態でポール１６の先端部を持って矢印ＲのＰからＱの方向に回動させると、ポール１６の底部とポール立設路部材５６とが干渉し合い、干渉し合う力で、スライド棒６０は倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａの上端まで（矢印のＺ位置からＹ位置）まで自動的にスライド移動する。
次に、ポール１６を下向き（矢印ＴのＹからＸ方向）に移動させて、ポール１６の基端部をポール立設路１８に挿入する。ポール１６の下向き移動に連動して、スライド棒６０が倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａにガイドされ、ポール１６と一緒に垂直状長孔５８Ａを下向きにスライドする。そして、スライド棒６０が垂直状長孔５８Ａの下端に当接し、ポール１６がポール立設路１８に立設される。
この結果、図７に示すように、平パレット１０Ａの状態（図１の状態）からポールラック型パレット１０Ｂの状態に簡単且つ迅速に組み替えることができる。
次に、上記のように構成された倒立機構２２によってポール１６を倒立動作させる際のスライド棒６０と倒立ガイド用長孔５８の作用を説明する。
<ポール立設の場合>
図５に示すように、想像線（２点鎖線）で記載したポール１６がポール収納溝２０に収納された状態のとき、スライド棒６０は倒立ガイド用長孔５８の水平状長孔５８Ｂの端に位置している。この状態でポール１６の先端部を持って矢印ＲのＰからＱの方向に回動させると、ポール１６の底部とポール立設路部材５６とが干渉し合い、干渉し合う力で、スライド棒６０は倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａの上端まで（矢印のＺ位置からＹ位置）まで自動的にスライド移動する。
次に、ポール１６を下向き（矢印ＴのＹからＸ方向）に移動させて、ポール１６の基端部をポール立設路１８に挿入する。ポール１６の下向き移動に連動して、スライド棒６０が倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａにガイドされ、ポール１６と一緒に垂直状長孔５８Ａを下向きにスライドする。そして、スライド棒６０が垂直状長孔５８Ａの下端に当接し、ポール１６がポール立設路１８に立設される。
この結果、図７に示すように、平パレット１０Ａの状態（図１の状態）からポールラック型パレット１０Ｂの状態に簡単且つ迅速に組み替えることができる。
【0030】
<ポール収納の場合>
図５に示すように、ポール１６がポール立設路１８に立設された状態のとき、スライド棒６０は倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａの下端に位置している。この状態でポール１６を上向き（矢印ＴのＸからＹ方向）に移動させてポール１６の基端部をポール立設路１８から引き抜く。これにより、ポール１６の上向き移動に連動して、スライド棒６０が倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａにガイドされ、ポール１６と一緒に垂直状長孔５８Ａを上向きにスライドする。そして、スライド棒６０が倒立ガイド用長孔５８の上端に当接する。
次に、ポール１６を矢印ＲのＱからＰの方向に回動させて、ポール１６を中間層フレーム１４Ｂの格子状上板３８に当接するまで倒す。これにより、ポール１６はポール収納溝２０に水平状態で収納される。
この場合、ポール１６を水平方向に倒す際に、ポール１６を立設させるときと同様に、ポール１６の底部とポール立設路部材５６とが干渉し合い、干渉し合う力で、スライド棒６０は倒立ガイド用長孔５８の水平状長孔５８Ｂにガイドされて水平方向に少しだけ自動的に移動する。この水平移動によって、ポール１６の底部がポール立設路部材５６と干渉してポール１６を倒し難くなるのを防止する。
このように、倒立ガイド用長孔５８の水平状長孔５８Ｂは、ポール１６の倒立動作におけるポール１６の底部とポール立設路部材５６との干渉の逃げ道になり、ポール１６をスムーズに倒立動作させることができる。
図５に示すように、ポール１６がポール立設路１８に立設された状態のとき、スライド棒６０は倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａの下端に位置している。この状態でポール１６を上向き（矢印ＴのＸからＹ方向）に移動させてポール１６の基端部をポール立設路１８から引き抜く。これにより、ポール１６の上向き移動に連動して、スライド棒６０が倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａにガイドされ、ポール１６と一緒に垂直状長孔５８Ａを上向きにスライドする。そして、スライド棒６０が倒立ガイド用長孔５８の上端に当接する。
次に、ポール１６を矢印ＲのＱからＰの方向に回動させて、ポール１６を中間層フレーム１４Ｂの格子状上板３８に当接するまで倒す。これにより、ポール１６はポール収納溝２０に水平状態で収納される。
この場合、ポール１６を水平方向に倒す際に、ポール１６を立設させるときと同様に、ポール１６の底部とポール立設路部材５６とが干渉し合い、干渉し合う力で、スライド棒６０は倒立ガイド用長孔５８の水平状長孔５８Ｂにガイドされて水平方向に少しだけ自動的に移動する。この水平移動によって、ポール１６の底部がポール立設路部材５６と干渉してポール１６を倒し難くなるのを防止する。
このように、倒立ガイド用長孔５８の水平状長孔５８Ｂは、ポール１６の倒立動作におけるポール１６の底部とポール立設路部材５６との干渉の逃げ道になり、ポール１６をスムーズに倒立動作させることができる。
【0031】
また、倒立機構２２において、図６に示すように、ポール１６の基端部を水平方向に貫通する貫通孔が、倒立ガイド用長孔５８の垂直状長孔５８Ａに対応して形成されると共に倒立ガイド用長孔５８よりも短い立設補助長孔１６Ａとして形成されることが一層好ましい。これにより、ポール１６とスライド棒６０との間に遊び（自由度）が形成されるので、上記した干渉を一層回避し易くなる。
上述したポール１６の倒立動作において、ポール立設路部材５６は横断面がコ字状をしており、１側面が開口しているが、ポール立設路１８に立設されたポール１６はスライド棒６０と倒立ガイド用長孔５８との関係によってポール立設路部材５６に支持されており、開口している側に倒れることはない。
しかし、図６に示すように、ポール１６の底面に凹部１６Ｂを形成すると共にポール立設路１８の底面に凹部１６Ｂに着脱自在に嵌合する凸部１６Ｃが形成することが一層好ましい。本実施の形態では、ポール立設路１８の底面に形成した凸部１６Ｃの形成場所として、図４に示すように、下層フレーム１４Ｃの上面がポール立設路１８の底面になるように設計し、下層フレーム１４Ｃの４隅上面に凸部１６Ｃを形成した。しかし、これに限定するものではなく、例えば下層フレーム１４Ｃの４隅にポール１６が更に挿入される挿入穴（図示せず）を形成して挿入穴の底部に凸部１６Ｃを形成することもできる。
上述したポール１６の倒立動作において、ポール立設路部材５６は横断面がコ字状をしており、１側面が開口しているが、ポール立設路１８に立設されたポール１６はスライド棒６０と倒立ガイド用長孔５８との関係によってポール立設路部材５６に支持されており、開口している側に倒れることはない。
しかし、図６に示すように、ポール１６の底面に凹部１６Ｂを形成すると共にポール立設路１８の底面に凹部１６Ｂに着脱自在に嵌合する凸部１６Ｃが形成することが一層好ましい。本実施の形態では、ポール立設路１８の底面に形成した凸部１６Ｃの形成場所として、図４に示すように、下層フレーム１４Ｃの上面がポール立設路１８の底面になるように設計し、下層フレーム１４Ｃの４隅上面に凸部１６Ｃを形成した。しかし、これに限定するものではなく、例えば下層フレーム１４Ｃの４隅にポール１６が更に挿入される挿入穴（図示せず）を形成して挿入穴の底部に凸部１６Ｃを形成することもできる。
【0032】
凹部１６Ｂ及び凸部１６Ｃの形状として、本実施の形態では縦断面が三角形の山型にしたが、これに限定されるものではなく、ポール１６がぐらつくことなく確実に立設でき且つ着脱自在な形状であればよい。これにより、ポール１６をポール立設路１８に立設させたときに、ポール１６底面の凹部１６Ｂが凸部１６Ｃに嵌合するので、ポール１６を強固に立設することができる。したがって、ポールラック型パレット１０Ｂを２段積みあるいは3段積みしてもポール１６がぐらつくことがない。
また、図６に示すように、ポール１６の先端部は四角錐形状の突起部１６Ｄが形成されると共に、図４に示すように、下層フレーム１４Ｃの４隅の下面には、突起部１６Ｄに対応する四角錐形状の凹み部１６Ｅ（図４参照）が形成される。これにより、ポールラック型パレット１０Ｂを２段積みあるいは３段積みしても上のパレット台１４がポール１６から外れることがないので、確実に段積みすることができる。
また、図６に示すように、ポール１６の先端部は四角錐形状の突起部１６Ｄが形成されると共に、図４に示すように、下層フレーム１４Ｃの４隅の下面には、突起部１６Ｄに対応する四角錐形状の凹み部１６Ｅ（図４参照）が形成される。これにより、ポールラック型パレット１０Ｂを２段積みあるいは３段積みしても上のパレット台１４がポール１６から外れることがないので、確実に段積みすることができる。
【0033】
（着脱機構）
次に、図５、図６、図８、図９により、ポール１６同士の間に囲い板１９を着脱自在に取り付ける着脱機構２６について説明する。
本実施の形態では、着脱機構２６として、ポール１６と囲い板１９の一方にフック２６Ａが設けられると共に他方にフック孔２６Ｂが設けられ、フック２６Ａとフック孔２６Ｂとが着脱自在に係合する係合手段を使用した。本実施では、ポール１６にフック孔２６Ｂを形成し、囲い板１９にフック２６Ａを形成したが、ポール１６にフック２６Ａを形成し、囲い板１９にフック孔２６Ｂを形成してもよい。
次に、図５、図６、図８、図９により、ポール１６同士の間に囲い板１９を着脱自在に取り付ける着脱機構２６について説明する。
本実施の形態では、着脱機構２６として、ポール１６と囲い板１９の一方にフック２６Ａが設けられると共に他方にフック孔２６Ｂが設けられ、フック２６Ａとフック孔２６Ｂとが着脱自在に係合する係合手段を使用した。本実施では、ポール１６にフック孔２６Ｂを形成し、囲い板１９にフック２６Ａを形成したが、ポール１６にフック２６Ａを形成し、囲い板１９にフック孔２６Ｂを形成してもよい。
【0034】
ただし、着脱機構２６は、フック２６Ａとフック孔２６Ｂとのような係合手段に限定するものではなく、立設された４本のポール１６同士の間に４枚の囲い板１９を簡単且つ迅速にポール１６と囲い板１９とを着脱できればどのような手段でもよい。例えば、フック２６Ａとフック孔２６Ｂとを磁石で着脱したり、配管等で使用されるワンタッチ継手で着脱したりすることも可能である。
【0035】
図５及び図６は、本実施において着脱機構２６として使用した係合手段のフック孔２６Ｂを説明し、図８は囲い板１９及び囲い板１９に設けられたフック２６Ａを説明する。また、図９はポールラック型パレット１０Ｂからボックスラック型パレット１０Ｃに組み替えた斜視図である。なお、本実施の囲い板１９は、長方形のフレーム枠１９Ａに等間隔で複数本の縦棒１９Ｂ（本実施の形態では７本）を配置した柵形状の例で説明する。ただし、この柵形状に限定されるものではなく、パレット台１４上の周縁に囲みを形成できればどのような形状でもよく、例えば網形状や格子形状等を採用できる。
図５に示すように、ポール１６を立設させた状態において、ポール１６がポール立設路１８から上に突出しているポール突出部の上下位置に一対のフック孔２６Ｂが形成される。また、図８に示すように、囲い板１９の左右両端部の上下位置に、一対のフック孔２６Ｂに対応する一対のフック２６Ａが形成される。
図５に示すように、ポール１６を立設させた状態において、ポール１６がポール立設路１８から上に突出しているポール突出部の上下位置に一対のフック孔２６Ｂが形成される。また、図８に示すように、囲い板１９の左右両端部の上下位置に、一対のフック孔２６Ｂに対応する一対のフック２６Ａが形成される。
【0036】
上記のように構成された着脱機構２６においては、図９に示すように、４本のポール１６同士の間に４枚の囲い板１９をそれぞれ配置し、囲い板１９の左右両端に形成された一対のフック２６Ａをポール１６に形成されたフック孔２６Ｂに引っ掛ける（係合させる）。この動作だけで、簡単且つ迅速にポールラック型パレット１０Ｂからボックスラック型パレット１０Ｃに組み替えることができる。
なお、本発明の実施の形態の汎用パレット１０は、鉄製に限定するものではなく、強度的に満足すれば硬質プラスチック製、木製等も発明の範囲に含まれる。また、ポール１６の形状は長尺な正四角柱の例で説明したが、例えば円柱棒なども使用できる。また、上記説明では、各部材を別個に製作して溶接により固定、接続、取り付けて組み立てる記載方法で記載したが、一体成型できるものは一体成型してもよい。
なお、本発明の実施の形態の汎用パレット１０は、鉄製に限定するものではなく、強度的に満足すれば硬質プラスチック製、木製等も発明の範囲に含まれる。また、ポール１６の形状は長尺な正四角柱の例で説明したが、例えば円柱棒なども使用できる。また、上記説明では、各部材を別個に製作して溶接により固定、接続、取り付けて組み立てる記載方法で記載したが、一体成型できるものは一体成型してもよい。
【符号の説明】
【0037】
１０…汎用パレット、１０Ａ…平パレット、１０Ｂ…ポールラック型パレット、１０Ｃ…ボックスラック型パレット、１２…フォーク爪差込路、１４…パレット台、１４Ａ…上層フレーム、１４Ｂ…中間層フレーム、１４Ｃ…下層フレーム、１６…ポール、１６Ａ…立設補助長孔、１６Ｂ…凹部、１６Ｃ…凸部、１６Ｄ…突起部、１６Ｅ…凹み部、１８…ポール立設路、１９…囲い板、１９Ａ…フレーム枠、１９Ｂ…縦棒、２０…ポール収納溝、２２…倒立機構、２４…囲い板収納路、２６…着脱機構、２６Ａ…フック、２６Ｂ…フック孔、２８…ポール収納溝部材、２９…連結板、３０…床板、３２…第１のスリット、３４…切り欠き、３６…側面板、３８…格子状上板、３８Ａ…横板、３８Ｂ…縦板、４０…格子状下板、４０Ａ…横板、４０Ｂ…縦板、４２…段差形成部材、４４…第２のスリット、４６…角棒、４８…上面板、５０…下面板、５２…補強板、５４…第３のスリット、５６…ポール立設路部材、５８…倒立ガイド用長孔、５８Ａ…垂直状長孔、５８Ｂ…水平状長孔、６０…スライド棒、６０Ａ…円板状部、Ｍ…矢印、Ｓ…矢印、Ｔ…矢印、Ｒ…矢印、Ｎ…矢印
【要約】
【課題】平パレット、ポールラック型パレット、ボックスラック型パレットに簡単且つ迅速に組み替えすることができる汎用パレットを提供する。
【解決手段】パレット台１４の４隅に、ポール１６を立設させるためにポール１６の基端部を挿入するポール立設路１８と、パレット台１４の４辺のそれぞれの辺に沿ってポール立設路１８の上端部から連通した径路として水平方向にそれぞれ形成され、ポール１６が倒れた状態で収納されるポール収納溝２０と、パレット台１４の４隅にそれぞれ設けられ、ポール１６を倒立自在にパレット台に支持する倒立機構２２と、４枚の囲い板１９をパレット台１４内に収納する囲い板収納路２４と、立設されたポール１６同士の間に囲い板１９をそれぞれ着脱自在に係合する着脱機構２６と、を有する。
【選択図】図１
【解決手段】パレット台１４の４隅に、ポール１６を立設させるためにポール１６の基端部を挿入するポール立設路１８と、パレット台１４の４辺のそれぞれの辺に沿ってポール立設路１８の上端部から連通した径路として水平方向にそれぞれ形成され、ポール１６が倒れた状態で収納されるポール収納溝２０と、パレット台１４の４隅にそれぞれ設けられ、ポール１６を倒立自在にパレット台に支持する倒立機構２２と、４枚の囲い板１９をパレット台１４内に収納する囲い板収納路２４と、立設されたポール１６同士の間に囲い板１９をそれぞれ着脱自在に係合する着脱機構２６と、を有する。
【選択図】図１
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】