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▶ ヴィルトゥオーソ サージカル インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】低侵襲手術のための挿入可能ロボット
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20240510BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20240510BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B34/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021576267
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 US2020038784
(87)【国際公開番号】W WO2020257679
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-01-21
(31)【優先権主張番号】16/446,202
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521555616
【氏名又は名称】ヴィルトゥオーソ サージカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100138760
【弁理士】
【氏名又は名称】森 智香子
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ブルム、エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ディロン、ニール
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0080907(US,A1)
【文献】特表2002-500530(JP,A)
【文献】特表2017-531482(JP,A)
【文献】特表2012-513277(JP,A)
【文献】特表2012-502681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/94
A61B 17/29-17/295
A61B 34/30-34/37
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを通じて定められた長手方向作業チャンネルを含む前記シャフトであって、前記長手方向作業チャンネルは、近位端開口部を伴う近位端および遠位端開口部を伴う遠位端と、前記長手方向作業チャネルの内径とを有し、
前記長手方向作業チャンネル内への軸方向挿入用に構成された挿入可能チューブアセンブリであって、前記挿入可能チューブアセンブリは、湾曲した作業端部を有するガイドチューブおよび、遠位端の位置が前記長手方向作業チャンネルの前記遠位端近傍にある直線化チューブを含み、前記ガイドチューブが前記直線化チューブ内部に収容される場合、前記挿入可能チューブアセンブリの外径として形成される有効外径を含み、
前記ガイドチューブの前記湾曲した作業端部が前記直線化チューブ内部に収容される時には、前記挿入可能チューブアセンブリの有効外径が前記長手方向作業チャネルの内径よりも小さいような前記直線化チューブが、前記ガイドチューブの前記湾曲した作業端部を、前記直線化チューブの前記長手方向軸に向かってその静止方向から強制的に離隔させ、前記挿入可能チューブアセンブリが前記直線化チューブの前記長手方向軸に沿ってまっすぐであり、前記長手方向作業チャンネル内で軸方向に移動され得る、
手術を行うための装置。
【請求項2】
前記挿入可能チューブアセンブリは、前記長手方向作業チャンネルの前記近位端開口部への軸方向挿入用に構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガイドチューブは、前記直線化チューブに対する並進において軸方向に可動である、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記ガイドチューブは、前記長手方向作業チャンネルに対して角度方向に回転可能である、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記ガイドチューブ内部に配置された手術具をさらに備える、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記手術具は、前記ガイドチューブに対する並進において軸方向に可動である、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記手術具は、前記ガイドチューブに対して角度方向に回転可能である、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記挿入可能チューブアセンブリ上に配置された伝動装置をさらに備え、前記伝動装置は、前記ガイドチューブに結合された並進駆動部および前記ガイドチューブに結合された回転駆動部を含む、請求項に記載の装置。
【請求項9】
内径を有する長手方向作業チャンネルを有する内視鏡であって、前記長手方向作業チャンネルは、近位端開口部および遠位端開口部を含み、
前記近位端開口部を介して前記長手方向作業チャンネル内に軸方向に挿入されるチューブ列と、
前記チューブ列上に配置された遠位端を有するガイドチューブであって、前記ガイドチューブは、前記ガイドチューブの前記遠位端に湾曲した作業端部を含み、前記湾曲した作業端部は、前記ガイドチューブが静止方向にある時に、前記長手方向作業チャンネルの前記内径よりも大きい予め成形された第1有効径を有し、
前記ガイドチューブ上に配置された、遠位端の位置が前記長手方向作業チャンネルの前記遠位端開口部近傍にある直線化チューブであって、前記チューブ列が前記長手方向作業チャンネル内に軸方向に挿入される時に、前記ガイドチューブは、前記湾曲した作業端部が前記直線化チューブ内部に位置するように前記直線化チューブ内で少なくとも部分的に受け取られ、
前記直線化チューブは、前記直線化チューブ内部の前記ガイドチューブの前記湾曲した作業端部を、前記第1有効径よりも小さい第2有効径まで機械的に歪ませる、手術用ロボット装置。
【請求項10】
前記ガイドチューブが前記直線化チューブ内で受け取られる時に、前記ガイドチューブを通じて軸方向に配置された手術具をさらに備える、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記直線化チューブおよびガイドチューブが前記作業チャンネル内で受け取られる時に、前記第2有効径は、前記長手方向作業チャンネルの前記内径よりも小さい、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記手術具は、手術中に前記ガイドチューブに対する並進において軸方向に可動である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記手術具は、手術中に前記ガイドチューブに対する回転において角度方向に可動である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ガイドチューブは、手術中に前記直線化チューブに対する並進において可動である、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記ガイドチューブは、手術中に前記長手方向作業チャンネルに対する回転において角度方向に可動である、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術を行うための手術器具および関連する方法に関する。詳細には、本発明は、同心チューブロボットアセンブリを用いた低侵襲手術のための術具および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機械ロボットを用いた低侵襲手術は、発展中の医療分野である。内視鏡および切除鏡などの低侵襲手術を行うための従来デバイスは、一般に、患者の体内の切開または患者の体内の自然孔を通じて挿入される遠位先端部を含む。遠位先端部は、体内に置かれた時に、遠位先端部に近接する視野を外科医が確認できるようにする光学レンズを含む。内視鏡は典型的に、手術室のモニター上に視野を表示するために、自身に取り付けられたカメラを有することになる。いくつかの用途においては、内視鏡は、内視鏡の遠位先端部に設置されたカメラを含む。デバイスはまた、デバイスを通じて延びる作業チャンネルも含む。作業チャンネルを通じて、1つ以上の細長い手術具が挿入され得る。切削用デバイス、バスケットまたはレーザー光学部品などの術具が、手術具上に含まれ得る。手術具の遠位端が、デバイスの遠位先端部から突出するので、これにより外科医はオペ中に患者の体内における術具の作用を視覚的に観察することが可能になる。
【0003】
内視鏡または切除鏡の狭い作業チャンネルを通じて使用するための従来の手術具は、一般にサイズが限られ、特に、最大有効外径が限られる。そのような術具は、作業チャンネルを通って体内の手術部位に到達する必要があるので、内視鏡または切除鏡内の作業チャンネルの軸方向に挿入されるよう、術具の外径は十分に小さい必要がある。内視鏡または切除鏡内の作業チャンネルの直径は、一般に約1~20ミリメートルの範囲であるが、デバイスは、用途に応じて、この範囲外の異なる内径を有し得る。したがって、作業チャンネルを通じて挿入される手術具は、チャンネルを通じてスムーズに挿入されて手術部位に到達するために、同様の、すなわちより小さい有効外径を含む必要がある。
【0004】
手術手技中に、手術具を取り替える必要が生じ得る。例えば、レーザー切削ファイバーが作業チャンネルを介して内視鏡または切除鏡から取り外される必要があり、機械式マニピュレータが、作業チャンネルを通じて挿入される必要があり得る。マニピュレータにより、外科医は、実際には内視鏡を動かさずに内視鏡の遠位先端部から突出した手術具の遠位端を動かすことが可能になる。これは、いくつかの用途においては、患者に対する外傷を低減し得る。
【0005】
手技中に手術具が取り替えられる時には、第1術具が患者から離れる方向で作業チャンネルから軸方向に摺動され、第2術具が患者に向かう方向で作業チャンネル内に軸方向に摺動される、すなわち作業チャンネル内に挿入され得る。第2術具は、作業術具の遠位端が手術部位に向かって進行する位置になるまで挿入される。しかしながら、第1または第2手術具が非常に湾曲した遠位端、すなわち大きく拡張した形状の遠位端を有する場合は、第2術具は、作業チャンネル内に適正には嵌合しないことがあり得る。したがって、湾曲したまたは大きい形状の先端部を伴う手術具を、患者に向かって作業チャンネル内に挿入するのは困難かまたは不可能となり得る。
【0006】
したがって、必要とされるのは、ロボット手術を行うためのデバイスおよび方法の改善である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は一般に、低侵襲手術を行うためのデバイスおよび方法に関する。いくつかの実施形態においては、本発明は、湾曲した作業端部が直線化チューブ内に収容されるガイドチューブを含む手術用ロボット装置を含み、直線化チューブは、ガイドチューブの湾曲した作業端部を少なくとも部分的に直線状にすることで、内視鏡、切除鏡またはトロカール上のシャフトの小口径作業チャンネルを通じて、ガイドチューブおよび直線化チューブが結合アセンブリとして同時に挿入され得るようにする。様々な実施形態においては、アセンブリが、手術具に加えて、ガイドチューブを通るインナーチューブなどのさらなるチューブを含み得る。
【0008】
ガイドチューブおよび直線化チューブの作業チャンネル内への挿入後、ガイドチューブは、患者の体に向かって直線化チューブを通じて軸方向に並進されて、湾曲した作業端部が直線化チューブの遠位端から延びて、自然に偏向された湾曲定位をとることを可能にし得る。レーザー光学部品、切削具、鉗子、バスケットまたは他の器具などの手術具が、ガイドチューブに軸方向に通されて、ガイドチューブの遠位先端部から延びる。ガイドチューブの湾曲により、外科医は、従来の直線的な手術具と比較すると、患者の体内での手術具の改善された動作範囲が可能になる。ガイドチューブは、手術具を所望の組織まで操舵するために、手技中にガイドチューブを並進または回転できるようにする伝動装置に結合される。
【0009】
いくつかの実施形態においては、本発明は、低侵襲手術を行うための同心チューブロボット装置を含む。装置は、ガイドチューブおよび直線化チューブを伴うチューブ列を含む。ガイドチューブは、湾曲した作業端部を含む。ガイドチューブは、湾曲した作業端部が直線化チューブ内部に収容されてこれによって拘束されるように、直線化チューブに対して並進および回転され得るが、これにより、チューブ列が内視鏡、切除鏡またはトロカールの狭い作業チャンネル内に挿入可能になる。いくつかの実施形態においては、伝動装置もチューブ列に結合されて、手技中に手術用ロボット上の完全なユニットとして設置または取り外しができる交換可能なカートリッジ構成を提供する。
【0010】
本開示の1つの目的は、ユーザが手術中に、内視鏡、切除鏡またはトロカールのシャフトを患者の体から取り外すことなく、手術具の取り替えを可能にする手術用ロボット装置を提供することである。
【0011】
本開示の別の目的は、非常に湾曲した作業端部を伴うガイドチューブを、内視鏡、切除鏡またはトロカール上の狭い作業チャンネルを通じて軸方向に挿入可能にする手術用ロボット装置を提供することである。
【0012】
本開示のさらなる目的は、静止した内視鏡、切除鏡またはトロカール上で長手方向に直線のまたはわずかに湾曲した作業チャンネル内外でチューブ列を摺動することで、手術手技中に迅速に取り替え可能な統合手術具を伴うモジュール式チューブ列を含む手術用ロボット装置を提供することである。
【0013】
本発明の多くの他の目的、特徴および利点は、添付図面および特許請求の範囲と併せて以下の開示を読むことで、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】遠位先端部から突出するエンドエフェクタを伴う手術具を含む内視鏡の先行技術の実施形態の斜視図である。
【0015】
図2A】レンズおよびレンズの下に作業チャンネル開口部を伴う内視鏡の遠位先端部の先行技術の実施形態の詳細斜視図である。
【0016】
図2B】手術具およびエンドエフェクタが遠位先端部から突出する図2Aの内視鏡の先行技術の実施形態の詳細断面斜視図である。
【0017】
図3】独立した同心チューブマニピュレータアセンブリが遠位先端部から突出する内視鏡の先行技術の実施形態の斜視図である。
【0018】
図4】湾曲した遠位端を伴うガイドチューブの実施形態の斜視図である。
【0019】
図5】遠位端が直線化チューブ内部に位置するガイドチューブの実施形態の部分斜視図である。
【0020】
図6】ガイドチューブの湾曲した遠位端の一部分が、直線化チューブ内部で受け取られてこれによって直線状にされるように、直線化チューブ内部に位置する図5のガイドチューブの実施形態の部分斜視図である。
【0021】
図7】湾曲した遠位端が直線化チューブ内に収容されるガイドチューブの実施形態の断面図である。
【0022】
図8】湾曲した遠位端が直線化チューブから部分的に突出するガイドチューブの実施形態の断面図である。
【0023】
図9】作業チャンネルを通じて部分的に挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含む内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0024】
図10】作業チャンネルを通じて待機位置まで挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含む内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0025】
図11】作業チャンネルを通じて挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、ガイドチューブおよび手術具が直線化チューブから部分的に延びる内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0026】
図12】作業チャンネルを通じて挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、ガイドチューブおよび手術具が直線化チューブから部分的に延びる内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0027】
図13】作業チャンネルを通じて挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、ガイドチューブが直線化チューブから延びて、手術具がガイドチューブから延びる内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0028】
図14】作業チャンネルを通じて挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、ガイドチューブおよび手術具が直線化チューブから部分的に延びて、作業チャンネル軸の周囲で回転される内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0029】
図15】作業チャンネルを通じて挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、ガイドチューブが直線化チューブから部分的に延びて、作業チャンネル軸の周囲で回転され、手術具がガイドチューブから延びる内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0030】
図16】作業チャンネルを通じて部分的に挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、軸止め部が直線化チューブの並進を作業チャンネル内の所望の位置までに制限するよう位置付けられた内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0031】
図17】作業チャンネルを通じて挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、軸止め部が直線化チューブの並進を作業チャンネル内の所望の位置までに制限する図16の内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0032】
図18】作業チャンネルを通じて挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、軸止め部が直線化チューブの並進を作業チャンネル内の所望の位置までに制限して、ガイドチューブおよび手術具が直線化チューブから延びる図16および17の内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0033】
図19】作業チャンネルを通じて挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、軸止め部が直線化チューブの並進を作業チャンネル内の所望の位置までに制限して、ガイドチューブが直線化チューブから延びて、手術具がガイドチューブから延びる図16、17および18の内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0034】
図20】作業チャンネルを通じて部分的に挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、軸止め部が直線化チューブの並進を作業チャンネル内の所望の位置までに制限するよう位置付けられた内視鏡、切除鏡またはトロカールの代替的実施形態の部分断面図である。
【0035】
図21】作業チャンネルを通じて挿入される直線化チューブ、ガイドチューブおよび手術具アセンブリを含み、軸止め部が直線化チューブの並進を作業チャンネル内の所望の位置までに制限する図20の内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0036】
図22】手術具、ガイドチューブおよび直線化チューブが、ガイドチューブの並進および回転、ならびに手術具の並進および回転駆動部を含む伝動装置に結合されたロボットアセンブリの実施形態の部分断面概略図である。
【0037】
図23】作業チャンネル内への挿入のための伝動装置を伴うチューブ列の実施形態の部分断面図である。
【0038】
図24】作業チャンネルの近位端にある挿入口を伴う内視鏡の実施形態の部分断面図である。
【0039】
図25】シャフト内に部分的に挿入された光学レンズを含む切除鏡の実施形態の斜視図である。
【0040】
図26図25の区域26の詳細な斜視図である。
【0041】
図27】第1および第2作業チャンネルおよびチューブ列を含む内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0042】
図28】第1および第2作業チャンネルおよびチューブ列を含む内視鏡、切除鏡またはトロカールの実施形態の部分断面図である。
【0043】
図29】第1および第2作業チャンネル内に位置する第1および第2チューブ列を含み、各々が対応する直線化チューブから部分的に延びた湾曲した作業端部を有する手術用ロボットアセンブリの実施形態の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで図面を参照すると、低侵襲手術を行うためのデバイスおよび方法の実施形態の様々な図を例証する。図面においては、明確にするために、各図面内には全ての参照番号を含めているわけではない。例証に示したデバイスは、請求に係る発明の考えられる全ての実施形態を例証することは意図しておらず、むしろ例として含めている。当業者であれば、請求に係る発明のデバイスおよび方法が、図には示されていない異なる構成および定位を含み得ることは理解されるであろう。
【0045】
本開示は、低侵襲手術のための挿入可能な同心チューブアセンブリを提供する。従来の低侵襲手術中には、内視鏡、切除鏡またはトロカールなどの手術器具が、小さい切開部を通じて患者の体内に挿入される遠位先端部を含む。切削具、プローブ、鉗子、バスケット、レーザーファイバーまたは他の手術具などのエンドエフェクタを含む手術具が、患者の組織に対してオペを行うために遠位先端部から突出する。遠位先端部に近接して位置する光学レンズにより、外科医はオペ中に生体内の手術具を視覚的に観察することが可能になる。
【0046】
低侵襲手術を行うための従来の内視鏡デバイス10の例を図1に示す。デバイス10は、遠位端14および近位端16を有する長手方向シャフト12を含む。長手方向シャフト12は、1つ以上の手術具20の通過を可能にする中空内部を含む。手術具20は、図1に示すように、遠位術具端26の上に配置された切削具または鉗子などのエンドエフェクタ22を伴う手術具を含む。手術具20は、一方の端部に術具アクチュエータ24、および術具アクチュエータから延びる術具シャフト28を含む。術具シャフト28は、遠位術具端26およびエンドエフェクタ22がデバイス10の遠位端14にある開口部から突出するように、内視鏡デバイス10の長手方向シャフト12内に挿入される。
【0047】
手術中、デバイス10の遠位端14は、遠位術具端26およびエンドエフェクタ22と共に、患者の体内に挿入される。次に術具アクチュエータ24は、例えば、体内から患者の組織を除去するための切除オペを行うために、エンドエフェクタ22を起動するように操作され得る。この手技中に、手術具20は、術具シャフトが長手方向シャフト12内で並進するように手術具を軸方向に動かすことで、エンドエフェクタ22の長手方向位置をデバイス10の遠位端14に対して相対的に動かすことによって、デバイス10に対して相対的に操作され得る。付加的に、手術具20は、シャフト12の長手方向軸の周囲で角度方向に回転され得るので、これにより、エンドエフェクタ22をデバイス10の遠位端14に対して回転させる。
【0048】
低侵襲手術中に、オペを受けている組織に対するエンドエフェクタ22の位置を外科医が視覚的に観察できることは有益である。図1に示すように、いくつかの実施形態においては、内視鏡デバイス10は、カメラまたは光学部品が術具シャフト28に沿って長手方向シャフト12の内部を通じて延びるように、デバイス10内に挿入するためのカメラまたは光学部品用の光学ポート30を含む。
【0049】
従来の内視鏡、切除鏡またはトロカールの管状で中空の長手方向シャフト12の遠位端14の例を、図2Aおよび2Bに示す。長手方向シャフト12は、遠位端14に端部開口部19を含む。いくつかの実施形態においては、フード15が端部開口部19を囲む。作業チャンネル18が、長手方向シャフト12の中空内部を通じて定められ、端部開口部19に向かって1つ以上の術具が作業チャンネル18に通され得る。いくつかの実施形態においては、光学レンズ32が端部開口部19に近接して位置する。光学レンズ32は、撮像能力を外科医に提供するために光ファイバー34に結合される。光ファイバー34は、長手方向シャフト12の作業チャンネル18を通じて延びる。
【0050】
図2Aおよび2Bにも示されるように、従来の術具シャフト28は、長手方向シャフト12の遠位端14にある端部開口部19に向かって作業チャンネル18を通じて延びる。術具シャフト28は、エンドエフェクタ22を作動させて、遠位術具端26を術具シャフト軸29に対して軸方向にまたは角度方向に動かすために、外科医によって手動で操作されるかまたはロボットインタフェースを用いて外科医によって遠隔操作され得る手術器具の一部である。手技中に、術具シャフト28は、手動でまたは術具シャフト28に結合された機械式伝動装置リンケージを用いて、端部開口部19の内外を軸方向に並進され得る。付加的に、手技中に、術具シャフト28はまた、手動でまたは術具シャフト28に結合された伝動装置リンケージを用いて、術具シャフト軸29の周囲を角度方向に回転もされ得る。
【0051】
図3を参照すると、いくつかの実施形態においては、端部開口部19から突出する2つの手術具20a、20bを含むことが望ましい。各術具は、1つ以上の同心チューブ25a、25b、25c、25dを用いて位置付けられ得るエンドエフェクタを含む。このような構成は、外科医がエンドエフェクタを手術部位において所望の場所に位置付けてそこまで操舵できるようにするために、当該技術では公知である。しかしながら、このような複数の同心チューブ構成は、一般に固定であり、各チューブの湾曲によって生じる各同心チューブの作業端部の有効径が比較的大きいために、内視鏡、切除鏡またはトロカール内の作業チャンネルを通じて挿入可能ではない。したがって、手術用ロボットのための従来の同心チューブアセンブリは、内視鏡、切除鏡またはトロカール内の小口径作業チャンネルを通じた挿抜によって交換されるのには適していない。
【0052】
内視鏡、切除鏡またはトロカールの作業チャンネルを通じて、手術具を誘導するための細長いチューブの例を図4に示す。ここに例証する様々なチューブは縮尺通りではなく、図示していない様々なアスペクト比、長さ、内径、外径、壁厚および湾曲形状を含み得る。当業者であれば、本明細書に開示するチューブは、実際には多くの異なる実施形態をとり得ることは容易に理解されるであろう。ガイドチューブ50、すなわちインナーチューブを図4に示す。ガイドチューブ50は、ガイドチューブ本体52、およびガイドチューブ本体52の遠位端にある湾曲した作業端部54を含む。ガイドチューブ50は、中空内部を含み、金属または合金などの任意の適切な素材から成り得る。いくつかの実施形態においては、ガイドチューブ50は、ニッケル・チタン、すなわち、ニチノール合金から成る。ガイドチューブ50は一般に、内視鏡、切除鏡またはトロカールの遠位先端部において手術部位の所望の場所まで手術具を操舵するために使用される。手術具は、ガイドチューブ50内部に軸方向に収容されて、手術用エンドエフェクタは、ガイドチューブ遠位端開口部56を通じて生体内に配備されるかまたはリトラクトされ得る。
【0053】
ガイドチューブ50の湾曲した作業端部54は、所望の湾曲形状を有するよう予め成形される。いくつかの実施形態においては、湾曲した作業端部54の湾曲形状は、光学レンズ32の視野において手術用エンドエフェクタの最大操舵性をもたらすように最適化される。
【0054】
ガイドチューブ50上に湾曲した作業端部54を有する1つの不利点は、ガイドチューブの湾曲した作業端部54の湾曲形状により、ガイドチューブ50に有効外径、すなわち有効径Wを持たせることである。ほとんどの用途において、ガイドチューブの有効径Wは、内視鏡、切除鏡またはトロカール上の対応する作業チャンネルの内径よりも大きい。したがって、湾曲した作業端部54を伴うガイドチューブ50を、作業チャンネルを通じて軸方向に挿抜することは困難かまたは不可能とすることができる。
【0055】
図5~7に示すように、いくつかの実施形態においては、アウターチューブまたは直線化チューブ60が、ガイドチューブ50の外側にわたって位置付けられ得る。直線化チューブ60は、中空内部を伴う円筒状チューブを含む。直線化チューブ60の内径は、ガイドチューブ50が直線化チューブ60内部に密嵌するが、依然として直線化チューブ60に対して軸方向に並進および回転できるように、ガイドチューブ50の外径よりもわずかに大きい。図5に示すように、直線化チューブ60は、直線化チューブ遠位端66および直線化チューブ遠位端開口部68を含む。ガイドチューブ50は、直線化チューブ遠位端開口部68内で受け取られる。ガイドチューブ50の湾曲した作業端部54が直線化チューブ60内に並進される時には、湾曲した作業端部54が、ガイドチューブ軸51に向かって偏向された湾曲位置から離れて屈折されるかまたは歪む。図7に示すように、ガイドチューブ50の湾曲した作業端部54が、直線化チューブ60内部に完全に着座される時には、ガイドチューブ遠位端開口部56は、直線化チューブ遠位端66と軸方向に整列される。この位置では、湾曲した作業端部54もまた、直線化チューブによって拘束されるので、湾曲した作業端部54は著しく直線状にされる。そのような実施形態においては、直線化チューブ遠位端66および湾曲した作業端部54の総有効外径Dは、実質的に直線化チューブ60の外径に等しい。
【0056】
いくつかの実施形態においては、湾曲した作業端部54は、直線化チューブ遠位端66に力を付与して、直線化チューブ遠位端66をわずかに屈曲させ得る。しかしながら、直線化チューブ上に課される歪みは、一般に、直線化チューブ60を作業チャンネルを通じて挿入できないほど顕著ではない。
【0057】
図8に示すように、ガイドチューブ50は、直線化チューブ60内部で軸方向に並進されて、湾曲した作業端部54の一部分を直線化チューブの遠位端66から露出させ得る。ガイドチューブ50は、軸方向に並進されて、湾曲した作業端部54を直線化チューブ遠位端66から突出させるので、湾曲した作業端部54は、直線化チューブ軸62から離れて、予め湾曲された偏向位置に戻る。ガイドチューブ遠位端開口部58の定位は、ガイドチューブ50および直線化チューブ60の正確な並進および回転によって制御される。
【0058】
図9および10を参照すると、ガイドチューブ50は、ガイドチューブ本体52および直線化チューブ60内に収容されるガイドチューブの湾曲した作業端部54を含む。ガイドチューブおよび直線化チューブアセンブリ50、60は共に、作業チャンネル内壁17によって定められた作業チャンネル18を通じてアセンブリを挿入できるようにする寸法形状を含む。作業チャンネル18は、内視鏡、切除鏡またはトロカールの長手方向シャフト12内に形成された作業チャンネル内径38を含む。作業チャンネル18は、作業チャンネルの遠位先端部に形成された開口部を含む遠位端19を含む。ガイドチューブおよび直線化チューブアセンブリ50、60は、図9に示すように、作業チャンネルを通じて同時に挿入され得る。付加的に、ガイドチューブおよび直線化チューブアセンブリ50、60の挿入中は、手術具シャフト28および手術具遠位端26を有する手術具もまた、ガイドチューブ50内部に収容され得る。いくつかの用途においては、ガイドチューブおよび直線化チューブアセンブリ50、60の挿入中は、ガイドチューブ遠位端56および直線化チューブ遠位端66が、手術具遠位端26と軸方向に整列される。
【0059】
図10に示すように、ガイドチューブおよび直線化チューブアセンブリ50、60は、ガイドチューブ遠位端56および直線化チューブ遠位端66が作業チャンネル遠位端19と軸方向に整列されるまで、作業チャンネル18を通じて挿入される。この位置において、手術具遠位端26も、ガイドチューブ遠位端56および直線化チューブ遠位端66と軸方向に整列される。この待機位置において、直線化チューブ60の前方並進は制限されるが、しかしながら、ガイドチューブ50および手術具20は、図11に示すように、静止した直線化チューブ60に対して軸方向に縦一列でまたは独立して並進され得る。ガイドチューブ遠位端56および直線化チューブ遠位端66の前方並進は、手動のアクチュエータまたはチューブに結合された電気機械式伝動装置リンケージによって制御される。ガイドチューブ遠位端56および直線化チューブ遠位端66は、直線化チューブの遠位端にある開口部から軸方向に進行するので、ガイドチューブ50の湾曲した作業端部54は、自身の好適な偏向位置の予め成形された湾曲に戻る。いくつかの用途においては、直線化チューブ遠位端66が、ガイドチューブおよび手術具の操作をさらに行うために、作業チャンネル遠位端19を越えて手術野内に延び得る。
【0060】
ガイドチューブ角53は、直線化チューブ60に対するガイドチューブの湾曲した作業端部54の軸方向位置に作用する。ガイドチューブ50が直線化チューブ60から離れて前方に進行すると、ガイドチューブ角53は、湾曲した作業端部54が十分に偏向された湾曲形状をとるまで増加する。ガイドチューブ50が直線化チューブ60に対してリトラクトされる時には、ガイドチューブ角53は、湾曲した作業端部54が直線化チューブ60内に引き込まれるので、いくつかの実施形態においては、限界値ゼロに向かって減少する。
【0061】
ガイドチューブ50が所望の位置に並進および回転されたら、例えば図12に示すように、手術具20は、ガイドチューブ50を通じて手術具シャフト28を軸方向に並進させることで配備され得る。手術具シャフト28のそのような並進により、図13に示すように、手術具遠位端26をガイドチューブ遠位端56を越えて突出させる。さらなる実施形態においては、手術具遠位端26がガイドチューブ50に対して軸方向に並進可能にならないように、手術具遠位端26がガイドチューブ遠位端56に固定される。
【0062】
図14~15に示すように、ガイドチューブは、手術具遠位端26を所望の場所まで操作するために手術具シャフト28の軸方向位置を動かしながら、その後に回転および/または並進され得る。直線化チューブ60に対してガイドチューブ50を回転および並進させる能力が、ガイドチューブ50に対して手術具シャフト28を並進させる能力と組み合わさると、レンズ32の視野内部での手術用エンドエフェクタの操舵性を強化するための多様な自由度を技術的解決策にもたらす。
【0063】
図16~19を参照すると、いくつかの用途においては、ガイドチューブ遠位端56および直線化チューブ遠位端66の軸方向並進を作業チャンネルの遠位端において停止するのが望ましい。軸止め部80が、直線化チューブ60の上に配置されるかまたはこれに連結され得る。軸止め部80は、直線化チューブ60の近位端から放射状に突出する環状フランジを含む多くの形態をとることができる。図17に示すように、直線化チューブ遠位端66が、作業チャンネルの遠位端と軸方向に整列される時に、軸止め部80が、装置上の対応する機械構造体に干渉する。直線化チューブ60の前進を制限するために軸止め部80に係合する構造体は、いくつかの実施形態においては、作業チャンネルの近位端82上の段部を含み得る。軸止め部80が、作業チャンネル近位端に接近して接触場所84で接触する時に、直線化チューブ60の前進が停止される。直線化チューブ60が軸止め部80によって前進を制限される位置から、ガイドチューブ近位端は、静止した直線化チューブ60に対して自由に前方に進行され得るので、これにより、図18に示すように、湾曲した作業端部54および手術具遠位端26が共に直線化チューブ遠位端66から進行できるようにする。ガイドチューブの湾曲した作業端部54が所望の定位に到達したら、手術具シャフト28を前方に並進させることによって、手術具遠位端26がガイドチューブ遠位端56からリトラクトされ得る。同様に、手術具シャフト28の並進方向を逆にすることで、手術具遠位端26がガイドチューブ54に対して後退され得る。
【0064】
さらなる実施形態においては、図20および21に示すように、直線化チューブ60上の軸止め部80は、ガイドチューブ50および直線化チューブ60の前方への軸方向並進を停止するために、作業チャンネル外側の構造体83に係合する。軸止め部80が構造体83に接触する時に、直線化チューブ60の前方並進が停止される。いくつかの実施形態においては、軸止め部80および構造体83の相対的場所は、接触が行われる時に、直線化チューブ遠位端66およびガイドチューブ遠位端56が作業チャンネル遠位端19と軸方向に整列されるよう位置付けられる。この位置から、ガイドチューブ50が前方に並進されて、ガイドチューブの湾曲した作業端部を延ばして、手術具遠位端26を配備し得る。
【0065】
いくつかの用途においては、手術手技中に、内視鏡、切除鏡またはトロカールを取り外すことなく、デバイスが患者の体内に位置している間に、作業チャンネルを通じて内視鏡、切除鏡またはトロカールから手術具を取り外すことが望ましい。例えば、オペの異なる段階のために、異なる手術具が必要になり得る。これに対応するために、いくつかの実施形態においては、本発明は、チューブ列に結合された伝動装置92を含む同心チューブロボット装置90を提供する。チューブ列は、湾曲した作業端部54が直線化チューブ60内に収容されるガイドチューブ50を含む。チューブ列が、内視鏡、切除鏡またはトロカール上の作業チャンネル内にまたはそこから軸方向に挿抜され得るように、ガイドチューブ50は、直線化チューブ60によって少なくとも部分的に直線状にされる。
【0066】
同心チューブロボット装置90はまた、シャフトおよびエンドエフェクタがガイドチューブ50内に収容される手術具も含む。ガイドチューブ50は、直線化チューブ60に対して軸方向に並進および回転され得る。ガイドチューブ50の軸方向並進および回転は、ガイドチューブ並進駆動部94aおよびガイドチューブ回転駆動部96aによって駆動される。ガイドチューブ並進駆動部94aおよびガイドチューブ回転駆動部96aの各々は、伝動装置92内部でガイドチューブ50に機械的に結合される。ガイドチューブ並進駆動部94aは、直線化チューブ60に対するガイドチューブ50の軸方向並進を制御する。ガイドチューブ回転駆動部96aは、直線化チューブ60に対するガイドチューブ50の角度方向回転を制御する。各ガイドチューブ駆動部は、手動でまたはギアボックスまたはモータなどの電気機械式アクチュエータを用いて駆動され得る。
【0067】
図22および23にも示すように、いくつかの実施形態においては、伝動装置92はまた、手術具並進駆動部94bおよび手術具回転駆動部96bも含む。ガイドチューブ50に対する手術具20の軸方向並進および回転が、並進駆動部94bおよび回転駆動部96bによってそれぞれ制御される。
【0068】
手術具を取り替えるのが望ましい時には、作業チャンネルからチューブ列を摺動することによって、取り外し可能カートリッジを形成する取り外し可能同心チューブロボット装置90が単一ユニットとしてデバイスから取り外され得る。取り外し中、直線化チューブ60は、長手方向作業チャンネルを通じたチューブ列の取り外しを円滑にするために十分に、ガイドチューブの湾曲した作業端部を拘束するよう動作可能である。図24に示すように、第2の同心チューブロボット装置が、内視鏡、切除鏡またはトロカールの近位端にある挿入口72を通じて挿入され得る。挿入口72は、同心チューブロボット装置90上でチューブ列および手術具アセンブリの挿入のための開口部を提供する。いくつかの実施形態においては、挿入口72は、第1および第2傾斜74a、74bを含む傾斜面を含む。他の実施形態においては、挿入口72は、作業チャンネル18内におよびこれを通じて挿入するために、作業チャンネル長手方向軸36に沿って正確な場所にチューブ列の遠位先端部を供給するように成形された軸対称ファンネルを含む。
【0069】
図25および26を参照すると、付加的な実施形態においては、内視鏡、切除鏡またはトロカールは、中空内部を伴うシャフト12を含む。シャフト12は、シャフト12を通じて長手方向に延びるロッドレンズまたは光ファイバーなどの光学素子34を受け取る。代替的に、光学素子34は、レンズ32を含む作業チャンネルの遠位端上に位置する先端部にチップ(chip-tip)を配したスタイルのカメラへのケーブルを含むことができる。いくつかの実施形態においては、作業チャンネルは、光学素子34の下にあるシャフト上の内部領域を通じて定められ得る。他の実施形態においては、作業チャンネルは、カニューレ、すなわちシャフト12の中空内部に位置する作業チャンネルインサート17aにおいて定められる。付加的に、図26に示すように、いくつかの用途においては、手術具遠位端26a、26bがレンズ32の視野内に位置付けられる2つの手術具を含むことが望ましい。各手術具は、対応するガイドチューブ内に収容される。第1手術具遠位端26aおよび術具シャフト28aは、第1ガイドチューブの湾曲した作業端部54aから延びる。第2手術具遠位端26bおよび術具シャフト28bは、第2ガイドチューブの湾曲した作業端部54bから延びる。図26に示すように、第1および第2チューブ列は、作業チャンネルインサート遠位端19aを有する作業チャンネルインサート17a内に形成された別々の作業チャンネル内に位置する。第1チューブ列は、第1直線化チューブ遠位端66aが作業チャンネルインサート17aの遠位端19aと軸方向に整列された直線化チューブを含む。同様に、第2チューブ列は、第2直線化チューブ遠位端66bが作業チャンネルインサート17aの遠位端19aと軸方向に整列された直線化チューブを含む。したがって、第1および第2直線化チューブ遠位端66a、66bは、作業チャンネルインサートの遠位端で作業チャンネル開口部から延びることはない。第1ガイドチューブの湾曲した作業端部54aは、第1直線化チューブ遠位端66aから突出し、第2ガイドチューブの湾曲した作業端部54bは、第2直線化チューブ遠位端66bから突出する。各ガイドチューブおよび直線化チューブは、回転および並進され得る。いくつかの実施形態においては、各ガイドチューブおよび直線化チューブは、共に回転され得る。第1手術具遠位端26aは、第1ガイドチューブの湾曲した作業端部54aの内外で並進され、第2手術具遠位端26bは、第2ガイドチューブの湾曲した作業端部54bの内外で並進され得る。
【0070】
第1および第2チューブ列を伴うシャフトの実施形態の部分断面図を図27および28に示す。図27を参照すると、第1チューブ列40aは、第1作業チャンネル18a内に挿入され、第2チューブ列40bは、第2作業チャンネル18b内に挿入される。第1および第2チューブ列40a、40bは各々、直線化チューブ60a、60b、ガイドチューブ50a、50bおよび手術具20a、20bをそれぞれ含む。第1および第2チューブ列40a、40bは、他方とは独立して挿抜され得る。いくつかの実施形態においては、第1チューブ列40aの第1直線化チューブ60aは、第1直線化チューブ遠位端66aが作業チャンネル遠位端19と整列される位置まで挿入され得る。この位置から、第1ガイドチューブ遠位端56aおよび第1手術具遠位端26aは、第1直線化チューブ遠位端66aを越えて並進されて、第1の湾曲した作業端部および第1手術具エンドエフェクタを配備し得る。同様に、第2チューブ列40bの第2直線化チューブ60bは、第2直線化チューブ遠位端66bが作業チャンネル遠位端と整列される位置まで挿入され得る。この位置から、第2ガイドチューブ遠位端56bおよび第2手術具遠位端26bは、第2直線化チューブ遠位端66bを越えて並進されて、第2の湾曲した作業端部および第2手術具エンドエフェクタを配備し得る。
【0071】
さらに図29を参照すると、いくつかの実施形態においては、低侵襲手術を行うためのデバイスは、シャフトライナー13を含むシャフト12を含む。プレナム21が、シャフト12とシャフトライナー13との間に定められる。いくつかの実施形態においては、プレナム21は、吸引または注水のための管路として使用される。第1および第2作業チャンネル18a、18bは、シャフト内部に定められる。第1チューブ列は、第1作業チャンネル18a内に挿入され、第2チューブ列は、第2作業チャンネル18b内に挿入される。第1チューブ列は、第1直線化チューブ60a、および第1直線化チューブ内部に少なくとも部分的に位置する第1ガイドチューブ50aを含む。第1ガイドチューブは、第1直線化チューブ60aに対して軸方向に並進可能で角度方向に回転可能の両方である第1の湾曲した作業端部54aを含む。第1ガイドチューブ50aは、第1手術具遠位端26aの位置付けを操舵するために誘導を行う。第1ガイドチューブ50aの軸方向位置および角度方向位置に応じて、第1手術具遠位端26aは、3次元空間において正確に再配置され得る。
【0072】
第2チューブ列は、第2直線化チューブ60b、および第2直線化チューブ内部に少なくとも部分的に位置する第2ガイドチューブ50bを含む。第2ガイドチューブは、軸方向に並進可能で角度方向に回転可能の両方である第2の湾曲した作業端部54bを含む。第2ガイドチューブ50bは、第2手術具遠位端26bの位置付けを操舵するために誘導を行う。第2ガイドチューブ50bの軸方向位置および角度方向位置に応じて、第2手術具遠位端26bは、3次元空間において正確に再配置され得る。
【0073】
図29に示すように、いくつかの実施形態においては、第1および第2直線化チューブ遠位端66a、66bは、第1および第2作業チャンネルの遠位端19を越えて延びることはない。いくつかの他の実施形態においては、第1および第2直線化チューブ遠位端66a、66bは、第1および第2作業チャンネルの遠位端19を越えてわずかに延びるが、フード15の遠位端を越えて延びることはない。
【0074】
さらなる実施形態においては、本発明は、手術手技を行う方法を含み、(a)湾曲した先端部を伴うガイドチューブおよび直線化チューブを含む同心チューブロボットを提供する、(b)ガイドチューブの湾曲した先端部を直線化チューブ内部に位置付ける、(c)ガイドチューブおよび直線化チューブを内視鏡シャフト上の作業チャンネル内に共に挿入する、(d)ガイドチューブを直線化チューブに対して並進させてガイドチューブの湾曲した作業端部を配備する、(e)ガイドチューブの湾曲した作業端部を通じて手術具を手術部位まで並進させる、というステップを含む。方法は、ガイドチューブを直線化チューブに対して回転させて、手術具を再配置するステップをさらに含む。いくつかの実施形態においては、方法は、ガイドチューブの湾曲した作業端部を直線化チューブ内にリトラクトさせて、チューブ列を作業チャンネルから取り外すステップをさらに含む。
【0075】
したがって、本明細書ではロボット手術のための新たな有用なデバイスおよび方法の本発明の特定の実施形態について説明してきたが、そのような参照は、以下の特許請求の範囲における記述を除いて本発明の範囲に対する制限としてみなされることは意図されない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29