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特許7486275内視鏡的粘膜下層剥離術のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】内視鏡的粘膜下層剥離術のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20240510BHJP
   A61B 17/128 20060101ALI20240510BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61B17/122
A61B17/128
A61B17/94
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021568273
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 US2020030907
(87)【国際公開番号】W WO2020231646
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】62/848,668
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】カミーサ, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】マルドゥーン, ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】カー, ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン, ロリー
(72)【発明者】
【氏名】ウォード, シェーン
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特許第5750619(JP,B2)
【文献】特開2013-085859(JP,A)
【文献】特表2003-513737(JP,A)
【文献】特開2015-192725(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235402(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/227592(WO,A1)
【文献】特開2015-192724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122
A61B 17/128
A61B 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用クリップであって、
内側本体と、
前記内側本体に連結され、開放構成と閉鎖構成との間で移動してそれらの間に組織を把持するように構成された第1及び第2のジョー部材と、
前記内側本体に移動可能に連結され、かつ前記第1のジョー部材の近位端部分に隣接して配設された解放レバーであって、前記解放レバーが、前記第1のジョー部材の前記近位端部分と係合可能であり、前記第1のジョー部材の遠位端部分を前記第2のジョー部材の遠位端部分から離れるように移動させる、解放レバーと
備え、前記解放レバーが作動されるときに、前記第2のジョー部材が、前記内側本体に対して固定位置に留まる、外科用クリップ。
【請求項2】
前記解放レバーが、位端部分を含み、前記解放レバーは、前記内側本体のスロット内に受容される、請求項1に記載の外科用クリップ。
【請求項3】
前記内側本体の周りに配設された外側本体を更に備え、前記外側本体が、前記内側本体内に画定された前記スロットと重なるスロットを画定する部分を有し、前記外側本体の少なくとも前記分が、楕円形の横断面形状を有する、請求項2に記載の外科用クリップ。
【請求項4】
前記解放レバーが、T字形構成を有し、前記内側本体が、前記解放レバーが受容されるT字形スロットを画定する、請求項1に記載の外科用クリップ。
【請求項5】
前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記内側本体内に画定された長手方向に延在するチャネル内に移動可能に受容される、請求項1に記載の外科用クリップ。
【請求項6】
前記チャネルが、拡大近位端部分を有し、前記第1及び第2のジョー部材が前記閉鎖構成にあるときに、前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記拡大近位端部分に受容される、請求項に記載の外科用クリップ。
【請求項7】
前記解放レバーが、前記チャネルの前記近位端部分に受容されたタブを有する、請求項に記載の外科用クリップ。
【請求項8】
前記第1のジョー部材の前記遠位端部分が、前記第1のジョー部材の前記近位端部分が前記チャネルの遠位端部分を通って近位方向に移動するときに、前記第2のジョー部材の前記遠位端部分に向かって移動する、請求項に記載の外科用クリップ。
【請求項9】
前記第1及び第2のジョー部材は、前記第1及び第2のジョー部材が前記閉鎖構成において選択的に固定される近位位置と、前記第1及び第2のジョー部材が前記開放構成にある遠位位置との間で、前記チャネルを通って移動するように構成されている、請求項に記載の外科用クリップ。
【請求項10】
前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記第1のジョー部材から横方向に延在し、前記チャネル内に少なくとも部分的に受容される、請求項に記載の外科用クリップ。
【請求項11】
前記第1及び第2のジョー部材で軸方向に拘束され、前記内側本体内で軸方向に摺動可能な枢動部材を更に備え、前記枢動部材の後退が、前記第1及び第2のジョー部材を接近させ、前記枢動部材の前進が、前記第1及び第2のジョー部材を互いから離れるように移動させる、請求項1に記載の外科用クリップ。
【請求項12】
内視鏡的粘膜下層剥離術を行うための外科用システムであって、
スネアと、
外科用クリップであって、
スロットを画定する内側本体と、
前記内側本体内に少なくとも部分的に受容され、開放構成と閉鎖構成との間で移動して、それらの間に組織を把持するように構成された第1及び第2のジョー部材と、
前記内側本体に移動可能に連結され、前記内側本体の前記スロットを介して前記スネアによって作動されるように構成された解放レバーであって、前記第1のジョー部材が、前記解放レバーを作動させる前記スネアに反応して、前記第2のジョー部材の遠位端部分から離れる方向に移動するように構成された遠位端部分を有する、解放レバーと
含む外科用クリップと
備える、外科用システム。
【請求項13】
前記第1のジョー部材が、前記内側本体内に画定されたチャネル内に移動可能に受容される近位端部分を含む、請求項12に記載の外科用システム。
【請求項14】
前記チャネルが、拡大近位端部分を有し、前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記第1及び第2のジョー部材が前記閉鎖構成にあるときに、前記拡大近位端部分に受容される、請求項13に記載の外科用システム。
【請求項15】
前記第1及び第2のジョー部材は、前記第1及び第2のジョー部材が前記閉鎖構成において解放可能に固定される近位位置と、前記第1及び第2のジョー部材が前記開放構成にある遠位位置との間で、前記チャネルを通って移動するように構成されている、請求項13に記載の外科用システム。
【請求項16】
前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記第1のジョー部材から横方向に延在し、前記チャネル内に少なくとも部分的に受容される、請求項13に記載の外科用システム。
【請求項17】
前記解放レバーが前記スネアによって作動されるときに、前記第2のジョー部材が、前記内側本体に対して固定位置に留まる、請求項12に記載の外科用システム。
【請求項18】
内視鏡的粘膜下層剥離術を行うために展開されるように構成されている外科用クリップであって、
内側本体と、
前記内側本体に連結された一対のジョーであって、前記一対のジョーは、第1のジョー部材と第2のジョー部材とを含み、前記一対のジョーは、組織の周囲に接近させられるように構成されている一対のジョーと、
作動させられるように構成されている放レバーであって、前記解放レバーが、前記第1のジョー部材を前記第2のジョー部材から離れるように枢動させて、前記第1及び第2のジョー部材から前記組織を解放する、解放レバーと
を備え、前記解放レバーが作動されるときに、前記第2のジョー部材が、前記内側本体に対して固定位置に留まる、外科用クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年5月16日に出願された米国仮特許出願第62/848,668号の利益及びそれに対する優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
(発明の分野)
【0002】
本技術は、概して、内視鏡的粘膜下層剥離術で使用される外科用クリップに関連する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡的剥離術は、他の治療選択肢に対して低減された侵襲性及びより低いコストにより、早期のGIがんの治療のための第1の選択肢として受け入れられている。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、サイズ、粘膜下層における重篤な線維症の存在、及び病変の位置にかかわらず、一括切除及び正確な組織病理学的診断を可能にする。ESDの利点のうちの1つは、内視鏡粘膜切除と比較して、より低い再発率である。いくつかのESD手順の間、外科用クリップのジョー部材は、組織に係合される。剥離を実施した後、ジョー部材は、組織から分離される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本開示は、内側本体と、内側本体に連結された第1及び第2のジョー部材と、解放レバーと、を含む、外科用クリップを提供する。第1及び第2のジョー部材は、開放構成と閉鎖構成との間で移動して、それらの間に組織を把持するように構成されている。解放レバーは、内側本体に移動可能に連結され、第1のジョー部材の近位端部分に隣接して配設される。解放レバーは、第1のジョー部材の近位端部分と係合可能であり、第1のジョー部材の遠位端部分を第2のジョー部材の遠位端部分から離れるように移動させる。
【0005】
態様では、解放レバーは、内側本体内に画定されたスロットを介してアクセス可能な近位端部分を含み得る。
【0006】
態様では、解放レバーは、内側本体に枢動可能に連結された遠位端部分を有し得、解放レバーの近位端部分は、その遠位端部分の周りを枢動するように構成され得る。
【0007】
態様では、外科用クリップは、内側本体の周囲に配設された外側本体を更に含み得る。外側本体は、内側本体のスロットに重なるスロットを画定する部分を有し得る。外側本体の少なくとも一部分は、楕円形の横断面形状を有し得る。
【0008】
態様では、解放レバーはT字形構成を有し得、内側本体は、解放レバーが受容されるT字形スロットを画定し得る。
【0009】
態様では、第1のジョー部材の近位端部分は、内側本体内に画定された長手方向に延在するチャネル内に移動可能に受容される。
【0010】
態様では、チャネルは、第1及び第2のジョー部材が閉鎖構成にあるときに第1のジョー部材の近位端部分が受容される拡大近位端部分を有し得る。
【0011】
態様では、解放レバーは、チャネルの近位端部分に受容されたタブを有し得る。
【0012】
態様では、チャネルは遠位端部分を有し得る。第1のジョー部材の遠位端部分は、第1のジョー部材の近位端部分がチャネルの遠位端部分を通って近位方向に移動する際に、第2のジョー部材の遠位端部分に向かって移動し得る。
【0013】
態様では、第1及び第2のジョー部材は、第1及び第2のジョー部材が閉鎖構成で選択的に固定される近位位置と、第1及び第2のジョー部材が開放構成にある遠位位置との間でチャネルを通って移動するように構成され得る。
【0014】
態様では、第1のジョー部材の近位端部分は、第1のジョー部材から横方向に延在し、チャネル内に少なくとも部分的に受容され得る。
【0015】
態様では、外科用クリップは、第1及び第2のジョー部材で軸方向に拘束され、かつ内側本体内で軸方向に摺動可能な枢動部材を更に含み得、その結果、枢動部材の後退は、第1及び第2のジョー部材を接近させ、枢動部材の前進は、第1及び第2のジョー部材を互いから離れるように移動させる。
【0016】
態様では、解放レバーが作動されるときに、第2のジョー部材は、内側本体に対して固定位置に留まり得る。
【0017】
本開示の別の態様によれば、内視鏡的粘膜下層剥離術を行うための外科用システムが提供される。システムは、スネア及び外科用クリップを含む。外科用クリップは、内側本体と、第1及び第2のジョー部材と、解放レバーと、を含む。内側本体はスロットを画定し、第1及び第2のジョー部材は、内側本体内に少なくとも部分的に受容される。第1及び第2のジョー部材は、開放構成と閉鎖構成との間で移動して、それらの間に組織を把持するように構成されている。解放レバーは、内側本体に移動可能に連結され、内側本体のスロットを介してスネアによって作動されるように構成されている。第1のジョー部材は、解放レバーを作動させるスネアに反応して第2のジョー部材の遠位端部分から離れるように移動するように構成された遠位端部分を有する。
【0018】
態様では、第1のジョー部材は、内側本体内に画定されたチャネル内に移動可能に受容される近位端部分を含み得る。
【0019】
態様では、チャネルは、第1及び第2のジョー部材が閉鎖構成にあるときに第1のジョー部材の近位端部分が受容される拡大近位端部分を有し得る。
【0020】
態様では、第1及び第2のジョー部材は、第1及び第2のジョー部材が閉鎖構成で解放可能に固定される近位位置と、第1及び第2のジョー部材が開放構成にある遠位位置との間でチャネルを通って移動するように構成され得る。
【0021】
態様では、第1のジョー部材の近位端部分は、第1のジョー部材から横方向に延在し、チャネル内に少なくとも部分的に受容され得る。
【0022】
態様では、解放レバーがスネアによって作動されるときに、第2のジョー部材は、内側本体に対して固定位置に留まり得る。
【0023】
本開示の更に別の態様によれば、内視鏡的粘膜下層剥離術を行うための方法が提供される。この方法は、外科用クリップを展開することと、外科用クリップの一対のジョーを組織の周りに接近させることと、外科用クリップの解放レバーを作動させることと、を含み、解放レバーは、第1のジョー部材を第2のジョー部材から離れる方向に枢動させて、第1及び第2のジョー部材から組織を解放する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用クリップであって、
内側本体と、
前記内側本体に連結され、開放構成と閉鎖構成との間で移動してそれらの間に組織を把持するように構成された第1及び第2のジョー部材と、
前記内側本体に移動可能に連結され、かつ前記第1のジョー部材の近位端部分に隣接して配設された解放レバーであって、前記解放レバーが、前記第1のジョー部材の前記近位端部分と係合可能であり、前記第1のジョー部材の遠位端部分を前記第2のジョー部材の遠位端部分から離れるように移動させる、解放レバーと、を備える、外科用クリップ。
(項目2)
前記解放レバーが、前記内側本体内に画定されたスロットを介してアクセス可能な近位端部分を含む、項目1に記載の外科用クリップ。
(項目3)
前記解放レバーが、前記内側本体に枢動可能に連結された遠位端部分を有し、前記解放レバーの前記近位端部分が、その前記遠位端部分の周りを枢動するように構成されている、項目2に記載の外科用クリップ。
(項目4)
前記内側本体の周りに配設された外側本体を更に備え、前記外側本体が、前記内側本体内に画定された前記スロットと重なるスロットを画定する部分を有し、前記外側本体の少なくとも前記一部分が、楕円形の横断面形状を有する、項目2に記載の外科用クリップ。
(項目5)
前記解放レバーが、T字形構成を有し、前記内側本体が、前記解放レバーが受容されるT字形スロットを画定する、項目1に記載の外科用クリップ。
(項目6)
前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記内側本体内に画定された長手方向に延在するチャネル内に移動可能に受容される、項目1に記載の外科用クリップ。
(項目7)
前記チャネルが、拡大近位端部分を有し、前記第1及び第2のジョー部材が前記閉鎖構成にあるときに、前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記拡大近位端部分に受容される、項目6に記載の外科用クリップ。
(項目8)
前記解放レバーが、前記チャネルの前記近位端部分に受容されたタブを有する、項目7に記載の外科用クリップ。
(項目9)
前記第1のジョー部材の前記遠位端部分が、前記第1のジョー部材の前記近位端部分が前記チャネルの遠位端部分を通って近位方向に移動するときに、前記第2のジョー部材の前記遠位端部分に向かって移動する、項目6に記載の外科用クリップ。
(項目10)
前記第1及び第2のジョー部材は、前記第1及び第2のジョー部材が前記閉鎖構成において選択的に固定される近位位置と、前記第1及び第2のジョー部材が前記開放構成にある遠位位置との間で、前記チャネルを通って移動するように構成されている、項目6に記載の外科用クリップ。
(項目11)
前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記第1のジョー部材から横方向に延在し、前記チャネル内に少なくとも部分的に受容される、項目6に記載の外科用クリップ。
(項目12)
前記第1及び第2のジョー部材で軸方向に拘束され、前記内側本体内で軸方向に摺動可能な枢動部材を更に備え、前記枢動部材の後退が、前記第1及び第2のジョー部材を接近させ、前記枢動部材の前進が、前記第1及び第2のジョー部材を互いから離れるように移動させる、項目1に記載の外科用クリップ。
(項目13)
前記解放レバーが作動されるときに、前記第2のジョー部材が、前記内側本体に対して固定位置に留まる、項目1に記載の外科用クリップ。
(項目14)
内視鏡的粘膜下層剥離術を行うための外科用システムであって、
スネアと、
外科用クリップであって、
スロットを画定する内側本体と、
前記内側本体内に少なくとも部分的に受容され、開放構成と閉鎖構成との間で移動して、それらの間に組織を把持するように構成された第1及び第2のジョー部材と、
前記内側本体に移動可能に連結され、前記内側本体の前記スロットを介して前記スネアによって作動されるように構成された解放レバーであって、前記第1のジョー部材が、前記解放レバーを作動させる前記スネアに反応して、前記第2のジョー部材の遠位端部分から離れる方向に移動するように構成された遠位端部分を有する、解放レバーと、を含む外科用クリップと、を備える、外科用システム。
(項目15)
前記第1のジョー部材が、前記内側本体内に画定されたチャネル内に移動可能に受容される近位端部分を含む、項目14に記載の外科用システム。
(項目16)
前記チャネルが、拡大近位端部分を有し、前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記第1及び第2のジョー部材が前記閉鎖構成にあるときに、前記拡大近位端部分に受容される、項目15に記載の外科用システム。
(項目17)
前記第1及び第2のジョー部材は、前記第1及び第2のジョー部材が前記閉鎖構成において解放可能に固定される近位位置と、前記第1及び第2のジョー部材が前記開放構成にある遠位位置との間で、前記チャネルを通って移動するように構成されている、項目15に記載の外科用システム。
(項目18)
前記第1のジョー部材の前記近位端部分が、前記第1のジョー部材から横方向に延在し、前記チャネル内に少なくとも部分的に受容される、項目15に記載の外科用システム。
(項目19)
前記解放レバーが前記スネアによって作動されるときに、前記第2のジョー部材が、前記内側本体に対して固定位置に留まる、項目14に記載の外科用システム。
(項目20)
内視鏡的粘膜下層剥離術を行う方法であって、
外科用クリップを展開することと、
前記外科用クリップの一対のジョーを組織の周囲に接近させることと、
前記外科用クリップの解放レバーを作動させることであって、前記解放レバーが、前記第1のジョー部材を前記第2のジョー部材から離れるように枢動させて、前記第1及び第2のジョー部材から前記組織を解放することと、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の外科用クリップの目的及び特徴は、添付の図面を参照して様々な実施形態の説明を読むことにより、当業者には明白になるであろう。
【0025】
図1】ハンドルアセンブリと、可撓性シャフトと、可撓性シャフトの遠位端部分に連結された外科用クリップと、を含む、手持ち式外科用器具の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【0026】
図2】外側本体が取り外された、図1の外科用クリップを示す側面斜視図である。
【0027】
図3A図1の外科用クリップの外側本体及び解放レバーの側面図である。
【0028】
図3B図1の外科用クリップの内側本体及び解放レバーの側面図である。
【0029】
図3C図1の外科用クリップの内側本体及び解放レバーの上面図である。
【0030】
図4図1の外科用クリップと、組織から外科用クリップを解放するためのスネアと、を含む、外科用システムを示す斜視図である。
【0031】
図5図1の外科用クリップの外側本体の別の態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、概して、管状本体と、管状体に受容され、かつ管状本体から展開可能な一対のジョー部材と、ジョー部材のうちの1つを選択的にロック解除するための解放機構と、を含む、外科用クリップを対象とする。ジョー部材が組織の周りで閉じられてロック状態にあるときに、ジョー部材は、解放機構を起動させることによってロック状態から解放され得る。本開示の上記及び他の態様を本明細書において以下でより詳細に説明する。
【0033】
図1は、外科用クリップ100を展開するための手持ち式外科用器具10を示す。外科用器具10は、一般に、ハンドルアセンブリ又はアクチュエータ11と、ハンドルアセンブリ11から遠位に延在するシャフト12と、シャフト12の遠位端部分14に取り外し可能に連結された外科用クリップ100と、を含む。いくつかの態様では、クリップ100が手持ち式器具から展開可能である代わりに、クリップ100は外科用ロボットアームから展開され得る。
【0034】
外科用器具10は、例えば、シャフト12内で軸方向に移動可能な牽引具(図示せず)などの作動機構を含む。牽引具は、トリガ15の作動が牽引具を近位に並進させるように、ハンドルアセンブリ11のトリガ15に動作可能に連結された近位端を有し得る。牽引具は、外科用クリップ100に取り外し可能に連結された遠位端を有し得、そのため、牽引具の近位並進は、後で説明するように、外科用クリップ100を開放構成から閉鎖構成に移動させる。外科用器具10は、駆動ロッド又は駆動チューブなどの、外科用クリップ100を展開するための任意の好適な作動機構を含み得ることが想定されている。
【0035】
図2図3Cを参照すると、外科用クリップ100は、管状外側本体102と、外側本体102内に受容された管状内側本体104と、を有する。外側本体102は、シャフト12の遠位端14に取り外し可能に連結されるように構成されている。態様では、シャフト12は、外側本体102に連結された解放ラッチ(図示せず)と、解放ラッチを作動させてシャフト12から外科用クリップ100を展開するための作動機構(例えば、牽引ロッド、図示せず)と、を有し得る。外側本体102は中空内部を有し、中空内部へのアクセスを提供するスロット106(図3A)を画定している。内側本体104は、その管状壁112に第1及び第2の長手方向に延在するチャネル108、110を画定している。いくつかの実施形態では、第1及び第2のチャネル108、110は接合され得、それによって、図3Bに示すように、1つの連続チャネルを形成し得る。チャネル108、110は、T形状構成を協働的に画定し得、チャネル108、110の各々は、拡大された近位端部分108a、110a及び遠位端部分108b、110bを有する。内側本体104の管状壁112は、以下で更に説明するように、第1のジョー部材120の近位端部分120aが第1のチャネル108の近位端部分108aに受容されたときに、第1のジョー部材120の近位端部分120aの前進に抵抗するように構成された停止面114を有する。遠位方向において、チャネル108、110の各々の遠位端部分108b、110bは、図2に示されるように、内側本体104の長手方向中心軸から離れるように延在し得る。
【0036】
外科用クリップ100は、内側本体104に連結された第1及び第2のジョー部材120、122を含む。第1及び第2のジョー部材120、122の各々は、内側本体104の中空内部に摺動可能に受容された近位端部分120a、122aと、内側本体102の遠位に配設された遠位端部分120b、122bとを有する。ジョー部材120、122の遠位端部分120、122bは、ジョー部材120、122の間に組織を把持するのを支援するための歯(図示せず)を画定し得る。ジョー部材120、122は、個々のジョー部材120、122の形状及び構造により、開放構成に向かって弾性的に付勢されている。例えば、ジョー部材120、122の各々は、互いから離れる方向に外向きに湾曲され得る。いくつかの態様では、ジョー部材120、122は、付勢部材(図示せず)によって開放構成に向かって弾性的に付勢され得る。あるいは、ジョー部材120、122は、弾性付勢を有しない場合がある。
【0037】
ジョー部材120、122は、ジョー部材120、122の遠位端部分120b、122bが接近される近位位置と、ジョー部材120、122の遠位端部分120b、122bが互いに離間している遠位位置とから、内側本体104に対して軸方向に移動可能である。それぞれのジョー部材120、122の近位端部分120a、122aは、それらの間に配設された枢動部材128によって分離されたままである。枢動部材128は、ジョー部材120、122の近位端部分120a、122aで軸方向に拘束され、内側本体104内で軸方向に摺動可能であり、そのため、ジョー部材120、122は、枢動部材128とともに後退及び前進する。枢動部材128は、牽引具の遠位端部分に取り外し可能に連結され、牽引具によって内側本体104に対して軸方向に移動可能であり得る。
【0038】
それぞれの第1及び第2のジョー部材120、122の近位端部分120a、122aは、そこから横方向に延在するタブ又は付属物130、132を有する。第1及び第2のジョー部材120、122の各々のタブ130、132は、内側本体104のそれぞれのチャネル108、110内に受容される。ジョー部材120、122の各々の近位端部分120a、122aが内側本体104内で並進されると、タブ130、132は、タブ130、132がチャネル108,110の近位端部分108a、110aの拡大セクション134、136に受容される近位位置と、タブ130、132がチャネル108、110の傾斜した遠位端部分108b、110bに受容される遠位位置との間を、それぞれのチャネル108、110を通って移動する。
【0039】
外科用クリップ100の内側本体104に連結された解放レバー124、は、T形状構成を採り、内側本体104の管状壁112内に画定されたT字形スロット140内に受容される。一部の態様では、解放レバー124は、直線などの任意の好適な形状を採ることができる。解放レバー124は、外側本体102及び内側本体104のスロット106、140を通してそれぞれアクセス可能な近位端部分124aと、内側本体104の管状壁112に枢動可能に連結された(例えば、ヒンジを介して)遠位端部分124bと、を有する。解放レバー124の近位端部分124aは、閾値力を受けると、その遠位端部分124bの周りを枢動可能である。解放レバー124は、第1のチャネル108の近位端部分108aの拡大セクション134に受容される、そこから横方向に延在する、タブ又は付属物142(図2)を有する。タブ142は、解放レバー124の作動に応答して、チャネル108の拡大セクション134から第1のチャネル108の長手方向中心軸に向かって移動するように構成される。
【0040】
図4は、外科用クリップ100及びスネア160を含む外科用システム150を示す。スネア160は、外科用クリップ100の解放レバー124を作動させて、外科用クリップ100のジョー部材120、122を組織から解放するように構成されている。態様では、外科用システム150は、解放レバー124を作動させるための任意の他の好適な外科用装置を含み得る。
【0041】
使用中、外科用クリップ100がシャフト12及びジョー部材120、122に開放構成で連結されている状態で、外科用クリップ100は、組織に隣接して位置付けられる。組織はジョー部材120、122の間に位置付けられ、その際、トリガ15が後退して牽引具を後退させ、ひいては枢動部材128を後退させる。枢動部材128が後退すると、それぞれのジョー部材120、122の近位端部分120a、122aは、内側本体104を通って近位方向に移動され、それによって内側本体104の管状壁112は、ジョー部材120、122に作用してジョー部材120、122を閉鎖構成に向かって移動させる。更に、ジョー部材120、122はまた、それぞれの第1及び第2のジョー部材120、122のタブ130、132が、それぞれのチャネル108、110の遠位端部分108b、110bから近位方向に移動する際に接近する。ジョー部材120、122のタブ130、132がチャネル108、110の近位端部分108a、110aに進入すると、タブ130、132は、チャネル108、110の近位端部分108a、110aの拡大セクション134内へと外向きに屈曲し、それによって損傷部の周囲に、閉鎖構成で、ジョー部材120、122をロックする。
【0042】
組織がジョー部材120、122の間に把持された状態で、牽引具を更に後退させて、ジョー部材120、122から牽引具を取り外すことによって、外科用クリップ100の外側本体102をシャフト12から解放し、外科用クリップ100を所望の位置に残す。シャフト12から外科用クリップ100を解放するための他の機構も想定される。
【0043】
外科用クリップ100の取り外しが所望されるときに、スネア160又は任意の他の好適な把持装置(例えば、鉗子)は、外側本体102のスロット106内に位置付けられ得る。スネア160を締め付けて、スネア160を外側本体102のスロット106を通って内側本体104のスロット140内に通過させ、解放レバー124の近位端部分124aと係合させる。スネア160の更なる締め付けは、解放レバー124の近位端部分124aを内側本体104に対して枢動させ、解放レバー124のタブ142を図2の矢印「A」によって示される方向に移動させる。解放レバー124のタブ142は、第1のジョー部材120のタブ130を駆動し、内側本体104の停止面114から外し、第1のチャネル108の近位端部分108aの拡大セクション134から外す。第1のジョー部材120のタブ130が拡大セクション134から外れるように移動すると、第1のジョー部材120の遠位端部分120bが、図2の矢印「B」によって示される方向に、第2のジョー部材122の遠位端部分122bから離れる方向に枢動させられ、それによってジョー部材120、122の間から組織を解放する。
【0044】
解放レバー124のタブ142は第1のジョー部材120とのみ係合しているため、解放レバー124を作動させると第1のジョー部材120のみが移動する一方、第2のジョー部材122は内側本体104に対して固定位置に留まる。ジョー部材120、122のうちの1つのみが解放されるため、組織からの外科用クリップ100の取り外しが単純化される。更に、解放レバー124の細長い構成は、その応答性を向上させ、解放レバー124を作動させるのに必要な力を最小限に抑える役割を果たす。
【0045】
図5を参照すると、外科用クリップ100の内側本体102(図2)とともに使用するための外側本体202の代替的な態様が示されている。外側本体202は、外側本体202が、例えばスネア160などのスネアと、外側本体202のスロット206とを回転方向で整列させるように構成された楕円形又は長円形の横断面形状を有することを除いて、図3Aの外側本体102と同様である。
【0046】
より具体的には、外側本体202は、第1及び第2の端部202a、202bと、その中にスロット206を画定する中央部分202cとを有する。中央部分202cは、一方がスロット206をその中に画定する一対の対向する幅広側部208a、208bと、一対の対向する幅狭側部210a、210bとを有する。外側本体202は、中央部分202cの幅広側部208a、208bの各々に向かって第1の端部202aから先細になる外側表面212を有し、対向する第1及び第2の傾斜面214a、214bを画定する。外側表面212はまた、中央部分202cの幅広側部208a、208bの各々に向かって第2の端部202bから先細になり、対向する第3及び第4の傾斜面214c、214dを画定する。傾斜面214a、214b、214c、214dは、中央部分202cのスロット206に向かってスネアを案内することによって臨床医を支援する。外側本体202は、楕円形状のハイポチューブの中間部分を圧縮することによって形成され得ることが想定される。態様では、内側本体102(図2)は、楕円形状の横断面を有し得る。
【0047】
使用中、臨床医は、解放レバー124(図3A)に係合するようにスネア160を外側本体202のスロット206内に位置付けることを試み得る。スネア160が、中間部分202cの幅狭側部210a、210b上など、スロット206に対して不適切に位置付けられ、したがってスロット206と位置合わせされない例では、外側本体202は、外科用クリップ100の残りの部分とともに、外側本体202の長手方向軸の周りを90度まで回転させられ、スネア160の長い部分をスロット206と整列させ得る。
【0048】
本明細書に開示される様々な態様は、説明及び添付図面に具体的に提示される組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わせ得ることを理解されたい。また、実施例に応じて、本明細書に記載された任意のプロセス又は方法の特定の行為又は事象は、異なる順序で実行され得、追加、結合、又は完全に省略され得ることも理解されたい(例えば、全ての記載された行為又は事象が、技術を実行するために必要でない場合がある)。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5