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特許7486278マイクロ波MEMSのための高性能スイッチ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】マイクロ波MEMSのための高性能スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 59/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H01H59/00
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016253489
(22)【出願日】2016-12-27
(65)【公開番号】P2017120785
(43)【公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-12-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】62/272,280
(32)【優先日】2015-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503019176
【氏名又は名称】シナジー マイクロウェーブ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Synergy Microwave Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】シバン・ケイ・カウル
(72)【発明者】
【氏名】アジャイ・クマール・ポダー
(72)【発明者】
【氏名】スコマル・デイ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ・エル・ローデ
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】久島 弘太郎
【審判官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-142982(JP,A)
【文献】特開2009-245876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポートと、
前記第1のポートとは異なる1つ又は複数の第2のポートと、
前記第1のポートに接触している第1の端部を有し、前記第1のポートと前記第2のポートとを切替可能に接続できる、前記第1の端部から第2の端部へと延在するカンチレバービームと、
前記カンチレバービームに取り付けられた、機械ばね及び第1の電極と、
前記第1の電極から離間した第2の電極を備えたアクチュエータであって、該第2の電極に印加される電圧によって、前記第1の電極が前記第2の電極に向かって移動するか、または前記第2の電極から遠ざかるものである、第2の電極を備えたアクチュエータと、
を備えてなり、
前記機械ばねは、前記第2のポートに接触している前記カンチレバービームを前記第2のポートから離すように動かす機械的な力を与えるものであり、
前記第1のポートと前記第2のポートと前記カンチレバービームとは、共平面導波路内に形成されている、マイクロ電気機械スイッチ。
【請求項2】
前記スイッチはラテラルスイッチであり、前記機械ばねは前記カンチレバービームを前記アクチュエータの方向に動かす機械的な力を与え、前記機械ばねは静電力によって作動する、請求項1に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項3】
前記機械ばねは、静電力によって作動し、前記カンチレバービームをかす機械的な力を与える、請求項1に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項4】
少なくとも3つの機械ばねを備え、各機械ばねは、前記共平面導波路の平面に対して直交するように上下に前記カンチレバービームを動かす機械的な力を与えるために前記カンチレバービームに接続され、前記3つの機械ばねはY字形構成に配置される、請求項3に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項5】
前記カンチレバービームの撓みは、前記印加される電圧によって少なくとも部分的に決定され、前記アクチュエータは、バイアス線に接続され、前記バイアス線は、チタンタングステンから形成され、二酸化シリコンの層によって前記共平面導波路から分離されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項6】
前記第1のポート、又は前記少なくとも1つの第2のポートは、前記カンチレバービームの前記第2の端部と接触するための機械的ストッパを含み、前記マイクロ電気機械スイッチが開いているとき、前記第2の端部及び前記機械的ストッパは、前記機械ばねと前記共平面導波路の接地との間の距離よりも短い距離にある、請求項1、2及び5のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項7】
少なくとも2つの第2のポートを備え、前記カンチレバービームの前記第1の端部は前記第1のポートと接触しており、前記カンチレバービームの前記第2の端部は前記2つの第2のポートのそれぞれに切替可能に接続可能であり、前記カンチレバービームは少なくとも2つの機械ばねに接続され、各機械ばねは、前記カンチレバービームを前記2つの第2のポートのそれぞれの第2のポートに対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与える、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項8】
3つの第のポート及び少なくとも3つのカンチレバービームを備え、各カンチレバービームの第1の端部は前記第のポートのうちの対応する第のポートと接触しており、各カンチレバービームの第2の端部は前記第2のポートの共通接合部に切替可能に接続可能であり、各カンチレバービームは、それぞれの機械ばねに接続され、該機械ばねは、該機械ばねに接続される前記カンチレバービームを、前記第のポートの前記共通接合部に対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与える、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項9】
4つの第のポート及び少なくとも4つのカンチレバービームを備え、各カンチレバービームの第1の端部は前記第のポートのうちの対応する第のポートと接触しており、各カンチレバービームの第2の端部は、前記第のポートの共通接合部に切替可能に接続可能であり、各カンチレバービームは、それぞれの機械ばねに接続され、該機械ばねは、該機械ばねに接続される前記カンチレバービームを、第2のポートの前記共通接合部に対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与える、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項10】
8つの第のポート及び少なくとも8つのカンチレバービームを備え、各カンチレバービームの第1の端部は前記第のポートのうちの対応する第のポートと接触しており、各カンチレバービームの第2の端部は、前記第のポートの共通接合部に切替可能に接続可能であり、各カンチレバービームは、それぞれの機械ばねに接続され、該機械ばねは、該機械ばねに接続される前記カンチレバービームを、第2のポートの前記共通接合部に対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与える、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項11】
少なくとも16個の第のポート及び少なくとも16個のカンチレバービームを備え、各カンチレバービームの第1の端部は前記第のポートのうちの対応する第のポートと接触しており、各カンチレバービームの第2の端部は、前記第のポートの共通接合部に切替可能に接続可能であり、各カンチレバービームは、それぞれの機械ばねに接続され、該機械ばねは、当該機械ばねに接続される前記カンチレバービームを、前記第2のポートの前記共通接合部に対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与え、
前記スイッチは、
面外スイッチ構成の場合に、26GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも14dBの反射減衰量と、最大でも14dBのアイソレーションと、最大でも1.9dBの挿入損失と、
2.5mmの総面積と
のうちの少なくとも1つを有するものである、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項12】
前記第のポートの前記共通接合部は、該共通接合部から径方向に延在する複数のスポークを備え、各スポークは、それぞれのカンチレバービームの前記第2の端部に切替可能に接続可能であり、前記スポークは、隣接する各スポーク対が共通角を形成するように、前記共通接合部を中心に均等に分散する、請求項8~11のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の複数のマイクロ電気機械スイッチを備える、スイッチングネットワーク。
【請求項14】
前記スイッチングネットワークは、20GHzまでの周波数において動作するように構成される、請求項13に記載のスイッチングネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線周波数(RF)スイッチ、又はより詳細には、信頼性が改善され、スティクションのリスクが低減されたRFマイクロ電気機械システム(MEMS)ラテラルスイッチと、スイッチングネットワークにおけるスイッチのための適用例とに関連する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/272,280号の出願日の利益を主張するものであり、この仮特許出願は、その開示内容を引用することにより、本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
RF MEMSスイッチは、これまで、送信及び受信の適用例の場合の信号ルーティング、フェーズドアレイアンテナの場合のスイッチトライン(switched-line)移相器、及び最新の通信システムの場合の広帯域同調ネットワーク等の、マイクロ波及びミリメートル波の通信システムにおいて利用されてきた。詳細には、RF MEMSスイッチ(例えば、単極多投スイッチ)及びスイッチングネットワークは、最新の電気通信システムにおいて、特に2G/3G/4Gの適用例及び高精度計測のために広く使用されている。
【0004】
図1は、基本的な単極単投(SPST)ラテラルRF MEMSスイッチ100の回路図を示す。図1に示されるように、ラテラルスイッチは、共平面導波路101と、共平面導波路の第1のポート110と第2のポート120との間に延在するカンチレバービーム140と、カンチレバービームを作動させるための静電アクチュエータ(図示せず)とを備える。アクチュエータは、共平面導波路101のカンチレバーと接地線130との間にDCバイアス電圧を印加するように構成され、それにより、カンチレバービーム140の遊端が固定電極125の方向に撓む。十分なDCバイアスが印加されるとき、カンチレバービーム140は、第2のポートの機械的ストッパと接触するほど十分に撓み、結果として、スイッチが閉じる(オン状態)。DCバイアスが下げられるか、又は除去されるとき、ビーム140は、その静止状態に戻り(図1に示される)、それにより、スイッチを開く(オフ状態)。
【0005】
PINダイオード又は電界効果トランジスタ(FET)スイッチと比べて、RF MEMSスイッチは、低い電力消費量、高いアイソレーション、低い挿入損失、高い線形性及び低いコストを提供することがわかっている。
【0006】
ラテラルスイッチ設計の1つの短所は、数回のスイッチングサイクル後に、特に高温のスイッチング条件下で電気機械的な障害を起こしやすいことである。例えば、そのスイッチは、カンチレバービームと、導波路ポートの機械的ストッパとの間に蓄積される静摩擦(又はスティクション(stiction))に起因して、作動しなくなる場合がある。さらに、カンチレバービームのばね定数は多くの場合に、小さすぎてスティクションを克服することができない。ラテラルスイッチ設計の別の欠点は、出力ポートの数が多い場合に、特に約20GHz等の低いマイクロ波周波数において、良好な再現性を有する広帯域性能を達成しないことである。低いマイクロ波周波数では、スイッチの性能に関して面積も大きな役割を果たす。スイッチにおいてアイソレーション及び整合も重要な役割を果たし、アイソレーションの効果は、出力ポートの数が増えるにつれて徐々に劣化する。
【0007】
そのため、MEMSスイッチ設計の分野において、これらの短所及び他の短所に対処することが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の態様は、低いマイクロ波周波数において、改善された再現性(例えば、数百万回程度の切替えでの寿命)を有する改善された広帯域性能を達成するRF MEMSラテラルスイッチの改善された設計を提供する。本開示の態様による設計は、小さなチップ面積内で多数のポートを切り替えることができる改善されたRF MEMSスイッチを含み、面積は大量生産プロセスにおけるコストに正比例するので、それにより、結果として費用対効果がある。
【0009】
本開示の一態様は、第1のポート(例えば、入力ポート)と、1つ又は複数の第2のポート(例えば、出力ポート)と、カンチレバービームと、カンチレバービームを動かす機械的な力を与えるためにカンチレバービームに接続される機械ばねとを備えるマイクロ電気機械スイッチを提供する。カンチレバービームは、第1のポート、又は第2のポートのうちの1つの第2のポートと接触している固定端から、第1のポート、又は第2のポートのうちの上記1つの第2のポートの他方に接続可能である遊端まで延在する。第1のポート及び第2のポート並びにカンチレバービームは、共平面導波路内に形成することができる。そのスイッチは、約20GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約22dBの反射減衰量、最大でも約30dBのアイソレーション、及び最大でも約0.2dBの挿入損失を示すことができる。スイッチの総面積は約0.09mmである。
【0010】
そのスイッチは、機械ばねがカンチレバービームを横方向に動かす機械的な力を与えるような、ラテラルスイッチとすることができる。機械ばねは、半三角形状に構成することができる。代替的には、機械ばねは、カンチレバービームを面内及び面外の方向に動かす機械的な力を与えることができる。3つの機械ばねが利用される場合があり、各機械ばねが、カンチレバービームに接続され、カンチレバービームを動かす機械的な力を与える。3つの機械ばねは、Y字形構成に配置することができる。上記の例のいずれにおいても、機械ばねは、静電力によって作動させることができる。
【0011】
そのスイッチは、バイアス電圧を印加するアクチュエータを更に備えることができ、それにより、カンチレバービームの撓みが、印加されるバイアス電圧によって少なくとも部分的に決定される。アクチュエータは、バイアス線に接続することができる。バイアス線は、チタンタングステンから形成することができ、二酸化シリコンの層によって共平面導波路から分離される。
【0012】
第1のポート、又は少なくとも1つの第2のポートは、カンチレバービームの遊端と接触するための機械的ストッパを含むことができ、それによって、マイクロ電気機械スイッチが開いているとき、遊端及び機械的ストッパは、機械ばねと共平面導波路の接地との間の距離より互いに長い距離にある。
【0013】
幾つかの例では、スイッチは少なくとも2つの第2のポートを備えることができる。カンチレバービームの固定端は、第1のポートと接触することができ、カンチレバービームの遊端は、2つの第2のポートのそれぞれに切替可能に接続できるようにすることができる。カンチレバービームは、少なくとも2つの機械ばねに接続することができ、各機械ばねが、カンチレバービームを2つの第2のポートのそれぞれの第2のポートに対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与える。そのスイッチは、約20GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約25dBの反射減衰量、最大でも約30dBのアイソレーション、及び最大でも約0.2dBの挿入損失を示すことができる。
【0014】
他の例では、スイッチは、少なくとも3つの第2のポート、4つの第2のポート、6つの第2のポート、7つの第2のポート、8つの第2のポート、10個の第2のポート、11個の第2のポート、14個の第2のポート又は16個の第2のポートを備えることができる。そのスイッチは、第2のポートと同じ数のカンチレバービームを備えることができる。各カンチレバービームの固定端は、第2のポートのうちの対応する第2のポートと接触することができ、各カンチレバービームの遊端は、第1のポートの共通接合部に切替可能に接続できるようにすることができる。各カンチレバービームは、それぞれの機械ばねに接続される。機械ばねは、カンチレバービームを共通接合部に対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与えることができる。
【0015】
3つ以上の第2のポートを備えるスイッチの場合、そのスイッチは、ラテラルスイッチ構成の場合に、約20GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約26dBの反射減衰量、最大でも約30dBのアイソレーション、及び最大でも約0.22dBの挿入損失を示すことができるか、又は面外スイッチ構成の場合に、約12GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約25dBの反射減衰量、最大でも約22dBのアイソレーション、及び最大でも約0.35dBの挿入損失を示すことができるかの一方である。スイッチの総面積は約0.43mmとすることができる。
【0016】
4つ以上の第2のポートを備えるスイッチの場合、そのスイッチは、ラテラルスイッチ構成の場合に、約20GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約20dBの反射減衰量、最大でも約30dBのアイソレーション、及び最大でも約0.26dBの挿入損失を示すことができるか、又は面外スイッチ構成の場合に、約12GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約18dBの反射減衰量、最大でも約20dBのアイソレーション、及び最大でも約0.43dBの挿入損失を示すことができるかの一方である。スイッチの総面積は約0.51mmとすることができる。
【0017】
6つ以上の第2のポートを備えるスイッチの場合、そのスイッチは、面外スイッチ構成の場合に、約12GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約18dBの反射減衰量、最大でも約17.5dBのアイソレーション、及び最大でも約0.78dBの挿入損失を有することができる。スイッチは約0.58mmの総面積を有することができる。
【0018】
7つ以上の第2のポートを備えるスイッチの場合、そのスイッチは、ラテラルスイッチ構成の場合に、約20GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約19dBの反射減衰量、最大でも約20dBのアイソレーション、及び最大でも約0.36dBの挿入損失を示すことができるか、又は面外スイッチ構成の場合に、約12GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約19dBの反射減衰量、最大でも約17.6dBのアイソレーション、及び最大でも約0.88dBの挿入損失を示すことができるかの一方である。スイッチは約0.64mmの総面積を有することができる。
【0019】
8つ以上の第2のポートを備えるスイッチの場合、そのスイッチは、面外スイッチ構成の場合に、約12GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約15dBの反射減衰量、最大でも約17dBのアイソレーション、及び最大でも約1.0dBの挿入損失を示すことができる。スイッチは約0.68mmの総面積を有することができる。
【0020】
10個以上の第2のポートを備えるスイッチの場合、そのスイッチは、面外スイッチ構成の場合に、約12GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約14.7dBの反射減衰量、最大でも約17dBのアイソレーション、及び最大でも約1.5dBの挿入損失を示すことができる。スイッチは約0.83mmの総面積を有することができる。
【0021】
11個以上の第2のポートを備えるスイッチの場合、そのスイッチは、面外スイッチ構成の場合に、約12GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約15dBの反射減衰量、最大でも約17dBのアイソレーション、及び最大でも約1.8dBの挿入損失を示すことができる。スイッチは約0.92mmの総面積を有することができる。
【0022】
14個以上の第2のポートを備えるスイッチの場合、そのスイッチは、面外スイッチ構成の場合に、約12GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約14dBの反射減衰量、最大でも約14dBのアイソレーション、及び最大でも約2.2dBの挿入損失を示すことができる。スイッチは約1.2mmの総面積を有することができる。
【0023】
16個以上の第2のポートを備えるスイッチの場合、そのスイッチは、面外スイッチ構成の場合に、約26GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも約14dBの反射減衰量、最大でも約14dBのアイソレーション、及び最大でも約1.9dBの挿入損失を示すことができる。スイッチは約2.5mmの総面積を有することができる。
【0024】
上記のスイッチ構成のいずれにおいても、共通接合部は、そこから径方向に延在する複数のスポークを備えることができ、各スポークがそれぞれのカンチレバービームの遊端に切替可能に接続できる。スポークは、隣接する各スポーク対が共通角を形成するように、共通接合部を中心に均等に分散することができる。
【0025】
本開示は更に、本明細書において説明されるような複数のマイクロ電気機械スイッチを有するスイッチングネットワークを提供する。そのスイッチングネットワークは、本明細書において説明されるような複数の単極多投スイッチを含むことができる。そのスイッチングネットワークは、約20GHzまで、又は約26GHzまでの周波数において動作するように構成することができる。
【0026】
本開示はまた更に、第1の端子及び第2の端子と、第1の端子に接続され、第2の端子の方向に撓むときに第2の端子と接触するように、第2の端子に向かって撓むように構成される可撓性ビームと、ビームに固定された第1の電極及び機械ばねと、第1の電極から離間される第2の電極とを備えるスイッチを提供する。第2の電極に印加される電圧によって、第1の電極は、第2の電極に対して近接又は離反するように動く。第1の電極が第2の電極に近接するように動く場合には、機械ばねは圧縮状態にあり、第1の電極が第2の電極から離反するように動く場合には、静止状態に戻る。幾つかの例では、機械ばねは、ビームを第2の端子に近接するように撓ませる力を与える。他の例では、機械ばねは、ビームを第2の端子から離反するように撓ませる力を与える。また、幾つかの例では、第1の電極及び第2の電極は、第1の端子及び第2の端子の離間より、更に大きく互いに離間される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来技術の単極単投(SPST)ラテラルスイッチの平面図である。
図2A】本開示の態様による、例示的な単極単投(SPST)ラテラルRF MEMSスイッチの平面図である。
図2B】本開示の態様による、例示的な単極単投(SPST)ラテラルRF MEMSスイッチの平面図である。
図3A】本開示の態様による、例示的な単極単投(SPST)ラテラルRF MEMSスイッチの平面図である。
図3B】本開示の態様による、例示的な単極単投(SPST)ラテラルRF MEMSスイッチの平面図である。
図3C】本開示の態様による、例示的な単極単投(SPST)ラテラルRF MEMSスイッチの平面図である。
図3D】本開示の態様による、例示的な単極単投(SPST)ラテラルRF MEMSスイッチの平面図である。
図4A図3Aの例示的なラテラルスイッチ設計の場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図4B図3Bの例示的なラテラルスイッチ設計の場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図4C図3Cの例示的なラテラルスイッチ設計の場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図4D図3Dの例示的なラテラルスイッチ設計の場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図5】本開示の態様による、単極双投(SPDT)ラテラルスイッチの平面図である。
図6A図5のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図6B図5のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図7】本開示の態様による、単極3投(SP3T)ラテラルスイッチの平面図である。
図8図7のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図9】本開示の態様による、単極4投(SP4T)ラテラルスイッチの平面図である。
図10図9のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図11】本開示の態様による、単極7投(SP7T)ラテラルスイッチの平面図である。
図12図11のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図13】本開示の態様による、別の例示的な単極単投(SPST)MEMSスイッチの平面図である。
図14図13のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図15】本開示の態様による、別の例示的な単極3投(SP3T)MEMSスイッチの平面図である。
図16図15のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図17】本開示の態様による、別の例示的な単極4投(SP4T)MEMSスイッチの平面図である。
図18図17のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図19】本開示の態様による、別の例示的な単極6投(SP6T)MEMSスイッチの平面図である。
図20図19のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図21】本開示の態様による、別の例示的な単極7投(SP7T)MEMSスイッチの平面図である。
図22図21のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図23】本開示の態様による、別の例示的な単極8投(SP8T)MEMSスイッチの平面図である。
図24図23のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図25】本開示の態様による、別の例示的な単極10投(SP10T)MEMSスイッチの平面図である。
図26図25のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図27】本開示の態様による、別の例示的な単極11投(SP11T)MEMSスイッチの平面図である。
図28図27のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図29】本開示の態様による、別の例示的な単極14投(SP14T)MEMSスイッチの平面図である。
図30図29のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図31】本開示の態様による、別の例示的な単極16投(SP16T)MEMSスイッチの平面図である。
図32図31のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
図33図31のラテラルスイッチの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図2A及び図2Bは、本開示の態様による、例示的なRF MEMSラテラルスイッチ200を示す。ラテラルスイッチ200は、共平面導波路(CPW)201と、入力ポート210及び出力ポート220と、入力ポートと出力ポートとの間のカンチレバービーム240とを備える。カンチレバービーム240は、第1のポート210と接触している固定端を含み、第1のポートから、第2のポート220に切替可能に接続できる遊端242に向かって延在する。また、機械ばね250も含まれ、機械ばね250は、入力ポート210と出力ポート220との間でカンチレバービーム240に取り付けられる。図2Aの例では、機械ばね250は、ビームの長さの概ね中央又は中点に取り付けられる。機械ばねは半三角形状を有し、カンチレバービーム240と導波路の接地230との間に位置決めされる。ばね250の機械的な力は、ンチレバービーム240の遊端242を、スイッチ200がオフ状態にあり第2のポート220と接触しない停止(at-rest)位置に戻るように動かす更なる機械的な力を与える。このようにして、ばねは、スイッチがオフに切り替えられるときに、スイッチがその停止状態に戻される(そして、カンチレバービームが撓んだままにならない)という更なる確実性を与える。
【0029】
ばね250の半三角形状が、図2Bにおいて更に詳細に示される。ばね250は、ビーム240に対して平行である基部要素252と、ビームから離れるように基部要素から延在する2つのばね要素254とを含み、それにより、実質的に三角形を形成する。ばねは、ばね要素254が当接する箇所にコンタクト256を備える。コンタクトは、基部要素252と平行である。したがって、コンタクトは、CPW接地230とも平行である。
【0030】
機械的な力の大きさは、バイアス電圧が印加されるときに誘発される静電力の効果を考慮に入れながら、スティクションに起因するスイッチの任意の起こり得る障害を克服するように選択される。他のインライン「DCコンタクト」カンチレバースイッチの場合のように、中心線と接地との間の静電作動によって、カンチレバーは、第2のポートの機械的ストッパに向かって横方向に動く。カンチレバーが動くとき、接地線と接触すると、結果としてスイッチの短絡が生じることになるので、機械ばねが接地線と接触することなく、カンチレバーが中心線の第2のポートと接触することが必要である。そのため、本設計の、特に機械ばねの設計制約は、DCバイアスが印加されるときに、機械ばねコンタクト256が接地線230と接触することなく、カンチレバービームの遊端242が機械的ストッパ225と接触するように、カンチレバービームの遊端242と、第2のポート200の機械的ストッパ225との間の静止距離(図2Aにおける「a」)が、機械ばね250のコンタクト256とCPW接地230との間の距離(図2Aにおける「b」)より著しく短くなるようにすべきであるということである。
【0031】
図3A図3Dは、本開示の幾つかの態様による、4つの例示的なRF MEMSラテラルスイッチを示す。図3A図3Dの例はそれぞれ、各設計における機械ばねの特性が異なることを除いて、図2A及び図2Bの例に類似の設計を示す。例えば、図3Cの例の機械ばねは、他の設計より著しく平坦であるのに対して、図3Aの例の機械ばねは、著しく大きな三角形である。機械ばねの引張力は、設計によって異なる場合もあるが、ばねの幾何学的形状及び引張力は相互に排他的とすることができる。この関連で、図3Cの例における機械ばねは、他の設計のばねに比べて、(例えば、多数のスイッチングサイクルにわたって)より大きな安定性又はより長い寿命を示す。
【0032】
各設計によって与えられる様々な性能に基づいて、図3A図3Dの異なるラテラルスイッチ設計を選択することができる。図4A図4Dはそれぞれ、図3A図3Dの例示的な設計それぞれの場合の反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図に示されるように、SPSTスイッチのシミュレーションは、約20GHzまでの周波数において、約18dB~22dBより良好な反射減衰量、約30dBのアイソレーション、及び約0.13dB~0.2dBの最悪時挿入損失を示す。
【0033】
図2及び図3A図3Dのスイッチは、誘電体充電(dielectric charging)に起因する機械的な障害のリスクを低減又は解消し、安定点内で動作することができる。したがって、それらのスイッチは、低温スイッチング及び高温スイッチングの両方の条件下でRF電力処理を改善することができる。さらに、スイッチの静電作動に起因して、スイッチのカンチレバーは、高い剛性を有するように設計することができる。また、カンチレバーは、その小さなサイズ及び短縮されたスイッチング時間に起因して、応力の影響を受けにくくすることもできる。また、スイッチは、平坦性及び応力の影響を受けにくくすることもでき、それにより、全体的な接触力が著しく改善される。影響を受けにくくすることによって、更には、全体的な歩留まりが改善される。
【0034】
図2Aの例示的な設計は単極単投(SPST)スイッチである。しかしながら、単極多投(SPMT)スイッチの設計も同様にして改善することができる。図5は、本開示の態様による、例示的なRF MEMS単極双投(SPDT)ラテラルスイッチ500を示す。SPDTスイッチ500は、入力ポート510、第1の出力ポート521及び第2の出力ポート522を含む共平面導波路501と、単一のカンチレバービーム540とを備え、カンチレバービーム540は、カンチレバービーム540の横方向の撓みの方向に応じて、入力ポート510を、出力ポート521、522のうちのいずれか一方と結合するように位置決めされる。2つの機械ばね551、552が、カンチレバービーム540の両側に横向きに取り付けられる。カンチレバービームの遊端542は、カンチレバービームが撓む方向に応じて、第1の出力ポート521又は第2の出力ポート522のいずれかのコンタクトバンプ525、526(図2Aに示される機械的ストッパに相当する)と接触するように、いずれかの横方向に撓むことができるように位置決めされる。撓みは、各バイアスパッド571、572からアクチュエータ561、562に印加されるバイアス電圧に基づいて決定される。アクチュエータに印加されるバイアス電圧によって、スイッチにおける電極が、アクチュエータに対して近接又は離反するように動き、それにより、カンチレバービームを出力ポートに向かって撓ませるか、又はカンチレバービームが出力ポートから離反するようにカンチレバービームを解放する。所与の時点において、アクチュエータのうちの1つが「オン」になる場合があり、その間、他方は「オフ」である。カンチレバービーム540の作動及び解放は、ビームが撓む側にある、機械ばね551、552によって支援される場合がある。SPSTスイッチビーム240が運用上、一方向にのみスイッチを開閉するのに対して、SPDTスイッチビーム540は運用上、2つの反対方向にスイッチを開閉することを除いて、SPDTスイッチ500は、実効的には、図2AのSPSTスイッチ200と同じように動作する。
【0035】
図6A及び図6Bはそれぞれ、例えば、図5のSPDTラテラルスイッチ設計の出力ポート521及び522の各々について、シミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図に示されるように、SPDTスイッチは、約20GHzまでの周波数において、約25dBより良好な反射減衰量、約30dB以上の(例えば、別のポートが作動されるときの1つのポートの)アイソレーション、及び約0.2dBの最悪時挿入損失を示す。
【0036】
図7は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極3投(SP3T)ラテラルスイッチ700を示す。そのラテラルスイッチの入力ポート710は、中央接合部712を含む。また、そのスイッチは、中央接合部712と接触するように3つの別々のカンチレバービーム741、742、743がそこから延在する3つの出力ポート721、722、723も備える。各カンチレバービームは、別々のアクチュエータによって作動する機械ばねを備える。また、各アクチュエータは、別々のバイアスパッドによってバイアスをかけられるように示される。図5の例の場合と同様に、所与の時点において、アクチュエータのうちの1つがバイアスをかけられる場合があり、それにより、そのアクチュエータに関連付けられるカンチレバービームが撓み、対応する出力ポートと接触する。この例では、入力ポート710及びカンチレバービーム741、742、743は中央接合部712を中心に均一に分散するが、他の例では、その構成は均一でなくてもよい。
【0037】
図8は、図7の例示的なSP3Tラテラルスイッチ設計の出力ポート721、722、723の場合のシミュレートされた平均反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図に示されるように、SP3Tスイッチは、約20GHzまでの周波数において、平均して、約26dBより良好な反射減衰量、約30dBのアイソレーション、約0.22dBの最悪時挿入損失を示す。
【0038】
図9は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極4投(SP4T)ラテラルスイッチ900を示す。SP4Tスイッチは、スイッチの各出力ポート921、922、923、924が、中央接合部912上の機械的ストッパと接触するように延在する別々のカンチレバービーム941、942、943、944に接続されるという点で、設計に関してSP3Tスイッチと類似である。入力ポート910及びカンチレバービーム941、942、943、944は、中央接合部912を中心に均等に分散する。各カンチレバービームは、ビームの撓みを達成するために、自らの機械ばね、アクチュエータ及びバイアス用パッドを有する。
【0039】
図10は、図9の例示的なSP4Tラテラルスイッチ設計の4つの出力ポートの場合のシミュレートされた平均反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図に示されるように、SP4Tスイッチは、約20GHzまでの周波数において、約20dBより良好な反射減衰量、約26dBのアイソレーション、及び約0.26dBの最悪時挿入損失を示す。
【0040】
図11は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極7投(SP7T)ラテラルスイッチ1100を示す。SP7Tスイッチ1100は、スイッチの各出力ポート1121~1127が、中央接合部1112上の機械的ストッパと接触するように延在する別々のカンチレバービーム1141~1147に接続されるという点で、設計に関してSP3Tスイッチ及びSP4Tスイッチと類似である。入力ポート1110及びカンチレバービーム1141~1147は、中央接合部1112を中心に均等に分散する。各カンチレバービームは、ビームの撓みを達成するために、自らの機械ばね、アクチュエータ及びバイアス用パッドを有する。
【0041】
図12は、図11の例示的なSP7Tラテラルスイッチ設計の7つのポートの場合のシミュレートされた平均反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図に示されるように、SP7Tスイッチは、約20GHzまでの周波数において、約19dBより良好な反射減衰量、約20dBのアイソレーション、約0.36dBの最悪時挿入損失を示す。
【0042】
図13は、本開示の一態様による、別の例示的なRF MEMSスイッチ1300を示す。図2Aのラテラルスイッチとは異なり、図13のスイッチは、共平面導波路1301内の第1のポート1310を第2のポート1320に接続する面外カンチレバービーム1340を備える。ビーム1340は、ビーム下方に、互いに対してY字形構成に配置される3つの機械ばね1351、1352、1353に取り付けられる。ラテラルスイッチを作動させるために、(ポート間に描かれる線に対して)左右に、かつ導波路の平面内で動く図2A及び図2Bの単一の機械ばねとは異なり、図13の機械ばねは、導波路の平面に対して直交するように、上下に動く。ばねがビームを上方に持ち上げるとき、ビームは第2のポート1320から切り離され、それにより、スイッチを開く。ばねがビームを下方に動かすとき、ビームは第2のポートに接続され、それにより、スイッチを閉じる。機械ばねの機能は、図13のばねがカンチレバービームの面外への動きに対応するために異なる方向に動くことを除いて、ラテラルスイッチに関連して説明された機能に相当することができる。
【0043】
図13の例において、スイッチの作動電圧は、約58Vと約60Vとの間にあり、機械的な共振周波数は約51kHzである。スイッチの総面積(バイアス線及びパッドを含む)は約0.094mmであり、それにより、マイクロ波性能を劣化させることなく、非常にコンパクトなスイッチングネットワークを達成できるようになる。
【0044】
図13のスイッチの利点は、(1)その小さなサイズ及び高速のスイッチング時間に起因して応力の影響を受けにくいこと、(2)単一コンタクトのカンチレバースイッチであることに起因して平坦性及び応力の影響を受けにくいこと(これは、全体的な接触力を著しく改善することができ、移相器内等の、スイッチを包囲する種々の経路にわたる静電力の分配を著しく改善することができる)、(3)コンタクト障害(例えば、コンタクトが永久に下に張り付いたままになる)又はアクチュエータ障害(例えば、コンタクトが永久に上に張り付いたままになる)に起因するスイッチ障害のリスクが低減されること、(4)応力勾配の影響を受けにくいこと(残留応力の結果として、多くの場合に、同一の構造間であっても先端の撓みの分布が不均等になる。それゆえ、多くの場合、異なるブロックが作動するのに異なる電圧を必要とする。応力を下げることによって、作動するために同じ電圧が必要とされるようにし、それにより、複数のスイッチが作動するデバイスの全体的な歩留まりを上げることができる。)及び(5)スイッチをCPW線上に容易に配置することができるので、マルチスイッチ構造のコンパクトさが改善されることを含む。更なる利点は、12GHzまでの周波数において最大で14チャネルが動作するような設計の場合の、低コスト(バッチ生産)、低挿入損失、良好な入力/出力整合及び適度なアイソレーション応答を含む。
【0045】
図14は、図13の例示的なSPSTスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図14に示されるように、SPSTスイッチは、約12GHzまでの周波数において、約30dBより良好な反射減衰量、約21dBのアイソレーション、約0.2dBの最悪時挿入損失を示す。
【0046】
図15は、例示的なRF MEMS SP3Tスイッチ1500を示す。図13のSPSTスイッチと同様に、図15のSP3Tスイッチは、カンチレバービーム及びばねのために面外構成を使用する。そのスイッチは、中央接合部1512を設けるためにスイッチの中心まで延在する入力ポート1510と、3つの出力ポート1521、1522、1523とを備える。また、そのスイッチは、それぞれがそれぞれの出力ポートから延在し、面外に動くことによって中央接合部に切替可能に接続できる3つのカンチレバービーム1541、1542、1543を備える。また、図13と同様に、各ビームはY字形構成に配置される3つのばねを備える。入力ポート及びビームは、中央接合部1512を中心に均等に分散する。SP3Tスイッチの総面積は約0.43mmである。
【0047】
図16は、図15の例示的なSP3Tスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図16に示されるように、SP3Tスイッチは、約12GHzまでの周波数において、約25dBより良好な反射減衰量、約22dBのアイソレーション、約0.35dBの最悪時挿入損失を示す。
【0048】
図17は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS SP4Tスイッチ1700を示す。SP4Tスイッチ1700は、中央接合部1712を設けるためにスイッチの中心まで延在する入力ポート1710と、4つの出力ポート1721、1722、1723、1724とを備える。また、そのスイッチは、それぞれがそれぞれの出力ポートから延在し、面外に動くことによって中央接合部に切替可能に接続できる4つのカンチレバービーム1741、1742、1743、1744を備える。各ビームはY字形構成に配置される3つのばねを備える。入力ポート及びビームは、中央接合部を中心に均等に分散する。SP4Tスイッチの総面積は約0.51mmである。
【0049】
図18は、図17の例示的なSP4Tスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図18に示されるように、SP4Tスイッチは、約12GHzまでの周波数において、約18dBより良好な反射減衰量、約20dBのアイソレーション、約0.43dBの最悪時挿入損失を示す。
【0050】
図19は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極6投(SP6T)スイッチ1900を示す。SP6Tスイッチ1900は、中央接合部1912を設けるためにスイッチの中心まで延在する入力ポート1910と、6つの出力ポート1921~1926とを備える。また、そのスイッチは、それぞれがそれぞれの出力ポートから延在し、面外に動くことによって中央接合部に切替可能に接続できる6つのカンチレバービーム1941~1946を備える。各ビームはY字形構成に配置される3つのばねを備える。入力ポート及びビームは、中央接合部を中心に均等に分散する。SP6Tスイッチの総面積は約0.58mmである。
【0051】
図20は、図19の例示的なSP6Tスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図20に示されるように、SP6Tスイッチは、約12GHzまでの周波数において、約18dBより良好な反射減衰量、約17.5dBのアイソレーション、約0.78dBの最悪時挿入損失を示す。
【0052】
図21は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極7投(SP7T)スイッチ2100を示す。SP7Tスイッチ2100は、中央接合部2112を設けるためにスイッチの中心まで延在する入力ポート2110と、7つの出力ポート2121~2127とを備える。また、そのスイッチは、それぞれがそれぞれの出力ポートから延在し、面外に動くことによって中央接合部に切替可能に接続できる7つのカンチレバービーム2141~2147を備える。各ビームはY字形構成に配置される3つのばねを備える。入力ポート及びビームは、中央接合部を中心に均等に分散する。SP7Tスイッチの総面積は約0.64mmである。
【0053】
図22は、図21の例示的なSP7Tスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図22に示されるように、SP7Tスイッチは、約12GHzまでの周波数において、約19dBより良好な反射減衰量、約17.6dBのアイソレーション、約0.88dBの最悪時挿入損失を示す。
【0054】
図23は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極8投(SP8T)スイッチ2300を示す。SP8Tスイッチ2300は、中央接合部2312を設けるためにスイッチの中心まで延在する入力ポート2310と、10個の出力ポート2321~2328とを備える。また、そのスイッチは、それぞれがそれぞれの出力ポートから延在し、面外に動くことによって中央接合部に切替可能に接続できる10個のカンチレバービーム2341~2348を備える。各ビームはY字形構成に配置される3つのばねを備える。入力ポート及びビームは、中央接合部を中心に均等に分散する。SP8Tスイッチの総面積は約0.68mmである。
【0055】
図24は、図23の例示的なSP8Tスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図24に示されるように、SP8Tスイッチは、約12GHzまでの周波数において、約15dBより良好な反射減衰量、約17dBのアイソレーション、約1dBの最悪時挿入損失を示す。
【0056】
図25は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極10投(SP10T)スイッチ2500を示す。SP10Tスイッチ2500は、中央接合部2512を設けるためにスイッチの中心まで延在する入力ポート2510と、10個の出力ポート2521~2530とを備える。また、そのスイッチは、それぞれがそれぞれの出力ポートから延在し、面外に動くことによって中央接合部に切替可能に接続できる10個のカンチレバービーム2541~2550を備える。各ビームはY字形構成に配置される3つのばねを備える。入力ポート及びビームは、中央接合部を中心に均等に分散する。SP10Tスイッチの総面積は約0.83mmである。
【0057】
図26は、図25の例示的なSP10Tスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図26に示されるように、SP10Tスイッチは、約12GHzまでの周波数において、約14.7dBより良好な反射減衰量、約17dBのアイソレーション、約1.5dBの最悪時挿入損失を示す。
【0058】
図27は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極11投(SP11T)スイッチ2700を示す。SP11Tスイッチ2700は、中央接合部2712を設けるためにスイッチの中心まで延在する入力ポート2710と、11個の出力ポート2721~2731とを備える。また、そのスイッチは、それぞれがそれぞれの出力ポートから延在し、面外に動くことによって中央接合部に切替可能に接続できる11個のカンチレバービーム2741~2751を備える。各ビームはY字形構成に配置される3つのばねを備える。入力ポート及びビームは、中央接合部を中心に均等に分散する。SP11Tスイッチの総面積は約0.92mmである。
【0059】
図28は、図27の例示的なSP11Tスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図28に示されるように、SP11Tスイッチは、約12GHzまでの周波数において、約15dBより良好な反射減衰量、約17dBのアイソレーション、約1.8dBの最悪時挿入損失を示す。
【0060】
図29は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極14投(SP14T)スイッチ2900を示す。SP14Tスイッチ2900は、中央接合部2912を設けるためにスイッチの中心まで延在する入力ポート2910と、14個の出力ポート2921~2934とを備える。また、そのスイッチは、それぞれがそれぞれの出力ポートから延在し、面外に動くことによって中央接合部に切替可能に接続できる14個のカンチレバービーム2941~2954を備える。各ビームはY字形構成に配置される3つのばねを備える。入力ポート及びビームは、中央接合部を中心に均等に分散する。SP14Tスイッチの総面積は約1.2mmである。
【0061】
図30は、図29の例示的なSP14Tスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図30に示されるように、SP14Tスイッチは、約12GHzまでの周波数において、約14dBより良好な反射減衰量、約14dBのアイソレーション、約2.2dBの最悪時挿入損失を示す。
【0062】
図31は、本開示の一態様による、例示的なRF MEMS単極16投(SP16T)スイッチ3100を示す。SP16Tスイッチ3100は、中央接合部3112を設けるためにスイッチの中心まで延在する入力ポート3110と、16個の出力ポート3121~3156とを備える。また、そのスイッチは、それぞれがそれぞれの出力ポートから延在し、面外に動くことによって中央接合部に切替可能に接続できる16個のカンチレバービーム3141~3156を備える。各ビームはY字形構成に配置される3つのばねを備える。入力ポート及びビームは、中央接合部を中心に均等に分散する。SP16Tスイッチの総面積は約2.5mmである(図31に示されるように、差し渡しで約1.56mm、上下に約1.61mm)。
【0063】
図32及び図33は、図31の例示的なSP16Tスイッチ設計の場合のシミュレートされた反射減衰量、アイソレーション及び挿入損失を示す。図32に示されるように、SP16Tスイッチは、約26GHzまでの周波数において、約14dBより良好な反射減衰量、及び約1.9dBの最悪時挿入損失を示す。図33は、同様の周波数までの約14dBのアイソレーションを示す。
【0064】
図2図12のラテラルスイッチと比べるときに、図13図33において図示され、説明される構成は、製造プロセスに難題を導入することなく、互いに更に近接してスイッチを並置できるようにする。最終的に、これにより、これらのスイッチを組み込むデバイスの総面積が削減される。図示されるように、面積の削減は、概ね数平方マイクロメートル、更には数平方ミリメートルとすることができる。
【0065】
上記の例示的なスイッチ、特に上記の例示的なSPMTスイッチを含むスイッチングネットワークの整合及び損失は、スイッチによって引き起こされる寄生誘導効果を低減することによって改善することができる。これらの効果は、隣接するスイッチの中央接合部間で主に生じる。中央接合部長(及びスイッチフットプリント、寄生誘導効果)等のパラメータを、全波シミュレーションを用いて試験することができる。その後、全波シミュレーションの結果を利用して、スイッチパラメータを変更し、それにより、性能を改善又は最適化することができる。
【0066】
上記の例示的なスイッチは、付加的な設計上の検討事項及び制約を特徴付ける。例えば、CPW不連続部(例えば、隣接するスイッチ間)が、誘導曲げ(inductive bend)を含む場合がある。これらの曲げの目的は、より高次のモードを排除することである。スイッチのバイアスパッドを、性能に影響を及ぼすことなく、信号漏洩及び他の寄生効果を回避するように配線することもできる。バイアスパッド及びバイアス線自体は、導電性材料(例えば、チタンタングステン)から形成することができ、バイアス線とCPWとの間に、短絡を防ぐように誘電体材料(例えば、二酸化シリコン)の膜又は層を位置決めすることができる。
【0067】
上記の例示的なスイッチの構成の別の有益な特性は、その対称性である(例えば、所与のスイッチの各投間の等しい角度、入力ポート/出力ポートのそれぞれの間の等しい角度)。さらに、各スイッチは(図7のSP3Tスイッチを除いて)、入力ポートから中央接合部まで延在する軸に沿って鏡面対称性を有する。上記の例示的なスイッチのこの構成によって、(複数のスイッチを収容する設計において)互いに更に近接してスイッチを配置できるようになる。これは、複数のMEMS RFラテラルスイッチを備えるデバイス(例えば、移相器)を、いかなる製造上の難題も生じることなく、よりコンパクトに設計できることを意味する。対称性は、設計のコンパクトさを改善するのに特に有益である。最終的に、現在説明されているスイッチ構成によれば、他の従来のトポロジと比べて、概ね数平方マイクロメートル、更には数平方ミリメートルだけ、これらのスイッチを含むデバイスの総面積を削減できるようになる。
【0068】
上記のRF MEMSラテラルスイッチはそれぞれ、少ない損失、大きなアイソレーション及び小さなサイズ(改善されたコンパクトさ)で、広帯域応答を示す。さらに、そのRF MEMSスイッチは、多数のポートを用いて約20GHzまでの周波数において動作することができる。それゆえ、これらのスイッチは、衛星スイッチングネットワーク広帯域無線通信等の適用例の場合に有用である。
【0069】
特定の実施形態を参照しながら本明細書において本発明を説明してきたが、これらの実施形態は本発明の原理及び応用形態を例示するにすぎないことを理解されたい。そのため、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に数多くの変更を加えることができることや、他の構成を考案することができることを理解されたい。
なお、本願の出願当初の開示事項を維持するために、本願の出願当初の請求項1~15の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
第1のポートと、
1つ又は複数の第2のポートと、
前記第1のポート、又は前記第2のポートのうちの1つの第2のポートと接触している第1の端部を有し、該第1の端部から、前記第1のポート、及び前記第2のポートのうちの前記1つの第2のポートの他方に切替可能に接続できる第2の端部まで延在するカンチレバービームと、
前記カンチレバービームに接続され、該カンチレバービームを動かす機械的な力を与えるための機械ばねと
を備えてなる、マイクロ電気機械スイッチ。
(請求項2)
前記スイッチはラテラルスイッチであり、前記機械ばねは前記カンチレバービームを横方向に動かす機械的な力を与え、前記機械ばねは静電力によって作動する、請求項1に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項3)
前記機械ばねは、静電力によって作動し、前記カンチレバービームを面外方向に動かす機械的な力を与える、請求項1に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項4)
少なくとも3つの機械ばねを備え、各機械ばねは、前記カンチレバービームを動かす機械的な力を与えるために前記カンチレバービームに接続され、前記3つの機械ばねはY字形構成に配置される、請求項1又は3に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項5)
前記第1のポートと前記第2のポートと前記カンチレバービームとは、共平面導波路内に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項6)
バイアス電圧を印加するアクチュエータを更に備え、前記カンチレバービームの撓みは、前記印加されるバイアス電圧によって少なくとも部分的に決定され、前記アクチュエータは、バイアス線に接続され、前記バイアス線は、チタンタングステンから形成され、二酸化シリコンの層によって前記共平面導波路から分離されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項7)
前記第1のポート、又は前記少なくとも1つの第2のポートは、前記カンチレバービームの前記第2の端部と接触するための機械的ストッパを含み、前記マイクロ電気機械スイッチが開いているとき、前記第2の端部及び前記機械的ストッパは、前記機械ばねと前記共平面導波路の接地との間の距離よりも互いに長い距離にある、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項8)
少なくとも2つの第2のポートを備え、前記カンチレバービームの前記第1の端部は前記第1のポートと接触しており、前記カンチレバービームの前記第2の端部は前記2つの第2のポートのそれぞれに切替可能に接続可能であり、前記カンチレバービームは少なくとも2つの機械ばねに接続され、各機械ばねは、前記カンチレバービームを前記2つの第2のポートのそれぞれの第2のポートに対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与える、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項9)
3つの第2のポート及び少なくとも3つのカンチレバービームを備え、各カンチレバービームの第1の端部は前記第2のポートのうちの対応する第2のポートと接触しており、各カンチレバービームの第2の端部は前記第1のポートの共通接合部に切替可能に接続可能であり、各カンチレバービームは、それぞれの機械ばねに接続され、該機械ばねは、該機械ばねに接続される前記カンチレバービームを、前記第1のポートの前記共通接合部に対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与える、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項10)
4つの第2のポート及び少なくとも4つのカンチレバービームを備え、各カンチレバービームの第1の端部は前記第2のポートの対応する第2のポートと接触しており、各カンチレバービームの第2の端部は、前記第1のポートの共通接合部に切替可能に接続可能であり、各カンチレバービームは、それぞれの機械ばねに接続され、該機械ばねは、該機械ばねに接続される前記カンチレバービームを前記共通接合部に対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与える、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項11)
8つの第2のポート及び少なくとも8つのカンチレバービームを備え、各カンチレバービームの第1の端部は前記第2のポートのうちの対応する第2のポートと接触しており、各カンチレバービームの第2の端部は、前記第1のポートの共通接合部に切替可能に接続可能であり、各カンチレバービームは、それぞれの機械ばねに接続され、該機械ばねは、該機械ばねに接続される前記カンチレバービームを前記共通接合部に対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与える、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項12)
少なくとも16個の第2のポート及び少なくとも16個のカンチレバービームを備え、各カンチレバービームの第1の端部は前記第2のポートの対応する第2のポートと接触しており、各カンチレバービームの第2の端部は、前記第1のポートの共通接合部に切替可能に接続可能であり、各カンチレバービームは、それぞれの機械ばねに接続され、該機械ばねは、当該機械ばねに接続される前記カンチレバービームを前記共通接合部に対して近接又は離反するように動かす機械的な力を与え、
前記スイッチは、
面外スイッチ構成の場合に、26GHzまでの1つ又は複数の周波数において、最大でも14dBの反射減衰量と、最大でも14dBのアイソレーションと、最大でも1.9dBの挿入損失と、
2.5mm の総面積と
のうちの少なくとも1つを有するものである、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項13)
前記第1のポートの前記共通接合部は、該共通接合部から径方向に延在する複数のスポークを備え、各スポークは、それぞれのカンチレバービームの前記第2の端部に切替可能に接続可能であり、前記スポークは、隣接する各スポーク対が共通角を形成するように、前記共通接合部を中心に均等に分散する、請求項9~12のいずれか一項に記載のマイクロ電気機械スイッチ。
(請求項14)
請求項1~13のいずれか一項に記載の複数のマイクロ電気機械スイッチを備える、スイッチングネットワーク。
(請求項15)
前記スイッチングネットワークは、20GHzまでの周波数において動作するように構成される、請求項14に記載のスイッチングネットワーク。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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