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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】蒸着装置及びそれを利用した蒸着方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20240510BHJP
   C23C 14/32 20060101ALI20240510BHJP
   C23C 14/04 20060101ALI20240510BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20240510BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240510BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
C23C14/24 T
C23C14/32 B
C23C14/04 A
C23C14/12
H05B33/14 A
H05B33/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019192211
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2020066804
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0126174
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】キム デヨン
(72)【発明者】
【氏名】カン スンウ
(72)【発明者】
【氏名】カク ジンオ
(72)【発明者】
【氏名】ユ スクボン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヨンミ
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103700780(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
C23C 14/32
C23C 14/04
C23C 14/12
H10K 50/10
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバー内に配置され、対象基板の安着されるステージと、
前記チャンバー内に配置され、蒸着物質を含む蒸着源と、
前記チャンバー内で前記蒸着源と連結されて前記ステージに向かう方向に前記蒸着物質を噴射する複数のノズルと、
前記複数のノズルと前記ステージとの間に配置され、前記ノズルから噴射される前記蒸着物質を帯電させるイオナイザーと、を含み、
前記複数のノズルのそれぞれは、前記複数のノズルのそれぞれの内側面に配置されて前記蒸着物質を帯電させる複数の突出チップを含み、
前記イオナイザーに第1電場が形成され、
前記ステージと前記イオナイザーとの間に前記第1電場より小さい第2電場が形成される蒸着装置。
【請求項2】
前記イオナイザーは、第1電極部と、前記第1電極部と前記ステージとの間に配置され、複数のメッシュ孔が定義される板状を有する第2電極部と、を含み、
前記第1電極部は、板状を有する第1プレートと、前記第1プレートの上に形成され、前記ノズルから噴射された前記蒸着物質を帯電させる複数のピン電極と、を含み、
前記複数のノズルと、前記第2電極部との間に前記第1電場が形成される、
請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項3】
前記ノズルに帯電電圧が印加され、
前記第1電極部に第1電圧が印加され、
前記第2電極部に前記第1電圧及び前記帯電電圧のそれぞれより小さい第2電圧が印加され、
前記ステージに前記第2電圧より小さい第3電圧が印加される請求項に記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記帯電電圧は前記第1電圧と同じである請求項に記載の蒸着装置。
【請求項5】
前記ノズルは前記第1電極部と電気的に接続される請求項に記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記第1電極部と前記第2電極部との間、または前記ノズルと前記第2電極部との間の距離は、前記第2電極部と前記ステージとの間の距離より短い請求項に記載の蒸着装置。
【請求項7】
前記ステージと前記イオナイザーとの間に配置されるマスクを更に含み、
前記マスクから露出される前記対象基板上の領域に前記蒸着物質が蒸着される請求項に記載の蒸着装置。
【請求項8】
前記ノズルに帯電電圧が印加され、
前記第1電極部に第1電圧が印加され、
前記第2電極部に前記第1電圧及び前記帯電電圧のそれぞれより小さい第2電圧が印加され、
前記マスクに前記第2電圧より小さい第3電圧が印加される請求項に記載の蒸着装置。
【請求項9】
前記対象基板は、ベース層と、前記ベース層の上に配置される複数の薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと一対一に対応するように電気的に接続される画素電極と、を含み、
前記画素電極の上に前記蒸着物質が蒸着される請求項に記載の蒸着装置。
【請求項10】
前記第1電場の強度は前記蒸着物質のイオン化エネルギー値より大きいか同じであり、前記蒸着物質の分解エネルギー値より小さい請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項11】
対象基板をステージの上に配置するステップと、
蒸着源の蒸着物質を気化させるステップと、
イオナイザー及びノズルに第1電場を形成して前記蒸着物質を帯電させるステップと、
前記対象基板の上に前記蒸着物質を蒸着するステップと、を含み、
前記蒸着物質を蒸着するステップは、
前記イオナイザーと前記ステージとの間に前記第1電場より小さい強度を有する第2電場を形成して前記蒸着物質の移動方向をガイドするステップを含み、
前記ノズルは、複数であって、
前記複数のノズルのそれぞれは、前記複数のノズルのそれぞれの内側面に配置されて前記蒸着物質を帯電させる複数の突出チップを含む
蒸着方法。
【請求項12】
前記イオナイザーは、第1電極部と、前記第1電極部と前記ステージとの間に配置され、複数のメッシュ孔が設けられた板状の形状を有する第2電極部と、を含み、
前記第1電極部は、板状を有する第1プレートと、前記第1プレートの上に形成され、前記ノズルから噴射された前記蒸着物質を帯電させる複数のピン電極と、を含む請求項11に記載の蒸着方法。
【請求項13】
前記蒸着物質を帯電させるステップは、
前記突出チップに帯電電圧を印加して前記蒸着物質を帯電させるステップを含む請求項12に記載の蒸着方法。
【請求項14】
前記蒸着物質を帯電させるステップは、
前記第1電極部に第1電圧を印加するステップと、
前記第2電極部に前記第1電圧及び前記帯電電圧それぞれより小さい第2電圧を印加するステップと、を更に含む請求項13に記載の蒸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸着装置及びそれを利用した蒸着方法に関し、より詳しくは、蒸着の均一度が向上された蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、低電圧で駆動し、軽量の薄型で、視野角が広く、コントラスト(contrast)が優秀なだけでなく、応答速度が速いという長所のため、次世代ディスプレイ装置として注目を浴びている。
【0003】
有機発光表示装置において、高効率発光を得るために、それぞれの電極と発光層との間に電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、及び正孔注入層などの中間層を選択的に追加に挿入して使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光層などの有機薄膜は、基板の上に蒸着工程を介して形成される。蒸着工程の際、複数の発光領域をそれぞれに有機薄膜が均一に形成されなければ、有機発光表示装置の収率が低下する恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、蒸着均一度が向上された蒸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による蒸着装置は、チャンバーと、前記チャンバー内に配置され、対象基板の安着されるステージと、前記チャンバー内に配置され、蒸着物質を含む蒸着源と、前記チャンバー内で前記蒸着源と連結されて前記ステージに向かう方向に前記蒸着物質を噴射する複数のノズルと、前記ノズルと前記ステージとの間に配置され、前記ノズルから噴射される前記蒸着物質を帯電させるイオナイザーと、を含み、前記イオナイザー及び前記ノズルそれぞれに前記第1電場が形成され、前記ステージと前記イオナイザーとの間に第1電場の強度より小さい強度を有する第2電場が形成される。
【0007】
上記蒸着装置において、前記ノズルそれぞれは、前記ノズルそれぞれの内側面に配置されて前記蒸着物質を帯電させる複数の突出チップを含んでもよい。
【0008】
上記蒸着装置において、前記イオナイザーは、第1電極部と、前記第1電極部と前記ステージとの間に配置され、複数のメッシュ孔が定義される板状を有する第2電極部と、を含み、前記第1電極部は、板状を有する第1プレートと、前記第1プレートの上に形成され、前記ノズルから噴射された前記蒸着物質を帯電させる複数のピン電極と、を含んでもよい。
【0009】
上記蒸着装置において、前記ノズルに帯電電圧が印加され、前記第1電極部に第1電圧が印加され、前記第2電極部に前記第1電圧及び前記帯電電圧それぞれより小さい第2電圧が印加され、前記ステージに前記第2電圧より小さい第3電圧が印加されてもよい。
【0010】
上記蒸着装置において、前記帯電電圧は前記第1電圧と同じでもよい。
【0011】
上記蒸着装置において、前記ノズルは前記第1電極部と電気的に連結されてもよい。
【0012】
上記蒸着装置において、前記第1電極部と前記第2電極部との間、または前記ノズルと前記第2電極部との間の距離は、前記第2電極部と前記ステージとの間の距離より短くてもよい。
【0013】
上記蒸着装置において、前記第1プレートに複数のノズル孔が定義され、前記複数のノズルそれぞれの少なくとも一部が前記ノズル孔に挿入されてもよい。
【0014】
上記蒸着装置において、前記ステージと前記イオナイザーとの間に配置されるマスクを更に含み、前記マスクから露出される前記対象基板上の領域に前記蒸着物質が蒸着されてもよい。
【0015】
上記蒸着装置において、前記ノズルに帯電電圧が印加され、前記第1電極部に第1電圧が印加され、前記第2電極部に前記第1電圧及び前記帯電電圧それぞれより小さい第2電圧が印加され、前記マスクに前記第2電圧より小さい第3電圧が印加されてもよい。
【0016】
上記蒸着装置において、前記第2電極部の前記メッシュ孔のそれぞれの内側面は少なくとも一つの傾斜面を含み、断面上において、前記メッシュ孔それぞれの前記内側面は前記メッシュ孔それぞれの中心に向かうように尖った形状を有してもよい。
【0017】
上記蒸着装置において、蒸着装置は、前記複数のノズルそれぞれを囲むサブ加熱部材を更に含んでもよい。
【0018】
上記蒸着装置において、前記第1プレート上において、前記ノズルと隣接するほど前記ピン電極の密度が減少してもよい。
【0019】
上記蒸着装置において、前記ノズルは、第1方向に配列され、平面上において前記ステージの中央部と重畳し、前記第2電極部は、前記第1方向に延長され、平面上において前記ステージの中央部と重畳する第1メッシュ電極と、平面上において前記第1方向と垂直の第2方向に前記第1メッシュ電極を間に挟んで互いに対向する複数の第2メッシュ電極と、を含み、前記第1メッシュ電極と前記第2メッシュ電極との間に配置される電場の強度は、前記第2メッシュ電極と前記第1電極部との間に配置される電場の強度より小さくてもよい。
【0020】
上記蒸着装置において、前記第1メッシュ電極に印加される電圧の大きさは、前記第2メッシュ電極に印加される電圧の大きさより大きくてもよい。
【0021】
上記蒸着装置において、前記第1メッシュ電極と前記第1電極部との間の距離は、前記第2メッシュ電極と前記第1電極部との間の距離より大きくてもよい。
【0022】
上記蒸着装置において、前記イオナイザーと前記ステージとの間に配置され、複数の孔が定義される第3電極部を更に含み、前記第2電場は、前記第3電極部と前記ステージとの間に形成されてもよい。
【0023】
上記蒸着装置において、前記ノズルに帯電電圧が印加され、前記第1電極部に第1電圧が印加され、前記第2電極部に前記第1電圧及び前記帯電電圧それぞれより小さい第2電圧が印加され、前記ステージに前記第2電圧より小さい第3電圧が印加され、前記第3電極部に前記第2電圧より小さいか同じで、前記第3電圧より大きい第4電圧が印加される。前記対象基板は、ベース層と、前記ベース層の上に配置される複数の薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと一対一に対応するように電気的に連結される画素電極と、を含み、前記画素電極の上に前記蒸着物質が蒸着される。
【0024】
上記蒸着装置において、前記ノズルに帯電電圧が印加され、前記第1電極部に第1電圧が印加され、前記第2電極部に前記第1電圧及び前記帯電電圧それぞれより小さい第2電圧が印加され、前記画素電極のうち少なくともいずれか一つに前記第2電圧より小さい第3電圧が印加されてもよい。
【0025】
上記蒸着装置において、前記蒸着源と隣接して配置され、前記蒸着源を移動させる蒸着源移動部を更に含んでもよい。
【0026】
上記蒸着装置において、前記ノズルは第1方向に配列され、前記第1電極部の前記第1プレートは第1方向に延長された形状を有してもよい。
【0027】
上記蒸着装置において、前記蒸着源を囲む少なくとも一つの加熱部材を更に含んでもよい。
【0028】
上記蒸着装置において、前記蒸着源は複数で提供され、前記複数の蒸着源は互いに異なる蒸着物質を含んでもよい。
【0029】
上記蒸着装置において、前記第1電場の強度は前記蒸着物質のイオン化エネルギー値より大きいか同じであり、前記蒸着物質の分解エネルギー値より小さくてもよい。
【0030】
上記蒸着装置において、前記ノズルと前記蒸着源との間に配置され、前記蒸着物質を気化させる蒸発室を更に含んでもよい。
【0031】
上記蒸着装置において、前記ノズルの上面は、断面上において上部方向に尖った形状を有してもよい。
【0032】
本発明の一実施形態による蒸着方法は、対象基板をステージの上に安着させるステップと、蒸着源の蒸着物質を気化させるステップと、イオナイザー及びノズルに第1電場を形成して前記蒸着物質を帯電させるステップと、前記対象基板の上に前記蒸着物質を蒸着するステップと、を含み、前記蒸着物質を蒸着するステップは、前記イオナイザーと前記ステージとの間に前記第1電場の強度より小さい強度を有する第2電場を形成して蒸着物質の移動方向をガイドするステップを含んでもよい。
【0033】
上記蒸着方法において、前記イオナイザーは、第1電極部と、前記第1電極部と前記ステージとの間に配置され、複数のメッシュ孔が定義される板状を有する第2電極部と、を含み、前記第1電極部は、板状を有する第1プレートと、前記第1プレートの上に形成され、前記ノズルから噴射された前記蒸着物質を帯電させる複数のピン電極と、を含んでもよい。
【0034】
上記蒸着方法において、前記ノズルそれぞれは、前記ノズルそれぞれの内側面に形成される複数の突出チップを含み、前記蒸着物質を帯電させるステップは、前記突出チップに帯電電圧を印加して前記蒸着物質を帯電させるステップを含んでもよい。
【0035】
上記蒸着方法において、前記蒸着物質を帯電させるステップは、前記第1電極部に第1電圧を印加するステップと、前記第2電極部に前記第1電圧及び前記帯電電圧それぞれより小さい第2電圧を印加するステップと、を更に含んでもよい。
【0036】
上記蒸着方法において、前記帯電電圧は前記第1電圧と同じでもよい。
【0037】
上記蒸着方法において、前記蒸着物質をガイドするステップは、前記ステージに前記第2電圧より小さい第3電圧を印加するステップを更に含んでもよい。
【0038】
本発明の一実施形態による蒸着方法は、前記対象基板の上にマスクを配置するステップを更に含み、前記蒸着物質をガイドするステップは、前記マスクの上に前記第2電圧より小さい第3電圧を印加するステップを含んでもよい。
【0039】
上記蒸着方法において、前記対象基板を安着させるステップは、ベース層の上に薄膜トランジスタを含む回路層を形成するステップと、前記回路層の上に画素電極を形成するステップと、を含み、前記蒸着物質をガイドするステップは、前記画素電極のうち少なくともいずれか一つに前記第2電圧より小さい第3電圧を印加するステップを含んでもよい。
【0040】
上記蒸着方法において、前記第2電極部は、前記ステージの中央部と平面上において重畳する第1メッシュ電極と、平面上において前記第1メッシュ電極を間に挟んで互いに対向する複数の第2メッシュ電極と、を含み、前記第1メッシュ電極及び前記第2メッシュ電極は、平面上において互いに離隔され、前記第1メッシュ電極と前記ノズルとの間の距離は前記第2メッシュ電極と前記ノズルとの間の距離より大きく、前記第1電場を形成するステップは、前記第1メッシュ電極と前記第1電極部との間に第1サブ電場を形成し、前記第2メッシュ電極と前記第1電極部との間に前記第1サブ電場の強度より大きい強度を有する第2サブ電場を形成するステップを含んでもよい。
【0041】
上記蒸着方法において、前記蒸着物質を帯電させるステップは、前記第1メッシュ電極及び前記第2メッシュ電極に異なる電圧を印加してもよい。
【0042】
上記蒸着方法において、前記蒸着物質を蒸着するステップにおいて、前記対象基板と隣接した領域における前記蒸着物質の前記移動方向は、前記ステージの上面と約80度以上100度以下を有してもよい。
【0043】
本発明の一実施形態による蒸着装置は、チャンバーと、前記チャンバー内に配置され、対象基板が安着されるステージと、前記対象基板の上に配置されるマスクと前記チャンバー内に配置され、蒸着物質を含む蒸着源と、前記チャンバー内で前記蒸着源と連結されて前記蒸着物質を噴射し、それぞれの内側面に配置されて前記蒸着物質を帯電させる複数の突出チップを含む複数のノズルと、前記ノズルと前記ステージとの間に配置されるイオナイザーと、を含み、前記イオナイザーは、前記ノズルから噴射される前記蒸着物質を帯電させる複数のピン電極を含む第1電極部と、前記第1電極部と対向し、前記第1電極部及び前記ノズルそれぞれと第1電場を形成する第2電極部と、を含み、前記第2電極部は、前記ステージ、前記対象基板、及び前記マスクのうち一つと前記第1電場より小さい強度を有する第2電場を形成する。
【発明の効果】
【0044】
本発明の一実施形態によると、基板の上に蒸着物質を工程を均一に蒸着させることができる。つまり、有機発光表示装置の収率が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態による蒸着装置を簡略に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態による蒸着物質の移動経路を示す順序図である。
図3図1に示した蒸着源の拡大断面図である。
図4図1に示した蒸着源、蒸発室、ノズル、及びイオナイザーの斜視図である。
図5図1に示したノズルとイオナイザーの拡大断面図である。
図6】第2電極部の拡大斜視図である。
図7図5に示したノズルのうちいずれか一つのノズルを示す断面図である。
図8図7に示したノズルの横断面図である。
図9】本発明の一実施形態による蒸着物質の移動経路を示す図である。
図10】本発明の一実施形態による対象基板の拡大図である。
図11】蒸着が完了された対象基板の拡大図である。
図12】第2電場の強度による蒸着物質の経路を示すグラフである。
図13】第2電場の強度による蒸着物質の入射角を示すグラフである。
図14】本発明の他の一実施形態によるイオナイザーの拡大断面図である。
図15図14に示した第2電極部の拡大断面図である。
図16】本発明の他の一実施形態によるイオナイザーの拡大断面図である。
図17】本発明の他の一実施形態によるノズルの断面図である。
図18】本発明のまた他の一実施形態によるイオナイザーの拡大断面図である。
図19】本発明の他の一実施形態による蒸着装置の断面図である。
図20】本発明のまた他の一実施形態による蒸着装置の断面図である。
図21】本発明の更に他の一実施形態による蒸着装置の断面図である。
図22】本発明の他の一実施形態による蒸着源、蒸発室、ノズル、及びイオナイザーの斜視図である。
図23図22に示した蒸着源、蒸発室、ノズル、及びイオナイザーの断面図である。
図24】本発明の他の一実施形態による対象基板の拡大断面図である。
図25】本発明のまた他の一実施形態による対象基板の拡大断面図である。
図26】本発明の一実施形態による蒸着方法の順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、「結合される」、または「結合される」と言及されれば、それは他の構成要素の上に直接配置・連結・結合され得るか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置され得ることを意味する。
【0047】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。
【0048】
「及び/または」は、関連する構成が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0049】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、類似して第2構成要素も第1構成要素と称されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0050】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成の連関関係を説明するために使用される。前記用語は相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0051】
異なるように定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるようなものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語のような用語は、関連技術の脈絡での意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、理想的な、または過度に形式的な意味に解釈されない限り、明示的にここで定義される。
【0052】
「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたもの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0053】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0054】
図1は本発明の一実施形態による蒸着装置を簡略に示す正面図であり、図2は本発明の一実施形態による蒸着物質の移動経路を示す順序図である。
【0055】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態による蒸着装置1000は、対象基板SUBの上に薄膜を蒸着する。例示的に、本実施形態による蒸着装置1000は、有機発光表示装置を製造するために使用される。つまり、前記対象基板SUBは有機発光素子を含む有機発光表示パネルの一部であってもよく、前記薄膜は有機発光素子を構成する有機薄膜のうち一つである。例示的に、前記薄膜は発光層であってもよい。その他、前記薄膜は電子注入層、前記輸送層、正孔輸送層、及び正孔注入層のうち少なくともいずれか一つであってもよい。
【0056】
本発明の一実施形態による蒸着装置1000は、チャンバーCHMと、ステージSTGと、蒸着源100と、蒸発室200と、ノズル300と、イオナイザーIZと、を含む。
【0057】
チャンバーCHMは、蒸着物質が移動する空間を提供する。チャンバーCHMは外部から異物が流入されず、蒸着物質の直進性を確保するために高真空状態を維持する。本実施形態において、チャンバーCHMは六面体状を有するように示されているが、本発明の一実施形態によるチャンバーCHMは一つの形状に限らない。
【0058】
ステージSTGはチャンバーCHM内に配置される。詳しくは、ステージSTGはチャンバーCHMが定義する空間のうち上部空間に配置される。図示していないが、ステージSTGはステージ固定部(図示せず)によってチャンバーCHM内に固定される。ステージSTGは、第1方向DR1及び第2方向DR2がなす平面と平行する平板状である。ステージSTGの上面に上述した対象基板SUBが安着される。ステージSTGの前記上面はチャンバーCHMの底面を向く。本実施形態によると、ステージSTGに電圧が印加される。
【0059】
以下、第3方向DR3は、第1方向DR1及び第2方向DR2それぞれと直行する方向と定義される。第3方向DR3は、後述する上部方向及び下部方向と平行である。また、第3方向DR3は、後述する構成要素の前面と背面を区分する基準方向である。しかし、上部方向や下部方向は相対的な概念であって、他の方向に変換されてもよい。
【0060】
蒸着源100はチャンバーCHM内に配置される。例示的に、蒸着源100はチャンバーCHMの下部空間に配置されてもよい。蒸着源100は蒸着物質(図示せず)を含む。本実施形態において、蒸着物質(図示せず)有機物質を含む。蒸着物質(図示せず)は常温で液体状態の物質である。
【0061】
蒸発室200は、蒸着源100の上部に配置されて蒸着源100と連結される。蒸発室200に流入される蒸着物質(図示せず)は蒸発室200内で気化される。図示していないが、本発明の一実施形態による蒸着装置1000は、蒸発室200の内部空間の気圧を制御する気圧値調節部(図示せず)を更に含む。気圧調節部(図示せず)によって液体状態の蒸着物質(図示せず)が蒸発室200内で気化される。本発明の他の一実施形態において、蒸発室200は省略されてもよい。
【0062】
複数のノズル300は、蒸発室200の上部に配置されて蒸発室200のと連結される。ノズル300は、蒸着物質(図示せず)をステージSTGに向かって噴射する。本実施形態において、ノズル300は平面上において第1方向DR1に配列される。しかし、本発明はノズル300の個数または配列関係に特に限らない。
【0063】
本実施形態によると、ノズル300に電圧が印加される。ノズル300は導電性物質を含む。例示的に、ノズル300は金属物質を含んでもよい。
【0064】
イオナイザーIZはノズル300の上部に配置される。本実施形態によるイオナイザーIZは、それぞれが板状を有する2つの電極部400、500を含む。2つの電極部400、500は、上下方向に向かい合うように配置される。
【0065】
本実施形態によると、イオナイザーIZの2つの電極部400、500それぞれに電圧が印加される。よって、イオナイザーIZとノズル300との間に設けられる空間に電場が形成される。ノズル300から噴射された蒸着物質(図示せず)は、ノズル300及びイオナイザーIZによって形成された電場によって帯電される。つまり、蒸着物質(図示せず)はイオナイザーIZによって電子を失うまたは電子を得る。
【0066】
また、本実施形態によると、イオナイザーIZとステージSTGとの間に設けられた空間に電場(EF2)が形成される。前記電場(EF2)の方向は第3方向DR3と平行である。イオナイザーIZによって帯電された蒸着物質(図示せず)は、電場(EF2)の方向に沿って移動する。よって、蒸着物質(図示せず)は、ステージSTGに安着された対象基板SUBの上に蒸着される。
【0067】
ノズル300、イオナイザーIZ、及びステージSTGによって形成される電場について、後述する図9でより詳細に説明する。
【0068】
図示していないが、本発明の一実施形態による蒸着装置1000は、複数の電源供給部(図示せず)を含む。電源供給部(図示せず)は、ノズル300、イオナイザーIZ、及びステージSTGそれぞれに電圧を印加する。
【0069】
本発明の一実施形態による蒸着装置1000はマスクMSKを更に含む。マスクMSKは対象基板SUBの上に配置される。つまり、マスクMSKは対象基板SUBとイオナイザーIZとの間に配置される。マスクMSKは対象基板SUBに隣接する。マスクMSKは複数のマスク開口(図示せず)を有する。マスク開口(図示せず)によって対象基板SUBの上に蒸着装置(図示せず)がパターニングされる。つまり、マスク開口(図示せず)によって露出される対象基板SUBの上の領域それぞれに蒸着装置が蒸着される。
【0070】
図3は、図1に示した蒸着源の拡大断面図である。
【0071】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による蒸着源100は複数で提供される。蒸着源100のうち第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130は、異なる容器CTに収容される。第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130は第1方向DR1に配列される。しかし、本発明は第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130の配列関係は特に限らない。
【0072】
また、図3では3つの第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130が示されているが、本発明は第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130の個数に特に限らない。例示的に、本発明の他の一実施形態において、蒸着源100は3つ以上であってもよく、また他の一実施形態において、蒸着装置1000は一つの蒸着源100のみを含んでもよい。
【0073】
第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130それぞれが含む蒸着物質は異なる。例示的に、第1蒸着源110は第1物質を含み、第2蒸着源120は第2物質を含み、第3蒸着源は第3物質を含んでもよい。
【0074】
例示的に、第1乃至第3物質は、有機発光素子の発光層を構成するホスト物質及びドーパント物質を含んでもよい。また、第1乃至第3物質それぞれは、有機発光素子の電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、及び正孔注入層それぞれを構成する物質のうちいずれか一つを含んでもよい。
【0075】
第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130それぞれは蒸発室200と連結される。詳しくは第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130それぞれを収容する容器CTは、容器CTの上部に設けられる吐出口ERによって蒸発室200と連結される。吐出口ERを介して、第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130の蒸着物質が蒸発室200に移動する。蒸着物質は蒸発室200で気化されて、複数の蒸気粒子DPの形態でノズル300(図1図2)に提供される。
【0076】
本発明の他の一実施形態によると、吐出口ERは蒸着しようとする蒸着物質の種類に応じて選択的開閉される。図3には、複数の吐出口ERのうち第2蒸着源120と連結された一つの吐出口ERのみがオープンされている場合が例示的に示されている。
【0077】
本発明の一実施形態による蒸着装置1000は第1加熱部材HM1および第2加熱部材HM2を含む。第1加熱部材HM1および第2加熱部材HM2は、第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130とともに筐体HSに収納される。本発明の他の一実施形態において、筐体HSは省略されてもよい。
【0078】
第1加熱部材HM1および第2加熱部材HM2は第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130を囲むように配置される。第1加熱部材HM1および第2加熱部材HM2は第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130に熱を伝達する。
【0079】
図3には、加熱部材が複数で提供される場合が例示的に示されている。詳しくは、複数の加熱部材として、第1加熱部材HM1及び第2加熱部材HM2を含む。第1加熱部材HM1は、第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130の側面と隣接して配置されて第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130の側面を加熱する。第2加熱部材HM2は、第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130の下部に配置されて第1蒸着源110、第2蒸着源120、および第3蒸着源130の底面を加熱する。本発明は第1加熱部材HM1および第2加熱部材HM2の形状及び配置関係に特に限らない。
【0080】
図4図1に示した蒸着源、蒸発室、ノズル、及びイオナイザーの斜視図であり、図5図1に示したノズルとイオナイザーの拡大断面図である。図6は、第2電極部の拡大斜視図である。
【0081】
図4乃至図6を参照すると、本発明の一実施形態によるイオナイザーIZは、第1電極部400及び第2電極部500を含む。第1電極部400及び第2電極部500は、それぞれ金属物質を含む。
【0082】
第1電極部400はノズル300の上部に配置される。第1電極部400は、第1プレート410及び複数のピン電極420を含む。第1プレート410は、ステージSTGの上面と平行する板状を有する。第1プレート410に複数のノズル孔NHが設けられる。ノズル孔NHは第1プレート410を貫通する。ノズル孔NHは第1方向DR1に配列される。詳しくは、ノズル孔NHは第2方向DR2から第1プレート410の中心を通るように配列される。
【0083】
ノズル孔NHは平面上においてノズル300と重畳する。ノズル孔NHにノズル300それぞれの少なくとも一部分が挿入される。詳しくは、ノズル300それぞれの上部部分がノズル孔NHに一対一に対応するように挿入される。本実施形態によると、第1プレート410はノズル300と接続される。
【0084】
複数のピン電極420は第1プレート410の上に配置される。ピン電極420それぞれは上部方向である第3方向DR3に延伸される。ピン電極420それぞれの末端は尖った形状を有する。つまり、ピン電極420それぞれの上部部分の太さは下部部分の太さより細い。図5にはピン電極420の末端がノズル300の上面より高く形成されているが、本発明はこれに限らない。
【0085】
ピン電極420はノズル孔NHと重畳する領域に配置されない。
【0086】
第2電極部500は第1電極部400の上部に配置される。つまり、第2電極部500は第1電極部400とステージSTGとの間に配置される。第2電極部500は第1電極部400と所定の間隔で離隔される。第2電極部500は、第1電極部400の第1プレート410と平行する板状の形状を有する。
【0087】
本実施形態によると、第2電極部500に複数のマッシュ孔MHが設けられる。つまり、第2電極部500は、第1方向DR1及び第2方向DR2それぞれに延長されるストライプ電極が互いに交差する格子状の形状を有する。メッシュ孔MHは第2電極部500を貫通する。メッシュ孔MHそれぞれは平面上において四角形状を有する。
【0088】
本発明の一実施形態によると、第1電極部400及び第2電極部500のそれぞれに電圧が印加される。つまり、第1電極部400及び第と第2電極部500との間に第1電場(EF1)が形成される。第1電極部400のピン電極420の末端と第2電極部500との間の距離は第1距離DT1と定義される。
【0089】
ノズル300から噴射された蒸気粒子のうち少なくとも一部は、第1電極部410のピン電極420によって帯電される。例示的に、蒸気粒子のうちピン電極420に接触するか隣接した蒸気粒子は、ピン電極420に電子を与えて正(+)の極性を帯びる。
【0090】
前記帯電された蒸気粒子は帯電粒子と定義される。帯電粒子は、メッシュ孔MHを通過してイオナイザーIZの上部に提供される。
【0091】
本発明の一実施形態によると、第1電場(EF1)の強度は蒸着装置のイオン化エネルギー値より大きいか同じであり、蒸着物質の分解エネルギー値より小さい。前記範囲内で第1電場(EF1)が所定の強度を有すれば、蒸気粒子が帯電される。例示的に、第1電場(EF1)の強度は約106V/m以上107V/m以下であってもよい。
【0092】
図7は、図5に示したノズルのうちいずれか一つのノズルを示す断面図である。図8は、図7に示したノズルの横断面図である。
【0093】
図7及び図8を参照すると、本発明の一実施形態によるノズル300それぞれは複数の突出チップPTを含む。突出チップPTはノズル300それぞれの内側面の上に配置される。突出チップPTそれぞれは、平面または断面上においてノズル300の内側面からノズル300の中心に向かう方向に尖った形状を有する。突出チップPTは導電性物質を含む。
【0094】
図7には突出チップPTがノズル300の内側面が占める領域に全面的に配列される構成を示したが、本発明はこれに限らない。例示的に、本発明の他の一実施形態によると、突出チップPTはノズル300の内側面が占める領域のうち一部の領域に限って配置されてもよい。例示的に、突出チップPTはノズル300の内側面が占める領域のうち蒸着物質が噴射されるノズル300の末端と隣接した領域に限って配置されてもよい。つまり、突出チップPTはノズル300の内側面の上部領域にのみ配置される。
【0095】
本実施形態によると、電圧が印加されたノズル300と第2電極部500との間に電場が形成される。ノズル300に提供される蒸気粒子DPの少なくとも一部は、それぞれの内側面に配置された突出チップPTによって帯電される。例示的に、蒸気粒子DPのうち突出チップPTに接触するか隣接した一部の蒸気粒子DPは、突出チップPTに電子を与えて正極(+)を帯びてもよい。つまり、ノズル300の内側面に配置される複数の突出チップPTによって蒸気粒子DPは帯電粒子IPに変換される。ノズル300の内部空間において、帯電粒子IPはノズル300によって噴射される。
【0096】
図9は、本実施形態による蒸着物質の移動経路を示す図である。
【0097】
図9を参照して、蒸着源100の蒸着物質が対象基板SUBの上に蒸着される原理が説明される。
【0098】
本実施形態によると、ノズル300、イオナイザーIZの電極部400、500、及びステージSTGそれぞれに電圧が印加される。
【0099】
詳しくは、ノズル300に帯電電圧(VN)が印加される。
【0100】
第1電極部400に第1電圧(V1)が印加される。
【0101】
第2電極部500に第2電圧(V2)が印加される。
【0102】
ステージSTGに第3電圧(V3)が印加される。
【0103】
本発明の一実施形態によると、ノズル300は第1電極部400と電気的に連結される。よって、帯電電圧(VN)の大きさは、第1電圧(V1)の大きさと同じである。例示的に、帯電電圧(VN)が及び第1電圧(V1)それぞれの大きさは90V以上100V以下であってもよい。
【0104】
図示していないが、ノズル300が第1電極部400と離隔されれば、帯電電圧(VN)が第1電圧(V1)と異なる。本発明において、帯電電圧(VN)が及び第1電圧(V1)の大小関係は特に限らない。
【0105】
第2電圧(V2)は、帯電電圧(VN)及び第1電圧(V1)より小さい。例示的に、第2電圧(V2)は約40V以上60V以下であってもよい。
【0106】
よって、ノズル300と第2電極部500との間、及び第1電極部400と第2電極部500との間に第1電場(EF1図5)が形成される。ノズル300それぞれの内部空間、及び第1電極部400と第2電極部500との間の空間それぞれで移動する蒸気粒子DP(図7)は、第1電場(EF1図5)によって帯電されて帯電粒子IPに変換される。帯電粒子IPは第2電極部500のメッシュ孔MH(図6)を通過して上部に移動する。
【0107】
第3電圧(V3)は、第2電圧(V2)より小さい。例示的に、第3電圧(V3)は約1V以上20V以下であってもよい。
【0108】
よって、第2電極部500とステージSTGとの間それぞれに第2電場(EF2)が形成される。第2電場(EF2)の強度は、第1電場(EF1)の強度より小さい。例示的に、第2電場(EF2)の強度は約10V/m以上100V/m以下であってもよい。第2電極部500とステージSTGとの間の離隔距離は第2距離DT2と定義される。第2距離DT2は第1距離DT1より大きい。また、第2距離DT2はノズル300と第2電極部500との間の距離より大きい。
【0109】
第2電極部500を通過した帯電粒子IPは、ステージSTGに向かう方向に移動する。本発明によると、正(+)の極性を有する帯電粒子IPは、第2電場(EF2)の方向に沿って移動する。上述したように、第2電場(EF2)の方向は第3方向DR3と平行である。
【0110】
帯電粒子IPは第2電場(EF2)の方向に沿って移動し、対象基板SUBの上に蒸着される。
【0111】
図10は本実施形態による対象基板の拡大図であり、図11は蒸着が完了された対象基板の拡大図である。
【0112】
図10及び図11には、本発明の一実施形態による蒸着装置100の用途を説明するために対象基板の構成が例示的に示されている。つまり、本発明の一実施形態による蒸着装置1000の用途は対象基板SUBの種類に特に限らない。
【0113】
図10及び図11を参照すると、本発明の一実施形態による対象基板SUBは、有機発光表示パネルの一部である。以下、対象基板SUBの構成についてより詳細に説明する。
【0114】
対象基板SUBは、ベース層BS、機能層BL、及び回路層CLを含む。ベース層BSは対象基板SUBの背面を定義する。ベース層BSは、対象基板SUBが含む電極及び表示素子を形成するための基底層である。ベース層BSは基板状の形状を有して提供される。ベース層BSはステージSTG(図7)と全面的に接触する。
【0115】
機能層BLはベース層BSの上に配置される。機能層BLは、バリア層(Barrier layer)及び/またはバッファ層(Buffer layer)を含む。機能層BLは、ベース層BSを介して流入される酸素や水分が回路層CLに浸透することを防止するか、回路層CLがベース層BSの上に安定的に形成されるようにする。本発明において、機能層BLの物質の種類は特に限らない。本発明の他の一実施形態において、機能層BLは省略されてもよい。
【0116】
回路層CLはベース層BSの上に配置される。回路層CLは、有機発光表示OLEDを駆動するための複数の薄膜トランジスタTFT、及び複数の信号配線(図示せず)を含む。図10及び図11には回路層CLが含む複数の薄膜トランジスタのうち有機発光素子と直接連結される画素トランジスタTFTのみ示されており、画素トランジスタTFTの構成に限って例示的に後述する。
【0117】
薄膜トランジスタTFTのそれぞれは、半導体パターンSP、ゲート電極GE、入力電極IE、及び出力電極OEを含む。半導体パターンSPは半導体物質を含む。ゲート電極GEは、第1絶縁層IL1を間に挟んで半導体パターンSPから離隔される。
【0118】
入力電極IEと出力電極OEは、第2絶縁層IL2を間に挟んで制御電極GEから離隔される。入力電極IEと出力電極OEは、第1絶縁層IL1及び第2絶縁層IL2を貫通して半導体パターンSPの一側及び他側にそれぞれ接続される。
【0119】
第3絶縁層IL3は、第2絶縁層IL2の上に配置されて入力電極IE及び出力電極OEを覆う。一方、薄膜トランジスタTFTにおいて、半導体パターンSPはゲート電極GEの上に配置されてもよい。または、半導体パターンSPが入力電極IEと出力電極OEの上に配置されてもよい。または、入力電極IEと出力電極OEは半導体パターンSPと同じ層の上に配置され、半導体パターンSPに直接接続されてもよい。本発明の一実施形態による薄膜トランジスタTFTは多様な構造で形成されてもよく、いずれか一つの一実施形態に限らない。
【0120】
回路層CLの上に画素電極PE及び画素定義膜PDLが配置される。画素電極PEは、第3絶縁層IL3を貫通して薄膜トランジスタTFTに接続する。画素定義膜PDLは、第3絶縁層IL3及び画素電極PEの上に配置される。画素定義膜PDLには蒸着開口EOPが定義される。蒸着開口EOPは、画素電極PEそれぞれの少なくとも一部の領域を露出させる。画素電極PEが露出される領域それぞれは、画素領域PXA1、PXA2、PXA3と定義される。複数の画素領域PXA1、PXA2、PXA3は、有機発光表示パネルの表示領域を定義する。
【0121】
図10に示したように、マスクMSKに複数のマスク開口MOPが定義される。マスク開口MOPは、平面上において蒸着開口EOPと一対一に対応するように重畳する。つまり、マスク開口MOPは画素領域PXA1、PXA2、PXA3と重畳する。
【0122】
本発明の一実施形態によると、ノズル300及びイオナイザーIZによって帯電された帯電粒子IPがステージSTGに向かう方向、つまり、対象基板SUBに向かう方向に移動する。帯電粒子IPは、マスクMSKのマスク開口MOPを通過して対象基板SUBの上の画素領域PXA1~PXA3に蒸着される。
【0123】
図11に示したように、蒸着が完了された蒸着物質は画素領域PXA1、PXA2、PXA3で発光層ELをなす。発光層ELは画素電極PEそれぞれの上に配置される。図示していないが、発光層ELの形成が完了された後、発光層ELの上に共通電極(図示せず)を形成することで、表示パネルの表示基板が製造される。
【0124】
本発明の一実施形態とは異なって、蒸気粒子が帯電されないか、イオナイザーIZとステージSTGとの間に電場が形成されなければ、ノズル300から噴射される蒸気粒子が対象基板SUBの上に均一に提供されない恐れがある。特に、対象基板SUBの縁領域に定義される画素領域の場合、対象基板SUBの上面の法線と蒸気粒子が入射される方向との間の角度が相対的に小さい。つまり、蒸気粒子が対象基板SUBの上に斜めに入射すれば、対象基板SUBの縁領域に定義される画素領域PXAに入射する蒸気粒子のうち一部がマスクMSKによって遮断される。この場合、画素領域PXAの一部の領域の上には蒸気粒子が蒸着されない。しかし、本発明の一実施形態によると、蒸気粒子DP(図7)がノズル300及びイオナイザーIZそれぞれによって帯電され、帯電粒子IPが第2電場(EF2)が形成されたイオナイザーIZとステージSTGとの間の空間で移動する。帯電粒子IPは、第2電場(EF2)によって第3方向DR3に移動方向が変更される。詳しくは、帯電粒子IPは、第2電場(EF2)の影響で帯電粒子IPの移動方向と第2電場(EF2)の方向がなす角度が減少する。前記角度は約10度以下である。つまり、本実施形態によると、帯電粒子IPがステージSTGの上面となす角度(θ)は約80度以上100度以下である。本実施形態において、ステージSTGの上面は、対象基板SUBの上面及びマスクMSKの上面及び下面と平行する。結果的に、本発明の一実施形態によると、対象基板SUBの上の画素領域PXA1~PXA3に帯電粒子IPが第3方向DR3に近い方向に入射されるため、対象基板SUBの上に蒸着物質を均一に蒸着することができる。つまり、有機発光表示装置の収率が向上される。
【0125】
また、本発明の一実施形態によると、ノズル300それぞれに電圧が印加され、ノズル300それぞれの内側面に複数の突出チップPTが配置されるため、蒸着物質の帯電効率が向上される。
【0126】
図12は第2電場の強度による蒸着物質の経路を概略的に示すグラフであり、図13は第2電場の強度による蒸着物質の入射角を示すグラフである。
【0127】
本発明の一実施形態によると、ステージSTGと第2電極部500との間に形成される第2電場(EF2)の強度が増加するほど、つまり、ステージSTGと第2電極部500との間の電位差の大きさが増加するほど、蒸気粒子の移動方向が第3方向DR3(図9)に近づく。つまり、ステージSTGと第2電極部500との間の電位差の大きさが増加するほど、ステージSTGの上面と蒸気粒子の移動方向がなす角度と定義される入射角(θ)が増加する。
【0128】
図12に示したように、前記電位差の大きさが1Vである場合より、10Vである場合に蒸気粒子の入射角(θ)が増加する。また、電位差が10Vである場合より、100Vである場合に蒸気粒子の入射角(θ)が増加する。本発明の一実施形態によると、前記電位差が約10V以上であれば、蒸気粒子の入射角(θ)は約80度以上100度以下である。
【0129】
また、図13に示したように、第2距離TSが減少するほど前記入射角(θ)の大きさが増加する。第2電場(EF2)が形成される空間の第3方向DR3(図9)、つまり、ステージSTGと第2電極部500との間の距離TSが約340mm以上505mm以下であり、前記電位差が約10V以上であれば、蒸気粒子の入射角(θ)が約80度以上100度以下である。
【0130】
図14は本発明の一実施形態によるイオナイザー拡大断面図であり、図15図14に示した第2電極部の拡大斜視図である。
【0131】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0132】
図14及び図15を参照すると、本発明の他の一実施形態によるイオナイザーIZ-1の第2電極部500-1に複数のメッシュ孔MH-1が設けられる。メッシュ孔MH-1は第2電極部500-1を貫通する。メッシュ孔MH-1それぞれは平面上において四角形状を有する。
【0133】
本実施形態によると、メッシュ孔MHそれぞれの内側面はメッシュ孔MH-1それぞれの中心に向かうように尖った断面形状を有する。つまり、メッシュ孔MH-1それぞれの内側面は少なくとも一つの傾斜面ISを含む。
【0134】
本実施形態によると、ノズル300から提供される蒸気粒子DPのうちノズル300それぞれの内部空間、またはピン電極420と第2電極部500-1との間の空間において、帯電されていない一部の蒸気粒子DPが第2電極部500-1のメッシュ孔MH-1の内側面が含む傾斜面ISに帯電される。例示的に、蒸気粒子DPのうち前記傾斜面ISに接触するか隣接した一部の蒸気粒子DPは、第2電極部500-1に電子を与えて正(+)の極性を帯びてもよい。
【0135】
よって、本実施形態によると、蒸着物質の帯電効率がより向上される。
【0136】
図16は、本発明のまた他の一実施形態によるイオナイザーの拡大断面図である。
【0137】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0138】
図16を参照すると、本発明の他の一実施形態による蒸着装置は複数のサブ加熱部材600を更に含む。
【0139】
サブ加熱部材600はノズル300を囲むように配置される。サブ加熱部材600はノズル300と一対一に対応する。詳しくは、サブ加熱部材600のそれぞれはノズル300の外側面を囲むように配置される。サブ加熱部材600それぞれはノズル300の末端に隣接して配置される。
【0140】
本発明はサブ加熱部材600の形状及び配置関係に特に限らない。例示的に、本発明の他の一実施形態によると、サブ加熱部材600は、ノズル300の外側面を全面的に囲む形状を有するか、ノズル300の内側空間に配置される。
【0141】
本実施形態によると、サブ加熱部材600がノズル300の上部部分と隣接して配置されてノズル300の内部空間を加熱する。よって、蒸気粒子がノズル300の内部空間または周辺に堆積する現象を防止する。
【0142】
図17は、本発明の他の一実施形態によるノズルの断面図である。
【0143】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0144】
図17を参照すると、本発明の他の一実施形態によるノズル300-3それぞれの上面は、断面上において上部方向である第3方向DR3に尖った形状を有する。本実施形態によると、ノズル300-3から噴射される蒸気粒子DPは、ノズル300-3の上面の尖った形状によって帯電される。蒸気粒子DPはノズル300-3によって噴射されるとともに、ノズル300-3に電子を与えて正(+)の極性を帯びる。
【0145】
本実施形態によると、蒸着物質の帯電効率がより増加される。
【0146】
図18は、本発明の更に他の一実施形態によるイオナイザーの拡大断面図である。
【0147】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0148】
図18を参照すると、本発明の他の一実施形態による第1電極部400-4は、第1プレート410及び複数のピン電極420-4を含む。第1プレート410に関する構成は図4及び図5で説明した第1プレート410の構成と同じであるため省略する。
【0149】
ピン電極420-4は第1プレート410の上に配置される。ピン電極420-4それぞれは、上部方向である第3方向DR3に延伸される。
【0150】
本実施形態によると、ピン電極420-4は、第1プレート410の上においてノズル300と隣接するほど密度が減少する。詳しくは、ノズル300と隣接した領域でピン電極420-4の間の間隔は増加し、ノズル300から離れた第2方向DR2に沿って遠くなるほどピン電極420-4の間の間隔は減少する。
【0151】
一般に、ノズル300と隣接した領域における蒸気粒子の密度は、ノズル300と隣接していない領域における蒸気粒子の密度より大きい。本実施形態によると、蒸気粒子が相対的に拡散しない領域、つまり、ノズル300と隣接していない領域におけるピン電極420-4の間の間隔が、蒸気粒子の密度が相対的に高い領域、つまり、ノズル300と相対的に隣接した領域におけるピン電極420-4の間の間隔より小さい。よって、ノズル300によって噴射された蒸気粒子の密度が領域別に異なっても、ピン電極420-4による帯電効率を領域別に異なるようにすることで、蒸着装置の蒸着均一度がより向上される。
【0152】
図19は本発明の他の一実施形態による蒸着装置の断面図である。
【0153】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0154】
図19を参照すると、本発明の他の一実施形態による蒸着装置1000-5の第2電極部500-5は、板状を有する複数の電極510、520を含む。
【0155】
詳しくは、第2電極部500-5は、第1メッシュ電極510及び複数の第2メッシュ電極520を含む。図示していないが、第1メッシュ電極510及び第2メッシュ電極520それぞれに複数のメッシュ孔MH(図6)が定義される。
【0156】
第1メッシュ電極510及び第2メッシュ電極520それぞれは、平面上において互いに離隔される。本実施形態において、第1メッシュ電極510及び第2メッシュ電極520は同じ平面上に配置される。つまり、第1メッシュ電極510とステージSTGとの間の距離は、第2メッシュ電極520それぞれとステージSTGとの間の距離と同じである。
【0157】
第1メッシュ電極510は、平面上において第1方向DR1に延伸される板状の形状を有する。第1メッシュ電極510は、平面上においてステージSTGの中央部と重畳する。第1メッシュ電極510は、ノズル300と平面上において重畳する。
【0158】
第2メッシュ電極520それぞれは、平面上において第1方向DR1に延長される板状の形状を有する。第2メッシュ電極520は、第2方向DR2において第1メッシュ電極510を間に挟んで配列される。第2メッシュ電極520は、平面上においてステージSTGの周辺部と重畳する。第2メッシュ電極520は、ノズル300と平面上において重畳しない。
【0159】
本実施形態によると、第1メッシュ電極510に印加される電圧(V2A)の大きさは、第2メッシュ電極520それぞれに印加される電圧(V2B)の大きさより小さい。つまり、第1メッシュ電極510と第1電極部400との間に形成される第1サブ電場の強度は、第2メッシュ電極520それぞれと第1電極部400との間に形成される第2サブ電場の強度より小さい。一方、第1メッシュ電極510とステージSTGとの間に形成される電場(EF2A)の強度は、第2メッシュ電極520それぞれとステージSTGとの間に印加される電場(EF2B)の強度より大きい。
【0160】
本実施形態によると、イオナイザーIZの内部において、蒸気粒子の密度が相対的に低い領域、つまり、ノズル300と相対的に隣接していない領域における電場の強度が、蒸気粒子の密度が相対的に高い領域、つまり、ノズル300と隣接した領域における電場の強度より大きい。よって、ノズル300によって噴射された蒸気粒子の密度が領域別に異なっても、ピン電極による帯電効率を領域別に異なるようにすることで、蒸着装置の蒸着均一度がより向上される。
【0161】
図20は、本発明のまた他の一実施形態による蒸着装置の断面図である。
【0162】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0163】
図20を参照すると、本発明のまた他の一実施形態による蒸着装置1000-6の第2電極部500-6は、第1メッシュ電極510及び複数の第2メッシュ電極520を含む。
【0164】
第1メッシュ電極510及び第2メッシュ電極520それぞれは、平面上において互いに離隔される。本実施形態において、第1メッシュ電極510及び第2メッシュ電極520に印加される電圧(V2)の大きさは一定である。
【0165】
本実施形態によると、第1メッシュ電極510は第2メッシュ電極520より高く配置される。つまり、前記第1メッシュ電極510と前記第1電極部400との間の距離は、前記第2メッシュ電極520それぞれと前記第1電極部400との間の距離より大きい。一方、第1メッシュ電極510とステージSTGとの間の距離は、第2メッシュ電極520それぞれとステージSTGとの間の距離より小さい。
【0166】
よって、第1メッシュ電極510と第1電極部400との間に形成される第1サブ電場の強度は、第2メッシュ電極520それぞれと第1電極部400との間に形成される第2サブ電場の強度より小さい。一方、第1メッシュ電極510とステージSTGとの間に形成される電場(EF2A)の大きさは、第2メッシュ電極520それぞれとステージSTGとの間に形成される電場(EF2B)の大きさより大きい。
【0167】
本実施形態によると、イオナイザーIZの内部において、蒸気粒子の密度が相対的に低い領域、つまり、ノズル300と相対的に隣接してない領域における電場の強度が、蒸気粒子の密度が相対的に高い領域、つまり、ノズル300と隣接した領域における電場の強度より大きい。よって、ノズル300によって噴射された蒸気粒子の密度が領域別に異なっても、ピン電極による帯電効率を領域別に異なるようにすることで、蒸着装置の蒸着均一度がより向上される。
【0168】
図21は、本発明のまた更に一実施形態による蒸着装置の断面図である。
【0169】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0170】
図21を参照すると、本発明の他の一実施形態による蒸着装置1000-7は、イオナイザーIZとステージSTGとの間に配置される第3電極部700を更に含む。第3電極部700は板状の形状を有する。図示していないが、第3電極部700は、平面上において複数の孔(図示せず)を含む。イオナイザーIZから提供される帯電粒子は孔(図示せず)を通過してステージSTGに向かう方向に移動する。
【0171】
本発明は孔(図示せず)の形状及び個数に特に限らない。例示的に、第3電極部700の孔(図示せず)それぞれの形状は、第2電極部500(図6)のメッシュ孔MHそれぞれの形状と同じであってもよい。
【0172】
本実施形態によると、第3電極部700に第4電極(V4)が印加される。第4電極(V4)の大きさは第2電極(V2)の大きさより小さいか同じであり、第3電極(V3)の大きさより大きい。
【0173】
第4電極(V4)の大きさが第2電極(V2)の大きさと同じであれば、ノズル300と第2電極部500との間、及び第1電極部400と第2電極部500との間にそれぞれ第1電場(EF1図5)が形成され、第3電極部700とステージSTGとの間に第2電場(EF2)が形成される。第2電極部500は第3電極部700との間には電場が形成されない。
【0174】
一方、図示していないが、第4電極(V4)の大きさが第2電極(V2)の大きさより小さければ、第2電極部500と第3電極部700との間に第3電場(図示せず)が形成される。第4電場(図示せず)の方向はステージSTGに向かう第3方向DR3と平行する。本発明において、第4電場(図示せず)の大きさは特に限らない。
【0175】
図22は本発明の他の一実施形態による蒸着源、蒸発室、ノズル、及びイオナイザーの斜視図であり、図23図22に示した蒸着源、蒸発室、ノズル、及びイオナイザーの断面図である。
【0176】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0177】
図22及び図23を参照すると、本発明の他の一実施形態による蒸着装置の蒸着源100、蒸発室200、及びノズル300は互いに接続された形状を有する。
【0178】
本実施形態によると、第1電極部400-8は、平面上において第1方向DR1に延長された形状を有する。詳しくは、第1電極部400-8の第1プレート410は第1方向DR1に延伸された板状を有する。第1プレート410が平面上において占める領域は、第2電極部500が平面上において占める領域より小さい。第1プレート410は、蒸着源100、蒸発室200、及びノズル300と接続される。
【0179】
図示していないが、本実施形態による蒸着装置は、蒸着源移動部(図示せず)を更に含む。蒸着源移動部(図示せず)は、蒸着源100、蒸発室200、ノズル300、及び第1電極部400-8を第2方向DR2に往復移動させる。第1電極部400-8が移動されることで、ノズル300から噴射される蒸気粒子は均一に第2電極部500に提供される。
【0180】
本実施形態によると、ノズル300から噴射される蒸気粒子がより効果的に拡散される。つまり、本実施形態によると、蒸着装置の蒸着均一度が増加する。
【0181】
図24は、本発明のまた他の一実施形態による対象基板の拡大断面図である。
【0182】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0183】
図24に示したように、本発明の他の一実施形態によると、マスクMSKに第3電圧(V3)が印加される。ステージSTGには電圧が印加されない。よって、第2電極部500(図9)とマスクMSKとの間に電場が形成される。前記電場の強度は、上述した第1電場の大きさより小さい。
【0184】
本実施形態によると、ノズル300(図9)またはイオナイザー(図9)によって帯電される帯電粒子IPがマスクMSKに向かう方向に入射される。前記帯電粒子IPは、マスクMSKのマスク開口MOPを通過して対象基板SUBの画素領域PXA1~PXA3の上に蒸着される。
【0185】
図25は、本発明のまた他の一実施形態による対象基板の拡大断面図である。
【0186】
説明の便宜上、本発明の一実施形態とは異なる点を中心に説明するが、省略された部分は本発明の一実施形態による。また、上述した構成要素に関しては図面符号を併記し、前記構成要素に関する重複説明は省略する。
【0187】
図25に示したように、本発明の他の一実施形態によると、対象基板SUBの画素電極PEそれぞれに第3電圧(V3A、V3B、V3C)が印加される。第3電圧(V3A、V3B、V3C)の大きさは、第2電圧(V2)の大きさより小さい。ステージSTG及びマスクMSKには電圧が印加されない。よって、画素電極PEと第2電極部500(図9)の間に電場が形成される。前記電場の強度は、上述した第1電場の大きさより小さい。
【0188】
本実施形態によると、ノズル300(図9)またはイオナイザーIZ(図9)によって帯電される帯電粒子IPが対象基板SUBに向かう方向に入射される。前記帯電粒子IPは、マスクMSKのマスク開口MOPを通過して対象基板SUBの画素領域PXA1~PXA3の上に蒸着される。
【0189】
また、本発明の他の一実施形態によると、画素領域PXA1~PXA3に異なる蒸着物質が蒸着されれば、画素電極PEに印加される電圧(V3A、V3B、V3C)の大きさは画素領域PXA1~PXA3の種類によって異なる。例示的に、画素領域PXA1~PXA3に蒸着される蒸着物質は、異なるカラーを放出する発光層EL(図11)を構成する。
【0190】
詳しくは、第1画素領域PXA1に配置される画素電極PEには第1サブ電圧(V3A)が印加され、第2画素領域PXA2に配置される画素電極PEには第2サブ電圧(V3B)が印加され、第3画素領域PXA3に配置される画素電極PEには第3サブ電圧(V3C)が印加される。第1乃至第3サブ電圧(V3A、V3B、V3C)のそれぞれの大きさは、第2電圧(V2図9)の大きさより小さい。第1乃至第3サブ電圧(V3A、V3B、V3C)のそれぞれの大きさは、画素領域PXA1~PXA3に蒸着される蒸着物質のイオン化エネルギー値または分解エネルギー値によって決定される。
【0191】
図26は、本発明の一実施形態による蒸着方法の順序図である。
【0192】
以下、本発明の他の一実施形態による蒸着装置を利用した蒸着方法について説明する。
【0193】
まず、ステージSTG(図1)の上に対象基板SUB(図10)を配置する(S1)。図10に示したように、対象基板SUB(図10)は、ベース層BS、回路層CRL、及び画素電極PEを順次に形成することで提供される。
【0194】
次に、蒸着源100の蒸着物質を気化させる(S2)。蒸着物質は蒸発室200(図3)で気化される。気化された蒸着物質は、複数の蒸気粒子DP(図7)の形態でノズル300に提供される。
【0195】
次に、イオナイザーIZ(図9)及びノズル300(図9)に電圧(VN、V1、V2)を印加し、イオナイザーIZ(図9)及びノズル300(図9)に第1電場(EF1)を形成する。第1電場(EF1)によって蒸着物質が帯電される(S3)。
【0196】
詳しくは、ノズル300(図9)に帯電電圧(VN)を印加し、イオナイザーIZの第1電極部400に第1電圧(V1)を印加し、第2電極部500に第2電圧(V2)を印加する。本実施形態において、帯電電圧(VN)及び第1電圧(V1)のそれぞれは第2電圧(V2)より大きい。イオナイザーIZのピン電極420(図5)及びノズル300それぞれの突出チップPTが(図7)によって蒸着物質が帯電される。
【0197】
次に、ステージSTGに第3電圧(V3)電圧を印加し、第2電極部500(図9)とステージSTGとの間に第2電場(EF2)を形成する(S4)。第3電圧(V3)は、第2電圧(V2)より小さい。第2電場(EF2)の強度は、第1電場(EF1)の強度より小さい。
【0198】
本発明の他の一実施形態において、ステージSTGに第3電圧(V3)を印加する方法の他、様々な方法で第2電極部500(図9)とステージSTGとの間に第2電場(EF2)を形成することができる。例示的に、図23及び図24に示したように、マスクMSK(図23)に第3電圧(V3)を印加する方法、または対象基板SUBの画素電極PEそれぞれに第3電圧(V3)を印加する方法を介して、第2電極部500(図9)とステージSTGとの間の空間に第2電場(EF2)を形成してもよい。
【0199】
第2電場(EF2)は、帯電された蒸着物質が対象基板SUBに入射されるように蒸着物質の移動方向をガイドする。本実施形態において、蒸着物質が対象基板SUBに入射される方向は、対象基板SUBの上面と約80度以上100度以下である。
【0200】
これまで一実施形態を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者は、下記特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更し得ることを理解できるはずである。また、本発明の開示された一実施形態は本発明の技術思想を限定するためのものではなく、下記特許請求の範囲及びそれと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0201】
1000:蒸着装置,CHM:チャンバー,STG:ステージ,SUB:対象基板,MSK:マスク,100:蒸着源,110:第1蒸着源,120:第2蒸着源,130:第3蒸着源,HM1:第1加熱部材,HM2:第2加熱部材,DP:蒸気粒子,200:蒸発室,300:ノズル,IZ:イオナイザー,400:第1電極部,410:第1プレート,420:ピン電極,500:第2電極部,MH:電極孔,ER:吐出口,IP:帯電粒子,PT:突出チップ,EF:電場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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