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特許7486303火災警報器および火災報知システムおよび通信モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】火災警報器および火災報知システムおよび通信モジュール
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240510BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G08B17/00 A
G08B25/10 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019206980
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021081840
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000229405
【氏名又は名称】日本ドライケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】遠山 榮一
(72)【発明者】
【氏名】桑折 智郎
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108399705(CN,A)
【文献】特開2019-012343(JP,A)
【文献】特開2014-186417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般の住宅に設置され、火災に関連する感知情報を検知する火災センサ部を備えた火災警報器と、前記火災警報器よりの火災報知の無線通信を受信する基地局と、前記基地局よりの信号を受ける通信ネットワークと、前記住宅の住人が携帯する携帯端末と、前記通信ネットワークより受け取った火災報知信号に基づいて、所定の火災報知情報を前記携帯端末へ送信するクラウドサーバと、を有する火災報知システムであって、
前記火災警報器が、前記通信ネットワークへ直接にデータ通信を行う通信モジュールを備え、前記携帯端末が、前記クラウドサーバよりの火災報知情報を受け取って表示し、
前記通信モジュールが前記火災センサ部とは別体になっており、
前記火災センサ部は、火災を検知する火災検知部と、火災を検知した場合に移報信号を出力する出力部とを備えて構成されており、
前記通信モジュールは、前記火災センサ部より移報信号を受信した場合、前記通信ネットワークへ直接にデータ通信を行うように構成されており、
前記火災センサ部は、上面が平面になっている円板状に形成されており、
前記通信モジュールは、外径の値が前記火災センサ部の外径の値と等しい円板状に形成されており、
前記通信モジュールには貫通孔が設けられており、
前記通信モジュールは、ボルトを用いて前記火災センサ部とともに増設する形態で天井
に設置されるように構成されており、
前記通信モジュールから通信ネットワークへデータ通信されるデータが、固有の識別子を有する火災報知情報であり、
前記通信モジュールから通信ネットワークへデータ通信されるデータが、前記通信ネットワークを介してクラウドサーバへ送信され、前記クラウドサーバが、前記火災報知情報の固有の識別子に基づいて、前記火災警報器の設置されている住宅の住人の携帯端末へ前記火災報知情報を選択して送信し、
前記選択は、前記携帯端末のユーザー毎に設定可能になっており、
前記通信モジュールから前記通信ネットワークへデータ通信されるデータが、固有の識別子を有する火災報知情報であり、
前記通信モジュールから前記通信ネットワークへデータ通信されるデータが、前記通信ネットワークを介してクラウドサーバへ送信され、前記クラウドサーバが、前記火災報知情報の固有の識別子に基づいて、前記火災警報器の設置されている住宅の住人の携帯端末へ前記火災報知情報を選択して送信し、
前記選択は、前記携帯端末のユーザー毎に設定可能になっており、
前記クラウドサーバは、前記火災報知情報の固有の識別子に対応した設定リストを有し、
前記設定リストは、前記携帯端末のユーザー毎に管理したい範囲である建物、フロアおよびエリアの情報と、前記携帯端末のユーザーへ表示する情報レベルを示す閲覧レベルの情報を含み、
前記クラウドサーバでの選択は、前記火災報知情報の固有の識別子に対応し前記設定リストに含まれている前記携帯端末のユーザー毎に管理したい範囲である建物、フロアおよびエリアならびに前記携帯端末のユーザーに表示する閲覧レベルに基づいてされることを特徴とする火災報知システム。
【請求項2】
前記火災警報器において、前記通信モジュールから通信ネットワークへのデータ通信が、LTE(ロングタームエボリューション)からなるデータによるインターネット回線によっておこなわれることを特徴とする請求項1に記載の火災報知システム。
【請求項3】
前記火災警報器が、一般の住宅に設置され前記火災センサ部が火災に関連する感知情報を検知したときに警報を発する住宅用火災警報器と、この住宅用火災警報器とは別体の前記通信モジュールより構成され、前記住宅用火災警報器からの火災発生を示す接点出力を受けて前記通信モジュールが前記データ通信を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の火災報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検知して報知する火災警報器および火災報知システムおよび通信モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、煙感知器や熱感知器や発信機等を火災警報器として複数設置し、それらの火災警報器からの火災報知の情報により火災やガス漏れなどを報知する火災報知システムが知られており、特に、一般の住宅などに設置する火災警報器として、住警器が知られている。
【0003】
このような住宅用の火災報知システムでは、例えば、複数の部屋毎に住警器を設置し、住警器間を無線回線で結び、1つの住警器で火災を検知した場合、他の住警器でも連動して火災警報を出力する連動型の火災報知システムも知られている。
【0004】
一方、最近では、スマホなどの多くの機能を有する携帯端末が普及し、そのような携帯端末を用いて、エアコンなどの家電を外から制御することも出来るようになってきている。従来の住宅用の火災報知システムには以下のような問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-181814号公報
【文献】特開2013-257735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の住宅用の火災報知システムでは、その住人が住宅から離れていて留守にしている時に住警器で火災を検知した場合に、簡単な構成でスマホなどの携帯端末で住人に火災を知らせることが出来なかった。
【0007】
なお、上記特許文献に示すように、住宅用の火災報知システムにおいて携帯端末で火災を知らせる提案もなされていたが、そのための構成は複雑になり、多大な付加設備を必要とするものであった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成でスマホなどの携帯端末で住人に確実に火災を知らせることが出来る火災警報器および火災報知システムおよび通信モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、一般の住宅に設置され、火災に関連する感知情報を検知する火災センサ部を備えた火災警報器と、前記火災警報器よりの火災報知の無線通信を受信する基地局と、前記基地局よりの信号を受ける通信ネットワークと、前記住宅の住人が携帯する携帯端末と、前記通信ネットワークより受け取った火災報知信号に基づいて、所定の火災報知情報を前記携帯端末へ送信するクラウドサーバと、を有する火災報知システムであって、前記火災警報器が、前記通信ネットワークへ直接にデータ通信を行う通信モジュールを備え、前記携帯端末が、前記クラウドサーバよりの火災報知情報を受け取って表示し、前記通信モジュールが前記火災センサ部とは別体になっており、前記火災センサ部は、火災を検知する火災検知部と、火災を検知した場合に移報信号を出力する出力部とを備えて構成されており、前記通信モジュールは、前記火災センサ部より移報信号を受信した場合、前記通信ネットワークへ直接にデータ通信を行うように構成されており、前記火災センサ部は、上面が平面になっている円板状に形成されており、前記通信モジュールは、外径の値が前記火災センサ部の外径の値と等しい円板状に形成されており、前記通信モジュールには貫通孔が設けられており、前記通信モジュールは、ボルトを用いて前記火災センサ部とともに増設する形態で天井に設置されるように構成されており、前記通信モジュールから通信ネットワークへデータ通信されるデータが、固有の識別子を有する火災報知情報であり、前記通信モジュールから通信ネットワークへデータ通信されるデータが、前記通信ネットワークを介してクラウドサーバへ送信され、前記クラウドサーバが、前記火災報知情報の固有の識別子に基づいて、前記火災警報器の設置されている住宅の住人の携帯端末へ前記火災報知情報を選択して送信し、前記選択は、前記携帯端末のユーザー毎に設定可能になっており、前記通信モジュールから前記通信ネットワークへデータ通信されるデータが、固有の識別子を有する火災報知情報であり、前記通信モジュールから前記通信ネットワークへデータ通信されるデータが、前記通信ネットワークを介してクラウドサーバへ送信され、前記クラウドサーバが、前記火災報知情報の固有の識別子に基づいて、前記火災警報器の設置されている住宅の住人の携帯端末へ前記火災報知情報を選択して送信し、前記選択は、前記携帯端末のユーザー毎に設定可能になっており、前記クラウドサーバは、前記火災報知情報の固有の識別子に対応した設定リストを有し、前記設定リストは、前記携帯端末のユーザー毎に管理したい範囲である建物、フロアおよびエリアの情報と、前記携帯端末のユーザーへ表示する情報レベルを示す閲覧レベルの情報を含み、前記クラウドサーバでの選択は、前記火災報知情報の固有の識別子に対応し前記設定リストに含まれている前記携帯端末のユーザー毎に管理したい範囲である建物、フロアおよびエリアならびに前記携帯端末のユーザーに表示する閲覧レベルに基づいてされる災報知システムである。
【0014】
第2の発明は、第1の発明に係る火災報知システムにおいて、前記火災警報器において、前記通信モジュールから通信ネットワークへのデータ通信が、LTE(ロングタームエボリューション)からなるデータによるインターネット回線によっておこなわれる火災報知システムである。
【0015】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明に係る火災報知システムにおいて、前記火災警報器が、一般の住宅に設置され前記火災センサ部が火災に関連する感知情報を検知したときに警報を発する住宅用火災警報器と、この住宅用火災警報器とは別体の前記通信モジュールより構成され、前記住宅用火災警報器からの火災発生を示す接点出力を受けて前記通信モジュールが前記データ通信を行う火災報知システムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡単な構成でスマホなどの携帯端末で住人に確実に火災を知らせることが出来るという効果を奏する。また、すでに設置済みの通信モジュールを備えない住宅用火災警報器に簡単な構成で通信モジュールを付加できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る住宅用の火災報知システムの一実施形態の説明図である。
図2図1に示した火災警報器1の概略構成図である。
図3図1に示した火災警報器1の通信モジュール1cの内部構成ブロック図である。
図4図1に示した携帯端末13の説明図であり、(a)は、携帯端末13の内部構成図であり、(b)は、その制御部13aの構成図である。
図5図1に示したクラウドサーバ9の説明図であり、(a)は、クラウドサーバ9の内部構成図であり、(b)は、その制御部9bの構成図である。
図6図1に示した火災報知システムにおける火災報知動作のフローチャートである。
図7図1に示した火災報知システムにおけるLTE/NB-IoTデータの説明図である。
図8図1に示した火災報知システムにおける携帯端末13の表示部13bの表示例を示す説明図である。
図9図1に示した火災報知システムにおける携帯端末13の表示部13bの表示例を示す説明図である。
図10図1に示したクラウドサーバ9内における携帯端末13へ送信する火災報知データ構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
本願発明の特徴は、住宅用の火災報知システムにおいて、火災警報器1の火災報知を、簡単な構成で的確に住人の携帯端末に知らせるようにしたことである。
【0026】
図1は、本発明に係る住宅用の火災報知システムの一実施形態の説明図である。
【0027】
図1に示すように、この火災報知システムは、一般の住宅A、B、C等に設置され、火災等を検知する火災警報器1と、火災警報器1の後述する通信モジュール1cよりの火災報知の無線通信を受信する基地局5と、基地局5よりの信号を受ける通信ネットワーク7と、通信ネットワーク7より受け取った火災報知信号に基づいて、後述するように所定の火災報知情報を携帯端末13へ送信するクラウドサーバ9と、上記住宅A、B、Cの住人11が携帯し、クラウドサーバ9よりの火災報知情報を受け取って表示するスマホ等の携帯端末13と、を有している。
【0028】
なお、図1では、住宅Aの2階の火災警報器1より基地局5および通信ネットワーク7を介してクラウドサーバ9へ火災報知信号が送信されている。
この実施形態では、火災警報器1の通信モジュール1cから基地局5と通信ネットワーク7を介するクラウドサーバ9へのデータ通信は、LTE(ロングタームエボリューション)からなるLTE/NB-IoTデータ等によるインターネット回線によって直接に行われる。
【0029】
ここで、NB-IoTとは、家電や車、環境センサなど、高速のデータ通信を必要としないIoT(Internet of Things)向けLTE通信の仕様である。
また、この実施形態では、クラウドサーバ9から通信ネットワーク7を介する携帯端末13へのデータ通信は、LTE/3Gデータ等によるLTE/3G回線からなる通信回線によって行われる。
【0030】
図2は、図1に示した火災警報器1の概略構成図である。
【0031】
図2に示すように、この火災警報器1は、ベース部1aと、火災センサ部1bと、通信モジュール1cとからなっている。
【0032】
火災センサ部1bは、たとえば、概ね円板状に形成されており、上面が平面になっており、火災センサ部1bには、煙を検知することで火災を検知する火災検知部(図示せず)と、火災を検知した場合に移報信号としての接点信号を出力する出力部(図示せず)とが設けられる。また、火災センサ部1bには電池(図示せず)が収容されている。なお、火災センサ部1bは、炎または温度上昇などの熱を検知することで火災を検知する火災センサであってもよい。
【0033】
ベース部1aは、たとえば、円板状に形成されており、貫通孔が設けられている。貫通孔は、円板の厚さ方向でベース部1aを貫通しており、火災センサ部1bの外径(円の直径)とベース部1aの外径(円の直径)とはお互いがほぼ等しくなっている。
【0034】
火災センサ部1bの火災検知部および出力部により、火災センサが構成され、煙を検知したり、あるいは所定の温度上昇を検知した場合に接点信号を出力するようになっている。
【0035】
通信モジュール1cは、ベース部1aおよび火災センサ部1bの外径(円の直径)とほぼ等しい外径の円板状に形成されており、貫通孔を有し、天井等にネジ等のボルトを用いてベース部1aおよび火災センサ部1bと一緒に設置される。
【0036】
なお、図2では火災警報器1は、ベース部1aと、火災センサ部1bと、通信モジュール1cとからなっているが、火災警報器1は、火災センサ部1bと、通信モジュール1cとからなってもよく、また、火災センサ部1bと、通信モジュール1cとが一つの筐体から構成されていても良い。
【0037】
図3は、図1に示した火災警報器1の通信モジュール1cの内部構成ブロック図である。
【0038】
図3に示すように、火災警報器1の通信モジュール1cは、火災センサ部1bよりの接点信号を受信する無電圧接点入力部1c1と、通信モジュール1c毎に設定された固有ID等を記憶したSIMカード1c3と、電源電池1c5と、基地局5へ信号を送信するための無線部1c7およびアンテナ1c9と、通信モジュール1c内の制御を行う制御部1c11とを有し、制御部1c11の制御の基に、火災センサ部1bよりの接点信号を無電圧接点入力部1c1が受信した場合、SIMカード1c3よりの固有ID(通信モジュールID:識別子)を火災報知信号に付加して基地局5へ無線で出力するようになっている。
【0039】
なお、住宅用火災警報器とは火災を感知し光や音声などで周囲に警報する機器である。
【0040】
なお、火災センサ部1bの住宅用火災警報器が、火災感知用に既に設置されている場合でも、通信モジュール1cあるいは、ベース部1aと通信モジュール1cを増設する形で設置しても良い。
【0041】
図4は、携帯端末13の説明図であり、(a)は、携帯端末13の内部構成図であり、(b)は、その制御部13aの構成図である。
【0042】
図4(a)に示すように、携帯端末13は、後述する火災報知等の表示動作を含む端末全体の制御を行う制御部13aと、制御部13aよりの表示情報を表示するため制御部13aに接続された液晶画面からなる表示部13bと、通信ネットワーク7と表示情報等を送受信するための送受信部13cと、制御部13aへ電源を供給するため制御部13aに接続された電源部13dおよび蓄電部13eとを有している。ここで、表示部13bの構成は液晶画面に限られず有機EL画面など表示情報等を表示できるものであればよい。
【0043】
また、図4(b)に示すように、制御部13aは、CPU13a1、RAM13a3、ROM(不揮発性メモリ)13a5を有しており、RAM13a3内には、後述する火災報知表示を行うための第1のプログラムがダウンロードされて記憶されている。
【0044】
図5は、図1に示したクラウドサーバ9の説明図であり、(a)は、クラウドサーバ9の内部構成図であり、(b)は、その制御部9bの構成図である。
【0045】
図5(a)に示すように、この実施形態では、クラウドサーバ9は、通信ネットワーク7と送受信を行う通信部9aと、通信部9aに接続された制御部9bと、通信部9aおよび制御部9bに電源を供給するための電源部9dと、種々のデータを記憶するデータベース9cを有している。
【0046】
なお、電源部9dへの電源供給は、AC電源や電池等の他の方法でも良い。
【0047】
また、図5(b)に示すように、制御部9bは、CPU9b1、RAM9b3、ROM(不揮発性メモリ)9b5を有しており、RAM9b3内には、通信ネットワーク7より受信した火災警報器1よりの固有ID情報を持った火災報知信号に基づいて所定の携帯端末13へ所定の火災報知情報を送信する第2のプログラムがダウンロードされて記憶されている。
【0048】
次に、図6図10を参照して、図1に示した火災報知システムにおける火災報知方法について説明する。
【0049】
図6は、図1に示した火災報知システムにおける火災報知動作のフローチャートであり、図7は、図1に示した火災報知システムにおけるLTE/NB-IoTデータの説明図であり、図8図9は、火災報知動作における携帯端末13の表示部13bの表示画面の説明図であり、図10は、クラウドサーバ9内における携帯端末13へ送信する火災報知データ構造のテーブルの説明図である。
【0050】
図6のステップS1において、例えば、図1に示す住宅Aにおいて火災が発生すると、ステップS3において、火災警報器1の周辺で煙が発生したり、あるいは周辺温度が所定の温度以上を検知した場合、火災警報器1の火災センサ部1bの接点が閉じられる。火災警報器1は音や光で火災の発生を周囲に警報する。
【0051】
火災警報器1の火災センサ部1bの接点が閉じられると、ステップS5において、通信モジュール1cへ接点閉じの情報が伝えられ、ステップS7において、火災警報器1の通信モジュール1cから、固有IDを付加された火災報知信号が、前述したLTE/NB-IoTデータとして基地局5へ無線で出力される。
【0052】
ここで、火災警報器1の通信モジュール1cの動作について詳しく説明する。
【0053】
図3において、火災センサ部1bの接点が閉じられると、その接点閉じ信号が、無電圧接点入力部1c1へ入力され、無電圧接点入力部1c1から火災検知信号として制御部1c11および無線部1c7へ送られる。
【0054】
制御部1c11は、無電圧接点入力部1c1から火災検知信号を受け取ると、SIMカード1c3より固有ID(通信モジュールID)を読み出し、その固有IDを火災報知信号に付加して基地局5へ前述したLTE/NB-IoTデータとして無線でアンテナ1c9から送信するように無線部1c7を制御する。なお、通信モジュール1c内の各部の動作は、電源電池1c5よりの電源によって行われる。
【0055】
このように、火災警報器1に、上述のような構成動作の通信モジュール1cを設けることにより、火災警報器1から、直接的に、基地局5を介して通信ネットワーク7へ固有ID付きの火災報知信号を、LTE/NB-IoTデータとして送信できる。
【0056】
従って、特許文献1に記載された従来技術のように、ゲートウエイ等の大がかりな付帯設備を備える必要なくなる。
【0057】
なお、火災警報器1から送信されるLTE/NB-IoTデータからなる火災報知信号の構成は、図7に示すようになる。
【0058】
LTE/NB-IoTデータからなる火災報知信号の構成は、図7(a)に示すように、複数のパルス信号からなり、各パルス信号は、図7(b)に示すように、送信先、固有ID、および火災や警報やトラブル等の状態を示すデータからなっている。
【0059】
ここで、送信先は、送信されるべき所定のクラウドサーバ9を示し、固有IDは、図10を参照して後述する設定リストや閲覧レベル毎の送信可否やコメント/位置情報等のシステム内で設定された固有の識別子からなる。
【0060】
そして、火災や警報やトラブル等の状態を示すデータは、例えば、図8図9に示すような火災の発生を知らせる情報からなる。
【0061】
次に、ステップS9において、LTE/NB-IoTデータからなる火災報知信号が、基地局5および通信ネットワーク7を介してクラウドサーバ9へ到着すると、ステップS11、S13において、クラウドサーバ9は、LTE/NB-IoTデータからなる火災報知信号の固有IDに基づいて、所定の情報を選択し、所定の携帯端末13へ、その所定の情報を送信する。
【0062】
ここで、火災報知信号に基づいて、所定の情報を選択し、その所定の情報を所定の携帯端末13へ送信するクラウドサーバ9の動作について一例をあげて詳しく説明する。
【0063】
ここで、クラウドサーバ9における、火災報知信号に基づいて、所定の情報を選択し、その所定の情報を所定の携帯端末13へ送信する動作は、クラウドサーバ9の制御部9bによって行われる。すなわち、制御部9bのRAM9b3内に記憶された第2のプログラムに基づくCPU9b1の制御によって実行される。
【0064】
クラウドサーバ9は、通信ネットワーク7からLTE/NB-IoTデータからなる火災報知信号を受信すると、その火災報知信号に含まれる固有IDから、図10に示すようなテーブルに基づき、所定の火災報知情報を携帯端末13へ送信する。
【0065】
ここで、図10において、固有IDに対応した設定リストは、ユーザー毎に設定可能であり、その設定リスト中のBlockは、ユーザー毎に管理したい範囲(例.建物、フロア、エリアごとに管理する場合)であり、Addressは、そのBlock内の所定アドレスであり、閲覧レベルは、ユーザーへ表示する情報のレベルを表わす。
【0066】
すなわち、管理したい範囲をブロック(Block)に細分化し、さらに、そのブロック内をAddress(所定アドレス)で細分化して設定する。
すなわち、レベル1は、すべての情報を送信するレベル内容であり、レベル2は、火災とトラブルのみ送信するレベル内容であり、レベル3は、火災のみ送信するレベル内容である。
【0067】
固有IDに対応した閲覧レベル毎の送信可否は、イベント内容として、火災(住宅用火災警報器からの情報)、トラブル(通信モジュール内のトラブル(電池容量低下、回路故障))、および警報(将来用の予備)が設定される。
【0068】
固有IDに対応したコメント/位置情報は、ユーザー指定によるコメント登録欄であり、例えば、図10に示すように、火災等の発生位置が登録される。
【0069】
図10に示すようなテーブルが設定されている場合、例えば、クラウドサーバ9は、受信した火災報知信号に含まれる固有IDが0001の場合、000AのBlockが対象となり、000AのBlockのアドレス1(この場合、図1に示す住宅Aの住人11の携帯端末13のアドレス)が対象となり、閲覧レベルが、すべての情報を送信するレベル1となる。
【0070】
次に、上記ステップS13において、クラウドサーバ9より所定の携帯端末13へ所定の情報が送信されると、ステップS15において、所定の情報を受信した所定の携帯端末13により、その所定の情報に基づいた火災報知情報が表示される。
【0071】
すなわち、図10に示すようなテーブルが設定されている場合、例えば、クラウドサーバ9が、固有IDが0001であると、クラウドサーバ9が、000AのBlockのアドレス1(この場合、図1に示す住宅Aの住人11の携帯端末13のアドレス)へ閲覧レベル1のすべての情報を送信する。
【0072】
ここで、携帯端末13における、所定の情報に基づいた火災報知情報の表示動作は、携帯端末13の制御部13aによって行われる。すなわち、制御部13aのRAM13a3内に記憶された第1のプログラムに基づくCPU13a1の制御によって実行される。
【0073】
その閲覧レベル1のすべての情報を受信した携帯端末13(住宅Aの住人11の携帯端末13)は、その受信情報に基づいて、以下のように火災報知情報を表示する。
【0074】
図8(a)に示すように、携帯端末13の表示部13bの待ち受け画面状態では、その待ち受け画面上に火災を示すアイコン13b1が表示され、このアイコン13b1をタップすることにより、図8(b)に示すような日付、件名、および本文等の情報が表示される。
【0075】
図9は、携帯端末13の表示部13bにおける、他の火災報知情報の表示例を示すものである。
【0076】
図9(a)に示すように、携帯端末13の表示部13bの画面OFF状態では、その画面OFF状態の画面上に火災を示すアイコン13b3が表示され、このアイコン13b3をタップすることにより、図9(b)に示すような火災の位置を示す画像13b5および日付、件名、および本文の情報が表示される。
【0077】
上述した火災報知情報の種々の表示例は、RAM13a3内に記憶された第1のプログラムに含まれるアプリケーションを、所望のものに変更することにより達成される。
【0078】
このように、この実施形態による火災報知システムおよび火災報知方法によれば、火災警報器1から、直接的に、基地局5を介して通信ネットワーク7へ固有ID付きの火災報知信号を、LTE/NB-IoTデータとして送信できるので、ゲートウエイ等の大がかりな付帯設備を備える必要なくなる。
【0079】
また、固有ID付きの火災報知信号を受信したクラウドサーバ9は、その火災報知信号に含まれる固有IDから、所定の火災報知情報を選択して携帯端末13へ送信するので、固有IDに対応して種々の火災報知情報を設定でき、それを携帯端末13へ送信できる。
【0080】
また、携帯端末13のRAM13a3内に記憶する第1のプログラムに、種々の表示アプリケーションを設定でき、それにより、携帯端末13の表示部13bに、種々の火災報知情報を所望する表示形態で表示できるようになる。
【0081】
本発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な訂正を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【符号の説明】
【0082】
1…火災警報器
1c…通信モジュール
5…基地局
7…通信ネットワーク
9…クラウドサーバ
11…住宅A、B、Cの住人
13…携帯端末

図1
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図10