(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理方法、および医用情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20240510BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240510BHJP
G06N 5/04 20230101ALI20240510BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B5/00 G
G06N5/04
(21)【出願番号】P 2020010124
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野呂 和正
(72)【発明者】
【氏名】狩野 佑介
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/070207(WO,A1)
【文献】特開2019-074868(JP,A)
【文献】特開2009-086750(JP,A)
【文献】特表2008-535528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00-5/01
G06N 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被検体の第1診療情報を、前記第1被検体に対する診断目的に基づいて収集し、前記第1被検体の類似症例に関する少なくとも一つの第2被検体の第2診療情報を前記診断目的に応じて収集する収集部と、
前記第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第1指標を、前記第1診療情報において決定する定量化部と、
前記第2診療情報において前記第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第2指標と、前記第1指標とに基づいて、前記第1推論と前記第2推論との一貫性の評価に関する一貫性情報を生成する一貫性評価部と、
前記一貫性情報を表示する表示部と、
を備えた医用情報処理装置。
【請求項2】
前記第1指標の変更指示を入力する入力部をさらに具備し、
前記一貫性評価部は、変更された前記第1指標と前記第2指標とに基づいて、前記一貫性情報を生成する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記一貫性評価部は、
前記第1指標を有する前記第1診療情報と前記第2指標を有する前記第2診療情報とに基づいて、前記第1推論の根拠に対する前記第2推論の根拠の相違を、診療情報の種類のばらつきの程度を示す種類ばらつき値として計算し、
前記表示部は、前記種類ばらつき値を、前記第2被検体の名称とともに表示する、
請求項1または2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記一貫性評価部は、
前記第1推論と前記第2推論とにおいて、推論根拠が同一の診療情報の種類ごとに前記第1指標と前記第2指標との差の絶対値を計算し、
前記計算された絶対値を、前記推論根拠に関する診療情報の種類の総数に亘って加算し、
前記加算の結果を前記総数で除算することで、指標ばらつき値を計算し、
前記表示部は、前記指標ばらつき値を、前記第2被検体の名称とともに表示する、
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記表示部は、
前記第2被検体の名称のうち一つの名称が指定された場合、前記第1診療情報のうち前記第1推論の根拠となる診療情報の複数の種類と、前記指定された名称に対応する前記第2被検体に関する前記第2診療情報のうち前記第2推論の根拠となる診療情報の複数の種類と、を表示する、
請求項3または4に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記診断目的に応じた少なくとも一つの支援診断アルゴリズムに前記第1診療情報を適用して、前記第1被検体に対する第1予測診断と前記第1予測診断における第1予測推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第1予測指標と前記第1予測指標に関する診療情報の種類とを出力する推測部をさらに具備し、
前記収集部は、前記第2診療情報に基づいて、前記第2被検体に対する第2予測診断と前記第2予測診断における第2予測推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第2予測指標と前記第2予測指標に関する診療情報の種類とを収集し、
前記一貫性評価部は、
前記第1予測指標を有する予測結果と前記第2予測指標を有する予測結果との間の診療情報の種類の差異に基づいて、診療情報の種類のばらつきの程度を示す種類予測ばらつき値
を計算し、
前記表示部は、前記種類予測ばらつき値を、前記第2被検体の名称とともに表示する、
請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記一貫性評価部は、
前記第1推論の根拠となる診療情報と前記第2推論の根拠となる診療情報と前記第1予測指標に関する診療情報と前記第2予測指標に関する診療情報とにおいて、診療情報の粒度に関する対応表を用いて、前記一貫性情報における診療情報の粒度を、大きい方の粒度に診療情報の粒度を調整する、
請求項6に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記一貫性評価部は、
前記第1予測推論と前記第2予測推論とにおいて、推論根拠が同一の診療情報の種類ごとに前記第1予測指標と前記第2予測指標との差の絶対値を計算し、
前記計算された絶対値を、推論根拠に関する診療情報の種類の総数に亘って加算し、
加算の結果を当該総数で除算することで、指標予測ばらつき値を計算し、
前記表示部は、前記指標予測ばらつき値を、前記第2被検体の名称とともに表示する、
請求項6または7に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記一貫性評価部は、
前記第1推論と前記第2推論とにおいて、推論根拠が同一の診療情報の種類ごとに前記第1指標と前記第2指標との差の絶対値を計算し、
前記計算された絶対値を、前記推論根拠に関する診療情報の種類の総数に亘って加算し、
前記加算の結果を前記総数で除算することで、指標ばらつき値を計算し、
前記種類予測ばらつき値の表示後において前記第1指標が変更された場合、前記変更された第1指標と前記第2指標とに基づいて、前記変更された第1指標に対する前記第2指標のばらつきの程度を示す変更後ばらつき値を計算し、
前記指標ばらつき値と前記変更後ばらつき値との変化量を前記支援診断アルゴリズムの種類に応じて計算し、
前記表示部は、前記支援診断アルゴリズムの種類および前記第2被検体の名称とともに前記変化量を、前記一貫性情報として表示する、
請求項6乃至8のうちいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記表示部は、
前記第2被検体の名称のうち一つの名称と前記支援診断アルゴリズムの種類とが指定された場合、前記指定された支援診断アルゴリズムの実行前後に関して、前記第1推論に関する診療情報の複数の種類と、前記指定された名称に対応する第2被検体における前記第2推論に関する診療情報の複数の種類と、を表示する、
請求項9に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記一貫性評価部は、前記第2予測推論の根拠のうち前記第1予測推論の根拠と重複する診療情報の種類と前記類似症例の総数とに基づいて、前記第1予測推論の根拠に対して前記第2予測推論の根拠が参照される程度を示す推測参照度を計算し、
前記表示部は、前記第1診療情報のうち前記第1予測推論の根拠となる診療情報の種類と前記推測参照度とを、前記一貫性情報として表示する、
請求項6乃至10のうちいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
前記一貫性評価部は、前記第2推論の根拠のうち前記第1推論の根拠と重複する診療情報の種類と前記類似症例の総数とに基づいて、前記第1推論の根拠に対して前記第2推論の根拠が参照される程度を示す参照度を計算し、
前記表示部は、前記第1診療情報のうち前記第1推論の根拠となる診療情報の種類と前記参照度とを、前記一貫性情報として表示する、
請求項1乃至11のうちいずれか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項13】
第1被検体に関する第1診療情報に基づいて、前記第1被検体の類似症例に関する複数の第2被検体各々の第2診療情報を前記第1被検体に対する診断目的に応じて収集する収集部と、
前記第2診療情報において前記複数の第2被検体に対する診断における推論の根拠に関する重要度を順位づけるための指標に基づいて、前記複数の第2被検体における前記推論の一貫性の評価に関する一貫性情報を生成する一貫性評価部と、
前記一貫性情報を表示する表示部と、
を備えた医用情報処理装置。
【請求項14】
収集部が第1被検体の第1診療情報を、前記第1被検体に対する診断目的に基づいて収集し、前記第1被検体の類似症例に関する少なくとも一つの第2被検体の第2診療情報を前記診断目的に応じて収集し、
定量化部が前記第1被検体に対する診断目的に基づいて、前記第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第1指標を、前記第1診療情報において決定し、
一貫性評価部が前記第2診療情報において前記第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第2指標と、前記第1指標とに基づいて、前記第1推論と前記第2推論との一貫性の評価に関する一貫性情報を生成し、
表示部が前記一貫性情報を表示する、医用情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
収集部が第1被検体の第1診療情報を、前記第1被検体に対する診断目的に基づいて収集し、前記第1被検体の類似症例に関する少なくとも一つの第2被検体の第2診療情報を前記診断目的に応じて収集し、
定量化部が前記第1被検体に対する診断目的に基づいて、前記第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第1指標を、前記第1診療情報において決定し、
一貫性評価部が前記第2診療情報において前記第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第2指標と、前記第1指標とに基づいて、前記第1推論と前記第2推論との一貫性の評価に関する一貫性情報を生成し、
表示部が前記一貫性情報を表示すること、
を実現させる医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理方法、および医用情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医師が患者に対する治療や検査の診療行為を行う際、医師は、医学的知識や過去の経験に基づいて患者の容体を把握し、次に実施すべき治療/検査を選択している。近年、より質の高い診療を実現するため、膨大な過去の診療情報を用いて学習された学習済みモデルなどにより診療情報を解析し、医師の意思決定に有用な情報(例えば、治療後の副作用発生確率など)を医師に提示することが注目されている。
【0003】
しかしながら、学習済みモデルなどにより出力された推論結果に対する解釈に個人差があるため、類似症例の患者間での診断の推論の根拠がばらつくことがある。これにより、類似症例の患者間において、診断の一貫性が保たれない問題がある。また、類似症例の患者間において、一貫した推論ができないことで診断がばらついたとしても、診断の推論がばらついたことを認識できない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、類似症例に関する診断に関する推論の根拠と、対象の被検体に対する診断に関する推論の根拠との一貫性を示す情報を操作者に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る医用情報処理装置は、収集部と、定量化部と、一貫性評価部と、表示部とを有する。収集部は、第1被検体の第1診療情報を、前記第1被検体に対する診断目的に基づいて収集し、前記第1被検体の類似症例に関する少なくとも一つの第2被検体の第2診療情報を前記診断目的に応じて収集する。定量化部は、前記第1被検体に対する診断目的に基づいて、前記第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第1指標を、前記第1診療情報において決定する。一貫性評価部は、前記第2診療情報において前記第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠に関する重要度を順位づけるための第2指標と、前記第1指標とに基づいて、前記第1推論と前記第2推論との一貫性の評価に関する一貫性情報を生成する。表示部は、前記一貫性情報を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を病院情報システムとともに示す図。
【
図2】
図2は、実施形態に係り、一貫性情報提供処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図3】
図3は、実施形態に係り、一貫性情報提供処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図4は、実施形態に係る被検体一覧情報の一例を示す図。
【
図5】
図5は、実施形態に係り、ディスプレイに表示された目的関連情報の統合表示の一例を示す図。
【
図6】
図6は、実施形態に係り、
図5に示す各種診療情報において、重要度メニューにおける重要度の入力の一例を示す図。
【
図7】
図7は、実施形態に係り、目的関連情報における各種診療情報の種類に対する重要度と根拠順位との対応の一例を示す図。
【
図8】
図8は、実施形態に係り、ディスプレイに表示された第1予測結果と第1予測順位との一例を示す図。
【
図9】
図9は、実施形態に係り、第1予測結果を、第1予測診療種における診療情報の粒度とともに示す図。
【
図10】
図10は、実施形態に係り、統合表示において、血液検査の結果に関する第1指標の変更の一例を示す図。
【
図11】
図11は、実施形態に係り、第1被検体と第2被検体とにおける診療情報の種類の対比に基づく種類ばらつき値の一例を示す図。
【
図12】
図12は、実施形態に係り、推論フェーズごとの一貫性情報の一例を示す図。
【
図13】
図13は、実施形態に係り、一貫性情報に対する推論フェーズ3と類似症例との指定により、診療情報の種類の対比を示す表示の一例を示す図。
【
図14】
図14は、実施形態に係り、推論フェーズごとの一貫性情報の一例を示す図。
【
図15】
図15は、実施形態に係り、一貫性情報に対する推論フェーズ1と2つの類似症例との指定により、診療情報の種類を根拠順位とともに示す表示の一例を示す図。
【
図16】
図16は、実施形態に係り、第1推論の根拠となる診療情報の種類と参照度との一例を示す図。
【
図17】
図17は、実施形態に係り、推論フェーズごとの一貫性情報の一例を示す図。
【
図18】
図18は、実施形態に係り、一貫性情報に対する推論フェーズ3の指定により、診療情報の種類と参照度とを根拠順位の順に並べた表示の一例を示す図。
【
図19】
図19は、実施形態の応用例に係り、支援診断種に対する平均変化量と、指定された支援診断種に関する推論根拠変化量とを示す一貫性情報の一例を示す図。
【
図20】
図20は、実施形態の応用例に係り、一貫性情報に対する第2被検体と支援診断種との指定により、支援診断の前後において診療情報の種類を根拠順位の順に並べた表示の一例を示す図。
【
図21】
図21は、実施形態の変形例に係る一貫性情報提供処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図22】
図22は、実施形態の変形例に係る推論フェーズごとの一貫性情報の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、医用情報処理方法、および医用情報処理プログラムについて詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。なお、本願に係る医用情報処理装置は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0009】
(実施形態)
実施形態に係る医用情報処理装置の全体構成について説明する。
図1は、実施形態に係る医用情報処理装置1の構成例を病院情報システム(HIS:Hospital Information System)3とともに示す図である。医用情報処理装置1は、通信インターフェース11を介して病院情報システム3に接続される。まず、医用情報処理装置1に関する病院情報システム3について説明し、次いで、医用情報処理装置1について説明する。病院情報システム3は、電子カルテシステムと、放射線部門情報システムと、医用画像診断装置と、医用画像管理システムと、臨床検査部門情報システムと、その他部門システムと、を有する。電子カルテシステムと、放射線部門情報システムと、医用画像診断装置と、医用画像管理システムと、臨床検査部門情報システムと、その他部門システムと、は、有線又は無線による通信ネットワークを介して互いに接続される。
【0010】
電子カルテシステムは、診療内容の記録のための電子カルテを管理する情報システムである。電子カルテシステムは、電子カルテサーバ装置及び電子カルテ端末装置を備える。電子カルテサーバ装置は、電子カルテの管理に関する処理を実行するコンピュータ装置である。電子カルテ端末装置は、電子カルテの入力・参照を行う医師・看護師等により利用される。電子カルテサーバ装置及び電子カルテ端末装置は、通信ネットワークに接続されている。電子カルテ端末装置は、ユーザの指示により、被検体に対する検査オーダを入力する。検査オーダが画像診断に関する被検体の撮影である場合、検査オーダには、例えば検査部位、撮像対象、疾患名、検査目的、モダリティ等の検査内容に関する情報が含まれる。また、検査オーダには、検査を受ける被検体の患者ID、患者氏名、検査IDおよび検査日付等の情報も含まれてもよい。電子カルテサーバ装置は、検査オーダの入力に応じて、検査オーダを、検査オーダにおける被検体の患者情報などとともに、放射線部門情報システムに送信する。検査オーダが被検体に対する臨床検査の実施である場合、電子カルテサーバ装置は、検査オーダを臨床検査部門情報システムに送信する。
【0011】
検査オーダにより取得された検査結果は、被検体に関する電子カルテに紐づけられる。このとき、検査依頼を出した臨床医は、検査結果に基づいて診断結果を下し、被検体の電子カルテに当該診断結果を記載する。診断結果は、診断名、ステージ、病期の重篤度などの情報を含む。ステージ、病気の重篤度などは、予め決定された定義書により、それぞれのステージ、病気の重篤度が定義されている。電子カルテ端末装置は、例えば、臨床医の指示により、被検体に対する各種検査に基づく診断結果を入力する。診断結果は、電子カルテサーバ装置に記憶される。
【0012】
放射線部門情報システム(RIS:Radiology Information Systems)は、病院内の放射線部門における情報を管理する情報システムであり、放射線部門情報サーバ装置及び放射線部門情報端末装置を備えている。放射線部門情報サーバ装置は、放射線部門における情報の管理にかかわる処理を実行するコンピュータ装置である。放射線部門情報サーバ装置及び放射線部門情報端末装置は、通信ネットワークに接続されている。放射線部門情報サーバ装置は、動作の一例として、電子カルテシステムから検査オーダを受け、検査オーダから医用画像診断装置に関する情報等を取得する。放射線部門情報サーバ装置は、検査オーダにより特定された医用画像診断装置に、当該検査オーダを送信する。なお、検査オーダが医用画像診断装置に送信されるとき、放射線部門情報サーバ装置は、患者IDや検査日付などの情報を、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)タグ等に付加してもよい。放射線部門情報端末装置は、例えば、放射線科の読影医が医用画像の読影レポートを作成するために用いられる。
【0013】
医用画像診断装置は、例えば、X線診断装置、X線CT(Compued Tomography)装置、及び磁気共鳴イメージング装置などの医用画像を取得する装置である。医用画像診断装置は、放射線部門情報システムからの検査オーダに基づき、技師等によって撮影が開始される操作に応答して、被検体に対する撮影を実行する。撮影の実行により、医用画像診断装置は、被検体の体内組織の状態を示すデータを収集する。医用画像診断装置は、当該データに基づいて医用画像を生成し、生成された医用画像を、検査オーダとともに、医用画像管理システムに送信する。
【0014】
医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)は、X線CT画像やMR画像等の医用画像を管理する情報システムである。医用画像管理システムは、医用画像管理サーバ装置を備える。医用画像管理サーバ装置は、医用画像の管理に関する処理を実行するコンピュータ装置であって、通信ネットワークに接続されている。医用画像管理サーバ装置は、医用画像診断装置から医用画像およびオーダ情報を受信すると、医用画像と検査オーダとを関連付けて記憶する。
【0015】
臨床検査部門情報システム(LIS:Laboratory Information System)は、病院内の臨床検査部門における情報を管理する情報システムであり、臨床検査部門情報サーバ装置、臨床検査部門情報端末装置、および検査機器を備えている。臨床検査部門情報システムでは、電子カルテシステムから送信された検査オーダに基づいて、臨床検査技師により検体検査や生理機能検査が実施される。なお、検体検査は、衛生検査所などの外部の検査機関に委託されてもよい。臨床検査部門情報サーバ装置は、臨床検査における情報の管理にかかわる処理を実行するコンピュータ装置である。臨床検査部門情報端末装置は、臨床検査部門の検査技師等により利用される。臨床検査部門情報サーバ装置及び臨床検査部門情報端末装置は、通信ネットワークに接続されている。
【0016】
検査機器は、患者から取得された血液や尿などの検体が臨床検査技師により分析される検体検査や、患者の脳波や心電図などを測定する生理機能検査の実行に関する機器である。なお、検体検査は、例えば、病理検査、血液・生化学検査、尿や便などの一般検査、免疫血清検査、微生物検査、輸血や臓器移植関連検査などである。生理機能検査は、例えば、脳波検査、呼吸機能検査、心臓系検査、眼底写真検査などである。検査機器は、検体検査の種別および生理機能検査の種別に応じて複数台設置される。なお、検体検査における少なくとも一部は、外部の検査機関により実施されてもよい。このとき、臨床検査部門情報サーバ装置は、検体検査に関する検査結果を、外部の検査機関から受信し、保管する。また、臨床検査部門情報サーバ装置は、検査結果を、電子カルテシステムに送信する。
【0017】
その他部門システムは、例えば、手術部門システム、リハビリ部門システム、又は透析部門システムなどである。上述の放射線部門情報システム及び臨床検査部門情報システムと同様に、その他部門システムにおいても、電子カルテ端末装置において医師が発行したオーダに応じて、手術実施報告書やリハビリ実施報告書などが作成される。その他部門システムは、作成された手術実施報告書やリハビリ実施報告書などを、電子カルテシステムに送信する。
【0018】
医用情報処理装置1は、通信インターフェース11を介して病院情報システム3に接続される。なお、医用情報処理装置1は、病院情報システム3に組み込まれてもよい。また、医用情報処理装置1は、クライアントサーバシステムとして実現されてもよい。
図1に示す医用情報処理装置1は、通信インターフェース11と、メモリ13(記憶部)と、ディスプレイ15(表示部)と、入力インターフェース17(入力部)と、処理回路19(処理部)とを有する。通信インターフェース11と、メモリ13と、ディスプレイ15と、入力インターフェース17と、処理回路19との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。
【0019】
通信インターフェース11は、病院情報システム3との間でデータ通信を行う。通信インターフェース11と病院情報システム3との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、HL7(Hearth Level 7)、DICOM、又はその両方等が挙げられる。
【0020】
メモリ13は、種々の情報を記憶するHDD(Hard disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ13は、例えば、収集機能193、定量化機能195、推測機能197、一貫性評価機能199などの実行により生成されたデータなどを記憶する。当該生成されたデータおよびこれらの機能については、後程説明する。メモリ13は、収集機能193により病院情報システム3から収集された各種診療情報を記憶する。診療情報は、被検体の電子カルテに紐づけられた各種検査結果、医用画像、読影レポートなどの臨床情報を有する。メモリ13は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ13は、本実施形態に係る制御プログラムを記憶する。
【0021】
ディスプレイ15は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ15は、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ15としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。また、ディスプレイ15は、デスクトップ型でもよいし、医用情報処理装置1本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0022】
入力インターフェース17は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路19に出力する。例えば、入力インターフェース17は、選択指示や各種条件などをユーザから受け付ける。入力インターフェース17としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。なお、本実施形態において、入力インターフェース17は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路19へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース17の例に含まれる。また、入力インターフェース17は、医用情報処理装置1本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0023】
処理回路19は、入力インターフェース17から出力される入力操作の電気信号に応じて、医用情報処理装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路19は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM等のメモリとを有する。また、処理回路19は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)などにより実現されてもよい。
【0024】
処理回路19は、システム制御機能191、収集機能193、定量化機能195、推測機能197、一貫性評価機能199を有する。システム制御機能191、収集機能193、定量化機能195、推測機能197、一貫性評価機能199においては、各機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ13に記憶されている。処理回路19は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能191、収集機能193、定量化機能195、推測機能197、一貫性評価機能199を実行する。
【0025】
すなわち、処理回路19は、メモリ13からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサに相当する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路19は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、各機能(191、193、195、197、199)は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能(191、193、195、197、199)を実現するものとしても構わない。システム制御機能191、収集機能193、定量化機能195、推測機能197、一貫性評価機能199を実現する処理回路19は、システム制御部、収集部、定量化部、推測部、一貫性評価部の一例である。
【0026】
処理回路19は、システム制御機能191により、入力インターフェース17を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、処理回路19の各機能を制御する。具体的には、処理回路9は、メモリ13に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路19内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って医用情報処理装置1の各部を制御する。処理回路19は、ディスプレイ15における各種表示について、ディスプレイ15を制御する。処理回路19にて実現される収集機能193、定量化機能195、推測機能197、一貫性評価機能199については、類似症例に関する診断に関する推論の根拠と、対象の被検体に対する診断に関する推論の根拠との一貫性を示す一貫性情報を生成して表示する処理(以下、一貫性情報提供処理と呼ぶ)を実行する手順に沿って、後程説明する。
【0027】
以上、医用情報処理装置1および病院情報システム3の全体構成について説明した。以下、一貫性情報提供処理の手順について説明する。
図2および
図3は、一貫性情報提供処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0028】
(一貫性情報提供処理)
(ステップS201)
ディスプレイ15は、システム制御機能191による制御により、被検体一覧情報を表示する。被検体一覧情報は、例えば、診断対象となる被検体(患者)ID、患者氏名、支援診断の要否(以下、支援診断要否と呼ぶ)、診断目的、重要度の入力を優先させることの要否(以下、重要度入力優先要否と呼ぶ)、および診療情報の表示などの選択に関する項目を一覧として示す情報である。重要度は、例えば、被検体に対する診断において、推論の根拠に関する重要さの程度を示す指標(以下、第1指標と呼ぶ)、すなわち重要さの重みに相当する。重要度の値が大きいほど、推論の根拠に関して影響が大きいものとなる。以下、説明を具体的にするために、重要度は、1乃至5の5段階であるものとする。このとき、重要度が5に対応する診療情報は、被検体に対する診断における推論の根拠に最も重要な情報に相当する。
【0029】
図4は、被検体一覧情報PLIの一例を示す図である。操作者が複数の被検体各々に対して診断を行う際に、入力インターフェース17を介した操作者による指示により、被検体一覧情報における被検体ごとに、支援診断要否、診断目的、および重要度入力優先要否および診療情報の表示についての選択を入力する。支援診断要否、診断目的、および重要度入力優先要否に関する入力において、これらの項目に応じた選択のメニューは、例えば、コンテキストメニューまたはプルダウンメニューなどにより表示される。以下、説明を簡便にするために、診断対象の被検体を第1被検体と呼ぶ。
【0030】
収集機能193は、被検体一覧情報において選択された第1被検体の患者IDに基づいて、第1被検体に関する診療情報(以下、第1診療情報と呼ぶ)を、病院情報システム3から収集する。収集機能193は、収集された第1診療情報を、メモリ13に記憶させる。
【0031】
第1被検体に関して、支援診断要否の選択と重要度入力優先要否の選択とは、操作者による第1被検体の診断に関する推論の過程(以下、推論パスと呼ぶ)を選択することに対応する。例えば、支援診断要否においてNoが選択された場合、診断目的と重要度入力優先要否とにおける入力選択メニューは非表示または無効となる。以下、このときの推論パスを、第1推論パスと呼ぶ。第1推論パスは、支援診断に関する支援診断アルゴリズムを用いずに、第1被検体に対して診断の推論(以下、第1推論と呼ぶ)を行うことに対応する。
【0032】
また、支援診断要否においてYesが選択されて診断目的が入力され、かつ重要度入力優先要否においてYesが選択された場合の推論パスを、第2推論パスと呼ぶ。第2推論パスは、第1被検体に関する診療情報(以下、第1診療情報)のうち診断目的に関連する診療情報(以下、目的関連情報と呼ぶ)に対して第1指標を決定し、次いで支援診断アルゴリズムにより第1被検体に対する診断予測の結果(以下、第1診断予測結果と呼ぶ)を出力させ、最後に、決定された第1指標の変更または決定された第1指標の維持を入力する過程に対応する。
【0033】
また、支援診断要否においてYesが選択されて診断目的が入力され、かつ重要度入力優先要否においてNoが選択された場合の推論パスを、第3推論パスと呼ぶ。第3推論パスは、支援診断アルゴリズムにより第1診断予測結果を出力させ、次いで、目的関連情報に対して第1指標を決定する過程に対応する。
【0034】
以上のことから、本ステップにおいて、第1乃至第3推論パスのうちいずれかの推論パスが、被検体一覧情報における第1被検体に対する各種選択の入力指示により選択される。推論パスの選択方式は、上記に限定されない。例えば、被検体一覧情報とともに推論パスの選択メニューがディスプレイ15に表示されてもよい。このとき、推論パスの選択に応答して、収集機能193は、第1診療情報を、病院情報システム3から収集する。以下、説明を具体的にするために、診断目的は、
図4に示すように、放射線治療後の副作用のうち、体重減少であるものとして説明する。
【0035】
(ステップS202)
収集機能193は、入力インターフェース17を介した操作者の指示により、第1被検体の類似症例に関する検索条件を選択する。検索条件は、例えば、第1被検体について、病名、国際疾病分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(略称:International Classification of Diseases))のコード(以下、ICDコードと呼ぶ)、診療科、担当医、画像パターンマッチング、臨床所見テキストマッチングなどである。病名、ICDコード、診療科、担当医、画像、所見などは、電子カルテに紐づけられている。検索条件は、例えば、コンテキストメニューまたはプルダウンメニューなどにより表示される。操作者は、コンテキストメニューまたはプルダウンメニューなどにより表示された検索条件を、入力インターフェース17を介して選択する。
【0036】
(ステップS203)
収集機能193は、第1被検体の類似症例に関する少なくとも一つの第2被検体の診療情報(以下、第2診療情報と呼ぶ)を収集する。具体的には、収集機能193は、検索条件に基づいて、第2被検体の患者IDを特定する。次いで、収集機能193は、特定された第2被検体の患者IDに基づいて、第2診療情報を、病院情報システム3から収集する。収集機能193は、収集された第2診療情報を、メモリ13に記憶させる。第2診療情報は、第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠の程度を示す第2指標を有する。第2指標は、第2被検体に対する第2診断の推論の根拠に関する重要さの程度を示す指標である。
【0037】
(ステップS204)
ステップS201において選択された推論パスが第1推論パスである場合(ステップS204のYes)、ステップS213の処理が実行される。ステップS201において選択された推論パスが第1推論パスでない場合(ステップS204のNo)、すなわちステップS201において選択された推論パスが第2推論パスまたは第3推論パスである場合、ステップS205の処理が実行される。
【0038】
(ステップS205)
ステップS201において選択された推論パスが第2推論パスである場合(ステップS205のYes)、ステップS206の処理が実行される。ステップS201において選択された推論パスが第2推論パスでない場合(ステップS205のNo)、すなわちステップS201において選択された推論パスが第3推論パスである場合、ステップS208の処理が実行される。
【0039】
(ステップS206)
収集機能193は、第1被検体に関して選択された診断目的に基づいて、第1診療情報から目的関連情報を抽出する。例えば、収集機能193は、選択された診断目的を、診断目的に対する診療情報の種類の対応表(以下、目的関連LUT(Look Up Table)と照合する。目的関連LUTは、予めメモリ13記憶される。収集機能193は、診断目的に対応する診療情報の種類を特定する。次いで、収集機能193は、特定された診療情報の種類を用いて、第1診療情報から目的関連情報を抽出する。システム制御機能191は、抽出された目的関連情報を、第1被検体に関する患者情報とともに、ディスプレイ15に表示させる。すなわち、ディスプレイ15は、診断目的に応じた診療情報を、統合表示する。なお、システム制御機能191は、収集された第1診療情報をディスプレイ15に統合表示させてもよい。これにより、診断目的に応じてディスプレイ15に表示される第1診療情報は制限される。
【0040】
図5は、ディスプレイ15に表示された目的関連情報の統合表示IGDの一例を示す図である。診断目的は放射線治療後の副作用において体重減少であるため、当該診断目的に関連する診療情報が目的関連情報としてディスプレイ15に統合表示される。
図5に示すように、ディスプレイ15は、第1被検体に関する画像情報II、注射による投薬結果IR、放射線治療における線量の分布DD、および血液検査の結果BRなどを統合表示する。放射線治療における線量の分布DDは、例えば、微分型もしくは積分型のDVH(Dose Volume Histogram)である。なお、統合表示される診療情報および表示レイアウトは、上記に限定されず、診断目的などに応じて、適宜設定・変更可能である。
【0041】
(ステップS207)
定量化機能195は、第1被検体に対する診断目的に基づいて、第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠の程度を示す第1指標を、第1診療情報において決定する。例えば、定量化機能195は、ディスプレイ15に表示された目的関連情報に対する操作者の指示により、第1指標を決定する。具体的には、目的関連情報において、第1推論の根拠となる診療情報が、入力インターフェース17を介した操作者の指示により選択される。次いで、定量化機能195は、入力インターフェース17を介した所定の操作を契機として、選択された診療情報に対して、重要度の選択に関するメニュー(以下、重要度選択メニューと呼ぶ)を、ディスプレイ15に表示させる。所定の操作とは、例えば、マウスにおける右クリック、ダブルクリックなどである。なお、定量化機能195は、統合表示IGDにおける選択された診療情報上へのカーソルの移動に応答して、重要度選択メニューをディスプレイ15に表示させてもよい。
【0042】
入力インターフェース17を介した操作者の指示により、重要度メニューにおいて重要度の選択が入力される。これにより、定量化機能195は、第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠の程度を定量化する。なお、定量化機能195は、操作者の操作履歴や操作者に対するアイトラッキングなどの視線追跡技術などを用いて、操作者が参照する情報(以下、参照情報と呼ぶ)を、すべてメモリ13に記録させてもよい。参照情報は、例えば、ディスプレイ15に表示された目的関連情報の統合表示IGDにおいて、診療情報を参照した順番、診療情報に対する操作の頻度、診療情報の参照時間などである。このとき、定量化機能195は、参照情報に基づいて、第1指標に対応する重要度を決定してもよい。
【0043】
図6は、
図5に示す各種診療情報において、重要度メニューIMにおける重要度の入力の一例を示す図である。
図6に示すように、画像情報IIの重要度は4、放射線治療における線量の分布DDの重要度は4、血液検査の結果BRの重要度は2として、入力されている。なお、定量化機能195は、入力インターフェース17を介した操作者の指示により選択された診療情報の組み合わせに応じて、当該組み合わせに対応する重要度を決定してもよい。診療情報の組み合わせは、例えば、組み合わされる診療情報に対して表示された+ボタンやシフトキーと左クリックなどのユーザインタフェース(UI)に対する各種操作により実現される。定量化機能195は、選択された診療情報に対して一つの重要度メニューを、ディスプレイ15に表示させる。このとき、定量化機能195は、統合表示IGDにおいて選択された診療情報を、強調表示する。定量化機能195は、定量化された重要度を第1指標として、対応する診療情報の種類と対応付けてメモリ13に記憶させる。なお、定量化機能195は、診断目的に関連する診療情報の組み合わせにおいて、当該診療情報の数値の組み合わせに応じて推奨する重要度を、重要度メニューに表示させてもよい。
【0044】
定量化機能195は、決定された重要度の値に基づいて、重要さの順位(以下、根拠順位と呼ぶ)を決定する。例えば、
図6に示すように、画像情報IIの重要度が4、放射線治療における線量の分布DDの重要度が4、血液検査の結果BRの重要度が2である場合、定量化機能195は、画像情報IIと線量の分布DDとの根拠順位をともに1として決定し、血液検査の結果BRの根拠順位を3として決定する。定量化機能195は、決定された根拠順位を、対応する診療情報の種類と対応付けてメモリ13に記憶させる。なお、定量化機能195は、根拠順位と重要度とを第1指標としてまとめて、メモリ13に記憶させてもよい。このとき、第1指標は、根拠順位または重要度を示す値に対応する。
【0045】
図7は、目的関連情報における各種診療情報の種類に対する重要度と根拠順位との対応の一例を示す図である。
図7に示すように、CPT-11(イリノテカン(irinotecan)の注射、アルブミンに関する血液検査、肺のCT画像、腫瘍に関するDVH、および臨床記録に対して、重要度がそれぞれ2、1、4、3、5である場合、根拠順位は、それぞれ、4、5、2、3、1となる。
【0046】
(ステップS208)
推測機能197は、診断目的に応じた支援診断アルゴリズムを、メモリ13から読み出す。支援診断アルゴリズムは、例えば、目的関連情報を入力として用いて、診断目的に応じた第1被検体の診断に関する予測の結果(以下、第1予測結果と呼ぶ)を出力する学習済みモデルである。第1予測結果は、例えば、第1被検体に対する第1予測診断と、第1予測診断における第1予測推論の根拠の程度を示す第1予測指標と、第1予測指標に関する診療情報の種類(以下、第1予測診療種と呼ぶ)とを有する。第1予測診療種は、学習済みモデルによる推論に用いられ、第1予測診断に寄与した説明変数に相当する。第1予測診断は、例えば、診断目的に関する確率(以下、予測確率と呼ぶ)である。また、第1予測指標は、第1予測診断において、推論の根拠に関する重要さの重みに相当する。すなわち、第1予測指標の値が大きいほど、第1予測診断の推論の根拠に関して影響が大きいものとなる。なお、支援診断アルゴリズムは、サポートベクターマシン(support vector machine:SVM)などの学習済みモデルに限定されず、ロジスティック回帰を用いたモデル、決定木(decision tree)などの支援診断を実行可能なアルゴリズムであってもよい。推測機能197は、メモリ13から読み出された支援診断アルゴリズムに目的関連情報を入力し、第1予測結果を出力する。
【0047】
推測機能197は、第1予測指標に基づいて、第1予測診断における第1予測診療種の重要さの順位(以下、第1予測順位と呼ぶ)を決定する。推測機能197は、ディスプレイ15に、第1予測結果と第1予測順位とを表示させる。推測機能197は、第1予測結果および第1予測順位を、第1被検体の患者情報と関連付けて、メモリ13に記憶させ、通信インターフェース11を介して病院情報システム3に送信する。病院情報システム3は、第1予測結果と第1予測順位とを、第1被検体の患者情報を用いて第1被検体の電子カルテに紐づけて記憶する。
【0048】
図8は、ディスプレイ15に表示された第1予測結果と第1予測順位との一例を示す図である。
図8によれば、放射線治療後の副作用として、第1被検体の体重減少の予測確率が85%であることを示している。また、
図8に示すように、シス-ジアンミンジクロロ白金(CDDP)の注射、アルブミンに関する血液検査、左肺のCT画像、腫瘍に対する線量の分布、および患者基本情報に対して、第1予測指標がそれぞれ0.05、4.3、2.1、8.5、0.6であって、第1予測順位がそれぞれ5、2、3、1、4であることを示している。
【0049】
図9は、第1予測結果を、第1予測診療種における診療情報の粒度とともに示す図である。
図9に示すように、第1予測診療種における診療情報の粒度は、大項目、中項目および小項目として示されている。小項目は中項目に包含され、中項目は大項目に包含される。例えば、第1予測診療種が注射:CDDPである場合、当該第1予測診療種は大項目として投薬に分類され、中項目として注射に分類され、小項目としてCDDPに分類される。なお、診療情報の粒度は、大項目、中項目および小項目の3種に限定されず、任意に設定可能である。メモリ13は、診断目的に応じた診療情報の種類と診断目的との組み合わせと、当該診療情報における検査などに応じた粒度との対応表(以下、粒度対応表と呼ぶ)を記憶する。
【0050】
(ステップS209)
収集機能193は、第2診療情報に基づいて、診断目的に応じた第2被検体の診断に関する予測の結果(以下、第2予測結果と呼ぶ)を、病院情報システム3から収集する。なお、第2予測結果が第2診療情報に含まれている場合、収集機能193は、第2診療情報から第2予測結果を抽出する。第2予測結果は、例えば、第2被検体に対する第2予測診断と、第2予測診断における第2予測推論の根拠の程度を示す第2予測指標と、第2予測指標に関する診療情報の種類(以下、第2予測診療種と呼ぶ)と、第2予測診断における第2予測診療種の重要さの順位(以下、第2予測順位と呼ぶ)とを有する。第2予測診断は、例えば、第2被検体に関する予測確率である。また、第2予測指標は、第2予測診断において、推論の根拠に関する重要さの重みに相当する。すなわち、第2予測指標の値が大きいほど、第2予測診断の推論の根拠に関して影響が大きいものとなる。
【0051】
なお、病院情報システム3から第2予測結果を収集できなかった場合、推測機能197は、ステップS208における処理で用いられた支援診断アルゴリズムに第2診療情報を入力し、第2予測結果を出力する。次いで、推測機能197は、第2予測指標に基づいて、第2予測順位を決定する。
【0052】
(ステップS210)
ステップS201において選択された推論パスが第2推論パスである場合(ステップS210のYes)、ステップS211の処理が実行される。ステップS201において選択された推論パスが第2推論パスでない場合(ステップS210のNo)、すなわちステップS201において選択された推論パスが第3推論パスである場合、ステップS216の処理が実行される。
【0053】
(ステップS211)
入力インターフェース17は、ディスプレイ15に表示された目的関連情報に対して、すなわち統合表示IGDにおいて、操作者の指示により、第1指標の変更指示を入力する。定量化機能195は、変更された第1指標(以下、変更指標と呼ぶ)を、変更指標に対応する診療情報の種類と対応付けてメモリ13に記憶させる。なお、第1指標が変更されない場合、本ステップの処理は、省略される。
【0054】
図10は、統合表示IGDにおいて、血液検査の結果BRに関する第1指標の変更の一例を示す図である。
図6と比較すると
図10では、血液検査の結果BRに関する重要度は、血液検査の結果BRに関する重要度メニューCIMに対する重要度の変更の入力により、2から4に変更されている。変更指示の入力は、重要度の入力と同様なため、説明は省略する。なお、本ステップにおいて、ステップS207において重要度が設定されなかった診療情報に対して重要度が入力されてもよいし、ステップS207において重要度が決定された診療情報に対して、重要度の決定が解除されてもよい。
【0055】
(ステップS212)
一貫性評価機能199は、第1指標と、第2指標と、変更された第1指標と、第1予測指標と、第2予測指標とに基づいて、一貫性情報を生成する。一貫性評価機能199は、生成された一貫性情報をディスプレイ15に表示させる。例えば、一貫性評価機能199は、第1指標と第2指標とに基づいて、第1推論の根拠に対する第2推論の根拠の相違を、診療情報の種類のばらつきの程度を示す種類ばらつき値として計算することにより、一貫性情報を生成する。
【0056】
具体的には、一貫性評価機能199は、まず、第1推論の根拠となる診療情報と、第2推論の根拠となる診療情報と、第1予測指標に関する診療情報と、第2予測指標に関する診療情報とにおいて、診療情報の粒度に関する対応表である粒度対応表を用いて、一貫性情報における診療情報の粒度を、大きい方の粒度に診療情報の粒度を調整する。例えば、第1予測推論および第2予測推論の根拠となる診療情報がCT画像の画素強度であって、第1推論および第2推論の根拠となる診療情報がCT画像である場合、一貫性評価機能199は、粒度の大きい方、すなわちCT画像に、診療情報の粒度を合わせる。
【0057】
一貫性評価機能199は、診療情報の粒度の調整後、第1推論の根拠に対する第2推論の根拠の相違を診療情報の種類ごとに計数することにより、種類ばらつき値を計算する。一貫性評価機能199は、第1予測指標と第2予測指標とに基づいて、第1予測推論の根拠に対する第2予測推論の根拠の相違を、診療情報の種類のばらつきの程度を示す種類予測ばらつき値として計算することにより、一貫性情報を生成する。また、一貫性評価機能199は、変更された第1指標と第2指標とに基づいて、第1推論の根拠に対する第2推論の根拠の相違を、診療情報の種類のばらつきの程度を示す種類ばらつき値として計算することにより、一貫性情報を生成する。
【0058】
ディスプレイ15は、一貫性情報を表示する。具体的には、ディスプレイ15は、種類ばらつき値と種類予測ばらつき値とのうち少なくとも一方を、第2被検体の名称とともに表示する。
【0059】
図11は、第1被検体における4つの第1指標に関する診療情報の種類と第2被検体における4つの第2指標に関する診療情報の種類との対比に基づく種類ばらつき値の一例を示す図である。
図11における対比に示すように、アルブミンの血液検査は、第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠として用いられているが、第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠として用いられていない。また、投薬の有無は、第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠として用いられていないが、第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠として用いられている。このため、種類ばらつき値としては、第1被検体のみ参照している診療情報の数として1がカウントされ、第2被検体のみ参照している診療情報の数として1がカウントされる。
【0060】
図12は、推論フェーズごとの一貫性情報の一例を示す図である。
図12に示す推論フェーズ1は、操作者である医師による推論根拠の相違の一例を示している。
図12に示すグラフの縦軸における+側は、第1被検体のみ参照している種類ばらつき値を示している。
図12に示すグラフの縦軸における-側は、第2被検体のみ参照している種類ばらつき値または種類予測ばらつき値を示している。
図12に示す推論フェーズ1は、操作者である医師による推論根拠の相違(種類ばらつき値)の一例を示している。なお、推論フェーズ1に対応する一貫性情報は、ステップS207の処理の直後に生成され、ディスプレイ15に表示されてもよい。
図12に示す推論フェーズ2は、支援診断アルゴリズムによる推論根拠の相違(種類予測ばらつき値)の一例を示している。なお、推論フェーズ2に対応する一貫性情報は、ステップS208の処理の直後に生成され、ディスプレイ15に表示されてもよい。
図12に示す推論フェーズ3は、第1予測結果の表示後、第1指標の変更による推論根拠の相違(種類ばらつき値)の一例を示している。
図12に示すように、推論フェーズ3における種類ばらつき値は、推論フェーズ1における種類ばらつき値より小さくなっている。このため、第1被検体に対する診断の一貫性は向上している。
【0061】
ディスプレイ15に表示された
図12に示す一貫性情報において、入力インターフェース17は、操作者の指示により、第2被検体の名称のうち少なくとも一つの名称の指定を入力してもよい。第2被検体の名称の少なくともうち一つの名称が指定された場合、より詳細には、推論フェーズと少なくとも一つの類似症例とが指定された場合、ディスプレイ15は、第1診療情報のうち第1推論の根拠となる診療情報の複数の種類と、指定された名称に対応する第2被検体に関する第2診療情報のうち第2推論の根拠となる診療情報の複数の種類と、を表示する。
【0062】
図13は、
図12に示す一貫性情報において、推論フェーズ3と類似症例との指定(黒の点線の枠)により、第1被検体と第2被検体とにおける推論根拠に関する診療情報の種類の表示DIKの一例を示す図である。
図13に示すように、指定された推論フェーズ3と第2被検体とにおいて、第1被検体と第2被検体とにおける推論根拠の相違の詳細が、ディスプレイ15に表示される。このとき、一貫性評価機能199は、粒度対応表を用いて、診療情報の種類の内容をディスプレイ15にツリー表示(構造表示)させてもよい。
【0063】
一貫性評価機能199は、診療情報の粒度の調整後、第1指標と第2指標とに基づいて、第1指標に対する第2指標のばらつきの程度を示す指標ばらつき値を計算することにより、一貫性情報を生成する。具体的には、一貫性評価機能199は、推論根拠が同一の診療情報の種類ごとに第1指標と第2指標との差の絶対値を計算する。次いで、一貫性評価機能199は、計算された絶対値を、推論根拠に関する診療情報の種類の総数に亘って加算する。最後に、一貫性評価機能199は、加算結果を当該総数で除算することで、指標ばらつき値を計算する。ディスプレイ15は、計算された指標ばらつき値を、第2被検体の名称とともに表示する。
【0064】
一貫性評価機能199は、診療情報の粒度の調整後、第1予測指標と第2予測指標とに基づいて、第1予測指標に対する第2予測指標のばらつきの程度を示す指標予測ばらつき値を計算することにより、一貫性情報を生成する。具体的には、一貫性評価機能199は、推論根拠が同一の診療情報の種類ごとに第1予測指標と第2予測指標との差の絶対値を計算する。次いで、一貫性評価機能199は、計算された絶対値を、推論根拠に関する診療情報の種類の総数に亘って加算し、加算結果を当該総数で除算することで、指標予測ばらつき値を計算する。ディスプレイ15は、計算された指標予測ばらつき値を、第2被検体の名称とともに表示する。指標ばらつき値または指標予測ばらつき値の計算は、例えば、以下の式で示される。
【0065】
【0066】
式(1)における左辺のdiffは、指標ばらつき値または指標予測ばらつき値に対応する。式(1)における右辺のNは、推論根拠に関する診療情報の種類の総数である。式(1)における右辺のiは、推論根拠に関する診療情報の種類を示す変数である。式(1)における右辺のxiは、第1指標もしくは第1予測指標に対応する。式(1)における右辺のxiのハット
【0067】
【0068】
は、第2指標もしくは第2予測指標に対応する。
【0069】
図14は、推論フェーズごとの一貫性情報の一例を示す図である。
図14に示すグラフの縦軸は、指標ばらつき値または指標予測ばらつき値を示している。
図14に示す推論フェーズ1に対応する指標ばらつき値は、ステップS207の処理の直後に生成され、ディスプレイ15に表示されてもよい。
図14に示す推論フェーズ2に対応する指標予測ばらつき値は、ステップS208の処理の直後に生成され、ディスプレイ15に表示されてもよい。
図14に示すように、推論フェーズ3における指標ばらつき値は、推論フェーズ1における指標ばらつき値より小さくなっている。このため、第1被検体に対する診断の一貫性が向上している。
【0070】
ディスプレイ15に表示された一貫性情報において、入力インターフェース17は、操作者の指示により、第2被検体の名称のうち少なくとも一つの名称の指定と推論フェーズ2とを入力してもよい。このとき、ディスプレイ15は、第1診療情報のうち第1予測推論の根拠となる診療情報の複数の種類と、第1診療情報のうち第2予測推論の根拠となる複数の種類と、を表示する。
【0071】
図15は、
図14に示す一貫性情報において、推論フェーズ1と2つの類似症例との指定(黒の点線の枠)により、第1被検体と2人の第2被検体とにおける推論根拠に関する診療情報の種類を根拠順位とともに示す表示TDIKの一例を示す図である。
図15に示すように、指定された推論フェーズ1と2人の第2被検体とにおいて、第1被検体と2人の第2被検体とにおける推論根拠の相違の詳細が、根拠順位の順にディスプレイ15に表示される。
【0072】
一貫性評価機能199は、診療情報の粒度の調整後、第2推論の根拠のうち第1推論の根拠と重複する診療情報の種類と類似症例の総数とに基づいて、第1推論の根拠に対して第2推論の根拠が参照される程度を示す参照度を計算する。ディスプレイ15は、第1診療情報または目的関連情報のうち第1推論の根拠となる診療情報の種類と算出された参照度とを、一貫性情報として表示する。
【0073】
以下、説明を具体的にするために、第1推論の根拠、すなわち第1指標に対応する診療情報の種類は、CT画像、線量計画、年齢、投薬有無、アルブミンの血液検査の5種類であるものとする。また、類似症例の総数は、10であるものとする。また、10人の第2被検体のうち、CT画像を第2推論の根拠として用いた第2被検体の数は9人であるものとする。また、10人の第2被検体のうち、線量計画を第2推論の根拠として用いた第2被検体の数は8人であるものとする。また、10人の第2被検体のうち、年齢を第2推論の根拠として用いた第2被検体の数は7人であるものとする。また、10人の第2被検体のうち、投薬有無を第2推論の根拠として用いた第2被検体の数は7人であるものとする。また、10人の第2被検体のうち、アルブミンの血液検査を第2推論の根拠として用いた第2被検体の数は2人であるものとする。
【0074】
この場合、一貫性評価機能199は、CT画像に関する参照度として9/10=90%を算出し、線量計画に関する参照度として8/10=80%を算出し、年齢に関する参照度として7/10=70%を算出し、投薬有無に関する参照度として3/10=90%を算出し、アルブミンの血液検査に関する参照度として2/10=20%を算出する。
【0075】
図16は、ディスプレイ15に表示された第1推論の根拠となる診療情報の種類と算出された参照度との一例を示す図である。なお、ディスプレイ15は、参照度の代わりに、参照した類似症例数を表示してもよい。
【0076】
一貫性評価機能199は、診療情報の粒度の調整後、第2予測推論の根拠のうち第1予測推論の根拠と重複する診療情報の種類と類似症例の総数とに基づいて、第1予測推論の根拠に対して第2予測推論の根拠が参照される程度を示す推測参照度を計算する。推測参照度の計算は、上記参照度の計算と同一なため、説明は省略する。ディスプレイ15は、第2診療情報のうち第2予測推論の根拠となる診療情報の種類と推測参照度とを、一貫性情報として表示する。
【0077】
図17は、推論フェーズごとの一貫性情報の一例を示す図である。
図17に示すグラフの縦軸は、参照度(%)または推測参照度(%)を示している。
図17に示す推論フェーズ1に対応する参照度は、ステップS207の処理の直後に生成され、ディスプレイ15に表示されてもよい。
図14に示す推論フェーズ2に対応する推測参照度は、ステップS208の処理の直後に生成され、ディスプレイ15に表示されてもよい。
【0078】
ディスプレイ15に表示された
図17に示す一貫性情報において、入力インターフェース17は、操作者の指示により、推論フェーズの指定を入力してもよい。このとき、ディスプレイ15は、指定された推論フェーズにおいて、第1推論の根拠となる診療情報の種類と、参照度または推測参照度とを、重要度の降順に並べて表示する。
【0079】
図18は、
図17に示す一貫性情報において、黒の点線の枠で示す推論フェーズ3の指定により、第1被検体の推論根拠に関する診療情報の種類と参照度とを根拠順位の順に並べた表示DRIの一例を示す図である。
図18に示すように、指定された推論フェーズ3に関して、第1推論の根拠となる診療情報の種類と参照度とが、根拠順位に沿って配列されてディスプレイ15に表示される。なお、
図18におけるPSは、パフォーマンスステータス(Performance Status)を示している。
【0080】
(ステップS213)
ディスプレイ15は、収集された第1診療情報を統合表示する。本ステップで表示される情報量は、ステップS206において表示される情報より多くなる。第1診療情報の表示レイアウトは、例えば、
図5と同様であってもよいし、異なっていてもよい。
【0081】
(ステップS214)
定量化機能195は、表示された第1診療情報に対して、第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠の程度を示す第1指標を決定する。例えば、定量化機能195は、ディスプレイ15に表示された第1診療情報に対する操作者の指示により、第1指標を決定する。第1指標の決定手法は、ステップS207における処理と同様なため、説明は省略する。
【0082】
(ステップS215)
一貫性評価機能199は、第1指標と第2指標とに基づいて、一貫性情報を生成する。ディスプレイ15は、生成された一貫性情報を表示する。本ステップにおける一貫性情報の生成および表示は、
図12乃至
図15、
図17および
図18における推論フェーズ1に関する部分と
図16とに対応するため、説明は省略する。
【0083】
(ステップS216)
収集機能193は、第1被検体に関して選択された診断目的に基づいて、第1診療情報から目的関連情報を抽出する。システム制御機能191は、抽出された目的関連情報を、第1被検体に関する患者情報とともに、ディスプレイ15に表示させる。本ステップにおける処理は、ステップS206と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0084】
(ステップS217)
定量化機能195は、第1被検体に対する診断目的に基づいて、第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠の程度を示す第1指標を、第1診療情報において決定する。本ステップにおける処理は、ステップS207と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0085】
(ステップS218)
一貫性評価機能199は、第1指標と、第2指標と、第1予測指標と、第2予測指標とに基づいて、一貫性情報を生成する。一貫性評価機能199は、生成された一貫性情報をディスプレイ15に表示させる。本ステップにおける一貫性情報の生成および表示は、
図12乃至
図15、
図17および
図18における推論フェーズ2および推論フェーズ3に関する部分と
図16とに対応するため、説明は省略する。以上により、一貫性情報提供処理は終了する。一貫性情報提供処理の終了後、操作者は、第1被検体に対する診断に関して最終的な判断を行う。
【0086】
以上に述べた実施形態に係る医用情報処理装置1によれば、第1被検体の第1診療情報を収集し、第1被検体の類似症例に関する少なくとも一つの第2被検体の第2診療情報を収集し、第1被検体に対する診断目的に基づいて、第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠の程度を示す第1指標を第1診療情報において決定し、第2診療情報において第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠の程度を示す第2指標と第1指標とに基づいて、第1推論と第2推論との一貫性の評価に関する一貫性情報を生成し、一貫性情報を表示する。すなわち、本医用情報処理装置1によれば、類似症例に関する診断に関する推論の根拠と、対象の被検体に対する診断に関する推論の根拠との一貫性を示す情報を、可視化して操作者に提供することができる。操作者は、一貫性情報により、診断対象の被検体に関する推論の根拠と類似症例に関する推論の根拠との相違を容易に把握することができ、一貫性情報を参照して、診断対象の被検体に対する診断に関して最終的な判断を行うことができる。以上のことから、本医用情報処理装置1によれば、診断対象の被検体と類似症例との間において、診断に関する推論の根拠に対する一貫性を向上させることができる。
【0087】
また、実施形態に係る医用情報処理装置1によれば、操作者により第1指標の変更指示を入力し、変更された第1指標と第2指標とに基づいて、一貫性情報を生成する。これにより、本医用情報処理装置1によれば、類似症例に関する診断に関する推論の根拠と、対象の被検体に対する診断に関する変更後の推論の根拠との一貫性を示す情報を、可視化して操作者に提供することができる。
【0088】
また、実施形態に係る医用情報処理装置1によれば、第1推論の根拠となる診療情報と第2推論の根拠となる診療情報とにおいて、診療情報の粒度に関する対応表を用いて、一貫性情報における診療情報の粒度を、大きい方の粒度に診療情報の粒度を調整する。本医用情報処理装置1によれば、第1予測指標に関する診療情報と第2予測指標に関する診療情報とにおいて、診療情報の粒度に関する対応表を用いて、一貫性情報における診療情報の粒度を、大きい方の粒度に診療情報の粒度を調整する。これらにより、診療情報の粒度を合わせて、一貫性を示す情報を操作者に提供することができる。
【0089】
また、実施形態に係る医用情報処理装置1によれば、第1指標と第2指標とに基づいて指標ばらつき値を計算することにより一貫性情報を生成し、指標ばらつき値を第2被検体の名称とともに表示する。本医用情報処理装置1によれば、第1予測指標と第2予測指標とに基づいて、第1予測指標に対する前記第2予測指標のばらつきの程度を示す指標予測ばらつき値を計算することにより、一貫性情報を生成し、指標予測ばらつき値を、前記第2被検体の名称とともに表示する。これらにより、一貫性を示す情報として、定量化された指標ばらつき値や指標予測ばらつき値を、可視化して操作者に提供することができる。
【0090】
また、実施形態に係る本医用情報処理装置1によれば、第2被検体の名称のうち一つの名称が指定された場合、第1診療情報のうち第1推論の根拠となる診療情報の複数の種類と、指定された名称に対応する第2被検体に関する第2診療情報のうち第2推論の根拠となる診療情報の複数の種類とを表示する。本医用情報処理装置1によれば、第1診療情報のうち第1予測推論の根拠となる診療情報の複数の種類と、第1診療情報のうち第2予測推論の根拠となる複数の種類とを表示する。これらにより、第1被検体と第2被検体とにおいて、医師や支援診断により参照された診療情報の種類を、可視化して操作者に提示することができる。
【0091】
また、実施形態に係る医用情報処理装置1によれば、第1指標と第2指標とに基づいて、第1推論の根拠に対する第2推論の根拠の相違を種類ばらつき値として計算することにより、一貫性情報を生成し、種類ばらつき値を第2被検体の名称とともに表示する。本実施形態に係る本医用情報処理装置1によれば、診断目的に応じた少なくとも一つの支援診断アルゴリズムに第1診療情報を適用して、第1予測診断と第1予測指標と第1予測指標に関する診療情報の種類とを出力し、第2診療情報に基づいて第2予測診断と第2予測指標と第2予測指標に関する診療情報の種類とを収集し、第1予測指標と第2予測指標とに基づいて、第1予測推論の根拠に対する第2予測推論の根拠の相違を種類予測ばらつき値として計算することにより、一貫性情報を生成し、種類予測ばらつき値を第2被検体の名称とともに表示する。これらにより、一貫性を示す情報として、定量化された種類ばらつき値や種類予測ばらつき値を、可視化して操作者に提供することができる。
【0092】
また、実施形態に係る医用情報処理装置1によれば、第2推論の根拠のうち第1推論の根拠と重複する診療情報の種類と類似症例の総数とに基づいて、第1推論の根拠に対して第2推論の根拠が参照される程度を示す参照度を計算し、第1診療情報のうち第1推論の根拠となる診療情報の種類と参照度とを、一貫性情報として表示する。本医用情報処理装置1によれば、第2予測推論の根拠のうち第1予測推論の根拠と重複する診療情報の種類と類似症例の総数とに基づいて、第1予測推論の根拠に対して第2予測推論の根拠が参照される程度を示す推測参照度を計算し、第1診療情報のうち第1予測推論の根拠となる診療情報の種類と推測参照度とを一貫性情報として表示する。これらにより、一貫性を示す情報として、定量化された参照度や推測参照度を、可視化して操作者に提供することができる。
【0093】
(応用例)
応用例は、支援診断の実行前後における重要度のばらつきの変化量(以下、推論根拠変化量と呼ぶ)と、複数の類似症例に亘って推論根拠変化量の平均(以下、平均変化量と呼ぶ)とを計算し、推論根拠変化量と平均変化量とを操作者に提供することにある。本応用例における処理は、例えば、
図3に示すステップS211またはステップS212の後に実行される。
【0094】
一貫性評価機能199は、種類予測ばらつき値の表示後において操作者により第1指標が変更された場合、変更された第1指標と第2指標とに基づいて、変更された第1指標に対する第2指標のばらつきの程度を示す変更後ばらつき値を計算する。具体的には、一貫性評価機能199は、式(1)の右辺におけるxiとして変更された第1指標を用いて式(1)を計算することにより、式(1)の左辺として変更後ばらつき値を計算する。式(1)の計算内容は実施形態での説明に準ずるため、説明は省略する。一貫性評価機能199は、指標ばらつき値と変更後ばらつき値との変化量を、推論根拠変化量として、支援診断アルゴリズムの種類に応じて計算する。一貫性評価機能199は、推論根拠変化量を、支援診断アルゴリズムの種類(以下、支援診断種と呼ぶ)と患者の氏名とに対応付けて、メモリ13に記憶させる。また、一貫性評価機能199は、推論根拠変化量と支援診断種とを、第1被検体の患者情報または電子カルテに紐付けして記憶するように、病院情報システム3に送信する。
【0095】
収集機能193は、検索された類似症例に該当する複数の第2被検体に関する第2診療情報から、支援診断種に対応する推論根拠変化量と支援診断種とを抽出する。
【0096】
一貫性評価機能199は、類似症例における複数の推論根拠変化量を加算して類似症例の総数で除算することにより、平均変化量を計算する。一貫性評価機能199は、平均変化量を支援診断種に対応付けて、メモリ13に記憶させる。
【0097】
ディスプレイ15は、支援診断種および第2被検体の名称とともに推論根拠変化量および平均変化量を表示する。ディスプレイ15は、入力インターフェース17を介した操作者に指示により第2被検体の名称のうち一つの名称と支援診断種とが指定された場合、指定された支援診断アルゴリズムの実行前後に関して、第1推論に関する診療情報の複数の種類と、指定された名称に対応する第2被検体における第2推論に関する診療情報の複数の種類と、を表示する。
【0098】
図19は、支援診断種に対する平均変化量と、指定された支援診断種に関する第1被検体及び2人の第2被検体に関する推論根拠変化量とを示す一貫性情報の一例を示す図である。
図19に示すように、ロジスティック回帰による放射線副作用予測モデルにおける平均変化量は25であって、他の放射線副作用予測モデルにおける平均変化量より大きい。このため、ロジスティック回帰による放射線副作用予測モデルによる第2予測結果は、他の放射線副作用予測モデルによる第2予測結果に比べて、医師の推論の根拠の重要さである第1指標に大きく影響している。
図19に示すように、支援診断種ごとの平均変化量を示す一覧表において、ロジスティック回帰による放射線副作用予測モデルが、選択されている。このとき、ディスプレイ15は、ロジスティック回帰による放射線副作用予測モデルによる3人の第2被検体ごとの推論根拠変化量を、第2被検体の氏名とともに表示する。
【0099】
図20は、
図19に示す一貫性情報において第2被検体の名称(患者太郎)とロジスティック回帰による放射線副作用予測モデルとが指定された場合、支援診断の前後において第1被検体と第2被検体とにおける診療情報の種類を根拠順位の順に並べた表示の一例を示す図である。このとき、一貫性評価機能199は、支援診断の前後において、重要度の変化が最も大きい診療情報の種類を強調表示させる。
【0100】
以上に述べた応用例に係る医用情報処理装置1によれば、第1指標と第2指標とに基づいて、第1指標に対する第2指標のばらつきの程度を示す指標ばらつき値を計算し、種類予測ばらつき値の表示後において操作者により第1指標が変更された場合、変更された第1指標と第2指標とに基づいて、変更された第1指標に対する第2指標のばらつきの程度を示す変更後ばらつき値を計算し、指標ばらつき値と変更後ばらつき値との変化量を支援診断アルゴリズムの種類に応じて計算し、支援診断アルゴリズムの種類および第2被検体の名称とともに、計算された変化量を一貫性情報として表示する。また、本医用情報処理装置1によれば、第2被検体の名称のうち一つの名称と支援診断アルゴリズムの種類とが指定された場合、指定された支援診断アルゴリズムの実行前後に関して、第1推論に関する診療情報の複数の種類と、指定された名称に対応する第2被検体における第2推論に関する診療情報の複数の種類と、を表示する。
【0101】
これらにより、診断対象の被検体と類似症例との間において、支援診断の実行前後による推論の根拠の変化を操作者に提示することができ、診断に関する推論の根拠に対する一貫性を向上させることができる。
【0102】
(変形例)
変形例における一貫性情報提供処理は、第1指標の決定前に、第2被検体に関する一貫性情報を生成して表示することにある。以下、変形例における一貫性情報提供処理の手順について説明する。
図21は、一貫性情報提供処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0103】
(一貫性情報処理)
(ステップS21)
収集機能193は、入力インターフェース17を介した操作者の指示により、第1被検体の類似症例に関する検索条件を選択する。本ステップの処理内容は、
図2におけるステップS202における処理内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0104】
(ステップS22)
収集機能193は、第1被検体に関して選択された診断目的に基づいて、第1診療情報から目的関連情報を抽出する。システム制御機能191は、抽出された目的関連情報を、第1被検体に関する患者情報とともに、ディスプレイ15に表示させる。本ステップの処理内容は、
図2におけるステップS206における処理内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0105】
(ステップS23)
収集機能193は、第1診療情報と検索条件とに基づいて、第1被検体の類似症例に関する第2被検体の第2診療情報と第2予測結果とを収集する。第2診療情報と第2予測結果との収集は、
図2におけるステップS203およびステップS209における処理内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0106】
(ステップS24)
一貫性評価機能199は、第2診療情報において複数の第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠の程度を示す第2指標に基づいて、複数の第2被検体における第2推論の一貫性の評価に関する一貫性情報を生成する。本ステップにおいて生成される一貫性情報は、例えば、類似症例間における参照度(以下、類似参照度と呼ぶ)および推測参照度(以下、類似推測参照度と呼ぶ)に相当する。具体的には、一貫性評価機能199は、類似症例間において第2診療情報の粒度の調整後、第2推論の根拠となる診療情報の種類各々について、類似症例に亘る当該種類のカウント数を類似症例の総数で除算することにより、類似参照度を計算する。一貫性評価機能199は、類似症例間において第2診療情報の粒度の調整後、第2予測推論の根拠となる診療情報の種類各々について、類似症例に亘る当該種類のカウント数を類似症例の総数で除算することにより、類似推測参照度を計算する。
【0107】
ディスプレイ15は、第2診療情報のうち第2推論の根拠となる診療情報の種類と算出された類似参照度とを、一貫性情報として表示する。ディスプレイ15は、第2診療情報のうち第2予測推論の根拠となる診療情報の種類と類似推測参照度とを、一貫性情報として表示する。
【0108】
図22は、推論フェーズごとの一貫性情報の一例を示す図である。
図22に示すグラフの縦軸は、類似参照度(%)または類似推測参照度(%)を示している。ディスプレイ15に表示された
図22に示す一貫性情報において、入力インターフェース17は、操作者の指示により、黒の点線の枠で示す推論フェーズの指定を入力してもよい。このとき、ディスプレイ15は、指定された推論フェーズにおいて、第2推論または第2予測推論の根拠となる診療情報の種類と、類似参照度または類似推測参照度とを、重要度の降順に並べて表示する。
【0109】
(ステップS25)
推測機能197は、診断目的に応じた支援診断アルゴリズムに目的関連情報を適用し、第1予測結果を出力する。推測機能197は、ディスプレイ15に、第1予測結果を表示させる。本ステップの処理内容は、
図2におけるステップS208における処理内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0110】
(ステップS26)
定量化機能195は、ディスプレイ15に表示された目的関連情報に対する操作者の指示により、第1指標を決定する。本ステップの処理内容は、
図2におけるステップS207における処理内容と同様なため、詳細な説明は省略する。以上により、本変形例における一貫性情報提供処理は終了する。なお、本ステップの後、
図2におけるステップS212の処理が実行されてもよい。また、一貫性情報提供処理の終了後、操作者は、第1被検体に対する診断に関して最終的な判断を行う。
【0111】
以上のことから、変形例に係る医用情報処理装置1によれば、第1被検体に関する第1診療情報に基づいて、第1被検体の類似症例に関する複数の第2被検体各々の第2診療情報を収集し、第2診療情報において複数の第2被検体に対する診断における推論の根拠の程度を示す指標に基づいて、複数の第2被検体における推論の一貫性の評価に関する一貫性情報を生成し、一貫性情報を表示する。これにより、本医用情報処理装置1によれば、第1被検体に関する第1指標の決定前および第1予測結果の出力前において、類似症例に関する一貫性情報を操作者に提示することができ、診断対象の被検体と類似症例との間において、診断に関する推論の根拠に対する一貫性を向上させることができる。
【0112】
また、本実施形態の他の変形例として、本医用情報処理装置1は、病院情報システム3に組み込まれてもよい。また、本医用情報処理装置1は、クライアントサーバシステムやシンクライアント、クラウドコンピューティングなどにより実現されてもよい。このとき、通信インターフェース11、メモリ13および処理回路19は、サーバに搭載され、ディスプレイ15および入力インターフェース17は、クライアントに搭載される。
【0113】
本実施形態における技術的思想を医用情報処理方法で実現する場合、医用情報処理方法は、第1被検体の第1診療情報を収集し、第1被検体の類似症例に関する少なくとも一つの第2被検体の第2診療情報を収集し、第1被検体に対する診断目的に基づいて、第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠の程度を示す第1指標を、第1診療情報において決定し、第2診療情報において第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠の程度を示す第2指標と、第1指標とに基づいて、第1推論と第2推論との一貫性の評価に関する一貫性情報を生成し、一貫性情報を表示する。医用情報処理方法における処理手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0114】
本実施形態における技術的思想を医用情報処理プログラムで実現する場合、医用情報処理プログラムは、コンピュータに、第1被検体の第1診療情報を収集し、第1被検体の類似症例に関する少なくとも一つの第2被検体の第2診療情報を収集し、第1被検体に対する診断目的に基づいて、第1被検体に対する第1診断における第1推論の根拠の程度を示す第1指標を、第1診療情報において決定し、第2診療情報において第2被検体に対する第2診断における第2推論の根拠の程度を示す第2指標と、第1指標とに基づいて、第1推論と第2推論との一貫性の評価に関する一貫性情報を生成し、一貫性情報を表示することを実現させる。
【0115】
例えば、病院情報システム3におけるコンピュータに医用情報処理プログラムをインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても、一貫性情報提供処理を実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。医用情報処理プログラムにおける処理手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0116】
以上説明した少なくとも一つの実施形態、応用例および変形例などによれば、類似症例に関する診断に関する推論の根拠と、対象の被検体に対する診断に関する推論の根拠との一貫性を示す情報を操作者に提供することできる。これにより、診断対象の被検体と類似症例における複数の被検体とに対する診断の根拠のばらつきを低減することができる。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0118】
1 医用情報処理装置
3 病院情報システム
11 通信インターフェース
13 メモリ
15 ディスプレイ
17 入力インターフェース
19 処理回路
191 システム制御機能
193 収集機能
195 定量化機能
197 推測機能
199 一貫性評価機能