(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】発泡ガラスの製造方法および発泡ガラス
(51)【国際特許分類】
C03B 19/08 20060101AFI20240510BHJP
C03C 11/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
C03B19/08 Z
C03C11/00
(21)【出願番号】P 2020030540
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】520066315
【氏名又は名称】有限会社ループ
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【氏名又は名称】西原 広徳
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真一
(72)【発明者】
【氏名】大高 学
(72)【発明者】
【氏名】小向 稔章
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 湧太
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0264446(US,A1)
【文献】特開2005-089202(JP,A)
【文献】特開昭52-110716(JP,A)
【文献】特開2005-132714(JP,A)
【文献】特開2007-154518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 19/08
C03C 11/00
C04B 38/00 - 38/10
C09K 17/00 - 17/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌に混在させる発泡ガラスを製造する発泡ガラス製造方法であって、
ガラスを所定の第1規定粒径以下の大きさに破砕する一次破砕工程と、
前記一次破砕工程で破砕したガラスを粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程でガラスを粉砕した粉末に添加材を添加して混合および攪拌する混合攪拌工程と、
当該混合し、撹拌した混合撹拌物を焼成
して発泡ガラスを製造する焼成工程と、
焼成した前記発泡ガラスを破砕する二次破砕工程とにより多孔質の発泡ガラスを製造する発泡ガラス製造方法であって、
前記混合攪拌工程にて
黒色顔料および酸化鉄を混合して有色の発泡ガラスを製造し、
前記二次破砕工程では前記一次破砕工程における前記第1規定粒径よりも大きい第2規定粒径範囲の大きさに前記混合撹拌物を破砕する
発泡ガラス製造方法。
【請求項2】
前記混合攪拌工程にて混合する前記
黒色顔料は0.4~1.0重量%であり、
前記酸化鉄は0.5~2.0重量%である
請求項1記載の発泡ガラス製造方法。
【請求項3】
前記
黒色顔料に対する前記酸化鉄の重量%混合比は、1.0~2.0である
請求項2記載の発泡ガラス製造方法。
【請求項4】
混合する前記
黒色顔料は、平均粒度が0.25μm~0.6μmである
請求項1、2、または3に記載の発泡ガラス製造方法。
【請求項5】
前記第1規定粒径は6mmであり、
前記第2規定粒径範囲は15mm~25mmの範囲である
請求項1から4のいずれか1つに記載の発泡ガラス製造方法
。
【請求項6】
前記焼成工程は、焼成温度が650~850度である
請求項1から5のいずれか1つに記載の発泡ガラス製造方法
。
【請求項7】
土壌に混在させる発泡ガラスであって、
黒色顔料および酸化鉄を含有し、
絶乾比重が0.35~0.5g/cm3であり、
吸水率が5~20%である
発泡ガラス
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、農業資材や防犯砂利に用いられる発泡ガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通気性および排水性の改善を目的として、農業用の土壌に廃ガラスからリサイクルされた発泡ガラスを混ぜることが行われている。
【0003】
例えば、廃ガラス粉体、粘土粉体、木質炭粉体、および発泡剤を所定の割合で混合し、焼成することで、複数の多孔質層によって形成された発泡ガラスを製造する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この発泡ガラスは、その色が灰色のみでしか形成されない。そのため、この発泡ガラスは、茶色が基本色となる農業用土壌に混入させると外見が損なわれるという問題を有している。一般家庭の家庭菜園などを有する需要者は、購入するに際して、土壌の外見を重要視する者も多い。
【0005】
また、防犯砂利として使用する場合、白や灰色の防犯砂利は、日光が反射してまぶしく感じたり、風雨にさらされてさらに外観が損なわれるといったデメリットがあった。このような経緯から、土壌に混入させても目立ちにくい色の発泡ガラスが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題に鑑みて、土壌に混在させても違和感のない発泡ガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ガラスを粉砕した粉末に添加材を添加して混合撹拌する混合撹拌工程と、当該混合撹拌した混合撹拌物を焼成する焼成工程とにより多孔質の発泡ガラスを製造する発泡ガラス製造方法であって、前記混合撹拌工程にて顔料を混合して有色発泡ガラスを製造する発泡ガラス製造方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明により、土壌に混在させても違和感のない発泡ガラスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者は、土壌に混在させても違和感のない発泡ガラスを製造する方法を発明した。以下、この発明の一実施形態を図面とともに説明する。
【0012】
図1は、本発明における発泡ガラス製造方法を実施するための発泡ガラス製造装置1の概略構成図である。
【0013】
発泡ガラス製造装置1は、原料であるガラス廃材を投入する原料投入部2と、投入されたガラス廃材を破砕する一次破砕部3と、破砕したガラス廃材をさらに細かく粉砕して粉末状のガラス粉体とする粉砕部4と、ガラス粉体に含まれる異物を除去する一次篩別部5と、篩別したガラス粉体を各種添加剤とともに撹拌混合し、発泡ガラスとする撹拌混合部6と、発泡ガラスを焼成する焼成部7と、焼成後の発泡ガラスを破砕する二次破砕部8と、破砕後の発泡ガラスを篩別する二次篩別部9と、これらの間で中間生成物を搬送する搬送部10(10a~10g)を備えている。
【0014】
原料投入部2は、投入されたガラス廃材を、一次破砕部3へと一定量移送する。原料投入部2は、例えばホッパーのように原料となるガラス廃材を貯留しておくことが可能であって、必要に応じて自動、または人為的な操作によってガラス廃材を一次破砕部3へ移送する構成であってもよい。原料投入部2から一定量輸送されるガラス廃材は、ベルトコンベアにより構成される搬送部10aにて一次破砕部3の投入口へ搬送される。
【0015】
一次破砕部3は、原料投入部2より移送されたガラス廃材を一定範囲の粒径(例えば6mm以下)に破砕する。一次破砕部3は、例えばガラス廃材を重力方向を回転軸とする縦回転の回転圧縮により挟み込んですりつぶす、ローラー回転式の破砕機を用いることができる。一次破砕部3から排出される破砕後のガラス廃材は、ベルトコンベアにより構成される搬送部10bにて粉砕部4の投入口へ搬送される。
【0016】
粉砕部4は、一次破砕部3によって破砕されたガラス廃材を、さらに細かく粉砕し、ガラス粉体とする。このガラス粉体は、粒径が200mm以下であることが望ましい。粉砕部4は、回転軸を略水平とする横回転により粉砕する構成であり、例えば複数のセラミック製のボールが衝突する際に発生する圧縮力によって、対象物をすり潰すボールミルを用いることができる。粉砕部4から排出されるガラス粉体は、ベルトコンベアにより構成される搬送部10cにて一次篩別部5の投入口へ搬送される。
【0017】
一次篩別部5は、ガラス粉体に混入した異物および粉砕されきらずに残留したガラス廃材を篩掛けして除去する。この除去するガラス廃材は、粒径が200μmより大きいものとすることが好ましい。一次篩別部5から排出されるガラス粉体は、ベルトコンベアにより構成される搬送部10dにて撹拌混合部6の投入口へ搬送される。
【0018】
撹拌混合部6は、ガラス粉体に発泡材、重金属抑制剤、顔料、および酸化鉄を混合し、分布が均一となるよう撹拌する。撹拌混合部6は、例えばガラス粉体、発泡材、重金属抑制剤、顔料、および酸化鉄を混合器に同時に投入し、回転運動によって混合撹拌するロータリー混合撹拌機を用いることができる。このときの配合比率は、例えば、ガラス粉体(94~97重量%)、発泡材(0.4~0.5重量%)、重金属抑制剤(2~3重量%)、顔料(0.4~1.0重量%)、および酸化鉄(0.5~2.0重量%)を撹拌混合部6に供給し、混合攪拌を事項する。撹拌混合部6から排出される混合物は、ベルトコンベアにより構成される搬送部10eにて焼成部7の投入口へ搬送される。
【0019】
焼成部7は、混合撹拌した発泡ガラス材料を650℃~850℃の熱で溶融し、焼成し、発泡ガラスを生成する。焼成部7は、例えば発泡ガラス材料を搬送部10(ベルトコンベア)によって移送しながら、バーナーによって連続して焼成を行い、板状の発泡ガラスを生成する連続焼成式を用いることができる。連続焼成式を用いる場合、予熱工程、溶融工程、焼成工程、および徐冷工程に各工程を分割し、工程毎に異なる温度設定を行うことができる。焼成部7から排出される発泡ガラスは、ベルトコンベアにより構成される搬送部10fにて二次破砕部8へ搬送される。
【0020】
二次破砕部8は、焼成した発泡ガラスを製品用の規定粒度(粒径15mm~25mm)に破砕する。二次破砕部8は、例えば上方から発泡ガラスを落下させ、落下してきた発泡ガラスを刃で挟んで破砕するクラッシャー方式を用いることができる。二次破砕部8から排出される発泡ガラスは、ベルトコンベアにより構成される搬送部10gにて二次篩別部9へ搬送される。
【0021】
二次篩別部9は、破砕した発泡ガラスの内、例えば粒径25mmより大きいものを除去する等、粒径が製品規格を満たさないものを除去する。こうして、基準を満たした発泡ガラスが得られる。
【0022】
図2は、発泡ガラス製造装置1によって製造される発泡ガラスの製造フローである。
【0023】
発泡ガラスの原料には、使用済みになって回収されたガラス廃材を厚み約15mmにして使用する。原料投入工程において、原料投入部2は、ガラス廃材が投入される(ステップS1)。そして、自動、または人の手による操作によって、一定量のガラス廃材が一次破砕部3に移送される。投入されるガラス廃材は、最終製品となる発泡ガラスの色に影響しない透明なガラス廃材を大部分とすることが好ましい。
【0024】
一次破砕工程では、原料投入部2によって移送されたガラス廃材を、一次破砕部3が、粉砕部の最大粉砕可能粒径である粒径6mm以下に破砕する(ステップS2)。
【0025】
粉砕工程では、一次破砕工程で破砕したガラス廃材を、粉砕部4が、添加剤と撹拌混合しやすい粒径200μm以下に粉砕し、ガラス粉体とする(ステップS3)。粉砕されたガラス粉体は、粒度が細かいため、飛散しないように保管、または移送されることが好ましい。好ましいガラス粉体の移送方法としては、粉粒体を回転させながら移動させるスピンフローコンベアが挙げられる。
【0026】
一次篩別工程では、粉砕工程で200μm以下に粉砕されなかった異物を、一次篩別部5が除去する(ステップS4)。粉砕されていなかった粒径の大きいガラス廃材は、回収し、原料投入部2に再投入し、ガラス粉体の原料とすることができる。
【0027】
混合工程では、混合撹拌部6が、粉砕後篩別されたガラス粉体に、添加剤である発泡剤と、重金属抑制剤と、黒色顔料と、酸化鉄とを混合する(ステップS5)。
【0028】
発泡剤としては、有機系発泡剤と無機系発泡剤のどちらを使用しても構わない。有機系発泡剤としては、例えばADCA(アゾジカーボンアミド)、DPT(N,N’-ジニトロペンタメチレンテトラミン)、OBSH(4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド)を使用できる。無機系発泡剤としては、例えば炭酸水素塩、炭酸塩を使用できる。
【0029】
重金属抑制剤としては、例えばマグネサイトといった、重金属を吸着して溶出させない重金属不溶化材を使用することができる。
【0030】
黒色顔料としては、例えば鉄クロム系に代表される複合酸化物顔料や赤外線反射材料を使用することができる。黒色顔料の添加量は、焼成後の発泡ガラスの色を土壌に混ぜても自然な色とするため、0.5~1.0重量%とすることが好ましい。
【0031】
酸化鉄としては、例えば着色用に調製された着色用酸化鉄を使用することができる。酸化鉄の添加量は、焼成後の発泡ガラスの色を土壌に混ぜても自然な色とするため、0.5~2.0重量%とすることが好ましい。また、黒色顔料に対する酸化鉄の混合重量比を、1.0~2.0とすることがより好ましい。さらに、添加する黒色顔料および酸化鉄の平均粒径は、その分散性および焼成工程における発泡現象に与える影響から、0.25~6.0μmとすることが好ましい。
【0032】
撹拌工程では、混合撹拌部6が、混合したガラス粉体と各種添加剤が均一に分散されるよう撹拌する(ステップS6)。
【0033】
混合工程と撹拌工程は、それぞれの作業工程を、それぞれ異なる装置で行っても良いし、1つの装置でガラス粉体に各種添加剤を混合してから撹拌工程を行っても良いし、1つの装置で撹拌しながら各種添加剤を混合しても良い。
【0034】
焼成工程では、混合撹拌された発泡ガラス原料を、焼成部7が、溶融、焼成する(ステップS7)。このとき、添加剤として混合した発泡剤によって徐冷後の発泡ガラスは厚み約60mmとなる。発泡ガラス原料を一度溶融し、再度固化、焼成することで、より均一に添加剤および顔料を分散させ、発泡ガラス製品の物性ムラおよび色ムラを低減することができる。焼成工程における焼成温度は、焼成部7内の温度を650~850度に保持する。この温度範囲から外れると、発泡ガラス原料の発泡現象が適切とならず、焼成後の発泡ガラス製品において絶乾比重が不適となる。
【0035】
二次破砕工程では、焼成した発泡ガラスを、二次破砕部8が、製品用の大きさに破砕する(ステップS8)。
【0036】
その後、製品規格に適合するよう、二次破砕後の発泡ガラスを、二次篩別工程において、二次篩別部9が、篩別する(ステップS9)。二次篩別工程では、回転式の篩別機を使用することで発泡ガラスの角が削られ、より製品として適する形状となる。
【0037】
以上の工程を経て製造された発泡ガラスは、酸化鉄を使用することによって、黒色顔料のみ、または茶色顔料を混合した発泡ガラスと比較して、土壌に混ぜた際に違和感のない茶色に着色される。また、酸化鉄を使用することによって発泡ガラスの強度が向上し、防犯砂利としての適性が向上する。
【0038】
さらに、焼成温度を650~850度の範囲とすることによって発泡現象が適切に行われ、発泡ガラスとして重要な特性である絶乾比重が適切な範囲となる。
【0039】
また、酸化鉄を用いることで、こげ茶や黒に近いこげ茶等の土壌の色に近く土壌の上においても違和感の生じない色および質感に仕上げることができる。すなわち、単に顔料を用いるだけでは、焼成時の高温にて顔料の色が変化し茶色が緑色に変化してしまうなど所望の色を得ることが難しいところを、酸化鉄を混合することによって焼成後に所望の色を得ることができる。
【0040】
また、顔料として黒色を用いることで、発泡ガラスを濃い色に仕上げることができる。すなわち、黒色以外の色では、焼成時の高温にて顔料の色が変化し、濃いこげ茶等の所望の色を得ることが難しいが、黒色の顔料を用いることで、仕上がった発泡ガラスの色を黒もしくは黒に近いこげ茶に近づけることができる。
【0041】
また、上述した酸化鉄と黒色顔料を両方使うことで、酸化鉄の茶色系の色を活かしつつ、黒色で濃いこげ茶色に仕上げることができる。
【0042】
また、混合攪拌工程にて混合する顔料が0.4~1.0重量%であり、酸化鉄が0.5~2.0重量%であるため、酸化鉄の色と顔料を両方活かして良好な色および質感の発泡ガラスを得ることができる。
【0043】
また、顔料に対する酸化鉄の重量%混合比が1.0~2.0であるため、酸化鉄の色が顔料に負けることを防止できる。特に、黒色の顔料を用いた場合でも、酸化鉄の色が顔料に負けることを防止できる。
【0044】
また、混合する顔料の平均粒度が0.25μm~0.6μmであることにより、ガラス粉体に対して良好に攪拌でき、ムラなく全体的に色の均一性が高い発泡ガラスに仕上げることができる。
【0045】
また、焼成工程での焼成温度が650~850度であることにより、酸化鉄の色を活かしつつガラス粉体を良好に溶融して焼成して良好な発泡ガラスを得ることができる。
【0046】
発泡ガラスは、絶乾比重が0.35~0.5g/cm3であり、吸水率が5~20%であるため、色および質感の良好な有色の発泡ガラスを得ることができる。
[実施例1]
【0047】
平均厚み約15mmの透明ガラス廃材を、ガラス廃材を約4m3貯留可能な原料ホッパーに投入し、ホッパー底部に備え付けられた振動切出し機によりコンベアへ移送した。
【0048】
移送されたガラス廃材を、ガラス廃材を回転圧縮により挟み込んですりつぶす、ローラー回転式の破砕機を用いて、破砕後のガラス廃材の粒径が6mm以下となるよう破砕した。
【0049】
破砕したガラス廃材を、複数のセラミック製のボールとともに粉砕機に投入し、粉砕機を回転させた。これにより、セラミックボールが衝突する際に発生する圧縮力によって、ガラス廃材を粒径が200μm以下となるよう粉砕し、ガラス粉体とした。
【0050】
ガラス粉体を、自動篩別機に投入し、粒径が200μm以下のガラス粉体のみを抽出した。
【0051】
ロータリー混合撹拌機に、抽出したガラス粉体と、発泡剤(ガラス発泡資材事業共同組合指定品)を0.8重量%と、マグネサイトを2.0重量%と、平均粒径0.5μmである黒色顔料(旭化成工業製、Black6340)を0.5重量%と、平均粒径0.27μmである酸化鉄(戸田工業製、KN-320)を0.5重量%添加し、約15分撹拌し、発泡ガラス原料とした。
【0052】
撹拌後の発泡ガラス原料を、ベルトコンベアに乗せて移送し、バーナーによって連続して約30分焼成を行った。焼成温度は、焼成炉内の温度が650度以上850度以下となるよう調整した。
【0053】
焼成した発泡ガラスを、クラッシャー破砕機によって発泡ガラスの粒径が15~25mmとなるよう破砕した。その後、破砕した発泡ガラスを、回転式篩別機を用いて発泡ガラスの角を削りながら篩別した。
【0054】
篩別後の発泡ガラスを採取し、吸水率(5~20%は合格)、絶乾比重(0.35~0.5g/cm3は合格)、および色(土壌に混ぜた際に目立たなければ◎、注視することで発泡ガラスを判別可能なら〇、明らかに発泡ガラスが判別可能なら×)の各種評価を行った。
[実施例2]
【0055】
混合工程において、添加する黒色顔料(旭化成工業製、Black6340)を1.0重量%とし、酸化鉄(戸田工業製、KN-320)を1.0重量%とした以外は実施例1と同様に発泡ガラスを製造し、評価した。
[実施例3]
【0056】
混合工程において、添加する黒色顔料(旭化成工業製、Black6340)を1.0重量%とし、酸化鉄(戸田工業製、KN-320)を2.0重量%とした以外は実施例と同様に発泡ガラスを製造し、評価した。
[実施例4]
【0057】
混合工程において、添加する黒色顔料(旭化成工業製、Black6340)を0.5重量%とし、酸化鉄(戸田工業製、KN-320)を2.0重量%とした以外は実施例と同様に発泡ガラスを製造し、評価した。
[比較例1]
【0058】
混合工程において、添加剤に黒色顔料ではなく平均粒径1.5μmの茶色顔料(旭化成工業製、Blown4123)を1.0重量%使用した。さらに、添加する酸化鉄(戸田工業製、KN-320)を2.0重量%とした。それ以外は実施例と同様に発泡ガラスを製造し、評価した。
[比較例2]
【0059】
混合工程において、酸化鉄を添加しなかった。それ以外は実施例と同様に発泡ガラスを製造し、評価した。
[比較例3]
【0060】
混合工程において、添加する黒色顔料の平均粒径を変更し、0.7μmとし(旭化成工業製、Black3250)、添加量を0.46重量%とし、酸化鉄を添加しなかった。それ以外は実施例と同様に発泡ガラスを製造し、評価した。
【0061】
表1に、各実施例および比較例の使用顔料の色、顔料の添加量、酸化鉄の添加量、および評価結果を示す。
【0062】
【0063】
評価結果に示すように、黒色顔料および酸化鉄を添加した発泡ガラスは、色評価が良好であった。さらに、吸水率および絶乾比重も製品の規定を満たしていた。一方、茶色顔料を使用した比較例1は、色が明るくなりすぎ、土壌に混ぜた際に目立つ色となった。また、酸化鉄を添加しなかった比較例2および比較例3は、焼成途中に緑色に変色した。さらに、平均粒径が好ましい範囲でない比較例1および比較例3は、絶乾比重および/または吸水率が製品規定を満たさなかった。
【0064】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本実施例においては、全行程がプログラムによって動作される装置によって実施されているが、篩別工程や混合工程などは人の手によって行われていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、農業用土壌や防犯砂利として使用される発泡ガラスを製造する産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…発泡ガラス製造装置
2…原料投入部
3…一次破砕部
4…粉砕部
5…一次篩別部
6…混合撹拌部
7…焼成部
8…二次破砕部
9…二次篩別部