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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】非常用外部電源変換ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02B 5/00 20060101AFI20240510BHJP
   E05F 15/603 20150101ALI20240510BHJP
   E06B 9/80 20060101ALI20240510BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20240510BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20240510BHJP
   E05F 15/72 20150101ALN20240510BHJP
   H02B 1/52 20060101ALN20240510BHJP
【FI】
H02B5/00 B
E05F15/603
E06B9/80 J
H02J9/06 120
H02B1/20 L
E05F15/72
H02B1/52 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020054734
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021158728
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】高井 邦治
(72)【発明者】
【氏名】小林 諒平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 秀正
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-148665(JP,A)
【文献】実開平03-114124(JP,U)
【文献】特開平09-262134(JP,A)
【文献】特開平07-139276(JP,A)
【文献】特許第6576588(JP,B1)
【文献】[災害用電力変換器]災害時、 電力復旧までの緊急対応としてバッテリーフォークリフトから電源が取れる!by旭フォークリフト,YouTube [online] [video],2017年12月22日,<URL:https://www.youtube.com/watch?v=MrLhXYa5QA0>,主に再生時間00:00~02:02を参照。,[令和5年12月19日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 - 15/79
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06 - 9/18
E06B 9/40 - 9/50
E06B 9/56 - 9/92
H02B 1/00 - 1/38
H02B 1/46 - 7/08
H02J 9/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源の供給が無い場合に外部電源に基づく電力を前記制御手段へ供給可能とする電源切替手段とを備えた開閉体装置の前記電源切替手段へ、前記外部電源に基づく電力を供給する非常用外部電源変換ユニットであって、
前記外部電源としてのバッテリに接続され、前記バッテリから入力された電力を、前記商用電源と同じ電圧の電力へ変換する変換手段と、
前記変換手段と前記バッテリとを接続する第1のケーブルと、
前記変換手段と前記開閉体装置の前記電源切替手段とを接続する第2のケーブルと、
前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルを収納するケーブル収納手段とを備え、
前記第1のケーブルは、その一端に、前記バッテリに接続するための第1のコネクタ手段を有し、
前記第2のケーブルは、その一端に、前記開閉体装置の前記電源切替手段に接続するための第2のコネクタ手段を有し、
前記ケーブル収納手段は、前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルを巻き付けるための複数の支柱と、前記複数の支柱が取り付けられた台座と、前記第1のコネクタ手段を収納する第1のコネクタ収納手段と、前記第2のコネクタ手段を収納する第2のコネクタ収納手段とを有し、前記複数の支柱は、前記台座上に取り付けられたそれらの間に前記第1のコネクタ収納手段及び前記第2のコネクタ収納手段が配置される空間を有し、前記第1のコネクタ収納手段及び前記第2のコネクタ収納手段は、当該空間に配置され、
かつ、前記変換手段は、前記ケーブル収納手段の前記台座の下に収容され、
前記変換手段により変換した電力を前記開閉体装置の前記電源切替手段へ供給することを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記変換手段は、車両に搭載された外部電源としての車載バッテリに接続され、前記車載バッテリから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換することを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記変換手段は、電動フォークリフトに搭載された車載バッテリに接続され、前記車載バッテリから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換することを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記第1のケーブル及び/又は前記第2のケーブルは、それらの他端が、予め、前記変換手段に接続されていることを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項5】
請求項1、2、3、又は4に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記変換手段、前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルの使用方法を記載した使用方法表示を備えたことを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項6】
請求項1、2、3、4、又は5に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記変換手段及び前記ケーブル収納手段を一緒に持ち運ぶための携帯用ケースを備え、
前記携帯用ケースは、取り出し口を有するケース本体と、前記ケース本体の前記取り出し口を覆う蓋とを有することを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、照明手段と、照明用電源と、前記携帯用ケースの前記蓋の開放を検出して前記照明用電源の電力を前記照明手段へ供給する蓋開放検出手段とを備えたことを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記蓋開放検出手段による前記照明用電源から前記照明手段への電力の供給を手動で遮断する手動スイッチ手段を備えたことを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【請求項9】
請求項6、7、又は8に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、前記携帯用ケースは、床に転がして移動するための車輪と、床に転がして移動するときに把持するハンドルとを有することを特徴とする非常用外部電源変換ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電時など商用電源の供給が無い場合に、外部電源の電力を商用電源と同じ電圧の電力に変換して、電気機器などの被供給設備へ供給するのに好適な非常用外部電源変換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、モータ等の電気機器などを用いた装置として、以下に開閉体装置を例にとって説明する。
シャッターカーテンなどのような開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部に設置され、その開閉体を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。この開閉体装置は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどの開閉体を、開口部の上部から繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖するように構成されている。このような開閉体装置は、開閉体の開閉動作を電動で行なう場合が多い。電動の開閉体装置としては、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。
【0003】
一般に電動の開閉体装置は、建物などの構造物の開閉用空間部を昇降開閉するための開閉体を、構造物の天井裏またはシャッターケースに配置された開閉機(モータ等)によって昇降駆動するようになっている。このような電動の開閉体装置では、例えば、停電時に所定の操作を行うことにより、開閉体自体が自重降下して全閉状態に保持されるように構成されているものがある。そこで、従来は、停電時において、全閉状態の開閉体を開放する際、例えば、開閉機の出力回転軸(回転軸)をその近傍に備え付けの手動操作用ハンドルで回転させるなど、手動により開閉体を巻き上げて開放するようにしていた。
【0004】
このような電動の開閉体装置の中には、火災による停電時でも、消防隊のホースを給水口(送水口)に連結し放水(送水)することによって、開閉体装置を電動にて動作させて開閉体を非常開放するように構成された非常電源装置を備えたものがある。非常電源装置は、バッテリからなる予備電源及びインバータ機器などの電子部品を搭載して構成されている。この非常電源装置には、開閉体装置の自動閉鎖装置、障害物感知装置、危害防止用連動中継器、起動ボタンを備えた操作スイッチ及び水圧スイッチなどの外部機器や外部電源線などが接続されている。このような非常電源装置を備えた開閉体装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。その他、商用電源の停電時に、発電機を使用して開閉機(モータ等)の制御装置へ電力を供給するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-79457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商用電源の停電時に手動操作用ハンドルを用いて操作を行う場合、作業者が脚立や作業台などに上って上部に設けられた点検口を開放しながら、開閉体の開閉操作を行う必要があり、操作が大変面倒であった。一方、特許文献1に記載のような非常電源装置を設ける場合、設備費用が増大し、かつ予備電源のバッテリ交換を定期的に行なう必要があった。あるいは、発電機を使用する場合も、設備費用が増大し、かつ発電機への燃料の補給やオイル交換などのメンテナンスが必要であった。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、設備費用やメンテナンス作業を大幅に増大させることなく、停電時など商用電源の供給が無い場合に、外部電源から電気機器などの被供給設備へ容易に電力を供給することができる非常用外部電源変換ユニットを、安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第1の特徴は、外部電源としてのバッテリに接続され、バッテリから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換する変換手段と、変換手段とバッテリとを接続する第1のケーブルと、変換手段と商用電源の被供給設備とを接続する第2のケーブルと、第1のケーブル及び第2のケーブルを収納するケーブル収納手段とを備え、変換手段により変換した電力を被供給設備へ供給することにある。
なお、本明細書において、「被供給設備」とは、通常時は商用電源が供給され、停電時など商用電源の供給が無い場合に外部電源に基づく電力が供給される、あるいは、通常時は商用電源などの電力が供給されず、非常時(随時)に外部電源に基づく電力が供給される、電気機器などの設備を言う。
【0009】
本発明は、非常用外部電源変換ユニットを、例えば、停電時などの非常時用の防災装置として提供するものであり、停電時などの非常時に外部電源から被供給設備へ容易に電力を供給することができる非常時用の防災装置が、安価に提供される。
そして、非常用外部電源変換ユニットが、変換手段、第1のケーブル及び第2のケーブルを備えるので、バッテリ及び非常用外部電源変換ユニットを準備すると、必要な接続作業が直ちに可能となる。
さらに、非常用外部電源変換ユニットが、第1のケーブル及び第2のケーブルを収納するケーブル収納手段を備えるので、第1のケーブル及び第2のケーブルが絡まったり捩じれたりすることがなく、接続作業を迅速に行うことができ、また第1のケーブル及び第2のケーブルの損傷、断線などが回避される。
【0010】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、変換手段が、車両に搭載された外部電源としての車載バッテリに接続され、車載バッテリから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換することにある。
【0011】
例えば、開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部及びその近傍に設置されるので、フォークリフトや自動車などの車両が容易に近づくことができる。そして、フォークリフトや自動車などの車両には、バッテリが搭載されており、その車載バッテリを利用することにより、特許文献1に記載のような非常電源装置や発電機などを使用することなく、停電時などに車載バッテリから被供給設備へ容易に電力を供給することが可能となる。
【0012】
車載バッテリは、フォークリフトや自動車などの車両から取り外す必要はなく、車載バッテリを搭載した車両を開閉体装置の近傍まで移動して来て、車載バッテリを車両に取り付けたまま、変換手段の接続作業を行えばよい。外部電源としての車載バッテリは、フォークリフトや自動車に限らず、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部の周囲又は内部を走行可能な他の車両に搭載されているものも含む。
【0013】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第3の特徴は、前記第2の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、変換手段が、電動フォークリフトに搭載された車載バッテリに接続され、車載バッテリから入力された電力を、商用電源と同じ電圧の電力へ変換することにある。
工場、倉庫、車庫などの建物内では、電動フォークリフトが使用されていることが多く、電動フォークリフトの車載バッテリを容易に準備することができる。そして、電動フォークリフトの車載バッテリの電圧は、自動車の車載バッテリの電圧と同等かそれ以上の大きさであるので、商用電源と同じ電圧の電力への変換が容易である。
【0014】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、第1のケーブルが、その一端に、バッテリに接続するための第1のコネクタ手段を有し、第2のケーブルが、その一端に、被供給設備に接続するための第2のコネクタ手段を有し、ケーブル収納手段が、第1のケーブル及び第2のケーブルを巻き付けるための複数の支柱と、第1のコネクタ手段を収納する第1のコネクタ収納手段と、第2のコネクタ手段を収納する第2のコネクタ収納手段とを有することにある。
【0015】
第1のケーブルがバッテリに接続するための第1のコネクタ手段を有し、第2のケーブルが被供給設備に接続するための第2のコネクタ手段を有するので、変換手段のバッテリへの接続作業、及び変換手段の被供給設備への接続作業が容易になる。
そして、普段は、第2のケーブルの第2のコネクタ手段を商用電源の被供給設備から取り外して、非常用外部電源変換ユニットを他の保管場所に保管することができ、商用電源の供給が無い場合に、保管場所から持ってきた非常用外部電源変換ユニットの第2のケーブルの第2のコネクタを商用電源の被供給設備に接続して、電気工事士の資格が必要な電気工事を施工することなく、必要な電力を変換手段から商用電源の被供給設備へ供給することが可能となる。
【0016】
さらに、第1のケーブル及び第2のケーブルをケーブル収納手段の複数の支柱に巻き付け、第1のケーブルの第1のコネクタ手段を第1のコネクタ収納手段に収納し、第2のケーブルの第2のコネクタ手段を第2のコネクタ収納手段に収納することにより、第1のケーブル及び第2のケーブルの収容及び取り出しが極めて容易になると共に、第1のケーブル及び第2のケーブルの絡まりや捩じれがさらに抑制され、第1のケーブル及び第2のケーブルの損傷、断線などが一層回避される。
【0017】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第5の特徴は、前記第4の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、第1のケーブル及び/又は第2のケーブルは、それらの他端が、予め、変換手段に接続されていることにある。
第1のケーブル及び/又は第2のケーブルの他端が、予め、変換手段に接続されているので、非常用外部電源変換ユニットを使用する際、改めて第1のケーブルや第2のケーブルを変換手段に接続する作業を行う必要がなく、必要最小限の作業を迅速に行うことができる。
【0018】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第6の特徴は、前記第1、第2、第3、第4、又は第5の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、変換手段、第1のケーブル及び第2のケーブルの使用方法を記載した使用方法表示を備えたことにある。
変換手段、第1のケーブル及び第2のケーブルの使用方法を記載した使用方法表示を備えることにより、非常用外部電源変換ユニットを容易に使用することが可能となる。
【0019】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第7の特徴は、前記第1、第2、第3、第4、第5、又は第6の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、変換手段及びケーブル収納手段を一緒に持ち運ぶための携帯用ケースを備え、携帯用ケースが、取り出し口を有するケース本体と、ケース本体の取り出し口を覆う蓋とを有することにある。
携帯用ケースを用いて、変換手段、第1のケーブル及び第2のケーブルを容易に一緒に持ち運ぶことが可能となる。
【0020】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第8の特徴は、前記第7の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、照明手段と、照明用電源と、携帯用ケースの蓋の開放を検出して照明用電源の電力を照明手段へ供給する蓋開放検出手段とを備えたことにある。
非常用外部電源変換ユニットの使用時、蓋開放検出手段が、携帯用ケースの蓋の開放を検出して、照明用電源の電力を照明手段へ供給するので、夜間などに停電が発生して周囲が暗くなっていても、照明手段の灯りの下で、変換手段の接続作業を容易に行うことができる。照明手段は、携帯用ケースの蓋の開閉動作に連動して自動的に点灯及び消灯される。
【0021】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第9の特徴は、前記第8の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、蓋開放検出手段による照明用電源から照明手段への電力の供給を手動で遮断する手動スイッチ手段を備えたことにある。
昼間などで周囲が明るく、照明手段の点灯が必要ないときに、手動スイッチ手段で、蓋開放検出手段による照明用電源から照明手段への電力の供給を手動で遮断して、照明用電源の消耗を回避することができる。
【0022】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第10の特徴は、前記第7、第8、又は第9の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、携帯用ケースが、床に転がして移動するための車輪と、床に転がして移動するときに把持するハンドルとを有することにある。
携帯用ケースに車輪及びハンドルを設けることにより、携帯用ケースを床に転がして移動することができ、非常用外部電源変換ユニットの運搬が極めて容易になる。
【0023】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第11の特徴は、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、又は第10の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、被供給設備が、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源の供給が無い場合に外部電源に基づく電力を制御手段へ供給可能とする電源切替手段とを備えた開閉体装置の電源切替手段であって、非常用外部電源変換ユニットが、変換手段により変換した電力を電源切替手段へ供給することにある。
バッテリから開閉体装置の開閉機(モータ)へ容易に電力を供給することができる、開閉体装置用の非常用外部電源変換ユニットが提供される。
【0024】
本発明の非常用外部電源変換ユニットの第12の特徴は、前記第11の特徴に記載の非常用外部電源変換ユニットにおいて、電源切替手段が、通常時には、商用電源の電力を制御手段へ供給することにある。通常時には、商用電源を用いて動作される開閉体装置用の非常用外部電源変換ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の非常用外部電源変換ユニットによれば、設備費用やメンテナンス作業を大幅に増大させることなく、停電時など商用電源の供給が無い場合に、外部電源から被供給設備へ容易に電力を供給することができる非常用外部電源変換ユニットを、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】開閉体装置であるシャッター装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】開閉体装置内の各装置の動作を説明する図である。
図3】本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの外部電源変換装置の回路構成の一例を示す図である。
図4】本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの一例を示す図である。
図5図5(a)は携帯用ケースの側面図、図5(b)は携帯用ケースの底面図である。
図6図6(a)は外部電源変換装置、直流用ケーブル及び交流用ケーブルの外観図の一例、図6(b)はケーブル収納装置の外観図の一例である。
図7図7(a)は交流用ケーブルを巻き付けたケーブル収納装置の外観図、図7(b)はさらに直流用ケーブルを巻き付けたケーブル収納装置の外観図である。
図8】使用方法表示の一例を示す図である。
図9】照明装置の駆動回路の一例を示す図である。
図10】本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの他の例を示す図である。
図11】照明装置の駆動回路の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に従って、本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、開閉手段として上下に開閉動作されるシャッターカーテンを備えたシャッター装置用の、非常用外部電源変換ユニットを例に説明する。図1は、開閉体装置であるシャッター装置の概略構成の一例を示す図である。図1において、開閉体装置10は、出入口の開口部を上下に開閉するシャッター装置である。
【0028】
開閉体装置10は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース11、シャッターカーテン12、ガイドレール13,14、巻取シャフト15、チェーン16、モータ17、位置検出装置172、制御装置18、障害物感知器185、操作スイッチ19、電源切替装置20、コネクタ20a、及び外部電源変換装置30などを含んで構成される。この開閉体装置10は、通常時には、操作スイッチ19の操作に応じて、開閉機であるモータ17を駆動して開閉制御するようになっている。さらに、この開閉体装置10では、シャッターカーテン12が巻取シャフト15に巻き取られている開放状態を機械的な保持機構(図示せず)によって保持しており、この開放状態で外部から火災の発生などを示す非常信号BSなどが制御装置18に入力された場合には、その保持機構による開放状態の保持が解除されて、シャッターカーテン12は、その自重で自然降下して開口部を自動閉鎖する機能も備えている
【0029】
ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材又はこれと同等の部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。
【0030】
巻取シャフト15は、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン16は、モータ17の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト15の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ17の回転駆動力は、チェーン16を介して巻取シャフト15側に伝達され、モータ17が回転すると、チェーン16を介して巻取シャフト15が回転し、シャッターカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0031】
モータ17には、その回転位置、すなわちシャッターカーテン12の開閉位置と開閉状態を検出するための位置検出装置172(図2参照)が設けられている。この位置検出装置172は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。モータ17の回転に応じたパルス信号が制御装置18に出力されるので、モータ17の回転位置やシャッターカーテン12の閉鎖側先端部の開口部における位置などは、このパルスの発生状況に基づいて制御装置18が演算にて求めることになる。
【0032】
制御装置18は、マイクロコンピューター構成になっており、電源ラインACから電源切替装置20を介して電力が供給されている。制御装置18は、操作スイッチ19上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号やモータ17に設けられた位置検出装置172からの信号やプロテクタからの信号などに基づいて、モータ17の回転を制御したり、非常信号BSに基づいて保持機構を解除したりする。
【0033】
操作スイッチ19は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、下降(閉)ボタン19Cをそれぞれ有し、これら各ボタンの操作状態に応じた制御信号を制御装置18に出力する。なお、図1では示していないが、制御装置18は無線型リモコン装置によっても操作可能となっている。
【0034】
非常信号BSは、火災発生などの非常時に外部の制御室などから供給される電圧24[V]の信号であり、制御装置18内の図示しない危害防止用連動中継器に入力される。なお、外部からの非常信号BSの入力と併せて、又は代わりに、シャッターケース11の内側であって、まぐさ部の開口部近傍、すなわちシャッターカーテン12が昇降する部分に温度感知器などを設けてもよい。この温度感知器としては、常時接点がオン状態にあり、接点が所定温度(摂氏100~300度の範囲の任意温度)に達した時点で接点を開きオフ状態となるB接点の自動復帰型の高温度用バイメタル式サーモスタットなどで構成され、接点が開いた場合には火災などが発生したことを示す信号を非常信号BSに相当する信号として出力するようにしてもよい。
【0035】
障害物感知器185は、送信機がシャッターカーテン12の下端部(座板)に設けられたもので、障害物感知時には、内蔵された座板スイッチの移動に対応した感知信号を制御装置18に送信し、また、その後の障害物の除去により座板スイッチの復帰移動時には、復帰信号を送信する構成となっている。障害物感知器185の送信機から制御装置18への信号の送信は、図のような有線方式に限らず、電池を電源として作動する無線方式のものでもよい。また、シャッターカーテン12の下端部に障害物の接触で移動する座板スイッチを設け、障害物接触時の座板の移動力でガイドレール13,14の高さ方向に沿って設けられたテープスイッチを押圧する構成や、テープスイッチから制御装置18に対し感知信号を有線出力する構成としてもよい。この他、開口部に光電管やLED等の投受光センサを設け、画像認識等により障害物を非接触で感知する構成としてもよい。
【0036】
図2は、開閉体装置内の各装置の動作を説明する図である。制御装置18は、電源切替回路20から供給された電力により、操作スイッチ19、障害物感知器185及び位置検出装置172からの各信号、並びに非常信号BSに基づいて、モータ17を制御する。なお、図2では、制御装置18以外への商用電源の接続関係については、その図示を省略してある。
【0037】
本例の電源切替回路20は、操作者が手動で切り替える手動スイッチであって、普段は、電源ラインAC側へ接続されており、電源ラインACから供給される商用電源の電力を制御装置18へ供給する。そして、商用電源の停電時は、操作者が手動で電源切替回路20を外部電源変換装置30側へ切り替え、電源切替回路20は、外部電源変換装置30から供給される電力を制御装置18へ供給する。なお、電源切替回路20として、電源ラインACから供給される商用電源の電力を検出し、商用電源の停電時に外部電源変換装置30側へ自動的に切り替わる自動スイッチを使用してもよい。
【0038】
外部電源変換装置30は、車載バッテリ40から入力される直流の電力を、商用電源と同じ電圧200[V]の三相交流の電力に変換して、電源切替回路20へ出力する。ここで、車載バッテリ40は、フォークリフトや自動車などの車両に搭載されたバッテリであり、通常、電動フォークリフトでは24又は48[V]、ガソリン車では12[V]、ディーゼル車では24[V]の電圧のバッテリが使用されている。
【0039】
図1において、開閉体装置10は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部及びその近傍に設置されるので、フォークリフトや自動車などの車両が容易に近づくことができる。そして、フォークリフトや自動車などの車両には、バッテリが搭載されており、その車載バッテリ40を利用することにより、特許文献1に記載のような非常電源装置や発電機などを使用することなく、停電時に開閉体の開閉動作を容易に行うことが可能となる。
【0040】
車載バッテリ40は、フォークリフト又は自動車などの車両から取り外す必要はなく、車載バッテリ40を搭載した車両を開閉体装置10の近傍まで移動して来て、車載バッテリ40を車両に取り付けたまま、外部電源変換装置30の接続作業を行えばよい。外部電源としての車載バッテリ40は、フォークリフトや自動車に限らず、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部の周囲又は内部を走行可能な他の車両に搭載されているものも含む。
【0041】
なお、ガソリン車やディーゼル車の車載バッテリ40を利用する場合、開閉体装置10のシャッターカーテン12の開閉動作を行っている間は、エンジンをアイドリング状態に駆動させておくことにより、車載バッテリ40の過放電(いわゆる「バッテリ上がり」)が回避される。
【0042】
電源切替回路20には、外部電源変換装置30を接続するためのコネクタ20aが設けられている。普段は外部電源変換装置30をコネクタ20aから取り外して他の保管場所に保管することができ、商用電源の停電時に、保管場所から持ってきた外部電源変換装置30をコネクタ20aに接続して、電気工事士の資格が必要な電気工事を施工することなく、必要な電力を外部電源変換装置30から電源切替回路20へ供給することが可能となる。
【0043】
図3は、本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの外部電源変換装置の回路構成の一例を示す図である。本例は、車載バッテリ40の電圧(48、24又は12[V])に対応して、使用する車載バッテリ40の電圧専用の外部電源変換装置30を用意するものである。外部電源変換装置30は、遮断器31、スイッチング回路32、変圧器33、整流回路34、インバータ回路35、フィルタ回路36、及びスイッチング制御・ドライバ回路37を含んで構成されている。車載バッテリ40の正極側端子は、直流入力(+)として遮断器31に接続され、車載バッテリ40の負極側端子は、直流入力(-)としてスイッチング回路32に接続される。遮断器31は、入力電流が所定の遮断値に達したとき、車載バッテリ40の正極側端子からの入力電流を遮断する。
【0044】
なお、図3の例では、遮断器31が外部電源変換装置30の入力側だけに設けられているが、外部電源変換装置30の出力側にも、遮断器を設けてもよい。遮断器を外部電源変換装置30の入力側に設けることにより、車載バッテリ40からの入力電流が異常な大電流であっても、入力電流が遮断されて安全性が向上する。また、遮断器を外部電源変換装置30の出力側に設けることにより、外部電源変換装置30が故障しても、異常な大電流が電源切替回路20へ供給されず安全性が向上する。
【0045】
スイッチング回路32は、スイッチング制御・ドライバ回路37の制御に従って、変圧器33の一次側入力端子へ供給される一次電流をオン/オフする。変圧器33は、車載バッテリ40の電圧に応じて変圧比が異なり、48、24又は12[V]の一次側電圧を、200[V]の二次側電圧に変圧する。整流回路34は、変圧器33の二次電流を整流する。インバータ回路35は、スイッチング制御・ドライバ回路37の駆動に基づいて、整流回路34が整流した変圧器33の二次電流に対して、周波数変換を行う。フィルタ回路36は、正弦波フィルタ及びノイズフィルタを含み、インバータ回路35から出力された交流電流をフィルタリングして、三相交流出力として出力する。
【0046】
なお、図3は、直流の車載バッテリ(外部電源)の電圧を交流の商用電源の電圧に変換する外部電源変換装置の例を示しているが、被供給設備が直流用の電気機器(モータなど)で構成されている場合、外部電源変換装置は、直流―交流変換を行う必要はない。
【0047】
図4は、本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの一例を示す図である。非常用外部電源変換ユニット60は、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61、交流用ケーブル62、携帯用ケース70、照明装置75、蓋開放検出器76、照明用電源78、使用方法表示79、及びケーブル収納装置80を含んで構成されている。なお、図4において、本例では、外部電源変換装置30が、携帯用ケース70内のケーブル収納装置80の下に収容されていて見えないため、図示されていない。
【0048】
直流用ケーブル61は、例えばコネクタ付きケーブルであって、本実施の形態では、外部電源変換装置30とフォークリフトに搭載されている車載バッテリ40とを接続する。交流用ケーブル62は、例えばコネクタ付きケーブルであって、本実施の形態では、外部電源変換装置30と開閉体装置10の電源切替装置20とを接続する。携帯用ケース70は、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61、交流用ケーブル62、照明装置75、照明用電源78、使用方法表示79、及びケーブル収納装置80を収容し、それらは、使用時に携帯用ケース70から取り出し可能である。携帯用ケース70を用いて、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62を容易に一緒に持ち運ぶことが可能となる。なお、ケーブル収納装置80を携帯用ケース70内に収容するのではなく、ケーブル収納装置80を携帯用ケース70の外側に取り付ける構造であってもよい。
【0049】
本実施の形態の非常用外部電源変換ユニット60によれば、停電時に、車載バッテリ40を用いて、開閉体装置10の電源切替装置20へ容易に電力を供給することができる、停電時用の防災装置を、安価に提供することができる。そして、非常用外部電源変換ユニット60が、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62を備えるので、車載バッテリ40及び非常用外部電源変換ユニット60を準備すると、必要な接続作業が直ちに可能となる。
【0050】
携帯用ケース70は、上面に取り出し口を有するケース本体70aと、ケース本体70aの取り出し口を覆う蓋70bとを有する。蓋70bは、ケース本体70aに開閉可能に取り付けられている。図5(a)は携帯用ケースの側面図、図5(b)は携帯用ケースの底面図である。携帯用ケース70のケース本体70aの長い方の側面には、取っ手71aが設けられている。取っ手71aは、図5(a)の図面垂直方向に90度回転して起き上がるように取り付けられている。また、ケース本体70aの短い方の側面には、取っ手71bが設けられている。携帯用ケース70に取っ手71a,71bを設けることにより、携帯用ケース70の携帯及び運搬が容易になる。
【0051】
図5(a),(b)において、携帯用ケース70のケース本体70aの取っ手71bが設けられた側面と反対側の側面には、床に転がして移動するための4つの車輪72が取り付けられている。また、ケース本体70aの底面の4か所には、脚台73が取り付けられている。これらの脚台73により、蓋70bを上方に向けて携帯用ケース70を床に置いたときに、携帯用ケース70が水平に支持される。さらに、ケース本体70aの底面の中央付近から図面上方にかけて、床に転がして移動するときに把持するハンドル74が取り付けられている。携帯用ケース70に車輪72及びハンドル74を設けることにより、携帯用ケース70を床に転がして移動することができ、非常用外部電源変換ユニット60の運搬が極めて容易になる。
【0052】
ハンドル74は、ハンドル上部74aとハンドル下部74bと把持部74cとで構成されており、ハンドル上部74aは、図5(b)に示す矢印方向へスライドさせて、ハンドル下部74b内に収納可能に構成されている。ハンドル上部74aをハンドル下部74b内に収納することにより、ハンドル74を使用しないとき、ハンドル上部74a及び把持部74cがケース本体70aの底面から突出して作業の邪魔になることがない。
【0053】
図6(a)は、外部電源変換装置、直流用ケーブル及び交流用ケーブルの外観図の一例である。図6(a)において、本例の直流用ケーブル61には、その一端に、フォークリフトの車載バッテリ40のコネクタに接続するためのコネクタ61aが設けられている。また、本例の交流用ケーブル62には、その一端に、開閉体装置10の電源切替装置20に設けられたコネクタ20aに接続するための第2のコネクタ62aが設けられている。第2のコネクタ62aには、使用しないときにその接合部を覆って保護するためのキャップ62bが付属されている。
【0054】
直流用ケーブル61が車載バッテリ40に接続するための第1のコネクタ61aを有し、交流用ケーブル62が開閉体装置10の電源切替装置20に接続するための第2のコネクタ62aを有するので、外部電源変換装置30の車載バッテリ40への接続作業、及び外部電源変換装置30の開閉体装置10の電源切替装置20への接続作業が容易になる。
さらに、普段は、交流用ケーブル62の第2のコネクタ62aを電源切替装置20のコネクタ20aから取り外して、非常用外部電源変換ユニット60を他の保管場所に保管することができ、商用電源の停電時に、保管場所から持ってきた非常用外部電源変換ユニット60の交流用ケーブル62の第2のコネクタ62aを電源切替装置20のコネクタ20aに接続して、電気工事士の資格が必要な電気工事を施工することなく、必要な電力を外部電源変換装置30から開閉体装置10の電源切替装置20へ供給することが可能となる。
【0055】
図6(a)において、本例の直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62は、それらの他端がそれぞれ、予め、外部電源変換装置30に接続されている。直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の他端がそれぞれ、予め、外部電源変換装置30に接続されているので、非常用外部電源変換ユニット60を使用する際、改めて直流用ケーブル61や交流用ケーブル62を外部電源変換装置30に接続する作業を行う必要がなく、必要最小限の作業を迅速に行うことができる。
【0056】
図4において、本例では、携帯用ケース70のケース本体70a内に、ケーブル収納装置80が収容されている。図6(b)は、ケーブル収納装置の外観図の一例である。ケーブル収納装置80は、台座81、複数の支柱82、第1のコネクタ収納具83、及び第2のコネクタ収納具84を含んで構成されている。台座81には、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62を巻き付けるための複数の円柱形の支柱82が取り付けられている。本例では、4本の支柱82が設けられており、4本の支柱82の間の空間に、第1のコネクタ収納具83及び第2のコネクタ収納具84が配置されている。第1のコネクタ収納具83及び第2のコネクタ収納具84は、例えば、面ファスナーが付いた可撓性のテープなどで構成されており、台座81に取り付けられている。
【0057】
なお、支柱82の数は4本に限らず、3本以下又は5本以上の支柱82を設けてもよい。また、支柱82は、必ずしも円柱形である必要はなく、巻き付けた直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62が接触する箇所が、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62に損傷を与えないように、尖った角のない形状であればよい。
【0058】
図7(a)は、交流用ケーブルを巻き付けたケーブル収納装置の外観図である。交流用ケーブル62を、4本の支柱82の外側に巻き付け、交流用ケーブル62の第2のコネクタ62aを、第2のコネクタ収納具84を用いて台座81に固定する。図7(b)は、さらに直流用ケーブルを巻き付けたケーブル収納装置の外観図である。直流用ケーブル61を、4本の支柱82の外側に巻き付け、直流用ケーブル61の第1のコネクタ61aを、コネクタ収納具83を用いて、台座81に固定する。なお、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62を巻き付ける順序は、上述した順番に限らず、任意の順序で巻き付けを行ってもよい。
【0059】
直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62をケーブル収納装置80の複数の支柱82に巻き付け、直流用ケーブル61の第1のコネクタ61aを、コネクタ収納具83に収納し、交流用ケーブル62の第2のコネクタ62aをコネクタ収納具84に収納することにより、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の携帯用ケース70への収容及び携帯用ケース70からの取り出しが極めて容易になると共に、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の絡まりや捩じれがさらに抑制され、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の損傷、断線などが一層回避される。
【0060】
図4において、携帯用ケース70の蓋70bの内側には、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の使用方法を記載した使用方法表示79が設けられている。図8は、使用方法表示の一例を示す図である。開閉体装置10の関連機器の取扱い方法を記載した取扱い説明書は、従来、冊子やコンピュータソフトなどで提供されているが、停電等の非常時に備えて、判り易い場所に保管されていることが望ましい。外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の使用方法を記載した使用方法表示を携帯用ケース70に設けることにより、外部電源変換装置30を容易に使用することが可能となる。
【0061】
なお、使用方法表示79には、外部電源変換装置30、直流用ケーブル61及び交流用ケーブル62の使用方法に限らず、必要な注意書きや製品仕様などの他の情報を併記してもよい。また、使用方法表示79は、携帯用ケース70の蓋70bの内側に限らず、携帯用ケース70の表面などに設けてもよい。
【0062】
図4において、本例では、携帯用ケース70のケース本体70a内に、照明装置75及び照明用電源78が収容されている。また、ケース本体70a内には、蓋開放検出器76が設けられており、携帯用ケース70の蓋70b内には、被検出部77が設けられている。蓋開放検出器76は、蓋70bの被検出部77との接触がなくなると、蓋70bの開放を検出する接触式の検出器である。なお、蓋開放検出器76を蓋70b内に設け、被検出部77をケース本体70a内に設けてもよい。また、蓋開放検出器76は、接触式ではなく、レーザー光など用いた非接触式の検出器であってもよい。
【0063】
図9は、照明装置の駆動回路の一例を示す図である。照明装置75は、光源として、例えばLEDライト等の発光装置を有し、蓋開放検出器76の制御に応じて照明光を発生する。照明用電源78は、例えば、蓄電池や乾電池などの直流電源からなり、蓋開放検出器76を介して照明装置75へ電力を供給する。図4において、蓋開放検出器76は、蓋70a内の被検出部77の移動によって、蓋70aの開放を検出する。図9において、蓋開放検出器76は、蓋70aの開放を検出したときに、照明用電源78の電力を照明装置75へ供給して、照明装置75を点灯させる。蓋開放検出器76は、蓋70aの開放を検出しないとき、照明用電源78の電力を照明装置75へ供給せず、照明装置75は消灯している。照明装置75は、蓋開放検出器76により、蓋70bの開閉動作に連動して自動的に点灯及び消灯される。
【0064】
倉庫や工場などの出入り口に設けられた開閉体装置では、夜間に停電が発生すると周囲が暗くなって、外部電源変換装置30の接続作業が困難になることがある。蓋開放検出器76が携帯用ケース70の蓋70bの開放を検出して、照明装置75を点灯するので、夜間などに停電が発生して周囲が暗くなっていても、照明装置75の灯りの下で、外部電源変換装置30の接続作業を容易に行うことができる。
【0065】
図10は、本発明に係る非常用外部電源変換ユニットの他の例を示す図である。本例は、照明装置75’が携帯用ケース70の蓋70bに取り付けられている点、手動スイッチ76aが設けられている点、及び照明用電源が照明用電源収納部78a内に収納されている点が、図4に示した例と相違する。図10において、携帯用ケース70の蓋70bの内側には、照明装置75’が取り付けられている。照明装置75’は、光源として、例えばLEDライト等の発光装置を有する。また、ケース本体70a内には、蓋開放検出器76が設けられており、携帯用ケース70の蓋70b内には、被検出部77が設けられている。ケース本体70a内には、照明用電源収納部78aが設けられており、照明用電源収納部78a内には、照明用電源が収納されている。照明用電源は、例えば、蓄電池や乾電池などの直流電源からなり、蓋開放検出器76を介して照明装置75’へ電力を供給する。
【0066】
なお、照明装置75’は、ケース本体70a内に設けてもよく、あるいは、ケース本体70a又は蓋70bに取り付けた、角度調節が可能なアームなどの先端に設けてもよい。また、蓋開放検出器76を蓋70b内に設け、被検出部77をケース本体70a内に設けてもよい。さらに、照明用電源収納部78aを、ケース本体70a内ではなく、蓋70b内に設けてもよい。
【0067】
図11は、照明装置の駆動回路の他の例を示す図である。本例では、照明装置75’と蓋開放検出器76との間に、蓋開放検出器76による照明用電源78から照明装置75’への電力の供給を手動で遮断する手動スイッチ76aが接続されている。昼間などで周囲が明るく、照明装置75’の点灯が必要ないときに、手動スイッチ76aで、蓋開放検出器76による照明用電源78から照明装置75’への電力の供給を手動で遮断して、照明用電源78の消耗を回避することができる。手動スイッチ76aには、携帯用ケース70の蓋70bを閉じるときにオン状態にしておくように、注意書きが付されている。携帯用ケース70に取り付けた照明装置75’は、懐中電灯などと異なり、紛失の恐れがなく、蓋開放検出器76により、蓋70bの開閉動作に連動して自動的に点灯及び消灯される。なお、照明装置75’は、携帯用ケース70から取り外し可能な構造としてもよい。
【0068】
図4又は図10に示した照明装置75,75’の代わりに、携帯用ケース70のケース本体70a又は蓋70bの内側に、例えば、夜光塗料や蓄光塗料などのように自ら光を放つ発光性の照明装置を設けてもよい。あるいは、液晶ディスプレイ装置などのように、照明の代わりになる装置を設けてもよい。
【0069】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシャッターカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、開窓装置、折れ戸装置、門扉装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【0070】
さらに、本発明の非常用外部電源変換ユニットは、開閉体装置に限らず、各種の装置や機器などに対し、停電時など商用電源の供給が無い場合に、外部電源から電力を供給する際に使用することができる。
なお、上述の実施の形態では、直流を交流に変換するインバータ回路を例に説明したが、インバータには、直流を直流、交流を直流、又は交流を交流に変換するコンバータ回路を含むものである。
【符号の説明】
【0071】
10…開閉体装置
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
13,14…ガイドレール
15…巻取シャフト
16…チェーン
17…モータ
172…位置検出装置
18…制御装置
185…障害物感知器
19…操作スイッチ
19A…上昇(開)ボタン
19B…停止(停)ボタン
19C…下降(閉)ボタン
20…電源切替装置
20a…コネクタ
30…外部電源変換装置
31…遮断器
32…スイッチング回路
33…変圧器
34…整流回路
35…インバータ回路
36…フィルタ回路
37…スイッチング制御・ドライバ回路
40…車載バッテリ
60…外部電源変換ユニット
61…直流用ケーブル(第1のケーブル)
61a…第1のコネクタ
62…交流用ケーブル(第2のケーブル)
62a…第2のコネクタ
70…携帯用ケース
70a…ケース本体
70b…蓋
71a,71b…取っ手
72…車輪
73…脚台
74…ハンドル
75,75’…照明装置
76…蓋開放検出器
76a…手動スイッチ
77…被検出部
78…照明用電源
78a…照明用電源収納部
79…使用方法表示
80…ケーブル収納装置
81…台座
82…支柱
83…第1のコネクタ収納具
84…第2のコネクタ収納具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11