(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】開閉制御システム、開閉制御方法、リモコン装置用アプリケーション及び携帯通信端末装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/77 20150101AFI20240510BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
E05F15/77
H04Q9/00 301D
(21)【出願番号】P 2020061590
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
(72)【発明者】
【氏名】和気 亮二
(72)【発明者】
【氏名】岡田 海渡
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-152031(JP,A)
【文献】特開2018-200591(JP,A)
【文献】特開2019-7304(JP,A)
【文献】特表2003-517220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 - 15/79
E06B 9/00 - 9/92
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入出庫に対応して開閉動作する開閉体手段と、
前記開閉体手段の開閉動作を電動にて制御する制御手段と、
前記車両に搭載され、人為的操作に応じて電源が投入され、識別信号を送信する信号送信手段と、
前記制御手段に通信回線を介して接続されており、前記車両内において前記識別信号を受信することによって所定のアプリケーションを
自動的に起動する携帯通信端末手段とを備え、
自動的に起動した前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の位置情報に基づいて、前記開閉動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段の開閉動作を制御することを特徴とする開閉制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉制御システムにおいて、
自動的に起動した前記アプリケーションは、前記人為的操作に応じた起動後に開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることを特徴とする開閉制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の開閉制御システムにおいて、
前記信号送信手段は、前記人為的操作に応じた起動と共に開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることを特徴とする開閉制御システム。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の開閉制御システムにおいて、
自動的に起動した前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の現在位置に基づいて、前記車両が出庫したと判断した場合は、閉動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を閉動作させることを特徴とする開閉制御システム。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の開閉制御システムにおいて、
自動的に起動した前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の現在位置に基づいて、前記車両が入庫するために移動中であり、所定の領域に進入したと判断した場合は、開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることを特徴とする開閉制御システム。
【請求項6】
車両の入出庫に対応して開閉動作する開閉体手段の開閉動作を
制御する制御手段に通信回線を介して接続された携帯通信端末手段からの制御信号に基づいて
前記開閉体手段の開閉動作を制御する開閉制御方法において、
前記車両に搭載された信号送信手段は、人為的操作に応じて電源が投入されて識別信号を送信し、
前記車両内において前記識別信号を受信した前記携帯通信端末手段は、所定のアプリケーションを
自動的に起動し、
起動した前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の位置情報に基づいて、前記開閉動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段の開閉動作を制御することを特徴とする開閉制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の開閉制御方法において、
自動的に起動した前記アプリケーションは、前記人為的操作に応じた起動後に開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることを特徴とする開閉制御方法。
【請求項8】
請求項6に記載の開閉制御方法において、
前記信号送信手段は、前記人為的操作に応じた起動と共に開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることを特徴とする開閉制御方法。
【請求項9】
請求項6、7又は8に記載の開閉制御方法において、
自動的に起動した前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の現在位置に基づいて、前記車両が出庫したと判断した場合は、閉動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を閉動作させることを特徴とする開閉制御方法。
【請求項10】
請求項6、7、8又は9に記載の開閉制御方法において、
自動的に起動した前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の現在位置に基づいて、前記車両が入庫するために移動中であり、所定の領域に進入したと判断した場合は、開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることを特徴とする開閉制御方法。
【請求項11】
請求項6から10までのいずれか1に記載の開閉制御方法を、前記携帯通信端末手段が実行することができるように構成されたことを特徴とするリモコン装置用アプリケーション。
【請求項12】
請求項11に記載のリモコン装置用アプリケーションを実行することによって前記制御信号を送信することのできるリモコン装置として機能することを特徴とする携帯通信端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンなどの開閉体の開閉動作を制御する開閉制御システム、開閉制御方法、リモコン装置用アプリケーション及び携帯通信端末装置に係り、特に車両の入出庫に対応して自動で開閉動作する車庫用開閉体装置の開閉制御システム、開閉制御方法、リモコン装置用アプリケーション及び携帯通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンなどの開閉体装置は、戸建住宅、集合住宅、ビル、工場、倉庫、車庫、駐車場などの建物やゲートなどを含む構造物躯体の開口部に設置され、その開閉部材を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。開閉体装置は、開口部の上部から開閉部材であるシャッターカーテンを徐々に繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖する。
特に、車庫(ガレージ)に直接設置される車庫用開閉体装置や駐車場からの出入口に設置される車両用開閉体装置は、運転者の負担を軽減するために、車の入出庫に応じて自動的に開閉動作するものが望ましく、特許文献1,2に記載のようなものが提案されている。
【文献】特開2000-258169号公報
【文献】特開2019-152031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のナビゲーション装置は、車両の現在位置及び方位と電動ガレージ外に予め定めた開放位置及び開放方位とが各々略一致し、かつ車両の速度が所定速度以下の場合に、電動ガレージのドアを開放するものである。このナビゲーション装置によれば、単に電動ガレージの前を車両が通過する場合等、入庫の目的以外で電動ガレージへ接近した場合に誤って電動ガレージのシャッターを開放させてしまうのを防止することができる。
【0004】
しかしながら、このナビゲーション装置は、該当車両に搭載されていなければ、開閉体装置を作動させることができない。従って、車庫の利用が1台に限定されているのであれば問題はないが、複数台の車両を利用する場合、この機能を備えたナビゲーション装置を全ての車両が搭載していないと利用することができない。
【0005】
一方、最近では、スマートフォンなどの携帯通信端末に搭載されているGPS機能を利用し、そのスマートフォンが電動ガレージに接近又は離脱した場合に自動で開閉させるように構成された開閉制御システムが種々提案されている。しかしながら、この場合、車両に乗車することなく徒歩で電動ガレージに近づいた場合でもガレージが勝手に自動開閉してしまう可能性があり、好ましくない場合がある。そこで、本願の出願人は、携帯通信端末が車両内に持ち込まれた場合に開閉体を自動的に動作させることのできる開閉制御システムとして、特許文献2を提案している。
【0006】
特許文献2に記載の開閉制御システムは、運転者が携帯通信端末を所持した状態で車両に乗車した場合に、この携帯通信端末と車両に予め搭載されている通信手段又は車両に別途設置搭載された通信手段とが近距離無線通信機能によって接続されるので、この接続によって、携帯通信端末が車両に搭載されているということを認証させるようにした。すなわち、携帯通信端末が近距離無線通信機能によって車両等に接続されたということは、携帯通信端末が運転者等によって車両内に持ち込まれたということを意味するからである。これによって、携帯通信端末が車両内に持ち込まれた場合に開閉体を自動的に開閉動作させることができる。
【0007】
しかしながら、携帯通信端末で開閉体装置を操作する場合には、開閉制御用のアプリケーションを予め起動しておく必要があり、さらに操作したい開閉体装置を携帯通信端末側で選択して、操作ボタン等を操作して開閉制御しなければならないため、操作者によっては、このような操作を煩わしいと感じる場合があった。
【0008】
本発明は、上述の点に鑑みなされたものであり、携帯通信端末側のアプリケーションを起動することなく車両用開閉体装置の開閉動作を自動で実行することができる開閉制御システム、開閉制御方法、リモコン装置用アプリケーション及び携帯通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開閉制御システムの第1の特徴は、車両の入出庫に対応して開閉動作する開閉体手段と、前記開閉体手段の開閉動作を電動にて制御する制御手段と、前記車両に搭載され、人為的操作に応じて電源が投入され、識別信号を送信する信号送信手段と、前記制御手段に通信回線を介して接続されており、前記車両内において前記識別信号を受信することによって所定のアプリケーションを起動する携帯通信端末手段とを備え、前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の位置情報に基づいて、前記開閉動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段の開閉動作を制御することにある。
【0010】
開閉体手段は、車両の入出庫に対応して開閉動作する車両用開閉体手段である。車両用開閉体手段は、車庫に直接設けられるものや駐車場の出入口等に設けられるものであり、電動にて開閉動作を実行する。通常は車両に乗車したまま専用のリモコン操作スイッチ(操作子手段)を操作して開閉動作を制御している。最近では、スマートフォン(多機能型携帯電話)やPDA等の携帯通信端末手段を開閉体装置用の操作子として機能させ、これらの操作子を操作することによって、モバイル通信等の通信回線を介して遠隔操作にて車両用開閉体手段の動作を制御することもできる。
【0011】
この発明では、携帯通信端末手段にリモコン装置用アプリケーションを予め登録しておくことによって、携帯通信端末手段を保持している運転者及び/又は同乗者が車両を利用して外出する際に、運転者及び/又は同乗者が車両を人為的に解錠して乗車した場合、車両に乗車して人為的にエンジンを始動した場合、又は車両に乗車して信号送信手段の電源を人為的に投入した場合などの各種の人為的操作に応じて、自動的にリモコン装置用アプリケーションを起動させて、携帯通信端末手段のGPS機能によって取得した位置情報に基づいて、車両の入出庫の状態を把握して、自動で車両用開閉体手段の開閉動作を制御するようにしたものである。
運転者及び/又は同乗者が車両に乗車する際の車両を解錠するという人為的操作に応じて電源の投入される信号送信手段を設置しておき、その電源投入と同時に信号送信手段から識別信号を送信する。また、エンジン始動に応じて携帯通信端末手段のリモコン装置用アプリケーションを起動させるために、車両に予めエンジン始動に応じて電源の投入される信号送信手段を設置しておき、電源投入と同時に信号送信手段から識別信号を送信する。さらに、車両に乗車した運転者及び/又は同乗者が信号送信手段の電源を投入した場合に、その電源投入と同時に信号送信手段から識別信号を送信する。すなわち、本発明において、人為的操作に応じた電源が投入されると場合には、携帯通信端末手段を保持している運転者及び/又は同乗者が車両を利用して外出する際に、運転者及び/又は同乗者が車両を人為的に解錠するという行為を行った場合、車両に乗車して人為的にエンジンを始動するという行為を行った場合、又は車両に乗車して信号送信手段の電源を人為的に投入するという行為を行った場合などの各種の人為的操作に対応した行為を行った場合を含むものである。また、インテリジェントキーを保持した運転者及び/又は同乗者が車両に近づき、車両がそのインテリジェントキーを検知した場合などを含むものである。
携帯通信端末手段は、信号送信手段との間で、近距離無線通信の接続が確立されることによって、携帯通信端末を保持した運転者及び/又は同乗者が車両に乗車したとの認証を得ることができるので、携帯通信端末手段のリモコン装置用アプリケーションは、この識別信号を受信することによって、自動で起動し、開閉体手段の開閉動作を制御する。
【0012】
本発明の開閉制御システムの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御システムにおいて、前記アプリケーションは、前記人為的操作に応じた起動後に開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることにある。
これは、人為的操作に応じて起動したリモコン装置用アプリケーションは、起動後直ちに通信回線を介して開動作に関する制御信号を制御手段に送信し、車両用開閉体手段を開動作させるようにしたものである。これによって、携帯通信端末手段を保持した運転者及び/又は同乗者が車両に乗車すると共に車両用開閉体手段は自動で開動作を自動で実行し、スムーズな出庫を実現することができる。
【0013】
本発明の開閉制御システムの第3の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御システムにおいて、前記信号送信手段は、前記人為的操作に応じた起動と共に開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることにある。
開閉制御システムの第2の特徴のように、リモコン装置用アプリケーションの起動、通信回線を介して制御手段に開動作に関する制御信号を送信した場合、アプリケーションの起動に時間を要し遅延したり、インターネット経由で制御信号を送信する場合のネット環境によって遅延したり、開動作開始までに多少の時間を要する場合がある。そこで、この発明では、上述のような各種の人為的操作に応じて電源の投入された時点で信号送信手段が特定小電力無線方式(例えば、周波数429[MHz])によって制御手段に直接開動作に関する制御信号を送信し、開閉体手段を開動作させるようにした。これによって、インターネット経由で開動作を実行させるよりも早く開動作を実行させることができる。
【0014】
本発明の開閉制御システムの第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の開閉制御システムにおいて、前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の現在位置に基づいて、前記車両が出庫したと判断した場合は、閉動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を閉動作させることにある。
これは、携帯通信端末手段のGPS機能によって取得した現在位置の情報に基づいて、車両が出庫したと判断した場合は、車両用開閉体手段を自動で閉動作させるようにしたものである。例えば、予め車両用開閉体手段の位置を中心とする第1の距離(約10メートル)を半径とする第1の円と、第2の距離(約30~50メートル)を半径とする第2の円との間のリング状の第2の領域内に携帯通信端末手段が位置するか否かの判定を行う。携帯通信端末手段が第1の円内である第1の領域に位置する場合は、車両は未だ出庫していないと判断する。そして、携帯通信端末手段が第1の領域から第2の領域に進入し、第2の領域に位置する場合は、車両は車両用開閉体手段すなわち車庫から出庫したと判断して、車両用開閉体手段を閉動作させる。これによって、出庫後に車両用開閉体手段を速やかに閉動作させることができる。
【0015】
本発明の開閉制御システムの第5の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の開閉制御システムにおいて、前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の現在位置に基づいて、前記車両が入庫するために移動中であり、所定の領域に進入したと判断した場合は、開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることにある。
これは、携帯通信端末手段のGPS機能によって取得した現在位置の情報に基づいて、車両が入庫するために移動中であり、所定の領域に車両が進入したと判断した場合は、車両用開閉体手段を自動で開動作させるようにしたものである。例えば、予め車両用開閉体手段の位置を中心とする第2の距離(約30~50メートル)を半径とする第2の円と、第3の距離(約100~500メートル)を半径とする第3の円との間のリング状の第3の領域とする。携帯通信端末手段が第3の領域から第2の領域に進入し、上記第2の領域に位置する場合は、車両が入庫するために移動中であると判断して、車両用開閉体手段を開動作させる。これによって、入庫時に車両用開閉体手段を速やかに開動作させることができる。なお、第2の距離は、開閉制御システムの第4の特徴の説明における第2の距離と同じあっても異なる値でもよい。
【0016】
本発明の開閉制御方法の第1の特徴は、車両の入出庫に対応して開閉動作する開閉体手段の開閉動作を、通信回線を介して接続された携帯通信端末手段からの制御信号に基づいて制御する開閉制御方法において、前記車両に搭載された信号送信手段は、人為的操作に応じて電源が投入されて識別信号を送信し、前記車両内において前記識別信号を受信した前記携帯通信端末手段は、所定のアプリケーションを起動し、前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の位置情報に基づいて、前記開閉動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段の開閉動作を制御することにある。
これは、前記開閉制御システムの第1の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0017】
本発明の開閉制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御方法において、前記アプリケーションは、前記人為的操作に応じた起動後に開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることにある。
これは、前記開閉制御システムの第2の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0018】
本発明の開閉制御方法の第3の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御方法において、前記信号送信手段は、前記人為的操作操作に応じた起動と共に開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることにある。
これは、前記開閉制御システムの第3の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0019】
本発明の開閉制御方法の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の開閉制御方法において、前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の現在位置に基づいて、前記車両が出庫したと判断した場合は、閉動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を閉動作させることにある。
これは、前記開閉制御システムの第4の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0020】
本発明の開閉制御方法の第5の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の開閉制御方法において、前記アプリケーションは、前記携帯通信端末手段の現在位置に基づいて、前記車両が入庫するために移動中であり、所定の領域に進入したと判断した場合は、開動作に関する制御信号を自動で前記制御手段に送信し、前記開閉体手段を開動作させることにある。
これは、前記開閉制御システムの第5の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0021】
本発明のリモコン装置用アプリケーションの特徴は、前記第1の特徴から第5の特徴までのいずれか1の特徴に記載の開閉制御方法を、前記携帯通信端末手段が実行することができるように構成されたことにある。
これは、前記開閉制御方法の第1の特徴から第5の特徴までのいずれか1の特徴を携帯通信端末手段が実行することができるように構成されたリモコン装置用アプリケーションの発明である。
【0022】
本発明の携帯通信端末装置の特徴は、前記第1の特徴から第5の特徴までのいずれか1の特徴に記載のリモコン装置用アプリケーションを実行することによって前記制御信号を送信することのできるリモコン装置として機能することにある。
これは、前記リモコン装置用アプリケーションの実行によって、リモコン装置として機能する携帯通信端末装置の発明である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、携帯通信端末側のアプリケーションを起動することなく車両用開閉体装置の開閉動作を自動で実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の開閉制御システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の送受信子機の構成を示す外観図である。
【
図3】リモコン操作スイッチ送受信子機及び送受信親機にリモコンIDが設定された状態を模式的に示す図である。
【
図4】携帯通信端末の表示画面の一例を示す図である。
【
図5】
図1の開閉制御システムにおいて、リモコン操作スイッチが実行するリモコン処理、送受信子機が送受信親機及びリモコン操作スイッチとの間で実行する送受信処理の一例を示す図である。
【
図6】
図1の開閉制御システムにおいて、送受信親機が送受信子機及び携帯通信端末との間で実行する送受信処理の一例を示す図である。
【
図7】
図1の開閉制御システムにおいて、携帯通信端末が送受信親機との間で実行する送受信処理の一例を示す図である。
【
図8】携帯通信端末と車両との接続関係を示す図である。
【
図9】携帯通信端末の実行するオートモードの処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉制御システムの好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉体手段として上下に開閉制御される開閉体装置(シャッター装置)群を例に説明する。
図1は、本発明の開閉制御システムの概略構成を示す図である。
図1におけるシャッター装置群は、車庫などのガレージに設けられるガレージシャッター装置1と、建物のそれぞれの開口部である窓に設けられる窓シャッター装置2~4とで構成される。
【0026】
ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4は、基本的にシャッターケース、シャッターカーテン、ガイドレール、モータ、シャッター駆動回路、開閉制御回路、送受信機、リモコン操作スイッチ(操作子手段)などから構成される。なお、
図1では、モータ、シャッター駆動回路やこれ以外の構成部品となる巻取シャフトやチェーンなどについては図示を省略してある。窓シャッター装置2~4が複数の開口部にそれぞれ設けられた複数の開閉体手段であり、ガレージシャッター装置1が車両用開閉体手段である。
【0027】
ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置3には、人感センサ14,34が接続されている。ガレージシャッター装置1の人感センサ14は、ガレージ開口部の後側に、すなわちガレージ内に設置され、人が存在するか否かを検知する。ガレージ内に人が存在する場合に、自動でガレージシャッター装置1が閉鎖すると、ガレージ内に人が閉じ込められる可能性があるので、それを防止するためである。窓シャッター装置3の人感センサ34は、掃き出し窓の開口部の後側、すなわち建物の外側に設置され、ベランダ35に人が存在するか否かを検知する。ベランダ35に人が存在する場合に、自動で窓シャッター装置3が閉鎖すると、ベランダ上に人が追い出される可能性があるので、それを防止するためである。人感センサは、これ以外にも閉じ込められる可能性のある領域及び/又は追い出される可能性のある領域に設置されればよい。また、人感センサは、赤外線、超音波、可視光などを用いられて人の存在を検知するものであり、監視カメラ等を用いて検知するものでもよい。人感センサ14,34は1又は複数のセンサで構成してもよい。なお、シャッター装置に設けられている危害防止用の障害物センサとは異なるものであり、開閉体装置からある程度離間した距離の所定領域に人が存在するか否かを検知するものである。
【0028】
シャッターケースはそれぞれの開口部の上方に設けられている。ガイドレールは、シャッターカーテンの両端部に接するようにガレージの開口部及び窓の両端側に設けられ、まぐさ部から床面及び窓枠下まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材で構成されている。シャッターカーテンは、このガイドレールの各案内溝に沿って上昇下降し、開口部及び窓の開閉停又は途中停止(半開若しくは半閉)の各動作を行う。本明細書において、半開とは開動作の途中で停止した状態のことを、半閉とは閉動作の途中で停止した状態のことを意味する。図示していない巻取りシャフトは、シャッターケースの両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテンを巻き取ったり巻き戻したりする。図示していないチェーンは、モータの回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取りシャフトの回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータの回転駆動力はチェーンを介して巻取りシャフト側に伝達され、モータが回転すると、チェーンを介して巻取りシャフトが回転し、シャッターカーテンの開閉停又は途中停止の各動作が制御されるようになっている。
【0029】
シャッター駆動回路は、図示していないが、それぞれのシャッターケース内に設けられている。シャッター駆動回路は、マイクロコンピュータ構成になっており、電源ラインを介して外部から電力が供給されている。シャッター駆動回路は、開閉制御回路11,21,31,41からの制御信号に基づいて、モータの回転を制御してシャッターカーテンの開閉停又は途中停止の各動作を制御している。
図1では、送受信子機13,23,33,43は、操作子手段であるリモコン操作スイッチ12,22,32,42からの制御信号を受信するアンテナを内蔵している。リモコン操作スイッチ12,22,32,42は、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンを備えたシャッター装置専用の無線方式の操作子である。
【0030】
ガレージシャッター装置1の送受信子機13とリモコン操作スイッチ12とは所定の周波数帯(例えば、426[MHz])の特定小電力無線で接続され、所定のIDを介して1対1で接続されるようになっている。窓シャッター装置2~4も同じくリモコン操作スイッチ22,32,42に対して特定の周波数帯で接続され、所定のIDを介して1対1で接続される。この実施の形態では、所定のIDとしてリモコン操作スイッチ12には、id12が、リモコン操作スイッチ22にはid22が、リモコン操作スイッチ32にはid32が、リモコン操作スイッチ42にはid42が、それぞれ固有のIDとして割り当てられているので、これらのIDを利用する。
【0031】
なお、図示していないが、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4には、リモコン操作スイッチ12,22,32,42以外にも有線の操作子をそれぞれの開口部近傍に備えていてもよい。リモコン操作スイッチ12,22,32,42は、開閉停又は途中停止の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号を送受信子機13,23,33,43に送信する。各開閉制御回路11,21,31,41は、これらの操作状態に対応した制御信号に応じて、シャッターカーテンの開閉停又は途中停止の各動作を制御する。
【0032】
送受信子機13,23,33,43は、それぞれの開閉制御回路11,21,31,41に有線にて電気的に接続されている。送受信子機13,23,33,43は、特定小電力無線(例えば、周波数429[MHz])によって送受信親機50に無線接続されている。送受信親機50は、リモコン操作スイッチ12,22,32,42からの信号を受信するアンテナを内蔵している。アクセスポイント60(Wireless LAN access point)は、送受信親機50にWi-Fiを介して接続されている。さらに、このアクセスポイント60に携帯通信端末70がWi-Fiを介して接続されている。
【0033】
図1では、送受信子機13,23,33,43に、リモコン操作スイッチ12,22,32,42及び送受信親機50に接続されるアンテナが図示してある。送受信子機13,23,33,43とリモコン操作スイッチ12,22,32,42との間を接続する特定の周波数帯と、送受信子機13,23,33,43と送受信親機50との間を接続する特定の周波数帯は、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。なお、特定の周波数帯が異なる場合、送受信子機13,23,33,43は、受信信号の周波数をソフト的に切り替えて受信している。送受信親機50およびアクセスポイント60の設置(配置)位置について、この実施の形態においては、少なくともどちらかは(好ましくは両者とも)どのシャッターケース内にも収容されておらず、シャッターケース外に設置されている。さらに、送受信親機50およびアクセスポイント60の設置(配置)位置がいずれかのシャッターケース(すなわち、このシャッターケースを備えているシャッター装置)の近傍に設置されているために、例えば目視等やその他の理由により、その高低が判断できる場合には、設置や保守の容易性等を考慮すると、当該シャッターケースよりも下方の位置に設置することが好ましい。勿論、例えばシャッターケース内部等であっても、通信が可能な範囲でかつシャッターカーテンの開閉や巻き取り等の移動動作と干渉しない位置であればその設置位置は任意である。
【0034】
携帯通信端末70は、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン(多機能型携帯電話)、PDA等の携帯型の通信端末であり、GPS機能を搭載している。この実施の形態では、携帯通信端末70は、GPS機能を搭載したスマートフォンで構成され、通常の通話機能だけでなく、タッチパネル式の表示画面を備え、各種アプリケーションの起動に応じて、リモコン操作スイッチ12,22,32,42の各ボタンと同等の機能を備えたリモコン操作スイッチが表示画面上に表示され、これらの各ボタンを操作することによって、リモコン操作スイッチとして機能するようになっている。
【0035】
携帯通信端末70のタッチパネル式の表示画面には、通話を含む複数のアプリケーションを起動するための各種アイコンが表示されており、所望のアイコンをタッチ操作することによって所望のアプリケーションを起動できるように構成されている。
図1では、開閉体制御用リモコンのアプリケーションが起動され、開ボタン、停止ボタン、閉ボタンの各操作ボタンが表示された状態が示されている。携帯通信端末70は、Wi-Fi、赤外線通信、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信機能を備えているが、この実施の形態では、アクセスポイント60にWi-Fiで接続され、さらにアクセスポイント60を介して送受信親機50にWi-Fiにて接続されるように構成されている。なお、図では1個の携帯通信端末70を示しているが複数でもよい。
【0036】
なお、携帯通信端末70とアクセスポイント60との間の距離が離れており、Wi-Fi通信を行うことができない場合は、アクセスポイント60をフレッツISDN、CATV、ADSL、FTTHなどの公衆回線経由にてインターネットに接続し、携帯通信端末70をモバイル通信及びインターネット経由にてアクセスポイント60に接続することによって、遠隔操作にてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4を制御することができるように構成されている。
【0037】
図2は、
図1の送受信子機の構成を示す外観図である。送受信子機13,23,33,43は、図示のように、電源線、信号線、及びに内蔵アンテナを備えている。なお、外部アンテナ接続線を備えている場合もある。この実施の形態では、送受信子機13,23,33,43は、これらの通常の無線部品の他に、シャッターの種類を示すディップスイッチ設定部81を備えている。図では、ディップスイッチ設定部81を拡大して示してある。このディップスイッチ設定部81は、図に示すように、3個のディップスイッチSW1~SW3から構成される。このディップスイッチSW1~SW3の設定状態は表82に示す通りである。すなわち、図では、ディップスイッチSW1~SW3が「0」の場合は掃き出し窓シャッター装置のスタンダードタイプ、「1」の場合は腰高窓シャッター装置のスタンダードタイプ、「010」の場合は掃き出し窓シャッター装置のスリットタイプ、「011」の場合は腰高窓シャッター装置のスリットタイプ、「100」の場合は掃き出し窓シャッター装置のブラインドタイプ、「101」の場合は腰高窓シャッター装置のブラインドタイプ、「110」の場合はガレージシャッターをそれぞれ示す。
【0038】
これ以外のシャッターの種類に対してもディップスイッチSW1~SW3を割り当てることでシャッターとして8種類を割り当てることができる。これ以上の種類を割り当てる場合には、ディップスイッチの数を4個以上設ければよい。なお、
図1の窓シャッター装置2は「1」の腰高窓シャッター装置のスタンダードタイプに、窓シャッター装置3は「0」の掃き出し窓シャッター装置のスタンダードタイプに、窓シャッター装置4は「011」の腰高窓シャッター装置のスリットタイプに、ガレージシャッター装置1は「110」のガレージシャッターにそれぞれ設定されている。
【0039】
図1の開閉制御システムにおいて、リモコン操作スイッチ12,22,32,42、送受信子機13,23,33,43及び送受信親機50には、それぞれのリモコンID(id12,id22,id32,id42)が設定される。このリモコンIDの設定処理の詳細は、先に出願した特願2015-208071に記載されているので、ここでは説明を省略する。
【0040】
図3は、リモコン操作スイッチ送受信子機及び送受信親機にリモコンIDが設定された状態を模式的に示す図である。各送受信子機13,23,33,43には、それぞれ対応するリモコンID(id12,id22,id32,id42)が自己の送受信子機13,23,33,43のID(id13,id23,id33,id43)と対応付けてそれぞれ登録されている。リモコン操作スイッチ12にはid12⇔id13,id12⇔110、リモコン操作スイッチ22にはid22⇔id23,id22⇔1、リモコン操作スイッチ32にはid32⇔id33,id32⇔0、リモコン操作スイッチ42にはid42⇔id43,id42⇔011のように、それぞれのID同士及びディップスイッチ状態信号が関連付けて記憶されている。送受信親機50には、各リモコン操作スイッチ12,22,32,42に登録されているもの同じID群及びディップスイッチ状態信号が登録されている。これによって、送受信子機13,23,33,43の中の受信ID及び送信IDに基づいて、送受信子機13,23,33,43と送受信親機50との間で通信回線13b,23b,33b,43bのいずれか一つを介して双方向の通信状態が確立される。送受信子機13,33と送受信親機50との間で双方向の通信状態が確立されると、人感センサ14,34の検知情報が状態信号として、リアルタイムに送受信親機50に送信されるようになる。これによって、送受信親機50は、人感センサ14,34からの検知情報に基づいて、ガレージ内の人の存在及びベランダ35の人の存在を認知することが可能となる。
【0041】
図4は、携帯通信端末の表示画面の一例を示す図である。
図4において、携帯通信端末701は、開閉体制御用リモコンのアプリケーションが起動された初期状態を示す画面の一例である。携帯通信端末701の初期状態画面には、「個別シャッター」、「全シャッター」、「建物内シャッター」、「ガレージシャッター」などの選択ボタンが表示される。
【0042】
「個別シャッター」の選択ボタンは、
図1に示すガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の中から選択したものを個別に制御する場合に選択されるものである。「全シャッター」の選択ボタンは、
図1に示すガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4を同時に制御する場合に選択されるものである。「建物内シャッター」の選択ボタンは、
図1に示すものの中で建物内に設置される窓シャッター装置2~4を同時に制御する場合に選択されるものである。「ガレージシャッター」の選択ボタンは、
図1に示すガレージシャッター装置1のみを制御する場合に選択されるものである。
【0043】
なお、「ガレージシャッター」の選択ボタンには、ガレージ内に人が存在することを示す人マークが表示される。この人マークを視認することによって、ガレージ内に人が存在することを認知(視認)することができる。人マークが表示された選択ボタンについては、操作不可を示すために網かけ表示等を施し、他の操作可能なボタンと識別可能な表示としてもよい。また、「ガレージシャッター」の選択ボタンには、ガレージシャッター装置1が携帯通信端末70の開閉動作が携帯通信端末70によって自動で実行制御する自動(オート)モードにあることを示すAUTOのマークが表示されている。
【0044】
図4において、携帯通信端末702は、初期状態画面の表示された携帯通信端末701の「個別シャッター」の選択ボタンが操作された場合の画面の一例を示す。携帯通信端末702には、
図1に示した開閉制御可能な装置名として、「ガレージシャッター」、「1階腰高窓シャッターST」、「2階掃き出し窓シャッターST」及び「2階腰高窓シャッターSL」などの選択ボタンが表示される。
【0045】
携帯通信端末702における「ガレージシャッター」の選択ボタンは、
図1に示すガレージシャッター装置1に対応する。携帯通信端末702における「1階腰高窓シャッターST」の選択ボタンは、
図1に示す腰高窓シャッター装置のスタンダードタイプに対応する。携帯通信端末702における「2階掃き出し窓シャッターST」の選択ボタンは、
図1に示す掃き出し窓シャッター装置3のスタンダードタイプに対応する。携帯通信端末702における「2階腰高窓シャッターSL」の選択ボタンは、
図1に示す腰高窓シャッター装置のスリットタイプに対応する。
【0046】
携帯通信端末702における「ガレージシャッター」の選択ボタンには、携帯通信端末701の画面と同様にガレージ内に人が存在することを示す人マークが表示されると共に操作不可を示すために網かけ模様が施されている。また、「ガレージシャッター」の選択ボタンには、オートモードにあることを示すAUTOマークが表示されている。一方、「2階掃き出し窓シャッターST」の選択ボタンには、人マークが表示されていない。すなわち、携帯通信端末702の画面は、ガレージ内に人が存在するため、「ガレージシャッター」の操作はできないことを示し、ベランダ35には人が存在しないので、操作可能であることを示している。
【0047】
これらの対応関係は、
図3に示すように、送受信子機13,23,33,43と送受信親機50との双方向通信が確立した段階で、送受信親機50にそれぞれ設定することができ、その設定された内容が携帯通信端末70に表示されるようにシステム構成されている。従って、「2階掃き出し窓シャッターST」及び「2階腰高窓シャッターSL」に変えて、「2階○○部屋窓シャッター」及び「2階△△部屋窓シャッター」などのようにその名称を分かり易いように割り当てるようにしてもよい。このように、送受信親機50に割り当てられた名称は、アクセスポイント60を介して携帯通信端末70に送信されるので、携帯通信端末70を送受信親機50に別途登録する必要もなく、アクセスポイント60に携帯通信端末70を接続するだけで、携帯通信端末70を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の開閉停又は途中停止の各動作を適宜制御することができる。
【0048】
図4において、携帯通信端末703は、携帯通信端末702に表示された開閉制御可能な装置名の「ガレージシャッター」の選択ボタンが操作された場合の画面の一例を示す。携帯通信端末703の表示画面上部には、現在制御対象である装置名「ガレージシャッター」は表示され、人マークは表示されていない。従って、現在「ガレージシャッター」内に人が存在しないので、ガレージシャッター装置1の開閉操作が可能であることが示してある。さらに装置名「ガレージシャッター」の下側には、現在オートモードにあることを示す「AUTO」マークが表示されている。
【0049】
携帯通信端末703の表示画面には開閉停の各操作ボタンに対応した操作ボタンが表示されている。その開操作ボタンの左側には、オートモードと手動モードを切り替えるための「AUTO」ボタンが表示されている。この「AUTO」ボタンを操作することによって、携帯通信端末はオートモードに移行したり、オートモードを解除したりする。オートモードに移行した場合は、上述の「AUTO」マークが表示され、オートモードが解除された場合は、「AUTO」マークが非表示となる。なお、携帯通信端末703の画面には、現在オートモードであることを示す「AUTO」マークが表示されている。
【0050】
図4において、携帯通信端末704は、携帯通信端末702に表示された開閉制御可能な装置名の「2階腰高窓シャッターSL」の選択ボタンが操作された場合の画面の一例を示す。携帯通信端末704の表示画面上部には、現在制御対象である装置名「2階腰高窓シャッターSL」が表示され、その下側に開閉停の各操作ボタン、半開又は半閉用の途中停止用ボタン、及び換気量又は採光量を調整するための換気採光用の操作ボタンが表示される。
【0051】
この換気採光用操作ボタンは、上述のように、腰高窓シャッター装置のシャッターの種類を示すディップスイッチ状態信号が「011」のスリットタイプなので、これに対応して採光量を調整するために表示されるスリットタイプのシャッター固有の操作ボタンである。また、シャッターの種類を示すディップスイッチ状態信号が「101」のブラインドタイプの場合にも同様に、換気量を調整するための「換気採光」の操作ボタンが携帯通信端末704のように、表示されることになる。従って、シャッターの種類を示すディップスイッチ状態信号が「0」,「1」のスタンダードタイプの場合には、この「換気採光」の操作ボタンは表示されずに、携帯通信端末703のように、開閉停又は途中停止の各操作ボタンのみが表示されることになる。なお、スタンダードタイプの場合でも「換気採光」の操作ボタンを表示してもよい。
【0052】
上述のように、携帯通信端末702に表示された開閉制御可能な装置名の「ガレージシャッター」、「1階腰高窓シャッターST」、「2階掃き出し窓シャッターST」、又は「2階腰高窓シャッターSL」の選択ボタンが操作された場合には、それぞれの装置名が携帯通信端末703,704に示すように表示画面上部に表示され、携帯通信端末703,704の表示画面を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4のいずれかの開閉停、途中停止又は換気量若しくは採光量の各動作を制御することができるようになる。なお、
図4では、ガレージシャッター装置1については、途中停止用操作ボタン及び換気採光用操作ボタンは非表示としてあるが、表示してもよい。
【0053】
携帯通信端末701の表示画面で「全シャッター」の選択ボタンが操作された場合には、「全シャッター」の文字が携帯通信端末703の表示画面上部に表示され、携帯通信端末703を用いて全てのシャッターの開閉を一斉(同時)に制御することができるようになる。なお、全シャッターの場合は、開動作及び閉動作のみとして、停止動作のボタンは操作できないものとする。これは、開閉体装置の開閉動作に要する時間等が腰高窓シャッターと掃きだし窓シャッターとではそれぞれ異なるので、停動作した場合、どの段階で停動作されるか操作者自身が判断することが困難なので、この実施の形態では、全シャッターについて停動作の操作はできないようにしてある。勿論、全シャッター又は一部のシャッターについて停止動作が可能となるように構成してもよいことは言うまでもない。なお、全開又は全閉の半分又は約3分の1だけ開状態とする又は閉状態とするなどを設定可能としてもよい。
【0054】
携帯通信端末701の表示画面で「建物内シャッター」の選択ボタンが操作された場合には、
図1に示した開閉制御可能な装置名として建物内の「1階腰高窓シャッターST」、「2階掃き出し窓シャッターST」及び「2階腰高窓シャッターSL」などを操作可能な携帯通信端末704のような表示画面が表示され、それぞれの窓シャッターの開閉停又は途中停止又は換気量若しくは採光量の各動作を制御することができるようになる。なお、
図1では、リモコン操作スイッチ12,22,32,42は、開閉停のボタンのみを備えたシャッター装置専用の無線方式の操作子を示しているが、
図7の携帯通信端末704のような開閉停の操作ボタンの他に、途中停止及び/又は換気量若しくは採光量の各動作を制御することのできる操作ボタンを備えていてもよい。
【0055】
携帯通信端末701の表示画面でガレージシャッター用の選択ボタンが操作された場合には、携帯通信端末703の表示画面が表示されるので、そのまま携帯通信端末703を用いてガレージシャッター装置1の開閉停の各動作を手動操作にて制御することができるようになる。
【0056】
図1に示す開閉制御システムにおいては、開閉体装置専用のリモコン操作スイッチ12,22,32,42以外に、携帯通信端末70を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の開閉停の各動作を適宜制御することができる。また、送受信親機50と携帯通信端末70とは、アクセスポイント60を介して接続されているので、WEP(WPA,WPA2でもよい)の認証を受けた携帯通信端末70のみが送受信親機50に接続されるので、高いセキュリティを構築することができる。
【0057】
図5は、
図1の開閉制御システムにおいて、リモコン操作スイッチ12,22,32,42が実行するリモコン処理、送受信子機13,23,33,43が送受信親機50及びリモコン操作スイッチ12,22,32,42との間で実行する送受信処理の一例を示す図である。
図6は、
図1の開閉制御システムにおいて、送受信親機50が送受信子機13,23,33,43及び携帯通信端末70との間で実行する送受信処理の一例を示す図である。
図7は、
図1の開閉制御システムにおいて、携帯通信端末70が送受信親機50との間で実行する送受信処理の一例を示す図である。
【0058】
図5において、通信回線1a,2a,3a,4aは、リモコン操作スイッチ12,22,32,42からそれぞれに対応する送受信子機13,23,33,43への送信を示す。
図5及び
図6において、通信回線3a,3bは、送受信子機13,23,33,43から送受信親機50への送信を示し、通信回線5b,5cは、送受信親機50からそれぞれの送受信子機13,23,33,43への送信を示す。
図6及び
図7において、通信回線5a,5dは、送受信親機50から携帯通信端末70への送信を示し、通信回線7a,7bは、携帯通信端末70から送受信親機50への送信を示す。
【0059】
図5において、リモコン操作スイッチ12,22,32,42は、それぞれ対応する通信回線1a,2a,3a,4aを介して送受信子機13,23,33,43に、開閉停又は「換気採光」の操作ボタンに対応した操作信号を送信する。通信回線1a,2a,3a,4aを介して操作信号を受信した送受信子機13,23,33,43は、受信した操作信号に含まれるID(id12,id22,id32,id42)を確認して一致する場合にその操作信号に対応した処理を実行する。
【0060】
次に、送受信子機13,23,33,43が人感センサ14,34、送受信親機50及びリモコン操作スイッチ12,22,32,42からの操作信号に基づいて実行する送受信処理について説明する。
ステップS51では、送受信子機13,23,33,43が、それぞれの制御対象である開閉体の状態(開閉停又は途中停止及び換気採光量)の変化時に、及び人感センサ14,24の検知状態の変化時に、それぞれの状態に対応した状態信号として通信回線3aを介して送受信親機50に送信する。人感センサ14,24の場合、人を検知した状態にある場合にその検知状態を示す信号を送信する。
【0061】
ステップS52では、操作信号に含まれるIDが一致するか否かの判定を行い、一致する(yes)場合は、ステップS53に進み、一致しない(no)場合はリターンする。このステップS52における操作信号は、送受信子機13,23,33,43が通信回線1a,2a,3a,4aを介して受信したリモコン操作スイッチ12,22,32,42からの操作信号と、送受信子機13,23,33,43が通信回線5b,5cを介して受信した送受信親機50からの操作信号との両方を含む。
【0062】
ステップS53では、受信した操作信号に含まれるIDの一致した開閉制御回路11,21,31,41が、その操作信号に対応した開閉停、途中停止又は換気採光の各動作の処理を実行する。このIDには、個別IDと共通IDを含むものとし、個別IDは制御対象である開閉体にそれぞれ割り当てられるものであり、共通IDは、送受信親機50からの操作信号に含まれるものであり、全シャッター共通に割り当てられるものである。従って、送受信子機13,23,33,43が共通IDを含む操作信号を受信した場合は、全ての開閉制御回路11,21,31,41はその操作信号に対応した開閉の各動作の処理を実行する。なお、共通IDを設けずに、全てのシャッターを一斉(同時)に操作する場合は、それぞれの個別IDを含んだ操作信号を送受信機からシャッターの台数分送信してもよい。
【0063】
ステップS54では、開閉停、途中停止又は換気採光の各動作の処理が終了したか否かの判定を行い、終了した(yes)場合はステップS55に進み、終了していない(no)場合はステップS53にリターンし、操作信号に対応した処理を継続する。
ステップS55では、受信した操作信号が通信回線1a,2a,3a,4aを介したリモコン操作スイッチ12,22,32,42からのものか否かを判定し、リモコン操作スイッチ12,22,32,42からの操作信号(yes)の場合は直ちにリターンし、送受信親機50からの操作信号(no)の場合は、ステップS56に進む。
ステップS56では、各開閉制御回路11,21,31,41は操作信号に対応した処理が終了したことを示す操作終了信号を送受信子機13,23,33,43及び通信回線3bを介して、送受信親機50に送信する。
【0064】
図6において、送受信親機50は、送受信子機13,23,33,43から送信される状態信号を通信回線3a経由で、操作終了信号を通信回線3b経由でそれぞれ受信する。また、送受信親機50は、携帯通信端末70から送信されるアクセス信号を通信回線7a経由で受信し、全/個別のシャッターに関する操作指示信号を通信回線7b経由でそれぞれ受信する。この携帯通信端末70から送信されるアクセス信号には、上述のオートモードと手動モードを切り替えるための「AUTO」ボタンの操作に対応した信号が含まれる。
【0065】
ステップS61では、送受信子機13,23,33,43から通信回線3aを介して受信した状態信号に基づいて、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の状態並びに人感センサ14,24の検知状態を記録する。また、携帯通信端末70が現在オートモードなのか、手動モードなのかの状態信号を記録する。
ステップS62では、携帯通信端末70から通信回線7aを介して受信したアクセス信号に応じて、ステップS61の処理にて記録済のガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4などの全シャッターの状態に関する状態信号並びに人感センサ14,24の検知状態を携帯通信端末70に通信回線5aを介して送信する。
【0066】
ステップS63では、携帯通信端末70から通信回線7bを介して操作指示信号を受信したか否か、受信していない(no)場合は直ちにリターンし、受信した(yes)場合は、その受信した操作指示信号が全シャッターに関するものか個別のシャッターに関するものかを判定し、個別のシャッターに関する場合はステップS64に進み、全てのシャッターに関するものの場合はステップS65に進む。
【0067】
ステップS64では、個別のシャッターに関する操作信号を送受信子機13,23,33,43に通信回線5bを介して送信する。通信回線5bを介して送信される個別のシャッターに関する操作信号には、前述の個別IDを含むので、この個別IDに対応した送受信子機13,23,33,43(ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4)がステップS53の操作信号に対応した処理を実行する。
【0068】
ステップS65では、全てのシャッターに関する操作信号を送受信子機13,23,33,43に通信回線5cを介して送信する。通信回線5cを介して送信される全てのシャッターに関する操作信号には、前述の共通IDを含むように構成している場合には、これを受信した全ての送受信子機13,23,33,43(ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4)がステップS53の操作信号に対応した処理を実行する。
【0069】
ステップS66では、送受信子機13,23,33,43から通信回線3bを介して操作終了信号を受信したか否かを判定し、受信した(yes)場合はステップS67に進み、受信していない(no)場合は操作終了信号を受信するまでこの判定処理を繰り返す。
ステップS67では、送受信親機50は、操作信号に対応した処理が終了したことを示す操作終了信号を携帯通信端末70に通信回線5dを介して送信する。
【0070】
図7において、携帯通信端末70は、送受信親機50から送信される状態信号を通信回線5a経由で、操作終了信号を通信回線5d経由でそれぞれ受信する。また、携帯通信端末70は、開閉体用のリモコン操作スイッチとして機能するアプリケーションソフトの起動に応じて、通信回線7aを介して、アクセス信号を送受信親機50に送信する。さらに、携帯通信端末70は、上述のオートモードに設定されている場合、それぞれの条件に応じて、通信回線7aを介して、アクセス信号を送受信親機50に送信する。
ステップS71では、送受信親機50から通信回線5aを介して受信した状態信号に基づいて、制御可能なガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4のそれぞれの開閉停、途中停止及び換気採光の状態並びに人感センサ14,24の検知状態を携帯通信端末70の表示画面に表示する。
【0071】
ステップS72では、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4などの全てのシャッターに対する操作指示信号又は個別のシャッターに対する操作指示信号を通信回線7b経由で送受信親機50へ送信する。携帯通信端末70がオートモードにある場合は、このオートモードに対応した処理を実行する。このオートモードの処理については後述する。
ステップS73では、送受信親機50から通信回線5dを介して操作終了信号を受信したか否かを判定し、受信した(yes)場合はステップS74に進み、受信していない(no)場合は操作終了信号を受信するまでこの判定処理を繰り返す。
ステップS74では、操作指示したシャッターの開閉停、途中停止及び換気採光の各状態並びに人感センサ14,24の検知状態を携帯通信端末70の表示画面に表示してリターンする。
【0072】
上述の実施の形態では、全シャッターや建物内シャッターなどのように、個別シャッターをグループ化した場合を例に説明したが、操作者が携帯通信端末の開閉体制御用リモコンアプリケーションソフトを操作して操作可能な個別シャッターの1又は複数を任意にグループ化して制御することができる。
【0073】
図8は、携帯通信端末と車両との接続関係を示す図である。上述したように
図4の携帯通信端末703のオートボタンを選択操作することによって、携帯通信端末のGPS機能を利用してガレージシャッター装置1の開閉動作を実行するオートモードに移行する。
【0074】
車両90には、USB又は電源ソケットに差し込まれた車載用自動開閉リモコン91が搭載されている。車載用自動開閉リモコン91は、車両の中からでもガレージシャッター装置のシャッターを操作できる携帯用のリモコンであり、リモコン操作スイッチ12と同等の機能を有するものである。
【0075】
この車載用自動開閉リモコン91には、携帯通信端末70の搭載されている近距離無線通信機能と接続する機能を備えている。具体的には、車載用自動開閉リモコン91はブルートゥース(登録商標)を搭載しており、車載用自動開閉リモコン91と携帯通信端末70とがブルートゥース(登録商標)を介して接続されることによって、携帯通信端末70は車載用自動開閉リモコン91に認証される。
【0076】
車両90自体がブルートゥース(登録商標)を搭載している場合には、車両搭載のブルートゥース(登録商標)と携帯通信端末70とが接続されることによって、携帯通信端末70は車両90に認証されることになる。ここで、携帯通信端末70が近距離無線通信機能であるブルートゥース(登録商標)によって車両等に接続されたということは、携帯通信端末70が車両90内に持ち込まれたということを意味する。携帯通信端末70が車両90内に持ち込まれているので、その車両90の移動に伴って携帯通信端末70も一緒に移動するようになる。
【0077】
図9は、携帯通信端末の実行するオートモードの処理の一例を示す図である。車載用自動開閉リモコン91の搭載された車両90に携帯通信端末70を所持した操作者が乗車した場合に、携帯通信端末70は、次のようなオートモード処理を実行する。
【0078】
ステップS91では、携帯通信端末70が第1の領域内、すなわち予め登録されている車庫(ガレージシャッター装置1)の設置位置を中心とする第1の距離(約10メートル)を半径とする第1の円内の領域(第1の領域)に携帯通信端末70が位置するか否かの判定を行い、第1の円内の領域に位置する(yes)場合は次のステップS92に進み、第1の円内の領域に存在しない場合にはステップS96に進む。
【0079】
第1の距離(約10メートル)は、建物内のアクセスポイント60のWi-Fiに携帯通信端末70が接続可能な範囲としてもよい。アクセスポイントが複数存在する場合には、最もガレージシャッター装置1に近いアクセスポイントとしてもよい。上述の例では携帯通信端末70は車庫の設置位置を中心位置として設定しているが、現在地点の登録ボタンを追加し、登録ボタン操作時の現在地点を中心位置としてもよい。また、ガレージシャッター装置1からの出庫時の位置情報を自動的に記録し、それを中心位置としてもよい。さらに、地図アプリを操作して、中心位置を任意に指定してもよい。携帯通信端末の設定情報に自宅位置が設定されている場合には、その自宅位置を中心位置としてもよい。
【0080】
ステップS92では、携帯通信端末70が車載用自動開閉リモコン91に接続されたか否かの判定を行う。すなわち、車載用自動開閉リモコン91は認証装置となるので、携帯通信端末70は車載用自動開閉リモコン91へ許可の可否を申請し、接続(認証)された(yes)場合は次のステップS93に進み、接続(認証)されなかった(no)場合はステップS94に進む。
【0081】
ステップS93では、携帯通信端末70が車載用自動開閉リモコン91に接続されたということは、携帯通信端末70を所持した操作者が車両90に乗車し、出庫することを意味するので、車載用自動開閉リモコン91からガレージシャッター装置1に直接開動作の制御信号を出す。
図1に示すように、送受信親機50と携帯通信端末70とがアクセスポイント60を介して接続されているので、携帯通信端末70を用いてガレージシャッター装置1の開動作の制御信号を出するようにしても良い。また、携帯通信端末70とアクセスポイント60との間の距離が離れており、Wi-Fi通信を行うことができない場合は、携帯通信端末70はモバイル通信及びインターネットを経由してアクセスポイント60に接続されているので、遠隔操作にてガレージシャッター装置1の開動作の制御信号を出しても良い。車載用自動開閉リモコン91からガレージシャッター装置1に直接開動作の制御信号を出す方式が最も早くシャッターの開動作を実行させることができる。
【0082】
ステップS94では、携帯通信端末70が車載用自動開閉リモコン91に接続(認証)されていないということは、携帯通信端末70を所持した操作者が車両90に乗車していないことを意味するので、ガレージシャッター装置1が開動作中であるのか又は開状態にあるのかを判定し、開動作中又は開状態にある(yes)場合は次のステップS95に進み、閉動作中又は閉状態にある(no)場合はステップS96に進む。
ステップS95では、ガレージシャッター装置1が開動作中又は開状態なので、携帯通信端末70からガレージシャッター装置1に閉動作の制御信号を出す。このとき、ガレージシャッターが開動作中の場合には、開動作が終了して開状態となった後に、閉動作の制御信号を出すようにしても良いし、開動作の途中で閉動作の制御信号を出しても良い。ステップS92、ステップS94、ステップS95の処理によって、車両90から携帯通信端末70を所持した操作者が降車することによって、直ちにガレージシャッター装置1の閉動作を実行することができる。
【0083】
ステップS96では、携帯通信端末70が第2の領域内、すなわち予め登録されている車庫(ガレージシャッター装置1)の設置位置を中心とする第1の距離(約10メートル)を半径とする第1の円と、第2の距離(約30~50メートル)を半径とする第2の円との間のリング状の第2の領域内に携帯通信端末70が位置するか否かの判定を行い、携帯通信端末70が第2の領域内に位置する(yes)場合は次のステップS97に進み、第2の領域内に存在しない場合にはリターンする。第2の距離(半径約30~50メートル)は、リモコン操作スイッチ12,22,32,42の電波の届く範囲(約100メールの場合もある)と同程度の距離とすることが好ましい。
【0084】
ステップS97では、ステップS92と同様に携帯通信端末70が車載用自動開閉リモコン91に接続されたか否かの判定を行い、接続(認証)された(yes)場合は次のステップS98に進み、接続(認証)されなかった(no)場合はリターンする。
【0085】
ステップS98では、第2の領域内に位置する前に位置していた場所が第1の領域であるか否かを判定し、第1の領域から第2の領域に進入した(yes)場合はステップS99に進み、元々第2の領域に位置していた場合又は第3の領域から第2の領域内に進入した(no)場合はステップS9aに進む。ここで、第3の領域は、予め登録されている車庫(ガレージシャッター装置1)の設置位置を中心とする第2の距離(約30~50メートル)を半径とする第2の円と、第3の距離(約100~500メートル)を半径とする第3の円との間のリング状領域である。
【0086】
ステップS99では、前ステップS98で第1の領域から第2の領域内に進入した(yes)と判定されたので、携帯通信端末70からガレージシャッター装置1に閉動作の制御信号を出す。これによって、車両90が出庫し、第2の領域に進入した時点で、ガレージシャッターが閉動作を開始するようになる。
【0087】
ステップS9aでは、第2の領域に位置する前に位置していた場所が第3の領域であるか否かを判定し、第3の領域から第2の領域に進入した(yes)場合はステップS9bに進み、元々第2の領域に位置していた(no)場合はリターンする。
【0088】
ステップS9bでは、前ステップS9aで第3の領域から第2の領域内に進入した(yes)と判定されたので、携帯通信端末70からガレージシャッター装置1に開動作の制御信号を出す。これによって、車両90が入庫するために、第2の領域に進入した時点で、ガレージシャッターが開動作を開始するようになる。
【0089】
以上のように、オートモード状態にある携帯通信端末70は、車両90が外出先から帰宅して入庫する場合には、所定の領域に車両90が進入した時点でガレージシャッター装置1に開信号を送信し、車両90が外出のために出庫する場合には、所定の領域に車両90が到達した時点でガレージシャッター装置1に閉信号を送信する。これによって、携帯通信端末70を搭載した運転者が車両90に乗車した時点でガレージシャッター装置1は開動作を実行し、車両90が所定2の領域に到達した時点でガレージシャッター装置1は閉動作を実行する。また、外出先から車両90が帰宅して入庫する場合には、所定の領域に車両90が進入した時点でガレージシャッター装置1は開動作を実行し、速やかな入庫を可能とする。なお、車両90が出庫する場合には、送受信子機13と車載用自動開閉リモコン91との接続が途切れた時点で、ガレージシャッター装置1に閉信号を送信するようにしてもよい。
【0090】
車両90が外出先から帰宅して入庫する場合における所定の領域と、車両90が外出のために出庫する場合における所定の領域とは、同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、入庫する場合における所定の領域を半径約500~1000[m]の間とし、出庫する場合における所定の領域を半径約100~200[m]の間にしてもよい。なお、出庫の場合には車両90がガレージシャッター装置1を通過した時点(出庫時点)で開閉体を閉鎖させるようにしてもよい。
【0091】
上述の実施の形態では、車載用自動開閉リモコン91がガレージシャッター装置1を操作できる携帯用のリモコンであり、リモコン操作スイッチ12と同等の機能を有する場合について説明したが、車両のUSB又は電源ソケットに差し込まれた状態で、エンジン始動に応じて電源が投入され、識別信号を車内に送信する信号送信機能のみを備えた装置でもよい。このような信号送信機能のみを備えた装置の場合は、上述のエンジン始動に応じて起動したリモコン装置用アプリケーションは、起動後直ちに通信回線であるアクセスポイント60を経由してガレージシャッター装置1の開動作の制御信号を送信するか、又はモバイル通信及びインターネット並びにアクセスポイント60を経由してガレージシャッター装置1の開動作の制御信号を送信する。さらに、車両90自体がブルートゥース(登録商標)やWi-Fiを搭載している場合には、車両搭載のブルートゥース(登録商標)又はWi-Fiと携帯通信端末70とが接続されることによって、携帯通信端末70は車両90に認証されたとして、携帯通信端末70のリモコン装置用アプリケーションを起動して同様の処理を実行してもよい。
【0092】
図8では示していないが、車載用自動開閉リモコン91は、青色及び赤色のLED表示灯を表面や側面等に備えており、携帯通信端末70からの指令に基づいて、LEDを点灯又は点滅させて、ガレージシャッター装置1の現在の状態を報知するようにしてもよい。例えば、車載用自動開閉リモコン91は、エンジン始動に応じて電源が投入された初期状態では、赤色のLEDを点灯する。そして、携帯通信端末70との接続が完了した場合は、青色のLEDを点灯する。従って、青色のLEDが点灯しているということは、ガレージシャッター装置1が全閉状態にあることを示すものである。ガレージシャッター装置1が開動作中の場合は、青色のLEDを点滅させ、赤色のLEDを点させる。ガレージシャッター装置1が閉動作中の場合は、青色のLEDを点灯させ、赤色のLEDを点滅させる。また、異常状態が発生した場合には、赤色のLEDのみを点滅させる。なお、LEDの数や色はこれに限定されるものではなく種々の態様で構成されることが望ましい。
【0093】
上述の実施の形態では、携帯通信端末70に予め登録されている住所、すなわちガレージシャッター装置1の設置位置を中心する所定の領域を基準として、車両90の通過を判定する場合について説明したが、建物の住所位置、送受信親機50又は開閉制御回路11の設置位置を中心として所定の領域を任意に指定してもよい。
また、上述の実施の形態では、所定の領域に車両90が進入したか否かを判定する場合について説明したが、道路上に所定の地点(交差点や建物の位置など)を設定しておき、この地点を車両90が通過したか否かを判定するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、所定の領域に進入した時点でガレージシャッター装置1の動作を制御する場合について説明したが、入庫に場合、所定の領域に進入してから入庫するまでの時間を随時計測して学習しておき、その計測した時間に基づいて、車両90が所定の領域に進入後、所定時間経過後(例えば20~30秒後)にガレージシャッター装置1の動作を制御するようにしてもよい。例えば、所定の領域に進入してから約1分で入庫する場合には、所定位置通過後の約30秒後にガレージシャッター装置1が開動作を実行するように制御する。これによって、入庫時にガレージシャッター装置1が全開となっており、スムーズな入庫が可能となる。
【0094】
ガレージシャッター装置1のような安全性を優先させる場合には、シャッターカーテンの開動作中に閉信号を受信した場合は、その閉信号の受信による操作指示を無視し、開動作を継続させ、シャッターカーテンの停止中に閉ボタンが操作された場合にのみ、閉動作を開始するという処理を行うようにしてもよい。さらに、シャッターカーテンが全開後に閉信号を受信した場合、直ちに閉動作を開始するような動作を行ってもよいし、全開後の所定時間(任意設定可能)が経過するまで、閉信号の受信を無視するようにしてもよい。また、閉信号の受信があった旨を記憶しておいて、全開完了後の所定時間経過後にその閉信号の受信が反映されるようにしてもよい。また、このような操作信号が専用のリモコン操作スイッチ12によるものの場合は、そのまま操作信号による指示を実行するようにしてもよい。これは、専用のリモコン操作スイッチ12から信号を受信する場合は、その場に操作者が常駐しているので、その操作者の操作を優先させることが適切な場合が多いからである。
【0095】
図1に示すように、送受信親機50と携帯通信端末70とがアクセスポイント60を介して接続されている場合は、携帯通信端末70を用いてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4の開閉停、途中停止及び換気採光の各動作を制御することができるが、携帯通信端末とアクセスポイント60との間の距離が離れており、Wi-Fi通信を行うことができない場合はアクセスポイント60をフレッツISDN、CATV、ADSL、FTTHなどの公衆回線にてインターネットに接続し、このインターネットを経由してアクセスポイント60に携帯通信端末70が接続されるようにすることによって、遠隔操作にてガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4を制御することができる。
【0096】
上述の実施の形態では、アクセスポイント60が一箇所に設けられた場合について説明したが、建物内の複数個所にアクセスポイントを設置してもよい。この場合、ガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4内にアクセスポイントを設けてもよいし、建物内のLAN端子にアクセスポイントを設けてもよい。
上述の実施の形態では、送受信親機50と送受信子機13,23,33,43との間は、特定小電力の無線方式にて接続したが、建物内のLAN回線を介して接続してもよい。また、上述の実施の形態では、送受信親機50とアクセスポイント60が別途設けられているが、送受信親機50がアクセスポイント60の機能を内蔵していてもよい。携帯通信端末70を用いて、それぞれのガレージシャッター装置1及び窓シャッター装置2~4を一斉又は個別にタイマを設定して、タイマ操作を実行できるようにしてもよい。
【0097】
上述の実施の形態では、送受信親機50が全体を制御する場合について説明したが、送受信親機50とホームセキュリティシステムとを連動させて、外出中であることを送受信親機50が検出した場合には、人感センサ14,34に対応した自動閉鎖処理を実行しないようにしてもよい。また、HEMSに外出中であることを示す外出モードを設定し、このHEMSと連動させることによって、外出モード中のみ人感センサ14,34による自動閉鎖を有効となるようにしてもよい。
【0098】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシャッターカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
携帯通信端末用のアプリケーションソフトは、所定のURLから任意に入手可能とする。また、このアプリケーションソフトを適宜変更することによって、デザインや操作方法を容易に変更可能とする。
開閉体装置の開閉状態としてどの程度閉鎖しているかなどの情報をアニメーションなどの動画にて視認可能に携帯通信端末の表示画面上に表示するようにしてもよい。開閉体装置の周辺に監視カメラや人感センサなどを設置し、カメラの撮影画像や人感センサの感知情報等に基づいて開閉停、途中停止及び換気採光の各動作の可否等を制御するようにしてもよい。
本発明において、人為的操作に応じた起動には、携帯通信端末手段を保持している運転者及び/又は同乗者が車両を利用して外出する際に、運転者及び/又は同乗者が車両を人為的に解錠して乗車した場合、車両に乗車して人為的にエンジンを始動した場合、又は車両に乗車して信号送信手段の電源を人為的に投入した場合などの各種の人為的操作に対応した行為を含むものである。
【符号の説明】
【0099】
1…ガレージシャッター装置
2,3,4…窓シャッター装置
11,21,31,41…開閉制御回路
12,22,32,42…リモコン操作スイッチ
13,23,33,43…送受信子機
11a,21a,31a,41a…通信回線
12a,22a,32a,42a…通信回線
12b,22b,32b,42b…通信回線
13b,23b,33b,43b…通信回線
13c,23c,33c,43c…通信回線
14,34…人感センサ
1a,2a,3a,3b,4a…通信回線
35…ベランダ
5a,5b,5c,5d,7a,7b…通信回線
50…送受信親機
60…アクセスポイント
70…携帯通信端末
81…ディップスイッチ設定部
90…車両
91…車載用自動開閉リモコン