(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】排水カバー
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
E03C1/22 B
(21)【出願番号】P 2020080239
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 立行
(72)【発明者】
【氏名】森 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-101979(JP,U)
【文献】特開2018-150755(JP,A)
【文献】特開2011-214339(JP,A)
【文献】特開2019-031798(JP,A)
【文献】特開2013-083122(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0148474(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12;1/18-1/184;1/20-1/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と洗い場床とを含む浴室の前記洗い場床に形成される排水用凹部を覆う蓋部と、
前記蓋部の下面に設けられ、前記洗い場床の床面から下がった前記排水用凹部内の段部によって構成される載置部に接触して前記蓋部を支持する複数の脚部と、を備え、
前記複数の脚部は、
前記蓋部の周側部のうちの前記浴槽側に配置される第1の周側部に近接して配置される浴槽側脚部と、
前記蓋部の周側部のうちの前記第1の周側部と相反する側に配置される第2の周側部に近接して配置される洗い場側脚部と、を含み、
前記第1の周側部に対する前記浴槽側脚部の配置形状と、前記第2の周側部に対する前記洗い場側脚部の配置形状とが異な
り、
前記浴槽側脚部は、前記第1の周側部の延在方向に沿う方向に延びるように形成されるとともに、前記浴槽側脚部の前記浴槽側に配置される外側面は、前記浴槽側脚部の長さ方向に沿って内側に向けて凹んだ凹面であり、
前記洗い場側脚部は、前記蓋部の中央部から前記蓋部の隅角部へ向かう方向に交差する方向に延びるように形成されるとともに、前記洗い場側脚部の外側面は、前記洗い場側脚部の長さ方向に沿って内側に向けて凹んだ凹面である、排水カバー。
【請求項2】
前記洗い場側脚部の端部と前記排水用凹部の内側面との間の距離が、前記洗い場側脚部の両端部間の中途部における前記排水用凹部の内側面との間の距離よりも小さい、請求項
1に記載の排水カバー。
【請求項3】
前記洗い場側脚部は、前記洗い場側脚部の高さ方向に交差する断面において外側に対して凸となる円弧状に形成される、請求項1
又は2に記載の排水カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗い場床に浴槽に隣接して設けられた排水用凹部内にヘアキャッチャーを配置し、ヘアキャッチャーの上方を排水カバーで覆う排水構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
洗い場床の排水用凹部は、平面視で略長方形の桝状部である。排水用凹部の底部には、排水トラップと連結される開口が設けられる。排水用凹部の四隅には、上向き段部によって構成される排水カバーの載置部が設けられる。排水カバーは、略長方形の板状体からなる蓋部と、蓋部の下面に配置される複数の脚部とを有する。排水カバーは、脚部を載置部上に載せるようにして排水用凹部内に装着され、蓋部によってヘアキャッチャーを覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗い場床の床面を排水口に向けて流れる水は、床面から排水カバーと排水用凹部との隙間から排水用凹部内に直接流入する水と、床面から浴槽に向けて流れた後に浴槽のエプロンの下部に沿って流れ、浴槽側から排水用凹部内に流入する水とに分かれる。水に髪の毛が含まれていると、排水カバーにおける浴槽側及び洗い場側にそれぞれ配置される脚部に髪の毛が絡みつくおそれがある。
【0006】
一般に、浴槽側から排水用凹部内に流入する水は、洗い場床の床面から排水用凹部内に直接流入する水に比べて量が少なく水勢が弱いため、排水用凹部内で停滞し易い。そのため、排水カバーの脚部のうちの浴槽側に配置される脚部は、洗い場側に配置される脚部に比べて髪の毛が絡みつき易い。したがって、排水カバーにおける浴槽側及び洗い場側のいずれの脚部にも髪の毛が絡みつくことを抑制できる排水カバーが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る排水カバーは、浴槽と洗い場床とを含む浴室の前記洗い場床に形成される排水用凹部を覆う蓋部と、前記蓋部の下面に設けられ、前記洗い場床の床面から下がった前記排水用凹部内の段部によって構成される載置部に接触して前記蓋部を支持する複数の脚部と、を備え、前記複数の脚部は、前記蓋部の周側部のうちの前記浴槽側に配置される第1の周側部に近接して配置される浴槽側脚部と、前記蓋部の周側部のうちの前記第1の周側部と相反する側に配置される第2の周側部に近接して配置される洗い場側脚部と、を含み、前記第1の周側部に対する前記浴槽側脚部の配置形状と、前記第2の周側部に対する前記洗い場側脚部の配置形状とが異なる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】排水構造を含む洗い場床の外観を示す斜視図である。
【
図3】洗い場床に設けられる排水用凹部の外観を示す斜視図である。
【
図6】排水カバーに向かう水の流れを説明する図である。
【
図7】排水カバーの1つの洗い場側脚部の部分を示す底面図である。
【
図8】排水カバーの1つの洗い場側脚部における水の流れを説明する図である。
【
図9】排水カバーの1つの浴槽側脚部を示す底面図である。
【
図10】排水カバーの1つの浴槽側脚部における水の流れを説明する図である。
【
図11A】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【
図11B】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【
図11C】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【
図11D】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【
図11E】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【
図11F】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【
図11G】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【
図11H】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【
図11I】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【
図11J】排水カバーの変形例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る排水カバーの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、平面視長方形状を有する洗い場床100に排水装置1が設けられる。洗い場床100は、長辺部101を浴槽200のエプロン201に接するように配置される。
【0010】
洗い場床100は、平面視矩形状の床面100aの外周から上方に立設される2つの長辺部101,102と2つの短辺部103,103とを有する。一方の長辺部101は、浴槽200のエプロン201の下部に接するように配置される。他方の長辺部102は、浴槽200から離れて長辺部101に平行に配置される。2つの短辺部103,103は、長辺部101,102に交差するように配置され、長辺部101,102の端部同士を連結する。
【0011】
洗い場床100は、長辺部102から長辺部101に向かうに従って下降する勾配と、短辺部103,103から長辺部101の中央部に向かうに従って下降する勾配と、を有する。さらに、洗い場床100は、浴槽200側の長辺部101に沿って延びる2つの浴槽側排水溝104,104を有する。浴槽側排水溝104,104は、短辺部103,103側から長辺部101の中央部に向かうに従って下降する勾配をそれぞれ有する。
【0012】
洗い場床100の床面100aに降りかかった水のうちの大部分は、床面100aの勾配に沿って長辺部101の中央部に配置される排水装置1に向かって流れる。洗い場床100の床面100aに降りかかった水のうちの一部は、床面100aを浴槽200に向けて流れ、浴槽200のエプロン201の下部に配置される長辺部101に当たる。長辺部101に当たった水は、浴槽側排水溝104,104内を排水装置1に向かって流れる。
【0013】
図1及び
図2に示すように、排水装置1は、排水用凹部10及び排水カバー20を含む。排水用凹部10は、洗い場床100の床面100aにおける勾配の下流端に位置する。詳しくは、排水用凹部10は、長辺部101,102の長さ方向の略中央部、且つ、浴槽200に近接する位置に配置される。より詳しくは、排水用凹部10は、浴槽200側に配置される長辺部101の長さ方向の略中央部に、浴槽側排水溝104,104を挟んで近接して配置される。排水用凹部10の底部には、円形に開口する排水口11が設けられる。排水口11には、筒状の接続フランジ12が取り付けられる。接続フランジ12にはヘアキャッチャー13が取り付けられる。
【0014】
接続フランジ12の下方に、トラップ部14が設けられる。洗い場床100から排水用凹部10内に流入した水は、排水口11からトラップ部14内に流入し、排出口15から排出される。浴槽200の排水口(図示せず)に接続される浴槽側接続部16は、配管17を介してトラップ部14に接続される。したがって、浴槽200からの水もトラップ部14に流入し、排出口15から排出される。
【0015】
図3に示すように、排水用凹部10は、平面視で略長方形状の桝状に形成される。排水用凹部10の底部の略中央部に、排水口11、接続フランジ12及びヘアキャッチャー13が配置される。洗い場床100の2つの浴槽側排水溝104,104は、長辺部101側から排水用凹部10の内部に連通している。排水用凹部10の底部に配置される排水口11の周囲に、床面100aから一段下がった段部からなる載置部18が設けられる。本実施形態の載置部18は、排水用凹部10内の底部における円形の排水口11の外側の四隅にそれぞれ配置されている。
【0016】
図4に示すように、排水カバー20は、矩形板状の蓋部21と、蓋部21の下面21aから突出する複数の脚部と、を有する。複数の脚部は、浴槽側脚部22と洗い場側脚部23と、を含む。本実施形態の排水カバー20は、2つの浴槽側脚部22,22及び2つの洗い場側脚部23,23の4つの脚部を有する。浴槽側脚部22,22及び洗い場側脚部23,23は、排水用凹部10の載置部18に対応して、蓋部21の下面21aの四隅近傍にそれぞれ配置されている。
【0017】
蓋部21は、排水用凹部10内に納まるように、平面視において、排水用凹部10よりも僅かに小さく形成される。蓋部21は、第1から第4の4つの周側部21b,21c,21d,21eを有する。第1の周側部21bは、排水カバー20が排水用凹部10内に納められた際に、浴槽200側に配置され、洗い場床100の長辺部101と略平行に延びる。第2の周側部21cは、排水カバー20において第1の周側部21bと相反する側に配置され、第1の周側部21bと略平行に延びる。第3の周側部21d及び第4の周側部21eは、第1の周側部21bと第2の周側部21cとの端部同士を繋ぐように配置され、洗い場床100の長辺部101に対して交差する方向に延びる。
【0018】
蓋部21の第1の周側部21bには、第3の周側部21dに近接した位置に、浴槽200側に向けて突出する位置決め突部24が設けられる。位置決め突部24は、排水用凹部10に対する排水カバー20の装着方向を規制する。これによって、排水カバー20は、
図6に示すように、位置決め突部24を長辺部101に向けて排水用凹部10に装着されたときに、排水用凹部10内に適正に納められるように構成される。
【0019】
2つの浴槽側脚部22,22は、
図5に示すように、蓋部21の第1の周側部21bに近接するとともに、第3の周側部21d及び第4の周側部21eにそれぞれ近接するように互いに離れて配置される。浴槽側脚部22は、蓋部21の下面21aの平面視において、両端が円弧状に形成された横長形状を有する。浴槽側脚部22は、第1の周側部21bの延在方向(
図5の左右方向)に沿う方向に延びるように形成される。浴槽側脚部22の長さ方向は、浴槽側排水溝104,104の延在方向に一致している。
【0020】
浴槽側脚部22,22の一方の端部22a,22aは、第3の周側部21d及び第4の周側部21eにそれぞれ向けて配置され、他方の端部22b,22bは、互いに対向するように配置される。端部22a,22aは、第3の周側部21d及び第4の周側部21eよりも内側に僅かに後退した位置にある。浴槽側脚部22,22における第1の周側部21b側に配置される外側面23c,23cは、第1の周側部21bよりも内側に僅かに後退した位置にある。外側面22c,22cは、
図4及び
図10に示すように、長さ方向に沿って内側に向けて凹んだ凹面によって構成される。2つの浴槽側脚部22,22は同一形状であり、
図5における左右対称形状を有する。すなわち、2つの浴槽側脚部22,22は、
図5に示すように、第1の周側部21bの中央部と第2の周側部21cの中央部とを結ぶ蓋部21の中心線X1に対して対称形状を有する。
【0021】
2つの洗い場側脚部23,23は、浴槽200から最も遠い蓋部21の第2の周側部21cに近接するとともに、第3の周側部21d及び第4の周側部21eにそれぞれ近接するように互いに離れて配置される。洗い場側脚部23,23は、
図5に示すように、蓋部21の下面21aの平面視において、両端が円弧状に形成され、蓋部21の下面21aの中央部から蓋部21の第2の周側部21cの両端に配置される隅角部21f,21fへ向かう方向に交差する方向に延びるように形成される。すなわち、洗い場側脚部23,23の一方の端部23a,23aは、第2の周側部21cにそれぞれ近接するように配置され、他方の端部23b,23bは、第3の周側部21d及び第4の周側部24eにそれぞれ近接するように配置される。
【0022】
洗い場側脚部23,23の外側面23c,23cは、蓋部21の隅角部21f,21fの方向にそれぞれ向いている。洗い場側脚部23,23は、高さ方向(
図5の紙面に対する垂直方向)に交差する断面において、外側に対して、すなわち隅角部21f,21fに対して、凸となる円弧状に形成される。
【0023】
図5に示すように、2つの洗い場側脚部23,23のうち、第3の周側部21dに近接した洗い場側脚部23の一方の端部23a側は、第2の周側部21cに接するように配置される。これに対して、この洗い場側脚部23の他方の端部23b側は、第3の周側部21dよりも内側に僅かに後退した位置にある。第4の周側部21eに近接した洗い場側脚部23の一方の端部23a側は、第2の周側部21cよりも内側に僅かに後退した位置にある。これに対して、この洗い場側脚部23の他方の端部23b側は、第4の周側部21eに接するように配置される。洗い場側脚部23,23の外側面23c,23cは、
図4及び
図8に示すように、長さ方向に沿って内側に向けて凹んだ凹面を形成している。
【0024】
このように、排水カバー20は、蓋部21の下面21aの平面視において、第1の周側部21bに対する浴槽側脚部22,22の配置形状と、第2の周側部21cに対する洗い場側脚部23,23の配置形状とが異なっている。浴槽側脚部22,22は、長さ方向を第1の周側部21bの延在方向に沿うように配置させた配置形状を有し、洗い場側脚部23,23は、外側面23cを隅角部21f,21fに向くように配置させた配置形状を有する。第1の周側部21bに対する浴槽側脚部22,22の配置形状と、第2の周側部21cに対する洗い場側脚部23,23の配置形状とは、
図5における上下方向に非対称形状を有する。すなわち、2つの洗い場側脚部23,23は、
図5に示すように、第3の周側部21dの中央部と第4の周側部21eの中央部とを結ぶ蓋部21の中心線X2に対して非対称形状を有する。
【0025】
排水カバー20は、浴槽側脚部22,22と洗い場側脚部23,23とが排水用凹部10内の載置部18にそれぞれ載置するように排水用凹部10内に装着される。これによって、排水カバー20は、
図2に示すように、洗い場床100の床面100aと略面一になるように排水用凹部10内に納められる。
【0026】
次に、排水カバー20を有する排水装置1の排水時の作用について説明する。
図6に示すように、洗い場床100の床面100aを流れる水のうちの大部分の水FL1は、床面100aの勾配に沿って排水用凹部10に向かって流れる。その後、水FL1は、排水カバー20の第2の周側部21c,第3の周側部21d及び第4の周側部21eと排水用凹部10との隙間から排水用凹部10内に流入する。
【0027】
排水用凹部10内に流入した水は、
図4及び
図5に示す浴槽側脚部22,22と洗い場側脚部23,23との間の空間S1,S1及び2つの洗い場側脚部23,23の間の空間S2通って、排水口11へ流れ出る。しかし、蓋部21の第2の周側部21cの両端の隅角部21f,21fの近傍から排水用凹部10内に流入した水は、洗い場側脚部23,23の外側面23c,23cに当たり、
図7及び
図8に示すように、洗い場側脚部23の外側面23cと排水用凹部10の内側面10aとの間に形成される貯水部30に一時的に貯水される。
【0028】
貯水部30に一時的に貯水された水は、
図7及び
図8中の矢印に示すように、洗い場側脚部23の外側面23cに沿って横方向に流れ、排水用凹部10の内側面10aとの隙間が大きい洗い場側脚部23の端部(
図7及び
図8では一方の端部23a)から空間S1,S2を通って排水口11へ円滑に流れ出る。
【0029】
このように、洗い場側脚部23,23の近傍では、貯水部30に一時的に貯水された水が、洗い場側脚部23,23の外側面23c,23cに沿って横方向に円滑に流れる。そのため、水に含まれる髪の毛が洗い場側脚部23,23に絡みつくことは抑制される。
【0030】
洗い場側脚部23,23は、蓋部21の中央部から蓋部21の隅角部21f,21fへ向かう方向に交差する方向に延びるように形成されるため、隅角部21f,21fの下方に広い貯水部30を形成し易い。そのため、髪の毛が洗い場側脚部23,23に付着しにくい。
【0031】
洗い場側脚部23,23のそれぞれの端部23a,23bと排水用凹部10の内側面10aとの間の距離は、洗い場側脚部23,23の両端部23a,23b間の中途部における排水用凹部10の内側面10aとの間の距離よりも小さい。そのため、隅角部21f,21fの下方に、底面が一定の広さを有する貯水部30を形成することができる。
【0032】
洗い場側脚部23,23の外側面23c,23cは凹面によって形成されているため、貯水部30の空間がさらに広く確保される。外側面23c,23cに沿って横方向に流れる水は、外側面23c,23cに水膜を形成する。そのため、髪の毛が洗い場側脚部23,23に付着することが一層防止され、貯水部30からの髪の毛の排出が促進される。
【0033】
洗い場側脚部23,23は、洗い場側脚部23,23の高さ方向に交差する断面において、外側に対して、すなわち隅角部21f,21fに対して、凸となる円弧状に形成されるため、洗い場床100の床面100aから洗い場側脚部23,23に向かって流れてきた水FL1は、洗い場側脚部23,23の外側面23c,23cに当たって横方向に変化し易い。そのため、排水用凹部10内に流入した水が貯水部30に過剰に滞留することが抑制され、貯水部30からの髪の毛の排出がさらに促進される。
【0034】
これに対して、
図6に示すように、洗い場床100の床面100aを流れる水のうちの一部の水FL2は、床面100aから浴槽200側の長辺部101に当たり、浴槽側排水溝104,104の勾配に沿って排水用凹部10に向かって流れる。浴槽側排水溝104,104を流れる水FL2は、排水カバー20の蓋部21の第1の周側部21b側から排水用凹部10内に流入する。
【0035】
浴槽側排水溝104,104から排水用凹部10内に流入した水の大部分は、
図4及び
図5に示す浴槽側脚部22,22の間の空間S3を通って、排水口11へ流れ出る。しかし、浴槽側脚部22,22の近傍から排水用凹部10内に流入した水は、
図9及び
図10に示すように、排水用凹部10内を排水カバー20の浴槽側脚部22,22に向かって流れる。
【0036】
浴槽側脚部22,22は、蓋部21の第1の周側部21bの延在方向に沿う方向に延びるように形成され、浴槽側脚部22,22の長さ方向は、浴槽側排水溝104,104を流れて来る水の流れ方向に沿っている。そのため、浴槽側脚部22,22が浴槽側排水溝104,104から流入する水の円滑な流れを阻害して停滞させることは抑制される。
【0037】
浴槽側排水溝104,104から流入して浴槽側脚部22,22に向かう水は、流入時の流れ方向を維持した状態で浴槽側脚部22,22の長さ方向に沿って流れ、空間S3を通って排水口11へ流れ出る。したがって、浴槽側排水溝104,104から流入する水は、水量が少なくて水勢が弱くても、浴槽側脚部22,22の近傍で停滞することなく、浴槽側脚部22,22の外側面22c,22cに沿って横方向に円滑に流れる。そのため、水に含まれる髪の毛が浴槽側脚部22,22に絡みつくことが抑制される。
【0038】
浴槽側脚部22,22の外側面22c,22cは凹面によって形成されているため、外側面22c,22cに沿って横方向に流れる水は、外側面22c,22cに水膜を形成する。これによって、髪の毛が浴槽側脚部22,22に付着することが一層防止される。
【0039】
浴槽側脚部22,22は、蓋部21の第1の周側部21bの延在方向に沿う方向に延びる横長形状を有するため、洗い場側脚部23,23との間の空間S1,S1を大きく確保できる。そのため、空間S1,S1を流れる水の流速の低下が抑制され、空間S1,S1に向かう水に含まれる髪の毛を排水口11に向けて速やかに排出させることができる。
【0040】
次に、
図11A~
図11Jを参照して、排水カバー20の変形例について説明する。
図11Aに示す排水カバー20は、3つの浴槽側脚部22が、蓋部21の第1の周側部21bに沿うように配置されている。この排水カバー20においても、水は、3つの浴槽側脚部22に沿って円滑に流れることができるため、髪の毛が浴槽側脚部22に絡みつくことが抑制される。
【0041】
図11Bに示す排水カバー20は、3つの浴槽側脚部22を有する点で
図11Aに示す排水カバー20と同一である。しかし、この排水カバー20は、浴槽側脚部22と洗い場側脚部23との間に中間脚部25を有している点で相違する。中間脚部25は、第3の周側部21d及び第4の周側部21eの延在方向に沿う方向に延びるように形成される。
【0042】
図11Cに示す排水カバー20は、
図5に示す排水カバー20において、浴槽側脚部22と洗い場側脚部23との間に、
図11Bに示す排水カバー20と同様に中間脚部25を設けている。
【0043】
図11Dに示す排水カバー20は、
図5に示す排水カバー20における洗い場側脚部23が、扇型に形成されている。扇型の洗い場側脚部23も外側面23cの形状に変更はないため、
図5に示した排水カバー20と同様の効果が得られる。
【0044】
【0045】
図11Fに示す排水カバー20は、
図11Dに示す排水カバー20において、浴槽側脚部22と洗い場側脚部23との間に中間脚部25を設けている。
【0046】
図11Gに示す排水カバー20は、
図5に示す排水カバー20における洗い場側脚部23が、L字型に形成されている。浴槽側脚部22に変更はないため、浴槽側脚部22に髪の毛が絡みつくことが抑制される効果が得られる。
【0047】
【0048】
図11Iに示す排水カバー20は、
図11Gに示す排水カバー20において、浴槽側脚部22と洗い場側脚部23との間に中間脚部25を設けている。
【0049】
図11Jに示す排水カバー20は、
図5に示す排水カバー20における浴槽側脚部22を1つだけにしたものである。1つだけの浴槽側脚部22も、蓋部21の第1の周側部21bに沿うように配置されているため、髪の毛が浴槽側脚部22に絡みつくことが抑制される。
【符号の説明】
【0050】
1 排水装置10 排水用凹部、 10a 内側面、 18 載置部、 20 排水カバー、 21 蓋部、 21a 下面、 21b 第1の周側部、 22 浴槽側脚部、 21c 第2の周側部、 21f 隅角部、 23 洗い場側脚部、 23a,23b 洗い場側脚部の端部、 100 洗い場床、 200 浴槽