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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】自動車玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 17/26 20060101AFI20240510BHJP
   A63H 17/267 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A63H17/26 A
A63H17/26 B
A63H17/267
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020089176
(22)【出願日】2020-05-21
(65)【公開番号】P2021183033
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】519338094
【氏名又は名称】鈴木 真久
(74)【代理人】
【識別番号】110002653
【氏名又は名称】弁理士法人アズテックIP
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真久
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-081689(JP,A)
【文献】特開2002-166064(JP,A)
【文献】特開昭60-077787(JP,A)
【文献】特開2008-086595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0022540(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0095953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央シャーシと、
前記中央シャーシと一体に成形される前部シャーシと、
前記前部シャーシから前方にさらに突出する前部アーム支持部材と、
前記前部アーム支持部材の左右側方に転舵および上下動可能に接続される前部アームと、
前記前部アームの外側端部に接続される前輪支持部材と、
前記前輪支持部材に回動可能に支持される前輪と、
前記中央シャーシの左右側方に設けられた複数の凹部の1つに嵌挿された接続部材と、
前記接続部材に接続される後部アームと、
前記後部アームに接続される後輪支持部材と、
前記後輪支持部材に回動可能に支持される後輪と、を備え、
さらに、前記中央シャーシの左右の複数の凹部の1つまたは2つ以上に嵌挿された柱状部材と、
左右の前記後輪支持部材の内側上方に設けられる後輪支持部材突起部と、
左右の前記後輪支持部材突起部とそれぞれ対応する左右の前記柱状部材に固定される後輪用板バネと、を備えることを特徴とする自動車玩具。
【請求項2】
前記後輪用板バネは、前記柱状部材の嵌挿部から前記後輪支持部材突起部の係合部までしなりをもって前記中央シャーシの左右側方に配され、常に前記後輪が路面に接地する方向に付勢することを特徴とする請求項1に記載の自動車玩具。
【請求項3】
前記後部アームと前記接続部材の軸部との当接部、および、前記後部アームと前記後輪支持部材の軸部との当接部は球状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車玩具。
【請求項4】
左右の前記前輪支持部材の内側上方に設けられる前輪支持部材突起部と、左右の前記前輪支持部材突起部および前記前部アーム支持部材に固定される前輪用板バネと、を備える請求項1から3のいずれかに記載の自動車玩具。
【請求項5】
前記前輪用板バネは、両端が高く中央部が低くなるようにしなりをもって配され、常に前記前輪が路面に接地する方向に付勢することを特徴とする請求項4に記載の自動車玩具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車玩具に関するものであり、より詳細には、自動車玩具に装備された後輪側サスペンション機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車玩具の分野において、凹凸のある路面で安定して自動車玩具を走行させるために、サスペンション機構の装備が試みられてきた。後輪にサスペンション効果を付与する機構を装備した自動車玩具の発明としては、コイル型のバネ部材が後輪に加わる路面の凹凸からの衝撃を吸収できる例が挙げられる(特許文献1)。また、起伏の大きい路面走行に耐え得る自動車玩具の発明としては、捻りばねが自動車玩具に加わる上下方向への振動を吸収するショックアブソーバとして機能する例が挙げられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-329372号公報
【文献】特開2009-442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サスペンション機構は、一般的にはバネの弾性力を利用する。バネは、繰り返しての使用により、性能が劣化することがある。自動車玩具においては、高い剛性および耐性を有するバネは重量の観点から採用することが難しい。自動車玩具のサスペンション機能を維持するためには、バネの交換、強度の調節などの調整が必要である。
【0005】
また、最適なサスペンションの強度は、走行する環境によって異なる。特に、軽量である自動車玩具においては、レース用の板の上、舗装道路の上、石まじりの土の上など、走行する環境によってサスペンションが有するべき強度の最適な範囲が狭い。そのため、自動車玩具のサスペンション機能のためのバネの強度は、調整が容易であることが好ましい。
【0006】
しかしながら、自動車玩具におけるサスペンション機構は、小型かつ軽量であるが故に、柔軟性と耐久性のバランスの適正化が困難である。弾性部材としてコイル型のバネを採用する場合は、部品点数の増加や強固な設計が必要となり、自動車玩具の内部空間の制約や、弾性力の方向の安定性等が考慮され、芯棒となる部材に巻き付けられている構造が一般的であり、先述した特許文献で開示される発明も例外ではない。
【0007】
そのため、サスペンション用の部材であるバネの交換および強度の調整は、多数の部品を取り外して行う必要があるという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な手順で交換が容易であるバネを用いた自動車玩具用サスペンションを装備した自動車玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の自動車玩具は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、中央シャーシと、前記中央シャーシと一体に成形される前部シャーシと、前記前部シャーシから前方にさらに突出する前部アーム支持部材と、前記前部アーム支持部材の左右側方に転舵および上下動可能に接続される前部アームと、前記前部アームの外側端部に接続される前輪支持部材と、前記前輪支持部材に回動可能に支持される前輪と、前記中央シャーシの左右側方に設けられた複数の凹部の1つに嵌挿された接続部材と、前記接続部材に接続される後部アームと、前記後部アームに接続される後輪支持部材と、前記後輪支持部材に回動可能に支持される後輪と、を備え、さらに、前記中央シャーシの左右の複数の凹部の1つまたは2つ以上に嵌挿された柱状部材と、左右の前記後輪支持部材の内側上方に設けられる後輪支持部材突起部と、左右の前記後輪支持部材突起部とそれぞれ対応する左右の前記柱状部材に固定される後輪用板バネと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の手段は、前記後輪用板バネは、前記柱状部材の嵌挿部から前記後輪支持部材突起部の係合部までしなりをもって前記中央シャーシの左右側方に配され、常に前記後輪が路面に接地する方向に付勢することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の手段は、前記後部アームと前記接続部材の軸部との当接部、および、前記後部アームと前記後輪支持部材の軸部との当接部は球状に形成されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の手段は、左右の前記前輪支持部材の内側上方に設けられる前輪支持部材突起部と、左右の前記前輪支持部材突起部および前記前部アーム支持部材に固定される前輪用板バネと、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の手段は、前記前輪用板バネは、両端が高く中央部が低くなるようにしなりをもって配され、常に前記前輪が路面に接地する方向に付勢することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自動車玩具は、サスペンションとして路面の凹凸による車輪の多様な方向への変位を許容する構成を有しつつ、サスペンションの強度の調整を板バネの交換によって容易に実現し、特に、後輪の衝撃を吸収する板バネを交換する手順において、後輪および後輪車軸の取り外しの必要がなく、簡単な構成とすることができる。また、本発明の自動車玩具のサスペンション機構は、サスペンションの強度を常に適正に維持できるため、板バネ周辺の部品に過剰な負荷がかかることがなく、自動車玩具全体の耐久性、安全性の向上にも資する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の自動車玩具の斜視図である。
図2】本発明の自動車玩具の平面図である。
図3】本発明の自動車玩具の正面図である。
図4】本発明の自動車玩具の背面図である。
図5】本発明の自動車玩具の側面図である。
図6】本発明の自動車玩具の後輪付近の拡大側面図である。
図7】本発明の自動車玩具の後輪付近の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面とともに説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の自動車玩具1の斜視図、図2は本発明の自動車玩具1の平面図、また、図3は、本発明の自動車玩具1の正面図である。図1から図3は、いずれもボディ部を取り外した状態を示す。ボディ部は図示を省略する。図3の正面図は、自動車玩具1を前方から見た状態を表す。
【0018】
自動車玩具1は、中央シャーシ2と、中央シャーシ2と一体に成形される前部シャーシ3と、前部シャーシ3から前方にさらに突出する前部アーム支持部材4と、前部アーム支持部材4の左右側方に転舵および上下動可能に接続される前部アーム5と、前部アーム5の外側端部に接続される前輪支持部材6と、前輪支持部材6が備える図示しない軸受機構を介して前輪支持部材6に回動可能に支持される前輪7と、を備える。ここで、前部アーム5と前輪支持部材6との当接部は球状に形成される。前部アーム5の外側端部の前輪支持部材6との当接部を球状の軸受構造とすることによって、前部アーム5は、地面の凹凸が生じさせる左右の後輪13の捩じれ方向の変位を許容することができる。
【0019】
本発明の自動車玩具1は、前輪側にサスペンション機構を備える。前輪側のサスペンション機構は、左右の前輪支持部材6の内側上方に設けられる前輪支持部材突起部8と、左右の前輪支持部材突起部8および前部アーム支持部材4に固定される前輪用板バネ9と、を備える。
【0020】
ここで、前輪用板バネ9は、左右両端の開口部が前輪支持部材6から上方に伸びる前輪支持部材突起部8の頭部8aに嵌合により固定され、中央部が前部アーム支持部材4の前突起部4aに係合により固定される。前輪用板バネ9は、自動車玩具1の静止時に両端が高く中央部が低くなるようにしなりをもって配され、常に前輪7が路面に接地する方向に付勢する。路面の凹凸によって前輪7が多様な方向に変位するときに、前輪7は前輪用板バネ9の付勢によって路面に接地しようとする。
【0021】
本実施例における前輪用板バネ9は、薄くて軽量の弾性を有する素材で構成することが可能である。前輪用板バネ9の素材としては、金属やプラスチックが挙げられる。プラスチックの例としては、ポリカーボーネートが好適である。前輪用板バネ9は、嵌合や係合によって各部に固定されているため、交換が容易である。また、前輪用板バネ9を複数枚重ねて各部に固定することによって、サスペンションとしての強度を大きく向上させることができる。
【0022】
図4は本発明の自動車玩具1の背面図、図5は本発明の自動車玩具1の側面図である。図4および図5は、いずれもボディ部を取り外した状態を示す。図4の背面図は、自動車玩具1を後方から見た状態を表す。
【0023】
自動車玩具1は、中央シャーシ2の左右側方に設けられた複数の凹部2aの1つに嵌挿された接続部材10と、接続部材10に接続される後部アーム11と、後部アーム11に接続される後輪支持部材12と、後輪支持部材12が備える図示しない軸受機構を介して後輪支持部材12に回動可能に支持される後輪13と、を備える。ここで、後部アーム11と接続部材10の軸部10aとの当接部、および、後部アーム11と後輪支持部材12の軸部12aとの当接部は球状に形成される。後部アーム11の前後の当接部を球状の軸受構造とすることによって、後部アーム11は、地面の凹凸が生じさせる左右の後輪13の捩じれ方向の変位を許容することができる。
【0024】
左右の後輪支持部材12の間には後輪車軸カバー14が設けられ、後輪車軸カバー14は左右の後輪支持部材12に接続される。後輪車軸カバー14に内装される後輪車軸15は左右の後輪13と連動する。後輪車軸15はギアボックス16に格納される図示しないギア群を介して後輪車軸カバー14に搭載されるモーター17に接続される。中央シャーシ2は、電池を装填可能に形成され、中央シャーシ2に装填された電池から電力の供給を受けるモーター17は、ギア群および後輪車軸15を介して後輪13を回転させる。電池からモーター17までの配線に関する図示は省略する。
【0025】
図6は本発明の自動車玩具1の後輪付近の拡大側面図、図7は本発明の自動車玩具1の後輪付近の分解図である。
【0026】
本発明の自動車玩具1は、後輪側にサスペンション機構を備える。後輪側のサスペンション機構は、中央シャーシ2の左右の複数の凹部2aの1つまたは2つ以上に嵌挿された柱状部材18と、左右の後輪支持部材12の内側上方に設けられる後輪支持部材突起部19と、左右の後輪支持部材突起部19とそれぞれ対応する左右の柱状部材18に固定される後輪用板バネ20と、を備える。本実施例の柱状部材18は、中央シャーシ2の左右側方に設けられた複数の凹部2aの2箇所にまたがって嵌挿されている。
【0027】
ここで、後輪用板バネ20は、端部20aが柱状部材18に嵌挿により固定され、他の端部20bが後輪支持部材突起部19に係合により固定される。柱状部材18の嵌挿部は、柱状部材18の上部側方に突出し、後輪用板バネ20を嵌挿可能に下部が開口している。後輪用板バネ20は、自動車玩具1の静止時に一方の端部20aが他の端部20bより高い位置にあって、柱状部材18の嵌挿部から後輪支持部材突起部19の係合部までしなりをもって中央シャーシ2の左右側方に配され、常に後輪13が路面に接地する方向に付勢する。路面の凹凸によって後輪13が多様な方向に変位するときに、後輪13は後輪用板バネ20の付勢によって路面に接地しようとする。
【0028】
本実施例における後輪用板バネ20は、薄くて軽量の弾性を有する素材で構成することが可能である。後輪用板バネ20の素材としては、金属やプラスチックが挙げられる。プラスチックの例としては、ポリカーボーネートが好適である。後輪用板バネ20は、嵌挿や係合によって各部に固定されているため、交換が容易である。また、強度の調整も容易であり、例えば、後輪用板バネ20を複数枚重ねて各部に固定することによって、サスペンションとしての強度を大きく向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の自動車玩具1のサスペンション機構は、操舵用モーターや受信機構などを前部シャーシ3や中央シャーシ2の周辺に設け、リモートコントロールによって操縦する自動車玩具にも適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1…自動車玩具。
2…中央シャーシ。
3…前部シャーシ。
4…前部アーム支持部材。
5…前部アーム。
6…前輪支持部材。
7…前輪。
8…前輪支持部材突起部。
9…前輪用板バネ。
10…接続部材。
11…後部アーム。
12…後輪支持部材。
13…後輪。
14…後輪車軸カバー。
15…後輪車軸。
16…ギアボックス。
17…モーター。
18…柱状部材。
19…後輪支持部材突起部。
20…後輪用板バネ。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7