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特許7486357光学レンズアセンブリ及びヘッドマウント式表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】光学レンズアセンブリ及びヘッドマウント式表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20240510BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240510BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20240510BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20240510BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
G02B17/08
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020107688
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2021005084
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】62/866633
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202010122430.6
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】郭 道宏
(72)【発明者】
【氏名】莊 福明
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-122771(JP,A)
【文献】特開2016-051061(JP,A)
【文献】特開2013-250506(JP,A)
【文献】米国特許第05742434(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G02B 27/00 - 30/60
H04N 5/64 - 5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズアセンブリであって、
前記光学レンズアセンブリは、出光側から入光側へ順に配列された第一レンズ、第二レンズ、第三レンズ、第四レンズ及び第五レンズからなり、
前記入光側に画像発生器が設置され、
前記光学レンズアセンブリは前記画像発生器が提供する画像光束を受け、
前記画像光束の前記出光側に絞りが形成され、
前記絞りにおいて、前記画像光束が最小光束断面積を有し、
前記光学レンズアセンブリのレンズアセンブリ総長さをBとし、前記光学レンズアセンブリの中の最大レンズの有効開口をDとした場合、前記光学レンズアセンブリがB×D<130mmを満たし、
前記第一レンズが両凸レンズであり、前記第二レンズが凸凹レンズであり、前記第三レンズが両凹レンズであり、前記第四レンズが両凸レンズであり、及び前記第五レンズが両凸レンズであることを特徴とする、光学レンズアセンブリ。
【請求項2】
前記絞りと前記光学レンズアセンブリとの光軸における距離をAとし、前記光学レンズアセンブリと前記画像発生器との前記光軸における距離をCとした場合、前記光学レンズアセンブリがA+C<20mmを満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項3】
前記光学レンズアセンブリのレンズアセンブリ総長さをBとし、前記光学レンズアセンブリの中の最大レンズの有効開口をDとし、前記光学レンズアセンブリの画角をFOVとした場合、前記光学レンズアセンブリがFOV/(B×D)>0.4度/mm2を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項4】
前記光学レンズアセンブリの画角をFOVとした場合、前記光学レンズアセンブリがFOV>50度を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項5】
前記第一レンズ、前記第二レンズ、前記第三レンズ、前記第四レンズ及び前記第五レンズの屈折度が順に正、負、負、正及び正であることを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項6】
前記第一レンズがガラス非球面レンズであり、前記第二レンズがガラス非球面レンズであり、前記第三レンズがガラス球面レンズであり、前記第四レンズがガラス非球面レンズであり、及び前記第五レンズがガラス非球面レンズであることを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項7】
前記第一レンズがプラスチック非球面レンズであり、前記第二レンズがプラスチック非球面レンズであり、前記第三レンズがガラス球面レンズであり、前記第四レンズがガラス非球面レンズであり、及び前記第五レンズがガラス非球面レンズであることを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項8】
前記第三レンズと前記第四レンズが接合レンズを形成することを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項9】
前記光学レンズアセンブリはさらに、前記光学レンズアセンブリと前記絞りとの間に設置された第一プリズムを含み、
前記画像光束は前記光学レンズアセンブリを離れて、前記第一プリズムを通り、かつ前記絞りに集まり、
前記画像光束は前記絞りを通った後に発散することを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項10】
前記絞りは導波素子のカップリング入口に形成され、
前記画像光束は前記絞りを通って、前記カップリング入口から前記導波素子に入り、かつ前記導波素子のカップリング出口まで伝達され、さらに目標まで投射されることを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項11】
前記絞りと前記光学レンズアセンブリとの光軸における距離をAとし、前記光学レンズアセンブリと前記画像発生器との前記光軸における距離をCとし、前記光学レンズアセンブリの画角をFOVとした場合、
前記光学レンズアセンブリが、A+C<20mm、FOV/(B×D)>0.4度/mm2、及びFOV>50度を満たし、
かつ、前記絞りの形状が円形であることを特徴とする、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項12】
ヘッドマウント式表示装置であって、
前記ヘッドマウント式表示装置は光学レンズアセンブリ、画像発生器、絞り及び導波素子を含み、
前記光学レンズアセンブリが出光側から入光側へ順に配列された第一レンズ、第二レンズ、第三レンズ、第四レンズ及び第五レンズからなり、
前記光学レンズアセンブリのレンズアセンブリ総長さをBとし、前記光学レンズアセンブリの中の最大レンズの有効開口をDとした場合、前記光学レンズアセンブリがB×D<130mm2を満たし、
前記第一レンズが両凸レンズであり、前記第二レンズが凸凹レンズであり、前記第三レンズが両凹レンズであり、前記第四レンズが両凸レンズであり、及び前記第五レンズが両凸レンズであり、
前記画像発生器が前記入光側に設置され、
前記光学レンズアセンブリは前記画像発生器が提供する画像光束を受け、
前記絞りが前記出光側に形成され、前記絞りにおいて前記画像光束が最小光束断面積を有し、
前記絞りが前記導波素子のカップリング入口に形成され、前記画像光束が前記絞りを通って、前記カップリング入口から前記導波素子に入り、かつ前記導波素子のカップリング出口まで伝達されて、さらに目標まで投射されることを特徴とする、ヘッドマウント式表示装置。
【請求項13】
前記ヘッドマウント式表示装置はさらに、前記光学レンズアセンブリと前記絞りとの間に設置された第一プリズムを含み、
前記画像光束は前記光学レンズアセンブリを離れて、前記第一プリズムを通り、かつ前記絞りに集まり、
前記画像光束は前記絞りを通った後に発散することを特徴とする、請求項12に記載のヘッドマウント式表示装置。
【請求項14】
前記導波素子は、前記カップリング出口及び前記カップリング入口のところに設置された光学微構造を含み、
前記カップリング出口のところの前記光学微構造は、前記カップリング出口まで伝達された前記画像光束を前記目標まで投射することを特徴とする、請求項12に記載のヘッドマウント式表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学レンズアセンブリに関し、かつ、特にこの光学レンズアセンブリを有するヘッドマウント式表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
導波管(waveguide)を有するディスプレイ(導波ディスプレイ)は、その画像ソースの種類によって、自発光パネル構造、透過型パネル構造及び反射型パネル構造に分けることができる。自発光または透過型パネル構造の導波ディスプレイにおいて、パネルが提供した画像光束が光学レンズアセンブリを通って、カップリング入口から導波管に入る。続いて、画像光束が導波管中に伝達されてカップリング出口に到達すると、画像光束がさらに人の目の位置まで投射されて、画像を形成する。反射型パネル構造の導波ディスプレイにおいて、光源が提供した照明光束が照明光学装置に伝達され、その後照明プリズムによって照明光束が反射型パネルに照射され、反射型パネルが照明光束を画像光束に変換するため、反射型パネルが画像光束を光学レンズアセンブリまで伝達し、画像光束が光学レンズアセンブリを通って導波管に導入される。そして、画像光束が導波管中に伝達されてカップリング出口に到達すると、画像光束がさらに人の目の位置まで投射される。光学レンズアセンブリは画像ソース(パネル)で生成された画像を、一定距離離れたとことで虚像として形成し、この虚像が人の目を通って、網膜上に像を形成する。光学レンズアセンブリは導波管ディスプレイに応用され、光学レンズアセンブリの寸法の大きさ、重量が考慮すべき重要項目である。
「背景技術」は本発明内容の理解を促すことだけを目的とし、そのため、「背景技術」に開示された内容には当業者が把握している従来技術を構成しないものを含まれている可能性もある。「背景技術」に開示された内容は、当該内容または本発明の一つ若しくは複数の実施例が解決しようとする課題が本発明の出願前に当業者に承知または把握されていたことを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、寸法が小さく、重量が軽く、視野角(viewing angle)が大きくて、解像度が高い光学レンズアセンブリ提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のその他の目的と利点について、本発明が開示する技術特徴からさらに理解を深めることができる。前記一つ、一部または全ての目的及びその他の目的を達成するために、本発明の実施例は光学レンズアセンブリを提供し、この光学レンズアセンブリが出光側から入光側へ順に配列された第一レンズ、第二レンズ、第三レンズ、第四レンズ及び第五レンズを含む。入光側に画像発生器が設置される。光学レンズアセンブリは画像発生器が提供した画像光束を受ける。絞り(stop)は画像光束の出光側に形成される。絞りにおいて、画像光束が最小光束断面積を有する。
【0005】
前記一つ、一部または全ての目的及びその他の目的を達成するために、本発明の別の実施例は、光学レンズアセンブリ、画像発生器、絞り及び導波素子を含むヘッドマウント式表示装置を提供する。光学レンズアセンブリは出光側から入光側へ順に配列された第一レンズ、第二レンズ、第三レンズ、第四レンズ及び第五レンズを含む。画像発生器が入光側に設置される。光学レンズアセンブリは画像発生器が提供した画像光束を受ける。絞りは出光側に形成される。絞りにおいて、画像光束が最小光束断面積を有する。絞りは導波素子のカップリング入口に形成される。画像光束は絞りを通って、カップリング入口から導波素子に入り、かつ導波素子のカップリング出口まで伝達されて、されに目標まで投射される。
【0006】
以上により、本発明の実施例は少なくとも以下の一つの利点または効果を有する。本発明で示された実施例において、光学レンズアセンブリの設計により、光学レンズアセンブリの長さが比較的に短く、ディスプレイの外観体積がさらに縮小されている。また、光学レンズアセンブリ中のレンズの材料を検討して、光学レンズアセンブリの重量を軽減し、さらにディスプレイの重量を軽減することができる。本発明の光学レンズアセンブリは、寸法が小さく、重量が軽く、視野角が大きく、かつ解像度が高いとうメリットを有する。
本発明の前記特徴と利点をより明確に分かりやすく示すため、以下はその好ましい実施例を挙げて、かつ図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例のヘッドマウント式表示装置を示す概略図。
図2A図1のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの非点収差像面湾曲図及び歪曲収差図。
図2B図1のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの横方向色収差図。
図2C図1のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの変調伝達関数の曲線図。
図2D図1のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの光路差の図。
図3】本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置を示す概略図。
図4】本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置を示す概略図。
図5】本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置を示す概略図。
図6A図5のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの非点収差像面湾曲図及び歪曲収差図。
図6B図5のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの横方向色収差図。
図6C図5のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの変調伝達関数の曲線図。
図6D図5のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの光路差の図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の前記及びその他の技術内容、特徴と効果について、以下は図面を参照した好ましい実施例の詳細説明を通して明確に示すとする。以下の実施例において言及される方向用語、例えば、上、下、左、右、前及び後などは、図面を参照する方向のみである。従って、これらの方向用語は説明目的に用いられるものであり、本発明を制限するものではない。
【0009】
図1は本発明の一実施例のヘッドマウント式表示装置を示す概略図である。図1を参照すると、本実施例のヘッドマウント式表示装置100は導波素子130を有するヘッドマウント式表示装置であってもよいが、本発明はこれに限定されない。本実施例において、ヘッドマウント式表示装置100は光学レンズアセンブリ110、照明プリズム(第二プリズム)120、導波素子130及び画像発生器150を含む。光学レンズアセンブリ110の入光側ISに画像発生器150が設置されている。画像発生器150は、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device、DMD)または反射型シリコン基板液晶素子(Liquid crystal on silicon、LCoS)などの画像表示素子であってもよいが、別の実施例において、画像発生器150が透過型の空間光変調器、例えば、透光液晶パネル(Transparent Liquid Crystal Panel)などであってもよい。画像発生器150は有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)、マイクロ有機発光ダイオード(Micro Organic Light-Emitting Diode、Micro OLED)またはマイクロ発光ダイオード(Micro Light Emitting Diode、Micro LED )であってもよい。本発明は画像発生器150の形態及びその種類について制限しない。照明プリズム(第二プリズム)120は取り外し可能な照明プリズム120であってもよく、本発明では照明プリズム(第二プリズム)120の形態及びその種類について制限しない。照明プリズム120は光学レンズアセンブリ110と画像発生器150との間に設置されてもよい。画像発生器150が提供した画像光束IMは、照明プリズム120を通って光学レンズアセンブリ110に入る。光学レンズアセンブリ110は画像光束IMを受けることに適している。本実施例において、画像発生器150を保護し、埃の影響を避けるために、画像発生器150と照明プリズム120との間にカバーガラス(cover glass)140が設置されている。
【0010】
本実施例において、画像光束IMは光学レンズアセンブリ110を通った後、光学レンズアセンブリ110の出光側ESに絞り(stop)STを形成する。本実施例において、絞りSTは画像光束IMの出光側ESに形成される。絞りSTにおいて、画像光束IMが最小光束断面積を有する。例を挙げると、本実施例において、X軸とY軸で形成される参考平面に位置し、絞りSTが例えば円形であり、かつX軸方向とY軸方向における直径寸法が一致する。本実施例において、画像光束IMが光学レンズアセンブリ110を通った後絞りSTを形成し、絞りSTにおいて、画像光束IMが最小光束断面積を有する。従って、画像光束IMが光学レンズアセンブリ110を通った後、絞りSTで縮小され、かつ絞りSTを通過した後に発散する。本実施例において、画像光束IMが導波素子130のカップリング出口まで伝達され、さらに既定の目標まで投射される。一実施例において、前記予定の目標は例えば人の目である。
【0011】
本実施例において、一つの状況として、光学レンズアセンブリ110はB×D<130を満たし、ここで、Bが光学レンズアセンブリ110のレンズアセンブリ総長さあり、Dが光学レンズアセンブリ110中の最大レンズの有効開口(Clear aperture)であり、本実施例において、Dが例えば第一レンズ112の有効開口である。本実施例において、別の状況として、光学レンズアセンブリ110はA+C<20を満たし、ここで、Aが絞りSTと光学レンズアセンブリ110との光軸OAにおける距離であり、図1が示すように、Aが絞りSTと第一レンズ112の出光面S1との距離であってもよく、かつ、Cが光学レンズアセンブリ110と画像発生器150との光軸OAにおける距離であり、図1が示すように、Cが光学レンズアセンブリ110の入光側ISに最も近い表面(例えば、S10)と画像発生器150の光軸OAにおける距離であってもよい。本実施例において、さらに別の状況として、光学レンズアセンブリ110はFOV/(B×D)>0.4を満たし、ここで、FOVが光学レンズアセンブリ110の画角(field angle)である。本実施例において、さらに別の状況として、光学レンズアセンブリ110はFOV>50を満たす。本実施例において、さらに別の状況として、光学レンズアセンブリ110はB×D<130、A+C<20、FOV/(B×D)>0.4、FOV>50を同時に満たす。本実施例において、前記パラメータA、B、C、Dは、例えばそれぞれ5.8ミリメートル(millimeters)、10.17ミリメートル、11.76ミリメートル、12.2ミリメートルである。これらのパラメータの数値は例示的な説明のみであり、本発明を限定するものではない。本実施例において、光学レンズアセンブリ110の画角が約60度であり、例えば58度である。
【0012】
本実施例において、光学レンズアセンブリ110は、出光側ESから入光側ISへ順に配列された第一レンズ112、第二レンズ114、第三レンズ116、第四レンズ111及び第五レンズ113を含み、かつ、第一レンズ112、第二レンズ114、第四レンズ111及び第五レンズ113の屈折度が順に正、負、負、正及び正である。本実施例において、第一レンズ112が両凸レンズ、第二レンズ114が凸凹レンズ、第三レンズ116が両凹レンズ、第四レンズ111が両凸レンズ、及び第五レンズ113が両凸レンズであってもよい。さらに、実施例において、第三レンズ116及び第四レンズ111が接合レンズを形成してもよい。本実施例において、第一レンズ112、第二レンズ114、第四レンズ111及び第五レンズ113がガラス非球面レンズであって、第三レンズ116がガラス球面レンズであってもよい。別の実施例において、第一レンズ112及び第二レンズ114がプラスチック非球面レンズであってもよい。
【0013】
以下、光学レンズアセンブリ110の一実施例について説明する。なお、以下に取り上げるデータ資料は本発明を限定するものではなく、当業者が本発明を参照したうえで、そのパラメータまたは設定を適宜変更することが可能であり、この変更したものも本発明の範囲に属する。
【0014】
【表1】
図1及び表一を参照すると、表一において各レンズ(第一レンズ112ないし第五レンズ113を含む)の表面が示されている。例を挙げると、表面S1は第一レンズ112の出光側ESに面した表面であり、表面S2は第一レンズ112の入光側ISに面した表面であり、その他のレンズも同じ。また、間隔とは隣接する二つの表面の間の光軸OAにおける直線距離を言う。例を挙げる、表面S1に対応する間隔は、表面S1から表面S2までの光軸OAにおける直線距離を示し、かつ表面S2に対応する間隔は、表面S2から表面S3までの光軸OAにおける直線距離を示し、その他の間隔も同じ。
【0015】
本実施例において、第一レンズ112、第二レンズ114、第四レンズ111及び第五レンズ113が非球面レンズであってもよい。非球面レンズの公式は以下の通りである。
【0016】
【数1】

前記式において、Xが光軸OA方向の移動量(sag)であり、Rが接触球面(osculating sphere)の半径であり、つまり、光軸OAに近接する半径(表一が示す半径逆数)である。kは二次曲面係数(conic)であり、Yは非球面高さであり、即ち、レンズの中心からレンズのエッジまでの高さであり、係数A2、A4、A6、A8、A10、A12は非球面係数(aspheric coefficient)である。本実施例において、係数A2が0である。以下の表二は各レンズの表面のパラメータ値を示すものである。表面S5、S6、S7の係数k、A4、A6、A8、A10、A12が0である。
【0017】
【表2】
図2A図1のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの非点収差像面湾曲(field curvature)図及び歪曲収差図である。図2B図1のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの横方向色収差図であり、これは波長465ナノメートル(nm)、525ナノメートル、620ナノメートルの光を用いて作成されたシミュレーションデータ図であり、横軸が横方向色収差を示し、縦軸が像の高さを示す。図2C図1のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの変調伝達関数の曲線図であり、横軸が焦点移動量(focus shift)を示し、縦軸が光学伝達関数のモジュラー(modulus of the OTF)を示す。図2D図1のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの光路差の図である。図2Aないし図2Dが示す図形がいずれも標準範囲内にあり、これにより、本実施例の光学レンズアセンブリ110が優れた像形成効果を有することが検証された。また、図2Dが示すように、画像発生器150のアクティブ表面において、画像光束IMが有するOPDの範囲は -2.0λ<OPD<2.0λであり、ここで、OPDが各画角の光路差であり、λが各色光の波長であり、かつ、画像光束IMが赤色光、緑色光、青色光を含む。画像発生器150のアクティブ表面は画像光束IMが出射される表面である。さらに説明すると、この光路差の設計において当業者が簡単に分かるのは、光学レンズアセンブリを設計する時に、光学シミュレーション方法を用いることで、物体表面から画像ソースが提供すべき画像光束の各画角における光路差を逆推算することができる。本実施例において、画角の設計最適化で60度FOVに達することができ、比較的に優れた視野範囲が得られる。単位断面積での画角比率が高く、比率が0.49(度/平方ミリメートル)に達し、光学レンズアセンブリ110の体積が比較的に薄軽短小であり、空間の有効利用率が高い。本実施例において、光学レンズアセンブリ110の設計が予め設定した基準を満たし、少なくともの93lp/mmの解像度の画像(図2Cが示すように)を解析することが可能であり、光学レンズアセンブリ110の寸法が小さく、重量が軽く、視野角が大きくて、かつ高い解像度を有する。
【0018】
図3は本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置を示す概略図である。図3を参照すると、本実施例のヘッドマウント式表示装置200は図1のヘッドマウント式表示装置100に類似するが、両者の主な相違点は、例えば、ヘッドマウント式表示装置200の転向プリズム260(第一プリズム)及び導波素子230にある。本実施例において、転向プリズム260は光学レンズアセンブリ110と絞りSTとの間に設置される。画像光束IMは光学レンズアセンブリ110を離れ、転向プリズム260を通った後、伝達方向が変更され、絞りSTに集められる。画像光束IMは絞りSTを通った後に発散する。本実施例において、導波素子230はカップリング入口232及びカップリング出口234を含む。カップリング入口232及びカップリング出口234は、例えば、画像光束が導波素子230に入射する表面領域と画像光束が導波素子230を離れる表面領域である。絞りSTは導波素子230のカップリング入口232のところに形成される。画像光束IMは絞りSTを通って、カップリング入口232から導波素子230に入り、かつ導波素子230のカップリング出口234まで伝達され、さらに目標900まで投射される。ここで、投射目標900は例えば人の目である。本実施例において、導波素子230は光学微構造(図示せず)を含む。光学微構造はカップリング出口234のところに設置され、またはカップリング入口232のところに設置されてもよい。カップリング出口234のところの光学微構造は、カップリング出口234まで伝達された画像光束IMを目標900へ投射する。
【0019】
本実施例において、一つの状況として、光学レンズアセンブリ110が B×D<130を満たし、別の状況として、光学レンズアセンブリ110がA+C<20を満たし、光学レンズアセンブリ110が FOV/(B×D)>0.4を満たし、さらに別の状況として、光学レンズアセンブリ110が FOV>50を満たす。また別の状況として、光学レンズアセンブリ110が B×D<130、A+C<20、FOV/(B×D)>0.4、FOV>50を同時に満たす。ここで、Aは絞りSTと光学レンズアセンブリ110とが光軸OAにおける距離である。本実施例において、Aは第一レンズ112の表面S1と転向プリズム260の表面S11が光軸OAにおける距離、及び転向プリズム260の表面S11と絞りSTの表面が光軸OAにおける距離の合計距離である。本実施例において、前記パラメータA、B、C、Dは、例えば、それぞれ5.8ミリメートル(millimeters)、10.17ミリメートル、11.76ミリメートル、12.2ミリメートルである。これらのパラメータの数値は例示的な説明のみであり、本発明を限定するものではない。
【0020】
図4は本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置を示す概略図である。図4を参照すると、本実施例のヘッドマウント式表示装置300は図1のヘッドマウント式表示装置100に類似するが、両者の主な相違点は、例えば、導波素子230の設計にある。また、本実施例において、絞りSTと第一レンズ112との間にガラスブロックまたはプリズムがない。画像光束IMが光学レンズアセンブリ110を離れた後、空气中に伝達されて絞りSTに集められる。
【0021】
本実施例において、一つの状況として、光学レンズアセンブリ110が B×D<130を満たし、別の状況として、光学レンズアセンブリ110がA+C<20を満たし、光学レンズアセンブリ110がFOV/(B×D)>0.4を満たし、さらに別の状況として、光学レンズアセンブリ110がFOV>50を満たす。また別の状況として、光学レンズアセンブリ110がB×D<130、A+C<20、FOV/(B×D)>0.4、FOV>50を同時に満たす。本実施例において、前記パラメータA、B、C、Dは、例えば、それぞれ3.8ミリメートル(millimeters)、10.17ミリメートル、11.76ミリメートル、12.2ミリメートルである。これらのパラメータの数値は例示的な説明のみであり、本発明を限定するものではない。
【0022】
図5は本発明の別の実施例のヘッドマウント式表示装置を示す概略図である。図5を参照すると、本実施例のヘッドマウント式表示装置400は、例えば、導波素子130を有するヘッドマウント式表示装置であるが、本発明はこれに限定されない。本実施例において、ヘッドマウント式表示装置400は光学レンズアセンブリ410、照明プリズム(第二プリズム)120、導波素子130及び画像発生器150を含む。入光側ISに画像発生器150が設置されている。照明プリズム120は光学レンズアセンブリ410と画像発生器150との間に設置されている。画像発生器150が提供した画像光束IMは照明プリズム120を通って、光学レンズアセンブリ410に入る。光学レンズアセンブリ410は画像光束IMを受けることに適している。本実施例において、画像発生器150と照明プリズム120との間にカバーガラス(cover glass)140が設置され、画像発生器150を保護する。
【0023】
本実施例のヘッドマウント式表示装置400は図1の実施例のヘッドマウント式表示装置100に類似するが、両者の主な相違点は、例えば、第一レンズ412及び第二レンズ414がプラスチック非球面レンズであり、第三レンズ416がガラス球面レンズであり、かつ第四レンズ411及び第五レンズ413がガラス非球面レンズである。第一レンズ412及び第二レンズ414にプラスチックレンズを用いることで、第一レンズ412及び第二レンズ414に鋳込ガラスを用いる場合の製造難易度を低減することができる。
【0024】
以下、光学レンズアセンブリ410の一実施例を挙げて説明するなお、以下に取り上げるデータ資料は本発明を限定するものではなく、当業者が本発明を参照したうえで、そのパラメータまたは設定を適宜変更することが可能であり、この変更したものも本発明の範囲に属する。
【0025】
【表3】
図5及び表三を参照すると、表三において各レンズ(第一レンズ412ないし第五レンズ413を含む)の表面が示されている。例を挙げると、表面S1は第一レンズ412の出光側ESに面した表面であり、表面S2は第一レンズ412の入光側ISに面した表面であり、その他のレンズも同じ。また、間隔とは隣接する二つの表面の間の光軸OAにおける直線距離を言う。例を挙げる、表面S1に対応する間隔は、表面S1から表面S2までの光軸OAにおける直線距離を示し、かつ表面S2に対応する間隔は、表面S2から表面S3までの光軸OAにおける直線距離を示し、その他の間隔も同じ。
【0026】
本実施例において、第一レンズ412、第二レンズ414、第四レンズ411及び第五レンズ413が非球面レンズであってもよい。非球面レンズの公式が以下の通りである。
【0027】
【数2】

前記式において、Xが光軸OA方向の移動量(sag)であり、Rが接触球面(osculating sphere)の半径であり、つまり、光軸OAに近接する半径(表一が示す半径逆数)である。kは二次曲面係数(conic)であり、Yは非球面高さであり、即ち、レンズの中心からレンズのエッジまでの高さであり、係数A2、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16は非球面係数(aspheric coefficient)である。本実施例において、係数A2が0である。以下の表四は各レンズの表面のパラメータ値を示すものである。表面S5、S6、S7の係数k、A4、A6、A8、A10、A12が0である。
【0028】
【表4】
図6A図5のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの非点収差像面湾曲(field curvature)図及び歪曲収差図である。図6B図5のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの横方向色収差図であり、これは波長465ナノメートル(nm)、525ナノメートル、620ナノメートルの光を用いて作成されたシミュレーションデータ図であり、横軸が横方向色収差を示し、縦軸が像の高さを示す。図6C図5のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの変調伝達関数の曲線図であり、横軸が焦点移動量(focus shift)を示し、縦軸が光学伝達関数のモジュラー(modulus of the OTF)を示す。図6D図5のヘッドマウント式表示装置の光学レンズアセンブリの光路差の図である。図6Aないし図6Dが示す図形はいずれも標準範囲内にあり、これにより、本実施例の光学レンズアセンブリ410が優れた像形成効果を有することが検証された。また、図6Dが示すように、画像発生器150のアクティブ表面において、画像光束IMが有するOPDの範囲は -2.0λ<OPD<2.0λであり、ここで、OPDが各画角の光路差であり、λが各色光の波長であり、かつ、画像光束IMが赤色光、緑色光、青色光を含む。画像発生器150のアクティブ表面は画像光束IMが出射される表面である。本実施例において、光学レンズアセンブリ410の設計が予め設定した基準を満たし、光学レンズアセンブリ410は寸法が小さく、重量が軽く、視野角が大きくて、かつ高い解像度を有する。
【0029】
以上をまとめると、本発明の実施例は少なくとも以下の一つの利点または効果を有する。本発明の例示的な実施例において、光学レンズアセンブリの設計が予め設定された基準を満たすため、光学レンズアセンブリは寸法が小さく、重量が軽く、視野角が大きく、かつ解像度が高い。
【0030】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施範囲を制限するものではない。本発明の請求の範囲及び発明内容を基に行われた簡単、等価の変更と修正はすべて本発明の範囲内に属する。また、本発明の任意の実施例または請求項は、必ずしも本発明のすべての目的または利点または特徴を達成するものとは限らない。さらに、要約書と発明の名称は特許検索に利用されるものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。また、請求の範囲で言及される「第一」、「第二」等の用語は素子(element)の名称を示し、または異なる実施例及び範囲を区別するものであり、素子の数の上限または下限を制限するものではない
【符号の説明】
【0031】
100、200、300、400 ヘッドマウント式表示装置
110、410 光学レンズアセンブリ
111、112、113、114、116、411、412、413、414、416、418 レンズ
120 照明プリズム(第二プリズム)
130、230 導波素子
150 画像発生器
140 カバーガラス
232 カップリング入口
234 カップリング出口
260 転向プリズム(第一プリズム)
900 目標
A、C 距離
B レンズアセンブリ総長さ
D 有効開口
ES 出光側
IM 画像光束
IS 入光側
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、S10、S11 表面
ST 絞り
OA 光軸
X、Y、Z 座標軸。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D