(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】おむつ用包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 85/07 20170101AFI20240510BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240510BHJP
B65D 77/30 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B65D85/07
B65D33/00 C
B65D33/00 A
B65D77/30 C
(21)【出願番号】P 2020116650
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100164345
【氏名又は名称】後藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】神山 いづみ
(72)【発明者】
【氏名】内山 美穂
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 久記
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信也
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-111165(JP,A)
【文献】特開2002-316384(JP,A)
【文献】特開2014-125249(JP,A)
【文献】特開2011-184076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/07
B65D 33/00
B65D 77/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
おむつを収納する包装袋であって、
前記包装袋は、おむつを収納した状態において、対向する前面及び後面と、前記前面及び前記後面との両方に隣接した4つの面とからなる直方体の形状を有し、前記前面及び前記後面は前記直方体の最も面積の大きい面であり、
前記前面及び前記後面の少なくとも一方に、商品種別表示部、対象者画像表示部、及びサイズ表示部の少なくとも1つが配されており、
前記4つの面のうちの1つの面には、前記包装袋を開封する開封手段と、該開封手段
を跨いで該開封手段により切断可能にされた、前記おむつの技術的機能を表示する第1技術機能表示部とが
、配されている、
おむつ用包装袋。
【請求項2】
前記4つの面のうち、前記開封手段及び前記第1技術機能表示部が配されている面に隣接するいずれかの面に、前記第1技術機能表示部と関連する第2技術機能表示部が配されている、請求項1に記載のおむつ用包装袋。
【請求項3】
前記開封手段及び前記第1技術機能表示部が配されている面には、前記第1技術機能表示部から前記第2技術機能表示部へ誘導する誘導表示部が設けられている、請求項2に記載のおむつ用包装袋。
【請求項4】
前記第1技術機能表示部及び前記第2技術機能表示部が、それぞれ前記おむつの使用方法に関連した機能の説明を含む表示部である、請求項2又は3に記載のおむつ用包装袋。
【請求項5】
前記開封手段及び前記第1技術機能表示部が配されている面には、前記第1技術機能表示部の近傍に、前記第1技術機能表示部に関連するインターネット上の情報へアクセスするためのリンク情報の表示部が配されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のおむつ用包装袋。
【請求項6】
前記開封手段及び前記第1技術機能表示部が配されている面に、吊手を備える請求項1~5のいずれか1項に記載のおむつ用包装袋。
【請求項7】
前記包装袋の絵柄が環境対応型インキで印刷されている、及び/又は前記包装袋が環境対応型フィルムからなる、請求項1~6のいずれか1項に記載のおむつ用包装袋。
【請求項8】
前記開封手段及び第1技術機能表示部が配されている面は、前記前面と該前面の上辺を共有している、請求項1~7のいずれか記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつ等の吸収性物品の包装袋には、様々な目的から、絵柄等の表示について工夫が行われている。
例えば、特許文献1には、吸収性物品の対象とする着用者が分かるよう、包装袋のおもて面に、着用者の画像を補助者の画像よりも鮮明に表示しすることが記載されている。
特許文献2には、商品情報を表示した第1の表面(露出面)と商品情報と無関係なデザインを表示した第2の表面(内側面)とを有する包装袋が記載されている。該包装袋は、購入時には前記商品情報を露出させ、購入後には裏返して第2の表面を露出させて前記商品情報を隠すように構成されている。
特許文献3には、包装袋の上面側にミシン目が配され、これとは異なる前側表面に内容物に関する情報の表示部を複数配した包装体が記載されている。
特許文献4には、包装される物品に関する主機能と副機能とに区分した各表示要素をパッケージ表面に配し、主機能の表示要素を副機能の表示要素よりも大きくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-139294号公報
【文献】特開2016-68979号公報
【文献】特開2019-214427号公報
【文献】特開2009-291254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
おむつを収納する包装袋は、最も面積が大きい前面又は後面におむつに関する様々な情報を表示して、消費者へ購入を訴求するようにされることが多い。表示する情報としては、例えば、おむつが有する技術的利点、ブランド名、着用対象者の図又は写真、サイズといった様々な情報が挙げられる。
様々な情報が混在する表示面では、その中に技術的機能(機能性特徴)に関する表示が紛れやすく見落とされてしまう可能性がある。おむつの技術的機能は、使用の段階で必要となるものが多いが、購入時に限らず、包装袋を開封しておむつを使用する段階、さらにはその後の扱いに至る段階まで、消費(使用)者が明確に認識し、それを活かして使用してもらいたい。すなわち、購入時ばかりでなく、その技術的機能の内容によっては、使用時にその技術的機能を発揮させるよう正しくおむつを取り扱ってもらえるような商品を提供したい。この視点からは、包装袋において、おむつの技術的機能表示に対する消費者の着目度を高める工夫について、前記特許文献1~4に記載はない。
本発明は、上記の点に鑑み、おむつが有する技術的機能(購入時、使用時、使用後の取り扱いの際等における機能性)を消費者により確実に伝えることができる、おむつ用包装袋に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、おむつを収納する包装袋であって、前記包装袋は、おむつを収納した状態において、対向する前面及び後面と、前記前面及び前記後面との両方に隣接した4つの面とからなる直方体の形状を有し、前記前面及び前記後面は前記直方体の最も面積の大きい面であり、
前記前面及び前記後面の少なくとも一方に、商品種別表示部、対象者画像表示部、及びサイズ表示部の少なくとも1つが配されており、前記4つの面のうちの1つの面には、前記包装袋を開封する開封手段と、該開封手段の近傍の、前記おむつの技術的機能を表示する第1技術機能表示部とが配されている、おむつ用包装袋を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のおむつ用包装袋は、おむつが有する技術的機能を消費者により確実に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のおむつ用包装袋の好ましい一実施形態を、おむつを収納した状態として模式的に示す一部切欠き斜視図である。
【
図2】
図1に示すおむつ用包装袋における前面の別の具体例を示す平面図である。
【
図3】本発明のおむつ用包装袋が有する、開封手段及び第1技術機能表示部が配された面の好ましい一実施形態を示す平面図である。
【
図4】本発明のおむつ用包装袋が有する、開封手段及び第1技術機能表示部が配された面の別の好ましい一実施形態を示す平面図である。
【
図5】本発明のおむつ用包装袋の側面の好ましい一実施形態を示す平面図である。
【
図6】本発明のおむつ用包装袋の天面にある吊手の好ましい一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るおむつ用包装袋の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、おむつを収納する包装袋(以下、おむつ用包装袋と言い、単に包装袋ともいう)2を、複数のおむつ1を収納した包装体3として示している。
おむつ用包装袋2は、おむつ1を収納した状態において、対向する前面21及び後面22、これらに隣接した4つの面からなる直方体を有する。「直方体」とは、長方形又は正方形の6面を有する立体形状である。おむつ1を包装袋2に収納した状態における包装袋2の立体形状は、全体のシルエットが直方体の形状になっていればよく、角が丸みを帯びていてもよく、部分的な接合や折り込み、突出があってもよい。
なお、
図1において、包装袋2の各面と各表示部との配置の理解のため、立体形状における面以外の包装袋2に関する詳細な構成は省略している。例えば、包装袋2の折り目、接合部等は省略して示している。
【0010】
前面21及び後面22は、直方体の最も面積の大きい面である。それゆえ、前面21及び後面22は、消費者へ購入を訴求することを目的に、好ましくは様々な文字や絵柄を配しておむつに関する消費者への訴求事項を表示する。具体的には、前面21及び後面22の少なくとも一方に、商品種別表示部4、対象者画像表示部5及びサイズ表示部6の少なくとも1つが配されている。
図1の包装袋2においては、前面21に商品種別表示部4、対象者画像表示部5及びサイズ表示部6が配されている。
前面21と後面22とは包装袋2の表裏をなす面であり、2つある最も面積の大きい面のうちいずれの面が前面21となるかは、おむつ1を収納した包装体3の陳列時にいずれの面を正面にするかによって決められる。そのため、ある場面で前面21としていた面が、別の場面で後面22になることもある。この場合は、両面に商品種別表示部4、対象者画像表示部5及びサイズ表示部6の少なくとも1つが配されていることが好ましい。これらの表示部の構図は、前面21と後面22で同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、最も面積の大きい面が2面よりも多くある場合、他の面に比べて商品種別表示部4、対象者画像表示部5、及びサイズ表示部6が一番多く配されている面が前面21又は後面22となる。
【0011】
商品種別表示部4は、視覚を通じて商品種別を消費者に認識させる情報を有するものを意味する。例えば、商品種別表示部4は、商品名(ブランド名)を示す情報を備える。商品名に加えて、必要により、おむつのタイプ(テープ型、パンツ型等)を示す情報を備えていてもよい。商品種別表示部4は、上記情報に、他の文字、記号、図形、若しくは絵柄のいずれか1つ又は複数を組合せたものであってもよい。
図1では、商品名「〇〇〇〇」を楕円で囲んだ構成を有する。
図2では、商品名「〇〇〇〇」、上側に位置する商品のマスコットキャラクターのうさぎの絵、下側に位置する「パンツタイプ」の文字を楕円で囲んだ構成を有する。
【0012】
対象者画像表示部5は、対象月齢もしくは対象年齢情報を認識させる表示部である。具体的には、乳幼児用おむつであれば乳幼児のおむつ着用姿もしくは高月齢用であれば衣服着用姿を、大人用おむつであれば高齢者のおむつ着用姿あるいは衣服着用姿を、視覚的に表示したものを意味する。対象者画像表示部5は、対象者を示していれば、写真画像でもよく、絵柄でもよい。
対象者画像表示部5は、乳幼児用おむつでは、対象月齢の乳幼児の行動を姿によって表すことが好ましい。例えば、新生児であれば寝ている行動の姿、6カ月程度であれば座る行動の姿、9カ月程度であればハイハイする行動の姿、10カ月程度であれば立つ行動の姿、また、2歳以上の高月齢であれば衣服を着用して歩く姿等が挙げられる。大人用おむつの場合、高齢者が元気に歩く行動の姿、高齢者が夫婦でくつろぐ行動の姿、高齢者がおむつを装着する行動の姿等が挙げられる。対象者画像表示部5は、上記情報に、他の文字、記号、図形、若しくは絵柄のいずれか1つ又は複数を組合せたものであってもよい。
図1では、おむつを着用して立ち上がった乳幼児を表示している。
図2では、おむつを着用してハイハイしている姿の乳幼児を表示し、更に商品のマスコットキャラクターのうさぎの絵を添えて表示している。
【0013】
サイズ表示部6は、おむつのサイズに関する情報を含む表示部である。おむつのサイズに関する情報の例としては、おむつそのもののサイズ(新生児、S、M、L、Big、Bigより大きい等)、対象者の体重、対象者の胴回りのサイズ等が挙げられる。サイズ表示部6は、文字で表したものでもよく、図柄により表したものでもよい。他の文字、記号、図形、若しくは絵柄のいずれか1つ又は複数を組合せたものであってもよい。
図1では、「BIGサイズ」の文字を表示している。
図2では、「Mサイズ」の文字を表示している。
【0014】
包装袋2は、前述のとおり、おむつ1を収納した状態において前面21及び後面22に隣接した4つの面を有する。4つの面は、前面21となる面の店頭等における置き方(正面にした面の上下の定め方)によって、相対的に天面、底面及び左右側面として定められる。すなわち
図1に示すように、前面21を、上下を定めて置いたときの、上部側に位置する面が天面25であり、天面25に対向する下側の位置にある面(載置面に接する面)が底面24であり、残りが左右側面23、23となる。
なお、前面21において定める上下は、前面21となる面に配された商品種別表示部4、対象者画像表示部5及びサイズ表示部6の全体の構図の向きを判断基準として決められる。また、
図1に示す前面21に対向する裏面22が陳列等で正面に向けられる場合は、その裏面22の上下の向きによって天面25、底面24及び左右側面23、23が定められる。包装袋2において、面積の最も面積の大きい2つの面である前面21及び裏面22の上下は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、
図1に示す前面21の上下に対し、この上下を90度回転させた向きが裏面22の上下となってもよい。また、本実施形態の包装袋2では、天面25が前面21と前面21の上辺211を共有している。また、底面24が前面21と前面21の下辺212を共有し、左右側面23、23が前面21と前面21の側辺213、213を共有している。そして、前面21は上辺211及び下辺212が側辺213、213より長い構成なので、天面25及び底面24が前面21と前面21の長辺を共有し、左右側面23,23が前面21と前面21の短辺を共有することとなっている。
【0015】
前述の4つの面のうちの1つの面には、開封手段7が設けられている。加えて、前記1つの面には、開封手段7の近傍におむつの技術的機能を表示する第1技術機能表示部8が配されている。
開封手段7及び第1技術機能表示部8が配された面は、前面21と後面22との両方に隣接する4つの面のいずれに設けられていてもよい。
図1においては、天面25が開封手段7と第1技術機能表示部8が配された面である。開封手段7及び第1技術機能表示部8が配された面が天面25にあると、包装袋2が置かれた状態で、おむつ1を開封手段から取り出しやすく、おむつ1を取り出した後も包装袋2が大きく型崩れする事が抑制されるので、第1技術表示部8が、おむつ1の残りが僅かになるまで視認しやすく好ましい。
【0016】
4つの面のうちの1つの面に開封手段7を配し、開封手段7の近傍に第1技術機能表示部8が配されていることで、開封機能に関連させて第1技術機能表示部8に対する消費者の着目度を高めることができる。これにより、第1技術機能表示部8が、面積が最も大きい前面21及び後面22の絵柄に紛れることなく、消費者の見落としの可能性を小さくすることができる。また、使用時に消費者が手と目で開封手段7に触れるので、開封手段7の近傍にある第1技術機能表示部8の消費者の着目度が上がり、見落としの可能性を小さくすることができる。これにより、おむつに関する技術的機能を消費者に効果的に認識させることができる。
以下、開封手段7及び第1技術機能表示部8について詳述する。
【0017】
開封手段7は包装袋を開封して中のおむつを取り出すことができる手段であればよく、代表的なものとしてミシン目、開孔、切り欠き等が挙げられる。開封手段7は、直線的に配されたミシン目であることが好ましい。開封手段7は、前述の4つの面のうちの1つの面だけに限らず、複数の面に亘って設けることもできる。
開封手段7は、中のおむつを取り出すことができるように配されていれば、それが配された面の面内の位置は特に限定されない。前面及び後面との境をなす辺に対して平行に配されていることが好ましい。さらに、開封手段7は、この2つの辺を直角に結ぶ方向に沿う面幅の中央領域に配されていることが好ましい。開封手段7は、面の全長にわたって配することもでき、面の一部に配することもできる。同一面に複数配置してもよく、複数の開封手段7を四角形状に配置して、開封手段7が設けられた面の一部を除去することができる態様としてもよい。
【0018】
第1技術機能表示部8は、「おむつが有する技術的機能」と該技術的機能の「達成技術手段」とを共に表示した部分である。その際、「達成技術手段」をおむつの構成部材で示し、「おむつが有する技術的機能」を前記構成部材の作動によって表示した部分であることが好ましい。また、第1技術機能表示部8は、「達成技術手段」を用いて「おむつが有する技術的機能」を発現せしめる場面を含めて表示した部分であることがより更に好ましい。更には「おむつが有する技術的機能」を動作させる場面を含めての表示とすることで第1技術機能表示部8を表現することが好ましい。このような第1技術機能表示8には、「モレゼロへ」、「モレない」、「ムレない」、「かぶれない」といった単なる目標又は効果だけの表示は含まれない。
【0019】
前記「おむつが有する技術的機能」と「達成技術手段」とを共に表示した部分であるとしては、例えば、漏れ防止機能とその機能を達成するためにお腹周りや脚周りのすきまを防ぐ手段や、ムレ防止機能とその機能を達成するためにおむつ内の湿気を外に逃がす手段、カブレ防止機能とその機能を達成するため皮膚とおむつ吸収体の間に空間を作る手段などが挙げられる。
前記「達成技術手段」をおむつの構成部材で示し、「おむつが有する技術的機能」を前記構成部材の作動によって表示した部分としては、例えば、漏れ防止機能をおむつの構成部材であるお腹周り伸縮材や脚周り伸縮材が乳幼児の動きに追従して伸び縮みする作動によって表示したり、ムレ防止機能をおむつの最外層通気性シートが尿は通さず、水蒸気だけを通気する作動によって表示、カブレ防止機能をおむつの立体形状表面材が加圧に対してクッション性を発揮する作動によって表示する事が挙げられる。
【0020】
また「おむつが有する技術的機能」は、おむつの使用方法に関連する機能であることが好ましい。おむつの使用方法に関連する機能としては、例えば、おむつ装着時においておむつを当てるもしくは履かせる行為に関連する機能、おむつ装着中のおむつの取り換えお知らせに関連する機能、使用後のおむつの廃棄に関連する機能等が挙げられる。例えば、テープおむつにおいて背側フラップにあるテープをお腹側の止着テープに当てて止める方法に関連する機能、おむつの変え時を確認する方法に関連する機能、おむつを丸めて廃棄する方法に関連する機能等が挙げられる。第1技術機能表示8が、上記のようなおむつの使用方法に関連する機能を「達成技術手段」と共に表示することによって、「おむつが有する技術的機能」を適切に発揮させることができる。
【0021】
第1技術機能表示部8は、文字により示してもよく、図柄等により示してもよく、これらを組み合わせて示してもよい。
第1技術機能表示部8が前述の「おむつが有する技術的機能」と「達成技術手段」の組み合わせの表示部である場合、該「達成技術手段」によって「おむつが有する技術的機能」を達成することを象徴する一コマを図柄で、又は象徴する用語(文字)で示すことが好ましい。特に「おむつが有する技術的機能」がおむつの使用方法に関連する機能である場合、その機能を発現させる複数のステップの内の象徴的な場面を表していることが好ましい。
【0022】
図3において、第1技術機能表示部8は、廃棄時におむつを丸めて固定することを可能にする機能を、その達成技術手段である伸縮性テープが丸まったおむつの外周に沿って伸長する作動と該作動を発現させる人の動作とを表す一コマを図柄によって示している。この一コマは、伸縮性テープを取り扱う複数のステップの中で、伸長することを示す象徴的な場面である。加えて、伸長する伸縮性テープ(達成技術手段)によっておむつを丸めて固定する機能を、「伸びてピタッと!コンパクトにまとまる」という象徴的な用語(文字)で示している。併せて「新提案」という文字を添えて新機能であることを強調し、第1技術機能表示部8への消費者の着目度を更に高めるようにしている。
図4において、第1技術機能表示部8は、廃棄時におむつを丸めて固定することを可能にする機能を、伸縮性テープという達成技術手段及びその「伸びる」という作動と組み合わせて、「伸びてピタッとまとまるテープ」という象徴的な用語(文字)によって示している。更に、機能が必要となる状況を「テープが足りない!」という文字及びパンパンに膨らんだおむつの図柄により示している。この図柄により、第1技術機能表示部8への消費者の着目度を更に高めるようにしている。
【0023】
第1技術機能表示部8は、前述のとおり、開封手段7と同一面の開封手段7の近傍に配される。
ここで、「近傍に配される」とは、開封手段7を利用しておむつを取り出そうとする消費者が、第1技術機能表示部8を認識できる配置をいう。具体的には、開封手段7と第1技術機能表示部8とが、重なった配置、接した配置、又は離間の程度を消費者の同一視野範囲内、もしくは第1技術機能表示部が間に1つ入る範囲内、もしくは50mm以内の範囲内とする配置にあることをいう。
近傍に配する例として、
図1、
図3では、開封手段7と第1技術機能表示部8とは重なった配置となっており、
図4では離間した配置となっている。
【0024】
このように第1技術機能表示部8は、消費者が、包装袋からおむつを取り出す際に必ず着目する開封手段7の近傍に配置されることで、消費者の見落としの可能性を小さくすることができる。これにより、おむつを取り出す際に「おむつが有する技術的機能」と「達成技術手段」を消費者に都度アピールすることができ、該「おむつが有する技術的機能」と「達成技術手段」の利用を喚起することができる。そして、達成技術手段(例えば、おむつの構成部材)をより正しく取り扱うことを促すことができる。
また、「おむつが有する技術的機能」がおむつの使用方法に関連する機能である場合、その使用方法の適切な実施を促すことができ、「おむつが有する技術的機能」を適切に発現させやすくする。
なお、第1技術機能表示部8は、開封手段7と同一の面に加えて、開封手段7と同一の面以外の面にも配されていてもよい。
【0025】
また、開封手段7及び第1技術機能表示部8が配された面において、第1技術機能表示部8は、後述する第2技術機能表示部9との関連性を高める観点から、
図3及び
図4に示すように、開封手段7の延出方向の端部側に配されることが好ましい。具体的には、開封手段7の延出方向の全長を3等分した中央部分を除いた端部側の領域にあることが好ましい。
【0026】
本実施形態のおむつ用包装袋2は環境面にも効果がある。従来、技術的機能を消費者に訴求するためには、第1技術機能表示部8や、後述する第2技術機能表示部9に示すような事項を、店頭において販促POP(point of purchase advertising)やパッケージにシールを用いる事が多い。これに対し、本発明のおむつ用包装袋においては、開封手段と第1技術機能表示部8の印刷の組み合わせにより、販促POP、シールを省略することも可能にし、環境負荷低減の観点からも好ましい。
【0027】
本実施形態のおむつ用包装袋2において、
図3及び
図4に示すように、開封手段7及び第1技術機能表示部8が配された面に、前面21に表示していたものと同様の商品種別表示部4、対象者画像表示部5及びサイズ表示部6の少なくとも1つが配されていてもよい。
これにより、消費者の開封手段7及び第1技術機能表示部8が配された面への注目度はさらに高まる。
【0028】
また、本実施形態のおむつ用包装袋2において、前面21及び後面22の両方に隣接した4つの面のうち、開封手段7及び第1技術機能表示部8が配されている面に隣接するいずれかの面に、第1技術機能表示部8と関連する第2技術機能表示部9が配されていることが好ましい。第1技術機能表示部8が、配されている面の中央部分を除いた端部側の領域にある場合は、前記端部領域に近い面に、第2技術機能表示部9が配されている事がさらに好ましい。
図1においては、天面25に隣接する側面23に第2技術機能表示部9が配されている。
第2技術機能表示部9は、第1技術機能表示部8が表示する技術内容をより詳細に説明する表示部である。例えば、第1技術機能表示部8が表示した「おむつが有する技術的機能」の発現方法を「達成技術手段」と共により詳細に説明する表示部であることが好ましい。特に「おむつが有する技術的機能」がおむつの使用方法(その後の処理方法を含む)に関連する機能である場合、その機能を発現させる複数のステップを、「達成技術手段」と共に順を追って示す表示部であることが好ましい。その場合、第1技術機能表示部8が示す象徴的な場面を含めていることがより好ましい。これにより、第1技術機能表示部8から第2技術表示部9へと消費者の注意をより強く誘導することができる。同様の観点から、第2技術機能表示部9は、第1技術機能表示部8と共通する文字や図柄の表示事項を有することが好ましい。
これにより、おむつ用包装袋2の限られた表示面積を有効に活用して、「おむつが有する技術的機能」及び「達成技術手段」に対する、消費者の理解が更に深まる。また、「おむつが有する技術的機能」及び「達成技術手段」の消費者による取り扱いを適切にするよう更に促すことができる。
【0029】
第2技術機能表示部9の表示の方法は特に限定されず、上記説明を、文字により示してもよく、図柄等により示してもよく、これらを組み合わせて示してもよい。
図5においては、角丸形状の枠内に、達成技術手段であるテープの具体的な取り扱い方法、これによる廃棄時のおむつのまとめ方の複数のステップを図柄によって示している。
図5に示す第2技術機能表示部9は、
図3や
図4に示す第1技術機能表示部8が有する「伸びてピタッと!コンパクトにまとまる」や「伸びてピタッとまとまるテープ」の文字と共通する「伸びてピタッと!まとまるテープ」の文字を付加している。加えて、
図3に示す第1技術機能表示部8が表示する、伸縮性テープが丸まったおむつの外周に沿って伸長する作動の図柄を、第2技術機能表示部9が含んでいる。これらの文字や図柄により、互いに異なる面に表示された第1技術機能表示部8と第2技術機能表示部9とを結びつけ、消費者の注意をより強く誘導することを可能にする。
【0030】
本実施形態のおむつ用包装袋2において、開封手段7及びその近傍の第1技術機能表示部8が配されている面には、第1技術機能表示部8から第2技術機能表示部9へ誘導する誘導表示部10が設けられていることが好ましい。
誘導表示部10を配置することで、第1技術機能表示部8に表示された技術内容の利用方法に興味を持った使用者を、第2技術機能表示部9を有する面を見るようにより強く誘導することができる。
この観点から、誘導表示部10は、第1技術表示部8の近傍に表示されていることが好ましい。加えて、誘導表示部10は、第1技術機能表示部8が配されている面の、第2技術機能表示部9が配されている面に接する1辺の近傍に配されていることが好ましい。
この場合、誘導表示部10が第1技術表示部8の近傍に配されているとは、誘導表示部10によって誘導される先に、第1技術機能表示部8に関連する情報があると認識できる配置をいう。また、誘導表示部10が、第1技術機能表示部8が配されている面の、第2技術機能表示部9が配されている面に接する1辺の近傍に配されているとは、誘導表示部10の誘導する先が、第2技術機能表示部9が配されている面であると惑うことなく認識できる配置をいう。これらの「近傍」は、具体的には、前述の第1技術機能表示部8に関する「近傍」の定義と同様である。
【0031】
ここで、誘導表示部10とは、第1技術機能表示部8から第2技術機能表示部9へ消費者の注意を誘導し、第2技術機能表示部9の参照を促す表示部である。誘導表示部10は、第1技術機能表示部8が配されている面から見た第2技術機能表示部9が配されている面の方向を表示する。言い換えると、消費者に視線を向けてほしい方向を表示する。
誘導表示部10の表示の方法は、第2技術機能表示部9の方向が認識できれば特に限定されず、文字により示してもよく、図柄等により示してもよく、これらを組み合わせて示してもよい。案内や誘導のためのサインとして通常、利用されている図柄を利用することができる。例えば、矢印、手を挙げてある方向を指しているキャラクターの図柄、ある方向を指さす手指の図柄、ある方向に向かう一連の足跡等が挙げられる。また、「ここを見てね」といった方向を示す文字により示してもよい。
これらに加えて、第2技術機能表示部9への誘導を補助する情報を併せて示してもよい。このような補助情報としては、例えば、「どうやって使うの?」の文字、「そんなときに使ってみてね」の文字といった、機能に関連した、疑問、案内等を内容とする情報が挙げられる。
図3においては、左側に手を挙げたうさぎの図柄で方向を示し、加えて「どうやって使うの?」という補助情報を添えている。
図4においては、左側を指さした手指の図柄で方向を示し、「そんなときに使ってみてね」という補助情報を添えている。
【0032】
前述のとおり、第1技術機能表示部8及び第2技術機能表示部9はそれぞれ、「おむつが有する技術的機能」の中でも、おむつの使用方法に関連した技術的機能の説明を含む表示部であることが好ましい。使用方法に関連した機能を表示することで、おむつの利便性を消費者により効果的に訴求することができ、「おむつが有する技術的機能」を消費者によって適切に発現させやすくすることができる。
【0033】
開封手段7及び第1技術機能表示部8が配されている面には、第1技術機能表示部8の近傍に、第1技術機能表示部8に関連するインターネット上の情報へアクセスするためのリンク情報の表示部11(以下、単に表示部11ともいう)が配されていることが好ましい。
ここで、表示部11が第1技術機能表示部8近傍に配されているとは、第1技術機能表示部8を参照した消費者が、リンク情報部11を認識できる配置をいう。この「近傍」は、具体的には、前述の第1技術機能表示部8に関する「近傍」の定義と同様である。
第1技術機能表示部8に関連するインターネット上の情報としては、第1技術機能表示部8において示した、「おむつが有する技術的機能」を発現させる方法に関する情報をいう。この情報は、利用方法を解説した文章、説明図、写真、動画等、もしくはこれらの組合せを含むことが好ましい。この情報へアクセスするためのリンク情報は、上記情報のインターネット上のURL(uniform resource locator)、該URLを示す一次元コード、二次元コード等など種々の形式によって表示することができる。一次元コードとしては、例えばバーコードが挙げられる。二次元コードとしては、例えばQRコード(登録商標)が挙げられる。このようにして、消費者が、包装袋に付されたリンク情報をスマートフォン等の電子機器で読み取り、上記情報にアクセスできるようにすることができる。
第1技術機能表示部8の近傍に、第1技術機能表示部8に関連するインターネット上の情報へアクセスするためのリンク情報の表示部を配することにより、その情報にアクセスした消費者に、利用方法についての詳細な情報をより具体的に示すことができ、消費者に、利用方法をより正確に伝えて機能性を十分に利用できるようにすることができる。
【0034】
更に、本実施形態のおむつ用包装袋2において、
図6に示すように、開封手段7及び第1技術機能表示部8が配されている面(天面25)に、吊手12を備えていることが好ましい。
吊手12は、店頭でおむつを購入する際や、おむつ交換のためにおむつを含む包装袋2を持ち運ぶ際に消費者が掴むことが多い。開封手段及び第1技術機能表示部8が配されている面に吊手12を備えることにより、消費者が第1技術機能表示部8を認知する機会を更に増やすことができる。
図6においては、おむつ用包装袋2とは別体で帯状のフィルムで構成されている。吊手12の形状及び素材は、これに限定されず、この種の物品において持ち運びの手段として通常用いられる種々のものを特に制限なく採用することができる。
【0035】
包装袋1は、上記の各表示部と各面の関係を有していればよく、形態、材料、製造方法等は、包装袋において通常用いられる形態、材料、製造方法等を特に制限なく用いることができる。
各表示部中の表示は、印刷等の通常の手段により、包装袋2に形成することができる。
【0036】
本実施形態のおむつ用包装袋2において、絵柄が環境対応型インキで印刷されていることが好ましい。
ここでいう絵柄とは、上述した、商品種別表示部4、対象者画像表示物5、サイズ表示部6、第1技術機能表示部8、及び第2技術機能表示部9の各表示部、並びに、その他の意匠性を高めるために付されている図柄等を含む意味である。
環境対応型とは、環境(人体や自然)への負荷を低減することを目的に設計されたものであることをいう。例えば、有害物質が従来よりも低減されたもの、再生可能な生物由来のもの、省資源化を可能にするものなどが挙げられる。
そのような環境対応型インキとしては、一般的に用いられるものを特に制限することなく採用することができる。例えば、平板印刷用のインキとして、植物油インキ、UVインキが挙げられる。植物油インキとは、大豆油、亜麻仁油、桐油、パーム油、ヤシ油、米ぬか油等を用いたインキである。一方、グラビア印刷用のインキとしては、例えば、顔料、ポリマー、水溶性有機溶剤、界面活性剤及び水を含む水性グラビアインキであって、水溶性有機溶剤の沸点が100℃以上260℃以下であり、前記水性グラビアインキ中に水溶性有機溶剤を10質量%以上35質量%以下含み、水を50質量%以上70質量%以下含む水性グラビアインキ等が挙げられる。
【0037】
また、本実施形態のおむつ用包装袋2は、環境対応型フィルムからなることが好ましい。ここで言う「環境型」は前述の定義と同義である。
環境対応型フィルムとしては、生分解性プラスチック、バイオマスプラスチック等が挙げられる。生分解性プラスチックとは、微生物や酵素の働きで水と二酸化炭素に分解される樹脂で、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、変性デンプン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート等が挙げられる。バイオマスプラスチックとは、植物を原料として作られた樹脂である。バイオマスプラスチックの代表的な原料としては、トウモロコシ、サトウキビ等が挙げられる。また、共押出多層フィルムを含む可撓性フィルムもある。多層フィルムは、ASTM D6866-10の試験法Bに従って測定されるバイオベース含有量5%~90%を含むフィルムからなる。フィルムの構成成分は、可塑剤など(グリセリン、マンニトール、及びソルビトールなど)の熱可塑性デンプン(TPS)を含むバイオベースや、他のフィルム層に含まれるポリエチレン、ポリプロピレンがバイオベースもある。
【符号の説明】
【0038】
1 おむつ
2 包装袋
21 前面
211 前面の上辺
212 前面の下辺
213 前面の側辺
22 後面
23 側面
24 底面
25 天面
3 包装体
4 商品種別表示部
5 対象者画像表示部
6 サイズ表示部
7 開封手段
8 第1技術機能表示部
9 第2技術機能表示部
10 誘導表示部
11 リンク情報の表示部
12 吊手