(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】分電盤管理方法、分電盤、プログラム、及び分電盤管理システム
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H02B1/40 A
(21)【出願番号】P 2020126829
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 大地
(72)【発明者】
【氏名】一村 省互
(72)【発明者】
【氏名】永利 英昭
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055485(JP,A)
【文献】特開2009-268210(JP,A)
【文献】特開2020-065371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤内の温度に関する温度情報を取得する取得処理と、
前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定する決定処理と、
前記決定処理の結果に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力する遮断処理と、
を含
み、
前記温度情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含み、
前記取得処理は、前記温度分布情報を取得することを含み、
前記決定処理は、前記温度分布情報に基づいて、前記ブレーカの遮断の仕方を決定することを含む、
分電盤管理方法。
【請求項2】
前記分電盤内には、前記ブレーカとして複数の分岐ブレーカが配置され、
前記決定処理は、前記温度情報に基づいて、前記複数の分岐ブレーカのうちの1以上の分岐ブレーカであって遮断対象のブレーカを決定することを含み、
前記遮断処理は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力することを含む、
請求項1に記載の分電盤管理方法。
【請求項3】
分電盤内の温度に関する温度情報を取得する取得処理と、
前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定する決定処理と、
前記決定処理の結果に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力する遮断処理と、
を含み、
前記分電盤内には、前記ブレーカとして複数の分岐ブレーカが配置され、
前記決定処理は、前記温度情報に基づいて、前記複数の分岐ブレーカのうちの1以上の分岐ブレーカであって遮断対象のブレーカを決定することを含み、
前記遮断処理は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力することを含
み、
前記決定処理は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力した後、所定の条件を満たした場合に、前記複数の分岐ブレーカのうちの別の分岐ブレーカを追加の遮断対象のブレーカと決定することを含む、
分電盤管理方法。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力してから所定時間の経過後に、前記分電盤内の温度が閾値温度以上であることを含む、
請求項3に記載の分電盤管理方法。
【請求項5】
前記温度情報は、前記分電盤内における複数の場所それぞれの温度を計測する複数の温度センサで計測された前記複数の場所の温度の分布を示す温度分布情報を含み、
前記遮断対象のブレーカと、前記追加の遮断対象のブレーカとは、前記複数の温度センサのうちの同一の温度センサで温度が計測される場所内に配置されている、
請求項3又は4に記載の分電盤管理方法。
【請求項6】
分電盤内の温度に関する温度情報を取得する取得処理と、
前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定する決定処理と、
前記決定処理の結果に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力する遮断処理と、
を含み、
前記分電盤内には、前記ブレーカとして複数の分岐ブレーカが配置され、
前記決定処理は、前記温度情報に基づいて、前記複数の分岐ブレーカのうちの1以上の分岐ブレーカであって遮断対象のブレーカを決定することを含み、
前記遮断処理は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力することを含み、
前記温度情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含み、
前記複数の分岐ブレーカは、各々が1以上の分岐ブレーカを含む複数のグループに区分けされ、
前記複数のグループは、前記複数の場所に対応付けられており、
前記決定処理は、前記複数の場所のうちで前記温度分布情報で示される温度が閾値温度以上の場所に対応付けられているグループに含まれている全ての分岐ブレーカを、前記遮断対象のブレーカと決定することを含む、
分電盤管理方法。
【請求項7】
前記分電盤内には、前記ブレーカとして主幹ブレーカと分岐ブレーカとが配置され、
前記決定処理は、前記主幹ブレーカを遮断するか否かを決定する主幹遮断決定処理を含み、
前記遮断処理は、前記主幹ブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力することを含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の分電盤管理方法。
【請求項8】
前記決定処理は、
前記温度情報に基づいて、前記遮断処理に関する通知の要否を決定する通知要否決定処理と、
前記通知要否決定処理において前記通知が要と決定された場合に、前記遮断処理に関する通知を行う通知処理と、
を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の分電盤管理方法。
【請求項9】
前記遮断処理の前に、前記遮断処理に関する通知を行う通知処理を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の分電盤管理方法。
【請求項10】
前記通知処理での前記通知に応じて、前記遮断処理の実行の要否を待ち受ける待受処理を更に含む、
請求項8又は9に記載の分電盤管理方法。
【請求項11】
前記遮断処理は、前記通知を行った後に前記遮断の実行の要否を一定時間受け取らなかった場合に、前記ブレーカを強制的に遮断する強制遮断処理を含む、
請求項10に記載の分電盤管理方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の分電盤管理方法の管理対象である前記分電盤であって、
前記温度情報を出力する情報出力部を備える、
分電盤。
【請求項13】
1以上のプロセッサに、請求項1~11のいずれか1項に記載の分電盤管理方法を実行させるための、プログラム。
【請求項14】
分電盤内の温度に関する温度情報を取得する取得部と、
前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記遮断の仕方に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力する遮断部と、
を備え、
前記温度情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含み、
前記取得部は、前記温度分布情報を取得し、
前記決定部は、前記温度分布情報に基づいて、前記ブレーカの遮断の仕方を決定する、
分電盤管理システム。
【請求項15】
分電盤内の温度に関する温度情報を取得する取得部と、
前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記遮断の仕方に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力する遮断部と、
を備え
、
前記分電盤内には、前記ブレーカとして複数の分岐ブレーカが配置され、
前記決定部は、前記温度情報に基づいて、前記複数の分岐ブレーカのうちの1以上の分岐ブレーカであって遮断対象のブレーカを決定し、
前記遮断部は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力し、
前記決定部は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力した後、所定の条件を満たした場合に、前記複数の分岐ブレーカのうちの別の分岐ブレーカを追加の遮断対象のブレーカと決定する、
分電盤管理システム。
【請求項16】
分電盤内の温度に関する温度情報を取得する取得部と、
前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記遮断の仕方に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力する遮断部と、
を備え、
前記分電盤内には、前記ブレーカとして複数の分岐ブレーカが配置され、
前記決定部は、前記温度情報に基づいて、前記複数の分岐ブレーカのうちの1以上の分岐ブレーカであって遮断対象のブレーカを決定し、
前記遮断部は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力し、
前記温度情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含み、
前記複数の分岐ブレーカは、各々が1以上の分岐ブレーカを含む複数のグループに区分けされ、
前記複数のグループは、前記複数の場所に対応付けられており、
前記決定部は、前記複数の場所のうちで前記温度分布情報で示される温度が閾値温度以上の場所に対応付けられているグループに含まれている全ての分岐ブレーカを、前記遮断対象のブレーカと決定する、
分電盤管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、分電盤管理方法、分電盤、プログラム、及び分電盤管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分電盤用キャビネットと通知制御部とブレーカとを備えた分電盤が記載されている。
【0003】
分電盤用キャビネットは、分電盤用キャビネットの内部の温度を測定する温度センサを備えている。温度センサは、温度の検出結果を通知制御部に出力する。通知制御部は、温度センサによって計測された温度が所定の使用温度範囲内であれば正常状態であると判断し、温度センサによって計測された温度が使用温度範囲外になると異常状態であると判断する。通知制御部は、温度センサから取得した計測結果に基づいて、ブレーカの状態が異常状態であると判断すると、ブレーカの状態情報を通知部から本体の外部に通知させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、分電盤の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る分電盤管理方法は、取得処理と、決定処理と、遮断処理と、を含む。前記取得処理は、分電盤内の温度に関する温度情報を取得することを含む。前記決定処理は、前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定することを含む。前記遮断処理は、前記決定処理の結果に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力することを含む。前記温度情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含む。前記取得処理は、前記温度分布情報を取得することを含む。前記決定処理は、前記温度分布情報に基づいて、前記ブレーカの遮断の仕方を決定することを含む。
本開示の一態様に係る分電盤管理方法は、取得処理と、決定処理と、遮断処理と、を含む。前記取得処理は、分電盤内の温度に関する温度情報を取得することを含む。前記決定処理は、前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定することを含む。前記遮断処理は、前記決定処理の結果に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力することを含む。前記分電盤内には、前記ブレーカとして複数の分岐ブレーカが配置される。前記決定処理は、前記温度情報に基づいて、前記複数の分岐ブレーカのうちの1以上の分岐ブレーカであって遮断対象のブレーカを決定することを含む。前記遮断処理は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力することを含む。前記決定処理は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力した後、所定の条件を満たした場合に、前記複数の分岐ブレーカのうちの別の分岐ブレーカを追加の遮断対象のブレーカと決定することを含む。
本開示の一態様に係る分電盤管理方法は、取得処理と、決定処理と、遮断処理と、を含む。前記取得処理は、分電盤内の温度に関する温度情報を取得することを含む。前記決定処理は、前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定することを含む。前記遮断処理は、前記決定処理の結果に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力することを含む。前記分電盤内には、前記ブレーカとして複数の分岐ブレーカが配置される。前記決定処理は、前記温度情報に基づいて、前記複数の分岐ブレーカのうちの1以上の分岐ブレーカであって遮断対象のブレーカを決定することを含む。前記遮断処理は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力することを含む。前記温度情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含む。前記複数の分岐ブレーカは、各々が1以上の分岐ブレーカを含む複数のグループに区分けされる。前記複数のグループは、前記複数の場所に対応付けられている。前記決定処理は、前記複数の場所のうちで前記温度分布情報で示される温度が閾値温度以上の場所に対応付けられているグループに含まれている全ての分岐ブレーカを、前記遮断対象のブレーカと決定することを含む。
【0007】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記分電盤管理方法の管理対象である。前記分電盤は、前記温度情報を出力する情報出力部を備える。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記分電盤管理方法を実行させるための、プログラムである。
【0009】
本開示の一態様に係る分電盤管理システムは、取得部と、決定部と、遮断部と、を備える。前記取得部は、分電盤内の温度に関する温度情報を取得する。前記決定部は、前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定する。前記遮断部は、前記決定部により決定された前記遮断の仕方に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力する。前記温度情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含む。前記取得部は、前記温度分布情報を取得する。前記決定部は、前記温度分布情報に基づいて、前記ブレーカの遮断の仕方を決定する。
本開示の一態様に係る分電盤管理システムは、取得部と、決定部と、遮断部と、を備える。前記取得部は、分電盤内の温度に関する温度情報を取得する。前記決定部は、前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定する。前記遮断部は、前記決定部により決定された前記遮断の仕方に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力する。前記分電盤内には、前記ブレーカとして複数の分岐ブレーカが配置される。前記決定部は、前記温度情報に基づいて、前記複数の分岐ブレーカのうちの1以上の分岐ブレーカであって遮断対象のブレーカを決定する。前記遮断部は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力する。前記決定部は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力した後、所定の条件を満たした場合に、前記複数の分岐ブレーカのうちの別の分岐ブレーカを追加の遮断対象のブレーカと決定する。
本開示の一態様に係る分電盤管理システムは、取得部と、決定部と、遮断部と、を備える。前記取得部は、分電盤内の温度に関する温度情報を取得する。前記決定部は、前記温度情報に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカの遮断の仕方を決定する。前記遮断部は、前記決定部により決定された前記遮断の仕方に基づいて、前記ブレーカを遮断するための遮断信号を出力する。前記分電盤内には、前記ブレーカとして複数の分岐ブレーカが配置される。前記決定部は、前記温度情報に基づいて、前記複数の分岐ブレーカのうちの1以上の分岐ブレーカであって遮断対象のブレーカを決定する。前記遮断部は、前記遮断対象のブレーカを遮断するための前記遮断信号を出力する。前記温度情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含む。前記複数の分岐ブレーカは、各々が1以上の分岐ブレーカを含む複数のグループに区分けされる。前記複数のグループは、前記複数の場所に対応付けられている。前記決定部は、前記複数の場所のうちで前記温度分布情報で示される温度が閾値温度以上の場所に対応付けられているグループに含まれている全ての分岐ブレーカを、前記遮断対象のブレーカと決定する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、分電盤の安全性を向上させることが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る分電盤管理システム及び分電盤を備える電力システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の分電盤に備えられる分岐ブレーカの内部回路図である。
【
図4】
図4は、同上の分電盤のキャビネット内で温度を計測する複数の場所を示す概念図である。
【
図5】
図5は、同上の分電盤管理システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)概要
以下、本実施形態の分電盤管理方法、分電盤管理方法による管理対象である分電盤1、及び分電盤管理方法の実行主体である分電盤管理システム100について、図面を参照しながら説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
本実施形態の分電盤管理方法(分電盤管理システム100)は、分電盤1を管理するための方法(システム)である。分電盤1は、電気の配線を幹線から複数に分岐させる、スイッチ・ブレーカ等を取り付けた装置である。本開示でいう「分電盤」は、主に住戸に設置されるいわゆる「住宅用分電盤」の他、主にビル又はマンション等の住戸以外の施設に設置されるいわゆる「標準分電盤」等と呼ばれるものも含む。本開示でいう「分電盤」は、高圧受電設備の受電したもとの電気を各場所へ分ける、いわゆるキュービクル等と呼ばれる高圧受電設備を含んでもよい。本実施形態では、分電盤1は「標準分電盤」であるとする。
【0014】
分電盤管理システム100は、
図1に示すように、取得部911と、決定部912と、遮断部914と、を備えている。
【0015】
取得部911は、本実施形態の分電盤管理方法における取得処理ST1(
図5参照)の実行主体である。取得部911は、取得処理ST1として、分電盤管理情報を取得する。分電盤管理情報は、分電盤1を管理するための情報である。分電盤管理情報は、分電盤1内の温度に関する温度情報を含んでいる。
【0016】
決定部912は、本実施形態の分電盤管理方法における決定処理ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14(
図5参照)の実行主体である。決定部912は、取得部911で取得された分電盤管理情報のうちの少なくとも温度情報に基づいて、分電盤1内に配置されるブレーカ6の遮断の仕方を決定する。
【0017】
遮断部914は、本実施形態の分電盤管理方法における遮断処理ST4,ST10(
図5参照)の実行主体である。遮断部914は、決定部912により決定された遮断の仕方(決定処理ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14の結果)に基づいて、ブレーカ6を遮断するための遮断信号を出力する。
【0018】
このように、本実施形態の分電盤管理システム100及び分電盤管理方法では、分電盤1内の温度情報に基づいて、分電盤1内に配置されるブレーカ6が遮断される。そのため、例えば、火災の原因となり得る分電盤1の温度上昇時に、その温度上昇の原因となるブレーカ6を遮断することが可能となる。そのため、本実施形態では、分電盤1の安全性を向上させることが可能となる、という利点がある。
【0019】
(2)詳細
以下、本実施形態の分電盤管理システム100及び分電盤1を含む電力システムについて、
図1~
図5を参照して説明する。
【0020】
(2.1)分電盤
まず、分電盤管理方法及び分電盤管理システム100の管理対象である分電盤1について、説明する。
【0021】
図1、
図2に示すように、分電盤1は、キャビネット10と、複数のブレーカ6と、複数の温度センサ7と、電流計測装置8と、コントローラ9と、を備えている。
【0022】
図2に示すように、複数のブレーカ6は、主幹ブレーカ2と複数(ここでは24個)の分岐ブレーカ3とを含む。
【0023】
図2に示すように、キャビネット10は、前面が開口した箱型である。以下では、分電盤1が壁に取り付けられた状態で、キャビネット10を正面から見たときの上下左右を基準として説明を行う。また、分電盤1が壁に取り付けられた状態でキャビネット10を正面から見たときの奥行方向を前後方向とし、キャビネット10の前面が前方を向いていることとして説明する。ただし、これらの方向は分電盤1の設置方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0024】
図2に示すように、主幹ブレーカ2及び分岐ブレーカ3は、キャビネット10の内部に内器として収容されている。キャビネット10の内部には取付部材4が配置されている。複数の分岐ブレーカ3は、取付部材4に取り付けられている。
【0025】
主幹ブレーカ2は、キャビネット10の内部において、取付部材4よりも上側の領域に配置されている。キャビネット10の上壁には、商用電源等の交流電源900に接続される電源線201(母線)等の配線を通すための貫通孔が設けられている。
【0026】
主幹ブレーカ2は、直方体状のケース20を備えている。
図2に示すように、ケース20の一端部には一次側の端子21が設けられ、ケース20の他端部には二次側の端子22が設けられる。ケース20の内部には、一次側の端子21と二次側の端子22との間に電気的に接続された接点部23(
図1参照)が収容されている。ケース20の前面には、接点部23を手動で開閉させるためのハンドル25が配置されている。また、主幹ブレーカ2は、接点部23を流れる主幹電流が予め決められた閾値を超えると、接点部23を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。さらに、主幹ブレーカ2は、漏電を検出する検出部24を有している。検出部24は、例えば零相変流器を含む。検出部24が主幹ブレーカ2に接続された回路での漏電を検出すると、主幹ブレーカ2は、接点部23を強制的に開極させる。すなわち、主幹ブレーカ2は漏電遮断器である。
【0027】
一次側の端子21は、交流電源900に電気的に接続される(
図2参照)。本実施形態では、交流電源900の配電方式が単相三線式である場合を例に説明する。一次側の端子21には、2つの電圧極(L1相、L2相)と中性極(N相)との3本の電源線201が接続される。3本の電源線201は、交流電源900に電気的に接続されている。これにより、主幹ブレーカ2は、3本の電源線201を介して交流電源900に電気的に接続される。
【0028】
二次側の端子22には、電圧極(L1相、L2相)と中性極との3本の導電バー5が電気的に接続される。ここで、主幹ブレーカ2の二次側の端子22は、3個の導電部材50を介して3本の導電バー5に電気的に接続されている。各導電バー5は、金属製であって、上下方向に長尺となる帯板状に形成されている。各導電バー5は、例えば、金属板にプレス加工を施すことによって形成される。各導電バー5は、主幹ブレーカ2を介して電源線201に電気的に接続されている。
【0029】
取付部材4は、平面形状が矩形状の金属板である。キャビネット10の内部において、キャビネット10の後壁には一対のフレーム102が固定されている。一対のフレーム102の各々は、金属製であって、上下方向に長尺となる棒状に形成されている。一対のフレーム102は、左右方向において間隔を空けて対向するように配置されている。取付部材4は、一対のフレーム102間に跨って取り付けられている。取付部材4は、一対のフレーム102に対して、例えばねじで固定されている。
【0030】
取付部材4の左右方向における中央部に、上述の3本の導電バー5が取り付けられている。3本の導電バー5は、長手方向が上下方向と平行し、前後方向において間隔をあけて並ぶように配置されている。取付部材4には、導電バー5に対して左右両側に、複数の分岐ブレーカ3が上下方向に並ぶように取り付けられている。ここでは、24個の分岐ブレーカ3が、導電バー5の左側と右側とに12個ずつ上下方向に並んで配置されている。導電バー5の前面は、導電バー5の前側に配置される合成樹脂製のカバー51で覆われている。
【0031】
取付部材4には、ねじ端子43が設けられている。ねじ端子43は、接地線205、接地端子11、及び接地線206を介して接地されている。したがって、取付部材4は、接地線205及び接地線206を介して接地されている。
【0032】
分岐ブレーカ3は、例えば2P2Eタイプ(2極2素子)のブレーカである。複数の分岐ブレーカ3は、取付部材4に取り付けられ、主幹ブレーカ2に電気的に接続される。
【0033】
各分岐ブレーカ3は、
図3に示すように、2個の第1端子t1と、2個の第2端子t2と、第3端子t3と、第4端子t4と、2個の接点部31と、接続回路32と、ケース30と、を備えている。
【0034】
2個の第1端子t1の各々には、対応する導電バー5が接続される。分岐ブレーカ3が100V用のブレーカである場合は、2個の第1端子t1のうちの一方に電圧極(L1相又はL2相)の導電バー5が接続され、2個の第1端子t1のうちの他方に中性極(N相)の導電バー5が接続される。分岐ブレーカ3が200V用のブレーカである場合は、2個の第1端子t1のうちの一方にL1相の導電バー5が接続され、2個の第1端子t1のうちの他方にL2相の導電バー5が接続される。
【0035】
2個の第2端子t2の各々には、対応する分岐線202が接続される。分岐線202には、負荷110が電気的に接続される。本開示における「負荷」は、例えば、接地極付きのコンセント等の配線器具、又は、照明器具及び空調装置等の種々の電気機器等である。
【0036】
2個の接点部31の各々は、対応する第1端子t1と第2端子t2との間に電気的に接続されている。2個の接点部31は、ハンドル33(
図2参照)の操作に応じて、第1状態(閉極)及び第2状態(開極)の何れかに切り替えられる。分岐ブレーカ3は、分岐線202に流れる電流が予め決められた閾値を超えると、接点部31を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。さらに、分岐ブレーカ3は、漏電を検出する検出部34(
図1参照)を有している。検出部34は、例えば零相変流器を含む。検出部34が分岐ブレーカ3に接続された回路での漏電を検出すると、分岐ブレーカ3は、接点部31を強制的に開極させる。すなわち、分岐ブレーカ3は漏電遮断器である。
【0037】
第3端子t3には、負荷110の接地分岐線203が電気的に接続される。接地分岐線203は、負荷110の接地極に電気的に接続されている。負荷110の接地極は、例えば、負荷110が接地極付きのコンセントであればコンセントの接地極であり、負荷110が照明器具等の電気機器であれば電気機器の接地端子である。
【0038】
第4端子t4は、接続回路32を介して、第3端子t3と電気的に接続されている。第4端子t4は、取付部材4に電気的に接続される。
【0039】
ケース30は、合成樹脂の成形品である複数の分割体を組み合わせることで、全体として直方体状に形成されている。ケース30は、2個の第1端子t1と、2個の第2端子t2と、第3端子t3と、第4端子t4と、2個の接点部31と、接続回路32と、を保持している。ケース30は、上下方向に扁平な薄箱状である。
【0040】
ケース30の長手方向の一端部(右端部又は左端部)には、3本の導電バー5のうち対応する導電バー5がそれぞれ挿入される3個のスリットが、前後方向に並んで設けられている。3個のスリットのうちの2個に、2個の第1端子t1をそれぞれ構成する2対の刃受け部材が配置されている。ケース30の長手方向の他端部(左端部又は右端部)には、2個の第2端子t2をそれぞれ構成する2個の速結端子と、第3端子t3を構成する速結端子と、が設けられている。ケース30の高さ方向の一面(後面)には、第4端子t4を構成する金属製の接触片が設けられている。
【0041】
ケース30は、第4端子t4を構成する接触片が取付部材4に接触し、2個の第1端子t1が左右方向の内側を向きかつ3本の導電バー5のうちの2本の導電バー5に接触し、2個の第2端子t2が左右方向の外側を向くように、取付部材4に取り付けられる。
【0042】
複数の温度センサ7(
図1参照)は、分電盤1のキャビネット10内に配置されている。ここでは、7個の温度センサ7が、キャビネット10内に配置されている。各温度センサ7は、キャビネット10内における所定の場所(A1~A7:
図4参照)の温度(局所温度)を計測する。
【0043】
各温度センサ7は、赤外線センサ71を備えている。赤外線センサ71は、例えば熱型(非冷却型)の赤外線センサである。赤外線センサ71は、赤外線を吸収することで温度が上昇すると抵抗値が変化(増加)する熱型赤外線検出部を備えている。赤外線センサ71では、熱型赤外線検出部の抵抗値の変化を測定することで、赤外線センサ71が向けられている場所の温度を計測する。
【0044】
複数(7個)の温度センサ7は、キャビネット10内の異なる場所A1~A7の温度を計測する。以下では、7個の温度センサ7を区別する場合、温度センサ701~温度センサ707と表記する。温度センサ701~707は、場所A1~A7の温度をそれぞれ計測する。ここでは、各温度センサ7による温度の計測対象の場所(場所A1~A7)には、複数のブレーカ6のうちのいずれかのブレーカ6の少なくとも一部分が、含まれている。なお、
図4では、便宜上、キャビネット10内の一部の部品の図示を省略し、場所A1~A7の各領域にドットハッチングを付している。
【0045】
場所A1は、取付部材4のうちで左上側の部分を含む領域である。場所A1は、取付部材4の左上側に配置されている4個の分岐ブレーカ3を含んでいる。
【0046】
場所A2は、取付部材4のうちで左側中央の部分を含む領域である。場所A2は、取付部材4の左側中央に配置されている4個の分岐ブレーカ3を含んでいる。
【0047】
場所A3は、取付部材4のうちで左下側の部分を含む領域である。場所A3は、取付部材4の左下側に配置されている4個の分岐ブレーカ3を含んでいる。
【0048】
場所A4は、取付部材4のうちで右上側の部分を含む領域である。場所A4は、取付部材4の右上側に配置されている4個の分岐ブレーカ3を含んでいる。
【0049】
場所A5は、取付部材4のうちで右側中央の部分を含む領域である。場所A5は、取付部材4の右側中央に配置されている4個の分岐ブレーカ3を含んでいる。
【0050】
場所A6は、取付部材4のうちで右下側の部分を含む領域である。場所A6は、取付部材4の右下側に配置されている4個の分岐ブレーカ3を含んでいる。
【0051】
場所A7は、主幹ブレーカ2の少なくとも一部分を含む領域である。場所A7は、主幹ブレーカ2の一次側の端子21を含んでいる。場所A1は、主幹ブレーカ2の二次側の端子22を含んでいる。
【0052】
温度センサ7は、計測した温度の情報を、コントローラ9へ出力する。
【0053】
電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ3の各々に接続された負荷110に流れる電流を計測するように構成されている。電流計測装置8は、例えば、基板と、複数のコイル81と、を有している。基板は、一方向(上下方向)に長い板状である。基板には、複数の孔が形成されている。複数の孔には、導電バー5から延びて分岐ブレーカ3の第1端子t1に接続される端子がそれぞれ挿入される。コイル81は、例えばロゴスキコイルであり、基板の孔の周りに形成されている。本実施形態では、電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ3の各々に流れる電流を計測する。なお、電流計測装置8はロゴスキコイルを有するものに限定されず、例えば、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサを有するものでもよい。電流計測装置8は、計測した電流の情報を、コントローラ9へ出力する。
【0054】
コントローラ9は、キャビネット10内に配置されている。コントローラ9は、例えば、キャビネット10内において、主幹ブレーカ2の右側の領域に配置されている。
図2では、コントローラ9の図示を省略している。
【0055】
本実施形態では、コントローラ9によって分電盤管理システム100が構成される。すなわち、本実施形態では、分電盤管理システム100は分電盤1のキャビネット10内に配置される。
【0056】
(2.2)分電盤管理システム
本実施形態において分電盤管理システム100を構成するコントローラ9は、
図1に示すように、制御部91と、記憶部92と、通信部93と、を備えている。
【0057】
コントローラ9は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステ
ムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部91としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0058】
図1に示すように、制御部91は、取得部911と、決定部912と、通知部913と、遮断部914と、を備えている。なお、取得部911、決定部912、通知部913、及び遮断部914は、実体のある構成を示しているわけではなく、制御部91により実現される機能を示している。
【0059】
取得部911は、分電盤1を管理するための分電盤管理情報を取得する。分電盤管理情報は、少なくとも温度情報を含む。温度情報は、分電盤1内の温度に関する情報である。すなわち、取得部911は、分電盤1内の温度に関する温度情報を取得する。
【0060】
具体的には、取得部911は、温度センサ701~707の各々から、各温度センサ701~707で計測された温度の情報を取得する。取得部911は、例えば常時又は間欠的に、温度センサ701~707の各々から温度の情報を取得する。取得部911が取得した温度の情報は、その温度を計測した温度センサ7の識別情報、又はその温度を計測した温度センサ7の場所の情報等と紐付けて、記憶部92に時系列で記憶される。すなわち、温度センサ7は、温度情報を出力する情報出力部150として機能する。
【0061】
また、複数の温度センサ701~707は、キャビネット10内の複数の場所A1~A7の温度を計測している。そのため、複数の温度センサ701~707で計測された温度の情報によれば、分電盤1内における複数の場所A1~A7の温度の分布を特定可能である。要するに、取得部911は、分電盤1内における複数の場所A1~A7の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を取得する。
【0062】
本実施形態では、分電盤管理情報は、電力情報を更に含む。電力情報は、分電盤1を通過する電力に関する情報である。すなわち、取得部911は、電力情報を取得する。
【0063】
具体的には、取得部911は、電流計測装置8から、複数の分岐ブレーカ3の各々に流れる電流の情報を取得する。取得部911は、例えば常時又は間欠的に、電流計測装置8から電流の情報を取得する。取得部911が取得した電力の情報(電流の情報)は、その電流を計測したコイル81の識別情報、又はその電流が通過した分岐ブレーカ3の識別情報等と紐付けて、記憶部92に時系列で記憶される。
【0064】
決定部912は、少なくとも温度情報に基づいて、分電盤1内に配置されるブレーカ6の遮断の仕方を決定する。決定部912は、本実施形態の分電盤管理方法における決定処理ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14(
図5参照)の実行主体である。
【0065】
決定部912により決定されるブレーカ6の遮断の仕方は、複数の分岐ブレーカ3のうちで遮断対象となる分岐ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ3の遮断の順番、及び主幹ブレーカ2の遮断の要否のうちの少なくとも一つを含む。
【0066】
決定部912は、温度分布情報に基づいて、複数の分岐ブレーカ3のうちで遮断対象となる分岐ブレーカ3を決定する。
【0067】
上述のように、複数の温度センサ701~706は、それぞれ分岐ブレーカ3が配置されている複数の場所A1~A6の温度を計測している。
【0068】
本実施形態では、複数の分岐ブレーカ3の全てが、複数の温度センサ701~706による温度の計測対象の場所(場所A1~A6)のうちのいずれかに、含まれている。すなわち、複数の分岐ブレーカ3は、各々が1以上の分岐ブレーカ3を含む複数のグループに区分けされている。複数のグループは、複数の温度センサ701~706で温度が計測される複数の場所A1~A6に、それぞれ対応付けられている。これら複数のグループと複数の場所A1~A6との間の対応関係は、記憶部92に記憶されている。
【0069】
決定部912は、温度情報、より詳細には温度分布情報に基づいて、複数の分岐ブレーカ3のうちの1以上の分岐ブレーカ3を、遮断対象のブレーカと決定する。決定部912は、例えば、複数の場所A1~A6のうちのいずれかの場所の温度が閾値温度以上になると、その場所に対応付けられた(その場所に配置されている)分岐ブレーカ3を遮断対象のブレーカと決定する。要するに、決定部912は、複数の場所A1~A6のうちで温度分布情報で示される温度が閾値温度以上の場所に対応付けられているグループに含まれている全ての分岐ブレーカ3を、遮断対象のブレーカと決定する。
【0070】
例えば、決定部912は、場所A1の温度が閾値温度以上になると、この場所A1に配置されている4個の分岐ブレーカ3(取付部材4の左上側に配置されている4個の分岐ブレーカ3)を、遮断対象のブレーカと決定する。例えば、決定部912は、場所A2の温度が閾値温度以上になると、この場所A2に配置されている4個の分岐ブレーカ3(取付部材4の左側中央に配置されている4個の分岐ブレーカ3)を、遮断対象のブレーカと決定する。
【0071】
閾値温度は、記憶部92に記憶されている。閾値温度は、複数の場所A1~A6それぞれについて、個別に設定可能であってもよい。なお、閾値温度は、場所A1~A6について互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、場所A1の温度と比較される閾値温度と、場所A2の温度と比較される閾値温度とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0072】
このように、温度が閾値温度以上となった場所に配置されている分岐ブレーカ3を遮断することで、不具合が発生している可能性のある分岐ブレーカ3または負荷110への電力の供給を停止することができ、分電盤1の安全性が向上する。また、温度が閾値温度以上となった場所に配置されている分岐ブレーカ3のみを遮断すれば、他の分岐ブレーカ3に接続されている負荷110へは電力の供給を維持することが可能となり、この負荷110の動作を維持することが可能となる。
【0073】
決定部912は、温度分布情報に基づいて、複数の分岐ブレーカ3の遮断の順番を決定する。
【0074】
決定部912は、例えば、複数の場所A1~A6のうちの2以上の場所の温度が閾値温度以上となった場合、温度が閾値温度以上となった場所の順番で、対応する分岐ブレーカ3(その場所に対応付けられているグループに含まれる分岐ブレーカ3)を遮断対象のブレーカと決定する。
【0075】
決定部912は、例えば、複数の場所A1~A6のうちの1つの場所の温度の経時変化に基づいて、複数の分岐ブレーカ3の遮断の順番を決定する。例えば、決定部912は、ある場所(例えば、場所A2)の温度が閾値温度(第1閾値温度)以上になると、この場所(場所A2)に対応付けられている分岐ブレーカ3を遮断対象のブレーカと決定する。後述のように、遮断部914は、決定部912で決定された遮断対象のブレーカ(場所A2に配置されている分岐ブレーカ3)を遮断するための遮断信号を、出力する。決定部912は、遮断信号を出力してから所定時間の経過後に、この場所(場所A2)の温度が閾値温度(第2閾値温度)以上であるか否かを判定する。温度が第2閾値温度以上の場合、決定部912は、場所A2の周囲の場所(場所A1,A3,A5)のうちで最も温度が高い場所(例えば場所A3)に配置されている分岐ブレーカ3を遮断対象のブレーカと決定する。第2閾値温度は、第1閾値温度と同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0076】
このように、最初に最も高温の場所に対応付けられている分岐ブレーカ3(優先遮断ブレーカ)を遮断しても、その場所の温度が低下しない(第2閾値温度以上のままの)場合、決定部912は、その周りの場所に対応付けられている分岐ブレーカ3を遮断することを決定する。つまり、ある場所(例えば場所A2)の温度が上昇している原因は、その場所(場所A2)に配置されている分岐ブレーカ3に関する不具合ではなく、その場所の周りの場所(例えば場所A3)に配置されている分岐ブレーカ3に関する不具合である可能性がある。そのため、決定部912は、最初の場所(場所A2)に対応付けられている分岐ブレーカ3を遮断しても温度が低下しない場合、その周りの場所(場所A3)に対応付けられている分岐ブレーカ3を遮断するのである。
【0077】
要するに、決定部912は、遮断対象のブレーカを遮断するための遮断信号を出力した後、所定の条件を満たした場合に、複数の分岐ブレーカ3のうちの別の分岐ブレーカ3を、追加の遮断対象のブレーカと決定する。所定の条件は、遮断対象のブレーカを遮断するための遮断信号を出力してから所定時間の経過後に、分電盤1内の温度が閾値温度以上であることを含む。具体的には、決定部912は、複数の分岐ブレーカ3のうちの遮断対象のブレーカを遮断するための遮断信号を出力してから所定時間の経過後に、遮断対象のブレーカに対応付けられている場所の温度が閾値温度以上の場合に、複数の分岐ブレーカ3のうちの別の分岐ブレーカ3を追加の遮断対象のブレーカと決定する。
【0078】
決定部912は、例えば、温度情報に基づいて、主幹ブレーカ2を遮断するか否かを決定する。決定部912は、主幹遮断条件を満たすか否かを判定する。主幹遮断条件が満たされた場合、決定部912は、主幹ブレーカ2を遮断することを(主幹ブレーカ2を遮断対象のブレーカと)決定する。
【0079】
主幹遮断条件は、例えば、主幹ブレーカ2が配置されている場所A7の温度が閾値温度以上となることを含む。
【0080】
主幹遮断条件は、例えば、複数の場所A1~A6の温度のうちのいずれかの温度が、主幹遮断閾値温度以上となることを含む。主幹遮断閾値温度は、例えば、決定部912が分岐ブレーカ3を遮断対象のブレーカと決定するために用いる閾値温度よりも、高い。
【0081】
すなわち、分電盤1の少なくとも一部分の温度が非常に高温になった場合、決定部912は、主幹ブレーカ2を遮断することを決定する。これにより、例えば火災の発生時等に、主幹ブレーカ2を強制的に遮断することが可能となり、分電盤1の安全性が向上する。
【0082】
決定部912は、電力情報に更に基づいて、分電盤1内に配置されるブレーカ6の遮断の仕方を決定してもよい。すなわち、決定部912は、温度情報と電力情報との組み合わせに基づいて、分電盤1内に配置されるブレーカ6の遮断の仕方を決定してもよい。
【0083】
例えば、場所A2の温度が閾値温度以上になり、かつ、この場所A2に配置されている4個の分岐ブレーカ3のうちの一つ(例えば、一番上の分岐ブレーカ3)を流れる電流が閾値電流以上であったとする。この場合、決定部912は、この一番上の分岐ブレーカ3を、遮断対象のブレーカと決定してもよい。
【0084】
通知部913は、遮断部914が遮断信号を出力する前に、遮断に関する通知を行う。通知部913は、本実施形態の分電盤管理方法における通知処理ST7(
図5参照)の実行主体である。
【0085】
すなわち、通知部913は、決定部912によりブレーカの遮断の仕方(遮断対象のブレーカ)が決定されると、遮断の仕方に関する情報を含む通知を、ユーザへ提供する。
【0086】
通知部913が提供する通知は、例えば、分岐ブレーカ3の遮断を実行するか否かをユーザに問い合わせる問い合わせ情報を含む。通知が問い合わせ情報を含む場合、通知部913は、通知を行った後、遮断の実行の要否を示す指示信号を待ち受ける。通知部913は、遮断の実行が必要であることを示す指示信号を受け取ると、遮断部914による分岐ブレーカ3の遮断の実行を許可する。通知部913は、遮断の実行の拒否を示す指示信号を受け取ると、遮断部914による分岐ブレーカ3の遮断の実行を許可しない。遮断の実行の拒否を示す指示信号を受け取った場合、通知部913は、例えば、所定時間の経過後に決定部912が再度分岐ブレーカ3の遮断を決定すると、ユーザに対して再度通知を行ってもよい。
【0087】
通知部913は、ここでは通信部93を介して、遮断に関する通知を行う。通信部93は、通信インタフェースを備えており、例えばネットワーク等を介して外部の通信装置に接続される。通信装置は、例えば、スマートフォン又はタブレット型のコンピュータ等の携帯端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末である。すなわち、通知部913は、通信部93を介して、通信装置へ通知を提供する。また、通知部913は、通信部93を介して、通信装置から指示信号を受け取る。
【0088】
遮断部914は、強制遮断条件が満たされた場合に、遮断対象の分岐ブレーカ3を強制的に遮断してもよい。強制遮断条件は、例えば、問い合わせ情報を含む通知を通知部913が行ってから、指示信号(すなわち、遮断の実行の要否)を一定時間受け取らないことである。要するに、遮断部914は、問い合わせ情報を含む通知を通知部913が行ってから、遮断の実行の要否を一定時間受け取らなかった場合、遮断対象の分岐ブレーカ3を強制的に遮断する。これにより、分電盤1の安全性がより向上する。
【0089】
遮断部914は、決定部912により決定された遮断の仕方に基づいて、分電盤1内に配置されるブレーカ6を遮断するための遮断信号を出力する。
【0090】
遮断部914は、複数のブレーカ6のうち、決定部912で決定された遮断対象のブレーカを遮断する。遮断部914は、例えば、複数の分岐ブレーカ3をグループ単位で遮断する。例えば、決定部912が、場所A2の温度が閾値温度以上になったため、この場所A2に配置されている4個の分岐ブレーカ3を遮断対象のブレーカと決定したとする。この場合、遮断部914は、この4個の分岐ブレーカ3に対して遮断信号を出力し、この4個の分岐ブレーカ3を遮断する。要するに、遮断部914は、複数のブレーカ6のうちの特定のブレーカのみを遮断する。遮断部914は、複数のグループのうちの1つのグループに含まれる全ての分岐ブレーカ3を特定のブレーカとして遮断する。
【0091】
ここでは、遮断信号は、遮断対象のブレーカに疑似漏電電流を流すための信号である。例えば、分岐ブレーカ3の1つの第1端子t1(電圧極に接続される第1端子t1)に接続され零相変流器(検出部34)の内部を通った電線が、抵抗とスイッチとの直列回路を介して、グランドに接続されているとする。遮断信号は、このスイッチをオンさせるための信号であり得る。このスイッチがオンされると、分岐ブレーカ3の検出部34が漏電(疑似的な漏電)の発生を検出し、接点部31を強制的に開極させて、これによりこの分岐ブレーカ3が遮断される。
【0092】
記憶部92は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ等を備える。記憶部92は、決定部912が遮断の仕方を決定するための情報(閾値温度等を含む)、複数の温度センサ701~707(場所A1~A7)と複数のブレーカ6との間の対応関係の情報、取得部911が取得した情報等を記憶する。
【0093】
閾値温度の情報、複数の温度センサ701~707(場所A1~A7)と複数のブレーカ6との間の対応関係の情報等は、例えば、通信部93に接続された外部の通信装置或いはコントローラ9が備える操作部等を用いて、適宜設定(変更)され得る。
【0094】
通信部93は、外部の通信装置と通信するための通信手段(通信インタフェース)を備えている。通信部93は、ネットワークを介して外部の通信装置に接続され、外部の通信装置へ種々の情報を送信する。通信部93は、例えば、ブレーカ6の遮断に関する通知を出力する。通信部93は、例えば、分電盤管理情報を出力する。通信部93は、例えば、温度情報と温度センサ7の配置位置の情報(場所A1~A7の情報)とを含む情報を出力する。通信部93が出力する情報は、分電盤管理情報に基づいて得られる他の情報を含んでもよい。
【0095】
(3)動作
以下、本実施形態の分電盤管理システム100の基本動作の一例について、
図5を参照して説明する。
【0096】
上述のように、複数の温度センサ701~707は、キャビネット10内の複数の場所A1~A7の温度を計測し、計測した温度の情報をコントローラ9へ出力する。また、電流計測装置8は、各分岐ブレーカ3に流れる電流を計測し、計測した電流の情報をコントローラ9へ出力する。コントローラ9の取得部911は、これらの情報を、分電盤管理情報として取得する(ST1)。
【0097】
コントローラの決定部912は、少なくとも温度情報に基づいて、分電盤1内に配置されるブレーカ6の遮断の仕方を決定する。決定部912が決定する遮断の仕方は、複数の分岐ブレーカ3のうちで遮断対象となるブレーカ、複数の分岐ブレーカ3の遮断の順番、及び主幹ブレーカ2の遮断の要否(主幹遮断条件を満たすか否か)のうちの少なくとも一つを含む。
【0098】
決定部912は、主幹遮断条件を満たすか否かを判定する(ST2)。主幹遮断条件が満たされた場合(ST2:Yes)、決定部912は、主幹ブレーカ2を遮断対象のブレーカと決定する(ST3)。遮断部914は、主幹ブレーカ2が遮断対象のブレーカと決定されると、主幹ブレーカ2を遮断するための遮断信号を出力する(ST4)。
【0099】
主幹遮断条件が満たされない場合(ST2:No)、決定部912は、複数の場所A1~A6のうちのいずれかの場所の温度が、閾値温度以上であるか否かを判定する(ST5)。いずれかの場所の温度が閾値温度以上である場合(ST5:Yes)、決定部912は、その場所に対応付けられているグループに含まれる複数の分岐ブレーカ3を、遮断対象のブレーカと決定する(ST6)。
【0100】
通知部913は、分岐ブレーカ3が遮断対象のブレーカと決定されると、問い合わせ情報を含む通知をユーザへ提供する(ST7)。通知を行った後、通知部913は、指示信号を待ち受ける。遮断の実行の拒否を示す指示信号を受け取る(ST8:Yes)と、通知部913は、分岐ブレーカ3の遮断の実行を許可せず、コントローラ9の処理は例えば処理ST1へ戻る。
【0101】
遮断の実行の拒否を示す指示信号を受け取らず(ST8:No)、遮断の実行が必要であることを示す指示信号を受け取る(ST9:Yes)と、遮断部914は、遮断対象の分岐ブレーカ3を遮断するための遮断信号を出力する(ST10)。通知部913は、指示信号を受け取るまでの間、通知を行ってから一定時間が経過したか否かを判定する(ST11)。一定時間が経過すると、遮断部914は、強制遮断条件が満たされたとして、遮断対象の分岐ブレーカ3を遮断するための遮断信号を出力する(ST10)。
【0102】
遮断対象の分岐ブレーカ3を遮断するための遮断信号が出力された後、決定部912は、所定時間が経過するのを待つ(ST12)。所定時間が経過すると、決定部912は、処理ST5にて温度が閾値温度(第1閾値温度)以上であった場所の温度が、閾値温度(第2閾値温度)以上であるか否かを判定する(ST13)。閾値温度未満の場合(ST13:No)、コントローラ9は、処理を終了する。閾値温度以上の場合(ST13:Yes)、決定部912は、この場所の周囲の場所のうちで最も温度が高い場所に配置されている分岐ブレーカ3を、追加の遮断対象のブレーカと決定する(ST14)。そして、コントローラ9は、遮断に関する通知(ST7)、指示信号の待ち受け(ST8,ST9,ST11)、追加の遮断対象のブレーカの遮断(ST10)等を行う。
【0103】
このように、本実施形態の分電盤管理システム100では、分電盤1内の温度情報に基づいて、分電盤1内に配置されるブレーカ6が遮断される。そのため、例えば、火災の原因となり得る分電盤1の温度上昇時に、その温度上昇の原因となるブレーカ6を遮断することが可能となる。そのため、本実施形態では、分電盤1の安全性を向上させることが可能となる、という利点がある。
【0104】
また、本実施形態の分電盤管理システム100では、ある場所の温度が閾値温度以上となったとしても、この場所に配置されている分岐ブレーカ3以外の分岐ブレーカ3については遮断しないことも可能である。したがって、この分岐ブレーカ3に接続されている負荷110へは電力の供給を維持することが可能となり、この負荷110の動作を維持することが可能となる。
【0105】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、分電盤管理方法(分電盤管理システム100)と同様の機能は、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上述の分電盤管理方法を実行させる。
【0106】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0107】
本開示における分電盤管理システム100は、例えばコントローラ9の制御部91等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における分電盤管理システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0108】
また、分電盤管理システム100における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは分電盤管理システム100に必須の構成ではない。分電盤管理システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、分電盤管理システム100の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0109】
一変形例において、決定部912が決定する遮断の仕方は、ユーザへの通知の要否を含んでいてもよい。つまり、決定部912は、分電盤1内の温度に関する温度情報に基づいて、遮断に関する通知の要否を決定する通知要否決定処理と、通知要否決定処理において通知が要と決定された場合に、遮断に関する通知を行う通知処理と、を行ってもよい。また、通知部913は、通知に応じて、遮断の実行の要否を示す指示信号を待ち受けてもよい。この場合、例えば、分電盤1内の温度の高低に応じて通知の要否を決定することが可能となる。例えば、分電盤1内の温度が常温よりも高いが高すぎる温度でも無い場合には通知を行い、分電盤1内の温度が非常に高い場合には通知を行わず遮断対象のブレーカを遮断する等の動作が可能となる。これにより、ユーザの利便性が向上する。
【0110】
一変形例において、分電盤管理情報は、環境情報を含んでいてもよい。環境情報は、分電盤1内の環境に関する情報であって、温度情報以外の情報である。環境情報は、取得部911(取得処理ST1)により取得される。環境情報は、例えば、分電盤1内の煙の濃度(存否)に関する情報、分電盤1内のにおいに関する情報、分電盤1内の一酸化炭素の濃度(存否)に関する情報、地震に関する情報、アークの発生に関する情報等を含み得る。
【0111】
一変形例において、複数の温度センサ7のうちのある温度センサ7による温度の計測対象の場所に、ブレーカ6が含まれていなくてもよい。
【0112】
一変形例において、複数のブレーカ6のうちのあるブレーカ6が、複数の温度センサ7による温度の計測対象の場所のうちのいずれにも含まれていなくてもよい。
【0113】
一変形例において、温度センサ7は、赤外線センサ71として、熱型赤外線検出部を画素とする検出部がアレイ状に配置された熱画像センサを備えていてもよい。
【0114】
一変形例において、分電盤1には、温度センサ7として、キャビネット10内の空間全体を撮像可能な熱画像センサが設けられていてもよい。この場合、取得部911は、温度分布情報として、熱画像センサで撮像されたキャビネット10内の温度分布を示す画像の情報を取得する。
【0115】
一変形例において、複数の温度センサ7によって、キャビネット10内のすべての領域がカバーされていてもよい。
【0116】
一変形例において、複数の温度センサ7による温度の計測対象の場所は、重複する領域が存在してもよい。
【0117】
一変形例において、複数の温度センサ7は、複数のブレーカ6に一対一で設けられていてもよい。例えば、各ブレーカ6に温度センサ7が内蔵されていてもよい。
【0118】
一変形例において、通知部913は、分電盤1に設けられている表示部を介して、遮断に関する通知を行ってもよい。一変形例において、指示信号は、分電盤1に設けられている操作部への入力操作に応じてコントローラ9へ出力されてもよい。
【0119】
一変形例において、電力情報は、ブレーカ6に印可される電圧の情報を含んでいてもよい。すなわち、取得部911は、電力情報として、ブレーカ6に印可される電圧の情報を取得してもよい。ブレーカ6に印可される電圧は、適宜の電圧計等で計測可能である。
【0120】
一変形例において、遮断信号は、遮断対象のブレーカに疑似漏電電流を流すための信号以外の信号であってもよい。例えば、ブレーカ6が遠隔操作が可能なリモコンブレーカの場合、遮断信号は、このブレーカに遮断動作を行わせるための信号であってもよい。この場合、ブレーカ6は漏電遮断器でなくてもよい。
【0121】
一変形例において、分電盤管理システム100は、分電盤1の外部に配置された処理装置により構成されてもよい。
【0122】
一変形例において、遮断対象のブレーカと、追加の遮断対象のブレーカとは、複数の温度センサ7のうちの同一の温度センサ7で温度が計測される場所内に配置されていてもよい。つまり、決定部912は、同一の温度センサ7で温度が計測される場所内に配置されている複数の分岐ブレーカ3を、段階的に遮断対象と決定してもよい。
【0123】
一変形例において、遮断部914は、遮断対象のブレーカが決定された場合、全ての分岐ブレーカ3を一旦遮断(オフ)してから、遮断対象のブレーカ以外のブレーカを復旧(オン)してもよい。
【0124】
(5)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0125】
第1の態様の分電盤管理方法は、取得処理(ST1)と、決定処理(ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14)と、遮断処理(ST4,ST10)と、を含む。取得処理(ST1)は、分電盤(1)内の温度に関する温度情報を取得することを含む。決定処理(ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14)は、温度情報に基づいて、分電盤(1)内に配置されるブレーカ(6)の遮断の仕方を決定すること(ST2,ST3,ST5,ST6)を含む。遮断処理(ST4,ST10)は、決定処理の結果に基づいて、ブレーカ(6)を遮断するための遮断信号を出力することを含む。
【0126】
この態様によれば、分電盤(1)の安全性を向上させることが可能となる。
【0127】
第2の態様の分電盤管理方法では、第1の態様において、温度情報は、分電盤(1)内における複数の場所(A1~A7)の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含む。取得処理(ST1)は、温度分布情報を取得することを含む。決定処理(ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14)は、温度分布情報に基づいて、ブレーカの遮断の仕方を決定すること(ST2,ST3,ST5,ST6)を含む。
【0128】
この態様によれば、温度分布情報に基づいて、ブレーカ(6)の遮断の仕方を決定することが可能となる。
【0129】
第3の態様の分電盤管理方法では、第1又は第2の態様において、分電盤(1)内には、ブレーカ(6)として複数の分岐ブレーカ(3)が配置されている。決定処理(ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14)は、温度情報に基づいて、複数の分岐ブレーカ(3)のうちの1以上の分岐ブレーカ(3)であって遮断対象のブレーカを決定すること(ST5,ST6)を含む。遮断処理(ST4,ST10)は、遮断対象のブレーカを遮断するための遮断信号を出力すること(ST10)を含む。
【0130】
この態様によれば、温度情報に基づいて、分電盤(1)内の複数の分岐ブレーカ(3)のうちの少なくとも1つの分岐ブレーカ(3)を遮断することが可能となる。また、遮断対象のブレーカ以外の分岐ブレーカ(3)に接続されている負荷(110)については、継続して使用することが可能となる。
【0131】
第4の態様の分電盤管理方法では、第3の態様において、決定処理(ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14)は、遮断対象のブレーカを遮断するための遮断信号を出力した後、所定の条件を満たした場合に、複数の分岐ブレーカ(3)のうちの別の分岐ブレーカ(3)を追加の遮断対象のブレーカと決定すること(ST13,ST14)を含む。
【0132】
この態様によれば、遮断対象のブレーカを遮断した後に所定の条件を満たした場合、別の分岐ブレーカ(3)が遮断されるので、分電盤(1)の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0133】
第5の態様の分電盤管理方法では、第4の態様において、所定の条件は、遮断対象のブレーカを遮断するための遮断信号を出力してから所定時間の経過後に、分電盤(1)内の温度が閾値温度以上であることを含む。
【0134】
この態様によれば、遮断対象のブレーカを遮断した後に分電盤(1)の温度が低下しない場合、別の分岐ブレーカ(3)を遮断するので、分電盤(1)の安全性を更に向上させることが可能となる。
【0135】
第6の態様の分電盤管理方法では、第4又は第5の態様において、温度情報は、分電盤(1)内における複数の場所(A1~A7)それぞれの温度を計測する複数の温度センサ(7)で計測された複数の場所(A1~A7)の温度の分布を示す温度分布情報を含む。遮断対象のブレーカと、追加の遮断対象のブレーカとは、複数の温度センサ(7)のうちの同一の温度センサ(7)で温度が計測される場所内に配置されている。
【0136】
この態様によれば、同一の温度センサ(7)で温度が計測される場所内に配置されている複数の分岐ブレーカ(3)を、段階的に遮断対象とすることが可能となる。
【0137】
第7の態様の分電盤管理方法では、第3~第5のいずれか1つの態様において、温度情報は、分電盤(1)内における複数の場所(A1~A7)の温度の分布を特定可能な態様で示す温度分布情報を含む。複数の分岐ブレーカ(3)は、各々が1以上の分岐ブレーカ(3)を含む複数のグループに区分けされる。複数のグループは、複数の場所(A1~A7)に対応付けられている。決定処理(ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14)は、複数の場所(A1~A7)のうちで温度分布情報で示される温度が閾値温度以上の場所に対応付けられているグループに含まれている全ての分岐ブレーカ(3)を、遮断対象のブレーカと決定すること(ST5,ST6)を含む。
【0138】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に基づいて、グループに含まれる1以上の分岐ブレーカ(3)の遮断を行うことが可能となる、という利点がある。
【0139】
第8の態様の分電盤管理方法では、第1~第7のいずれか1つの態様において、分電盤(1)内には、ブレーカ(6)として主幹ブレーカ(2)と分岐ブレーカ(3)とが配置されている。決定処理(ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14)は、主幹ブレーカ(2)を遮断するか否かを決定する主幹遮断決定処理(ST2,ST3)を含む。遮断処理(ST4,ST10)は、主幹ブレーカ(2)を遮断するための遮断信号を出力すること(ST4)を含む。
【0140】
この態様によれば、例えば火災の発生時等に、主幹ブレーカ(2)を強制的に遮断することが可能となり、分電盤(1)の安全性が更に向上する。
【0141】
第9の態様の分電盤管理方法では、第1~第8のいずれか1つの態様において、決定処理(ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14)は、通知要否決定処理と、通知処理と、を含む。通知要否決定処理は、温度情報に基づいて、遮断処理(ST10)に関する通知の要否を決定することを含む。通知処理は、通知要否決定処理において通知が要と決定された場合に、遮断処理(ST10)に関する通知を行うことを含む。
【0142】
この態様によれば、ユーザの利便性が向上する。
【0143】
第10の態様の分電盤管理方法では、第1~第8のいずれか1つの態様において、遮断処理(ST10)の前に、遮断処理(ST10)に関する通知を行う通知処理(ST7)を含む。
【0144】
この態様によれば、遮断処理(ST10)の前に、ユーザに通知を行うことが可能となる。
【0145】
第11の態様の分電盤管理方法では、第9又は第10の態様において、通知処理(ST7)での通知に応じて、遮断処理(ST10)の実行の要否を待ち受ける待受処理(ST8,ST9,ST11)を更に含む。
【0146】
この態様によれば、ユーザからの指示に基づいて、遮断対象のブレーカの遮断を行う等の制御が可能となる。
【0147】
第12の態様の分電盤管理方法では、第11の態様において、遮断処理(ST4,ST10)は、通知を行った後に遮断の実行の要否を一定時間受け取らなかった場合に、ブレーカ(6)を強制的に遮断する強制遮断処理(ST10)を含む。
【0148】
この態様によれば、例えばユーザが通知を見逃した場合等に、ブレーカ(6)を強制的に遮断することが可能となり、分電盤(1)の安全性が更に向上する。
【0149】
第13の態様の分電盤(1)は、第1~第12のいずれか1つの態様の分電盤管理方法の管理対象である分電盤(1)である。分電盤(1)は、温度情報を出力する情報出力部(150)を備える。
【0150】
第14の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第1~第12のいずれか1つの態様の分電盤管理方法を実行させるための、プログラムである。
【0151】
この態様によれば、分電盤(1)の安全性を向上させることが可能となる。
【0152】
第15の態様の分電盤管理システム(100)は、取得部(911)と、決定部(912)と、遮断部(914)と、を備える。取得部(911)は、分電盤(1)内の温度に関する温度情報を取得する。決定部(912)は、温度情報に基づいて、分電盤(1)内に配置されるブレーカ(6)の遮断の仕方を決定する。遮断部(914)は、決定部(912)により決定された遮断の仕方に基づいて、ブレーカ(6)を遮断するための遮断信号を出力する。
【0153】
この態様によれば、分電盤(1)の安全性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0154】
1 分電盤
2 主幹ブレーカ
3 分岐ブレーカ
6 ブレーカ
7 温度センサ
150 情報出力部
100 分電盤管理システム
911 取得部
912 決定部
914 遮断部
A1~A10 場所
ST1 取得処理
ST2,ST3,ST5,ST6,ST13,ST14 決定処理
ST4,ST10 遮断処理
ST7 通知処理
ST8,ST9 待受処理