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▶ 河村電器産業株式会社の特許一覧

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  • 特許-分電盤 図1
  • 特許-分電盤 図2
  • 特許-分電盤 図3
  • 特許-分電盤 図4
  • 特許-分電盤 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/42 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H02B1/42
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020148438
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042823
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 京香
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-084103(JP,U)
【文献】実開昭63-179712(JP,U)
【文献】特開2003-235118(JP,A)
【文献】特開平02-307306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に向けて開口する箱体を備える分電盤であって、
前記箱体の内側背面に取り付けられる取付ベースと、前記箱体の前面に取り付けられる板状のカバーと、を備え、
前記取付ベースは、矩形状の貫通孔を縦横に等間隔で複数備えて格子が形成されており、
前記カバーには、前記取付ベースの前記格子と同ピッチで、複数のスリットが、点線状且つ格子状に形成され、
前記格子と、前記スリットとは、前記箱体への取付状態において、前面視で同一位置となるように形成されることを特徴とする分電盤。
【請求項2】
前記取付ベースに係合可能な脚部が形成された機器取付台を備えることを特徴とする請求項1に記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ブレーカ等(以下、機器とする)を収容する分電盤において、分電盤の筐体として使用される箱体の内部に機器を取り付ける際、箱体内部に設けられた機器取付板に機器をねじ止め等によって取り付けている。そのような中、特許文献1では、機器取り付け板の表面に方眼を施すことで、機器の取付位置の位置決めを容易にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-84103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、機器の取付位置の位置決めが容易であったとしても、機器取付板へのねじ止めの必要はあり、さらに機器取付板が金属製であった場合には、下穴加工の手間も加わるため、機器の取付作業に時間がかかっていた。また、感電防止等を目的に、機器の設置後に、機器周辺を覆おうカバーを取り付ける必要がある。しかし、機器の必要部位を露出させるためにカバーに設けられた開口は、その位置を変えられるものではないため、カバーの開口位置に合わせて機器の位置決めを行った上で機器取付板に取り付ける必要があり、機器の取付作業が煩雑になると共に、機器取付板上での機器のレイアウトが制限されていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、機器の着脱及びレイアウトが容易に可能な分電盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、前方に向けて開口する箱体を備える分電盤であって、箱体の内側背面に取り付けられる取付ベースと、箱体の前面に取り付けられる板状のカバーと、を備え、取付ベースは、矩形状の貫通孔を縦横に等間隔で複数備えて格子が形成されており、カバーには、取付ベースの格子と同ピッチで、複数のスリットが、点線状且つ格子状に形成され、格子と、スリットとは、箱体への取付状態において、前面視で同一位置となるように形成されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、上記構成において、取付ベースに係合可能な脚部が形成された機器取付台を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、カバーのスリットを点線状にしたことで、カバーを切り抜き、開口を設けることが可能となる。この時、取付ベースの格子と、カバーのスリットを同ピッチで形成し、且つ取付状態において、正面視でそれぞれが同一位置となるようにしたことで、取付ベースの格子を目安に、機器のレイアウトに合わせてカバーの開口を設けることができるため、機器の取付作業及びレイアウトを容易に行うことが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、機器を固定した機器取付台の脚部を取付ベースに係合するだけで分電盤への機器の取り付けができるため、作業時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の分電盤を示す斜視図である。
図2】蓋部及びカバーを除いた本発明の分電盤を示す正面図である。
図3】蓋部を除いた本発明の分電盤を示す正面図である。
図4図3におけるA-A線断面を示す断面図である。
図5図3におけるB-B線断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の分電盤を示す斜視図である。
分電盤1は、前方が開口した箱体1aと、箱体1aの上部に回動可能に取り付けられ、箱体1aの開口を正面から閉塞可能な蓋部1bとを備える。
分電盤1は、その内部空間に機器2を収容するために使用される。
【0010】
図2は、蓋部及びカバーを除いた本発明の分電盤を示す正面図である。図3は、蓋部を除いた本発明の分電盤を示す正面図である。図4は、図3におけるA-A線断面を示す断面図である。図5は、図3におけるB-B線断面を示す断面図である。
分電盤1の内側背面には、図2に示すように、正方形状の貫通孔4aを縦横に等間隔で複数備え、上下左右に骨子が延びる格子4により形成される板状の取付ベース3が設けられている。取付ベース3の前面に、機器2が取り付けられる。
作業者及び使用者等が感電することを防ぐため、図3に示すように、機器2を取り付けた後、箱体1aの前面に板状のカバー5を取り付ける。
カバー5には、複数のスリット6が上下左右に延びる点線状且つ格子状に形成されている。スリット6を点線状としたことで、カバー5の取付時に、機器2のレイアウトに合わせた位置を切り抜き、開口7を設けて使用できる。また、図4図5に示すように、取付ベース3の格子4のピッチAと、格子状に形成されるスリット6のピッチBとが、正面視で同一位置となるようにスリット6は形成される。さらに、スリット6は、箱体1aへの取付状態において、前面視で取付ベース3の格子4と同一位置となるように形成される
このように、取付ベース3の格子4と、カバー5のスリット6を同ピッチで形成し、且つ取付状態において、正面視で格子4とスリット6とが同一位置となるようにしたことで、格子4を目安に、機器2のレイアウトに合わせてカバー5の開口7を設けることができるため、機器2の取付作業及びレイアウトを容易に行うことが可能となる。
【0011】
機器2は、図2,4及び5に示すように、機器取付台8の前面に任意の固定手段によって取り付けられている。機器取付台8は、四角形状に形成された板状部材であり、その上端及び下端には、後方に向けて突出する脚部9a,9bが設けられている。上端側の脚部9aと下端側の脚部9bとは、それぞれが取付ベース3の異なる貫通孔4aに挿入可能な位置に形成される。また、脚部9a,9bの後端には、格子4に後方から係止可能な爪部10が形成されている。機器2を取り付けた機器取付台8の脚部9a,9bを取付ベース3の貫通孔4aに挿入し、格子4に爪部10を係止させることで、機器取付台8を取付ベース3に係合させ、固定することができる。従って、予め機器取付台8に機器2を取り付けておくことで、取付ベース3に機器取付台8の脚部9a,9bを差し込むだけで機器2を分電盤1に容易に取り付けることができる。また、爪部10を格子4への係止位置から退避させることで、容易に取り外すことも可能である。
【0012】
上記形態の分電盤1は、前方に向けて開口する箱体1aを備え、箱体1aの内側背面に取り付けられる取付ベース3と、箱体1aの前面に取り付けられる板状のカバー5と、を備え、取付ベース3は、正方形状の貫通孔4aを縦横に等間隔で複数備えて格子4が形成されており、カバー5には、取付ベース3の格子4と同ピッチで、複数のスリット6が、点線状且つ格子状に形成され、格子4と、スリット6とは、箱体1aへの取付状態において、前面視で同一位置となるように形成される。
このようにして構成される分電盤1によれば、カバー5のスリット6を点線状にしたことで、カバー5を切り抜き、開口7を設けることが可能となる。この時、取付ベース3の格子4と、カバー5のスリット6を同ピッチA,Bで形成し、且つ取付状態において、正面視でそれぞれが同一位置となるようにしたことで、取付ベース3の格子4を目安に、機器2のレイアウトに合わせてカバー5の開口7を設けることができるため、機器2の取付作業及びレイアウトを容易に行うことが可能となる。
【0013】
また、取付ベース3に係合可能な脚部9a,9bが形成された機器取付台8を備える。
よって、機器2を固定した機器取付台8の脚部9a,9bを取付ベース3に係合するだけで分電盤1への機器2の取り付けができるため、作業時間を短縮できる。
【0014】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。
例えば、取付ベースの格子及びカバーのスリットのピッチは、同ピッチ、且つ取付状態において、正面視でそれぞれが同一位置となるのであれば、任意のピッチで形成できる。
また、分電盤に収容される機器の数は、3つに限定されず、必要に応じて、増減しても良い。さらに、機器の種類も限定されない。
また、機器取付台は、取付ベースに係合可能であれば良く、脚部の形状、数及び形成位置は、任意に選択可能である。
また、機器取付台は必ずしも用いる必要はなく、任意の方法で機器を分電盤に固定しても良い。
【符号の説明】
【0015】
1・・分電盤、2・・機器、3・・取付ベース、4・・格子、4a・・貫通孔、5・・カバー、6・・スリット、8・・機器取付台、9a,9b・・脚部。
図1
図2
図3
図4
図5