(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 81/76 20140101AFI20240510BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240510BHJP
E05B 85/16 20140101ALI20240510BHJP
【FI】
E05B81/76
B60J5/04 H
E05B85/16 C
(21)【出願番号】P 2020207779
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小野 高志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宣明
(72)【発明者】
【氏名】藪本 和久
(72)【発明者】
【氏名】佐野 英樹
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-509607(JP,A)
【文献】特開2007-177508(JP,A)
【文献】特開2005-98016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0337571(US,A1)
【文献】特開2006-233447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
E05B 81/76
E05B 85/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表カバー、及び前記表カバーと一体に設けられて前記表カバーよりも車両のドア側に配置される裏カバーを有し、前記ドアに取り付けられて、前記ドアの開閉操作時に使用者によって操作されるためのハンドル部材と、
前記使用者による前記ハンドル部材の操作を検出するための操作検出センサと
を備え、
前記裏カバーは、
前記裏カバーの長手方向に係る両端部に配置され、前記ハンドル部材の表裏方向に係る表側から裏側への及び前記裏側から前記表側への前記表カバーに対する相対的な移動が規制された一対の移動被規制部と、
前記一対の移動被規制部の間に配置され、前記使用者による前記操作に応じて撓むことができる可撓部と
を有し、
前記操作検出センサは、前記可撓部の撓みを検出
し、
前記操作検出センサは、非接触式センサを含む、
車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記表カバーには、前記長手方向に係る前記裏カバーの端部を受け入れる受入部が設けられており、
前記受入部には、前記表裏方向に互いに対向する第1及び第2壁部が設けられており、
前記移動被規制部は、前記第1及び第2壁部に当接された当接部を含む、
請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
前記当接部は、前記第1及び第2壁部の少なくとも一方に頂部が当接される突部が含まれている、
請求項2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項4】
前記第1壁部は、前記第2壁部よりも前記ハンドル部材の表裏方向に係る裏側に配置されており、
前記裏カバーは、裏カバー本体と、前記長手方向に係る前記裏カバー本体の端部から前記表裏方向に係る裏側に向けて突出された第1片部と、前記第1片部から前記長手方向に延出された第2片部とを有しており、
前記突部は、前記表裏方向に係る前記第2片部の裏面から突出されて前記第1壁部に当接される第1突部を含む、
請求項3に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項5】
前記第2壁部は、前記第1壁部よりも前記ハンドル部材の表裏方向に係る表側に配置されており、
前記突部は、前記第2壁部に当接される第2突部を含み、
前記第2突部の頂部は、前記長手方向に沿う前記裏カバーの断面で見たときに円弧状の外面を有する、
請求項3又は請求項4に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項6】
前記長手方向及び前記表裏方向は、前記ハンドル部材の幅方向にそれぞれ交わっており、
前記表カバーは、前記長手方向及び前記幅方向に延在する表壁部を有しており、
前記可撓部は、前記使用者による前記操作に応じた撓みによって前記表カバーに対して相対的に前記表裏方向に係る表側に変位可能であり、前記表壁部と非接触に配置されている、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項7】
前記操作検出センサは、前記表カバー及び前記裏カバーのいずれか一方に取り付けられた被検出部と、前記表カバー及び前記裏カバーの他方に取り付けられた検出部とを有するインダクティブセンサを含む、
請求項1から請求項
6までのいずれか1項に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項8】
電子部品をさらに備え、
前記操作検出センサの少なくとも一部及び前記電子部品は、互いに一体化されたアッセンブリの状態で前記表カバーと前記裏カバーとの間の内部空間に配置されている、
請求項1から請求項
7までのいずれか1項に記載の車両用ドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアの開閉操作に使用される車両用ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の車両用ドアハンドル装置としては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来の車両用ドアハンドル装置では、ハンドルグリップの握り部に、この握り部を握り操作した際の握り力により握り面に対して平行移動する被操作部材を備え、この被操作部材の平行移動をスイッチにより検出している。スイッチが被操作部材の平行移動を検出した際、ドアロックをアンロック状態に切り換える等の制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の車両用ドアハンドル装置では、被操作部材を平行移動させる構成を採っている。このような構成では、被操作部材の移動範囲を規定するために、被操作部材に当接することで被操作部材の移動を規制するストッパが設けられる。使用者が被操作部材を操作した際に、被操作部材がストッパに当接すると、使用者に突き当たりを感じさせ、使用者の操作感が低下する。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、使用者の操作感を向上できる車両用ドアハンドル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用ドアハンドル装置は、表カバー、及び表カバーと一体に設けられて表カバーよりも車両のドア側に配置される裏カバーを有し、ドアに取り付けられて、ドアの開閉操作時に使用者によって操作されるためのハンドル部材と、使用者によるハンドル部材の操作を検出するための操作検出センサとを備え、裏カバーは、裏カバーの長手方向に係る両端部に配置され、ハンドル部材の表裏方向に係る表側から裏側への及び裏側から表側への表カバーに対する相対的な移動が規制された一対の移動被規制部と、一対の移動被規制部の間に配置され、使用者による操作に応じて撓むことができる可撓部とを有し、操作検出センサは、可撓部の撓みを検出し、操作検出センサは、非接触式センサを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用ドアハンドル装置によれば、一対の移動被規制部の間に配置された可撓部を裏カバーが有し、操作検出センサが可撓部の撓みを検出するので、使用者に突き当たりを感じさせる虞を低減でき、使用者の操作感を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態による車両用ドアハンドル装置を示す表面図である。
【
図2】
図1の線II-IIに沿う車両用ドアハンドル装置の断面図である。
【
図3】
図1の車両用ドアハンドル装置を示す裏面図である。
【
図4】
図2の領域IVを拡大して示す拡大図である。
【
図5】
図2の線V-Vに沿う車両用ドアハンドル装置の断面図である。
【
図8】
図7の線VIII-VIIIに沿う表カバーの断面図である。
【
図10】
図8の線X-Xに沿う表カバーの断面図である。
【
図13】
図12の線XIII-XIIIに沿う裏カバーの断面図である。
【
図17】
図2の操作検出センサ及び進入検出センサを含むアッセンブリを示す斜視図である。
【
図19】
図18の線XIX-XIXに沿うアッセンブリの断面図である。
【
図20】
図17のアッセンブリが裏カバーに組付けられた状態を示す斜視図である。
【
図21】
図2の表カバーへの裏カバーの組付け方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0010】
<全体構成について>
まず、
図1~
図5を参照しながら、本発明の実施の形態による車両用ドアハンドル装置1の全体構成について説明する。
図1は本発明の実施の形態による車両用ドアハンドル装置1を示す表面図であり、
図2は
図1の線II-IIに沿う車両用ドアハンドル装置1の断面図であり、
図3は
図1の車両用ドアハンドル装置1を示す裏面図であり、
図4は
図2の領域IVを拡大して示す拡大図であり、
図5は
図2の線V-Vに沿う車両用ドアハンドル装置1の断面図である。
【0011】
図1~
図3に示す車両用ドアハンドル装置1は、例えば乗用車等の車両のドア2(
図2参照)に取り付けられる装置である。より具体的には、車両用ドアハンドル装置1はドア2の外側に取り付けられ得る。車両用ドアハンドル装置1は、ハンドル部材3、操作検出センサ4及び進入検出センサ5を備えている。
【0012】
ハンドル部材3は、全体として長手状の外形を有しており、車両のドア2に取り付けられて、ドア2の開閉操作時に使用者によって操作され得る部材である。以下、ハンドル部材3の長手方向3a、表裏方向3b及び幅方向3cとの用語を用いて車両用ドアハンドル装置1の各部について説明することがある。長手方向3aは、ハンドル部材3が長く延在する方向である。表裏方向3bは、長手方向3aに交わる方向であるとともに、後述の表カバー30及び裏カバー31が重なる方向である。表裏方向3bに係る表側は裏カバー31から表カバー30に向かう方向の側を指し、表裏方向3bに係る裏側は表カバー30から裏カバー31に向かう方向の側を指す。幅方向3cは、長手方向3a及び表裏方向3bに交わる方向である。長手方向3a、表裏方向3b及び幅方向3cは、互いに直交した方向であり得る。ハンドル部材3が車両のドア2に取り付けられたとき、長手方向3aは車両の前後方向に延在され、表裏方向3bは車両の幅方向に延在され、幅方向3cは車両の高さ方向(鉛直方向)に延在され得る。表裏方向3bに関して、裏側は車両幅方向内側であり、表側は車両幅方向外側であり得る。
【0013】
図1~
図3に示すように、ハンドル部材3は、表カバー30及び裏カバー31を有している。これら表カバー30及び裏カバー31は、ハンドル部材3と同様に全体として長手状の外形を有している。表カバー30及び裏カバー31の長手方向は、ハンドル部材3の長手方向3aと同義である。表カバー30及び裏カバー31は、上述のように表裏方向3bに互いに重ねられている。裏カバー31は、表カバー30の裏側に配置されている。すなわち、裏カバー31は、表カバー30よりも車両のドア側に配置されるように適合されている。裏カバー31は、表カバー30に組付けられることで、表カバー30と一体に設けられている。後に詳しく説明するように、裏カバー31は、表カバー30の内部空間に挿入された状態で表カバー30と一体に設けられている。
【0014】
本実施の形態の裏カバー31は、第1及び第2移動被規制部32,33(一対の移動被規制部)と可撓部34とを有している。
【0015】
第1及び第2移動被規制部32,33は、長手方向3aに係る裏カバー31の両端部に配置されている。第1移動被規制部32は、長手方向3aに係る裏カバー31の一端31a側に配置されている。これら第1及び第2移動被規制部32,33は、表裏方向3bに係る表側から裏側への及び裏側から表側への(すなわち表裏方向3bに係る両方向への)表カバー30に対する相対的な移動が規制された部分である。すなわち、裏カバー31は、第1及び第2移動被規制部32,33において、少なくとも表裏方向3bに関して表カバー30に固定されている。
【0016】
後に詳しく説明するように、第1及び第2移動被規制部32,33は、表カバー30に設けられた構成との当接により表裏方向3bの移動が規制された当接部320(第1移動被規制部32)と、表カバー30への締結により表裏方向3bの移動が規制された締結部330(第2移動被規制部33)とを含む。しかしながら、第1及び第2移動被規制部32,33において表裏方向3bに係る両方向への移動を規制する態様及び/又は態様の組み合わせは上記に限定されなくてよく、例えば溶着、接着又は爪勘合等の他の態様により表裏方向3bの移動が規制されていてもよく、例えば第1及び第2移動被規制部32,33の両方が同じ態様とされていてもよい。すなわち、第1及び第2移動被規制部32,33の両方が締結部330とされていてもよい。
【0017】
可撓部34は、長手方向3aに係る第1及び第2移動被規制部32,33の間に配置され、使用者による操作に応じて撓むことができる部分である。より具体的には、可撓部34は、使用者による操作に応じた撓みによって表カバー30に対して相対的に表裏方向3bに係る表側に変位可能に設けられている。さらに具体的に説明すると、可撓部34は、ハンドル部材3が使用者による引操作を受けたとき、第1及び第2移動被規制部32,33を支点として弾性変形する(撓む)ことにより、表カバー30に対して相対的に表裏方向3bに係る表側に変位可能に設けられている。引操作とは、車外にいる使用者がドア2とハンドル部材3との間に手先を挿入した上で、ハンドル部材3を手前(車外側)に引く操作である。
図5に現れているように、少なくとも可撓部34の位置において、裏カバー31は表カバー30よりも表裏方向3bに係る裏側に突出しており、引操作による外力を可撓部34が主に受けるよう適合されている。可撓部34は、引操作による外力付与がなくなったとき、可撓部34自体の弾性により、表カバー30に対して相対的に表裏方向3bに係る裏側に変位して、所定位置に戻ることができる。
【0018】
ここで、第1及び第2移動被規制部32,33の間の長手方向3aに係る距離は、一端31aと第1移動被規制部32との間の長手方向3aに係る距離、及び他端31bと第2移動被規制部33との間の長手方向3aに係る距離よりも長いことが好ましい。すなわち、長手方向3aに可撓部34をより広く確保することが好ましい。より確実に引操作によって可撓部34を撓ませることができるようにするためである。
【0019】
図5に示すように、引操作による外力を受けていないとき、可撓部34は、長手方向3a及び幅方向3cに延在する表カバー30の表壁部300aに対して非接触に配置されている。また、裏カバー31又は可撓部34の弾性により、可撓部34の撓み量(表側への変位量)が制限される。このため、他の部材を可撓部34に当接させることにより可撓部34の変位を規制しなくてもよい。本実施の形態の車両用ドアハンドル装置1では、通常の人手による引操作をハンドル部材3が受けたとき、表裏方向3bに係る表側への可撓部34の変位は例えば表カバー30等の他の部材との当接により規制されない。可撓部34と表カバー30の表壁部300aとの間の離間距離は、通常の人手による引操作をハンドル部材3が受けたときの可撓部34の表側への変位量よりも大きく設定される。通常の人手による引操作は、例えば10N以下の引操作と考えられ得る。通常の人手による引操作を受けたとき、可撓部34は表側に0.5mm以下変位するように構成され得る。
【0020】
操作検出センサ4は、使用者によるハンドル部材3の操作を検出するためのものである。本実施の形態の操作検出センサ4は、可撓部34の撓みを検出するように適合されている。より具体的には、本実施の形態の操作検出センサ4は、ハンドル部材3が使用者による引操作を受けたときの表裏方向3bに係る表側への可撓部34の変位を検出するように適合されている。
【0021】
操作検出センサ4は、任意のセンサによって構成され得る。操作検出センサ4は、接触式センサであってもよいし、非接触式センサであってもよい。接触式センサとしては、可撓部34とともに変位可能なプランジャを有するソレノイドスイッチを挙げることができる。非接触式センサとしては、静電容量方式、磁気式、光学方式又は超音波方式の近接センサを挙げることができる。
【0022】
操作検出センサ4としては、非接触式センサを用いることが好ましい。非接触式センサを用いることで、操作検出センサ4が可撓部34の撓みを阻害する虞を低減できるためである。
図4に特に表れているように、本実施の形態の操作検出センサ4は、表カバー30に取り付けられた被検出部40と、裏カバー31に取り付けられた検出部41とを有するインダクティブセンサによって構成されている。被検出部40は、平板状の金属板(導体)を含み得る。検出部41は、コイル及び回路部を含み得る。可撓部34が撓むとき、検出部41が被検出部40に近づくように変位する。インダクティブセンサは、この被検出部40への検出部41の近接を非接触で検出し、その近接を可撓部34の撓みとして検出することができる。インダクティブセンサは、導体及びコイル間の電磁誘導を利用する磁気式の近接センサ(非接触式センサ)の一種として理解することができる。上述とは逆に、被検出部40が裏カバー31に取り付けられ、検出部41が表カバー30に取り付けられてもよい。インダクティブセンサを用いることで、可撓部34の撓みが微細であっても、より確実に可撓部34の撓みを精度良く検出できる。
【0023】
進入検出センサ5は、ドア2とハンドル部材3との間の空間への物体の進入を検出するためのセンサである。進入検出センサ5は、その空間への使用者の手先の進入を検出することができる。
【0024】
進入検出センサ5は、任意のセンサによって構成され得る。進入検出センサ5は、非接触式センサであってもよく接触式センサであってもよい。非接触式センサとしては、静電容量方式、光学方式若しくは超音波方式の近接センサ又はカメラを例示することができる。例えば、進入検出センサ5が静電容量方式の近接センサであるとき、空間の静電容量の変化に応じて物体の進入を検出することができる。カメラは、ハンドル部材3又は使用者の手元を撮像することができる。カメラが撮像した画像データを解析することで、空間への物体の進入を検出することができる。カメラとしては、車載カメラ、サイドミラーカメラ、車両周囲を監視するためのカメラ等を例示できる。接触式センサとしては、静電容量方式又は超音波方式のタッチセンサを例示することができる。例えば、進入検出センサ5が静電容量方式の接触式センサであるとき、ハンドル部材3の裏面に異物が接触したことを検出した際に、その異物の接触を空間への物体の進入として検出してよい。
【0025】
進入検出センサ5は、任意の位置に取り付けられ得る。本実施の形態の進入検出センサ5は、ハンドル部材3に取り付けられている。より具体的には、表カバー30と裏カバー31との間の内部空間に進入検出センサ5が配置されている。さらに具体的には、進入検出センサ5は、表カバー30と裏カバー31との間の内部空間において、操作検出センサ4よりも表裏方向3bに係る裏側に配置されている。進入検出センサ5は、ドア2とハンドル部材3との間の空間に隣接するようにハンドル部材3の裏面を構成してもよい。例えばドア2等の他の位置に進入検出センサ5が設けられていてもよい。また、上述のように進入検出センサ5としてカメラを用いる場合には、進入検出センサ5を車室内又はサイドミラー近傍に設けてもよい。進入検出センサ5が設けられる位置は、進入検出センサ5を構成するセンサの方式に応じて変更できる。
【0026】
操作検出センサ4及び進入検出センサ5には、図示しない回路部が接続され得る。回路部は、例えばプログラムを格納する記憶部及びそのプログラムに基づき演算処理を行うコンピュータ又は専用回路等の機器により構成されるものであり、操作検出センサ4及び進入検出センサ5からの信号に応じて、ドア2の施解錠及び/又はラッチ解放を行うことができる。
【0027】
<表カバーについて>
次に、
図6~
図10を参照しながら、表カバー30についてより詳細に説明する。
図6は
図2の表カバー30を示す斜視図であり、
図7は
図6の表カバー30を示す表面図であり、
図8は
図7の線VIII-VIIIに沿う表カバー30の断面図であり、
図9は
図6の表カバー30を示す裏面図であり、
図10は
図8の線X-Xに沿う表カバー30の断面図である。
【0028】
図6~
図9に示すように、表カバー30は、表カバー本体300、第1脚部301、第2脚部302、締結基部303、受入部304、第1センサ基部305及び撓み制限部306を有している。
【0029】
表カバー本体300は、長手方向3aに延在する長手状部分である。表カバー本体300は、ハンドル部材3がドア2に取り付けられたときドア2の外側に現れるように適合されている。
図10に示すように、表カバー本体300は、表裏方向3bに係る裏側で開口する断面コ字状の形状を有している。より具体的には、表カバー本体300は、コ字状に配置された表壁部300a、左側壁部300b及び右側壁部300cを有している。
図8に特に表れているように、表壁部300aは、長手方向3aに係る両端部と比較して中央部が表側に張り出る曲線状の断面形状を有している。
図2及び
図5等に表れているように、表カバー本体300の内部空間には、裏カバー31、操作検出センサ4及び進入検出センサ5が挿入され得る。
【0030】
第1及び第2脚部301,302は、長手方向3aに係る表カバー本体300の両端部から裏側に延出された部分である。第1脚部301は、長手方向3aに係る表カバー30の一端30a側に配置されている。第2脚部302は、長手方向3aに係る表カバー30の他端30b側に配置されている。第1及び第2脚部301,302は、ハンドル部材3が車両のドア2に取り付けられるとき、ドア2に挿入されるとともに、ドア2内の構成に固定されるように適合されている。ハンドル部材3が車両のドア2に取り付けられたとき、第1脚部301(一端30a側)が車両後方に配置され、第2脚部302(他端30b側)が車両前方に配置され得る。
【0031】
締結基部303は、裏カバー31が表カバー30に締結される際に使用される部分である。本実施の形態の締結基部303は、表カバー本体300の内部空間に設けられている。締結基部303は、表カバー本体300の表壁部300aの裏面300a1から裏側に突出され、内部にねじ溝が設けられた筒状体によって構成されている。締結基部303は、長手方向3aに関して表カバー本体300の中央位置よりも他端30bに近い位置に配置されている。
【0032】
受入部304は、長手方向3aに係る裏カバー31の端部を受け入れる部分である。本実施の形態の受入部304は、長手方向3aに関して表カバー本体300の中央位置よりも一端30aに近い位置に配置されている。
図8に特に表れているように、本実施の形態の受入部304には、支持壁部304aと、表裏方向3bに互いに対向する第1及び第2壁部304b,304cとが設けられている。
【0033】
支持壁部304aは、表壁部300aの裏面300a
1から裏側に突出された壁部である。支持壁部304aは、長手方向3aに関して第1及び第2壁部304b,304cよりも一端30aに近い位置に配置されている。
図9に表れているように、幅方向3cに係る支持壁部304aの幅は、その支持壁部304aが設けられている位置における表カバー本体300の幅よりも狭くされている。幅方向3cに係る支持壁部304a及び表カバー本体300の中央位置は互いに一致されていてよい。
【0034】
第1及び第2壁部304b,304cは、表裏方向3bに互いに対向する壁部である。第1壁部304bは、第2壁部304cよりも表裏方向3bに係る裏側に配置されている。本実施の形態の第1壁部304bは、支持壁部304aの先端部から他端30b側に向かって長手方向3aに突出されている。本実施の形態の第2壁部304cは、表裏方向3bに関して表カバー本体300の表壁部300aの裏面300a1から離れた位置で、表カバー本体300の左側壁部300b及び右側壁部300cの内面から幅方向3cに突出された一対の壁によって構成されている。しかしながら、第1及び第2壁部304b,304cの構成は、これらに限定されず、例えば表カバー本体300の表壁部300aの裏面300a1によって第2壁部304cが構成される等、他の構成が採られてもよい。
【0035】
第1センサ基部305は、操作検出センサ4の被検出部40(又は検出部41)が取り付けられる部分である。本実施の形態の第1センサ基部305には、平板状の金属板からなる被検出部40が取り付けられている。本実施の形態の第1センサ基部305は、表壁部300aの裏面300a1から裏側に僅かに突出された島状の突部によって構成されており、長手方向3aに関して受入部304よりも一端30aから離れた位置に配置されている。第1センサ基部305を突部とすることにより、被検出部40を表カバー本体300に取り付け又は貼り付ける位置を特定することが容易になる。
【0036】
撓み制限部306は、例えば50N等の過剰な引操作が行われた際に可撓部34の過剰な撓みを制限するための構成である。少なくとも過剰な引操作が行われたとき、後述の裏カバー31の第3突部316の頂部が撓み制限部306に当接されることで可撓部34の過剰な撓みが制限される。換言すると、引操作が行われていない時、及び通常の人手による引操作が行われている時には、第3突部316が表裏方向3bに撓み制限部306から離れていてよい。可撓部34の過剰な撓みが制限されることにより、被検出部40と検出部41(又は後述のハウジング600)とが接触し、被検出部40又は検出部41が破損することが回避される。本実施の形態の撓み制限部306は、表裏方向3bに関して第1センサ基部305から裏側に離れた位置で、表カバー本体300の左側壁部300b及び右側壁部300cから幅方向3cに突出された一対の壁によって構成されている。撓み制限部306は、第3突部316が当接された際に所定の弾性を有する弾性体として機能し得る。撓み制限部306は、長手方向3aに関して第1センサ基部305の延在幅内に配置されている。
【0037】
【0038】
図11~
図14に示すように、裏カバー31は、裏カバー本体310、締結用開口311、第1片部312、第2片部313、第1突部314、第2突部315、第3突部316、第4突部317、第5突部318及び係合用開口319を有している。
【0039】
裏カバー本体310は、長手方向3aに延在する長手状部分である。裏カバー本体310は、裏壁部310a、左側壁部310b、右側壁部310c及び奥端壁部310dを有している。左側壁部310b、右側壁部310c及び奥端壁部310dは、裏壁部310aの左側部、右側部及び奥送端部(裏カバー31の一端31a側)から表裏方向3bに係る表側に向かって突出されている。これら裏壁部310a、左側壁部310b、右側壁部310c及び奥端壁部310dは、操作検出センサ4が挿入され得る裏カバー本体310の内部空間を区画している。
【0040】
図12に特に表れているように、左側壁部310b及び右側壁部310cには、第1及び第2幅広部310e
1,310e
2及び幅狭部310e
3が設けられている。幅狭部310e
3は、幅方向3cに係る左側壁部310b及び右側壁部310cの内面間距離が第1及び第2幅広部310e
1,310e
2よりも狭くされた部分であり、長手方向3aに係る裏カバー31の中央部に配置されている。第1幅広部310e
1は、長手方向3aに関して幅狭部310e
3よりも裏カバー31の一端31a側に配置されている。第2幅広部310e
2は、長手方向3aに関して幅狭部310e
3よりも裏カバー31の他端31b側に配置されている。
【0041】
図12及び
図13に特に表れているように、裏壁部310aの表面310a
1には、第2センサ基部310a
2が設けられている。第2センサ基部310a
2は、操作検出センサ4の検出部41(又は被検出部40)が取り付けられる部分である。本実施の形態の第2センサ基部310a
2には、後述するアッセンブリ6のハウジング600を介して操作検出センサ4の検出部41が第2センサ基部310a
2に取り付けられる。本実施の形態の第2センサ基部310a
2は、
図13に特に表れているように、裏壁部310aの表面310a
1から表側に突出された突部と、長手方向3aに係る突部の両側に配置された円弧面とを含んできる。突部の頂面は平面とされており、頂面の周囲には角部が形成されている。
図12に示すように、長手方向3aに関して、第2センサ基部310a
2が設けられている範囲は、幅狭部310e
3が設けられている範囲と重複させることができる。
【0042】
裏壁部310aの裏面310a3には、表側に向かって窪まされた凹部310a4が設けられている。この凹部310a4により、ハンドル部材3が車両のドア2に取り付けられたとき、使用者の手先を挿入することができる空間がハンドル部材3とドア2との間に形成され得る。上述の第2センサ基部310a2は、凹部310a4の表側に設けられることができる。
【0043】
締結用開口311は、上述の表カバー30の締結基部303と同様に、裏カバー31が表カバー30に締結される際に使用される部分である。本実施の形態の締結用開口311は、裏カバー本体310の裏壁部310aに形成された開口とされており、裏カバー31が表カバー30に締結される際に表カバー30の締結基部303に重ねることができるように配置されている。締結用開口311が締結基部303に重ねられた状態で締結基部303に後述の締結部材7が締結されることにより、上述の締結部330(第2移動被規制部33)が形成される。
【0044】
第1片部312は、長手方向3aに係る裏カバー本体310の端部から表裏方向3bに係る裏側に突出された部分である。より具体的には、第1片部312は、長手方向3aに係る裏カバー31の一端31a側(車両後方側)における裏カバー本体310の端部裏面から裏側に突出されている。
図14及び
図15に特に表れているように、幅方向3cに係る第1片部312の幅は、同方向に係る裏カバー本体310の幅よりも狭くすることができる。第1片部312及び裏カバー本体310の幅方向3cに係る中央位置は、互いに一致されることができる。長手方向3aに係る第1片部312の厚みは、第1片部312の根本における長手方向3aに係る裏カバー本体310の厚みよりも薄くすることができる。
【0045】
第2片部313は、第1片部312から長手方向3aに延出された部分である。より具体的には、第2片部313は、長手方向3aに係る裏カバー31の一端31a側(車両後方側)に向けて第1片部312の奥端面から延出されている。
図14及び
図15に特に表れているように、幅方向3cに係る第2片部313の幅は、同方向に係る第1片部312の幅と等しくすることができる。
図16に特に表れているように、第2片部313は、第1片部312の先端部分とともに断面L字状の部分を形成するように、第1片部312の先端312aよりも表裏方向3bに係る表側において第1片部312から延出させることができる。第2片部313は、例えば後述のように裏カバー31を表カバー30に組み付ける際に、第2片部313の基部313aを中心に表裏方向3bに第2片部313が弾性変形できるよう構成することができる。第2片部313の弾性は、例えば、裏カバー31(第2片部313)の材料、及び/又は表裏方向3bに係る第2片部313の厚み等の各種条件を変更することで調整することができる。
【0046】
第1突部314は、表裏方向3bに係る第2片部313の裏面から突出された突部である。本実施の形態の第1突部314は、幅方向3cに互いに離間して配置された複数の突部(より具体的には一対の突部)を含む。第1突部314は、長手方向3aに延在されることができる。本実施の形態の第1突部314は、第2片部313の基部313aから先端部313bまで長手方向3aに延在されている。
【0047】
第2突部315は、長手方向3aに係る裏カバー31の一端31a側において、左側壁部310b及び右側壁部310cの先端面(表裏方向3bに係る表側の面)から突出された突部である。
図13に特に表れているように、長手方向3aに関して、第2突部315は、第1突部314と同位置に配置されることができる。限定はされないが、第2突部315の頂部は、長手方向3aに沿う裏カバー31の断面で見たときに円弧状の外面を有していることが好ましい。
【0048】
第3突部316は、長手方向3aに関して第2突部315よりも裏カバー31の一端31aから離れた位置において、左側壁部310b及び右側壁部310cの先端面から突出された突部である。
図13に特に表れているように、長手方向3aに関して、第3突部316は、第2センサ基部310a
2が延在する範囲内、換言すると操作検出センサ4の検出部41(又は被検出部40)が延在する範囲内に配置されていることが好ましい。本実施の形態の第3突部316は、長手方向3aに関する第2センサ基部310a
2の中央位置よりも一端31a側に配置されている。第3突部316は、裏カバー31が表カバー30に組付けられたときに、表裏方向3bに係る撓み制限部306の裏側に位置されるように配置されており、少なくとも過剰な引操作が行われたときに撓み制限部306に当接し、被検出部40と検出部41(又は後述のハウジング600)とが接触することを防止できるように適合されている。
【0049】
第4突部317は、奥端壁部310dの内端面から裏カバー本体310の内部空間内に向けて突出された突部である。本実施の形態の第4突部317は、幅方向3cに互いに離間して配置された複数の突部(より具体的には一対の突部)を含む。
【0050】
第5突部318は、長手方向3aに係る裏カバー31の他端31b側において、左側壁部310b及び右側壁部310cの内側面から裏カバー本体310の内部空間内に向けて突出された突部である。本実施の形態の第5突部318は、長手方向3aに関して、第2センサ基部310a
2よりも他端31b側に配置されている。
図12に特に表れているように、長手方向3aに関して、第5突部318は、幅狭部310e
3が延在する範囲内に配置されることができる。
【0051】
係合用開口319は、左側壁部310b及び右側壁部310cに設けられた開口である。
図13に特に表れているように、長手方向3aに関して、係合用開口319は、第2センサ基部310a
2及び幅狭部310e
3が延在する範囲内に配置されることができる。本実施の形態の係合用開口319は、長手方向3aに関して第3突部316よりも他端31b側に配置されている。
【0052】
<操作検出センサ及び進入検出センサについて>
次に、
図17~
図20を参照しながら、操作検出センサ4及び進入検出センサ5についてより詳細に説明する。
図17は
図2の操作検出センサ4及び進入検出センサ5を含むアッセンブリ6を示す斜視図であり、
図18は
図17のアッセンブリ6を示す表面図であり、
図19は
図18の線XIX-XIXに沿うアッセンブリ6の断面図であり、
図20は
図17のアッセンブリ6が裏カバー31に組付けられた状態を示す斜視図である。
【0053】
操作検出センサ4は、別個の部材とされていてもよいが、操作検出センサ4の少なくとも一部は、他の電子部品と一体化されたアッセンブリ6の状態で表カバー30と裏カバー31との間の内部空間に配置されてよい。本実施の形態の車両用ドアハンドル装置1では、操作検出センサ4の検出部41及び電子部品としての進入検出センサ5がアッセンブリ6として互いに一体化されている。操作検出センサ4の少なくとも一部と一体化される電子部品は、進入検出センサ5に限定されず、電波を送受信するためのアンテナ、又はドア2の施解錠及び/又はラッチ解放を行うための回路部等の他の部品であってもよい。
【0054】
図17~
図19に示すように、本実施の形態のアッセンブリ6は、ハウジング600、操作検出センサ4の検出部41及び進入検出センサ5を含んでいる。
【0055】
ハウジング600は、アッセンブリ6の内部部品を囲う部材である。本実施の形態のハウジング600は、長手方向3aに延在する長手状の部材である。より具体的には、本実施の形態のハウジング600は、表壁部600a、左側壁部600b、右側壁部600c、奥端壁部600d及び前端壁部600eを有している。左側壁部600b、右側壁部600c、奥端壁部600d及び前端壁部600eは、表壁部600aの左側部、右側部、奥端部及び前端部から表裏方向3bに係る裏側に向かって突出されている。本実施の形態のハウジング600は、表裏方向3bに係る裏側で開口している。
【0056】
左側壁部600b及び右側壁部600cには、幅広部600f1及び幅狭部600f2が設けられている。幅広部600f1は、幅方向3cに係る左側壁部600b及び右側壁部600cの外面間距離が幅狭部600f2よりも広くされた部分であり、長手方向3aに係るハウジング600の奥端壁部600d側に配置されている。幅狭部600f2は、長手方向3aに係るハウジング600の前端壁部600eと幅広部600f1との間に配置されている。
【0057】
左側壁部600b及び右側壁部600cの外面には、係合突起600gが設けられている。係合突起600gは、左側壁部600b及び右側壁部600cの外面から外方に突出されている。係合突起600gは、長手方向3aに係るハウジング600の中央部に配置されている。
【0058】
左側壁部600b及び右側壁部600cの表裏方向3bには、低部600h1、高部600h2及び接続部600h3が設けられている。低部600h1は、表裏方向3bに係る左側壁部600b及び右側壁部600cの高さが高部600h2よりも低くされた部分である。低部600h1の裏側端面は、高部600h2の裏側端面を平らな載置面に載せたとき、その載置面から離れて位置される。低部600h1を凹部として理解してもよい。低部600h1は、長手方向3aに係るハウジング600の中央部に配置されている。高部600h2は、長手方向3aに係る低部600h1の両側に配置されている。接続部600h3は、低部600h1と高部600h2との間を接続する部分である。接続部600h3の裏側端面は、表裏方向3bに係る左側壁部600b及び右側壁部600cの高さが高部600h2から低部600h1に向けて徐々に低くなるような傾斜面とされている。
【0059】
操作検出センサ4の検出部41及び進入検出センサ5は、ハウジング600の内部空間に配置されるとともに、ハウジング600に対して固定されている。
図19に示すように、ハウジング600内において、検出部41は、進入検出センサ5よりも表裏方向3bに係る表側に配置されている。
【0060】
ここで、
図20に示すように、アッセンブリ6は、裏カバー本体310の内部空間に挿入される。長手方向3aに係るハウジング600の奥端壁部600d及び前端壁部600eの外面間距離は、長手方向3aに係る裏カバー31の第4突部317及び第5突部318間の距離に一致されている。このため、ハウジング600の奥端壁部600d及び前端壁部600eの外面が裏カバー31の第4突部317及び第5突部318に接し、長手方向3aに係るアッセンブリ6の位置が決められる。なお、2つの距離が一致するとは、2つの距離が厳密に一致することのみならず、2つの距離に多少の差があることも含む。
【0061】
また、幅方向3cに係るハウジング600の幅広部600f1及び幅狭部600f2の幅は、幅方向3cに係る裏カバー31の第1幅広部310e1及び幅狭部310e3の幅と一致されている。このため、ハウジング600の左側壁部600b及び右側壁部600cの外面が裏カバー本体310の左側壁部310b及び右側壁部310cの内面と接し、幅方向3cに係るアッセンブリ6の位置が決められる。
【0062】
また、
図2に表れているように、ハウジング600の低部600h
1の裏側端面は、裏カバー31の第2センサ基部310a
2の頂面に乗せられる。これら裏側端面及び頂面は互いに面接触されるよう延在している。このため、ハウジング600の低部600h
1の裏側端面は、裏カバー31の第2センサ基部310a
2の頂面に乗せられることで、表裏方向3bに係るアッセンブリ6の位置が決められる。
【0063】
また、アッセンブリ6の係合突起600gが裏カバー31の係合用開口319に係合される。これら係合突起600g及び係合用開口319の係合により、アッセンブリ6の位置が固定される。また、これらの係合は、長手方向3a、表裏方向3b及び幅方向3cに係るアッセンブリ6の位置決めにも寄与する。
【0064】
<表カバーへの裏カバーの組付け方法について>
次に、
図21は、
図2の表カバー30への裏カバー31の組付け方法を示す説明図である。表カバー30への裏カバー31の組付けは、アッセンブリ6を裏カバー31に組付けた後に行うことができる。
図21の(a)に示すように、裏カバー31の一端31a側の端部を表カバー30の受入部304に挿入する。このとき、裏カバー31の第2片部313の裏面を受入部304の第1壁部304bの表面に当てながら、裏カバー31の他端31b側を表側に移動させるよう裏カバー31を回動させる。
【0065】
裏カバー31を上述のように回動させると、裏カバー31の一端31a側の端部が受入部304の第1及び第2壁部304b,304c間に嵌り込む。このとき、裏カバー31の第1突部314が受入部304の第1壁部304bに当接し、裏カバー31の第2突部315が受入部304の第2壁部304cに当接する。これにより、裏カバー31の一端31a側に、表裏方向3bの移動が規制された当接部320(第1移動被規制部32)が形成される。当接部320は、受入部304の第1及び第2壁部304b,304cに当接される第1及び第2突部314,315を含む。
【0066】
ここで、裏カバー31の第2突部315の頂部が円弧状の外面を有していることで、上述のような裏カバー31の回動を円滑にすることができる。また、表裏方向3bに係る第1及び第2突部314,315の外面間距離は、裏カバー31の端部を表カバー30の受入部304に嵌める前の状態で、受入部304の第1及び第2壁部304b,304cの内面間距離以上に設定しておくことが好ましい。これにより、第1及び第2突部314,315を潰しながら、また第1及び第2壁部304b,304c並びに/又は第2片部313を弾性変形させながら、裏カバー31の端部を受入部304に嵌め込むことになり、第1移動被規制部32の表裏方向3bの移動をより確実に規制することができる。
【0067】
図21の(b)に示すように裏カバー31を上述のように回動させた後、表カバー30の締結基部303に裏カバー31の締結用開口311が重ねられた状態で、締結基部303に締結部材7が締結される。これにより、裏カバー31の他端31b側に、表裏方向3bの移動が規制された締結部330(第2移動被規制部33)が形成される。締結部330は、締結用開口311及びその周囲の壁部を含む。
【0068】
締結基部303に締結部材7が締結されたとき、表カバー30の撓み制限部306(
図8等参照)から裏カバー31の第3突部316(
図11等参照)が表裏方向3bに離れていてよい。上述のように、通常の人手による引操作が行われている時にも第3突部316が撓み制限部306から離れていてもよい。第3突部316は、少なくとも過剰な引操作が行われたときに撓み制限部306に当接されればよい。
【0069】
このような車両用ドアハンドル装置1では、第1及び第2移動被規制部32,33の間に配置された可撓部34を裏カバー31が有し、操作検出センサ4が可撓部34の撓みを検出するので、使用者に突き当たりを感じさせる虞を低減でき、使用者の操作感を向上できる。また、第1及び第2移動被規制部32,33において表裏方向3bの両方向への移動が規制されているので、可撓部34にガタつきが生じる虞を低減でき、操作検出センサ4による可撓部34の撓みの検出精度を向上できる。
【0070】
また、移動被規制部32,33が、第1及び第2壁部304b,304cに当接された当接部320を含むので、移動被規制部32,33の表裏方向3bに係る移動をより確実に規制できる。
【0071】
また、当接部320は、第1及び第2壁部304b,304cに当接される第1及び第2突部314,315を含むので、移動被規制部32,33の表裏方向3bに係る移動をより確実に規制できる。但し、第1及び第2突部314,315の少なくとも一方が省略されていてもよい。
【0072】
また、第1突部314が、表裏方向3bに係る第2片部313の裏面から突出されて第1壁部304bに当接されるので、第1突部314を潰しながら裏カバー31の端部を受入部304に嵌め込むことができ、移動被規制部32,33の表裏方向3bの移動をより確実に規制することができる。
【0073】
また、第2突部315の頂部が長手方向3aに沿う裏カバー31の断面で見たときに円弧状の外面を有するので、裏カバー31の端部を受入部304に嵌め込む際の裏カバー31の回動を円滑にすることができる。
【0074】
また、移動被規制部32,33が、締結部材7により表カバー30に締結された締結部330を含むので、移動被規制部32,33の表裏方向3bの移動をより確実に規制することができる。
【0075】
また、第1及び第2移動被規制部32,33の間の長手方向3aに係る距離は、一端31aと第1移動被規制部32との間の長手方向3aに係る距離、及び他端31bと第2移動被規制部33との間の長手方向3aに係る距離よりも長いので、より確実に引操作によって可撓部34を撓ませることができる。
【0076】
また、可撓部34は、表カバー30の表壁部300aと非接触に配置されているので、表カバー30の表壁部300aが可撓部34の撓みを阻害することを回避できる。
【0077】
また、操作検出センサ4は、非接触式センサを含むので、操作検出センサ4が可撓部34の撓みを阻害する虞を低減できる。
【0078】
また、操作検出センサ4は、インダクティブセンサを含むので、可撓部34の撓みが微細であっても、より確実に可撓部34の撓みを精度良く検出できる。
【0079】
また、操作検出センサ4の少なくとも一部及び進入検出センサ5は、互いに一体化されたアッセンブリ6の状態で表カバー30と裏カバー31との間の内部空間に配置されているので、操作検出センサ4及び進入検出センサ5の取り付けを様にすることができる。
【0080】
なお、実施の形態では、車両用ドアハンドル装置1が進入検出センサ5を含むように説明したが、車両用ドアハンドル装置が進入検出センサを含まなくてもよい。
【0081】
また、例えば第2壁部304cや撓み制限部306等の表カバー30の一部の構成が省略されていてもよい。同様に、例えば第1~第5突部314~318等の裏カバー31の一部の構成が省略されていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 :車両用ドアハンドル装置
2 :ドア
3 :ハンドル部材
3a :長手方向
3b :表裏方向
3c :幅方向
30 :表カバー
304 :受入部
304b :第1壁部
304c :第2壁部
31 :裏カバー
310 :裏カバー本体
312 :第1片部
313 :第2片部
314 :第1突部
315 :第2突部
32 :第1移動被規制部
320 :当接部
33 :第2移動被規制部
330 :締結部
34 :可撓部
4 :操作検出センサ
40 :被検出部
41 :検出部
5 :進入検出センサ
6 :アッセンブリ
7 :締結部材