(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】BLUETOOTH(登録商標)ベースのIPV6低電力ネットワーキング
(51)【国際特許分類】
H04W 28/06 20090101AFI20240510BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20240510BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20240510BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240510BHJP
【FI】
H04W28/06 110
H04W88/04
H04W52/02
H04W84/10 110
(21)【出願番号】P 2020540626
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2019051673
(87)【国際公開番号】W WO2019145379
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-21
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ディーズ ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ラール フランシスカス アントニウス マリア
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521016(JP,A)
【文献】特開2013-017164(JP,A)
【文献】特開2017-163186(JP,A)
【文献】特開2015-115794(JP,A)
【文献】特開2015-012570(JP,A)
【文献】特表2005-509381(JP,A)
【文献】特開2006-086605(JP,A)
【文献】特表2004-517514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイヤ2MACヘッダとペイロードとを各々含むレイヤ2MACフレームとして構築されたメッセージを採用するワイヤレス通信プロトコルを介して通信するための無線機と、
電子
回路とを備える、ワイヤレスデバイスであって、
前記電子
回路は、
(i)前記ワイヤレスデバイスが、前記無線機を介してリレーデバイスに、IPv6パケットヘッダとレイヤ2MACフレームの前記ペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットとを各々含むメッセージを送信する第1のモード、及び(ii)前記ワイヤレスデバイスが、前記無線機を介して前記リレーデバイスに、IPv6ヘッダを含むことなしにレイヤ2MACフレームの前記ペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットを各々含むメッセージを送信する第2のモードで動作することと、
ヘッダ挿入サービスを提供する前記リレーデバイスに前記無線機を介してヘッダ情報メッセージを送信することを含む動作によって、前記第1のモードから前記第2のモードに遷移することであって、前記ヘッダ情報メッセージが、少なくとも、IPv6ソースアドレスを構築するために使用されるべき前記ワイヤレスデバイスのアドレス又はIPv6宛先アドレスを構築するために使用されるべきホストデバイスのアドレスを含み、前記第1のモードから前記第2のモードに遷移することは、前記第1のモードから前記第2のモードへの前記遷移をトリガするメッセージを前記リレーデバイスから受信することをさらに含む動作による、遷移することと
を前記ワイヤレスデバイスが行うようにプログラムされた、ワイヤレスデバイス。
【請求項2】
前記ワイヤレスデバイスが前記リレーデバイスから前記リレーデバイスとは異なる他のリレーデバイスにローミングすることに応答して、前記第2のモードから前記第1のモードに遷移することをさらに行う、請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項3】
前記他のリレーデバイスにローミングすると、前記遷移中に前記ワイヤレスデバイスのためのメッセージを前記リレーデバイスが受信したかどうかを、前記他のリレーデバイスを介して質問することをさらに行う、請求項2に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項4】
前記他のリレーデバイスにローミングすると、前記ワイヤレスデバイスのためのメッセージを前記他のリレーデバイスを介して再送するようにサーバに依頼することをさらに行う、請求項2に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項5】
リレーデバイス間でローミングすることと、前記ワイヤレスデバイスが接続されるリレーデバイスが前記ヘッダ挿入サービスを提供するかどうかに応じて、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で切り替わることとをさらに行う、請求項1から4のいずれか一項に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項6】
前記無線機を介して前記リレーデバイスと証明書を交換することと、交換された前記証明書に基づいて前記リレーデバイスが共有秘密の知識を有すると前記ワイヤレスデバイスが決定した場合、前記第1のモードから前記第2のモードに遷移することとをさらに行う、請求項1から5のいずれか一項に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項7】
レイヤ2MACヘッダとペイロードとを各々含むレイヤ2MACフレームとして構築されたメッセージを採用するワイヤレス通信プロトコルを介して通信するための無線機と、
電子
回路とを備える、リレーデバイスであって、
前記電子
回路は、
ヘッダ挿入サービスを実行することであって、前記ヘッダ挿入サービスでは、前記リレーデバイスが、前記無線機を介してワイヤレスデバイスから、IPv6ヘッダを含むことなしにレイヤ2MACフレームの前記ペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットを各々含むメッセージ(M0、...、Mn)を受信し、前記ワイヤレスデバイスから受信された前記メッセージ中にヘッダ情報を挿入し、完全なヘッダをもつ前記メッセージをメッセージ(M0’、...、Mn’)として再送信する、実行することと、
前記ワイヤレスデバイスからヘッダ情報メッセージを受信し、前記リレーデバイスにおいて前記ヘッダ情報メッセージ中に含まれているヘッダ情報を前記ヘッダ情報として使用することと
を前記リレーデバイスが行うようにプログラムされ、
前記リレーデバイスが、さらに、前記ワイヤレスデバイスに対して前記ヘッダ挿入サービスを実行する前記リレーデバイスの利用可能性を、前記ワイヤレスデバイスに通知するためのメッセージであって、前記ワイヤレスデバイスが、前記リレーデバイスに対して、IPv6パケットヘッダとレイヤ2MACフレームの前記ペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットとを各々含むメッセージを送信する第1のモードから、前記リレーデバイスに対して、IPv6ヘッダを含むことなしにレイヤ2MACフレームの前記ペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットを各々含むメッセージを送信する第2のモードに遷移することをトリガするメッセージを、前記ワイヤレスデバイスに送信する、リレーデバイス。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のワイヤレスデバイスと、
請求項7に記載のリレーデバイスと
を備える、システム。
【請求項9】
前記メッセージ(M0、...、Mn)が、前記ワイヤレスデバイスによって暗号化され、前記リレーデバイスが、前記メッセージ(M0、...、Mn)とまったく同じコンテンツを復号/再暗号化なしに前記メッセージ(M0’、...、Mn’)内に含める、請求項7に記載のリレーデバイス。
【請求項10】
前記メッセージ(M0、...、Mn)が、前記ワイヤレスデバイスによって暗号化され、前記リレーデバイスが、前記メッセージ(M0、...、Mn)とまったく同じコンテンツを復号/再暗号化なしに前記メッセージ(M0’、...、Mn’)内に含める、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記電子
回路は、さらに、
前記ワイヤレスデバイスからサーバへのメッセージを中継し、前記サーバから前記ワイヤレスデバイスへのメッセージを中継することと、
前記ワイヤレスデバイスからメッセージを受信することであって、前記メッセージは、前記サーバから前記リレーデバイスにおいて受信された
あるメッセージタイプのメッセージが、低減されたレートで前記ワイヤレスデバイスに送られるべきであるという要求を含み、前記メッセージが、前記
あるメッセージタイプのメッセージを検出するための検出基準をさらに含む、受信することと、
前記サーバから受信された前記
あるメッセージタイプのメッセージをフィルタ
処理するために、前記検出基準を適用することと、
前記低減されたレートで前記無線機を介して前記ワイヤレスデバイスに、前記
あるメッセージタイプのフィルタ
処理された前記メッセージをフォワーディングすることとを前記リレーデバイスが行うようにプログラムされた、請求項7に記載のリレーデバイス。
【請求項12】
前記検出基準が、メッセージサイズ基準
と、ハッシュ若しくはビットパターン基準
とのうち、少なくとも一方を備える、請求項11に記載のリレーデバイス。
【請求項13】
前記
あるメッセージタイプが肯定応答メッセージタイプであり、前記検出基準が肯定応答検出基準を備え、
オプションで、肯定応答が、前記サーバによって送られたエンドツーエンド暗号化アプリケーションレベルトランスポート肯定応答である、請求項11又は12に記載のリレーデバイス。
【請求項14】
前記メッセージ中に含まれる前記低減されたレートは、前記リレーデバイスが、前記肯定応答検出基準に適合するサーバから受信された肯定応答を廃棄するレート又は最大時間を備え、
前記リレーデバイスが、廃棄された肯定応答を前記ワイヤレスデバイスにフォワーディングしないことによって、前記低減されたレートで前記ワイヤレスデバイスに、フィルタ
処理された前記肯定応答をフォワーディングする、請求項13に記載のリレーデバイス。
【請求項15】
レイヤ2MACヘッダとペイロードとを各々含むレイヤ2MACフレームとして構築されたメッセージを採用するワイヤレス通信プロトコルを介して通信するように、ワイヤレスデバイスの無線機を動作させるステップであって、前記動作させるステップが第1のモードでのものであり、前記第1のモードでは、前記ワイヤレスデバイスが、前記無線機を介してリレーデバイスに、IPv6パケットヘッダとレイヤ2MACフレームの前記ペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットとを各々含むメッセージを送信する、動作させるステップと、
ヘッダ挿入サービスを提供するリレーデバイスに前記無線機を介してヘッダ情報メッセージを送信するステップであって、前記ヘッダ情報メッセージが、少なくとも、IPv6ソースアドレスを構築するために使用されるべき前記ワイヤレスデバイスのアドレス又はIPv6宛先アドレスを構築するために使用されるべきホストデバイスのアドレスを含む、送信するステップと、
前記ヘッダ情報メッセージを送信するステップの後に、前記第1のモードから第2のモードに前記ワイヤレスデバイスを遷移させるステップであって、前記第2のモードでは、前記ワイヤレスデバイスが、前記無線機を介して前記リレーデバイスに、IPv6ヘッダを含むことなしにレイヤ2MACフレームの前記ペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットを各々含むメッセージ(M0、...、Mn)を送信する、遷移させるステップと
を有する、方法であって、
前記ヘッダ情報メッセージを送信するステップと、前記第1のモードから前記第2のモードに遷移させるステップとをトリガするメッセージを前記ワイヤレスデバイスにおいて前記リレーデバイスから受信するステップ
をさらに有する、方法。
【請求項16】
前記リレーデバイスにおいて、前記ワイヤレスデバイスから前記ヘッダ情報メッセージを受信するステップであって、前記ヘッダ情報メッセージがヘッダ情報を含む、受信するステップと、
前記リレーデバイスにおいて、ヘッダ挿入サービスを実行するステップであって、前記ヘッダ挿入サービスでは、前記リレーデバイスが、前記無線機を介して前記ワイヤレスデバイスから前記メッセージ(M0、...、Mn)を受信し、前記メッセージが、レイヤ2MACヘッダとペイロードとを各々含むレイヤ2MACフレームとして構築され、各メッセージが、IPv6ヘッダを含むことなしにレイヤ2MACフレームの前記ペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットをさらに含む、実行するステップと、
前記リレーデバイスによって、前記ワイヤレスデバイスから受信された前記メッセージ中に前記ヘッダ情報を挿入するステップと、
完全なヘッダをもつ前記メッセージをメッセージ(M0’、...、Mn’)としてサーバに再送信するステップと
をさらに有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、2018年1月29日に出願された「BLUETOOTH(登録商標) IPV6 LOW POWER」と題する米国仮出願第62/622,982号の利益を主張する。2018年1月29日に出願された米国仮出願第62/622,982号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 以下は、一般に、ワイヤレス医療センサー、低電力ワイヤレスセンサー、モバイルセンサー、及び他の同様の適用例に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] Bluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE)通信プロトコルは、低電力適用例を対象とするBluetooth(登録商標)規格のサブセットである。BLEについてオプションの範囲及びデータ長の拡張をもつ最新のBluetooth(登録商標)-5規格により、BLEは、ホームオートメーション及びヘルスケアなどの適用領域におけるモノのインターネット(IoT)デバイス及び健康のインターネット(IoH)デバイスのより好適な候補になる。また、Bluetooth(登録商標)低エネルギートランスポート上でデバイス間でIPv6パケットを交換することのサポートを可能にするために、IETF仕様RFC7668とともに、インターネットプロトコルサポートプロファイル(IPSP)仕様が公開された。これにより、BLEデバイスは、デバイスが利用可能な新しいデータを有するときはいつでもデータを送ること(及びその起動スケジュールを相応に調整すること)を自律的に決めるので、デバイス上でサポートされるために特定の一般的な属性(GATT)プロファイルに依拠することなしに、及び、GATTサーバとして働くデバイスからデータをフェッチするためにGATTクライアントに依拠する必要なしに、UDP/IP上の制約付きアプリケーションプロトコル(CoAP)、TCP/IP上のメッセージキューイングテレメトリトランスポート(MQTT)、又はTCP/IP上のハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など、一般的なIPレイヤ通信プロトコルを実現することが可能になる。また、それにより、各デバイスは、BLEパーソナルエリアネットワークがワイドエリアネットワークに拡張することを可能にする、一般的なアドレス指定方式を有することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] モバイル医療デバイスの領域では、デバイスが1回のデバイスバッテリー充電で動作することができる時間を延長するように、したがって、蓄積された電力の消耗によるデバイス障害の可能性を低減するように、そのようなデバイスが低電力消費で動作することに、特に関心がある。BLEなどの技術は、この点について有利であるが、いくつかのモバイル医療デバイスにおける目的は、1回のバッテリー充電で、拡張された期間、例えば数週間又はより長い期間にわたって動作することである。
【0005】
[0005] 以下は、いくつかの改善を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] 本明細書で開示されるいくつかの例示的な実施形態では、ワイヤレスデバイスが、レイヤ2MACヘッダとペイロードとを各々含むレイヤ2MACフレームとして構築されたメッセージを採用するワイヤレス通信プロトコルを介して通信するための無線機を備える。ワイヤレスデバイスは、(i)ワイヤレスデバイスが、無線機を介して、IPv6パケットヘッダとレイヤ2MACフレームのペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットとを各々含むメッセージ(N0、...、Nn)を送信する、第1のモード、及び(ii)ワイヤレスデバイスが、無線機を介して、IPv6ヘッダを含むことなしにレイヤ2MACフレームのペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットを各々含むメッセージ(M0、...、Mn)を送信する、第2のモードで動作するように構成される。ワイヤレスデバイスは、ヘッダ挿入サービス(I)を提供するリレーデバイス(T)に無線機(R)を介してヘッダ情報メッセージ(X)を送信することを含む動作によって、第1のモードから第2のモードに遷移することであって、ヘッダ情報メッセージが、少なくとも、IPv6ソースアドレスを構築するために使用されるべきワイヤレスデバイスのアドレス(A)又はIPv6宛先アドレスを構築するために使用されるべきホストデバイスのアドレス(D)を含む、遷移することを行うようにさらに構成される。いくつかの実施形態では、ワイヤレスデバイスは、リレーデバイスから、第1のモードから第2のモードへの遷移をトリガするメッセージを受信することをさらに含む動作によって、第1のモードから第2のモードに遷移するようにさらに構成される。
【0007】
[0007] 本明細書で開示されるいくつかの例示的な実施形態では、リレーデバイスが、レイヤ2MACヘッダとペイロードとを各々含むレイヤ2MACフレームとして構築されたメッセージを採用するワイヤレス通信プロトコルを介して通信するための無線機を備える。リレーデバイスは、ヘッダ挿入サービスを実行することであって、ヘッダ挿入サービスでは、リレーデバイスが、無線機を介してワイヤレスデバイスから、IPv6ヘッダを含むことなしにレイヤ2MACフレームのペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットを各々含むメッセージ(M0、...、Mn)を受信し、ワイヤレスデバイスから受信されたメッセージ中にヘッダ情報(A’)を挿入し、完全なヘッダをもつメッセージをメッセージ(M0’、...、Mn’)として再送信する、実行することを行うように構成される。リレーデバイスは、ワイヤレスデバイスからヘッダ情報メッセージを受信し、リレーデバイスにおいてヘッダ情報メッセージ中に含まれているヘッダ情報をヘッダ情報として記憶するようにさらに構成される。リレーデバイスは、リレーデバイスの、ワイヤレスデバイスに対してヘッダ挿入サービスを実行する利用可能性を、ワイヤレスデバイスに通知するためのメッセージを、ワイヤレスデバイスに送信するようにさらに構成される。
【0008】
[0008] 本明細書で開示されるいくつかの例示的な実施形態では、システムが、2つの直前の段落に記載されているワイヤレスデバイスとリレーデバイスとを備える。
【0009】
[0009] 本発明は、様々な構成要素及び構成要素の配置の形態、並びに様々なステップ及びステップの配置の形態をとる。図面は、好ましい実施形態を示すためのものにすぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010] ワイヤレス医療デバイスの電力消費を低減するためにヘッダ挿入デバイスとともに動作する低電力ワイヤレス医療デバイスの一実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】[0011] 本明細書で説明される通信方法を概略的にフローチャートに描く図である。
【
図3】本明細書で説明される通信方法を概略的にフローチャートに描く図である。
【
図4】本明細書で説明される通信方法を概略的にフローチャートに描く図である。
【
図5】本明細書で説明される通信方法を概略的にフローチャートに描く図である。
【
図6】本明細書で説明される通信方法を概略的にフローチャートに描く図である。
【
図7】本明細書で説明される通信方法を概略的にフローチャートに描く図である。
【
図8】[0012]ワイヤレス医療デバイスの電力消費を低減するためにヘッダ挿入デバイスとともに動作する低電力ワイヤレス医療デバイスの一実施形態を概略的に示す図である。医療デバイスは、BLE無線機と、IPSSのサポートをもつGAP周辺(GAP peripheral)として動作する機能とを搭載し、ヘッダ挿入デバイスは、BLE無線機と、IPSPのサポートをもつGAP中央(GAP central)として動作する機能とを搭載したゲートウェイデバイスである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0013] IPv6アドレスは、128ビット長である。あらゆるIPv6フレームのヘッダが、ペイロード長、バージョン及びホップ限界など、いくつかの他のヘッダ属性とともに、ソースアドレス及び宛先アドレスを含むので、各ヘッダは、最小で40バイト長である。さらに、UDP又はTCPトランスポートプロトコルヘッダが同様に含まれる必要がある場合、これは、それぞれさらなる追加の8バイト、20バイトを意味する。これは、特に、データペイロードが通常極めて小さい(例えば、摂氏/華氏での温度読み、毎分脈拍での心拍数)BLEセンサーデバイスの場合、BLEパケットデータユニット(PDU)のペイロードにおいて大きいオーバーヘッドを生じる。したがって、RFC7668は、すべてのヘッダが、RFC6282文献で説明される符号化フォーマットに従って圧縮されなければならないことを必要とする。境界ルータ(或いは、スマートフォン、タブレット、又はベッドサイドモニタなどの他の好適なデバイス)が、その宛先にフレームをフォワーディングする前に、圧縮されたヘッダを完全なヘッダに拡張する。これは、IPヘッダ圧縮(IPHC)フォーマットとして知られており、IPv6ヘッダサイズを著しく低減する。IPv6アドレスは、64ビットネットワークアドレス(プレフィックス)と64ビットインターフェースアドレス(IID)とからなる。一般に、IPv6アドレス空間はグローバルに(順に)、レジストリ、ISPプレフィックス、サイトプレフィックス、サブネットプレフィックス、及びインターフェースIDに分割される。一般に、単一のサブネットは、多数のデバイスをカバーするために十分なアドレス空間を有し(例えば264)、任意の大きい企業又は組織をカバーし、任意のデバイスに一意のグローバルアドレスを割り当てるのに十分であり、増大する余地があるべきである。大きい病院は、単一のサブネットによって容易にカバーされ得るが、2つ又はそれ以上のサブネット、例えば、内部臨床デバイスネットワークのためのサブネットと、ゲスト及び/又は患者へのインターネットアクセスを与えるためのサブネットとを展開することを望む。
【0012】
[0014] グローバルアドレスに加えて、あらゆるデバイスは、(例えば、小規模ネットワークにおける)1ホップ通信のために使用され得る、リンクローカルアドレスをも有する。IPv6ヘッダ圧縮の場合、グローバルアドレスとリンクローカルアドレスとが区別される。IPv6リンクローカルアドレスがソース及び宛先のために使用され得、ローカルインターフェースアドレスがデバイスアドレスから導出され得る(すなわちステートレスアドレス構成)場合、圧縮されたIPv6ヘッダサイズは、ちょうど2バイトに低減される。ソースアドレスと宛先アドレスとが同じIPv6サブネットに属し、このサブネットのプレフィックスがコンテキストテーブルから利用可能である場合、プレフィックスは省かれ、ヘッダサイズは、40から19バイトに(或いは、IIDが圧縮され得る場合、例えば、ソースアドレス又は宛先アドレスがリンクローカルアドレスである場合、より小さいバイトに)低減される。非リンクローカルIPv6アドレスの場合、ネイバー(隣)発見(ND)が必要とされ、コンテキストテーブル又はルーティングテーブルが維持されなければならない。これらのコンテキストテーブルは、ソースアドレスプレフィックスと宛先アドレスプレフィックスとについて異なる。
【0013】
[0015] アプリケーションのためのトランスポートプロトコルとしてユーザデータグラムプロトコル(UDP)が使用される場合、UDPヘッダも、8バイトから最小の2バイトに圧縮される。IPv6上のUDPのためのIPHC圧縮ヘッダのいくつかの例では、IPHC圧縮ヘッダは、6バイト、8バイト、又は13バイトである。
【0014】
[0016] デバイスは、一般に、動的ホスト構成プロトコル、例えばDHCPv6を使用してネットワークによって割り当てられたグローバルアドレスを有する。しかしながら、デバイスがモバイルである場合、デバイスは別のサブネット又はサイト、又は場合によっては別のインターネットサービスプロバイダ(ISP)にさえ切り替わる必要があり、例えば、モバイルデバイスが病院を離れる場合、モバイルデバイスは、病院内のBLE無線機からセルラーネットワークに切り替わる。そのような場合、通信中に使用されるべきIPv6ソースアドレスは、サブネット、サイト、又はISPの変化とともに変わる。IPv6デバイスのモビリティを容易にするために、モバイルIPv6、プロキシモバイルIPv6、及び階層型モバイルIPv6(HMIPv6)モビリティ管理など、いくつかの規格が作成された。また、NPTv6などの技術は、ここでは、IPv6アドレスのネットワークプレフィックス部分から別のもの、例えばグローバルネットワークプレフィックスへのステートレス変換を与える助けになる。2つのネットワーク内の2つのプレフィックス変換器が、同等に構成され得るか、又は、2つのネットワークからのトラフィックが、包含するエッジルータにおいて集合し、NPTv6又はNAT64変換を実行し、外界にとって同じIPアドレスを生じる。NPTv6は、NAT44(IPv4からIPv4へのネットワークアドレス変換)の後継と見なされ、NAT44は、あるIPv4アドレス空間から別のIPv4アドレス空間にIPアドレスを変換し、主に、限られたIPv4アドレス空間により必要とされた。IPv6の場合、ネットワークアドレス変換は、したがって、一般に、莫大なアドレス空間により、もはや必要とされなくなるが、しばらくの間、IPv6からIPv4に及びその逆に変換するために使用されるという考えである。
【0015】
[0017] モビリティをサポートすることは、モバイル医療デバイスにおいて重要である。例えば、BLEヘルスケアセンサーの場合、一般的シナリオでは、センサーは最初にベッドサイドモニタに接続するが、患者が移動されるか又は病院を歩き回るとき、センサーは、接続をベッドサイドモニタから、ホールにわたるBLEアクセスポイント(AP)に切り替え、場合によっては途中でいくつかの他のAPに切り替える。同じセンサーが、患者が病院を離れるときにも使用され、この場合、センサーは、患者が自宅に到着すると、BLEホームゲートウェイに接続する。BLEヘルスケアセンサーがその寿命中に接続するすべてのこれらのデバイスは、高度ルーティング特徴のサポートに関して及び信用に関して、異なる特徴を与える(例えば、同じ製造業者からのものであるか、又は競合製造企業からのものであるかなど)。特に、Bluetooth(登録商標)及びいくつかの他のワイヤレスプロトコルの場合、BLEヘルスケアセンサーが接続するデバイスは、常に信用できるとは限らない。
【0016】
[0018] RFC7668文献では、及びBluetooth(登録商標) White Paper、2017の「Internet Gateways」では、Bluetooth(登録商標) IPネイティブ6LoBTLEノードとともにBLEゲートウェイが説明されている。IPv6は、どこでもどのデバイスにも一般的なアドレス指定機構を与え、IPHCヘッダ圧縮フォーマットは、引用された文献において標準化されたが、これらの方法は不要な電力消費につながる。これは、上記で説明されたすべての方法(IPv6ヘッダ圧縮、モバイルIPv6(通常及び階層型)、プロキシモバイルIPv6)の場合、IPスタックが6LoBTLEノード上でアクティブであることが予想されるからであり、以下で説明されるように圧縮されたIPv6ヘッダを送るために送信電力が必要とされるからである。これは、デバイスが、様々な宛先に達することが可能である(例えば、ウェブをブラウズするためにモバイルフォンが使用される)ために一般的なIPサポートを有することを希望するという仮定に部分的に基づく。しかしながら、これは、例えば所定の宛先サーバにそのデータを送るにすぎないセンサーデバイスの場合、当てはまらない。
【0017】
[0019] さらに、IPv6ヘッダは、圧縮されたソース及び宛先アドレスの場合でさえ、特に小さいペイロードをもつメッセージの場合、依然として大幅なメッセージオーバーヘッドをもたらす。例えば、BLEセンサーデバイスが、そのセンサーデータを(リンクローカル1ホップ範囲外の)ルーティング可能なアドレス、例えば集中型センサーアグリゲーションデバイス、又はインターネット上のクラウドサーバに送ることを希望する場合、IPv6ヘッダは、境界ルータがそのコンテキストテーブルに登録された宛先アドレスのプレフィックスを有するとすれば、少なくとも10バイト長(順に:ディスパッチヘッダフィールドのための1バイト、IPHCヘッダフィールドのための2バイト、コンテキストIDヘッダフィールドのための1バイト、Dst Comp IIDヘッダフィールドのための2バイト、NHC_UDPヘッダフィールドのための1バイト、UDPポートヘッダフィールドのための1バイト、及びチェックサムヘッダフィールドのための2バイト)である。低エネルギー動作では、このオーバーヘッドがさらに低減されれば有益である。
【0018】
[0020] 二方向通信の場合、グローバルソースアドレスは、リンクローカルアドレスの代わりに使用される必要があり、少なくとも2つの追加のバイトにつながる。モバイルIPv6(標準及び階層型モバイルIP)の場合、BLEセンサーデバイスは、センサーデバイス自体においてIPv6パケットカプセル化を行う必要さえあり、それにより、センサーデバイスは、パケットをカプセル化することを可能にするために、そのケアオブアドレス、ホームエージェント(HA)又はモビリティアンカーポイント(MAP)のアドレスに気づいている必要がある。これは、複数のIPv6アドレスが各パケット中に含まれることにつながり、非モバイルIPv6ソリューションの上のより大きいパケット、したがって追加のオーバーヘッドにつながる。
【0019】
[0021] 本明細書で開示される実施形態では、BLEデバイスは、通信オーバーヘッドを低減し、IPパケット処理及び圧縮のオーバーヘッド、したがって電力消費を低減しながら、ペイロードのエンドツーエンド暗号化を含む、その通信のためのIPv6とCoAPなどの上位レイヤプロトコルとを使用することが可能になる。これは、BLEデバイスが、別のBLEデバイス(例えばBLEアクセスポイント又はゲートウェイ)がBLEデバイスに代わってIPv6ヘッダ挿入を実行することができることを動的に発見した後、必要でないとき、IPv6ヘッダ及びUDP/TCPヘッダの送信を省略することによって行われる。これを動的に行うことによって、開示される手法は、適切な場合はいつでも、提案された電力最適化を適用しながら、モビリティをサポートし、あるアクセスポイントからローカルネットワークの内部又は外部の別のアクセスポイントからへのローミングを可能にする。
【0020】
[0022] エンドツーエンド暗号化及び/又は相互認証が、医療データの通信にとって重要である。エンドツーエンド暗号化では、パスワード、パスコード、又は他の秘密が、BLEセンサーと宛先サーバとの間で共有され、秘密は、データを暗号化するための鍵を導出するために使用される。相互認証では、データを暗号化するための鍵を導出するために使用される、BLEセンサーと宛先サーバとの間の共有秘密の知識が、検証される。しかしながら、BLEでは、デバイス間の実施されるセキュリティは、例えば「ジャストワークス(Just-works)」ペアリングが使用されるとき、欠如している。このことは、医療コンテキストにおいて問題であり、なぜなら、ヘルスケア環境では、患者医療データが、間違った人の手にわたるべきでなく、信頼できる様式で適切な宛先(例えば、電子的医療又は健康記録をホストする病院サーバコンピュータ、ナースステーションコンピュータなど)に配信されるべきであるからである。十分なセキュリティレベルを与えるために、(例えば、IPレイヤフィールドが改ざんされていないことを確実にするために、サーバに/からの通信においてIPSec認証ヘッダを使用して、又は、例えば共有秘密の知識を証明することによって、中間ノードが信用できることを検証するための他の機構を使用して)センサーからサーバへのネットワーク経路全体がセキュアと見なされるべきである。好ましくは、センサーは、データが正確に受信されるかどうかを、エンドツーエンド暗号化肯定応答を使用して(例えば、暗号化されたCOAP肯定応答又はHTTP200 OKメッセージを使用して)検証することができ、このようにして、センサーは、そのデータをサーバに安全に送るか、さもなければ接続を切ることができる。患者に医療療法を実施するBLEアクチュエータデバイスの場合、アクチュエータデバイスとアクチュエータデバイスを制御するサーバデバイスとの間のセキュアな通信は、患者の安全を保証するために信用できなければならない。
【0021】
[0023] 本明細書で開示される実施形態は、BLEアクセスポイント/ゲートウェイに、エンドツーエンド暗号化メッセージを復号する必要なしにそれらをフィルタアウトさせることによって、BLE搭載医療デバイス(例えばバイタルサインセンサーデバイス、アクチュエータデバイスなど)の電力消費を低減するための追加の機構を与え、これは、BLEセンサー/アクチュエータとBLEアクセスポイント/ゲートウェイとの間の通信量の低減をもたらし、リッスン間隔の間のスリープ時間の増加を可能にし、したがって、通信をセキュアに及び信頼できるように保ちながら、電力消費を低減する。また、これらの利益は、BLEデバイスが、途中で異なるデバイス、例えば、病院における別のBLEアクセスポイント、モバイルフォン、ベッドサイドモニタ、又は、患者が同じセンサーを装着しながら自宅に到着するときはホームゲートウェイにフレキシブルに接続することができるように、ローミングをもサポートしながら達成される。
【0022】
[0024]
図1及び
図2を参照すると、例示的な実施形態が、医療機能Fを実行するために搭載されたワイヤレス医療デバイスS(例えば医療センサー又はアクチュエータ)を含む。デバイスSは、無線通信ネットワーク(例えばBluetooth(登録商標)ネットワーク)におけるデバイスSを一意に識別するIPv6アドレス及び/又は他のヘッダ情報Aを記憶するための記憶域を搭載し、それにより、デバイスSは、デバイスTとの通信リンクLを形成するために使用されるBluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE)無線機Rをさらに搭載する。
図2に示されているように、10において、通信リンクLを介してデバイスTから、デバイスTがワイヤレス医療デバイスSに代わってIPv6ヘッダ挿入を行うことが可能であるというメッセージWを受信すると、デバイスSは、12において、ヘッダ情報メッセージXを使用してデバイスTにヘッダ情報Aを送り、デバイスSは、14において、あるモードに切り替わり、このモードでは、デバイスSが、デバイスSのデータをメッセージM0...Mnの一部として含めることによって、BLE通信リンクLを介してそのデータを送り、メッセージM0...Mnは、IPv6ヘッダをこれらのメッセージの一部として含まない(ただし、メッセージM0...Mnは、PHY/MACヘッダなどの他のヘッダ情報を含む)。デバイスTは、ヘッダ情報メッセージXを受信し、デバイスSの受信されたヘッダ情報A’のコピーを記憶し、その後、メッセージM0...Mnを受信すると、デバイスTは、16において、ヘッダ挿入機能Iを実行して、メッセージM0...Mn中にヘッダ情報A’を挿入し、ヘッダを完成し、対応する有効なIPv6メッセージを、受信されたヘッダ情報A’(のコピー)がこれらのメッセージのIPv6メッセージヘッダ中に挿入された状態で作成し、BLEを介して、挿入されたヘッダ情報をもつメッセージを、有効なIPv6ヘッダを各々もつメッセージM0’...Mn’として再送信する。メッセージXは、メッセージM0’...Mn’の有効なIPv6ヘッダを構築するためにデバイスTによって使用され得る、ソースIPv6アドレス(又はそれらの一部)、宛先IPv6アドレス(又はそれらの一部)、トラフィッククラスについての値及び/又は拡張ヘッダを含む。ペイロード長など、メッセージM0’...Mn’のためにデバイスTによって構築されるべきIPv6ヘッダ中の他のフィールドは、メッセージM0...Mn内のレイヤ2ヘッダにおいて示されるペイロード長から導出され得る。バージョン及びホップ限界フィールドなど、他のフィールドは、デフォルト値、すなわち、バージョンについて値6、及びホップ限界についての値255で埋められ得る。
【0023】
[0025] 逆に、
図3に示されているように、20において、通信リンクを介してデバイスTから、デバイスTがデバイスSに代わってヘッダ挿入を行うことが可能であるというメッセージを受信しないと(又は、デバイスTから、それがヘッダ情報挿入サービスIをもはや実行しないことを示すメッセージを受信すると)、ワイヤレス医療デバイスSは、24において、あるモードに切り替わり(又は再び切り替わり)、それにより、デバイスSは、BLE通信リンクを介して、完全なヘッダ又はヘッダ圧縮されたIPv6ヘッダを含むデバイスSのデータを、IPv6メッセージN1...Nnとして送る。
【0024】
[0026] したがって、デバイスTがリレーデバイスT、又はヘッダ挿入デバイスT、又は同様の名称で呼ばれることがあることがわかる。デバイスTが、好ましくは、ワイヤレス医療デバイスSと比較して、電力消費があまり重要でないデバイスであることを理解されよう。ヘッダを追加及び送信する、電力を消費するプロセスは、低電力消費デバイスであることが望まれるワイヤレス医療デバイスSによって、もはや実行されず、代わりに、電力消費が同程度に低いものである必要がないヘッダ挿入デバイスTによって実行される。この目的で、デバイスSは、デバイスSがもはやIPv6ヘッダ情報を送る必要がないこの低電力動作モードへの遷移を開始するために、リレーデバイスTによって使用されるべきソースIPv6アドレス又は宛先IPv6アドレスなどのヘッダ情報を含んでいるメッセージXを1回送る必要があるにすぎない。
【0025】
[0027] ワイヤレス医療デバイスSは、本明細書で開示されるように医療機能Fを実施することに関係する機能を実行し、BLE無線機Rとともにワイヤレス通信を実施するために、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィック処理ユニット(GPU)、又は他のプログラマブル電子チップ(オプションで、マルチコア、数値演算コプロセッサを含む、又はさもなければ拡張されたもの)、及びプログラマブル電子チップによって読取り可能及び実行可能な命令を記憶する非一時的記憶媒体など、構成要素(図示せず)を備える。非一時的記憶媒体は、(非限定的な例示的な例として)フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、電子的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)又はそれの変形態、及び/又は磁気記憶媒体(例えばハードディスク)、光記憶媒体(例えば光ディスク)、それらの様々な組合せなどを備える。モバイル医療デバイスSによって実行される医療機能Fは、デバイスのタイプによって決まり、デバイスSは、医療リソース又は機能Fを実行するために適宜に追加の構成要素を備える。例えば、注入ポンプを含んでいる医療デバイスSの場合、デバイスSは、好適なポンプハードウェア及びフローセンサーなどを含み、医療リソース又は機能Fは、静脈内(IV)流体フローを制御すること、IV流体フローを測定すること、IV流体の温度を測定することなどの機能を含み、プログラマブル電子チップは、IV流体の制御されたフローを送出するために流量計からのフローフィードバックに基づいてポンプを動作させることを含む医療リソース又は機能Fを実施するように、及びオプションでIV流体温度をモニタすることなどの他の関係する機能などを実行するようにプログラムされる。別の例として、ワイヤレス医療デバイスSがバイタルサインセンサーを備える場合、デバイスSは、好適には、センサーハードウェア(例えばEGC、EEG、又はHRモニタ電極、血圧カフ、及び膨張ポンプハードウェアなど)をさらに含み、プログラマブル電子チップは、バイタルサインデータを取得するようにセンサーハードウェアを動作させることを含む医療リソース又は機能Fを実施するようにプログラムされる。これらは非限定的な例示的な例にすぎず、より一般的には、ワイヤレス医療デバイスSは、場合によっては所望の(1つ又は複数の)医療機能Fを与えるように構成される。その上、デバイスSが非医療適用例のコンテキストにおいて非医療タスクを実行するためのデバイスであることが、企図される。
【0026】
[0028] デバイスTは、ヘッダ挿入サービスI並びにデバイスTが通常実行する他の機能を実行するために、デバイスSの無線機Rに類似するBLE無線機、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、FPGA、GPU、又は他のプログラマブル電子チップ(オプションで、マルチコア、数値演算コプロセッサを含む、又はさもなければ拡張されたもの)、及びデバイスTのプログラマブル電子チップによって読取り可能及び実行可能な命令を記憶する非一時的記憶媒体など、構成要素(図示せず)を備える。例えば、デバイスTは、ワイヤレスアクセスポイント(AP)であり、したがって、その目的のためのプログラミングを含み、或いは、セルラー電話、タブレットコンピュータ、又は汎用オペレーティングシステム(例えばAndroid又はiOSオペレーティングシステム)及びモバイルデバイス上にロードされた様々なアプリケーションプログラム(「アプリ」)などをもつ他のモバイルデバイスである。デバイスTの非一時的記憶媒体は同じく、(非限定的な例示的な例として)フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、電子的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)又はそれの変形態、及び/又は磁気記憶媒体(例えばハードディスク)、光記憶媒体(例えば光ディスク)、それらの様々な組合せなどを備える。
【0027】
[0029] サーバCは、単一のサーバコンピュータ、動作可能に相互接続された、サーバコンピュータのクラスタ、コンピュータがアドホック様式で相互接続されたクラウドコンピューティングリソースなどである。
【0028】
[0030] さらなるオプションの態様では、メッセージMxのペイロードPx(0≦x≦n)は、ワイヤレス医療デバイスSによって暗号化され、デバイスTによって実行されるヘッダ挿入サービスIは、まったく同じペイロードPxを復号/再暗号化なしにメッセージMx’の一部として含める。
【0029】
[0031] さらなるオプションの実施形態では、メッセージXが、IPv6アドレス及びUDP/TCPなどのネットワークトランスポートプロトコルに関係するパラメータ(例えば宛先ポート)を含み、それによりアドレスは、サーバC(オプションでクラウドサーバ)のグローバルユニキャストIPv6アドレスであり、それに応じてデバイスTが、受信されたパラメータに基づいてサーバCへのUDP/TCP接続をセットアップし、それによりデバイスTは、そのアドレスを宛先アドレスとして、デバイスTのIPv6メッセージ中の挿入されたヘッダ情報A’の一部として含め、それによりデバイスSは、IPv6ヘッダをもUDP/TCPヘッダをもメッセージM0...Mnの一部として含めない。
【0030】
[0032]
図1を参照し、さらに
図4を参照すると、(デバイスTがヘッダ挿入サービスを提供するか否かとは無関係に実行され得る)さらなるオプションの態様では、デバイスSは、30において、(オプションでメッセージXの一部である)メッセージYを使用して、(例えば、第1の正しいエンドツーエンド暗号化アプリケーションレベルトランスポート肯定応答自体を受信した後に)アプリケーションレベルトランスポート肯定応答を受信するレートを低減するようにとの要求をデバイスTに送り、それにより、メッセージYは、エンドツーエンド暗号化アプリケーションレベルトランスポート肯定応答をどのように検出するかに関する基準を含み、すなわち、メッセージYは、肯定応答検出基準、例えば、一般的なメッセージサイズ、使用されている通信プロトコル、メッセージタイプ又は他のパケットヘッダ情報、或いは他の実施形態では、肯定応答を示すハッシュ、ビットパターン、CRC、キーワード、正規表現、又はディープパケット検査ルールセットなど、及び/又は肯定応答を暗号化するために使用されているセキュリティアルゴリズム/プロトコルのタイプを含んでおり(オプションで、鍵、或いは暗号化されたメッセージを部分的に又は全体的に復号するためのシード、カウンタ、準同型鍵情報などの他の知識で拡張され)、その後に、デバイスTは、32において、サーバCから受信されたこれらのメッセージをフィルタアウトするためにこの基準を適用し、34において、デバイスSが、そのスリープ/起動サイクルを、リレーデバイスTがワイヤレスデバイスSにフィルタアウトされた肯定応答をフォワーディングする、低減されたレートと同期させることによって、デバイスSにおけるさらなる電力低減を可能にするために(例えばメッセージの半分を廃棄することによって)低減されたレートで、デバイスSにこれらの暗号化された肯定応答メッセージをフォワーディングする。概して、アプリケーションレベルトランスポート肯定応答は、IPレイヤ(OSIレイヤ3)の上のプロトコルについて任意のタイプの肯定応答であると見なされ、したがって、TCPレベル肯定応答、CoAPメッセージ肯定応答、HTTPメッセージ肯定応答(例えばHTTP200 OK成功ステータス応答)、アプリケーション固有の肯定応答などである。肯定応答メッセージは、暗号化され、OSCoAP、DTLS、HTTP SSL/TLS、MQTT SSL/TLS、いくつかのIPSecオプション、公開鍵暗号化/ディフィーヘルマン、AES/DES暗号化、準同型鍵暗号化、ディープパケット検査暗号化などである。したがって、デバイスTは、(例えばヒューリスティックに基づいて)ディープパケット検査技法を採用する必要があり、例えば、ビットパターン又は正規表現適合技法を採用し、暗号化ハッシュと非暗号化ハッシュとを計算及び比較し、使用されている通信プロトコル及びそれらの一般的な通信パターンに関する知識(例えば、サーバに送られたどのタイプのメッセージが、返信メッセージとして肯定応答が送られることにつながるか)を使用し、好ましくはメッセージを復号することに関係する復号鍵に関する知識をリレーデバイスTが有することなしに、使用されているセキュリティ/暗号化技法に関する知識を使用する。デバイスSから受信された基準情報に加えて、デバイスTは、オプションで、肯定応答の検出及びフィルタ処理をさらに助けるための情報をもサーバから受信する。デバイスTは、肯定応答が送られたときはいつでも通知されることを要求するために、サーバとの別個の通信チャネルをセットアップし、例えば、メッセージカウンタ又はヘッダ情報を受信し、デバイスTは、それを使用して肯定応答メッセージを識別し、肯定応答メッセージを他のメッセージと区別することができる。いくつかの実施形態では、メッセージY中に含まれる低減されたレートは、リレーデバイスが、肯定応答検出基準に適合するサーバから受信された肯定応答を廃棄するレートとして指定される。いくつかの実施形態では、メッセージY中に含まれる低減されたレートは、リレーデバイスが、肯定応答検出基準に適合するサーバから受信された肯定応答を廃棄する最大時間として指定される。例えば、低減されたレートは、次の肯定応答がワイヤレスデバイスSにフォワーディングされる前に廃棄すべき肯定応答の数を示す割合又は整数として指定されるか、或いは、低減されたレートは、時間単位当たりの肯定応答の数として指定される。概して、リレーデバイスは、廃棄された肯定応答をワイヤレスデバイスSにフォワーディングしないことによって、低減されたレートでワイヤレスデバイスSに、フィルタアウトされた肯定応答をフォワーディングする。
【0031】
[0033] さらなるオプションの態様では、ワイヤレス医療デバイスSが、ある量の時間の間、アプリケーションレベルトランスポート肯定応答を受信しない場合、デバイスSは、デバイスSがバックエンドサーバCへの接続に関する問題を有するというオーディオ/ビジュアルフィードバックをトリガする。一般に、デバイスSが、これらの肯定応答を受信しない場合、これは、宛先との通信経路が切断されたからであるか、又はデバイスTが、医療デバイスSからのメッセージを故意に廃棄する悪意のあるデバイスであるからであるかのいずれかである。この機構によって、悪意のあるデバイスは、デバイスSが何かが間違っていることを検出することが可能であることなしに、メッセージを単に廃棄することができない。
【0032】
[0034] しかしながら、医療デバイスSがアクチュエータである場合、デバイスSは、どの着信メッセージを予想すべきかを確実には知らないので、デバイスSは、それを制御するサーバからのメッセージが悪意のあるデバイスTによって故意に廃棄されていないことを確信することができないことに留意されたい。これに対処するために、アクチュエータデバイスは、好ましくは、デバイスTがデバイスSに代わってヘッダ挿入(及びオプションのUDP/TCPトランスポート)サービスIを実行することを可能にする前に、(例えば、デバイスTが、特定の事前共有秘密の知識を有するかどうか、それを証明するデバイスTが、公開鍵に属する秘密鍵の所有を有するかどうか、又はデバイスTが、信用できる認証局によって署名された公共鍵証明書を送ったかどうかを検証することによって)デバイスTにおける追加の信頼レベルを有する。代替的に、アプリケーションレベルプロトコルは、ある機構を提供し、それによって、デバイスSは、サーバCが所与の時間期間においてデバイスSにメッセージを送ったかどうかを決定するために定期的にサーバCに確認することができる(それにより、サーバCは、それがデバイスSに送ったメッセージを繰り返すことができる)。
【0033】
[0035] さらなるオプションの態様では、デバイスTは、サーバCの宛先アドレスまでのメッセージMx’(0≦x≦n)についてのラウンドトリップ時間を測定し、さらなるメッセージを使用してこの情報をデバイスSに送り、その後に、デバイスSは、受信されたラウンドトリップ時間に基づいて、デバイスSのスリープ/起動スケジュール及び/又はメッセージM0...Mnを送るレートを調整する。
【0034】
[0036] さらなるオプションの態様では、デバイスTは、サーバCからの着信メッセージを受信するために、デバイスTがデバイスT上に開いたポートのUDP/TCPポート情報をデバイスSに送り、デバイスSはこの情報を記憶する。デバイスSがあるデバイスU(図示せず)に接続する場合、デバイスSは、このUDP/TCPポート情報を、デバイスUへのソースIPv6アドレス及び宛先IPv6アドレスと宛先UDP/TCPポートとともにデバイスUに送り、デバイスUは、このUDP/TCPポート情報を使用して、サーバCから来る着信UDP/TCPトラフィックのためのソースポートをセットアップする。
【0035】
[0037] さらなるオプションの態様では、デバイスSのヘッダ情報A(及びリレーデバイスTにおけるそれのコピーA’)は、セキュアにハッシング/暗号化されたセンサーIDを含む。これにより、センサーの識別がソースアドレスから直接行われ得るので、送られるべきアプリケーションレイヤデータの量が低減する。センサーIDをセキュアにハッシング又は暗号化することの、得られた出力は、IPv6アドレスの64ビットIID部分内で使用され得る(IPv6アドレスのより大きい部分を使用し得るが、これは、例えば128ビットORCHID IPv6識別子の場合と同様に、ルータビリティ問題につながる)。この手法は、サーバに接続することが可能であるデバイスのエコシステムが、64ビットよりも少ないか又はそれに等しいセンサーIDアドレス空間で動作することを仮定する。
【0036】
[0038]
図4の実施形態では、ワイヤレスデバイスSにフォワーディングされる肯定応答のレートを低減することによって、ワイヤレスデバイスSにおける電力節約が達成される。これは、ワイヤレスデバイスSからメッセージYを受信することであって、メッセージYが、サーバからリレーデバイスTにおいて受信された肯定応答が、低減されたレートでワイヤレスデバイスSに送られるべきであるという要求を含み、メッセージYが、肯定応答検出基準をさらに含む、受信することと、サーバから受信された肯定応答をフィルタアウトするために、肯定応答検出基準を適用することと、低減されたレートで無線機を介してワイヤレスデバイス(S)に、フィルタアウトされた肯定応答をフォワーディングすることとによって、行われる。より一般的には、低減されたレートで他のタイプのメッセージをフォワーディングするためにこの処理を採用することが、企図される。例えば、開示される手法は、低減されたレートで肯定応答以外の応答メッセージ又はサーバ開始型メッセージをフォワーディングするために使用される。一般化された場合では、リレーデバイスTは、ワイヤレスデバイスSからメッセージYを受信し、メッセージYは、サーバからリレーデバイスTにおいて受信されたメッセージタイプのメッセージが、低減されたレートでワイヤレスデバイスSに送られるべきであるという要求を含む。メッセージYは、そのメッセージタイプのメッセージを検出するための検出基準をさらに含む。リレーデバイスTは、サーバから受信されたメッセージタイプのメッセージをフィルタアウトするために、検出基準を適用し、低減されたレートで無線機を介してワイヤレスデバイスSに、そのメッセージタイプのフィルタアウトされたメッセージをフォワーディングする。同じく、検出基準は、そのメッセージタイプのメッセージについての一般的なメッセージサイズ、使用されている通信プロトコル、メッセージタイプ又は他のパケットヘッダ情報、そのメッセージタイプのメッセージを示すハッシュ又はビットパターン、CRC、キーワード、正規表現又はディープパケット検査ルールセットなど、並びに/或いはそのメッセージタイプのメッセージを暗号化するために使用されるセキュリティアルゴリズム/プロトコルのタイプ(オプションで、鍵、又は暗号化されたメッセージを部分的に又は全体的に復号するためのシード、カウンタ、準同型鍵情報などの他の知識で拡張されたもの)などである。
【0037】
[0039]
図1を参照し、さらに
図5を参照すると、さらなるオプションの態様では、ワイヤレス医療デバイスSが、40において、(例えばディフィーヘルマン交換を使用して)証明書をデバイスTと交換して、42において、デバイスTが(例えばある製造業者のデバイスについて共通の)特定の事前共有秘密の知識を有するかどうかを決定し、デバイスTがその知識を有する場合、デバイスSは、44において、デバイスTにメッセージZ(図示せず。オプションで、メッセージX又はY)を送り、そのメッセージは、デバイスTが、サーバCと通信するために使用するべきである(HTTP、CoAP、MQTTなどの)上位レイヤトランスポートプロトコルに関係する(サーバリソースの宛先URI、GET、POSTをとるべきRESTアクションなどの)パラメータを含み、46において、デバイスTがこの上位レイヤトランスポートプロトコルをサポートする場合、デバイスSは、48において、あるモードに切り替わり、それにより、デバイスSは、Bluetooth(登録商標)低エネルギー通信リンクを介してメッセージM1...Mn内でデバイスSのデータを送り、メッセージM1...Mnは、デバイスSにおけるさらなる電力低減を可能にするために、IPv6ヘッダと、UDP/TCPポート情報と、(HTTP、CoAP、MQTTヘッダなどの)上位レイヤトランスポートヘッダとを含まない。
【0038】
[0040] さらなるオプションの態様では、デバイスTは、どのプロトコルがサーバCによってサポートされると宣言されているかに基づいて、動的にトランスポートプロトコルを選択する。
【0039】
[0041] さらなるオプションの態様では、デバイスSは、デバイスTから、上位レイヤトランスポートプロトコルからの誤りを示すメッセージを受信する。このデバイスは、デバイスSがバックエンドサーバCへの接続に関する問題を有しているというオーディオ/ビジュアルフィードバックのために、この情報を使用する。
【0040】
[0042]
図1を参照し、さらに
図6を参照すると、さらなるオプションの態様では、デバイスS及び/又はデバイスTが、50において、(例えば、RSSIを測定することに基づいて)2つのデバイス間のリンクの品質が劣化していること、又は別のデバイスUが、デバイスSのはるかにより近い近傍にあり、デバイスSとの接続を引き継ぐこと(すなわち、デバイスSは、デバイスTからデバイスUにローミングすること)を決定し、その後に、デバイスSは、52において、デバイスSがデバイスUを介してサーバCにすでに接続されている間、残りのメッセージ(例えばサーバCからの再試行メッセージ又は着信メッセージ)がデバイスTによって依然として能動的に処理された場合の混乱を回避するために、デバイスSに代わってメッセージを送ることを停止するためのメッセージをデバイスTに送る。デバイスSは、54において、新しいデバイスUを介して接続される(すなわち、デバイスSが、新しいデバイスUにローミングした)とき、デバイスSは、56において、その間にメッセージが到着したかどうかを(デバイスUを介して)デバイスTに質問するか、又は代替的に、最新の少数のメッセージを再送するようにサーバCに依頼する。
【0041】
[0043]
図1を参照し、さらに
図7を参照すると、さらなるオプションの態様では、ワイヤレス医療デバイスSが、60において、(例えばディフィーヘルマン交換を使用して)デバイスTと証明書を交換し、62において、デバイスTが、デバイスSとサーバCとの間のエンドツーエンド暗号化の基礎を形成する事前共有秘密の知識を有するかどうか(例えば、SとTとCとが、同じ製造業者又は認証局によって認証されたのと同じセキュリティドメイン中にあるかどうか)を決定し、デバイスTがその知識を有する場合、デバイスSは、64において、デバイスTがメッセージMx’(0≦x≦n)内のペイロードPxのエンドツーエンド暗号化を実行することになるときのトリガを示す、メッセージQ(又はメッセージX、Y、Zの一部)をデバイスTに送り、66において、デバイスTによってサポートされる場合、デバイスSは、あるモードに切り替わり、それにより、デバイスSは、メッセージMx(0≦x≦n)中に含まれるペイロードPxに対してエンドツーエンド暗号化を実行しない。
【0042】
[0044]
図8を参照すると、特定の例示的な実施形態では、ワイヤレス医療デバイスSは、BLE無線機と、IPサポートサービス(IPSS)のサポートをもつGAP周辺として動作するための機能とを搭載する。デバイスSは、BLEのための6LowPAN(6LoBTLE)ノードとして動作する機能をさらに搭載する。デバイスTは、BLE無線機と、IPサポートプロファイル(IPSP)のサポートをもつGAP中央として動作するための機能とを搭載したゲートウェイデバイスである。デバイスTは、BLEのための6LowPAN(6LoBTLE)境界ルータとして動作する機能をさらに搭載する。医療デバイスSは、一般に、極めて電力制限され、ボタン電池で動作するが、リレーデバイスTは、一般に、電源給電デバイスである(とはいえ、セルフォン又はタブレットコンピュータなどの別のタイプのデバイスも企図される)。このアーキテクチャは、BLEのための6LowPANアーキテクチャが一般に、センサーが送られるべき新しいデータを有する場合のみ、センサーがその無線機を起動することが可能になるように、BLEセンサーデバイスにおける長いスリープ期間を可能にするので、古典的なGATTベースのアーキテクチャに勝るいくつかの利益を有する。
【0043】
[0045] デバイスSとデバイスTとの間の接続を確立するために、デバイスS上のGAP周辺機能が、その存在を近くのBLEデバイスに広告するために使用される。デバイスT上のGAP中央機能は、これらの広告パケットを検出し、BLE無線機を介してCONNECT_IND PDUを送ることによって2つのBLEデバイス間のリンクレイヤ接続セットアップを開始する。リンクが確立された後に、デバイスはペアリングプロシージャを実行し、デバイスSとデバイスTとの間にデータ通信接続が確立され、それにより、両方のデバイスは、IPSPのための追加の要件を伴って論理リンク制御及び適応プロトコル(L2CAP)を使用してBLEトランスポートレイヤを動作させる。また、代替的に、これらの役割は入れ替えられ、それにより、デバイスSは、IPSPサポートをもつGAP中央として動作し、デバイスTは、IPSSサポートをもつGAP周辺として動作し、同様の様式でL2CAP接続をセットアップする。
【0044】
[0046] ここで提示される説明では、開放型システム間相互接続(OSI)モデルが採用され、それは、物理レイヤ(レイヤ1)と、データリンクレイヤ(レイヤ2)と、ネットワークレイヤ(レイヤ3)と、トランスポートレイヤ(レイヤ4)と、セッションレイヤ(レイヤ5)と、プレゼンテーションレイヤ(レイヤ6)と、アプリケーションレイヤ(レイヤ7)とを含む。IEEE802規格では、物理レイヤは、物理レイヤコンバージェンスプロシージャ(PLCP)サブレイヤと物理媒体依存(PMD)サブレイヤとを含むが、データリンクレイヤ(レイヤ2)は、論理リンク制御(LLC)レイヤとレイヤ2媒体アクセス制御(MAC)レイヤとを含む。ネットワークレイヤ(レイヤ3)はIPレイヤと見なされ、それにより、各IPパケットは、レイヤ2MACフレーム中にカプセル化される。Bluetooth(登録商標)では、PHYレイヤは、RF及びベースバンド構成要素を含むが、レイヤ2MACは、L2CAPレイヤとリンクマネージャレイヤとを含む。BLEパケットデータ構造は、(順に)プリアンブル(1バイト)と、アクセスアドレス(4バイト)と、2~257バイトのプロトコルデータユニット(PDU)と、CRC(3バイト)とを含む。PDUは、(順に)PDUヘッダ(2バイト)と、データペイロードと、MIC(4バイト)とを含むデータチャネルPDU、又は(順に)PDUヘッダ(2バイト)と広告ペイロードとを含む広告チャネルPDUを備える。データペイロードは、一般に、(順に)L2ヘッダ(4バイト)とL2ペイロード(最高247バイト)とを含むL2キャップパケットからなる。Bluetooth(登録商標)では、IPレイヤ(レイヤ3)は、一般に、L2キャップパケットのL2ペイロード内にカプセル化される。IPレイヤ内のIPパケットは、(順に)IPv6ヘッダと、(順に)拡張ヘッダ及び上位レイヤPDUを含むペイロードとを含む、IPv6パケット構造を有する。ロングタームエボリューション(LTE)では、その低電力変形態、狭帯域モノのインターネット(NB-IoT)及びマシンのためのLTE(LTE-M)を含めて、データリンクレイヤ(レイヤ2)は、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)レイヤと、無線リンク制御(RLC)レイヤと、MACレイヤとを含む。IPレイヤ(レイヤ3)は、一般に、ユーザプレーンPCDPデータプロトコルデータユニット(PDU)のペイロード内にカプセル化される。
【0045】
[0047] 上記で説明されたOSI/BLEパケット/IPv6アーキテクチャを採用するさらなる例示的な実施形態として、ワイヤレスデバイスSは、レイヤ2MACヘッダとペイロードとを各々含むレイヤ2MACフレームとして構築されたメッセージを採用するワイヤレス通信プロトコルを介して通信するための無線機Rを備える。ワイヤレスデバイスは、(i)ワイヤレスデバイスが、無線機Rを介して、IPv6パケットヘッダとレイヤ2MACフレームのペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットとを各々含むメッセージN0、...、Nnを送信する、第1のモード、及び(ii)ワイヤレスデバイスが、無線機Rを介して、IPv6ヘッダを含むことなしにレイヤ2MACフレームのペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットを各々含むメッセージM0、...、Mnを送信する、第2のモードで動作するように構成される。好適な手法では、ワイヤレスデバイスは、ヘッダ挿入サービスIを提供するリレーデバイスTにヘッダ情報メッセージXを送信することを含む動作によって、第1のモードから第2のモードに遷移するように構成される。ヘッダ情報メッセージは、少なくとも、IPv6ソースアドレスを構築するために使用されるべきワイヤレスデバイスのアドレス(A)又はIPv6宛先アドレスを構築するために使用されるべきホストデバイスのアドレス(D)を含む。ワイヤレスデバイスは、好適には、リレーデバイスTから、第1のモードから第2のモードへの遷移をトリガするメッセージWを受信することをさらに含む動作によって、第1のモードから第2のモードに遷移するように構成される。メッセージWは、異なる宛先サーバ、例えば、病院内サーバ対クラウドサーバを選択するためにデバイスSによって使用され得る、サブネット又はルーティングプレフィックスに関する情報をも含んでいることに留意されたい。宛先サーバのIPアドレスが時間とともに変わるとすれば、デバイスSは、時々、例えば、完全修飾ドメインネームをもつドメインネームサーバ(DNS)に接触することによって、宛先サーバのIPアドレスを解決するか、又はNetBios名とともにpingを使用する必要がある。
【0046】
[0048] リレーデバイスTは、レイヤ2MACヘッダとペイロードとを各々含むレイヤ2MACフレームとして構築されたメッセージを採用するワイヤレス通信プロトコルを介して通信するための無線機を備える。リレーデバイスTは、ヘッダ挿入サービスIを実行するように構成され、ヘッダ挿入サービスIでは、リレーデバイスが、その無線機を介してワイヤレスデバイスSから、IPv6ヘッダを含むことなしにレイヤ2MACフレームのペイロード内にカプセル化された上位レイヤプロトコルデータユニットを各々含むメッセージM0、...、Mnを受信する。ヘッダ挿入サービスIは、ワイヤレスデバイスSから受信されたメッセージM0、...、Mn中にヘッダ情報A’を挿入し、完全なヘッダをもつメッセージをメッセージM0’、...、Mn’として再送信する。リレーデバイスTは、ワイヤレスデバイスSからヘッダ情報メッセージXを受信し、リレーデバイスにおいてヘッダ情報メッセージ中に含まれているヘッダ情報をヘッダ情報A’として記憶するように構成される。リレーデバイスTは、リレーデバイスTの、ワイヤレスデバイスSに対してヘッダ挿入サービスIを実行する利用可能性を、ワイヤレスデバイスSに通知するためのメッセージWを、ワイヤレスデバイスSに送信するようにさらに構成される。
【0047】
[0049] システムが、好適には、直前の2つの段落に記載されているワイヤレスデバイスSとリレーデバイスTとを備える。そのようなワイヤレスデバイスS、リレーデバイスT、又はデバイスSとデバイスTの両方を含むシステムでは、ワイヤレス通信プロトコルは、好適には、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE)であるが、他のワイヤレス通信プロトコルも企図される。オプションで、メッセージM0、...、Mnは、ワイヤレスデバイスSによって暗号化され、リレーデバイスTは、メッセージM0、...、Mnのまったく同じコンテンツを復号/再暗号化なしにメッセージM0’、...、Mn’内に含める。
【0048】
[0050] IPv6ヘッダ挿入特徴及び/又は肯定応答低減特徴の動的発見及び構成を可能にするために、デバイスS及びデバイスTの両方が、この特徴のサポートを示す必要がある。IPv6ヘッダ挿入特徴及び/又は肯定応答低減特徴の能力の指示は、BLE広告メッセージ及び/又は走査要求/応答中の広告データの一部(例えばさらなるフィールド又は広告ペイロードのさらなる一部)として送られ得る。これらのメッセージはまた、デバイスTによってソース及び/又は宛先として使用されるべきデバイスSにおいて記憶された(1つ又は複数の)IPv6アドレスを含めるために、並びに/或いは、デバイスTによって宛先サーバからの肯定応答メッセージの検出のために使用されるメッセージサイズ、ハッシュ又はビットパターン、及びデバイスTがデバイスSに肯定応答を送るべきであるか否かについてのレートインジケータを含めるために、デバイスTによって使用され得る。この情報はまた、別個のL2CAP又はGATTメッセージを使用して通信される。代替的に、RFC6775及び7668において指定されたIPv6ネイバー発見プロトコルは、例えば、ゲートウェイデバイスにおいてソースIPアドレスを送信及び登録するためにアドレス登録オプション(ARO)を使用する拡張されたネイバー要請メッセージを使用することによって活用され得、これは、ゲートウェイデバイスに、それが、IPヘッダ圧縮(その場合、デバイスSがメッセージN0...Nn内に圧縮されたIPv6ヘッダを含める)又は透過的な中継(その場合、デバイスSがメッセージN0...Nn内に完全なIPv6ヘッダを含める)の代わりにIPヘッダ挿入特徴を使用するべきであることを示すための追加のフィールド/パラメータで拡張される。これらのメッセージは、次いで、デバイスTにおいて、(1つ又は複数の)受信されたIPv6アドレスを発信メッセージM0’...Mn’の一部として挿入するように、及び/又は肯定応答をフィルタアウトし始めるように、モードを切り替えるためのトリガとして使用される。上述のメッセージのうちの1つをデバイスTに送ることの結果としてデバイスSによって受信された応答メッセージは、デバイスSにおいて、IPv6ヘッダをメッセージM0...Mnの一部として送らないように、及び/又はデバイスSがデバイスTを介して中継されたサーバからの肯定応答を受信することを予想することができるレートに基づいて、デバイスSのスリープパターンを適応させるように、モードを切り替えるためのトリガとして使用され得る。
【0049】
[0051] デバイスSは、(DHCPv6サーバから来たか、又はデバイスTから受信されたサブネット情報に基づいて局所的に生成されたかのいずれかである)IPv6ソースアドレス、又はIPv6宛先アドレス(例えば、NFCを介して構成されたバックエンドサーバのIPアドレス)など、1つ又は複数のIPv6アドレスを記憶するための何らかの非一時的記憶域を有する。デバイスSが、デバイスTのサブネットが、記憶されたIPv6ソースアドレスのサブネットとは異なることを検出した場合、デバイスSは一般に、そのIPv6ソースアドレスを新しくすることに留意されたい。これらのIPアドレスは、センサーに対する1つ又は複数の追加のインターフェース機能又は設定を使用して設定されるか又は取り出され、デバイスSにローカルに記憶され得る。ローカルに記憶されたIPアドレスは、完全なipv6アドレスに基づいてipv6ヘッダ挿入を行うことによってデバイスSをIPネットワークにさらすデバイスTに通知するか又はそれを更新するために使用され得る。センサーノードへのIPアドレス又はセンサーノードからのIPアドレスを更新することは、センサーネットワークのアドレスコンテキストが変わる場合にのみ必要とされ、これは、まれなイベントであることが予想され、したがって最小オーバーヘッドを課する。
【0050】
[0052] 上位レイヤトランスポートプロトコルは、CoAP、MQTT、HTTPなどの規格を含むが、そのようなものとして制限されない。それは、TCP、FTP、RTSP、XMPP、MLLPなどを直接介するIEEE11073-20601など、他のプロトコルをも含む。本明細書の残りの部分では、これらのプロトコル、すなわち、IPv6レイヤの上で動作するプロトコルについて、アプリケーションレイヤプロトコルと呼ぶ。しかしながら、低電力センサーの場合、アプリケーションレイヤトランスポートプロトコルは、CoAP、MQTT及びHTTP RESTに収束するように思われ、これは、多くのデータフォーマット(例えば、FHIR/HL7データモデル、OCFデータモデル、IEEE11073ベースのデータモデル、カスタムJSONベースのデータモデル)が、トランスポートについてこれらのアプリケーショントランスポートプロトコル上でマッピングされているからである。
【0051】
[0053] たいていのアプリケーションレイヤプロトコルは、応答メッセージ/肯定応答を受信するために二方向通信をサポートするための通信チャネルを必要とする。通常、これは、要求/応答機構であり、したがって短い時間間隔のみをカバーする。また、いくつかのアプリケーションプロトコルは、二方向非同期通信、例えばMQTTサブスクライバ又はCoAP観測者を可能にする。同様に、TCPを直接介するIEEE11073-20601などのプロトコルを使用することは、走査要求など、マネージャ開始型測定データ送信を実現するためにニ方向通信を必要とする。これは、BLEセンサーが、デバイス上でUDP又はTCPポートを開いているように保つ必要があることを意味する。提案されるソリューションでは、これは、今やデバイスTによって対処され、デバイスTは、デバイスSに代わってサーバからメッセージを受信し、メッセージをバッファし、デバイスSに、その次の起動スケジュールにおいてメッセージを送ることができる。これにより、デバイスSは、着信メッセージをリッスンする時間を低減することができるので、デバイスSの電力効率が増加する。これを可能にするために、デバイスTは、各接続されたデバイスSについてUDP又はTCPポートを開いているように保つ。デバイスTは、各接続されたデバイスSの各IPv6アドレスのための仮想NICを維持することによって(すなわち、マルチホーミングソフトウェアを使用して)、これらのUDPポートの各々についてのトラフィックを区別することができる。
【0052】
[0054] MQTTブローカー又はCoAPサーバにサブスクライブするためにBLEセンサーが使用したIPアドレスは、ローミング間に変わるべきでないか、又は少なくとも、頻繁に変わるべきでなく、これは、それにより、再起動される必要がある現在のサブスクリプション又は通信セッションが中断されるからである。IPv6の場合、IPアドレスは変わる必要がめったにない。したがって、デバイスSがアクセスポイントTからアクセスポイントUにローミングし、アクセスポイントUへの接続の後に、デバイスSがその記憶されたIPv6ソース及び宛先アドレスをデバイスUに送った場合、デバイスUは、宛先アドレスへのUDP/TCP接続をセットアップし、着信メッセージを受信するためにそのUDP/TCPポートをセットアップすることができる。実施形態のうちの1つに従って、デバイスSが、デバイスTからUDP/TCP着信ポート情報を受信し、この情報をデバイスUに渡した場合、デバイスUは、まったく同じIPアドレス及び着信UDP/TCPポートを伴ってデバイスSの代わりを務め、メッセージを送るのを開始することができる。サーバCにとっては、何も変わらなかったように見え、したがって、進行中のMQTTサブスクリプション又はCOAP観測者登録は動作し続ける。デバイスUは、メッセージを送って、ネットワークにおけるルーティングテーブルを更新し、今や、それ自体を参照しており、(例えばネイバー発見プロトコルを使用することによって)もはやデバイスTを参照する必要はない。デバイスUがデバイスTと通信するか、又は、デバイスS自体がデバイスUを介してデバイスTと通信して、例えばその間にデバイスSのためにメッセージが来たかどうかを質問する。代替的に、何らかのアプリケーションレベル再試行機構が、(例えば、最新の少数のメッセージを再送するようにサーバに依頼することによって)デバイスSによって使用される。デバイスTが、(ある量の時間の間、又はデバイスUからメッセージを受信した後に)デバイスSが切断されたことを発見した後に、デバイスTは、デバイスSのためにデバイスTのリソースをクリーンアップすることができる。
【0053】
[0055] BLEアクチュエータデバイスは、それらが、BLEアクチュエータデバイスを制御するサーバにとって到達可能であり、到達可能なままであるべきであるので、同様の問題を有する。デバイスが到達可能なままであることを保証するために、アクチュエータデバイスは、サーバへの経路上の中間ノード中のルーティングテーブルとサーバにおけるデバイスSのIPアドレス/ポート情報とを最新に保つために、サーバに何らかのメッセージ(例えばキープアライブメッセージ)を定期的に送る。代替的に、サーバからのアドレス指定能力を解決するために、モバイルIPホームエージェント又はモビリティアンカーポイント(MAP)へのホームアドレスが登録される。同様に、IPv6アドレスがグローバルにアドレス指定可能である場合、中間ルータ又はホームエージェント/モバイルアンカーポイントは、それが別のアクセスポイントに接続した後に、新しいルートに気づかされる必要がある。アクセスポイントTからアクセスポイントUにローミングした後にホームアドレスを登録することは、BLEアクチュエータに代わってアクセスポイントUによって行われ得る。
【0054】
[0056] デバイスTが要求された能力をサポートし、デバイスSがモード切替えを行ったことがわかった後に、デバイスSは、L2CAP接続を直接介してメッセージM0...M1を送り、それにより、デバイスSは、例えば、OSCoAP、DTLS、HTTP SSL/TLS、MQTT SSL/TLS、いくつかのIPSecオプション、公開鍵暗号化/ディフィーヘルマン、AES/DES暗号化などを使用して達成される、アプリケーションレベル認証及び/又はエンドツーエンド暗号化を使用して、アプリケーションレベルトランスポートをセキュアにする。
【0055】
[0057] IPv6パケットとして構築されたメッセージのBluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE)通信を採用する低電力ワイヤレス医療デバイスのコンテキストにおいて説明されるが、デバイスSにおける電力消費を低減するためにデバイスSにヘッダ挿入サービスIを提供するリレーデバイスTとともに低電力ワイヤレス医療デバイスSを動作させるための開示される手法は、WiFi、狭帯域モノのインターネット(NB-IoT)、ロングタームエボリューション(LTE)、LTE-M、5G新無線など、ヘッダとペイロードとを各々含むパケットとして構築されるメッセージを採用する他のワイヤレス通信プロトコルのコンテキストにおいても行われることが理解されよう。その上、ゲートウェイデバイスは、アクセスポイント、セルラー基地局、クラウド中のサーバ、仮想ネットワーク機能などであり得る。
【0056】
[0058] 第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって定義されたNB-IoT及びLTE-Mの場合、同様の手法が達成され得、それにより、デバイスSは、(NB-IoTの場合は)LTEカテゴリーNB1/NB2無線機又は(LTE-Mの場合は)LTEカテゴリーM1/M2無線機を搭載した(3GPP用語ではユーザ機器又はUEとも呼ばれる)デバイスである。パケットゲートウェイ(P-GW)は、一般に、(例えばDHCPを通して)接続されたUEのIPアドレスを割り当て、インターネットへのインターフェースを提供するので、リレーデバイスTは、好ましくは、P-GWをホストするデバイスである。代替的に、リレーデバイスTは、サービングゲートウェイ(S-GW)、モビリティ管理エンティティ(MME)、サービス能力公開機能(SCEF)、又はeノードBをホストする、4G発展型パケットコア(EPC)ネットワーク内のデバイスである。デバイスTがP-GW又はS-GWとして機能している実施形態では、デバイスSから送られたものとしての(IPv6ヘッダ挿入サービスのための)メッセージX及び/又は(肯定応答低減サービスのための)メッセージYは、好ましくは、(3GPP TS24.301において定義されている発展型パケットシステム(EPS)セッション管理メッセージコンテナ内にカプセル化された)パケットデータネットワーク(PDN)接続性要求メッセージあり、デバイスTのヘッダ挿入サービスによって使用されるべきヘッダ情報(例えばソースアドレス又は宛先アドレス)、及び/或いは宛先サーバからの肯定応答メッセージの検出のためにデバイスTによって使用されるメッセージサイズ、ハッシュ又はビットパターン、並びにデバイスTがデバイスSに肯定応答を送るべきであるか否かについてのレートインジケータを搬送するために、いくつかの追加のフィールドで拡張される。PDN接続性要求メッセージは、オプションで、デバイスTがヘッダ圧縮又は透過的な中継の代わりにヘッダ挿入を開始するべきであることを示すためのブールフラグ、及び/或いはデバイスTが肯定応答低減を開始するべきであることを示すためのブールフラグを含んでいる、追加の情報要素を有する。代替的に、IPv6ヘッダ挿入の場合、PDNタイプ情報要素は、デバイスTがヘッダ挿入を開始するためのトリガとして、値「非IP」に設定される(注:一般には、値「非IP」の場合、デバイスTは、デバイスSに代わってアドレスを割り振るか、又はソースアドレスとしてそれ自体のアドレスを使用するが、本発明では、デバイスTは、デバイスTから宛先サーバに送られるべきIPv6ヘッダ中にIPv6ソースアドレスフィールドを構築するためにデバイスSから受信したソースアドレスを使用する。宛先アドレスについても、同様である)。
【0057】
[0059] 代替的に、メッセージX又はYは、デバイスSからP-GW又はS-GWとして働くデバイスTに送られた別個のEPSセッション管理(ESM)メッセージである。MMEとして機能するデバイスTの場合、メッセージX又はYは、(アタッチ要求メッセージなどの)EPSモビリティ管理(EMM)又は任意の他のネットワークアクセス層(NAS)メッセージであり、デバイスTによって使用されるべきヘッダ情報及び/又は肯定応答フィルタ処理情報/基準を搬送するためのいくつかの追加のフィールドで拡張される。eノードBとして機能するデバイスTの場合、メッセージXは、無線リソース制御(RRC)接続要求メッセージなど、RRCメッセージであり、デバイスTによって使用されるべきヘッダ情報及び/又は肯定応答フィルタ処理情報/基準を搬送するためのいくつかの追加のフィールドで拡張される。
【0058】
[0060] デバイスTによってメッセージXへの応答としてデバイスSに送られる返信メッセージ(例えば、PDNアドレス情報要素内のPDNタイプ値などの「デフォルトEPSベアラコンテキストアクティブ化要求(Activate Default EPS Bearer Context Request)」内の既存の情報要素、又は、例えばブールフラグをもつ、追加の情報要素のいずれかを再使用する、PDN接続性要求メッセージへの応答としてのアタッチ受付メッセージ内の「デフォルトEPSベアラコンテキストアクティブ化要求」)は、モードを切り替えるようにデバイスSをトリガするメッセージWとして使用され得る。IPv6ヘッダ挿入特徴の場合、デバイスSがPDNタイプ「非IP」を要求し、「原因#57-PDNタイプIPv4v6のみ可能」をもつESM原因情報要素を含む応答メッセージを受信した場合、デバイスSは、モードを切り替えず、IPv6メッセージN1...Nnの一部として完全なヘッダ又はヘッダ圧縮されたIPv6ヘッダを含めることによって動作する。デバイスTが肯定応答低減をサポートすることができない場合、原因情報要素についての同様の値が定義される。
【0059】
[0061] NB-IoT及びLTE-Mの場合、IPメッセージ(N0...Nn)及び非IPメッセージ(M0...Mn)が、ユーザプレーンPCDPデータプロトコルデータユニットのペイロードとして、又は、ユーザプレーンの代わりに制御プレーンを介してトランスポートが行われる場合、ESMデータトランスポート(ESM DATA TRANSPORT)メッセージのペイロードとして送られ得る。
【0060】
[0062] IPv6ヘッダ挿入特徴及び/又は肯定応答低減特徴の動的発見を可能にするために、デバイスSとデバイスTの両方が、この特徴のサポートを示す必要がある。デバイスSによるIPv6ヘッダ挿入の能力の指示は、追加のインジケータ、重要でない拡張、又はUE-EUTRA-能力フィールドで拡張されたUECapabilityInformation RRCメッセージの一部として、或いは、RRC接続要求、アタッチ要求、PDN接続性要求、又はESM情報応答メッセージ中の追加のフィールドとして送られ得る。リレーデバイスTによるIPv6ヘッダ挿入又は肯定応答低減の能力の指示は、追加のフィールドで既存のシステム情報ブロックタイプを拡張することによって、又は追加のシステム情報ブロックタイプを定義することによって、システム情報メッセージ内のシステム情報ブロックの一部として送られ得る。代替的に、その指示は、「デフォルトEPSベアラコンテキストアクティブ化要求」又はESM情報要求メッセージの一部として、例えばプロトコル構成オプション内の追加のフィールドとして、又は別個の追加の情報要素として送られる。
【0061】
[0063] 本発明は、好ましい実施形態に関して説明された。上記の詳細な説明を読み、理解した他者は、変更及び改変に想到する。例示的な実施形態は、すべてのそのような変更及び改変が、添付の特許請求の範囲又はそれの均等物の範囲内に入る限りにおいて、それらの変更及び改変を含むものと解釈されるものである。