(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】超高メルトフロースチレンブロックコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 8/04 20060101AFI20240510BHJP
C08F 8/46 20060101ALI20240510BHJP
C08F 297/04 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
C08F8/04
C08F8/46
C08F297/04
(21)【出願番号】P 2020550837
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(86)【国際出願番号】 US2019023288
(87)【国際公開番号】W WO2019183302
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-18
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519418226
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フラッド,ジョン・イー
(72)【発明者】
【氏名】ミュイルデルマン,グザビエ
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-077382(JP,A)
【文献】特表2015-513584(JP,A)
【文献】特表2007-526387(JP,A)
【文献】特開平10-279773(JP,A)
【文献】特開平05-093176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
C08F293/00
C08F297/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Sブロック及びE又はE
1ブロックを有し、一般
式(S-E
1)
nX、又は
S-E-Sおよび(S-E
1
)
n
Xの混合物を有する選択的に水素化されたブロックコポリマーであって、
nは2~6の値を有し、
Xはカップリング剤残基であ
って、安息香酸メチル、四塩化ケイ素、アルコキシシラン、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリイミン、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリ無水物、ポリエステル、ポリハロゲン化物、ジエステル、メトキシシラン、ジビニルベンゼン、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸トリクロリド、グリシドキシトリメトキシシラン、オキシジプロピルビス(トリメトキシシラン)及びそれらの混合物の群から選択され
、 水素化前に、
Sブロックは
分子量が4,400~5,600g/molのポリスチレンブロックであり、
Eブロックは、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びそれらの混合物からなる群から選択され、18,000~26,000g/molの分子量を有するポリジエンブロックであり、
E
1ブロックは、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びそれらの混合物からなる群から選択され、9,000~13,000g/molの分子量を有するポリジエンブロックであり、
前記ポリジエンブロックの総ビニル含量が60~85%であり、
水素化後に、
前記ブロックコポリマー中のスチレン二重結合の0~10%が還元され、
前記ブロックコポリマー中の共役ジエン二重結合の少なくとも80%が還元され
、
前記選択的に水素化されたブロックコポリマーが:
最大50重量%の一般式S-E又はS-E
1
のジブロック単位を含み、
ポリスチレン含量が25~40重量%であり、
溶液粘度が80センチポイズ(cP)未満であり、
230℃未満の秩序ー無秩序温度(ODT)を有し、
190℃及び2.16kgの重量で80~600g/10分のメルトインデックスを有する、選択的に水素化されたブロックコポリマー。
【請求項2】
前記ブロックコポリマーが、式S-Eのジブロックコポリマーが10重量%未満である式S-E-S、又は、式(S-E
1)のジブロックコポリマーが5~50重量%である式(S-E
1)
nXを有する、請求項1に記載のブロックコポリマー。
【請求項3】
前記ブロックコポリマーが、少なくとも300%の破断点伸びを有する、請求項1に記載のブロックコポリマー。
【請求項4】
前記ブロックコポリマーが、少なくとも4MPaの引張強度を有する、請求項1に記載のブロックコポリマー。
【請求項5】
前記ブロックコポリマーが、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、及びそれらの誘導体及びその誘導体から選択される官能基で官能化される、請求項1に記載のブロックコポリマー。
【請求項6】
請求項1に記載の選択的に水素化されたブロックコポリマー、
0.001~90重量%の添加剤であって、オレフィンポリマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、スチレンポリマー、熱可塑性エラストマー、粘着性付与樹脂、ポリマー伸展油、ワックス、充填剤、潤滑剤、安定剤、エンジニアリング熱可塑性樹脂、及びそれらの混合物から選択される添加剤
を含む組成物。
【請求項7】
玩具、医療機器、フィルム、チュービング、プロファイル、3D印刷物品、シート、コーティング、シート、バンド、ストリップ、成形品、チューブ、フォーム、テープ、布、糸、フィラメント、リボン、繊維、繊維状ウェブ、オーバーモールド自動車部品、浸漬物品、シート成形物品、ホットメルト接着剤、タイ層、ルーフィングシート、膜、タイヤトレッド、及びタイヤ内装から選択され、
射出成型、オーバーモールディング、浸漬、押出、回転成形、スラッシュ成形、繊維紡糸、フィルム製造、3D印刷及び発泡によって形成される、
請求項
6に記載の組成物を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2018年3月23日が出願日である米国仮特許出願第62/647218号からの優先権を主張するものであり、その全ての開示は、全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、水素化されたブロックコポリマー及びそれから作られた物品に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術における従来のスチレンブロックコポリマーは、特定の用途に必要とされるような望ましい機械的特性を示すが、その高い粘度のため、成形、押出、3D印刷、及び繊維紡糸用途などの処理に使用するのは困難である。したがって、これらのブロックコポリマーを低粘度にし、それによってそれらの加工性を改善するために、相当量のポリオレフィン、伸展油、粘着性付与樹脂及びワックス及び/又は他の加工助剤を添加することが一般的な慣例である。しかし、添加剤は、しばしば弾性特性の低下に繋がり、発煙及びダイへの蓄積のような望ましくない加工上の問題を引き起こす。
【0004】
他方、従来のスチレンブロックコポリマーの中に粘度が低く、加工性が向上したものがあっても、それらは必要な機械的性質を示さず、また、成形品及び押出品の製造にも役立たない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、低粘度、改善された弾性特性、及び/又は等方性の機械的特性のバランスがとれたスチレンブロックコポリマーを製造する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、水素化スチレンブロックコポリマーが開示される。選択的に水素化されたブロックコポリマーは、Sブロック及びE又はE1ブロックを有し、一般式S-E-S、(S-E1)nX、又はそれらの混合物を有し、nは2~6の値を有し、Xはカップリング剤残基であり、Sブロックの分子量は4,400~5,600g/molであり、ブロックコポリマーの溶液粘度は80センチポイズ(cP)未満であり、ブロックコポリマー中のポリスチレン含量は25~40重量%であり、ブロックコポリマー中に最大50重量%の一般式S-E又はS-E1のジブロック単位を含み、水素化前に、Sブロックはポリスチレンブロックであり、Eブロックは、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びその混合物からなる群から選択され、18,000~26,000g/molの分子量を有するポリジエンブロックであり、E1ブロックは、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びその混合物からなる群から選択され、9,000~13,000g/molの分子量を有するポリジエンブロックであり、ポリジエンブロックの総ビニル含量は60~85%であり、水素化後に、ブロックコポリマー中のスチレン二重結合の0~10%が還元され、ブロックコポリマー中の共役ジエン二重結合の少なくとも80%が還元される。
【0007】
別の態様では、本開示は、フィルム、3D印刷物品、シート、コーティング、バンド、ストリップ、プロファイル、成形品、チューブ、フォーム、テープ、布、糸、フィラメント、リボン、繊維、及び繊維状ウェブ、並びにタイヤから選択される、前記の組成物から作られた物品に関する。
【0008】
さらに別の態様では、物品は、単独で、又は複数の他の層との積層構造で使用することができる、直接押し出しによって作られる。さらに別の態様では、物品は、射出成型、スラッシュ成形、回転成形、圧縮成形、及び浸漬のいずれかによって製造された透明で柔軟な部品である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の用語は、特に指定のない限り、以下の意味を有するものとする。
【0010】
「ビニル含量」とは、ブタジエンの場合には1,2-付加により、又はイソプレンの場合には1,2-付加及び3,4-付加の両方により重合される共役ジエンの含量を指す。
【0011】
ブロックコポリマーの「ポリスチレン含量」又はPSCは、ブロックコポリマー中の重合スチレンの重量%を指し、全てのポリスチレンブロックの分子量の合計をブロックコポリマーの全体の分子量で除して計算する。PSCは、プロトン核磁気共鳴(NMR)のような任意の適切な方法を用いて測定することができる。
【0012】
「分子量」は、数平均分子量が既知のポリスチレン較正標準を使用してGPCで測定された、検討されているポリマーのg/mol単位のピーク分子量(Mp)を指す。Mpはピーク最大値における標準物質の分子量である。
【0013】
秩序ー無秩序転移温度(ODT)とは、ブロックコポリマーのミクロドメイン構造が消失し始める温度を指す。ODTは、それを超えるとゼロせん断粘度が動的レオロジーによって測定できる温度と規定される。ODT温度は、動的機械分析(DMA)を用いて測定することができ、様々な周波数にわたって温度掃引が行われ、ここでODTは、複素粘度が低周波数において周波数に依存しない単一値に崩れ始める温度として識別される。
【0014】
「メルトインデックス」は、190℃及び2.16kgの重量におけるASTM D1238に従ったポリマーのメルトフローの尺度であり、メルトレオメータ開口部を10分間で通過するポリマーのグラム単位で表される。
【0015】
ASTM D412は、熱可塑性エラストマー及び加硫熱硬化性ゴムの引張特性を測定する試験方法を指す。ダンベル及び直線状切片試験片又はカットリング試験片を用いることができる。試験のために、ダンベルの中心幅が0.1インチで、狭い平行側面を有する中央部の長さが0.5インチのミニDダイを用いて、試験片を切断し、50mm/分の引張速度を用いる。
【0016】
<ブロックコポリマー組成物>:一実施形態において、組成物は、Sブロック及びE又はE1ブロックを有し、一般式S-E-S、(S-E1)nX又はその混合物を有する選択的に水素化されたブロックコポリマーを含む組成物であって、nは2~6、又は2~4、又は2の値を有する。このブロックコポリマーは、線状の連続的なものであってもよく、2~6個のアームを有してカップリングしていてもよい。一実施形態において、式S-E-Sの水素化されたブロックコポリマーは、10重量%未満のS-E式を有するジブロックコポリマーを有し、式(S-E1)nXのブロックコポリマーは、5~40重量%である式(S-E1)式のジブロックコポリマーを有する。
【0017】
水素化に先立ち、ブロックコポリマーのSブロックは、4,400~5,600の任意の分子量を有するポリスチレンブロックであることができる。
【0018】
水素化に先立ち、Eブロック又はE1ブロックは、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びその混合物からなる群から選択されるポリジエンブロックである。一実施形態において、Eブロックは単一のポリジエンブロックである。これらのポリジエンブロックは、18,000~26,000の範囲の分子量を有することができる。E1ブロックは、9,000~13,000の分子量範囲を有するポリジエンブロックである。
【0019】
一実施形態において、線状連続構成のための一般式はS-E-Sであり、ここで、Eブロックは、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びその混合物からなる群から選択され、18,000~26,000の分子量を有するポリジエンブロックである。
【0020】
カップリングされた構成のための一般式は、以下を含む。
【0021】
【0022】
E1ブロックは、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びその混合物からなる群から選択され、9,000~13,000の分子量を有するポリジエンブロックであり、Xはアルコキシシランカップリング残基である。
【0023】
ブロックコポリマーは、少なくとも二官能性であるカップリング剤を用いることによって調製することができる。線状カップリングブロックコポリマーは、最初のSブロック及びEブロックを形成し、次にこのジブロックを二官能性カップリング剤と接触させることによって作られる。放射状ブロックコポリマーは、少なくとも三官能性であるカップリング剤を用いることによって調製することができる。二官能性カップリング剤の例は安息香酸メチルである。放射状ブロックコポリマーを形成するのに有用な他の有用なカップリング剤としては、例えば四塩化ケイ素及びアルコキシシラン、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリイミン、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリ無水物、ポリエステル、ポリハロゲン化物、ジエステル、メトキシシラン、ジビニルベンゼン、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸トリクロリド、グリシドキシトリメトキシシラン、並びにオキシジプロピルビス(トリメトキシシラン)が挙げられる。
【0024】
一実施形態において、カップリング剤は、一般式Rx-Si-(OR’)yのアルコキシシランであり、式中xは0又は1、x+y=3又は4、R及びR’は同一であっても異なっていてもよく、Rはアリール炭化水素基、直鎖アルキル炭化水素基及び分岐アルキル炭化水素基からなる群から選択され、R’は直鎖及び分岐アルキル炭化水素基から選択される。アリール基は、好ましくは6~12個の炭素原子を有する。アルキル基は、好ましくは1~12個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する。溶融条件下では、これらのアルコキシシランカップリング剤は、さらにカップリングして3を超える官能性を得ることができる。トリアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン(「MTMS」)、メチルトリエトキシシラン(「MTES」)、イソブチルトリメトキシシラン(「IBTMO」)及びフェニルトリメトキシシラン(「PhTMO」)が挙げられる。好ましいジアルコキシシランは、ジメチルジメトキシシラン(「DMDMS」)、ジメチルジエトキシシラン(「DMDES」)及びメチルジエトキシシラン(「MDES」)である。
【0025】
<ブロックコポリマーの調製>:前記ブロックコポリマーは、スチレン並びにブタジエン、イソプレン及びその混合物から選択されるジエンのアニオン重合により調製することができる。重合は、スチレンモノマー及びジエンモノマーを、適切な溶媒中で-150℃~300℃、好ましくは0℃~100℃の温度で有機アルカリ金属化合物と接触させることによって達成される。アニオン重合開始剤の例としては、一般式RLinを有する有機リチウム化合物が挙げられ、式中Rは1~20個の炭素原子を有する脂肪族、環状脂肪族、芳香族、又はアルキル置換芳香族炭化水素基であり、nは1~4の値を有する。好ましい開始剤としては、n-ブチルリチウム及びsec-ブチルリチウムが挙げられる。アニオン重合の方法は、参照により本明細書に援用される米国特許第4,039,593号及び米国再発行特許第Re27,145号に見出すことができる。
【0026】
一実施形態では、線状連続ブロックコポリマーは、スチレンを重合して第1のSブロックを形成し、ジエンを添加してEブロックを形成し、次いで追加のスチレンを添加して第2のSブロックを形成することによって作製することができる。
【0027】
別の実施形態では、カップリングブロックコポリマーは、第1のSブロック及びE1ブロックを形成し、次いでこのジブロックを二官能性又は三官能性カップリング剤と接触させることによって作製される。この方法は、式S-E1-Liを有するリビングポリマーと上記で規定されたカップリング剤との間のカップリング反応を含み、ここでLiはリチウムである。
【0028】
存在するリビングポリマーS-E1-Liの量に関して使用されるカップリング剤の量は、カップリングの程度及び所望のカップリングポリマーの特性に大きく依存する。好ましくは、カップリング剤は、リチウム、S-E1-Liのモルあたり0.35~0.7モルのカップリング剤、又はリチウムのモルあたり0.4~0.55モルのカップリング剤、又はもっとも好ましくはリチウムのモルあたり0.45モルのカップリング剤の量で使用される。
【0029】
カップリング反応が行われる温度は広い範囲にわたって変化することができ、しばしば重合温度、例えば0℃~150℃、30℃~100℃、又は55℃~80℃と同じである。
【0030】
カップリング反応は、通常、カップリング剤を、無溶媒又は溶液中で、リビングポリマー溶液と単に混合することによって行われる。反応期間はかなり短くてもよく、反応器内の混合速度、例えば1分~1時間の影響を受ける可能性がある。より低い温度では、より長いカップリング期間が必要になる場合がある。
【0031】
カップリング反応後、連結されたポリマーを回収するか、又はポリマーのジエン部分の選択的水素化に供することができる。水素化は一般に、最終ポリマーの熱安定性、紫外線安定性、酸化安定性、及び耐候性を改善する。
【0032】
<ブロックコポリマーの水素化>:一実施形態において、ブロックコポリマーは、水素化されたブロックコポリマーである。ブロックコポリマーは、参照により援用される米国特許第3,494,942号、同第3,634,594号、同第3,670,054号、同第3,700,633号、同第Re.27,145号に開示されているように、水素化処理を用いて選択的に水素化することができる。共役ポリジエンブロック中の二重結合に選択的であり、ポリスチレンブロック中の芳香族不飽和を実質的にそのまま残す任意の水素化方法を使用して、水素化されたブロックコポリマーを調製することができる。
【0033】
一実施形態において、前記方法は、金属、例えばニッケル又はコバルトを含む触媒又は触媒前駆体、及びアルミニウムアルキルのような適切な還元剤を使用する。また、チタンをベースとする系も有用である。水素化は、20℃~100℃の温度及び100psig(689kPa)~5,000psig(34,473kPa)までの水素分圧において溶媒中で行うことができる。全溶液に基づいて10重量ppm~500重量ppmの鉄族金属の範囲内の触媒濃度が一般的に使用され、60~240分、水素添加条件で接触する。水素化が完了した後、触媒及び触媒残渣をポリマーから分離する。
【0034】
ブロックコポリマーに関連する微細構造は、参照により援用される米国特許第Re27,145号及び米国特許第5,777,031号に開示されているように、ジエンの重合中にジエチルエーテル及びジエトキシプロパンなどの当該技術分野で知られた制御剤を用いて、E及び/又はE1ブロック中の高量のビニルについて制御することができる。
【0035】
共役ジエン二重結合の少なくとも80%が還元され、アレーン二重結合の最大10%が還元されるような条件下で水素化を行うことができる。
【0036】
ブロックコポリマーを、水素化前にE及び/又はE1ブロック中に60~85%のビニルを有するように調製する。
【0037】
ブロックコポリマーのスチレン含量は25重量%~40重量%である。カップリング効率は、一実施形態では50~95%の範囲にあり、第2の実施形態では少なくとも80%である。実施形態では、水素化後に、Sブロック中のスチレン二重結合の0~10パーセントが水素化されている。
【0038】
<ブロックコポリマーの官能化>:いくつかの実施形態において、水素化されたブロックコポリマーは、追加の官能基又は部分を含むように官能化される。ブロックコポリマーにグラフト化される例示的なモノマーには、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、及びそれらの誘導体が含まれる。好適なグラフト化モノマーは無水マレイン酸である。
【0039】
一実施形態において、水素化されたブロックコポリマーは、無水マレイン酸をブロックコポリマーにグラフト化することにより、水素化されたブロックコポリマーをマレイン化される。ブロックコポリマーのマレイン化は、溶融物中、溶液中、あるいは個体状態で行われ得、その方法は連続式でもバッチ式でもよい。過酸化物及びアゾ化合物をはじめとする様々なフリーラジカル開始剤を、マレイン化を促進するために使用することができる。いくつかの実施形態において、ブロックコポリマーは、0.1~10、好ましくは0.2~5重量パーセントのグラフト化モノマーを含む。
【0040】
一実施形態において、水素化スチレンブロックコポリマーは、無水マレイン酸との反応により官能化される。このような官能化ポリマーは、オーバーモールディング、タイ層、接着剤、コーティング用途のような金属又は他の極性ポリマーへの接着が望まれる場合、又は例えばポリアミド又はエポキシ樹脂のような特定のエンジニアリング熱可塑性材料との相溶性において、それらを有用にする追加の極性を有する。
【0041】
<任意の成分>:用途において、ブロックコポリマー組成物は、他のブロックコポリマー、オレフィンポリマー、スチレンポリマー、粘着性付与樹脂、末端ブロック樹脂、エンジニアリング熱可塑性樹脂、及びその混合物と混合することもできる。
【0042】
スチレンポリマーとしては、例えば結晶性ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、中衝撃ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリルコポリマー、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン(ABS)ポリマー、シンジオタクチックポリスチレン及びスチレン/オレフィンコポリマーが挙げられる。他のポリマー例としては、ポリイソブチレンポリマー、好ましくは少なくとも20重量パーセントのコポリマー化スチレンモノマーを含む実質的にランダムなエチレン/スチレン又はプロピレン/スチレンコポリマー、スチレングラフト化ポリプロピレンポリマー、及びスチレン-ジエン-スチレントリブロック、放射状又は星形ブロックポリマー、スチレン-ジエンジブロックポリマー、及びこれらのポリマーの水素化型などの他のブロックコポリマーが挙げられる。
【0043】
エンジニアリング熱可塑性樹脂の例としては、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アリールエーテル)、ポリ(アリールスルホン)、アセタール樹脂、ポリアミド、ニトリル障壁樹脂、ポリ(メチルメタクリレート)、環状オレフィンコポリマー、クマロン-インデン樹脂、ポリインデン樹脂、ポリ(メチルインデン)樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニルトルエン-α-メチルスチレン樹脂、α-メチルスチレン樹脂及びポリフェニレンエーテル、特にポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、並びにその混合物が挙げられる。
【0044】
適切な中間ブロック相溶性樹脂は、C5樹脂((シクロペンタジエン、シクロペンテン、DCPD、ピペリレンなどをベースとする樹脂)、水素化C5樹脂、水素化C5/C9樹脂、水素化C9樹脂、テルペン樹脂、ロジンエステル樹脂、水素化ロジンエステル樹脂又はその組み合わせである。
【0045】
実施形態では、水素化されたブロックコポリマーは、可塑剤としてタイヤトレッド配合物に使用するために、熱可塑性エラストマー又は熱可塑性プラスチックと混合される。
【0046】
実施形態において、任意選択的なポリマーは、オレフィンポリマー、例えば、エチレンホモポリマー、エチレン/α-オレフィンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン/α-オレフィンコポリマー、高衝撃ポリプロピレン、ブチレンホモポリマー、ブチレン/α-オレフィンコポリマー、及び他のα-オレフィンコポリマー又はインターポリマーである。他の実施形態では、ポリマーは、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン/メタクリル酸(EMAA)アイオノマー、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー、エチレン/環状オレフィンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー及びコポリマー、プロピレン/スチレンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリブチレン、エチレン一酸化炭素インターポリマー(例えば、エチレン/一酸化炭素(ECO)コポリマー、エチレン/アクリル酸/一酸化炭素ターポリマーなど)から選択される。
【0047】
<添加剤>:ブロックコポリマー組成物は、該組成物を容易に成形したり、形状又はフィルムに連続的に押し出したり、繊維に紡ぐことを可能にする低い粘度及び高いメルトフローを有するという特徴がある。この特性により、エンドユーザーは、特性を劣化させ、汚染、発煙、さらには鋳型及びダイへの蓄積をひきおこす添加物の使用を回避又は少なくとも制限することができる。水素化されたブロックコポリマーは、そのような低いODT及び高いメルトインデックスを有し、それらは加工助剤を使用せずに物品を調製するために使用できるが、このような助剤及び他の添加剤を使用することが時に望ましい。例としては、ポリマー伸展油、ワックス、充填剤、強化剤、潤滑剤、安定剤、及びその混合物が挙げられる。実施形態において、添加剤は、TiO2、CaCO3、カーボンブラック、又は他の顔料のような選択された1種以上の充填剤である。
【0048】
一実施形態において、水素化されたブロックコポリマーは、0.001~10重量%の鉱油(パラフィン、ナフテン系、又は芳香族)、又は0.001~9重量%、0.001~7.5重量%、及び0.001~5重量%の鉱油と混合される。
【0049】
<ブロックコポリマーの特性>:水素化されたブロックコポリマーの1つの特徴は、それらが低い秩序ー無秩序温度(ODT)を有し、ODTは典型的には230℃未満であることである。230℃を超えるODTの場合、ポリマーを処理することはより困難であるが、ある場合には230℃を超えるODTを用途によっては利用することができ、例えば、ブロックコポリマーを他の成分と組み合わせて加工を改善する場合である。このような他の成分は、熱可塑性ポリマー、油、樹脂、ワックス等であることができる。実施形態では、ODTは150℃~230℃、又は170℃~220℃、又は230℃未満である。
【0050】
一実施形態では、水素化されたブロックコポリマーは、より容易な加工を可能にする高いメルトインデックスを有し、メルトインデックスは、190℃及び2.16kgの重量で80g/10分~600g/10分である。
【0051】
実施形態において、水素化されたブロックコポリマーは、10cPを超える、又は80CP未満、又は15~80cP、又は20~50cPのトルエン溶液粘度(25重量%及び25℃)を有する。
【0052】
実施形態では、水素化されたブロックコポリマーは、少なくとも300%、又は少なくとも450%の破断点伸びを有する。
【0053】
実施形態では、水素化されたブロックコポリマーは、ASTM D412による圧縮成形フィルムで測定される少なくとも4MPa、又は少なくとも6MPa、又は9MPa以下の引張強度を有する。
【0054】
実施形態では、水素化されたブロックコポリマーは、300%までの伸長後の最初の収縮サイクルで35%を超えるヒステリシス回復及び35%未満の永久ひずみを有する。
【0055】
<産業上の利用性>:水素化されたブロックコポリマーは、ニートポリマー又は化合物のいずれかとして、多種多様な用途において有用である。例えば、玩具、医療機器、フィルム、チュービング、プロファイル、3D印刷物品、シート、コーティング、シート、バンド、ストリップ、成形品、チューブ、フォーム、テープ、布、糸、フィラメント、リボン、繊維、複数の繊維及び繊維状ウェブ、自動車部品のオーバーモールディング用途、手袋などの浸漬された物品、シート成形化合物又はトレーのバルク成形化合物のような熱硬化性用途、ホットメルト接着剤、官能化ポリマーのタイ層、アスファルト配合物、ルーフィングシート、ジオメンブレン用途が挙げられる。本物品は、射出成型、オーバーモールディング、浸漬、押出、回転成形、スラッシュ成形、繊維紡糸、フィルム製造、3D印刷及び発泡をはじめとする方法で形成することができる。実施形態では、水素化されたブロックコポリマーは、タイヤトレッド又は内層を作るためにゴム組成物に添加される。
【0056】
実施形態では、水素化されたブロックコポリマーは、乳児用おむつ物品、成人用失禁物品、又は女性用ナプキン物品などの吸着性個人衛生製品の構築のためのウェブ層を作る際に使用するためのものである。メルトブロー成形品のような用途では、前記組成物は、40g/10分を超えるメルトフローレートを有する高フローポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリブテン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、油、100g/10分未満のメルトフローレートを有するスチレンブロックコポリマー、及び/又は中間ブロック樹脂若しくは末端ブロック樹脂という追加成分を含有していてもよい。
【0057】
実施形態では、水素化されたブロックコポリマーは、熱可塑性組成物又は熱可塑性エラストマーの総重量に基づいて、0.1~90重量%、又は0.5~70重量%、又は1~50重量、又は5~35重量%の範囲の量で、熱可塑性組成物又は熱可塑性エラストマーへの添加剤として、例えば可塑剤として使用される。
【0058】
実施形態では、水素化されたブロックコポリマーは、接着剤配合物、例えば、個人衛生構造用接着剤、弾性付属品接着剤、及びホットメルト接着剤に使用するためのものである。配合物は、0~約80重量%のポリ-α-オレフィン、10~約60重量の粘着性付与樹脂、及び10~約50重量%の水素化されたブロックコポリマーなどのブレンドを含むことができる。粘着性付与樹脂の例としては、C5樹脂(シクロペンタジエン、シクロペンテン、DCPD、ピペリレンなどをベースとする樹脂)、水素化C5樹脂、水素化C5/C9樹脂、水素化C9樹脂、テルペン樹脂、ロジンエステル樹脂、水素化ロジンエステル樹脂、又はこれらの組合せが挙げられる
【実施例】
【0059】
本開示を説明するために、以下の実施例を提供する。
【0060】
[実施例1]:微細構造制御剤の存在下で、スチレン、次いでブタジエンのアニオン重合、その後のカップリング、水素化により水素化されたブロックコポリマーを調製する。具体的には、シクロヘキサン6L及びスチレン342gを反応器に仕込むことにより、ジブロックポリマーアニオンS-E1-Liを調製する。反応器温度設定温度は50℃であった。不純物は、色による最初の証拠が得られるまで、少量のs-ブチルリチウムを加えて除去した。シクロヘキサン中のs-ブチルリチウムの約12重量%溶液198ミリリットルを添加し、スチレンを完全に重合させた。この反応で生成したポリスチレンの分子量をGPCで5,300g/molと測定した。1,2-ジエトキシプロパン10mlを加えた後、60℃の温度を保つ速度でブタジエン715gを加えた。ブタジエン重合の終了時に採取した試料は、1H NMR基準でスチレン含量36.5重量%及びビニル含量79%並びにGPCにより測定した約34,000g/molの全体の分子量を有していた。ブタジエンの大部分を重合させた後、MTMSを5.1ml添加し、カップリング反応を60℃で60分間進行させた。2-エチルヘキサノール1.5mlを加えて反応を停止させた。最終生成物は92%というカップリング効率を有し、カップリング種の72%は線状で、残りの28%は3つのアームの放射状であった。
【0061】
ポリマーの試料を、ネオデカン酸コバルト-アルミニウムトリエチル触媒(Al/Co=1.7mol/mol)の溶液の存在下で、少なくとも0.15meq/gの残留オレフィン濃度まで水素化した。水性リン酸で洗浄することによって触媒を除去し、水素化ポリマーに典型的な条件下で、水蒸気ストリッピングによりポリマーを回収した。
【0062】
部分的に水素化されたブロックコポリマーを、組成、溶液粘度、及びODTについて試験した。結果は表1のとおりである。また、水素化されたブロックコポリマーを、機械的特性及びメルトインデックスについても試験した。結果は表2のとおりである。
【0063】
[実施例2]:微細構造制御剤の存在下で、スチレン、次いでブタジエンのアニオン重合、その後のカップリング、水素化により水素化されたブロックコポリマーを調製する。具体的には、シクロヘキサン6L及びスチレン300gを反応器に仕込むことにより、ジブロックポリマーアニオンS-E1-Liを調製する。反応器温度を50℃に上昇させた。不純物は、色による最初の証拠が得られるまで、少量のs-ブチルリチウムを加えて除去した。シクロヘキサン中のs-ブチルリチウムの約12重量%溶液198ミリリットルを添加し、スチレンを60℃で完全に重合させた。この反応で生成したポリスチレンの分子量をGPCで4,900g/molと測定した。1,2-ジエトキシプロパン8mlを加えた後、60℃の温度を保つ速度でブタジエン720gを加えた。ブタジエン重合の終了時に採取した試料は、1H NMR基準でスチレン含量32.4重量%及びビニル含量79%並びに約34,000g/molの全体の分子量を有していた。ブタジエンを重合させた後、DMDMSを4.5ml添加し、カップリング反応を60℃で60分間進行させた。2-エチルヘキサノール1.7mlを加えて反応を停止させた。最終生成物は87%というカップリング効率を有し、カップリング種の100%は線状であった。
【0064】
このポリマーを、ネオデカン酸コバルト-アルミニウムトリエチル触媒(Al/Co=1.7mol/mol)の溶液中のCoの存在下で、少なくとも0.15meq/gの残留オレフィン濃度まで水素化した。水性リン酸で洗浄することによって触媒を除去した。水蒸気ストリッピングによりポリマーを回収した。
【0065】
部分的に水素化されたブロックコポリマーを、ポリマーの組成、溶液粘度、及びODTについて試験した。結果は表1のとおりである。また、水素化されたブロックコポリマーを、機械的特性及びメルトインデックスについても試験した。結果は表2のとおりである。
【0066】
[実施例3]:微細構造制御剤の存在下で、スチレン、次いでブタジエンのアニオン重合、その後のカップリング、水素化により部分的に水素化されたブロックコポリマーを調製する。具体的には、シクロヘキサン6L及びスチレン321gを反応器に仕込むことにより、ジブロックポリマーアニオンS-E1-Liを調製する。反応器温度を50℃に上昇させた。不純物は、色による最初の証拠が得られるまで、少量のs-ブチルリチウムを加えて除去した。シクロヘキサン中のs-ブチルリチウムの約12重量%溶液198ミリリットルの溶液を添加し、スチレンを60℃で完全に重合させた。この反応で生成したポリスチレンの分子量をGPCで4,900g/molと測定した。1,2-ジエトキシプロパン10mlを加えた後、60℃の温度を保つ速度でブタジエン638gを加えた。ブタジエン重合の終了時に採取した試料は、1H NMR基準でスチレン含量35重量%及びビニル含量76%並びに約34,000g/molの全体の分子量を有していた。ブタジエンを重合させた後、DMDMSを3.6ml添加し、カップリング反応を60℃で60分間進行させた。2-エチルヘキサノール2ml、8.5g(1モルのLiあたり0.1モル)を加えて反応を停止させた。最終生成物は76%というカップリング効率を有し、カップリング種の100%は線状であった。
【0067】
ポリマーを、ネオデカン酸コバルト-アルミニウムトリエチル触媒(Al/Co=1.7mol/mol)の溶液中のCoの存在下で、0.15meq/g未満の残留オレフィン濃度まで水素化した。水性リン酸で洗浄することによって触媒を除去し、水蒸気ストリッピングによりポリマーを回収した。部分的に水素化されたブロックコポリマーを、ポリマーの組成、溶液粘度、及びODTについて試験した。結果は表1のとおりである。また、水素化されたブロックコポリマーを、機械的特性及びメルトインデックスについても試験した。結果は表2のとおりである。
【0068】
[実施例4]:微細構造制御剤の存在下で、スチレン、次いでブタジエン、再びスチレンのアニオン重合により部分的に水素化されたブロックコポリマーを調製する。得られたポリマーは29%のポリスチレンを含む線状トリブロックであり、詳細は表1を参照されたい。
【0069】
ポリマーを、ネオデカン酸コバルト-アルミニウムトリエチル触媒(Al/Co=1.7mol/mol)の溶液中のCoの存在下で、0.15meq/g未満の残留オレフィン濃度まで水素化した。水性リン酸で洗浄することによって触媒を除去し、水蒸気ストリッピングによりポリマーを回収した。部分的に水素化されたブロックコポリマーを、ポリマーの組成、溶液粘度、及びODTについて試験した。結果は表1のとおりである。また、水素化されたブロックコポリマーを、機械的特性及びメルトインデックスについても試験した。結果は表2のとおりである。
【0070】
表1は、種々の(実施)例についてのスチレンブロック分子量、ジエンブロック分子量、カップリング効率、ポリスチレン濃度、ビニル濃度、溶液粘度、及びODTを列挙する。ブロックコポリマーをブルックフィールド粘度について試験し、ODTをBohlin VORレオメータを用いて測定した。
【0071】
【0072】
種々の実施例及び比較例についての100%モジュラス、引張強度、破断点伸び及びメルトフローを表2に示す。引張特性は、ASTM D412に従って圧縮成形フィルム試料で測定した。ミニDダイを用いて試験片を切断し、50mm/分の引張速度を用いた。比較例1及び2の部分的に水素化されたブロックコポリマーを調製し、試験した。比較例5は、市販の最低粘度のブロックポリマーの1つと考えられる20重量%のスチレン、高ビニルSEBSブロックコポリマーであり、詳細は表1及び2を参照されたい。しかし、比較例5に対して、実施例1~4は比較例1よりも大幅に粘度が低い。具体的には、表1の溶液粘度及び表2のメルトフローを参照されたい。
【0073】
さらに、比較例5と比較して低分子量であるにもかかわらず、実施例1~4は、妥当なモジュラス、破断点伸び及び引張強度を有している。表2を参照されたい。同様に、比較例6と同様の分子量を有しているが(表1)、実施例1~4は、より高いビニル濃度のために大幅により低い粘度である。ビニルはポリマー鎖を著しく短縮し、そのため粘度を低下させる。ビニルは、一定の分子量の鎖の絡み合いの数を減少させ、引張強度を低下させる。しかし、実施例1~4のポリスチレン濃度は比較例2と同等かそれ以上であるにもかかわらず、ODTは比較例6と比較して実施例1~4で大幅にかつ予想外により低かった。より低いODTは、通常のポリマー処理温度(200~250℃)で加工性(減圧、より高い処理速度など)を改善する。
【0074】