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特許7486435リードターミナルとガスポートターミナルとを組み合わせた電解ガス発生装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】リードターミナルとガスポートターミナルとを組み合わせた電解ガス発生装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20240510BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20240510BHJP
   C25B 9/77 20210101ALI20240510BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B9/23
C25B9/77
【請求項の数】 41
(21)【出願番号】P 2020564179
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019032990
(87)【国際公開番号】W WO2019222704
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】62/672,784
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513000894
【氏名又は名称】ガイナー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュウェンク,メリッサ,エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,サイモン,ジー.
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-011680(JP,A)
【文献】特開平11-036092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0015015(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0040223(US,A1)
【文献】国際公開第2008/044429(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応物を電気分解して少なくとも第1のガスを発生させるための電解ガス発生装置であって、前記電解ガス発生装置は、
(a)対向する第1の面及び第2の面を有するポリマー電解質膜と、
(b)前記ポリマー電解質膜の第1の面に電気的に結合されている第1の電極と、
(c)前記ポリマー電解質膜の第2の面に電気的に結合されている第2の電極と、
(d)前記第1の電極に電気的に結合されており、導電性リードを取り付ける際に使用するための第1の電気伝導性延長部を備え、前記第1の電極で発生したガスを側方方向に運ぶためのガス導管をさらに備える第1の集電体と、
(e)前記第2の電極に電気的に結合されている第2の集電体と、
(f)電流源と、
(g)前記第1の集電体を前記電流源に電気的に結合する第1の導電性リードであって、前記第1の電気伝導性延長部に固定された第1の端部を備える第1の導電性リードと、
(h)前記第2の集電体を前記電流源に電気的に結合する第2の導電性リードと、
を備える、電解ガス発生装置。
【請求項2】
前記電解ガス発生装置は水電解槽である、請求項1に記載の電解ガス発生装置。
【請求項3】
前記ガス導管の少なくとも一部は、前記第1の電気伝導性延長部の少なくとも一部を通過する、請求項1に記載の電解ガス発生装置。
【請求項4】
前記ガス導管の少なくとも一部は、前記第1の電気伝導性延長部の全体を通過する、請求項3に記載の電解ガス発生装置。
【請求項5】
前記第1の集電体は、上部部材と下部部材とを備え、前記上部部材と前記下部部材とは、互いに結合され、前記ガス導管を共に画定する、請求項1に記載の電解ガス発生装置。
【請求項6】
前記第1の集電体は、上部部材と下部部材とを備え、前記上部部材と前記下部部材とは、互いに結合され、前記ガス導管及び前記第1の電気伝導性延長部を共に画定する、請求項1に記載の電解ガス発生装置。
【請求項7】
前記ガス導管は、前記上部部材及び前記下部部材のうちの少なくとも一方における1つ以上のエッチングによって形成される、請求項に記載の電解ガス発生装置。
【請求項8】
前記ガス導管は、前記上部部材及び前記下部部材の双方における1つ以上のエッチングによって形成される、請求項7に記載の電解ガス発生装置。
【請求項9】
前記ガス導管は、前記下部部材の貫通孔と前記上部部材上の細長い凹部とによって形成され、前記細長い凹部は、前記下部部材の貫通孔と整合した第1の端部と、前記上部部材の周囲の第2の端部とを有する、請求項7に記載の電解ガス発生装置。
【請求項10】
前記上部部材及び前記下部部材の双方は電気伝導性である、請求項5に記載の電解ガス発生装置。
【請求項11】
前記下部部材は電気伝導性であり、前記上部部材は非電気伝導性である、請求項5に記載の電解ガス発生装置。
【請求項12】
前記第1の集電体は、導電性リードを取り付ける際に用いるための第2の電気伝導性延長部をさらに備える、請求項1に記載の電解ガス発生装置。
【請求項13】
前記第1の電気伝導性延長部と前記第2の電気伝導性延長部とは、互いに約180度離隔されている、請求項12に記載の電解ガス発生装置。
【請求項14】
前記第1の電気伝導性延長部は、近位部分と、前記近位部分の幅よりも小さい幅を有する遠位部分とを有する、請求項1に記載の電解ガス発生装置。
【請求項15】
前記第1の電気伝導性延長部は、略均一な幅を有する、請求項1に記載の電解ガス発生装置。
【請求項16】
前記第2の集電体は、導電性リードを取り付ける際に用いるための第1の電気伝導性延長部を備え、前記第2の集電体は、前記第2の電極で発生したガスを側方方向に運ぶためのガス導管をさらに備える、請求項1に記載の電解ガス発生装置。
【請求項17】
前記第2の集電体のガス導管の少なくとも一部は、前記第2の集電体の第1の電気伝導性延長部の少なくとも一部を通過する、請求項16に記載の電解ガス発生装置。
【請求項18】
前記第2の集電体は、上部部材と下部部材とを備え、前記上部部材と前記下部部材とは、互いに結合され、前記第2の集電体のガス導管を共に画定する、請求項16に記載の電解ガス発生装置。
【請求項19】
前記第2の集電体は、上部部材と下部部材とを備え、前記上部部材と前記下部部材とは、互いに結合され、前記第2の集電体のガス導管及び前記第2の集電体の第1の電気伝導性延長部を共に画定する、請求項16に記載の電解ガス発生装置。
【請求項20】
前記第1の電極と前記第1の集電体との間に挿入されたダイアフラムをさらに備え、前記ダイアフラムは、電気伝導性であり、前記ダイアフラムが平面でかつ前記第1の集電体を前記第1の電極に電気的に結合する第1の状態と、前記第1の集電体が前記第1の電極から少なくとも部分的に切断されるように前記ダイアフラムが前記第1の電極から離れるよう膨張する第2の状態との間で可逆的に変形可能である、請求項1に記載の電解ガス発生装置。
【請求項21】
前記ダイアフラムは、前記第1の電極で発生したガスを通過させるための開口を有する、請求項20に記載の電解ガス発生装置。
【請求項22】
反応物を電気分解して少なくとも第1のガスを発生させるための電解ガス発生装置であって、前記電解ガス発生装置は、
(a)対向する第1の面及び第2の面を有するポリマー電解質膜と、
(b)前記ポリマー電解質膜の第1の面に電気的に結合されている第1の電極と、
(c)前記ポリマー電解質膜の第2の面に電気的に結合されている第2の電極と、
(d)第1の集電体アセンブリであって、
導電性リードを取り付ける際に使用するための第1の電気伝導性延長部を備え、前記第1の電極で発生したガスを側方方向に運ぶためのガス導管をさらに備える第1の集電体と、
非電気伝導性であるフレームと、
ダイアフラムであって、前記第1の集電体と前記フレームとの間に固定され、電気伝導性であり、前記ダイアフラムが平面でかつ前記第1の集電体が前記第1の電極に電気的に結合されている第1の状態と、前記第1の集電体が前記第1の電極から少なくとも部分的に電気的に切断されるように前記ダイアフラムが前記第1の電極から離れるよう膨張する第2の状態との間で可逆的に変形可能である、ダイアフラムと、
を備える第1の集電体アセンブリと、
(e)電気伝導性であり、前記第2の電極に電気的に結合されている第2の集電体と、
(f)電流源と、
(g)前記第1の集電体を前記電流源に電気的に結合する第1の導電性リードであって、前記第1の電気伝導性延長部に固定された第1の端部を備える第1の導電性リードと、
(h)前記第2の集電体を前記電流源に電気的に結合する、第2の導電性リードと、
を備える電解ガス発生装置。
【請求項23】
前記ダイアフラムは、前記第1の電極で発生したガスを通過させるための開口を有する、請求項22に記載の電解ガス発生装置。
【請求項24】
前記第1の集電体は環状部分をさらに備え、前記第1の電気伝導性延長部は前記環状部分から半径方向外方に延在する、請求項23に記載の電解ガス発生装置。
【請求項25】
前記第1の集電体の環状部分は、その下面の環状凹部を備え、前記環状凹部内には前記ガス導管への入口が配置されており、前記ダイアフラムの開口は、前記第1の集電体の環状凹部と整合されている、請求項24に記載の電解ガス発生装置。
【請求項26】
前記フレームは環状であり、前記フレームはその上面に環状凹部を備え、前記フレームは開口を有し、前記フレームの開口は前記フレームの環状凹部内に配置されており、前記フレームの環状凹部は、前記ダイアフラムの開口と整合されている、請求項25に記載の電解ガス発生装置。
【請求項27】
前記第1の集電体は、上部部材と下部部材とを備え、前記上部部材と前記下部部材とは、互いに結合され、前記ガス導管を共に画定する、請求項26に記載の電解ガス発生装置。
【請求項28】
前記第1の集電体は、上部部材と下部部材とを備え、前記上部部材と前記下部部材とは、互いに結合され、前記ガス導管及び前記第1の電気伝導性延長部を共に画定する、請求項26に記載の電解ガス発生装置。
【請求項29】
前記第1の集電体アセンブリと係合して、前記ダイアフラムを前記ダイアフラムが平面である前記第1の状態に向けて付勢する弾性圧縮可能部材をさらに備える、請求項22に記載の電解ガス発生装置。
【請求項30】
電解ガス発生装置で用いるための集電体であって、前記集電体は、
(a)電気伝導性である本体と、
(b)前記本体から側方方向に延在し、前記本体に電気的に結合された電気伝導性の表面を備える延長部と、
を備え、
(c)前記本体と前記延長部とは、前記本体に第1の端部を有し、前記延長部に第2の端部を有するガス導管を共に画定する、
集電体。
【請求項31】
前記本体は円盤状であり、前記延長部は前記本体から半径方向に延在する、請求項30に記載の集電体。
【請求項32】
前記ガス導管の第1の端部は、前記本体を貫通する貫通孔で終了する、請求項30に記載の集電体。
【請求項33】
前記ガス導管の第1の端部は、前記本体の表面の開口部で終了する、請求項30に記載の集電体。
【請求項34】
前記ガス導管の第2の端部は、前記延長部の遠位端に配置されている、請求項31に記載の集電体。
【請求項35】
前記ガス導管の第2の端部は、前記延長部の遠位端から近位方向に一定距離離隔されている、請求項31に記載の集電体。
【請求項36】
前記本体は環状であり、前記延長部は前記本体から半径方向に延在する、請求項30に記載の集電体。
【請求項37】
前記本体及び前記延長部は上部部材下部部材とを接合することによって形成され、前記上部部材と前記下部部材とは、互いに結合され、前記ガス導管を共に画定する、請求項30に記載の集電体。
【請求項38】
前記本体及び前記延長部は、前記上部部材と前記下部部材とを接合することによって形成され、前記上部部材と前記下部部材とは、互いに結合され、前記ガス導管及び前記延長部を共に画定する、請求項30に記載の集電体。
【請求項39】
前記ガス導管は、前記上部部材及び前記下部部材のうちの少なくとも一方における1つ以上のエッチングによって形成される、請求項38に記載の集電体。
【請求項40】
前記ガス導管は、前記上部部材及び前記下部部材の双方における1つ以上のエッチングによって形成される、請求項39に記載の集電体。
【請求項41】
前記本体は、水蒸気を通過させるための1つ以上の細孔をさらに含む、請求項30に記載の集電体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2018年5月17日出願の発明者Melissa N.Schwenkらの米国仮特許出願第62/672,784号の優先権を主張するものであり、この仮出願の開示は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府が後援する研究又は開発
本発明は、国立衛生研究所によって授与されたR44 DK100999及びR43 DK113536の下で政府の支援を受けてなされたものである。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、概して電解ガス発生装置に関するものであり、より具体的には、新規な電解ガス発生装置、並びに電解ガス発生装置に用いるための電気リードターミナル(電気リード端部)及びガスポートターミナル(ガスポート端部)の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0004】
使用場所において1種以上のガスを制御して発生させることは、多くの産業及び医療用途にとって重要である。電気分解は、このようなガスを発生させるための一般的な手法であり、通常、電流を用いて原料(多くの場合、低コストで安定した反応物)を有用な商品(多くの場合、高コスト又は不安定な生成物)に変換することを伴う。電気分解は、その高いプロセス効率、その生成物選択性、及び印加電流を制御することによって生成速度を制御するその固有の能力により、生成技術として好まれている。電気分解を用いて1種以上のガスを発生するように設計された装置は、電解ガス発生装置と呼ばれることもある。例えば、水素生成用の電解ガス発生装置は、分析実験室において、ガスクロマトグラフのキャリアガス及び検出器ガスとして用いるための高純度水素をオンデマンドで供給するために頻繁に用いられている。酸素生成用の電解ガス発生装置は、例えば、皮膚の傷にin situで酸素を生成して、重度の火傷や糖尿病性潰瘍の治癒過程を改善するために用いられてきた。このような電解ガス発生装置は、通常、性能及び安全性を管理するためにいくつかの基本的なシステムの構成要素を必要とし、これらの基本的なシステムの構成要素には、一般に、電流制御(例えば、発生速度及び電圧効率を維持するための直流(DC)電源)、下流圧力及びガス純度の監視(例えば、プロセス及び環境の安全性のためのもの)、及び流体管理(例えば、水反応物供給ポンプ及び気液分離ユニット)が含まれる。しかしながら、理解できるように、このような構成要素は、システム全体のサイズ、コスト、及び複雑さを増大させ、システム全体の維持をより困難にする可能性がある。また、水素及び酸素は電解ガス発生装置によって生成されるより一般的なガスのうちの2つであるが、電解ガス発生装置は、二酸化炭素、塩素、オゾン、過酸化水素、二酸化塩素、酸化窒素、二酸化硫黄、硫化水素、一酸化炭素、アンモニア、塩化水素、臭化水素、及びシアン化水素などの、しかしこれらに限定されない他のガスを生成するために用いることもできる。
【0005】
in situでのガス発生の新たな医療用途は、皮膚の下に位置するか、又は皮下インプラント装置の一部として含まれる細胞及び/又は組織へのガス状酸素の供給におけるものである。皮下インプラント装置は、様々な疾患、障害、及び/又は症状の治療のために、治療薬を必要とする患者への治療薬のin situでの発生及び散布のための有用な器具である。典型的には、そのようなインプラント装置は、適切なインプラント可能な容器内にカプセル化された細胞及び/又は組織を含む。インプラント可能な容器は、典型的には、細胞及び/又は組織が所望の治療薬を生成できるようにし、同時に免疫反応を抑えながら、生成された治療薬を患者に散布することができるように設計されている。理解できるように、必須ガス(例えば、酸素)及び栄養素のインプラント装置への送達は、インプラント装置内に含まれている細胞及び/又は組織の生存性及び機能にとって重要である。
【0006】
2002年4月9日に発行され、参照により全体として本明細書に組み込まれる、発明者Coltonらの特許文献1には、水を電気分解することによって細胞に酸素を送達する方法が開示されている。特許文献1によれば、水を酸素と水素に電気分解する酸素発生装置で酸素を生成することによって、酸素は、インビトロ又はインビボで細胞に供給される。アノード層とカソード層とによって挟まれたプロトン交換膜を有する多層電解装置シート(multilayer electrolyzer sheet)を用いて、実質的に遊離水素を発生することなく、酸素を発生させることができる。酸素発生装置は、培養プレート、培養フラスコ、マイクロタイタープレート又は体外回路によって含まれている細胞、又は選択した構成要素のチャンバへの出入りを可能にする半透過性バリア層で囲まれた免疫隔離チャンバなどの体内にインプラントするためのカプセル化チャンバ内の細胞に酸素を供給するために用いることができる。それらの細胞と共に生物活性分子が存在する場合がある。腹腔内空間の細胞含有マイクロカプセルの近くに酸素発生装置をインプラントすることによって、又は細胞を含む免疫隔離チャンバの近くに酸素発生装置を含むシステムをインプラントすることによって、酸素を体内の細胞にin situで送達することができる。酸素発生装置は、電流制御回路及び電源に接続され得る。
【0007】
2019年3月19日に発行され、参照により全体として本明細書に組み込まれる、発明者Tempelmanらの特許文献2には、細胞インプラントのガス処理のためのシステムが開示されている。特許文献2によれば、このシステムは、ヒト向け又は動物向けの薬物に用いるための細胞インプラント、特に細胞密度の高い細胞インプラントの生存性及び機能を強化する。このシステムは、インプラント全体のサイズを最小に抑えながら、インプラント可能な免疫隔離された細胞収容サブシステム内の細胞に酸素及び/又は水素を継続的に供給して、高い細胞密度での細胞の生存性及び機能を助ける小型の電気化学ガス発生装置サブシステムを使用している。細胞収容サブシステムは、インプラント可能な細胞収容サブシステム内において多孔質管又はガスのみを透過可能な内部ガスコンパートメントを介したガスの送達を可能にする機能を装備している。さらに、ガス発生装置サブシステムは、インプラントされたときに電気分解のための水へのアクセスを可能にし、それによりガス発生装置サブシステムを長期にわたるインプラント性を促す構成要素を含む。このシステムの用途は、バイオ人工膵臓と見なされる、I型糖尿病(T1D)治療用の膵島(又は膵島類似体)インプラントである。
【0008】
皮下インプラント装置で従来使用されている種類の電解ガス発生装置に関して本発明者によって特定された1つの不都合は、多くのそのような電解ガス発生装置が、発生したガスを軸方向に、すなわち電解ガス発生装置の長手軸に沿って運ぶように構成されていることである。この種類の構造は、皮下インプラント装置全体の厚さを増大させる可能性があるため、不利になる可能性がある。容易に理解できるように、多くの場合において、皮下インプラント装置の厚さを最小化することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第6,368,592B1号
【文献】米国特許第10,231,817B2号
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、新規な電解ガス発生装置を提供することにある。
【0011】
本発明の一態様によれば、反応物を電気分解して少なくとも第1のガスを発生させるための電解ガス発生装置が提供される。電解ガス発生装置は、(a)対向する第1の面及び第2の面を有するポリマー電解質膜と、(b)ポリマー電解質膜の第1の面に電気的に結合されている第1の電極と、(c)ポリマー電解質膜の第2の面に電気的に結合されている第2の電極と、(d)第1の電極に電気的に結合されており、導電性リードを取り付ける際に使用するための第1の電気伝導性延長部を備え、第1の電極で発生したガスを側方方向に運ぶためのガス導管をさらに備える第1の集電体と、(e)第2の電極に電気的に結合されている第2の集電体と、(f)電流源と、(g)第1の集電体を電流源に電気的に結合する第1の導電性リードであって、第1の電気伝導性延長部に固定された第1の端部を備える第1の導電性リードと、(h)第2の集電体を電流源に電気的に結合する第2の導電性リードと、を備える。
【0012】
本発明のより詳細な特徴において、電解ガス発生装置は、水電解槽であってもよい。
【0013】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管の少なくとも一部は、第1の電気伝導性延長部の少なくとも一部を通過し得る。
【0014】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管の少なくとも一部は、第1の電気伝導性延長部の全体を通過し得る。
【0015】
本発明のより詳細な特徴において、第1の集電体は上部部材と下部部材とを備え、上部部材と下部部材とは、互いに結合され、ガス導管を共に画定し得る。
【0016】
本発明のより詳細な特徴において、第1の集電体は上部部材と下部部材とを備え、上部部材と下部部材とは、互いに結合され、ガス導管及び第1の電気伝導性延長部を共に画定し得る。
【0017】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管は、上部部材及び下部部材の少なくとも一方における1つ以上のエッチングによって形成され得る。
【0018】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管は、上部部材及び下部部材の双方における1つ以上のエッチングによって形成され得る。
【0019】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管は、下部部材の貫通孔と上部部材上の細長い凹部とによって形成され得、細長い凹部は、下部部材の貫通孔と整合した第1の端部と、上部部材の周囲の第2の端部とを有し得る。
【0020】
本発明のより詳細な特徴において、上部部材及び下部部材の双方が電気伝導性であってもよい。
【0021】
本発明のより詳細な特徴において、下部部材は電気伝導性であってもよく、上部部材は非電気伝導性であってもよい。
【0022】
本発明のより詳細な特徴において、第1の集電体は、導電性リードを取り付ける際に用いるための第2の電気伝導性延長部をさらに備え得る。
【0023】
本発明のより詳細な特徴において、第1の電気伝導性延長部と第2の電気伝導性延長部とは、互いに約180度離隔され得る。
【0024】
本発明のより詳細な特徴において、第1の電気伝導性延長部は、比較的幅の広い近位部分と比較的幅の狭い遠位部分とを有し得る。
【0025】
本発明のより詳細な特徴において、第1の電気伝導性延長部は、略均一な幅を有し得る。
【0026】
本発明のより詳細な特徴において、第2の集電体は、導電性リードを取り付ける際に用いるための第1の電気伝導性延長部を備え、第2の集電体は、第2の電極で発生したガスを側方方向に運ぶためのガス導管をさらに備え得る。
【0027】
本発明のより詳細な特徴において、第2の集電体のガス導管の少なくとも一部は、第2の集電体の第2の電気伝導性延長部の少なくとも一部を通過し得る。
【0028】
本発明のより詳細な特徴において、第2の集電体は上部部材と下部部材とを備え、上部部材と下部部材とは、互いに結合され、第2の集電体のガス導管を共に画定し得る。
【0029】
本発明のより詳細な特徴において、第2の集電体は上部部材と下部部材とを備え、上部部材と下部部材とは、互いに結合され、第2の集電体のガス導管及び第2の集電体の第1の電気伝導性延長部を共に画定し得る。
【0030】
本発明のより詳細な特徴において、電解ガス発生装置は、第1の電極と第1の集電体との間に挿入されたダイアフラムをさらに備えることができ、ダイアフラムは、電気伝導性であり、ダイアフラムが第1の集電体を第1の電極に電気的に結合する第1の状態と、第1の集電体が第1の電極から少なくとも部分的に切断される第2の状態との間で可逆的に変形可能であり得る。
【0031】
本発明のより詳細な特徴において、ダイアフラムは、第1の電極で発生したガスを通過させるための開口を有することができ、開口は第1の電極と電気的に接触しない位置でダイアフラムの周囲に近接して配置され得る。
【0032】
本発明の別の態様によれば、反応物を電気分解して少なくとも第1のガスを発生させるための電解ガス発生装置が提供される。電解ガス発生装置は、(a)対向する第1の面及び第2の面を有するポリマー電解質膜と、(b)ポリマー電解質膜の第1の面に電気的に結合されている第1の電極と、(c)ポリマー電解質膜の第2の面に電気的に結合されている第2の電極と、(d)第1の集電体アセンブリであって、(i)導電性リードを取り付ける際に使用するための第1の電気伝導性延長部を備え、第1の電極で発生したガスを側方方向に運ぶためのガス導管をさらに備える第1の集電体と、(ii)非電気伝導性であるフレームと、(iii)第1の集電体とフレームとの間に固定され、電気伝導性であり、第1の集電体が第1の電極に電気的に結合されている第1の状態と、第1の集電体が第1の電極から少なくとも部分的に電気的に切断されている第2の状態との間で可逆的に変形可能であるダイアフラムと、を備える第1の集電体アセンブリと、(e)電気伝導性であり、第2の電極に電気的に結合されている第2の集電体と、(f)電流源と、(g)第1の集電体を電流源に電気的に結合する第1の導電性リードであって、第1の電気伝導性延長部に固定された第1の端部を備える第1の導電性リードと、(h)第2の集電体を電流源に電気的に結合する第2の導電性リードと、を備える。
【0033】
本発明のより詳細な特徴において、ダイアフラムは、第1の電極で発生したガスを通過させるための開口を有することができ、開口は第1の電極と電気的に接触しない位置でダイアフラムの周囲に近接して配置され得る。
【0034】
本発明のより詳細な特徴において、第1の集電体は環状部分をさらに備えることができ、第1の電気伝導性延長部は、環状部分から半径方向外方に延在し得る。
【0035】
本発明のより詳細な特徴において、第1の集電体の環状部分は、その下面の環状凹部を備えることができ、環状凹部内にはガス導管への入口が配置され得、ダイアフラムの開口は、第1の集電体の環状凹部と整合され得る。
【0036】
本発明のより詳細な特徴において、フレームは環状であり、フレームはその上面に環状凹部を備え得、フレームは開口を有することができ、フレームの開口はフレームの環状凹部内に配置され得、フレームの環状凹部は、ダイアフラムの開口と整合され得る。
【0037】
本発明のより詳細な特徴において、第1の集電体は上部部材と下部部材とを備え、上部部材と下部部材とは、互いに結合され、ガス導管を共に画定し得る。
【0038】
本発明のより詳細な特徴において、第1の集電体は上部部材と下部部材とを備え、上部部材と下部部材とは、互いに結合され、ガス導管及び第1の電気伝導性延長部を共に画定し得る。
【0039】
本発明のより詳細な特徴において、電解ガス発生装置は、第1の集電体と係合して、第1の集電体を第1の状態に向けて付勢する弾性圧縮可能部材をさらに備え得る。
【0040】
本発明の別の目的は新規な集電体を提供することにある。
【0041】
本発明の一態様によれば、電解ガス発生装置で用いるための集電体が提供され、集電体は、(a)電気伝導性の本体と、(b)本体から側方方向に延在し、本体に電気的に結合された電気伝導性の表面を備える延長部と、を備え、(c)本体と延長部とが、本体内に第1の端部を有し、かつ延長部内に第2の端部を有するガス導管を共に画定する。
【0042】
本発明のより詳細な特徴において、本体は円盤状とすることができ、延長部は本体から半径方向に延在し得る。
【0043】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管の第1の端部は、本体の貫通孔で終了し得る。
【0044】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管の第1の端部は、本体の下面の開口部で終了し得る。
【0045】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管の第2の端部は、延長部の遠位端に配置され得る。
【0046】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管の第2の端部は、延長部の遠位端から近位方向に一定距離離隔されていてもよい。
【0047】
本発明のより詳細な特徴において、本体は環状とすることができ、延長部は本体から半径方向に延在し得る。
【0048】
本発明のより詳細な特徴において、本体及び延長部は、上部部材と下部部材とを接合することによって形成され得、上部部材と下部部材とは、互いに結合され、ガス導管を共に画定し得る。
【0049】
本発明のより詳細な特徴において、本体及び延長部は、上部部材と下部部材とを接合することによって形成され得、上部部材と下部部材とは、互いに結合され、ガス導管及び延長部を共に画定し得る。
【0050】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管は、上部部材及び下部部材の少なくとも一方における1つ以上のエッチングによって形成され得る。
【0051】
本発明のより詳細な特徴において、ガス導管は、上部部材及び下部部材の双方における1つ以上のエッチングによって形成され得る。
【0052】
本発明のより詳細な特徴において、本体は、1つ以上の細孔をさらに含み得る。
【0053】
本明細書及び特許請求の範囲では、本発明を所定の向きに配置したか、又は所定の向きから見た場合の当該発明を説明するために、「上」、「下」、「近位」、「遠位」、「上側」、「下側」、「前」、及び「後」などの様々な関係語を用いることがある。本発明の向きを変えることにより、それに応じて特定の関係語を調整する必要がある可能性があることを理解されたい。
【0054】
本発明の追加の目的、並びに態様、特徴及び利点は、一部は以下の説明に記載されており、また一部は説明から明らかであるか、又は本発明の実施によって学習され得る。説明では、その一部をなし、本発明を実施するための様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。実施形態は、当業者が本発明を実施可能なように十分に詳細に説明され、また他の実施形態を用いてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、構造上の変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって最もよく定義される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の様々な実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。これらの図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、説明のために、特定の構成要素の寸法が過度に小さかったり大きかったりする場合がある。図面では、同様の符号は同様の部品を表す。
【0056】
図1】本発明の教示に従って構成された電解ガス発生装置の第1の実施形態の上面斜視図である。
図2図1の電解ガス発生装置の下面斜視図である。
図3図1の電解ガス発生装置の部分分解斜視図であり、他の場合には見えないアノード集電体及びカソード集電体の特定の特徴が想像線で示されている。
図4(a)】図3に示す膜電極アセンブリの上面斜視図である。
図4(b)】図3に示す膜電極アセンブリの下面斜視図である。
図5(a)】図1に示すアノード集電体アセンブリの上面斜視図である。
図5(b)】図1に示すアノード集電体アセンブリの下面斜視図である。
図6(a)】図5(a)に示すアノード集電体の拡大下面斜視図である。
図6(b)】図5(a)に示すアノード集電体の断面図である。
図7図6(a)に示すアノード集電体の上部部材の下面斜視図である。
図8図6(a)に示すアノード集電体の下部部材の上面斜視図である。
図9(a)】図1に示すカソード集電体アセンブリの上面斜視図である。
図9(b)】図1に示すカソード集電体アセンブリの下面斜視図である。
図10(a)】図9(a)に示すカソード集電体の拡大上面斜視図である。
図10(b)】図9(a)に示すカソード集電体の断面図である。
図11図10(a)に示すカソード集電体の上部部材の下面斜視図である。
図12図10(a)に示すカソード集電体の下部部材の上面斜視図である。
図13(a)】図6(a)に示すアノード集電体とは別のアノード集電体の実施形態の上面斜視図である。
図13(b)】図6(a)に示すアノード集電体とは別のアノード集電体の実施形態の下面斜視図である。
図14図13(a)に示すアノード集電体の下部部材の上面図である。
図15図13(a)に示すアノード集電体の上部部材の下面図である。
図16(a)】図10(a)に示すカソード集電体とは別のカソード集電体の実施形態の上面斜視図である。
図16(b)】図10(a)に示すカソード集電体とは別のカソード集電体の実施形態の下面斜視図である。
図17図16(a)に示すカソード集電体の下部部材の上面図である。
図18図16(a)に示すカソード集電体の上部部材の上面図である。
図19】本発明の教示に従って構成された電解ガス発生装置の第2の実施形態の上面斜視図である。
図20図19の電解ガス発生装置の下面斜視図である。
図21図19の電解ガス発生装置の部分分解斜視図であり、他の場合には見えないアノード集電体及びカソード集電体の特定の特徴が想像線で示されている。
図22図21に示すアノード支持アセンブリの拡大斜視図である。
図23】線22-22に沿って得られた図22のアノード支持アセンブリの断面図である。
図24図21に示すアノード集電体アセンブリの上面斜視図である。
図25】線24-24に沿って得られた図24のアノード集電体アセンブリの断面図である。
図26(a)】図24に示すアノード集電体アセンブリの部分分解上面斜視図である。
図26(b)】図24に示すアノード集電体アセンブリの部分分解下面斜視図である。
図27(a)】図24に示すアノード集電体の上面斜視図である。
図27(b)】図24に示すアノード集電体の下面斜視図である。
図27(c)】図24に示すアノード集電体の断面図である。
図28図24に示すアノード集電体の上部部材の下面斜視図である。
図29(a)】図24に示すアノード集電体の下部部材の上面斜視図である。
図29(b)】図24に示すアノード集電体の下部部材の下面斜視図である。
図30図24に示すアノード集電体のフレームの上面斜視図である。
図31(a)】図21に示すカソード集電体の上面斜視図である。
図31(b)】図21に示すカソード集電体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、一部では新規の電解ガス発生装置に関し、また一部では電解ガス発生装置に用いるための電気リードターミナルとガスポートターミナルとの組み合わせに関する。
【0058】
一実施形態によれば、本発明は、エンドプレート上のねじ込み継手の必要性を排除する薄型の電解ガス発生装置のインプラントを可能にする。本発明の好ましい態様によれば、ガスを捕捉し、そのガスを内側空間を通して側方方向に送るターミナルが提供され、ターミナルは、目的地に直接接続されるか、又はガスを他の場所に送るためにターミナルに取り付けられた管を有することができる。本発明は、インプラント可能な装置に限定されるものではなく、水平方向の空間が限られているか、又はシステムの簡素化が望まれる任意のシステムに適用することができる。
【0059】
本発明の1つの特徴によれば、ガスを運び、電流を流すための装置が提供される。装置は、電気伝導性材料の内側空間を通るガスの流路を備える。電気伝導性材料は、用途に応じて、様々な形状にエッチングされるか、又は他の方法で形成されることが可能であり、内側空間の形状は、所望の末端に応じて変更され得る。
【0060】
ここで図1図3を参照すると、電解ガス発生装置の第1の実施形態の様々な図が示されている。電解ガス発生装置は、本発明の教示に従って構築されており、全体を符号11によって表されている。本出願の他の箇所で議論されているか、又は本発明の理解に重要ではない電解ガス発生装置11の詳細は、図1図3の1つ以上から、若しくは本明細書の付随する説明から省略されたり、又は簡略化された形で、図1図3の1つ以上に示されたり、かつ/若しくは本明細書に記載されたりする場合がある。例えば、電解ガス発生装置11を動作させるために用いることができるバッテリなどの電流源は、図1図3には示されていない。
【0061】
電解ガス発生装置11は、水電解槽の形態であってもよく、特にインプラント可能な水電解槽の形態であってもよい。電解ガス発生装置11は、膜電極アセンブリ(membrane electrode assembly:MEA)13、アノード支持体15、カソード支持体17、アノード集電体アセンブリ19、及びカソード集電体アセンブリ21を備え得る。
【0062】
図4(a)及び図4(b)にも個別に示した膜電極アセンブリ13は、固体ポリマー電解質膜(PEM)23を備え得る。ポリマー電解質膜23は、好ましくは、非多孔質であり、イオン伝導性であり、非電気伝導性であり、液体透過性であり、かつ実質的にガス不透過性の膜である。ポリマー電解質膜23は、均質なパーフルオロスルホン酸(perfluorosulfonic acid:PFSA)ポリマーからなるか、又はそれを含み得る。当該PFSAポリマーは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロビニルエーテルスルホン酸との共重合によって形成され得る。例えば、1966年11月1日に発行された発明者Connollyらの米国特許第3,282,875号、1984年9月11日に発行された発明者Ezzellらの米国特許第4,470,889号、1984年10月23日に発行された発明者Ezzellらの米国特許第4,478,695号、及び2002年12月10日に発行された発明者Cisarの米国特許第6,492,431号を参照されたい。これらの特許文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。PFSAポリマー電解質膜の商業的実施形態は、The Chemours Company FC,LLC(ノースカロライナ州ファイエットビル)によって、NAFION(商標)押出キャストPFSAポリマー膜として製造されている。
【0063】
ポリマー電解質膜23は、連続したフィルム又はシートの形態である略平面の単一構造とすることができる。本実施形態では、上又は下から見た場合、ポリマー電解質膜23は、略円形を有し得る。また、電解ガス発生装置11の全体形状は、上又は下から見た場合、ポリマー電解質膜23の形状に略一致し得る。しかしながら、ポリマー電解質膜23、及び電解ガス発生装置11は、全体として、略円形に限定されるものではなく、略矩形又は他の適切な形状を有してもよいことが理解されるべきである。
【0064】
膜電極アセンブリ13は、アノード電極触媒層25及びカソード電極触媒層27をさらに備え得る。アノード電極触媒層25は、ポリマー電解質膜23と直接接触させて配置することができ、本実施形態では、ポリマー電解質膜23の上面の一部に対して中心に、かつ真上に、接触して配置されるように示されている。アノード電極触媒層25は、電解ガス発生装置11のアノードの電気化学的に活性な領域を画定し、好ましくは、高反応率の表面酸化反応を維持するのに十分に、多孔質であり、電気伝導性であり、イオン伝導性である。アノード電極触媒層25は、PEMベースの水電解槽で従来用いられている種類のアノード電極触媒層であってもよく、高反応率の電気化学反応を維持することができる、微粉化された耐食性で電気伝導性(かつ場合によりイオン伝導性)の材料(例えば、金属粉末)の形態にある電極触媒粒子を含み得る。機械的な固着を提供するために、電極触媒粒子を、好ましくはイオン伝導性であるバインダーと共に、アノード電極触媒層25内に分散させることができる。
【0065】
カソード電極触媒層27は、ポリマー電解質膜23と直接接触させて配置することができ、本実施形態では、ポリマー電解質膜23の下面の一部に対して中心に、かつ真下に、接触して配置されるように示されている。カソード電極触媒層27は、電解ガス発生装置11のカソードの電気化学的に活性な領域を画定し、好ましくは、高反応率の表面還元反応を維持するのに十分に多孔性であり、電気伝導性であり、イオン伝導性である。カソード電極触媒層27は、PEMベースの水電解槽で従来用いられている種類のカソード電極触媒層であってもよく、高反応率の電気化学反応を維持することができる微粉化された耐食性で電気伝導性(かつ場合によりイオン伝導性)の材料(例えば、金属粉末)の形態にある電極触媒粒子を含み得る。機械的な固着を提供するために、電極触媒粒子を、好ましくはイオン伝導性であるバインダーと共に、カソード電極触媒層27内に分散させることができる。
【0066】
アノード支持体15は、PEMベースの水電解槽で従来使用されている種類のアノード支持体であってもよく、例えば、多孔質チタン(又は類似の適切な多孔質で、耐食性であり、電気伝導性の材料)のフィルム又はシートとすることができ、アノード電極触媒層25の上に直接接触して配置され得る。好ましくは、アノード支持体15は、ガスがアノード支持体15を通って容易に拡散するのに十分に多孔質である。この目的のために、アノード支持体15は、例えば、約0.0005~0.5mmのオーダーの細孔サイズを有し得る。アノード支持体15はまた、ガス拡散をさらに支援するために、例えば、0.1~10mmのオーダーの巨視的なチャネル構造(channel features)を備えてもよい。さらに、アノード支持体15は、アノード電極触媒層25と以下で議論するアノード側集電体との間の電気的接続性を提供するために電気伝導性であり、アノード支持体15はまた、好ましくは非イオン伝導性である。アノード支持体15は、アノード電極触媒層25と直接接触させて配置することができ、本実施形態では、アノード電極触媒層25がポリマー電解質膜23とアノード支持体15との間に挟まれて、ポリマー電解質膜23及びアノード支持体15と接触し得るように、アノード電極触媒層25の上に直接に配置されるように示されている。アノード支持体15は、アノード電極触媒層25を全体的に覆うような寸法に形成されてよく、アノード支持体15は、好ましくは、アノード電極触媒層25のフットプリントに略一致するような寸法に形成されている。これにより、アノード支持体15及びアノード電極触媒層25は、電解ガス発生装置11のアノードとして一体的に機能し得る。支持ガスケット29は、ゴム、軟質プラスチック、又は例えばVITON(登録商標)合成ゴム材料(The Chemours Company FC,LLC、ノースカロライナ州ファイエットビル)などのフッ素エラストマーゴム材料といった、可撓性でコンプライアントな(規格に準拠した)非多孔質材料で作製されてもよい。支持ガスケット29は、アノード支持体15の周囲を取り囲み、アノード支持体15を流体的に封止し、電気的に絶縁することができる。好ましくは、支持ガスケット29は、その周囲がポリマー交換膜23の周囲と略一致するような寸法に形成されている。
【0067】
カソード支持体17は、PEMベースの水電解槽で従来使用されている種類のカソード支持体であってもよく、例えば、多孔質炭素(又は類似の適切な多孔質で、耐食性の電気伝導性材料)のフィルム又はシートとすることができ、カソード電極触媒層27の下に直接接触して配置され得る。好ましくは、カソード支持体17は、ガスがカソード支持体17を通って容易に拡散するのに十分に多孔質である。この目的のために、カソード支持体17は、例えば、約0.005~0.5mmのオーダーの細孔サイズを有し得る。カソード支持体17はまた、ガス拡散をさらに支援するために、例えば、0.1~10mmのオーダーの巨視的なチャネル構造を備えてもよい。さらに、カソード支持体17は、カソード電極触媒層27と以下で議論するカソード側集電体との間の電気的接続性を提供するために電気伝導性であり、カソード支持体17はまた、好ましくは非イオン伝導性である。カソード支持体17は、カソード電極触媒層27と直接接触させて配置することができ、本実施形態では、カソード電極触媒層27がポリマー電解質膜23とカソード支持体17との間に挟まれて、ポリマー電解質膜23及びカソード支持体17と接触し得るように、カソード電極触媒層27の真下にカソード電極触媒層27と接触して配置されるように示されている。カソード支持体17は、カソード電極触媒層27を全体的に覆うような寸法に形成されてよく、カソード支持体17は、好ましくは、カソード電極触媒層27のフットプリントに略一致するような寸法に形成されている。これにより、カソード支持体17及びカソード電極触媒層27は、電解ガス発生装置11のカソードとして一体的に機能し得る。支持ガスケット31は、ゴム、軟質プラスチック、又は例えばフッ素エラストマーゴム材料などの可撓性でコンプライアントな非多孔質材料で作製されてもよく、カソード支持体17の周囲を取り囲み、カソード支持体17を流体的に封止し、電気的に絶縁することができる。好ましくは、支持ガスケット31は、その周囲がポリマー交換膜23の周囲と略一致するような寸法に形成されている。
【0068】
図5(a)及び図5(b)にも個別に示したアノード集電体アセンブリ19は、アノード集電体41と、一定長さの管43とを備え得る。
【0069】
図6(a)及び図6(b)にも個別に示したアノード集電体41は、アノード支持体15及び支持ガスケット29の上に直接接触して配置され得る。
【0070】
以下でさらに議論するように、アノード集電体41は、2つの異なる機能を果たすように、すなわち、(1)アノード支持体15からアノード集電体41に(例えば、はんだ付けにより)導電的に取り付けられた電気導電性リード45(図5(a)に想像線で図示)に電流を伝導し、(2)アノード電極触媒層25で発生され、アノード支持体15を通過するガス(例えば、O)を管43に沿って案内するように構築され得る。
【0071】
本実施形態では、アノード集電体41は、円盤部分47を含むような形状に形成され得る。円盤部分47は、アノード支持体15及び支持ガスケット29が組み合わされたフットプリントに略一致するような寸法に形成され得、入口49を含むような形状に形成され得る。電解ガス発生装置11のアノードで発生したガス(例えば、O)を受け入れるために用いられ得る入口49には、円盤部分47の下面からアクセスすることができる。本実施形態では、入口49は、円盤部分47の中央に位置するものとして示されているが、入口49は、中央に配置される必要はなく、アノード支持体15のある部分に配置されているだけでよい。
【0072】
アノード集電体41は、さらに第1の延長部53を含むような形状に形成され得る。第1の延長部53は、円盤部分47から半径方向外方に一定距離にわたって延在し得る。本実施形態では、第1の延長部53は、比較的幅の広い近位部分55と、比較的幅の狭い遠位部分57とを含むような形状に形成され得る。これにより、管43は、第1の延長部53の遠位部分57上に同軸的に取り付けることができ、バッテリ又はそれに類似の適切な電流源に電気的に結合され得る導電性リード45は、第1の延長部53の近位部分55に取り付けることができる。換言すると、第1の延長部53の遠位部分57は、管43を受け入れるための継手として機能することができ、第1の延長部53の近位部分55は、導電性リード45のための接触面として機能することができる。必要に応じて、導電性リード45は、管43とほぼ平行の向きで近位部分55に取り付けることができるが、このような平行な配向は必須ではない。また、第1の延長部53は、幅が異なる部分を有する必要はなく、代わりに、その全長にわたって一定の幅を有してもよいことを理解されたい。
【0073】
内側空間59が、アノード集電体41内に設けられ、入口49から第1の延長部53の遠位端61まで連続的に延在することができ、内側空間59は、遠位端61で出口63において終了する。これにより、以下でさらに説明するように、電解ガス発生装置11のアノードで発生する酸素などのガスは、入口49を通ってアノード集電体41に進入し、内側空間59を通って移動し、出口63から出ることができる。したがって、入口49から出口63に及ぶ流体経路は、アノード集電体41を介してガスを側方方向に運ぶためのガス導管として機能する。
【0074】
アノード集電体41は、さらに第2の延長部65を含むような形状に形成され得る。第2の延長部65は、円盤部分47から半径方向外方に一定距離にわたって延在することができ、導電性リード45を取り付けるための代わりの場所として機能し得る。本実施形態では、第1の延長部53と第2の延長部65とは、円盤部分47の周囲で約180度の角度で互いに離隔され得る。このように離隔させることは、例えば、アノード集電体アセンブリ19とカソード集電体アセンブリ21とを互いに対して180度の角度に向け、それでも導電性リードは実質的に同じ方向に延在させたい場合に望ましい可能性がある。このように離隔させることは、本実施形態の場合のように、アノード集電体アセンブリ19及びカソード集電体アセンブリ21を実質的に同じ方向に向けたいが、導電性リードは反対方向に延ばしたい場合にも望ましいことがある。理解できるように、そのような機能が望まれない場合には、第2の延長部65は省略されてもよい。
【0075】
本実施形態では、アノード集電体41は、上部部材71と下部部材73との接合によって形成することができ、上部部材71と下部部材73とは、略一致するフットプリントを有する(しかしながら、代わりに、アノード集電体41を単一の材料片から作ることも可能である)。図7にも個別に示した上部部材71は、円形の第1の凹部77を有する下面75を含むような形状に形成され得る。図8にも個別に示した下部部材73は、対応する寸法に形成され配置された貫通孔79を含むような形状に形成され得る。これにより、整合された凹部77と貫通孔79とが、入口49を共に画定し得る。上部部材71の下面75は、さらに凹部77からタブ85の遠位端83まで延在する径方向溝又は径方向凹部81を含むような形状に形成され得、溝81と下部部材73とが、内側空間59を共に画定し得る。本実施形態では、上部部材71は溝81を含み、下部部材73は溝81と同様の構造を含まないが、上部部材71及び下部部材73のいずれか一方又は双方が、内側空間を形成する際に用いるために、溝81と同様の構造を含んでもよいことを理解されたい。
【0076】
本実施形態では、上部部材71及び下部部材73のそれぞれを硬質の電気伝導性プレートとすることができる。上部部材71及び/又は下部部材73としての使用に適した材料の例には、チタン、ニオブ、及びジルコニウムなどの様々な導電性かつ耐食性の金属が含まれ得る。他の例には、電気伝導性ポリマー又は電気伝導性粒子を分散させたポリマーが含まれ得る。上部部材71及び下部部材73がチタン又は類似の導電性かつ耐食性の材料で形成されている場合、上部部材71と下部部材73とは、拡散接合又は他の任意の適切な技術によって接合され得る。さらに、上部部材71及び下部部材73がチタン又は類似の導電性かつ耐食性の材料で形成されている場合、凹部77、貫通孔79及び溝81は、エッチング(例えば、フォトエッチング、化学エッチング)又は任意の他の適切な技術によって形成され得る。好ましくは、上部部材71及び下部部材73のそれぞれは、非多孔性かつ実質的にガス不透過性である材料で作製されている。これにより、アノード集電体41を通って案内される実質的にすべてのガスは、入口49を通って進入し、内側空間59を通って移動し、出口63を通って出ることができる。
【0077】
上部部材71及び下部部材73の双方が電気伝導性であってもよいが、電気伝導性材料から下部部材73を作製し、非電気伝導性材料から上部部材71を作製することもできる。しかしながら、このような場合には、導電性リード45は下部部材73に取り付けなければならない。
【0078】
管43は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマー、又は好ましくはガス不透過性であるか、若しくは非常に限られたガス透過性である任意の他の適切な材料で作製された円筒管を含み得る。本実施形態では、管43は延長部53上に取り付けられているが、管43を内側空間59内に挿入することもできることを理解されたい。
【0079】
図9(a)及び図9(b)にも個別に示したカソード集電体アセンブリ21は、カソード集電体91と、一定長さの管93とを備え得る。
【0080】
図10(a)及び図10(b)にも個別に示したカソード集電体91は、カソード支持体17及び支持ガスケット31の下に直接接触して配置され得る。以下でさらに議論するように、カソード集電体91は、2つの異なる機能を果たすように、すなわち、(1)カソード支持体17からカソード集電体91に(例えば、はんだ付けにより)導電的に取り付けられた電気導電性リード95(図9(a)に想像線で図示)に電流を伝導し、(2)カソード電極触媒層27で発生し、カソード支持体17を通過するガス(例えば、H)を管93に沿って案内するように構築され得る。
【0081】
本実施形態では、カソード集電体91は、多くの点でアノード集電体41と類似し得る。したがって、カソード集電体91は、円盤部分97を含むような形状に形成され得る。円盤部分97は、カソード支持体17と支持ガスケット31との組み合わされたフットプリントに略一致するような寸法に形成され得る。円盤部分97は、入口99を含むような形状に形成され得る。入口99は、電解ガス発生装置11のカソードで発生したガスを受け入れるために用いられ得る。本実施形態では、入口99は、円盤部分47の厚さ全体に延在する貫通孔として示されているが、入口99は、貫通孔である必要はなく、代わりに、円盤部分97の上面から円盤部分97の厚さの一部のみを通って延在する開口部であってもよいことを理解されたい。また、本実施形態では、入口99は、円盤部分97の中央に位置するものとして示されているが、入口99は、中央に配置される必要はなく、カソード支持体17のある部分の上に配置されているだけでよい。
【0082】
円盤部分97はまた、円盤部分97の厚さ全体に延在する複数の細孔100を含むような形状に形成され得る。細孔100を用いて、水蒸気を上方に通過させ、MEA13に送達して、水蒸気が電気分解されるようにすることができる。
【0083】
カソード集電体91は、さらに第1の延長部103を含むような形状に形成され得る。第1の延長部103は、円盤部分97から半径方向外方に一定距離にわたって延在し得る。本実施形態では、第1の延長部103は、比較的幅の広い近位部分105と、比較的幅の狭い遠位部分107とを含むような形状に形成され得る。これにより、以下で明らかとなる目的のために、管93を第1の延長部103の遠位部分107上に同軸的に取り付けることができ、バッテリ(導電性リード45が電気的に結合されているのと同じバッテリの反対側のターミナルなど)又は別の類似の適切な電流源に電気的に結合され得る導電性リード95を第1の延長部103の近位部分105に取り付けることができる。換言すると、第1の延長部103の遠位部分107は、管93を受け入れるための継手として機能することができ、第1の延長部103の近位部分105は、導電性リード95のための接触面として機能することができる。必要に応じて、導電性リード95は、管93とほぼ平行の向きで近位部分105上に取り付けることができるが、このように平行な配向は必須ではない。また、第1の延長部103は、幅が異なる部分を有する必要はなく、代わりに、その全長にわたって一定の幅を有してもよいことを理解されたい。
【0084】
内側空間109が、カソード集電体91内に設けられ、入口99から第1の延長部103の遠位端111まで連続的に延在することができ、内側空間109は、遠位端111で出口113において終了する。これにより、以下でさらに説明するように、電解ガス発生装置11のカソードで発生する水素などのガスは、入口99を通ってカソード集電体91に進入し、内側空間109を通って移動し、出口113から出ることができる。したがって、入口99から出口113に及ぶ流体経路は、カソード集電体91を介してガスを側方方向に運ぶためのガス導管として機能する。
【0085】
カソード集電体91は、さらに第2の延長部115を含むような形状に形成され得る。第2の延長部は、円盤部分97から半径方向外方に一定距離にわたって延在することができ、導電性リード95を取り付けるための代わりの場所として機能し得る。本実施形態では、第1の延長部103及び第2の延長部115は、円盤部分97の周囲で約180度の角度で互いに離隔され得る。このように離隔させることは、例えば、カソード集電体アセンブリ21及びアノード集電体アセンブリ19を互いに対して180度の角度に向け、それでも導電性リードは実質的に同じ方向に延ばしたい場合に望ましい可能性がある。このように離隔させることは、本実施形態の場合のように、カソード集電体アセンブリ21及びアノード集電体アセンブリ19を実質的に同じ方向に向けたいが、導電性リードは反対方向に延ばしたい場合にも望ましい可能性がある。理解できるように、そのような機能が望まれない場合には、第2の延長部115は省略されてもよい。
【0086】
本実施形態では、カソード集電体91は、上部部材121と下部部材123との接合によって形成することができ、上部部材121と下部部材123とが略一致するフットプリントを有する(しかしながら、代わりに、カソード集電体91を単一の材料片から作ることも可能である)。図11にも個別に示した上部部材121は、大きな貫通孔127と、一連の小さな貫通孔128とを含むような形状に形成することができ、図12にも個別に示した下部部材123は、大きな貫通孔129と、一連の小さな貫通孔130とを含むような形状に形成することができる。これにより、整合された貫通孔127と貫通孔129とが、入口99を共に画定することができ、また整合された小さな貫通孔128と小さな貫通孔130とが、細孔100を共に画定することができる。上部部材121の下面132は、さらに貫通孔127からタブ135の遠位端134まで延在する径方向溝又は径方向凹部133を含むような形状に形成することができ、溝133と下部部材123とが、内側空間109を共に画定する。本実施形態では、上部部材121は溝133を含み、下部部材123は溝133と同様の構造を含まないが、上部部材121及び下部部材123のいずれか一方又は双方が、内側空間を形成する際に用いるために、溝133と同様の構造を含んでもよいことを理解されたい。
【0087】
本実施形態では、上部部材121及び下部部材123のそれぞれを硬質の電気伝導性プレートとすることができる。上部部材121及び/又は下部部材123としての使用に適した材料の例には、チタン、ニオブ、及びジルコニウムなどの様々な導電性かつ耐食性の金属が含まれ得る。他の例には、電気伝導性ポリマー又は電気伝導性粒子を分散させたポリマーが含まれ得る。上部部材121及び下部部材123がチタン又は類似の導電性かつ耐食性の材料で形成されている場合、上部部材121と下部部材123とは、拡散接合又は他の任意の適切な技術によって接合され得る。さらに、上部部材121及び下部部材123がチタン又は類似の導電性かつ耐食性の材料で形成されている場合、貫通孔127、128、129、及び130、並びに溝133は、エッチング(例えば、フォトエッチング、化学エッチング)又は他の適切な技術によって形成され得る。好ましくは、上部部材121及び下部部材123のそれぞれは、非多孔性かつ実質的にガス不透過性である材料で作製されている。これにより、カソード集電体91を通って案内される実質的にすべてのガスは、入口99を通って進入し、内側空間99を通って移動し、出口113を通って出ることができる。
【0088】
上部部材121及び下部部材123の双方が電気伝導性であってもよいが、上部部材121を電気伝導性材料から作製し、下部部材123を非電気伝導性材料から作製することもできる。しかしながら、そのような場合には、導電性リード95は、上部部材121に取り付けられなければならない。
【0089】
管93は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマー、又は好ましくはガス不透過性であるか、若しくは非常に限られたガス透過性である任意の他の適切な材料で作製された円筒管を含み得る。本実施形態では、管93は延長部103上に取り付けられているが、管93を内側空間109内に挿入することができることを理解されたい。
【0090】
電解ガス発生装置11は、ハウジングベース151及びハウジングカバー153をさらに備えることができ、ハウジングベース151とハウジングカバー153とは、電解ガス発生装置11の他の構成要素の多くを保持するために用いられ得るハウジングを共に画定する。硬質で耐久性のある材料で作製された単一構造とすることができるハウジングベース151は、下壁155、側壁157、及び開放した上部を含むような形状に形成され得る。下壁155は、液体の水などの流体がハウジングの内部に進入することができるように設計された1つ以上の開口部159を含むような形状に形成され得る。側壁157は、延長部53及び103が通過できるように設計された第1の開口部161を含むような形状に形成され、また延長部65及び115が通過できるように設計された第2の開口部163を含むような形状に形成され得る。硬質で耐久性のある材料で作製された単一構造とすることができるハウジングカバー153は、上部部分165及び下部部分167を含むような形状に形成され得る。上部部分165は、ハウジングベース151のフットプリントに略一致するような形状に形成され、側壁157の上面の上に直接着座するように設計された下面を有し得る。下部部分167は、ハウジングベース151の内径に略一致するフットプリントを有するような形状に形成され、ハウジング内に積み重ねられた構成要素を圧縮するのを助けるために用いられ得る。これにより、ハウジングベース151及びハウジングカバー153は、電解ガス発生装置11の構成要素のためのハウジングを提供するように機能するだけでなく、エンドプレートとしても機能する。
【0091】
ハウジングベース151は、好ましくは、非電気伝導性材料で作製されている。ハウジングカバー153は、電気伝導性材料で作製されていてもよいし、又は非電気伝導性材料で作製されていてもよい。本実施形態のように、ハウジングカバー153が電気伝導性材料で作製されている場合には、電解ガス発生装置11は、ハウジングカバー153をアノード集電体アセンブリ19から電気的に絶縁するための電気絶縁体171を追加で備え得る。
【0092】
電解ガス発生装置11は、水制御膜181及び182をさらに備え得る。水制御膜181及び182は、カソード集電体アセンブリ21とハウジングベース151の下壁155との間に配置され得る。本実施形態では、水制御膜181は、安定で首尾一貫した水蒸気源を促進するために生物付着を防止する生体適合性膜とすることができる。水制御膜181として用いるのに適し得る材料の例は、少なくともいくつかの細孔が直径3μm以上であり、好ましい厚さの範囲が30~50μmである延伸PTFEである。水制御膜181の直上に配置され得る水制御膜182は、蒸気輸送膜の形態であってもよい。水制御膜182としての使用に適した材料の例には、ZITEX(登録商標)多孔質ポリテトラフルオロエチレン、GORE-TEX(登録商標)延伸ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンゴム、PTFE、及びTEFLON(登録商標)ポリテトラフルオロエチレンが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。Oリング183は、水制御膜181とハウジング151の下壁155との間に配置され得る。
【0093】
電解ガス発生装置11は、ガス拡散層191をさらに備え得る。ガス拡散層191は、炭素紙又は類似の材料で作製することができ、水制御膜182とカソード集電体アセンブリ21との間に配置することができる。ガスケット193は、ゴム又は軟質プラスチックなどの可撓性でコンプライアントな非多孔質材料で作製され得る。ガスケット193は、ガス拡散層191の周囲を取り囲み、ガス拡散層191を流体的に封止し、電気的に絶縁することができる。
【0094】
使用中、電解ガス発生装置11は、水が存在する環境(ヒト又は非ヒト動物の体内の適切な場所などであるが、これに限定されない)に配置することができ、導電性リード45及び95は、バッテリ又は類似の電流源(これもヒト又は非ヒト動物の体内に存在し得るが、そうである必要はない)に結合され得る。水は開口部159を通ってハウジングに進入することができ、そのような水が液体の形態にある限り、そのような水は水蒸気として水制御膜181及び182を通過することができる。水蒸気は、次にガス拡散層191を通過し、次に細孔100(及び入口99)を通過し、次に膜電極アセンブリ13に到達することができ、すると水蒸気は電気分解されて、アノード電極触媒層25で酸素ガスを生成し、カソード電極触媒層27で水素ガスを生成し得る。アノード電極触媒層25で生成された酸素ガスは、アノード支持体15を通過し、次いで入口49を通ってアノード集電体41の内側空間59に進入し得る。酸素ガスは、次に出口63を通って内側空間59から出て、管43を使用して案内され得る。これにより、例えば、管43の遠位端が、インプラントされた細胞カプセルなどに結合されている場合、酸素ガスが細胞カプセルに供給され得る。カソード電極触媒層27で生成された水素ガスは、カソード支持体17を通過し、次いで入口99を通ってカソード集電体91の内側空間109に進入することができる(いくらかの水素ガスが、カソード集電体91の厚さを完全に通過し得る限り、細孔100を介するか、入口99を介するか、又はそれらの双方を介するかは、重要ではない)。水素ガスは、次に、出口113を通ってカソード集電体91の内側空間109から出て、管93を使用して案内され得る。管93の遠位端は、水素ガスが息の吐き出し中に放出され得るようにネイティブな脈管構造の近くに配置されてもよいし、又は2018年11月8日に公開された発明者Ferranteらの米国特許出願公開第2018/0318566A1号及び2018年5月17日に公開された発明者Ferranteらの米国特許出願公開第2018/0133383A1号に開示されている種類のガス拡散装置に結合されてもよく、水素は上記特許文献の教示に従って放出され得る。上記特許文献は双方とも、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0095】
理解できるように、電解ガス発生装置11の1つの利点は、従来のガス発生装置と比較して、その薄型設計にあり、これは、一つには、発生したガスが軸方向に導出されるのではなく半径方向に導出され得ることに起因し、一つには、リード線を結合するため、及びガスを案内するための別個の構成要素が排除され得ることに起因する。また、電解ガス発生装置11は、発生したガスを運ぶための複雑なマニホールドシステムを必要としない。さらに、電解ガス発生装置11は、その集電体に導電性リードの容易な結合を可能にする。
【0096】
ここで図13(a)及び図13(b)を参照すると、アノード集電体41とは別のアノード集電体の実施形態の様々な図が示されている。別のアノード集電体は、本発明の教示に従って構築されており、全体を符号201によって表されている。
【0097】
アノード集電体201は、多くの点でアノード集電体41と類似し得る。アノード集電体201とアノード集電体41との相違の1つは、アノード集電体41が第1の延長部53を備えることができるのに対して、アノード集電体201は、代わりに第1の延長部203を備えることができることであり得る。第1の延長部203は、多くの点で第1の延長部53と類似し得る。しかしながら、第1の延長部203と第1の延長部53との相違の1つは、第1の延長部203が近位部分207に凹部205を備えることができることであり得る。凹部205は、導電性リード又はワイヤの一端を受け入れ、導電性リード又はワイヤの近位部分207へのはんだ付け又は他の固定を容易にするために用いられ得る。第1の延長部203と第1の延長部53との間の別の相違は、第1の延長部53が、均一の形状で且つ出口63で終了し得る遠位部分57を備えることができるのに対して、第1の延長部203は、その遠位端213から近位方向にわずかな距離離隔された円盤状部分211を含み得る遠位部分209を備えることができ、遠位端213は開放されていても閉鎖されていてもよいことであり得る。円盤状部分211は、上方に向いた出口215を含むような形状に形成することができ、出口215は、入口219から通じている内側空間217と流体連通することができる。したがって、出口215のまわりの円盤状部分211上には、Oリング(図示せず)又は他の類似の封止装置を取り付けてもよく、そのような封止装置は、圧縮の影響を受けて、管継手又はマニホールド(いずれも図示せず)などの隣接する流体要素への流体連通に対する封止をもたらすことができる。これに代わって、ガス透過性が非常に限られているか、又はガス透過性が全くない、一定長さのL字状の管などの一定長さの管(図示せず)を、相補的な出口215に挿入するか、又は当該遠位端213が開放している場合には遠位端213上に同軸的に取り付けてもよい。
【0098】
アノード集電体41と同様に、アノード集電体201は、2つの部材を共に接合することによって形成され得る。ここで図14及び15を参照すると、アノード集電体201を形成するために用いることができる下部部材221の上面図及び上部部材223の下面図がそれぞれ示されている。
【0099】
図16(a)及び図16(b)を参照すると、カソード集電体91とは別のカソード集電体の実施形態の様々な図が示されている。別のカソード集電体は、本発明の教示に従って構築されており、全体を符号251によって表されている。
【0100】
カソード集電体251は、多くの点でカソード集電体91と類似し得る。カソード集電体251とカソード集電体91との間の相違の1つは、カソード集電体91が第1の延長部103を備えることができるのに対して、カソード集電体251は代わりに第1の延長部253を備えることができることであり得る。第1の延長部253は、多くの点で第1の延長部103と類似し得る。しかしながら、第1の延長部253と第1の延長部103との間の相違の1つは、第1の延長部253が近位部分257に凹部255を備えることができることであり得る。凹部255は、導電性リード又はワイヤの一端を受け入れ、導電性リード又はワイヤの近位部分257へのはんだ付け又は他の固定を容易にするために用いられ得る。第1の延長部253と第1の延長部103との間の別の相違は、第1の延長部103が、均一の形状で且つ出口113で終了し得る遠位部分107を備えることができるのに対して、第1の延長部253は、その遠位端263から近位方向にわずかな距離離隔された円盤状部分261を含み得る遠位部分259を備えることができ、遠位端263は開放されていても閉鎖されていてもよいことである。円盤状部分261は、上方に向いた出口265を含むような形状に形成することができ、出口265は、入口269から通じている内側空間267と流体連通することができる。したがって、出口265のまわりの円盤状部分261上にはOリング(図示せず)又は他の類似の封止装置を取り付けてもよく、そのような封止装置は、圧縮の影響を受けて、管継手又はマニホールド(いずれも図示せず)などの隣接する流体要素への流体連通に対する封止をもたらすことができる。これに代わって、ガス透過性が非常に限られているか、又はガス透過性が全くない、一定長さのL字状の管などの一定長さの管(図示せず)を、相補的な出口265に挿入するか、又は当該遠位端263が開放している場合には遠位端263上に同軸的に取り付けてもよい。
【0101】
カソード集電体91と同様に、カソード集電体251は、2つの部材を共に接合することによって形成され得る。ここで図17及び図18を参照すると、カソード集電体251を形成するために用いることができる下部部材271の上面図及び上部部材273の下面図がそれぞれ示されている。
【0102】
図19図21を参照すると、電解ガス発生装置の第2の実施形態の様々な図が示されている。電解ガス発生装置は、本発明の教示に従って構築されており、全体を符号311によって表されている。本出願の他の場所で議論されているか、又は本発明の理解に重要ではない電解ガス発生装置311の詳細は、図19図21の1つ以上、若しくは本明細書の付随する説明から省略される場合もあるし、又は簡略化された形で、図19図21の1つ以上に示されたり、かつ/若しくは本明細書に記載されたりする場合もある。例えば、図19図21には、アノード集電体及びカソード集電体からガスを案内するための一定長さの管は示されておらず、電解ガス発生装置311を動作させるために用いられる導電性リード及び電流源も示されていない。
【0103】
電解ガス発生装置311は、水電解槽の形態であってもよく、特に、インプラント可能な水電解槽の形態であってもよい。電解ガス発生装置311は、膜電極アセンブリ(MEA)313を備え得る。
【0104】
膜電極アセンブリ313は、電解ガス発生装置11の膜電極アセンブリ13と同一であってよく、ポリマー電解質膜323と、ポリマー電解質膜323の一方の面上のアノード電極触媒層325と、ポリマー電解質膜323の反対側の面上のカソード電極触媒層(図示せず)とを備え得る。本実施形態では、上又は下から見た場合、ポリマー電解質膜323は、略円形を有し得る。また、電解ガス発生装置311の全体形状は、上又は下から見た場合、ポリマー電解質膜323の形状に略一致し得る。しかしながら、ポリマー電解質膜323及び電解ガス発生装置311は、全体として、略円形に限定されるものではなく、略矩形又は他の適切な形状を有してもよいことが理解されるべきである。
【0105】
電解ガス発生装置311はまた、膜電極アセンブリ313の真上に膜電極アセンブリ313と接触して配置され得るアノード支持アセンブリ331も備え得る。図22及び図23にも個別に示したアノード支持アセンブリ331は、アノード支持ガスケット333及びアノード支持体335を備え得る。アノード支持ガスケット333は、電解ガス発生装置11の支持ガスケット29と類似の構成であってよく、支持ガスケット29の形状と概ね類似する環形を有し得る。アノード支持体335は、電解ガス発生装置11のアノード支持体15と類似の構成であってよいが、アノード支持ガスケット333の下に配置される下側部分337と、アノード支持ガスケット333の上に配置される上側部分339と、支持ガスケット29の開口を通って延在する中間部分341とを含むボタン形状を有し得る。ゴム又は軟質プラスチックなどの可撓性でコンプライアントな非多孔質材料から構成されたガスケット343は、アノード支持体335の周囲を取り囲み、アノード支持体335を流体的に封止し、電気的に絶縁することができる。ガスケット343は、膜電極アセンブリ313の外径と略一致する外径を有するような寸法に形成され得る。
【0106】
電解ガス発生装置311はまた、膜電極アセンブリ313の真下に膜電極アセンブリ313と接触して配置され得るカソード支持体345も備え得る。カソード支持体345は、電解ガス発生装置11のカソード支持体17と類似し得る。電解ガス発生装置11の支持ガスケット31と類似し得る支持ガスケット347は、カソード支持体345の周囲を取り囲み、カソード支持体345を流体的に封止し、電気的に絶縁し得る。
【0107】
電解ガス発生装置311は、アノード集電体アセンブリ351をさらに備え得る。図24図25図26(a)及び図26(b)にも個別に示したアノード集電体アセンブリ351は、アノード支持体335及びガスケット343の上に直接接触して配置され得る。以下でさらに議論するように、アノード集電体アセンブリ351は、3つの異なる機能を果たすように、すなわち、(1)アノード支持体335から、アノード集電体アセンブリ351の構成要素に(例えば、はんだ付けにより)導電的に取り付けられた電気導電性リードに電流を伝導し、(2)アノード電極触媒層325で発生し、アノード支持体335を通過するガス(例えば、O)をアノード集電体351に結合され得る一定長さの管に沿って案内し、(3)膜電極アセンブリ313のアノード側のガス圧が大きくなりすぎると、電解ガス発生装置311の電気分解機能を低下させるか、又は完全に停止させるように構築され得る。
【0108】
本実施形態では、アノード集電体アセンブリ351は、アノード集電体353、ダイアフラム355、及びフレーム357を備え得る。ダイアフラム355は、集電体353とフレーム357との間に直接積み重ねられる。図27(a)~図27(c)にも個別に示したアノード集電体353は、開口363の周囲を囲む環状部分361を含むような形状に形成され得る。環状部分361は、ガスケット343の外径と略一致する外径を有するような寸法に形成され得る。環状部分361は、環状部分361の下面に設けられた環状溝365を含むような形状に形成され得、さらに環状溝内365内に配置された入口367を含むような形状に形成され得る。以下でさらに議論するように、入口367は、電解ガス発生装置311のアノードで発生したガス(例えば、O)を受け入れるために用いられ得る。
【0109】
アノード集電体353は、さらに第1の延長部369を含むような形状に形成され得る。第1の延長部369は、一定距離にわたって環状部分361から半径方向外方に延在し得る。これにより、以下で明らかとなる目的のために、一定長さの流体案内管を第1の延長部369上に同軸的に取り付けることができる。加えて、バッテリ又は他の適切な電流源に電気的に結合され得る導電性リードを第1の延長部369に取り付けることができる。換言すると、第1の延長部369は、流体案内管を受け入れるための継手と、導電性リードのための接触面との双方として機能し得る。必要に応じて、流体案内管及び導電性リードを、第1の延長部369の異なる部分に取り付けてもよい。第1の延長部369は、その長さに沿って均一な幅を有するものとして本実施形態に示されているが、第1の延長部369は、電解ガス発生装置11の第1の延長部53のような形状に形成することもできる。
【0110】
内側空間371がアノード集電体353内に設けられ、入口367から第1の延長部369の遠位端373まで連続的に延在することができ、内側空間371は、遠位端373で出口375において終了する。これにより、以下でさらに説明するように、電解ガス発生装置311のアノードで発生する酸素などのガスは、入口367を通ってアノード集電体353に進入し、内側空間371を通って移動し、出口375から出ることができる。
【0111】
本実施形態では、アノード集電体353は、上部部材381と下部部材383との接合によって形成され得る。上部部材381と下部部材383とは、略一致する輪郭を有する(しかし、代わりに、アノード集電体353を単一の材料片から作ることも可能である)。図28にも個別に示した上部部材381は、凹部387を有する下面385を含むような形状に形成され得る。図29(a)及び図29(b)にも個別に示した下部部材383は、貫通孔391を含むような形状に形成され得る。これにより、整合された上部部材381の凹部387と下部部材383の貫通孔391とが、入口367を共に画定することができる。上部部材381の下面385は、さらに、凹部387からタブ397の遠位端395まで延在する径方向溝又は径方向凹部393を含むような形状に形成され得る。下部部材383の上面399は、貫通孔391からタブ405の遠位端403まで延在する径方向溝401を含むような形状に形成され得る。これにより、上部部材381の溝393と下部部材383の溝401とが、内側空間371を共に画定することができる。本実施形態では、上部部材381は溝393を含み、下部部材383は溝401を含むが、上部部材381及び下部部材383のうちの一方のみにおける溝によって内側空間371を形成することもできる。
【0112】
本実施形態では、上部部材381及び下部部材383のそれぞれを硬質の電気伝導性プレートとすることができる。上部部材381及び/又は下部部材383としての使用に適した材料の例には、チタン、ニオブ、及びジルコニウムなどの様々な導電性かつ耐食性の金属が含まれ得る。他の例には、電気伝導性ポリマー又は電気伝導性粒子を分散させたポリマーが含まれ得る。上部部材381及び下部部材383がチタン又は類似の導電性かつ耐食性の材料で形成されている場合、上部部材381及び下部部材383は、拡散接合又は他の任意の適切な技術によって接合され得る。さらに、上部部材381及び下部部材383がチタン又は類似の材料で形成される場合、凹部387、貫通孔391、溝393及び401は、エッチング(例えば、フォトエッチング、化学エッチング)又は他の任意の適切な技術によって形成され得る。好ましくは、上部部材381及び下部部材383のそれぞれは、非多孔性かつ実質的にガス不透過性である材料で作製されている。これにより、アノード集電体353を通って案内される実質的にすべてのガスは、入口367を通って進入し、内側空間371を通って移動し、出口375を通って出ることができる。
【0113】
上部部材381及び下部部材383の双方が電気伝導性であってもよいが、下部部材383を電気伝導性材料から作製し、上部部材381を非電気伝導性材料から作製することもできる。しかしながら、そのような場合には、導電性リードは、下部部材383に取り付けられなければならない。
【0114】
ダイアフラム355は、(例えば、ガス圧を受けたときに)略平面状態から膨らんだ状態又は膨張状態に可逆的に変形することができる連続したフィルム又はシートの形態にある電気伝導性で可撓性の単一構造体とすることができる。ダイアフラム355は、その周囲がアノード集電体353の環状部分361の外周と略一致するような寸法に形成され得る。
【0115】
本実施形態では、以下に具体的に規定されている範囲を除いて、ダイアフラム355は非多孔性である。さらに、本実施形態では、ダイアフラム355は、好ましくは弾性であるが、弾性である必要はない。一実施形態によれば、ダイアフラム355はまた、実質的にガス不透過性であってもよい。これに代わって、別の実施形態によれば、ダイアフラム355は、ガス透過性であってもよい。ダイアフラム355としての使用に適し得る材料の例には、金属(例えば、銀)又は他の電気伝導性粒子が内部に分散された非多孔質シリコーンフィルム又はシート、Cho-Seal 1215エラストマー(シリコーンバインダー中の銀メッキされた銅フィルムで作製された導電性材料、マサチューセッツ州ウォブムのParker Chomericsの製品)、2017年3月14日に発行され、参照により全体として本明細書に組み込まれる、発明者Mittelsteadtらの米国特許第9,595,727B2号に開示されている種類の、非多孔質の、電気伝導性で、液体透過性であり、実質的にガス不透過性の膜が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0116】
より具体的には、前述の特許(以下「‘727特許」と記載)によれば、そのような非多孔質の、電気伝導性で、液体透過性であり、実質的にガス不透過性の膜は、例えば、電気伝導性材料が内部に分散された固体ポリマー電解質を含み得る。固体ポリマー電解質としての使用に適した材料の例には、(i)金属塩を含有するポリマー組成物、(ii)電解質を含有するポリマーゲル、及び(iii)イオン交換樹脂が含まれ得る。より具体的には、固体ポリマー電解質は、例えば、カチオン交換基を-SO 、-SONH、-PO 2-、又は-CO とすることができるが、これらに限定されないカチオン交換アイオノマー膜であってもよいし、又は例えば、アニオン交換基を-NH とすることができるが、これに限定されないアニオン交換アイオノマー膜であってもよい。固体ポリマー電解質として用いるための好ましい材料は、The Chemours Company FC,LLC(ノースカロライナ州ファイエットビル)によってNAFION(商標)押出キャストPFSAポリマー膜として製造されているようなパーフルオロスルホン酸(PFSA)膜であることがある。NAFION(商標)PFSAの代わりに使用できる他の材料の例は、2011年5月24日に発行された発明者Mittelsteadtらの米国特許第7,947,405B2号に開示されており、この特許文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0117】
上記の膜の分散された電気伝導性材料としての使用に適し得る材料の例には、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属ナノワイヤー又はそれらの組み合わせなどの、アスペクト比が高く電気伝導性の非粒子材料が含まれ得る。膜での使用に適し得るカーボンナノチューブは、約0.20nm~約100nmの直径を有し、約0.50μm~約200μmの長さを有し、約5~約1,000,000の範囲にあるアスペクト比(すなわち、長さ/直径)を有し得る。加えて、膜での使用に適し得るカーボンナノチューブは、官能化されていなくてもよいし、又は-COOH、-PO 、-SOH、-SH、-NH、第三級アミン、第四級アミン、-CHO、-OH、-NO、及び-PO 2-などの、しかしこれらに限定されない1つ以上の官能基を含んでいてもよい。また、膜での使用に適し得るカーボンナノチューブには、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0118】
膜での使用に適し得るカーボンナノファイバーは、官能化されていなくてもよいし、又は-COOH、-PO 、-SOH、-SH、-NH、第三級アミン、第四級アミン、-CHO、-OH、-NO、及び-PO 2-などの、しかしこれらに限定されない1つ以上の官能基を含んでいてもよい。分散された非粒子状の電気伝導性材料を含むことに加えて、又はそのような材料の代わりに、膜は、カーボンブラック、金属粒子(例えば、ニオブ粒子、プラチナ粒子、チタン粒子、又はそれらの組み合わせ)、担持金属粒子、又はそれらの組み合わせなどの分散された電気伝導性の耐食性粒子を含んでいてもよい。
【0119】
上述した膜は、アイオノマーが懸濁液の形態にある間に、アイオノマーに電気伝導性の耐食性材料を添加し、次いで懸濁液を乾燥させることによって調製することができる。
【0120】
ダイアフラム355は、その周囲に近接する貫通孔407を備え得る。以下でさらに説明するように、貫通孔407は、酸素などのアノードで発生したガスがダイアフラム355を上方に通過するのを可能にし、それによりガスはアノード集電体353の入口367に進入することができる。この目的のために、貫通孔407は、好ましくは、アノード集電体353の環状溝365と整合される。
【0121】
図30にも個別に示したフレーム357は、適切なプラスチックなどの硬質の非電気伝導性材料で作製された環状構造体とすることができる。フレーム357は、好ましくは、アノード集電体353の内径及び外径と略一致する内径及び外径を有し、好ましくは、アノード集電体353の開口363の直径と略一致する開口410を有する。フレーム357の上面413上には環状溝411を形成することができ、環状溝411内には貫通孔415が配置され得る。フレーム357の環状溝411は、好ましくは、ダイアフラム355の貫通孔407と整合される。これにより、アノードで発生したガスは、貫通孔415を介してフレーム357を上方に通過することができる。次に、そのようなガスは、ダイアフラム355の貫通孔407に到達するまで、フレーム357の環状溝411の周りを移動することによって、ダイアフラム355を通過することができる。貫通孔407を移動した後、そのようなガスは、次に、入口367に到達するまで、アノード集電体353の環状溝365の周りを移動することができる(ダイアフラム355がフレーム357の開口410を完全に覆うため、ガスがフレーム357からアノード集電体353まで取ることができる唯一の経路は、開口410に対して半径方向外方に位置するダイアフラム355の貫通孔407を通過することによるものである)。
【0122】
例えば、炭素繊維紙などであってよいスペーサ421は、フレーム357の貫通孔415の近くの(しかし貫通孔415を覆わない)位置で、フレーム357とガスケット343との間に配置されて、アノードで発生したガスが貫通孔415に到達できるようにすることができる。
【0123】
アノード支持体335は、好ましくは、ダイアフラムが平面状態にあるときにダイアフラム355と接触するように、フレーム357の開口410を通って延在するような寸法に形成されている。ダイアフラム355が、アノード支持体335とアノード集電体353との間の唯一の電気的接続を提供するため、ダイアフラム355を用いて、電解ガス発生装置311の動作を調節することができる。より具体的には、ダイアフラム355が平面状態にあるとき、電解ガス発生装置311は、閉電気回路を形成し、電気分解のための動作(すなわち「オン」)状態にある。水が電気分解されている場合、アノードでは酸素ガスが発生し、カソードでは水素ガスが発生する。このように発生した酸素ガスは、次に、出口375を通って電解ガス発生装置311を出ることができる。酸素ガスが電解ガス発生装置311を出ることができる速度が、電解ガス発生装置311によって酸素ガスが発生する速度を上回るか、又はそのような速度とほぼ等しい場合には、アノード支持体335とダイアフラム355との間に蓄積する酸素ガスは、あるとしてもごくわずかである可能性があり、ダイアフラム355に加えられる上向きのガス圧は、ダイアフラム355に加えられる下向きの機械的圧力よりも小さくなり得る。結果として、ダイアフラム355とアノード支持体335との間の電気的接触を維持することができ、ガスの発生が継続され得る。
【0124】
一方で、酸素ガスが電解ガス発生装置311を出ることができる速度が、電解ガス発生装置311によって酸素ガスが発生する速度を下回る場合には、酸素ガスは、アノード支持体335とダイアフラム355との間に蓄積する可能性があり、最終的には、ダイアフラム355に加えられる上向きのガス圧は、ダイアフラム355に加えられる下向きの機械的圧力よりも大きくなり得る。結果として、ダイアフラム355は、アノード集電体353の開口363を通ってアノード支持体335から離れるように屈曲又は膨張し、それにより、アノード支持体335とダイアフラム355との間の電気的接触が遮断されるか、又は減少させられ得る。結果として、電解ガス発生装置311は、この装置の水の電気分解を低減するか、又はこの装置の水の電気分解を完全に停止させることができる。その後、アノード支持体335とダイアフラムとの間に蓄積した酸素ガスの少なくとも一部は、ダイアフラム355がアノード支持体335と接触した状態に戻るのに十分なほどアノード支持体335とダイアフラム355との間のガス圧が低下するまで、出口375を通って電解ガス発生装置311から出ることができ、それにより電気分解を再開させたり、又は全能力に戻したりすることができる。
【0125】
理解できるように、前述のシナリオは、電解ガス発生装置311によって生成された酸素が、管によって、インプラントされた細胞及び/又は組織を保持する密閉容器へ案内される細胞移植システムの状況において行われ得る。インプラントされた細胞及び/又は組織が、細胞及び/又は組織に送達される酸素を、発生した酸素が送達される速度を超えるか、又はそのような速度に略等しい速度で消費できない場合、又は出口375の下流に流れるのに何らかの制限がある場合には、酸素が上述したように電解ガス発生装置311内に蓄積する可能性がある。電解ガス発生装置311内に蓄積する酸素の量が、所定の閾値を超える圧力を生じるのに十分である場合には、電解ガス発生装置311は、酸素の発生を停止するか、又は酸素の産出量を低下させる。これにより、電解ガス発生装置311は、自己調節式であると見なすことができる。理解できるように、そのような自己調節式電解ガス発生装置は、少なくとも装置が外部センサ又はフィードバック機構を必要としないという理由で有利である。この種類の自己調節式動作に関するさらなる情報は、2018年5月17日に公開され、参照により全体として本明細書に組み込まれる、発明者Stoneらの米国特許出願公開第US2018/0135948A1号に見られる。
【0126】
電解ガス発生装置311は、弾性圧縮可能部材431をさらに備え得る。弾性圧縮可能部材431は、ダイアフラム355とアノード支持体335との間のガス圧が特定の閾値ガス圧を超えたときには、ダイアフラム355がアノード支持体335との接触から離れるようにアノード支持体335から上方に変形又は膨張できるようにし、ダイアフラム355とアノード支持体335との間のガス圧が特定の閾値ガス圧未満に低下したときには、ダイアフラム355をアノード支持体335と接触した状態に戻るように平坦化させるか若しくは下方に収縮させるか、又はそのように付勢するように設計された構造体とすることができる。弾性圧縮可能部材431がダイアフラム355をアノード支持体335から離れるように屈曲できるようにし得る閾値ガス圧力と、弾性圧縮可能部材431がダイアフラム355をアノード支持体335と接触した状態に戻るように屈曲させ得る閾値ガス圧力とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。場合によっては、弾性圧縮可能部材431がダイアフラム355をアノード支持体335から離れるように屈曲させる閾値ガス圧力が、弾性圧縮可能部材431がダイアフラム355をアノード支持体335と接触した状態に戻るように屈曲させる閾値ガス圧力よりも有意に大きいことが有利であることがある。したがって、そのような場合には、電解ガス発生装置311の動作がいったん停止すると、ダイアフラム355とアノード支持体335との間のガス圧が有意に低下するまで、電解ガス発生装置311は再開しないであろう。これにより、電解ガス発生装置311が、その動作状態とオフ状態との間での、望ましくない繰り返しの切り替わり(stuttering back and forth)を防ぐことができる。
【0127】
本実施形態では、弾性圧縮可能部材431は、発泡体などの電気絶縁材料のブロック又は円盤を備え得る。そのような発泡体は、独立気泡発泡体であってよいし、連続気泡発泡体であってもよい。適切な発泡体の例には、ポリウレタン発泡体、及び連続気泡シリコーンゴム発泡体などのシリコーンゴム発泡体が含まれ得るが、これらに限定されるものではない。本実施形態では、弾性圧縮可能部材431は発泡体のブロックとすることができるが、弾性圧縮可能部材431は、それに限定されるものではなく、コイルばね、皿ばね、密閉型ガスポケット、外部から参照可能なガス充填ポートを備えたガスポケット、又はこれらの組み合わせなどの、しかしこれらに限定されない任意の種類の弾性圧縮性構造体であってもよい。
【0128】
電解ガス発生装置311は、封止スペーサ433をさらに備え得る。封止スペーサ433は、凹状中央部分を有した可撓性部材とすることができ、弾性圧縮可能部材431とアノード集電体353との間に配置され得る。封止スペーサ433は、アノード集電体353とハウジングとの間に必要とされ得る付加的な空間を補うために用いることができる。これは、例えば、弾性圧縮可能部材431が予想よりも厚く、ハウジング内に追加の空間を作る必要がある場合に当てはまる可能性がある。
【0129】
電解ガス発生装置311は、カソード集電体441をさらに備え得る。図31(a)及び図31(b)に個別に示したカソード集電体441は、電解ガス発生装置11のカソード集電体91と多くの点で類似し得る。カソード集電体441とカソード集電体91との相違の1つは、カソード集電体91が、比較的幅の広い近位部分105及び比較的幅の狭い遠位部分107を有する第1の延長部103を含むことができるのに対して、カソード集電体441は、略均一な幅を有する第1の延長部443を含むことができることであり得る。カソード集電体441とカソード集電体91との間の別の相違は、カソード集電体91が第2の延長部115を有することができるのに対し、カソード集電体441は第2の延長部を省略してもよいことであり得る。カソード集電体441とカソード集電体91との間のさらに別の相違は、カソード集電体91がより大きな直径の中央貫通孔99とより小さな直径の多数の細孔100とを有することができるのに対し、カソード集電体441は、中央貫通孔445と少数の細孔447とを備えることができ、貫通孔445及び細孔447は略同じ直径を有することができることであり得る。
【0130】
カソード集電体91に類似して、カソード集電体441は、延長部443の遠位端において出口449を有し、貫通孔445から出口449まで延在する内側空間451を有し得る。カソード集電体441は、カソード集電体91に類似して機能し得る。この目的のために、カソード集電体441は、好ましくは、カソード集電体441を通って案内される実質的にすべてのガスが入口445を通って進入し、内側空間451を通って移動し、出口449を通って出ることができるように、十分に非多孔性でガス不透過性である材料で作製されている。
【0131】
電解ガス発生装置311は、ハウジングベース451及びハウジングカバー453をさらに備えることができ、ハウジングベース451とハウジングカバー453とが、電解ガス発生装置311の他の構成要素の多くを保持するために用いられ得るハウジングを共に画定する。硬質で耐久性のある非電気伝導性材料で作製された単一構造とすることができるハウジングベース451は、下壁455、側壁457、及び開放した上部を含むような形状に形成され得る。下壁455は、液体の水などの流体がハウジングの内部に進入することができるように設計された1つ以上の開口部459を含むような形状に形成され得る。側壁457は、延長部369及び443が通過できるように設計された第1の開口部461を含むような形状に形成され得る。硬質で耐久性のある非電気伝導性材料で作製された単一構造とすることができるハウジングカバー453は、上部部分465及び下部部分467を含むような形状に形成され得る。複数の貫通孔468は、上部部分465及び下部部分467を通って延在することができる。貫通孔468は、外部(すなわち、ハウジングに対する)周囲圧力を電解ガス発生装置311の基準圧力として利用できるようにするために用いられ得る。換言すると、電解ガス発生装置311が体内にインプラントされる場合には、身体の圧力は、ダイアフラム355を押し付ける基準圧力として利用されるであろう。上部部分465は、ハウジングベース451のフットプリントに略一致するような形状に形成され、側壁457の上面の上に直接着座するように設計された下面を有し得る。下部部分467は、ハウジングベース451の内径に略一致するフットプリントを有するような形状に形成され、ハウジング内に積み重ねられた構成要素を圧縮するのを助けるために用いられ得る。これにより、ハウジングベース451及びハウジングカバー453は、電解ガス発生装置311の構成要素のためのハウジングを提供するように機能するだけでなく、エンドプレートとしても機能する。
【0132】
電解ガス発生装置311は、水制御膜481及び482をさらに備え得る。水制御膜481及び482は、カソード集電体アセンブリ441とハウジングベース451の下壁455との間に配置され得る。本実施形態では、水制御膜481は、安定で首尾一貫した水蒸気源を促進するために生物付着を防止する生体適合性膜とすることができる。水制御膜481としての使用に適し得る材料の例は、少なくともいくつかの細孔が直径3μm以上であり、好ましい厚さ範囲が30~50μmである延伸PTFEである。水制御膜482は、蒸気輸送膜の形態であってもよい。水制御膜482としての使用に適した材料の例には、ZITEX(登録商標)多孔質ポリテトラフルオロエチレン、GORE-TEX(登録商標)延伸ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンゴム、PTFE、及びTEFLON(登録商標)ポリテトラフルオロエチレンが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0133】
電解ガス発生装置311は、上述した方法で用いることができる。
【0134】
上記の本発明の実施形態は、単に例示であることが意図されており、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、本発明の実施形態に多くの変形及び修正をなすことができるものとする。そのようなすべての変形及び修正は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内にあることが意図されている。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12
図13(a)】
図13(b)】
図14
図15
図16(a)】
図16(b)】
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26(a)】
図26(b)】
図27(a)】
図27(b)】
図27(c)】
図28
図29(a)】
図29(b)】
図30
図31(a)】
図31(b)】