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特許7486447強化された輝度を有する蛍光橙色ラテックス、及びそれから作製されたトナー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】強化された輝度を有する蛍光橙色ラテックス、及びそれから作製されたトナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/09 20060101AFI20240510BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20240510BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G03G9/09
G03G9/087 331
G03G9/097 365
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021027982
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2021149096
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】16/822,438
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ル・チュンリアン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ヴィ.・グエン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・チ
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-138921(JP,A)
【文献】特開2018-017840(JP,A)
【文献】特開2011-150336(JP,A)
【文献】特開2002-244336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/09
G03G 9/08
G03G 9/087
G03G 9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、蛍光剤組み込み樹脂粒子と、を含む、蛍光橙色ラテックスであって、前記粒子が、樹脂と、赤色蛍光剤としてのソルベントレッド49と、黄色蛍光剤としてのソルベントイエロー98と、前記黄色蛍光剤の吸収スペクトルと重なる蛍光発光スペクトルを有する蛍光増白剤と、を含み、前記蛍光橙色ラテックスが、20:1~0.5:1の範囲の前記ソルベントイエロー98と前記ソルベントレッド49との重量比を有し、前記蛍光橙色ラテックスが、前記黄色蛍光剤を励起するための波長を有する光を用いた照明下でForster共鳴エネルギー移動(FRET)及び紫外線を用いた照明下でFRETを呈する、蛍光橙色ラテックス。
【請求項2】
前記蛍光増白剤の前記蛍光発光スペクトル及び前記黄色蛍光剤の前記吸収スペクトルが、30%~100%の重なりの程度を有する、請求項に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項3】
前記蛍光増白剤が、蛍光増白剤184である、請求項1に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項4】
前記赤色蛍光剤、前記黄色蛍光剤、及び前記蛍光増白剤の総量が、前記蛍光橙色ラテックスの重量の0.5重量%~5重量%の範囲であり、前記蛍光増白剤と前記赤色及び黄色蛍光剤との重量比が、1:10~1:0.5の範囲である、請求項に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項5】
前記粒子が、20nm~1000nmの範囲の平均サイズを有する、請求項1に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項6】
前記蛍光橙色ラテックスが、紫外線を用いた照明下で少なくとも155%のピーク反射率を呈する、請求項1に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項7】
前記樹脂が、2つの異なる種類の樹脂の組み合わせである、請求項1に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項8】
前記2つの異なる種類の樹脂が、2:3~3:2の重量比で存在する、請求項に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項9】
前記2つの異なる種類の樹脂が、2つの非晶性ポリエステル樹脂である、請求項に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項10】
前記2つの非晶性ポリエステル樹脂が、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルスクシネート)及びポリ(プロポキシレート-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルコハク酸-トリメリト酸無水物)である、請求項に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項11】
前記赤色蛍光剤、前記黄色蛍光剤、及び前記蛍光増白剤の総量が、前記蛍光橙色ラテックスの重量の0.5重量%~5重量%の範囲であり、前記蛍光増白剤と前記赤色及び黄色蛍光剤との重量比が、1:10~1:0.5の範囲であり、
前記樹脂が、2:3~3:2の重量比で存在する2つの異なる種類の非晶性樹脂の組合せである、請求項1に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項12】
前記蛍光増白剤が、蛍光増白剤184であり、前記2つの異なる種類の非晶性ポリエステル樹脂が、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルスクシネート)及びポリ(プロポキシレート-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルコハク酸-トリメリト酸無水物)である、請求項11に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項13】
前記粒子が、20nm~1000nmの範囲の平均サイズを有する、請求項12に記載の蛍光橙色ラテックス。
【請求項14】
前記蛍光橙色ラテックスが、紫外線を用いた照明下で少なくとも155%のピーク反射率を呈する、請求項13に記載の蛍光橙色ラテックス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
トナー用途のための従来の電子写真式印刷システムは、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)トナーステーションを含む、4つのステーションからなる。これら及び他の電子写真式印刷システムは、蛍光トナーを含む特殊な色を印刷するように作製され得る。様々な蛍光トナーが開発されてきたが、改善された蛍光トナーが望ましい。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、蛍光橙色ラテックス、並びに、蛍光橙色ラテックスから形成されるトナー及びインクジェット印刷組成物などの組成物を提供する。関連する方法もまた、提供される。
【0003】
一態様では、蛍光橙色ラテックスが提供される。実施形態では、蛍光橙色ラテックスは、水と、蛍光剤橙色組み込み樹脂粒子と、を含み、粒子は、樹脂と、赤色蛍光剤としてのソルベントレッド49と、黄色蛍光剤としてのソルベントイエロー98と、を含み、蛍光橙色ラテックスは、20:1~0.5:1の範囲のソルベントイエロー98とソルベントレッド49との重量比を有する。
【0004】
別の態様では、蛍光橙色トナーが提供される。実施形態では、蛍光橙色トナーは、蛍光剤橙色組み込み樹脂粒子を含み、粒子は、樹脂と、赤色蛍光剤としてのソルベントレッド49と、黄色蛍光剤としてのソルベントイエロー98と、を含み、蛍光橙色ラテックスは、20:1~0.5:1の範囲のソルベントイエロー98とソルベントレッド49との重量比を有する。
【0005】
別の態様では、蛍光橙色トナーの作製方法が提供される。実施形態では、このような方法は、赤色蛍光剤としてのソルベントレッド49と、黄色蛍光剤としてのソルベントイエロー98と、第1の種類の非晶性樹脂と、第2の種類の非晶性樹脂と、を含む、1つ以上の蛍光ラテックスを形成することであって、ソルベントイエロー98とソルベントレッド49が、20:1~0.5:1の範囲の重量比で存在する、形成することと、1つ以上の蛍光ラテックスと、結晶性樹脂、第1の種類の非晶性樹脂、第2の種類の非晶性樹脂を含む、1つ以上のエマルションと、任意選択的に、ワックス分散体と、を含む、混合物を形成することと、混合物を凝集させて、所定のサイズの粒子を形成することと、所定のサイズの粒子の上にシェルを形成して、コアシェル粒子を形成することと、コアシェル粒子を合体させて、蛍光橙色トナーを形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下、本開示の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【0007】
図1】例示的な実施形態による、蛍光橙色ラテックスの色チャネルデータを示す。TMA(toner mass area)は、0.5mg/cmであった。
【0008】
図2】例示的な実施形態による蛍光橙色トナーの反射スペクトルを示す。TMAは、0.5mg/cmであった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、蛍光橙色ラテックス、並びに、蛍光橙色ラテックスから形成されるトナー及びインクジェット印刷組成物などの組成物を提供する。関連する方法もまた、提供される。
【0010】
本発明の蛍光橙色ラテックスは、赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤が組み込まれた樹脂粒子である蛍光剤組み込み樹脂粒子を含む。トナーのためのいくつかの蛍光ラテックスが開発されてきたが、このようなラテックス及びトナーの輝度は限定されていた。本開示は、少なくとも部分的に、赤色蛍光剤としてのソルベントレッド49と、黄色蛍光剤としてのソルベントイエロー98との特定の蛍光剤対の使用に少なくとも部分的に基づく。この対は、対がForster共鳴エネルギー移動(FRET)を受けることができるため、特に有利であることが分かっている。したがって、この対は、FRET対と称され得る。FRET対を形成するために、黄色蛍光剤の発光スペクトルは、赤色蛍光剤の吸収スペクトルと十分に重複しなければならない。黄色蛍光剤を励起するために光を照射すると、励起された黄色蛍光剤は、非放射性エネルギー移動を介して赤色蛍光剤にエネルギーを移動させて、赤色蛍光剤から蛍光発光を誘導する。黄色蛍光剤の正規化された発光スペクトルと赤色蛍光剤の正規化された吸収スペクトルとの間の重なりの程度が大きいほど、FRET効率が大きくなり、蛍光ラテックス及び蛍光ラテックスから形成される組成物からの全体的な蛍光発光が大きくなる。ソルベントイエロー98及びソルベントレッド49の場合、重なりの程度は、非常に大きく、約90%よりも大きい。
【0011】
以下の実施例で実証されるように、ソルベントイエロー98及びソルベントレッド49対の更なる利点は、40~85の色チャネルa範囲、及び40~85の色チャネルb範囲によって規定される橙色空間に関する。(色チャネルa、bは、以下に更に説明される)。このFRET対は、この橙色空間内の非常に広い領域をカバーし、それによって、ソルベントイエロー160:1などの他の黄色蛍光剤と組み合わせたソルベントレッド49と比較して、橙色のはるかに広い色域を提供する。加えて、依然として橙色を提供しつつ(ソルベントイエロー160:1と比較して)はるかに多量のソルベントイエロー98を添加されてもよい。これにより、蛍光橙色ラテックス及びその組成物の反射率(輝度)が更に向上する。これは、以下の実施例においても実証される。
【0012】
実施形態では、本蛍光橙色ラテックスは、蛍光増白剤を更に含む。蛍光増白剤はまた、黄色蛍光剤、赤色蛍光剤、又はその両方と共に別のFRET対を形成するように選択されてもよい。更に、蛍光増白剤は、そのパートナーの吸収スペクトルとの所望の重なりの程度、例えば、5%よりも大きい、15%よりも大きい、20%よりも大きい、30%よりも大きい、又は30%~100%の範囲の重なりの程度を提供するように選択されてもよい。
【0013】
実施形態では、蛍光増白剤は、300nm~400nmの範囲にわたる吸収スペクトル、及び380nm~650nmの範囲にわたる発光スペクトルを有する。これは、300nm~380nmの範囲にわたる吸収スペクトルを有する蛍光増白剤を含む。これは、400nm~550nmの範囲にわたる発光スペクトルを有する蛍光増白剤を含む。蛍光増白剤は、380nm~700nmの範囲の光を吸収しないことも望ましい。「光を吸収しない」という句は、蛍光増白剤が人間の眼に無色であるという条件で、ゼロを包含するが、少量の吸収も包含する。
【0014】
FRET効率はまた、ドナー蛍光剤とアクセプタ蛍光剤分子との間の分離距離(d)(効率∝d-6)にも関連する。したがって、本蛍光橙色ラテックスにおいてFRETを実際に達成するために、赤色蛍光剤及び黄色蛍光剤と、存在する場合、蛍光増白剤とは、十分に近接し(すなわち、蛍光消光をもたらすほど高くはないが十分に高い濃度で存在する)、樹脂粒子中に均質に分布する。以下に更に説明されるような蛍光橙色ラテックスの形成方法は、そのような適切な濃度及び均質な分布を達成する。FRETの確認は、以下に更に説明されるように実行され得る。
【0015】
例示的蛍光増白剤としては、蛍光増白剤184、光学増白剤1(蛍光増白剤393)、光学増白剤2、光学増白剤3、光学増白剤C、光学増白剤OB、光学増白剤R、光学増白剤Hostalux KSN、光学増白剤Hostalux KCB、光学増白剤Telalux KSB、蛍光増白剤127,CBS-127、光学増白剤PF、光学増白剤UVT1、光学増白剤ST、光学増白剤OEF、光学増白剤RT、Tinopal CBS-X、DMS/AMS、CBS-155、378、367、368、185、199、199:1、199:2、光学増白剤ER-IV、光学増白剤ER-V、光学増白剤4BK、光学増白剤ER-I/ER-I L、光学増白剤ER-II/ER-II L、光学増白剤EBF/EBF-L、PF/DT、BA、CXT、R4、MST-L、BAC、SWN/AW-L、WGS、NFW、PC、BBU/BBU-L、VBL/VBL-Lが挙げられる。実施形態では、蛍光増白剤は、蛍光増白剤184である。異なる種類の蛍光増白剤の組み合わせが使用されてもよい。
【0016】
黄色及び赤色蛍光剤の相対量は、40~85の色チャネルa及び40~85の色チャネルbを達成するように選択される。この相対量は、20:1~0.3:1の範囲の黄色:赤色の重量比に相当する。これは、15:1~0.5:1、10:1~1:1、12:1~1:1、11:1~2:1、及び10:1~3:1の範囲の重量比を含む。存在する場合、蛍光増白剤の相対量は、赤色及び黄色蛍光剤の総量と比較して変化してもよい。実施形態では、(蛍光増白剤):(赤色及び黄色蛍光剤)の重量比は、1:200~1:0.01、1:50~1:0.05、又は1:10~1:0.5の範囲である。蛍光橙色ラテックス中の蛍光剤(赤色、黄色、及び存在する場合、増白剤)の総量は、蛍光橙色ラテックスの0.1重量%~10重量%であってもよい。これは、0.1重量%~8重量%、0.2重量%~6重量%、0.5重量%~5重量%、及び1重量%~2重量%の総量を含む。これらの範囲は、蛍光消光を防止しながらFRETを確実にするために適切な濃度を達成するのに有用である。
【0017】
樹脂
【0018】
本蛍光橙色ラテックスの樹脂粒子は、赤色及び黄色蛍光剤と、存在する場合、蛍光増白剤を含有するためのポリマーマトリックスを提供する。樹脂粒子は、2つ以上の異なる種類の樹脂を含んでもよい。樹脂は、非晶性樹脂、結晶性樹脂、非晶性樹脂の混合物、又は結晶性及び非晶性樹脂の混合物であってもよい。樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂の混合物、又は結晶性及び非晶性ポリエステル樹脂の混合物を含むポリエステル樹脂であってもよい。このセクションはまた、本蛍光橙色ラテックスから形成される組成物、例えば、トナーに含まれ得る樹脂も説明することに留意されたい。
【0019】
結晶性樹脂
【0020】
本明細書における樹脂は、任意選択的な触媒の存在下でジオールと二酸とを反応させることによって形成されるポリエステル樹脂であってもよい。結晶性ポリエステルを形成するための好適な有機ジオールとしては、それらの構造異性体を含め、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、これらの組み合わせなどの、約2~約36個の炭素原子を有する脂肪族ジオールが挙げられる。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約55モルパーセント、又は樹脂の約45~約53モルパーセントの量で選択され得、第2のジオールは、樹脂の約0~約10モルパーセント、又は樹脂の約1~約4モルパーセントの量で選択され得る。
【0021】
結晶性樹脂の調製のために選択されるビニル二酸又はビニルジエステルを含む有機二酸又はジエステルの例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、ジメチルフマラート、ジメチルイタコネート、シス,1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ジエチルフマラート、ジエチルマレエート、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸及びメサコン酸、これらのジエステル又は無水物が挙げられる。有機二酸は、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約52モルパーセント、又は樹脂の約45~約50モルパーセントの量で選択され得、第2の二酸は、樹脂の約0~約10モルパーセントの量で選択され得る。
【0022】
結晶性(並びに非結晶性)ポリエステルを形成するのに利用され得る重縮合触媒としては、テトラアルキルチタネート、ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートなどのテトラアルキルスズ、及びブチルスズオキシド水酸化物などのジアルキルスズオキシド水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。このような触媒は、例えば、ポリエステル樹脂を生成するために使用される出発二酸又はジエステルに基づいて、約0.01モルパーセント~約5モルパーセントの量で利用されてもよい。
【0023】
結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、これらの混合物などが挙げられる。特定の結晶性樹脂は、ポリ(エチレン-アジペート)、ポリ(プロピレン-アジペート)、ポリ(ブチレン-アジペート)、ポリ(ペンチレン-アジペート)、ポリ(ヘキシレン-アジペート)、ポリ(オクチレン-アジペート)、ポリ(エチレン-サクシネート)、ポリ(プロピレン-サクシネート)、ポリ(ブチレン-サクシネート)、ポリ(ペンチレン-サクシネート)、ポリ(ヘキシレン-サクシネート)、ポリ(オクチレン-サクシネート)、ポリ(エチレン-セバケート)、ポリ(プロピレン-セバケート)、ポリ(ブチレン-セバケート)、ポリ(ペンチレン-セバケート)、ポリ(ヘキシレン-セバケート)、ポリ(オクチレン-セバケート)、ポリ(デシレン-セバケート)、ポリ(デシレン-デカノエート)、ポリ(エチレン-デカノエート)、ポリ(エチレン-ドデカノエート)、ポリ(ノニレン-セバケート)、ポリ(ノニレン-デカノエート)、コポリ(エチレン-フマレート)-コポリ(エチレン-セバケート)、コポリ(エチレン-フマレート)-コポリ(エチレン-デカノエート)、コポリ(エチレン-フマレート)-コポリ(エチレン-ドデカノエート)、コポリ(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール-デカノエート)-コポリ(ノニレン-デカノエート)、ポリ(オクチレン-アジペート)、及びこれらの混合物などの、ポリエステル系であってもよい。ポリアミドの例としては、ポリ(エチレン-アジパミド)、ポリ(プロピレン-アジパミド)、ポリ(ブチレン-アジパミド)、ポリ(ペンチレン-アジパミド)、ポリ(ヘキシレン-アジパミド)、ポリ(オクチレン-アジパミド)、ポリ(エチレン-スクシンイミド)、ポリ(プロピレン-セバカミド)、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリイミドの例としては、ポリ(エチレン-アジピミド)、ポリ(プロピレン-アジピミド)、ポリ(ブチレン-アジピミド)、ポリ(ペンチレン-アジピミド)、ポリ(ヘキシレン-アジピミド)、ポリ(オクチレン-アジピミド)、ポリ(エチレン-スクシンイミド)、ポリ(プロピレン-スクシンイミド)、ポリ(ブチレンス-クシンイミド)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂は、以下の式(I)を有する。
【化1】
a及びbの各々は、1~12、2~12、又は4~12の範囲としてよく、更に、pは、10~100、20~80、又は30~60の範囲としてもよい。実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂は、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)であり、ドデカン二酸と1,6-ヘキサンジオールとの反応によって生成され得る。
【0025】
上記のように、開示された結晶性ポリエステル樹脂は、重縮合触媒の存在下で、好適な有機ジオールと好適な有機二酸とを反応させることによる重縮合プロセスによって調製され得る。有機ジオールと有機二酸との化学量論的等モル比を利用し得るが、有機ジオールの沸点が約180℃~約230℃である場合には、約0.2~1モル当量のエチレングリコール又はプロピレングリコールなどの過剰量のジオールを利用し、蒸留によって重縮合プロセス中に除去することができる。利用される触媒の量は様々であってもよく、例えば、結晶性ポリエステル樹脂の約0.01~約1又は約0.1~約0.75モルパーセントなどの量で選択することができる。
【0026】
結晶性樹脂は、種々の融点を有してよく、例えば、約30℃~約120℃、約50℃~約90℃、約60℃~約80℃とすることができる。結晶性樹脂は、ゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)によって測定すると、例えば、約1,000~約50,000、約2,000~約25,000、又は約5,000~約20,000の数平均分子量(number average molecular weight、Mn)、及びGPCによって決定すると、約2,000~約100,000、約3,000~約80,000、又は約10,000~約30,000の重量平均分子量(weight average molecular weight、Mw)を有し得る。結晶性樹脂の分子量分布(M/M)は、例えば、約2~約6、約3~15約5、又は約2~約4であってもよい。
【0027】
非結晶性樹脂
【0028】
樹脂を、任意選択的な触媒の存在下でジオールと二塩基酸とを反応させることによって形成される非結晶性ポリエステル樹脂であってもよい。非晶性ポリエステルの調製のために利用されるビニル二酸又はビニルジエステルを含む二酸又はジエステルの例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、トリメリト酸、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート、シス、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカンジ二酸、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルフタレート、無水フタル酸、ジエチルフタレート、ジメチルサクシネート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、ジメチルドデシルサクシネート、及びこれらの組み合わせなどの、ジカルボン酸又はジエステルが挙げられる。有機二塩基酸又はジエステルは、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約52モルパーセント、樹脂の約45~約50モルパーセントの量で存在してもよい。
【0029】
非結晶性ポリエステルの生成に利用され得るジオールの例としては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2-ジメチルプロパンジオール、2,2,3-トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)-ビスフェノールA、ビス(2-ヒドロキシプロピル)-ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2-ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。選択される有機ジオールの量は様々であってもよく、有機ジオールは、例えば、樹脂の約40~約60モルパーセント、樹脂の約42~約55モルパーセント、又は樹脂の約45~約53モルパーセントの量で存在してもよい。
【0030】
好適な非結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、ポリプロピレンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
不飽和非晶性ポリエステル樹脂が樹脂として利用されてよい。このような樹脂の例としては、米国特許第6,063,827号に開示されるものが挙げられ、その開示の全容が、参照により本明細書に組み込まれる。例示的な不飽和非晶質ポリエステル樹脂としては、限定するものではないが、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコフマレート)、ポリ(1,2-プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコマレエート)、ポリ(1,2-プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(ブチルオキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(コプロポキシル化ビスフェノールコエトキシル化ビスフェノールコイタコネート)、ポリ(1,2-プロピレンイタコネート)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
好適なポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシ化ビスフェノールAコフマラート)樹脂などの非晶性ポリエステルであってもよい。そのような樹脂及びそれらの製造のためのプロセスの例としては、米国特許第6,063,827号に開示されるものが挙げられ、その開示の全容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
好適なポリエステル樹脂としては、非結晶性酸性ポリエステル樹脂が挙げられる。非結晶性酸ポリエステル樹脂は、プロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化ビスフェノールA、テレフタル酸、フマル酸、及びドデセニルコハク酸無水物の任意の組み合わせ、例えばポリ(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルスクシネート)の系統としてもよい。使用し得る別の非結晶性酸ポリエステル樹脂は、ポリ(プロポキシレート-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルコハク酸-トリメリト酸無水物)である。
【0034】
樹脂として利用され得る直鎖状プロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂の例は、Resana S/A Industrias Quimicas,Sao Paulo,Brazilから商品名SPAMIIで入手可能である。利用され得る、市販されている、他のプロポキシル化ビスフェノールAフマラート樹脂としては、Kao Corporation,JapanからのGTUF及びFPESL-2、並びにReichhold,Research Triangle Park,N.C.からのEM181635などが挙げられる。
【0035】
非結晶性樹脂又は非結晶性樹脂の組み合わせは、約30℃~約80℃、約35℃~約70℃、又は約40℃~約65℃のガラス転移温度を有し得る。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定し得る。非結晶性樹脂は、GPCによって測定すると、例えば、約1,000~約50,000、約2,000~約25,000、又は約1,000~約10,000のMを有してもよく、GPCによって決定するときに、例えば、約2,000~約100,000、約5,000~約90,000、約10,000~約90,000、約10,000~約30,000、又は約70,000~約100,000のMを有し得る。
【0036】
本トナー中の樹脂(複数可)は、樹脂の末端に存在し得る酸基を有し得る。存在し得る酸基としては、カルボン酸基等が挙げられる。カルボン酸基の数は、樹脂を形成するために利用される材料及び反応条件を調整することによって制御してもよい。実施形態では、樹脂は、約2mgのKOH/gの樹脂~約200mgのKOH/g、約5mgのKOH/gの樹脂~約50mgのKOH/gの樹脂、又は約5mgのKOH/gの樹脂~約15mgのKOH/gの樹脂の酸価を有するポリエステル樹脂であってもよい。酸含有樹脂は、テトラヒドロフラン溶液中に溶解してもよい。酸価は、指示薬としてフェノールフタレインを含有するKOH/メタノール溶液で滴定することによって検出してもよい。酸価は、次に、滴定の終点として同定された樹脂上の全ての酸基を中和するのに必要なKOH/メタノールの相当量に基づいて計算してもよい。
【0037】
本蛍光橙色ラテックスは、単一種類の樹脂、例えば、単一の種類の非晶性ポリエステル樹脂、又は複数種類の樹脂、例えば、2つの異なる種類の非晶性ポリエステル樹脂を含んでもよい。このような実施形態では、非晶性ポリエステル樹脂のうちの1つは、他方よりも大きいM又はMを有する。2つの異なる種類の非晶性ポリエステル樹脂が使用される実施形態では、2つの種類の重量比は2:3~3:2であってもよい。これは、1:1の重量比を含む。代替的に、それぞれ異なる種類の非晶性ポリエステル樹脂を含む、2つの別個の蛍光橙色ラテックスが使用されてもよい。しかしながら、共に、蛍光橙色ラテックス(複数可)は、この重量比の範囲内で、2つの異なる種類の非晶性ポリエステル樹脂を提供する。これらの重量比は、樹脂粒子に組み込まれると、蛍光剤の均質な分布を確実にするために有用である。これはまた、FRETを促進しながら、蛍光消光を防止する。
【0038】
樹脂の総量は、蛍光橙色ラテックス中に、蛍光ラテックスの1重量%~60重量%の量で存在してもよい。これは、5重量%~50重量%、及び10重量%~40重量%の範囲の樹脂の総量を含む。
【0039】
上記のように、蛍光剤組み込み樹脂の形態は、粒子の形態である。粒子は、動的光散乱によって測定されるように、20nm~1000nmの範囲の平均サイズを有してもよい。
【0040】
他の成分
【0041】
本蛍光橙色ラテックスは、一般に、1つ以上の溶媒を更に含むが、それらは乾燥形態でも利用されてもよい。水が、典型的には溶媒として使用されるが、有機溶媒(複数可)が含まれてもよい。他の成分、例えば、1つ以上の種類の消泡剤、1つ以上の種類の界面活性剤、1つ以上の種類の殺生物剤を含んでもよい。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、Calfax/Dowfax、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。殺生物剤としては、Proxel GXL、Kathon殺生物剤、Bioban防腐剤、Rocima 586マイクロブレード、Ucarcide抗菌剤、Dowicide抗菌剤などが挙げられる。
【0042】
蛍光橙色ラテックスの調製
【0043】
蛍光剤組み込み樹脂粒子及びその粒子を含む蛍光橙色ラテックスは、以下のように調製されてもよい。混合物は、所望の蛍光剤、所望の樹脂、及び溶媒を組み合わせることによって形成されてもよい。溶媒は、1つ以上の種類の有機溶媒(アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、塩化メチレン、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、並びに水を含む溶媒系であってもよい。他の添加剤、例えば、1つ以上の種類の界面活性剤(上記「他の成分」を参照)及び1つ以上の種類の塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、重炭酸ナトリウム等を参照)が混合物に含まれてもよい。
【0044】
上記のように、所望の蛍光剤は、赤色蛍光剤と黄色蛍光剤の両方、及び1つ以上の種類の蛍光増白剤を含んでもよい。所望の樹脂は、2つ以上の種類の樹脂を含んでもよい。FRETを容易にするために、FRET対が同じ蛍光ラテックスに形成されることが望ましい。しかしながら、上記に述べたように、別個の蛍光ラテックス、例えば、黄色蛍光剤を含む一方の蛍光ラテックスと、赤色蛍光剤を含む他方の蛍光ラテックスが調製及び使用されてもよい。
【0045】
得られた蛍光剤/樹脂/溶媒混合物は、混合物が均質になるように混合中に、ある温度(例えば、30℃~80℃、40℃~75℃、45℃~70℃)まである時間(例えば、20分~5時間、30分~2時間、1時間)加熱される。混合中に樹脂を中和するために、追加の塩基が添加されてもよい。均質化を確実にし、所望のサイズを有する蛍光剤組み込み樹脂粒子を提供するために、混合が行われる。(混合及び均質化は、トナーに関して以下に更に説明される。)界面活性剤の量、及び/又は殺生物剤が添加されてもよい。最後に、有機溶媒が蒸留により除去されてもよい。このプロセス中に水が添加されて、所望の固形分を維持してもよい。得られた蛍光橙色ラテックスが使用されて、蛍光が所望される任意の種類の組成物を形成する。例示的な組成物としては、トナー及びインクジェット印刷組成物が挙げられ、それによって、このような組成物の蛍光をレンダリングする。これらの例示的な組成物は、以下に更に説明される。
【0046】
蛍光橙色ラテックスの蛍光、及び蛍光橙色ラテックス中で生じるFRETの存在は、製造元の指示に従って操作される分光濃度計(Hunter、X-Riteなど)又は蛍光分光計を使用して確認及び定量化されてもよい。これらの系が使用されて、明度L、色チャネル、a及びb、並びに蛍光橙色ラテックスの反射率を決定してもよい。明度Lに関して、CIELAB色空間(CIE Lとしても知られているか、又は時には、単に「Lab」色空間と略される)は、International Commission on Illumination(CIE)によって定義される色空間である。黒色(0)から白色(100)までの明度のL、緑色(-)から赤色(+)までのa、及び青(-)から黄色(+)までのbの3つの値として色を表す。
【0047】
3つのパラメータが測定されるので、空間自体それ自体は、無限に多くの取り得る色を可能にする3次元実数空間である。実際には、その空間は、通常、デジタル表現のための3次元整数空間上にマッピングされ、したがって、L、a、及びb値は、通常、予め定義された範囲で絶対的である。明度値Lは、L=0で最も暗い黒色を表し、L=100で最も明るい白色を表す。色チャネルa及びbは、a=0及びb=0で真のニュートラルグレー値を表す。a軸は、緑色-赤色成分を表し、負方向が緑色であり、正方向が赤色である。b軸は、青色-黄色成分を表し、負方向が青色であり、正方向が黄色である。a軸及びb軸のスケーリング及び限界値は、特定の実装に依存するが、多くの場合、±100又は-128~+127の範囲で実行される(符号付き8ビット整数)。
【0048】
上記のように、本蛍光橙色ラテックスは、40~85の色チャネルa及び40~85の色チャネルbによって特徴付けられる。ソルベントレッド49及びソルベントイエロー98の少なくとも1つのFRET対を有し、FRET(適切な濃度及び均質な分布による)を呈する蛍光橙色ラテックスは、赤色及び黄色蛍光剤の異なる組み合わせを有する比較蛍光ラテックス(例えば、ソルベントレッド49及びソルベントイエロー160:1)と比較して有意に高い明度L及び反射率の値を有すると特徴付けられる。明度L及び反射率は、蛍光増白剤を組み込むことによって更に大きくなる。
【0049】
トナー
【0050】
本発明のトナーを形成するために、上述した樹脂のいずれも、例えば、溶媒系転相乳化プロセスを使用することによって、エマルション(複数可)として提供されてもよい。次いで、エマルションは、例えば、エマルション凝集及び合体(EA)プロセスを使用することによって、トナーを形成するために原材料として利用され得る。しかしながら、トナーは、他のプロセスを用いて調製されてもよい。上記のように、上述した任意の蛍光橙色ラテックスが、トナー調製プロセスにおいて使用されて、蛍光橙色トナーを形成してもよい。
【0051】
トナーはまた、ワックスを含んでもよく、ワックスは、水中のワックスの別個の分散体としてトナーに組み込まれてもよい。しかしながら、トナーは、一般に、上述した蛍光剤以外に、任意の顔料又は任意の他の着色剤を含まない。
【0052】
ワックス
【0053】
任意選択的に、ワックスが、本トナーに含まれてもよい。1種類のワックス又は2つ以上の異なるワックスの混合物が使用されてもよい。例えば、トナー粒子の形状、トナー粒子表面上のワックスの存在及び量、帯電及び/又は融着特性、光沢、ストリッピング、オフセット特性などの特定のトナー特性を改善するために、単一のワックスを添加してもよい。代替的に、ワックスの組み合わせを添加して、複数の特性をトナー組成物に提供することができる。
【0054】
ワックスが含まれる場合、ワックスは、例えば、トナーの約1重量%~約25重量%、又はトナーの約5重量%~約20重量%の量で存在してもよい。
【0055】
ワックスが使用される場合、ワックスは、エマルション凝集トナーに従来使用されている様々なワックスのいずれかを含んでもよい。選択され得るワックスとしては、例えば、約500~約20000、又は約1,000~約10,000の平均分子量を有するワックスが挙げられる。使用され得るワックスとしては、例えば、Allied Chemical and Petrolite Corporationから市販されているような、直鎖状ポリエチレンワックスと分枝状ポリエチレンワックスを含むポリエチレン、直鎖状ポリプロピレンワックスと分枝状ポリプロピレンワックスを含むポリプロピレン、ポリメチレンワックス、ポリエチレン/アミド、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン/アミド、及びポリブテンワックスなどのポリオレフィン、例えば、Baker Petroliteから市販されているようなPOLYWAX(商標)ポリエチレンワックス、Michaelman,Inc.及びDaniels Products Companyから入手可能なワックスエマルション、Eastman Chemical Products,Inc.から市販されているEPOLENE N-15(商標)、並びにSanyo Kasei K.K.から入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレンのVISCOL 550-P(商標)、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ウルシワックス、及びホホバオイルなどの植物系ワックス、蜜蝋などの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレジン、パラフィンワックス、粗油の蒸留に由来するワックスなどの微結晶ワックス、シリコーンワックス、メルカプトワックス、ポリエステルワックス、ウレタンワックス、などのミネラル系ワックス及び石油系ワックス、変性ポリオレフィンワックス(カルボン酸末端ポリエチレンワックス又はカルボン酸末端ポリプロピレンワックスなど)、Fischer-Tropschワックス、ステアリルステアレート及びベヘニルベヘネートなどの高級脂肪酸及び高級アルコールから得られるエステルワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、グリセリドモノステアレート、グリセリドジステアレート、及びペンタエリスリトールテトラベヘネートなどの高級脂肪酸及び一価又は多価低級アルコールから得られるエステルワックス、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジグリセリルジステアレート、及びトリグリセリルテトラステアレートなどの高級脂肪酸及び多価アルコールマルチマーから得られるエステルワックス、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタン高級脂肪酸エステルワックス、並びにコレステリルステアレートなどのコレステロール高級脂肪酸エステルワックスが挙げられる。使用し得る官能化ワックスの例としては、例えば、アミン、アミド、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なAQUA SUPERSLIP 6550(商標)、SUPERSLIP 6530(商標)、フッ素化ワックス、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なPOLYFLUO 190(商標)、POLYFLUO 200(商標)、POLYSILK 19(商標)、POLYSILK14(商標)、脂肪族極性アミド官能化ワックスなどの混合フッ素化アミドワックス、ヒドロキシル化不飽和脂肪酸のエステル、例えば、これもまたMicro Powder Inc.から入手可能なMICROSPERSION 19(商標)、イミド、エステル、第四級アミン、カルボン酸又はアクリルポリマーエマルション、例えば、いずれもSC Johnson waxから入手可能なJONCRYL 74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)及び538(商標)、並びにAllied Chemical and Petrolite CorporationとSC Johnson waxから入手可能な塩素化ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。前述のワックスの混合物及び組み合わせもまた、実施形態で使用されてもよい。ワックスは、例えば、定着機ロール剥離剤として含まれてもよい。実施形態では、ワックスは、結晶性又は非結晶性であってもよい。
【0056】
実施形態では、トナーは、樹脂を含むエマルションと、赤色蛍光剤、黄色蛍光剤、及び存在する場合、蛍光増白剤(1つ以上の蛍光ラテックスとして提供されるが、好ましくはFRETを確実にするために1つ)と、任意選択的に、ワックス(別個の分散体として提供される)との混合物を凝集させ、次いで、混合物を合体させることなどによって、EAプロセスによって調製される。樹脂を含むエマルションは、1つ以上の樹脂を含んでもよく、又は異なる樹脂は、異なるエマルションとして提供されてもよい。樹脂を含むエマルション(複数可)は、一般に、蛍光剤を含まず、したがって蛍光剤がない。FRET対の均質な分布を確実にするために、並びに最終トナー中の蛍光消光なしにFRETを達成するために、EAプロセスでは、赤色黄色FRET対は、蛍光剤自体を混合物に単に添加するのとは対照的に、混合物の他の成分とは別個の1つ以上の蛍光ラテックス(好ましくは1つ)として提供される。
【0057】
次に、混合物が均質化されてもよく、毎分約600~約6,000回転で混合することによって達成されてもよい。均質化は、例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザを含む任意の好適な手段によって達成してもよい。凝集剤は、混合物に添加されてもよい。任意の好適な凝集剤を利用してもよい。好適な凝集剤としては、例えば、二価カチオン又は多価カチオン材料の水溶液が挙げられる。凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(polyaluminum chloride、PAC)などのポリアルミニウムハライド、又は対応する臭化物、フッ化物、若しくはヨウ化物などの無機カチオン性凝集剤、ポリアルミニウムスルホシリケート(polyaluminum sulfosilicate、PASS)などのポリアルミニウムシリケート、又は塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、オキシ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、及び硫酸銅を含む水溶性金属塩、又はこれらの組み合わせが挙げられる。凝集剤は、樹脂(複数可)のガラス転移温度(glass-transition temperature、Tg)未満の温度で混合物に添加されてもよい。凝集剤は、均質化下で混合物に添加されてもよい。
【0058】
凝集剤は、樹脂の総量の約0重量%~約10重量%、樹脂の総量の約0.2重量%~約8重量%、又は樹脂の総量の約0.5重量%~約5重量%の量で混合物に添加されてもよい。
【0059】
混合物の粒子を、所定の所望の粒径が得られるまで凝集してもよい。所定の所望のサイズとは、形成前に決定される際に得られる所望の粒径を指し、粒径は、そのような粒径に達するまで成長プロセス中に監視される。サンプルは、成長プロセス中に採取され、体積平均粒径について、例えば、Coulter Counterで分析してもよい。したがって、凝集は、高温を維持すること、又は温度を、例えば、実施形態では約30℃~約100℃、実施形態では約30℃~約80℃、又は実施形態では約30℃~約50℃に維持することによって進行してもよい。温度は、凝集粒子を提供するために、撹拌しながら、約0.5時間~約6時間、又は実施形態では約1~約5時間の期間保持されてもよい。所定の所望の粒径に達すると、(シェルは必要ではないが)シェルが添加されてもよい。シェルの適用前の粒子の体積平均粒径は、例えば、約3マイクロメートル(μm)~約10μm、実施形態では約4μm~約9μm、又は約6μm~約8μmであってもよい。
【0060】
シェル樹脂
【0061】
実施形態では、凝集後であるが合体前に、凝集粒子に樹脂コーティングを適用して、その上にシェルを形成し得る。上述した任意の樹脂をシェルに利用してもよい。実施形態では、非晶性ポリエステル樹脂がシェルに利用される。実施形態では、(異なる種類の)2つの非晶性ポリエステル樹脂がシェルに利用される。実施形態では、結晶性ポリエステル樹脂及び2つの異なる種類の非晶性ポリエステル樹脂がコアに利用され、2つの異なる種類の非晶性ポリエステル樹脂がシェルに利用される。シェル樹脂は、一般に、蛍光剤を含まず、したがって蛍光剤を含まない。
【0062】
シェルは、上述したようにエマルション(複数可)の形態でシェル樹脂を使用することによって、凝集粒子に適用され得る。このようなエマルションは、凝集粒子上にコーティングを形成するのに十分な条件下で凝集粒子と組み合わされてもよい。例えば、凝集粒子上のシェルの形成は、約30℃~約80℃、又は約35℃~約70℃の温度まで加熱しながら生じてもよい。シェルの形成は、約5分~約10時間、又は約10分~約5時間の期間にわたって行われてもよい。
【0063】
トナー粒子の所望のサイズが達成されると、混合物のpHは、pH制御剤、例えば、塩基を用いて、約3~約10、又は実施形態では約5~約9の値に調整されてもよい。pHの調整は、トナー成長を停止させる凍結に利用されてもよい。トナー成長を停止するために利用される塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、これらの組み合わせなどのアルカリ金属水酸化物などの任意の好適な塩基を挙げることができる。実施形態では、上記の所望の値にpHを調整するのを助けるために、エチレンジアミン四酢酸(ethylene diamine tetraacetic acid、EDTA)などのキレート剤を添加してもよい。他のキレート剤が使用されてもよい。
【0064】
実施形態では、コアシェルトナー粒子のサイズ(合体前)は、約3μm~約10μm、約4μm~約10μm、又は約6μm~約9μmであってもよい。
【0065】
合体
【0066】
所望の粒径への凝集及びシェルの適用(ある場合)に続いて、粒子は次いで、所望の最終形状に合体されてもよく、その合体は、例えば、約45℃~約150℃、約55℃~約99℃、又は約60℃~約90℃の温度に混合物を加熱する(この温度は、トナー粒子を形成するために利用される樹脂のガラス転移温度以上であってもよい)。加熱は継続してもよく、又は混合物のpHは、所望の円形度に達するように一定時間にわたって調節(例えば、低減)されてもよい。その時間は、約1時間~約5時間、又は約2時間~約4時間であってもよい。合体中に様々な緩衝剤を使用し得る。合体の総期間は、約1~約9時間、約1~約8時間、又は約1~約5時間としてもよい。攪拌は、合体中において、例えば、約20rpm~約1000rpm、又は約30rpm~約800rpmが利用され得る。
【0067】
凝集及び/又は合体後、混合物を室温まで冷却してもよい。冷却は、所望に応じて急速であっても遅くてもよい。好適な冷却プロセスは、反応器の周囲のジャケットに冷水を導入することを含んでもよい。冷却後、所望のサイズのふるいでトナー粒子を篩分けし、濾過し、水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。乾燥は、例えば凍結乾燥を含む任意の好適な乾燥プロセスによって達成されてもよい。
【0068】
トナーでは、蛍光剤(赤色、黄色、及び存在する場合、蛍光増白剤)の総量は、例えば、トナーの0.1重量%~10重量%の量で存在してもよい。これは、トナーの0.1重量%~8重量%、トナーの0.2重量%~6重量%、トナーの0.5重量%~5重量%、及びトナーの1重量%~2重量%の総量を含む。これらの範囲は、蛍光消光を防止しながらFRETを達成するために適切な濃度を確保するのに有用である。赤色及び黄色蛍光剤の相対量及び赤色及び黄色蛍光剤の総量に対する蛍光増白剤の相対量は、蛍光橙色ラテックスに関して上述したものであってもよい。
【0069】
実施形態では、結晶性樹脂は、例えば、トナーの約1重量%~約85重量%、トナーの約5重量%~約50重量%、又はトナーの約10重量%~約35重量%の量で存在してもよい。結晶性樹脂又は結晶性樹脂の組み合わせは、例えば、トナーの約5~約95重量%、トナーの約30~約90重量%、又はトナーの約35~約85重量%の量で存在してもよい。実施形態では、結晶性及び非晶性樹脂が使用され、樹脂の重量比は、非晶性樹脂の約80重量%~約60重量%、結晶性樹脂の約20重量%~約40重量%である。このような実施形態では、非結晶性樹脂は、異なる種類の非結晶性樹の組み合わせ、例えば、2つの異なる種類の非結晶性樹脂の組み合わせであってもよい。実施形態では、非晶性樹脂のうちの一方は、他方よりも大きいM又はMを有する。
【0070】
他の添加剤
【0071】
実施形態では、トナーはまた、他の任意選択的な添加剤を含有し得る。例えば、トナーは、正電荷又は負電荷制御剤を含んでもよい。表面添加剤も使用されてもよい。表面添加剤の例としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スズ、これらの混合物などの金属酸化物と、AEROSIL(登録商標)、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウム、これらの混合物などの脂肪酸の金属塩及び金属塩、UNILIN 700などの長鎖アルコール、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの表面添加剤は、トナーの約0.1%重量%~約5重量%、又はトナーの約0.25%重量%~約3重量%の量で存在してもよい。
【0072】
現像剤及び担体
【0073】
トナーは、現像剤組成物に配合されてもよい。現像剤組成物は、トナーを、鋼、フェライトなどのコーティングされた担体を含む既知の担体粒子と混合することによって調製することができる。このような担体としては、米国特許第4,937,166号及び同第4,935,326号に開示されているものが挙げられ、これらのそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。トナーは、約1重量%~約15%重量%、約2重量%~約8重量%、又は約4重量%~約6重量%の量で担体内に存在してもよい。担体粒子はまた、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)などのポリマーコーティングを有するコアも含むことができ、その中に導電性カーボンブラックのような導電性成分が分散されている。担体コーティングとしては、メチルシルセスキオキサンなどのシリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー、ポリフッ化ビニリデン及びアクリルなどの摩擦電気系列表(triboelectric series)で近接していない樹脂の混合物、アクリルなどの熱硬化性樹脂、これらの組み合わせ、及び他の既知成分が挙げられる。
【0074】
用途
【0075】
本発明のトナーは、様々な電子写真式プロセスで、様々な電子写真式プリンタと共に使用し得る。電子写真式イメージングプロセスには、例えば、帯電構成要素、イメージング構成要素、光導電性構成要素、現像構成要素、転写構成要素、及び定着構成要素を含む電子写真式プリンタで画像を調製することが含まれる。実施形態では、現像構成要素は、担体を本明細書に記載のいずれかのトナーと混合することによって調製される現像剤を含んでもよい。電子写真式プリンタは、高速プリンタ、白黒高速プリンタ、カラープリンタなどを含んでもよい。画像がトナー/現像剤で形成されると、画像はその後、紙などの画像受容媒体に転写され得る。定着機ロール部材は、熱及び圧力を使用することによって、トナーを画像受容媒体に定着させるために使用され得る。
【0076】
インクジェット印刷組成物
【0077】
本蛍光橙色ラテックスから形成され得る別の例示的な組成物は、インクジェット印刷組成物である。このような組成物は、インクジェット印刷システムを介して射出可能であるように構成されている。このような組成物は、開示した蛍光橙色ラテックス、溶媒(水など)、任意選択的に、共溶媒(水溶性又は水混和性有機溶媒など)、及び任意選択的に、界面活性剤、インクジェット印刷組成物の粘度を調整するための粘度調整剤、又はインクジェット印刷組成物の表面張力を調整するための表面レベリング剤などの添加剤のうちのいずれかを含んでもよい。所望の成分を所望の量で組み合わせるか、又は混合してもよい。インクジェット印刷組成物は、市販のインクジェット印刷システムと共に使用されてもよい。例示的な溶媒、共溶媒、添加剤、例示的な量、及び例示的なインクジェット印刷システムとしては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0367753号に記載されているものを含む。このようなインクジェット印刷組成物を使用して画像を形成する際、インクジェット印刷組成物は、インクジェット印刷システムを介して所望の基材上に堆積されてもよい。次いで、溶媒(複数可)が、堆積されたままのインクジェット印刷組成物から蒸発させられてもよい。
【実施例
【0078】
以下の実施例は、本開示の実施形態を説明するために提出される。これらの実施例は例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。本明細書全体を通して使用されるとき、「室温」は、20℃~25℃の温度を指す。
【0079】
蛍光ラテックスを以下のように調製した。120gの第1の種類の非晶性ポリエステル樹脂、80gの第2の種類の非晶性ポリエステル樹脂、1つ以上の種類の蛍光剤(下記表1参照)の混合物を、アセトン、酢酸エチル、及び水性アンモニア溶液の混合物(比率145/48/40g)に、40℃で2L反応器中で溶解させた。各混合物に追加の塩基溶液を添加して、ポリエステル樹脂を完全に中和した。約1時間後、均質化を完了した後、脱イオン水を各混合物に添加した。このプロセス中に、真空を適用することによって有機溶媒を除去し、水を添加して、所望の水の量を維持した(所望の固形分%を達成するために)。最後に、得られたエマルションを25μmのふるいを通して濾過した。エマルションの平均粒径は約250nmであり、固形分含量は約30%であった。エマルション中の総蛍光剤含量は、約1%であった。界面活性剤(Calfax)及び殺生物剤(Proxel GXL)を添加して、蛍光ラテックスを安定化させ、生物成長を防止した。
【0080】
【表1】
【0081】
蛍光トナーは、表1の蛍光ラテックス、及び表1の蛍光ラテックスの組み合わせを用いて作製した。本明細書に説明されるように、エマルション凝集プロセスを使用した。
【0082】
具体的には、各トナーについて、表1の蛍光ラテックスのうちの1つ以上と、結晶性ポリエステル樹脂を含む第1のエマルションと、第1の種類の非晶性ポリエステル樹脂を含む第2のエマルションと、第2の種類の非晶性ポリエステル樹脂を含む第3のエマルションと、組み合わせることによって、混合物が形成された。次に、混合物を酸性化した。次に、そのpHを5未満に調整した後、混合物を均質化しながら硫酸アルミニウム(ALS)溶液をゆっくりと添加した。得られた高粘度混合物を2L反応器に移動させ、温度を約45℃に上昇させることによって凝集を開始させた。粒径(D50v)が約7.0μmに達したときに、2つの非晶性ポリエステル樹脂を含有するエマルションを混合物に添加して、粒子上にシェルを形成し、粒子が継続的に成長することが可能となった。キレート剤(EDTA)及び塩基(NaOH)を添加することによって粒子を凍結させた。反応器の温度を、合体のために約84℃まで上昇させた。粒子が所望の円形度に達したときに加熱を停止した。粒子スラリーをクエンチし、次いで粒子をふるい分けし、真空下で濾過した。濾過された粒子を脱イオン水で洗浄し、凍結乾燥させた。
【0083】
Gretag X-rite型器具を使用して、紙に印刷された蛍光橙色トナーについて、色分析を行った。結果は、いくつかのトナーについて図1に示される。具体的には、図1の軸は、橙色空間をカバーする色チャネルa範囲及び色チャネルb範囲に対応し、いくつかの蛍光橙色トナーについて得られたa、b値はラベル付けされる。結果は、ソルベントイエロー98及びソルベントレッド49を含む蛍光橙色のラテックス(サンプル1~4)は、橙色空間のはるかに広い領域をカバーする蛍光橙色トナーを提供する、すなわち、ソルベントイエロー160:1及びソルベントレッド49を含む蛍光橙色ラテックス(サンプル5~6)と比較して、橙色のはるかに広い色域を提供することを示している。
【0084】
Gretag X-rite型器具を使用して、紙に印刷された蛍光トナーについて反射スペクトルを収集した。結果は、いくつかのトナーについて図2に示される。トナー1は、サンプル1の蛍光ラテックスを含む混合物から形成された。トナー2は、サンプル2の蛍光ラテックスを含む混合物から形成された。トナー3は、サンプル3の蛍光ラテックスを含む混合物から形成された。トナー4は、サンプル4の蛍光ラテックスを含む混合物から形成された。結果は、トナーからの橙色蛍光の発光を確認する。これらの結果はまた、ソルベントイエロー98及びソルベントレッド49を含む蛍光橙色トナーが橙色空間内の大きな領域をカバーすることを示している(ピーク反射率は約600nmから610nmにシフトする)。加えて、結果は、ピーク反射率(すなわち、ピークにおける反射率の値)は、ソルベントレッド49と比較して、より多くの量のソルベントイエロー98を使用することによって、増加させることができることを示している(SY98:SR49の比が10のトナー1を、SY98:SR49の比が6.25のトナー4、SY98:SR49の比が3のトナー3と比較する)。最後に、結果は、蛍光増白剤を含めることによって、ピーク反射率を更に増加させることができることを示している(SY98:SR49の比が同じ10のトナー1とトナー2を比較し、トナー1は、蛍光増白剤を有するが、トナー2は、蛍光増白剤を有しない)。ピーク反射率の増加は、蛍光増白剤とソルベントイエロー98との間に生じる更なるFRETに起因すると考えられる。
【0085】
上記で開示されたものの変形例、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されるであろう。様々な現在予期されない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、当業者によって後に行われてもよく、これらはまた、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
本発明のまた別の態様は、以下の通りであってもよい。
〔1〕水と、蛍光剤組み込み樹脂粒子と、を含む、蛍光橙色ラテックスであって、前記粒子が、樹脂と、赤色蛍光剤としてのソルベントレッド49と、黄色蛍光剤としてのソルベントイエロー98と、を含み、前記蛍光橙色ラテックスが、20:1~0.5:1の範囲の前記ソルベントイエロー98と前記ソルベントレッド49との重量比を有する、蛍光橙色ラテックス。
〔2〕前記蛍光橙色ラテックスが、前記黄色蛍光剤を励起するための波長を有する光を用いた照明下でForster共鳴エネルギー移動(FRET)を呈する、前記〔1〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔3〕前記黄色蛍光剤の吸収スペクトルと重なる蛍光発光スペクトルを有する蛍光増白剤を更に含む、前記〔1〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔4〕前記蛍光橙色ラテックスが、紫外線を用いた照明下でFRETを呈する、前記〔3〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔5〕前記蛍光増白剤の前記蛍光発光スペクトル及び前記黄色蛍光剤の前記吸収スペクトルが、30%~100%の重なりの程度を有する、前記〔3〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔6〕前記蛍光増白剤が、蛍光増白剤184である、前記〔1〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔7〕前記赤色蛍光剤、前記黄色蛍光剤、及び前記蛍光増白剤の総量が、前記蛍光橙色ラテックスの重量の0.5重量%~5重量%の範囲であり、前記蛍光増白剤と前記赤色及び黄色蛍光剤との重量比が、1:10~1:0.5の範囲である、前記〔3〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔8〕前記樹脂が、2つの異なる種類の樹脂の組み合わせである、前記〔1〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔9〕前記2つの異なる種類の樹脂が、2:3~3:2の重量比で存在する、前記〔8〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔10〕前記2つの異なる種類の樹脂が、2つの非晶性ポリエステル樹脂である、前記〔8〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔11〕前記2つの非晶性ポリエステル樹脂が、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルスクシネート)及びポリ(プロポキシレート-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルコハク酸-トリメリト酸無水物)である、前記〔10〕に記載の蛍光橙色ラテックス。
〔12〕蛍光剤組み込み樹脂粒子を含む蛍光橙色トナーであって、前記粒子が、樹脂と、赤色蛍光剤としてのソルベントレッド49と、黄色蛍光剤としてのソルベントイエロー98と、を含み、前記蛍光橙色ラテックスが、20:1~0.5:1の範囲の前記ソルベントイエロー98と前記ソルベントレッド49との重量比を有する、蛍光橙色トナー。
〔13〕前記黄色蛍光剤の吸収スペクトルと重なる蛍光発光スペクトルを有する蛍光増白剤を更に含み、前記蛍光橙色トナーが、UV光を用いた照明下でFRETを呈する、前記〔12〕に記載の蛍光橙色トナー。
〔14〕前記蛍光剤組み込み樹脂粒子、結晶性ポリエステル樹脂、及び任意選択的に、ワックスを含む、コアと、前記コアの上のシェルと、を更に含む、前記〔12〕に記載の蛍光橙色トナー。
〔15〕前記コアが、2つの非晶性ポリエステル樹脂を更に含む、前記〔14〕に記載の蛍光橙色トナー。
〔16〕前記2つの非晶性ポリエステル樹脂が、(プロポキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-フマラート-ドデセニルスクシネート)及びポリ(プロポキシレート-エトキシル化ビスフェノール-コ-テレフタレート-ドデセニルコハク酸-トリメリト酸無水物)である、前記〔15〕に記載の蛍光橙色トナー。
〔17〕前記結晶性ポリエステル樹脂が、式Iを有し、
【化2】
(式I)
式中、a及びbの各々が、1~12の範囲であり、pが、10~100の範囲である、請求項16に記載の蛍光橙色トナー。
〔18〕前記結晶性ポリエステル樹脂が、ポリ(1,6-ヘキシレン-1,12-ドデカノエート)である、前記〔17〕に記載の蛍光橙色トナー。
〔19〕蛍光橙色トナーを作製する方法であって、
赤色蛍光剤としてのソルベントレッド49と、黄色蛍光剤としてのソルベントイエロー98と、第1の種類の非晶性樹脂と、第2の種類の非晶性樹脂と、を含む、1つ以上の蛍光ラテックスを形成することであって、前記ソルベントイエロー98及び前記ソルベントレッド49が、20:1~0.5:1の範囲の重量比で存在する、形成することと、
前記1つ以上の蛍光ラテックスと、結晶性樹脂、前記第1の種類の非晶性樹脂、前記第2の種類の非晶性樹脂を含む、1つ以上のエマルションと、任意選択的に、ワックス分散体と、を含む、混合物を形成することと、
前記混合物を凝集させて、所定のサイズの粒子を形成することと、
前記所定のサイズの前記粒子の上にシェルを形成して、コアシェル粒子を形成することと、
前記コアシェル粒子を合体させて、蛍光橙色トナーを形成することと、含む、方法。
〔20〕前記〔12〕に記載の蛍光橙色トナーを使用する方法であって、
電子写真式プリンタを使用して、前記蛍光橙色トナーを含む画像を形成することと、
前記蛍光橙色トナーを含む前記画像を画像受容媒体に転写することと、
前記蛍光橙色トナーを前記画像受容媒体に融合させることと、を含む、方法。
図1
図2