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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】交流の整流と昇降圧回路及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H02M7/12 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021154635
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2022173040
(43)【公開日】2022-11-17
【審査請求日】2021-09-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】202110490506.5
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521416454
【氏名又は名称】深▲せん▼市斗索科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】武 君
【合議体】
【審判長】須田 勝巳
【審判官】山崎 慎一
【審判官】脇岡 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-198426(JP,A)
【文献】特開2010-148341(JP,A)
【文献】特開2002-233072(JP,A)
【文献】国際公開第2016/151851(WO,A1)
【文献】特開2001-025175(JP,A)
【文献】特開2008-259372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流の整流及び昇降圧制御システムであって、プロセッサと、記交流の転流信号を検出する転流検出回路と、前記交流の各相と対応して接続した上アーム回路及び下アーム回路と、を備え、前記上アーム回路がチョッパ回路で、前記下アーム回路がイッチ回路であり、前記チョッパ回路が前記交流内の各相とそれぞれ対応して接続する上ブリッジ素子を備え、前記スイッチ回路が各々前記上ブリッジ素子とそれぞれ接続する下ブリッジ素子を備え;
転流信号は、起電力ゼロ交差位置のゼロ交差信号又は前記起電力ゼロ交差位置より30度進んだ位置である自然転流点信号であり、前記プロセッサが前記転流信号に基づき現在出力電流及び/又は現在整流後の電圧に応じて、導通角制御信号を前記チョッパ回路に出力し、スイッチング制御信号を前記スイッチ回路に出力し、前記チョッパ回路及び前記スイッチ回路の導通・遮断時間を調整して、前記現在出力電流及び現在整流後の電圧を調整し、
前記チョッパ回路は、各々前記交流のA相、B相、C相と対応して接続する第1上ブリッジ素子、第2上ブリッジ素子及び第3上ブリッジ素子を備え、前記第1上ブリッジ素子は、直列且つ方向違いに接続される第1-1の電界効果トランジスタと第1-2の電界効果トランジスタを備え、前記第2上ブリッジ素子は、直列且つ方向違いに接続される第2-1の電界効果トランジスタと第2-2の電界効果トランジスタを備え、前記第3上ブリッジ素子は、直列且つ方向違いに接続される第3-1の電界効果トランジスタと第3-2の電界効果トランジスタを備え、
前記スイッチ回路は、それぞれ前記第1上ブリッジ素子、第2上ブリッジ素子及び第3上ブリッジ素子と対応して接続された第1下ブリッジ素子、第2下ブリッジ素子及び第3下ブリッジ素子を備え、各前記下ブリッジ素子は、それぞれ第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチを備え、
前記プロセッサは、スイッチ駆動回路を介して前記第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチと接続し、前記第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチは電界効果トランジスタであり、前記プロセッサは、スイッチ駆動回路を介して各々前記交流のA相、B相、C相に対応する前記第1-1の電界効果トランジスタ、第1-2の電界効果トランジスタ、第2-1の電界効果トランジスタ、第2-2の電界効果トランジスタ、第3-1の電界効果トランジスタ及び第3-2の電界効果トランジスタと接続し、
前記プロセッサは、前記転流信号に基づき、対応する相の前記チョッパ回路の各前記上ブリッジ素子及び前記スイッチ回路の各前記下ブリッジ素子をそれぞれ制御し、対応する相の前記第1-1の電界効果トランジスタ、第1-2の電界効果トランジスタ、第2-1の電界効果トランジスタ、第2-2の電界効果トランジスタ、第3-1の電界効果トランジスタ、第3-2の電界効果トランジスタ、第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチの導通・遮断時間を調整する、
ことを特徴とする、交流の整流及び昇降圧制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交流の整流及び昇降圧制御システムの交流制御方法であって、
電流検出回路で検出された現在出力電流、及び電圧帰還回路で検出された現在整流後の電圧を得るステップと、
転流検出回路で検出された転流信号を得、前記転流信号に基づき前記現在出力電流及び/又は前記現在整流後の電圧に応じて導通角制御信号を交流の上アーム回路に各々出力し、スイッチング制御信号を前記交流の下アーム回路に出力するステップと、
目標転流シーケンスに応じて、前記上アーム回路内の各上ブリッジ素子及び前記下アーム回路内の各下ブリッジ素子を導通し、前記上ブリッジ素子と前記下ブリッジ素子の導通・遮断時間を調整して前記現在出力電流及び現在整流後の電圧を調整するステップと、
を含むことを特徴とする、交流制御方法。
【請求項3】
前記転流信号に基づき前記現在出力電流及び/又は前記現在整流後の電圧に応じて前記導通角制御信号を前記交流の前記上アーム回路に各々出力し、前記スイッチング制御信号を前記交流の前記下アーム回路に出力する前記ステップは、
現在電力需要値に基づいて遅延比率を決定し、前記転流信号を前記遅延比率に従い遅延させ、遅延後の前記転流信号に基づいて前記現在出力電流及び/又は前記現在整流後の電圧に応じて前記導通角制御信号を前記交流の前記上アーム回路に出力し、前記スイッチング制御信号を前記交流の前記上アーム回路に出力するステップを含む、
ことを特徴とする、請求項に記載の交流制御方法。
【請求項4】
前記下ブリッジ素子は、電界効果トランジスタであり、前記スイッチング制御信号を前記交流の前記上アーム回路に出力する前記ステップは、
前記スイッチング制御信号を前記交流の前記下アーム回路内の前記電界効果トランジスタに出力するステップと、
前記交流の電圧振幅が負荷電圧より低い場合、又は前記交流の周波数が設定値より低く、前記現在出力電流が設定値より小さい場合、BOOST昇圧回路及び前記交流内部のインダクタンスを介して昇圧するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の交流制御方法。
【請求項5】
各前記上ブリッジ素子は、ドレインとソースが方向違いに接続される2つのNチャネル型電界効果トランジスタを備え、前記下ブリッジ素子が電界効果トランジスタであることを特徴とする、請求項2に記載の交流制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流の整流と昇降圧回路及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の交流整流は、整流ダイオードブリッジであるが、制御できず、上下アームがいずれもサイリスタであるため、降圧しかできなかった。
【0003】
通常、出力する直流を交流圧が高い時降圧できたり、交流圧が低い時昇圧したりする必要があるが、従来のこの2つの方法は、兼備できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術的問題を解決するため、本発明は、構造が単純、スマートで、効率がより高い交流の整流と昇降圧回路及びその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために講じた本発明の実施形態の技術的手段は、次のとおりである。
交流の整流及び昇降圧制御システムは、プロセッサと、前記プロセッサと前記交流との間を接続する転流検出回路と、前記交流の各相と対応して接続した上アーム回路及び下アーム回路と、を備え、前記上アーム回路がチョッパ回路で、前記下アーム回路が前記プロセッサと前記チョッパ回路との間を接続するスイッチ回路であり、前記チョッパ回路が前記交流内の各相とそれぞれ対応して接続する上ブリッジ素子を備え、前記スイッチ回路が各々前記上ブリッジ素子とそれぞれ接続する下ブリッジ素子を備え;
前記転流検出回路は、転流信号を検出し、前記プロセッサが前記転流信号に基づき現在出力電流及び/又は現在整流後の電圧に応じて、導通角制御信号を前記チョッパ回路に出力し、スイッチング制御信号を前記スイッチ回路に出力し、前記チョッパ回路及び前記スイッチ回路の導通・遮断時間を調整して、前記現在出力電流及び現在整流後の電圧を調整する。
【0006】
交流制御方法であって、
電流検出回路で検出された現在電流、及び電圧帰還回路で検出された現在整流後の電圧を得るステップと、
転流検出回路で検出された転流信号を得、前記転流信号に基づき前記現在出力電流及び/又は前記現在整流後の電圧に応じて導通角制御信号を交流の上アーム回路に各々出力し、スイッチング制御信号を前記交流の下アーム回路に出力するステップと、
目標転流シーケンスに応じて、前記上アーム回路内の上ブリッジ素子及び前記下アーム回路内の下ブリッジ素子を導通し、前記上ブリッジ素子と前記下ブリッジ素子の導通・遮断時間を調整して前記現在出力電流及び現在整流後の電圧を調整するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によって提供される交流の整流と昇降圧回路システム及び交流制御方法は、交流の各相に対応して接続する上アーム回路及び下アーム回路の設置を通じて、プロセッサが前記転流検出回路を介して転流信号を検出した時、現在出力電流及び/又は現在整流後の電圧により導通角制御信号を前記チョッパ回路に出力し、スイッチング制御信号を前記スイッチ回路に出力し、前記チョッパ回路及び前記スイッチ回路の導通・遮断時間を調整して現在出力電流と現在整流後の電圧を調整できる。従来の技術的手段と比較して、導通電圧降下を減少させ、発電効率を向上させることができ、前記交流制御システム全体の構造単純で、出力が柔軟で可変であり、交流効率は高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における交流の整流及び昇降圧制御システムの原理図である。
図2-6】異なる実施形態によって提供される交流の整流及び昇降圧制御システムの概略図である。
図7】一実施形態における交流制御方法のフローチャートである。
図8】一実施形態における自然転流点での転流の論理特性グラフである。
図9】一実施形態における起電力ゼロ交差での転流の論理特性グラフである。
図10-11】上アームAと下アームB’が導通された時、下アームA’箇所のPWMチョッピングboost昇圧時A’箇所でスイッチングした時の電流図である。
図12】Boost前後の出力電圧の概略図である。
図13】交流巻線の等価回路図である。
図14-15】巻線への充電、巻線への充電停止及び放電・昇圧の電流図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、明細書の図面及び具体的実施形態を参照しつつ本出願の技術的手段を詳細に説明する。
【0010】
異なって定義されない限り、本明細書で使用される技術的用語又は科学的用語は、当該技術分野において通常の知識を有する者によって理解されるものと同一の意味を有する。本発明の明細書で使用されるすべての用語は、単に実施形態を説明するための目的として例示されたものであって、本発明の実施形態だけに限定されるものではない。本明細書で使用される「及び/又は」用語は、1つ又は複数の、関連して列挙されている項目のあらゆる組み合わせも含む。
【0011】
なお、本考案の説明において、用語「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが示した方位又は位置関係は、単に本考案を簡単に説明しやすくするためであり、示された装置又は部材が必ず特定の方位を有し、又は特定の方位で構成され操作することと指示又は示唆するものではないので、本考案に対する限定と理解してはいけない。本考案において、特に説明される場合を除く、「複数」とは2つ以上のことを意味する。
【0012】
本考案に明記及び指定されていない限り、用語「取り付けられた」、「結合された」、「接続された」は、広義に解釈すべきであり、例えば、固結であってもよく、取り外し可能な接続又は一体になり;直接的接続であり得、中間要素を介して間接的に結合してもよく、2つの要素内部の連通であり得る。当業者にとって、具体的状況に応じて本考案における上記用語の具体的意味を理解することができる。
【0013】
図1を参照すると、本出願の実施形態によって提供される交流の整流及び昇降圧制御システムの原理図で、交流10と、交流10とバッテリー11との間を接続される交流の整流及び昇降圧制御システムと、を備える。前記交流制御システムは、プロセッサ12と、プロセッサ12と交流10との間を接続される転流検出回路17と、交流10と接続する整流回路と、前記プロセッサ12と前記整流回路との間を接続される電流検出回路13と、前記プロセッサ12と前記整流回路との間を接続される電圧帰還回路14と、を備える。前記整流回路は、交流10の各相と対応して接続する上アーム回路及び下アーム回路を備える。ここで、前記上アーム回路は、チョッパ回路15で、前記下アーム回路が前記プロセッサ12と前記チョッパ回路15との間を接続されるスイッチ回路16である。
【0014】
上記実施形態において、整流回路は、交流の各相と対応して接続する上アーム回路及び下アーム回路を備え、上アーム回路がチョッパ回路15で、下アーム回路が前記プロセッサ12と前記チョッパ回路15との間を接続されるスイッチ回路16であり、各相巻線の下アーム内のスイッチ回路16の設置を介して、スイッチ回路16の開閉によって、チョッパ回路15とスイッチ回路16で形成される分岐の導通又は遮断を調整することで、異なる発電電圧を調整し、損失を低減できる。
【0015】
ここで、前記チョッパ回路15は、前記交流内の各相と各々対応して接続する上ブリッジ素子を備え、前記スイッチ回路16が前記上ブリッジ素子と各々接続する下ブリッジ素子を備え、前記上ブリッジ素子がサイリスタ又は電界効果トランジスタで、前記下ブリッジ素子が電界効果トランジスタ、ダイオード或いはサイリスタであり得る。図2と併せて参照すると、交流の整流及び昇降圧制御システムの回路概略図であり、前記チョッパ回路15は、前記交流内の各相と各々対応して接続するサイリスタSCR1、SCR2、SCR3を備える。前記プロセッサ12は、前記転流検出回路17を介して転流信号を検出し、前記転流信号に基づいて、現在出力電流及び/又は現在整流後の電圧に応じて導通角制御信号を前記チョッパ回路15に出力し、スイッチング制御信号を前記スイッチ回路16に出力し、前記サイリスタSCR1、SCR2、SCR3及び前記スイッチ回路16の導通・遮断時間を調整して、前記現在出力電流と前記現在整流後の電圧を調整する。ここで、スイッチ回路16内の下ブリッジ素子は、好ましくは電界効果トランジスタQ1、Q2、Q3であり得、ダイオードと比較して、電界効果トランジスタの採用は導通の電圧降下を低減し、発電効率を向上することができる。図3乃至図6を参照すると、異なる実施形態における交流の整流及び昇降圧制御システムの回路概略図であり、図3に示すように、上ブリッジ素子は、サイリスタSCR1、SCR2、SCR3であり得、各下ブリッジ素子が並列に接続する2つの電界効果トランジスタQ1~Q6を備えるため、調整範囲を広げることができる。図4に示すように、上ブリッジ素子は、ダイオードD1~D3を用い、下ブリッジ素子が電界効果トランジスタQ1~Q3を用いる。図5に示すように、上ブリッジ素子及び下ブリッジ素子は各々電界効果トランジスタQ1~Q6を用い、上ブリッジ素子及び下ブリッジ素子の対応する2つの電界効果トランジスタのドレインとソースは方向違いに接続され、ここで、上アームは電界効果トランジスタを用い、スイッチング速度がサイリスタよりも速くなり、サイリスタのスイッチングが遅いことで引き起こされる過度の高電圧及び過度の逆電流の現象を防ぐことができる。任意選択的に、2つの下ブリッジ素子は、各々電流サンプリング抵抗R2、R3を加え得、電流サンプリング抵抗R2、R3がプロセッサの第3サンプリングポートAD3及び第4サンプリングポートAD4とそれぞれ接続し、電流サンプリング抵抗を介して電流を検出でき、電流が過大となった時昇圧を停止させる。下アームのサンプリング抵抗の代わりに、上アームにおいて電流センサーによる電流検出を用いる方法を選択してもよく、これにより上アームの電流値をより正確に得ることができる。図6に示すように、各上ブリッジ素子は、2つのNチャネル型電界効果トランジスタを備え、2つの電界効果トランジスタのドレインとソースが方向違いに接続されている。具体的に1つのNチャネル型電界効果トランジスタの接続方法としてドレインが上にあり、ソースが下にあり、もう1つの電界効果トランジスタの接続方法としてドレインが下にあり、ソースが上にあり、この回路を通じてモータの運転を駆動してPWM速度調整を行うことができる。
【0016】
一つの任意選択的な実施形態において、転流信号は、ゼロ交差情報であり、前記転流検出回路17がゼロ交差検出回路で、前記交流の相電圧のゼロ交差情報を検出し、検出されたゼロ交差情報に基づきA相、B相、C相の三相巻線電圧の位相関係を確定する。前記プロセッサ12は、前記転流検出回路17を通じて前記交流の相電圧現在値を検出し、前記交流内のある相の電圧が零点の場合、前記プロセッサ12が現在電流及び/又は現在整流後の電圧に応じて導通角制御信号を前記チョッパ回路15及びスイッチ回路16に出力し、前記チョッパ回路15内のサイリスタ及びスイッチ回路16内のスイッチの導通・遮断時間を調整することによって、前記現在電流及び/又は現在整流後の電圧を調整し、前記転流検出回路17が別の相の電圧を検出し、再びゼロ交差の場合さらに同じ論理制御を繰り返す。前記プロセッサ12は、前記交流10内のA、B、Cの三相電圧のゼロ交差信号に応じて、AB、AC、BC、BA、CA、CBの関係に従ってチョッパ回路15内のサイリスタ及びスイッチ回路16内の電界効果トランジスタを順次導通し、対応する前記チョッパ回路15と前記スイッチ回路16が位置する整流分岐とを導通させる。別の任意選択的な実施形態において、転流検出回路17によって検出された転流信号は自然転流点信号であり、自然転流点信号とは起電力ゼロ交差位置より30度進んだ位置を意味する。前記転流検出回路17は、交流の各相設定位置にそれぞれ取り付けられたホールセンサーを備える。
【0017】
任意選択的に、前記交流10は、三相交流10であり、前記チョッパ回路15が各々前記三相交流のA相巻線、B相巻線、C相巻線と対応して接続する第1サイリスタSCR1、第2サイリスタSCR2及び第3サイリスタSCR3を含む。前記スイッチ回路16は、各々前記第1サイリスタSCR1、第2サイリスタSCR2及び第3サイリスタSCR3と対応して接続する第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチを含み、前記プロセッサ12がスイッチ駆動回路を介して前記第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチに接続される。ここで、プロセッサ12は、複数の入力/出力端を備え、スイッチ回路16がプロセッサ12の入力/出力端とチョッパ回路15との間を接続し、説明及び区別の便宜のため、スイッチ回路16と接続するプロセッサ12の複数の入力/出力端(I/O)を第7入力/出力端I/O7、第8入力/出力端I/O8及び第9入力/出力端I/O9と各々表示する。前記第1スイッチは、第7入力/出力端I/O7と第1サイリスタSCR1との間を接続し、前記第2スイッチが第8入力/出力端I/O8と第2サイリスタSCR2との間を接続し、第3スイッチが第9入力/出力端I/O9と第3サイリスタSCR3との間を接続する。プロセッサ12は、転流検出回路17を通じて交流の相電圧が正弦波の正の半周期にあることを検出した時、導通角制御信号を対応する相の上アームのサイリスタに出力して前記サイリスタの導通・遮断時間を制御して電圧調整が行われる。プロセッサ12は、転流検出回路17を通じて相電圧が正弦波の負の半周期にあることを検出した時、第7入力/出力端I/O7、第8入力/出力端I/O8と第9入力/出力端I/O9を介して各々駆動信号を出力して、対応する相の下アームのスイッチをオンにし、サイリスタと対応するスイッチによって形成される分岐を導通することで、電圧降下によってもたらされる損失を低減し、整流効率を向上することができる。ここで、前記第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチは、各々電界効果トランジスタである。
【0018】
任意選択的に、整流回路は、前記プロセッサ12と前記チョッパ回路15との間を接続するチョッパ駆動回路をさらに備える。プロセッサ12は、導通角制御信号をチョッパ駆動回路に出力し、チョッパ駆動回路を通じて各相の上アームのサイリスタの導通・遮断を制御する。ここで、プロセッサ12は、複数の入力/出力端を備え、チョッパ駆動回路がプロセッサ12の入力/出力端とチョッパ回路15との間を接続し、説明及び区別の便宜のため、チョッパ駆動回路と接続するプロセッサ12の複数の入力/出力端を第4入力/出力端I/O4、第5入力/出力端I/O5及び第6入力/出力端I/O6と表示する。任意選択的に、整流回路は、プロセッサ12と各スイッチとの間を接続するスイッチ駆動回路をさらに備え、プロセッサ12が第7入力/出力端I/O7、第8入力/出力端I/O8と第9入力/出力端I/O9を介して各々駆動信号をスイッチ駆動回路に出力し、スイッチ駆動回路が各相の下アームのスイッチのオンオフを制御する。
【0019】
任意選択的に、前記交流制御システムは、前記プロセッサ12と前記チョッパ回路15との間を接続する電流検出回路13をさらに備える。前記交流制御システムは、前記プロセッサ12と前記チョッパ回路15との間を接続する電圧帰還回路14をさらに備える。ここで、前記プロセッサ12は、複数の帰還端を備え、説明及び区別の便宜のため、電圧帰還回路14と接続するプロセッサ12の帰還端を第1帰還端AD1と表示し、電流検出回路13と接続するプロセッサ12の帰還端を第2帰還端AD2と表示する。プロセッサ12は、電流検出回路13を介して整流回路から出力された現在電流をリアルタイムで検出でき、ならびに電圧帰還回路14を介して整流回路から出力された現在整流後の電圧をリアルタイムで検出でき、転流検出回路17は相電圧が正弦波の正の半周期にあることを検出した時、整流回路から出力された電圧帰還値及び出力された電流検出値に基づいて、マッチする導通角制御信号を対応する相の上アームのサイリスタに出力して電圧調整が行われる。
【0020】
任意選択的に、前記転流検出回路17は、各々前記交流内の各相と一対一で対応する複数の転流検出回路を備える。ここで、プロセッサ12は、複数の入力/出力端を備え、転流検出回路17がプロセッサ12の入力/出力端と交流との間を接続し、説明及び区別の便宜のため、転流検出回路17と接続する前記プロセッサ12の複数の入力/出力端を第1入力/出力端I/O1、第2入力/出力端I/O2と第3入力/出力端I/O3と表示する。各相と一対一で対応する転流検出回路17の設置を介して、各相の正負の半周期を独立して検出・判定して、制御精度を向上させることもできる。
【0021】
本出願の上記実施形態によって提供される交流制御システムは、それぞれ各相巻線の上アーム回路及び下アーム回路としてチョッパ回路15及びスイッチ回路16を用い、各相の電流が正の半周期又は負の半周期にあることを検出することによって下アームのスイッチ回路16の導通・遮断を制御して、各相の電流が負の半周期にある過程でチョッパ回路15の電圧降下によってもたらされる損失を大幅に低減し、制御方法がより柔軟になり、整流効率を向上する。
【0022】
図7を参照すると、本出願の実施形態は、またプロセッサに応用され、ステップS101~S105を含む交流制御方法をさらに提供する、
電流検出回路13で検出された現在出力電流、及び電圧帰還回路14で検出された現在整流後の電圧を得るステップS101、
転流検出回路17で検出された転流信号を得、前記転流信号に基づき前記現在出力電流及び/又は前記現在整流後の電圧に応じて導通角制御信号を交流10の上アーム回路15に各々出力し、スイッチング制御信号を前記交流10の下アーム回路16に出力するステップS103、
目標転流シーケンスに応じて、前記上アーム回路15内の上ブリッジ素子及び前記下アーム回路16内の下ブリッジ素子を導通し、前記上ブリッジ素子と前記下ブリッジ素子の導通・遮断時間を調整して前記現在出力電流及び現在整流後の電圧を調整するステップS105。
【0023】
上記実施形態において、プロセッサ12は、前記転流検出回路17を介して転流信号を検出した時、現在出力電流及び/又は現在整流後の電圧により導通角制御信号を前記上アーム回路15に出力し、スイッチング制御信号を前記下アーム回路16に出力し、上ブリッジ素子及び下ブリッジ素子の導通・遮断時間を調整して現在出力電流と電圧を調整でき、出力が柔軟で可変であり、効率は高くなる。
【0024】
ここで、上アーム回路15は、導通・遮断時間が調整可能なサイリスタ又は電界効果トランジスタを用いることができ、下ブリッジ素子が異なる応用ニーズに応じて電界効果トランジスタ、ダイオード或いはサイリスタを選択できる。上アーム回路15は、電流が巻線から流出するチャネルであり、上アーム回路15内のサイリスタの一方向導通を介して実現する。下アーム回路16は、電流が巻線に流入するチャネルであり、下ブリッジ素子が好ましくは電界効果トランジスタを用いて電流をモータの巻線に還流させ、電界効果トランジスタのゲート(G極)を介して導通を制御する時、下アームの電圧降下を低減でき、下アームがダイオード、サイリスタを用いた時の電圧降下に比べてより小さくなり、且つ電界効果トランジスタにはフリーホイールダイオードがあり、自体に下アームを介して電流を還流させる機能があり、電界効果トランジスタの導通が還流チェネルを増やし、下アームの電圧降下を低くなることができ、消費電力も低下されるだけではなく、起電力が低い時に発電出力が可能になる。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記下ブリッジ素子は、電界効果トランジスタで、前記転流信号が自然転流点信号であり、又は前記下ブリッジ素子はダイオードで、前記転流信号がゼロ交差信号であり、或いは前記下ブリッジ素子はサイリスタで、前記転流信号がゼロ交差信号又は自然転流点信号である。ここで、ゼロ交差信号とは、起電力ゼロ交差位置を意味する。自然転流点信号とは、起電力ゼロ交差位置より30度進んだ位置を意味する。下アームが電界効果トランジスタの場合、転流戦略は、自然転流点転流であり、図8が自然転流点転流の論理特性のグラフを示す。交流がABCの順に変化すると仮定した場合、1サイクルの6つの自然転流点の転流シーケンスはAB’、AC’、BC’、BA’、CA’、CB’であり、出力電圧を比較的安定させる。逆に、交流がCBA方向に変化すると仮定した場合、転流シーケンスは、逆シーケンスCB’、CA’、BA’、BC’、AC’、AB’になる。下アームがサイリスタの場合、転流戦略は、自然転流点転流又は起電力ゼロ交差転流であり、図9が起電力ゼロ交差転流の論理特性のグラフを示す。ゼロ交差転流を用いると、より高い電圧点で転流し、起電力が低すぎる時にも発電させることができ、電圧が低すぎるとサイリスタが転流して誤動作するのを防ぐことができる。下アームがサイリスタの場合、転流戦略は、自然転流点転流又は起電力ゼロ交差転流であり得、各々前記実施形態で採用された転流戦略と似る技術的効果を有し、ここではその説明を省略する。
【0026】
任意選択的に、ステップS105の前に、交流内のA相、B相及びC相の電圧変化の方向に従って導通シーケンスを確定し、前記導通シーケンスに従って各転流の間に転流の重なりを追加して目標転流シーケンスを得るステップをさらに含む。さらに、交流がABCの順に回転することを例にすると、1サイクル内の各相の巻線の導通シーケンスは、AB’、AC’、BC’、BA’、CA’、CB’となり、各転流の間に転流の重なりを追加して得られた目標転流シーケンスがAB’、AB’C’、AC’、ABC’、BC’、BC’A’、BA’、BCA’、CA’、CA’B’、CB’、CAB’となる。転流の重なりを使用した後、二相導通を先に三相導通に遷移させてから別の二相導通になるため、転流遷移がよりスムーズになり、電流電圧の変動を小さくさせる。追加された転流の重なりは、サイリスタが最大電力の導通角にある時に使用することで、性能をさらに向上させることができる。
【0027】
ここで、転流検出回路17は、ホールセンサー(Hall素子)を用いることができ、転流信号がゼロ交差信号の場合、転流検出回路17はHall素子を用いて起電力ゼロ交差位置に設けることができ、転流信号が自然転流点信号の場合、転流検出回路17はHall素子を用いて起電力ゼロ交差位置の30度前に設けられることができる。任意選択的に、転流検出回路17もゼロ交差検出回路を用いて三相巻線の相電圧を収集し、相電圧と三相中心点電圧を比較してゼロ交差を得ることができる。
【0028】
任意選択的に、転流検出回路17で検出された転流信号を得るステップの前に、
前記現在整流後の電圧により、起電力が設定値よりも高いかどうかを判断するステップと、
前記起電力が設定値より高い場合、前記転流検出回路17で検出された自然転流点信号を転流信号として得るステップと、
前記起電力が設定値より低い場合、前記転流検出回路で検出されたゼロ交差信号を転流信号として得るステップと、
を含む。
【0029】
起電力が低い場合、ゼロ交差転流の転流戦略を用い、起電力が高い場合に自然転流点転流の転流戦略を用いることで、出力がより柔軟、可変で、効率をさらに向上させることができる。
【0030】
任意選択的に、前記転流信号に基づき前記現在出力電流及び/又は前記現在整流後の電圧に応じて導通角制御信号を交流の上アーム回路15に各々出力し、スイッチング制御信号を前記交流の下アーム回路16に出力するステップは、
現在電力需要値に基づいて遅延比率を決定し、前記転流信号を前記遅延比率に従い遅延させ、遅延後の前記転流信号に基づいて前記現在出力電流及び/又は前記現在整流後の電圧に応じて導通角制御信号を交流の上アーム回路15に出力し、スイッチング制御信号を前記交流の下アーム回路16に出力するステップを含む。
【0031】
通常、現在電力需要値が電力需要の最大値又は一定の電力閾値を超えた時、転流遅延を実施せず、転流信号を得直後に転流して導通する。現在電力需要値が小さい場合、現在電力需要値のリアルタイム変換と最大電力需要値との比によって遅延比率を決定し、前記転流信号を前記遅延比率に従い遅延させ、サイリスタを一定時間に遅延してから導通するよう制御でき、この遅延時間に対応する位相角がサイリスタの導通角であり、導通角の調整を介して出力電圧と電力を最大から最小まで変化させることができる。
【0032】
任意選択的に、前記転流信号に基づき前記現在出力電流及び/又は前記現在整流後の電圧に応じて導通角制御信号を交流の上アーム回路15に各々出力し、スイッチング制御信号を前記交流の下アーム回路16に出力するステップは、
フォワード推定戦略により転流点の角度を事前に設定し、事前に設定されている転流点に基づいて前記現在出力電流及び/又は前記現在整流後の電圧に応じて導通角制御信号を交流の上アーム回路15に出力し、スイッチング制御信号を前記交流の下アーム回路16に出力するステップを含む。
【0033】
フォワード推定戦略は、プロセッサ12のタイミング、Hall素子の位置及び交流周波数の関係に基づき決定できる。フォワード推定戦略により転流信号の角度を事前に設定し、転流信号の誤差によりもたらされる問題を避けることができる。
【0034】
任意選択的に、前記下ブリッジ素子は、電界効果トランジスタであり、スイッチング制御信号を交流の下アーム回路16に出力するステップは、
スイッチング制御信号を前記交流10の下アーム回路16内の電界効果トランジスタに出力するステップと、
交流10の電圧振幅が負荷電圧より低い場合、又は交流10の周波数が設定値より低く、現在出力電流が設定値より小さい場合、BOOST昇圧回路及び交流10内部のインダクタンスを介して昇圧するステップと、
を含む。
【0035】
負荷電圧は、充電待ちのバッテリー11の電圧であり得る。プロセッサ12は、PWMチョッピングを介して昇圧を調整し、電流、電圧、回転速度のフィードバックを介して昇圧する必要があるか、適切かどうかを判断することもできる。例えばA、B’の2つのブリッジ回路に起電力があるが、振幅が小さく、VDCより小さく、この時A、B’の2つのブリッジ回路のG極を制御して、導通させる。上アームがサイリスタの場合、順方向電圧が不足するため、上アームAは導通できず、逆方向にも導通せず、下アームB’が導通できるが、還流を形成できない。下アームA’(Q1)をターンオンした場合、電流が下アームB’からB相の巻線に還流することができ、A相の正起電力で発生した電流をGNDに流れ短絡を引き起こすことはなく、ループがないため、VDC端から電流が流れず、この時間帯で下アームA’に対しチョッパ制御を行うと、boost昇圧の動作モードを形成できる。下アームA’が導通した時、下アームA’から下アームB’に巻線を充電し、比較的大きな電流を生成する。下アームA’が遮断された時、巻線内の電流が流し続け、より大きなAB’逆起電力が発生して上アームAのサイリスタを遮断することができる。このように、下アームA’が導通している時エネルギーが蓄積され、上アームAの第1サイリスタSCR1は、順方向電圧降下がないため、遮断し、上アームA’遮断時に第1サイリスタSCR1をオンにさせることで、充電待ちのバッテリー11に充電する。
【0036】
サイリスタのスイッチング周波数が比較的低いため、PWMチョッピングの周波数も高すぎない、サイリスタの最大周波数の約半分(例えば1KHz)を選択する方が適切である。図10及び図11を参照すると、AB’が導通した時、下アームA’箇所のPWMチョッピングboost昇圧時下アームA’箇所でそれぞれターンオンとターンオフした時の電流図である。図12を参照すると、Boost昇圧前後の出力電圧の概略図である。ABC相の元の逆起電力がいずれもVDCより小さく、PWMチョッピングboost昇圧を経た後、高電圧スパイク(電圧振幅がVDCより大きい)が生じることで、バッテリーに充電でき、ここで、適したPWM周波数を選択し、PWMデューティサイクルを調整し、Boost出力電圧の大きさを調整できる。
【0037】
各転流過程のBoostシーケンスについて、元の転流シーケンスは、AB’、AC’、BC’、BA’、CA’、CB’であり、Boost昇圧の方法が上アームをターンオンした時、以下に示すように対応する下アームを選択してPWMチョッピングを行う。
AB’(下アームA’PWMチョッピング)、
AC’(下アームA’PWMチョッピング)、
BC’(下アームB’PWMチョッピング)、
BA’(下アームB’PWMチョッピング)、
CA’(下アームC’PWMチョッピング)、
CB’(下アームC’PWMチョッピング)
【0038】
図13乃至図15を参照すると、発電時にBoost昇圧の原理を次に説明する。
【0039】
図13は、交流巻線の等価回路図で、Veが巻線両端の電圧で、Emfが交流の元の起電力である。VLは、巻線の自己誘導起電力で、VL=L×di/dt。Ve=Emf+VL。
【0040】
図14は、巻線への充電の電流図で、図15は巻線への充電停止及び放電昇圧の電流図であり、A、A’、B’がターンオンした時、巻線に充電する。A’のPWM内のオン段階に対応する。
【0041】
A、A’、B’がターンオフし、A’がターンオフする時(PWM内のオフ段階)、電流iが存在するため、A’の遮断によりiが小さくなり、自己誘導起電力の原理に基づき、巻線が元の電流方向に沿う自己誘導起電力VLを発生し、これにEmfを加えることで、VDCより大きくなると、バッテリーに充電できる。
【0042】
適切なPWM周波数を選択し、PWMのデューティサイクルを調整することで、Veのサイズを調整できる。
【0043】
再度図4を参照すると、上ブリッジ素子もダイオードを用い、発電時の昇圧も実現できる。モータの起電力が低すぎる時、下アームに対応する電界効果トランジスタを介してBoost昇圧できる。上アームは、制御できないため、回路が自然転流点に基づき各相のシーケンスを変更でき、上記の回路転流シーケンスと同じである。Boost昇圧の方式も上記の回路Boost昇圧方式と同じであるため、ここでその説明を省略する。
【0044】
再度図5を参照すると、前記上ブリッジ素子及び下ブリッジ素子は、各々Nチャネル型電界効果トランジスタであり、前記上ブリッジ素子と下ブリッジ素子の配置方向が逆で、各上アーム内のNチャネル型電界効果トランジスタの上に各々ダイオードが接続される。具体的に、上アームNチャネル型電界効果トランジスタの配置方向は、D極が下にあり、S極が上にある。下アームNチャネル型電界効果トランジスタの配置方向は、D極が上にあり、S極が下にある。ここで、上ブリッジ素子内の各Nチャネル型電界効果トランジスタの上に各々ダイオードを設けることもできる。上アームがMOSトランジスタを用いる利点は、スイッチング周波数がサイリスタよりも速く、サイリスタのスイッチングが遅いことで引き起こされる過度の高電圧及び過度の逆電流の現象を防ぐことができる。昇圧時、昇圧方法は、前記のBoost昇圧方法と同じであり、上ブリッジ素子がサイリスタのスイッチングを上アームの電界効果トランジスタのスイッチングに変更するだけである。降圧時の導通角制御は、基本回路の導通角制御方法と同じであり、上アームのサイリスタの導通角制御を上アームMOSトランジスタの導通角制御に変更するだけで、上アームは同様に電界効果トランジスタを用いることで、サイリスタのスイッチングが遅いことで引き起こされる過度の高電圧及び過度の逆電流の現象を防ぐことができる。
【0045】
再度図6を参照すると、各上アームは、ドレインとソースが方向違いに接続される2つのNチャネル型電界効果トランジスタを用いた場合、発電時に回路の昇降圧機能を備え、モータを駆動させた時、この回路を用いてモータのPWM速度調整・運転を行うことができる。
【0046】
本発明では具体的実施形態を前述の通り開示したが、本発明の保護範囲はこれら実施形態により何ら限定されるものではない。当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明が開示する技術を脱しない範囲内で変化や置換を容易に想到することができ、かかる変化や置換が本発明の保護範囲内に網羅する。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0047】
10 交流
12 プロセッサ
15 チョッパ回路(上アーム回路)
16 スイッチ回路(下アーム回路)
17 転流検出回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15