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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】包装機を制御するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B65B57/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021512646
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019070933
(87)【国際公開番号】W WO2020048703
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】18193255.9
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・カルタビアーノ
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036723(JP,A)
【文献】特開2005-266936(JP,A)
【文献】特開2005-321881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00
B65G 43/00
G05B 15/02
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器を操作するように構成されている独立可動物体(301、302)を含む包装機(300)を制御する方法(100)であって、前記独立可動物体(301、302)は、先頭物体(301)と後続物体(302)を含み、前記独立可動物体(301、302)は、トラック(304)に沿って前記独立可動物体(301、302)の位置を制御するように構成されている制御ユニット(303)と通信し、前記独立可動物体(301、302)の各々は、それぞれの物体体積(301’、302’)を占め、且つ前記トラック(304)の座標系(x)でそれぞれの物体座標(x、x)を有し、前記方法は、
前記座標系の第1の方向(306)において前記座標系の区分(305)に沿って前記先頭物体(301)及び前記後続物体(302)の物体体積(301’、302’)を移動させるステップ(101)であって、前記後続物体(302)の前記物体体積(302’)は、前記第1の方向(306)に対して前記先頭物体(301)の前記物体体積(301’)の上流にある、ステップ(101)
を含み、前記区分(305)に沿った前記先頭物体(301)の物体座標(x)の規定の複数の間隔において、前記方法は、
前記複数の間隔の各間隔にわたって前記先頭物体及び前記後続物体の前記物体座標(x、x)間の最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)のセットを判定するステップ(102)であって、それにより、前記先頭物体及び前記後続物体の前記物体体積(301’、302’)によって占められる空間は、前記セットにおける各最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)ごとに異なり、前記物体体積(301’、302’)間の重複がない、ステップ(102)、
前記セットにおける各最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)で前記後続物体の物体座標(xa2、xa3、xa4)を登録するステップ(103)、
前記後続物体の前記物体座標(xa2、xa3、xa4)及び第1の関数(d)における対応する前記最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を関連付けるステップ(104)
を含み、それにより、前記トラック(304)に沿って前記後続物体(302)を移動させるために、前記制御ユニット(303)により、前記後続物体(302)に後に通信される選択物体座標(x)について、前記方法は、
前記第1の関数(d)から対応する最小離隔距離(dma)を判定するステップ(105)、
前記第1の関数(d)からの前記最小離隔距離(dma)を、前記選択物体座標(x)と、前記後続物体(302)の移動方向に対して前記後続物体(302)の下流の最も近い可動物体(301)の物体座標(x)との間の得られた離隔(d)と比較して(106)、前記得られた離隔(d)を前記最小離隔距離(dma)よりも小さい又は大きいと判定するステップ(107)
を含み、
前記得られた離隔(d)が前記最小離隔距離(dma)よりも小さい場合、修正物体座標(xmod )を前記制御ユニット(303)に送信するステップ(108)であって、それにより、前記修正物体座標(xmod )は、得られた離隔(d)が前記最小離隔距離(dma)よりも大きい状態で前記後続物体(302)を前記トラック上に位置決めする、ステップ(108)を含む、方法(100)。
【請求項2】
前記最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を判定するステップは、
前記先頭物体(301)の前記物体体積(301’)と接触するまで、前記後続物体(302)の前記物体体積(302’)を前記第1の方向(306)に移動させるステップ(102’)、
前記座標系に沿って規定の隙間(g)で前記先頭物体及び前記後続物体の前記物体体積(301’、302’)を変位させるステップ(102’’)、
前記変位後、前記先頭物体及び前記後続物体の前記物体座標間の得られた差(xa2-xb1;xb2-xa3;xb3-xa4)として前記最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を判定するステップ(102’’’)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
定の間隔(xb1、xb2、xb3)における前記先頭物体の各物体座標(x)について、前記最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)が判定されるまで、前記後続物体の前記物体体積(302’)を前記先頭物体の前記物体体積(301’)に向かって移動させながら、前記先頭物体の前記物体体積(301’)の位置を維持するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記先頭物体及び前記後続物体の前記物体体積(301’、302’)の各々について、複数の接触領域(307、307、308、308’)を規定するステップ(101’)、
前記後続物体の前記物体体積(302’)を、
前記後続物体の前記物体体積(302’)の前記接触領域(307、307’)のいずれかが前記先頭物体の前記物体体積(301’)と交差するまで、又は
前記先頭物体の前記物体体積(301’)の前記接触領域(308、308’)のいずれかが前記後続物体の前記物体体積(302’)と交差するまで
移動させるステップ(101’’)
を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記トラック(304)は、無限ループであり、物体座標の規定の間隔(xb1、xb2、xb3)は、前記無限ループを囲む前記座標系の区分(305)に沿って規定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の方向(306)に移動される前記物体体積(301’、302’)について、最小離隔距離の第1の関数(d )を判定するステップ(109)、
前記第1の方向(306)と逆の第2の方向(309)に移動される前記物体体積(301’、302’)について、最小離隔距離の第2の関数(d )を判定するステップ(110)
を含み、前記第1の方向(306)における前記先頭物体は、前記第2の方向(309)における前記後続物体である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記物体体積(301’、302’)は、仮想体積であり、及び前記座標系における前記物体体積(301’、302’)の前記移動は、仮想移動である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の関数(d)は、前記仮想移動から判定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実行する処理ユニット(201)を備えたシステム(200)。
【請求項10】
プログラムがコンピュータによって実行されると、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを前記コンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器を操作するように構成されている独立可動物体を有する包装機を制御するシステム及び包装機を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装容器生産ラインでコンベヤトラックに沿って包装容器を移送する場合、例えば包装容器の動作を制御する様々なシステムが存在する。このような包装容器の動作軌道の操作は、スループットの増加が望ましい高速生産ラインにおける幾つかの課題に関連付けられる。包装容器は、生産ラインで実行される一連の動作を受ける。様々な動作は、包装容器のグループを異なる用途(例えば、密封又は包装動作)に向けるために、例えば包装容器の位置の操作(例えば、包装容器の主な流れから包装容器のグループを移動させる)を必要とすることがある。リニアモーター技術に基づくコンベヤシステムは、これらの状況で包装容器を操作するために提案されている。これらのコンベヤシステムは、典型的には、閉ループトラック及びトラックに沿って複数のソレノイドを個々に制御することにより、トラックに沿って独立に移動される複数の可動物体又はカートを含む。独立可動物体又はカートを制御して、様々な動作で包装容器を連動させる。
【0003】
機械における多くの独立可動物体(例えば、包装容器を操作する可動物体又はカート)を様々な手順で再配置若しくは較正するか、又は別の方法で手動変位させる必要がある製造業(例えば、包装産業)で問題が生じる。物体が包装機でトラックに沿って独立に移動できるため、物体間の衝突の関連するリスクがある。更に、独立可動物体の各々は、典型的には、トラック上の現在の場所に応じて異なる構成を想定する多くの移動要素を含む。これは、トラック上の上述の場所に応じて、向き及び形状又は機械において独立可動物体の各々によって占められる体積のばらつきを引き起こす。独立可動物体の構成は、物体がトラックに沿って移動する場合の上記の変動性に加えて、このようなシステムを利用する様々な用途に大きく左右されるため、衝突のリスクに対処する以前の解決策は、実施するのが複雑で面倒である。従って、カスタマイズ、保守及び較正動作は、資源量の増加を要求し、可動物体間の衝突のリスクの増加に関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、先行技術の1つ又は複数の制限を少なくとも部分的に克服することである。特に、目的は、包装機を制御する改良された方法及びシステム、特にそのような独立可動物体の較正及び再配置手順中、包装機においてトラックに沿って独立に可動な物体間の衝突のリスクを減らすことができる改良された方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様において、これは、包装容器を操作するように構成されている独立可動物体を含む包装機を制御する方法であって、独立可動物体は、トラックに沿って独立可動物体の位置を制御するように構成されている制御ユニットと通信し、可動物体の各々は、それぞれの物体体積を占め、且つトラックの座標系でそれぞれの物体座標を有する、方法によって達成される。方法は、座標系の第1の方向において座標系の区分に沿って先頭物体及び後続物体の物体体積を移動させるステップであって、後続物体の物体体積は、第1の方向に対して先頭物体の物体体積の上流にある、ステップを含み、区分に沿った先頭物体の物体座標の規定の間隔において、方法は、間隔にわたって先頭物体及び後続物体の物体座標間の最小離隔距離のセットを判定するステップであって、それにより、先頭物体及び後続物体の物体体積によって占められる空間は、セットにおける各最小離隔距離について異なる、ステップ、セットにおける各最小離隔距離で後続物体の物体座標を登録するステップ、後続物体の物体座標及び第1の関数における対応する最小離隔距離を関連付けるステップを含み、それにより、トラックに沿って選択可動物体を移動させるために、制御ユニットにより、選択可動物体に後に通信される選択物体座標について、方法は、第1の関数から対応する最小離隔距離を判定するステップ、第1の関数からの最小離隔距離を、前記選択物体座標と、選択可動物体の移動方向に対して選択可動物体の下流の最も近い可動物体の物体座標との間の得られた離隔と比較して、得られた離隔を最小離隔距離よりも小さい又は大きいと判定するステップを含む。
【0006】
本発明の第2の態様において、これは、包装機であって、包装機のトラックに沿って独立可動物体の位置を制御するように構成されている制御ユニットを有する包装機を制御するシステムであって、独立可動物体は、包装容器を操作するように構成されており、可動物体の各々は、それぞれの物体体積を占め、且つトラックの座標系でそれぞれの物体座標を有する、システムによって達成される。システムは、制御ユニットと通信するように構成されている処理ユニットであって、座標系の第1の方向において座標系の区分に沿って先頭物体及び後続物体の物体体積を移動させることであって、後続物体の物体体積は、第1の方向に対して先頭物体の物体体積の上流にある、移動させることを行うように構成されている処理ユニットを含み、区分に沿った先頭物体の物体座標の規定の間隔において、処理ユニットは、間隔にわたって先頭物体及び後続物体の物体座標間の最小離隔距離のセットを判定することであって、それにより、先頭物体及び後続物体の物体体積によって占められる空間は、セットにおける各最小離隔距離について異なる、判定することを行うように構成されている。処理ユニットは、セットにおける各最小離隔距離で後続物体の物体座標を登録すること、後続物体の物体座標及び第1の関数における対応する最小離隔距離を関連付けることを行うように構成されており、それにより、トラックに沿って選択可動物体を移動させるために、制御ユニットにより、選択可動物体に後に通信される選択物体座標について、処理ユニットは、第1の関数から対応する最小離隔距離を判定すること、第1の関数からの最小離隔距離を、前記選択物体座標と、選択可動物体の移動方向に対して選択可動物体の下流の最も近い可動物体の物体座標との間の得られた離隔と比較して、得られた離隔を最小離隔距離よりも小さい又は大きいと判定することを行うように構成されている。
【0007】
本発明の第3の態様において、これは、プログラムがコンピュータによって実行されると、第1の態様による方法のステップをコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品によって達成される。
【0008】
本発明の第4の態様において、これは、第2の態様によるシステムを含む包装機及び/又は第1の態様による方法を実行する包装機によって達成される。
【0009】
本発明の更なる例が従属請求項で規定され、第1の態様に関する特徴は、第2の態様及び後の態様のために実施され得、逆も同様である。
【0010】
間隔にわたって先頭物体及び後続物体の物体座標間の最小離隔距離のセットを判定し、物体座標及び第1の関数における対応する最小離隔距離を関連付けることにより、選択物体が移動するように意図されているトラック上の特定の座標に関連付けられる後の最小離隔を判定する。従って、トラック座標に応じた隣接物体間の最小離隔距離を考慮することができ、所要の最小離隔距離を満たすように、選択物体を意図された座標又は新しい座標に安全に移動させることができる。
【0011】
本発明の更に他の目的、特徴、態様及び利点は、下記の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【0012】
ここで、添付の概略図面を参照して、本発明の実施形態を一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】包装機の制御ユニットと通信するように構成されている処理ユニットを含む包装機を制御するシステムの概略図である。
図2】異なる時点における座標系での先頭物体及び後続物体の物体体積の位置の概略図である。
図3】物体及び物体の関連する体積の向き及びサイズが変わる、異なる時点における座標系での先頭物体及び後続物体の物体体積の位置の概略図である。
図4】トラックに沿った物体位置に応じた2つの隣接物体間の最小離隔距離の関数の概略図である。
図5】2つの物体座標間の距離を2つの物体間の最小離隔距離と比較するフロー図の概略図である。
図6】トラックの座標系における2つの隣接物体の2つの物体体積の概略図である。
図7a-7b】2つの異なる及び逆の方向に移動する場合のトラックの座標系における2つの隣接物体の2つの物体体積の概略図である。
図8a】包装機を制御する方法のフローチャートである。
図8b】包装機を制御する方法の更なるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、添付図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に後述し、本発明の実施形態の一部(全部ではない)を示す。本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0015】
図1は、包装機のトラック304に沿って独立可動物体301、302の位置を制御するように構成されている制御ユニット303を有する包装機300を制御するシステム200の概略図である。独立可動物体301、302は、包装容器(図示せず)を操作するように構成されている。トラック304は、図1に例示のように、無限ループであってもよい。トラック304を楕円トラックとして示すが、トラック304は、様々な形状、即ち異なる曲率半径を有する様々な曲線に沿って延在する形状を有し得ることが考えられる。可動物体301、302の各々は、包装機300の空間でそれぞれの物体体積301’、302’を占め、且つトラック304の座標系(x)でそれぞれの物体座標(x、x)を有する。トラック304及び座標系(x)並びに可動物体301、302及びそれぞれの物体体積301’、302’を仮想環境で表してもよい。例えば、物体体積301’、302’の形状を規定する仮想空間(x、y、z)における形状パラメータのセットにより、物体体積301’、302’を表してもよい。従って、物体座標(x、x)は、この仮想空間で物体体積301’、302’の位置を規定してもよい。しかし、更に後述のように、システム200及び方法は、このような仮想環境及び包装機300における実世界物理的実装形態の両方に適用される。実世界物理的実装形態の場合、座標系(x)を包装機300の物理座標系で更に表し、同様に、可動物体301、302は、トラック104に沿って移動する場合、それぞれの物体体積301、302’を占める。従って、後述のように、座標系(x)の区分305に沿った先頭物体301及び後続物体302の移動物体体積301’、302’は、物体体積301’、302’の仮想表現及び物体体積301’、302’が占める実物理空間の両方に適用できると解釈されるべきである。同様に、座標系(x)及び座標系(x)の区分305は、包装機300を設置する仮想座標系(x)又は物理座標系(x)に適用できると解釈されるべきである。従って、簡単にするために、本開示で可動物体の物体座標を参照する場合、両方の例(即ち座標系の仮想表現における物体座標及び物理座標系における物体座標)を参照することが理解されるべきである。
【0016】
システム200は、制御ユニット303と通信するように構成されている処理ユニット201を含む。処理ユニット201は、座標系の第1の方向306において座標系(x)の区分305に沿って先頭物体301及び後続物体302の物体体積301’、302’を移動させるように構成されている。図2は、座標系(x)に沿って移動される物体体積301’、302’の概略図である。異なる位置を、更に後述のように異なる時点t-tについて示す。後続物体302の物体体積302’は、第1の方向306に対して先頭物体301の物体体積301’の上流にある。区分305に沿った先頭物体301又は先頭物体301の物体体積301’の物体座標(x)の規定の間隔(xb1、xb2、xb3)において、処理ユニット201は、間隔にわたって先頭物体及び後続物体の物体座標(x、x)間の最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)のセットを判定するように構成されている。最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)は、先頭物体及び後続物体の物体体積301’、302’によって占められる空間がセットにおける各最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)について異なるという意味で解釈されるべきである。従って、2つの隣接物体の物体体積301’、302’が最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)にある場合、(物理空間又は対応する仮想表現で)物体体積301’、302’間の重複がない。
【0017】
処理ユニット201は、セットにおける各最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)で後続物体の物体座標(xa2、xa3、xa4)を登録し、後続物体の物体座標(xa2、xa3、xa4)及び第1の関数(d)における対応する最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を関連付けるように構成されている。従って、第1の関数(d)は、後続物体の物体座標(xa2、xa3、xa4)の関数として最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を記述する。第1の関数(d)の例を図4に示す。従って、トラック304における後続物体302の特定の物体座標(xa2、xa3、xa4)について、先頭物体301までの対応する最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を第1の関数(d)から判定することができる。例えば、トラック304におけるゼロ基準から1500mmの座標位置において、干渉及び物体間の衝突を回避するために、先頭物体及び後続物体301、302又は関連する物体体積301’、302’を200mmだけ離隔する必要があり得る。
【0018】
次に、トラック304に沿って選択可動物体302を移動させるために、制御ユニット303により、選択可動物体302に後に通信される選択物体座標(x)について、処理ユニット201は、選択物体座標(x)に対応する第1の関数(d)から対応する最小離隔距離(dma)を判定するように構成されている。処理ユニット201は、第1の関数(d)からの最小離隔距離(dma)を、選択物体座標(x)と、選択可動物体の移動方向に対して選択可動物体302の下流の最も近い可動物体301の物体座標(x)との間の得られた離隔(d)と比較して、得られた離隔(d)を最小離隔距離(dma)よりも小さい又は大きいと判定するように更に構成されている。従って、選択可動物体302を選択物体座標(x)に実際に移動させる前に、このような移動から得られた、選択可動物体302と隣接下流物体301との間の離隔(d)(例えば、図1を参照されたい)を、上述の判定された第1の関数(d)から得られた最小離隔距離(dma)と比較する。図5は、x及びxとの間の差として得られた離隔(d)を最小離隔距離(dma)よりも小さい又は大きいと判定する概略図である。得られた離隔(d)がより大きい場合、選択物体302は、下流物体301に干渉するリスクなしで物体座標xに進んで移動することができる。得られた離隔(d)がより小さい場合、衝突を回避するために選択物体302の移動を中断又は修正することができる。
【0019】
間隔にわたって先頭物体及び後続物体の物体座標(x、x)間の最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)のセットを判定し、物体座標及び第1の関数(d)における対応する最小離隔を関連付けることにより、選択物体302が移動するように意図されているトラック304上の特定の座標に関連付けられる後の最小離隔距離を判定する。従って、トラック座標に応じた隣接物体間の最小離隔距離を考慮することができ、所要の最小離隔距離(dma)を満たすように、選択物体302を意図された座標(x)又は新しい座標(xmod )に安全に移動させることができる。従って、包装機においてトラック304に沿って独立に可動な物体301、302間の衝突のリスクを最小限にすることができる。これにより、このような独立可動物体301、302の較正及び再配置手順を容易に行うことができる。可動物体301、302をトラック304に沿って搬送するときに可動物体301、302の形状、体積又は向きが変わる場合、衝突を容易な方法で回避することができる。
【0020】
図2及び図3は、先頭物体301の物体体積301’を座標系(x)の区分305に沿った規定の間隔(xb1、xb2、xb3)で位置決めする2つの例を示す。物体体積301’の各物体座標(xb1、xb2、xb3)について、最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)に達するまで、後続物体302の物体体積302’を移動させる。例えば、tとtとの間において、離隔dm1に達するまで物体体積302’を座標系(x)に沿って移動させる。例えば、tにおいて、物体体積301’を間隔における次の物体座標xb2に移動させ、tにおいて、dm2に達するまで物体体積302’を移動させる。図3に例示のように、形状、体積又は向きが変わる場合、同じ手順が当てはまる。次に、第1の関数(d)を上述のように判定することができ、区分305に沿った任意の後の移動について衝突を回避するために利用することができる。このような後の移動は、当然のことながら、物理座標系にある一方、第1の関数(d)を、物理座標系と同様に、上述のように対応する仮想座標系で判定することができる。
【0021】
処理ユニット201は、図5に概略的に例示のように、得られた離隔(d)が最小離隔距離(dma)よりも小さい場合、修正物体座標(xmod )を制御ユニット303に送信するように構成され得る。修正物体座標(xmod )は、得られた離隔(d)が最小離隔距離(dma)よりも大きい状態で選択可動物体302をトラック304上に位置決めする。修正物体座標(xmod )は、移動がないように選択可動物体302の現在の物体座標(x)と同じであり得る。代わりに、修正物体座標(xmod )は、最小離隔距離(dma)に、即ち最も近い下流物体301のできるだけ近くに選択可動物体302を位置決めし得る。修正物体座標(xmod )は、物体間の任意の位置に選択可動物体302を位置決めすることも考えられる。
【0022】
処理ユニット201は、例えば、図2において時点tで概略的に示すように、先頭物体301の物体体積301’と接触するまで、後続物体302の物体体積302’を第1の方向306に移動させるように構成されることにより、最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を判定するように構成され得る。処理ユニット201は、座標系(x)に沿って規定の隙間(g)で先頭物体及び後続物体の物体体積301’、302’を変位させるように更に構成され得、これも例えば図2において時点tで概略的に例示されている。即ち、安全域を有する目的のため、物体301、302の接触を回避するように、最小離隔距離dm1で物体301、302間の多少の空間を有することが望ましい。処理ユニット201は、所定の隙間(g)での変位後、先頭物体及び後続物体(又は先頭物体及び後続物体の物体体積301’、302’)の物体座標間の得られた差(xa2-xb1;xb2-xa3;xb3-xa4)として最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を判定するように構成され得る。従って、最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を判定するために、図2及び図3に概略的に例示のように、このような変位を各物体座標(xb1、xb2、xb3)について実行し得る。
【0023】
上述のような図1図5と併せて、図8aのフローチャートは、包装容器を操作するように構成されている独立可動物体301、302を有する包装機300を制御する方法100を開示する。独立可動物体301、302は、トラック304に沿って独立可動物体301、302の位置を制御するように構成されている制御ユニット303と通信する。独立可動物体301、302の各々は、それぞれの物体体積301’、302’を占め、且つトラック304の座標系(x)でそれぞれの物体座標(x、x)を有する。
【0024】
方法100は、座標系の第1の方向306において座標系(x)の区分305に沿って先頭物体301及び後続物体302の物体体積301’、302’を移動させるステップ101を含む。後続物体302の物体体積302’は、第1の方向306に対して先頭物体301の物体体積301’の上流にある。区分305に沿った先頭物体301の物体座標(x)の規定の間隔(xb1、xb2、xb3)において、方法100は、間隔にわたって先頭物体及び後続物体の物体座標(x、x)間の最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)のセットを判定するステップ102であって、それにより、先頭物体及び後続物体の物体体積301’、302’によって占められる空間は、セットにおける各最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)について異なる、ステップ102を含む。方法100は、セットにおける各最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)で後続物体の物体座標(xa2、xa3、xa4)を登録するステップ103と、後続物体の物体座標(xa2、xa3、xa4)及び第1の関数(d)における対応する最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を関連付けるステップ104とを含む。
【0025】
トラック304に沿って選択可動物体302を移動させるために、制御ユニット303により、選択可動物体302に後に通信される選択物体座標(x)について、方法100は、第1の関数(d)から対応する最小離隔距離(dma)を判定するステップ105を含む。方法100は、第1の関数(d)からの最小離隔距離(dma)を、上述の選択物体座標(x)と、選択可動物体302の移動方向に対して選択可動物体302の下流の最も近い可動物体301の物体座標(x)との間の得られた離隔(d)と比較して106、得られた離隔(d)を最小離隔距離(dma)よりも小さい又は大きいと判定するステップ107を含む。従って、方法100は、システム200に関して上述のような有利な利益、特に物体301、302間の衝突のリスクを減らした包装機300において独立可動物体301、302の再配置及び較正を容易に行うことができる有利な利益を与える。方法100は、独立可動物体301、302の形状のばらつきを容易にするため、処理ラインのカスタマイズも容易になる。即ち、最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)の関数(d)を可動物体301、302の任意の形状について容易に判定することができ、トラック304に沿って物体のいずれかを移動させる場合、最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)の関数(d)を後に利用して、隣接物体間の最小離隔距離が上述のように適合することを確認することができる。
【0026】
図8bは、包装機300を制御する方法100の更なるフローチャートである。方法100は、上述のように、得られた離隔(d)が最小離隔距離(dma)よりも小さい場合、修正物体座標(xmod )を制御ユニット303に送信するステップ108を含み得る。修正物体座標(xmod )は、得られた離隔(d)が最小離隔距離(dma)よりも大きい状態で選択可動物体302をトラック304上に位置決めする。
【0027】
最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を判定するステップは、先頭物体301の物体体積301’と接触するまで、後続物体302の物体体積302’を第1の方向306に移動させるステップ102’と、座標系(x)に沿って規定の隙間(g)で先頭物体及び後続物体の物体体積301’、302’を変位させるステップ102’’と、前記変位後、先頭物体及び後続物体の物体座標間の得られた差(xa2-xb1;xb2-xa3;xb3-xa4)として最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を判定するステップ102’’’とを含み得る。
【0028】
規定の間隔(xb1、xb2、xb3)における先頭物体の各物体座標(x)について、方法100は、最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)が判定されるまで、後続物体の物体体積302’を先頭物体の物体体積301’に向かって移動させながら、先頭物体の物体体積301’の位置を維持するステップを含み得る。これを例えば図2に例示し、図2では、最小離隔距離dm1に達するまで後続物体の物体体積302’を前方又は下流に移動させる場合、先頭物体の物体体積301’をtとtとの間の位置xb1に維持する。tとtとの間及びtとtとの間で類似の移動が行われる。
【0029】
方法100は、先頭物体及び後続物体の物体体積301’、302’の各々について、複数の接触領域307、307、308、308’を規定するステップ101’を含み得る。図6は、物体体積301’の接触領域307、307’及び物体体積302’の接触領域308、308’の概略図である。方法100は、後続物体の物体体積302’の接触領域307、307’のいずれかが先頭物体の物体体積301’と交差するまで、後続物体の物体体積302’を移動させるステップ101’’を含んでもよい。代わりに又は加えて、方法100は、先頭物体の物体体積301’の接触領域308、308’のいずれかが後続物体の物体体積302’と交差するまで、後続物体の物体体積302’を移動させるステップ101’’を含んでもよい。いずれの場合にも、複数の接触領域307、307、308、308’は、物体体積301’、302’の交差を容易に検出することができる。上述のように、次に最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を得るために、物体体積301’、302’を所定の隙間(g)で変位させてもよい。物体体積301’、302’が上述のように仮装座標系における仮想表現である場合、複数の接触領域307、307、308、308’を仮想センサーとして実施してもよい。しかし、物体体積301’、302’が物理空間における可動物体301、302の実際の体積である場合、複数の接触領域307、307、308、308’は、物理センサーユニットを含み得ることが考えられる。いずれの場合にも、例えば突出又は移動部分で衝突が予想される物体体積301’、302’の様々な部分に複数の接触領域307、307、308、308’を配置することができる。図6は、このような複数の接触領域307、307、308、308’を配置することができる方法の1つの例を示すが、配置を異なる用途に最適化できることが理解されるべきである。
【0030】
トラック304は、図1に例示のように、無限ループであってもよい。物体座標の規定の間隔(xb1、xb2、xb3)は、無限ループ304を囲む座標系の区分305に沿って規定されてもよい。即ち、物体座標の規定の間隔(xb1、xb2、xb3)を全ループ304の周りに配置し得る。これにより、全ループ304にわたって最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)の関数を判定することができる。次に、上述のように、最小離隔距離(dm1、dm2、dm3)を考慮しながら、可動物体302をトラック304の任意の部分に安全に移動させてもよい。
【0031】
方法100は、第1の方向306に移動される物体体積301’、302’について、最小離隔距離の第1の関数(d )を判定するステップ109と、第1の方向306と逆の第2の方向309に移動される物体体積301’、302’について、最小離隔距離の第2の関数(d )を判定するステップ110とを含んでもよい。第1の方向306における先頭物体は、第2の方向309における後続物体である。これを図7a及び図7bに例示し、図7aは、最小離隔距離の第1の関数(d )を判定する、第1の方向における移動を示し、図7bは、最小離隔距離の第2の関数(d )を判定する、第2の方向における移動を示す。従って、トラック304に沿って後に移動される物体302は、それぞれの第1又は第2の関数(d 、d )を利用することにより、図7aのように上から又は図7bのように下から隣接物体に安全に近づくことができる。第1及び第2の関数(d 、d )の両方を上述のように全ループ304について判定してもよい。
【0032】
記載のように、物体体積301’、302’は、仮想体積であってもよく、及び座標系における物体体積301’、302’の前記移動は、仮想移動であってもよい。更に、第1の関数(d)を上述の仮想移動から判定してもよい。物体体積301’、302’及び仮想座標系における物体体積301’、302’の移動は、モデル化ソフトウェアで既に確立されたモデル(例えば、様々なCADモデル)に基づき得る。
【0033】
プログラムがコンピュータによって実行されると、図1図8に関して上述のような方法100のステップをコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0034】
図1図7に関して上述のようなシステム200を含み、且つ/又は図1図8に関して上述のような方法100を実行する包装機が提供される(図示せず)。従って、包装機300は、システム200及び方法100に関して上述のような有利な利益を与える。
【0035】
本発明の様々な実施形態が説明され、示されているが、上述の説明から、本発明は、これらの実施形態に限定されず、下記の特許請求の範囲で規定される主題の範囲内において本発明を他の方法で具体化することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b