(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】フルキンチニブの医薬製剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/517 20060101AFI20240510BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20240510BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240510BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240510BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240510BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240510BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240510BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240510BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240510BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240510BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61K31/517
A61K31/337
A61K31/5377
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/02
A61K9/20
A61K9/48
A61P35/00
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2021526502
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2019118881
(87)【国際公開番号】W WO2020098795
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】201811358991.5
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512278054
【氏名又は名称】ハチメド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジョンジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジンリー
(72)【発明者】
【氏名】フー,チョンドン
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526710(JP,A)
【文献】特表2018-515587(JP,A)
【文献】S. Lu et al.,"A Phase II Study of Fruquintinib in Combination with Gefitinib in Stage IIIb/IV NSCLC Patients Harboring EGFR Activating Mutations",Journal of Thoracic Oncology,2017年11月,Vol.12,No.11,Supplement 2,p.S2228,P3.01-070,DOI: 10.1016/J.JTHO.2017.09.1511
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
47/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルキンチニブ及び賦形剤を含む医薬組成物であって、任意選択で滑沢剤を含み、
フルキンチニブの含有量は、医薬組成物の総重量に基づいて、0.001重量%から5重
量%の範囲であり、
賦形剤はデンプン及び微結晶セルロースの組合せであり、かつ、
微結晶セルロースとデンプンとの重量比が(0.9~1.1):1である、
組成物。
【請求項2】
微結晶セルロースとデンプンとの重量比が1:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、タルク及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
滑沢剤と賦形剤との重量比が1:50から1:1000、又は1:100から1:500である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
滑沢剤を含まない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
フルキンチニブバルク原薬の粒子サイズD90が35μm未満、又は5μm~30μm、5μm~15μm、7.9μm~10.4μm、若しくは10.4μm~18.5μm、又は7.9μm、10.4μm及び18.5μmからなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
フルキンチニブの含有量が、医薬組成物の総重量に基づいて、0.001重量%から5重量%の範囲、0.01から5重量%、又は0.05重量%、1重量%、2重量%、及び3重量%から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
錠剤又はカプセル剤の形態である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(1)フルキンチニブバルク原薬と賦形剤の一部とを予備混合するステップ、
(2)ふるいにかけるステップ、
(3)残りの補助材料を添加するステップ、及び
(4)均一に混合するステップ
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項10】
癌を処置するための医薬の製造における、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
癌が直腸結腸癌、非小細胞肺癌、及び胃癌からなる群から選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
医薬が他の抗腫瘍剤と同時に又は逐次的に投与される、請求項10又は11に記載の使用。
【請求項13】
他の抗腫瘍剤がドセタキセル又はゲフィチニブである、請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤の分野、特にフルキンチニブの医薬製剤及びこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化学名6-((6,7-ジメトキシキナゾリン-4-イル)オキシ)-N,2-ジメチル-ベンゾフラン-3-カルボキサミドを有する式Aの化合物であるフルキンチニブは、癌、例えば直腸結腸癌、非小細胞肺癌及び胃癌を処置するために主に使用される新規で極めて強力なVEGFR選択的阻害剤である。
【0003】
【0004】
中国特許第101575333B号(SU Weiguoら)では、フルキンチニブの合成及び腫瘍、加齢性黄斑変性症又は慢性炎症の処置におけるその使用が開示されている。
【0005】
中国特許出願番号201410456350.9(WU Zhenpingら)では、フルキンチニブの結晶形態及び溶媒和物が開示されている。
【0006】
臨床研究によって、フルキンチニブは、癌患者において良好な耐容性及び有意な抗腫瘍活性を有し、その臨床的用量は、1日1回4mg(p.o.)又は1日1回5mg(p.o.)で3週間、続いて1週間隔であることが示されている。
【0007】
フルキンチニブバルク原薬は長い繊維状の外観を有し、接着性である。したがって、医薬組成物が従来の方法によって調製された場合、ふるいにかける間にメッシュの穴をブロックしやすく、それが処方物の加工を困難にし、薬物含有量の均一性に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フルキンチニブの優良な活性を考慮すると、良好なバイオアベイラビリティを有し、調製が容易な、経口で投与されるフルキンチニブ組成物が緊急に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
医薬補助材料を適切に選択し、及び/又は組成物中のフルキンチニブの粒子サイズを制御することによって、優良な加工特性を有するフルキンチニブを含む医薬組成物を得ることができ、このような医薬組成物から調製された経口製剤は、フルキンチニブの高い溶解率及び良好なバイオアベイラビリティを有することが現在認められている。
【0010】
本発明は、フルキンチニブを含む医薬組成物、特に活性成分であるフルキンチニブ及び賦形剤(filler)及び任意選択で滑沢剤を含む経口医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、賦形剤は、デンプン、微結晶セルロース及びこれらの組合せからなる群から選択される。本発明の特定の実施形態において、賦形剤はデンプンである。本発明の別の特定の実施形態において、賦形剤は微結晶セルロースである。本発明のいくつかの実施形態において、賦形剤は、デンプン及び微結晶セルロースの組合せであり、微結晶セルロースとデンプンとの重量比は(0.9~1.1):1である。本発明の他の実施形態において、賦形剤は、デンプン及び微結晶セルロースの組合せであり、微結晶セルロースとデンプンとの重量比は約1:1である。
【0012】
本発明の特定の実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク及びこれらの組合せからなる群から選択される。本発明の特定の実施形態において、滑沢剤はタルクである。本発明の別の特定の実施形態において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0013】
本発明の特定の実施形態において、滑沢剤と賦形剤との重量比は約1:50から1:1000、例えば約1:100から1:500である。
【0014】
本発明の特定の実施形態において、滑沢剤は使用されない。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、調製された医薬組成物が通常の即時放出固形製剤の溶解要件を満たすことを確実にするために、フルキンチニブバルク原薬に微粉化粉砕(micronized pulverization)処置を行い、粒子サイズ範囲(D90)は約35μm未満になるように制御され、例えば粒子サイズ範囲(D90)は約5~30μmの範囲に制御される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、フルキンチニブバルク原薬の粒子サイズ範囲(D90)は約15μm未満になるように制御され、例えば粒子サイズ範囲(D90)は約5~15μmの範囲になるように制御される。本発明の特定の実施形態において、フルキンチニブバルク原薬は約7.9μmの粒子サイズ(D90)を有する。本発明の特定の実施形態において、フルキンチニブバルク原薬は約10.4μmの粒子サイズ(D90)を有する。
【0017】
本発明の他の実施形態において、フルキンチニブバルク原薬は約18.5μmの粒子サイズ(D90)を有する。
【0018】
本発明の別の実施形態において、フルキンチニブバルク原薬は約35μmの粒子サイズ(D90)を有する。
【0019】
本発明の医薬組成物において、活性成分であるフルキンチニブの含有量は、医薬組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%から5重量%の範囲、例えば0.01から5重量%、例えば0.05重量%、1重量%、2重量%、3重量%などである。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、本発明は、フルキンチニブを含む医薬組成物であって、以下の構成成分を重量部で含む医薬組成物を提供する:
フルキンチニブ 1部
賦形剤 30~1200部
滑沢剤 0~12部。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
賦形剤 30~100部
滑沢剤 0~12部。
【0022】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
賦形剤 1000~1200部
滑沢剤 0~1部。
【0023】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
デンプン 1040部。
【0024】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
微結晶セルロース 52部。
【0025】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
デンプン 20~520部
微結晶セルロース 20~520部
タルク 0.1~12部。
【0026】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
デンプン 20~520部
微結晶セルロース 20~520部
ステアリン酸マグネシウム 0.1~12部。
【0027】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
デンプン 500~520部
微結晶セルロース 500~520部
タルク 2~12部。
【0028】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
デンプン 500~520部
微結晶セルロース 500~520部
ステアリン酸マグネシウム 2~12部。
【0029】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
デンプン 20~30部
微結晶セルロース 20~30部
ステアリン酸マグネシウム 0.1~1部。
【0030】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は以下の構成成分を重量部で含む:
フルキンチニブ 1部
デンプン 20~30部
微結晶セルロース 20~30部
タルク 0.1~1部。
【0031】
本発明によって提供される上記医薬組成物は、良好な粉末流動性及び混合均一性の利点を有し、大規模な(large scale)カプセル剤の製造の必要要件を満たすことができる。
【0032】
本発明によって提供される上記医薬組成物は、活性成分であるフルキンチニブが5重量%以下の量で含まれており、低用量医薬組成物に属する。このような組成物に関しては、活性成分と補助材料とを単に混合することによって、薬物含有量に良好な均一性を有する医薬製剤を調製することは一般的に不可能である。更に、フルキンチニブバルク原薬は長い繊維状の外観を有し、接着性であるために、ふるい分けに際しメッシュの穴をブロックしやすく、その結果、薬物含有量の均一性に影響を与える。
【0033】
したがって、本発明はまた、フルキンチニブバルク原薬と賦形剤の一部とを予備混合するステップ、ふるいにかけるステップ、次いで残りの補助材料を添加するステップ、及び均一に混合して本発明の医薬組成物を得るステップを含む、上記フルキンチニブの医薬組成物を調製する方法を提供する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、上述のフルキンチニブの医薬組成物を調製する方法は、フルキンチニブバルク原薬と微結晶セルロースの1部とを予備混合するステップ、ふるいにかけるステップ、次いで残りの補助材料を添加するステップ、及び均一に混合して本発明の医薬組成物を得るステップを含む。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、上述のフルキンチニブの医薬組成物を調製する方法は、フルキンチニブバルク原薬とデンプンの1部とを予備混合するステップ、ふるいにかけるステップ、次いで残りの補助材料を添加するステップ、均一に混合して本発明の医薬組成物を得るステップを含む。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、上記フルキンチニブの医薬組成物を調製する方法において、フルキンチニブバルク原薬は、あらかじめ微粉化粉砕処置が行われており、粒子サイズ範囲(D90)は約35μm未満になるように制御され、例えば粒子サイズ範囲(D90)は約5~30μmの範囲に制御される。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態において、上記フルキンチニブの医薬組成物を調製する方法において、フルキンチニブバルク原薬の粒子サイズ範囲(D90)は約15μm未満になるように制御され、例えば粒子サイズ範囲(D90)は約5~15μmの範囲になるように制御される。本発明の特定の実施形態において、フルキンチニブバルク原薬は約7.9μmの粒子サイズ(D90)を有する。本発明の特定の実施形態において、フルキンチニブバルク原薬は10.4μmの粒子サイズ(D90)を有する。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態において、上記フルキンチニブの医薬組成物を調製する方法において、フルキンチニブバルク原薬は約18.5μmの粒子サイズ(D90)を有する。本発明の1つの実施形態において、フルキンチニブバルク原薬は約35μmの粒子サイズ(D90)を有する。
【0039】
本発明によって提供されるフルキンチニブを含む医薬組成物は、経口投与に好適なさまざまな剤形、例えば錠剤又はカプセル剤に製剤化してもよい。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明のフルキンチニブを含む医薬組成物は、カプセル処方を調製するためにカプセルに充填される。
【0041】
本発明はまた、癌を処置するための医薬を調製するためのフルキンチニブを含む上記医薬組成物の使用を提供する。本発明の1つの実施形態において、癌は直腸結腸癌、非小細胞肺癌、及び胃癌からなる群から選択される。
【0042】
本発明はまた、上述のフルキンチニブの医薬組成物を1つ以上の他の抗腫瘍剤と組み合わせて用いた癌を処置する方法であって、前記フルキンチニブの医薬組成物が、他の抗腫瘍剤と同時に又は逐次的に投与される、例えば他の抗腫瘍剤の前又は後に投与される方法を提供する。本発明の1つの実施形態において、追加の抗腫瘍剤はドセタキセル又はゲフィチニブである。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]フルキンチニブを含む医薬組成物であって、活性成分であるフルキンチニブ及び賦形剤及び任意選択で滑沢剤を含む組成物。
[実施形態2]賦形剤がデンプン、微結晶セルロース及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1に記載の組成物。
[実施形態3]賦形剤がデンプン及び微結晶セルロースの組合せである、実施形態1に記載の組成物。
[実施形態4]微結晶セルロースとデンプンとの重量比が(0.9~1.1):1、好ましくは約1:1である、実施形態3に記載の組成物。
[実施形態5]滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、タルク及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態1から4のいずれかに記載の組成物。
[実施形態6]滑沢剤と賦形剤との重量比が約1:50から1:1000、好ましくは約1:100から1:500である、実施形態1から5のいずれかに記載の組成物。
[実施形態7]滑沢剤を含まない、実施形態1から4のいずれかに記載の組成物。
[実施形態8]フルキンチニブバルク原薬の粒子サイズD90が約35μm未満、例えば約5~30μmの範囲、例えば約5~15μmの範囲、例えば約7.9μm、約10.4μm、及び約18.5μmである、実施形態1から7のいずれかに記載の組成物。
[実施形態9]フルキンチニブの含有量が、医薬組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%から5重量%の範囲、例えば0.01から5重量%、例えば0.05重量%、1重量%、2重量%、3重量%である、実施形態1から8のいずれかに記載の組成物。
[実施形態10]錠剤又はカプセル剤の形態である、実施形態1から9のいずれかに記載の組成物。
[実施形態11]フルキンチニブバルク原薬と賦形剤の一部とを予備混合するステップ、ふるいにかけるステップ、次いで残りの補助材料を添加するステップ、及び均一に混合するステップを含む、実施形態1から9のいずれかに記載の組成物を調製する方法。
[実施形態12]癌を処置するための医薬の製造における、実施形態1から9のいずれかに記載の組成物の使用。
[実施形態13]癌が直腸結腸癌、非小細胞肺癌、及び胃癌からなる群から選択される、実施形態12に記載の使用。
[実施形態14]医薬が他の抗腫瘍剤と同時に又は逐次的に投与される、実施形態12又は13に記載の使用。
[実施形態15]他の抗腫瘍剤がドセタキセル又はゲフィチニブである、実施形態14に記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】0.1M塩酸中での、本発明の組成物を含むカプセル剤の溶解プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
[実施例]
以下の非限定的な実施例は、本発明を更に例示するために提供される。
【0045】
全ての実施例において、溶解は、溶解媒体として0.1mol/L塩酸を37℃で使用し、100rpmの回転速度で設定し、適切な時間間隔でサンプリングし、同じ体積の溶解媒体を補充し、中国薬局方に従って「第1の溶解法(バスケット法)(the first method of dissolution(Basket Method))」によって試験した。0.45μmフィルターでろ過した後、溶解率を、HPLCによって測定された含有量に基づいて計算した。含有量の均一性を、好適な方法でサンプリングし、HPLC法によって含有量を測定し、RSDを計算することによって判定した。安息角を手動の測定値から計算した。
【0046】
[実施例1]
フルキンチニブカプセル剤の調製
成分 重量部
フルキンチニブ 1部
デンプン 1040部
【0047】
適切な量のフルキンチニブ(粒子サイズD90=18.5μm)を秤量し、それをフルキンチニブの20倍の量のデンプンと予備混合し、次いで一緒にふるいにかける。ふるいへのスティッキングが生じた。次いで残りの量のデンプンを添加し、混合物をV型混合機を用いて均一に混合する。混合物は良好な流動性を有し、安息角は41°である。混合物の含有量RSDは0.6%であり、これは混合均一性の管理基準(RSD≦5%)に適合する。混合物は1号サイズのカプセル中に充填され、取り扱い中にスティッキングが生じた。
【0048】
[実施例2]
フルキンチニブカプセル剤の調製
成分 重量部
フルキンチニブ 1部
微結晶セルロース 52部
【0049】
適切な量のフルキンチニブ(粒子サイズD90=18.5μm)を秤量し、それをフルキンチニブの20倍の量の微結晶セルロースと予備混合し、次いで一緒にふるいにかける。ふるいへのスティッキングが生じた。次いで残りの量の微結晶セルロースを添加し、混合物をV型混合機を用いて均一に混合する。混合物は貧弱な流動性を有し、安息角は52°である。混合物の含有量RSDは0.3%であり、これは混合均一性の管理標準(RSD≦5%)に適合する。混合物は1号サイズのカプセル中に充填され、取り扱い中にスティッキングが生じた。
【0050】
[実施例3]
フルキンチニブカプセル剤の調製
成分 重量部
フルキンチニブ 1部
デンプン 508.6部
微結晶セルロース 520部
タルク 10.4部
【0051】
適切な量のフルキンチニブ(粒子サイズD90=18.5μm)、フルキンチニブの10倍の量の微結晶セルロース及びフルキンチニブの10倍の量のデンプンを秤量し、予備混合し、一緒にふるいにかける。スティッキングは生じない。次いで比率に応じて残りの補助材料を添加し、混合物をV型混合機で均一に混合する。混合物は良好な流動性を有し、安息角は38°である。混合物の含有量RSDは0.6%であり、これは混合均一性の管理基準(RSD≦5%)に適合する。混合物は1号サイズのカプセル中に充填され、充填中にスティッキングは生じなかった。0.1M塩酸中30分でのカプセル剤の溶解率は96.2%であり、これは、溶解仕様(≧80%)に適合する。
【0052】
[実施例4]
フルキンチニブカプセル剤の調製
成分 重量部
フルキンチニブ 1部
微結晶セルロース PH101 520部
デンプン 520部
【0053】
適切な量のフルキンチニブ(粒子サイズD90=18.5μm)、フルキンチニブの10倍の量の微結晶セルロース及びフルキンチニブの10倍の量のデンプンを秤量し、予備混合し、一緒にふるいにかける。スティッキングは生じない。次いで比率に応じて残りの量の微結晶セルロースとデンプンを添加し、混合物をV型混合機を用いて均一に混合する。混合物は良好な流動性を有し、安息角は40°である。混合物の含有量RSDは0.6%であり、これは混合均一性の管理基準(RSD≦5%)に適合する。混合物は1号サイズのカプセル中に充填され、充填中に部分的なスティッキングが生じた。0.1M塩酸中30分でのカプセル剤の溶解率は82.1%であり、これはわずかに遅いが、溶解仕様(≧80%)に適合する。
【0054】
[実施例5]
フルキンチニブカプセル剤の調製
成分 重量部
フルキンチニブ 1部
デンプン 520部
微結晶セルロース 520部
ステアリン酸マグネシウム 2.6部
【0055】
適切な量のフルキンチニブ(粒子サイズD90=18.5μm)、フルキンチニブの10倍の量の微結晶セルロース及びフルキンチニブの10倍の量のデンプンを秤量し、予備混合し、一緒にふるいにかける。スティッキングは生じない。次いで比率に応じて残りの補助材料を添加し、混合物をV型混合機で均一に混合する。混合物は良好な流動性を有し、安息角は38°である。混合物の含有量RSDは2.5%であり、これは混合均一性の管理基準(RSD≦5%)に適合する。混合物は1号サイズのカプセル中に充填され、充填中にスティッキングは生じなかった。0.1M塩酸中30分でのカプセル剤の溶解率は94.0%であり、これは、溶解仕様(≧80%)に適合する。
【0056】
[実施例6]
フルキンチニブカプセル剤の調製
成分 重量部
フルキンチニブ 1部
デンプン 26部
微結晶セルロース 26部
ステアリン酸マグネシウム 0.13部
【0057】
適切な量のフルキンチニブ(粒子サイズD90=18.5μm)、フルキンチニブの10倍の量の微結晶セルロース及びフルキンチニブの10倍の量のデンプンを秤量し、予備混合し、一緒にふるいにかける。スティッキングは生じない。次いで比率に応じて残りの補助材料を添加し、混合物をV型混合機で均一に混合する。混合物は比較的良好な流動性を有し、安息角は46°である。混合物の含有量RSDは0.2%であり、これは混合均一性の管理基準(RSD≦5%)に適合する。混合物は1号サイズのカプセル中に充填され、充填中にスティッキングは生じなかった。0.1M塩酸中30分でのカプセル剤の溶解率は88.2%であり、これは他の製剤に比べてわずかに遅いが、溶解仕様(≧80%)に適合する。
【0058】
[実施例7]
フルキンチニブカプセル剤の調製
成分 重量部
フルキンチニブ 1部
微結晶セルロース PH101 26部
デンプン 26部
タルク 0.52部
【0059】
適切な量のフルキンチニブ(粒子サイズD90=18.5μm)、フルキンチニブの10倍の量の微結晶セルロース及びフルキンチニブの10倍の量のデンプンを秤量し、予備混合し、一緒にふるいにかける。次いで比率に応じて残りの補助材料を添加し、混合物をV型混合機で均一に混合する。混合物は比較的良好な流動性を有し、安息角は46°である。混合物の含有量RSDは0.2%であり、これは混合均一性の管理基準(RSD≦5%)に適合する。混合物は1号サイズのカプセル中に充填され、充填中にスティッキングは生じなかった。0.1M塩酸中30分でのカプセル剤の溶解率は91.1%であり、これは、溶解仕様(≧80%)に適合する。
【0060】
[実施例8]
異なる粒子サイズのバルク原薬を含むカプセル剤の調製
処方の成分は、以下のとおり実施例3と同じである:
成分 重量部
フルキンチニブ 1部
微結晶セルロースPH101 520部
デンプン 508.6部
タルク 10.4部
使用されるフルキンチニブバルク原薬の粒子サイズは以下のとおりである:
【0061】
【0062】
カプセル剤の製剤プロセスは実施例3と同じである。0.1M塩酸中での、調製されたカプセル剤の溶解プロファイルを比較し、結果を以下の表及び
図1に示す。
【0063】
結果:35μmの粒子サイズD90を有するバルク原薬を用いて調製されたカプセル剤の0.1M塩酸中での溶解は、他のカプセル剤よりもわずかに遅いが、全てのカプセル剤が30分で溶解仕様(≧80%)を満たす。粒子サイズが増加するにつれ、溶解は遅くなるであろうことが認められ得る。粒子サイズD90は35μm以下に制御できることが推奨される。
【0064】