(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ユーザと車両とのステアリングホイールとの接触を検出し、ステアリングホイールを加熱するための加熱および検出装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B62D1/06
(21)【出願番号】P 2021530055
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 IB2019060422
(87)【国際公開番号】W WO2020115670
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】102018000010784
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】507365880
【氏名又は名称】アイ.アール.シー.エイ.ソシエタ ペル アチオニ インダストリア レジステンヅェ コラッヅァテ エ アッフィニ
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ゾッパス フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】ベリオリ マウロ
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-128972(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0210409(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014117823(DE,A1)
【文献】特開2014-190856(JP,A)
【文献】特表2017-518925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00-1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザと車両のステアリングホイール(9)との間の接触を検出し、前記ステアリングホイール(9)を加熱するための加熱および検出装置(100)であって、
・電気絶縁支持体(10)と、
・前記ステアリングホイール(9)を加熱するための第一のトラック(1)、前記接触を検出するための第二のトラック(2)、および前記ユーザと前記ステアリングホイール(9)との間の誤接触の検出を回避するための第三のトラック(3)と、
を備え、
前記第一のトラック(1)、前記第二のトラック(2)および前記第三のトラック(3)は導電性であり、互いに別個であり、前記電気絶縁支持体(10)の同じ表面上に配置され、
前記第三のトラック(3)は、前記第一のトラック(1)と前記第二のトラック(2)との間に配置されている、
装置(100)。
【請求項2】
前記第一のトラック(1)と前記第二のトラック(2)との間の最小距離(d12)が、1.5~4mmの間である、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記第三のトラック(3)と前記第一のトラック(1)との間の最小距離(d31)が、0.1~1.5mmの間である、請求項1または2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記第三のトラック(3)と前記第二のトラック(2)との間の最小距離(d32)が、0.1~1.5mmの間である、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記第二のトラック(2)が、複数の第一のトラフ(22’)によって交互に配置された複数の第一のピーク(21’)を備え
る、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記第一のトラック(1)および前記第三のトラック(3)は、それぞれ複数の第一のトラフ(12’、32’)によって交互に配置された複数の第一のピーク(11’、31’)を備え
る、請求項5に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記第一のトラック(1)、前記第二のトラック(2)、および前記第三のトラック(3)は、それぞれ軸(X)に沿って複数の第二のトラフ(12”、22”、32”)によって交互に配置された複数の第二のピーク(11”、21”、31”)を備え
る、請求項6に記載の装置(100)。
【請求項8】
電子制御ユニットが設けられ、少なくとも前記第二のトラック(2)および前記第三のトラック(3)に接続され、前記電子制御ユニットは、前記第二のトラック(2)および前記第三のトラック(3)の電位を調整するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(100)を少なくとも1つ備える車両のステアリングホイール(9)。
【請求項10】
前記加熱トラック(1)を加熱するための電力供給中に、前記第一のトラック(1)と前記第二のトラック(2)との間の容量結合を回避するように、前記第三のトラック(3)が前記第二のトラック(2)をシールドし、任意選択で、前記第二のトラック(2)と前記第三のトラック(3)が同じ電位に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置(100)を操作する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの手と車両とのステアリングホイールとの間の接触を検出し、ステアリングホイールを加熱するための装置または構成要素に関する。本発明は、特に、ステアリングホイールに適用される装置または構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車分野で特に有用な機能は、ドライバーの手とステアリングホイールとの間の接触を検出することである。この目的のために、接触センサとして動作するように適合された導電性トラックを備えた構成要素を使用することができる。トラックが電子制御ユニットに接続されている場合、電子制御ユニットは実際に電気量の変化、例えば、静電容量の変動を処理することができる。そのような変動は、ステアリングホイール上に配置された導電性トラックとの手の接触(これも間接型のこともある)によって引き起こされる。導電性トラックは、例えば、ステアリングホイールの外側被覆層の下に配置することができる。
【0003】
別の特に有用な機能は、車両のステアリングホイールの加熱である。ジュール効果により加熱される導電性トラックを備えた構成要素をこの目的に使用することができる。
【0004】
不利なことに、加熱トラックとセンサトラックの両方を使用すると、2つのトラック間の干渉の問題、特に、一般的に容量結合と電磁干渉が発生する。これらの干渉は、特に加熱トラックが動作しているときに発生する。
【0005】
実際、センサトラックが「誤接触」または「誤ったタッチ」を検出することが発生する。つまり、実際にはそのような接触が発生しなかったときに、手との接触が検出される。
【0006】
2つのトラック間の干渉に加えて、誤接触は他の要因によっても引き起こされることもある。
【0007】
実際、湿度や温度などの特定の環境要因は、通常、静電容量の増加をもたらす。これは、ドライバーがステアリングホイールに触れていない場合でも、電子制御ユニットが手との接触として、誤って解釈する。
【0008】
例えば、湿度が高い場合、ステアリングホイールに水滴が形成され、その水滴が寄生容量と呼ばれる静電容量を導くことがある。水滴によって生成される寄生容量は、ドライバーの手がステアリングホイールに触れたときに生成される静電容量の1つと同等の値、つまり類似の値を有することがある。その結果、ステアリングホイールの水滴による寄生容量がステアリングホイールのタッチとして誤って解釈される。
【0009】
したがって、そのような欠点を克服する必要性が感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、誤接触の検出を回避または最小化できるステアリングホイール用の装置または構成要素を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、加熱トラックおよびセンサトラックの両方を備えたそのような装置または構成要素で、その2つのトラック間の干渉、特に誤接触を誘発する干渉を最小化または回避できるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、そのような目的および他の目的の少なくとも1つを達成するが、それは、本説明に照らして明らかになり、ユーザと車両のステアリングホイールとの間の接触を検出し、ステアリングホイールを加熱するための装置によって達成される。この装置は、
・電気絶縁支持体と、
・前記ステアリングホイールを加熱するための第一のトラック、前記接触を検出するための第二のトラック、および誤接触の検出を回避するための第三のトラックと、
を備え、
第一のトラック、第二のトラック、および第三のトラックは導電性であり、互いに別個であり、電気絶縁支持体の同じ表面上に配置され、第三のトラックは第一のトラックと第二のトラックとの間に配置されている。
【0013】
一態様によれば、本発明は、また、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置を少なくとも1つ備えた車両のステアリングホイールに関する。
【0014】
別の態様によれば、本発明は、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置を操作する方法に関し、加熱トラックを加熱するための電力供給中に、第一のトラックと第二のトラックとの間の容量結合を回避するように、第三のトラックが第二のトラックをシールドし、任意選択で、第二のトラックと第三のトラックが同じ電位に配置される。
【0015】
この装置は、有利なことに、ステアリングホイールに適用することができる。特に、装置は、ステアリングホイールに固定され、例えば、革製のステアリングホイールの外側被覆層の下に配置され得る。
【0016】
第一のトラック、第二のトラック、および第三のトラックは、それぞれ加熱トラック、センサトラック、およびシールドトラックとも呼ばれる。
【0017】
第三のトラックが存在し、他のトラックに対して、その特定の配置がなされているために、本発明の装置によって、有利なことに、干渉、特に、一般に加熱トラックとセンサトラックとの間の容量結合または電磁干渉による誤接触の検出を回避または最小化することが可能になる。特に、加熱トラックが作動しているときでも、誤接触を回避または最小限に抑えることができる。
【0018】
さらに、加熱トラックおよびセンサトラックは、有利なことに、電子制御ユニットによって同じ電位に配置することができ、絶縁支持体の同じ表面または面上の3つのトラックの特定の位置によって、水滴がセンサトラックとシールドトラックとの両方に接触または容量結合する可能性がある。これにより、湿度などの環境要因による誤接触を回避または最小限に抑制される。シールドトラックが提供されるとすると、そのようなトラックおよびセンサトラックは、中断する必要なしに、有利なことに、連続的に同じ電位に配置され得る。加熱トラックによる加熱は、有利なことに、連続的に実施することもできる。
【0019】
さらに、絶縁支持体の同じ表面上に3つのトラックを配置することにより、本発明の装置は、有利なことに、特に薄く、容易に製造することができる。
【0020】
この装置は、また、有利なことに、2つの別個の電子制御ユニットを、特に1つは加熱トラック用に、1つはセンサトラックおよびシールドトラック用に、使うことができる。
【0021】
いずれの場合でも、3つのトラック、すなわち、センサトラック、加熱トラック、およびシールドトラックを制御するように適合された単一の電子制御ユニットを提供することができる。
【0022】
本発明のさらなる特徴および利点は、特定の非限定的な実施形態の詳細な説明に照らしてより明らかになる。
【0023】
従属請求項は、本発明の特定の実施形態を説明する。
【0024】
本発明の説明において、添付の図面を参照するが、図面は、非限定的な例として提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】本発明による装置を備えた車両のステアリングホイールの一部の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面内の同じ参照記号は、同じ要素または構成要素を識別する。
【0027】
図面を参照して、ユーザと車両のステアリングホイール9との間の接触を検出し、ステアリングホイール9を加熱するためのシステムのための装置100を説明する。
【0028】
装置100は、電気絶縁支持体10、ステアリングホイール9を加熱するための加熱トラック1(または第一のトラック)、接触を検出するためのセンサトラック2(または第二のトラック)、および誤接触の検出を回避または最小化するためのシールドトラック3(または第三のトラック)を備える。特に、シールドトラック3によって、加熱トラック1とセンサトラック2との間の干渉を回避または最小化することができる。そのような干渉は、例えば、一般に容量結合または電磁干渉であり得る。
【0029】
加熱トラック1、センサトラック2、およびシールドトラック3は、導電性であり、互いに別個であり、支持体10に固定されている。
【0030】
3つのトラック1、2、3は、絶縁支持体10の同じ表面上に配置され、特に固定されている。より詳細には、3つのトラック1、2、3は、絶縁層10の前記表面上に互いに並んで置かれている。3つのトラック1、2、3は、好ましくは、絶縁支持体10の前記表面上に完全に配置される。3つのトラック1、2、3は、好ましくは、絶縁支持体10の前記表面と直接接触している。
【0031】
シールドトラック3は、加熱トラック1とセンサトラック2との間に配置され、すなわち、シールドトラック3は、加熱トラック1とセンサトラック2との間に延びる。例えば、すべて、または実質的にすべてのシールドトラック3(すなわち、その軸に沿った長さの全体または実質的に全体の延長部)は、加熱トラック1とセンサトラック2との間に延びる。これにより、センサトラック2に沿った実質的にすべての寄生容量がフィルタリングされる。シールドトラック3の端部は、任意選択で、トラック1と2との間に延在しない。
【0032】
3つのトラック1、2、3は、好ましくは、その延長部の少なくとも50%にわたって延在し、例えば、互いに平行に、または実質的に平行に、70~100%の間で延在する。
【0033】
加熱トラック1とセンサトラック2との間の最小距離「d12」(
図3)は、好ましくは、1.5~4mmの間、または2.5~4mmの間である。
【0034】
シールドトラック3は、好ましくは、加熱トラック1およびセンサトラック2の両方から離間されている。特に、シールドトラック3は、加熱トラック1またはセンサトラック2のいずれとも直接接触していない。
【0035】
シールドトラック3と加熱トラック1との間の最小距離「d31」(
図3)は、好ましくは、0.1~1.5mmの間である。
【0036】
シールドトラック3とセンサトラック2との間の最小距離「d32」(
図3)は、好ましくは、0.1~1.5mmの間である。
【0037】
シールドトラック3は、好ましくは、加熱トラック1およびセンサトラック2から等間隔であるか、あるいはほぼ等間隔である。
【0038】
加熱トラック1の幅w1(
図3)は、好ましくは、センサトラック2の幅w2およびシールドトラック3の幅w3よりも大きい。
【0039】
加熱トラック1の幅w1は、好ましくは、0.5~4mmの間である。
【0040】
センサトラック2の幅w2は、好ましくは、0.5~2mmの間である。
【0041】
シールドトラック3の幅w3は、好ましくは、0.5~2mmの間である。
【0042】
一般に、トラックの幅とは、支持体10の表面に平行に、そしてトラックの軸に垂直に行われる測定を意味する。代わりに、トラックの厚さとは、支持体10の表面およびトラックの軸に対して垂直に行われる測定を意味する。
【0043】
特に
図2を参照すると、3つのトラック1、2、3は、任意選択で、それぞれの軸Xに沿ったトラフ12’、22’、32’(または第一のトラフ)によって交互に配置された複数のピーク11’、21’、31’(または説明目的で第一のピーク)をそれぞれ含む。軸Xは、例えば、装置100の縦軸である。ピークは山と呼ばれることもあり、トラフは谷と呼ばれることもある。
【0044】
加熱トラック1の各ピーク11’は、好ましくは、センサトラック2のそれぞれのピーク21’およびシールドトラック3のそれぞれのピーク31’に対応し、トラフ12’、22’、32’についても同様である。
【0045】
加熱トラック1のピーク11’、センサトラック2のピーク21’、およびシールドトラック3のピーク31’は、好ましくは、互いに整列している。言い換えれば、各ピーク11’は、それぞれのピーク21’およびそれぞれのピーク31’と整列することが好ましい。トラフ12’、22’、32’は、同様の方法で互いに整列していることが好ましい。
【0046】
センサトラック2のピーク21’間の最小距離「d22」(
図2)、またはギャップは、好ましくは、10~18mmの間である。そのような距離は、好ましくは、軸Xに平行である。すべてのピーク21’は、好ましくは、しかし、排他的にではなく、距離d22だけ互いに離間している。
【0047】
ピーク11’の幅は、参照記号「a」で示されている(
図2)。典型的には、任意のピークの幅は、ピークの上昇ストレッチ311と下降ストレッチ312との間で、特に軸Xに平行な最小距離である。
【0048】
各ピーク11’の幅「a」は、好ましくは、整列しているそれぞれのピーク31’の幅よりも大きく、各ピーク31’の幅は、整列しているそれぞれのピーク21’の幅よりも大きい。幅間のそのような関係は、特に、加熱トラック1が装置100の周辺または外側輪郭に近接し、一方、シールドトラック3およびセンサトラック2が加熱トラック1に対してより内側にある場合に生じる。この場合、シールドトラック3およびセンサトラック2は、加熱トラック1によって定義される境界内にある。
【0049】
あるいは、センサトラック2がより外側、すなわち装置の周辺に近接するように提供され得、一方、シールドトラック3および加熱トラック1は、センサトラック2に対してより内側にある。センサトラック2の各ピーク21’は、整列しているシールドトラック3のピーク31’に対してより長い長さを有し、各ピーク31’は、整列している加熱トラック1のピーク11’に対してより大きな幅を有する。
【0050】
3つのトラック1、2、3のそれぞれは、好ましくは、特に軸Xに沿って、それぞれのトラフ12”、22”、32”(または第二のトラフ)によって交互に配置された、さらなるピーク11”、21”、31”(説明目的で第二のピークとも呼ばれる)も含む。
【0051】
第一のピーク11’、21’、31’および第二のピーク11”、21”、31”は、好ましくは、特に高さが互いに反対方向に、特に、軸Xに対して横方向、好ましくは直交するそれぞれの方向に沿って延びる。
【0052】
第一のピーク11’、21’、31’および第二のピーク11”、21”、31”は、好ましくは互いに整列しており、第一のトラフ12’、22’、32’は、第二のトラフ12”、22”、32”と整列している。
【0053】
第二のピーク11”、21”、31”は、好ましくは、第一のピーク11’、21’、31’で説明したものと同じ機能と機能間の関係を有する。
【0054】
各導電性トラック1、2、3は、電子制御ユニットへの接続に役立つ2つのそれぞれの端部13’、13”、23’、23”、33’、33”(
図1)を備えている。
【0055】
センサトラック2およびシールドトラック3は、好ましくは、しかし排他的にではなく、同じ電子制御ユニットに接続されるように適合され、加熱トラック1は、別の電子制御ユニットに接続されるように適合される。
【0056】
あるいは、3つのトラック1、2、3は、同じ電子制御ユニットに接続され得る。
【0057】
いずれにせよ、好ましくは、電子制御ユニットは、センサトラック2およびシールドトラック3を同じ電位に置くように適合され、特に、構成される。
【0058】
装置100は、任意選択で、上述のようにトラック1、2、3に接続された1つまたは複数の前記電子制御ユニットを含み得る。
【0059】
装置100は、フレキシブルである。装置100は、特にフレキシブルエレクトロニクスの分野に属し、フレキシブル回路または「フレックスフォイル」と呼ばれることもある。
【0060】
図1の装置100は、それが支持面上で支持されている条件下で示されていることは注目に値する。この条件下では、3つのトラック1、2、3は実質的に同じ平面にある。
【0061】
装置100は、フレキシブルなので、他の形状をとることもでき、例えば、装置100が車両のステアリングホイール9上に配置されている
図4に示される形状をとる。
【0062】
支持体10は、単なる例として示されていることは注目に値するが、特に装置が配置されることを意図されているステアリングホイール9によれば、図示されていない他の形状も有し得ることが理解される。
【0063】
さらに、トラック1、2、3の形状は、例としてのみ提供されていることは明らかである。
【0064】
好ましくは、しかし排他的にではなく、3つのトラック1、2、3は、絶縁支持体10に組み込まれる。例えば、トラック1、2、3は、互いに固定された絶縁支持体10の2つの層の間に配置され、実質的に、サンドイッチ構造を形成する。
【0065】
絶縁支持体10の2つの層のうちの1つは、ステアリングホイール9の本体に配置され得る。例えば、支持体10の1つの層は、ステアリングホイールの金属骨格またはステアリングホイールの本体の別の層に配置され得る。例えば、ステアリングホイール本体のポリウレタン製の層または熱硬化性プラスチックまたは熱可塑性物質で作られた別の要素に配置され得る。絶縁支持体10の他の層は、例えば、革製のステアリングホイールの外側被覆層で覆われていてもよい。
【0066】
あるいは、トラックは、絶縁支持体10の表面、例えば外面に固定され得る。
【0067】
いずれの場合も、3つのトラック1、2、3の上に、また一般に装置100の、例えば、ステアリングホイールの革製の外側被覆層を提供することが好ましく、それにより、ドライバーの手とセンサトラック2との間の接触は、間接型であり、特に容量結合である。
【0068】
装置100は、好ましくは、全体の厚さが0.1~1mmの間、例えば、0.1~0.6mmの間、または0.3~1mmの間、または0.3~0.6mmの間であり、例えば、厚さは約0.3mmに等しいか、あるいは約0.6mmに等しい。
【0069】
装置100の全体の厚さは、好ましくは、その最大長さおよび最大幅よりもはるかに小さい。そのような長さおよび幅は、好ましくは、絶縁支持体10の最大長および最大幅に実質的に対応する。例えば、軸Xに沿った装置100の長さは、900~1200mmの間であり得、幅は、80~160mmまたは80~100mmの間であり得る。装置100の寸法は、いかなる場合でも、それが適用される装置100のために提供される任意のステアリングホイールの寸法に従って選択され得る。
【0070】
絶縁支持体10を作製する材料は、好ましくは、ポリマー材料である。単なる非限定的な例として、絶縁支持体10は、シリコーン、PVC、PS、PP、PE、PC、ABS、PET、PA、PU、PUR、NBR、PTFE、EPDMなどを含むか、またはそれらから作られ、オプションで添加剤を含む。絶縁支持体は、好ましくは、PVCを含むか、またはPVCから作られる。
【0071】
非限定的な例として、各導電性トラック1、2、3は、アルミニウム、コンスタンタン、銅、洋白、鋼、インコネル、真ちゅうなどを含むか、またはそれらで作ることができる。導電性トラック1、2、3は、好ましくはアルミニウム製である。導電性トラックは、好ましくは、それぞれが10~200μmの間、例えば、15~150μmの間の厚さを有する。
【0072】
単なる非限定的な例として、装置100は、支持体10に固定された箔をエッチングすることによって、または切断、例えば、レーザー切断することによって得られた前述の導電性トラックの1つまたは複数が配置されているシリコーン支持体を架橋することによって作製され得る。
【0073】
装置100、特に支持体10は、好ましくは、拡張可能であり、それは、静止構成または初期構成に対して最大約10~20%まで、塑性変形および/または弾性変形可能である。
【0074】
図4は、装置100を有する車両のステアリングホイール9の一部を示している。特に装置100は、ステアリングホイール9の表面に固定されている。上述したように、装置100を覆う外側被覆層(図示せず)は、装置100上に設けることができる。このような外側被覆層は、好ましくは、革でできている。
【0075】
例として、装置100の操作方法は、加熱トラック1を加熱するための電力供給中に、加熱トラック1とセンサトラック2との間の容量結合を回避するように、シールドトラック3がセンサトラック2をシールドすることを提供し、また任意選択で、センサトラック2とシールドトラック3が同じ電位に配置されることが、特にこの目的のために構成された電子制御ユニットによって、上述の操作を実行するために、提供される。
【0076】
注目に値するのは、好ましくは、この説明に示されている値の間隔の終了値が含まれていることである。