(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】切除処置のためのプランニング中に温度プローブの位置を決定するための装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/00 20060101AFI20240510BHJP
A61B 18/02 20060101ALI20240510BHJP
A61B 18/04 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61B18/00
A61B18/02
A61B18/04
(21)【出願番号】P 2021542200
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2020051104
(87)【国際公開番号】W WO2020152042
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-12
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】オウトヴァスト ギョーム レオポルド テオドルス フレデリック
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/132345(WO,A1)
【文献】特表2017-514537(JP,A)
【文献】国際公開第2018/222934(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/129310(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00 - 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切除処置のためのプランニング中に温度プローブの位置を決定するための装置であって、前記装置は、
切除プランを提供する切除プラン提供ユニットであって、前記切除プランは、切除領域及び保護領域の幾何学的情報を含み、前記保護領域は前記切除処置中に切除から保護されるべき領域であり、前記幾何学的情報は、それぞれの領域の位置及び形状についての情報を含む、切除プラン提供ユニットと、
前記温度プローブのプラン位置において、前記温度プローブが前記切除処置中に前記保護領域を保護するように位置決めされるべき当
該温度プローブのプラン位置を決定する温度プローブ位置決定ユニットであって、前記温度プローブの前記プラン位置は、前記切除領域及び前記保護領域の前記幾何学的情報に基づいて決定され、前記温度プローブ位置決定ユニットは、前記切除領域と前記保護領域との間の最短パスを決定し、前記最短パスに沿って前記温度プローブの前記プラン位置を決定する、温度プローブ位置決定ユニットと
を備える、装置。
【請求項2】
前記切除プランは、前記温度プローブが挿入され得る複数の格子ポイントを備える格子テンプレートの位置を更に含み、前記温度プローブ位置決定ユニットは更に、前記格子テンプレートの前記位置に基づいて前記温度プローブの前記プラン位置を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記温度プローブ位置決定ユニットは、前記格子テンプレートの格子ポイントを通って前記温度プローブが位置決めされるべき当該格子ポイントを含む前記温度プローブのプラン位置を決定する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記温度プローブ位置決定ユニットは、前記最短パスと前記保護領域との間の交差ポイントを決定し、前記交差ポイントに対して最も近い格子ポイントの位置を前記温度プローブの前記プラン位置として決定する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記切除プランは、
前記切除領域及び前記保護領域を含む影響領域について、前記切除処置の実施中の推定温度展開を更に含み、前記温度プローブ位置決定ユニットは、前記推定温度展開に更に基づいて前記温度プローブの前記プラン位置を決定する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記温度プローブ位置決定ユニットは、前記切除処置中の前記温度プローブの前記プラン位置において予想される温度変化が、
前記保
護領域におけるよりも高くなるように、
前記推定温度展開に基づいて前記温度プローブの前記プラン位置を決定する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記温度プローブ位置決定ユニットは、
前記保
護領域の周りの安全マージン内で、最も高い温度が予想される位置として前記温度プローブの前記プラン位置を決定する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記切除プランは、前記保護領域の感度についての情報を更に含み、前記温度プローブ位置決定ユニットは更に、感度情報に基づいて前記温度プローブの前記プラン位置を決定する、請求項1
、2、3、5、6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記温度プローブ位置決定ユニットは更に、前記温度プローブの決定された前記プラン位置に基づいて閾値温度を提供し、前記閾値温度は、組織が加熱を使用して切除される場合には、決定された前記プラン位置に位置決めされた前記温度プローブによって前記閾値温度よりも低い温度が測定されるならば、前記保護領域における組織が損傷を受けることがないように決定さ
れる、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記温度プローブ位置決定ユニットは更に、前記温度プローブの決定された前記プラン位置に基づいて閾値温度を提供し、前記閾値温度は、組織が冷却を使用して切除される場合には、決定された前記プラン位置に位置決めされた前記温度プローブによって前記閾値温度よりも高い温度が測定されるならば、前記保護領域における組織が損傷を受けることがないように決定される、請求項1から6のいずれか一項、又は、請求項1、2、3、5若しくは6を引用する請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記切除プランは、
前記切除領域及び前記保
護領域を含む影響領域について、前記切除処置の実施中の推定温度展開を更に含み、前記温度プローブ位置決定ユニットは、前記推定温度展開に更に基づいて前記閾値温度を決定する、請求項
9又は10に記載の装置。
【請求項12】
切除処置をプランニング及びガイドするための切除処置プランニング及びガイダンスシステムであって、前記切除処置プランニング及びガイダンスシステムは、
切除領域及び保護領域の幾何学的情報を含む切除プランを決定する切除プラン決定ユニットと、
前記切除処置のための温度プローブのプラン位置を決定する、請求項1に記載の装置と、
前記切除プラン及び前記温度プローブの前記プラン位置を含む最終的切除プランを、前記切除処置を制御するための切除処置制御ユニットに提供する最終的切除プラン提供ユニットと
を備える、切除処置プランニング及びガイダンスシステム。
【請求項13】
前記切除処置プランニング及びガイダンスシステムは、前記切除処置を制御する切除処置制御ユニットを更に備え、前記切除処置制御ユニットは、前記切除処置中の前記温度プローブの実際位置を決定し、前記温度プローブの前記実際位置及び前記プラン位置に基づいて前記温度プローブの位置決めをガイドする、請求項
12に記載の切除処置プランニング及びガイダンスシステム。
【請求項14】
切除プラン提供ユニットと、温度プローブ位置決定ユニットとを備える切除処置のためのプランニング中に温度プローブの位置を決定するための
装置の作動方法であって、前記
作動方法は、
前記切除プラン提供ユニットが、切除プランを提供するステップであって、前記切除プランは、切除領域及び保護領域の幾何学的情報を含み、前記保護領域は前記切除処置中に切除から保護されるべき領域であり、前記幾何学的情報は、それぞれの領域の位置及び形状についての情報を含む、ステップと、
前記温度プローブ位置決定ユニットが、温度プローブの位置において、前記温度プローブが前記切除処置中に前記保護領域を保護するように位置決めされるべき当該温度プローブの位置を決定するステップであって、前記温度プローブの前記位置は、前記切除領域及び前記保護領域の前記幾何学的情報に基づいて決定され、前記温度プローブの位置を決定するステップは、
前記温度プローブ位置決定ユニットが、前記切除領域と前記保護領域との間の最短パスを決定し、前記最短パスに沿って前記温度プローブの前記位置を決定するステップを有する、ステップと
を有する、
作動方法。
【請求項15】
切除処置のための温度プローブの位置を決定するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、請求項1に記載の装置上で前記コンピュータプログラムが実行されたときに、請求項
14に記載の
作動方法のステップを前記装置に実行させるためのプログラムコー
ドを備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切除処置のプランニング中に温度プローブのプラン位置を決定するための装置、方法及びコンピュータプログラム、並びに、該装置を使用する切除処置をプランニング及びガイドするための切除処置プランニング及びガイダンスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
切除処置中に、切除プローブが患者の目標領域、例えば腫瘍領域に挿入され、切除プローブは、加熱又は冷却を目標領域に与えて目標領域を切除する。多くの場合において、目標領域は、その重要な生理学的機能のために切除されるべきではない組織、例えば臓器組織によって包囲されている。切除されるべきできはない組織領域、例えば目標領域の近傍の臓器を保護するために、通常、切除処置中に温度を測定する温度プローブが挿入され、それによって、切除領域及び保護されるべき領域における温度分布及び温度展開についての知識を医師に与えることができる。現在のところ、これらの温度プローブは、医師によって、一般的な規則と彼/彼女の経験とに基づいて挿入される。故に、切除処置中の切除されるべきではない領域の保護の成功は、切除処置を実施する医師のスキルに強く依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、切除処置中にリスクに晒された臓器の保護が向上され得るように、切除処置のためのプランニング中に温度プローブのプラン位置を決定することを可能とする装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様において、切除処置のためのプランニング中に温度プローブのプラン位置を決定するための装置が提示される。装置は、a)切除プランを提供するための切除プラン提供ユニットであって、切除プランは、切除領域及び保護領域の幾何学的情報を含み、保護領域は切除処置中に切除から保護されるべき領域であり、幾何学的情報は、それぞれの領域の位置及び形状についての情報を含む、切除プラン提供ユニットと、b)切除処置中に保護領域を保護するように位置決めされるべき温度プローブのプラン位置を決定するための温度プローブ位置決定ユニットであって、温度プローブのプラン位置は、切除領域及び保護領域の幾何学的情報に基づいて決定される、温度プローブ位置決定ユニットとを備える。
【0005】
温度プローブ位置決定ユニットは、それぞれの領域の位置及び形状を含む切除領域及び保護領域の幾何学的情報に基づいて保護領域を保護するように位置決めされるべき温度プローブのプラン位置を決定するので、温度プローブのプラン位置は、温度プローブがプラン位置に位置決めされたならば、医師などのユーザが、保護領域、すなわち目標領域の近傍の保護されるべき領域が切除される危険に晒されているかを非常に正確に推定することを可能とする領域における温度を測定し得るように決定され得る。それ故、装置は、特定の臓器のような保護されるべき領域の保護を向上させることを可能とし、患者にとっての切除処置の安全性も向上され得る。
【0006】
切除プランを提供するように適合された切除プラン提供ユニットは、例えば、切除プランを記憶する記憶ユニットであってよい。代替的に、切除プラン提供ユニットは、切除プランを記憶する記憶ユニットに接続されてよい。更には、切除プラン提供ユニットは、切除プランを決定する切除プラン決定ユニットにも直接的に接続され、切除プラン決定ユニットは、切除プラン提供ユニットに切除プランを提供する。切除プランは、切除領域及び保護領域の幾何学的情報を少なくとも含み、幾何学的情報は、それぞれの領域の位置及び形状についての情報、すなわち、切除領域の位置及び形状についての情報並びに保護領域の位置及び形状についての情報を含む。幾何学的情報は、例えば、切除処置を受けるべき関心領域の医療画像に基づいて取得され得、医療画像は、超音波画像、CT画像、PET画像などのような画像であってよい。代替的に、幾何学的情報は、関心領域についての事前の知識に基づいて、例えば、関心領域におけるそれぞれの構造の一般的に知られている位置及び形状に基づいて取得される。更には、位置及び形状はユーザによって提供されてよく、例えば、提供された医療画像において切除領域及び保護領域を線引きし及びセグメント化することによって提供されてよく、又は自動的に、例えば、関心領域の医療画像の自動的セグメント化によって提供されてよい。切除領域とは、切除されるべき領域、例えば、腫瘍であって、腫瘍全体が切除されることを確実にする追加的な安全マージンを付加した腫瘍を指す。保護領域とは、例えば患者にとって重要な機能を有する臓器を含むという理由によって、保護されるべき領域を指す。以下において、このような臓器はリスクに晒された臓器と呼ばれる。リスクに晒された臓器に加えて、又はこれに代わって、保護領域は、筋肉組織又は骨組織のような切除されるべきではない組織を含み得る。更に、保護領域も、リスクに晒された臓器が切除処置を受ける恐れが無いことを確実にする安全マージンを含み得る。特には、保護領域及び切除領域は完全に異なる領域を指し、これらは、互いに重なり合うことが無く、例えば、切除領域の一部でも保護領域の一部でもない組織によって互いから離間される。すなわち、このような間にある組織は、切除される必要はないが、間にある組織の一部の過加熱や切除という結果は依然として許容され得るような組織である。切除プランは更に、追加的な情報、例えば、既にプランニングされた切除プローブの位置又は切除処置のためにプランニングされた一般的な処置についての情報を含み得る。
【0007】
温度プローブ位置決定ユニットは、切除処置中に保護領域を保護するように位置決めされるべき温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。温度プローブは、切除処置中に患者の内側に位置決めされたときに、温度プローブの周囲の組織の温度を測定するように構成される。切除処置中に温度プローブが保護領域を保護するように位置決めされたとき、温度プローブは、温度プローブに接触している組織の温度を測定し、測定された温度を医師のようなユーザに提供し、提供される温度は、保護領域が切除される危険に晒されているかをユーザが推定することを可能とする。代替的に、温度プローブによって測定された温度はアラームシステムに提供され、アラームシステムは、温度プローブによって測定された温度が、保護領域が切除される可能性があることを示す所定の閾値を超えると切除処置中にアラームを鳴らす。
【0008】
温度プローブのプラン位置は、切除プランに含まれる切除領域の幾何学的情報及び保護領域の幾何学的情報に基づいて決定される。それ故、温度プローブ位置決定ユニットは、温度プローブが、幾何学的情報に従って、その保護機能を提供するために最適な位置に位置決めされるように温度プローブのプラン位置を決定し得る。このプラン位置は、例えば、切除領域と保護領域との間の領域における温度が上昇したときにユーザが分かるように、切除領域と保護領域との間の位置であってよい。温度プローブのプラン位置は、温度プローブが切除領域の近くに位置決めされて切除領域の周囲における温度展開を監視し、切除領域の周囲における温度が高くなりすぎたときに切除処置が中止され得るように決定されてもよい。代替的に、温度プローブは、保護領域の近くでの温度変化が厳密に監視され、保護領域における温度展開が保護領域を保護するためのプランに従っていないときに切除処置が中止されるように、保護領域の近くに位置決めされてよい。好ましくは、温度プローブ位置決定ユニットは、最短パスと保護領域との間の交差ポイントを温度プローブのプラン位置として決定するように適合される。
【0009】
実施形態において、温度プローブ位置決定ユニットは、切除領域と保護領域との間の最短パスを決定し、最短パスに沿って温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。切除領域と保護領域との間の最短パスは温度プローブ位置決定ユニットによって決定され、温度プローブのプラン位置はこの最短パスに沿って決定されるので、切除処置中に温度プローブがプラン位置に位置決めされたときに意図されることなく切除されるリスクが最も高い領域における温度を温度プローブが確実に監視し得る。故に、保護領域の保護が更に向上され得る。切除領域と保護領域との間の最短パスは、知られた幾何学的方法を使用して、例えば切除領域及び保護領域の形状及び位置に基づいて決定され得る。更には、コンピュータシミュレーションが、切除領域と保護領域との間の最短パスを決定するために使用され得る。最短パスとは、切除領域の形状によって定められる切除領域の表面又は境界と保護される領域の形状によって定められる保護される領域の表面又は境界との間の最短パスを指してよい。代替的に、最短パスは、切除領域の中央ポイントと保護される領域の中央ポイントとの間の最短パスを指してもよい。
【0010】
実施形態において、切除プランは、温度プローブが挿入され得る複数の格子ポイントを備える格子テンプレートの位置を更に含み、温度プローブ位置決定ユニットは更に、格子テンプレートの位置に基づいて温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。多くの切除処置において、患者の内側での目標プローブ又は温度プローブのようなプローブの位置決めの正確性を増すとともに、同時に処置の簡便さを増すために、格子テンプレートが使用される。概して、格子テンプレートとは、格子ポイントを通って処置中に使用されるプローブが患者内に挿入され得る複数の当該格子ポイントを備える格子を指す。格子ポイントは、格子テンプレート上に任意種類の構成で提供され得る。例えば、格子ポイントは、矩形又は円形のパターンで均等及び均一に離間され得る。他の例において、格子ポイントは、格子テンプレート上に不均一に分布され、又は任意的に分布されることさえある。概して、格子テンプレート上の格子ポイントの位置は既知であるので、格子ポイントの位置は格子テンプレートの位置によって定められる。切除プランによって提供される格子テンプレートの位置は、患者に対する格子テンプレートの位置を指し、すなわち、切除領域及び保護領域に対する格子テンプレートの位置を指す。格子テンプレートの格子ポイントは、格子ポイントを通って位置決めされる温度プローブが、格子ポイントの構成によって決定された所定のパスをなぞるように構成され得る。例えば、格子ポイントは、格子ポイントに挿入された温度プローブが、格子テンプレートに垂直なパスをなぞるように構成される。しかし、他のパス、例えば格子テンプレートに対して傾斜したパスも格子ポイントによって提供され得る。こうして、温度プローブ位置決定ユニットは、格子テンプレートの位置に基づいて温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。それ故、温度プローブ位置決定ユニットは、温度プローブのこのプラン位置が、格子テンプレートの格子ポイントに挿入された温度プローブによって到達され得るように温度プローブのプラン位置を決定し得る。
【0011】
好ましくは、位置決定ユニットは、格子テンプレートの格子ポイントの位置及び構成に基づいて温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。このことは、格子テンプレートの格子ポイントを通じて、ユーザが切除処置中に温度プローブを非常に正確に位置決めし得ることを確実にする。好ましくは、温度プローブ位置決定ユニットは、格子テンプレートの格子ポイントを通って温度プローブが位置決めされるべき当該格子テンプレートの格子ポイントを含む温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。温度プローブのプラン位置は、温度プローブが挿入される格子ポイントの位置及び構成によって主に決定されるので、提供されるプラン位置が、温度プローブが挿入されるべき特定の格子ポイントについての情報を含んでいるなら、ユーザにとって切除処置が簡略化され得る。
【0012】
実施形態において、温度プローブ位置決定ユニットは、最短パスと保護領域との間の交差ポイントを決定し、交差ポイントに対して最も近い格子ポイントの位置を温度プローブのプラン位置として決定するように適合される。最短パスと保護領域との間の交差ポイントは、例えば、最短パスが保護領域の表面又は境界と交差するポイントとして定められ得る。次いで、もしも温度プローブの位置が、交差ポイントに対して最も近い格子ポイントの位置であるものとして決定されるならば、温度プローブが、保護領域の表面又は境界のできる限り近くに提供されることが確実になる。意図されることなく切除されるリスクが最も高い保護領域の部分は、切除領域に最も近い保護領域の部分であるので、交差ポイントに最も近い格子ポイントを温度プローブのプラン位置として提供することは、温度プローブがプラン位置に位置決めされたときに、保護領域のこの部分を厳密に監視することを可能とする。故に、保護領域の保護が更に向上され得る。
【0013】
実施形態において、切除プランは、目標領域及び保護領域を含む影響領域について切除処置の実施中の推定温度展開を更に含み、温度プローブ位置決定ユニットは、推定温度展開に更に基づいて温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。切除プランに含まれる切除処置の実施中の推定温度展開は、例えば、使用されるようにプランニングされた切除プローブについての知識及び切除のために使用されるようにプランニングされたエネルギーに基づいて提供され得る。更には、切除処置の実施中の温度展開を数値的にシミュレートするためのより高度なモデルが、温度展開を推定するために使用され得る。
【0014】
温度展開は、関心領域全体について、すなわち、影響領域全体について推定され、これは、目標領域及び保護領域を含む。もしも推定温度展開についてのこのような情報が切除プランにおいて入手可能であるならば、温度プローブ位置決定ユニットは、推定温度展開に更に基づいて温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。このことは、保護領域における温度及びその近くでの温度に影響を与える要因であって、目標領域及び保護領域の幾何学的情報によって反映されない要因が考慮に入れられ得ることを確実にする。例えば、保護領域の特定の部分の近傍における血管の分布は、保護領域のこの部分の追加的な冷却を要することがあるが、保護領域の他の部分においては冷却が期待されない。故に、このような場合において、温度プローブ位置決定ユニットは、追加的な冷却によって影響されない保護領域の領域の近くに温度プローブのためのプラン位置を決定する。というのは、この領域においては、より高い温度が予想されるからである。
【0015】
好ましくは、温度プローブ位置決定ユニットは、切除処置中の温度プローブのプラン位置において予想される温度変化が、保護される領域におけるよりも高くなるように、予想される温度展開に基づいて、プランニングされた温度プローブ位置を決定するように適合される。保護領域を効果的に保護するために、すなわち、保護領域が切除によって損傷を受ける前にユーザが温度情報に反応することを可能とするような温度情報を彼/彼女に効果的に提供するためには、安全マージンが提供されるように、及び、ユーザが反応するための時間が十分にあるように、温度プローブのプラン位置における温度変化、すなわち切除のために加熱を使用する場合には温度の上昇、切除のために冷却を使用する場合には温度の低下が、保護領域における予想される温度変化よりも常に大きいことが有利である。
【0016】
実施形態において、温度プローブ位置決定ユニットは、保護される領域の周りの安全マージン内で、切除が加熱を使用する場合には最も高い温度、及び冷却を使用する場合には最も低い温度が予想される位置として温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。保護される領域の周りの安全マージンとは、保護領域を囲む領域を指し得る。安全マージンの境界は、保護領域の境界までの一定の距離によって決定され得、又は、この距離は変化してもよい。安全マージンは、切除プランとともに、又はその一部としてユーザによって提供されてよく、又は、安全マージンは、事前に定められ、好ましくは事前設定されて、温度プローブ位置決定ユニットに提供されてよい。安全マージン内で最も高い又は最も低い温度が予想され得る位置は、推定温度展開に基づいて決定され得る。例えば、最も高い又は最も低い温度は、安全マージン内の全ての位置について及び切除処置中の全ての時間について全ての予想される温度を比較することによって決定され得る。
【0017】
実施形態において、温度プローブ位置決定ユニットは更に、温度プローブの決定されたプラン位置に基づいて閾値温度を提供するように適合され、閾値温度は、組織が加熱を使用して切除される場合には、決定されたプラン位置に位置決めされた温度プローブによって閾値温度よりも低い温度が測定されるならば、保護領域における組織が損傷を受けることがないように決定され、又は、組織が冷却を使用して切除される場合には、決定されたプラン位置に位置決めされた温度プローブによって閾値温度よりも高い温度が測定されるならば、保護領域における組織が損傷を受けることがないように決定される。閾値温度は、温度プローブのプラン位置に基づいて、例えば、温度プローブのプラン位置と切除領域との間の距離を決定し、温度をこの距離に基づいて決定することによって決定され得る。例えば、温度閾値は、切除領域からの距離が増加するにつれて、切除の種類に応じて減少又は増加され得る。更には、温度閾値は更に、増加又は減少する温度からの損傷に対する保護領域の感度についての知識に基づいて決定され得、次いで、閾値は、もしも温度プローブによって測定される温度が閾値よりも低い又は高いならば、保護領域において損傷が予想されることがないように決定され得る。
【0018】
好ましい実施形態において、切除プランは、目標領域及び保護される領域を含む影響領域について切除処置の実施中の推定温度展開を更に含み、温度プローブ位置決定ユニットは、推定温度展開に更に基づいて温度閾値を決定するように適合される。この実施形態において、温度閾値は、温度プローブのプラン位置における温度展開についての知識に基づいて決定され得、故に、もしも切除処置中にプラン位置に対応する温度プローブの位置において測定された温度がこの位置について予想される温度を超えるならば、医師に対して警告が発せられ得るように決定され得る。
【0019】
実施形態において、切除プランは、保護領域の感度についての情報を更に含み、温度プローブ位置決定ユニットは更に、感度情報に基づいて温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。保護領域の感度情報とは、温度に対する感度を指し得る。例えば、いくつかの臓器の組織は、他の臓器の組織より感度が高いことがあり、例えば、いくつかの臓器の組織は、他の臓器の組織よりも低い温度で損傷を受ける。更には、感度情報は、保護領域が穿刺に対してどのくらいの感度を有するかについての情報を含む。例えば、この情報は、保護領域が温度プローブによって穿刺されてよいか否かについての情報を含む。例えば、一般に大血管は、合併症の大きなリスクがあるので、温度プローブによって穿刺されるべきではなく、その一方で、他の臓器は、しばしば、温度プローブの挿入によって恒久的に損傷を受けることはない。こうして、温度プローブ位置決定ユニットは、温度プローブのプラン位置を決定するときに、この情報を考慮に入れることができる。例えば、温度プローブ位置決定ユニットは、もしも感度情報が穿刺に対する保護領域の高い感度を含むならば、保護領域内の位置を回避するように適合され得る。更には、温度プローブ位置決定ユニットは、もしも感度情報が保護領域が熱に対して特に感度が高いということを示すならば、保護領域から更に離れるように温度プローブのプラン位置を決定するように適合され得る。
【0020】
本発明の更なる態様において、切除処置をプランニング及びガイドするための切除処置プランニング及びガイダンスシステムが提示される。切除処置プランニング及びガイダンスシステムは、a)切除領域及び保護領域の幾何学的情報を含む切除プランを決定するための切除プラン決定ユニットと、b)切除処置のための温度プローブの位置を決定するための、請求項1に記載の装置と、c)切除プラン及び温度プローブの位置を含む最終的切除プランを切除処置を制御するための切除処置制御ユニットに提供するための最終的切除プラン提供ユニットとを備える。
【0021】
切除プラン決定ユニットは、例えば、切除プランを自動的に決定するように、又はユーザとの相互作用において決定するように適合され得る。切除プランを決定するために、切除プラン決定ユニットは、例えば、関心領域の画像、すなわち、切除されるべき構造を含む領域の画像を処理するための画像処理ユニットを備え得、関心領域において切除領域及び保護領域を特定するように適合され得る。更には、切除プラン決定ユニットは、例えば、切除プローブの位置、切除プローブによって提供されるエネルギー、影響エリアにおける組織の組織特性、影響領域の解剖学的構造などに基づいて、切除領域及び保護領域を含む影響領域における温度展開をシミュレート又は計算するための手段を更に備え得る。
【0022】
最終的切除プランは、最終的切除プランが切除処置制御ユニットに提供されたときに、切除処置制御ユニットが切除処置を実行するために必要な全ての情報をユーザに提供し得るように、切除プランと温度プローブの位置とを含む。更には、最終的切除プランは温度閾値も含み得、切除処置制御ユニットは、もしも最終的切除プランに従って位置決めされた温度プローブによって測定された温度が前もって決定された温度閾値を超える温度であったならばアラームを鳴らすためのアラームユニットを備え得る。
【0023】
実施形態において、切除処置プランニング及びガイダンスシステムは、切除処置を制御するための切除処置制御ユニットを更に備え、切除処置制御ユニットは、切除処置中の温度プローブの実際位置を決定し、温度プローブの実際位置及びプラン位置に基づいて温度プローブの位置決めをガイドするように適合される。
【0024】
切除処置制御ユニットは、例えば、切除処置を制御するために、切除処置中に最終的切除プランをユーザに対して表示するディスプレイであり得る。切除処置制御ユニットは、切除処置制御ユニットによって制御されて、単独で又はユーザと協働して最終的切除プランを実行する医療ロボットのような医療処置実行ユニットを更に備え得る。
【0025】
更には、切除処置制御ユニットは、切除処置中の温度プローブの実際位置を決定するように適合される。例えば、温度プローブは、電磁的又は光学的実際位置決定システムのような実際位置決定システムを備えるように適合され得、切除処置制御ユニットは、実際位置決定システムによって提供される信号に基づいて温度プローブの実際位置を決定するように適合され得る。代替的に、切除処置中に使用される格子テンプレートが、格子ポイントのうちの1つにプローブが挿入されたときにそのことを示すシステムを備え得、制御ユニットは、格子テンプレートよって示される格子ポイントに基づいて温度プローブの実際位置を決定するように適合され得る。好ましくは、切除処置は、温度プローブの位置決めを撮像する超音波システムのような撮像システムのガイダンスの下で実行され、制御ユニットは、撮像システムの画像を受信し、画像に基づいて温度プローブの実際位置を決定するように適合され得る。
【0026】
切除処置制御ユニットは更に、実際位置及びプラン位置に基づいて温度プローブの位置決めをガイドするように適合される。ガイダンスは、例えば、温度プローブが位置決めされるべき領域の画像をユーザに対してディスプレイ上で提供して、画像上で温度プローブの実際位置及びプラン位置を示すことを含み得る。こうして、ユーザは、示された位置に従って直接的にナビゲートし得、温度プローブがプラン位置に正しく位置決めされることを確実にし得る。更には、ガイダンスは、温度プローブがプラン位置に位置決めされるようにロボットが操作され得るように実際位置及びプラン位置に基づいてロボットを制御すること含み得る。
【0027】
本発明の更なる態様において、切除処置のためのプランニング中に温度プローブのプラン位置を決定するための方法が提示される。方法は、a)切除プランを提供するステップであって、切除プランは、切除領域及び保護領域の幾何学的情報を含み、保護領域は切除処置中に切除から保護されるべき領域であり、幾何学的情報は、それぞれの領域の位置及び形状についての情報を含む、ステップと、b)切除処置中に保護領域を保護するように位置決めされるべき温度プローブのプラン位置を決定するステップであって、温度プローブのプラン位置は、切除領域及び保護領域の幾何学的情報に基づいて決定される、ステップとを有する。
【0028】
更なる態様において、切除処置のための温度プローブの位置を決定するためのコンピュータプログラムが提示される。コンピュータプログラムは、請求項1に記載の装置上でコンピュータプログラムが実行されたときに、請求項14に定められた方法のステップを装置に実行させるためのプログラムコード手段を備える。
【0029】
請求項1に記載の装置、請求項12に記載のシステム、請求項14に記載の方法、及び請求項15に記載のコンピュータプログラムは、特には従属請求項において定められるように、類似の及び/又は同一の好ましい実施形態を有することが理解されるべきである。
【0030】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであってもよいことが理解されるべきである。
【0031】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかになり、これらを参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】切除処置のための温度プローブの位置を決定するための装置の実施形態を概略的及び例示的に図示する図である。
【
図2】このような装置の機能を概略的及び例示的に図示する図である。
【
図3】切除治療のためのテンプレート治療パラメータを支援及び提供するための方法の実施形態を例示的に示すフローチャートを図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1において、切除処置のための温度プローブのプラン位置を決定するための装置が、温度プローブのプラン位置を決定するための装置を備える切除処置プランニング及びガイダンスシステムのコンテキストにおいて、概略的及び例示的に図示される。切除処置プランニングシステム100は、切除プラン決定ユニット110と、温度プローブ120のプラン位置を決定するための装置と、最終的切除プラン提供ユニット130とを備える。
【0034】
切除プラン決定ユニット110は、入力提供デバイス140によって提供される入力に基づいて切除処置のための切除プランを決定するために適合される。入力とは、例えば、CT画像、超音波画像、PET画像などのような患者の関心領域の医療画像、年齢、サイズ、体重などのような患者データ、切除システムの構造的特性、使用されるべき切除プローブによって提供される機能などのような使用されるべき切除システムについての情報を指し得る。
【0035】
次いで、この実施形態において、切除プラン決定ユニット110は、関心領域の提供される医療画像を切除処置プランニングシステム100のユーザに提供するように適合され、画像において切除されるべき領域を指す切除領域と切除処置中に保護されるべき1つ又は複数の保護領域とをユーザは示し得る。別の実施形態において、切除プラン決定ユニット110は、医療画像における解剖学的構造を自動的にセグメント化し、セグメント化された構造から切除領域及び保護領域を自動的に特定するように適合され得る。切除プラン決定ユニット110は、示された切除領域及び保護領域に基づいて、切除処置のための切除プランを決定するように適合される。
【0036】
切除プランは、切除領域及び保護領域の幾何学的情報を含み、好ましくは、切除領域及び保護領域の位置及び形状についての情報を含む。切除プランは、例えば、切除プローブの位置を更に含み得る。更には、この実施形態において、切除プランは、切除処置中に切除プローブ及び温度プローブの位置決めのために使用されるべき格子テンプレートの位置及び構造についての情報も含む。切除プランの決定の後、切除プラン決定ユニット110は、切除プランを装置120に提供する。特には、切除プラン決定ユニット110は、切除プランを切除プラン提供ユニット121に提供する。この実施形態において、切除プラン提供ユニット121は記憶ユニットであり、切除プラン決定ユニット110は決定された切除プランをこの記憶ユニットに記憶する。次いで、切除プラン提供ユニット121は、切除プラン又はそれぞれの領域の少なくとも幾何学的情報を温度プローブ位置決定ユニット122に提供するように適合される。
【0037】
温度プローブ位置決定ユニット122は、切除プラン決定ユニット110によって決定され、切除プラン提供ユニット121によって提供された切除領域及び保護領域の幾何学的情報に基づいて温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。更には、この実施形態において、温度プローブ位置決定ユニット122は、格子テンプレートの位置に更に基づいて温度プローブのプラン位置を決定するように適合される。切除領域及び保護領域の幾何学的情報に基づき、並びに格子テンプレートの位置にも基づく温度プローブのプラン位置の例示的な決定は、
図2を参照して更に説明されるべきである。
【0038】
図2は、格子テンプレート200、切除領域240及び保護領域250を概略的及び例示的に図示する。格子テンプレート200、切除領域240及び保護領域250は、
図2において、格子テンプレート200に垂直な方向から見て互いに対して概略的に図示されている。格子テンプレート200は、格子ポイント210を通って切除プローブ及び温度プローブが患者内に挿入され得る複数の当該格子ポイント210を備える。ここに図示される場合においては、全ての格子ポイント210は、周期的な四角形状分布、正方形状分布で格子テンプレート200上に均等及び均一に離間されている。更には、格子ポイント210は、切除プローブ又は温度プローブを格子テンプレート200に垂直な方向に挿入することを可能とするように構成される。温度プローブ位置決定ユニット122は、切除領域240及び保護領域250の位置及び形状を含む幾何学的情報に基づいて、切除領域240と保護領域250との間の最短パス260を決定するように適合される。最短パス260とは、この実施形態において、切除領域240の境界と保護領域250の境界との間の最短距離を含む切除領域240と保護領域250との間の直線のことである。更に、温度プローブ位置決定ユニット122は、最短パス260が保護領域250の境界と交差する交差ポイント270を決定するように適合される。更には、温度プローブ位置決定ユニット122は、格子テンプレート200の格子ポイント210を通る温度プローブの全ての可能なパスを決定するように適合される。この場合、これらのパスは、格子テンプレート200に対して垂直に各格子ポイント210を通る直線を指す。更に、温度プローブ位置決定ユニット122は、交差ポイント270の最も近くまで進む温度プローブの可能なパスを決定するように適合される。更には、温度プローブ位置決定ユニット122は、前もって決定された温度プローブの最も近い可能なパスに沿って交差ポイント270に最も近いポイントとして温度プローブの深さ位置を決定する。更に、温度プローブのプラン位置を決定するために、次いで、温度プローブ位置決定ユニット122は、温度プローブの最も近い可能なパスに属する格子ポイント230を決定する。こうして、温度プローブのプラン位置は、決定された格子ポイント230及び深さ位置を含む。次いで、温度プローブ位置決定ユニット122は、決定されたプランニングされた温度プローブ位置を最終的切除プラン提供ユニット130に提供し得る。
【0039】
次いで、最終的切除プラン提供ユニット130は、プランニングされた温度プローブ位置を切除プランと組み合わせて最終的切除プランを形成し得る。更には、最終的切除プラン提供ユニット130は、最終的切除プランを検証及びチェックするための検証ユニットを備え得る。例えば、検証ユニットは、切除処置の所定のゴールとの整合性について最終的切除プランをチェックし得、又は、最終的切除プランにおける不整合性についてチェックし得る。次いで、最終的切除プラン提供ユニット130は、最終的切除プランをユーザに対して表示するために、最終的切除プランをディスプレイ150に提供し得る。次いで、ユーザは、例えば、最終的切除プランを受け入れ、修正、又は拒否し得る。もしもユーザが最終的切除プランを拒否又は修正するならば、切除処置プランニング及びガイダンスシステム100は、ユーザの修正、異なる入力、又は異なる切除プラン決定アルゴリズムに基づいて、上記の実施形態に従って最終的切除プランを再び決定し、それぞれの結果的な最終的切除プランをディスプレイ150上でユーザに対して再び提供する。
【0040】
最終的切除プランがユーザによって最終的に受け入れられると、最終的切除プラン提供ユニット130は、それぞれの切除処置を制御するために適合された切除処置制御ユニット160に最終的切除プランを提供し得る。ここに提示された実施形態において、切除処置制御ユニット160はシステム100の一部ではないが、他の実施形態において、切除処置制御ユニット160はシステム100の一部であってよい。切除処置をガイドするために、切除処置制御ユニット160は、例えば、最終的切除プランをユーザに一つずつ提供し得、ユーザは切除処置中に最終的切除プランに従うことができる。更には、切除処置制御ユニット160は、最終的切除プランに従って切除システムの1つ又は複数のコンポーネントを制御する。例えば、切除処置制御ユニット160は、最終的切除プランに従って切除プローブを制御する。更に、切除処置制御ユニット160は、医療ロボットに接続され、例えば温度プローブの挿入中に、最終的切除プランに従って医療ロボットを制御する。
【0041】
更に、切除処置制御ユニット160は、温度プローブの位置決めをガイドするように特に適合され得る。例えば、切除処置制御ユニット160は、温度プローブに設けられる実際位置決定システムに基づいて、又は、温度プローブが位置決めされるべき領域における温度プローブを示す超音波画像のような画像に基づいて、温度プローブの実際位置を決定するように適合され得る。次いで、温度プローブの位置決め中にユーザをガイドするために、切除処置制御ユニット160は、例えば温度プローブが位置決めされるべき領域の画像におけるシンボルによって示される実際位置及びプラン位置をディスプレイ150上に表示し得る。こうして、ユーザは、示された位置に基づいて温度プローブを非常に正確に位置決めし得る。代替的に、もしも温度プローブが医療ロボットによって位置決めされるならば、切除処置制御ユニット160は、温度プローブの実際位置及びプラン位置に基づいて、温度プローブをプラン位置に位置決めするように医療ロボットを制御するように適合され得る。
【0042】
図3は、切除処置のプランニング中に温度プローブのプラン位置を決定する方法のフローチャートを概略的及び例示的に図示する。方法300は、切除プランを提供する第1のステップ310を有する。切除プランは、切除領域及び保護される領域の幾何学的情報を含み、幾何学的情報は、それぞれの領域の位置及び形状についての情報を含む。第2のステップ320において、温度プローブのプラン位置が、切除領域及び保護領域の幾何学的情報に基づいて決定される。温度プローブの位置は、例えば、
図2を参照して上に説明されたように決定され得る。
【0043】
上述された本発明は、好ましくは介入性腫瘍学における熱的切除の分野に関し、切除処置の安全性及び有効性を監視する際にユーザを助けるように、温度プローブの設置中のプランニング及びガイドの必要性に対処し得る。概して、経皮的熱的切除は、過去10年の間に、採用されることが著しく増加している介入性腫瘍治療オプションであり、2024年まで8%から10%の複合年間成長率で引き続き成長するものと予期されている。熱的切除は、高周波、マイクロ波、高密度焦点式超音波、焦点レーザー切除、非可逆的電気穿孔法、冷凍切除などの様々な切除モダリティを使用して送達され得る。
【0044】
臨床的実践において、これらの切除処置は、例えば画像ガイダンスに助けられて、1つ又は複数の切除アプリケータ、すなわち切除プローブを、目標領域、すなわち切除領域の内側又は近くに設置することから成る。典型的には、医師は、リアルタイムの超音波又は介入性放射線画像を検査しながらニードル状のプローブを設置する。プローブは、製造者によって提供される情報、結果、臨床試験、及び/又は個人的な経験に主に基づく。切除をプランニングし、ニードル設置をガイドするためのより先進的な切除療法プランニングシステムの使用は、それらの限定的な利用可能性のために広く普及してはいない。現在のところ、切除の安全性及び有効性を監視するために1つ又は複数の温度プローブを設置することが慣例であり、これらのプローブの設置は、やはり医師の知識及び経験に基づき、より専用的な支援を使用することはない。
【0045】
温度プローブの設置は、現在、治療を行う医師の知識、スキル及び経験に完全に基づいているので、医師によって設置の仕方が異なり、いくつかの処置においては次善的であることがある。結果として、温度プローブを使用しているにもかかわらず、保護されることが想定されるリスクに晒された臓器、すなわち保護領域が過度に低い/高い温度から損傷を受けることが依然としてあり得る。
【0046】
本発明は、例えば、リスクに晒された臓器、すなわち保護領域における極めて高い/低い温度を防ぎ得る温度プローブのプラン位置を決定することを可能とする自動的プランニング方法を含む切除処置プランニング及びガイダンスシステムを提案する。これにより、切除処置プランニング及びガイダンスシステムは、決定されたプラン位置に基づいて、温度プローブの正確な設置を支援するガイダンスをユーザに対して提供し得る。
【0047】
本発明において提案される温度プローブ設置のためのプランニング及びガイド、すなわち、温度プローブの位置を決定するための装置は、専用の切除品質保証システムにおいて使用され得るが、本発明は、より先進的な又は高度な切除処置プランニング及びガイダンスシステムに追加して、又はこれに一体化されて使用されてもよい。このような切除処置プランニング及びガイダンスシステムは、ユーザが、プランニング処理中に検討されるべき医療画像において、目標領域、すなわち切除領域と、リスクに晒された臓器、すなわち保護領域とを図化することを可能とする。こうして、このプランニング処理は、ユーザが1つ又は複数の切除プローブについて意図された場所と切除パラメータとを定めることが可能となることによって支援され得、関連付けられた切除ゾーン、温度フィールド又は患者が受ける熱線量を視覚化し得る。加えて、いくつかのシステムにおいて、ユーザは、例えば切除領域及び/又は保護領域における切除された組織のパーセンテージなどの様々な量的なパラメータを調査することによってプランの品質を評価し得る。
【0048】
ここに説明された発明の実施形態は、リスクに晒された臓器、すなわち保護領域を偶発的な切除から保護するために温度プローブのプラン位置を自動的に決定することを含む。好ましくは、プラン位置のこの自動的な決定は、システムが入手可能な幾何学的情報に基づいて計算され得、故に、使用中の切除モダリティからは独立的なままである。例として、切除領域のセグメント化すなわち位置及び形状、保護領域のセグメント化すなわち位置及び形状、並びに格子テンプレートの位置を入力として受信するコンピュータアルゴリズムが使用される。次いで、このアルゴリズムは、最初に、格子テンプレート200から生じる全ての潜在的ニードルパスと、セグメント化された切除領域とセグメント化された保護領域との間の最短パスとを決定する。更に、アルゴリズムは、最短パスと保護領域との交差ポイントを決定する。次いで、交差ポイントの最も近くまで進む潜在的ニードルパスを決定し、最も近い潜在的ニードルパス上で交差ポイントに最も近い位置を温度プローブの位置として決定することによって、温度プローブのプラン位置が決定される。次いで、アルゴリズムは、出力として温度プローブの位置を返し得る。
【0049】
このようなアルゴリズムは、保護領域を通る潜在的なニードル軌跡、すなわち温度プローブの可能なパスが見つかり得ないように格子テンプレート200が位置決めされると、温度プローブが保護領域よりも切除領域の近くに位置決めされることを保証する。このような場合において、切除処置は、保護領域においてよりも、提案された温度プローブ位置においてより顕著な温度変化を起こす。このように、この戦略的位置決めは、保護領域における極端な温度を防ぐために使用され得る。温度プローブ設置アルゴリズムにおいて、潜在的ニードルパス、すなわち温度プローブの可能なパスは、穿刺されるべきではない保護領域を穿刺することなく、全ての可能なニードル位置、すなわち温度プローブ位置をカバーする。保護領域が回避されるべきであるか否かは、切除プランにおいて設定される。
【0050】
温度プローブ位置決定アルゴリズムは、単一の/選択された切除領域と選択された保護領域との間、切除プランにおいて提供された全ての切除領域と全ての保護領域との間、及び/又は切除プランにおいて提供された特定の切除領域と保護領域との間において呼び出される。更には、温度プローブ位置決定アルゴリズムは更に、プランニング中又は介入性処置自体の最中のユーザによる明示的な要求により、1つ又は複数の切除領域と1つ又は複数の保護領域との間において呼び出され、又は、切除プランに基づいて自動的に呼び出される。
【0051】
保護領域の効果的な保護のために、切除処置中に温度プローブからの温度測定をリアルタイムで処理することが可能であると有利である。リアルタイム処理は、例えば、個々の温度プローブについて決定される閾値温度との比較、又は使用中の全ての温度プローブについて同一の閾値温度との比較を含み得る。加えて、温度閾値は、温度アラームのために使用され、閾値温度は、固定的であるか、切除プランの一部として設定可能であるか、及び/又は切除処置中のユーザによる明示的な要求により修正可能である。
【0052】
上述の温度プローブ位置決定アルゴリズムが一体化される切除処置プランニング及びガイダンスシステムは、例えば、決定及び提案された位置と合致する設置を実現する画像ガイダンスを提供し得る。このガイダンスは、例えば、切除プローブの設置においてユーザを支援するものと同一のガイダンス機構に依存してよい。このようなガイダンスは、品質保証のために極めて重要な温度プローブの正確な設置を保証することを助け得る。
【0053】
更に、切除処置プランニング及びガイダンスシステムは、切除処置全体を通じて組織の推定温度展開を事前計算/シミュレートすることが可能であり得る。このことは、温度プローブを使用して切除処置を監視する可能性を提供する。例えば、切除処置制御システムは、表、チャートなどに表示された測定及び事前計算された温度をリアルタイムで比較するように適合される。更には、このような切除処置制御システムは、測定された温度と事前計算された温度との間の差をリアルタイムで処理し、もしもこの差が事前に定められた閾値を超えるならば、アラームを鳴らす。この閾値は、上述された温度閾値と同様に、固定的であり得るか、設定可能であり得るか、又は修正可能であり得る。加えて、推定温度展開が、温度プローブ位置決定アルゴリズムのための追加的な入力として使用され、例えば、アルゴリズムは、推定最大温度が生じる保護領域の近くの潜在的ニードルパス、すなわち温度プローブの可能なパスに沿った位置を選択する。このような手法は、保護領域の近くの潜在的な熱下降を扱うときに有利であるが、使用中の切除モダリティに対してより固有であってもよい。
【0054】
上記の実施形態において、装置は切除プランニング及びガイダンスシステムの一部として提供されたが、他の実施形態において、装置は独立したシステム又は切除処置制御ユニットに一体化されたシステムであってよい。
【0055】
上記の実施形態において、温度プローブのプラン位置は、切除領域及び保護領域の幾何学的情報並びに格子テンプレートの位置に基づいて決定されたが、他の実施形態において、温度プローブ位置決定ユニットは、幾何学的情報のみに基づいて温度プローブのプラン位置を決定するように適合され得る。更には、他の実施形態において、切除プラン提供ユニットは、切除処置中の予想される温度展開を更に含む切除プランを提供するように適合され得、この場合、温度プローブ位置決定ユニットは、温度プローブのプラン位置を、切除領域の幾何学的情報、保護領域の幾何学的情報、及び予想される温度展開に基づいて決定するように適合され得る。また、格子テンプレートが追加的に考慮されてもよい。
【0056】
上記の実施形態において、温度プローブ位置決定ユニットは、温度プローブのためのプラン位置のみを決定するが、他の実施形態において、温度プローブ位置決定ユニットは、温度閾値を更に決定するように適合され得、温度閾値は、もしも温度プローブが切除処置中に温度閾値よりも低いか又は高い温度のみを測定したならば、保護領域が切除処置によって影響されないと想定され得る一方、もしも温度プローブが温度閾値よりも高いか又は低い温度を測定したならば、アラームが鳴らされて、保護領域が切除処置によって影響され得ることをユーザに通知するように決定され得る。
【0057】
上記の実施形態において、切除プローブは切除領域の加熱を提供したが、他の実施形態において、切除プローブは冷凍切除プローブであってよく、切除領域の冷却を提供してよい。
【0058】
計画された発明を実践するに当たり、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することから、開示された実施形態に対する他の変形が当業者によって理解及び実行され得る。
【0059】
特許請求の範囲において、「備える、含む、有する(comprising)」という語は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除しない。
【0060】
単一のユニット又はデバイスが、特許請求の範囲において列挙されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の手段が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0061】
1つ又はいくつかのユニット又はデバイスによって実施される切除プランの提供又は温度プローブ位置の決定のような処置は、任意の他の数のユニット又はデバイスによって実施されてよい。装置の処置及び/又は動作は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は専用ハードウェアとして実現されてよい。
【0062】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はその一部として供給される任意の光学的記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体上に記憶/分配されてよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の遠隔通信システムを介してなど、他の形態において分配されてもよい。
【0063】
特許請求の範囲における任意の参照記号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0064】
本発明は、切除処置のためのプランニング中に温度プローブのプラン位置を決定することを可能とする装置に関する。装置は、切除プランを提供するための切除プラン提供ユニットを備え、切除プランは、切除領域及び保護領域の幾何学的情報を含む。保護領域は切除から保護されるべきである。幾何学的情報は、それぞれの領域の位置及び形状についての情報を含む。温度プローブ位置決定ユニットは、温度プローブのプラン位置を決定するように適合され、温度プローブのプラン位置は、切除領域及び保護領域の幾何学的情報に基づいて決定される。装置は、特定の臓器のような保護されるべき領域の保護を向上させることを可能とし、患者にとっての切除処置の安全性も向上され得る。