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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】城郭様逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/02 20060101AFI20240510BHJP
   F16K 15/14 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
F16K15/02
F16K15/14 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021549493
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 US2020020841
(87)【国際公開番号】W WO2020180894
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】16/292,223
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェイス、レイモンド、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】メイソン、ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】クルー、クリスチャン
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-180570(JP,A)
【文献】国際公開第2007/083892(WO,A1)
【文献】特開2010-223218(JP,A)
【文献】特開2009-250366(JP,A)
【文献】実公昭45-028869(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0352349(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0080842(US,A1)
【文献】西独国特許出願公開第02062116(DE,A)
【文献】米国特許第04890640(US,A)
【文献】米国特許第04781674(US,A)
【文献】実開昭62-177970(JP,U)
【文献】特開2015-209925(JP,A)
【文献】特開2015-094298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/02
F16K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁であって、
前記逆止弁の入口を画定する上部ハウジングと、
前記上部ハウジングに軸方向に結合された、前記逆止弁の出口を有する下部ハウジングと、
前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとの間に挟まれ、且つ前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとによって画定された、前記入口と前記出口とを流体接続するキャビティと、
第1の方向への流体の流れを選択的に許容し且つ前記第1の方向とは反対の第2の方向への流体の逆流を防ぐように前記キャビティ内に取り付けられる可撓性弁部材
を有し
前記可撓性弁部材は本体を有し、前記本体上面、下面及び外周を有し、また前記外周の周りで前記上面及び前記下面から長手方向に延びる複数の足部を有
前記可撓性弁部材の第1の位置において、前記可撓性弁部材の中心軸線(X4)は前記逆止弁の中央長手方向軸線(X1)と軸方向に整合しており、また前記可撓性弁部材の第2の位置において、前記可撓性弁部材は、前記可撓性弁部材の前記中心軸線が前記逆止弁の前記中央長手方向軸線と整合しないように横方向にずれている、逆止弁。
【請求項2】
前記上部ハウジングが、内面及び外面を有し、前記内面が、上流内面及び下流内面を含み、また
前記上流内面が、複数の長手方向に延びるリブを有し、前記長手方向に延びるリブが、前記逆止弁の中央長手方向軸線の周りで前記上流内面に半径方向に間隔を置いて配置され、且つ前記上流内面から半径方向内向きに突出している、請求項に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記上部ハウジングに取り付けられ、前記長手方向に延びるリブと前記可撓性弁部材との間に配置されたフィルタ部材をさらに有する、請求項に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記フィルタ部材が、前記長手方向に延びるリブの遠位端から離れて位置付けられ、且つ前記フィルタ部材と前記長手方向に延びるリブの前記遠位端との間に隙間を有するように配置され、それにより前記入口から前記キャビティへの流体の流れのための表面積を最大化する、請求項に記載の逆止弁。
【請求項5】
前記上部ハウジングの前記下流内面が、前記キャビティ内に延びる突起を含み、前記突起が、前記可撓性弁部材の中心軸線の周りに環状に配置され、前記突起の遠位端が、シール面を画定し、また
閉じた状態において、前記弁部材は前記シール面に接触するように構成され、それにより前記シール面を通り過ぎる流体の流れを制限する、請求項に記載の逆止弁。
【請求項6】
下流圧力が前記弁部材に適用されたとき、前記弁部材は前記シール面の方に撓むように構成され、それにより前記入口と前記キャビティの間の流体連通を妨げて、前記出口から前記入口への前記流体の逆流を制限し、また
前記弁部材が過大な背圧を受けたとき、前記長手方向に延びリブは前記弁部材を支えて、前記弁部材が前記フィルタ部材を引き伸ばす範囲を制限するように構成されている、請求項に記載の逆止弁。
【請求項7】
前記弁部材が、弁本体と、前記下部ハウジング内に前記弁部材を支持するための、前記弁本体の中心軸線を通って延びる棒部とを有する、請求項に記載の逆止弁。
【請求項8】
前記複数の足部のそれぞれが、前記複数の足部のそれぞれの足部の外面から半径方向外向きに延びる少なくとも1つの湾曲した摩擦リブを有する、請求項に記載の逆止弁。
【請求項9】
前記弁部材の中心軸線が、前記逆止弁の中央長手方向軸線と整合せず、それにより前記弁部材が前記上部ハウジングの内面と接触し、且つ前記逆止弁が、閉じた状態にあるとき、前記上部ハウジングの前記内面との前記弁部材の接触表面積が、前記内面と接触する前記少なくとも1つの摩擦リブの表面積に制限されている、請求項に記載の逆止弁。
【請求項10】
前記上部ハウジングの前記内面と接触する前記少なくとも1つの摩擦リブが、最多で2つの摩擦リブを含む、請求項に記載の逆止弁。
【請求項11】
前記弁部材の中心軸線が、前記逆止弁の中央長手方向軸線と整合せず、それにより前記弁部材が前記上部ハウジングの内面と接触し、且つ前記逆止弁が、前記入口から前記出口の方へ流体が流れる開いた状態にあるとき、前記弁部材、前記内面から離れて、半径方向に湾曲した軌道経路に従うようにずれ、それにより前記少なくとも1つの湾曲した摩擦リブが前記弁部材を前記上部ハウジングの前記内面からさらに引き離す、請求項に記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に逆止弁に関するものであり、より詳細には、逆止弁の弁部材であって、逆止弁のバルク包装時又は組立時に弁部材同士がくっつき合うのを最小限にすることができる幾何形状を有する逆止弁の弁部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者はよくIV溶液を注入(投与)されるが、IV溶液は初めにIV容器(ボトル又はバッグ)に供給され、そしてIVラインを通じて患者の静脈へ点滴される。典型的には、注入ポートがIVラインに沿って設けられており、これは、シリンジが注入液をIV溶液に加えることができるように機能するように構成されている。逆止弁もまた、通常、患者の方向のみへの流体の流れを許容するようにIVラインに含まれる。これによって、注入液は、IV容器に向かって上流に流れずに、患者に向かって下流に流れることが確実になる。
【0003】
従来の逆止弁は概ね平坦であり、それ自体に粘着性のあるシリコーンで通例は作製される円盤状の弁部材を使用する。この幾何形状のため、弁部材同士が(バルク包装時に)くっつくことがあり、それによって、「シングリング(shingling)」として知られている状態になって、従来の逆止弁の自動組立てを困難にしている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、一般に、逆止弁に関し、より詳細には、逆止弁の弁部材であって、逆止弁のバルク包装時又は組立時に弁部材同士がくっつき合うことを最小限できる幾何形状を有する逆止弁の弁部材に関する。
【0005】
本開示の様々な実施例によれば、逆止弁は、上部ハウジングと、下部ハウジングと、上部ハウジングと下部ハウジングとの間に挟まれ、上部ハウジングと下部ハウジングとによって画定されたキャビティと、キャビティに取り付けられて、第1の方向への流体の流れを選択的に許容し、前記第1の方向とは反対の第2の方向への流体の逆流を防ぐ弁部材とを含む。上部ハウジングは逆止弁の入口を画定し、下部ハウジングは逆止弁の出口を画定する。キャビティは入口と出口とを流体的に接続する。弁部材は、弁本体、及び弁本体の中心軸線を通って軸方向に延在する弁棒部を含む。
【0006】
本開示の様々な実施例によれば、逆止弁は、逆止弁の入口を画定する上部ハウジングと、上部ハウジングに軸方向に結合され、逆止弁の出口を有する下部ハウジングと、上部ハウジングと下部ハウジングとの間に挟まれ、上部ハウジングと下部ハウジングとによって画定された、入口と出口とを流体的に接続するためのキャビティとを含む。逆止弁は、キャビティに取り付けられて、第1の方向への流体の流れを選択的に許容し、第1の方向とは反対の第2の方向への流体の逆流を防ぐ可撓性弁部材をさらに含む。可撓性弁部材は、本体を含み、本体は、本体の外周の周りに配置された複数の長手方向に延在する足部を有する。
【0007】
本開示の様々な実施例によれば、可撓性弁部材は、弁本体と、弁本体の外周の周りに配置され、弁本体の外周から長手方向に延在する複数の足部とを含む。
【0008】
これまでの大まかな説明及び以下の詳細な説明はともに、例示や説明であり、特許請求される対象技術をさらに説明することを意図したものであることは理解されよう。対象技術の範囲から逸脱しなければ、他の態様を使用することができ、変更を加えることができることもまた理解されよう。
【0009】
以下の図は実施例の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施例として見るべきではない。開示される主題は、当業者であり本開示の利益を享受する者に対して生じるように、形態及び機能において多くの修正、変更、組合せ、及び均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本開示の幾つかの実施例による逆止弁の斜視図である。
図1B】本開示の幾つかの実施例による、図1Aの逆止弁の弁部材の斜視図である。
図1C】幾つかの実施例による、図1Bの逆止弁の弁部材の組立ラインの図である。
図2A】本開示の幾つかの実施例による逆止弁の斜視図である。
図2B】本開示の幾つかの実施例による、図2Aの逆止弁の弁部材の斜視図である。
図2C】幾つかの実施例による、図2Bの逆止弁の弁部材の組立ラインの図である。
図3】本開示の幾つかの実施例による逆止弁の斜視図である。
図4A】本開示の幾つかの実施例による、図3の逆止弁の分解斜視図である。
図4B】本開示の幾つかの実施例による、図3の逆止弁の分解断面図である。
図4C】幾つかの実施例による、図4の逆止弁の弁部材の組立ラインの図である。
図5】本開示の幾つかの実施例による、閉じた状態の図3の逆止弁の断面図であり、この場合、逆止弁は反対方向の流体の流れを制限する。
図6】本開示の幾つかの実施例による、閉じた状態の図3の逆止弁の拡大部分断面図であり、この場合、逆止弁は過大な背圧を受けている。
図7】本開示の幾つかの実施例による、上流圧力を受けたときの開いた状態の図3の逆止弁の断面図であり、この場合、逆止弁は順方向の流体の流れを許容する。
図8】本開示の幾つかの実施例による、上流圧力を受けたときの開いた状態の図3の逆止弁の拡大部分断面図であり、この場合、逆止弁は順方向の流体の流れを許容する。
図9A】本開示の幾つかの実施例による逆止弁の斜視図である。
図9B】本開示の幾つかの実施例による、図9Aの逆止弁の弁部材の斜視図である。
図10A】本開示の幾つかの実施例による、閉じた状態の図9Aの逆止弁の断面図であり、この場合、図9Bの弁部材の中心軸線は、逆止弁の中心軸線とは位置がずれている。
図10B】本開示の幾つかの実施例による、逆止弁の中心軸線と位置がずれた図9Bの弁部材の断面図である。
図10C】本開示の幾つかの実施例による、開いた状態の図9Aの逆止弁の断面図であり、この場合、図9Bの弁部材の中心軸線は、逆止弁の中心軸線と位置がずれている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記載される詳細な説明は、対象技術の様々な構成を説明しており、対象技術を実施することができる唯一の構成を表すことは意図されていない。この詳細な説明には、対象技術を完全に理解することができるようにするために特定の詳細が含まれる。したがって、非限定的な例として、特定の態様に関して寸法を提供することがある。しかしながら、これらの特定の詳細なしで対象技術を実施してもよいことは、当業者には明らかであろう。幾つかの例では、対象技術の概念を不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構造及び構成要素をブロック図形式で示す。
【0012】
本開示は、対象技術の実例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないことを理解されたい。次に、対象技術の様々な態様が、特定の実例ではあるが非限定的な実例に従って開示される。本開示に説明される様々な実施例は、異なる方法及び変形で実行されてもよく、また、所望の用途又は実施態様に従って実行されてもよい。
【0013】
本記述は一般に逆止弁に関し、より詳細には、例えば、限定するものではないが、逆止弁のバルク包装時又は組立時に弁部材のくっつきを最小限にすることができる幾何形状を有する逆止弁の弁部材に関する。
【0014】
幾つかの実施例によれば、弁部材は、弁本体と、弁本体の中心軸線を通って軸方向に延在する弁棒部とを含んでもよい。本明細書で説明される様々な実施例の弁部材は、弁本体及び弁棒部が、組立時の弁部材のくっつきに関わる露出表面積を少なくする「ジャック」形状を画定することができるという点で有利である。特に、弁棒部の存在が、くっつき又は「シングリング」に関わる弁本体の露出表面積を限定する。幾つかの実施例では、くっつきに関わる弁部材の露出表面積は最大69%だけ削減される。次いで、弁部材は、くっつき及び/又は摩擦に対する表面積が小さい組立ライン又は軌道に沿って送出することができる。
【0015】
幾つかの実施例によれば、弁棒部を含む、又は含まない弁部材は、弁本体の外周に複数の足部をさらに含んでもよい。足部はそれぞれ、弁本体の外周から長手方向に延在してもよい。足部は、弁本体の周囲に城郭様形状を形成するように、互いから間隔を置いて配置されてもよく、したがって、これを城郭様足部と称することができる。図示のように、城郭様足部は、弁本体の外周に対して実質的に垂直方向に向けられてもよい。バルク包装時、組立時、及び/又は移送時に、城郭様足部が、弁本体の上面及び/又は下面の接触をさらに防ぐ又は妨げるという利点が、城郭様足部を有する弁部材の幾何形状に実現される。特に、城郭様足部のそれぞれの上面が突出し、したがって弁本体の上面より上にあるので、弁本体の上面の露出表面領域が接触し、くっついて一緒になることが制限される。同様に、城郭様足部のそれぞれの下面が弁本体の下面より下に突出するので、弁本体の下面の露出表面領域の接触及びくっつきが制限される。城郭様足部の長手方向に突出する構造により、弁が背圧状態であるとき、弁部材を、逆止弁のキャビティ内で同心に保つことができるというさらなる利点が実現される。弁は対称であり、どちらの側にも組み立てることができる。
【0016】
図1Aは、本開示の幾つかの実施例による逆止弁100の斜視図である。図1Bは、本開示の幾つかの実施例による、図1Aの逆止弁の弁部材35の斜視図である。図1Cは、幾つかの実施例による、図1Bの逆止弁100の弁部材35の組立ラインを示す。図示のように、逆止弁100の頂部(すなわち、上部ハウジング10)は、逆止弁100の特徴の幾つかをより明瞭に示すために断面図で示されている。図1を参照すると、逆止弁100は、中央長手方向軸線X1を定める軸方向に延在する本体101を含む。本体101は概ね円筒状(又は、管状)構造体であってもよく、上部ハウジング10及び下部ハウジング15を含んでもよい。上部ハウジング10は、第1の端部12と、軸方向反対側の第2の端部14とを含んでもよい。図示のように、第2の端部14における上部ハウジング10の半径方向範囲は、第1の端部12における上部ハウジング10の半径方向範囲よりも大きくてもよい。下部ハウジング15は上流内面52を含んでもよく、第2の端部14と下部ハウジング15の上流内面52とは互いに軸方向に接触して、逆止弁100のキャビティ30を協働して形成してもよい。
【0017】
上部ハウジング10は、第1の端部12に逆止弁100の入口20を含んでもよく、下部ハウジング15は、逆止弁100の出口25を含んでもよい。本体101は、入口20と出口25との間を軸方向に延在し、それらと流体連通する内部流路85を画定してもよい。理解されるように、逆止弁100は、流体が(矢印Aによって示されるように)入口20から出口25に流れることを許容し、流体が(矢印Bによって示されるように)出口25から入口20に流れることを最小限にする、又は制限することができる。図示のように、上部ハウジング10と下部ハウジング15は、入口20と出口25とを流体的に接続するためのキャビティ30を画定してもよい。図示の実施例では、可撓性弁部材35がキャビティ30に取り付けられて、(矢印Aによって示される)第1の方向への流体の流れを選択的に許容し、第1の方向とは反対の(矢印Bによって示される)第2の方向への流体の逆流(反対の方向の流れ)を防ぐことができる。
【0018】
幾つかの実施例によれば、弁部材35は、弁本体22と、弁本体22の中心軸線X2を通って軸方向に延在する弁棒部(ステム)18とを有してもよい。弁本体22は、円盤又は任意の他の円形の板の形態であってもよい。図示のように、弁部材35は、下部ハウジング14の支持部28に取り付けることができる。特に、支持部28は、中央開口44と、複数の軸方向に延在する溝46とを含んでもよく、逆止弁100が開いた状態では、入口20からキャビティ30に流れる流体は、この溝46を通って出口25に入ることができる。図示のように、弁部材35の弁棒部18は、支持部の中央開口44に取り付けることができる。弁部材35の前述の構成は、製造及び組立における幾つかの利点を提供することができる。逆止弁の包装、移送、及び組立時に生じる共通の課題は、従来の弁部材(例えば、円盤型逆止弁部材)がまとめて包装されるとき、及び/又は、搬送ラインで移送されるとき、弁部材がシングリングしやすいことである。特に、従来の円盤型弁部材は概ね平坦で、それ自体に粘着性のあるシリコーン製であるので、この形状によって、従来の円盤型弁部材が(バルク包装時に)くっつき、それによって「シングリング」を引き起こす。これは自動組立てを困難にする。本明細書で説明される様々な実施例の弁部材35は、弁本体22及び弁棒部18が、組立時の弁部材35のくっつきに関わる露出表面積を少なくする弁部材35の「ジャック」形状を画定することができるという点で有利である。特に、弁棒部18の存在が、くっつき又はシングリングに関わる本体22の露出表面積を限定する。したがって、弁棒部が本体の表面を少なくとも部分的に離しておくので、弁部材がくっつく確率はずっと低い。幾つかの実施例では、くっつきに関わる弁部材35の露出表面積は最大69%だけ削減される。図1Cに示されるように、弁部材35は次に、くっつき及び/又は摩擦に対する表面積が小さい軌道70Aに沿って送出することができる。弁部材35は、逆止弁100のキャビティ30に同心状に配置されるので、弁部材35の周縁部が、上部ハウジング10の内面、例えば、下流内面59(下でさらに詳細に説明される)と接触することが防がれ、それによって弁を開いたままにすることができるというさらなる利点が実現される。さらに、弁部材35は対称形であるので、どちら側にも組み立てることができる。
【0019】
図1Aに戻って参照すると、支持部28はキャビティ30の中央に配置されてもよく、支持部28の中心軸線X3は、本体101の中央長手方向軸線X1と同心になるように位置合わせされてもよい。支持部28は、下部ハウジング15の上流内面52に結合されて、又はそれと一体に形成されて、又はその他の方法でそれから突出してもよく、キャビティ30内に延在してもよい。下でさらに詳細に論じられるように、キャビティ30は、内部流路85の一部を形成してもよく、又は、内部流路85と流体的に連通されてもよく、したがって、入口20から出口25へ流れる流体はキャビティ30を経由して流れることができる。
【0020】
図2Aは、本開示の幾つかの実施例による逆止弁200の斜視図である。図2Bは、本開示の幾つかの実施例による、図2Aの逆止弁200の弁部材37の斜視図である。図2Cは、幾つかの実施例による、図2Bの逆止弁200の弁部材37の組立ラインを示す。図示のように、逆止弁200の頂部(すなわち、上部ハウジング11)は、逆止弁200の特徴の幾つかをより明瞭に示すために断面図で示されている。図2Aを参照すると、図1Aの実施例と同様に、逆止弁200は、中央長手方向軸線X1を定める軸方向に延在する本体201を含む。本体201は概ね円筒状(又は、管状)構造体であってもよく、上部ハウジング11及び下部ハウジング16を含んでもよい。上部ハウジング11は、第1の端部19と、軸方向反対側の第2の端部21とを含んでもよい。図示のように、第2の端部21における上部ハウジング11の半径方向範囲は、第1の端部19における上部ハウジング11の半径方向範囲よりも大きくてもよい。下部ハウジング16は上流内面52を含んでもよく、第2の端部21と下部ハウジング16の上流内面52とは互いに軸方向に接触して、逆止弁200のキャビティ30を協働して形成してもよい。
【0021】
上部ハウジング11は、第1の端部19に逆止弁200の入口20を含んでもよく、下部ハウジング16は、逆止弁200の出口25を含んでもよい。図1Aの実施例と同様に、本体201は、入口20と出口25との間を軸方向に延在し、それらと流体連通する内部流路85を画定してもよい。理解されるように、逆止弁200は、流体が入口20から出口25に流れることを許容し、流体が出口25から入口20に流れることを最小限にする、又は制限することができる。図示のように、上部ハウジング11と下部ハウジング16は、入口20と出口25とを流体的に接続するためのキャビティ30を画定することができる。図示の実施例では、可撓性弁部材37がキャビティ30に取り付けられて、入口20から出口25への流体の流れを選択的に許容し、出口25から入口25への流体の逆流(反対の方向の流れ)を防ぐことができる。
【0022】
幾つかの実施例によれば、弁部材35と同様に、弁部材37は、弁本体22と、弁本体22の中心軸線X2を通って軸方向に延在する弁棒部18とを有してもよい。図示の実施例では、弁部材37は、弁本体22の外周33に沿って配置された複数の足部24をさらに有する。足部24はそれぞれ、弁本体22の外周23から長手方向に延在してもよい。図示のように、足部24は、弁本体22の外周23に対して実質的に垂直方向に向けられてもよい。特に、足部24は、弁本体22の上面22A及び下面22Bから延在して、それらから実質的に垂直方向に突出してもよい。したがって、足部24のそれぞれの上面24Aは、弁本体22の上面22Aより上の所定の高さに置かれ、又はその高さまで突出することができる。同様に、足部24のそれぞれの下面24Bは、弁本体22の下面22Bより下の所定の高さに置かれ、又はその高さまで突出することができる。幾つかの実施例では、足部24は、規則的な間隔で互いから離れて配置されてもよい。例えば、弁部材37は、互いから等しい間隔を置いて配置された2つ以上の足部24を有してもよい。他の実施例では。しかしながら、足部24は、不規則的な間隔で互いから離れて配置されてもよい。例えば、足部のそれぞれの間の間隔は所望の用途に従って変わってもよい。幾つかの実施例では、隣接する足部24の対は、それらの間に凹んだ流れ部29を画定し、上部ハウジングからキャビティ30に入る流体は凹んだ流れ部29を通って下部ハウジングに流入することができる。
【0023】
図示のように、足部24は、多角形の形状、例えば矩形、方形、又は任意の他の適切な多角形の形状を有してもよい。他の実施例では、足部24は、湾曲した形状、例えば円形、楕円形、又は長円形の形状を有してもよい。隣接する足部24がそれぞれの凹んだ流れ部29によって挟まれている弁部材37の構成は、城郭(castle)の構成と似た構造体になることができる。したがって本明細書では、足部24は城郭様足部(castellated feet)24と称することがある。しかしながら、本開示の様々な実施例は、前述の構成に限定されるものではなく、足部24の形状及び互いからの離間間隔(すなわち凹んだ流れ部29の範囲及び大きさ)は必要に応じて変えることができる。
【0024】
図1Aの実施例と同様、弁部材37は、下部ハウジング16の支持部28に取り付けることができる。特に、支持部28は、中央開口44と、複数の軸方向に延在する溝46とを含んでもよく、逆止弁200が開いた状態では、入口20からキャビティ30に流れる流体は、この溝46を通って出口25に入ることができる。図示のように、弁部材35の弁棒部18は、支持部28の中央開口44に取り付けることができる。弁部材37の前述の構成は、図1A図1Cの弁部材35と同様な、及び追加の製造及び組立における利点を提供することができる。特に、弁部材37も弁棒部18を有して構成されることにより、包装、組立、及び移送時に生じる上記の共通の課題は最小限にされる。弁部材37の「ジャック」状の形状は、組立時の弁部材35のくっつきに関わる露出表面積を少なくし、それによって、移送時又は組立時に弁本体22の表面の「シングリング」又はくっつきの発生の可能性を低減する。
【0025】
幾つかの実施例では、くっつきに関わる弁部材37の露出表面積は最大69%だけ削減される。図2Cに示されるように、弁部材37は次に、くっつき及び/又は摩擦に対する表面積が小さい軌道70Bに沿って送出することができる。組立時及び/又は移送時に、城郭様足部24が、弁本体22の上面22A及び/又は下面22Bの接触をさらに防ぐ又は妨げるという利点が、弁部材37の幾何形状に実現される。特に、城郭様足部24のそれぞれの上面24Aが突出し、したがって弁本体22の上面22Aより上にある弁部材37のこの構成は、下面22Aの露出表面領域の接触及びくっつきをさらに制限する。同様に、城郭様足部24のそれぞれの下面24Bが弁本体22の下面22Bより下に突出する弁部材37のこの構成は、下面22Bの露出表面領域の接触及びくっつきをさらに制限する。したがって、城郭様足部24が本体22の表面を少なくとも部分的に離しておくので、弁部材37がくっつく確率は、従来の弁部材よりもずっと低い。幾つかの実施例では、くっつきに関わる弁部材37の露出表面積は最大69%だけ削減される。理解することができるように、くっつきに関わる弁部材37の露出表面積の削減度合いは、したがって、城郭様足部24の大きさと形状に基づいて変わり得る。城郭様足部24が長手方向に突出する構造であることにより、弁部材37が背圧状態であるとき、弁部材37を、逆止弁200のキャビティ30内で同心に保つことができるというさらなる利点が実現される。さらに、弁部材37は対称形状であるので、どちらの側にも組み立てることができる。他のすべての点では、弁部材37は、図1Bに関して上で説明された弁部材35と同一であってもよい。
【0026】
幾つかの実施例によれば、逆止弁200は、上部ハウジング11の内面、例えば、表面55に結合、取付け、又は接合されたフィルタ部材26をさらに含んでもよい。例えば、フィルタ部材26は、限定するものではないが、超音波溶接、ヒート・シール、インサート成形、接着、又は他の取付法を含む任意の適切な方法によって内面55の棚部53に結合、取付け、又は接合されてもよい。フィルタ部材26は、弁部材37の上流に、弁部材37から間隔を置いて配置されてもよい。したがって、弁部材37が、弁部材37を上向きに撓ませる又は歪める過大な逆流(出口25から入口20への流れ)を受けるとき、隙間がフィルタ部材26と弁部材37との間に保たれて、弁部材37がフィルタ部材26をその弾性限界を超えて引き伸ばすことを防ぐ。したがって、過大な逆流状態でさえフィルタ部材26の健全性が保たれる。フィルタ部材26は、逆止弁200を通って流れる流体中の望ましくない物質が通ることを制限し、最小限にするように構成することができる。
【0027】
フィルタ部材26は、特定の大きさの粒子状物質が、弁部材37を通過して、また、弁部材37に潜在的に達して、弁部材37の損傷を引き起こすことを防ぐことができる多孔性材料から形成されてもよい。例えば、フィルタ部材26は多孔性プラスチック材料から形成されてもよい。或いは、フィルタ部材26は、不織鋳物材料、コルク材料、又は任意の他の多孔性布又は材料から作られてもよい。フィルタ部材26は、約20~200ミクロンの大きさの細孔を提供するように、複数の小さな穴を有して形成されてもよく、又は織られてもよい。幾つかの実施例では、フィルタ部材26は、金属又は高分子材料などの可撓性材料であってもよい。幾つかの実施例では、フィルタ部材40は、毎時3~8リットルの流量に耐えることができるか、その流量を濾過することができる材料から形成されてもよい。さらに、フィルタ部材26は、逆流から生じる最高200KPaの背圧に耐えることができる多孔性材料から形成されてもよい。後者の構成は、流体の逆流から生じる背圧がかかってフィルタ部材26が壊れる可能性を最小限にすることができることが有利である。
【0028】
図3は、本開示の幾つかの実施例による逆止弁300の斜視図である。図4Aは、本開示の幾つかの実施例による、図3の逆止弁300の分解斜視図である。図4Bは、本開示の幾つかの実施例による、図3の逆止300弁の分解断面図である。図4Cは、幾つかの実施例による、図4の逆止弁の弁部材39の組立ラインを示す。
【0029】
図3を参照すると、逆止弁300の頂部(すなわち、上部ハウジング13)は、逆止弁300の特徴の幾つかをより明瞭に示すために断面図で示されている。図3図4Bを参照すると、図1A及び図2Aの実施例と同様に、逆止弁300は、中央長手方向軸線X1を定める軸方向に延在する本体301を含む。本体301は概ね円筒状(又は、管状)構造体であってもよく、上部ハウジング13及び下部ハウジング17を含んでもよい。上部ハウジング13は、第1の端部29と、軸方向反対側の第2の端部31とを含んでもよい。図示のように、第2の端部31における上部ハウジング11の半径方向範囲は、第1の端部29における上部ハウジング11の半径方向範囲よりも大きくてもよい。下部ハウジング17は上流内面52を含んでもよく、第2の端部31と下部ハウジング17の上流内面52とは互いに軸方向に接触して、逆止弁300のキャビティ30を協働して形成してもよい。
【0030】
上部ハウジング13は、第1の端部19に逆止弁300の入口20を含んでもよく、下部ハウジング17は、逆止弁300の出口25を含んでもよい。図1Aの実施例と同様に、本体201は、入口20と出口25との間を軸方向に延在し、それらと流体連通する内部流路85を画定してもよい。理解されるように、逆止弁300は、流体が入口20から出口25に流れることを許容し、流体が出口25から入口20に流れることを最小限にする、又は制限することができる。図示のように、上部ハウジング13と下部ハウジング17は、入口20と出口25とを流体的に接続するためのキャビティ30を画定することができる。図示の実施例では、可撓性弁部材39がキャビティ30に取り付けられて、入口20から出口25への流体の流れを選択的に許容し、出口25から入口20への流体の逆流(反対の方向に流れ)を防ぐことができる。
【0031】
幾つかの実施例によれば、弁部材39は、弁部材39には弁棒部18がないことを除けば、構造的には弁部材37と同様であってもよい。したがって、弁部材37と同様に、弁部材39は、弁本体22の外周23に複数の長手方向に延在する足部24を有してもよい。上で説明されたように、足部24は、城郭に似るように、弁本体22の外周23の周りに配置されてもよく、したがって、本明細書では、城郭様足部42と称することがある。城郭様足部24はそれぞれ、弁本体22の外周23から長手方向に延在してもよい。弁部材37の城郭様足部24は弁部材39の城郭様足部24と同一であり、城郭様足部24の詳細な説明は弁部材37に関して提供され、弁部材39に関しては、その詳細な説明は省略される。
【0032】
図示の実施例では、弁部材39は、下部ハウジング17の支持部34に取り付けることができる。複数の城郭様歯部24を有する弁部材39の構成は、図2A図2Cの弁部材37と同様な製造及び組立上の利点を提供することができる。特に、バルク包装時、組立時、及び/又は移送時に、城郭様足部24が、弁本体22の上面22A及び/又は下面22Bの接触を防ぐ又は妨げるという利点が、弁部材39の幾何形状に実現される。例えば、図4Cに示されるように、弁部材39は次に、くっつき及び/又は摩擦に対する表面積が小さい軌道70Cに沿って送出することができる。特に、弁部材37に関して上で説明されたように、城郭様足部24のそれぞれの上面24Aが突出し、したがって弁本体22の上面22Aより上にある弁部材39のこの構成は、下面22Aの露出表面領域の接触及びくっつきをさらに制限する。同様に、城郭様足部24のそれぞれの下面24Bが弁本体22の下面22Bより下に突出する弁部材39のこの構成は、下面22Bの露出表面領域の接触及びくっつきをさらに制限する。したがって、城郭様足部が本体22の表面を少なくとも部分的に離しておくので、弁部材39がくっつく確率は、従来の弁部材よりもずっと低い。幾つかの実施例では、くっつきに関わる弁部材39の露出表面積は最大69%だけ削減される。理解することができるように、くっつきに関わる弁部材39の露出表面積の削減度合いは、したがって、城郭様足部24の大きさと形状に基づいて変わり得る。
【0033】
城郭様足部24の長手方向に突出する構造により、弁部材39が背圧状態であるとき、弁部材39を、逆止弁300のキャビティ30内で同心に保つことができるというさらなる利点が実現される。さらに、弁部材39は対称形状であるので、どちらの側にも組み立てることができる。他のすべての点では、弁部材39は、図2Bに関して上で説明された弁部材37と同一であってもよい。
【0034】
幾つかの実施例によれば、逆止弁300は、上部ハウジング13の内面、例えば、表面59に結合、取付け、又は接合されたフィルタ部材26をさらに含んでもよい。例えば、フィルタ部材26は、限定するものではないが、超音波溶接、ヒート・シール、インサート成形、接着、又は他の取付法を含む任意の適切な方法によって結合、取付け、又は接合されてもよい。フィルタ部材26は、弁部材37の上流に、弁部材37から間隔を置いて配置されてもよい。図示のように、フィルタ部材26は、上部ハウジング13の内面55の棚部53に結合又は取り付けられてもよい。フィルタ部材26は、逆止弁300を通って流れる流体中の望ましくない物質が通ることを制限し、最小限にするように構成することができる。
【0035】
フィルタ部材26は、特定の大きさの粒子状物質が、弁部材37を通過して、また、弁部材37に潜在的に達して、弁部材37の損傷を引き起こすことを防ぐことができる多孔性材料から形成されてもよい。例えば、フィルタ部材26は多孔性プラスチック材料から形成されてもよい。或いは、フィルタ部材26は、不織鋳物材料、コルク材料、又は任意の他の多孔性布又は材料から作られてもよい。フィルタ部材26は、約20~200ミクロンの大きさの細孔を提供するように、複数の小さな穴を有して形成されてもよく、又は織られてもよい。幾つかの実施例では、フィルタ部材26は、金属又は高分子材料などの可撓性材料であってもよい。幾つかの実施例では、フィルタ部材40は、毎時3~8リットルの流量に耐えることができるか、その流量を濾過することができる材料から形成されてもよい。さらに、フィルタ部材26は、逆流から生じる最高200KPaの背圧に耐えることができる多孔性材料から形成されてもよい。後者の構成は、流体の逆流から生じる背圧がかかってフィルタ部材26が壊れる可能性を最小限にすることができることが有利である。
【0036】
幾つかの実施例によれば、上部ハウジング13は、上流内面57から半径方向内向きに突出する少なくとも1つの長手方向に延在するリブ45を含んでもよい。少なくとも1つの長手方向に延在するリブ45は、フィルタ部材26のすぐ上、又はその上流に配置される突出面として構成されてもよい。幾つかの実施例では、フィルタ部材26は、複数の長手方向に延在するリブ45と可撓性弁部材39との間に配置されてもよい。図示のように、フィルタ部材26は、複数のリブ45の遠位端51から間隔を置いて置かれ、フィルタ部材26と複数のリブ45の遠位端51との間に隙間Gを有して配置される。前述の構成は、入口からキャビティへの流体の流れに対する表面積を最大にし、入口20から出口25への流体の流れの妨害を最小にするのに有利である。
【0037】
図5図8は、本開示の幾つかの実施例による逆止弁300の断面図である。図5は、本開示の幾つかの実施例による、閉じた状態にある図3の逆止弁の断面図であり、この場合、逆止弁は反対方向の流体の流れを制限する。図示のように、上部ハウジング13は、上部ハウジング13の内部の長さに沿って延在し流路85を画定する内面55を含んでもよい。内面55は、上流内面57及び下流内面59を含んでもよい。キャビティ30は、上部ハウジング13の下流内面59によって少なくとも部分的に画定されてもよい。図示の実施例では、下流内面59は、上流内面57から半径方向外向きに延在する。下流内面59は、本体301の中央長手方向軸線X1の周りを環状にキャビティ30に延在する突起40を含んでもよい。幾つかの実施例では、突起40は、その遠位端にシール面42を画定する。突起40、したがってシール面42は、弁部材39の上方にリングのように配置されてもよい。図5及び図6に示されるように、逆止弁300の通常の閉じた状態では、弁部材39はシール面42と接触する。弁部材39がシール面42と接触するので、出口25から入口20への流体の反対方向の流れ(逆流)が防止される。
【0038】
動作時、下流圧力(すなわち、出口25から入口20へ流れる流体によってかけられる圧力が弁部材39にかかると、弁部材39はシール面42の方へ歪んで、入口20とキャビティ30との間の流体連通を妨げ、それによって、出口25から入口20への流体の逆流を制限することができる。流体の逆流を防ぐことは、例えば、二次通路から分注される薬剤に含まれる望ましくない粒子状物質が逆止弁300を通って逆流し、それによって患者が適切な薬剤投与濃度を受けること、又はタイムリーな薬剤の送出を妨げることを制限するという点で有利である。
【0039】
図6は、本開示の幾つかの実施例による、閉じた状態の図3の逆止弁の拡大部分断面図であり、この場合、逆止弁は過大な背圧を受けている。例えば、弁部材39に働く過大な背圧は、弁部材がフィルタ部材26に当接して、フィルタ部材26に上向きの力をかけるほど弁部材を歪める又は曲げることがある。弁部材39が、図6に示されるように、過大な背圧を受けるとき、複数の長手方向に延在するリブ45が弁部材39を支え、弁部材39が過大な背圧を受けるときに弁部材39がフィルタ部材26を引き伸ばす範囲を制限するように構成されることが有利である。このために、複数の長手方向に延在するリブ45は、弁部材39が過度に伸びて塑性変形する、又はフィルタ部材26を損傷するほど弁部材39が撓むことを防ぐ。したがって、複数の長手方向に延在するリブ45は過大な逆流の場合に弁部材39に対する支持部材として働き、その結果、過大な逆流時にフィルタ部材26が弁部材39を支える必要がない。したがって、複数の長手方向に延在するリブはまた、過大な背圧が逆止弁300にかかるときに、フィルタ部材39が入口20内に上向きに変位されることを防ぐように機能することが有利である。長手方向に延在するリブ45の存在により、フィルタ部材26が、歪められた弁部材39によってかけられた力の結果として入口20内に上向きに変位されることが防がれる。
【0040】
図7は、本開示の幾つかの実施例による、上流圧力を受けたときの開いた状態の図3の逆止弁300の断面図であり、この場合、逆止弁300は順方向の流体の流れを許容する。図8は、本開示の幾つかの実施例による、上流圧力を受けたときの開いた状態の図3の逆止弁300の拡大部分断面図であり、この場合、逆止弁300は順方向の流体の流れを許容する。
【0041】
図示のように、動作時、流体は入口20を通って逆止弁300に入ってフィルタ部材26を通り、そこで、望ましくない粒子状物質を捕捉するように濾過されて、キャビティ30に流入することができる。フィルタ部材26の細孔よりも大きないかなる粗粒子又は他の望ましくない粒子状物質もフィルタ部材40で捕捉され、弁部材39まで下流に流れることを防ぐことができる。弁部材39にかかる上流圧力(すなわち、入口20から出口25へ流れる流体によってかけられる圧力)は、弁部材39をその外縁で下流方向に撓ませ又は曲げて、シール面42から離すように歪める。したがって、逆止弁は閉じた状態から、入口20とキャビティ30と出口25とが流体連通する開いた状態に変わる。開いた状態では、シール面42と弁部材35の上面22Aとの間に隙間ができて、その間を濾過された流体が流れることができる。次いで、濾過された流体は隙間を通ってキャビティ30に流入し、下部ハウジング17の出口25を経て逆止弁100を出ることができる。
【0042】
フィルタ部材40が弁部材の上流に置かれる構成は、弁部材を損傷させる又は摩耗させる可能性がある望ましくない粒子状物質が弁部材35を通ることを防ぐという点で有利である。潜在的には、望ましくない粒子状物質が弁部材40とシール面70との間に留まり、それによって、弁部材35が完全に閉じて反対方向の流れ(逆流)に対してシールすることが妨げられることがあるが、上記の構成はまたそれを防ぐ。
【0043】
対照的に、統合されたフィルタ部材を含まない従来の逆止弁構成では、低流量状態時に、その流体の流れの結果、逆止弁に働く圧力が、粗粒子(又は、他の望ましくない粒子状物質)が隙間を通過することができるように逆止弁を完全に開く(例えば、弁部材35を歪める)ほど十分でないことがある。このような状態では、粗粒子が隙間に留まり、弁は完全には閉じることができない。これによって、望ましくなく、逆止弁は「漏れ(weep)」、流体が反対方向に弁を通って流れることができ、それによって、逆止弁を無効にする。
【0044】
図9Aは、本開示の幾つかの実施例による逆止弁400の斜視図である。図示のように、逆止弁400の頂部(すなわち、上部ハウジング13)は、逆止弁400の特徴の幾つかをより明瞭に示すために断面図で示されている。図3及び図5の逆止弁300と同様に、逆止弁400は、中央長手方向軸線X1を定める軸方向に延在する本体401を含む。本体401は概ね円筒状(又は、管状)構造体であってもよく、上部ハウジング13及び下部ハウジング17を含んでもよい。幾つかの実施例によれば、上部及び下部ハウジング13及び17は、逆止弁300の上部及び下部ハウジング13及び17と構造的に類似しており、したがって、逆止弁400に関しては、その詳細な説明を省略する。
【0045】
幾つかの実施例によれば、弁部材41は、弁部材39には存在しない追加の摩擦リブ43を弁部材41が含むことを除けば、構造的には弁部材39と同様であってもよい。したがって、弁部材39と同様に、弁部材41は、弁本体22の外周23に複数の長手方向に延在する足部24を有してもよい。上で説明されたように、足部24は、城郭に似るように、弁本体22の外周23の周りに配置されてもよく、したがって、本明細書では、城郭様足部24と称することがある。城郭様足部24はそれぞれ、弁本体22の外周23から長手方向に延在してもよい。城郭様足部24の詳細な説明は弁部材37に関して提供されたので、弁部材41に関しては、その詳細な説明を省略する。
【0046】
図示の実施例では、弁部材41は、下部ハウジング17の支持部34に取り付けることができる。複数の城郭様足部24を有する弁部材41の構成は、図3図8の弁部材39と同様な製造及び組立上の利点を提供することができる。特に、弁部材37及び39に関して前に論じたように、組立時及び/又は移送時に、城郭様足部24が、弁本体22の上面22A及び/又は下面22Bの接触を防ぐ又は妨げるという利点が、弁部材41の幾何形状に実現される。特に、弁部材37及び39に関して上で説明されたように、城郭様足部24のそれぞれの上面24Aが突出し、したがって弁本体22の上面22Aより上にある弁部材41のこの構成は、下面22Aの露出表面領域の接触及びくっつきをさらに制限する。同様に、城郭様足部24のそれぞれの下面24Bが弁本体22の下面22Bより下に突出する弁部材41のこの構成は、下面22Bの露出表面領域の接触及びくっつきをさらに制限する。したがって、城郭様足部24が本体22の表面を少なくとも部分的に離しておくので、弁部材41がくっつく確率は、従来の弁部材よりもずっと低い。幾つかの実施例では、くっつきに関わる弁部材41の露出表面積は最大69%だけ削減される。理解することができるように、くっつきに関わる弁部材41の露出表面積の削減度合いは、したがって、城郭様足部24の大きさと形状に基づいて変わり得る。
【0047】
城郭様足部24の長手方向に突出する構造により、弁部材41が背圧状態であるとき、弁部材41を、逆止弁400のキャビティ30内で同心に保つことができるというさらなる利点が実現される。さらに、弁部材41は対称形状であるので、どちらの側にも組み立てることができる。他のすべての点では、弁部材41は、図3図8に関して上で説明された弁部材39と同一であってもよい。
【0048】
幾つかの実施例によれば、弁部材35、37、39、及び41は、流体を通さない可撓性、弾力性のある材料から形成されてもよい。例えば、弁部材35、37、39、及び41はケイ素材料製であってもよい。しかしながら、他の実施例では、弁部材35、37、39、及び41は、天然ゴム又は合成ゴム或いはプラスチックなどの任意のくっつかない弾力性のある材料から形成されてもよい。弁部材35、37、39、及び41は、ショア硬度70以下の材料から形成されてもよい。
【0049】
幾つかの実施例では、弁部材35、37、39、及び41は、いかなる特定の形状又は大きさにも限定されない。しかしながら、図示の実施例では、弁部材35、37、39、及び41の大きさは、上流又は下流のどちらかの力を受けるときの弁部材35、37、39、及び41の所望の歪み/曲がり特性に基づいて限定されてもよい。例えば、弁部材35、37、39、及び41は、流体圧力の下で歪んで、又は曲がって、流体のキャビティ30への(入口20から出口25への)順流を許容し、反対方向の流体の流れを制限するような大きさと形状にすることができる。
【0050】
本実施例によれば、逆止弁400は、上部ハウジング13の内面、例えば、表面59に結合、取付け、又は接合されたフィルタ部材26をさらに含んでもよい。フィルタ部材26がどのように機能するか、及びどのようにして上部ハウジング13に結合、取付け、又は接合されるかというフィルタ部材26の詳細な説明は弁部材37に関して提供されたので、弁部材41に関しては、その詳細な説明を省略する。
【0051】
図9Bは、本開示の幾つかの実施例による、図9Aの逆止弁400の弁部材41の斜視図である。図示のように、弁部材41の城郭様足部24のうちの少なくとも1つは、城郭様足部24の外面から半径方向外向きに延在する湾曲した摩擦リブ43を含む。摩擦リブ43の湾曲した形状は、湾曲した形状又は輪郭によって、下流内面59との湾曲リブ43の摩擦を平坦な形状のリブに比べて小さくすることができるので、例えば、より平坦又はより真っ直ぐな形状を有する他のリブ形状を超える利点があり得る。摩擦リブ43は、摩擦リブ43と上部ハウジング13の下流内面59との間の摩擦力などの力を減衰又は低減することができる可撓性、弾力性のある材料から作られた及び/又は形成された構造体を有してもよい。例えば、摩擦リブ43はケイ素材料製であってもよい。しかしながら、他の実施例では、摩擦リブ43は、天然ゴム又は合成ゴム或いはプラスチックなどの任意のくっつかない弾力性のある材料から形成されてもよい。摩擦リブ43を有する弁部材41の前述の構成は、弁部材41が、キャビティ30内の取付位置から、下流内面59と接触する位置にずれたとき、城郭様足部よりも大きく半径方向外向きに突出する摩擦リブ43のみが下流内面59と接触するという点で有利である。したがって、下流内面59と接触する弁部材41の表面積は大幅に削減される。したがって、下流内面59と接触する弁部材41の表面積が削減されると、外向きに突出する摩擦リブ43のない従来の弁部材に比較して、弁部材と上部ハウジングとの間の摩擦力が低減する。
【0052】
図10Aは、本開示の幾つかの実施例による、閉じた状態の図9Aの逆止弁400の断面図であり、この場合、図9Bの弁部材41の中心軸線X4は逆止弁400の中心軸線X1とは位置がずれている。図10Bは、本開示の幾つかの実施例による、逆止弁400の中心軸線と位置がずれた図9Bの弁部材41の断面図である。図10Cは、本開示の幾つかの実施例による、開いた状態の図9Aの逆止弁400の断面図であり、この場合、図9Bの弁部材41の中心軸線X4は逆止弁400の中心軸線X1と位置がずれている。
【0053】
図10Aに示されるように、逆止弁400の通常の閉じた状態では、弁部材39はシール面42と接触する。弁部材41がシール面42と接触するので、出口25から入口20への流体の反対方向の流れ(逆流)が防止される。動作時、下流圧力(すなわち、出口25から入口20へ流れる流体によってかけられる圧力)が弁部材41にかかると、弁部材41はシール面42の方へ歪んで、入口20とキャビティ30との間の流体連通を妨げ、それによって、出口25から入口20への流体の逆流を制限することができる。
【0054】
幾つかの実施例では、逆止弁400を閉じた状態にする、出口25から入口20へ流れる流体によってかけられる下流圧力によって、弁部材41は支持部34の取付位置からずれることがある。特に、弁部材41の中心軸線X4は、逆止弁の中央長手方向軸線X1と位置がずれていることがあり、その結果、弁部材41は上部ハウジング13の下流内面59と接触する。湾曲した摩擦リブ43を有する城郭様足部24を有する弁部材41の前述の構成は、摩擦リブ43が城郭様足部24の外面よりも大きく半径方向外向きに突出するので、摩擦リブ43が配置された弁部材41の部分のみが下流内面59と接触するという点で有利である。したがって、図10Bに示されるように、下流内面59と接触する弁部材41の表面積は、摩擦リブ43のない従来の弁部材構成に比較して大幅に削減される。下流内面59と接触する弁部材41の表面積が削減されると、外向きに突出する摩擦リブ43のない従来の弁部材に比較して、弁部材41と上部ハウジングの内面との間の摩擦力が減少する。例えば、幾つかの実施例では、図10Bに示されるように、下流内面59と接触する弁部材41の表面積は、同時に下流内面59と接触することができる摩擦リブの数に基づく。図示のように、最多で2つの摩擦リブ43が同時に下流内面59と接触するので、下流内面59と接触する弁部材41の表面積は、そのときに実際に下流内面59と接触する最多で2つの摩擦リブ43の表面積に限定される。
【0055】
図10Cに示されるように、逆止弁41の開いた状態では、例えば、上流圧力(すなわち、入口20から出口25へ流れる流体によってかけられる圧力)を受けるとき、逆止弁400は順方向(入口20から出口25への方向)の流体の流れを許容する。動作時、流体は入口20を通って逆止弁400に入ってフィルタ部材26を通り、そこで、望ましくない粒子状物質を捕捉するように濾過されて、キャビティ30に流入することができる。フィルタ部材26の細孔よりも大きないかなる粗粒子又は他の望ましくない粒子状物質もフィルタ部材40で捕捉され、弁部材41まで下流に流れることを防ぐことができる。弁部材41にかかる上流圧力(すなわち、入口20から出口25へ流れる流体によってかけられる圧力)は、弁部材41をその外縁で下流方向に撓ませる又は曲げて、シール面42から離れるように歪める。
【0056】
幾つかの実施例では、逆止弁400を開いた状態にする、入口20から出口へ流れる流体によってかけられる上流圧力によって、弁部材41は支持部34の取付位置からずれることがある。特に、弁部材41の中心軸線X4は、逆止弁の中央長手方向軸線X1と位置がずれていることがあり、その結果、上で論じたように、弁部材41は上部ハウジング13の下流内面59と接触する。湾曲した摩擦リブ43を有する城郭様足部24を有する弁部材41の前述の構成は、摩擦リブ43が城郭様足部24の外面よりも大きく半径方向外向きに突出するので、逆止弁100が、流体が入口20から出口25の方へ流れ弁部材41と接触する開いた状態のとき、湾曲した摩擦リブ43を有する弁部材41が、上部ハウジング13の下流内面59から離れた半径方向に湾曲した軌道経路に従うようにずれるという点で有利である。このように、湾曲した摩擦リブ43は、弁部材41を上部ハウジング13の下流内面59からさらに引き離す。この方法で、弁部材41と下流内面との間の接触は最小限になり、弁部材41と上部ハウジング13の下流内面59との間の摩擦もまた最小限になる。
【0057】
本開示の態様の様々な実例を、便宜上、番号(1、2、3など)を付けた条項として説明する。これらは実例として提供され、対象技術を限定するものではない。図及び参照符号は、例示する目的に単なる実例として下に特定され、これらの条項はこれらの特定によって限定されるものではない。
【0058】
条項1
逆止弁であって、前記逆止弁の入口を画定する上部ハウジングと、前記逆止弁の出口を画定する下部ハウジングと、前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとの間に挟まれ、それらによって画定された、前記入口と前記出口とを流体的に接続するためのキャビティと、前記キャビティに取り付けられて、第1の方向への流体の流れを選択的に許容し、前記第1の方向とは反対の第2の方向への流体の逆流を防ぐ弁部材であって、弁本体、及び前記弁本体の中心軸線を通って軸方向に延在する弁棒部を有する弁部材とを有する、逆止弁。
【0059】
条項2
前記弁本体の外周から長手方向に延在する複数の足部をさらに有する、条項1に記載の逆止弁。
【0060】
条項3
隣接する前記足部の対がそれぞれ凹んだ流れ部を画定し、前記キャビティに入る流体が前記凹んだ流れ部を通って前記上部ハウジングから前記下部ハウジングに流入する、条項2に記載の逆止弁。
【0061】
条項4
前記上部ハウジングの内面に結合されたフィルタ部材であって、前記弁部材の上流に配置されたフィルタ部材をさらに有する、条項1に記載の逆止弁。
【0062】
条項5
前記下部ハウジングが、前記キャビティの中央部で前記キャビティに配置された支持部を有し、前記支持部の中心軸線が前記逆止弁の中央長手方向軸線と位置合わせされ、前記弁部材が、前記支持部に取り付けられて支持されるように構成された、条項1に記載の逆止弁。
【0063】
条項6
前記上部ハウジングが、内面及び外面を有し、前記内面が、上流内面及び下流内面を含み、前記上部ハウジングの前記下流内面が前記キャビティに延在する突起を含み、前記突起が、前記弁部材の中心軸線の周りに環状に配置された、条項1に記載の逆止弁。
【0064】
条項7
シール面が前記突起の遠位端に画定され、閉じた状態で、前記弁部材が、前記シール面に接触して流体が前記シール面を通り過ぎて流れることを制限するように構成された、条項6に記載の逆止弁。
【0065】
条項8
上流圧力が前記弁部材にかかるとき、前記弁部材が、前記シール面から離れるように歪んで前記入口と前記キャビティとを流体的に連通するように構成され、下流圧力が前記弁部材にかかるとき、前記弁部材が、前記シール面の方に歪んで前記入口と前記キャビティとの間の前記流体連通を妨げ、前記出口から前記入口への前記流体の逆流を制限するように構成された、条項7に記載の逆止弁。
【0066】
条項9
逆止弁であって、前記逆止弁の入口を画定する上部ハウジングと、前記上部ハウジングに軸方向に結合され、前記逆止弁の出口を有する下部ハウジングと、前記上部ハウジングと前記下部ハウジングとの間に挟まれ、それらによって画定された、前記入口と前記出口とを流体的に接続するためのキャビティと、前記キャビティに取り付けられて、第1の方向への流体の流れを選択的に許容し、前記第1の方向とは反対の第2の方向への流体の逆流を防ぐ可撓性弁部材であって、本体を有し、前記本体が、前記本体の外周の周りに配置された複数の長手方向に延在する足部を有する、可撓性弁部材とを有する、逆止弁。
【0067】
条項10
前記上部ハウジングが、内面及び外面を有し、前記内面が、上流内面及び下流内面を含み、前記上流内面が、複数の長手方向に延在するリブを有し、前記長手方向に延在するリブが、前記逆止弁の中央長手方向軸線の周りで前記上流内面に半径方向に間隔を置いて配置され、前記上流内面から半径方向内向きに突出する、条項9に記載の逆止弁。
【0068】
条項11
前記上部ハウジングに取り付けられ、前記長手方向に延在するリブと前記可撓性弁部材との間に配置されたフィルタ部材をさらに有する、条項10に記載の逆止弁。
【0069】
条項12
前記フィルタ部材が、前記長手方向に延在するリブの遠位端から間隔を置いて置かれ、前記フィルタ部材と前記長手方向に延在するリブの遠位端との間に隙間を有して配置されて、前記入口から前記キャビティへの流体の流れに対する表面積を最大にする、条項11に記載の逆止弁。
【0070】
条項13
前記上部ハウジングの前記下流内面が前記キャビティに延在する突起を含み、前記突起が、前記可撓性弁部材の中心軸線の周りに環状に配置され、前記突起の遠位端がシール面を画定し、閉じた状態で、前記弁部材が、前記シール面に接触して流体が前記シール面を通り過ぎて流れることを制限するように構成された、条項11に記載の逆止弁。
【0071】
条項14
下流圧力が前記弁部材にかかるとき、前記弁部材が、前記シール面の方に歪んで前記入口と前記キャビティとの間の流体連通を妨げ、前記出口から前記入口への前記流体の逆流を制限するように構成され、前記弁部材が過大な背圧を受けるとき、前記長手方向に延在するリブが前記弁部材を支え、前記弁部材が前記フィルタ部材を引き伸ばす範囲を制限するように構成された、条項13に記載の逆止弁。
【0072】
条項15
前記弁部材が、弁本体と、前記下部ハウジング内の前記弁部材を支えるための、前記弁本体の中心軸線を通って延在する棒部とを有する、条項9に記載の逆止弁。
【0073】
条項16
前記長手方向に延在する足部のそれぞれが、前記複数の長手方向に延在する足部のそれぞれの長手方向に延在する足部の外面から半径方向外向きに延在する少なくとも1つの湾曲した摩擦リブを有する、条項9に記載の逆止弁。
【0074】
条項17
前記弁部材の中心軸線が前記逆止弁の中央長手方向軸線とは位置がずれ、その結果、前記弁部材が前記上部ハウジングの内面と接触し、前記逆止弁が閉じた状態になるとき、前記上部ハウジングの前記内面との前記弁部材の接触表面積が、前記内面と接触する少なくとも1つの摩擦リブの表面積に制限される、条項16に記載の逆止弁。
【0075】
条項18
前記上部ハウジングの前記内面と接触する前記少なくとも1つの摩擦リブが最多で2つの摩擦リブを含む、条項17に記載の逆止弁。
【0076】
条項19
前記弁部材の中心軸線が前記逆止弁の中央長手方向軸線とは位置がずれ、その結果、前記弁部材が前記上部ハウジングの内面と接触し、前記逆止弁が、流体が前記入口から前記出口の方へ流れる開いた状態になるとき、前記湾曲した摩擦リブが、前記湾曲したリブの前記内面から離れた半径方向に湾曲した軌道経路に従うようにずれて、前記弁を前記上部ハウジングの前記内面からさらに引き離す、条項16に記載の逆止弁。
【0077】
条項20
弁本体と、前記弁本体の外周の周りに配置され、前記弁本体の外周から長手方向に延在する複数の足部とを有する、逆止弁の可撓性弁部材。
【0078】
条項21
前記弁本体の中心軸線を通って軸方向に延在する弁棒部をさらに有する、条項20に記載の逆止弁。
【0079】
条項22
前記足部のそれぞれが、前記それぞれの足部の外面から半径方向外向きに延在する湾曲した摩擦リブを有する、をさらに有する条項20に記載の逆止弁。
【0080】
本開示は、当業者が本明細書に記載される様々な態様を実行することができるように提供される。本開示は、対象技術の様々な実例を提供しており、対象技術は、これらの実例に限定されるものではない。これらの態様に対する様々な修正は当業者には容易に明らかになり、本明細書に規定される一般的原理は他の態様に適用することができる。
【0081】
単数形の要素への言及は、特に記載のない限り、「1つ且つ1つのみ」を意味することが意図されているのではなく、むしろ、「1つ又は複数」を意味することが意図されている。特に他に記載のない限り、「幾つかの」という用語は「1つ又は複数」を指す。男性に属する代名詞(例えば彼の)には、女性及び中性(例えば彼女の及びその)が含まれ、その逆も同様である。見出し及び小見出しがある場合、それらは便宜上用いられているだけで、本発明を限定するものではない。
【0082】
「例示的」という語は、「実例又は例証として機能すること」を意味するために本明細書で使用されている。本明細書で「例示的」と記載されているいかなる態様又は設計も、他の態様又は設計に比べて好ましい又は有利であると必ずしも解釈されるべきではない。1つ態様において、本明細書に記載される様々な代替的な構成及び動作は、少なくとも均等であるとみなすことができる。
【0083】
本明細書では、一連の項目に先行する「少なくとも1つの」という句は、これらの項目のうちの任意の項目を分離するために「又は」の用語とともに、リストの各項目を修飾するのではなく、リストを全体として修飾する。「少なくとも1つの」という句は、少なくとも1つの項目の選択を必要とするのではなく、むしろ、項目のうちの少なくとも1つの任意の項目、及び/又は項目の少なくとも1つの任意の組合せ、及び/又は各項目のうちの少なくとも1つを含むことを意味することができる。例として、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という句は、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、或いは、A、B、及びCの任意の組合せを指すことができる。
【0084】
「態様」などの句は、このような態様が対象技術に不可欠であること、又は、このような態様が対象技術のすべての構成に適用されることを意味しない。一態様に関する開示は、すべての構成、或いは1つ又は複数の構成に適用されてもよい。一態様は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。一態様などの句は、1つ又は複数の態様を指してもよく、その逆も同様である。「実施例」などの句は、このような実施例が対象技術に不可欠であること、又はこのような実施例が対象技術のすべての構成に適用されることを意味しない。一実施例に関する開示は、すべての実施例、或いは1つ又は複数の実施例に適用されてもよい。一実施例は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。一実施例などの句は、1つ又は複数の実施例を指してもよく、その逆も同様である。「構成」などの句は、このような構成が対象技術に不可欠であること、又は、このような構成が対象技術のすべての構成に適用されることを意味しない。一構成に関する開示は、すべての構成、或いは1つ又は複数の構成に適用されてもよい。一構成は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。一構成などの句は、1つ又は複数の構成を指してもよく、その逆も同様である。
【0085】
1つの態様において、他に記載のない限り、以下の特許請求の範囲を含む、本明細書で述べられるすべての測定値、値、評価値、位置、規模、大きさ、及びその他の仕様は、およそのものであり、厳密なものではない。1つの態様において、それらは、それらが関連する機能と整合し、それらが関わる技術において通例的である合理的な範囲を有することが意図される。
【0086】
開示されるプロセス又は方法におけるステップ又は動作の特定の順序又は階層は例示的な手法の例示であることが理解される。実施態様の好み又はシナリオに基づき、ステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層は再配列されてもよいことは理解される。ステップ、動作、又はプロセスのうちの幾つかは、同時に行われてもよい。幾つかの実施態様の好み又はシナリオにおいて、特定の動作が実行されてもよいし、されなくてもよい。ステップ、動作、又はプロセスの幾つか又はすべては、ユーザの介入なしに、自動的に実行されてもよい。添付の方法の請求項は、様々なステップ、動作、又はプロセスの要素を例示的な順序で提示しており、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意味していない。
【0087】
当業者に知られている又は将来知られるようになる、本開示全体にわたって説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な均等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。さらに、本明細書に開示されるいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関わらず、公共に供されることを意図したものではない。いかなる請求項要素も、要素が「のための手段(means for)」句を使用して明示的に記載されていなければ、又は、方法クレームの場合、「のためのステップ(step for)」という句を使用して記載されていなければ、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。さらに、用語「含む(include)」、「有する(have)」などが使用される範囲では、そのような用語は、「有する(comprise)」が請求項内の移行語として使用されるときに解釈されるのときの用語「有する(comprise)」と同様に包括的であることが意図されている。
【0088】
本開示の発明の名称、背景技術、発明の概要、図面の簡単な説明、及び要約は本開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な実例として提供される。それらは、特許請求の範囲の範囲又は意味を限定するために使用されるものではないという理解のもとに提示されている。加えて、発明を実施するための形態において、例示的な実例が説明され、様々な特徴が、本開示を簡素化するために、様々な実施例においてまとめられていることがわかる。本開示の方法は、特許請求される主題が、各請求項に明記されたものより多くの特徴を必要とするという意図を示すものとして解釈されるものではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が表すように、発明の主題は、開示される単一の構成又は動作のすべての特徴よりも少ない。以下の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態の中に組み込まれ、各請求項は、個別に特許請求される主題として独立している。
【0089】
特許請求の範囲は、本明細書に記載される態様に限定されるようには意図されず、特許請求の範囲の文言と整合する全範囲に一致し、すべての法的均等物を含むことが意図されている。それにもかかわらず、請求項のいずれも、米国特許法第101条、102条、又は103条の要件を満たさない主題を包含することを意図せず、また、そのように解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C