(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】カラー・赤外線画像センサ
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240510BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20240510BHJP
H04N 5/33 20230101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 E
H01L27/144 K
H01L27/146 D
H04N5/33
(21)【出願番号】P 2021551976
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 FR2020050337
(87)【国際公開番号】W WO2020178497
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-24
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】デュポイロン,カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-208496(JP,A)
【文献】特開2016-201402(JP,A)
【文献】特開2014-192348(JP,A)
【文献】特開2010-041031(JP,A)
【文献】特開2008-227250(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025545(WO,A1)
【文献】特開2018-182327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0301509(US,A1)
【文献】特開2015-135938(JP,A)
【文献】特開2009-099867(JP,A)
【文献】特開2013-070030(JP,A)
【文献】特開2010-272666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 27/144
H04N 5/33
H04N 25/778
H04N 25/70
H04N 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー・赤外線画像セン
サであって、
シリコンの基
板と、前記基板内及び前記基板上に形成されているMOS トランジス
タと、前記基板内に少なくとも部分的に形成されている第1のフォトダイオー
ドと、前記基板を覆っている感光
層と、カラーフィル
タとを備えており、
前記感光層は前記基板と前記カラーフィルタとの間に配置されており、
前記カラー・赤外線画像センサは、前記感光層の両側に設けられて前記感光層に第2のフォトダイオー
ドを画定している第1の電
極及び第2の電
極を更に備えており、
前記第1のフォトダイオードは、可視スペクトルの電磁波及び赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を吸収するように構成されており、
前記感光層は、前記可視スペクトルの電磁波を吸収して、前記赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を通すように構成されており、
前記カラー・赤外線画像センサは、取得するカラー画像の画素毎に、少なくとも第1、第2及び第3のサブ画
素を備えており、
前記第1、第2及び第3のサブ画素は、前記第2のフォトダイオー
ドの1つ、前記第1のフォトダイオー
ドの1つ及び前記カラーフィル
タの1つを夫々有しており、
前記第1、第2及び第3のサブ画素のカラーフィルタは、前記可視スペクトルの異なる周波数範囲の電磁波を通し、
前記カラー・赤外線画像センサは、取得するカラー画像の画素毎に、前記第2のフォトダイオー
ドの1つ及び前記カラーフィル
タの1つを有する少なくとも1つの第4のサブ画
素を備えており、
前記第4のサブ画素のカラーフィルタは、前記可視スペクトルの電磁波を遮断して、前記可視スペクトルと前記赤外スペクトルの第1の部分との間の前記赤外スペクトルの第3の部分の電磁波を通すように構成されており、
前記感光
層は、前記赤外スペクトルの第3の部分の電磁波を吸収するように構成されている、カラー・赤外線画像センサ。
【請求項2】
赤外線フィル
タを更に備えており、
前記カラーフィル
タは、前記感光
層と前記赤外線フィルタとの間に配置されており、
前記赤外線フィルタは、前記可視スペクトルの電磁波を通して、前記赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を通し、前記可視スペクトルと前記赤外スペクトルの第1の部分との間の前記赤外スペクトルの少なくとも第2の部分の電磁波を遮断するように構成されている、請求項1に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項3】
前記感光
層と前記赤外線フィル
タとの間に配置されているレン
ズのアレイを備えている、請求項2に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項4】
取得するカラー画像の画素毎に、前記第2の電
極は前記第1、第2及び第3のサブ画
素に共通である、請求項1~3のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項5】
前記第1、第2及び第3のサブ画
素毎に、前記第2のフォトダイオー
ド及び前記第1のフォトダイオー
ドに連結された読み出し回
路を備えている、請求項1~4のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項6】
前記読み出し回
路は、前記第1のフォトダイオー
ドで発生した第1の電荷を第1の導電性トラッ
クに移すように構成されており、前記第2のフォトダイオー
ドで発生した第2の電荷を前記第1の導電性トラッ
ク又は第2の導電性トラックに移すように構成されている、請求項5に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項7】
前記第1のフォトダイオー
ドは行及び列に配置されており、
前記読み出し回
路は、前記カラー・赤外線画像センサの全ての第1のフォトダイオー
ドに関して同時的な第1の時間間隔で前記第1の電荷の発生を制御するように構成されている、請求項6に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項8】
前記第2のフォトダイオー
ドは行及び列に配置されており、
前記読み出し回
路は、前記カラー・赤外線画像センサの全ての第2のフォトダイオードに関して同時的な第2の時間間隔で又は1行の第2のフォトダイオードから別の行の第2のフォトダイオードに経時的にシフトして第2の電荷の発生を制御するように構成されている、請求項6又は7に記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項9】
前記読み出し回
路は、第1の継続時間を有する、前記第1のフォトダイオー
ドのための第1の統合段階を制御
し、前記第1の継続時間とは異なる第2の継続時間を有する、前記第2のフォトダイオー
ドのための第2の統合段階を制御するように構成されている、請求項6~8のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項10】
各読み出し回
路は、少なくとも1つのフォロワとして組み立てられた第1のMOS トランジス
タを有しており、
前記第2のフォトダイオー
ドは、前記第1のMOS トランジスタのゲートに直接連結された第1の電
極を有しており、前記第1のフォトダイオー
ドは、第3のMOS トランジス
タを介して前記第1のMOS トランジスタのゲート又はフォロワとして組み立てられた第2のMOS トランジス
タのゲートに連結された第2の電極を有している、請求項6~9のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【請求項11】
前記感光
層は、有機材料で形成されている及び/又は量子ドットを含んでいる、請求項1~10のいずれか1つに記載のカラー・赤外線画像センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像センサ又は電子式撮像デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサは、多くの分野に、特に小型化のために電子デバイスに使用されている。画像センサは、マンマシンインタフェース又は画像取込の用途で設けられている。
【0003】
ある用途では、カラー画像及び赤外線画像を同時的に取得することができる画像センサを設けることが望ましい。このような画像センサは、以下の記載ではカラー・赤外線画像センサと称される。カラー・赤外線画像センサの適用例として、構造化された赤外パターンが投影される対象の赤外線画像の取得がある。このような画像センサを使用する分野は特に、自動車、ドローン、スマートフォン、ロボット及び拡張現実システムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画素が入射放射光の作用下で電荷を収集する段階は、画素の統合段階と称される。統合段階の後に一般的に、画素によって収集された電荷の量を測定する読み出し段階が続く。
【0005】
カラー・赤外線画像センサの構成のために、複数の制約を考慮する必要がある。第一に、カラー画像の解像度は、従来のカラー画像センサで得られる解像度より低くすべきである。
【0006】
第二に、ある用途では、画像センサがグローバルシャッタタイプであることが望ましい場合があり、すなわち、画素の統合段階の開始及び終了が同時的である画像取得法を実行することが望ましい場合がある。これは特に、構造化された赤外パターンが投影される対象の赤外線画像の取得に当てはまる場合がある。
【0007】
第三に、画像センサの画素の大きさが可能な限り小さいことが望ましい。第四に、入射放射光の取り込みに能動的に関与する画素の領域の平面視での表面積対画素の平面視での全表面積の比に相当する各画素の充填率が可能な限り大きいことが望ましい。
【0008】
前述した全ての制約を満たすカラー・赤外線画像センサを設計することが困難な場合がある。
【0009】
実施形態は、前述したカラー・赤外線画像センサの不利点の全て又は一部を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、カラー・赤外線画像センサによって取得するカラー画像の解像度は2,560 ppi より高く、好ましくは8,530 ppi より高い。
【0011】
実施形態によれば、赤外線画像を取得する方法はグローバルシャッタタイプである。
【0012】
実施形態によれば、カラー・赤外線画像センサの画素の大きさは10μm未満であり、好ましくは3μm未満である。
【0013】
実施形態によれば、カラー・赤外線画像センサの各画素の充填率は50%より高く、好ましくは80%より高い。
【0014】
実施形態は、シリコンの基板と、前記基板内及び前記基板上に形成されているMOS トランジスタと、前記基板内に少なくとも部分的に形成されている第1のフォトダイオードと、前記基板を覆っている感光層と、カラーフィルタとを備えており、前記感光層は前記基板と前記カラーフィルタとの間に配置されているカラー・赤外線画像センサを提供する。前記カラー・赤外線画像センサは、前記感光層の両側に設けられて前記感光層に第2のフォトダイオードを画定している第1の電極及び第2の電極を更に備えており、前記第1のフォトダイオードは、可視スペクトルの電磁波及び赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を吸収するように構成されており、前記感光層は、前記可視スペクトルの電磁波を吸収して、前記赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を通すように構成されている。
【0015】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、赤外線フィルタを更に備えており、前記カラーフィルタは、前記感光層と前記赤外線フィルタとの間に配置されており、前記赤外線フィルタは、前記可視スペクトルの電磁波を通して、前記赤外スペクトルの第1の部分の電磁波を通し、前記可視スペクトルと前記赤外スペクトルの第1の部分との間の前記赤外スペクトルの少なくとも第2の部分の電磁波を遮断するように構成されている。
【0016】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、前記感光層と前記赤外線フィルタとの間に配置されているレンズのアレイを備えている。
【0017】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、取得するカラー画像の画素毎に、少なくとも第1、第2及び第3のサブ画素を備えており、前記第1、第2及び第3のサブ画素は、前記第2のフォトダイオードの1つ、前記第1のフォトダイオードの1つ及び前記カラーフィルタの1つを夫々有しており、前記第1、第2及び第3のサブ画素のカラーフィルタは、前記可視スペクトルの異なる周波数範囲の電磁波を通す。
【0018】
実施形態によれば、取得するカラー画像の画素毎に、前記第2の電極は前記第1、第2及び第3のサブ画素に共通である。
【0019】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、取得するカラー画像の画素毎に、前記第2のフォトダイオードの1つ及び前記カラーフィルタの1つを有する少なくとも1つの第4のサブ画素を備えており、前記第4のサブ画素のカラーフィルタは、前記可視スペクトルの電磁波を遮断して、前記可視スペクトルと前記赤外スペクトルの第1の部分との間の前記赤外スペクトルの第3の部分の電磁波を通すように構成されており、前記感光層は、前記赤外スペクトルの第3の部分の電磁波を吸収するように構成されている。
【0020】
実施形態によれば、前記カラー・赤外線画像センサは、前記第1、第2及び第3のサブ画素毎に、前記第2のフォトダイオード及び前記第1のフォトダイオードに連結された読み出し回路を備えている。
【0021】
実施形態によれば、前記読み出し回路は、前記第1のフォトダイオードで発生した第1の電荷を第1の導電性トラックに移すように構成されており、前記第2のフォトダイオードで発生した第2の電荷を前記第1の導電性トラック又は第2の導電性トラックに移すように構成されている。
【0022】
実施形態によれば、前記第1のフォトダイオードは行及び列に配置されており、前記読み出し回路は、前記カラー・赤外線画像センサの全ての第1のフォトダイオードに関して同時的な第1の時間間隔で前記第1の電荷の発生を制御するように構成されている。
【0023】
実施形態によれば、前記第2のフォトダイオードは行及び列に配置されており、前記読み出し回路は、前記カラー・赤外線画像センサの全ての第2のフォトダイオードに関して同時的な第2の時間間隔で又は1行の第2のフォトダイオードから別の行の第2のフォトダイオードに経時的にシフトして第2の電荷の発生を制御するように構成されている。
【0024】
実施形態によれば、前記読み出し回路は、第1の継続時間を有する、前記第1のフォトダイオードのための第1の統合段階を制御して、前記第1の継続時間とは異なる第2の継続時間を有する、前記第2のフォトダイオードのための第2の統合段階を制御するように構成されている。
【0025】
実施形態によれば、各読み出し回路は、少なくとも1つのフォロワとして組み立てられた第1のMOS トランジスタを有しており、前記第2のフォトダイオードは、前記第1のMOS トランジスタのゲートに直接連結された第1の電極を有しており、前記第1のフォトダイオードは、第3のMOS トランジスタを介して前記第1のMOS トランジスタのゲート又はフォロワとして組み立てられた第2のMOS トランジスタのゲートに連結された第2の電極を有している。
【0026】
実施形態によれば、前記感光層は、有機材料で形成されている及び/又は量子ドットを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0028】
【
図1】カラー・赤外線画像センサの実施形態を示す部分的な分解斜視略図である。
【
図2】画像センサの電極の実施形態を示す
図1の画像センサの部分的な断面略図である。
【
図3】電極の別の実施形態を示す
図1の画像センサの部分的な断面略図である。
【
図4】
図1の画像センサのサブ画素の読み出し回路の実施形態を示す電気回路図である。
【
図5】読み出し回路の別の実施形態を示す電気回路図である。
【
図6】読み出し回路の別の実施形態を示す電気回路図である。
【
図7】読み出し回路の別の実施形態を示す電気回路図である。
【
図8】読み出し回路の別の実施形態を示す電気回路図である。
【
図9】読み出し回路の別の実施形態を示す電気回路図である。
【
図10】
図4の読み出し回路を有する画像センサの動作方法の実施形態の信号のタイミング図である。
【
図11】
図4の読み出し回路を有する画像センサの動作方法の別の実施形態の信号のタイミング図である。
【
図12】
図9の読み出し回路を有する画像センサの動作方法の実施形態の信号のタイミング図である。
【
図13】
図9の読み出し回路を有する画像センサの動作方法の実施形態の信号のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
同様の特徴が、様々な図面で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有してもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。明瞭化のために、記載された実施形態の理解に有用なステップ及び要素のみが示され詳述されている。特に、以下に記載される画像センサの用途については詳述されていない。
【0030】
以下の開示では、特に示されていない場合、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「高」、「低」などの相対位置を限定する文言、又は「水平」、「垂直」などの向きを限定する文言を参照するとき、この文言は図面の向き、又は通常の使用中の画像センサの向きを指す。特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0031】
特に示されていない場合、共に接続された2つの要素を参照するとき、これは、導体以外のいかなる中間要素も無しの直接接続を表し、共に連結された2つの要素を参照するとき、これは、これら2つの要素が接続され得るか、又は一若しくは複数の他の要素を介して連結され得ることを表す。更に、第1の一定の状態、例えば「0」と示される低状態と、第2の一定の状態、例えば「1」と示される高状態との間で交互に生じる信号は「二値信号」と称される。同一の電子回路の異なる二値信号の高状態及び低状態は異なってもよい。特に、二値信号は、高状態又は低状態で完全には一定でなくてもよい電圧又は電流に対応してもよい。更に本明細書では、「絶縁」及び「導電」という用語は「電気絶縁」及び「電気導電」を夫々意味するとみなされる。
【0032】
層の透過率は、層から出る放射光の強度対層に入る放射光の強度の比に相当する。以下の記載では、層又は膜を通る放射光の透過率が10%未満であるとき、その層又は膜は放射光を通さないとする。以下の記載では、層又は膜を通る放射光の透過率が10%を超えるとき、その層又は膜は放射光を通すとする。以下の記載では、材料の屈折率は、画像センサによって取り込まれる放射光の波長領域に関する材料の屈折率に相当する。特に指定されていない場合、屈折率は、有用な放射光の波長領域に亘って実質的に一定とみなされ、例えば、画像センサによって取り込まれる放射光の波長範囲に亘る屈折率の平均と等しいとみなされる。
【0033】
以下の記載では、「可視光線」は、400 nm~700 nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を示し、「赤外線」は、700 nm~1mmの範囲内の波長を有する電磁放射線を示す。赤外線では、700 nm~1.4 μmの範囲内の波長を有する近赤外線を特に識別することができる。
【0034】
画像の画素は、画像センサによって取り込まれる画像の単位素子に相当する。光電子デバイスがカラー画像センサである場合、光電子デバイスは一般に、取得するカラー画像の画素毎に少なくとも3つの要素を備えており、これらの要素は実質的に単一色、つまり100 nm未満の波長領域(例えば赤色、緑色及び青色)で放射光を夫々取得する。各要素は、特に少なくとも1つの光検出器を有してもよい。
【0035】
図1は、カラー・赤外線画像センサ1 の実施形態の部分的な分解斜視略図であり、
図2は、カラー・赤外線画像センサ1 の実施形態の部分的な断面略図である。画像センサ1 は、赤外線画像を取り込むことができる光検出器とも称される第1の光子センサ2 のアレイと、カラー画像を取り込むことができる第2の光検出器4 のアレイとを備えている。光検出器2, 4のアレイは、光検出器2, 4によって取り込まれた信号を測定する読み出し回路6 のアレイに関連付けられている。読み出し回路は、対応する光検出器2, 4によって画定された画素又はサブ画素を読み出してアドレス指定し、制御するためのトランジスタの集合体を意味する。
【0036】
画像センサ1 では、カラー光検出器4 のアレイが赤外光検出器2 のアレイを覆っている。取得するカラー画像の画素毎に、取得する画像の可視光線の限られた部分で放射光を取得することができる光検出器4 を含む画像センサ1 の部分を、画像センサ1 のサブ画素SPixと称する。
【0037】
4つのサブ画素SPixが
図1及び
図2に示されている。明瞭化のために、
図2に示されている画像センサ1 のある要素のみが
図1に示されている。画像センサ1 は、
図2の下から上に、
好ましくは平坦な上面12を有する半導体基板10、
サブ画素SPix毎に設けられて基板10内に形成され、赤外フォトダイオード2 の一部を形成する少なくとも1つのドープされた半導体領域14、
基板10内及び/又は表面12に配置された読み出し回路6 の電子部品16(サブ画素毎に1つの電子部品16が
図2に示されている)、
表面12を覆っている絶縁層の積層体18(導電性トラック20が積層体18上と積層体18の絶縁層間とに配置されている)、
サブ画素SPix毎に設けられて積層体18に載置され、導電ビア24によって基板10、電子部品16の1つ又は導電性トラック20の1つに連結されている電極22、
全ての電極22を覆って、電極22間で積層体18を覆っているアクティブ層26、
サブ画素SPix毎に設けられてアクティブ層26に載置され、導電ビア30によって基板10、電子部品16の1つ又は導電性トラック20の1つに連結されている電極28、
全ての電極28を覆って、電極28間でアクティブ層26を覆っている絶縁層32、
サブ画素SPix毎に設けられて、絶縁層32を覆っているカラーフィルタ34、
サブ画素SPix毎に設けられて、カラーフィルタ34を覆っているマイクロレンズ36、
マイクロレンズ36を覆っている絶縁層38、並びに
絶縁層38を覆っているフィルタ40
を備えている。
【0038】
サブ画素SPixは行及び列に分散してもよい。本実施形態では、各サブ画素SPixは、表面12に垂直な方向に、辺の長さが0.1 μm~100 μmの範囲内であり、例えば略3μmである正方形又は矩形の基部を有している。しかしながら、各サブ画素SPixは、異なる形状、例えば六角形の基部を有してもよい。
【0039】
本実施形態では、アクティブ層26は、画像センサ1 の全てのサブ画素SPixに共通である。各カラー光検出器4 のアクティブ領域は、入射放射光の大部分が吸収されてカラー光検出器4 によって電気信号に変換される領域に相当し、下部電極22と上部電極28との間にあるアクティブ層26の部分に実質的に相当する。
【0040】
実施形態によれば、各赤外光検出器2 は、400 nm~1,100 nmの範囲の波長領域の電磁放射線を取り込むことができる。実施形態によれば、アクティブ層26は、400 nm~700 nmの範囲の波長領域の電磁放射線を取り込むことができ、すなわち、可視光線のみを吸収することができる。別の実施形態によれば、アクティブ層26は、400 nm~920 nmの範囲の波長領域の電磁放射線を取り込むことができ、すなわち、可視光線及び近赤外線の一部を取り込むことができる。光検出器は有機材料で形成されてもよい。光検出器は、有機フォトダイオード(OPD) 又は有機フォトレジスタに相当してもよい。以下の記載では、光検出器がフォトダイオードに相当するとみなされる。
【0041】
フィルタ40は、可視光線を通すことができ、赤外線画像を取得するために着目する赤外波長領域に亘る赤外線の一部を通すことができ、入射放射光の残りの部分、特に着目する赤外波長領域を除いた赤外線の残りの部分を遮断することができる。実施形態によれば、着目する赤外波長領域は、赤外線の予測される波長、例えば940 nmの波長又は850 nmの波長を中心とする50nmの範囲に相当してもよい。フィルタ40は干渉フィルタであってもよく、並びに/又は吸収層及び/若しくは反射層を有してもよい。
【0042】
カラーフィルタ34は着色樹脂のブロックに相当してもよい。各カラーフィルタ34は、例えば700 nm~1mmの範囲の波長の赤外線を通すことができ、カラーフィルタの少なくとも一部では、可視光線の波長領域を通すことができる。取得するカラー画像の画素毎に、画像センサは、例えば430 nm~490 nmの波長領域の青色の光のみを通すことができるカラーフィルタ34を有するサブ画素SPix、例えば510 nm~570 nmの波長領域の緑色の光のみを通すことができるカラーフィルタ34を有するサブ画素SPix、及び例えば600 nm~720 nmの波長領域の赤色の光のみを通すことができるカラーフィルタ34を有するサブ画素SPixを備えてもよい。
【0043】
実施形態によれば、アクティブ層26は、400 nm~700 nmの範囲の波長領域の電磁放射線を取り込むことができ、すなわち、可視光線のみを吸収することができる。そのため、カラーフィルタ34はベイヤー配列に分散してもよい。従って、サブ画素SPix毎に、サブ画素のカラー光検出器4 は、サブ画素のカラーフィルタ34を横切った可視光線の部分のみを取り込む。
【0044】
別の実施形態によれば、アクティブ層26は、400 nm~920 nmの範囲の波長領域の電磁放射線を取り込むことができ、すなわち、可視光線及び近赤外線の一部を取り込むことができる。この場合、カラーフィルタ34の内の1つは赤外線のみを通すことができ、可視光線を遮断することができる。そのため、カラーフォトダイオード4 の内の1つが近赤外線のためのフォトダイオードの機能を果たす。これは、特に輝度が低い場合のカラー画像の取得に有利な場合がある。赤外フォトダイオード2 によって取り込まれる赤外線は、近赤外線のためのフォトダイオードの機能を果たすカラーフォトダイオード4 によって取り込まれる赤外線とは異なる波長領域に対応する。
【0045】
実施形態によれば、半導体基板10は、シリコン、好ましくは単結晶シリコンで形成されている。基板は、シリコン層の積層体を絶縁層上に有するシリコン・オン・インシュレータ、つまりSOI タイプの基板であってもよい。実施形態によれば、電子部品16はトランジスタ、特に金属酸化膜ゲート電界効果トランジスタ(MOS トランジスタとも称される)を有している。赤外フォトダイオード2 は、好ましくはシリコンで形成された無機フォトダイオードである。各赤外フォトダイオード2 は、表面12から基板10に延びている少なくともドープされたシリコン領域14を有している。実施形態によれば、基板10はドープされていない、又は第1の導電型、例えばP型で低濃度にドープされており、各シリコン領域14は、基板10の導電型と反対の導電型、例えばN型のドープされた領域である。表面12から測定される各シリコン領域14の深さは1μm~12μmの範囲内であってもよい。赤外フォトダイオード2 はPIN フォトダイオードに相当してもよい。PIN フォトダイオードの例が米国特許第6677656 号明細書に特に記載されている。このようなフォトダイオードは、例えば、近赤外線により深さ方向に発生した電荷の収集を容易にすべく、深い絶縁性のトレンチによって分離されたフォトダイオードである。
【0046】
導電性トラック20及び導電ビア24, 30は、金属材料、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)又はクロム(Cr)で形成されてもよい。導電性トラック20及び導電ビア24, 30は単層構造又は多層構造を有してもよい。積層体18の各絶縁層は無機材料で形成されてもよく、例えば酸化シリコン(SiO2)又は窒化シリコン(SiN) で形成されてもよい。
【0047】
各電極22, 28は、各電極が受ける放射光を少なくとも部分的に通す。各電極22, 28は透明な導電性材料で形成されてもよく、例えば透明導電性酸化物、つまりTCO 、カーボンナノチューブ、グラフェン、導電性ポリマー、金属又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物若しくは合金で形成されてもよい。各電極22, 28は単層構造又は多層構造を有してもよい。
【0048】
各電極22, 28を形成することができるTCO の例として、酸化インジウムスズ(ITO) 、酸化アルミニウム亜鉛(AZO) 、酸化ガリウム亜鉛(GZO) 、窒化チタン(TiN) 、酸化モリブデン(MoO3)及び酸化タングステン(WO3) がある。各電極22, 28を形成することができる導電性ポリマーの例として、ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン及びポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウムの混合物であるPEDOT:PSS として周知のポリマーと、PAniとも称されるポリアニリンとがある。各電極22, 28を形成することができる金属の例として、銀、アルミニウム、金、銅、ニッケル、チタン及びクロムがある。各電極22, 28を形成することができる多層構造の例として、AZO/Ag/AZOタイプの多層のAZO 及び銀の構造がある。
【0049】
各電極22, 28の厚さは10nm~5μmの範囲内であってもよく、例えば30nm程度であってもよい。電極22, 28が金属製である場合、電極22, 28の厚さは20nm以下であり、好ましくは10nm以下である。
【0050】
各絶縁層32, 38は、フッ素化ポリマー、特にBellexによって商標名Cytop で商品化されているフッ素化ポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP) 、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、パリレン、ポリイミド(PI)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS) 、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET) 、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN) 、シクロオレフィンポリマー(COP) 、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フォトリソグラフィ樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成されてもよい。変形例として、各絶縁層32, 38は、無機誘電体材料、特に窒化シリコン、酸化シリコン又は酸化アルミニウム(Al2O3) で形成されてもよい。酸化アルミニウムは原子層堆積法(ALD) によって堆積してもよい。各絶縁層32, 38の最大の厚さは50nm~2μmの範囲内であってもよく、例えば100 nm程度であってもよい。
【0051】
アクティブ層26は小分子、オリゴマー又はポリマーを含んでもよい。これらは有機材料又は無機材料、特に量子ドットであってもよい。アクティブ層26は、両極性半導体材料を含んでもよく、つまり、例えば積層の形態又はバルクヘテロ接合を形成すべくナノメートルスケールで均質な混合物の形態でN型半導体材料及びP型半導体材料の混合物を含んでもよい。アクティブ層26の厚さは50nm~2μmの範囲内であってもよく、例えば200 nm程度であってもよい。
【0052】
アクティブ層26を形成することができるP型半導体ポリマーの例として、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[N-9'-ヘプタデカニル-2,7-カルバゾール-alt-5,5-(4,7-di-2-チエニル-2',1',3'-ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,8-bis-(2-エチルヘキシルオキシ)-ベンゾ[1,2-b;4, 5-b']ジチオフェン)-2,6-ジイル-alt-(4-(2-エチルヘキサノイル)-チエノ[3,4-b]チオフェン)-2,6-ジイル](PBDTTT-C)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチル-ヘキシロキシ)-1,4-フェニレン-ビニレン](MEH-PPV) 、又はポリ[2,6-(4,4-bis-(2-エチルヘキシル)-4H-シクロペンタ[2,1-b;3,4-b']ジチオフェン)-alt-4,7(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT) がある。
【0053】
アクティブ層26を形成することができるN型半導体材料の例として、フラーレン、特にC60 、[6,6]-フェニル-C61- メチルブタノエート([60]PCBM)、[6,6]-フェニル-C71- メチルブタノエート([70]PCBM)、ペリレンジイミド、酸化亜鉛(ZnO )、又は量子ドットの形成を可能にするナノ結晶がある。
【0054】
アクティブ層26は、図示されていない第1の界面層と第2の界面層との間に配置されてもよい。フォトダイオードの分極モードに応じて、界面層は、電極からアクティブ層26への電荷の収集、注入又は遮断を容易にする。各界面層の厚さは0.1 nm~1μmの範囲内であることが好ましい。第1の界面層によって、隣接する電極の仕事関数を、アクティブ層26に使用されるアクセプタ材料の電子親和力と合わせることが可能になる。第1の界面層は、炭酸セシウム(CSCO3) 、金属酸化物、特に酸化亜鉛(ZnO) 、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成されてもよい。第1の界面層は、自己組織化された単分子層又はポリマー、例えばポリエチレンイミン、エトキシ化ポリエチレンイミン、ポリ[(9,9-bis(3'-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン)-alt-2,7-(9,9-ジオクチルフルオレン)]を含んでもよい。第2の界面層によって、他方の電極の仕事関数を、アクティブ層26に使用されるドナー材料のイオン化ポテンシャルと合わせることが可能になる。第2の界面層は、酸化銅(CuO) 、酸化ニッケル(NiO) 、酸化バナジウム(V2O5)、酸化マグネシウム(MgO) 、酸化タングステン(WO3) 、酸化モリブデン(MoO3)、PEDOT:PSS 又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物で形成されてもよい。
【0055】
マイクロレンズ36の大きさはマイクロメートルサイズである。本実施形態では、各サブ画素SPixはマイクロレンズ36を有している。変形例として、各マイクロレンズ36は、別のタイプのマイクロメートルサイズの光学素子、特にマイクロメートルサイズのフレネルレンズ、マイクロメートルサイズの屈折率分布型レンズ又はマイクロメートルサイズの回折格子と置き換えられてもよい。マイクロレンズ36は、焦点距離fが夫々1μm~100 μmの範囲、好ましくは1μm~10μmの範囲である集光レンズである。実施形態によれば、全てのマイクロレンズ36は実質的に同一である。
【0056】
マイクロレンズ36は、シリカ、PMMA、ポジ型感光性樹脂、PET 、PEN 、COP 、PDMS/シリコーン又はエポキシ樹脂で形成されてもよい。マイクロレンズ36は、レジストブロックの変形により形成されてもよい。マイクロレンズ36は更に、PET 、PEN 、COP 、PDMS/シリコーン又はエポキシ樹脂の層上に成型により形成されてもよい。
【0057】
実施形態によれば、絶縁層38はマイクロレンズ36の形状に沿う層である。絶縁層38は、光学透明接着剤(OCA) 、特に液状光学透明接着剤(LOCA)、又は低屈折率の材料、又はエポキシ樹脂/アクリル系接着剤、又はガス若しくはガス状混合物、例えば空気の膜から形成されてもよい。絶縁層38がマイクロレンズ36の形状に沿う場合、絶縁層38は、マイクロレンズ36の材料の屈折率より低い低屈折率の材料で形成されていることが好ましい。絶縁層38は、非粘着性の透明な材料である充填材料で形成されてもよい。別の実施形態によれば、絶縁層38は、マイクロレンズ36のアレイに当接する膜、例えばOCA 膜に相当する。この場合、絶縁層38とマイクロレンズ36との接触領域は減少してもよく、例えばマイクロレンズの最上部に限定されてもよい。そのため、絶縁層38は、絶縁層38がマイクロレンズ36の形状に沿う場合より高い屈折率の材料で形成されてもよい。別の実施形態によれば、絶縁層38は、マイクロレンズ36のアレイに当接するOCA 膜に相当し、接着剤は、OCA 膜38がマイクロレンズの表面に完全に又は実質的に完全に沿うことができる特性を有する。
【0058】
対象とする材料に応じて、画像センサ1 の少なくともある層を形成する方法は、例えば、特にはソル-ゲル形態で所望の位置に有機層を形成する材料の直接印刷によるいわゆるアディティブ処理、例えばインクジェット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン、フレキソ印刷、スプレーコーティング又はドロップキャストによるアディティブ処理に相当してもよい。対象とする材料に応じて、画像センサ1 の層を形成する方法は、いわゆるサブトラクティブ法に相当してもよく、この方法では、有機層を形成する材料を構造全体に堆積させ、その後、例えばフォトリソグラフィ又はレーザアブレーションによって未使用部分を除去する。更に、対象とする層及び材料に応じて、アクティブ層26を形成する材料を構造全体に堆積させて、部分的に除去しない。そのため、フォトダイオードのピッチは電極22, 28の位置によって得られる。対象とする材料に応じて、構造全体の堆積を、例えば液相成長法、カソードスパッタリング法又は蒸着法によって行ってもよい。スピンコーティング、スプレーコーティング、ヘリオグラフィ、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、フレキソ印刷又はシルクスクリーンのような方法を特に使用してもよい。層が金属製であるとき、金属を、例えば支持体全体に蒸着法又はカソードスパッタリング法によって堆積させ、金属層をエッチングによって画定する。
【0059】
画像センサ1 の層の少なくとも一部を印刷技術によって形成してもよいことが有利である。前述した層の材料を、液体の形態で、例えばインクジェットプリンタにより導電性の半導体インクの形態で堆積させてもよい。ここで、「液体の形態の材料」は、印刷技術によって堆積可能なゲル材料を更に表す。アニール工程を異なる層の堆積間に行ってもよいが、アニール温度は150 ℃を超えないことが可能であり、堆積及び場合によってアニールを大気圧で行ってもよい。
【0060】
図3は、カラーフォトダイオード4 の電極の配置の別の実施形態を示す画像センサ1 の断面図である。本実施形態では、電極28は画素の各カラーフォトダイオード4 に共通である。更に電極28は、同一行の画素の全ての画素に共通であってもよい。そのため、ビア30は、画素のサブ画素毎に設けられなくてもよく、サブ画素に対応しない領域、例えば画素の周縁部に設けられてもよい。サブ画素SPix毎に電極22のみが画定されている。
【0061】
図4は、サブ画素SPixのカラーフォトダイオード4 及び赤外フォトダイオード2 に関連付けられた読み出し回路6-1 の実施形態を示す簡略化された電気回路図である。
【0062】
読み出し回路6-1 は、2つの端子64, 66間に選択MOS トランジスタ62と直列にフォロワ集合体のMOS トランジスタ60を有している。端子64は、読み出し回路を形成するトランジスタがNチャネルMOS トランジスタである場合、高基準電位VDD の電位源に連結されており、読み出し回路を形成するトランジスタがPチャネルMOS トランジスタである場合、低基準電位源、例えば接地に連結されている。端子66は導電性トラック68に連結されている。導電性トラック68は、同一列の全てのサブ画素に連結されてもよく、サブ画素の読み出し回路6-1 に属さない電流源69に連結されてもよい。選択MOS トランジスタ62のゲートは、サブ画素選択信号SEL を受けるように構成されている。MOS トランジスタ60のゲートはノードFDに連結されている。ノードFDは、VDD であってもよいリセット電位Vrstが与えられる端子にMOS リセットトランジスタ70を介して連結されている。MOS リセットトランジスタ70のゲートは、特にノードFDを実質的に電位Vrstにリセットすることを可能にする、サブ画素のリセットを制御するための信号RST を受信するように構成されている。
【0063】
ノードFDは、MOS 転送トランジスタ72を介して、対象とするサブ画素のカラーフォトダイオード4 のカソード電極22に連結されている。サブ画素のカラーフォトダイオード4 のアノード電極28は基準電位V_RGB の電位源に連結されている。MOS 転送トランジスタ72のゲートは、サブ画素のカラーフォトダイオード4 を選択するための信号TG_RGBを受信するように構成されている。MOS トランジスタ60のゲートは、MOS 転送トランジスタ74を介して、対象とするサブ画素の赤外フォトダイオード2 のカソード電極に更に連結されている。サブ画素の赤外フォトダイオード2 のアノード電極は低基準電位GND の電位源、例えば接地に連結されている。MOS 転送トランジスタ74のゲートは、サブ画素の赤外フォトダイオード2 を選択するための信号TG_IR を受信するように構成されている。本実施形態では、5つのMOS トランジスタを有する
図4に示されている読み出し回路6-1 がサブ画素毎に設けられている。サブ画素の行毎に、信号SEL, TG_RGB, TG_IR, RST 及び電位V_RGB が行の全てのサブ画素に伝えられてもよい。低基準電位GND を基準とするノードFDの電位をV_FDを称する。電極がノードFDに連結されて、他方の電極が低基準電位GND の電位源に連結されている不図示のコンデンサが設けられてもよい。変形例として、このコンデンサの役割を、ノードFDに存在する浮遊容量によって果たしてもよい。
【0064】
図5は、サブ画素のカラーフォトダイオード4 及び赤外フォトダイオード2 に関連付けられた読み出し回路6-2 の別の実施形態の簡略化された電気回路図を示す。読み出し回路6-2 は、転送トランジスタ72が設けられておらず、カソード電極22がフォロワとして組み立てられたトランジスタ60のゲートに直接連結されている点を除いて、
図4に示されている読み出し回路6-1 の全ての要素を有している。
【0065】
図6は、サブ画素のカラーフォトダイオード4 及び赤外フォトダイオード2 に関連付けられた読み出し回路6-3 の別の実施形態の簡略化された電気回路図を示す。読み出し回路6-3 は、
図4に示されている読み出し回路6-1 の全ての要素を有しており、導電性トラック68毎に演算増幅器76を更に有しており、演算増幅器76は、導電性トラック68に連結された反転入力(-) 、基準電位Vrefの電位源に連結された非反転入力(+) 、及びリセットトランジスタ70の電力端子の内の1つに与えられる電位Vrstを供給する出力を有している。演算増幅器76は、導電性トラック68に連結されたサブ画素の全てのリセットトランジスタ70に連結されてもよい。演算増幅器76は、リセットトランジスタ70の熱雑音を減らす又は抑制することができるフィードバックループを形成する。このような熱雑音は、相関二重サンプリング(CDS) を実行する読み出し法によって通常抑制される。
【0066】
図7は、サブ画素のカラーフォトダイオード4 及び赤外フォトダイオード2 に関連付けられた読み出し回路6-4 の別の実施形態の簡略化された電気回路図を示す。読み出し回路6-4 は、MOS 転送トランジスタ72が設けられていない点、カラーフォトダイオード4 のカソード電極22がフォロワとして組み立てられたトランジスタ60のゲートに連結されている点、及び読み出し回路6-4 が、2つの端子82, 84間にMOS 選択トランジスタ80と直列にフォロワ集合体のMOS トランジスタ78を更に有している点を除いて、
図4に示されている読み出し回路6-1 の全ての要素を有している。端子82は高基準電位VDD の電位源に連結されている。端子84は導電性トラック68に連結されている。MOS 選択トランジスタ80のゲートは、赤外フォトダイオード2 を選択するための信号SEL'を受信するように構成されている。トランジスタ78のゲートは、リセット電位Vrst' が与えられる端子にMOS リセットトランジスタ86によって連結されている。MOS リセットトランジスタ86のゲートは、リセット電位Vrst' を赤外フォトダイオード2 のカソードに与えることにより赤外フォトダイオード2 の再充電を可能にする赤外フォトダイオード2 のリセットを制御するための信号RST'を受信するように構成されている。MOS トランジスタ78のゲートは転送トランジスタ74に連結されている。
【0067】
図8は、サブ画素のカラーフォトダイオード4 及び赤外フォトダイオード2 に関連付けられた読み出し回路6-5 の別の実施形態の簡略化された電気回路図を示す。読み出し回路6-5 は、
図7に示されている読み出し回路6-4 の全ての要素を有しており、
図6に示されている読み出し回路6-3 の演算増幅器76を更に有しており、演算増幅器76は、導電性トラック68に連結された反転入力(-) 、基準電位Vrefの電位源に連結された非反転入力(+) 、及びリセットトランジスタ70, 86の電力端子の内の1つに与えられる電位Vrstを供給する出力を有している。
【0068】
図9は、サブ画素のカラーフォトダイオード4 及び赤外フォトダイオード2 に関連付けられた読み出し回路6-6 の別の実施形態の簡略化された電気回路図を示す。読み出し回路6-6 は、選択トランジスタ80が、導電性トラック68とは異なり電流源89に連結されている導電性トラック88に連結されている点を除いて、
図7に示されている読み出し回路6-4 の全ての要素を有している。従って、本実施形態では、カラーサブ画素及び赤外サブ画素は列に連結されていない。このため、カラー画素及び赤外画素に関して、特に方法の連続するステップの継続時間によって異なる読み出し法を実行することが可能である。
【0069】
一般に、リセット電位Vrst, Vrst' は全ての画素に共通であってもよい。そのため、電位Vrstは電位Vrst' と等しい。変形例として、リセット電位は、対応する画素が読み取られる列に応じて異なってもよい。
【0070】
図10は、
図4に示されている画像センサ6-1 の動作方法の実施形態中の二値信号RST, TG_IR, TG_RGB, SEL 及び電位V_RGB, V_FD のタイミング図である。動作サイクルの連続的な時点をt0からt9と称する。タイミング図は、読み出し回路6-1 のMOS トランジスタがNチャネルトランジスタであることを考慮して作成されている。
【0071】
時点t0で、信号SEL が低状態であるため、選択トランジスタ62はオフである。この動作サイクルはリセット段階を有する。このために、信号RST が高状態であるため、リセットトランジスタ70は導電性を有する。信号TG_IR が高状態であるため、転送トランジスタ74は導電性を有する。その後、赤外フォトダイオード2 に蓄積された電荷は電位源Vrstに向かって放出される。同様に、信号TG_RGBが高状態であるため、転送トランジスタ72は導電性を有する。カラーフォトダイオード4 は、電位源Vrstを介して電荷を注入することによって充電される。
【0072】
時点t1の直前に、電位V_RGB が低レベルに設定される。新しい動作サイクルの開始を示す時点t1で、信号TG_IR が低状態に設定されるため、転送トランジスタ74はオフになり、信号TG_RGBが低状態に設定されるため、転送トランジスタ72はオフになる。その後、統合段階が開始され、統合段階中に電荷がフォトダイオード2, 4で発生する。時点t1の直後に、信号RST が低状態に設定されるため、リセットトランジスタ70はオフになる。その後、電位V_FDは第1の値V1に設定される。時点t1と時点t2との間で、信号SEL が一時的に高状態に設定されるため、導電性トラック68の電位は記憶されているV1の値に達する。
【0073】
時点t2で、電位V_RGB が高レベルに設定されるため、カラーフォトダイオード4 での電荷の収集を停止する。時点t2と時点t3との間で、信号TG_IR が高状態に設定されるため、転送トランジスタ74は導電性を有する。その後、赤外フォトダイオード2 に蓄えられた電荷はノードFD に移され、ノードFDの電位V_FDは値V2に減少する。時点t3と時点t4との間で、信号SEL が一時的に高状態に設定されるため、導電性トラック68の電位は記憶されているV2の値に達する。値V2と値V1との差は、統合段階中に赤外フォトダイオード2 で収集される電荷の量を表す。
【0074】
時点t4と時点t5との間で、信号RST が高状態に設定されるため、リセットトランジスタ70は導電性を有する。その後、電位V_FDは値V3で実質的に安定する。時点t5と時点t6との間で、信号SEL が一時的に高状態に設定されるため、導電性トラック68の電位は記憶されているV3の値に達する。時点t6と時点t7との間で、信号TG_RGBが高状態に設定されるため、転送トランジスタ72は導電性を有する。その後、カラーフォトダイオード4 に蓄えられた電荷はノードFD に移され、ノードFDの電位V_FDは値V4に減少する。時点t7と時点t8との間で、信号SEL が一時的に高状態に設定されるため、導電性トラック68の電位は記憶されているV4の値に達する。値V4と値V3との差は、統合段階中にカラーフォトダイオード4 で収集される電荷の量を表す。時点t9 は動作サイクルの終了を示し、次の動作サイクルの時点t1に対応する。本実施形態では、赤外フォトダイオード2 の統合段階の継続時間が転送トランジスタ74によって制御される一方、カラーフォトダイオード4 の統合段階の継続時間が電位V_RGB によって制御される。本実施形態では、カラーフォトダイオード4 の統合段階は、赤外フォトダイオード2 の統合段階と同一の継続時間を有する。
【0075】
本実施形態により、全てのカラーフォトダイオードの統合段階を同時的に実行する、カラー画像の取得のためのグローバルシャッタタイプの読み出し法、及び全ての赤外フォトダイオードの統合段階を同時的に実行する、赤外線画像の取得のためのグローバルシャッタタイプの読み出し法を実行可能であることが有利である。
【0076】
図11は、
図5に示されている画像センサ6-1 の動作方法の別の実施形態中の二値信号RST, TG_IR, TG_RGB, SEL 及び電位V_RGB, V_FD のタイミング図である。
図10に示されているタイミング図と比較して、
図11の信号TG_IR は
図10の信号TG_RGBのように変化し、
図11には信号TG_RGBは存在しない。本実施形態では、赤外フォトダイオード2 の統合段階の継続時間が転送トランジスタ74によって制御される一方、カラーフォトダイオード4 の統合段階の継続時間が電位V_RGB によって制御される。このため、読み出しを2つのステップで実行する。カラーフォトダイオード4 の値を読み出す第1の読み出しステップを時点t3と時点t4との間で実行し、カラーフォトダイオード4 の値及び赤外フォトダイオード2 の値の合計を読み出す第2の読み出しステップを時点t7と時点t8との間で実行する。赤外フォトダイオード2 の値は、2つの読み取り値を減算することによって得られる。本実施形態では、カラーフォトダイオード4 の統合段階は、赤外フォトダイオード2 の統合段階より短い。本実施形態により、全てのカラーフォトダイオードの統合段階を同時的に実行する、カラー画像の取得のためのグローバルシャッタタイプの読み出し法、及び全ての赤外フォトダイオードの統合段階を同時的に実行する、赤外線画像の取得のためのグローバルシャッタタイプの読み出し法を実行可能であることが有利である。
【0077】
図12は、
図4に示されている画像センサ6-1 の動作方法の別の実施形態中の二値信号RST, TG_IR, TG_RGB, SEL 及び電位V_RGB, V_FD のタイミング図である。本動作サイクルは、電位V_RGB が、本実施形態では時点t1と時点t2との間の時点t1' まで低状態のままであるという点を除いて、
図10に示されている動作サイクルと同一の一連の段階を有する。
【0078】
本実施形態では、サブ画素毎に、赤外フォトダイオード2 の統合段階は時点t1から時点t2まで延びており、カラーフォトダイオード4 の統合段階は時点t1から時点t1' まで延びている。本実施形態により、赤外フォトダイオードの統合段階の継続時間が、カラーフォトダイオードの統合段階の継続時間と異なることが可能になる。更に、本実施形態により、カラー画像の取得のためにグローバルシャッタタイプの読み出し法、及び赤外線画像の取得のためにグローバルシャッタタイプの読み出し法を実行可能であることが有利である。
【0079】
図13は、第1及び第2の連続的な画素行を考慮した、
図9に示されている画像センサ6-6 の動作方法の別の実施形態中の信号RST'_1, RST'_2, RST_1, RST_2, SEL_1, SEL_2及び電位V_RGB_1, V_RGB_2のタイミング図であり、第1の行に関連付けられた信号及び電位は添え字「_1」を含み、第2の行に関連付けられた信号及び電位は添え字「_2」を含む。
【0080】
図13に示されているように、信号V_RGB_1, V_RGB_2は常に低状態に維持されている。信号TG_IR_1, TG_IR_2によって制御される2行の赤外フォトダイオードの統合段階は同時的に実行されるが、信号RST_1, SEL_1によって制御される第1の行のカラーフォトダイオードの統合段階は、信号RST_2, SEL_2によって制御される第2の行のカラーフォトダイオードの統合段階に対して経時的にシフトする。このため、赤外フォトダイオードのためのグローバルシャッタタイプの読み出し法、及び画素行の統合段階が互いに経時的にシフトする、カラーフォトダイオードのためのローリングシャッタタイプの読み出し法を実行することが可能になる。
【0081】
様々な実施形態及び変形例が述べられている。これらの様々な変更、調整及び改良のある特徴及び他の変形例が当業者に想起されることが理解される。特に、
図5~8に示されている読み出し回路は、
図2及び
図3に示されているサブ画素構造のいずれかと共に実装されてもよい。更に、
図9及び
図10に関連して前述したタイミング図は更に、
図5~8に示されている読み出し回路を用いて更に作成されてもよい。最後に、本明細書に記載されている実施形態及び変形例の実際の実施は、上記の機能的な記載に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0082】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれている仏国特許出願第19/02157 号明細書の優先権を主張している。