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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B60S1/62 110A
B60S1/62 110B
B60S1/62 110C
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021567107
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2020044548
(87)【国際公開番号】W WO2021131520
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2019238962
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019238963
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019238964
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 晃宜
(72)【発明者】
【氏名】蜂矢 泰士
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0202411(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0155001(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるセンサユニットであって、
LiDARと、
前記LiDARを収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記LiDARに対応する第一洗浄対象面へ空気を噴射する第一ノズルと、前記第一洗浄対象面へ洗浄液を噴射する第二ノズルと、を有するクリーナと、を備え、
前記第一ノズルは前記第二ノズルよりも上方に配置され、
前記第一ノズルからの前記空気の噴射方向は水平方向に平行な方向または前記水平方向よりも下向きの方向であり、
前記第二ノズルからの前記洗浄液の噴射方向は前記水平方向よりも上向きの方向である、センサユニット。
【請求項2】
前記第一ノズルおよび前記第二ノズルは、前記車両の内側から外側へ向かって前記空気および前記洗浄液を噴射するように、配置されている、請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記第一洗浄対象面は、横長矩形であって、前記第一洗浄対象面の短辺に沿って前記第一ノズルおよび前記第二ノズルが配置されている、請求項1または2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
車両に搭載されるセンサユニットであって、
LiDARと、
前記LiDARを収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記LiDARに対応する第一洗浄対象面へ空気を噴射する第一ノズルと、前記第一洗浄対象面へ洗浄液を噴射する第二ノズルと、を有するクリーナと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記第一ノズルおよび前記第二ノズルを保持する保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、前記第一ノズルからの前記空気の噴射方向と前記第二ノズルからの前記洗浄液の噴射方向とをそれぞれ位置決めするように構成され、
前記第一ノズルは、前記第二ノズルよりも上方に配置されるように、前記保持部材に取り付けられ、
前記第一ノズルは、前記空気の噴射方向が水平方向に平行な方向または前記水平方向よりも下向きの方向となるように、前記保持部材に取り付けられており、
前記第二ノズルは、前記洗浄液の噴射方向が前記水平方向よりも上向きの方向となるように、前記保持部材に取り付けられている、センサユニット。
【請求項5】
車両に搭載されるセンサユニットであって、
LiDARと、
前記LiDARを収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記LiDARに対応する第一洗浄対象面へ空気を噴射する第一ノズルと、前記第一洗浄対象面へ洗浄液を噴射する第二ノズルと、を有するクリーナと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記第一ノズルおよび前記第二ノズルを保持する保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、前記第一ノズルからの前記空気の噴射方向と前記第二ノズルからの前記洗浄液の噴射方向とをそれぞれ位置決めするように構成され、
前記保持部材は、前記第一ノズルから噴射される前記空気と前記第二ノズルから噴射される前記洗浄液とが前記車両の内側から外側へ向かって流れるように、前記ハウジングに取り付けられている、センサユニット。
【請求項6】
車両に搭載されるセンサユニットであって、
LiDARと、
前記LiDARを収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記LiDARに対応する第一洗浄対象面へ空気を噴射する第一ノズルと、前記第一洗浄対象面へ洗浄液を噴射する第二ノズルと、を有するクリーナと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記第一ノズルおよび前記第二ノズルを保持する保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、前記第一ノズルからの前記空気の噴射方向と前記第二ノズルからの前記洗浄液の噴射方向とをそれぞれ位置決めするように構成され、
前記第一洗浄対象面は、横長矩形であって、
前記保持部材は、前記第一洗浄対象面の短辺に沿って前記第一ノズルおよび前記第二ノズルが配置されるように、前記ハウジングに取り付けられている、センサユニット。
【請求項7】
前記クリーナは、前記短辺に沿って並列された複数の前記第一ノズルを含む、請求項3またはに記載のセンサユニット。
【請求項8】
前記LiDARの下方に配置されたカメラをさらに備え、
前記クリーナは、前記カメラに対応する第二洗浄対象面に対して前記空気および前記洗浄液の少なくとも一方を噴射可能な第三ノズルをさらに有している、請求項1からのいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項9】
車両に搭載されるセンサユニットであって、
LiDARと、
前記LiDARと、前記LiDARの下方に配置されたカメラとを収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記LiDARに対応する第一洗浄対象面へ空気を噴射する第一ノズルと、前記第一洗浄対象面へ洗浄液を噴射する第二ノズルと、前記カメラに対応する第二洗浄対象面に対して前記空気および前記洗浄液の少なくとも一方を噴射可能な第三ノズルとを有するクリーナと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記第一ノズルおよび前記第二ノズルを保持する保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、前記第一ノズルからの前記空気の噴射方向と前記第二ノズルからの前記洗浄液の噴射方向とをそれぞれ位置決めするように構成されている、センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は自動運転可能な車両の開発が試みられている。自動運転を実現するにあたっては、例えば、LiDARやカメラなどのセンサを利用して車両外部の情報を取得することが求められる。特許文献1には、車両に搭載されるセンサシステムであって、複数のLiDARがランプユニットに内蔵されている構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2018/051909号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようなセンサシステムにおいて、センサへの汚れ防止又は汚れ除去のためのクリーナからの洗浄媒体の噴射方向については改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、センサユニットに搭載されるLiDARに対して効率的な洗浄が可能なクリーナを備えたセンサユニットを提供することを目的とする。
【0006】
また、特許文献1に記載のようなユニットにおいて、センサ面への汚れ防止又は汚れ除去のために洗浄媒体をセンサ面へ対して噴射するノズルを備えたクリーナがユニットに搭載される場合がある。センサユニットに対するノズルの取り付け構造については改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明は、ハウジングに対する複数のノズルの容易な取り付けと位置決めが可能なセンサユニットを提供することを目的とする。
【0008】
さらに、特許文献1に記載のようなユニットにおいて、複数種のセンサが一体化される場合がある。複数種のセンサのうち、一のセンサから出射される光が他のセンサにより受光されると、当該他のセンサのセンシングに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、複数種のセンサが搭載された場合でも各センサのセンシングに及ぼす影響を抑制可能なセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一側面に係るセンサユニットは、
車両に搭載されるセンサユニットであって、
LiDARと、
前記LiDARを収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記LiDARに対応する第一洗浄対象面へ空気を噴射する第一ノズルと、前記第一洗浄対象面へ洗浄液を噴射する第二ノズルと、を有するクリーナと、を備え、
前記第一ノズルは前記第二ノズルよりも上方に配置され、
前記第一ノズルからの前記空気の噴射方向は水平方向に平行な方向または前記水平方向よりも下向きの方向であり、
前記第二ノズルからの前記洗浄液の噴射方向は前記水平方向よりも上向きの方向である。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一側面に係るセンサユニットは、
車両に搭載されるセンサユニットであって、
LiDARと、
前記LiDARを収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記LiDARに対応する第一洗浄対象面へ空気を噴射する第一ノズルと、前記第一洗浄対象面へ洗浄液を噴射する第二ノズルと、を有するクリーナと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記第一ノズルおよび前記第二ノズルを保持する保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、前記第一ノズルからの前記空気の噴射方向と前記第二ノズルからの前記洗浄液の噴射方向とをそれぞれ位置決めするように構成されている。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一側面に係るセンサユニットは、
車両に搭載されるセンサユニットであって、
LiDARと、
受光部を備えたカメラと、
前記LiDARおよび前記カメラを収容するハウジングと、
を備え、
前記カメラは、前記ハウジングの車両外観をなす意匠面の外部と前記受光部との間に配置されて、赤外光をカットする赤外光カットフィルタ機能を有する透過カバーを有している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサユニットに搭載されるLiDARに対して効率的な洗浄が可能なクリーナを備えたセンサユニットを提供することができる。
【0014】
また、本発明によれば、ハウジングに対する複数のノズルの容易な取り付けと位置決めが可能なセンサユニットを提供することができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、複数種のセンサが搭載された場合でも各センサのセンシングに及ぼす影響を抑制可能なセンサユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】センサシステムを搭載した車両の上面図である。
図2】センサシステムが組み込まれる車両システムのブロック図である。
図3】クリーナユニットのブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係るセンサユニットの斜視図である。
図5】センサユニットを前方から観察した分解斜視図である。
図6】センサユニットを構成する収納部材の分解斜視図である。
図7】センサユニットを後方から観察した分解斜視図である。
図8図7に示す部材を組み合わせた状態の図である。
図9】センサユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0018】
また、本発明の実施形態(以下、本実施形態と称す)の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0019】
図1は、本実施形態に係るセンサシステム100が搭載された車両1の上面図である。図2は、センサシステム100が組み込まれる車両システム2のブロック図である。車両1は、センサシステム100を備えている。本実施形態において、車両1は自動運転モードで走行可能な自動車である。
【0020】
まず、図2を参照して車両1の車両システム2について説明する。
図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、内部センサ5と、外部センサ6と、ランプ7と、HMI8(Human Machine Interface)と、GPS9(Global Positioning System)と、無線通信部10と、地図情報記憶部11とを備えている。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備えている。また、車両システム2の車両制御部3には、クリーナ制御部113とセンサ制御部115とを有するセンサシステム100が通信可能に接続されている。
【0021】
車両制御部3は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。車両制御部3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、各種車両制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種車両制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)とにより構成されている。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されるプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。
【0022】
内部センサ5は、自車両の情報を取得可能なセンサである。内部センサ5は、例えば、加速度センサ、速度センサ、車輪速センサ及びジャイロセンサ等の少なくとも一つである。内部センサ5は、車両1の走行状態を含む自車両の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。内部センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、車内に人がいるかどうかを検出する人感センサなどを備えていてもよい。
【0023】
外部センサ6は、自車両の外部の情報を取得可能なセンサである。外部センサは、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の少なくとも一つである。外部センサ6は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を含む自車両の外部の情報を取得し、該情報を車両制御部3及びセンサ制御部115に出力するように構成されている。あるいは、外部センサ6は、天候状態を検出する天候センサや車両1の周辺環境の照度を検出する照度センサなどを備えていてもよい。例えば、カメラは、 CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラは、可視光を検出するカメラや、赤外線を検出する赤外カメラである。レーダは、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等である。LiDARとは、Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Rangingの略語である。LiDARは、一般にその前方に非可視光を出射し、出射光と戻り光とに基づいて、物体までの距離、物体の方向、物体の形状、物体の材質、物体の色などの情報を取得するセンサである。
【0024】
ランプ7は、車両1の前部に設けられるヘッドランプやポジションランプ、車両1の後部に設けられるリヤコンビネーションランプ、車両の前部または側部に設けられるターンシグナルランプ、歩行者や他車両のドライバーに自車両の状況を知らせる各種ランプなどの少なくとも一つである。
【0025】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。
【0026】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車の走行情報を他車から受信すると共に、車両1の走行情報を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。地図情報記憶部11は、地図情報が記憶されたハードディスクドライブ等の外部記憶装置であって、地図情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0027】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0028】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0029】
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0030】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車が走行可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0031】
図1に戻り、車両1は、外部センサ6として、右前LiDAR6fr、左前LiDAR6fl、右後LiDAR6br、左後LiDAR6bl、右前カメラ6gr、左前カメラ6gl、右後カメラ6cr、左後カメラ6clを有している。右前LiDAR6fr、右前カメラ6gr、左前LiDAR6fl、および左前カメラ6glは、車両1の前方の情報を取得するように構成されている。右後LiDAR6br、右後カメラ6cr、左後LiDAR6bl、および左後カメラ6clは、車両1の後方の情報を取得するように構成されている。
【0032】
なお、図1に示す例では、LiDARとカメラは、車両1の前部と後部にそれぞれ2組ずつ設けられているが、例えば、車両1の前部の中央部と後部の中央部とにそれぞれ1組ずつ設けられるようにしてもよい。また、外部センサ6は、車両1の前部と後部に設けられているが、例えば、車両1の左右側部に設けられていてもよい。また、右前LiDAR6frと右前カメラ6grと左前LiDAR6flと左前カメラ6glは車両1の前部に設けられ、右後LiDAR6brと右後カメラ6crと左後LiDAR6blと左後カメラ6clは車両1の後部に設けられているが、本発明はこれに限られない。例えば、車両1の天井部に右前LiDAR6fr、右前カメラ6gr、左前LiDAR6fl、左前カメラ6gl、右後LiDAR6br、右後カメラ6cr、左後LiDAR6bl、および左後カメラ6clがまとめて配置されていてもよい。
【0033】
車両1は、ランプ7として、右ヘッドランプ7rと左ヘッドランプ7lを有している。右ヘッドランプ7rは車両1の前部のうちの右部に設けられ、左ヘッドランプ7lは車両1の前部のうちの左部に設けられている。
【0034】
車両1は、フロントウィンドウ1fと、リヤウィンドウ1bを有している。
【0035】
車両1に搭載されたセンサシステム100は、対象物に付着する水滴や泥や塵埃等の異物を除去、あるいは、対象物へ異物が付着することを防止するクリーナユニット110(図3で詳述する)を備えている。例えば、本実施形態において、クリーナユニット110は、フロントウィンドウ1fを洗浄可能な前ウィンドウウォッシャ(以降、前WWと称す)101と、リヤウィンドウ1bを洗浄可能な後ウィンドウウォッシャ(以降、後WWと称す)102を有する。クリーナユニット110は、右前LiDAR6frおよび右前カメラ6grを洗浄可能な右前センサクリーナ(以降、右前SCと称す)103と、左前LiDAR6flおよび左前カメラ6glを洗浄可能な左前センサクリーナ(以降、左前SCと称す)104を有する。クリーナユニット110は、右後LiDAR6brおよび右後カメラ6crを洗浄可能な右後センサクリーナ(以降、右後SCと称す)105と、左後LiDAR6blおよび左後カメラ6clを洗浄可能な左後センサクリーナ(以降、左後SCと称す)106を有する。クリーナユニット110は、右ヘッドランプ7rを洗浄可能な右ヘッドランプクリーナ(以降、右HCと称す)107と、左ヘッドランプ7lを洗浄可能な左ヘッドランプクリーナ(以降、左HCと称す)108を有する。各々のクリーナ101~108は一つ以上のノズルを有し、ノズルから洗浄液や空気等の洗浄媒体を対象物に向けて噴射する。
【0036】
図3は、センサシステム100が備えるクリーナユニット110のブロック図である。クリーナユニット110は、クリーナ101~108の他に、タンク111、ポンプ112、クリーナ制御部113を有している。
【0037】
前WW101、後WW102、右前SC103、左前SC104、右後SC105、左後SC106、右HC107、左HC108は、ポンプ112を介してタンク111に接続されている。ポンプ112はタンク111に貯留されている洗浄液を吸い込み、前WW101、後WW102、右前SC103、左前SC104、右後SC105、左後SC106、右HC107、左HC108に移送する。
【0038】
各々のクリーナ101~108には、ノズルを開状態にさせて洗浄液を洗浄対象物に噴射させるアクチュエータ(図示省略)が設けられている。各々のクリーナ101~108に設けられたアクチュエータは、クリーナ制御部113に電気的に接続されている。また、ポンプ112もクリーナ制御部113に電気的に接続されている。クリーナ101~108、ポンプ112等の動作は、クリーナ制御部113によって制御される。また、クリーナ制御部113は、車両制御部3に電気的に接続されている。クリーナ制御部113で取得された情報と車両制御部3で取得された情報とは相互間で送受信される。なお、本実施形態では、車両制御部3とクリーナ制御部113は、別個の構成として設けられているが、車両制御部3とクリーナ制御部113は一体的に構成されてもよい。
【0039】
図4は、本実施形態に係るセンサユニットを示す斜視図である。図5は、センサユニットを前方から観察した分解斜視図である。図6は、センサユニットのハウジング内に収納される収納部材の分解斜視図である。図7は、センサユニットを後方から観察した分解斜視図である。図8は、図7に示す各部材が組み合わされた状態を示す図である。
【0040】
本実施形態に係るセンサユニットは、LiDARやカメラ等のセンサと、センサを洗浄するクリーナとが一体化されたユニットとして構成されている。以下に示す例では、センサシステム100に含まれる複数のセンサユニットのうち、車両1の左前部に設けられる左前センサユニット120flについて説明する。なお、図1に示すように、車両1は、車両1の左前部に設けられる左前センサユニット120flのほかに、車両1の右前部に設けられる右前センサユニット120fr、右後部に設けられる右後センサユニット120br、左後部に設けられる左後センサユニット120blを有している。右前センサユニット120fr、右後センサユニット120br、左後センサユニット120blについては、左前センサユニット120flと同様の構成であるため説明を省略する。
【0041】
図4および図5に示すように、左前センサユニット120flは、ハウジング121と、左前LiDAR6flと、左前カメラ6glと、左前LiDARクリーナ104Aと、左前カメラクリーナ104Bと、を備えている。左前LiDARクリーナ104Aと左前カメラクリーナ104Bは、左前SC104を構成するクリーナである。
【0042】
ハウジング121は、例えば、合成樹脂製であり、略箱型形状に形成されている。ハウジング121は、前ケース121Aと、前ケース121Aの後部に取り付けられる後ケース121Bと、前ケース121Aの左側部に取り付けられるプレート121Cと、を有している。
【0043】
前ケース121Aの前面124(車両外観をなす意匠面)には上部開口部122と下部開口部123とが形成されている。上部開口部122は、前面124に設けられた凹部124aに形成されている。下部開口部123は、前面124に設けられた凹部124bに形成されている。上部開口部122は、下部開口部123よりも上方に形成されている。また、前ケース121Aの左側部には側部開口部127が形成されている。プレート121Cは、当該側部開口部127を覆うように前ケース121Aに取り付けられている。
【0044】
上部開口部122は、ハウジング121内に収容される左前LiDAR6flの前面領域が含まれる大きさに形成されている。上部開口部122は、左右方向に長い横長の矩形状に形成されている。例えば、上部開口部122は、上方から下方に向かうにつれて左右方向の幅が狭くなる横長の台形状に形成されている。下部開口部123は、ハウジング121内に収容される左前カメラ6glの前面領域が含まれる大きさに形成されている。下部開口部123は、例えば円形状に形成されている。
【0045】
前ケース121Aと後ケース121Bとプレート121Cとが組み合わされることで形成される空間内に左前LiDAR6flと左前カメラ6glとが収容されている。空間内において左前LiDAR6flは左前カメラ6glよりも上方に配置されている。
【0046】
前ケース121Aの凹部124aに形成されている上部開口部122には、当該上部開口部122を隙間なく覆うように、透過カバー125が取り付けられている。透過カバー125は、例えば、透明または半透明の合成樹脂で形成されている。透過カバー125は、左右方向に長い横長の矩形状に形成されている。例えば、透過カバー125は、上方から下方に向かうにつれて左右方向の幅が狭くなる横長の台形状に形成されている。また、透過カバー125は、ハウジング121内に収容されている左前LiDAR6flの光軸に直交する面に対して傾斜する方向へ延びるように取り付けられている。透過カバー125は、上方から下方に向かうにつれてハウジング121の奥側(後側)に向かって入り込むように傾斜して取り付けられている。透過カバー125は、上部開口部122を覆うことによって、左前LiDAR6flの前面領域も覆うように取り付けられている。透過カバー125は、左前LiDAR6flの前面領域を覆うように取り付けられることで、左前センサユニット120flの左前LiDAR6flに対応する洗浄対象面の一例として構成されている。
【0047】
前ケース121Aの凹部124bに形成されている下部開口部123には、当該下部開口部123を隙間なく覆うように、透過カバー126が取り付けられている。透過カバー126は、赤外光をカットする赤外光カットフィルタ機能を有している。透過カバー126は、例えば円形状に形成されている。透過カバー126は、下部開口部123を覆うことによって、ハウジング121内に収容されている左前カメラ6glの前面領域も覆うように取り付けられている。透過カバー126は、ハウジング121の車両外観を構成する前ケース121Aの前面124と左前カメラ6glの受光部との間に配置されている。透過カバー126は、左前カメラ6glの前面領域を覆うように取り付けられることで、左前センサユニット120flの左前カメラ6glに対応する洗浄対象面として構成されている。
【0048】
左前LiDARクリーナ104Aは、左前LiDAR6flに対応する洗浄対象面、すなわち左前LiDAR6flの前面領域を覆う透過カバー125を洗浄媒体により洗浄可能なクリーナである。左前カメラクリーナ104Bは、左前カメラ6glに対応する洗浄対象面、すなわち左前カメラ6glの前面領域を覆う透過カバー126を洗浄媒体により洗浄可能なクリーナである。
【0049】
図6から図8に示すように、ハウジング121内に収容される収納部材150には、左前LiDARクリーナ104Aと左前カメラクリーナ104Bの他に、ノズル保持部材151と、LiDAR保持部材152と、カメラ保持部材153などが含まれている。
【0050】
左前LiDARクリーナ104Aは、左前LiDAR6flに対応する洗浄対象面である透過カバー125へ向けて空気を噴射可能なエアノズル131,132(第一ノズルの一例)と、洗浄液を噴射可能な液ノズル133(第二ノズルの一例)と、を有している。
【0051】
エアノズル131は、空気を噴射するための噴射開口131aを有している。噴射開口131aには、エアノズル131から噴射される空気を拡散させるためのエアチップ134が取り付けられる。エアノズル132は、空気を噴射するための噴射開口132aを有している。噴射開口132aには、エアノズル132から噴射される空気を拡散させるためのエアチップ135が取り付けられる。
【0052】
液ノズル133は、洗浄液を噴射するための噴射開口133aを有している。液ノズル133には、洗浄液を液ノズル133へ送り込むための連結部136が連結される。連結部136には、開口部136aが形成されている。開口部136aには、液ノズル133から噴射される洗浄液を拡散させるための液チップ137が取り付けられる。液チップ137は、連結部136の開口部136aに取り付けられ、当該連結部136が液ノズル133に連結されることにより、液ノズル133の噴射開口133a内に収納される。例えば、液ノズル133は、ノズル内部を流れる流体を互いに干渉させることにより流体の噴射方向を変化させるフルイディクス式ノズル(揺動噴射ノズル)であってもよい。
【0053】
ノズル保持部材151は、エアノズル131,132および液ノズル133を保持する部材である。ノズル保持部材151には、エアノズル131を保持するための保持孔151aと、エアノズル132を保持するための保持孔151bと、液ノズル133を保持するための保持孔151cとが形成されている。ノズル保持部材151は、例えばビス止めによって前ケース121Aに固定される。前ケース121Aには、エアノズル131を保持するための保持溝161と、エアノズル132を保持するための保持溝162と、液ノズル133を保持するための保持溝163とが形成されている(図7参照)。
【0054】
エアノズル131,132および液ノズル133は、保持孔151a,151b,151cと、保持溝161,162,163とにそれぞれ保持されることにより、各ノズルの噴射開口131a,132a,133aが所定の方向となるように位置決めされる。位置決めされたエアノズル131,132および液ノズル133は、ノズル保持部材151が前ケース121Aに固定されることにより、洗浄対象面である透過カバー125に対するエアノズル131,132からの空気の噴射方向と、液ノズル133からの洗浄液の噴射方向とが決定される。
【0055】
左前カメラクリーナ104Bは、左前カメラ6glに対応する洗浄対象面である透過カバー126へ向けて空気を噴射可能なエアノズル141(第三ノズルの一例)を有している。エアノズル141は、空気を噴射するための噴射開口141aを有している。噴射開口141aには、エアノズル141から噴射される空気を拡散させるためのエアチップ142が取り付けられる。
【0056】
なお、本実施形態では、左前カメラ6glに対応する洗浄対象面である透過カバー126に洗浄媒体を噴射するノズルとして、空気を噴射可能なエアノズルを設けているが、これに限られない。例えば、当該ノズルとして、洗浄液を噴射可能な液ノズル、あるいは洗浄液と空気とを選択的に噴射可能な気液ノズルを設けるようにしてもよい。
【0057】
LiDAR保持部材152は、左前LiDAR6flを保持する部材である。LiDAR保持部材152は、例えばビス止めによって前ケース121Aに取り付けられる。LiDAR保持部材152が前ケース121Aに取り付けられることにより、左前LiDAR6flが後側からLiDAR保持部材152によって保持されるとともに、前ケース121Aに対して固定される。
【0058】
カメラ保持部材153は、左前カメラ6glを保持する部材であり、上側保持部材153aと下側保持部材153bを有している。上側保持部材153aは、下側保持部材153bに例えばビス止めされることによって、左前カメラ6glを上側から保持する。下側保持部材153bは、上側保持部材153aが下側保持部材153bにビス止めされることによって、左前カメラ6glを下側から保持する。下側保持部材153bは、例えばビス止めによって前ケース121Aに取り付けられる。下側保持部材153bが前ケース121Aに取り付けられることにより、左前カメラ6glが前ケース121Aに対して固定される。
【0059】
なお、図示を省略するが、左前LiDARクリーナ104Aと左前カメラクリーナ104Bは、クリーナ制御部113に電気的に接続されている。また、左前LiDARクリーナ104Aのエアノズル131,132は、ホースを介して、高圧空気を送出することが可能な高圧空気供給装置、あるいは空気を連続的に送風することが可能なエアブロアに接続されている。左前LiDARクリーナ104Aの液ノズル133は、ホースを介して、タンク111内の洗浄液を移送することが可能なポンプ112に接続されている。左前カメラクリーナ104Bのエアノズル141は、左前LiDARクリーナ104Aのエアノズル131,132と同様に、ホースを介して高圧空気供給装置あるいはエアブロアに接続されている。左前LiDARクリーナ104Aおよび左前カメラクリーナ104Bの動作は、クリーナ制御部113によって制御される。クリーナ制御部113は、例えば、センサ制御部115によって判定される洗浄対象面(透過カバー125,126)の汚れ状態情報に基づいて、左前LiDARクリーナ104Aと左前カメラクリーナ104Bを作動させ、当該洗浄対象面を洗浄する。
【0060】
また、左前LiDAR6flと左前カメラ6glはセンサ制御部115に電気的に接続されている。左前LiDAR6flおよび左前カメラ6glの動作は、センサ制御部115によって制御される。センサ制御部115は、左前LiDAR6flによって取得される車両周囲の対象物に関する距離情報や方向情報等を左前LiDAR6flから受信する。また、センサ制御部115は、左前カメラ6glによって取得される車両周囲の対象物に関する画像情報や距離情報等を左前カメラ6glから受信する。センサ制御部115は、左前LiDAR6flおよび左前カメラ6glから受信した各情報に基づいて、左前LiDAR6flに対応する洗浄対象面である透過カバー125および左前カメラ6glに対応する洗浄対象面である透過カバー126の汚れ状態を判定する。センサ制御部115は、ハウジング121の外部に設けられてもよいし、あるいはハウジング121内部に設けられてもよい。
【0061】
また、センサ制御部115はクリーナ制御部113に電気的に接続されている。センサ制御部115で取得された情報とクリーナ制御部113で取得された情報とは相互間で送受信される。また、センサ制御部115は車両制御部3に電気的に接続されている。センサ制御部115で取得された情報と車両制御部3で取得された情報とは相互間で送受信される。本実施形態では、クリーナ制御部113とセンサ制御部115と車両制御部3とは、別個の構成として設けられているが、クリーナ制御部113とセンサ制御部115と車両制御部3は一体的に構成されてもよい。また、これらの制御部のうち一部の制御部が一体的に構成されてもよい。
【0062】
図9は、左前センサユニット120flの正面図である。図9に示すように、前ケース121Aの右上側部内には、左前LiDAR6flに対応する洗浄対象面である透過カバー125を洗浄するためのエアノズル131,132と液ノズル133とが設けられている。エアノズル131,132と液ノズル133は、横長矩形状である透過カバー125の右側短辺125aに沿って上下方向に並列されている。エアノズル131,132は、液ノズル133よりも上方に配置されている。図9に示す例では、エアノズル131が最上部に配置され、エアノズル132がエアノズル131の下側に配置され、液ノズル133がエアノズル132の下側である最下部に配置されている。なお、本実施形態では、エアノズルとして2個のエアノズル131と132を設けているが、エアノズルの数はこれに限られない。エアノズルの数は、例えば1個であってもよいし、3個以上であってもよい。また、液ノズル133の数は2個以上であってもよい。
【0063】
エアノズル131,132と液ノズル133は、洗浄媒体(空気と洗浄液)を左前センサユニット120flの右側から左側へ向けて噴射するように設けられている。すなわち、エアノズル131,132と液ノズル133は、洗浄媒体を車両1の内側(中央側)から外側(側部側)へ向けて噴射するように設けられている。
【0064】
エアノズル131は、エアノズル131から噴射される空気の噴射方向が、矢印Aで示されるような水平方向よりもやや下向きの方向となるように設けられている。エアノズル132は、エアノズル132から噴射される空気の噴射方向が、矢印Bで示されるような水平方向に平行な方向となるように設けられている。液ノズル133は、液ノズル133から噴射される洗浄液の噴射方向が、矢印Cで示されるような水平方向よりも上向きの方向となるように設けられている。
【0065】
また、前ケース121Aの中央下部内には、左前カメラ6glに対応する洗浄対象面である透過カバー126を洗浄するためのエアノズル141が設けられている。エアノズル141は、円形状である透過カバー126の上側に配置されている。エアノズル141は、エアノズル141から噴射される空気の噴射方向が、矢印Dで示されるように、透過カバー126の略中央部となるように設けられている。なお、エアノズル141が配置される箇所は、透過カバー126の上側に限定されず、例えば透過カバー126の側部(左前カメラ6glの場合は右側)であってもよい。
【0066】
以上説明したように本実施形態の左前センサユニット120flは、左前LiDAR6flと、左前LiDAR6flを収容するハウジング121と、ハウジング121に取り付けられて、左前LiDAR6flに対応する洗浄対象面(第一洗浄対象面の一例)である透過カバー125へ空気を噴射するエアノズル131,132と、透過カバー125へ洗浄液を噴射する液ノズル133と、を有する左前LiDARクリーナ104Aとを備えている。そして、エアノズル131,132は液ノズル133よりも上方に配置され、エアノズル131,132からの空気の噴射方向は水平方向に平行な方向または水平方向よりも下向きの方向であり、液ノズル133からの洗浄液の噴射方向は水平方向よりも上向きの方向である。ノズルから噴射される洗浄媒体が空気の場合と洗浄液の場合とでは、空気の場合の方が洗浄液の場合よりも走行風や重力などの影響を受けやすい。このため、例えば、洗浄媒体を所定のポイントに噴射させようとする場合、走行風や重力に反して洗浄液を下方から上方向に噴射させる方が、空気を下方から上方向に噴射させるよりも正確に噴射させることができる。したがって、上記構成のように、空気を噴射するエアノズル131,132を、洗浄液を噴射する液ノズル133よりも上方に配置し、エアノズル131,132から噴射される空気の噴射方向を水平または水平よりも下向きの方向として、液ノズル133から噴射される洗浄液の噴射方向を水平よりも上向きの方向とすることで、透過カバー125に対して空気を適切に噴射させることができる。よって、左前センサユニット120flによれば、左前センサユニット120flに搭載されている左前LiDAR6flに対して効率的な洗浄が可能である。
【0067】
本実施形態において、左前センサユニット120flは、ハウジング121に取り付けられて、エアノズル131,132および液ノズル133を保持するノズル保持部材151をさらに備えている。そして、ノズル保持部材151は、エアノズル131,132からの空気の噴射方向と液ノズル133からの洗浄液の噴射方向とをそれぞれ位置決めするように構成されている。この構成によれば、エアノズル131,132および液ノズル133をノズル保持部材151の保持孔151a,151b,151cにそれぞれ挿通させ、当該ノズル保持部材151を前ケース121Aに固定することにより各ノズルを所定の向きに取り付けることができる。よって、ハウジング121に対する複数のノズルの容易な取り付けと容易な位置決めが可能である。
【0068】
本実施形態において、ノズル保持部材151は、エアノズル131,132から噴射される空気と液ノズル133から噴射される洗浄液とが車両1の内側(中央側)から外側(側部側)へ向かって流れるように、ハウジング121に取り付けられている。この構成によれば、走行風に逆らわないような噴射方向に空気や洗浄液を噴射できるため、洗浄効果を向上させることができる。
【0069】
本実施形態において、左前LiDAR6flに対応する洗浄対象面である透過カバー125は、横長矩形状に形成され、ノズル保持部材151は透過カバー125の右側短辺125aに沿ってエアノズル131,132および液ノズル133が配置されるようにハウジング121に取り付けられている。1つのノズルから洗浄媒体を噴射する場合、通常、上下方向よりも前方向の方が広い領域に洗浄媒体を噴射することが可能である。したがって、上記構成のように、横長矩形状の透過カバー125に対してエアノズル131,132および液ノズル133を短辺に沿って配置させることにより、これらのノズルを透過カバー125の長辺に沿って配置させる場合よりも、左前センサユニット120flに搭載するノズルの数を削減させることができる。
【0070】
本実施形態においては、透過カバー125の右側短辺125aに沿って複数のエアノズル(例えばエアノズル131と132の2個)が並列されている。この構成によれば、複数のエアノズルによって透過カバー125を洗浄することができるので、空気による洗浄効果を高めることができる。このため、単数のエアノズルから噴射される空気だけでは洗浄しきれない汚れを複数のエアノズルから噴射される空気によって洗浄することが可能であり、且つ、液ノズル133による洗浄回数を低減することができ、洗浄液の節水を図ることができる。
【0071】
本実施形態においては、左前LiDAR6flの下方に配置された左前カメラ6glをさらに備え、左前カメラクリーナ104Bは、左前カメラ6glに対応する洗浄対象面(第二洗浄対象面の一例)である透過カバー126に対して空気を噴射可能なエアノズル141を有している。この構成によれば、左前LiDAR6flと左前カメラ6glとが一体化された左前センサユニット120flに対して、効率的な洗浄を行うことができる。すなわち、左前カメラ6glの透過カバー126を洗浄する機能を備えることで、透過カバー126に付着した汚れを除去または透過カバー126への汚れの付着を防止することができる。これにより、左前カメラ6glによって取得される撮像画像へ及ぼす汚れの悪影響を抑制することができる。
【0072】
本実施形態において、左前カメラ6glは、ハウジング121の車両外観をなす意匠面(前面124)と左前カメラ6glの受光部との間に配置されて、赤外光をカットする赤外光カットフィルタ機能を有する透過カバー126を有している。この構成によれば、一つのハウジング121内に左前LiDAR6flと左前カメラ6glとを近接して配置した場合であっても、左前LiDAR6flから出射された赤外光の反射光が左前カメラ6glの受光部に入ることを透過カバー126によって防止することができる。これにより、左前カメラ6glによって取得される撮像画像へ左前LiDAR6flからの赤外光の悪影響が及ぶのを抑制することができる。
【0073】
本実施形態において、透過カバー126は、意匠面(前面124)に形成された凹部124bに配置されている。この構成によれば、左前カメラ6glの前面領域を覆う透過カバー126が奥に引っ込んだ状態で設けられているので、左前カメラ6glと左前LiDAR6flとが同じハウジング121内に近接して配置されていても、左前LiDAR6flから出射された赤外光が左前カメラ6glの受光部に直接入射することを防止することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0075】
上述した実施形態では、左前センサユニット120flを自動運転可能な車両に搭載した例を説明したが、左前センサユニット120flは自動運転不可能な車両に搭載してもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、左前センサユニット120flにおいて左前LiDAR6flを上方に配置させ、左前カメラ6glを左前LiDAR6flの下方に配置させているが、この例に限られない。例えば、左前カメラ6glを上方に配置させ、左前LiDAR6flを左前カメラ6glの下方に配置させるようにしてもよい。
【0077】
また、左前LiDAR6flの液ノズル133から噴射される洗浄液は、水、あるいは洗剤を含む。フロント・リヤウィンドウ1f,1b、ヘッドランプ7l,7r、LiDAR6fl,6fr,6bl,6br、カメラ6gl,6gr,6cl,6crのそれぞれに噴射される洗浄媒体は、相異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0078】
本出願は、2019年12月27日出願の日本特許出願2019-238962号、2019年12月27日出願の日本特許出願2019-238963号及び2019年12月27日出願の日本特許出願2019-238964号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9