(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】契約管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/1053 20230101AFI20240510BHJP
【FI】
G06Q10/1053
(21)【出願番号】P 2022073516
(22)【出願日】2022-04-27
【審査請求日】2023-02-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年5月26日付けで提出された「発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書」の「別紙」に記載の行為で公開
(73)【特許権者】
【識別番号】509190820
【氏名又は名称】株式会社ファイブグループ
(74)【代理人】
【識別番号】100139206
【氏名又は名称】戸塚 朋之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 憲史
(72)【発明者】
【氏名】家中 慶太
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045691(JP,A)
【文献】特開2020-173541(JP,A)
【文献】特開2012-104079(JP,A)
【文献】特開2003-157316(JP,A)
【文献】特開2002-334188(JP,A)
【文献】ジョブカン労務HR、「書類作成機能」で書類作成工数の大幅削減を可能に,[online],株式会社DONUTS,2021年11月29日,[令和5年12月27日検索],インターネット<URL:https://www.donuts.ne.jp/news/2021/1129_jobcanlms/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有期雇用の雇用形態の被雇用者を採用する雇用者において使用されるものであって、
被雇用者の情報が記憶されるデータベースと、
契約更新のために設定される情報が記憶される更新情報記憶部と、
更新契約書作成時に、変数を含むテキストデータによる契約書ひな形を基に、前記変数を前記データベースに記憶された情報および前記更新情報記憶部に記憶された情報により書き換えて契約書を作成する
ものであって、同じ変数に対して前記データベースに記憶された情報と前記更新情報記憶部に記憶された情報がある場合、前記更新情報記憶部に記憶された情報を使用して契約書を作成する契約書作成部と、
指定されたタイミングで前記データベースに記憶された情報を前記更新情報記憶部に記憶された情報により書き換える情報書き換え制御部とを有することを特徴とする契約管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被雇用者の雇用手続き、労務管理などを支援するための契約管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
雇用主が被雇用者を雇用する際には雇用契約を締結する必要がある。書面による雇用契約を締結する煩雑さを軽減するために、特許文献1(特開2018-173718号公報)に示されているような雇用契約管理システムが提案されている。
【0003】
この雇用契約管理システムは、被雇用者側の情報端末および雇用主側の情報端末が通信網を介して、雇用契約管理装置に接続されて構成されている。雇用契約管理装置は、被雇用者登録部、被雇用者データベース、契約書作成部、契約書データベース、マイナンバー取得部マイナンバーデータベース、管理制御部を有している。そして、被雇用者登録部に、被雇用者登録部に被雇用者から取得した被雇用者の情報を登録し、契約書作成部は、被雇用者からの入力を受け付けて雇用契約書を作成し、契約書DBが契約書を記憶するようになっている。
【0004】
特許文献2(特開2020-135090号公報)には、契約書に記載された契約当事者本人が当該契約を本当に結んだものであるかどうか確認できる端末、プログラム、情報処理システム、及び情報処理方法が示されている。
【0005】
この発明による端末は、情報を表示するディスプレイと、ディスプレイに契約書を表示させ、ディスプレイに表示された契約書の表示画面と、ディスプレイに表示された当該契約書を確認している及び/または当該契約書に記入している一方当事者を撮影手段による撮影により得られた映像データとを関連付けて記憶デバイスに蓄積させるプロセッサとを備える。記憶デバイスは、プロセッサが読み出して実行するためのプログラムおよび各種のデータが格納されており、プロセッサは、記憶デバイスからプログラムをメモリにロードし、プログラムに含まれる一連の命令を実行する。情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、コンピュータが所定のプログラムを実行することによりサーバの少なくとも1つの手段として機能が実現されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-173718号公報
【文献】特開2020-135090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような従来の契約管理システムは、無期雇用の被雇用者との雇用契約を1回だけ締結し、契約書を保存する場合に適しているが、近年、定期的な契約更新を行なう必要のある契約社員、アルバイトなどが幅広い業種で働いており、このような有期雇用の被雇用者との雇用契約管理には適していない。
【0008】
したがって、このような有期雇用の被雇用者との雇用契約更新にも対応可能な契約管理システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による契約管理システムは、有期雇用の雇用形態の被雇用者を採用する雇用者において使用されるものであって、被雇用者の情報が記憶されるデータベースと、契約更新のために設定される情報が記憶される更新情報記憶部と、変数を含むテキストデータによる契約書ひな形を基に、更新情報記憶部に記憶された情報を優先して、変数をデータベースに記憶された情報および更新情報記憶部に記憶された情報により書き換えて契約書を作成する契約書作成部と、指定されたタイミングでデータベースに記憶された情報を更新情報記憶部に記憶された情報により書き換える情報書き換え制御部とを有することを特徴とする。
【0010】
このような構成としたことにより、更新契約書が契約期間満了前に被雇用者に提示される時点で、雇用契約書が基づくべき情報とデータベースに記憶された情報とを異ならせることが可能となり、従業員に関わる情報および雇用契約双方の適切な管理が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有期雇用の被雇用者との雇用契約の更新に適した契約管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による契約管理システムが関係する機器の例を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態による契約管理システムを示す概略構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態による契約管理システムのデータベースに記憶される情報を示す説明図である。
【
図4】本発明の一実施形態による契約管理システムにおける入社手続きの流れを示す説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態による契約管理システムにおける契約更新の流れを示す説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態による契約管理システムにおけるマイカー通勤誓約書取得の流れを示す説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図8】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図10】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図11】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図12】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の画面で示す説明図である。
【
図13】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図14】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図15】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図16】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図17】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図18】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図19】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図20】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図21】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図22】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図23】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図24】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図25】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図26】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図27】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図28】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図29】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図30】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図31】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける入社手続きのための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図32】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける事前登録をして入社手続きを行わせるための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図33】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける事前登録をして入社手続きを行わせるための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図34】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおけるマイページへのURLリンクを設定するための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図35】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおけるマイページへのURLリンクを設定するための手順を管理端末の表示画面で示す説明図である。
【
図36】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおけるマイページへアクセスするための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図37】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおけるマイページへアクセスするための手順を被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図38】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける「LINE友達」登録から「LINE」連携までの流れを被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図39】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける「LINE友達」登録から「LINE」連携までの流れを被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【
図40】本発明の一実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムにおける「LINE友達」登録から「LINE」連携までの流れを被雇用者端末の表示画面で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による契約管理システムは、たとえば無期雇用の正社員の他、多くの契約社員、アルバイトなどの有期雇用の被雇用者が勤務する業種における使用に適したものである。これらの有期雇用の被雇用者との雇用契約において、定期的な更新が行われる。
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による契約管理システムの構成を説明する。
図1において、本実施形態による契約管理システムは、管理端末1により構成される、あるいはこれに通信回線を介して接続されるクラウド2との組み合わせで構成される。この管理端末1は、被雇用者が所持する被雇用者端末3と無線通信回線を介して通信可能となっている。
【0015】
管理端末1は、たとえば企業の本部の人事部に設置されたパーソナルコンピュータなどのコンピュータである。被雇用者端末3は、飲食業、小売業などの店舗に勤務する被雇用者によって最も頻繁に使用されている携帯情報端末であり、たとえばスマートフォンである。以下の実施形態において、店舗に勤務する被雇用者を対象とする場合について説明するが、店舗での勤務に限らず、家庭教師、オフィスで勤務する有期雇用の事務員など、幅広い職種の有期雇用の被雇用者も対象とすることができる。
管理端末1は、コンピュータであるので、演算部、記憶部、および送受信部を備える。管理端末1がクラウド2と接続されている場合、演算部、記憶部、および送受信部は、管理端末1あるいはクラウド2、または双方に備えられたものを適宜利用できる。各被雇用者にそれぞれ割り当てられる別個のマイページは、管理端末1あるいはクラウド2のいずれか、または双方に記憶される。
【0016】
図2において、契約管理システム20は、被雇用者の情報が記憶されるデータベース21、契約更新のために設定される情報が記憶される更新情報記憶部22、変数を含むテキストデータによる契約書ひな形を基に電子ファイルによる契約書23を作成する契約書作成部24、およびデータベース21に記憶された情報を更新情報記憶部22に記憶された情報により書き換える情報書き換え制御部25を有する。契約書作成部24は、変数を含むテキストデータによる契約書ひな形を基に契約書23を作成するよう構成されており、変数をデータベース21あるいは更新情報記憶部22に記憶された情報で置き換えて契約書23を作成するようになっている。
【0017】
契約管理システム20は、管理端末1あるいはクラウド2、または双方に備えられたコンピュータの構成要素を適宜利用して実現される。また、データベース21および更新情報記憶部22に記憶される個人情報は、各被雇用者にそれぞれ割り当てられる別個のマイページ単位で管理される。
【0018】
本実施形態による契約管理システム20は、後述する人材管理システムの一部として構成することができる。
図3に示すように、各被雇用者について、本部の人事担当者により管理端末1から[1]事前登録された「所属先、雇用形態、給与など」、被雇用者端末3から[2]取得された従業員情報「氏名/住所/連絡先、身分証、緊急連絡先など」、[3]更新される従業員情報「労働契約期間、店舗統合異動など」、[4]閲覧資料「URLリンク、PDF文書、動画など」、[5]契約書類「雇用契約書、誓約書、借用書など」、および[6]電子サインが、データベース21に記憶されるようになっている。
【0019】
図4を参照して、社員の入社手続きを説明する。この入社手続きは、無期雇用の被雇用者(正社員)および有期雇用の被雇用者(契約社員、アルバイトなど)で共通である。
図4において、雇用者の人事担当者が、管理端末1を使用して、従業員情報「所属先:A店、雇用形態:社員、給与:基本給20万円」を事前登録する。管理端末1から被雇用者端末3に「対象者専用URL」を電子メールまたはLINEで送る。被雇用者は、被雇用者端末3を使用して、「活動報告サイト、注意事項PDF、コンプライアンス動画」を閲覧する。
【0020】
契約管理システム20において、[1]事前登録された「所属先、雇用形態、給与など」、および被雇用者端末3から取得された[2]従業員情報「氏名/住所/連絡先、身分証、緊急連絡先など」は、データベース21に記憶される。契約書作成部24は,これらの情報に基づいて契約書23を作成する。人事担当者は、管理端末1において、契約書23が上記の[1]、[2]の情報を反映したものになっていることを確認し、被雇用者端末3に送信する。被雇用者は、被雇用者端末3に送られた契約書23を確認し電子サインを行なう。この締結書類のPDFファイルを被雇用者端末3に送信するとともに、データベース21に[1]の労働条件情報、[2]の個人情報が記憶され、かつ[5]の締結書類PDFファイルが記憶される。
【0021】
次に、アルバイトの雇用契約更新手続きを、
図5を参照して説明する。
図5において、[3]雇用者の人事担当者が、管理者端末1において、新しい「雇用契約期間」、たとえば「2022年4月1日から2022年9月30日」を入力する。この入力は、次の雇用契約期間の始期、2022年4月1日に先立って、たとえば2022年2月28日に行われ、管理端末1から被雇用者端末3に「対象者専用URL」を電子メールまたはLINEで送られる。被雇用者は、被雇用者端末3を使用して、「活動報告サイト、注意事項PDF、コンプライアンス動画」を閲覧する。
【0022】
契約管理システム20において、[1]事前登録された「所属先、雇用形態、給与など」、被雇用者端末3から[2]取得された従業員情報「氏名/住所/連絡先、身分証、緊急連絡先など」は、データベース21に記憶される。2022年2月28日の時点で、データベース21に記憶された「雇用契約期間」は、その時点での契約期間、たとえば「2021年9月1日から2022年3月31日」である。一方、新しい雇用契約期間「2022年4月1日から2022年9月30日」は、更新情報記憶部22に記憶される。
【0023】
契約書作成部24は,データベース21に記憶された情報および更新情報記憶部22に記憶された情報に基づいて契約書23を作成するが、更新情報記憶部22に記憶されている情報を優先して、新しい雇用契約期間「2022年4月1日から2022年9月30日」を使用して契約書23を作成する。
【0024】
人事担当者は、管理端末1において、契約書23が上記の情報を反映したものになっていることを確認し、被雇用者端末3に送信する。被雇用者は、被雇用者端末3に送られた契約書23を確認し電子サインを行なう。この締結書類のPDFファイルを被雇用者端末3に送信するとともに、データベース21に[5]の締結書類PDFファイルが記憶される。なお、情報書き換え制御部25は、指定されたタイミングでデータベース21に記憶された情報を更新情報記憶部22に記憶された情報により書き換える。
【0025】
たとえば、契約管理システム20と給与支払いシステムが連携していて、2022年4月1日付けで昇給が行われる場合、2022年3月31日までは、更新情報記憶部22に記憶された2022年4月1日以降の給与情報により、データベース21の雇用契約期間情報および給与情報を書き換えないことが必要である。そこで、情報書き換え制御部25は、指定されたタイミングであるたとえば2022年4月1日に、更新情報記憶部22に記憶された情報でデータベース21の情報を書き換えるようにする。この書き換えのタイミングは、必要に応じて任意の日時に設定できるようになっている。
【0026】
更新情報記憶部22に記憶される情報は、雇用契約期間、給与、配属店舗など、契約更新後の雇用契約の内容のうち締結の時点でデータベース21の情報を書き換えないものとして選択される。被雇用者の住所、連絡先などについての更新される情報は、被雇用者端末3から取得され次第、即時にデータベース21に記憶するようにしてもよい。
【0027】
このように、更新契約書が契約期間満了前に被雇用者に提示される時点で、雇用契約書が基づくべき情報とデータベースに記憶された情報とを異ならせることが可能となり、データベース中の従業員情報および雇用契約双方の適切な管理が可能となる。
【0028】
図6を参照して、誓約書の一例として、マイカー通勤誓約書の手続きを説明する。本実施形態では、誓約書その他の書類も、雇用契約書と同様、名称に関わらず契約書として契約管理システムで管理する。
図6において、誓約書ひな形として、たとえば「車両No.、車両保険証番号、車検証情報」などの変数を含むテキストファイルとして誓約書ひな形がデータベース21に記憶されている。人事担当者は、[2]従業員から取得すべき情報「車両No.、車両保険証番号、車検証情報」を、管理端末1で設定する。管理端末1は、被雇用者端末3に「対象者専用URL」を電子メールまたはLINEで送る。
【0029】
被雇用者は、被雇用者端末3を使用して、「車両No.、車両保険証番号、車検証情報」を管理端末1に送る。また、被雇用者は、被雇用者端末3を使用して、「注意事項PDF」を閲覧する。契約書作成部24は、データベース21に記憶された誓約書ひな形、および[2]従業員から取得した情報「車両No.、車両保険証番号、車検証情報」に基づいて誓約書(契約書23)を作成する。
【0030】
人事担当者は、管理端末1において、誓約書(契約書23)が上記の[2]の情報を反映したものになっていることを確認し、被雇用者端末3に送信する。被雇用者は、被雇用者端末3に送られた誓約書を確認し電子サインを行なう。この締結書類のPDFファイルを被雇用者端末3に送信するとともに、データベース21に、[5]の締結書類のPDFファイルを記憶する。
【0031】
マイカー通勤誓約書の更新の場合、更新される情報は、更新情報記憶部22に記憶される。契約書作成部24は,データベース21に記憶された情報および更新情報記憶部22に記憶された情報に基づいて誓約書(契約書23)を作成するが、更新情報記憶部22に記憶されている情報を優先して、更新された内容の誓約書(契約書23)を作成する。情報書き換え制御部25は、指定されたタイミングで、更新情報記憶部22に記憶された情報でデータベース21の情報を書き換える。
【0032】
本実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムでは、被雇用者によって最も頻繁に使用されているコミュニケーションツールとして、「LINE」アプリケーションを使用する。スマートフォンにおいて、「LINE」アプリケーションのアカウントを新規登録するためには、スマートフォンのオペレーティングシステムによって決まる所定の「アプリストア」から「LINE」アプリケーションをダウンロードし、端末の電話番号を入力する。そして、認証番号が端末のSMSに送られて、この認証番号を入力することにより、アカウントの登録がなされる仕組みとなっている。
【0033】
このように電話番号に紐づけられた「LINE」アカウントを使用して人材管理システムにアクセスするようにすれば、IDおよびパスワードを使用することなく、個人認証を行うことができ、個人情報を適切に保護することができる。
【0034】
被雇用者の入社手続きのため、管理端末1において以下の手順の操作を行なう。
1)取得したい従業員情報の設定をする
手続き管理>手続き>手続き作成(従業員情報取得)
2)閲覧させたいWebページ、ファイル、動画を設定する
手続き管理>手続き>手続き作成(閲覧)
3)締結したい契約書を設定する
契約書の作成 手続き管理>契約書管理>契約書を作成する
契約書の設定 手続き管理>手続き>手続き作成(契約書)
4)手続き完了通知受信者の設定
従業員情報>従業員情報詳細>権限設定
5)手続きの流れを作成する
手続きの流れの作成
手続き管理>手続きルート>手続きルートを作成する
受信者の設定
手続き管理>手続きルート>手続きルートを作成する
電子契約時の確認事項
手続き管理>手続きルート>手続きルートを作成する
6)入社手続きのURL取得(コピー)
手続き管理>手続きルート一覧>三点リーダー
7)URLを入社予定者に送る。またはQRコード(登録商標)を作成する。
【0035】
なお、事前登録をして入社手続きをする場合は、管理端末1において、以下の手順の操作を行なう。
1)対象者を事前登録する
入社手続き>入社事前登録をする
2)対象者専用URLを伝える
メール登録していればメールが送られる
契約書をPDFで送る必要がある場合、入社手続き時にメールアドレスの入力を行なう。
3)入社手続き>入社事前登録をする>保存して依頼を送る
URLコピーを「LINE」などに送る
【0036】
以下、上述の操作を、管理端末1の画面(出願人が開発した人材管理ツール「conetto
TM」の画面)を示す
図7~
図23を参照して説明する。
上記の「1)取得したい従業員情報の設定をする」は、
図7に示す画面で、「手続き管理>手続き>手続き作成(従業員情報取得)」を選択し、
図8に示す画面で、必要とする従業員情報の各項目にチェックをいれて「登録する」ボタンを押すと、
図9に示すように、その内容が保存され、「従業員情報取得」の手続きが作成される。
【0037】
「2)閲覧させたいWebページ、ファイル、動画を設定する」は、
図10に示す画面で、「手続き管理>手続き>手続き作成(閲覧)」を選択し、
図11に示す画面で、必要なドキュメントを選択して添付して「作成する」ボタンを押す。
【0038】
「3)締結したい契約書を設定する」は、
図12に示す画面で、「手続き管理>契約書管理>契約書を作成する」を選択し、
図13(a)に示す画面で、締結したい契約書を作成して「作成する」ボタンを押すと、
図13(b)に示す画面となる。つぎに、
図14に示す画面で、「手続き管理>手続き>手続き作成(契約書)」を選択し、
図15に示す画面で、「作成する」ボタンを押すと、「契約書」の手続きが作成される。
【0039】
「4)手続き完了通知受信者の設定」は、
図16に示す画面で、画面左の「従業員情報」をクリックし従業員情報一覧画面に表示された受信対象者の名前(たとえば、本部の人事担当者:この例では「確認 テスト太郎」)をクリックし、
図17に示す画面で、従業員情報詳細(この例では「確認 テスト太郎」の情報詳細)が表示されたら、画面上側の「従業員情報詳細」の横に表示されている左から2つ目のボタン「権限設定」をクリックする。
図18に示す権限設定の画面になったら、付与したい権限内容のチェックボックスにチェックを入れ、「更新する」ボタンをクリックする。
【0040】
「5)手続きの流れを作成する」は、
図19に示す「手続きルート」画面で、「手続きルートを作成する」ボタンをクリックし、
図20に示す画面で、従業員情報取得、閲覧、契約書それぞれ反映させたい手続きを選択する。
図21に示す画面で、「手続き完了通知受信者」を設定、電子契約時の確認事項があれば追記する。
【0041】
「6)入社手続きのURL取得(コピー)」は、
図22に示す画面で、手続きルート一覧が表示されたら、先ほど作成したルート名の欄右側にある「・・・(三点リーダー)」にマウスカーソルを合わせる。「URLをコピー」という項目が表示されるので、クリックすると対象手続きルートの手続き内容のURLがコピーされる。
「7)URLを入社予定者に送る。またはQRコード(登録商標)を作成する。」は、
図23に示す画面で行なう。
【0042】
被雇用者端末3では、入社する従業員が、以下の手順の操作を行なう。
1) 「LINE友達」になる
2) URLを受け取る。またはQRコード(登録商標)を読み込む
3) 最初のページ
4) 閲覧
5) 情報入力
6) 契約書
7) サイン
8) 手続きが終わったらLINE連携画面に遷移
9) 連携作業
【0043】
以下、この操作を、被雇用者端末3の画面を示す
図24~
図31を参照して説明する。
図24に示す画面は、上述の「1)「LINE友達」になる、2)URLを受け取る。またはQRコード(登録商標)を読み込む」のうち、入社手続きのURLを電子メールで受信した受信トレイを示す。
図25に示す画面は、URLをクリックしたときに現れる入社手続きの最初の画面を示す。「契約開始」ボタンをクリックすると、
図26に示す画面となり、「電子契約時の確認事項のページ」に移動する。「契約をはじめる」ボタンをクリックすると、
図27に示す画面となり、「基本情報入力ページ」に移動する。被雇用者が必要項目を入力して、「確認する」ボタンをクリックすると、
図28に示す画面となり、「動画・資料の確認ページ」に移動する。動画・資料を確認して、「確認する」ボタンをクリックすると、
図29(a)に示す画面となり、「契約内容の確認ページ」に移動する。
図29(b)に示す画面で契約内容を確認して、「確認する」ボタンをクリックすると、
図30(a)に示す画面となり、「電子サインページ」に移動する。
図30(b)に示す画面でサインをして「確認する」ボタンをクリックすると、
図31に示す画面となり、契約完了となる。ここで、「LINE友達登録に進む」ボタンを押すことにより、「LINE友達」登録手順に進む。
【0044】
上述した手順では、従業員情報の登録を、入社する被雇用者に行わせているが、登録情報の正確さの観点から、本部の人事担当者のあまり負担とならない範囲で、入社する被雇用者に行わせる代わりに、本部の人事部で行うこともできる。このように、入社する対象者を事前登録する場合、
図32(a)~(c)に示す管理端末1の画面において、「入社手続き>入社事前登録をする」をクリックして、必要項目を入力し、
図32(a)、(b)に示す管理端末1の画面において、「対象者専用URLを伝える」手順は、電子メール登録していれば電子メールが送られることにより実行される。対象者に契約書PDFファイルを送る必要性から、入社手続き時にメールアドレスを取得することが望ましい。「入社手続き>入社事前登録をする>保存して依頼を送る」手順は、「URLコピー ⇒ LINEなどに送る」ことにより行われる。
【0045】
つぎに、被雇用者端末3においてID、パスワードを入力することなく、人材管理ツール「conetto」内のマイページへの遷移を実施するための設定を説明する。管理者端末1における設定(「Poster」での操作)は、以下の通りである。「Poster」は、「LINE」の設定を容易にするサードパーティーのLINE公式アカウントサポートツールである。そのマルチリンク機能により、専用リンクを発行することが可能である。
i. マルチリンク機能で、「conetto」内の遷移先(マイページ)URLを設定する
ii. マルチリンク機能が、i.に対応したLINEの識別番号を付与するURLを作成する
iii. ii.で作られたURLをLINEのメニューに埋め込む
【0046】
被雇用者端末3のタッチスクリーン上での操作、すなわち入社する従業員側(「LINE」側)での操作は、以下の通りである。
1 LINEのメニューから設定された範囲をタップ
2 ID、パスワードを入力することなく、「conetto」内のマイページに遷移
【0047】
以下、これらの手順を
図34~
図37を参照して説明する。
図34に示すように、管理端末1において、「i.:マルチリンク機能で、「conetto」内の遷移先(マイページ)URLを設定、ii.:マルチリンク機能が、i.に対応したLINEの識別番号を付与するURLを作成する」を実行する。そして、
図35に示すように、「iii.:ii.で作られたURLをLINEのメニュー(マイページ)に埋め込む」を実行する。
【0048】
入社する従業員側(「LINE」側)、すなわち被雇用者端末3で、
図36に示すように、LINEのメニューから設定された範囲をタップする。これにより、
図37に示すように、ID、パスワードを入力することなく、「conetto」内のマイページに遷移する。
【0049】
このように設定した後、被雇用者端末3、入社する従業員側(LINE側)での操作は、以下の手順で行なう。
1. LINE友達になる
2. URLを受け取り(またはQRを読み込み)、入社手続きのページに遷移する
3. 入社手続きをする
4. 手続き完了後、連携作業を行う
【0050】
以下、この手順を
図38~
図40を参照して説明する。上述の「1. LINE友達になる」「2. URLを受け取り(またはQRを読み込み)、入社手続きのページに遷移する」は、
図38に示すように、被雇用者端末3のタッチスクリーンを操作することで実行される。「3. 入社手続きをする」は、
図39に示すように実行される。「4. 手続き完了後、連携作業を行う」は、
図40に示すように実行される。
【0051】
以上、本実施形態による契約管理システムが適用される人材管理システムの例を、便宜上、管理端末1および被雇用者端末3での画面表示により説明したが、これらは適宜のウエブブラウザの設定、「LINE」で提供されるツールの使用などで実現される。
【符号の説明】
【0052】
1 管理端末
2 クラウド
3 被雇用者端末
20 契約管理システム
21 データベース
22 更新情報記憶部
23 契約書
24 契約書作成部
25 情報書き換え制御部