(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ロジック回路と統一した主電源電圧を持つサステナブルDRAM
(51)【国際特許分類】
G11C 11/4091 20060101AFI20240510BHJP
G11C 7/08 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G11C11/4091 124
G11C7/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022086844
(22)【出願日】2022-05-27
【審査請求日】2022-07-19
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508114395
【氏名又は名称】▲ゆ▼創科技股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521531148
【氏名又は名称】インベンション アンド コラボレーション ラボラトリー プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】盧 超群
(72)【発明者】
【氏名】夏 濬
(72)【発明者】
【氏名】戎 博斗
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-164813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0185022(US,A1)
【文献】特開2010-186534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/4091
G11C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のDRAMセルを有するメモリアレイであり、各DRAMセルがアクセストランジスタ及びストレージキャパシタを有する、メモリアレイと、
ビットラインを介して前記DRAMセルに結合されるセンスアンプと、
前記センスアンプに結合された、前記メモリアレイの外部のデータ経路と、
を有し、
前記ストレージキャパシタに信号ONEが書き込まれるプロセスにおいて、前記データ経路上の前記信号ONEの電圧レベルは、前記ストレージキャパシタに格納される前記信号ONEの電圧レベルよりも低く、前記データ経路上の前記信号ONEの前記電圧レベルは、0.9-0.5Vの間である、
DRAMチップ。
【請求項2】
JEDECによって規定される期間tWRの終了後にのみ、前記信号ONEの前記電圧レベルが前記ストレージキャパシタに格納される、請求項
1に記載のDRAMチップ。
【請求項3】
前記データ経路は、グローバルI/O経路及びデータラインを含み、前記グローバルI/O経路上又は前記データライン上の前記信号ONEの前記電圧レベルは、0.7-0.5Vの間である、請求項
1に記載のDRAMチップ。
【請求項4】
アクセストランジスタ及びストレージキャパシタを有するDRAMセルと、
ビットラインを介して前記DRAMセルに結合されるセンスアンプと、
前記センスアンプに結合されたデータ経路と、
を有し、
前記データ経路上の信号ONEに対応する読み出しデータの電圧レベルが、前記データ経路上の別の信号ONEに対応する書き込みデータの電圧レベルよりも高い、
DRAMチップ。
【請求項5】
前記書き込みデータは前記ストレージキャパシタに格納され、前記ストレージキャパシタに格納される前記書き込みデータの電圧レベルは、前記データ経路上の前記書き込みデータの前記電圧レベルよりも高い、請求項
4に記載のDRAMチップ。
【請求項6】
前記データ経路上の前記信号ONEに対応する前記読み出しデータの前記電圧レベルは、1.2-1.0Vの間であり、前記データ経路上の前記別の信号ONEに対応する前記書き込みデータの前記電圧レベルは、0.9-0.5Vの間である、請求項
4に記載のDRAMチップ。
【請求項7】
アクセストランジスタ及びストレージキャパシタを有するDRAMセルと、
ビットラインを介して前記DRAMセルに結合されるセンスアンプと、
前記センスアンプに結合されたデータ経路と、
を有し、
読み出し動作における前記データ経路のグローバルI/O経路又はデータライン上の電圧スイングが、書き込み動作における前記データ経路の前記グローバルI/O経路又は前記データライン上の電圧スイングよりも大きい、
DRAMチップ。
【請求項8】
前記読み出し動作における前記グローバルI/O経路又は前記データライン上の前記電圧スイングは、1.2-1.0Vの間であり、前記書き込み動作における前記グローバルI/O経路又は前記データライン上の前記電圧スイングは、0.8-0.6Vの間である、請求項
7に記載のDRAMチップ。
【請求項9】
DRAM動作のための制御信号及びアドレス信号の電圧スイングが、前記書き込み動作における前記グローバルI/O経路又は前記データライン上の前記電圧スイングよりも大きい、請求項
7に記載のDRAMチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックメモリに関し、特に、外部ロジック回路と統一した又は適合した主電源電圧を持つサステナブルダイナミックメモリに関する。
【背景技術】
【0002】
最も広く使用されているDRAMセルは、そのソースがストレージキャパシタに接続され且つそのドレインがビットラインに接続された1つのアクセストランジスタを持つ。ビットラインは、第1段の交差結合センスアンプに接続され、該センスアンプが、セルアレイから読み出される(READされる)信号を、カラムスイッチを介して、I/Oライン(データラインとしても知られる)に接続された第2段のセンスアンプに転送する。書き込み(WRITE)動作では、アクセストランジスタを介してストレージキャパシタに正しい信号を書き込むために、信号が、データライン上で一定に保たれるようにI/Oバッファによって駆動されるとともに、データラインが更に、データを第1段センスアンプ上で一定に保つ。アクセストランジスタは、アクティブモードにある(すなわち、アクセストランジスタがONである)間、READ動作又はストレージキャパシタへの正しいデータのWRITE動作を担うが、アクセストランジスタが非アクティブモードにある(すなわち、アクセストランジスタがOFFである)ときにも、記憶された信号の喪失を回避する。
【0003】
アクセストランジスタは、当該トランジスタ中のリーク電流を最小化するために高い閾値電圧を持つように設計される。しかし、アクセストランジスタがONにされるときのその性能を損なうという欠点をもたらす。結果として、ストレージキャパシタへの信号のWRITEに関してアクセストランジスタが高い駆動能力を持つことを可能にするために、ワードラインをブートストラップすること又は高いVPP(通常、ワードライン電圧源からの)に接続することが必要とされる。そのような高いVPPは、ワードラインドライバを通って、ワードライン又はアクセストランジスタのゲートにロードされる。VPPはアクセストランジスタに対する高電圧ストレスであるため、トランジスタの誘電体材料(例えば、酸化物層又はhigh-k材料)を、DRAMの他のサポート回路又は周辺回路(例えばコマンドデコーダ、アドレスデコーダ、及び他のI/O回路など)に使用されるトランジスタで使用されるものよりも厚く設計しなければならない。従って、アクセストランジスタの設計は、高い性能又は高い信頼性のいずれかを維持するのかという難題に直面し、信頼性と性能との間の難しいトレードオフを提示する。広く使用されているアクセストランジスタ設計は、高い信頼性を達成することの方に多く焦点を合わせているが、アクセストランジスタの性能を犠牲にしなければならない。
【0004】
簡単に要約すると、従来のアクセストランジスタ設計に関して、それは、ストレージキャパシタに電荷を保持することの長い保持時間を助けるためにリーク電流を低減させるべく高い閾値電圧を持ち、VPPのような高いワードライン電圧に耐えるために厚いゲート誘電体材料を持ち、アクセストランジスタの性能を犠牲にしている。結果として、通常はVCCレベルを指す信号ONE(1)のWRITE又はREADが、より長い時間を要したり、又は信号ONEを完全には復元できなかったりする。すなわちフル信号VCCをストレージキャパシタに完全に書き込むことを満足するには、WRITE時間がいっそう長くなる。
【0005】
DRAMセルの一般的に使用される設計は、
図1Aに示され得る。DRAMセルは、アクセストランジスタ11及びキャパシタ12を含む。アクセストランジスタ11のゲートはワードライン(WL)に結合され、アクセストランジスタ11に、ビットライン(BL)を介して、交差結合センスアンプ20が結合される。DRAMセルは、アクセストランジスタ11を、WRITEモードでビットライン(BL)からキャパシタに格納されるように、又はREADモードでビットラインへと転送されるように、電荷を制御するスイッチとして使用し、複数のDRAMセルがそれぞれビットラインに接続される。この例では、READモードにおいて、セル信号によってビットライン上に転送される信号を増幅することによって交差結合センスアンプによりラッチされる信号ONE(1.2Vと仮定され、信号ONEは通常、交差結合センスアンプ20から提供されるVCCSAの電圧レベルに対応する)及び信号ZERO(0Vと仮定され、信号ZEROは通常、交差結合センスアンプ20から提供されるVSSの電圧レベルに対応する)が存在し、あるいは、WRITEモードにおいてセルに正しい信号を格納するためにセンスアンプをツイストさせるように、これらの信号ONE及びZEROが外部から書き込まれる。
【0006】
図1Bは、殆どの現行DRAMのアクセス(READ又はWRITE)動作において関係する信号波形を示している。一例を挙げると、25ナノメートルのDRAMセルは、一般に、アレイ設計に関連する(それで囲まれた)以下のパラメータを有する:ビットラインONE電圧は1.2V、ワードラインONは、2.7Vに至るVPPを有し、ワードラインOFFは約-0.3Vの電圧を有し、セルの閾値電圧は約0.7-0.9Vの範囲であり、アクセストランジスタの誘電体は、2.7V(通電テストストレスの下で、許容可能な信頼性マージンのために、この数字は3.4Vまで上がる)の下での電界強度に耐えなければならず、また、ワードラインドライバデバイスも厚いゲート誘電体を使用しなければならず、その結果、性能を犠牲にしなければならない。
【0007】
図1Bに示すように、最初は、DRAMのストレージキャパシタは、スタンバイモード又は非アクティブモードにあり(すなわち、アクセストランジスタはOFFであり)、アクセストランジスタのゲートに結合されたワードラインの電圧レベルは、スタンバイ負電圧(-0.3V)である。ビットライン(BL)及びビットラインバー(BLB)は、VCCSA=1.2VにあるONEレベルと0VのZEROレベルとの間のVCCSAの半分の電圧レベルで等しくされる。DRAMセルがアクティブモードに入る(すなわち、アクセストランジスタがONになる)と、ワードラインの電圧レベルが、スタンバイ負電圧(-0.3V)から上昇され、そして、VCCSA(1.2V)とアクセストランジスタの閾値電圧VT(0.7又は0.8Vとし得る)とを足し合わせたものよりも遥かに高いハイレベルVPP(例えば2.7Vなど)まで引き上げられて、アクセストランジスタのゲート-ソース電圧を上回る十分に大きい駆動(例えば、2.7V-1.2V-0.8V=0.7V)を提供する。ビットラインがストレージキャパシタに結合される。ワードラインは、アクセス動作(例えばREAD又はWRITEなど)のために、そのような高電圧VPPで連続的にONである。アクセス動作に続いてRESTORE(復元)フェーズが進められる。RESTOREフェーズの間に、交差結合センスアンプが、ストレージキャパシタ内の信号ONE又はZEROに基づいて、ストレージキャパシタを再充電することになる。RESTOREフェーズの後、ワードラインが、VPPから、スタンバイモードでのワードラインの電圧(-0.3V)まで引き下げられ、アクセストランジスタが非アクティブモードとなる。
【0008】
この高いVPP電圧のストレスが、アクセストランジスタを、周辺回路のトランジスタに使用されるものよりも厚いゲート酸化膜又はゲート絶縁体で設計させ、それが、例えば短チャネル効果、トランジスタ電流のON-OFF比、及びスイング勾配などの悪化など、アクセストランジスタ性能を劣化させる。さらに、閾値電圧は、周辺回路のトランジスタで使用されるものよりも高いように設計されるものの、スタンバイモード又は非アクティブモードにおけるアクセストランジスタ中のリーク電流が依然として高く、センシングのための蓄積電荷の量を低下させる。12nm又は7nmプロセスにおいてVCCSAがより低くなると(例えば0.6Vなど)、スタンバイモード又は非アクティブモードでのリーク問題が悪化することになる。従って、DRAMへの主電源電圧又は移行(transitional)DRAMにおけるVCCSA電圧は、ある一定の電圧レベルに維持されるべきである。
【0009】
一方で、高性能コンピューティング又は人工知能(AI)システム向けのICシステムは、複数のDRAMチップとロジックチップとで構成される。ロジックチップは、今や、10ナノメートルプロセスノード又は7ナノメートルプロセスノードを用いてシリコンダイ内に作製されることがあり、5ナノメートルプロセスノードに向かっている。これらのプロセスノードは、プロセスノード毎に指定面積内のトランジスタを2倍に増加させるデバイススケーリング設計によって、基本的にムーアの法則に従っている。しかし、ムーアの法則に従うことができるようにする重要な貢献は、3Dトランジスタ構造(例えば、ゲートアラウンド、トライゲート、又はFINFET)の発明及び実行に因るものである。3D形状又は3D構造にされたトランジスタは、高性能、低リーク、高信頼性などを届ける。
【0010】
しかしながら、DRAMのテクノロジースケーリングは、45ナノメートルプロセスノード後に遅くなっており、25ナノメートルプロセスノード後の1Xnmの導入は、ムーアの法則による予測に従ったDRAMの歴史の中で起こっていたプロセスノード当たり2年よりも遥かに長い時間を要する。重大な理由は、DRAMは、トランジスタ構造が形成された後に高温処理工程を必要とする積層キャパシタ構造を用いており、それ故に、トランジスタのソース及びドレイン接合を、トランジスタのスケーリング則が必要とするほどの浅さに制御するのが困難であることである。結果として、殆どのDRAM製品は、サブ20ナノメートルのプロセスノード向けのロジックプロセスで広く使用されているものと同じプロセス技術を使用していない。
【0011】
さらに悪いことに、ロジック/SOC性能が、特に3Dトライゲートトランジスタ構造の使用及び改良により、サブ10ナノメートルの処理及び設計技術によって高度に加速され得るとき、減速されたDRAMテクノロジーの移行が、ロジックとメモリとの間のデータ転送速度を低下させる周知のメモリウォール(Memory-Wall)効果(実際にはDRAMウォール)を悪化させる。データ帯域幅とランダムアクセス時間の両方が、ますます大きい性能ギャップとなり、従来のDRAMでは、ロジック/SOCチップにデータを提供又は格納するためのメモリビークルとして機能することができない。
【0012】
メモリウォール問題を解決するために、DRAMテクノロジー開発は、高帯域DRAM(High-bandwidth DRAM;HBM)と呼ばれる3D-DRAM技術へと導かれている。しかしながら、電子素子技術連合評議会(JEDEC)によって発行されたHBM規格では、DRAMチップの主電源電圧又は主供給電圧Vddは1.2Vに定められている。このような主電源電圧はDRAMチップの外部にある。一方、ロジックチップに使用されるトライゲートトランジスタの主電源電圧は0.6-0.7Vにある。
図1Cに示すように、DRAM回路100は、I/O回路110(信号レベル変換回路、駆動インピーダンス調整回路などを含む)と、周辺回路120(コマンド/アドレスデコーダなどを含む)と、DRAMコア回路130(セルアレイなどを含む)とを含む。ロジック回路300(例えばメモリコントローラなど)と通信するために、DRAM100とロジック回路300との間に物理層回路(PHY層と呼ばれることもある)200が存在し、物理層回路200が更に、I/O物理回路210(これまた信号レベル変換回路、駆動インピーダンス調整回路などを含む)と、ロジック回路300と通信するロジック物理回路220とを含む。DRAM回路100における減速したDRAMテクノロジー移行及びリーク問題に起因して、DRAM回路100への外部主電源電圧Vaは、2.5V-1.1Vの範囲内であり得るが、ロジック回路300への外部主電源電圧Va’は例えば0.9V-0.6Vの範囲内であり得る。主電源電圧Vaは、DRAM回路100の外部にあり、例えば前述の電圧源VCCSA、1/2VCCSA、VPPなどの様々な電圧源を生成するためにDRAM回路100によって使用され得る。VCCSAのレベルは、Vaのレベルと同じであってもよいし、異なってもよい。
【0013】
DRAM回路100への主電源電圧Vaとロジック回路300への主電源電圧Va’との間の違いのため、
図1Dに示すように、移行DRAM回路において、DRAM回路100のI/O回路110は、DRAM回路100からの出力信号の電圧レベルを、物理層回路200のI/O物理回路210によって許容される所定のレベルとなるようにレベルアップ又はレベルダウンするための出力レベル変換回路を含むことになる。また、I/O110は更に、物理層回路200からの入力信号を基準電圧Vrefと比較して、対応する信号へと変換する入力比較器を含む。同様に、
図1Eに示すように、物理層回路200のI/O物理回路210も、物理層回路200からの出力信号の電圧レベルを、DRAM回路100のI/O回路110によって許容される所定のレベルとなるようにレベルアップ又はレベルダウンするための出力レベル変換回路を含み、さらに、DRAM回路100からの入力信号を別の基準電圧Vref’と比較して、対応する信号へと変換する入力比較器を含む。DRAMチップとロジックチップとの間の主電源電圧のこれらの不一致は、エネルギー効率の最適化及び性能同期における困難につながる。
【0014】
また、従来の低電力DRAM回路ブロックを示す
図1Fを参照されたい。入力書き込みデータXIO(例えば、信号ONE又は信号High)が、データ入力回路DIによって受信され、次いで、重い負荷を持つグローバルI/O経路GIOに渡される。グローバルI/O経路GIO上の書き込みデータの電圧レベルは、一例として1.1V(例えば、DRAMアレイのセンスアンプで使用されるVCCSAなど)である。次いで、グローバルI/O経路GIO上の書き込みデータが、書き込みデータを主データライン経路(すなわち、データラインDL)に転送するデータラインセンスアンプ70に送られる。しかしながら、主データライン経路はなおも同様に重い負荷を持ち、データラインDL上の書き込みデータの電圧レベルも1.1Vであり得る。次いで、データラインDL上の書き込みデータがメモリアレイ75に送られ、メモリアレイ75内で、書き込みデータは、ビットラインBLを介して、対応するストレージノードに格納される。通常、
図1Fに示すように、ビットラインBL上の書き込みデータの電圧レベルは1.1Vである。ここで、グローバルI/O経路GIO及びデータラインDLはデータ経路の一部である。低消費電力を満たすためには、グローバルI/O経路GIO上、データラインDL上、及びビットラインBL上の書き込みデータの電圧レベルを、例えば1.1Vなど、できるだけ低くすべきである。しかしながら、対応するストレージノードに格納される電圧が低いと、重大なリーク問題に悩まされ、データ破損を生じさせ得る。
【発明の概要】
【0015】
従って、本発明は、外部ロジック回路と統一した主電源電圧を持つサステナブルDRAMチップを導入することである。本発明の一態様によれば、DRAMチップは、第1の維持電圧発生器と、DRAMコア回路とを有する。第1の維持電圧発生器は、DRAMチップにおいて使用される信号ONEに対応する電圧レベルよりも高い第1電圧レベルを生成する。DRAMコア回路は、アクセストランジスタとストレージキャパシタとを有するDRAMセルを有し、DRAMセルのストレージキャパシタは、第1の維持電圧発生器に選択的に結合されるように構成される。DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルは、外部ロジック回路への主電源電圧源の電圧レベルと同じ又は実質的に同じである。
【0016】
本発明の一態様によれば、DRAMチップへの外部主電源電圧源の電圧レベルは0.9V以下であり、例えば、DRAMチップへの外部主電源電圧源の電圧レベルは、0.9V-0.5Vの間であるか、もっと低いかである。
【0017】
本発明の一態様によれば、DRAMチップは更に、I/O回路、及び該I/O回路とDRAMコア回路との間の周辺回路を有し、I/O回路は、入力比較回路及び出力レベル変換回路を有しない。
【0018】
本発明の一態様によれば、周辺回路内のトランジスタのドレイン側への動作供給電圧が、DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルと同じである。また、アクセストランジスタではないDRAMコア回路内のトランジスタのドレイン側への動作供給電圧が、DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルと同じである。さらに、DRAMチップにおいて使用される信号ONEに対応する電圧レベルが、DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルと同じである。
【0019】
本発明の一態様によれば、DRAMチップは更に、I/O回路、及び該I/O回路とDRAMコア回路との間の周辺回路を有し、周辺回路からI/O回路への出力データ信号は、I/O回路によってレベルアップ又はレベルダウンされず、外部ロジック回路からDRAMチップへの入力データ信号は、I/O回路によって対応する信号を生成するために基準電圧と比較されたりしない。
【0020】
本発明の一態様によれば、DRAMチップは更に、アクセストランジスタのゲート端子に結合されたワードラインを有し、ワードラインは、第1期間及び該第1期間後の第2期間にわたってアクセストランジスタをオンにするように選択され、第1の維持電圧発生器は、第2期間の間、DRAMセルのストレージキャパシタに電気的に結合される。また、第1期間はアクセス動作期間であり、第2期間は復元フェーズ期間である。さらに、アクセス動作期間の間、キッキング電荷源がDRAMチップのビットラインに電気的に結合される。
【0021】
本発明の他の一目的によれば、この発明は、外部ロジック回路及び主電源電圧源と結合するように構成されたDRAMチップを提供する。DRAMチップは、DRAMコア回路、I/O回路、及びI/O回路とDRAMコア回路との間の周辺回路を有する。DRAMコア回路は、アクセストランジスタ及びストレージキャパシタを有するDRAMセルを有し、I/O回路は、外部ロジック回路に結合するように構成される。DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルは、外部ロジック回路への主電源電圧源の電圧レベルと同じ又は実質的に同じであり、DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルは0.9V以下である。
【0022】
本発明の一態様によれば、周辺回路内のトランジスタのドレイン側への動作供給電圧が、DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルと同じである。また、アクセストランジスタではないDRAMコア回路内のトランジスタのドレイン側への動作供給電圧が、DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルと同じである。さらに、DRAMチップにおいて使用される信号ONEに対応する電圧レベルが、DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルと同じである。また、I/O回路は、入力比較器回路及び出力レベル変換回路を排除又は省略する。
【0023】
本発明の一態様によれば、DRAMチップは更に、第1の維持電圧発生器と、アクセストランジスタのゲート端子に結合されたワードラインとを有する。第1の維持電圧発生器は、DRAMチップにおいて使用される信号ONEに対応する電圧レベルよりも高い第1電圧レベルを生成する。ワードラインは、第1期間及び該第1期間後の第2期間にわたってアクセストランジスタをオンにするように選択され、第1の維持電圧発生器は、第2期間の間、DRAMセルのストレージキャパシタに電気的に結合される。また、第1期間はアクセス動作期間であり、第2期間は復元フェーズ期間である。
【0024】
本発明の他の一目的は、DRAMチップと、該DRAMチップに電気的に結合されたロジックチップとを有した、統一した供給電力電圧を有するメモリシステムを提供することである。DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルは、ロジックチップへの主電源電圧源の電圧レベルと同じ又は実質的に同じであり、DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルは0.9V以下である。
【0025】
本発明の一態様によれば、DRAMチップは、DRAM回路を含み、ロジックチップは、ロジック回路及び物理層回路を含む。DRAMチップへの主電源電圧源がDRAM回路に供給され、ロジックチップへの主電源電圧源がロジック回路及び物理層回路に供給される。
【0026】
本発明の一態様によれば、統一した供給電力電圧を有するメモリシステムは更に、DRAMチップに電気的に結合されたベースチップを有する。DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルは、ベースチップへの主電源電圧源の電圧レベルと同じ又は実質的に同じである。
【0027】
本発明の一態様によれば、DRAMチップは、DRAM回路を含み、ロジックチップは、ロジック回路を含み、ベースチップは、物理層回路を含む。DRAMチップへの主電源電圧源がDRAM回路に供給され、ロジックチップへの主電源電圧源がロジック回路に供給され、ベースチップへの主電源電圧源が物理層回路に供給される。
【0028】
本発明の一態様によれば、DRAMチップは、DRAMセル及び第1の維持電圧発生器を有する。DRAMセルは、ストレージキャパシタ及びアクセストランジスタを有し、第1の維持電圧発生器は、DRAMチップにおいて使用される信号ONEに対応する電圧レベルよりも高い第1電圧レベルを生成する。第1の維持電圧発生器は、DRAMセルのアクセストランジスタがターンオフされる前に、DRAMセルのストレージキャパシタに結合される。
【0029】
本発明の一態様によれば、DRAMチップは更に、I/O回路、及び該I/O回路とDRAMセルとの間の周辺回路を有し、I/O回路は、入力比較回路及び出力レベル変換回路を有しない。
【0030】
本発明の一態様によれば、メモリシステムの物理層回路が、I/O物理回路を有し、I/O物理回路は、入力比較回路及び出力レベル変換回路を有しない。
【0031】
本発明の他の一実施形態は、DRAMチップを提供する。DRAMチップは、アクセストランジスタ及びストレージキャパシタを有するDRAMセルと、ビットラインを介してDRAMセルに結合されるセンスアンプと、センスアンプに結合されたデータ経路と、を有する。ストレージキャパシタに信号ONEが書き込まれるプロセスにおいて、データ経路上の信号ONEの電圧レベルは、ストレージキャパシタに格納される信号ONEの電圧レベルとは異なる。
【0032】
本発明の一態様によれば、データ経路上の信号ONEの電圧レベルは、ストレージキャパシタに格納される信号ONEの電圧レベルよりも低い。
【0033】
本発明の一態様によれば、データ経路上の信号ONEの電圧レベルは、0.9-0.6Vの間である。
【0034】
本発明の他の一態様によれば、信号ONEの電圧レベルは、JEDECによって規定される期間tWRの終了後にのみ、ストレージキャパシタに格納される。
【0035】
本発明の他の一態様によれば、データ経路は、グローバルI/O経路及びデータラインを含み、グローバルI/O経路上又はデータライン上の信号ONEの電圧レベルは、0.7-0.5Vの間である。
【0036】
本発明の他の一目的は、DRAMチップを提供することであり、DRAMチップは、アクセストランジスタ及びストレージキャパシタを有するDRAMセルと、ビットラインを介してDRAMセルに結合されるセンスアンプと、センスアンプに結合されたデータ経路と、を有する。データ経路上の信号ONEに対応する読み出しデータの電圧レベルが、データ経路上の別の信号ONEに対応する書き込みデータの電圧レベルよりも高い。
【0037】
本発明の一態様によれば、データ経路上の信号ONEに対応する読み出しデータの電圧レベルは、1.2-1.0Vの間であり、データ経路上の別の信号ONEに対応する書き込みデータの電圧レベルは、0.8-0.5Vの間である。
【0038】
本発明の他の一態様によれば、書き込みデータはストレージキャパシタに格納され、ストレージキャパシタに格納される書き込みデータの電圧レベルは、データ経路上の書き込みデータの電圧レベルよりも高い。
【0039】
本発明の他の一態様によれば、JEDECによって規定される期間tWRの終了後にのみ、信号ONEの電圧レベルがストレージキャパシタに格納される。
【0040】
本発明は更に、アクセストランジスタ及びストレージキャパシタを有するDRAMセルと、ビットラインを介してDRAMセルに結合されるセンスアンプと、センスアンプに結合されたデータ経路と、を有するDRAMチップを提供する。読み出し動作におけるグローバルI/O経路又はデータライン上の電圧スイングが、書き込み動作におけるグローバルI/O経路又はデータライン上の電圧スイングよりも大きい。
【0041】
本発明の他の一態様によれば、読み出し動作におけるグローバルI/O経路又はデータライン上の電圧スイングは、1.2-1.0Vの間であり、書き込み動作におけるグローバルI/O経路又はデータライン上の電圧スイングは、0.8-0.6Vの間である。
【0042】
本発明の他の一態様によれば、DRAM動作のための制御信号及びアドレス信号の電圧スイングが、書き込み動作におけるグローバルI/O経路又はデータライン上の電圧スイングよりも大きい。請求項30に記載のDRAMチップ。
【0043】
様々な図及び図面に示される好適実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、本発明のこれら及び他の目的が当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1A】DRAMセル及びアレイセンスアンプの一般的に使用される設計を示している。
【
図1B】殆どの現行DRAMのアクセス(READ又はWRITE)動作における関係する信号波形を示している。
【
図1C】伝統的設計におけるロジック回路、物理層回路及びDRAM回路についての機能ブロックを示している。
【
図1D】伝統的設計におけるDRAM回路のI/O回路についての機能ブロックの部分を示している。
【
図1E】伝統的設計における物理層回路のI/O物理回路についての機能ブロックの部分を示している。
【
図1F】従来の低電力DRAMの書き込み動作におけるデータ経路上の電圧スイングを示している。
【
図2】この発明の一実施形態に従ったDRAMセルのアクセス(READ又はWRITE)動作における関係する信号波形を示している。
【
図3A】VCCSAよりも高い第1の維持電圧源に選択的に結合されるセンスアンプの概略回路を示している。
【
図3B】VSSよりも低い第2の維持電圧源に選択的に結合されるセンスアンプの概略回路を示している。
【
図4】この発明の他の一実施形態に従ったDRAMセルの関係する信号波形を示している。
【
図5】プリチャージ動作に関するこの発明の一実施形態の機能ブロック図を示している。
【
図6】この発明に従ったプリチャージ動作のためのセンスアンプの動作を示している。
【
図7】この発明の他の一実施形態に従ったDRAMセルの動作における関係する信号波形を示している。
【
図8A】この発明の他の一実施形態に従った3つのキックを有するDRAMセルの動作における関係する信号波形を示している。
【
図8B】この発明の他の一実施形態に従った2つのキックを有するDRAMセルの動作における関係する信号波形を示している。
【
図8C】この発明の他の一実施形態に従った別の2つのキックを有するDRAMセルの動作における関係する信号波形を示している。
【
図8D】この発明の他の一実施形態に従った別の3つのキックを有するDRAMセルの動作における関係する信号波形を示している。
【
図8E】この発明の一実施形態に従ったDRAMセルの動作におけるキック期間とビットラインの信号との間の関係を示している。
【
図9A】本発明に従ったロジック回路、物理層回路及びDRAM回路についての機能ブロックを示している。
【
図9B】本発明に従ったDRAM回路のI/O回路についての機能ブロックの部分を示している。
【
図9C】本発明に従った物理層回路のI/O物理回路についての機能ブロックの部分を示している。
【
図10】本発明の他の一実施形態に従ったDRAMセルのWRITE動作における関係する信号波形を示している。
【
図11】DRAMセルのWRITE動作において2つの別々の電圧源に選択的に結合されるセンスアンプの概略回路を示している。
【
図12】本発明に従った書き込み動作及び読み出し動作におけるデータ経路上の電圧スイングを示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
開示される装置及び方法の以下に記載される実施形態の詳細な説明は、図面を参照して、限定ではなく例示としてここに提示される。特定の実施形態が詳細に図示され説明されるが、理解されるべきことには、添付の請求項の範囲から逸脱することなく様々な変形及び変更が為され得る。本発明の範囲は、これら構成コンポーネントの数、材料、形状、相対配置などに限定されず、本発明の実施形態の例として簡単に開示される。
【0046】
この発明は、サステナブルストレージアーキテクチャを有するDRAMを開示し、当該DRAMにおいては、アクセストランジスタのターンオフの前にDRAMセルのストレージキャパシタに維持電圧源が電気的に結合され、且つ、維持電圧源の電圧レベルが通常の信号ONEの電圧レベルよりも高く、又は維持電圧源の電圧レベルが通常の信号ZEROの電圧レベルよりも低くされる。DRAM動作(例えば自動プリチャージ動作、RESTOREフェーズ、及びプリチャージフェーズなど)が、選択されたDRAMセルにそのアクセストランジスタをターンオンさせる。従って、アクセストランジスタのターンオンステージ中に前記維持電圧源をDRAMセルのストレージキャパシタに結合することにより、アクセストランジスタのターンオフステージ後に、たとえアクセストランジスタ中のリーク電流が存在したとしても、ストレージキャパシタは、従来のDRAM構造と比較して長い期間にわたって持続することができる。
【0047】
図2は、この発明の一実施形態に従ったDRAMセルのアクセス(READ又はWRITE)動作について関係する信号波形を示している。DRAMのスタンバイモードから開始することにより、ワードラインWLは、アクセストランジスタ11を完全にオフにするために-0.3Vにバイアスされる。この実施形態において、VCCSAは1.2Vに設定され、VSSは0Vに設定されている。この例において、信号ONEのレベルは1.2Vであり、信号ZEROのレベルは0V(GND)である。ビットライン(BL及びBLB)は、VCCSA=1.2Vにある信号ONEレベルとVSS=0Vにある信号ZEROレベルとの間の0.6Vの電圧レベルで等しくされている。
【0048】
T0にて、ワードライン電圧が、-0.3Vから、1.2VのVCCSSA及び0.8Vのアクセストランジスタの閾値電圧よりも遥かに高い2.7Vまでランプアップされて、オンにされたアクセストランジスタ11が信号ONE又はZEROのいずれかをビットラインに転送するのに十分な駆動を与える。信号が一定の大きさに発達するまで、センスアンプ20がアクティブにされて、ビットライン(BL)及びビットラインバー(BLB)を横切る信号を増幅する。T1の後、READ動作(ビットライン上にセル信号によって伝達された信号を増幅することによる)又はWRITE動作(これらの信号ONE及びZEROが、センスアンプ20をツイストさせるように外部から書き込まれて、DRAMセルに正しい信号を格納する)のいずれかを実行することができる。当然ながら、READ又はWRITEの他に、T1後に他のDRAM動作が実行されてもよい。すなわち、T1とT2との間の期間中、DRAMセルはアクセス可能である。
【0049】
T2後のRESTOREフェーズにおいて、アクセストランジスタ11の誘電体は、適度に短い復元時間にわたって、依然としてワードラインからのVPPをかけられる。このRESTOREフェーズにおいて、DRAMセルのキャパシタに意図的に第1の維持電圧源が結合される。第1の維持電圧源の電圧レベルは、1.2VのVCCSA(又は信号ONEの電圧レベル)よりも高い。これは、第1の維持電圧源に選択的に結合されるセンスアンプ20の概略回路を示すものである
図3Aに示すように、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)をセンスアンプ20に接続又は結合する(例えば、スイッチ13をターンオンすることによってなど)ことによって行われ得る。このRESTOREフェーズの間、
図3Aに示すように、元のVCCSA電圧源はセンスアンプから切り離され(例えば、スイッチ14をターンオフすることによってなど)、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)がセンスアンプ20に接続される。M1は、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)がVCCSAよりも高いように、正の数とし得る。一例において、M1は、例えば0.6Vなど、VCCSAの1/3からVCCSAの2/3までの範囲内とし得る。例えば、信号ONEが元々ストレージキャパシタ内にあるとき、このRESTOREフェーズの間、第1の維持電圧源からの1.2V+0.6Vの電圧レベルが、センスアンプ20を介してストレージキャパシタ12に供給される。すなわち、
図2のT3でのアクセストランジスタ11のターンオフ(すなわち、ワードラインWLが、2.7VのVPPから-0.3Vのスタンバイモードでのワードライン電圧まで引き下げられる)前に、ストレージキャパシタ12に、通常の信号ONEの電圧レベル(VCCSA)よりも高い第1の維持電圧源の電圧レベルが供給される。従って、アクセストランジスタ11のターンオフ後、アクセストランジスタ11中のリーク電流が存在しても、ストレージキャパシタ12は、従来のDRAM構造と比較して長い期間にわたって持続することができる。一実施形態において、アクセストランジスタ11のターンオフ後、又はRESTOREフェーズ後、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)は、センスアンプ20から切り離され得る。加えて、
図2に示すように、ビットライン(BL)の電圧レベルがVblにリセットされるように、ビットライン(BL)が、Vblの電圧レベルを有するビットライン電圧源に結合され得る。
図3Aに示すスイッチ13及び14はPMOSトランジスタであり、レイアウトの観点から、これらのPMOSトランジスタを収容する追加のNウェルを準備する必要がある。レイアウトを単純化するために、スイッチ13及び14をMNOSトランジスタとして、これらのNMOSトランジスタがp基板内に位置するようにしてもよい。しかしながら、そうすることは、NMOSトランジスタを完全にオンにするために、より高い電圧を必要とする。
【0050】
他の一実施形態において、T2後のRESTOREフェーズにおいて、RESTOREフェーズ中のDRAMセルのキャパシタに意図的に第2の維持電圧源が結合される。第2の維持電圧源の電圧レベルは、電圧源VSS(0V又は信号ZEROの電圧レベル)よりも低い。これは、
図3Bに示すように、第2の維持電圧源(VSS-M2)をセンスアンプ20に接続する(例えば、スイッチ23をターンオンすることによってなど)ことによって行われ得る。
図3Bは、VSSよりも低い第2の維持電圧源(VSS-M2)に選択的に結合されるセンスアンプの概略回路を示しており、M2は正の数とし得る。一例において、M2は、例えば0.6Vなど、0.4V-0.8Vの範囲内とし得る。当然ながら、RESTOREフェーズ中に第2の維持電圧源がセンスアンプ20に結合されるとき、電圧源VSSはセンスアンプ20から切り離される(例えば、スイッチ24をターンオフすることによってなど)。信号ZEROが元々ストレージキャパシタ12内にあるとき、このRESTOREフェーズの間、-0.6Vの電圧レベルがストレージキャパシタに供給される。すなわち、
図2のT3でのアクセストランジスタ11のターンオフ(すなわち、ワードラインWLが、VPPからスタンバイモードでのワードライン電圧まで引き下げられる)前に、ストレージキャパシタ12に、通常の信号ZEROの電圧レベル(VSS)よりも低い第2の維持電圧源の電圧レベルが供給される。一実施形態において、アクセストランジスタ11のターンオフ後、又はRESTOREフェーズ後、第2の維持電圧源(VSS-M2)は、センスアンプ20から切り離され得る。
【0051】
当然ながら、他の一実施形態において、第1及び第2の維持電圧源の両方が、RESTOREフェーズ中にDRAMセルのキャパシタに意図的に結合され得る。従って、ワードラインWLがVPPからスタンバイモードでのワードライン電圧に引き下げられる前に、信号ONEが元々ストレージキャパシタにある場合には、1.2V+0.6Vの電圧レベルがストレージキャパシタに格納され、信号ZEROが元々ストレージキャパシタにある場合には、-0.6Vの電圧レベルがストレージキャパシタに格納される。
【0052】
アクセストランジスタを通して漏れることなく格納電荷を維持すべく、リーク電流を低減させるために、通常、アクセストランジスタに非常に高い閾値電圧を持たせる設計が行われる。VCCSAが0.6Vまで下げられるとき、DRAM設計の周辺回路には7nm又は5nmプロセスのトライゲート又はFinFETトランジスタが採用され、それに従って、これらのトランジスタの閾値電圧が、例えば0.3Vまで下げられることになるなど、スケーリングされ得る。この実施形態において、アクセストランジスタの閾値電圧は、意図的に0.5-0.6Vまで上昇され得る。そうして、ストレージキャパシタからのリーク電流が、少なくとも3から4decadeだけ急激に減少する(=0.6-0.3~0.3V、Sファクタが68mV/decadeである場合、リークを周辺トライゲートデバイスのそれよりも4decade減らすことができ、閾値電圧が0.5Vに上昇される場合、リーク電流は2から3decadeになるはずである)。閾値電圧をVCCSA近くまで又は少なくとも0.6Vの80%超まで上げることを提案する。実施形態において、アクセストランジスタ(例えばフィンFET又はトライゲートトランジスタなど)のゲート誘電体厚さは、その厚さを増すことなく、なおも周辺トランジスタのそれに維持され、トライゲート構造を使用することの高性能メリットを維持することができる。
【0053】
図4は、この発明の他の一実施形態に従ったDRAMセルの関係する信号波形を示している。この例において、信号ONEのレベルは0.6Vであり、信号ZEROのレベルは0V(GND)である。T2後のRESTOREフェーズにおいて、RESTOREフェーズ中のDRAMセルのキャパシタに意図的に第1の維持電圧源が結合される。第1の維持電圧源の電圧レベルは、0.6VのVCCSA(又は信号ONEの電圧レベル)よりも高い。これは、第1の維持電圧源(VCCSA+K)をセンスアンプに接続することによって行われることができ、Kは正の数とし得る。一例において、Kは、例えば0.3V又は0.4Vなど、VCCSAの1/3からVCCSAの2/3までの範囲内とし得る。従って、0.6Vの信号ONEが元々ストレージキャパシタ内にあるとき、このRESTOREフェーズの間、0.6V+0.4Vの電圧レベルがストレージキャパシタに供給される。すなわち、
図4のT3でのアクセストランジスタのターンオフ(すなわち、ワードラインWLがVPPからスタンバイモードでのワードライン電圧まで引き下げられる)前に、ストレージキャパシタに、通常の信号ONEの電圧レベル(0.6VのVCCSA)よりも高い第1の維持電圧源の電圧レベルが供給される。従って、ワードラインWLがVPPに引き上げられた後であって、ワードラインがスタンバイモード又は非アクティブモードに引き下げられる前において、信号ONEが元々ストレージキャパシタにあるときに1Vの電圧レベルがストレージキャパシタに格納される。一実施形態において、RESTOREフェーズ後、
図4に示すように、ビットライン(BL)の電圧レベル及びビットラインバー(BLB)の電圧レベルがVblにリセットされるように、ビットライン(BL)及びビットラインバー(BLB)が、Vblの電圧レベルを有するビットライン電圧源に結合され得る。
【0054】
当然ながら、前述したように、ワードラインWLがVPPからスタンバイモードでのワードライン電圧に引き下げられる前に、信号ZEROが元々ストレージキャパシタにある場合には、第2の維持電圧源の電圧レベルをストレージキャパシタに格納することができ、第2の維持電圧源の電圧レベルは、例えば-0.4Vなど、信号ZEROの電圧レベルよりも低い。
【0055】
図5は、プリチャージ動作についての回路及び機能ブロック図に関する他の一実施形態を示している。この実施形態において、VCCSAは0.6Vに設定され、VSSは0Vに設定されている。プリチャージ動作において、メモリセクション5(“Sec5”)内の選択された(1つ以上の)ワードラインに接続された全てのDRAMセルがプリチャージされ、他のメモリセクション(例えば“Sec4”、“Sec6”など)内の非選択のワードラインに接続されたDRAMセルはアイドル状態になる。
【0056】
選択された(1つ以上の)ワードラインに接続されたDRAMセルに結合されたセンスアンプ41及び42は、プリチャージキッカー30によって第3の維持電圧源VHSA(0.6V+K)にキックされ、その結果、より強いドレイン-ソース電界がセルへの信号復元を加速することができる。第3の維持電圧源VHSAは、例えば0.3V又は0.4Vなど約数百mVだけ、VCCSA(0.6V)よりも高い。さらに、選択された(1つ以上の)ワードラインがOFFにされる(すなわち、選択された(1つ以上の)ワードラインに結合されたDRAMセルのアクセストランジスタがOFFにされる)前に、元の信号ONEの電圧レベルよりも高い0.6V+0.4Vの電圧レベルが、ストレージキャパシタに格納され得る。一方、選択されていない(1つ以上の)ワードラインに接続されたDRAMセルに結合されたセンスアンプは、キックアップされずに、依然としてVCCSAに結合される。
【0057】
図6は、プリチャージフェーズのためのセンスアンプの動作を説明するものであり、
図6で使用される記号の意味は以下の通りである:
VCCSA:ビットラインセンスアンプ電圧
VHSA:第3の維持電圧源
LSLP:選択されたビットラインセンスアンプHigh電圧
LSLN:選択されたビットラインセンスアンプLow電圧
Vpl:プレート電圧
SN:ストレージノード
WL:ワードライン
BL:ビットライン
Vsg1、Vsg2:P1、P2のソース-ゲート電圧
Vgs3、Vgs4:N3、N4のゲート-ソース電圧
Vsg5、Vsg6:P5、P6のソース-ゲート電圧
Vgs7、Vgs8:N7、N8のゲート-ソース電圧。
【0058】
図6を参照するに、ワードラインWL100が、例えばSN1及びSN9などの複数のストレージノードに結合される。ワードラインWL100に接続されたストレージノードSN1に信号ONE(0.6V)が格納されるとき、プリチャージコマンドが発行され且つワードラインWL100が選択された(すなわち、ワードラインがONにされた)後、センスアンプのLSLPがVHSA(1.0V)に結合され、従って、LSLPが0.6Vから1.0Vにキックされ、LSLNは0Vに留まる。従って、センスアンプのトランジスタP1はOFFであり、Vsg1=0Vである。また、センスアンプのトランジスタP2はONであり、Vsg2は0.6Vから1.0Vにキックされ、1.0VがビットラインBL1を介してストレージノードSN1に完全に充電される。一方、センスアンプのトランジスタN3はONであり、Vgs3も0.6Vから1.0Vにキックされる。また、センスアンプのトランジスタN4はOFFであり、Vgs4は0Vである。
【0059】
ワードラインWL100に接続されたストレージノードSN9に信号ZERO(0V)が格納されるとき、プリチャージコマンドが発行され且つワードラインWL100が選択された後、センスアンプがVHSA(1.0V)に結合され、従って、LSLPが0.6Vから1.0Vにキックされ、LSLNは0Vに留まる。従って、センスアンプのトランジスタP5はONであり、Vsg5は0.6Vから1.0Vにキックされる。また、センスアンプのトランジスタP6はOFFであり、Vsg2は0Vである。一方、センスアンプのトランジスタN7はOFFであり、Vgs7は0Vである。また、センスアンプのトランジスタN8はONであり、Vgs8は0.6Vから1.0Vにキックされ、0VがビットラインBL9を介してストレージノードSN9に強く復元される。当然ながら、前述したように、信号ZEROが元々ストレージキャパシタにあるとき、LSLNは、プリチャージフェーズの間に、別の維持電圧源VLSN(0V-K)に結合され得る。VLSNは、信号ZEROの電圧レベルよりも低く、この場合、VLSNは、-0.4Vとし得る。そして、プリチャージフェーズにおいて、-0.4VがビットラインBL9を介してストレージノードSN9に強く復元される。
【0060】
他の一実施形態において、
図7に示すように、T0の後、DRAMセルのアクセストランジスタをターンオンするためにワードライン電圧がランプアップされる。そして、DRAMの通常のREAD又はWRITEアクセスにて実行すべきアクティブコマンドが存在する。JEDECによって定義されるtRCDを低減させるために、アクティブコマンドの実行中に、VCCSAよりも少し高い対応する電圧(例えばVCCSA+ΔNなど)がセンスアンプに接続され得る(
図3Aに示すスイッチ14をターンオフするとともにスイッチ13をターンオンにすることによる)。このような電圧レベル又は電圧源が、T1とT2との間の期間(すなわちアクセス動作期間)の間、ビットラインに結合される。従って、対応する電圧(VCCSA+ΔN)が、アクティブコマンドに従ってセンスアンプに接続され得る。故に、ビットラインの信号は、アクティブコマンドの実行中に少なくともVCCSA+ΔNにポンプ(又はキック)される。ビットライン信号におけるこのようなポンプ又はキックをアクティブキックと呼び得る。ビットラインに対するこのようなアクティブなキックは信号センシングを早める。アクティブコマンド又はアクティブキックの実行後、通常の電圧源VCCSAがセンスアンプに接続され、続くREAD又はWRITE動作においてビットラインの信号はVCCSAに戻る。同様に、T2後のRESTORE(又はプリチャージ)フェーズにおいて、第1の維持電圧源VCCSA+M1(又はVCCSAよりも高い異なる維持電圧)が、このRESTOREフェーズ中のDRAMセルのキャパシタに再び結合される。すなわち、このRESTORE(又はプリチャージ)フェーズの間、センスアンプから元のVCCSA電圧源が切り離され(例えば、
図3Aに示すスイッチ14をターンオフにすることによってなど)、第1の維持電圧源VCCSA+M1がセンスアンプ20に接続される(例えば、
図3Aに示すスイッチ13をターンオンすることによってなど)。ビットラインの信号は、少なくともVCCSA+M1にポンプ(又はキック)される。ビットライン信号におけるこのようなポンプ又はキックをリストアキックと呼び得る。従って、DRAMセルのアクセストランジスタを完全にオフにするためにワードラインWLが引き下げられる前に、DRAMセルのストレージキャパシタに、通常の信号ONEの電圧レベル(VCCSA)よりも高い第1の維持電圧源の電圧レベルが供給され、たとえアクセストランジスタ中にリーク電流が存在しても、DRAMセルのストレージキャパシタは、従来のDRAM構造と比較して長い期間にわたって持続することができる。
【0061】
一実施形態において、アクティブキックで使用される対応する電圧(VCCSA+ΔN)は、リストアキックで使用される第1の維持電圧(VCCSA+M1)よりも低い。他の一実施形態において、アクティブキックで使用される対応する電圧(VCCSA+ΔN)は、リストアキックで使用される第1の維持電圧(VCCSA+M1)と同じ又は実質的に同じである。対応する電圧(VCCSA+ΔN)及び第1維持電圧(VCCSA+M1)は、それぞれ、2つの異なる電圧源から生成され得る。あるいは、ビットラインの電圧をキックするためにアクティブキックで使用される対応する電圧(VCCSA+ΔN)は、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)から生成され得るが、ビットラインが、(VCCSA+M1)ではなく、対応する電圧(VCCSA+ΔN)までポンプ又はキックされるだけであるように、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)をビットラインに接続する継続時間が調節される。当然ながら、本発明において、電圧(VCCSA+M1)、電圧(VCCSA+ΔN)、及び電圧(VCCSA)は、DRAMの内部で生成又は変換されてもよいし、DRAMチップの外部の他の電圧源から供給又は変換されてもよい。また、アクティブキック中にビットラインを電圧レベルVCCSA+ΔN又はVCCSA+M1まで上昇させることは、ブーストラップ回路によって行われることができ、ブーストラップ回路内のキャパシタの電荷がビットラインに結合される。電圧源であろうと、ブーストラップ回路であろうと、電荷源とみなすことができ、従って、アクティブキック中に電荷源によって、ビットラインが電圧レベルVCCSA+ΔN又はVCCSA+M1までキック又はポンプされ得る。
【0062】
図8Aは、この発明の他の一実施形態に従ったDRAMセルの動作についての関係する信号波形を示している。T1とT2の間の期間において、実行すべきアクティブコマンドが存在し、対応する第1の維持電圧源(VCCSA+M1)が、アクティブ動作中のセンスアンプに接続され得る。従って、ビットラインの信号が、アクティブコマンドの間、少なくともVCCSA+M1にポンプ(又はキック)される。アクティブコマンドの実行後、通常の電圧源VCCSAがセンスアンプに接続され、そして、ビットラインの信号がVCCSAに戻る。アクティブコマンドの後、T2の前に1つ(又はそれ以上)の読み出しコマンドを実行することができ、読み出しコマンドの間にビットラインの信号が少なくともVCCSA+M1にポンプ(又はキック)されるように、第1の維持電圧源(VCCSA+M1)が、読み出しコマンド中に再びセンスアンプに接続され得る。読み出しコマンドの実行後、通常の電圧源VCCSAが再びセンスアンプに接続され(
図3Aに示すスイッチ13をターンオフするとともにスイッチ14をターンオンすることにる)、そして、ビットラインの信号がVCCSAに戻る。
読み出しコマンド中のビットラインに対するこのようなキックは、信号発達時間を改善する。例えば、VCCSAが1.1Vであり且つM1が0.2Vである場合、読み出しコマンド中にキックありでの信号発達時間は、キックなしでのそれよりも約20%-30%だけ速い。
【0063】
同様に、T2後のRESTOREフェーズにおいて、元のVCCSA電圧源がセンスアンプから切り離され、第1の維持電圧源VCCSA+M1がセンスアンプ20に接続され、ビットラインの信号が少なくともVCCSA+M1までポンプ(又はキック)される。従って、DRAMセルのストレージキャパシタに、通常の信号ONEの電圧レベル(VCCSA)よりも高い第1の維持電圧源の電圧レベルが供給される。しかしながら、他の一実施形態では、
図8Bに示すように、T2後のRESTOREフェーズにおいて、(VCCSA+M1ではなく)元のVCCSA電圧源がなおもセンスアンプに接続される。
【0064】
また、他の実施形態では、アクティブコマンド中にはビットラインの信号をVCCSA+M1にキックさせずに、読み出しコマンド中にビットラインの信号をVCCSA+M1にキックさせる。
図8Cに示されるように、T2後のRESTOREフェーズにおいて、ビットラインの信号が少なくともVCCSA+M1にポンプ(又はキック)されるように、第1の維持電圧源VCCSA+M1がセンスアンプに接続される。
【0065】
図8Dは、この発明の他の一実施形態に従ったDRAMセルの動作についての関係する信号波形を示している。
図8Aと同様に、T1とT2との間の期間において、実行すべきアクティブコマンド及び該アクティブコマンドに続く少なくとも1つの読み出しコマンドが存在し、アクティブ動作中及び読み出しコマンド中に、対応する第1の維持電圧源(VCCSA+M1)がセンスアンプに接続され得る(
図3Aに示すスイッチ13をターンオンすることによる)。さらに、アクティブ動作中及び読み出しコマンド中に、対応する第2の維持電圧源(VSS-M2)がセンスアンプに接続され得る(
図3Bに示すスイッチ23をターンオンすることによる)。従って、アクティブコマンド中及び読み出しコマンド中に、ビットライン(BL)の信号が少なくともVCCSA+M1にポンプ(又はキック)されるとともに、ビットラインバー(BLB)の信号が少なくともVSS-M2にポンプ(又はキック)される。アクティブコマンド及び読み出しコマンドの実行後、通常の電圧源VCCSAがセンスアンプに接続される(
図3Aに示すスイッチ13をターンオフし且つスイッチ14をターンオンすることによる)とともに、通常の電圧源VSSがセンスアンプに接続され(
図3Bに示すスイッチ23をターンオフし且つスイッチ24をターンオンにすることによる)、そして、ビットラインの信号がVCCSAに戻るとともに、ビットラインバーの信号がVSSに戻る。
【0066】
同様に、T2後のRESTOREフェーズにおいて、元のVCCSA及びVSS電圧源がセンスアンプから切り離され(例えば、それぞれ
図3A及び
図3Bのスイッチ14及びスイッチ24をターンオフすることによってなど)、第1の維持電圧源VCCSA+M1がセンスアンプ20に接続される(
図3Aのスイッチ13をターンオンすることによる)とともに、第2の維持電圧源VSS-M2がセンスアンプ20に接続され(
図3Bのスイッチ23をターンオンすることによる)、そして、ビットラインの信号が少なくともVCCSA+M1にポンプ(又はキック)されるとともに、ビットラインバーの信号が少なくともVSS-M2にポンプ(又はキック)される。
【0067】
図8Eは、DRAMセルの動作におけるキック期間とビットラインの信号との間の関係を示している。RESTOREフェーズ(又はプリチャージ)K4に対応するビットラインの信号のキック期間は、アクティブコマンドK1に対応するものよりも長い、あるいは読み出しコマンドK2又はK3に対応するものよりも長いとし得る。また、アクティブコマンドK1に対応するビットラインの信号のキック期間は、リードコマンドK2又はK3に対応するものに等しい。当然ながら、K1-K3の期間中に、ビットラインの信号を電圧レベルVCCSA+M1又は他の電圧レベル(例えばVCCSA+ΔNなど、ただし、ΔN<M1など)まで上昇させることは、ブーストラップ回路によって行われることができ、ブーストラップ回路内のキャパシタの電荷がビットラインに結合される。電圧源であろうと、ブーストラップ回路であろうと、電荷源とみなすことができ、従って、ビットラインの信号は、電荷源によって電圧レベルVCCSA+M1又はVCCSA+ΔNまでキック又はポンプされ得る。VSS-M2(又はVSS-ΔN、ただし、ΔN<M2)にキックされるビットラインの信号もそうである。
【0068】
当然ながら、他の一実施形態において、VCCSAは、0.9V-0.5Vの範囲内(例えば、0.9V、0.8V、0.7V、又は0.6Vなど)又はそれより低いとすることができ、キック電圧VCCSA+M1は、リーク問題を解決してDRAMセルにおける許容可能な保持時間を維持するために、なおも1.1V-2.5Vの範囲内(例えば、1.1V、1.2V、1.35V、1.5V、1.8V、又は2.5Vなど)とすることができる。従って、DRAM回路におけるリーク問題が本発明に従って軽減されるので、DRAMテクノロジー移行の減速が存在しても、DRAMチップへの主電源電圧を1.0V-0.5V又はそれより低くまで低下させ得る。故に、DRAMチップへの主電源電圧は、ロジック回路チップへの主電源電圧と同じ又は実質的に同じとし得る。
【0069】
図9Aに示すように、DRAM回路500は、I/O回路510、周辺回路520、及びDRAMコア回路530を含む。DRAM500とロジック回路300との間に物理層回路400がある。物理層回路400が更に、I/O物理回路410及びロジック物理回路420を含む。通常、DRAM回路500はDRAMチップ内にあり、物理層回路400及びロジック回路300は、DRAMチップとは別個の他のチップ(例えばロジックチップなど)内に位置する。例えば、ロジックチップは、ロジック回路300であるメモリコントローラを含むとともに、DRAMチップ及びメモリコントローラとインタラクトする物理層回路(又はPHY回路)400も含む。
【0070】
他の一実施形態において、物理層回路400及びロジック回路300は、それぞれ別々の2つのチップ内に位置してもよい。例えば、DRAM回路500は、共に積層された複数のDRAMチップを含み得る。そして、積層されたDRAMチップは、物理層回路(又はPHY層)400を含むベースチップ(又はインターポーザ)上に位置付けられる。ロジック回路300は、ベースチップとは別のロジックチップ内に位置するデジタル回路又はメモリコントローラである。
【0071】
本発明によれば、DRAM回路500への主電源電圧Vnewを、1.0V-0.5V(若しくは0.9V-0.5V)の範囲内又はそれ未満とすることができ、これは、高速なスケールダウンロジックテクノロジー移行によって既に1.0V-0.5V(若しくは0.9V-0.5V)の範囲内又はそれ未満となっているロジックチップ又は回路300への主電源電圧Va’とちょうど同じである。主電源電圧Vnewは、DRAM回路500の外部にあり、例えば前述の電圧源VCCSA、VCCSA+M1、1/2VCCSA、VPPなどの、周辺回路520又はDRAMコア回路530で使用される様々な電圧源を生成するためにDRAM回路500によって使用され得る。VCCSAのレベルは、DRAM回路への主電源電圧Vnewのレベルと同じであってもよいし、異なってもよい。また、DRAM回路100の外部に別の供給電圧Vhighが存在してもよく、別の供給電圧Vhighは、主電源電圧Vnewよりも高く、変換効率の目的で電圧源Vpp又はVCCSA+M1を生成するために使用され得る。
【0072】
また、DRAM回路500への主電源電圧Vnewの値は、ロジック回路300への主電源電圧Va’の値と同じ又は実質的に同じであるので、伝統的なDRAM回路100のI/O回路110内の出力レベル変換回路(出力信号の電圧レベルをレベルアップ又はレベルダウンする)及び入力比較器が除去又は省略され得る。従って、
図9Bに示す本発明によれば、DRAM回路500のI/O回路510は、前述の出力レベル変換回路及び入力比較器を含まず、他のDRAM回路(例えば周辺回路520など)への又はからの入力/出力データの信号は、必ずしもI/O回路510によって変換又は比較されるわけではない。また、他のDRAM回路への又はからの入力/出力データの信号スイングは、主電源電圧Vnewのレベルに設定され得る。
【0073】
前述のように、DRAM回路500は、I/O回路510、周辺回路520、及びDRAMコア回路530を含む。周辺回路520は少なくとも、コマンド/アドレスデコーダ、及び/又はトランジスタを含む他の回路を有し、DRAMコア回路530は少なくとも、セルアレイ、及び/又はトランジスタを含む他の関連回路を有する。本発明に基き、周辺回路内のトランジスタのドレイン側への動作供給電圧は、DRAMチップへの主電源電圧源Vnewの電圧レベルと同じとし得る。また、アクセストランジスタではないDRAMコア回路内のトランジスタのドレイン側への動作供給電圧は、DRAMチップへの主電源電圧源の電圧レベルと同じとし得る。当然ながら、DRAMチップにおいて使用される信号ONE又は信号Highに対応する電圧レベルは、DRAMチップへの主電源電圧源Vnewの電圧レベルと同じとし得る。
【0074】
同様に、
図9Cに示す本発明によれば、物理層回路400のI/O物理回路410も、前述の出力レベル変換回路(出力信号の電圧レベルをレベルアップ又はレベルダウンするため)及び入力比較器を除去し得る。他の物理層回路(例えばロジック物理回路420など)への又はからの入力/出力データの信号は、必ずしも物理層回路400のI/O回路410によって変換又は比較されるわけではない。また、他の物理層回路への又はからの入力/出力データの信号スイングは、主電源電圧Va’(すなわち、Vnew)のレベルに設定され得る。
【0075】
従って、本発明に基づいて、ロジック回路300、物理層回路400、及びDRAM回路500への主電源電圧のレベルは、全て同じとし得る。DRAM回路500がDRAMチップ内に位置し、物理層回路400及びロジック回路300が、DRAMチップとは別個の他のロジックチップ内に位置する場合、DRAMチップへの主電源電圧のレベルは、ロジックチップへの主電源電圧のレベルと同じである。
【0076】
物理層回路400のI/O物理回路410とDRAM回路500とがDRAMチップ内に位置し、物理層回路400のロジック物理回路420及びロジック回路300が別のロジックチップ内に位置することが可能である。この場合にも、DRAMチップへの主電源電圧のレベルは、ロジックチップへの主電源電圧のレベルと同じである。
【0077】
他の一ケースにおいて、ロジック回路300、物理層回路400、及びDRAM回路500が、それぞれ、ロジックチップ、ベースチップ(又はインターポーザ)、及びDRAMチップ内に位置する場合、DRAMチップへの主電源電圧のレベルは、ベースチップへの主電源電圧のレベルと同じであり、ロジックチップへの主電源電圧のレベルとも同じである。
【0078】
前述したように、低電力アプリケーションでは、DRAMセルのデータ経路、ビットライン、及び/又はストレージノード上の書き込みデータの電圧レベルを低くする必要がある。しかしながら、対応するストレージノードに格納される電圧が低いと、重大なリーク問題に悩まされ、データ破損を生じさせ得る。本発明に従って復元フェーズ中にビットラインの電圧レベルをキックアップすることは、電力節減のためにデータ書き込み動作に適用されることができる。
図10は、本発明の他の一実施形態に従ったDRAMセルのWRITE動作における関係する信号波形を示しており、
図11は、DRAMセルのWRITE動作において2つの別々の電圧源VCCSA、VCCSAhに選択的に結合されるセンスアンプの概略回路を示しており、ここで、VCCSAhの電圧レベルは、VCCSAの電圧レベルよりも高い。
図1Fに示した書き込みデータXIO(例えば、信号ONE又は信号High)がデータ入力回路DIを介してグローバルI/O経路GIOに入力されるとき、グローバルI/O経路GIO上の書き込みデータの電圧レベルは、電力節減のためにVCCSA(例えば0.7Vなど)として保たれる。しかしながら、信号ONE(又は信号High)に対応する書き込みデータXIOの電圧レベルは、例えばVSSCAhなど、VCCSAよりも高いとし得る。次いで、グローバルI/O経路GIO上の書き込みデータが、データラインセンスアンプを介してデータラインDLに渡される。
図10に示すように、データラインDL上の書き込みデータの電圧レベルも、データラインセンスアンプ70によって電圧レベルVCCSAとして保たれ、
図10のこの実施形態では、電力を節約するために、VCCSAの電圧レベルは0.7Vに設定されている(しかし、これに限られない)。次いで、データラインDL上の書き込みデータが、メモリアレイ内の対応するビットラインBLに渡される。
図11に示すように、メモリアレイ75内で、ストレージノードSNに対応するワードラインWL66がアクセストランジスタ66をターンオンするように選択されるとき、VCCSA(例えば、0.7V)と、VCCSAよりも高いVCCSAh(例えば、1.1V)と、の2つの別々の電圧源が、異なる時に交差結合センスアンプ80に選択的に結合される。ワードラインWL66が選択された後、先ず、電圧源VCCSAが交差結合センスアンプ80に結合され、そして、アクセストランジスタ66にデータ(すなわち信号ONE)を書き込むためにビットスイッチBS100がターンオンされ、それ故に、ビットラインBLの電圧レベルもVCCSAに上昇される。一方、当業者であれば分かるはずのことには、信号EN1、EN2はイネーブルされ、信号EN3はディセーブルされる。信号波形に関して
図10に示すように、ビットラインBLの電圧レベルは、しばらくVCCSAに維持されるが、期間tWR(書き込みリカバリ時間)の終了後、復元フェーズ中にビットライン上の電圧レベルがVCCSAhまでキックアップ(又は“復元キック”と呼ぶ)される。期間tWRは、JEDEC(電子素子技術連合評議会)にて規定されたDRAM仕様を参照することができ、これは、プリチャージコマンドに対するLast Write CLK立ち上がりエッジである。このtWR(書き込みリカバリ時間)は、プリチャージコマンドからの復元キックが、書き込みサイクルが完了した後にのみ開始できることを保証する。
【0079】
従って、
図10に示すように、期間tWRの終了後、ビットラインBLの電圧レベルがVCCSAhにキックアップ(すなわち、復元キック)され、
図10のこの実施形態では、VCCSAhの電圧レベルは、VCCSAよりも高い1.1Vに等しい(しかし、これに限られない)。一方、
図10及び
図11を同時に参照するに、ストレージノードSNに対応するワードラインWL66がターンオフされる前に、電圧源VCCSAhが交差結合センスアンプ80、ビットラインBL、ひいてはストレージノードSNに結合され、その結果、たとえWRITE動作中のグローバルI/O経路GIO及びデータラインDLの電圧レベルがVCCSAであっても、ビットラインBLの電圧レベルがVCCSAからVCCSAhにキックアップされ、VCCSAhへの復元キックに基づいてストレージノードSNに十分な電荷が格納される。
【0080】
ビットラインBLの電圧レベルがVCCSA(0.7V、又は1.1Vよりも低い他の電圧レベル)からVCCSAh(1.1V)にキックアップされるので、本発明は明らかに、先行技術のリーク問題を解決することができる。すなわち、グローバルI/O経路GIO、データラインDL、及びビットラインBL上の書き込みデータの電圧レベルが0.7V、0.6V、又はそれより低くまで下げられても、対応するストレージノードに、VCCSAhへの復元キックに基づいて、十分な電荷を格納し得るので、本発明はなおもリーク問題及びデータ破損には悩まされないことになる。
図12に示すように、書き込み動作において、グローバルI/O経路GIO、データラインDL、及びビットラインBL上の書き込みデータの電圧レベルを0.7V(さらには0.6V又はそれより低く)まで下げることができ、その結果、動作電流も低くなる。例えば、グローバルI/O経路GIO、データラインDL、及びビットラインBL上の書き込みデータの電圧レベルが1.1Vから0.7Vまで低減(35%低減)されると、動作電流は141mAから35mAまで低減されることになり、ここで、動作電流141mAは、グローバルI/O経路GIO、データラインDL、及びビットラインBL上の書き込みデータの電圧レベルが1.1Vに維持される場合に対応する。
【0081】
一方、読み出し動作において、読み出しデータが信号ONE(又は信号High)に対応する場合、本発明の一実施形態では、グローバルI/O経路GIO及びデータラインDL上の読み出しデータの電圧レベルを、例えばVSSCAhなど、VCCSAよりも高くし得る。例えば、
図12に示すように、グローバルI/O経路GIO及びデータラインDL上の読み出しデータ(信号ONEに対応)の電圧レベルが、VCCSA(例えば0.7Vなど)に設定されるグローバルI/O経路GIO及びデータラインDL上の書き込みデータ(信号ONEに対応)の電圧レベルよりも高い1.1Vに設定される。同様に、DRAM動作のための制御信号及び/又はアドレス信号の電圧レベルも、グローバルI/O経路GIO及びデータラインDL上の書き込みデータ(信号ONEに対応)の電圧レベルよりも高い1.1Vに設定される(信号ONEに対応する場合)。
【0082】
従って、読み出し動作におけるグローバルI/O経路GIO及びデータラインDL(又はデータ経路)上の電圧スイングは、書き込み動作におけるグローバルI/O経路GIO及びデータラインDL(又はデータ経路)上の電圧スイングとは異なり、特に、グローバルI/O経路GIO及び/又はデータラインDL上の読み出しデータセット(信号ONE及び信号ZEROを含む)の電圧スイングは、グローバルI/O経路GIO及び/又はデータラインDL上の書き込みデータセット(信号ONE及び信号ZEROを含む)の電圧スイングよりも高い。また、本発明に従ったDRAM動作(例えば読み出し動作、書き込み動作、又は他の動作など)のための制御信号及びアドレス信号の電圧スイングは、書き込み動作におけるデータ経路上の電圧スイングとは異なる又はそれよりも高い。
【0083】
上述の説明をまとめると、この発明は、ロジック回路と統一した統一主電源電圧を有するサステナブルDRAMを開示する。DRAMストレージセルのアクセストランジスタがOFFにされる(又はDRAMストレージセルに結合されたワードラインがOFFにされる)前に、DRAMストレージセルに、信号ONE(又は信号high)の電圧レベルよりも高い第1の維持電圧が復元又は格納され得る。アクセストランジスタのターンオフ後、たとえアクセストランジスタ中のリーク電流が存在しても、ストレージキャパシタは、従来のDRAM構造と比較して長い期間にわたって持続することができる。DRAM回路におけるリーク問題が軽減されるので、DRAMテクノロジー移行の減速が存在しても、DRAMチップへの主電源電圧を1.0V-0.5V又はそれより低くまで低下させ得る。故に、DRAMチップへの主電源電圧は、ロジック回路チップへの主電源電圧と同じ又は実質的に同じとし得る。また、DRAMチップとロジックチップとの間の電源電圧の適合性は、エネルギー効率と性能同期の最適化につながり、動作速度を高めるだけでなく、ダイ面積及び電力を節減する。さらに、データ経路上の書き込みデータの電圧スイングが、データ経路上の読み出しデータの電圧スイングよりも低く、従って、書き込み動作のための電流又は電力が低減される。
【0084】
当業者が直ちに気付くことには、発明の教示を保持しながら装置及び方法の数多くの変更及び改変が為され得る。従って、以上の開示は、添付の請求項の境界範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。