(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】リアルタイムEEG信号モニタリングを基に、脳で同期化された脳波振動を同調させるカスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2022115398
(22)【出願日】2022-07-20
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194215
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0037069
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522232374
【氏名又は名称】リーソル シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リー,スン ウ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,グサン
(72)【発明者】
【氏名】パク,チャンユク
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-047239(JP,A)
【文献】特表2019-514538(JP,A)
【文献】特表2018-526134(JP,A)
【文献】特表2020-536643(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0042252(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトの脳を刺激する刺激部と、
前記刺激に対する脳の反応を測定するセンサ部と、
前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化された振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かを判断する制御部とを含み、
前記第1の反応が導出されない場合、前記制御部は、修正された刺激方式によって、前記刺激部が前記オブジェクトの脳を刺激するように制御
し、
前記刺激部は、経頭蓋交流電気刺激を伝達する電気刺激部であり、
前記経頭蓋交流電気刺激は、予め指定された第1の周波数によって、オン・オフが繰り返され、前記第1の周波数によってオンされた信号は、予め指定された第2の周波数によって、刺激で印加される第1の複合刺激であり、
前記制御部は、前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激による第1の信号は、ノイズとして処理し、前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激を除く第2の信号を基に、前記第1の反応が導出されるかを判断し、
前記第1の複合刺激によって、前記第1の反応が導出されない場合、前記制御部は、前記電気刺激部が、前記第1の周波数、前記第2の周波数、前記第2の周波数による刺激の出力、波形、及び周期のうち、少なくとも1つを修正した第2の複合刺激を、前記オブジェクトの脳に伝達するように制御する、機器。
【請求項2】
前記第1の周波数は、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化された振動の同調を誘導するために適用され、
前記第2の周波数は、前記オブジェクトの複数の脳領域でメンブレイン活動電位、及び脳オシレーションを誘導するために適用され、
前記第2の周波数は、前記第1の周波数よりも高い値を有する請求項
1に記載の機器。
【請求項3】
前記刺激部は、前記オブジェクトの状態に対応して決められた刺激方式によって、前記オブジェクトの脳を刺激し、
前記オブジェクトの状態は、前記オブジェクトに関する疾病及び前記疾病の進行程度を意味し、
前記疾病は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、てんかん、及び統合失調症を含む請求項
2に記載の機器。
【請求項4】
前記第1の反応は、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動の同調に対するものであり、
前記第1の周波数は、前記オブジェクトの前頭前皮質(PFC)及び海馬を含む前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させるため、30Hz乃至50Hzの周波数である請求項
3に記載の機器。
【請求項5】
前記第1の信号のサイズが前記第2の信号の大きいよりも予め設定された数値以上差があることを基に、前記第1の複合刺激による信号干渉は、無視可能である請求項
4に記載の機器。
【請求項6】
前記センサ部は、前記刺激に対応して誘導される前記脳の脳波を測定する脳波測定部であり、
前記制御部は、前記測定された脳波が前記ガンマ振動を同調させたときにのみ現れる同調脳波の出力及び波形に対応するか否かを用いて、前記第1の反応が導出されるかを判断する請求項
5に記載の機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記測定された脳波から、各周波数帯域のパワースペクトル値の平均及び標準偏差、ガンマ/アルファ/ベータ/デルタ/シータのうち、少なくとも1つの脳波組み合わせによる各平均値の割合を算出することで、前記測定された脳波の属性を抽出する請求項
6に記載の機器。
【請求項8】
前記第2の複合刺激によって、前記第1の反応が導出されない場合、前記制御部は、前記電気刺激部が、前記第1の周波数、前記第2の周波数、前記第2の周波数による刺激の出力、波形、及び周期のうち、少なくとも1つを更に修正した第3の複合刺激を、前記オブジェクトの脳に伝達するように制御する請求項
7に記載の機器。
【請求項9】
前記第1の複合刺激によって前記第1の反応が導出されない場合、前記制御部は、前記第1の複合刺激の前記第1の周波数よりも低い第1-1の周波数による前記第2の複合刺激が前記オブジェクトの脳に伝達されるように制御し、
前記第2の複合刺激によって前記第1の反応が導出されない場合、前記制御部は、前記第2の複合刺激の前記第1-1の周波数よりも低い第1-2の周波数による前記第3の複合刺激が前記オブジェクトの脳に伝達されるように制御し、
前記第1-1の周波数及び前記第1-2の周波数は、30Hz未満に修正可能である請求項
8に記載の機器。
【請求項10】
前記ガンマ振動の同調により、前記オブジェクトの前頭前皮質及び海馬で、40Hzの局所電場電位(LFP)が誘導される請求項
9に記載の機器。
【請求項11】
前記ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域の間でニューロン活性が調節され、
ニューロンの興奮性活動及び抑制的活動により分泌されるGABAergicとglutamatergicトランスミッション(Otransmission)の均衡が誘導される請求項
10に記載の機器。
【請求項12】
前記ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域でアミロイドプラークが減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域でタウの過剰リン酸化が減少される請求項
11に記載の機器。
【請求項13】
前記ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域でニューロン及びシナプスの損失が減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で脳萎縮が減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で脳室膨張が減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で神経炎症が減少される請求項
12に記載の機器。
【請求項14】
前記ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で少なくとも一部小膠細胞の免疫反応が減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で少なくとも一部小膠細胞が形態学的に変形し、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で少なくとも一部小膠細胞内タンパク質分解を増加させる請求項
13に記載の機器。
【請求項15】
機器と、
前記機器とネットワークを形成したサーバとを含むシステムであって、
前記機器は、
オブジェクトの脳を刺激する刺激部と、
前記刺激に対する脳の反応を測定するセンサ部と、
前記測定された脳の反応を前記サーバに転送する通信部とを含み、
前記サーバは、
前記測定された脳の反応に対する第1の情報を、予め指定された外部に転送し、
前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かを判断した第2の情報を、前記外部から受信し、
前記第2の情報を前記機器の通信部に転送し、
前記機器の前記刺激部は、経頭蓋交流電気刺激を伝達する電気刺激部であり、
前記経頭蓋交流電気刺激は、予め指定された第1の周波数によってオン・オフが繰り返され、前記第1の周波数によってオンされた信号は、予め指定された第2の周波数によって刺激で印加される第1の複合刺激であり、
前記外部は、
前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激による第1の信号は、ノイズとして処理し、
前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激を除く第2の信号を基に、前記第1の反応が導出されるかを判断し、
前記第2の情報を基に、前記第1の複合刺激によって前記第1の反応が導出されないことと判断される場合、前記機器の前記電気刺激部は、前記第1の周波数、前記第2の周波数、前記第2の周波数による刺激の出力、波形、及び周期のうち、少なくとも1つを修正した第2の複合刺激を前記オブジェクトの脳に伝達するシステム。
【請求項16】
機器と、
前記機器とネットワークを形成したサーバとを含むシステムであって、
前記機器は、
オブジェクトの脳を刺激する刺激部と、
前記刺激に対する脳の反応を測定するセンサ部と、
前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化された振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かを判断する制御部と、
前記測定された脳の反応を、前記サーバに転送する通信部とを含み、
前記サーバは、
前記測定された脳の反応に対する第1の情報を予め指定された外部に転送し、
前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かを判断した第2の情報を前記外部から受信し、
前記第2の情報を前記機器の通信部に転送し、
前記機器の前記刺激部は、経頭蓋交流電気刺激を伝達する電気刺激部であり、
前記経頭蓋交流電気刺激は、
予め指定された第1の周波数によって、オン・オフが繰り返され、前記第1の周波数によってオンされた信号は、予め指定された第2の周波数によって刺激で印加される第1の複合刺激であり、
前記機器の制御部及び前記外部は、前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激による第1の信号は、ノイズとして処理し、
前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激を除く第2の信号を基に、前記第1の反応が導出されるかを判断し、
前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化された振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かの判断と、前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かの判断とを共に用いて、前記第1の複合刺激によって、前記第1の反応が導出されないことと判断される場合、前記制御部は、前記電気刺激部が、前記第1の周波数、前記第2の周波数、前記第2の周波数による刺激の出力、波形、及び周期のうち、少なくとも1つを修正した第2の複合刺激を、前記オブジェクトの脳に伝達するように制御するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイムEEG信号モニタリングを基に、オブジェクトの複数の脳領域で同期化された脳波振動を同調させるカスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激を伝達する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳血管が老化することにつれ、固まり、脳リンパ系の循環に役立つ動脈の拍動が低下して、アルツハイマーのような疾病の発病可能性が高くなることが一般の現状である。
【0003】
また、アルツハイマー病(AD)を含む認知症は、脳及び認知機能の悪化(Canter)を特徴とする脳の致命的な疾病であり、様々な因子がアミロイド-β沈着、過リン酸化タウ蓄積、小膠細胞- 及び星状細胞-媒介炎症、及びニューロン及びシナプスの損失を含むADの発症機序に関することと知られている。
【0004】
アルツハイマー病(AD:Alzheimer's disease)は、現在、根本的な治療法がないアンメット・メディカル・ニーズ(unmet medical need)の領域であり、大きい問題となっている。
【0005】
まず、高齢化社会によるADの社会的・経済的負担が持続的に増加する傾向である。
【0006】
AD人口が増加しつつ、国内の場合、2011年から2015年まで認知症診療費は、年平均17.1%増加し、2015年基準に約13.2兆円(GDP対比0.9%)であったAD管理費用は、2050年には、8倍程度増加して、約106.5兆円(GDP対比3.8%)に至ると推定される。
【0007】
全世界的にADに関する社会的及び経済的費用は、2015年を基準に、8,180億ドル(約975兆560億ウォン、世界GDPの1.09%)であり、2030年には、2兆ドル(約2,382兆円)に至ると予測される。
【0008】
ついで、現在、AD治療のための伝統的な薬物治療が限界を見せている。
【0009】
ADの臨床失敗率は、約99.6%に達し、グローバル製薬大手が莫大な費用を投資して、新薬開発に参加しているが、臨床で失敗しつつある。ファイザーのBapineuzumabの場合、臨床費用4億米国ドル(4,400億ウォン)を投入しているが、失敗している。
【0010】
2021年6月、バイオジェン/エーザイ株式会社で開発したアデュカヌマブがベータアミロイド除去する機序で、FDAに条件付き承認を受けたが、脳血管障壁(Blood-brain barrier)通過率低下、治療効果不十分、副作用、及び高コストなど、依然として薬物治療の限界がある状況である。
【0011】
そこで、これを解決するための方法及び装置に対する高いニーズが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
特許文献1:大韓民国特許庁登録番号第10-1828954号
特許文献2:大韓民国特許庁登録番号第10-2223507号
特許文献3:大韓民国特許庁出願番号第10-2017-7024459号
【発明の概要】
【技術的課題】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は、オブジェクトの複数の脳領域で同期化された脳波振動を同調させることで、脳を刺激する装置及び方法を提供することである。
【0014】
具体的に本発明は、複数の代表刺激方式のうち、オブジェクトの状態に対応して決められた代表刺激方式により、脳を刺激し、測定された脳波の反応を基に、オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させる反応が導出されるか否かを判断して、最適の刺激を導出及び適用する機器及び方法を提供することである。
【0015】
本発明は、オブジェクトの前頭前皮質(PFC)及び海馬を含む前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させるために、前記オブジェクトに30Hz乃至50Hzの周波数を有する刺激を伝達することである。
【0016】
本発明は、リアルタイムEEG信号モニタリングを基に、脳で同期化されたガンマ振動を同調させるカスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激装置及び方法を提案することである。
【0017】
本発明は、脳波のガンマ波振動(γ-oscillation)調節機序によるアルツハイマー病の新規の治療法を提案することである。
【0018】
脳のニューロンの神経網活動の不均衡が様々である脳疾患の共通病理現象で、本発明では、ガンマ波振動(γ-oscillation)活性化によるアルツハイマー病治療及びモニタリングの新規な接近法を提案することである。
【0019】
本発明は、個人カスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激(tACS: transcranial Alternating Current Stimulation)機器、及びウェアラブルtACS刺激機器最適のGamma entrainmentパラメータを提案することである。
【0020】
本発明は、「tACS+EEG一体型装備」を提案し、Appに基づくEEGモニタリングシステムを提案することである。
【0021】
本発明は、正常老人を対象に、tACS刺激機のガンマ脳波誘導性能検証、及び個人毎に異なる脳波同調の最適刺激条件を提案することである。
【0022】
本発明は、ニューロフィードバックアルゴリズムに基づく個人カスタマイズ型アルツハイマー病治療アルゴリズムを提案することである。
【0023】
本発明は、メタバスサービス構築による脳刺激とリハビリ効果を分析し表示する方法を提案することである。
【0024】
本発明は、Aβ PET(Amyloide beta PET)及び認知機能検査に基づくGamma entrainment効果相関関係を検証し表示するシステム及び方法を提案することである。
【0025】
本発明は、刺激を通じたガンマ振動の同調を基に、オブジェクトの前頭前皮質及び海馬で40 Hzの局所電場電位(LFP)を誘導することである。
【0026】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域の間で、ニューロン活性が調節され、神経退行が減少する効果を提供することである。
【0027】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、アミロイド斑を減少させ、タウの過剰リン酸化を減少することである。
【0028】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、ニューロン及びシナプスの損失を減少させ、脳萎縮及び脳室膨張を減少させ、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、神経炎症を減少させることである。
【0029】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、少なくとも一部小膠細胞の免疫反応を減少させ、小膠細胞を形態学的に変形し、小膠細胞内タンパク質分解を増加することである。
【0030】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、膜トラフィッキング(membrane trafficking)、細胞内輸送、シナプス機能、神経炎症、細胞自滅過程、及びDNA損傷のうち、少なくとも1つに関する異常に変形した遺伝子及びタンパク質を改善することである。
【0031】
本発明は、前記機器及び方法により、アルツハイマー病、パーキンソン病(Parkinson's disease)、脳卒中(Stroke)、てんかん(epilepsy)、及び統合失調症(schizophrenia)と関連する治療を使用者に提供することである。
【0032】
一方、本発明で解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、下記の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるだろう。
【技術的解決方法】
【0033】
本発明の一実施例によるリアルタイムEEG信号モニタリングを基に、脳で同期化された脳波振動を同調させるカスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激装置は、オブジェクトの脳を刺激する刺激部と、前記刺激に対する脳の反応を測定するセンサ部と、前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化された振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かを判断する制御部とを含み、前記刺激部は、経頭蓋交流電気刺激を伝達する電気刺激部であり、前記経頭蓋交流電気刺激は、予め指定された第1の周波数によって、オン・オフが繰り返され、前記第1の周波数によってオンされた信号は、予め指定された第2の周波数によって、刺激で印加される第1の複合刺激であり、前記制御部は、前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激による第1の信号は、ノイズとして処理し、前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激を除く第2の信号を基に、前記第1の反応が導出されるかを判断し、前記第1の複合刺激によって、前記第1の反応が導出されない場合、前記制御部は、前記電気刺激部が、前記第1の周波数、前記第2の周波数、前記第2の周波数による刺激の出力、波形、及び周期のうち、少なくとも1つを修正した第2の複合刺激を、前記オブジェクトの脳に伝達するように制御することを特徴とする。
【0034】
前記第1の周波数は、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化された振動の同調を誘導するために適用され、前記第2の周波数は、前記オブジェクトの複数の脳領域でメンブレイン活動電位、及び脳オシレーションを誘導するために適用され、前記第2の周波数は、前記第1の周波数よりも高い値を有する。
【0035】
前記刺激部は、前記オブジェクトの状態に対応して決められた刺激方式によって、前記オブジェクトの脳を刺激し、前記オブジェクトの状態は、前記オブジェクトに関する疾病及び前記疾病の進行程度を意味し、前記疾病は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、てんかん、及び統合失調症を含む。
【0036】
前記第1の反応は、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動の同調に対するものであり、前記第1の周波数は、前記オブジェクトの前頭前皮質(PFC)及び海馬を含む前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させるため、30Hz乃至50Hzの周波数である。
【0037】
前記第1の信号のサイズが前記第2の信号の大きいよりも予め設定された数値以上差があることを基に、前記第1の複合刺激による信号干渉は、無視可能である。
【0038】
前記センサ部は、前記刺激に対応して誘導される前記脳の脳波を測定する脳波測定部であり、前記制御部は、前記測定された脳波が前記ガンマ振動を同調させたときにのみ現れる同調脳波の出力及び波形に対応するか否かを用いて、前記第1の反応が導出されるかを判断する。
【0039】
前記制御部は、前記測定された脳波から、各周波数帯域のパワースペクトル値の平均及び標準偏差、ガンマ/アルファ/ベータ/デルタ/シータのうち、少なくとも1つの脳波組み合わせによる各平均値の割合を算出することで、前記測定された脳波の属性を抽出する。
【0040】
前記第2の複合刺激によって、前記第1の反応が導出されない場合、前記制御部は、前記電気刺激部が、前記第1の周波数、前記第2の周波数、前記第2の周波数による刺激の出力、波形、及び周期のうち、少なくとも1つを更に修正した第3の複合刺激を、前記オブジェクトの脳に伝達するように制御する。
【0041】
前記第1の複合刺激によって前記第1の反応が導出されない場合、前記制御部は、前記第1の複合刺激の前記第1の周波数よりも低い第1-1の周波数による前記第2の複合刺激が前記オブジェクトの脳に伝達されるように制御し、前記第2の複合刺激によって前記第1の反応が導出されない場合、前記制御部は、前記第2の複合刺激の前記第1-1の周波数よりも低い第1-2の周波数による前記第3の複合刺激が前記オブジェクトの脳に伝達されるように制御し、前記第1-1の周波数及び前記第1-2の周波数は、30Hz未満に修正可能である。
【0042】
前記ガンマ振動の同調により、前記オブジェクトの前頭前皮質及び海馬で、40Hzの局所電場電位(LFP)が誘導される。
【0043】
前記ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域の間でニューロン活性が調節され、前記ニューロンの興奮性活動及び抑制的活動により分泌されるGABAergicとglutamatergicトランスミッション(Otransmission)の均衡が誘導される。
【0044】
前記ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域でアミロイドプラークが減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域でタウの過剰リン酸化が減少される。
【0045】
前記ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域でニューロン及びシナプスの損失が減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で脳萎縮が減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で脳室膨張が減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で神経炎症が減少される。
【0046】
前記ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で少なくとも一部小膠細胞の免疫反応が減少され、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で少なくとも一部小膠細胞が形態学的に変形し、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で少なくとも一部小膠細胞内タンパク質分解を増加させる。
【0047】
本発明の他の実施例による機器と、前記機器とネットワークを形成したサーバとを含むシステムであって、前記機器は、オブジェクトの脳を刺激する刺激部と、 前記刺激に対する脳の反応を測定するセンサ部と、前記測定された脳の反応を前記サーバに転送する通信部とを含み、前記サーバは、前記測定された脳の反応に対する第1の情報を、予め指定された外部に転送し、前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かを判断した第2の情報を、前記外部から受信し、前記第2の情報を前記機器の通信部に転送し、前記機器の前記刺激部は、経頭蓋交流電気刺激を伝達する電気刺激部であり、前記経頭蓋交流電気刺激は、予め指定された第1の周波数によってオン・オフが繰り返され、前記第1の周波数によってオンされた信号は、予め指定された第2の周波数によって刺激で印加される第1の複合刺激であり、前記外部は、前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激による第1の信号は、ノイズとして処理し、前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激を除く第2の信号を基に、前記第1の反応が導出されるかを判断し、前記第2の情報を基に、前記第1の複合刺激によって前記第1の反応が導出されないことと判断される場合、前記機器の前記電気刺激部は、前記第1の周波数、前記第2の周波数、前記第2の周波数による刺激の出力、波形、及び周期のうち、少なくとも1つを修正した第2の複合刺激を前記オブジェクトの脳に伝達する。
【0048】
本発明の更に他の実施例による機器と、前記機器とネットワークを形成したサーバとを含むシステムであって、前記機器は、オブジェクトの脳を刺激する刺激部と、前記刺激に対する脳の反応を測定するセンサ部と、前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化された振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かを判断する制御部と、前記測定された脳の反応を、前記サーバに転送する通信部とを含み、前記サーバは、前記測定された脳の反応に対する第1の情報を予め指定された外部に転送し、前記測定された脳の反応を基に、前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させる第1の反応が導出されるか否かを判断した第2の情報を前記外部から受信し、前記第2の情報を前記機器の通信部に転送し、前記機器の前記刺激部は、経頭蓋交流電気刺激を伝達する電気刺激部であり、前記経頭蓋交流電気刺激は、予め指定された第1の周波数によって、オン・オフが繰り返され、前記第1の周波数によってオンされた信号は、予め指定された第2の周波数によって刺激で印加される第1の複合刺激であり、前記機器の制御部及び前記外部は、前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激による第1の信号は、ノイズとして処理し、前記センサ部が測定した信号のうち、前記第1の複合刺激を除く第2の信号を基に、前記第1の反応が導出されるかを判断し、前記第1の判断と前記第2の判断を共に用いて、前記第1の複合刺激によって、前記第1の反応が導出されないことと判断される場合、前記制御部は、前記電気刺激部が、前記第1の周波数、前記第2の周波数、前記第2の周波数による刺激の出力、波形、及び周期のうち、少なくとも1つを修正した第2の複合刺激を、前記オブジェクトの脳に伝達するように制御する。
【発明の効果】
【0049】
本発明の一実施例によると、オブジェクトの複数の脳領域で同期化された脳波振動を同調させることで、脳を刺激する装置及び方法を提供することができる。
【0050】
具体的に本発明は、複数の代表刺激方式のうち、オブジェクトの状態に対応して決められた代表刺激方式により、脳を刺激し、測定された脳波の反応を基に、オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させる反応が導出されるか否かを判断して、最適の刺激を導出及び適用する機器及び方法を提供することができる。
【0051】
本発明は、オブジェクトの前頭前皮質(PFC)及び海馬を含む前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させるために、前記オブジェクトに30Hz乃至50Hzの周波数を有する刺激を伝達することができる。
【0052】
本発明は、リアルタイムEEG信号モニタリングを基に、脳で同期化されたガンマ振動を同調させるカスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激装置及び方法を提供することができる。
【0053】
本発明は、脳波のガンマ波振動(γ-oscillation)調節機序によるアルツハイマー病の新規の治療法を提供することができる。
【0054】
脳のニューロンの神経網活動の不均衡が様々である脳疾患の共通病理現象で、本発明では、ガンマ波振動活性化によるアルツハイマー病治療及びモニタリングの新規な接近法を提供することができる。
【0055】
本発明は、個人カスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激(tACS:transcranial Alternating Current Stimulation)機器、及びウェアラブルtACS刺激機器最適のGamma entrainmentパラメータを提供することができる。
【0056】
本発明は、「tACS+EEG一体型装備」を提案し、Appに基づくEEGモニタリングシステムを提供することができる。
【0057】
本発明は、正常老人を対象に、tACS刺激機のガンマ脳波誘導性能検証、及び個人毎に異なる脳波同調の最適刺激条件を提供することができる。
【0058】
本発明は、ニューロフィードバックアルゴリズムに基づく個人カスタマイズ型アルツハイマー病治療アルゴリズムを提供することができる。
【0059】
本発明は、メタバスサービス構築による脳刺激とリハビリ効果を分析し表示する方法を提供することができる。
【0060】
本発明は、Aβ PET(Amyloide beta PET)及び認知機能検査に基づくGamma entrainment効果相関関係を検証し表示するシステム及び方法を提供することができる。
【0061】
本発明は、刺激によるガンマ振動の同調を基に、オブジェクトの前頭前皮質及び海馬で40 Hzの局所電場電位(LFP)を誘導することができる。
【0062】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域の間で、ニューロン活性が調節され、神経退行が減少する効果を提供することができる。
【0063】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、アミロイド斑を減少させ、タウの過剰リン酸化を減少することができる。
【0064】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、ニューロン及びシナプスの損失を減少させ、脳萎縮及び脳室膨張を減少させ、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、神経炎症を減少することである。
【0065】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、少なくとも一部小膠細胞の免疫反応を減少させ、小膠細胞を形態学的に変形し、小膠細胞内タンパク質分解を増加することができる。
【0066】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、膜トラフィッキング、細胞内輸送、シナプス機能、神経炎症、細胞自滅過程、及びDNA損傷のうち、少なくとも1つに関する異常に変形した遺伝子及びタンパク質を改善することである。
【0067】
結果として、本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、てんかん、及び統合失調症に関する治療を使用者に提供することができる。
【0068】
一方、本発明より得られる効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好適な実施例を示しており、後述する発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想を更に理解させる役割を果たすので、本発明は、このような図面に記載された事項にのみ限定して解析してはいけない。
【
図1】
図1は、本発明によるオブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させることで、脳を刺激する装置のブロック構成図を示している。
【
図2】
図2は、本発明に関する刺激方式を説明する図である。
【
図3】
図3は、本発明に関する刺激方式を説明する図である。
【
図4】
図4は、本発明により脳波のガンマ波振動によるアルツハイマー病治療法の機序を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明に関して、ガンマ振動の同調に最も好適なtACSのメリットを説明するための図である。
【
図6】
図6は、tACS刺激と脳波を感知する機器を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明が提案するEEG信号に基づくclosed loop neuro-feedback tACS刺激方式を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本発明に関して、tACS+EEG一体型装備に対する開発概略図の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明に関して、リアルタイムtACS-EEGニューロフィードバックアルゴリズムブロック図を示している。
【
図10】
図10は、本発明に関して、Aβ PET画像とガンマバンド(Gamma band)相関関係導出、及び視覚化の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明に関して、Appに基づくEEGモニタリング及び外部医療機関との協力による治療システムの一例を示す図である。
【
図12】
図12a及び
図12bは、本発明に関して、ガンマ振動の同調を誘導することで、アミロイドベータタンパク質が減少され、認知機能が改善したことを説明するための実験結果を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明に関して、ガンマ同調治療により、脳の構造的変化が誘導され、アルツハイマー病の患者の認知機能が改善したことを説明するための実験結果を示す図である。
【
図14】
図14a及び
図14bは、本発明に関して、ミクログリアの活動性とタウタンパク質の絡みつきについて説明する図である。
【
図15】
図15は、ガンマ同調治療によるミクログリアの活動性調節により、タウタンパク質の絡みつきが改善したことを説明する図である。
【
図16】
図16は、本発明に関して、本発明による同等性製品認証による神経系脳疾患治療領域の拡張可能性を説明する図である。
【発明の実施のための形態】
【0070】
以下では、添付の図面を参考して、本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳述する。しかし、本発明に関する説明は、構造的乃至機能的説明のための実施例に過ぎないので、本発明の権利範囲は、本文に説明された実施例により制限されることと解析していはいけない。すなわち、実施例は、様々な変更が可能であり、様々な形態を有することができるので、本発明の権利範囲は、技術的思想を実現できる均等物を含むことと理解されるべきである。また、本発明で提示された目的又は効果は、特定の実施例がこれを全部含まなければならないか、このような効果のみを含まなければならないという意味ではないので、本発明の権利範囲は、これにより制限されることと理解してはいけない。
【0071】
本発明で述べる用語の意味は、以下のように理解される。
【0072】
「第1」、「第2」などの用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別するためのものであって、これらの用語により、権利範囲が限定されてはいけない。例えば、第1の構成要素は、第2の構成要素と指し示すことができ、同様に、第2の構成要素も、第1の構成要素と指し示すことができる。ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとしたときは、該当他の構成要素に直接連結されることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されるべきである。それに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとしたときは、中間に他の構成要素が存在しないことと理解されるべきである。一方、構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち、「~間に」と「すぐ~間に」、又は「~に隣接する」と「~に直接隣接する」なども、同様に解析される。
【0073】
単数の表現は、文脈上、明白に異なって意図しない限り、複数の表現を含むことと理解されるべきであり、「含む」又は「有する」などの用語は、説明された特徴、数字、段階、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせたことが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0074】
ここで使用される全ての用語は、異なって定義しない限り、本発明が属する分野における通常の知識を有する者によって、一般に理解されることと同一の意味を有する。一般に使用される辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致することと解析されるべきであり、本発明で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味を有することと解析できない。
【0075】
脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させて、脳を刺激する装置
図1は、本発明に関して、脳刺激システムのブロック構成図を示している。
【0076】
図1に示しているように、脳刺激システム1は、脳刺激装置100と、サーバ200とを含む。
【0077】
サーバ200は、医療機関とネットワークを形成して、医療陣の判断、意見に関する情報を受信し、脳刺激装置100に伝達する。
【0078】
まず、脳刺激装置100は、無線通信部110と、A/V(Audio/Video)入力部120と、ユーザ入力部130と、感知部140と、出力部150と、メモリ160と、インターフェース部170と、制御部180と、給電部190と、刺激部300とを含む。
【0079】
但し、
図1に示されている構成要素は必須ではなく、それより多くの構成要素を有するか、それより少ない構成要素を有する脳刺激システム1も具現可能である。
【0080】
以下、前記構成要素について、順次考察してみる。
【0081】
無線通信部110は、脳刺激システム1と無線通信システムの間、又は機器と機器が位置したネットワークの間の無線通信を可能とする1つ以上のモジュールを含む。
【0082】
例えば、無線通信部110は、移動通信モジュール112と、無線インターネットモジュール113と、近距離通信モジュール114と、位置情報モジュール115とを含む。
【0083】
放送受信モジュール111は、放送チャンネルを介して、外部の放送管理サーバより、放送信号及び/又は放送に関する情報を受信する。
【0084】
前記放送チャンネルは、衛星チャンネル、地上波チャンネルを含む。前記放送管理サーバは、放送信号及び/又は放送に関する情報を生成し送信するサーバ、又は既に生成済みの放送信号及び/又は放送に関する情報を提供されて、脳刺激装置100に送信するサーバである。前記放送信号は、TV放送信号、ラジオ放送信号、データ放送信号を含むだけでなく、TV放送信号又はラジオ放送信号にデータ放送信号が結合された形態の放送信号も含む。
【0085】
前記放送に関する情報は、放送チャンネル、放送プログラム、又は放送サービス提供者に関する情報である。前記放送に関する情報は、移動通信網を介しても提供される。このような場合は、前記移動通信モジュール112によって受信される。
【0086】
前記放送に関する情報は、様々な形態で存在する。例えば、DMB(Digital Multimedia Broadcasting)のEPG(Electronic Program Guide)、又は、DVB-H(Digital Video Broadcast-Handheld)のESG(Electronic Service Guide)などの形態で存在する。
【0087】
前記放送受信モジュール111は、例えば、DMB-T(Digital Multimedia Broadcasting-Terrestrial)、DMB-S(Digital Multimedia Broadcasting-Satellite)、MediaFLO(Media Forward Link Only)、DVB-H(Digital Video Broadcast-Handheld)、DVB-CBMS、OMA-BCAST、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcast-Terrestrial)などのデジタル放送システムを用いて、デジタル放送信号を受信することができる。もちろん、前記放送受信モジュール111は、前述したデジタル放送システムだけでなく、他の放送システムに適して構成される。
【0088】
放送受信モジュール111を介して受信された放送信号及び/又は放送に関する情報は、メモリ160に格納される。
【0089】
移動通信モジュール112は、移動通信網上で、基地局、外部の脳刺激装置100、サーバのうち、少なくとも1つと無線信号を送受信する。前記無線信号は、音声呼信号、ビデオ電話呼信号、又は文字/マルチメディアメッセージ送受信による様々な形態のデータを含む。
【0090】
無線インターネットモジュール113は、無線インターネット接続のためのモジュールであり、脳刺激装置100に内装又はる外装される。
【0091】
前記無線インターネットの技術としては、WLAN(Wireless LAN)(Wi-Fi)、Wibro(Wireless Broadband)、Wimax(World Interoperability for Microwave Access)、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)などが利用可能である。
【0092】
近距離通信モジュール114は、近距離通信のためのモジュールである。 前記近距離通信(short range communication)技術として、ブルートゥース、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(IrDA、infrared Data Association)、UWB(Ultra-Wideband)、ZigBeeなどが利用可能である。
【0093】
位置情報モジュール115は、脳刺激装置100の位置を取得するためのモジュールであって、その代表例として、GPS(Global Position System)モジュールがある。現在技術によると、前記GPSモジュール115は、3つ以上の衛星から離れた距離情報と正確な時間情報を算出した後、前記算出された情報に三角法を適用することで、緯度、軽度、及び高度による3次元の現在オ位置情報を正確に算出することができる。現在、3つの衛星を用いて、位置及び時間情報を算出し、他の1つの衛星を用いて、前記算出された位置及び時間情報の誤差を修正する方法が広く使われている。また、GPSモジュール115は、現在の位置をリアルタイムで続けて算出することで、速度情報を算出することができる。
【0094】
図1に示しているように、A/V(Audio/Video)入力部120は、オーディオ信号又はビデオ信号の入力のためのもので、これにはカメラ121とマイク122などが含まれる。
【0095】
カメラ121は、撮影モードでイメージセンサによって得られる静止画又は動画などの画像フレームを処理する。処理された画像フレームは、ディスプレイ部151に表示される。
【0096】
カメラ121で処理された画像フレームは、メモリ160に格納されるか、無線通信部110を介して外部に伝送される。
【0097】
カメラ121は、使用環境によって、2つ以上設けられる。
【0098】
マイク122は、録音モード、音声認識モードなどで、マイクロホンによって外部の音響信号を入力されて、電気的な音声データとして処理する。
【0099】
処理された音声データは、移動通信モジュール112を介して、移動通信基地局へ送信可能な形態に変換出力される。
【0100】
マイク122には、外部の音響信号を入力される過程で発生するノイズを除去するための様々なノイズ除去アルゴリズムが具現される。
【0101】
ついで、ユーザ入力部130は、ユーザが脳刺激システム1の動作制御のための入力データを発生させる。ユーザ入力部130は、キーパッド、ドームスイッチ(dome switch)、タッチパッド(静圧/静電)、ジョグホイール、ジョグスイッチなどで構成される。
【0102】
感知部140は、脳刺激システム1本体の開閉状態、脳刺激システム1の位置、ユーザの接触有無、脳刺激システム1の方位、脳刺激システム1の加速/減速などのように、脳刺激システム1の現状態を感知して、脳刺激システム1の動作を制御する感知信号を発生させる。
【0103】
感知部140は、給電部190の給電可否、インターフェース部170の外部の機器結合の可否などを感知する。
【0104】
特に、本発明による感知部140は、脳波測定部141を含む。
【0105】
脳波は、個体の思考、感情、行動は、脳に存在するニューロン間の疎通によって発生する。 脳波は、大脳皮質のニューロンが互いに信号を伝達して生じた同調化された電気的波動である。 脳波は、頭皮の特定地域に位置した表面電極の間の電位差を測定する脳電図(electroencephalogram、EEG)検査により測定することができる。脳電図が示す脳波は、表面電極の下にある無数に多くの大脳皮質ニューロンの電気的活性の合計である。
【0106】
脳波は、様々な周波数帯域に現れ、このような周波数帯域は、脳の状態を示す。脳波は、周波数帯域によって、デルタ波、シータ波、アルファ波、ベータ波、ガンマ波などに分けられる。
【0107】
デルタ波は、4Hz未満の周波数帯域を有しており、振幅が大きい。夢を見ない深い睡眠状態で現れる波形である。
【0108】
シータ波は、4~7Hzの脳波であって、特定の睡眠状態で発生する。深い冥想時にも現れる波形である。シータ波は、睡眠中に学習による記憶が公告化される過程に関与することとも知られている。
【0109】
アルファ波は、略8~13Hzであり、静かに休息を取っている覚醒状態で現れる脳波である。
【0110】
ベータ波は、14~29Hzであって、活性化された大脳皮質のリズムである。大脳皮質が覚醒状態で一般の認知的思考活動をする時、現れる波形である。
【0111】
ガンマ波は、30~80Hzの波形であって、緊張するか、興奮状態で現れる高振動数の脳波である。高度の集中状態で現れる波形として知られている。
【0112】
脳電図(EEG)は、脳波を測定する非侵襲的な技術であって、導電性接着剤を用いて平面電極を頭皮に固定した後、2つの電極の間の電位差を測定することである。
【0113】
多数の電極が頭皮上の標準位置に付着され、大脳皮質のニューロンから発生した微弱な振幅の電圧変化が信号増幅器で増幅されて、脳波計によって記録される。
【0114】
脳波は、頭蓋骨の真下に位置している大脳皮質のニューロンが疎通する過程で発生する電流である樹状突起のシナプス電流によって現れる。
【0115】
1つの神経細胞のシナプス電流は、非常に微弱であり、その信号が頭皮に付着された電極まで到達するためには、複数層の脳膜、脳脊髄液、頭蓋骨、頭皮層を経由しなければならない。脳波の電気的な記録が可能な理由は、脳波が数千個のニューロンが共に活性化したときに発生した信号の合計であるためである。そこで、ニューロンの活性が同調化すればするほど、大きい振幅の低い周波数形態の脳波として現れる。
【0116】
一方、出力部150は、視覚、聴覚、又は触覚などに関する出力を発生するためのもので、これには、ディスプレイ部151と、音響出力モジュール152と、アラーム部153と、ハプティックモジュール154と、プロジェクタモジュール155と、ヘッドアップディスプレイ(Head-up display、HUD)と、ヘッドマウントディスプレイ(Head mounted display、HMD)とを含む。
【0117】
ディスプレイ部151は、脳刺激システム1で処理される情報を表示(出力)する。
【0118】
ディスプレイ部151は、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、フレキシブルディスプレイ、3次元ディスプレイのうち、少なくとも1つを含む。
【0119】
これらのうち、一部のディスプレイは、外部を見られるように、透明型又は光透過型からなる。これは、透明ディスプレイと呼ばれ、前記透明ディスプレイの代表例としては、TOLED(Transparant OLED)などがある。ディスプレイ部151の後方構造も、光透過型構造からなることができる。このような構造により、ユーザは、脳刺激システム1ボディのディスプレイ部151が占める領域を通じて、脳刺激システム1ボディの後方に位置した事物を見ることができる。
【0120】
脳刺激システム1の形態により、ディスプレイ部151が2つ以上存在する。例えば、脳刺激システム1には、複数のディスプレイ部が1つの面に離隔するか、一体に配置され、また、互いに異なる面にそれぞれ配置されることもできる。
【0121】
ディスプレイ部151とタッチ動作を感知するセンサ(以下、「タッチセンサ」という)が相互レイヤー構造をなす場合(以下、「タッチスクリーン」という)、ディスプレイ部151は、出力装置の他に、入力装置として使用可能である。タッチセンサは、例えば、タッチフィルム、タッチシート、タッチパッドなどの形態を有する。
【0122】
タッチセンサは、ディスプレイ部151の特定の部位に加えられた圧力、又はディスプレイ部151の特定の部位で発生する静電容量などの変化を、電気的な入力信号に変換するように構成される。タッチセンサは、タッチされる位置及び面積だけでなく、タッチ時の圧力までも検出できるように構成される。
【0123】
タッチセンサに対するタッチ入力がある場合、それに対応する信号は、タッチ制御機に送出される。タッチ制御機は、それらの信号を処理した後、対応するデータを制御部180に伝送する。もって、制御部180は、ディスプレイ部151のある領域がタッチされたか否か分かることになる。
【0124】
近接センサ141は、前記タッチスクリーンによって覆われる脳刺激システム1の内部領域、又は前記タッチスクリーンの近傍に配置される。前記近接センサは、所定の検出面に近づける物体、あるいは、近傍に存在する物体の有無を電磁系の力又は赤外線を用いて、機械的に接触することなく、検出するセンサをいう。近接センサは、接触式センサよりは寿命が長く、その活用度も高い。
【0125】
前記近接センサの例としては、透過型光電センサ、直接反射型光電センサ、ミラー反射型光電センサ、高周波発振型近接センサ、静電容量型近接センサ、磁気型近接センサ、赤外線近接センサがある。前記タッチスクリーンが静電式の場合は、前記ポインタの近接による電界の変化で、前記ポインタの近接を検出するように構成される。この場合、前記タッチスクリーン(タッチセンサ)は、近接センサに分類される。
【0126】
前記近接センサは、近接タッチと、近接タッチパターン(例えば、近接タッチ距離、近接タッチ方向、近接タッチ速度、近接タッチ時間、近接タッチ位置、近接タッチ移動状態など)を感知する。前記感知された近接タッチ動作及び近接タッチパターンに相応する情報は、タッチスクリーン上に出力される。
【0127】
音響出力モジュール152は、録音モード、音声認識モード、放送受信モードなどで無線通信部110から受信されるか、メモリ160に格納されたオーディオデータを出力する。
【0128】
音響出力モジュール152は、脳刺激システム1で行われる機能に関する音響信号を出力したりする。このような音響出力モジュール152には、レシーバ(Receiver)、スピーカ(speaker)、ブザー(Buzzer)などが含まれる。
【0129】
アラーム部153は、脳刺激システム1のイベント発生を報知するための信号を出力する。
【0130】
アラーム部153は、ビデオ信号やオーディオ信号の他に、例えば、振動でイベント発生を報知するための信号を出力する。
【0131】
前記ビデオ信号やオーディオ信号は、ディスプレイ部151や音声出力モジュール152によっても出力され、これらのモジュール151、152は、アラーム部153の一部として分類可能である。
【0132】
ハプティックモジュール154は、ユーザが感じられる様々な触覚効果を発生させる。ハプティックモジュール154が発生させる触覚効果の代表例としては、振動がある。ハプティックモジュールが発生する振動の強さとパターンなどは、制御可能である。
【0133】
例えば、互いに異なる振動を合成して出力するか、順次出力することもできる。
【0134】
ハプティックモジュール154は、振動の他にも、接触肌面について垂直運動するピン配列、噴射口や吸入口による空気の噴射力や吸入力、肌表面に対する擦れ、電極(eletrode)の接触、静電気力などの刺激による効果と、吸熱や発熱可能な素子を用いた冷温感再現による効果など、様々な触覚効果を発生することができる。
【0135】
ハプティックモジュール154は、直接的な接触により、触覚効果を伝達することができるだけでなく、ユーザが指や腕などの筋感覚を通じて、触覚効果を感じられるように具現することもできる。ハプティックモジュール154は、脳刺激システム1の構成様態によって、2つ以上設けられる。
【0136】
プロジェクタモジュール155は、脳刺激システム1を用いて、イメージプロジェクト(project)機能を行うための構成要素であって、制御部180の制御信号によって、ディスプレイ部151上に表示される映像と同一であるか、少なくとも一部が異なる映像を、外部スクリーン又は壁に表示可能である。
【0137】
具体的に、プロジェクタモジュール155は、映像を外部に出力するための光(一例として、レーザ光)を発生させる光源(図示せず)、光源によって発生した光を用いて、外部に出力する映像を生成するための映像生成手段(図示せず)、及び映像を一定の焦点距離で外部に拡大出力するためのレンズ(図示せず)を含む。また、プロジェクタモジュール155は、レンズ又はモジュール全体を機械的に動かして、映像投射方向を調節する装置(図示せず)を含むことができる。
【0138】
プロジェクタモジュール155は、ディスプレイ手段の素子種類によって、CRT(Cathode Ray Tube)モジュール、LCD(Liquid Crystal Display)モジュール、及びDLP(Digital Light Processing)モジュールなどに分けられる。特に、DLPモジュールは、光源より発生した光がDMD(Digital Micromirror Device)チップに反射されることで生成された映像を拡大投射する方式で、プロジェクタモジュール151の小型化に有利である。
【0139】
望ましくは、プロジェクタモジュール155は、脳刺激システム1の側面、正面、又は背面に長さ方向に設けられる。また、プロジェクタモジュール155は、必要によって、脳刺激システム1のある位置でも設けられることは、言うまでもない。
【0140】
また、ヘッドアップディスプレイ(HUD)156は、車両などにおいて、車両の現在速度、燃料残量、ナビゲーション道案内情報などを、運転手のすぐ前のガラス窓部分にグラフィックイメージとして投影する装置を意味する。
【0141】
また、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)157は、仮想現実(Virtual reality)情報を出力する代表的な装置である。
【0142】
仮想現実とは、コンピュータにより、ある特定の環境や状況を、立体感のある3Dコンテンツに製作して、該当3Dコンテンツを使用する人間が、まるで、実際の周辺状況、環境と相互作用しているように作る人間-コンピュータ間のインターフェースなどを総称する。
【0143】
一般に、人間が知覚する立体感は、観察する物体の位置による水晶体の厚さ変化程度、両目と対象物との角度差、そして、左右目に見える対象物の位置及び形状の差、対象物の運動によって生じる視差、その他に、各種の心理及び記憶による効果などが複合的に作用して生じる。
【0144】
そのうち、人間が立体感を感じる最も重要な要因は、人間の両目が横方向に6.5cm程度離れていることで現れるようになる両眼視差(binocular disparity)である。すなわち、良案視差により、対象物に対する角度差をもって眺めるようになり、この差により、それぞれの目に入って来るイメージが互いに異なる像を有することになり、この2つの映像が網膜を介して脳に伝達されると、脳は、この2の情報を正確に互いに融合して、本来の3D立体映像を感じられることである。
【0145】
このような立体感のある3Dンテンツは、既に、多くのメディア分野に幅広く用いられて、消費者から好評を受けている。例えば、3D映画、3Dゲーム、及び体験ディスプレイのようなものが代表的である。
【0146】
このように、仮想現実技術の3Dコンテンツの普遍化と共に、更に没入度の高い仮想現実サービスを提供することができる技術の開発が多角的に要求されている。
【0147】
一般に、イメージディスプレイ装置は、目と非常に近接した位置で発生する映像光を、精密な光学装置を用いて、遠い距離に仮想の大型画面が構成できるように焦点を形成することで、ユーザにとって、拡大した虚像を見られるようにする画像表示装置をいう。
【0148】
また、イメージディスプレイ装置は、周囲環境は見ることができず、ディスプレイ素子より発散した映像光だけを見ることができる密閉型(See-close)と、ウィンドウを通じて周囲環境を見ることができ、且つ、ディスプレイ素子より発散した映像光を同時に見ることができる透過式(See-through)とに分けられる。
【0149】
本発明によるヘッドマウントディスプレイ(HMD)157とは、めがねのように頭に着用して、マルチメディアコンテンツを提供されるようにする各種のデジタルデバイスをいう。デジタルデバイスの軽量化及び少量化の傾向に応じて、様々なウェアラブルコンピュータが開発されており、HMDも広く使われている。HMD157は、単なるディスプレイ機能を超えて、増強現実技術、Nスクリーン技術などと組み合わせて、ユーザに様々な便宜を提供することができる。
【0150】
例えば、HMD157にマイクとスピーカーが装着される場合、ユーザは、HMD157を着用した状態で、電話通話を行うことができる。また、例えば、HMD157に遠赤外線カメラ122が装着される場合、ユーザは、HMD157を着用した状態で、ユーザが所望する方向のイメージを撮像することができる。
【0151】
また、メモリ部160は、制御部180の処理及び制御のためのプログラムが格納され、入出力されるデータ(例えば、メッセージ、オーディオ、静止画、動画など)の仮格納のための機能を行う。前記メモリ部160には、前記データのそれぞれに対する使用頻度も共に格納される。また、前記メモリ部160には、前記タッチスクリーン上のタッチ入力時に出力される様々なパターンの振動及び音響に関するデータを格納することができる。
【0152】
メモリ160は、フラッシュメモリタイプ、ハードディスクタイプ、マルチメディアカードマイクロタイプ、カードタイプのメモリ(例えば、SD又はXDメモリなど)、RAM、SRAM、ROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、磁気メモリ、磁気ディスク、光ディスクのうち、少なくとも1つのタイプの格納媒体を含む。脳刺激システム1は、インターネット上で、前記メモリ160の格納機能を行うウェブストレージ(web storage)に関して動作することもできる。
【0153】
インターフェース部170は、脳刺激システム1に連結される全ての外部機器との通路役割を果たす。インターフェース部170は、外部機器からデータを伝送されるか、電源を供給されて、脳刺激システム1内の各構の成要素に伝達するか、脳刺激システム1内のデータが外部機器に伝送されるようにする。例えば、有無線ヘッドセットポート、外部充電器ポート、有無線データポート、メモリカードポート、識別モジュールが設けられた装置を連結するポート、オーディオI/O(Input/Output)ポート、ビデオI/O(Input/Output)ポート、イヤホンポートなどが、インターフェース部170に含まれる。
【0154】
識別モジュールは、脳刺激システム1の使用権限を認証するための各種の情報を格納したチップであって、ユーザ認証モジュール(User Identify Module、UIM)、加入者認証モジュール(Subscriber Identify Module、SIM)、汎用ユーザ認証モジュール(Universal Subscriber Identity Module、USIM)などを含む。識別モジュールが設けられた装置(以下、「識別装置」という)は、スマートカード(smart card)形式で製作される。従って、識別装置は、ポートを介して、脳刺激システム1と連結可能である。
【0155】
前記インターフェース部は、脳刺激システム1が外部のクレードル(cradle)と連結されるとき、前記クレードルからの電源が前記脳刺激システム1に供給される通路となるか、ユーザによって、前記クレードルより入力される各種の命令信号が、前記移動機器に伝達される通路となり得る。前記クレードルより入力される各種の指令信号又は前記電源は、前記移動機器が前記クレードルに正しく装着されたことを認知するための信号として動作される。
【0156】
制御部180は、通常、脳刺激システム1の全般的な動作を制御する。
【0157】
給電部190は、制御部180の制御によって、外部の電源、内部の電源を印加されて、各構成要素の動作に必要な電源を供給する。
【0158】
ここで説明される様々な実施例は、例えば、ソフトウェア、ハードウェア、又は、これらの組み合わせを用いて、コンピュータ又はこれに類似した装置で読取り可能な記録媒体内で具現可能である。
【0159】
ハードウェア的な具現によると、ここで説明される実施例は、ASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、その他の機能を行うための電気的なユニットのうち、少なくとも1つを用いて具現可能である。一部の場合、本明細書で説明される実施例が制御部180自体で具現される。
【0160】
ソフトウェア的な具現によると、本明細書で説明される手続き及び機能のような実施例は、別のソフトウェアモジュールで具現可能である。前記ソフトウェアモジュールのそれぞれは、本明細書で説明される1つ以上の機能及び作動を行うことができる。適切なプログラム言語として書かれたソフトウェアアプリケーションで、ソフトウェアコードが具現可能である。前記ソフトウェアコードは、メモリ160に格納され、制御部180により実行される。
【0161】
また、刺激部300は、ニューロモジュレーション技法、ニューロフィードバック技法、感覚刺激技法などにより、ユーザの脳を刺激する機能を提供する。
【0162】
本発明による刺激部300は、電気刺激部310と、磁場刺激部320と、超音波刺激部330と、光刺激部340と、感覚刺激部350とを含む。
【0163】
まず、電気刺激部310は、DBS刺激部311と、tDCS刺激部312と、tACS刺激部313とを含む。
【0164】
DBS刺激部311は、脳深部刺激術(Deep brain stimulation)を利用するもので、微細な電極を脳の深い核部位に位置させて、ニューロンの活性を刺激させる。
【0165】
DBS刺激は、DC形状、パルス形状、NIR形状として提供される。
【0166】
脳深部刺激術(DBS)に関して、特定の脳部位の核に電気刺激を投与すると、脳領域で発病する病理学的信号を妨害することで、運動障害を始めとした様々な疾病の治療及び症状改善を図るることができる。
【0167】
脳深部刺激術は、微細な電極を脳の深い核部位に配置し、心臓拍動器と同様な方式で胸に挿入したパルス発生器から、活動に必要な電力を供給される。これにより、脱分極遮断、すなわち、電極部位に位置したニューロンの神経出力を遮断することができる。
【0168】
また、シナプス抑制、すなわち、電極付近の神経細胞に対するシナプス連結を有する軸索末端を活性化させて、神経細胞の出力を間接的に調節することができる。
【0169】
次に、tDCS刺激部312は、経頭蓋直流刺激法(transcranial direct current stimulation)を利用するもので、頭に電極をつけて、弱い直流形状の電流で大脳皮質の神経細胞を刺激する。
【0170】
tDCS刺激部312は、脳損傷による後遺障害回復のための非侵襲的脳刺激の方法であって、電気刺激により、脳神経の活性状態を調節することで、脳機能の向上を図ることができる。
【0171】
また、tACS刺激部313は、電極を付着し、これにより、1mAよりも少ない量の微細電流を頭蓋に伝達するもので、不安感、鬱病、不眠症、ストレス、頭痛などの症状と、複数種類の痛みなどを改善させる非薬物的治療に使用される。
【0172】
tACS刺激は、ミクログリア調節に効果的であり、微細電流を用いて安全であり、副作用がないため、中長期的な治療が可能である。
【0173】
また、ホルモン分泌を促進及び/又は抑制させる既存の化学的療法との互換性が高い最先端治療法である。
【0174】
tACS刺激を適用する場合、Brain自体の安定したDMN維持で、睡眠誘導及び睡眠の質を向上することができる。
【0175】
また、ホルモン(セロトニン、メラトニン、GABAなど)改善による睡眠誘導及び睡眠の質を向上することができる。
【0176】
また、脳組織を刺激して、神経化学物質を、ストレス前の均衡に戻すことができる。
【0177】
磁場刺激部320は、TMS(transcranial magnetic stimulation)方式を用い、経頭蓋磁気刺激法と呼ばれ、磁気エネルギーを用いて、脳内の神経細胞を非侵襲的に刺激する。
【0178】
これは、パーキンソン症候群(Parkinson's syndrome)、うつ病などの神経疾患及び精神疾患治療に効果的である。
【0179】
頭の近くに導電電磁気コイルで強力な磁場を発生させると、該当磁場が頭蓋骨を通過しながら、軽頭蓋皮質の神経細胞を刺激する。
【0180】
この時、磁場の速さにより、大脳皮質の活性度を高く又は低くすることができるが、例えば、鬱病のように大脳皮質の活性度が低い場合は、高頻度刺激を用い、不安症や躁うつ病のように活性度が高すぎる場合は、低頻度刺激を用いて、活性度を調節する。
【0181】
また、超音波刺激部330は、治療効果のために超音波を活用するもので、産婦人科、整形外科、皮膚科などで広範囲に使用される。
【0182】
超音波は、人間が聞こえる限界を超えた周波数を有した音波を意味する。一般に、元気な人が聞こえる音波は、20kHzであり、超音波は、これを超えた音波である。超音波治療は、治療効果のために、このような超音波を活用し、産婦人科、整形外科、皮膚科などで広範囲に使用される。
【0183】
超音波治療は、大きく、1000W/cm2以上の高強度超音波と、10~50W/cm2範囲の低強度超音波とに分けられる。高強度超音波治療は、組織を選択的に加熱して治療する方式で、主に腫瘍治療に活用され、低強度超音波治療は、皮下組織を加熱して治療するもので、肌リフティング、骨折、軟骨細胞再生など、筋骨格系治療に使用されている。そして、超音波治療は、肌損傷がなく、回復が速いというメリットがある。
【0184】
HIFU(High Intensity Focused Ultrasound、高強度集束型超音波)は、多方向から送出される超音波ビームを集束したとき、発生する熱とエネルギーを用いて、切開や手術すること
なく、腫瘍を壊死させるか、サイズを減らす方法である。これは、子宮筋腫、前立腺癌、骨転移癌、肝癌などの治療に活用されている。
【0185】
LIFU(Low Intensity Focused Ultrasound、低強度集束型超音波)は、熱を用いて、皮下組織の壊死を通じて、肌リフティング効果が得られる方法である。高強度集束型超音波と治療機序は同様であるが、使用される強度と範囲で相違する。
【0186】
LIPUS(Low Intensity Pulsed Ultrasoun、低強度パルス型超音波)は、治療部位に超音波を放射して、物理的振動を刺激して、細胞を活性化する方法であり、骨折治療、軟骨細胞再生治療などに活用される。
【0187】
ソノフォレーシス(Sonophoresis)は、低い周波数の超音波を用いて、肌に薬物を伝達する用途として使用される。
【0188】
また、光刺激部340の光を頭に照射して脳刺激を与える方式で、Brain Photo Modulation方式を適用することができる。
【0189】
光刺激部340によると、600-1000nmの光が細胞壁に浸透して、ミトコンドリア内のCOX(Cytochrome coxidase)呼吸チェーンに関与することになる。
【0190】
これにより、シナプス生成増加、血管形成増加、血流増加、炎症防止、アポトーシス防止、SOD増加、神経興奮毒性が減少される。
【0191】
また、感覚刺激部350は、視覚刺激部351と、聴覚刺激部352とを含む。
【0192】
感覚刺激部350は、脳に直接的な刺激を加えることなく、他器官に刺激を加えることで、迂回的に脳に刺激を加える方式である。
【0193】
視覚刺激部351は、肉眼に入って来て、光の感覚を起こす放射を言う。
【0194】
例えば、視覚刺激部351は、通常、10万燭光程度の白色のストロボスコープの閃光を用いて、閉眼状態の被検者の目前20cm前後にストロボスクポのバルブを固定し、全視野を照射する。刺激方法としては、低頻度から高頻度の順に、刺激を10秒間与え、次の10秒間、脳波や被験者の姿を観察した後、次の刺激に移る。
【0195】
本発明に関する刺激方式
図2及び
図3は、本発明に関する刺激方式を説明する図である。
【0196】
図2に示しているように、DBS311は、特定の部位にニードルを挿入して電気を刺激する方式で、正確な位置刺激が可能であるが、手術が必要であるという不都合がある。
【0197】
tDCS312は、刺激を所望する両端に電気刺激を加える非侵襲的刺激であり、処置が簡単であるが、電極部位のやけどの危険がある。
【0198】
tACS313は、人体の電気的特性に適したパルス方式を加える方式で、痛みはないが、刺激を認知しにくいという不都合がある。
【0199】
tMs320は、マグネチックエネルギーを活用した非侵襲的刺激方式で、頭骨通過が可能であるが、便宜性が落ちる(大型機械使用)。
【0200】
超音波33は、集束可能であるが、骨や空気がある場合、伝達が不可であるという不都合がある。
【0201】
光340は、処置が簡単であるが、厚い骨を通過できないという不都合がある。
【0202】
一方、サーバ200は、データベースを構築し、脳刺激装置100と情報を交換することができる。
【0203】
ここで、サーバ200と脳刺激装置100の間には、近距離通信又は遠距離通信が適用される。
【0204】
ここで、無線通信技術としては、WLAN(Wireless LAN)(Wi-Fi)、Wibro(Wireless Broadband)、Wimax(World Interoperability for Microwave Access)、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)などが利用可能である。
【0205】
また、近距離通信(short range communication)の技術としては、ブルートゥース、RFID、赤外線通信(IrDA)、UWB、ZigBeeなどが利用される。
【0206】
図示してはいないが、サーバ200の代わりに、スマートフォン、PCなども適用可能である。
【0207】
また、
図3は、本発明に関する感覚刺激方式を説明するための図である。
【0208】
図3には、ネズミが光と聴覚を通じて感覚刺激を提供される例示的な内容が示されている。
【0209】
ネズミが受ける光刺激は、周期、パターン、強度などを異にして、提供可能である。
【0210】
例えば、10万燭光程度の白色のストロボスコープの閃光を用いて、ネズミの目前20cm前後にストロボスクポのバルブを固定し、全視野を照射し、刺激方法としては、低頻度から高頻度の順に、刺激を10秒間与え、次の10秒間、脳波や被験者の姿を観察した後、次の刺激に移る。
【0211】
聴覚刺激部352は、音を媒体として、損傷した脳を刺激し、脳の作用を活性化して、脳機能を回復させる治療方法である。
【0212】
神経学的聴覚刺激治療は、音を認識し生産する活動が人間頭脳と行動機能に影響することを前提とし、脳卒中、外傷による脳損傷、パーキンソン病、ハンチントン病、脳性麻痺、アルツハイマー、自閉、その他の神経学的疾患などで損傷した認知、動作、意思疎通機能をリハビリするための目的として使用される。
【0213】
ガンマ波振動によるアルツハイマー病治療法及び機序
本発明では、脳波のガンマ波振動の調節機序によるアルツハイマー病の新規な治療法を提案しようとする。
【0214】
脳のニューロンの神経網活動の不均衡が、様々な脳疾患の共通病理現象として現れる。
【0215】
健常者の脳では、excitatory神経細胞とinhibitoryニューロンの均衡化した脳の神経網活動が正常に作動し、特に、ガンマ波振動(広くは25~100Hz、限定しては30~50Hz)脳活動は、脳認知及び記憶機能と密接な関係があることは、最近、様々な非臨床及び臨床でよく知られた事実である。
【0216】
様々な退行性及び精神科的脳疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、及び統合失調症)では、excitatory神経細胞とinhibitoryニューロンの活動により、神経細胞より分泌されるGABAergic and glutamatergic transmissionの不均衡で、ガンマ波振動に異常が生じることになる。
【0217】
そこで、本発明では、ガンマ波振動活性化によるアルツハイマー病の治療方法装置を提供し、合わせて、リアルタイムモニタリングの新規な接近法を提案しようとする。
【0218】
本発明が提案するGamma Entrainment Therapy(GET)方法により、AD動物モデル及び患者において、アミロイドベータ及びタウタンパク質除去、Cerebral Blood Flow増加、認知力増加などが可能であり、ADに対する新規な治療法となり得る。
【0219】
また、本発明では、ガンマ波振動を、EEGで治療過程をモニタリングし、アルツハイマー病の治療効果を診断し、アミロイドベータタンパク質変化をPETで視覚化する方法を提案しようとする。
【0220】
図4は、本発明により、脳波のガンマ波振動によるアルツハイマー病治療法の機序を説明する図である。
【0221】
図4の(a)に、ノーマル(normal)ブレーンを示されている。
【0222】
ここで、inhibitoryニューロンとexcitatoryニューロンが示される。
【0223】
inhibitoryニューロンとexcitatoryニューロンの間のシナプスを通じたコミュニケーションで、GABAergic物質(神経抑制物質)とglutamatergic物質(活性化物質)の間のtransmissionが行われる。
【0224】
正常な脳では、コミュニケーションしながら、ケミカルバランスが起き、
図4の(a)のように、分泌される物質がバランスをとって、ガンマ波振動が20-100Hzで発生し、測定されたガンマ波振動が正常に現れ、認知機能も正常に動作する。
【0225】
しかし、
図4の(b)のように、アルツハイマー病患者の場合、inhibitoryニューロンとexcitatoryニューロンの間の分泌されるGABAergic物質とglutamatergic物質の間の不均衡により測定されたガンマ波振動が、異常に現れるようになる。以後、GABAergic物質とglutamatergic物質が減少し、アミロイドベータ、タウタンパク質などが蓄積され、且つ、ガンマ波振動が更に低くなり、認知機能も健常者と比較して、確実に落ちることになる。
【0226】
Gamma Entrainment Therapy(GET)方法により、海馬(HPC)及び内側前頭葉皮質(mPFC)から選択された皮質領域内記録部位の5%以上で、周期的スパイク反応(spiking response)を誘導することができる。
【0227】
ガンマ振動は、高速スパイキングパルブアルブミン(fast-spiking parvalbumin、FS-PV)介在ニューロン(interneuron)で誘導されるが、「fast-spiking(FS)」は、スパイク頻度適応がほとんどないか、スパイク高さの弱化がほとんどない状態で、場時間、高い速度で放出可能なニューロンの能力を指し示す。
結果として、約40Hzで局所電場電位(LFP)を誘導することで、ミクログリア活動安定化、及びベータアミロイド/タウ除去が可能である。
また、リアルタイムモニタリング及び刺激の変更に関して、受容器から反応を導出することに必要な感覚の絶対的なしきい値又は最小量は、刺激の類型及び対象体に基づいて変わることになる。
また、ガンマ振動が誘導されるか否か、個体感受性、認知機能、物理的又は化学的変化、ストレス、安全性などを始めとして、刺激及び/又は個体を検出し、これらに関するフィードバックを提供するための検出装置を基に、モニタリングするのが可能である。
【0228】
そこで、本発明では、
図4の(c)に示しているように、アルツハイマー病患者などに対して同期化されたガンマ波振動の同調を誘導して、異常なガンマ波振動を正常化させ、これにより、認知機能を向上させる治療方法/機序を提案する。
【0229】
本発明で採用したガンマ振動の同調に最も好適なtACS
図5は、本発明に関して、ガンマ振動の同調に最も好適なtACSのメリットを説明するための図である。
【0230】
図2及び
図3で説明した複数の刺激方式のうち、DBS311の場合、電気刺激挿入のための手術が必要であるという問題点がある。
【0231】
また、tDCS312は、直流方式であって、交流を基にするガンマ波振動の同調を誘導するのが不可である。
【0232】
また、tMs320は、大型装備であり、患者の便宜性が落ち、
図4で説明した機序が適用され難いという問題点がある。
【0233】
また、超音波330は、超音波伝達媒質が必須に必要であり、大型装備であって、患者の便宜性が落ちるという問題点がある。
【0234】
そこで、本発明では、個人カスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激(tACS)機器を通じて、従来の問題点を解消し、新規な方式の治療方法を提案しようとする。
【0235】
tACS313装備は、gamma entrainment therapyに適した交流電気を使用し、これを用いたAD治療効果機序が異なる電気刺激方式(DBS、tDCS)であるが、tMS及び超音波方式に比べて、明確なAD治療機序が既検証されたというメリットがある。
【0236】
また、tACS313装備は、他の装備と比較して、小型のウェアラブル装備として開発が可能であり、DBSで必要な外科的手術や超音波方式で要する媒質が不要であるため、低コストと患者の便宜性が最も高い方式であり、FDA及びKFDA基準(2mA以下を使用)により、安全性検証も確保した状態である。
【0237】
tACS刺激と脳波を感知する機器
本発明によると、AIに基づくEEG測定によるカスタマイズ型刺激提供が可能である。
【0238】
すなわち、EEG測定により刺激パターンを決め、リアルタイムモニタリングし、最適の刺激をユーザに提供する構造からなる。
【0239】
ユーザのEEG測定し、測定されたEEGを基に、現在の脳状態を判断し、蓄積されたデータを基に、判断された脳状態改善のための最適の刺激強さ、周期、パターンなどを決める。
【0240】
図6は、tACS刺激と脳波を感知する機器を説明するための図である。
【0241】
図6に示しているように、脳波測定部141とtACS刺激部313が複数配置される。
【0242】
また、サーバ200との通信により、測定されたEEGを基に、現在の脳状態を判断し、蓄積されたデータを基に、判断された脳状態改善のための最適の刺激強さ、周期、パターンなどを決める。
【0243】
以下では、図面を参照すると、tACS刺激部313による複合刺激方式と、リアルタイムの脳波測定を基に、closed loop neuro-feedbackする方式について具体的に説明する。
【0244】
EEG信号に基づくclosed loop neuro-feedback tACS刺激方式
本発明が提案するtACS刺激による同期化されたガンマ波振動の同調を誘導し、これをリアルタイムで感知することは、従来には不可であった。
【0245】
すなわち、GET(Gamma Entrainment Therapy)方式のためには、脳信号をリアルタイムモニタリングする技術が必須的であるが、ガンマ振動は、約25-100Hz領域で、普通、40Hzがターゲット周波数であるが、また、40Hzで加振する方式であるため、加振周波数とEEGを通じて測定すべき周波数が同じ周波数領域であるので、リアルタイムモニタリングが技術的に不可な状況である。
【0246】
例えば、ガンマ波振動同調のために、40Hzの刺激を与える場合、EEGによる感知も、40Hz帯域の信号を対象とするので、測定された信号が刺激からのノイズであるか、ターゲットするEEG信号であるか、区分できないので、従来では、本発明が提案する方法を具現することができなかった。
【0247】
そこで、本発明では、リアルタイムEEG信号取得のためのtACS刺激方式を、バースト周波数(Burst Frequency)とパルス繰り返し周波数(Pulse Repetition Frequency(PRF))の混合刺激方式を用いて、EEG周波数と刺激周波数帯域を分離することができる。
【0248】
すなわち、混合刺激又は複合刺激自体の印加される周波数は、オブジェクトの複数の脳領域で同期化された振動の同調を誘導するために、30Hz乃至50Hz帯域のパルス繰り返し周波数(PRF)による。
【0249】
また、混合刺激は、オブジェクトの複数の脳領域でメンブレイン活動電位(membrane action potential)及び脳オシレーション(brain oscillation)を誘導するためのサイズを有する信号であり、該当信号は、続けて印加されるものではなく、前記PRFによって、オン/オフされるバースト信号の形態を有する。
【0250】
また、PRFによりオンされた信号は、バースト周波数により刺激に印加され、この時、バースト周波数は、パルス繰り返し周波数(PRF)よりも高く設定される。
【0251】
例えば、オン・オフされるPRFは、40Hzの低周波を使用(gamma oscillation entrainment誘導を目的)し、オンされた信号のバースト周波数は、10kHzの高周波を使用(メンブレイン活動電位及び脳オシレーション誘導を目的)することができる。
【0252】
ここで、複合刺激による信号は、高周波数(10kHz)帯域であるので、ターゲットのEEG信号の周波数(40Hz)を測定するため、低周波パスフィルターを通じて分離する。また、PRFにより生成される電気信号のサイズが、ターゲットのEEG信号のサイズに比べて、約100倍程度低いサイズであるので、複合刺激のPRFにより誘導された脳波信号を、リアルタイムで干渉なく、取得することができるようになる。
【0253】
すなわち、40HzのEEGをリアルタイムで受けるため、40Hzで電気刺激をすると、電気刺激信号とEEG信号の干渉で、リアルタイムモニタリングができない。
【0254】
そこで、本発明では、高周波のバースト電気刺激を40HzPRFを通じて伝達することで、ガンマ同調(entrainment)を誘導する。
【0255】
ここで、バーストによる電気刺激信号は、高周波数帯域に区分して、信号分離が可能であるため、所望する40HzEEG信号をリアルタイムで感知することができることになる。
【0256】
図7を参照して、より具体的な内容について説明する。
【0257】
図7は、本発明が提案するEEG信号に基づくclosed loop neuro-feedback tACS刺激方式を説明するための図である。
【0258】
図7に示しているように、EEG周波数と、刺激周波数帯域を分離するために、tACS刺激部313方式を、バースト周波数とパルス繰り返し周波数(PRF)の混合刺激方式を用いる。
【0259】
混合刺激は、印加される信号が所定のパルス繰り返し周波数(PRF)410により、オン/オフされるバースト信号であって、PRF410により、オンされた信号は、バースト周波数420により刺激に印加される。
【0260】
前述したように、PRF410は、オブジェクトの複数の脳領域で同期化された振動の同調を誘導するために適用され、バースト周波数420は、前記オブジェクトの複数の脳領域でメンブレイン活動電位、及び脳オシレーションを誘導するために適用される。
【0261】
ここで、バースト周波数420は、10kHzであり、パルス繰り返し周波数(PRF)410の40Hzよりも高い値を有する。
【0262】
バースト周波数420は、メンブレイン活動電位により、ニューロンを動かし、脳オシレーションを誘導して、互いにコミュニケーションするようにする。
【0263】
バースト周波数420を高い周波数で刺激することで、メンブレイン活動を容易に誘導し、オシレーションを早く誘導することになる。更に、パルス繰り返し周波数(PRF)410により、脳で発生する複合刺激のPRF410により誘導された脳波信号と印加する混合刺激間の区分のため、バースト周波数420は、30Hz乃至50Hz帯域よりも高い周波数に設定される。
【0264】
また、パルス繰り返し周波数(PRF)410は、前述した同期化されたガンマ振動の同調を誘導するために印加され、前記バースト信号420により刺激された活動をガンマオシレーションにより同期化して同調されるように誘導することになる。
【0265】
特に、パルス繰り返し周波数(PRF)410は、オブジェクトの前頭前皮質(PFC)及び海馬を含む前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させるため、前記オブジェクトに30Hz乃至50Hzの周波数を有する刺激を伝達する方式となる。
【0266】
脳に混合刺激が印加されると、バースト周波数420により、ニューロンの活動が誘導され、不規則なコミュニケーションが起き、ここにPRF410によるガンマ波領域の周期で活動が誘導されたニューロンが同調されて動作することになる。
【0267】
そこで、本発明では、高周波のバースト電気刺激を通じて、脳波同調を誘導し、40HzPRFを通じて、ガンマ同調を誘導することになる。
【0268】
さらには、印加する混合刺激のバースト周波数420は、30Hz乃至50Hz帯域よりも高い周波数に設定されるので、複合刺激のPRF410により誘導された脳波信号と印加する混合刺激を区分することができ、感知された混合刺激は無視し、実際ターゲットの脳波のみを区分して、取得することになる。
【0269】
従来には、PRFを40Hzで印加し、40HzをEEGで感知しなければならないので、リアルタイムで測定するのが不可であったが、本発明のようにバースト周波数420によりオン/オフされるバースト信号を脳領域で同期化された振動の同調を誘導するためのPRF410により、複合刺激で印加する場合は、
図8のように、40dB以上(数学的に換算すると、100倍以上)差があることになり、複合刺激による信号と複合刺激のPRF410により誘導された脳波信号を区分するのが可能であり、ターゲットの脳波信号のみを取得することが可能である。
【0270】
センサ部140は、前記刺激に対応して誘導される前記脳の脳波を測定する脳波測定部141であり、制御部180は、測定された脳波が前記ガンマ振動を同調させたときにのみ現れる同調脳波の出力及び波形に対応するか否かを用いて、反応が導出されるかを判断することになる。
【0271】
制御部180は、前記測定された脳波から、各周波数帯域のパワースペクトル(power spectrum)値の平均及び標準偏差、ガンマ/アルファ/ベータ/デルタ/シータの脳波組み合わせによる各平均値の割合を算出することで、前記測定された脳波の属性を抽出する。
【0272】
本発明によるEEGセンサ141は、リアルタイムで信号を測定することになり、例えば、5分間は、pre EEG信号510として使わない信号、次の20分間は、リアルタイムで分析のために使用するRT EEG信号520を感知することができる。
【0273】
また、RT EEG信号520を20分間測定した後に、更に5分間、post EEG信号530として使わない信号として処理することができる。
【0274】
前述したように、本発明でリアルタイムでEEGを測定する目的は、本発明が提供する機器を通じて、ユーザが実際に脳領域で同期化されたガンマ振動が同調されたか否かを確認するためである。
【0275】
一般には、40HzのPRF410により複合刺激を印加することで、ユーザ(患者)は、同期化されたガンマ振動が同調される。
【0276】
しかし、アルツハイマー病(AD)患者の場合、脳認知機能が落ちることにより、同期化されたガンマ振動の同調が40Hzよりも低い周波数で行われる。
【0277】
そこで、本発明では、バースト周波数420、PRF410、刺激の波形及び周期のうち、少なくとも1つを修正した複合刺激を、オブジェクトの脳に伝達することで、実際に同期化されたガンマ振動が同調されるように誘導することができる。
【0278】
代表的に、PRF410を、最初には、40Hzで印加してから、ガンマ振動同調が誘導されない場合、38、36、34、32Hzの信号に下げて印加することで、同調を誘導することができる。
【0279】
持続的な本機器の使用により、患者の脳機能を改善して、32Hz帯域で同調が誘導される患者を、正常範疇である40Hz帯域で同調が誘導されるようにすることができる。
【0280】
反対に、40Hzよりも高い周波数でガンマ振動の同調が誘導される患者もあり得るので、周波数を高める方向に複合刺激を修正して刺激することも可能である。
【0281】
図7に示しているように、tACS刺激部313を通じて、バースト周波数420により、オン・オフされるバースト信号を脳領域で同期化された振動の同調を誘導するためのPRF410により、複合刺激(combined stimulation)を印加する(S1)。
【0282】
また、EEGセンサ141が刺激を進行し、且つ、前記複合刺激による脳波信号を感知することになる(SS、S3)。
【0283】
ここで、制御部180では、EEGセンサ141が測定した信号のうち、複合刺激による信号は、ノイズに区分して無視可能である。
【0284】
また、制御部180は、EEGセンサ141が測定した信号のうち、複合刺激のPRF410により誘導された脳波信号を基に、ガンマ振動を同調させる反応が導出されるか否かを判断する(S4)。
【0285】
もし、ガンマ振動を同調させる反応が導出されない場合、制御部180は、バースト周波数420、PRF410、刺激の波形及び周期のうち、少なくとも1つを修正した複合刺激をオブジェクトの脳に伝達することで、実際に同期化されたガンマ振動が同調されるように誘導することができる(S7)。
【0286】
前記ステップS1~S7の過程は、実際にユーザの脳で同期化されたガンマ振動が実際に同調されるまで、繰り返して行われることができる。
【0287】
同期化されたガンマ振動が実際に同調された場合、制御部180は、アミロイドベータ、タウタンパク質の変化、及び認知記憶力変化間の相関関係を分析(S5)し、ディスプレイ部151を通じて、AD治療モニタリング情報を提供することができる。
【0288】
結果として、本発明は、リアルタイムtACS刺激時、EEG信号取得技術を用いて、Gamma Entrainmentが行われるかの判断により、ニューロフィードバック方式を通じて、AD治療効率を高めることができる。
【0289】
tACS+EEG一体型装備
図8は、本発明に関して、tACS+EEG一体型装備に対する開発概略図の一例を示す図である。
【0290】
図8に示しているように、本発明が提案するtACS+EEG一体型装備に基づくEEG信号収集の検証のために、reference装備として、商用EEG収集装置(OPEN BCI、600)が共に使用可能である。
【0291】
各装置で収集されたEEG信号(S11)を基に、時間軸で移動平均フィルターを適用(S12)した後、FFTによる周波数軸変換(S13)以後、定格電圧除去及びGamma帯域のみを観察するためのフィルターを適用(S14)し、各信号のPower Spectrum Density(PSD)間の差を誘導(S15)して、tACS+EEG一体型装備のEEG歪み程度を相対的に分析(S16)した後、本発明による装備上のEEG性能を改善することが可能である。
【0292】
本発明では、商用EEG収集装備600との比較分析により、tACS+EEG一体型装備100の性能高度化を構築して、Gamma entrainmentを確認し、tACSのための最適の刺激パラメータ再検証が可能である。
【0293】
これにより、最終的に選定されたGamma entrainmentのための刺激パラメータを基に、ユーザ治療を行うことができる。
【0294】
リアルタイムtACS-EEGニューロフィードバックアルゴリズム
図9は、本発明に関して、リアルタイムtACS-EEGニューロフィードバックアルゴリズムブロック図を示している。
【0295】
前述したように、患者によりそれぞれ異なるガンマバンド周期を有するため、効率的なGamma entrainmentのため、各患者に最適化されたPRF周期を有するtACS刺激信号を印加することは非常に重要であり、患者によって、互いに異なる生体リズム信号などの様々な周波数特性がEEG信号に混合して、理想的なGamma entrainmentのためのEEG信号分析の難しさが発生する。
【0296】
そこで、
図9に示しているように、tACS+EEG一体型装備が患者別に最適化されたGamma entrainmentを誘導することができるリアルタイムニューロフィードバックアルゴリズム(S28、S29、S30)を開発して、前記アルゴリズムは、事前に患者のガンマバンド周期を確認(S27及びS28)して、最適のPRFを有するtACS刺激信号を印加することが可能なEEGガンマオシレーション分析アルゴリズム、及び患者別生体リズム信号を事前に確認し収集されたEEG信号から、リアルタイムで除去(S21~S26)することが可能な移動平均フィルターアルゴリズムで構成される。
【0297】
Aβ PET映像とガンマバンド相関関係導出及び視覚化
図10は、本発明に関して、Aβ PET映像とガンマバンド相関関係導出及び視覚化を示す図である。
【0298】
図10の(a)は、Aβ PETイメージとEEG信号特性を分析した一例であり、(b)は、Aβ PETのSUVR値とガンマバンド間相関関係導出アルゴリズムの一例を示す図である。
【0299】
Aβ PET映像は、Alzheimer's疾病程度が重症であるほど、SUVRパラメータスケール数値が増加する特性を示すため、本発明で提案したtACS-EEG一体型装備のGamma entrainmentの効率性との相関関係を導出することで、AD治療過程をモニタリングすることができる。
【0300】
このため、本発明では、tACS-EEG一体型装備100を用いた刺激前後Aβ PETの一定単位面積当たり、SUVR数値を導出し、前記数値を収集されたガンマバンドの時間軸パターン及び周波数軸面積などのパラメータと相関関係を演算するアルゴリズムを適用することができる。
【0301】
結果として、Aβ PETのSUVRパラメータとガンマバンドの相関関係をデータベース化して、人工知能を基に治療効果を予測することができるアルゴリズムの提供が可能である。
【0302】
Appに基づくEEGモニタリング及び外部医療機関との協力による治療システム
本発明で提案するtACS+EEG一体型装備100の適用と併せて、前記装備100により、リアルタイムで収集されたEEG信号のパターン及び特性データを持続的に格納して、認知症早期診断及び治療経過を確認することが重要である。
【0303】
図11は、本発明に関して、Appに基づくEEGモニタリング及び外部医療機関との協力による治療システムの一例を示す図である。
【0304】
図11の(a)は、tACS+EEG一体型装備100を示し、(b)は、Appに基づくEEGモニタリングシステム610を示し、(c)は、モバイルで伝送されたデータを受信するサーバ200を示し、(d)は、予め指定された医療機関620を示している。
【0305】
図11に示しているように、tACS+EEG一体型装備100と無線通信を通じてモバイルでデータ連動が可能なAppに基づくEEGモニタリングシステム610を適用し、モバイルで伝送されたデータは、サーバ200に伝送され、サーバ200は、これを医療機関620に伝達して、医療陣の判断を受信し、これを基に、デジタルバイオマーカー(Digital biomarker)のためのデータセット(Dataset)確保として活用することができる。
【0306】
本発明によると、Gamma entrainmentが誘導されたか否かの判断を、機器100の制御部180が行うことが可能であり、サーバ200により、医療陣の判断を受領することも可能である。
【0307】
さらには、機器100の制御部180及びサーバ200の医療陣判断を組み合わせて、Gamma entrainmentが誘導されたか否かを判断することもできる。
【0308】
脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させることの効果
アルツハイマー病(AD)を含む認知症は、脳及び認知機能の悪化(Canter)を特徴とする脳の致命的な疾病である。
【0309】
様々な因子がアミロイド-β沈着、過リン酸化タウ蓄積、小膠細胞の活動、及び星状細胞-媒介炎症、及びニューロン及びシナプスの損失を含むADの発症機序に寄与している。
【0310】
研究結果によると、神経活動での変化は、多くのマウスモデルでアミロイド-β及びタウ蓄積のようなAD病理に影響することと現れていた。
【0311】
このような観察を考えてみると、ニューロン振動を操作することが、AD病理の改善に効果的であるか否かを調査するために、様々な接近法が使用された。
【0312】
特に、ガンマ周波数バンド(約30~90Hz)での振動は、hAPP-J20、ApoE4、5XFADを含む様々なADマウスモデルだけでなく、特に、人間AD患者でも減少されることと明かされた。
【0313】
最近の研究は、ガンマ振動を目標とし、その研究結果は、これがAD病理を緩和させる有望な戦略を表わすことを示唆している。
【0314】
まず、パブアルブミン-陽性(PV+)連合ニューロンにある電圧開閉性ナトリウムチャンネルサブユニットNav1.1の発現により、又は、Nav1.1過発現連合ニューロン電球細胞の脳移植でガンマ振動を増加させることは、hAPP-J20マウスでガンマ欠乏を緩和させ、てんかん性活動及び認知力減退をいずれも減少させた。
【0315】
また、強いガンマ周波数振動を誘導することと現れた40HzでPV+連合ニューロンの発光遺伝子(optogenetic)活性は、5XFADマウスでアミロイド負荷を減少させ、小膠細胞の形態学的変形を向上させることと明かされた。
【0316】
40Hz刺激を用いるこのような非侵襲的接近法は、5XFADマウスのアミロイド負荷を減少させ、小膠細胞を変更するにおいて、同様に効果的であった。
さらには、アミロイド水準(Aβ1-40、及びAβ1-42の可溶性及び不溶性形態)だけでなく、プラーク病理も減少させることも明かされた。
【0317】
また、強いガンマ周波数振動を誘導することは、5XFADマウスでそれぞれ、Aβの生成を減少させ、除去を向上させる様々な細胞類型(ニューロンと小膠細胞を含む)に影響した。
【0318】
そこで、脳刺激を通じて、脳で同期化されたガンマ振動を誘導すると、アミロイド負荷が減少し、一部脳領域で形態学的変化が現れる。
【0319】
本発明の基本的な前提技術として、刺激を通じて、対象体の脳でガンマ振動同調を誘導し、脳領域(例えば、海馬、体性感覚、及び前頭前皮質)までガンマ干渉を拡張するだけでなく、同時にこのような多数の脳領域にわたって、低ガンマ干渉を強化させることを適用する。
【0320】
すなわち、本発明は、電気刺激、磁場刺激、超音波刺激、光刺激、視覚刺激、及び聴覚刺激のうち、少なくとも1つを非侵襲的に伝達する感覚刺激のうち、少なくとも1つを用いて、オブジェクトの脳を刺激することができる。
【0321】
本発明は、刺激を通じたガンマ振動の同調を基に、オブジェクトの前頭前皮質及び海馬で40Hzの局所電場電位(LFP)を誘導することができる。
【0322】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域の間でニューロン活性が調節され、神経退行が減少する効果を提供することができる。
【0323】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、アミロイドプラークを減少させ、タウの過剰リン酸化を減少することができる。
【0324】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域でニューロン及びシナプスの損失を減少させ、脳萎縮及び脳室膨張を減少させ、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で神経炎症を減少することができる。
【0325】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で少なくとも一部小膠細胞の免疫反応を減少させ、小膠細胞を形態学的に変形し、小膠細胞内のタンパク質分解を増加することができる。
【0326】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で膜トラフィッキング、細胞内輸送、シナプス機能、神経炎症、細胞自滅過程、及びDNA損傷のうち、少なくとも1つに関する異常に変形した遺伝子及びタンパク質を改善することができる。
【0327】
結果として、本発明は、アルツハイマー病、脳腫瘍(brain tumor)、鬱病、脳卒中、てんかん、及び睡眠障害に関する治療を、ユーザに提供することができる。
【0328】
本発明では、脳で同期化されたガンマ振動を誘導すると、アミロイド負荷が減少し、一部の脳領域で形態学的変化が現れ、結果として、対象体で認知機能が改善するということを利用する。
【0329】
ガンマ振動の誘導は、神経学的疾病又は障害、又は年齢に関する退行を病んでいる対象体でガンマ振動を誘導することは、疾病や障害又は老人星退行により損傷したか、これに関して損傷したガンマ振動リズムを復元する作用(マイクログリアの活動性調節)が可能である。
【0330】
また、ガンマ振動の誘導は、可溶性Aβペプチド、不溶性Aβペプチド、同種型Aβ1-40及びAβ1-42など、Aβの生成を減少し、除去を強化することが可能である。
【0331】
また、ガンマ振動の誘導は、対象体の脳でAβの蓄積を予防することが可能である。
【0332】
また、ガンマ振動の誘導のその他の効果として、対象体の多数の脳領域の間で、神経活性調整、神経退行減少、神経炎症減少、膜トラフィッキング、細胞内輸送、シナプス機能、神経炎症、細胞自滅過程、及びDNA損傷のうち、少なくとも1つに関する異常に変形した遺伝子とタンパク質を改善することが可能である。
【0333】
図12a及び
図12bは、オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させることで、脳領域でアミロイドプラークが減少され、小膠細胞の免疫反応が減少されることを説明するための図である。
【0334】
ここで、小膠細胞又はクログリアは、ミクログリアであって、脳で免疫機能を担当する神経源細胞である。
【0335】
脳で白血球の役割を果たすミクログリアは、適切水準で活動することで脳健康が維持されるが、睡眠不足、ストレス増加により、ミクログリアの活動性が増加することになると、ミクログリア活動の増加により、ベータアミロイド、タウタンパク質の蓄積が誘導される。
【0336】
図12aには、PILでのミクログリアと、PILでのAβプラークを示している。
【0337】
図12aは、40Hzの治療刺激を脳に照射し、これによるベータアミロイドの減少、ミクログリアの活動性減少、及び認知機能が改善することを示している。
【0338】
すなわち、ミクログリア活動減少及びAβプラーク数減少を観察したが、3つの各段階の対象オブジェクトは、以下の通りである。
【0339】
WT: wild typeマウス
Tg/Stim+: 実際刺激(5XFADマウス)
Tg/Stim-:模擬刺激(5XFADマウス)
PIL: pre- and infra-limbic cortex
5XFAD: アルツハイマー病Aβ42病理
【0340】
図12aに示しているように、アルツハイマー病にかかったネズミに関して、ガンマ振動誘導する場合、ミクログリア活動が減少し、Aβプラーク数が減少することを明確に確認することができる。
【0341】
また、
図12bには、PIL皮質で単位面積(mm2)の当たりのAβプラークの数と、PIL皮質で単位面積(a.u.)の当たりのIba1信号強度を示している。
【0342】
図12bからも、40HzでAβプラーク数及びIba1 signal intensity増加を確認することができる。
【0343】
一方、
図13は、オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させることで、アルツハイマー病患者の認知機能が改善することを説明している。
【0344】
図13の(a)に示しているように、40Hzの刺激による軽症AD患者の記憶力及び認知機能改善確認のために、軽症のAD患者対象としたrandomized、placebo-controlled Trialを試みている。
【0345】
具体的に、4ヶ月間、一日1回、40Hz sensory stimulationを受けた後、安全性、順応度、脳の構造及び機能、睡眠、認知機能変化を測定したが、最終的に、40Hzの刺激で高い耐薬性及び順応度/ Efficacy & Safetyが見られた。
【0346】
すなわち、40Hz同調誘導は、ホームケアであって安定的であり、人気知能及びADに関する構造的、機能的退化において、改善効果を見せた。
【0347】
また、
図13の(b)に示しているように、Cognitive function Testに関して、Face-Name Recall Testとして、顔-名前(14)を5秒間見て、繰り返してマッチングするTESTを行ったことであり、MVN(Media Visual Network)を行った結果であるが、40Hz同調誘導で軽症AD患者の認知機能改善効果が明確に観られた。
【0348】
図14a及び
図14bは、本発明に関して、ミクログリアの活動性とタウタンパク質の絡みつきに関することを説明する図であり、
図15は、ガンマ同調治療によるミクログリアの活動性調節により、タウタンパク質の絡みつきが改善したことを説明するための図である。
【0349】
図14a及び
図14bには、ミクログリアの活動性が増加することにつれ、タウタンパク質の絡みつきがさらに悪くなって損傷する過程及び実験結果を示している。
また、
図15に示しているように、ミクログリアの活動性を緩和することで、過リン酸化されたタウタンパク質の凝集、ナーブファイバの絡みつきのの発達が減少する過程が示されている。
【0350】
そこで、本発明は、tACSを通じてオブジェクトの脳を刺激し、刺激によるガンマ振動の同調を基に、オブジェクトの前頭前皮質及び海馬で、40Hzの局所電場電位(LFP)を誘導することで、以下の効果をユーザに提供しようとする。
【0351】
- ニューロン活性が調節され、神経退行が減少される効果
- アミロイドプラークを減少させ、タウの過剰リン酸化を減少
- ニューロン及びシナプスの損失を減少させ、脳萎縮及び脳室膨張を減少させ、神経炎症を減少
- 小膠細胞の免疫反応を減少させ、小膠細胞を形態学的に変形し、小膠細胞内のタンパク質分解を増加
- 前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で膜トラフィッキング、細胞内輸送、シナプス機能、神経炎症、細胞自滅過程、及びDNA損傷のうち、少なくとも1つに関する異常に変形した遺伝子及びタンパク質を改善
【0352】
本発明では、前述したAIに基づく脳波(EEG)分析を基に、最適の刺激パターン印加によるミクログリア安定化+ベータアミロイド/タウ除去から、認知症治療剤を提供する。
【0353】
特に、Optimal Treatment Optionとして、印加対象ニューロモジュレーション刺激データを基に、Optimal Dose(強さ、周波数、周期、パターンなど)が適用可能である。
【0354】
本発明による効果
本発明の一実施例によると、オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させることで、脳を刺激する装置及び方法を提供することができる。
【0355】
本発明の一実施例によると、オブジェクトの複数の脳領域で同期化された脳波振動を同調させることで、脳を刺激する装置及び方法を提供することができる。
【0356】
具体的に本発明は、複数の代表刺激方式のうち、オブジェクトの状態に対応して決められた代表刺激方式により、脳を刺激し、測定された脳の反応を基に、オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させる反応が導出されるか否かを判断して、最適の刺激を導出及び適用する機器及び方法を提供することができる。
【0357】
本発明は、オブジェクトの前頭前皮質(PFC)及び海馬を含む前記オブジェクトの複数の脳領域で同期化されたガンマ振動を同調させるため、前記オブジェクトに30Hz乃至50Hzの周波数を有する刺激を伝達することができる。
【0358】
本発明は、リアルタイムEEG信号モニタリングを基に、脳で同期化されたガンマ振動を同調させるカスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激装置及び方法を提供することができる。
【0359】
本発明は、脳波のガンマ波振動調節機序によるアルツハイマー病の新規の治療法を提供することができる。
【0360】
脳のニューロンの神経網活動の不均衡が様々である脳疾患の共通病理現象で、本発明では、ガンマ波振動活性化によるアルツハイマー病治療及びモニタリングの新規な接近法を提供することができる。
【0361】
本発明は、個人カスタマイズ型経頭蓋交流電気刺激機器、及びウェアラブルtACS刺激機器最適のGamma entrainmentパラメータを提供することができる。
【0362】
本発明は、「tACS+EEG一体型装備」を提案し、Appに基づくEEGモニタリングシステムを提供することができる。
【0363】
本発明は、正常老人を対象に、tACS刺激機のガンマ脳波誘導性能検証、及び最適刺激条件を提供することができる。
【0364】
本発明は、ニューロフィードバックアルゴリズムに基づく個人カスタマイズ型アルツハイマー病治療アルゴリズムを提供することができる。
【0365】
本発明は、メタバスサービス構築による脳刺激とリハビリ効果を分析し表示する方法を提供することができる。
【0366】
本発明は、Aβ PET(Amyloide beta PET)に基づくGamma entrainment効果相関関係を検証し表示するシステム及び方法を提供することができる。
【0367】
本発明は、刺激によるガンマ振動の同調を基に、オブジェクトの前頭前皮質及び海馬で40 Hzの局所電場電位(LFP)を誘導することができる。
【0368】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域の間で、ニューロン活性が調節され、神経退行が減少する効果を提供することができる。
【0369】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、アミロイド斑を減少させ、タウの過剰リン酸化を減少することができる。
【0370】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、ニューロン及びシナプスの損失を減少させ、脳萎縮及び脳室膨張を減少させ、前記前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、神経炎症を減少することである。
【0371】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、少なくとも一部小膠細胞の免疫反応を減少させ、小膠細胞を形態学的に変形し、小膠細胞内タンパク質分解を増加することができる。
【0372】
また、本発明は、ガンマ振動の同調により、前頭前皮質及び海馬を含む前記オブジェクトの脳領域で、膜トラフィッキング、細胞内輸送、シナプス機能、神経炎症、細胞自滅過程、及びDNA損傷のうち、少なくとも1つに関する異常に変形した遺伝子及びタンパク質を改善することである。
【0373】
結果として、本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中、てんかん、及び統合失調症に関する治療を使用者に提供することができる。
【0374】
神経系脳疾患治療領域の拡張
図16は、本発明に関して、本発明による同等性製品認証による神経系脳疾患治療領域の拡張可能性を説明する図である。
【0375】
図16に示しているように、本発明が提案するウェアラブルtACS刺激機器100は、Gamma oscillation帯域刺激に限られず、簡単なシステム改造により、デルタ、シータ、アルファなどの様々な脳波刺激のためのtACS信号発生が可能である。
【0376】
特に、デルタ(0.5-3Hz)波は、深い睡眠、アルファ(8-12Hz)波は、心理的安定に起因して誘導されることと報告されているので、ウェアラブルtACS刺激機器100の周波数可変により、睡眠障害、ストレス、憂鬱、不安障害などに関する同等性製品として活用することも可能である。
【0377】
一方、上述した本発明の実施例は、様々な手段により具現可能である。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウエア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせなどにより具現可能である。
【0378】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例による方法は、1つ又はそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現される。
【0379】
ファームウエアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例による方法は、以上で説明した機能又は動作を行うモジュール、手続き、又は関数などの形態で具現される。ソフトウェアコードは、メモリユニットに格納されて、プロセッサにより駆動される。前記メモリユニットは、前記プロセッサ内部又は外部に位置し、既に公知された様々な手段により、前記プロセッサとデータを授受することができる。
【0380】
以上で開示された本発明の好適な実施例に対する詳細な説明は、当業者が本発明を具現し実施できるように提供されている。前記では、本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した当業者は、本発明の領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることを理解するだろう。例えば、当業者は、上述した実施例に記載された各構成を互いに組み合わせる方式で利用可能である。そこで、本発明は、ここに現れた実施形態に制限しようとするものではなく、ここで開示された原理及び新規の特徴と一致する最広の範囲を付与しようとするのである。
【0381】
本発明は、本発明の精神及び必須の特徴を逸脱しない範囲で他の特定の形態に具体化することができる。そこで、前記の詳細な説明は、あらゆる面で制限的に解析されてはいけず、例示的なものと考慮されるべきである。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的解析により決められるべきであり、本発明の等価的範囲内での全ての変更は、本発明の範囲に含まれる。 本発明は、ここに現れた実施形態に制限しようとするものではなく、ここで開示された原理及び新規の特徴と一致する最広の範囲を付与しようとすることである。また、特許請求の範囲で明示的な引用関係がない請求項を結合して、実施例を構成するか、出願後の補正により、新規な請求項として含むことができる。