(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】炭化珪素トランジスタデバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240510BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240510BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240510BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240510BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652Q
H01L29/78 658F
H01L29/78 658E
H01L21/28 301B
H01L21/28 301R
H01L29/50 M
(21)【出願番号】P 2022506481
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2020071689
(87)【国際公開番号】W WO2021019082
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-27
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベリーニ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ノール,ラーズ
(72)【発明者】
【氏名】ビルツ,ステファン
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-216529(JP,A)
【文献】特開2014-003253(JP,A)
【文献】国際公開第2016/170978(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/198168(WO,A1)
【文献】特開平07-030111(JP,A)
【文献】国際公開第2012/172988(WO,A1)
【文献】特開2013-254842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/336
H01L 21/28
H01L 29/417
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスであって、
頂面を有するSiC半導体基板(1)と、
前記SiC半導体基板(1)の前記頂面上に形成されるSiCエピタキシャル層(2)とを含み、前記SiCエピタキシャル層(2)は頂面を有しており、
前記炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスはさらに、
前記SiCエピタキシャル層(2)の前記頂面に形成されるソース構造(3,4,5)を含み、前記ソース構造(3,4,5)は、頂面を有し、かつ、pウェル領域(3)と、n型ソース領域(4)と、p型コンタクト領域(5)とを含み、
前記炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスはさらに、
前記ソース構造(3,4,5)の前記頂面の上に形成され、かつ、前記ソース構造(3,4,5)の前記頂面と電気的に接続されるソースコンタクト構造(9)と、
ゲート誘電体(7)およびゲートランナー(6)を含むゲート構造(6,7)と、
p型チャネル領域(10)とを含み、
前記ゲート誘電体(7)は、前記
p型チャネル領域(10)と、前記ソース構造(3,4,5)の少なくとも部分と、前記ソースコンタクト構造(9)の少なくとも部分とを覆い、
前記ゲート誘電体(7)によって前記
p型チャネル領域(10)、前記ソース構造(3,4,5)および前記ソースコンタクト構造(9)から電気的に絶縁される前記ゲートランナー(6)は、前記
p型チャネル領域(10)および前記ソースコンタクト構造(9)の少なくとも部分と重なっている炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスにおいて、
前記ソースコンタクト構造(9)は、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)および炭化ニッケル(NiC
3
)のうちの1つを含み、
前記ゲート構造(6,7)はプレーナ構造である、炭化珪素(SiC)トランジスタデバイス。
【請求項2】
前記ソースコンタクト構造(9)は、2nm~200nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の炭化珪素(SiC)トランジスタデバイス。
【請求項3】
前記SiC半導体基板(1)は、4H-SiC基板である、請求項1~2のいずれか1項に記載の炭化珪素(SiC)トランジスタデバイス。
【請求項4】
前記炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭化珪素(SiC)トランジスタデバイス。
【請求項5】
前記炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭化珪素(SiC)トランジスタデバイス。
【請求項6】
炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスを製造するための方法であって、
SiC半導体基板(1)の頂面にSiCエピタキシャル層(2)をエピタキシャルに形成することを含み、前記SiCエピタキシャル層(2)は頂面を有しており、
前記方法はさらに、
前記SiCエピタキシャル層(2)の前記頂面にソース構造(3,4,5)を形成することを含み、前記ソース構造(3,4,5)は、頂面を有し、かつ、pウェル領域(3)、n型ソース領域(4)およびp型コンタクト領域(5)を含み、
前記方法はさらに、
ソースコンタクト構造(9)を前記ソース構造(3,4,5)の前記頂面の上に形成し、かつ、前記ソース構造(3,4,5)の前記頂面に電気的に接続することを含み、前記
ソースコンタクト構造(9)は、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)、および炭化ニッケル(NiC
3
)のうちの1つを含み、
前記方法はさらに、
前記ソースコンタクト構造(9)の形成後、ゲート誘電体(7)およびゲートランナー(6)を含むゲート構造(6,7)を、前記ゲート誘電体(7)が前記ソース構造(3,4,5)の少なくとも部分および前記ソースコンタクト構造(9)の少なくとも部分を覆うように、かつ、前記ゲート誘電体(7)によって前記ソース構造(3,4,5)および前記ソースコンタクト構造(9)から電気的に絶縁される前記ゲートランナー(6)が前記ソースコンタクト構造(9)の少なくとも部分と重なるように形成することを含み、
前記
炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスは、p型チャネル(10)を含み、
前記ゲート構造(6,7)はプレーナ構造である、方法。
【請求項7】
前記ソースコンタクト構造(9)は、600℃~1300℃の範囲の温度で形成される、請求項6に記載の炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルに係る炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスおよび炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスを製造するための方法を指す。
【背景技術】
【0002】
パワートランジスタデバイスは、高電流をスイッチングするとともに高電圧に耐えるために広く使用されている。金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET: metal oxide semiconductor field effect transistor)および絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT: insulated gate bipolar transistor)は、大規模または非常に大規模な集積回路のための最も重要なパワー電子デバイスである。低いオン抵抗および大きい負荷電流によって、スイッチングデバイスとしての使用に完璧である。パワートランジスタでは、半導体基板から電気的に絶縁されるゲート電極に制御信号が供給され、電荷キャリアを送ることによって電流が伝えられる。パワートランジスタは、今日のVLSI回路の技術と同様の半導体処理技術を用いるが、デバイス形状、電圧および電流レベルは、VLSIデバイスにおいて使用される設計とは著しく異なる。特にメモリ技術においてデータを格納するためのほとんどのトランジスタは、依然としてシリコン(Si)により形成されている。しかしながら、電子技術の発展に伴い、高温、高周波数などによって、半導体デバイスおよび回路について要求が高まった。Siは、その材料特性に起因して、これらの要件、特にパワースイッチについての要件を満たすことができないので、高電力、高温、および高周波数で動作する半導体デバイスのためにSiC材料が開発されている。電力スイッチング用途では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)および金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が広く使用されている。これらの要素は、ゲート電極部が要素本体から電気的に絶縁される構造を有する。ゲート電極と要素本体とにより構成されるキャパシタを充電および放電する必要があるだけであるので、ゲート制御電流は、たとえばゲートターンオフトランジスタのものよりも著しく小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
US2013/043490 A1は、基板の主面上に配置され、かつ、ワイドバンドギャップ半導体から形成される半導体層と、半導体層に配置され、かつ、底部および側面を有するトレンチと、トレンチの底部および側面に配置される絶縁領域と、トレンチに配置され、かつ、絶縁領域によって半導体層から絶縁される導電層とを含む半導体デバイスを示す。絶縁領域は、トレンチの底部および側面に配置されるゲート絶縁膜と、トレンチの底部においてゲート絶縁膜と導電層との間に配置されるギャップとを含む。ゲート絶縁膜は、トレンチの側面の部分上において導電層と接するが、トレンチの底部において導電層と接しない。トレンチの底部から導電層の下面を通って測定される絶縁領域の厚さは、トレンチの中央の近傍においてその側面の傍の厚さよりも大きい。
【0004】
EP 2 922 094 A2から、n型SiC層と、n型SiC層上に設けられるとともにH(水素)またはD(重水素)を1×1018cm-3以上1×1022cm-3以下の量だけ含むSiC領域と、SiC領域上に設けられる金属層とを含む半導体デバイスが既知である。さらに、当該半導体デバイスを製造するための方法がEP 2 922 094 A2に開示されている。
【0005】
US5,455,432 A1は、第1導電型の半導体ダイヤモンド領域を有するダイヤモンド層と、ダイヤモンド層の面上の絶縁ゲート構造とを含む、炭化物中間層を有するダイヤモンド半導体デバイスを開示している。上記面における界面準位などの電気的に活性な欠陥の形成を抑制するために、相対的に薄い炭化物境界面層が、絶縁ゲート構造とダイヤモンド層との間に設けられる。当該面における界面準位の形成を抑制することによって、炭化物境界面層は、ダイヤモンド層から絶縁ゲート構造への電荷キャリアの寄生リークを抑制する。炭化物境界面層は、真性炭化珪素または真性耐火性金属炭化物(たとえば、TiCまたはWC)であってもよく、または、当該層は、反対の導電型であることにより、ダイヤモンド層とP-Nヘテロ接合を形成してもよい。炭化物境界面層および絶縁ゲート構造は、MISキャパシタ、エンハンスメントモードおよび埋め込みチャネル絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET: insulated-gate field effect transistor)、表面チャネルおよび埋め込みチャネル電荷結合デバイス(CCD: charge-coupled device)、検出器、ヘテロ接合デバイス、ならびに、他の関連する電界効果デバイスなどのさまざまなダイヤモンド電子デバイスにおいて使用されてもよい。関連する作製方法も開示されている。
【0006】
US9,224,858 A1は、電界効果トランジスタ(FET: field effect transistor)(たとえば、横型二重拡散金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(LDMOSFET: lateral double-diffused metal oxide semiconductor field effect transistor))と、当該FETを形成する方法とを開示している。FETにおいて、エッチングストップパッドが、半導体基板(たとえば、P型シリコン基板)上に存在する。半導体層(たとえば、シリコン層)も基板上に存在し、エッチングストップパッドの上を横方向に延在する。第1のウェル領域(たとえば、Nウェル領域)は、エッチングストップパッドを含むように、半導体層を通って基板内に延在する。第2のウェル領域(たとえば、Pウェル領域)は、エッチングストップパッドの上に整列された第1のウェル領域内に存在する。第2ウェル領域には、ソース領域(たとえば、N型ソース領域)が存在する。埋め込み絶縁領域(たとえば、埋め込みエアギャップ絶縁領域)が、縦型のキャパシタの形成を制限するように、エッチングストップパッドの下に整列される第1のウェル領域内に存在する。
【0007】
WO1997/33308は、SiC表面に堅固に取り付けられたままのコンタクトを形成し、かつ、導電性金属からの拡散に対する効果的なバリアを形成する、SiC上の金属オスミウム(Os)を開示している。n型SiC上において、Osは、少なくとも1050℃まで本質的に変化しない動作特性を有する階段形ショットキー整流接合と、1175℃まで動作可能なままであるとともに1.5eV超の障壁高さのショットキーダイオードとを形成する。p型SiC上において、Osは10-4ohmcm2の比接触抵抗を有するオーミックコンタクトを形成する。SiC基板上におけるTiC層に対するオーミックコンタクトおよび整流コンタクトは、TiC層の上にWC層を堆積し、続いて金属W層を堆積することによって形成される。このようなコンタクトは、少なくとも1150℃まで安定である。電極は、直接、または、PtもしくはPtAu合金などの保護結合層を介して、当該コンタクトに接続する。
【0008】
要素の基本材料として炭化珪素を用い、かつ、ソース領域およびゲート領域が存在する面位置を空間的に分離し、かつ、ソース電極および第2の半導体層との電気的コンタクトとの良好な結晶整合性を有する炭化チタンを用いることにより両面圧接可能な要素構造を得るために、JPH0730111 Aは、ドレイン電極層および炭化チタンを含む基板上に、p型ドープおよびn型ドープされた炭化珪素のエピタキシャル層を含む第1、第2および第3の半導体層と、ソース電極層とが互いに積層されることを開示している。第3の半導体層から第1の半導体層に延在する凹部上にゲート絶縁膜が形成され、頂部にゲート電極が形成される。ゲート電極は凹部に設けられているので、ソース電極およびゲート電極の面位置は空間的に分離されている。ソース電極17と第2の半導体層との間のコンタクトは、両面圧接を可能にするよう、炭化珪素との良好な結晶整合性を有する炭化チタン層により形成されており、これにより、炭化珪素の良好な放熱特性とともに大電流特性が実現される。
【0009】
理想的なパワートランジスタは、非常に短い遷移時間、ほぼゼロのスイッチングオン抵抗RDS(on)、および、無限の電力処理能力を有する。これらの特性は、デバイスの物理および技術に大きく依存する。パワースイッチのハイ側がオンになると、スイッチングノード上における高いdV/dt遷移が引き起こされ得る。このような電圧の急激な上昇は、ミラーキャパシタンス(=ゲート-ドレイン間キャパシタンス)フィードバックに起因してロー側のMOSFETゲート上に電圧パルスを加え得る。ゲートしきい値電圧が低い場合、この状態の発生は、高いゲートしきい値を有するMOSFETの場合よりも頻繁であり得る。スイッチングデバイスのスイッチング性能は、キャパシタンスにわたる電圧変化を確立するのに必要な時間によって決定される。RGは、ゲートの分布抵抗であり、アクティブエリアにほぼ反比例する。LSおよびLDは、ソースおよびドレインリードインダクタンスであり、数十nH程度である。データシートに与えられる入力(CiSS)キャパシタンス、出力(CoSS)キャパシタンス、および、逆転送(CrSS)キャパシタンスの典型的な値は、回路設計者によって、回路構成要素値を決定する際の開始点として使用される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
概要
したがって、本発明の目的は、たとえば、先行技術のトレンチデバイスを示す
図1Aおよび先行技術のプレーナデバイスを示す
図1Bに示されるように、MOSベースのSiCプレーナおよびトレンチデバイスを保護するために耐シュートスルー能力(shoot-through withstand capability)を向上することである。
図1Aおよび
図1Bの先行技術の両方のデバイスは、縦型スイッチであり、ゲート6によって制御される、n型ソース4からn型ドレイン11へ鉛直に流れる電流をスイッチングする。SiC基板1上には、n型エピタキシャルドリフト層2が設けられている。
図1Aおよび
図1Bにおける両方のデバイスは、pウェル領域3と、n型ソース領域4と、p型コンタクト領域5と、ゲート誘電体7と、ゲート6とを含む。
図1Aに示されるデバイスでは、ゲート6およびゲート誘電体7は、pウェル3を通って延在するトレンチ内に形成されるが、
図1Bにおけるゲート構造6,7は、デバイスの頂部にてプレーナである。
図1Bに係るプレーナデバイスはさらに、チャネル領域8を詳細に示す。
【0011】
本発明の一実施形態に係る炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスは、頂面を有するSiC半導体基板と、SiC半導体基板の頂面上に形成されるSiCエピタキシャル層とを含み、SiCエピタキシャル層は頂面を有しており、炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスはさらに、SiCエピタキシャル層の頂面に形成されるソース構造を含み、ソース構造は、頂面を有し、かつ、pウェル領域と、n型ソース領域と、p型コンタクト領域とを含み、炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスはさらに、ソース構造の頂面の上に形成され、かつ、ソース構造の頂面と電気的に接続されるソースコンタクト構造を含み、コンタクト構造は、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)および炭化ニッケル(NiC3)のうちの1つを含み、炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスはさらに、ゲート誘電体およびゲートランナーを含むゲート構造と、p型チャネル領域とを含み、ゲート誘電体は、チャネル領域と、ソース構造の少なくとも部分と、ソースコンタクト構造の少なくとも部分とを覆い、ゲートランナーは、ゲート誘電体によってチャネル領域、ソース構造およびソースコンタクト構造から電気的に絶縁され、かつ、チャネル領域およびソースコンタクト構造の少なくとも部分と重なっており、ゲート構造はプレーナ構造である。
【0012】
別の実施形態では、ソースコンタクト構造は、2nm~200nmの範囲の厚さを有する。
【0013】
別の実施形態では、SiC半導体基板は、4H-SiC基板である。
別の実施形態では、炭化珪素(SiC)トランジスタは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。
【0014】
別の実施形態では、炭化珪素(SiC)トランジスタは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。
【0015】
本発明の別の実施形態は、炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスを製造するための方法に関し、上記方法は、SiC半導体基板の頂面にSiCエピタキシャル層をエピタキシャルに形成するステップを含み、SiCエピタキシャル層は頂面を有しており、上記方法はさらに、SiCエピタキシャル層の頂面にソース構造を形成するステップを含み、ソース構造は頂面を有し、かつ、pウェル領域、n型ソース領域およびp型コンタクト領域を含み、上記方法はさらに、ソースコンタクト構造をソース構造の頂面の上に形成し、かつ、ソース構造の頂面に電気的に接続するステップを含み、コンタクト構造は、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)、および炭化ニッケル(NiC3)のうちの1つを含み、上記方法はさらに、ソースコンタクト構造の形成後、ゲート誘電体およびゲートランナーを含むゲート構造を、ゲート誘電体がソース構造の少なくとも部分およびソースコンタクト構造の少なくとも部分を覆うように、かつ、ゲート誘電体によってソース構造およびソースコンタクト構造から電気的に絶縁されるゲートランナーがソースコンタクト構造の少なくとも部分と重なるように形成するステップを含み、デバイスは、p型チャネルを含み、ゲート構造はプレーナ構造である。
【0016】
炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスを製造するための方法の別の実施形態では、ソースコンタクト構造は、600℃~1300℃の範囲の温度で形成される。
【0017】
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照して進められる本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明からより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】先行技術のMOSベースの縦型SiCトレンチ(
図1A)デバイスを示す図である。
【
図1B】先行技術のMOSベースの縦型プレーナSiCトレンチ(
図1B)デバイスを示す図である。
【
図2A】実施形態に係る縦型炭化珪素(SiC)プレーナトランジスタデバイスを製造するためのプロセスにおける統合シーケンスを示す図である。
【
図2B】実施形態に係る縦型炭化珪素(SiC)プレーナトランジスタデバイスを製造するためのプロセスにおける統合シーケンスを示す図である。
【
図2C】実施形態に係る縦型炭化珪素(SiC)プレーナトランジスタデバイスを製造するためのプロセスにおける統合シーケンスを示す図である。
【
図2D】特許請求される発明の部分を形成しないが、そのより良い理解のために役立つ比較例として、トレンチゲート構造を有する縦型パワーMOSFETを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の実施形態の詳細な説明
ロー側のMOSFETとハイ側のMOSFETとの組み合わせにおける上述のフィードバックメカニズム(CgdおよびCgs)に含まれるキャパシタンスの比を制御することによって、VGSパルスは、以下の式によって制限され得る。
【0020】
【0021】
スイッチングトランジスタのシュートスルー能力を向上するためには、低いCrSS/CiSSキャパシタンス比(典型的には0.4未満)が望ましい。CrSS/CiSSキャパシタンス比を減少させるために、逆転送キャパシティ(CrSS)が減少されてもよく、および/または、入力キャパシティ(CiSS)が増加されてもよい。
【0022】
C
iSSを増加するために、一般に使用されるNi-シリサイドコンタクトを炭化チタン(TiC)ソースコンタクトで置き換えることが提案される。たとえばニッケルシリサイドと比較した1つの利点は、TiCがより安定的であり、より高い温度に耐え得ることである。ニッケルシリサイドは、ゲート酸化およびポリ堆積(poly deposition)の温度に耐えられ得ず、記載される統合シーケンスを実現し得ない。さらに、低しきい値電圧デバイスにおいてもシュートスルーを防止するために、ゲート電極とTiCソースコンタクトとを重ねることによってC
iSSを調整することがさらに提案される。ゲート電極とTiCソースコンタクトとを重ねることによって、C
iSSは増加され得、シュートスルーが軽減され得る。たとえば
図2Cに示されるように、本発明の一実施形態に係る炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスは、頂面および底面を有するSiC半導体基板1と、SiC半導体基板1の底面上のドレイン領域11と、SiC半導体基板1の頂面上に形成されるSiCエピタキシャル層2とを含み、SiCエピタキシャル層2は頂面を有しており、炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスはさらに、SiCエピタキシャル層2の頂面に形成されるソース構造3,4,5を含み、ソース構造3,4,5は、頂面を有しており、炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスはさらに、ソース構造3,4,5の頂面の上に形成され、かつ、ソース構造3,4,5の頂面に電気的に接続されるソースコンタクト構造9を含み、ソースコンタクト構造9は、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)および炭化ニッケル(NiC
3)のうちの1つを含み、炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスはさらに、ゲート誘電体7およびゲートランナー6を含むゲート構造6,7と、p型チャネル領域10とを含み、ゲート誘電体7は、チャネル領域10と、ソース構造3,4,5の少なくとも部分と、ソースコンタクト構造9の少なくとも部分とを覆い、ゲートランナー6は、ゲート誘電体7によってチャネル領域10、ソース構造3,4,5およびソースコンタクト構造9から電気的に絶縁され、チャネル領域10およびソースコンタクト構造9の少なくとも部分と重なる。ソース構造3,4,5は、pウェル領域3と、n型ソース領域4と、p型コンタクト領域5とを含む。
【0023】
SiC半導体基板1は、たとえば、3C-SiC、4H-SiC基板、または6H-SiC基板であり得る。3C-SiCエピタキシャル層の場合、SiC半導体基板1は、たとえば珪素(Si)基板に置き換えられてもよい。
【0024】
ソースコンタクト構造9は、たとえば、2nm~200nmの範囲の厚さを有し得る。例示的な実施形態において、厚さは70nmである。
【0025】
炭化珪素(SiC)トランジスタは、たとえば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)または金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、SiC接合電界効果トランジスタ(SiC-JFET: SiC junction Field-Effect transistor)またはSiCバイポーラ接合トランジスタ(SiC-BJT: SiC bipolar junction transistor)であってもよい。
【0026】
TiCは、n型SiCとの電気的オーミックコンタクト接合を形成し、TiCは、表面粗さおよび1000℃より高い温度での電気的特性に関して非常に安定しているので、炭化チタン(TiC)ソースコンタクトは、酸化物堆積/酸化プロセスの前に製造されてもよい。そのような酸化物堆積/酸化プロセスは、たとえば、ゲート誘電体形成、ゲート絶縁またはパッシベーション、ならびに、(たとえば、ゲートランナーのための)ポリシリコン層堆積および高温アンベイリング/活性化ステップ(high temperature unveiling/activation steps)のために必要である。従来のNi-シリサイドソースコンタクトの場合、酸化物堆積/酸化プロセスは、Niシリサイドコンタクトの温度感度のため、ソースコンタクト堆積の前に実行されなければならない。したがって、TiCソースコンタクトの使用は、高いサーマルバジェットを必要とする完全に新しいプロセスステップを統合することを可能にする。プレーナ縦型パワーMOSFETを製造するための典型的な統合シーケンスが
図2A~
図2Cに示される。
【0027】
図2AにおけるプレーナMOSベースのデバイスから開始して、SiC基板1上にn型エピタキシャルドリフト層2が設けられる。
図2A~
図2Cにおけるデバイスはさらに、pウェル領域3と、n型ソース領域4と、p型コンタクト領域5と、p型チャネル領域10とを含む。すでに上述したように、先行技術の製造プロセスとは対照的に、本発明の製造プロセスの実施形態によれば、ソース領域4と接触するためのTiCコンタクト構造9は、プロセスステップの順序において、ゲート誘電体であり得るゲート絶縁体7とゲート6とからなるゲート構造の形成の前に形成される。本発明の製造プロセスの実施形態によれば、ゲート構造6,7は、TiCソースコンタクト構造9の後に形成されることが強調される。この統合スキーム(製造プロセスステップの順序の変更)は、高温に耐えるTiCの能力のため、可能である。
【0028】
比較例として、トレンチゲート構造を有する縦型パワーMOSFETが
図2Dに示される。この比較例では、ゲート構造は、SiC半導体基板1の頂面上にプレーナではなく、pウェル領域3内にあるとともにn型ソース領域4間にあるトレンチにおいて縦型に形成されている。この比較例では、ゲート電極6はトレンチ内に形成されており、ゲート絶縁膜7によって絶縁されている。
【0029】
本発明の別の実施形態は、炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスを製造するための方法に関し、上記方法は、SiC半導体基板1の頂面にSiCエピタキシャル層2をエピタキシャルに形成するステップを含み、SiCエピタキシャル層2は頂面を有しており、上記方法はさらに、SiCエピタキシャル層2の頂面にソース構造3,4,5を形成するステップを含み、ソース構造3,4,5は頂面を有しており、上記方法はさらに、ソースコンタクト構造9をソース構造3,4,5の頂面の上に形成し、かつ、ソース構造3,4,5の頂面に電気的に接続するステップを含み、コンタクト構造9は、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)および炭化ニッケル(NiC3)のうちの1つを含み、上記方法はさらに、ソースコンタクト構造9の形成後、ゲート誘電体7およびゲートランナー6を含むゲート構造6,7を、ゲート誘電体7がソース構造3,4,5の少なくとも部分と、ソースコンタクト構造9の少なくとも部分を覆うように、かつ、ゲート誘電体7によってソース構造3,4,5およびソースコンタクト構造9から電気的に絶縁されるゲートランナー6がソースコンタクト構造9の少なくとも部分と重なるように形成するステップを含む。
【0030】
炭化珪素(SiC)トランジスタデバイスを製造するための方法の別の実施形態では、ソースコンタクト構造9は、600℃~1300℃の範囲の温度で形成される。
【0031】
別の実施形態では、TiCコンタクト層は、たとえば、Ti源として四塩化チタンを用い、炭素源としてエチレンを用い、希釈水素中で1200℃~1300℃の範囲で化学気相成長(CVD)法により70nmの厚さを有するように形成され得る。
【0032】
この温度は、TiCが形成される際に、TiCをアニールする。ある実施形態では、TiCの厚さは、たとえばSiC層における歪みを回避するために約180nm未満であってもよい。