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特許7486584グレンジャー因果関係を使用する根本原因分析
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】グレンジャー因果関係を使用する根本原因分析
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
G06F11/07 190
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022534481
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 IB2020061478
(87)【国際公開番号】W WO2021116857
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】16/710,893
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャラル、アジル
(72)【発明者】
【氏名】シャンムガム、カーシケヤン
(72)【発明者】
【氏名】ビンザムリ、バーヌキラン
【審査官】久々宇 篤志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036061(JP,A)
【文献】特開2011-034208(JP,A)
【文献】特開2008-117383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0196458(US,A1)
【文献】Bernat Guillen Pegueroles ほか5名,Structure Learning from Time Series with False Discovery Control,arXiv,[online],2018年05月24日,[2024年4月12日検索], インターネット<URL:https://arxiv.org/pdf/1805.09909.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実行可能コンポーネントを格納するメモリと、
前記メモリに動作可能に結合され、前記メモリに格納された前記コンピュータ実行可能コンポーネントを実行するプロセッサとを備えているシステムであって、前記コンピュータ実行可能コンポーネントが、
条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、前記機械システムの故障の原因を検出する保守コンポーネントを含む、システム。
【請求項2】
定義された時間間隔に基づいて、前記時系列データを複数のグループに分割する分割コンポーネントをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
条件付き独立性検定器によって定義された関連性測定値に基づいて、前記複数のグループについて複数の関係構造を生成する構造コンポーネントをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の関係構造について複数の隣接行列を生成する行列コンポーネントをさらに備え、前記複数の隣接行列が前記変数間の関係を特徴付ける、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
K平均クラスタ化を使用して前記複数の隣接行列を2つのクラスタ・グループにクラスタ化するクラスタ・コンポーネントをさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記2つのクラスタ・グループからの第1のクラスタ・グループの要素であり、前記2つのクラスタ・グループからの第2のクラスタ・グループの要素である第2のグループに隣接する、前記複数のグループからの第1のグループを識別する開始コンポーネントをさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
定義されたしきい値より大きい第1の隣接行列と第2の隣接行列の間のハミング距離を有する変数を識別する原因コンポーネントをさらに備え、前記第1の隣接行列が、前記複数の隣接行列からのものであり、前記第1のグループを特徴付け、前記第2の隣接行列が、前記複数の隣接行列からのものであり、前記第2のグループを特徴付ける、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、前記機械システムの故障の原因を検出することを含む、コンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記システムによって、定義された時間間隔に基づいて、前記時系列データを複数のグループに分割することをさらに含む、請求項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記システムによって、条件付き独立性検定器によって定義された関連性測定値に基づいて、前記複数のグループについて複数の関係構造を生成することと、
前記システムによって、前記複数の関係構造について複数の隣接行列を生成することとをさらに含み、前記複数の隣接行列が前記変数間の関係を特徴付ける、請求項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記システムによって、K平均機械学習を使用して前記複数の隣接行列を2つのクラスタ・グループにクラスタ化することと、
前記システムによって、前記2つのクラスタ・グループからの第1のクラスタ・グループの要素であり、前記2つのクラスタ・グループからの第2のクラスタ・グループの要素である第2のグループに隣接する、前記複数のグループからの第1のグループを識別することと、
前記システムによって、定義されたしきい値より大きい第1の隣接行列と第2の隣接行列の間のハミング距離を有する変数を識別することとをさらに含み、前記第1の隣接行列が、前記複数の隣接行列からのものであり、前記第1のグループを特徴付け、前記第2の隣接行列が、前記複数の隣接行列からのものであり、前記第2のグループを特徴付ける、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
機械システムの故障に関する情報を識別するためのコンピュータ・プログラムであって、
プロセッサに、請求項8ないし11のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、時系列データの変数間のグレンジャー因果関係に基づくことができる1つまたは複数の根本原因分析に関連しており、より詳細には、時系列データの変数間の1つまたは複数のグレンジャー因果関係に基づいて機械システムの1つまたは複数の故障の原因または開始あるいはその両方を決定することに関連している。
【背景技術】
【0002】
大規模な産業システムにおける機械的故障は、著しい金銭的損失をもたらす可能性がある。多くの場合、システム内の個別の部品または部品のセットが正常に機能しないことがあり、その後、この機能不良は、システムの他の部品または部分あるいはその両方に伝搬する。機能不良の伝搬は、システム全体の集合的故障をもたらす可能性がある。最初に正常に機能しなくなる1つまたは複数の部品は、一般に、システム故障の根本原因と呼ばれる。根本原因のイベントと集合的システム故障の間には、遅延が存在することが多い。例えば、機能不良は、一定の期間(例えば、数日、数週間、または数か月、あるいはその組み合わせ)にわたって根本原因からシステム故障に伝搬することがある。システム故障の従来の分析は、故障イベントの後にシステムを修理できる主題専門家を伴う。場合によっては、専門家は、システム故障の根本原因を識別することができるが、多くの場合、根本原因がいつ開始したか(例えば、システム故障の開始)を専門家が正確に識別することは不可能である。したがって、当技術分野において、前述の問題に対処する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
以下に、本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的理解を可能にするための概要を示す。この概要は、主要な要素または重要な要素を特定するよう意図されておらず、特定の実施形態の範囲または特許請求の範囲を正確に説明するよう意図されていない。この概要の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明のための前置きとして、概念を簡略化された形態で提示することである。本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態では、時系列データの変数間の1つまたは複数のグレンジャー因果関係に基づいて根本原因分析を考慮することができるシステム、コンピュータ実装方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組み合わせが説明される。
【0004】
第1の態様から見ると、本発明は、コンピュータ実行可能コンポーネントを格納するメモリと、メモリに動作可能に結合され、メモリに格納されたコンピュータ実行可能コンポーネントを実行するプロセッサとを備えているシステムを提供し、コンピュータ実行可能コンポーネントは、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の原因を検出する保守コンポーネントを含む。
【0005】
さらなる態様から見ると、本発明は、コンピュータ実行可能コンポーネントを格納するメモリと、メモリに動作可能に結合され、メモリに格納されたコンピュータ実行可能コンポーネントを実行するプロセッサとを備えているシステムを提供し、コンピュータ実行可能コンポーネントは、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の開始を検出する保守コンポーネントを含む。
【0006】
さらなる態様から見ると、本発明は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の原因を検出することを含んでいるコンピュータ実装方法を提供する。
【0007】
さらなる態様から見ると、本発明は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の開始を検出することを含んでいるコンピュータ実装方法を提供する。
【0008】
さらなる態様から見ると、本発明は、機械システムの故障に関する情報を識別するためのコンピュータ・プログラム製品を提供し、このコンピュータ・プログラム製品は、処理回路によって読み取り可能な、本発明のステップを実行するための方法を実行するためにこの処理回路によって実行される命令を格納している、コンピュータ可読ストレージ媒体を備える。
【0009】
さらなる態様から見ると、本発明は、コンピュータ可読媒体に格納された、デジタル・コンピュータの内部メモリに読み込み可能なコンピュータ・プログラムを提供し、このコンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で実行された場合に本発明のステップを実行するためのソフトウェア・コード部分を含む。
【0010】
さらなる態様から見ると、本発明は、機械システムの故障を分析するためのコンピュータ・プログラム製品を提供し、このコンピュータ・プログラム製品は、プログラム命令が具現化されているコンピュータ可読ストレージ媒体を備え、これらのプログラム命令は、プロセッサによって実行可能であり、プロセッサに、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、プロセッサによって機械システムの故障の開始を検出させる。
【0011】
一実施形態によれば、システムが提供される。このシステムは、コンピュータ実行可能コンポーネントを格納できるメモリを備えることができる。このシステムは、メモリに動作可能に結合され、メモリに格納されたコンピュータ実行可能コンポーネントを実行することができる、プロセッサを備えることもできる。コンピュータ実行可能コンポーネントは、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の原因を検出することができる、保守コンポーネントを含むことができる。そのようなシステムの利点は、指数関数的数の検定ではなく、多項式的数の条件付き独立性検定の使用に起因する、因果関係発見アルゴリズムの実行における効率の向上であることができる。
【0012】
別の実施形態によれば、システムが提供される。このシステムは、コンピュータ実行可能コンポーネントを格納できるメモリを備えることができる。このシステムは、メモリに動作可能に結合され、メモリに格納されたコンピュータ実行可能コンポーネントを実行することができる、プロセッサを備えることもできる。コンピュータ実行可能コンポーネントは、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の開始を検出する、保守コンポーネントを含むことができる。そのようなシステムの利点は、根本原因が機械システムの動作の悪化をいつ最初に開始したかの決定であることができる。
【0013】
一実施形態によれば、コンピュータ実装方法が提供される。コンピュータ実装方法は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の原因を検出することを含むことができる。そのようなコンピュータ実装方法の利点は、根本原因を識別する人間との対話の必要性を最小限に抑えるための、機械学習の使用であることができる。
【0014】
別の実施形態によれば、コンピュータ実装方法が提供される。コンピュータ実装方法は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の開始を検出することを含むことができる。そのようなコンピュータ実装方法の利点は、多項式的数の条件付き独立性検定の使用に起因する、欲張り山登りプロセスを実行するために使用される因果関係発見アルゴリズムの実行時間の短縮である。
【0015】
実施形態によれば、機械システムの故障を分析するためのコンピュータ・プログラム製品が提供される。コンピュータ・プログラム製品は、プログラム命令が具現化されているコンピュータ可読ストレージ媒体を備えることができる。これらのプログラム命令は、プロセッサによって実行可能であり、プロセッサに、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、プロセッサによって、機械システムの故障の開始を検出させることができる。そのようなコンピュータ・プログラム製品の利点は、欲張り山登りプロセスを実行するために使用される因果関係発見アルゴリズムの偽発見率の低減であることができる。
【0016】
本特許ファイルまたは出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許または特許出願公開のコピーは、要求および必要な料金の支払いに応じて、米国特許局によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、予防保守を容易にするために、機械システムの故障の根本原因または機械システムの故障の開始あるいはその両方を決定できる例示的な非限定的システムを示すブロック図である。
図2】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、根本原因分析を容易にするために、時系列データに関する1つまたは複数のグレンジャー因果関係構造を構築することができる例示的な非限定的システムを示すブロック図である。
図3】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データの変数間の1つまたは複数のグレンジャー因果関係を決定するために採用され得る例示的な非限定的因果関係発見アルゴリズムを示す図である。
図4】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、根本原因分析を容易にするために、時系列データに関して1つまたは複数の隣接行列を生成することができる例示的な非限定的システムを示すブロック図である。
図5】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、根本原因分析を容易にするために、1つまたは複数の隣接行列を2つの異なるクラスタ・グループにクラスタ化することができる例示的な非限定的システムを示すブロック図である。
図6】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データの変数間のグレンジャー因果関係を特徴付けるクラスタ化された隣接行列に基づいてシステム故障の開始を識別することができる例示的な非限定的システムを示すブロック図である。
図7】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データに基づいてシステム故障の1つまたは複数の根本原因またはシステム故障の開始あるいはその両方を決定する例示的な非限定的システムを示すブロック図である。
図8】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データにおいて検出された1つまたは複数のグレンジャー因果関係に基づいて1つまたは複数の自律的根本原因分析の有効性を示すことができる例示的な非限定的グラフを示す図である。
図9A】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データにおいて検出された1つまたは複数のグレンジャー因果関係に基づいて1つまたは複数の自律的根本原因分析の有効性を示すことができる例示的な非限定的グラフを示す図である。
図9B】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データにおいて検出された1つまたは複数のグレンジャー因果関係に基づいて1つまたは複数の自律的根本原因分析の有効性を示すことができる例示的な非限定的グラフを示す図である。
図9C】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データにおいて検出された1つまたは複数のグレンジャー因果関係に基づいて1つまたは複数の自律的根本原因分析の有効性を示すことができる例示的な非限定的グラフを示す図である。
図10】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データにおいて検出された1つまたは複数のグレンジャー因果関係に基づいて1つまたは複数の自律的根本原因分析の有効性を示すことができる例示的な非限定的グラフを示す図である。
図11】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、機械システムの故障の1つまたは複数の開始を識別できる1つまたは複数の根本原因分析を容易にすることができる例示的な非限定的コンピュータ実装方法を示すフロー図である。
図12】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、1つまたは複数のコンピュータ・システムの故障の1つまたは複数の根本原因分析を容易にすることができる例示的な非限定的コンピュータ実装方法を示すフロー図である。
図13】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、1つまたは複数のコンピュータ・システムの故障の1つまたは複数の根本原因分析を容易にすることができる例示的な非限定的コンピュータ実装方法を示すフロー図である。
図14】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従ってクラウド・コンピューティング環境を示す図である。
図15】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って抽象モデル・レイヤを示す図である。
図16】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的な非限定的動作環境を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明は、例にすぎず、実施形態、または実施形態の適用もしくは使用、あるいはその両方を制限するよう意図されていない。さらに、先行する「背景技術」または「発明の概要」のセクション、あるいは「発明を実施するための形態」のセクションで提示された、いずれかの明示されたか、または暗示された情報によって制約されるという意図はない。
【0019】
ここで、図面を参照して1つまたは複数の実施形態が説明され、図面全体を通じて、類似する参照番号が、類似する要素を参照するために使用されている。以下の説明では、説明の目的で、1つまたは複数の実施形態を十分に理解できるように、多数の特定の詳細が示されている。しかし、これらの特定の詳細がなくても、さまざまな事例において、1つまたは複数の実施形態が実践され得るということは明らかである。
【0020】
機械システムの根本原因分析の他の実装に伴う問題を前提として、本開示は、システム故障の1つまたは複数の根本原因または開始あるいはその両方を決定できる、時系列データにおいて検出されたグレンジャー因果関係に基づく自律的根本原因分析を組み込むことによって、これらの問題のうちの1つまたは複数に対する解決策を生成するように実装されることができる。本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態は、有利に、機械システムの故障の根本原因がいつ発生したかの識別を可能にすることができる。さらに、本明細書に記載されたさまざまな実施形態は、予防保守を容易にするために、システム故障の開始を識別することができる。それによって、本明細書のさまざまな実施形態で説明される根本原因分析は、システム故障の開始または根本原因あるいはその両方を識別し、システム故障およびシステム故障に関連するコストを防ぐことができる予防保守対策を可能にすることができる。
【0021】
本発明のさまざまな実施形態は、機械システムの故障の効率的、効果的、かつ自律的な根本原因分析を(例えば、直接的な人間による誘導なしで)容易にする、コンピュータ処理システム、コンピュータ実装方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組み合わせを対象にすることができる。例えば、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態では、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、機械システムの時系列データから変数間の1つまたは複数のグレンジャー因果関係を決定するために、1つまたは複数の欲張り山登りプロセスを使用することができる。本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態は、グレンジャー因果関係の分析に基づいて、システム故障の開始を識別することができる。さらに、本明細書に記載されたさまざまな実施形態は、グレンジャー因果関係の分析に基づいて、機械システムの故障の1つまたは複数の根本原因、または1つまたは複数の根本原因がいつ発生したか、あるいはその両方を識別することができる。
【0022】
コンピュータ処理システム、コンピュータ実装方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組み合わせは、本質的に高度に技術的であり、抽象的ではなく、人間による一連の精神的活動として実行できない問題(例えば、機械システムの故障の根本原因分析)を解決するための、ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方を採用する。例えば、1人または複数の個人は、時系列データを監視するか、または分析するか、あるいはその両方を実行して、本明細書に記載されたさまざまな実施形態の精度および効率で、グレンジャー因果関係を容易に決定することができない。本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態は、条件付き独立性検定の数を指数関数的数から多項式的数に減らすことによって、時系列データ間のグレンジャー因果関係を発見するための従来技術を上回る技術的改良を構成することができる。グレンジャー因果関係発見アルゴリズムによって必要とされる条件付き独立性検定の数を減らすことによって、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態は、従来技術によって発生する統計的コストより低い統計的コストで、グレンジャー因果関係を決定することができる。さらに、本明細書に記載されたさまざまな実施形態は、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、時系列データ間のグレンジャー因果関係を決定し、機械システムの故障の開始または根本原因あるいはその両方を決定するために、欲張り山登りプロセスの実用的応用を考慮することができる。
【0023】
図1は、1つまたは複数の根本原因分析を実行できる例示的な非限定的システム100のブロック図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。本発明のさまざまな実施形態におけるシステム(例えば、システム100など)、装置、またはプロセスの態様は、1つまたは複数のマシン内で具現化された(例えば、1つまたは複数のマシンに関連付けられた1つまたは複数のコンピュータ可読媒体内で具現化された)1つまたは複数の機械実行可能コンポーネントを構成することができる。そのようなコンポーネントは、1つまたは複数のマシン(例えば、コンピュータ、コンピューティング・デバイス、仮想マシンなど)によって実行された場合に、マシンに、説明された動作を実行させることができる。
【0024】
図1に示されているように、システム100は、1つまたは複数のサーバ102、1つまたは複数のネットワーク104、または入力デバイス106、あるいはその組み合わせを備えることができる。サーバ102は、保守コンポーネント108を備えることができる。保守コンポーネント108は、通信コンポーネント110または分割コンポーネント112あるいはその両方をさらに備えることができる。また、サーバ102は、少なくとも1つのメモリ116を備えるか、またはその他の方法で少なくとも1つのメモリ116に関連付けられ得る。サーバ102は、保守コンポーネント108および関連するコンポーネント、メモリ116、またはプロセッサ120、あるいはその組み合わせなどの、ただしこれらに限定されない、さまざまなコンポーネントに結合することができる、システム・バス118をさらに備えることができる。図1ではサーバ102が示されているが、他の実施形態では、さまざまな種類の複数のデバイスが、図1に示されている特徴に関連付けられるか、または図1に示されている特徴を備えることができる。さらに、サーバ102は、1つまたは複数のクラウド・コンピューティング環境と通信することができる。
【0025】
1つまたは複数のネットワーク104は、セルラー・ネットワーク、広域ネットワーク(WAN:wide area network)(例えば、インターネット)またはローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)を含むが、これらに限定されない、有線ネットワークおよび無線ネットワークを含むことができる。例えば、サーバ102は、例えばセルラー方式、WAN、ワイヤレス・フィディリティ(Wi-Fi:wireless fidelity)、Wi-Max、WLAN、またはBluetooth技術、あるいはその組み合わせなどを含むが、これらに限定されない、実質的に任意の望ましい有線技術または無線技術を使用して、1つまたは複数の入力デバイス106と(およびその逆方向に)通信することができる。さらに、示されている実施形態では、保守コンポーネント108を1つまたは複数のサーバ102上に設けることができるが、システム100のアーキテクチャがそのように制限されないということが理解されるべきである。例えば、保守コンポーネント108または保守コンポーネント108の1つまたは複数のコンポーネントは、別のサーバ・デバイス、クライアント・デバイスなどの別のコンピュータ・デバイスに存在することができる。
【0026】
1つまたは複数の入力デバイス106は、パーソナル・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、携帯電話(例えば、スマートフォン)、(例えば、プロセッサを備えている)コンピュータ化されたタブレット、スマート・ウォッチ、キーボード、タッチ・スクリーン、またはマウス、あるいはその組み合わせなどを含むことができるが、これらに限定されない、1つまたは複数のコンピュータ化されたデバイスを含むことができる。1つまたは複数の入力デバイス106は、機械システムの時系列データをシステム100に入力するために採用されることができ、それによって、(例えば、直接接続を介して、または1つまたは複数のネットワーク104を介して、あるいはその両方によって)前述のデータをサーバ102と共有する。例えば、1つまたは複数の入力デバイス106は、(例えば、直接接続を介して、または1つまたは複数のネットワーク104を介して、あるいはその両方によって)データを通信コンポーネント110に送信することができる。さらに、1つまたは複数の入力デバイス106は、システム100によって生成された1つまたは複数の出力をユーザに提示できる1つまたは複数のディスプレイを備えることができる。例えば、1つまたは複数のディスプレイは、陰極管ディスプレイ(CRT:cathode tube display)、発光ダイオード・ディスプレイ(LED:light-emitting diode display)、電界発光ディスプレイ(ELD:electroluminescent display)、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP:plasma display panel)、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、または有機発光ダイオード・ディスプレイ(OLED:organic light-emitting diode display)、あるいはその組み合わせなどを含むことができるが、これらに限定されない。
【0027】
さまざまな実施形態では、1つまたは複数の入力デバイス106または1つまたは複数のネットワーク104あるいはその両方が、1つまたは複数の設定またはコマンドあるいはその両方をシステム100に入力するために採用されることができる。例えば、本明細書に記載されたさまざまな実施形態では、1つまたは複数の入力デバイス106が、サーバ102または関連するコンポーネントあるいはその両方を動作させるか、または操作するか、あるいはその両方を実行するために採用されることができる。さらに、1つまたは複数の入力デバイス106は、サーバ102または関連するコンポーネントあるいはその両方によって生成された1つまたは複数の出力(例えば、表示、データ、または視覚化、あるいはその組み合わせなど)を表示するために採用されることができる。さらに、1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の入力デバイス106が、クラウド・コンピューティング環境内に含まれるか、またはクラウド・コンピューティング環境に動作可能に結合されるか、あるいはその両方であることができる。
【0028】
さまざまな実施形態では、1つまたは複数の入力デバイス106は、機械システム内に備えられた1つまたは複数のセンサまたは検出器あるいはその両方を備えることができ、1つまたは複数の入力デバイス106は、時系列データを収集するか、または測定するか、あるいはその両方を実行することができる。1つまたは複数の入力デバイス106内に備えられ得る例示的なセンサとしては、温度センサ、圧力センサ(例えば、アネロイド気圧計センサ、圧力計センサ、ブルドン管圧力センサ、または真空圧力センサ、あるいはその組み合わせなど)、振動センサ(例えば、加速度計、ひずみゲージ、または容量性変位センサ、あるいはその組み合わせなど)、超音波センサ、触覚センサ、近接センサ、レベル・センサ、煙センサ、ガス・センサ、バルブ測定センサ、またはケーシング圧測定センサ、あるいはその組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の入力デバイス106が、(例えば、手動操作、自律的収集、自律的検出、または自律的測定、あるいはその組み合わせによって)時系列データをシステム100に入力するために採用されることができる。時系列データは、機械システム内に備えられた1つまたは複数の部品の動作を考慮することができる。例えば、機械システムは、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)内に備えられることができ、1つまたは複数の入力デバイス106が、機械システムの1つまたは複数の部品の動作を監視する1つまたは複数のセンサまたは検出器あるいはその両方を備えることができる。時系列データは、1つまたは複数の入力デバイス106によって収集されたか、検出されたか、または測定されたか、あるいはその組み合わせが実行されたデータを含むことができる。例えば、時系列データは、動作中に機械システムの1つまたは複数の部品に発生した振動の量、温度、または圧力の量、あるいはその組み合わせを表すデータ点を、データ点が1つまたは複数の部品に発生した時間と共に、含むことができる。
【0030】
例えば、機械システムのさまざまな部品の動作の特性は、時系列データを確立するために時間順にインデックス付けされ得る(例えば、時間において連続する点で取得された順序でインデックス付けされ得る)1つまたは複数のデータ点によって表されることができる。例えば、1つまたは複数の入力デバイス106は、さまざまな部品の動作の状態を、特定の時間間隔で収集するか、検出するか、または測定するか、あるいはその組み合わせを実行することができ、各時間間隔で収集されたか、検出されたか、または測定されたか、あるいはその組み合わせが実行されたデータは、タイムスタンプが付与され、先行する時間間隔で収集されたか、検出されたか、または測定されたか、あるいはその組み合わせが実行されたデータに追加されて、時系列データを確立する。それによって、時系列データは、1つまたは複数の入力デバイス106を介して、手動で(例えば、1人または複数のユーザによって)、もしくは自律的に(例えば、1つまたは複数のセンサまたは検出器あるいはその両方によって)入力されることができ、または時間をかけて機械システムのさまざまな部品の動作の状態を特徴付けることができ、あるいはその両方が可能である。
【0031】
さまざまな実施形態では、1つまたは複数の入力デバイス106が、通信コンポーネント110または1つまたは複数のネットワーク104あるいはその両方を介して、時系列データを保守コンポーネント108と共有することができる。通信コンポーネント110は、時系列データを受信し、時系列データを、(例えば、システム・バス118を介して)本明細書に記載された保守コンポーネント108の関連するコンポーネントのうちの1つまたは複数と共有することができる。1つまたは複数の実施形態では、通信コンポーネント110は、時系列データを受信し、保守コンポーネント108によって処理するために、時系列データを1つまたは複数のメモリ116に格納することができる。
【0032】
分割コンポーネント112は、定義された時間間隔に基づいて、時系列データを複数のグループに分割することができる。例示的な時間間隔としては、数時間、数日、数週間、数か月、または数年、あるいはその組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。さまざまな実施形態では、1つまたは複数の入力デバイス106が、時間間隔を定義するために採用されることができる。さらに、分割コンポーネント112は、時系列データから抽出された複数のデータ・グループを1つまたは複数のメモリ116に格納することができる。例えば、時間間隔が1週間である場合、分割コンポーネント112は、時系列データを複数のグループに分割することができ、各グループが、特定の週に関連付けられた時系列データを含む。例えば、時間間隔が1週間である場合、9月の第1週の間の、機械システム内の1つまたは複数の部品の動作の状態を特徴付ける時系列データが、第1のグループに分割されることができ、一方、9月の第2週の間の、1つまたは複数の部品の動作の状態を特徴付ける時系列データが、第2のグループに分割されることができる。
【0033】
図2は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、構造コンポーネント202をさらに備えている例示的な非限定的システム100の図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。さまざまな実施形態では、構造コンポーネントは、複数のグループの推定された因果関係構造を生成するために、定義された時系列データ・グループの各々に対して1つまたは複数の因果関係発見アルゴリズムを使用することができる。
【0034】
1つまたは複数の実施形態では、構造コンポーネント202は、時系列データ・グループ内に含まれている変数間の因果関係構造を推定するために、1つまたは複数のパラメトリックまたはノンパラメトリック条件付き独立性検定器(parametric or non-parametric conditional independence testers)を使用することができる。例えば、構造コンポーネント202は、1つまたは複数の因果関係発見アルゴリズムを実行するために、機械学習を使用することができ、機械学習は、1つまたは複数の条件付き独立性検定器を使用して検定を実行し、エッジの存在または不在あるいはその両方を決定し、1つまたは複数のベイジアン・ネットワーク(例えば、時系列データ内の変数間の関係を示す有向グラフ)を生成することができる。条件付き独立性検定器の例としては、ParCorr、CCIT、またはRCOT、あるいはその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
構造コンポーネント202は、1つまたは複数の条件付き独立性検定器を利用して、1つまたは複数のp値を決定することができ、p値は、時系列データ内に含まれている変数間の仮定された関係が独立している確率に対応することができる。例えば、p値は、時系列データの第3の変数を前提として、時系列データの第1の変数が時系列データの第2の変数から独立している確率を表すことができる。例えば、p値は、時系列データを前提として、任意のA⊂[1:m]の場合のイベントI(X→X||X)=0の確率に対応することができ、ここで、「i」は時系列データの第1の変数に対応することができる、「j」は時系列データの第2の変数に対応することができる、「A」は時系列データの第3の変数に対応することができる、または「m」は特徴の数(例えば、特徴空間の次元性)に対応することができる、あるいはその組み合わせが可能である。さまざまな実施形態では、高いp値は、時系列データの第3の変数を前提として、時系列データの第1の変数と第2の変数の間の独立性を示すことができ、一方、低いp値は、時系列データの第3の変数を前提として、時系列データの第1の変数と第2の変数の間の依存関係を示すことができる。
【0036】
1つまたは複数の実施形態では、構造コンポーネント202によって1つまたは複数の条件付き独立性検定器が利用され、下の方程式1に従って、時系列データ間の可能性が高い依存関係を特徴付ける関連性測定値を決定することができる。
Assocα(i→j;A)=α-min(α,DI(i,j,A)) (1)
ここで、「DI」は有向情報に対応することができ、「α」は定義されたp値のしきい値に対応することができる。p値のしきい値αより大きいp値は、p値のしきい値αに縮小される。それによって、p値のしきい値αは、時系列データの特定の変数間の最大の関連性に対応することができる。したがって、構造コンポーネント202は、1つまたは複数の条件付き独立性検定器を利用してp値を決定することができ、その後p値は、方程式1に従って関連性測定値と相関することができる。
【0037】
さらに、構造コンポーネント202は、関連性測定値を利用して、複数の時系列データ・グループに対して、因果関係発見アルゴリズムを実行することができる。因果関係発見アルゴリズムの第1段階の間に、1つまたは複数の条件付き独立性検定器によって容易にされるp値または関連性測定値あるいはその両方に基づいて、因果関係グラフ(例えば、ベイジアン・ネットワーク)が構築されることができる。さらに、構造コンポーネント202は、因果関係グラフを参照して、対象の時系列データの変数との高い(例えば、1つまたは複数の入力デバイス106を介して設定されたしきい値を超える)関連性を有する時系列データの変数を識別し、識別された時系列データの変数を親候補セットに含めることができる。時系列データの変数は、それ以上関連性が存在しなくなるまで、親候補セットに繰り返し追加されることができる。例えば、1つまたは複数の条件付き独立性検定器は、多項式的数の検定を実行し、対象の変数との最大の関連性を有する変数を検出することができる。因果関係発見アルゴリズムの第2段階の間に、構造コンポーネント202は、親候補セットから不要なものを取り除き、(例えば、第1段階の間に因果関係グラフに追加された偽エッジを除去することによって)1つまたは複数の無関係な変数を除去することができる。さらに、構造コンポーネント202は、1つまたは複数の誤発見率制御を因果関係発見アルゴリズムに組み込むことができる。
【0038】
図3は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、構造コンポーネント202によって実行されることができる1つまたは複数の因果関係発見アルゴリズムを例示することができる例示的な非限定的MMPC-p-Reducedアルゴリズム300の図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。図3に示されているように、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300は、時系列データからの変数のセットにわたって因果関係グラフを識別するための、条件付き独立性検定器を含むベイジアン・ネットワークに基づく欲張り山登りアルゴリズムであることができる。
【0039】
図3に示されているように、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300は、Φで初期化された時系列データの変数jの親候補(CP:candidate parents)を分析することから開始することができる。さらに、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300は、K値に基づいて親候補の条件のセットを形成することができ、条件のセットは、K値を引いた親候補に等しくなることができる。さまざまな実施形態では、K値は1つまたは複数の入力デバイス106を介して設定されることができ、またはK値は0以上であることができ、あるいはその両方が可能である。例えば、5個の親候補が存在し、Kの値が1である場合、条件のセットは、4つの候補に等しくなることができる。さらに、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300の第1段階の間に実行される条件付き独立性検定の数は、多項式的数のK値になることができる。例えば、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300の第1段階の間に実行される条件付き独立性検定の数nは、nK+1に等しくなることができる。K値の変更は、条件のセットのサイズおよび実行される条件付き独立性検定の数とのトレードオフになることができる。例えば、小さいK値は、より大きい条件のセットをもたらすことができ、一方、大きいK値は、実行されるより多くの条件付き独立性検定をもたらすことができる。
【0040】
次に、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300は、条件のセットの候補のうちから、(例えば、1つまたは複数の条件付き独立性検定器、または方程式1によって定義された関連性測定値、あるいはその両方によって)時系列データの2つの特定の変数iおよびj間の最小の関連性を検出することができる。その後、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300は、関連性測定値が最大化される(例えば、jの現在の親候補セットに対して条件付けられる)ように、時系列データの変数jの親候補セットにまだ含まれていない時系列データの変数iの親候補を分析する。iの親候補がjの親候補セットにすでに含まれている場合、関連性測定値は0になり、それによって、最大の関連性ではなくなる。iの親候補が最大の関連性測定値(例えば、0より大きい値)を有していることが検出された場合、iの親候補がjの親候補セットに追加される。それによって、jの最初の親候補セットを除く親候補が分析され、jの親候補セットへの含有を示す(例えば、0より大きい関連性測定値によって特徴付けられた)関連性を識別することができる。
【0041】
MMPC-p-Reducedアルゴリズム300の第1段階によって(例えば前述され、図3の1~7行に示されているように)jの親候補セットが確立された後に、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300の第2段階が、(例えば、図3の8~20行に示されているように)親候補セットから不要なものを取り除くことができる。親候補セット内の要素Yごとに、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300は、(例えば、1つまたは複数の条件付き独立性検定器、または方程式1によって特徴付けられた関連性測定値、あるいはその両方によって)親候補セットの残りの要素に対して条件付けられたYとjの間の関連性を決定し、最小の関連性を有する要素を識別することができる。最小の関連性が0に等しい場合、特定の要素が親候補セットから除去されることができる。最小の関連性が0より大きい場合、特定の要素が維持されることができる。それによって、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300は、親候補セットの構成から不要なものを取り除くことができる。
【0042】
1つまたは複数の実施形態では、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300の第2段階は、何のp値で、特定の親が、図3の行1、19、21、または22、あるいはその組み合わせで「P」によって表された親候補セットに追加されたかを決定することもできる。例えば、Pは、因果関係グラフのエッジに関する1つまたは複数の統計的保証を決定するために使用されることができる。さらに、1つまたは複数の実施形態では、構造コンポーネント202は、時系列データ・グループの各々について、(例えば、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300などの因果関係発見アルゴリズムを実行することによって)因果関係構造を生成することができる。
【0043】
図4は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、行列コンポーネント402をさらに備えている例示的な非限定的システム100の図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。さまざまな実施形態では、行列コンポーネント402は、構造コンポーネント202によって導き出された1つまたは複数の因果関係構造に基づいて、時系列データ・グループの各々について、複数の隣接行列を構築することができる。
【0044】
例えば、行列コンポーネント402は、構造コンポーネント202によって構築された因果関係グラフの各々について、隣接行列を構築することができる。隣接行列は、因果関係発見アルゴリズム(例えば、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300)の決定に基づいて、特定のグループ内の時系列データの各変数の親を示すことができる。例えば、隣接行列は、ブール形式で構成されることができる(例えば、各行が、グループ内のさまざまな変数にインデックス付けすることができ、各列が可能性のある親にインデックス付けすることができる場合、因果関係発見アルゴリズムによって決定された親候補は、行列内の1の値に対応することができ、因果関係発見アルゴリズムによって決定された親以外は、行列内の0の値に対応することができる)。
【0045】
図5は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、クラスタ・コンポーネント502をさらに備えている例示的な非限定的システム100の図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。さまざまな実施形態では、クラスタ・コンポーネント502は、機械学習を使用して1つまたは複数のK平均クラスタ化技術を実行し、複数の隣接行列を異なるクラスタ・グループにクラスタ化することができる。
【0046】
例えば、第1のクラスタ・グループは、機械システムの標準的動作を特徴付ける隣接行列を含むことができる。例えば、第1のクラスタ・グループは、機械システムに機能不良が発生していない(例えば、1つまたは複数の入力デバイス106のセンサによって監視されている部品の各々が、期待される許容誤差の範囲内などの標準的な方法で動作している)時間間隔の間の時系列データ間のグレンジャー因果関係を含んでいる隣接行列を含むことができる。第2のクラスタは、非標準的動作の機械システムを特徴付ける隣接行列を含むことができる。例えば、第2のクラスタ・グループは、機械システムに機能不良が発生している(例えば、1つまたは複数の入力デバイス106のセンサによって監視されている部品のうちの1つまたは複数が、期待される許容誤差の範囲外などの非標準的な方法で動作している)時間間隔の間の時系列データ間のグレンジャー因果関係を含んでいる隣接行列を含むことができる。
【0047】
1つまたは複数の実施形態では、隣接行列のデータ・トポロジーが、特定の部品に機能不良が発生したかどうかに応じて機械システムの特定の部品の動作を表す時系列データに関して、変化することができる。それによって、クラスタ・コンポーネント502は、データ・トポロジーの差異に基づいて隣接行列を別々のクラスタ・グループにクラスタ化することができ、機械システムの標準的動作に関連付けられた隣接行列を第1のクラスタ・グループにクラスタ化し、機械システムの非標準的動作(例えば、機能不良)に関連付けられた隣接行列を第2のクラスタ・グループにクラスタ化する。
【0048】
図6は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、開始コンポーネント602をさらに備えている例示的な非限定的システム100の図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。さまざまな実施形態では、開始コンポーネント602は、クラスタ化された隣接行列を分析し、機械システムの根本原因となる故障の開始を識別することができる。
【0049】
例えば、開始コンポーネント602は、時系列データの時系列内で、別のクラスタ・グループの1つまたは複数の他の隣接行列に隣接している1つまたは複数の隣接行列を識別することができる。例えば、時系列内に配置された隣接行列にわたるクラスタ・グループ間の遷移は、機械システムの標準的動作と非標準的動作の間の遷移を示すことができ、時系列データによって特徴付けられた部品のうちの1つまたは複数によって発生した機能不良を示すことができる。例えば、開始コンポーネント602は、特定の隣接行列によって特徴付けられた時系列データ・グループに関連付けられた時間間隔に基づいて、クラスタ化された隣接行列を時系列データの時系列内に順序付けることができる。開始コンポーネント602は、第1のクラスタ・グループの隣接行列が第2のクラスタ・グループの隣接行列の次に配置される時系列に沿って事例を識別することによって、根本原因の開始を決定することができる。それによって、開始コンポーネント602は、時系列データのグレンジャー因果関係におけるデータ・トポロジーの差異に基づいて、時系列に沿って第1のクラスタ・グループの隣接行列から第2のクラスタ・グループの隣接行列への遷移によって示された、根本原因がいつ発生したか、または根本原因の開始、あるいはその両方を決定することができる。
【0050】
図7は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、原因コンポーネント702をさらに備えている例示的な非限定的システム100の図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。さまざまな実施形態では、原因コンポーネント702は、クラスタ・グループの識別された(例えば、開始コンポーネント602によって識別された)隣接行列の遷移を分析し、識別された隣接行列間の最大の差異に対応する時系列データの1つまたは複数の変数を識別することができる。1つまたは複数の実施形態では、識別された隣接行列間の最大の差異に関連付けられた変数は、機械システムの故障の根本原因、または潜在的な機械システムの故障の根本原因を示す。
【0051】
例えば、原因コンポーネント702は、開始コンポーネント602によって識別された隣接行列(例えば、クラスタ・グループの遷移を定義する隣接行列)の時系列データの変数間のハミング距離を決定することができる。例えば、原因コンポーネント702は、第1の隣接行列および第2の隣接行列内に含まれている変数間のハミング距離を決定することができ、第1の隣接行列は、第1のクラスタ・グループに属し、第2のクラスタ・グループに属することができる第2の隣接行列の次に配置されることができる。ハミング距離に基づいて、原因コンポーネント702は、2つの隣接行列間の最大の差異に関連付けられた定義済みの数の変数(例えば、5つの変数)を識別することができる。1つまたは複数の実施形態では、変数の定義済みの数は、1つまたは複数の入力デバイス106を介して設定されることができる。識別された変数によって特徴付けられた機械システムの1つまたは複数の部品は、過去の故障の根本原因または潜在的な故障の根本原因である可能性がある。さらに、隣接行列があるクラスタ・グループから別のクラスタ・グループに遷移するときは、識別された(例えば、識別された変数によって表現された)部品に機能不良が発生したときであることができる(例えば、根本原因の開始が発生したときであることができる)。
【0052】
図8は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、さまざまな条件付き独立性検定器を使用するMMPC-p-Reducedアルゴリズム300の有効性を示すことができる例示的な非限定的グラフ800および802の図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。グラフ800および802は、蔵本振動子(Kuramoto oscillator)によって生成された10個の時系列変数を含んでいる合成データセットに対する因果関係発見アルゴリズムの実行を考慮することができる。
【0053】
グラフ800に示されているように、線804は、指数関数的数の条件付き独立性検定を利用してグレンジャー因果関係グラフを構築することができる従来の因果関係発見アルゴリズムに対応することができる。例えば、線804は、CCIT条件付き独立性検定器および0.1のα値を使用する時系列データに対するMMPCアルゴリズムの実行に対応することができる。線806および808は、多項式的数の条件付き独立性検定を使用してグレンジャー因果関係グラフを構築することができる、本明細書に記載されたベイジアン・ネットワークに基づく欲張り山登り因果関係発見アルゴリズムの実行を考慮することができる。例えば、線806は、CCIT条件付き独立性検定器および0.1のα値を使用するMMPC-p-Reducedアルゴリズム300の実行に対応することができる。また、線808は、ParCorr条件付き独立性検定器および0.1のα値を使用するMMPC-p-Reducedアルゴリズム300の実行に対応することができる。グラフ800または802あるいはその両方に示されているように、本明細書に記載されたベイジアン・ネットワークに基づく欲張り山登り因果関係発見アルゴリズム(例えば、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300)の実行は、従来技術と比較して改善された誤検出率または検出漏れ率あるいはその両方を実現することができる。
【0054】
図9A、9B、または9C、あるいはその組み合わせは、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って保守コンポーネント108によって実行され得る根本原因分析の有効性を示すことができる例示的な非限定的グラフ900、902、または904、あるいはその組み合わせを示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。グラフ900、902、または904、あるいはその組み合わせは、蒸気タービンからのセンサ読み取り値を含んでいる時系列データを考慮することができる。蒸気タービンの固有の動作は、因果関係発見を困難にする可能性がある時系列データの1つまたは複数の特性をもたらすことがある。例えば、時系列データは、時間に基づいて変化する特性を示すことができる。例えば、蒸気タービンは、ほとんど夜に動作しない。また、日中、蒸気タービンは、変数間の関係を変更する可能性があるさまざまな動作モードを有することができる。別の例では、時系列データは、遅延した依存関係および高頻度の変化を特徴付けることができる。変数の挙動は、急速に変化することがあるが、他の変数に対する変数の変化の影響の実現は、遅れることがある。例えば、回転子の振動は、およそ数秒の間に変化することがあるが、蒸気タービンの出力に対する影響が観察されるには、数分を要することがある。
【0055】
因果関係発見の課題に取り組むために、保守コンポーネント108は、グラフ900、902、または904、あるいはその組み合わせにおいて提示された分析を導き出すことにおいて、以下の発見的手法を実装することができる。最初に、構造コンポーネント202は、時系列データセットの5つのブートストラップに対して因果関係発見アルゴリズム(例えば、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300)を実行し、重み付き因果関係グラフを構築することができる。因果関係グラフのエッジの重みは、エッジが検出されたブートストラップの数を示すことができる。次に、構造コンポーネント202は、2分の間隔で時系列データをサブサンプリングすることができ、それによって、因果関係発見アルゴリズム(例えば、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300)が、前述した遅延にもかかわらず関係を発見できるようにする。
【0056】
グラフ900は、蒸気タービン内の7つの軸受けの(例えば、入力デバイス106の1つまたは複数のセンサによって測定された)推力振動に関する時系列に沿ってプロットされた時系列データのグレンジャー因果関係を示している。図9Aに示されているように、分割コンポーネント112は、時系列データを複数のグループ(例えば、図9Aに示されたグループ0~7)に編成することができる。グラフ902は、グラフ900の9月15日から9月29日までの拡大部分を示している。図9Bに示されているように、クラスタ・コンポーネント502は、複数のグループの隣接行列を2つのクラスタ・グループ(例えば、図9Bに示されたクラスタ・グループ1およびクラスタ・グループ2)にクラスタ化することができる。例えば、時系列データ・グループ0、1、および2は、類似するデータ・トポロジーを有し、クラスタ・グループ1にクラスタ化されることができ、一方、時系列データ・グループ3は、時系列データ・グループ0、1、および2と異なるデータ・トポロジーを有することができ、クラスタ・グループ2にクラスタ化されることができる。それによって、開始コンポーネント602は、時系列データ・グループ2および3に関連付けられた隣接行列間のクラスタ・グループの遷移を識別し、根本原因の開始を決定することができる。
【0057】
さらに、原因コンポーネント702は、時系列データ・グループ2に関連付けられた隣接行列および時系列データ・グループ3に関連付けられた隣接行列の変数間のハミング距離を決定することができる。図9Bに示されているように、軸受け1、4、6、および2に関連付けられた変数は、最大のハミング距離を有しているとして(例えば、原因コンポーネント702によって)識別されることができる。グラフ904は、グラフ900の10月7日から10月19日までの拡大部分を示している。図9Cに示されているように、軸受け1、4、6、および2は、時系列グループ2と3の間で識別された開始(例えば、9月22日の開始)に起因して、以前は引き起こしていなかった変数に対する因果関係の影響を与え始めることができる。さらに、時系列データ・グループ5内の動作の挙動を視覚的に変更するように、因果関係の影響が示されている。したがって、保守コンポーネント108は、時系列データ・グループ2内で発生し、時系列データ・グループ5内で大幅な動作の悪化を明示した根本原因の開始を決定することができ、根本原因の責任を負っている可能性が高い変数が軸受け1、4、6、および2の動作に関連付けられているということを決定することができる。
【0058】
図10は、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って保守コンポーネント108によって実行され得る根本原因分析の有効性をさらに示すことができる例示的な非限定的グラフ1000を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。グラフ1000は、図9A、9B、または9C、あるいはその組み合わせにおいて分析された蒸気タービンの時系列データをさらに考慮することができる。蒸気タービンに、7月6日に第2のシステム故障が発生し、グラフ1000は、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って保守コンポーネント108によって決定された根本原因の開始を示すことができる。グラフ1000に示されているように、時系列データ・グループ7に関連付けられた隣接行列および時系列データ・グループ8に関連付けられた隣接行列は、異なるクラスタ・グループにクラスタ化されることができ、それによって、根本原因の開始を示す。やはりグラフ1000に示されているように、圧力または制御値あるいはその両方に関連付けられた読み取り値の一部が時間と共に徐々に減少し、クラスタ・グループの遷移での1つまたは複数の圧力または制御値あるいはその両方における機能不良が、根本原因の開始に対応することができる。
【0059】
図11は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データに基づいて1つまたは複数の根本原因分析を容易にすることができる例示的な非限定的コンピュータ実装方法1100のフロー図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0060】
1102で、コンピュータ実装方法1100は、プロセッサ120に動作可能に結合されたシステム100によって、(例えば、通信コンポーネント110または入力デバイス106あるいはその両方を介して)機械システムに関する時系列データを受信することを含むことができる。例えば、時系列データは、機械システム内に備えられた1つまたは複数の部品の動作の状態を考慮することができる。さまざまな実施形態では、時系列データは、機械システムの動作を監視している1つまたは複数のセンサまたは検出器あるいはその両方によって、収集されるか、決定されるか、または測定されるか、あるいはその組み合わせが実行されることができる。さらに、1つまたは複数の実施形態では、時系列データは、1つまたは複数のネットワーク104を介して(例えば、1つまたは複数のクラウド・コンピューティング環境を利用して)受信されることができる。
【0061】
1104で、コンピュータ実装方法1100は、システム100によって(例えば、保守コンポーネント108によって)、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の原因を検出することを含むことができる。例えば、1104で検出することは、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って、(例えば、開始コンポーネント602によって)グレンジャー因果関係を特徴付ける隣接行列間のクラスタ・グループの遷移を識別することを含むことができる。さらに、1104で検出することは、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って、(例えば、原因コンポーネント702によって)クラスタ・グループの遷移を定義する隣接行列の変数間のハミング距離を決定することを含むことができる。1つまたは複数の実施形態では、最大のハミング距離を有する変数は、故障の根本原因に関連付けられているとして識別されることができる。
【0062】
図12は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データに基づいて1つまたは複数の根本原因分析を容易にすることができる例示的な非限定的コンピュータ実装方法1200のフロー図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0063】
1202で、コンピュータ実装方法1200は、プロセッサ120に動作可能に結合されたシステム100によって、(例えば、通信コンポーネント110または入力デバイス106あるいはその両方を介して)機械システムに関する時系列データを受信することを含むことができる。例えば、時系列データは、機械システム内に備えられた1つまたは複数の部品の動作の状態を考慮することができる。さまざまな実施形態では、時系列データは、機械システムの動作を監視している1つまたは複数のセンサまたは検出器あるいはその両方によって、収集されるか、決定されるか、または測定されるか、あるいはその組み合わせが実行されることができる。さらに、1つまたは複数の実施形態では、時系列データは、1つまたは複数のネットワーク104を介して(例えば、1つまたは複数のクラウド・コンピューティング環境を利用して)受信されることができる。
【0064】
1204で、コンピュータ実装方法1200は、システム100によって(例えば、保守コンポーネント108によって)、条件のセットを前提として、多項式的数の条件付き独立性検定を実行して、時系列データから変数間のグレンジャー因果関係を決定するために、欲張り山登りプロセスを使用することによって、機械システムの故障の開始を検出することを含むことができる。例えば、1204で検出することは、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って、(例えば、開始コンポーネント602によって)グレンジャー因果関係を特徴付ける隣接行列間のクラスタ・グループの遷移を識別することを含むことができる。クラスタ・グループの遷移は、グレンジャー因果関係のデータ・トポロジーにおいて示された変化を定義することができ、または機械システム内の機能不良が最初にいつ発生したかを示すことができ、あるいはその両方が可能である。1つまたは複数の実施形態では、コンピュータ実装方法1200は、修理を容易にするために、発生した機械システムの故障に関して故障の開始を検出することができる。1つまたは複数の実施形態では、コンピュータ実装方法1200は、予防保守を容易にするために、潜在的なシステム故障に関して故障の開始を検出することができる。
【0065】
図13は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、時系列データに基づいて1つまたは複数の根本原因分析を容易にすることができる例示的な非限定的コンピュータ実装方法1300のフロー図を示している。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0066】
1302で、コンピュータ実装方法1300は、プロセッサ120に動作可能に結合されたシステム100によって、(例えば、通信コンポーネント110または入力デバイス106あるいはその両方を介して)機械システムに関する時系列データを受信することを含むことができる。例えば、時系列データは、機械システム内に備えられた1つまたは複数の部品の動作の状態を考慮することができる。さまざまな実施形態では、時系列データは、機械システムの動作を監視している1つまたは複数のセンサまたは検出器あるいはその両方によって、収集されるか、決定されるか、または測定されるか、あるいはその組み合わせが実行されることができる。さらに、1つまたは複数の実施形態では、時系列データは、1つまたは複数のネットワーク104を介して(例えば、1つまたは複数のクラウド・コンピューティング環境を利用して)受信されることができる。
【0067】
1304で、コンピュータ実装方法1300は、システム100によって(例えば、分割コンポーネント112によって)、時系列データを固定長のグループに分割することを含むことができる。例えば、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って、この固定長は、定義された時間間隔に基づくことができる。1306で、コンピュータ実装方法1300は、システム100によって(例えば、構造コンポーネント202によって)、グループごとに1つまたは複数の因果関係発見アルゴリズムを実行し、時系列データ内のグレンジャー因果関係を特徴付ける1つまたは複数のグレンジャー因果関係グラフを構築することを含むことができる。例えば、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って、1つまたは複数の因果関係発見アルゴリズムは、時系列データにわたってグレンジャー因果関係グラフを識別するための、MMPC-p-Reducedアルゴリズム300などの、条件付き独立性検定器を含むベイジアン・ネットワークに基づく欲張り山登りアルゴリズムである。
【0068】
1308で、コンピュータ実装方法1300は、システム100によって(例えば、行列コンポーネント402によって)、グレンジャー因果関係グラフに基づいて1つまたは複数の隣接行列を構築することを含むことができる。例えば、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って、1つまたは複数の隣接行列は、時系列データの各変数に関してインデックス付けされた親候補を含むことができる。1310で、コンピュータ実装方法1300は、システム100によって(例えば、クラスタ・コンポーネント502によって)、K平均クラスタ化を使用して1つまたは複数の隣接行列を2つのクラスタ・グループにクラスタ化することを含むことができる。例えば、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って、第1のクラスタ・グループは、機械システムの1つまたは複数の標準的動作状態に関連付けられることができ、または第2のクラスタ・グループは、機械システムの1つまたは複数の非標準的動作状態(例えば、1つまたは複数の機能不良を含んでいる動作)に関連付けられることができ、あるいはその両方であることができる。
【0069】
1312で、コンピュータ実装方法1300は、システム100によって(例えば、開始コンポーネント602によって)、時系列に沿って互いに隣接して配置された、異なるクラスタ・グループに属する隣接行列を識別することを含むことができる。例えば、本明細書に記載されたさまざまな実施形態に従って、識別された隣接行列は、時系列に沿ってクラスタ・グループの遷移を定義することができる。さらに、クラスタ・グループの遷移は、機械システムの根本原因の開始または潜在的な故障あるいはその両方を示すことができる。1314で、コンピュータ実装方法1300は、システム100によって(例えば、原因コンポーネント702によって)、識別された隣接行列の変数間のハミング距離を決定することを含むことができる。例えば、クラスタ・グループの遷移を定義する隣接行列間の最大のハミング距離を有する変数は、機械システムの故障の根本原因または潜在的な故障に関連付けられることができる。
【0070】
本開示にはクラウド・コンピューティングに関する詳細な説明が含まれているが、本明細書において示された内容の実装は、クラウド・コンピューティング環境に限定されないと理解されるべきである。本発明の実施形態は、現在既知であるか、または今後開発される任意のその他の種類のコンピューティング環境と組み合わせて実装できる。
【0071】
クラウド・コンピューティングは、構成可能な計算リソース(例えば、ネットワーク、ネットワーク帯域幅、サーバ、処理、メモリ、ストレージ、アプリケーション、仮想マシン、およびサービス)の共有プールへの便利なオンデマンドのネットワーク・アクセスを可能にするためのサービス提供モデルであり、管理上の手間またはサービス・プロバイダとのやりとりを最小限に抑えて、これらのリソースを迅速にプロビジョニングおよび解放することができる。このクラウド・モデルは、少なくとも5つの特徴、少なくとも3つのサービス・モデル、および少なくとも4つのデプロイメント・モデルを含むことができる。
【0072】
特徴は、次のとおりである。
オンデマンドのセルフ・サービス:クラウドの利用者は、サーバの時間およびネットワーク・ストレージなどの計算能力を一方的に、サービス・プロバイダとの人間的なやりとりを必要とせず、必要に応じて自動的にプロビジョニングすることができる。
幅広いネットワーク・アクセス:クラウドの能力は、ネットワークを経由して利用可能であり、標準的なメカニズムを使用してアクセスできるため、異種のシン・クライアントまたはシック・クライアント・プラットフォーム(例えば、携帯電話、ラップトップ、およびPDA)による利用を促進する。
リソース・プール:プロバイダの計算リソースは、プールされ、マルチテナント・モデルを使用して複数の利用者に提供される。さまざまな物理的および仮想的リソースが、要求に従って動的に割り当ておよび再割り当てされる。場所に依存しないという感覚があり、利用者は通常、提供されるリソースの正確な場所に関して管理することも知ることもないが、さらに高い抽象レベルでは、場所(例えば、国、州、またはデータセンター)を指定できる場合がある。
迅速な順応性:クラウドの能力は、迅速かつ柔軟に、場合によっては自動的にプロビジョニングされ、素早くスケールアウトし、迅速に解放されて素早くスケールインすることができる。プロビジョニングに使用できる能力は、利用者には、多くの場合、任意の量をいつでも無制限に購入できるように見える。
測定されるサービス:クラウド・システムは、計測機能を活用することによって、サービスの種類(例えば、ストレージ、処理、帯域幅、およびアクティブなユーザのアカウント)に適した抽象レベルで、リソースの使用を自動的に制御および最適化する。リソースの使用状況は監視、制御、および報告することができ、利用されるサービスのプロバイダと利用者の両方に透明性が提供される。
【0073】
サービス・モデルは、次のとおりである。
SaaS(Software as a Service):利用者に提供される能力は、クラウド・インフラストラクチャ上で稼働しているプロバイダのアプリケーションの利用である。それらのアプリケーションは、Webブラウザ(例えば、Webベースの電子メール)などのシン・クライアント・インターフェイスを介して、さまざまなクライアント・デバイスからアクセスできる。利用者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、ストレージ、または個々のアプリケーション機能を含む基盤になるクラウド・インフラストラクチャを、限定的なユーザ固有のアプリケーション構成設定を行う可能性を除き、管理することも制御することもない。
PaaS(Platform as a Service):利用者に提供される能力は、プロバイダによってサポートされるプログラミング言語およびツールを使用して作成された、利用者が作成または取得したアプリケーションをクラウド・インフラストラクチャにデプロイすることである。利用者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、またはストレージを含む基盤になるクラウド・インフラストラクチャを管理することも制御することもないが、デプロイされたアプリケーション、および場合によってはアプリケーション・ホスティング環境の構成を制御することができる。
IaaS(Infrastructure as a Service):利用者に提供される能力は、処理、ストレージ、ネットワーク、およびその他の基本的な計算リソースのプロビジョニングであり、利用者は、オペレーティング・システムおよびアプリケーションを含むことができる任意のソフトウェアをデプロイして実行できる。利用者は、基盤になるクラウド・インフラストラクチャを管理することも制御することもないが、オペレーティング・システム、ストレージ、およびデプロイされたアプリケーションを制御することができ、場合によっては、選択されたネットワーク・コンポーネント(例えば、ホスト・ファイアウォール)を限定的に制御できる。
【0074】
デプロイメント・モデルは、次のとおりである。
プライベート・クラウド:このクラウド・インフラストラクチャは、組織のためにのみ運用される。この組織またはサード・パーティによって管理することができ、オンプレミスまたはオフプレミスに存在することができる。
コミュニティ・クラウド:このクラウド・インフラストラクチャは、複数の組織によって共有され、関心事(例えば、任務、セキュリティ要件、ポリシー、およびコンプライアンスに関する考慮事項)を共有している特定のコミュニティをサポートする。これらの組織またはサード・パーティによって管理することができ、オンプレミスまたはオフプレミスに存在することができる。
パブリック・クラウド:このクラウド・インフラストラクチャは、一般ユーザまたは大規模な業界団体が使用できるようになっており、クラウド・サービスを販売する組織によって所有される。
ハイブリッド・クラウド:このクラウド・インフラストラクチャは、データとアプリケーションの移植を可能にする標準化された技術または独自の技術(例えば、クラウド間の負荷バランスを調整するためのクラウド・バースト)によって固有の実体を残したまま互いに結合された2つ以上のクラウド(プライベート、コミュニティ、またはパブリック)の複合である。
【0075】
クラウド・コンピューティング環境は、ステートレス、疎結合、モジュール性、および意味的相互運用性に重点を置いたサービス指向の環境である。クラウド・コンピューティングの中心になるのは、相互接続されたノードのネットワークを含んでいるインフラストラクチャである。
【0076】
ここで図14を参照すると、例示的なクラウド・コンピューティング環境1400が示されている。図示されているように、クラウド・コンピューティング環境1400は、クラウドの利用者によって使用されるローカル・コンピューティング・デバイス(例えば、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA:personal digital assistant)または携帯電話1404、デスクトップ・コンピュータ1406、ラップトップ・コンピュータ1408、または自動車コンピュータ・システム1410、あるいはその組み合わせなど)が通信できる1つまたは複数のクラウド・コンピューティング・ノード1402を含んでいる。ノード1402は、互いに通信してよい。ノード1402は、1つまたは複数のネットワーク内で、本明細書において前述されたプライベート・クラウド、コミュニティ・クラウド、パブリック・クラウド、またはハイブリッド・クラウド、あるいはこれらの組み合わせなどに、物理的または仮想的にグループ化されてよい(図示されていない)。これによって、クラウド・コンピューティング環境1400は、クラウドの利用者がローカル・コンピューティング・デバイス上でリソースを維持する必要のないインフラストラクチャ、プラットフォーム、またはSaaS、あるいはその組み合わせを提供できる。図14に示されたコンピューティング・デバイス1404~1410の種類は、例示のみが意図されており、コンピューティング・ノード1402およびクラウド・コンピューティング環境1400は、任意の種類のネットワークまたはネットワーク・アドレス可能な接続(例えば、Webブラウザを使用した接続)あるいはその両方を経由して任意の種類のコンピュータ制御デバイスと通信することができると理解される。
【0077】
ここで図15を参照すると、クラウド・コンピューティング環境1400(図14)によって提供される機能的抽象レイヤのセットが示されている。本明細書に記載の他の実施形態で使用している同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略する。図15に示されたコンポーネント、レイヤ、および機能は、例示のみが意図されており、本発明の実施形態がこれらに限定されないということが、あらかじめ理解されるべきである。図示されているように、次のレイヤおよび対応する機能が提供される。
【0078】
ハードウェアおよびソフトウェア・レイヤ1502は、ハードウェア・コンポーネントおよびソフトウェア・コンポーネントを含む。ハードウェア・コンポーネントの例としては、メインフレーム1504、RISC(Reduced Instruction Set Computer)アーキテクチャベースのサーバ1506、サーバ1508、ブレード・サーバ1510、ストレージ・デバイス1512、ならびにネットワークおよびネットワーク・コンポーネント1514が挙げられる。一部の実施形態では、ソフトウェア・コンポーネントは、ネットワーク・アプリケーション・サーバ・ソフトウェア1516およびデータベース・ソフトウェア1518を含む。
【0079】
仮想化レイヤ1520は、仮想サーバ1522、仮想ストレージ1524、仮想プライベート・ネットワークを含む仮想ネットワーク1526、仮想アプリケーションおよびオペレーティング・システム1528、ならびに仮想クライアント1530などの仮想的実体を提供できる抽象レイヤを備える。
【0080】
一例を挙げると、管理レイヤ1532は、以下で説明される機能を提供することができる。リソース・プロビジョニング1534は、クラウド・コンピューティング環境内でタスクを実行するために利用される計算リソースおよびその他のリソースの動的調達を行う。計測および価格設定1536は、クラウド・コンピューティング環境内でリソースが利用された際のコスト追跡、およびそれらのリソースの利用に対する請求書の作成と送付を行う。一例を挙げると、それらのリソースは、アプリケーション・ソフトウェア・ライセンスを含んでよい。セキュリティは、クラウドの利用者およびタスクのID検証を行うとともに、データおよびその他のリソースの保護を行う。ユーザ・ポータル1538は、クラウド・コンピューティング環境へのアクセスを利用者およびシステム管理者に提供する。サービス・レベル管理1540は、必要なサービス・レベルを満たすように、クラウドの計算リソースの割り当てと管理を行う。サービス水準合意(SLA:Service Level Agreement)計画および実行1542は、今後の要求が予想されるクラウドの計算リソースの事前準備および調達を、SLAに従って行う。
【0081】
ワークロード・レイヤ1544は、クラウド・コンピューティング環境で利用できる機能の例を示している。このレイヤから提供されてよいワークロードおよび機能の例としては、マッピングおよびナビゲーション1546、ソフトウェア開発およびライフサイクル管理1548、仮想クラスルーム教育の配信1550、データ解析処理1552、トランザクション処理1554、および根本原因分析1556が挙げられる。本発明のさまざまな実施形態は、図14および15を参照して説明されたクラウド・コンピューティング環境を利用して、1つまたは複数の機械システムに関する時系列データを収集するか、または時系列データに基づいて1つまたは複数の根本原因分析を実行するか、あるいはその両方を実行することができる。
【0082】
本発明は、任意の可能な統合の技術的詳細レベルで、システム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組み合わせであってよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を含んでいるコンピュータ可読ストレージ媒体を含んでよい。コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持および格納できる有形のデバイスであることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、またはこれらの任意の適切な組み合わせであってよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読ストレージ媒体のさらに具体的な例の非網羅的リストは、ポータブル・フロッピー(R)・ディスク、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read-only memoryまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM:static random access memory)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM:compact disc read-only memory)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD:digital versatile disk)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、パンチカードまたは命令が記録されている溝の中の隆起構造などの機械的にエンコードされるデバイス、およびこれらの任意の適切な組み合わせを含む。本明細書において使用されるとき、コンピュータ可読ストレージ媒体は、それ自体が、電波またはその他の自由に伝搬する電磁波、導波管またはその他の送信媒体を伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、あるいはワイヤを介して送信される電気信号などの一過性の信号であると解釈されるべきではない。
【0083】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体から各コンピューティング・デバイス/処理デバイスへ、またはネットワーク(例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、または無線ネットワーク、あるいはその組み合わせ)を介して外部コンピュータまたは外部ストレージ・デバイスへダウンロードされ得る。このネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組み合わせを備えてよい。各コンピューティング・デバイス/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェイスは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信し、それらのコンピュータ可読プログラム命令を各コンピューティング・デバイス/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体に格納するために転送する。
【0084】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA:instruction-set-architecture)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、あるいは、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソース・コードまたはオブジェクト・コードであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で全体的に実行すること、ユーザのコンピュータ上でスタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして部分的に実行すること、ユーザのコンピュータ上およびリモート・コンピュータ上でそれぞれ部分的に実行すること、あるいはリモート・コンピュータ上またはサーバ上で全体的に実行することができる。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)または広域ネットワーク(WAN:wide area network)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてよく、または接続は、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して行われてよい。一部の実施形態では、本発明の態様を実行するために、例えばプログラマブル・ロジック回路、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA:programmable logic arrays)を含む電子回路は、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、電子回路をカスタマイズするためのコンピュータ可読プログラム命令を実行してよい。
【0085】
本発明の態様は、本明細書において、本発明の実施形態に従って、方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して説明される。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、ならびにフローチャート図またはブロック図あるいはその両方に含まれるブロックの組み合わせが、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得るということが理解されるであろう。
【0086】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方のブロックに指定される機能/動作を実施する手段を作り出すべく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを作り出すものであってよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体がフローチャートまたはブロック図あるいはその両方のブロックに指定される機能/動作の態様を実施する命令を含んでいる製品を含むような特定の方法で、コンピュータ可読ストレージ媒体に格納され、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組み合わせに機能するように指示できるものであってもよい。
【0087】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ上、その他のプログラム可能な装置上、またはその他のデバイス上で実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方のブロックに指定される機能/動作を実施するように、コンピュータ、その他のプログラム可能なデータ処理装置、またはその他のデバイスに読み込まれてもよく、それによって、一連の動作可能なステップを、コンピュータ上、その他のプログラム可能な装置上、またはコンピュータ実装プロセスを生成するその他のデバイス上で実行させる。
【0088】
図内のフローチャートおよびブロック図は、本発明のさまざまな実施形態に従って、システム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関連して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、規定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を備える、命令のモジュール、セグメント、または部分を表してよい。一部の代替の実装では、ブロックに示された機能は、図に示された順序とは異なる順序で発生してよい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、含まれている機能に応じて、実質的に同時に実行されるか、または場合によっては逆の順序で実行されてよい。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、ならびにブロック図またはフローチャート図あるいはその両方に含まれるブロックの組み合わせは、規定された機能または動作を実行するか、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装され得るということにも注意する。
【0089】
本明細書に記載されたさまざまな実施形態のその他の背景を提供するために、図16および以下の説明は、本明細書に記載されたさまざまな実施形態が実装され得る適切なコンピューティング環境1600の概要を示すよう意図されている。実施形態は、1つまたは複数のコンピュータ上で実行されることができるコンピュータ実行可能命令の一般的状況において上で説明されたが、当業者は、実施形態が、他のプログラム・モジュールと組み合わせて、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして、あるいはその両方で実装されることもできるということを認識するであろう。
【0090】
通常、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などを含む。さらに、当業者は、本発明の方法が、シングルプロセッサ・コンピュータ・システムまたはマルチプロセッサ・コンピュータ・システム、ミニコンピュータ、メインフレーム・コンピュータ、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)デバイス、分散機械システムだけでなく、パーソナル・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス、マイクロプロセッサベースのコンシューマ・エレクトロニクスまたはプログラマブル・コンシューマ・エレクトロニクスなどを含む、他のコンピュータ・システム構成を使用して実践されることができ、これらの各々が1つまたは複数の関連するデバイスに動作可能に結合され得るということを理解するであろう。
【0091】
本明細書において示された実施形態は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによって特定のタスクが実行される、分散コンピューティング環境内で実践されることもできる。分散コンピューティング環境において、プログラム・モジュールは、ローカルおよびリモートの両方のメモリ・ストレージ・デバイスに配置され得る。例えば、1つまたは複数の実施形態では、コンピュータ実行可能コンポーネントは、1つまたは複数の分散されたメモリ・ユニットを含むことができるか、または1つまたは複数の分散されたメモリ・ユニットから成ることができる、メモリから実行されることができる。本明細書において使用されるとき、「メモリ」および「メモリ・ユニット」という用語は交換可能である。さらに、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態は、コンピュータ実行可能コンポーネントのコードを、分散された方法で、例えば、1つまたは複数の分散されたメモリ・ユニットからのコードを実行するように結合しているか、または協調して動作している複数のプロセッサで、実行することができる。本明細書において使用されるとき、「メモリ」という用語は、1つの位置での単一のメモリまたはメモリ・ユニット、あるいは1つまたは複数の位置での複数のメモリまたはメモリ・ユニットを包含することができる。
【0092】
コンピューティング・デバイスは、通常、コンピュータ可読ストレージ媒体、機械可読ストレージ媒体、または通信媒体、あるいはその組み合わせを含むことができる、さまざまな媒体を含み、本明細書では、次のように2つの用語が互いに異なって使用される。コンピュータ可読記憶媒体または機械可読ストレージ媒体は、コンピュータによってアクセスされることができる任意の使用可能なストレージ媒体であることができ、揮発性媒体および不揮発性媒体、取り外し可能な媒体および取り外し不可能な媒体を両方とも含む。例として、コンピュータ可読ストレージ媒体または機械可読ストレージ媒体は、コンピュータ可読命令または機械可読命令、プログラム・モジュール、構造化データまたは非構造化データなどの情報の格納のための任意の方法または技術に関連して実装されることができるが、これらに限定されない。
【0093】
コンピュータ可読ストレージ媒体は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read only memory)、フラッシュ・メモリまたはその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、ブルーレイ・ディスク(BD:Blu-ray disc)またはその他の光ディスク・ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク・ストレージまたはその他の磁気ストレージ・デバイス、半導体ドライブまたはその他の半導体ストレージ・デバイス、あるいは望ましい情報を格納するために使用され得るその他の有形の媒体もしくは非一過性の媒体またはその両方を含むことができるが、これらに限定されない。これに関して、本明細書における「有形」または「非一過性」という用語は、ストレージ、メモリ、またはコンピュータ可読媒体に適用されるとき、それ自体が伝搬する一過性の信号のみを修飾語句として除外し、それ自体が単に伝搬する一過性の信号ではないすべての標準的なストレージ、メモリ、またはコンピュータ可読媒体に対する権利を放棄しないと理解されるべきである。
【0094】
コンピュータ可読ストレージ媒体は、媒体によって格納された情報に関するさまざまな動作のために、例えばアクセス要求、クエリ、またはその他のデータ検索プロトコルを介して、1つまたは複数のローカル・コンピューティング・デバイスまたはリモート・コンピューティング・デバイスによってアクセスされることができる。
【0095】
通信媒体は、通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラム・モジュール、あるいはその他の構造化データまたは非構造化データを、変調データ信号(例えば、搬送波またはその他の搬送機構)などのデータ信号で具現化し、任意の情報配信または輸送媒体を含む。「変調データ信号」という用語は、1つまたは複数の信号内の情報をエンコードするような方法で設定または変更される特性のうちの1つまたは複数を有する信号のことを指す。例として、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続などの有線媒体、および音響、RF、赤外線、およびその他の無線媒体などの無線媒体を含むが、これらに限定されない。
【0096】
図16を再び参照すると、本明細書に記載された態様のさまざまな実施形態を実装するための例示的な環境1600がコンピュータ1602を含んでおり、コンピュータ1602は、処理ユニット1604、システム・メモリ1606、およびシステム・バス1608を含んでいる。システム・バス1608は、システム・メモリ1606を含むが、これに限定されないシステム・コンポーネントを、処理ユニット1604に結合する。処理ユニット1604は、さまざまな市販されているプロセッサのいずれかであることができる。デュアル・マイクロプロセッサおよびその他のマルチプロセッサ・アーキテクチャが、処理ユニット1604として採用されることもできる。
【0097】
システム・バス1608は、さまざまな市販されているバス・アーキテクチャのいずれかを使用するメモリ・バス(メモリ・コントローラを含むか、または含まない)、ペリフェラル・バス、およびローカル・バスにさらに相互接続することができる複数の種類のバス構造のいずれかであることができる。システム・メモリ1606は、ROM1610およびRAM1612を含んでいる。基本入出力システム(BIOS:basic input/output system)は、ROM、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read only memory)、EEPROMなどの、不揮発性メモリに格納されることができ、BIOSは、起動などの間にコンピュータ1602内の要素間で情報を転送するのに役立つ基本的なルーチンを含む。RAM1612は、データをキャッシュするためのスタティックRAMなどの高速なRAMを含むこともできる。
【0098】
コンピュータ1602は、内部ハード・ディスク・ドライブ(HDD:hard disk drive)1614(例えば、EIDE、SATA)、1つまたは複数の外部ストレージ・デバイス1616(例えば、磁気フロッピー(R)・ディスク・ドライブ(FDD:magnetic floppy disk drive)、メモリ・スティックまたはフラッシュ・ドライブ・リーダ、メモリ・カード・リーダなど)、および光ディスク・ドライブ1620(例えば、CD-ROMディスク、DVD、BDなどに対して読み取りまたは書き込みを行うことができるドライブ)をさらに含む。内部HDD1614がコンピュータ1602内にあるように示されているが、内部HDD1614は、外部の適切な筐体(図示されていない)内で使用するように構成されることもできる。さらに、環境1600内に示されていないが、HDD1614に加えて、またはHDD1614の代わりに、半導体ドライブ(SSD:solid state drive)が使用されることができる。HDD1614、外部ストレージ・デバイス1616、および光ディスク・ドライブ1620は、HDDインターフェイス1624、外部ストレージ・インターフェイス1626、および光学ドライブ・インターフェイス1628によって、システム・バス1608にそれぞれ接続されることができる。外部ドライブの実装のためのインターフェイス1624は、ユニバーサル・シリアル・バス(USB:Universal Serial Bus)インターフェイス技術、および電気電子技術者協会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394インターフェイス技術のうちの少なくとも1つまたは両方を含むことができる。その他の外部ドライブ接続技術が、本明細書に記載された実施形態の企図に含まれる。
【0099】
ドライブおよびそれらに関連するコンピュータ可読ストレージ媒体は、データ、データ構造、コンピュータ実行可能命令などの不揮発性ストレージを提供する。コンピュータ1602のドライブおよびストレージ媒体は、適切なデジタル形式での任意のデータの格納に対応する。上記のコンピュータ可読ストレージ媒体の説明は各種のストレージ・デバイスに言及しているが、コンピュータによって読み取ることができる他の種類のストレージ媒体が、現在存在しているか、または将来開発されるかに関わらず、例示的な動作環境内で使用されることもできるということ、およびさらに、任意のそのようなストレージ媒体が、本明細書に記載された方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むことができるということが、当業者によって理解されるべきである。
【0100】
オペレーティング・システム1630、1つまたは複数のアプリケーション・プログラム1632、その他のプログラム・モジュール1634、およびプログラム・データ1636を含む複数のプログラム・モジュールが、ドライブおよびRAM1612に格納されることができる。オペレーティング・システム、アプリケーション、モジュール、またはデータ、あるいはその組み合わせのすべてまたは一部が、RAM1612にキャッシュされることもできる。本明細書に記載されたシステムおよび方法は、さまざまな市販されているオペレーティング・システムまたはオペレーティング・システムの組み合わせを利用して実装されることができる。
【0101】
コンピュータ1602は、任意選択的に、エミュレーション技術を含むことができる。例えば、ハイパーバイザ(図示されていない)またはその他の媒介が、オペレーティング・システム1630のハードウェア環境をエミュレートすることができ、エミュレートされるハードウェアは、任意選択的に、図16に示されているハードウェアと異なることができる。そのような実施形態では、オペレーティング・システム1630が、コンピュータ1602でホストされた複数の仮想マシン(VM:virtual machine)のうちの1つのVMを含むことができる。さらに、オペレーティング・システム1630は、Java(R)実行時環境または.NETフレームワークなどの実行時環境をアプリケーション1632に提供することができる。実行時環境は、アプリケーション1632が実行時環境を含んでいる任意のオペレーティング・システム上で実行されることを可能にする、一貫性のある実行環境である。同様に、オペレーティング・システム1630はコンテナをサポートすることができ、アプリケーション1632はコンテナの形態であることができ、コンテナは、例えばアプリケーション用のコード、ランタイム、システム・ツール、システム・ライブラリ、および設定を含んでいる、軽量なスタンドアロンの実行可能なソフトウェアのパッケージである。
【0102】
さらに、コンピュータ1602は、信頼できる処理モジュール(TPM:trusted processing module)などのセキュリティ・モジュールを使用して有効化されることができる。例えば、TPMを使用すると、ブート・コンポーネントは、時間的に次のブート・コンポーネントをハッシュし、保護された値とのハッシュ結果の一致を待機してから、次のブート・コンポーネントを読み込む。このプロセスは、コンピュータ1602のコード実行スタック内の任意の層で行われることができ、例えば、アプリケーション実行レベルで、またはオペレーティング・システム(OS:operating system)カーネル・レベルで適用され、それによって、コード実行の任意のレベルでセキュリティを有効化する。
【0103】
ユーザは、1つまたは複数の有線/無線入力デバイス(例えば、キーボード1638、タッチ・スクリーン1640、およびマウス1642などのポインティング・デバイス)を介して、コマンドおよび情報をコンピュータ1602に入力することができる。その他の入力デバイス(図示されていない)は、マイクロホン、赤外線(IR:infrared)遠隔制御、無線周波(RF:radio frequency)遠隔制御、またはその他の遠隔制御、ジョイスティック、仮想現実コントローラまたは仮想現実ヘッドセットあるいはその両方、ゲーム・パッド、タッチペン、画像入力デバイス(例えば、カメラ)、ジェスチャー・センサ入力デバイス、視覚移動センサ(vision movement sensor)入力デバイス、感情または顔検出デバイス、生体測定入力デバイス(例えば、指紋または虹彩スキャナ)など含むことができる。これらおよびその他の入力デバイスは、多くの場合、システム・バス1608に結合されることができる入力デバイス・インターフェイス1644を介して処理ユニット1604に接続されるが、パラレル・ポート、IEEE1394シリアル・ポート、ゲーム・ポート、USBポート、IRインターフェイス、BLUETOOTH(R)インターフェイスなどの、その他のインターフェイスによって接続されることができる。
【0104】
モニタ1646またはその他の種類のディスプレイ・デバイスが、ビデオ・アダプタ1648などのインターフェイスを介してシステム・バス1608に接続されることもできる。モニタ1646に加えて、コンピュータは通常、スピーカ、プリンタなどの、その他の周辺出力機器(図示されていない)を含む。
【0105】
コンピュータ1602は、有線通信または無線通信あるいはその両方を介するリモート・コンピュータ1650などの1つまたは複数のリモート・コンピュータへの論理接続を使用して、ネットワーク環境内で動作することができる。リモート・コンピュータ1650は、ワークステーション、サーバ・コンピュータ、ルータ、パーソナル・コンピュータ、ポータブル・コンピュータ、マイクロプロセッサベースのエンターテインメント機器、ピア・デバイス、またはその他の一般的なネットワーク・ノードであることができ、通常は、コンピュータ1602に関連して説明された要素のうちの多くまたはすべてを含むが、簡潔にするために、メモリ/ストレージ・デバイス1652のみが示されている。図に示されている論理接続は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)1654またはさらに大きいネットワーク(例えば、広域ネットワーク(WAN)1656)あるいはその両方との有線接続/無線接続を含む。そのようなLANおよびWANネットワーク環境は、事務所および会社において一般的であり、イントラネットなどの企業全体のコンピュータ・ネットワークを容易にし、それらはすべて、グローバル通信ネットワーク(例えば、インターネット)に接続することができる。
【0106】
コンピュータ1602は、LANネットワーク環境内で使用された場合、有線または無線あるいはその両方の通信ネットワーク・インターフェイスまたはアダプタ1658を介して、ローカル・ネットワーク1654に接続されることができる。アダプタ1658は、LAN1654との有線通信または無線通信を容易にすることができ、LAN1654は、無線モードでアダプタ1658と通信するために配置された無線アクセスポイント(AP:access point)を含むこともできる。
【0107】
コンピュータ1602は、WANネットワーク環境内で使用された場合、モデム1660を含むことができ、またはインターネットを経由するなどのWAN1656を経由して通信を確立するためのその他の手段によって、WAN1656上の通信サーバに接続されることができる。内部または外部に存在する有線デバイスまたは無線デバイスであることができるモデム1660は、入力デバイス・インターフェイス1644を介してシステム・バス1608に接続されることができる。ネットワーク環境内で、コンピュータ1602またはその一部に関連して示されたプログラム・モジュールは、リモート・メモリ/ストレージ・デバイス1652に格納されることができる。示されているネットワーク接続が例であり、コンピュータ間の通信リンクを確立するその他の手段が使用され得るということが、理解されるであろう。
【0108】
コンピュータ1602は、LANネットワーク環境内またはWANネットワーク環境内のいずれかで使用された場合、前述したような外部ストレージ・デバイス1616に加えて、または外部ストレージ・デバイス1616の代わりに、クラウド・ストレージ・システムまたはその他のネットワークベースのストレージ・システムにアクセスすることができる。一般に、コンピュータ1602とクラウド・ストレージ・システムの間の接続は、例えば、それぞれアダプタ1658またはモデム1660によって、LAN1654またはWAN1656を経由して確立されることができる。コンピュータ1602を関連するクラウド・ストレージ・システムに接続するときに、外部ストレージ・インターフェイス1626は、アダプタ1658またはモデム1660あるいはその両方を用いて、他の種類の外部ストレージと同様に、クラウド・ストレージ・システムによって提供されたストレージを管理することができる。例えば、外部ストレージ・インターフェイス1626は、クラウド・ストレージ・ソースがコンピュータ1602に物理的に接続されているかのように、クラウド・ストレージ・ソースへのアクセスを提供するように構成されることができる。
【0109】
コンピュータ1602は、無線通信において動作可能に配置された任意の無線デバイスまたは実体(例えば、プリンタ、スキャナ、デスクトップ・コンピュータまたはポータブル・コンピュータあるはその両方、ポータブル・データ・アシスタント、通信衛星、無線で検出可能なタグに関連付けられた機器のいずれかの部品または位置(例えば、キオスク、新聞売店、商品棚など)、および電話)と通信するよう機能することができる。この通信は、ワイヤレス・フィディリティ(Wi-Fi)およびBLUETOOTH(R)無線技術を含むことができる。したがって、この通信は、従来のネットワークと同様に事前に定義された構造であるか、または単に、少なくとも2つのデバイス間のアドホック通信であることができる。
【0110】
前述した内容は、システム、コンピュータ・プログラム製品、およびコンピュータ実装方法の単なる例を含んでいる。当然ながら、本開示を説明する目的で、コンポーネント、製品、またはコンピュータ実装方法、あるいはその組み合わせの考えられるすべての組み合わせについて説明することは不可能であるが、当業者は、本開示の多くのその他の組み合わせおよび並べ替えが可能であるということを認識できる。さらに、「含む」、「有する」、「所有する」などの用語が、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、付録、および図面において使用される範囲では、それらの用語は、「備えている」が特許請求における暫定的な用語として使用されるときに解釈されるような、用語「備えている」と同様の方法で、包含的であるよう意図されている。さまざまな実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることは意図されておらず、開示された実施形態に制限されない。記載された実施形態の範囲を逸脱することなく多くの変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。本明細書で使用された用語は、実施形態の原理、実際の適用、または市場で見られる技術を超える技術的改良を最も適切に説明するため、または他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解できるようにするために選択されている。
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