(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】無線通信システムにおけるチャネル割当
(51)【国際特許分類】
H04W 72/566 20230101AFI20240510BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20240510BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20240510BHJP
【FI】
H04W72/566
H04W16/14
H04W84/20
(21)【出願番号】P 2022546551
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2021052166
(87)【国際公開番号】W WO2021152132
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-09-27
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルビソット,ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】パン,ジボ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,シアオリン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンソン,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】セプロニス,マレク
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-517802(JP,A)
【文献】特表2002-528013(JP,A)
【文献】国際公開第2014/065002(WO,A1)
【文献】特開2008-072381(JP,A)
【文献】特開2009-033647(JP,A)
【文献】特開2015-204551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0173586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システム(100)においてエンドノード(120a~120N)にチャネルを割り当てるための方法であって、前記無線通信システム(100)のネットワークコントローラ(200)によって実行され、
前記無線通信システム(100)内の各利用可能なチャネルを、各利用可能なチャネルの性能特性および使用性特性に従って、複数
のカテゴリのうちの1つに分類すること(S102)を含み、前記性能特性は、前記エンドノードによって実行される制御アプリケーション
の要件を、無線リンク品質およびスペクトル規制によって課される送信パラメータに対する考えられ得る制限によって影響を受ける各利用可能なチャネルにおいて、どの程度良好に満たすことができるかを含み、前記使用性特性は、前記エンドノードによって実行される前記制御アプリケーションによって所与のチャネルをどの程度の量およびどの程度の時間にわたって使用することができるかを含み、前記方法はさらに、
前記チャネルを
前記カテゴリごとにランク付けすることと(S104)、
ランク付けされた前記チャネルに従って、前記チャネルのうちの少なくとも1つを前記エンドノード(120a~120N)の各々に割り当てること(S106)と、
チャネルリストにおいて、前記エンドノード(120a~120N)に、どの少なくとも1つのチャネルが各エンドノード(120a~120N)に割り当てられたかの情報を提供すること(S108)とを含む、方法。
【請求項2】
前記ネットワークコントローラ(200)と各エンドノード(120a~120N)との間
の通信は
、エンドノード(120a~120N)に
前記割り当てられ
た少なくとも1つのチャネルにおいて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エンドノード(120a~120N)の各々は、可能な限り高くランク付けされたチャネルを割り振られる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記エンドノード(120a~120N)のうちの少なくとも1つは、前記カテゴリのうちの少なくとも2つからのチャネル、または1つの同じカテゴリ内からの少なくとも2つのチャネルを割り振られる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記エンドノード(120a~120N)の少なくとも1つは、
前記エンドノード(120a~120N)の少なくとも1つに割り当てられた複数のチャネル
を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
動作中、各エンドノード(120a~120N)に割り当てられた前記チャネルは、
変更された各利用可能なチャネル
の性能特性および使用性特性に基づいて、前記カテゴリ内の前記チャネルが再ランク付けされることによって、周期的に更新される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記カテゴリは、動作カテゴリ、随時カテゴリ、緊急カテゴリを含み、
前記動
作カテゴリは、完全な性能をもたら
し、完全な使用性を有する
動作チャネルによって特徴付けられ、
前記随
時カテゴリは
、完全な性能をもたらすが、部分的な使用性のみを有する
随時チャネルによって特徴付けられ、
前記緊
急カテゴリは
、限られた性能のみをもたら
し、部分的な使用性のみを有するかまたは使用性を有さない
緊急チャネルによって特徴付けられる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記動
作カテゴリが空でない場合、前記動作チャネルのうちの上位にランク付けされたチャネルが、前記エンドノード(120a~120N)に割り当てられ、前記動
作カテゴリが空であり、前記随
時カテゴリが空でない場合、前記随時チャネルのうちの上位にランク付けされたチャネルが、前記エンドノード(120a~120N)に割り当てられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記動
作カテゴリおよび前記随
時カテゴリが両方とも空である場合、安全情報または緊急情報を搬送するメッセージを配信されるべく有する任意のエンドノード(120a~120N)について、前記緊急チャネルのうちの上位にランク付けされたチャネル
が前記エンドノード(120a~120N)に割り当てられ、そうでなければ、現在のチャネル割当が維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
クリティカルな状態で
前記制御アプリケーションを実行しており、前記安全情報または緊急情報を搬送するメッセージを期待しているが受信してはいない任意のエンドノード(120a~120N)によって、安全モードへの切換が実行され
る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記エンドノードによって実行される前
記制御アプリケーションの要件は、サイクル時間、データサイズ、および/または通信範囲のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記制御アプリケーションの要件を、所与の利用可能なチャネルにおいて、より良好に満たすことができるほど、この所与の利用可能なチャネルは
、前記カテゴリにおいて、より高くランク付けされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エンドノード(120a~120N)によって実行される前記制御アプリケーションによって、所与の利用可能なチャネルにおいて使用できる量がより多く、使用できる時間がより長いほど、この所与の利用可能なチャネルは
、前記カテゴリにおいて、より高くランク付けされる、請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ネットワークコントローラ(200)は、前記無線通信システム(100)のスペクトル監視ノードまたはマスタノードの一部である、請求項1から請求項
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記エンドノード(120a~120N)は、前記無線通信システム(100)におけるゲートウェイ、ブレーカ、保護
機器、または
これらの任意の組み合わせである、請求項1から請求項
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記無線通信システム(100)は、産業用無線通信システムである、請求項1から請求項
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
無線通信システム(100)においてエンドノード(120a~120N)にチャネルを割り当てるためのネットワークコントローラ(200)であって、前記ネットワークコントローラ(200)は、処理回路(210)を備え、前記処理回路は、前記ネットワークコントローラ(200)に、
前記無線通信システム(100)内の各利用可能なチャネルを、各利用可能なチャネルの性能特性および使用性特性に従って、複数
のカテゴリのうちの1つに分類させ、前記性能特性は、前記エンドノードによって実行され
る制御アプリケーションの要件を、無線リンク品質およびスペクトル規制によって課される送信パラメータに対する考えられ得る制限によって影響を受ける各利用可能なチャネルにおいて、どの程度良好に満たすことができるかを含み、前記使用性特性は、前記エンドノードによって実行される前記制御アプリケーションによって所与のチャネルをどの程度の量およびどの程度の時間にわたって使用することができるかを含み、前記処理回路はさらに、前記ネットワークコントローラ(200)に、
前記チャネルを
前記カテゴリごとにランク付けさせ、
ランク付けされた前記チャネルに従って、前記チャネルのうちの少なくとも1つを前記エンドノード(120a~120N)の各々に割り当てさせ、
チャネルリストにおいて、前記エンドノード(120a~120N)に、どの少なくとも1つのチャネルが各エンドノード(120a~120N)に割り当てられたかの情報を提供させる、ネットワークコントローラ(200)。
【請求項18】
請求項2~16のいずれか1項に記載の方法を実行するようさらに構成される、請求項17に記載のネットワークコントローラ(200)。
【請求項19】
無線通信システム(100)においてエンドノード(120a~120N)にチャネルを割り当てるためのコンピュータプログラム(720)であって、前記コンピュータプログラムはコンピュータコードを含み、前記コンピュータコードは、ネットワークコントローラ(200)の処理回路(210)上で実行されると、前記ネットワークコントローラ(200)に、
前記無線通信システム(100)内の各利用可能なチャネルを、各利用可能なチャネルの性能特性および使用性特性に従って、複数
のカテゴリのうちの1つに分類させ(S102)、前記性能特性は、前記エンドノードによって実行され
る制御アプリケーションの要件を、無線リンク品質およびスペクトル規制によって課される送信パラメータに対する考えられ得る制限によって影響を受ける各利用可能なチャネルにおいて、どの程度良好に満たすことができるかを含み、前記使用性特性は、前記エンドノードによって実行される前記制御アプリケーションによって所与のチャネルをどの程度の量およびどの程度の時間にわたって使用することができるかを含み、前記コンピュータコードは、さらに、前記ネットワークコントローラ(200)の前記処理回路(210)上で実行されると、前記ネットワークコントローラ(200)に、
前記チャネルを
前記カテゴリごとにランク付けさせ(S104)、
ランク付けされた前記チャネルに従って、前記チャネルのうちの少なくとも1つを前記エンドノード(120a~120N)の各々に割り当てさせ(S106)、
チャネルリストにおいて、前記エンドノード(120a~120N)に、どの少なくとも1つのチャネルが各エンドノード(120a~120N)に割り当てられたかの情報を提供させる(S108)、コンピュータプログラム(720)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で提示される実施形態は、無線通信システムにおいてチャネルをエンドノードに割り当てるための方法、ネットワークコントローラ、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
産業用通信システムは、電力システムの自動化、例えば変電所自動化またはグリッド自動化において使用される。柔軟性およびスケーラビリティを高めるため、ならびにコストを低減するために、有線ネットワーク(たとえば、イーサネット(登録商標)ベースのネットワーク)を無線ネットワークで置き換えることは便利である。無線チャネルは本質的に共有され、環境に大きく依存するので、いずれの無線通信システムも、干渉、悪意のあるジャミング、およびフェージングを被りやすく、これは、概して、不良チャネル状態として説明され得る。メッセージが信号を介してそのような無線チャネルを介して送信されるとき、受信機は、メッセージを復号することに失敗する場合があり、高い誤り率をもたらし、これは最終的に、産業用通信システムによって課される可用性および信頼性の要件を脅かす。
【0003】
無線通信システムにおける性能を保証するために、送信は、同じアプリケーションについて、いくつかの無線チャネルにわたって並列に実行され得る。これにより、無線チャネルの1つが損なわれた場合に、他の無線チャネルに送信を切り換えることができる。新たな無線チャネルに切り換える前に、利用可能な無線チャネルの状態がチェックされるべきである。しかしながら、常時チャネル監視を実行するために必要な時間は、システムのレイテンシ要件に影響を与えてはならない。
【0004】
さらに、2つ以上のデバイスが同じ周波数帯域上で同時に送信する場合、それらの送信は衝突し、目標受信機がそれらを正しく復号することを妨げる可能性がある。この理由で、干渉を検出し、デバイスのうちの1つ以上から別のクリアなチャネルに送信を切り換えるよう構成される機構が無線通信システム中に存在すべきである。そのような切換機構が採用される場合、干渉が生じるたびに、送信機と受信機の両方が新たなチャネルに適応するまで、通信はある時間量にわたって中断され、これは、性能劣化またはさらには産業的運用に対する安全上の危険を引き起こし得る。代替の利用可能なチャネルを識別し、それらに同意することは重要であるが、通信リンクの両端でチャネルを高速かつロバストな方法で適応させることもまた、性能劣化を回避するために必要とされる。
【0005】
産業用無線通信システムの安全性、可用性、および性能を保証するために、現在のチャネルの不良状態が検出されるとすぐに、良好な状態のチャネルへの送信の高速切換を可能にするよう、無線チャネルの積極的な監視およびランク付け機構が使用され得る。
【0006】
共有帯域幅および認知無線技術を使用するいくつかの無線規格は、チャネルを動的に割り振る、または割り当てるための異なる手法を提案しており;本開示内では、「割り振る」および「割り当てる」と言う文言は、互換的に使用することができる。たとえば、IEEE802.11プロトコルスイートによれば、最適化された全体的な性能を達成するためにアクセスポイントのグループのコストメトリックを計算することによって、共存するネットワーク間の干渉を最小限に抑えるために、動的チャネル割振りがしばしば提案される(Chakraborty, S., Saha, B., and Bandyopadhyay, S., "Dynamic channel allocation in IEEE 802.11 networks," in International Journal of Computer Applications, vol. 149, pp. 36-38, 2016を参照されたい)。IEEE802.15.4ベースのネットワークでは、干渉信号強度および活動レベルに基づいてチャネルをランク付けするためにチャネルランク付けアルゴリズムが使用される(Hossian, M. A., Mahmood, A., and Jantti, R., "Channel ranking algorithms for cognitive coexistence of IEEE 802.15.4," IEEE 20th International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications, 2009を参照されたい)。認知無線ネットワークでも、チャネルは、チャネル活動レベルおよび電力レベル、ならびにスペクトル距離に基づいてランク付けされる(Skokowski, P., Malon, K., Kelner, J. M., Dolowski, J., Lopatka, J., and Gajewski, P., "Adaptive channels' selection for hierarchical cluster based cognitive radio networks," 8th International Conference on Signal Processing and Communication Systems (ICSPCS), 2014を参照されたい)。
【0007】
上述の動的チャネル割振りおよびランク付けスキームは、典型的には、わずか1つの周波数帯域に限定される。さらに、これらのスキームは、ベストエフォート性能しか提供できない。非常に高い安全性、可用性、および信頼性性能を必要とするいくつかの産業用途では、現在の周波数帯域において利用可能なチャネルがないときのシナリオがあり得、必要とされる性能を保証するために、これらのスキームを効果的に防止する。
【0008】
ソフトウェア定義無線機(SDR)および広帯域アンテナなど、周波数スペクトルのいくつかの異なる周波数帯域上で効果的に送信するよう構成される通信ハードウェアの可用性は、強い外部干渉または悪意のあるジャミングなどの極端なシナリオに対して、より適していることになる、より高度なチャネル監視およびランク付けスキームの可能性を開く。しかしながら、異なる周波数帯域で動作する場合、信号品質に加えてスペクトル使用許諾および規制も考慮されるべきである。
【0009】
さらに、使用許諾されない、すなわち使用許諾不要の周波数帯域または認知無線フレームワークにおける動作に関する無線規格の大部分は、干渉することまたは干渉されることを回避するために、チャネル切換のための何らかの手法を採用する。たとえば、Zigbeeで使用されるチャネルと無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)で使用されるチャネルとは互いに重複するので、制御情報を搬送するビーコンをZigbeeにおいて用いてチャネル切換を調整するが、これは、レイテンシにかなりの影響を及ぼす(Yi, P., Iwayemi, A., and Zhou, C., "Developing ZigBee deployment guideline under WiFi interference for smart grid applications," IEEE transactions on smart grid, vol. 2, pp. 110-120, 2010を参照されたい)。認知無線システムはまた、プライマリユーザとの干渉を回避するために、選択された新たなチャネルを1つずつブロードキャストすることによって、チャネルハンドオフを適用し、ハンドオフ遅延は、数ミリ秒に達し得る(see, Song, Y., and Xie, J., "ProSpect: A proactive spectrum handoff framework for cognitive radio ad hoc networks without common control channel," IEEE Transactions on Mobile Computing, vol. 11, pp. 1127-1139, 2012を参照されたい)。
【0010】
チャネル切換のためのこれらの手順の1つの共通の欠点は、それらの実現によって必要とされる時間が長いことであり、その結果、メッセージを交換することができないかなりの時間ギャップ(しばしば数ミリ秒程度またはそれ以上)が生じる。電力システムの制御などのタイムクリティカルなシナリオでは、ネットワークに要求される更新レートは非常に高く(数百マイクロ秒程度)、通信においてそのような長いギャップを許容する可能性はない。
【0011】
したがって、無線通信システムにおいて通信するデバイスのための利用可能なチャネルの効率的な利用のために、改善された機構が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
概要
本明細書の実施形態の目的は、無線通信システムにおいて通信するデバイス、特にエンドノードへのチャネルの効率的な割当を提供することである。
【0013】
第1の態様によれば、無線通信システムにおいてチャネルをエンドノードに割り当てるための方法が提示される。本方法は、無線通信システムのネットワークコントローラによって実行される。本方法は、無線通信システム内の各利用可能なチャネルを、各利用可能なチャネルの性能特性および使用性特性に従って複数のチャネルカテゴリのうちの1つに分類することを含む。本方法は、チャネルをカテゴリごとにランク付けすることを含む。本方法は、ランク付けされたチャネルに従って、チャネルのうちの少なくとも1つをエンドノードの各々に割り当てることを含む。本方法は、チャネルリストにおいて、エンドノードに、どの少なくとも1つのチャネルが各エンドノードに割り当てられたかの情報を提供することを含む。
【0014】
第2の態様によれば、無線通信システムにおいてエンドノードにチャネルを割り当てるためのネットワークコントローラが提示される。ネットワークコントローラは処理回路を備える。処理回路は、ネットワークコントローラに、無線通信システム内の各利用可能なチャネルを、各利用可能なチャネルの性能特性および使用性特性に従って複数のチャネルカテゴリのうちの1つに分類させるよう構成される。処理回路は、ネットワークコントローラに、チャネルをカテゴリごとにランク付けさせるよう構成される。処理回路は、ネットワークコントローラに、ランク付けされたチャネルに従って、チャネルのうちの少なくとも1つをエンドノードの各々に割り当てさせるよう構成される。処理回路は、ネットワークコントローラに、チャネルリストにおいて、エンドノードに、どの少なくとも1つのチャネルが各エンドノードに割り当てられたかの情報を提供させるよう構成される。
【0015】
第3の態様によれば、無線通信システムにおいてエンドノードにチャネルを割り当てるためのネットワークコントローラが提示される。ネットワークコントローラは、無線通信システムにおける各利用可能なチャネルを、各利用可能なチャネルの性能特性および使用性特性に従って複数のチャネルカテゴリのうちの1つに分類するよう構成される分類モジュールを備える。ネットワークコントローラは、チャネルをカテゴリごとにランク付けするよう構成されるランク付けモジュールを備える。ネットワークコントローラは、ランク付けされたチャネルに従って、チャネルのうちの少なくとも1つをエンドノードの各々に割り当てるよう構成される割当てモジュールを備える。ネットワークコントローラは、チャネルリストにおいて、エンドノードに、どの少なくとも1つのチャネルが各エンドノードに割り当てられたかの情報を提供するよう構成される提供モジュールを備える。
【0016】
第4の態様によれば、無線通信システムにおいてチャネルをエンドノードに割り当てるためのコンピュータプログラムであって、ネットワークコントローラ上で実行されるとネットワークコントローラに第1の態様による方法を実行させるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムが提示される。
【0017】
第5の態様によれば、第4の態様によるコンピュータプログラムと、このコンピュータプログラムが格納されるコンピュータ可読記憶媒体とを備えるコンピュータプログラム製品が提示される。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であり得る。
【0018】
有利なことに、これは、無線通信システムにおいてエンドノードへのチャネルの効率的な割当を提供する。
【0019】
有利なことに、これは、安全性、可用性および性能を保証するために無線通信システムが最良の立場にあることを確実にする。
【0020】
有利なことに、これは、干渉/ジャミングの場合に緊急メッセージのために使用許諾されたスペクトルの使用を可能にする。
【0021】
いくつかの態様によれば、以下の利点も得られる:
タイムクリティカルな制御アプリケーションについて無線通信システムにおける干渉に対する効果的な反応を可能にする高速チャネル適応。
【0022】
性能を諦めることなくネットワーク可用性を保証する迅速なチャネル切換。
産業用通信用途における高い可用性および信頼性が保証される。
【0023】
記載の実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、従属請求項、および図面から明らかになるであろう。
【0024】
概して、請求項で使用されるすべての文言は、本明細書で別様に明示的に定義されない限り、当技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「ある/当該要素、装置、構成要素、手段、モジュール、アクション等」へのすべての言及は、別様に明記しない限り、その要素、装置、構成要素、手段、モジュール、アクション等の少なくとも1つのインスタンスに言及するものとしてオープンに解釈されるべきである。本明細書に開示される任意の方法の動作は、明示的に述べられていない限り、開示された順序通りに実行される必要はない。
【0025】
次に、添付の図面を参照して、本発明の概念を例により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態による無線通信システムを示す概略図である。
【
図2】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図3】一実施形態による2つのノードへのチャネル割当を概略的に示す図である。
【
図4】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図5】一実施形態による方法のフローチャートである。
【
図6】一実施形態によるネットワークコントローラの機能ユニットを示す概略図である。
【
図7】一実施形態によるコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
ここで、以下、本発明の概念の特定の実施形態が示される添付の図面を参照して、本発明の概念をより詳細に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく;むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。同様の番号は、説明全体を通して同様の要素を指す。破線によって示される任意の動作または特徴は、任意選択であると見なされるべきである。
【0028】
図1は、本明細書で提示される実施形態が適用され得る無線通信システム100を示す概略図である。いくつかの例では、無線通信システム100は産業用無線通信システムである。無線通信システム100は、エンドノード120a、120b、120n、...、120n、...、120Nとして示されるネットワークエンティティを備え、ネットワークエンティティの各々は、フレキシブルな無線周波数(RF)フロントエンドを備え、エンドノードが、異なる周波数帯域を介してネットワークコントローラ200と通信することを可能にする。例えば、エンドノード120a~120Nは、制御メッセージを交換する変電所自動化システム(例えば、ゲートウェイ、ブレーカ、保護、またはそれらの任意の組み合わせ等)の異なる構成要素を表し得る。ネットワークコントローラ200は、無線通信システム100のスペクトル監視ノードまたはマスタノードの一部であり得、それと統合され得、またはそれと一所に位置し得る。
【0029】
上述のように、無線通信システム100においてチャネルをエンドノード120a~120Nに割り当てるための改善された機構が依然として必要とされている。したがって、以下でさらに開示されるように、ネットワークコントローラ200は、通信のために各エンドノード120a~120Nにより使用されるべきチャネルを監視、分類、およびランク付けし、この情報を無線通信システム100内のエンドノード120a~120Nに配信するよう構成される。
【0030】
本明細書で開示される実施形態は、特に、無線通信システム100においてエンドノード120a~120Nにチャネルを割り当てるための機構に関する。そのような機構を得るために、ネットワークコントローラ200、ネットワークコントローラ200によって実行される方法、およびネットワークコントローラ200上で実行されるとネットワークコントローラ200に当該方法を実行させる、例えばコンピュータプログラムの形態のコードを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0031】
図2は、無線通信システム100においてチャネルをエンドノード120a~120Nに割り当てるための方法の実施形態を示すフローチャートである。これらの方法は、ネットワークコントローラ200によって実行される。方法は、有利なことに、コンピュータプログラム720として提供される。
【0032】
この方法は、無線通信システム100内のエンドノード120a~120Nの送信機および受信機内のハードウェアによってカバーされる周波数スペクトル内のすべての周波数帯域を利用することに基づく。各々がそれぞれの動作周波数帯域を占有する利用可能なチャネルは、2つのメトリック、すなわち性能および使用性に従って分類される。したがって、ネットワークコントローラ200は、アクションS102を実行するよう構成される:
S102:ネットワークコントローラ200は、無線通信システム100内の各利用可能なチャネルを、各利用可能なチャネルの性能特性および使用性特性に従って複数のチャネルカテゴリのうちの1つに分類する。
【0033】
より詳細には、チャネルの性能特性は、概して、エンドノード120a~120Nによって実行される制御アプリケーション要件(例えば、サイクル時間、データサイズ、通信範囲など)が所与のチャネルにおいてどの程度良好に満たされ得るかを指す。これは、2つの要因、すなわち、(例えば、信号対干渉比(SIR)、信号対雑音比(SNR)、パケット誤り率などに関して規定または測定される)無線リンク品質、および所与の地域においてスペクトル規制によって課される(例えば、電力、帯域幅、デューティサイクルに関して規定または測定される)送信パラメータに対する考えられ得る制限によって影響を受ける。
【0034】
チャネルの使用性特性は、それとは対照的に、概して、エンドノード120a~120Nによって実行される制御アプリケーションによってチャネルをどの程度の量およびどれくらいの期間使用することができるかを指す。具体的には、チャネルの使用許諾ポリシーを指し、それは、使用許諾免除使用、スペクトルの排他的使用、またはスペクトル共有を可能にすることができ、最後のケースは、スペクトル管理サービスを配信するモバイルネットワークオペレータまたは別の第三者主体が、おそらくは短時間の間、限られたエリア内においてプライベートネットワークにスペクトルのうちの使用許諾された部分をサブリースする状況を示す(例えば、ETSI TS 103 588: "Reconfigurable Radio Systems (RRS); Feasibility study on temporary spectrum access for local high-quality wireless networks"を参照されたい)。使用許諾ポリシーに加えて、スペクトル規制も、例えば、listen-before-talk(LBT)機構を課すこと、または送信時間を制限することによって、チャネルの使用性に影響を与え得る。さらに、各チャネルにおいて、必要とされるサイクル時間および許容されるデューティサイクルを比較して、達成可能な性能の第1の大まかな推定が実行され得る。
【0035】
したがって、これらの特性に基づいて、各利用可能なチャネルは、複数のチャネルカテゴリのうちの1つに分類される。
【0036】
さらに、各カテゴリ内のチャネルはランク付けされる。したがって、ネットワークコントローラ200は、アクションS104を実行するよう構成される:
S104:ネットワークコントローラ200は、チャネルをカテゴリごとにランク付けする。
【0037】
いくつかの例では、各チャネルはそれぞれの性能メトリックを有し、各カテゴリ内のチャネルは、最も高い性能メトリックを有するチャネルから最も低い性能メトリックを有するチャネルまで降順でランク付けされる。性能メトリックは、チャネルのスループット、信号品質などに関する。チャネルがどのようにランク付けされ得るかのさらなる態様を以下に示す。
【0038】
このようにランク付けされたチャネルは、次いで、エンドノード120a~120Nに割り当てられる。したがって、ネットワークコントローラ200は、以下の動作S106を実行するよう構成される:
S106:ネットワークコントローラ200は、ランク付けされたチャネル(すなわち、このようにランク付けされたチャネル)に従って、チャネルのうちの少なくとも1つをエンドノード120a~120Nの各々に割り当てる。
【0039】
次いで、エンドノード120a~120Nは、割り当てられたチャネルを認識させられる。したがって、ネットワークコントローラ200は、アクションS108を実行するよう構成される:
S108:ネットワークコントローラ200は、チャネルリストにおいて、エンドノード120a~120Nに、どの少なくとも1つのチャネルが各エンドノード120a~120Nに割り当てられたかの情報を提供する。
【0040】
ネットワークコントローラ200と各エンドノード120a~120Nとの間のその後の通信は、次いで、そのエンドノード120a~120Nに割り当てられた少なくとも1つのチャネルにおいて実行され得る。
【0041】
図3は、2つのエンドノード120a、120nに割り当てられるチャネルの概略的な時間/周波数図であり、エンドノード120a、120nの各々は、1つの主チャネル140a、140nおよび1つの予備チャネル150a、150nを割り当てられ、主チャネル140aおよび予備チャネル150aの両方がエンドノード120aのための通信のために利用され、エンドノード120nに対しては、その割り当てられた主チャネル150nのみが通信のために利用される。
図3の例では、チャネルリストは、ビーコンスロットにおいて送信されるビーコン160において提供される。
【0042】
ここで、ネットワークコントローラ200によって実行される、無線通信システム100におけるエンドノード120a~120Nへのチャネルの割当のさらなる詳細に関する実施形態を開示する。
【0043】
チャネルがどのようにランク付けされ得るかのさらなる態様が、ここで開示される。
各カテゴリ内のチャネルは、それらが制御アプリケーションの性能要件を満たす程度に関してランク付けされ得る。たとえば、ある制御アプリケーションは、特定の長さのパケットを、特定の周期性、特定のレイテンシ制約、および/または特定の(最大)パケット損失率で送受信するために、特定の数のエンドノード120a~120Nを必要とし得る。
【0044】
チャネルをランク付けするために、制御アプリケーション要件からのチャネルの必要とされる総占有が判断され、そのような占有が規制(使用性)によって許容されるかどうかがチェックされ得る。次いで、測定されたチャネルの品質(性能)を前提として、取得可能なレイテンシおよびパケット損失率をシミュレートし得る。品質は、例えば、信号対干渉+雑音比(SINR)に関して表され得る。SINR、データレート、およびパケット損失確率の間の関係は、理論的分析、数値シミュレーション、または制御された測定を通して導出することができる。いくつかの態様では、そのような関係はネットワークコントローラ200によって判断される。他の態様では、そのような関係の情報は、計算主体からネットワークコントローラ200によって取得される。
【0045】
これらの計算の後、要件を完全に満たすことができることが明らかになった場合、可能な限り最高のスコア(スケールがパーセンテージ単位であると仮定すると、100%)がそのチャネルに割り当てられる。そうでなければ、達成可能な性能が要件とどれだけ異なるかに基づいて、より低いスコアがそのチャネルに割り当てられる。この手順は、すべてのチャネルがそれらのスコアに基づいてランク付けされ得るように、すべての利用可能なチャネルについて繰り返される。
【0046】
いくつかの実施形態では、エンドノード120a~120Nの各々は、可能な限り高くランク付けされたチャネルを割振られる。各チャネルが限られた能力しか有さず、したがってすべてのエンドノード120a~120Nに1つの同じチャネルを割り当てることができない場合、チャネルは、レイテンシおよび可用性に関して高い要件を伴う制御アプリケーションを実行するエンドノード120a~120Nが、より低いそのような要件を伴う制御アプリケーションを実行するエンドノード120a~120Nよりも高くランク付けされたチャネルを割り当てられるように、エンドノード120a~120Nによって実行される制御アプリケーションの要件に従って割り当てられ得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、エンドノード120a~120Nのうちの少なくとも1つは、カテゴリのうちの少なくとも2つからのチャネル、または1つの同じカテゴリ内からの少なくとも2つのチャネルを割振られる。例えば、エンドノード120a~120Nのうちの少なくとも1つは、無線通信システム100における通信のためにチャネルを使用するときに周波数ホッピングまたは周波数ダイバーシティを実行するよう、複数のチャネルがそれに割り当てられ得る。当業者が理解するように、周波数ホッピングは、一般に、エンドノード120a:120Nなどの通信ノードが異なる周波数を使用して異なるパケットを異なる時間に送信することを指し、周波数ダイバーシティは、一般に、通信ノードが異なる周波数を使用して同じパケットを同じ時間に送信(すなわち、並列送信)することを指す。
【0048】
いくつかの実施形態では、動作中、各エンドノード120a~120Nに割り当てられたチャネルは、各利用可能なチャネルの変更された性能特性および使用性特性に基づいて、カテゴリ内のチャネルが再ランク付けされることによって、周期的に更新される。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、合計で3つのチャネルカテゴリ、すなわち、動作チャネル、随時(occasional)チャネル、および緊急チャネルがある。したがって、性能メトリックおよび使用性メトリックの組み合わせに従って、周波数スペクトルに含まれるすべてのチャネルは、これらの3つのカテゴリのうちの1つに分類され得る。これらのチャネルタイプの態様を、以下に開示する。
【0050】
動作チャネルは、完全な性能をもたらすことによって特徴付けられ;リンク品質およびスペクトル規制は、エンドノード120a~120Nによって実行される制御アプリケーションの要件を完全に満たし、および完全な使用性を有することによって特徴付けられる。このチャネルは、使用許諾免除されるか、またはエンドノード120a~120Nによって実行される制御アプリケーションに永続的にサブリースされる。
【0051】
2.4GHz、5GHz、および60GHzにおける使用許諾不要の産業、科学、および医療(ISM)無線帯域におけるチャネルは、アプリケーション要件が、利用可能なリンク品質で、および無線通信システム100が展開されるエリアにおけるスペクトル規制の下で、満たされ得る、という条件で、このタイプのチャネルの例である。
【0052】
随時チャネルは、完全な性能をもたらすことによって特徴付けられ;リンク品質およびスペクトル規制は、エンドノード120a~120Nによって実行される制御アプリケーションの要件を完全に満たすことを可能にするが、部分的な使用性のみを有することによって特徴付けられる。このチャネルは、限られた期間の間、制御アプリケーションにサブリースされ、および/または周波数規制は、アプリケーションが時間領域においてチャネルに連続的にアクセスすることを可能にしない。
【0053】
TVホワイトスペース(TVWS)は、随時チャネルの例である。実際、TVWSは使用許諾免除周波数帯域であるが、アクセスは、利用可能なチャネルおよび電力制限などの他の制限に関する更新された情報を提供するホワイトスペースデータベース(WSDB)によって規制される。したがって、ネットワークコントローラ200は、その制限がアプリケーション要件を満たすことを可能にする利用可能なチャネルの位置を判断するためにWSDBにアクセスするよう構成され得る(Oh, S. W., Ma, Y., Tao, M. H., and Peh, E. C. Y.: "An overview and comparison of TV white space regulations worldwide", International Conference on Frontiers of Communications, Networks and Applications (ICFCNA), Malaysia, 2014を参照されたい)。
【0054】
随時チャネルの別の例は、使用許諾されたスペクトラムにわたって特定のサービス品質(QoS)をローカルエリアサービスに提供するためのスペクトラム共有に関する。ネットワークコントローラ200は、その場合、ローカル無線通信サービス要件の情報を、モバイルネットワークオペレータ(MNO)または第三者オペレータの運用、管理、および保守(OAM)に提供するよう構成され、後者は、ローカルエリア内のすべての要求を考慮し、アクセス権を、各ネットワークに、限られた期間にわたって、ある地域内で、規定された周波数範囲で、(無線通信システム100によって定義される)プライベートネットワークが遵守しなければならない送信規制とともに、発行する。
【0055】
緊急チャネルは、限られた性能しかもたらさないことによって特徴付けられ;リンク品質またはスペクトル規制のどちらかは(または両方とも)、エンドノード120a~120Nによって実行される制御アプリケーションの要件を完全に満たすことを可能にせず、および使用性を部分的にしか、または全く有さないことによって特徴付けられ;チャネルは、使用許諾ポリシーまたはスペクトル規制のいずれかに起因して、制御アプリケーションによって継続的に使用されることはできない。
【0056】
部分的な使用性を有する緊急チャネルの例は、デューティサイクル、送信電力および帯域幅に関して強い規制を有する、欧州における使用許諾免除帯域である、約868MHzのチャネルである。1時間当たりの放送時間の最大比として定義されるデューティサイクルは、865~868.6MHzサブ帯域において1%と低く、これは、各エンドノード120a~120Nが、1時間当たりわずか36秒の総量の間に送信することを許されることを意味する。いくつかの産業用制御アプリケーションは、この制約の下ではそれらの要件を完全に満たすことはできず、したがって、このチャネルは、動作チャネルまたは随時チャネルと見なすことはできない。しかしながら、他のチャネルが一時的に利用可能でない場合、警報およびアラームパケットが、緊急チャネルで送信され得る。
【0057】
使用性がない緊急チャネルは、使用許諾されたスペクトルであり、例えば、セルラー通信専用のチャネルである。不良チャネル状態が制御システムにおける障害につながり、人々または財産の安全性に対する危険をもたらす可能性があるような極端な場合、緊急チャネルにおいてアラームメッセージを送信するべく使用許諾されることなく(またはそのようにするべく使用許諾されるよう交渉された後にのみ)緊急チャネルにおいてアラームメッセージを送信することは有用であり得る。
【0058】
チャネルをエンドノード120a~120Nに割り当てる異なる方法が存在し得る。いくつかの実施形態では、動作チャネルカテゴリが空でない場合、動作チャネルのうちの上位にランク付けされたチャネルが、エンドノード120a~120Nに割り当てられ、動作チャネルカテゴリが空であり、随時チャネルカテゴリが空でない場合、随時チャネルのうちの上位にランク付けされたチャネルが、エンドノード120a~120Nに割り当てられる。いくつかの実施形態では、動作チャネルおよび随時チャネルカテゴリが両方とも空である場合、安全情報または緊急情報を搬送するメッセージを配信されるべく有する任意のエンドノード120a~120Nについて、緊急チャネルのうちの上位にランク付けされたチャネルが、そのエンドノード120a~120Nに割り当てられ、そうでなければ、現在のチャネル割当が維持される。
【0059】
したがって、いくつかの態様では、以下の3つの条件が適用される:
条件1:動作チャネルカテゴリが空でない場合、動作チャネルのうちの上位にランク付けされたチャネルがエンドノード120a~120Nに割り当てられる。
【0060】
条件2:動作チャネルカテゴリが空であり、随時チャネルカテゴリが空でない場合、随時チャネルのうちの上位にランク付けされたチャネルがエンドノード120a~120Nに割り当てられる。
【0061】
条件3:動作チャネルカテゴリおよび随時チャネルカテゴリが両方とも空である場合、配信されるべき任意のメッセージが安全情報または緊急情報を搬送するかどうかに依存する。そうである場合、緊急チャネルのうちの上位にランク付けされたチャネルがエンドノード120a~120Nに割り当てられ、そうでない場合、現在のチャネル割当が維持される。
【0062】
さらに、いくつかの実施形態では、クリティカルな状態で制御アプリケーションを実行しており、安全情報または緊急情報を搬送するメッセージを期待しているが受信してはいない任意のエンドノード120a~120Nによって、安全モードへの切換が実行されることになる(以下のアクションS308を参照)。
【0063】
上述の実施形態に基づいてエンドノード120a~120Nにチャネルを割り当てるための1つの例示的な例を示す
図4のフローチャートを参照する。
【0064】
S201:ネットワークコントローラ200は、制御アプリケーション要件(サイクル時間、パケットサイズ、信頼性を含む)、および無線通信システム100における各エンドノード120a~120Nの動作周波数範囲(すなわち、エンドノード120a~120Nハードウェアによってカバーされ得るスペクトルの部分)を収集する。このステップはオフラインで実行されるので、ネットワークが制御された環境にあるとき、エンドノード120a~120Nは、共通チャネルを使用して、それらのアプリケーション要件および周波数範囲に関する情報をネットワークコントローラ200に送信することができる。
【0065】
S202:動作の前に、各エンドノード120a~120Nについて、S201で収集された要件および周波数範囲に基づいて、ネットワークコントローラ200は、使用許諾ポリシーおよびスペクトル規制に基づいて、各周波数帯域の使用性を判断する。
【0066】
S203:動作中、ネットワークコントローラ200は、すべての利用可能なチャネルを周期的に監視し、たとえば受信信号強度インジケータ(RSSI)および干渉送信のパターンなどに関して、各エンドノード120a~120Nのリンク品質に関する情報を収集する。最大送信電力および帯域幅の制限と組み合わせて、達成可能な性能の充分な推定がネットワークコントローラ200によって実行される。この推定に基づいて、チャネルは、再カテゴリ化され、したがって、カテゴリにわたって移動され得、各カテゴリ内のチャネルは、最良の性能を提供するチャネルがカテゴリごとに最初にランク付けされるように、再ランク付けされ得る。最終結果は、更新されたチャネルリストである。
【0067】
S204:動作中、ネットワークコントローラ200は、チャネルリストを周期的に更新し、したがって、送信のために各エンドノード120a~120Nに割り当てられたチャネルを更新する。上述のように、エンドノード120a~120Nは、例えば周波数ホッピングまたは周波数ダイバーシティを実行するために、複数のチャネルがそれに割り当てられ得る。
【0068】
アクションS204における更新の後、アクションS203に再び入る。
干渉パターンを推定することは、干渉を引き起こす基底の送信の予測不可能な性質に起因して、計算的に複雑であり得る。人工知能(AI)技術に基づくアルゴリズムを使用して、各チャネル上の干渉パターンを学習および予測することができる。具体的には、ネットワークコントローラ200は、すべての利用可能なチャネルを周期的に走査し、受信信号電力を時間に対して記録し得る。ネットワークコントローラ200はまた、これらの記録から、パターンが既知である、それ自体のネットワーク内のエンドノード120a~120Nによる送信から生じた受信電力を差し引き得る。結果として得られる経時的な電力のパターンは、ロングショートタームメモリ(LSTM)リカレントニューラルネットワークなどのAIアルゴリズムへの入力として使用され得る。これらのアルゴリズムは、次いで、干渉パターンの予測を経時的に出力し、これは、チャネルのランク付けを更新するためにネットワークコントローラ200によって使用されることになる。干渉推定のために採用されるAIアルゴリズムは、動作の前にトレーニングされ得る。これは、制御された環境においてエンドノード120a~120Nにテスト送信を実行させることによって達成することができる。トレーニング中、ネットワークコントローラ200は、これらのパターンを干渉と見なし、AIアルゴリズムの予測を現実の送信パターンと比較することによって、AIアルゴリズムをトレーニングする。この干渉予測プロセスは、純粋にデータ駆動型であるが、既知の情報を埋め込んで、さらに改善することができる。たとえば、ネットワークコントローラ200は、いくつかの予測パターンを特定のネットワーク(たとえば、WiFiネットワークのビーコン)として分類し、したがって、将来のパターンを予測する際のその精度を高めることができる可能性がある。さらに、ネットワークコントローラ200はまた、予測されたチャネル品質を送信の結果(正しく復号されたかまたは破損されたパケット)と比較し、この情報を使用してニューラルネットワークを強化することによって、その予測の精度を事後的にチェックすることもできる。
【0069】
高速チャネル適応の態様をここで開示する。ネットワークコントローラ200およびエンドノード120a~120Nの両方が、例えばソフトウェア定義無線(SDR)技術によって許容される周波数範囲内で広範囲のチャネル上で通信するよう構成されると仮定され得る。さらに、すべてのエンドノード120a~120Nが、たとえば、ハードウェアベースのRF検出器および/またはワイヤレスリンク性能に関係するソフトウェアベースの方法によって、それらの通常動作中に任意のチャネル上の強い干渉を迅速に検出するよう構成されると仮定され得る。
【0070】
高速周波数適応のための機構は、ネットワークコントローラ200およびエンドノード120a~120Nの両方における動作を伴う。具体的には、ネットワークコントローラ200は、各エンドノード120a~120Nについて、チャネルを監視し、利用可能なチャネルのリスト(上記ではチャネルリストと呼ばれる)を維持する役割を果たす。さらなる態様では、ネットワークコントローラ200は、各エンドノード120a~120Nについて、リスト中の最良のチャネルとして1つの主チャネルを定義し、リスト中の第2の最良のチャネルとして(少なくとも)1つの予備チャネルを定義し、この情報を、ビーコンで、または他の無線手段によって、エンドノード120a~120Nに通信し得る。その後、ダウンリンクデータがネットワークコントローラ200からエンドノード120a~120Nに送信されるとき、メッセージが高い優先度と見なされる場合には、ネットワークコントローラ200は、通信のために主チャネルを使用し、予備チャネルにおいて同じメッセージを複製し得る。ネットワークコントローラ200が主チャネルまたは予備チャネル(のうちの1つ)において干渉を検出するとすぐに、チャネルリストは、干渉されたチャネルを除去するように更新され、この情報は、次のビーコンまたは他の無線手段において通信される。
【0071】
各エンドノード120a~120Nにおいて、
図5のフローチャートに示すように、各通信サイクルにおいて以下のプロセスが続く。
【0072】
S301:新しい通信サイクルに入る。
S302:エンドノード120a~120Nは、通信サイクルの最初のスロットにおいて受信されたビーコンを復号することによって、ネットワークコントローラ200から、割り当てられたチャネルの更新されたチャネルリストを受信し、したがって、チャネルリストを取り出す。
【0073】
S303:エンドノード120a~120Nは、そのRFフロントエンドの構成を、割り当てられた1つ以上のチャネルに従って更新する。したがって、エンドノード120a~120Nは、主チャネルおよび任意の予備チャネルにおいて信号を受信する準備ができる。
【0074】
S304:エンドノード120a~120Nは、割り当てられたように、主チャネル上で、ネットワークコントローラ200からのパケットをリッスンする。
【0075】
S305:パケットが正しく受信された場合、エンドノード120a~120Nは次の通信サイクルに進む。したがって、次の通信サイクルのために、動作S301に入る。
【0076】
S306:期待されるパケットが欠落している場合、エンドノード120a~120Nは、任意の予備チャネルを順にリッスンする。これらのチャネルは、エンドノード120a~120Nにおいて既に構成されているので、エンドノード120a~120Nは、予備チャネルの周波数でリッスンするのに、その位相ロックループ(PLL)のロック時間を待つだけでよい。
【0077】
S307、S308:期待されるパケットが予備チャネルにおいても受信されない場合、エンドノード120a~120Nは、その実行される制御アプリケーションがクリティカルな状態にある(これは、例えば、ある数の連続する紛失パケットによってトリガされ得る)かどうか、したがってエンドノード120a~120Nが安全モードに移動するかどうかをチェックする。そうである場合、アクションS309に入り、そうでない場合、次の通信サイクルのためにアクションS301に入る。
【0078】
S309:この安全モードでは、エンドノード120a~120Nは、任意の、安全性がクリティカルなプロセスを停止し、アラームを発してオペレータの介入を要求する。
【0079】
さらに、主チャネルおよび予備チャネルの両方の品質が不良である場合、安全な状態に移行する前に、エンドノード120a~120Nは、現在の通信サイクルのパケットを再構築しようとするために、異なるチャネル上で受信された情報を、その受信機において組み合わせることを試みるよう構成され得る。この技術は、セルラーネットワークにおいてハイブリッド自動再送要求(HARQ)システムで使用されるソフト合成(soft combining)と同様であるが、従来のHARQスキームでは、元のパケットがソフト合成を介して復元されるまで、同じパケットの複数のコピーが経時的に連続して送信されるという違いがあり、一方、本明細書で提案されるように、パケットの異なるコピーは、異なるチャネルを介して同時に送信され、ソフト合成は、すべての受信されたコピーに対して一回適用される(ここで、受信機において、推定されたチャネル品質に基づいて、各受信されたコピーに、異なる重みを割り当てることができる)。
【0080】
高速周波数適応のための提案された方法を使用すると、チャネル切換によって必要とされる時間ギャップが大幅に低減される。例えば、AD9361トランシーバを備えたSDRプラットフォームを考えると、送信機および受信機のための8つの周波数構成を設定することができ、ある構成から別の構成への切換は、約15~20μs(マイクロ秒)のPLLロック時間しか要しない。8つの構成内にない新たなチャネルが使用されなければならない最悪の場合、新たな周波数を設定するのに約60μsを要する。
【0081】
図6は、いくつかの機能ユニットの観点から、一実施形態によるネットワークコントローラ200の構成要素を概略的に示す。処理回路210は、例えば記憶媒体230の形態で(
図7にあるように)コンピュータプログラム製品710に記憶されたソフトウェア命令を実行することができる、好適な中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの1つ以上の任意の組合せを使用して提供される。処理回路210はさらに、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として提供されてもよい。
【0082】
特に、処理回路210は、ネットワークコントローラ200に、上記で開示したような動作またはアクションのセットを実行させるよう構成される。たとえば、記憶媒体230は動作のセットを記憶してもよく、処理回路210は、記憶媒体230から動作のセットを取り出して、ネットワークコントローラ200に動作のセットを実行させるよう構成されてもよい。動作のセットは、実行可能な命令のセットとして提供されてもよい。
【0083】
したがって、処理回路210は、それによって、本明細書で開示される方法を実行するよう構成される。記憶媒体230はまた、例えば、磁気メモリ、光メモリ、ソリッドステートメモリ、もしくはさらには遠隔搭載メモリの任意の1つまたは組み合わせであり得る、永続的なストレージを備えてもよい。ネットワークコントローラ200は、エンドノード120a:120Nならびに他のエンティティ、機能、ノード、およびデバイスとの通信のために少なくとも構成された通信インターフェイス220をさらに備えてもよい。したがって、通信インターフェイス220は、アナログおよびデジタルコンポーネントを含む1つ以上の送信機ならびに受信機を備えてもよい。処理回路210は、例えば、通信インターフェイス220および記憶媒体230にデータおよび制御信号を送信することによって、通信インターフェイス220からデータおよび報告を受信することによって、ならびに記憶媒体230からデータおよび命令を取り出すことによって、ネットワークコントローラ200の全体的な動作を制御する。ネットワークコントローラ200の他の構成要素および関連する機能は、本明細書で提示される概念を不明瞭にしないために、省略される。
【0084】
図7は、コンピュータ可読記憶媒体730を備えるコンピュータプログラム製品710の一例を示す。このコンピュータ可読記憶媒体730上には、コンピュータプログラム720を記憶することができ、このコンピュータプログラム720は、処理回路210ならびにそれに動作可能に結合されたエンティティおよびデバイス、例えば、通信インターフェイス220および記憶媒体230に、本明細書で説明される実施形態による方法を実行させることができる。したがって、コンピュータプログラム720および/またはコンピュータプログラム製品710は、本明細書で開示される任意のアクションを実行するための手段を提供することができる。
【0085】
図7の例では、コンピュータプログラム製品710は、CD(コンパクトディスク(登録商標))またはDVD(デジタル多用途ディスク)またはブルーレイディスクなどの光ディスクとして示される。コンピュータプログラム製品710はまた、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、または電気的に消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)などのメモリとして、および特にUSB(ユニバーサルシリアルバス)メモリまたはコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等のフラッシュメモリ等の外部メモリにおけるデバイスの不揮発性記憶媒体として具現化され得る。したがって、コンピュータプログラム720は、ここでは、図示された光ディスク上のトラックとして概略的に示されるが、コンピュータプログラム720は、コンピュータプログラム製品710に好適な任意の態様で記憶されることができる。
【0086】
本発明の概念は、主に、いくつかの実施形態を参照して上記で説明された。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、上記で開示されるもの以外の他の実施形態も、特許請求の範囲によって定義される本発明の概念の範囲内で等しく可能である。