(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】アンテナインターフェース構成
(51)【国際特許分類】
H04B 1/525 20150101AFI20240510BHJP
【FI】
H04B1/525
(21)【出願番号】P 2022555989
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2020057848
(87)【国際公開番号】W WO2021185458
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【氏名又は名称】小梶 晴美
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【氏名又は名称】石岡 利康
(72)【発明者】
【氏名】メスキータ, ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】アンデション, ステファン
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0222321(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0270864(US,A1)
【文献】特表2014-535217(JP,A)
【文献】特開2015-043509(JP,A)
【文献】特開平06-053859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のためのアンテナインターフェース構成であって、前記アンテナインターフェース構成は、
分散型トランスフォーマであって、前記分散型トランスフォーマが、
前記トランシーバのアンテナポートに接続可能であり、第1の部分(111、211、311)と第2の部分(112、212、312)とを有する1次側巻線と、
前記トランシーバの送信ポートに接続可能であり、前記1次側巻線の前記第1の部分への第1の誘導結合を有する第1の2次側巻線(113、213、313)と、
前記トランシーバの前記受信ポートに接続可能であり、前記1次側巻線の前記第2の部分への第2の誘導結合を有する第2の2次側巻線(114、214、314)と
を有し、前記第1の誘導結合および前記第2の誘導結合が前記受信ポートにおいて前記送信信号の第1のバージョンを与えるように適合された、分散型トランスフォーマと、
前記第1の2次側巻線と前記第2の2次側巻線との間に接続されたインピーダンス(106、107、206、207、306)であって、前記インピーダンスが、前記送信信号の前記第1のバージョンを除去するために、前記受信ポートにおいて前記送信信号の第2のバージョンを与えるように適合された、インピーダンス(106、107、206、207、306)と
を含む、アンテナインターフェース構成。
【請求項2】
前記アンテナインターフェース構成はまた、前記トランシーバの前記送信ポートにおける受信信号の除去のためのものであり、前記第1の誘導結合が、前記送信ポートにおいて前記受信信号の第1のバージョンを与えるようにさらに適合され、前記第2の誘導結合および前記インピーダンスが、前記受信信号の前記第1のバージョンを除去するために、前記送信ポートにおいて前記受信信号の第2のバージョンを与えるようにさらに適合された、請求項1に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項3】
前記1次側巻線の前記第1の部分の第1の末端が前記トランシーバの前記アンテナポートに接続可能であり、前記1次側巻線の前記第1の部分の第2の末端が前記1次側巻線の前記第2の部分の第1の末端に接続され、
前記第1の2次側巻線の第1の末端が、前記インピーダンスに接続され、前記トランシーバの前記送信ポートに接続可能であり、
前記第2の2次側巻線の第1の末端が、前記インピーダンスに接続され、前記トランシーバの前記受信ポートに接続可能である、請求項1または2に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項4】
前記送信ポートと前記受信ポートと前記アンテナポートとがシングルエンドであり、前記1次側巻線の前記第2の部分の第2の末端と、前記第1の2次側巻線の第2の末端と、前記第2の2次側巻線の第2の末端とが基準電位に接続可能である、請求項3に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項5】
前記第1の誘導結
合および前記第2の誘導結
合が非反転誘導結合である、請求項4に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項6】
前記送信ポートと前記受信ポートと前記アンテナポートとが、正端子と負端子とを有する差動ポートであり、前記1次側巻線の前記第2の部分の第2の末端が前記トランシーバの前記アンテナポートに接続可能であり、前記第1の2次側巻線の第2の末端が前記トランシーバの前記送信ポートに接続可能であり、前記第2の2次側巻線の第2の末端が前記トランシーバの前記受信ポートに接続可能である、請求項3に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項7】
前記第1の誘導結
合および前記第2の誘導結
合が非反転誘導結合であり、前記インピーダン
スが、前記送信ポートの前記正端子と前記受信ポートの前記正端子との間に接続可能な第1のインピーダンスと、前記送信ポートの前記負端子と前記受信ポートの前記負端子との間に接続可能な第2のインピーダンスとを含む、請求項6に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項8】
前記第1の誘導結合および前記第2の誘導結合のうちの一方(234)が反転誘導結合であり、前記第1の誘導結合および前記第2の誘導結合のうちの他方(233)が非反転誘導結合であり、前記インピーダン
スが、前記送信ポートの前記正端子と前記受信ポートの前記負端子との間に接続可能な第1のインピーダンスと、前記送信ポートの前記負端子と前記受信ポートの前記正端子との間に接続可能な第2のインピーダンスとを含む、請求項6に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項9】
前記インピーダンスが実数値部および/または虚数値部を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項10】
前記インピーダンスが、前記分散型トランスフォーマの不完全性および/またはインピーダンスの不整合を補償するように適合された、請求項9に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項11】
前記1次側巻線に並列に接続された第1の回路要素と、
前記第1の2次側巻線に並列に接続された第2の回路要素と、
前記第2の2次側巻線に並列に接続された第3の回路要素と
のうちの1つまたは複数をさらに備え、前記第1の回路要素と前記第2の回路要素と前記第3の回路要素とのいずれかが実数値部および/または虚数値部を含み、前記分散型トランスフォーマの不完全性および/またはインピーダンス不整合を補償するように適合された、請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項12】
前記1次側巻線の前記第1の部分のサイズと、前記1次側巻線の前記第2の部分のサイズと、前記第1の2次側巻線のサイズと、前記第2の2次側巻線のサイズと、前記インピーダンスとのうちの1つまたは複数が、送信ポートインピーダンスおよび/または受信ポートインピーダンスの整合のために選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項13】
前記送信信号に対する前記インピーダンスの振幅効果が、前記送信信号に対する前記第1の誘導結合と前記第2の誘導結合との組合せの振幅効果に等しい、請求項1から12のいずれか一項に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項14】
前記送信信号に対する前記インピーダンスの位相効果と、前記送信信号に対する前記第1の誘導結合と前記第2の誘導結合との組合せの位相効果とが、周期送信信号についてのπに等しいモジュロ2π位相差を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のアンテナインターフェース構成。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のアンテナインターフェース構成を備えるトランシーバ。
【請求項16】
前記トランシーバが全二重トランシーバまたは半二重トランシーバである、請求項15に記載のトランシーバ。
【請求項17】
前記トランシーバが時分割複信(TDD)トランシーバである、請求項15または16に記載のトランシーバ。
【請求項18】
請求項1から14のいずれか一項に記載のアンテナインターフェース構成および/または請求項15から17のいずれか一項に記載のトランシーバを備える、通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、アンテナが送信機および受信機によって共有されるトランシーバのためのアンテナインターフェースの分野に関する。より詳細には、本開示は、送信機から受信機への信号漏れの緩和に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナインターフェースは、一般に、アンテナが送信機および受信機によって共有されるトランシーバについて適用可能である。アンテナを共有することは、たとえば、送信機から受信機への信号漏れ(別名、自己干渉(self-interference))を引き起こし得る。送信信号(または送信信号の一部)が受信機に漏れると、送信信号漏れがなかった場合と比較して受信機性能が悪化し得る。
【0003】
したがって、共有アンテナをもつトランシーバについて送信機から受信機への信号漏れを緩和することが望ましいことがある。送信信号漏れの緩和は、送信および受信が同時におよび/または同じ周波数間隔において行われるときに、たとえば、トランシーバが全二重トランシーバまたは半二重トランシーバであるときに、特に望ましいことがある。
【0004】
自己干渉緩和は、分離(すなわち、漏れを最小にすることを試みること)によって、または除去(cancellation)(すなわち、受信機が受ける漏れを減じることを試みること)によって解決され得る。自己干渉除去は、除去が一般に送信機損傷(たとえば、電力増幅器非線形性)をなくすという利点を有する。
【0005】
たとえば、(パッシブまたはアクティブ)分散デュプレクサ、サーキュレータ、ウィルキンソンコンバイナ、インピーダンス平衡回路網など、自己干渉緩和のためのいくつかの手法が存在する。しかしながら、これらのソリューションは、アンテナインピーダンスに対する感度、固有の3dB損失、比較的大きい物理的サイズ、高い回路複雑度、統合を試みるときの妨げ、全二重動作(同じまたは重複する周波数間隔を使用する同時送信および受信)との不適合性のうちの1つまたは複数などの欠点を有する。
【0006】
したがって、送信機から受信機への信号漏れの緩和を行う代替および/または改善されたアンテナインターフェースが必要である。
【発明の概要】
【0007】
(「含む(include)/含む(including)」によって置換可能な)「含む(comprise)/含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定するように取られるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが強調されるべきである。本明細書で使用される際、単数形「a」、「an」および「the」は、コンテキストが別段に明示しない限り、複数形をも含むものとする。
【0008】
一般に、本明細書で構成(arrangement)に言及されるとき、構成は物理的製品、たとえば、装置として理解されたい。物理的製品は、1つまたは複数のコントローラ、1つまたは複数のプロセッサなどの形態の制御回路など、1つまたは複数の部品を備え得る。
【0009】
また、一般に、本明細書で第1の特徴が第2の特徴に接続可能であると言及されるとき、第1の特徴は、いくつかの実施形態によれば、第2の特徴に接続されるように設定され得、いくつかの実施形態によれば、第2の特徴に接続され得る。
【0010】
いくつかの実施形態の目的は、上記または他の欠点のうちの少なくともいくつかを解決または緩和するか、軽減するか、またはなくすことである。
【0011】
第1の態様は、トランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のためのアンテナインターフェース構成である。アンテナインターフェース構成は分散型トランスフォーマとインピーダンスとを備える。
【0012】
分散型トランスフォーマは、トランシーバのアンテナポートに接続可能であり、第1の部分と第2の部分とを有する1次側巻線と、トランシーバの送信ポートに接続可能であり、1次側巻線の第1の部分への第1の誘導結合を有する第1の2次側巻線と、トランシーバの受信ポートに接続可能であり、1次側巻線の第2の部分への第2の誘導結合を有する第2の2次側巻線とを有する。
【0013】
インピーダンスは第1の2次側巻線と第2の2次側巻線との間に接続される。
【0014】
第1の誘導結合および第2の誘導結合は受信ポートにおいて送信信号の第1のバージョンを与えるように適合される。
【0015】
インピーダンスは、送信信号の第1のバージョンを除去するために、受信ポートにおいて送信信号の第2のバージョンを与えるように適合される。
【0016】
いくつかの実施形態では、アンテナインターフェース構成はまた、トランシーバの送信ポートにおける受信信号の除去のためのものであり、第1の誘導結合は、さらに、送信ポートにおいて受信信号の第1のバージョンを与えるように適合され、第2の誘導結合およびインピーダンスは、さらに、受信信号の第1のバージョンを除去するために、送信ポートにおいて受信信号の第2のバージョンを与えるように適合される。
【0017】
いくつかの実施形態では、1次側巻線の第1の部分の第1の末端はトランシーバのアンテナポートに接続可能であり、1次側巻線の第1の部分の第2の末端は1次側巻線の第2の部分の第1の末端に接続され、第1の2次側巻線の第1の末端は、インピーダンスに接続され、トランシーバの送信ポートに接続可能であり、第2の2次側巻線の第1の末端は、インピーダンスに接続され、トランシーバの受信ポートに接続可能である。
【0018】
いくつかの実施形態では、送信ポートと受信ポートとアンテナポートとはシングルエンドである。そのような実施形態では、1次側巻線の第2の部分の第2の末端と、第1の2次側巻線の第2の末端と、第2の2次側巻線の第2の末端とは基準電位に接続可能であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の誘導結合および第2の誘導結合は非反転誘導結合である。
【0020】
いくつかの実施形態では、送信ポートと受信ポートとアンテナポートとは、正端子と負端子とを有する差動ポートである。そのような実施形態では、1次側巻線の第2の部分の第2の末端はトランシーバのアンテナポートに接続可能であり、第1の2次側巻線の第2の末端はトランシーバの送信ポートに接続可能であり、第2の2次側巻線の第2の末端はトランシーバの受信ポートに接続可能であり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の誘導結合および第2の誘導結合は非反転誘導結合であり、インピーダンスは、送信ポートの正端子と受信ポートの正端子との間に接続可能な第1のインピーダンスと、送信ポートの負端子と受信ポートの負端子との間に接続可能な第2のインピーダンスとを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の誘導結合および第2の誘導結合のうちの一方は反転誘導結合であり、第1の誘導結合および第2の誘導結合のうちの他方は非反転誘導結合であり、インピーダンスは、送信ポートの正端子と受信ポートの負端子との間に接続可能な第1のインピーダンスと、送信ポートの負端子と受信ポートの正端子との間に接続可能な第2のインピーダンスとを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、インピーダンスは実数値部および/または虚数値部を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、インピーダンスは、分散型トランスフォーマの不完全性および/またはインピーダンス不整合を補償するように適合される。
【0025】
いくつかの実施形態では、アンテナインターフェース構成は、1次側巻線に並列に接続された第1の回路要素と、第1の2次側巻線に並列に接続された第2の回路要素と、第2の2次側巻線に並列に接続された第3の回路要素とのうちの1つまたは複数をさらに備える。第1の回路要素と第2の回路要素と第3の回路要素とのいずれかは実数値部および/または虚数値部を含み得、分散型トランスフォーマの不完全性および/またはインピーダンス不整合を補償するように適合され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、1次側巻線の第1の部分のサイズと、1次側巻線の第2の部分のサイズと、第1の2次側巻線のサイズと、第2の2次側巻線のサイズと、インピーダンスとのうちの1つまたは複数は、送信ポートインピーダンスおよび/または受信ポートインピーダンスの整合のために選択される。
【0027】
一般に、本明細書で巻線(の一部)のサイズについて述べるとき、「サイズ」という用語は、巻線の任意の好適な尺度(たとえば、巻線の巻数/ループ数、巻線の太さ、巻線の断面形状、巻線の材料に関するメトリック、巻線のコアに関するメトリックなどのうちの1つまたは複数)を指し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、送信信号に対するインピーダンスの振幅効果は、送信信号に対する第1の誘導結合と第2の誘導結合との組合せの振幅効果に等しい。
【0029】
いくつかの実施形態では、送信信号に対するインピーダンスの位相効果と、送信信号に対する第1の誘導結合と第2の誘導結合との組合せの位相効果とは、周期送信信号についてのπに等しいモジュロ2π位相差を有する。
【0030】
第2の態様は、第1の態様のアンテナインターフェース構成を備えるトランシーバである。
【0031】
いくつかの実施形態では、トランシーバは全二重トランシーバまたは半二重トランシーバである。
【0032】
いくつかの実施形態では、トランシーバは時分割多重(TDD)トランシーバである。
【0033】
第3の態様は、第1の態様のアンテナインターフェース構成および/または第2の態様のトランシーバを備える通信デバイスである。
【0034】
いくつかの実施形態では、上記の態様のいずれかは、さらに、他の態様のいずれかについて上記で説明した様々な特徴のいずれかと同等の特徴、または他の態様のいずれかについて上記で説明した様々な特徴のいずれかに対応する特徴を有し得る。
【0035】
いくつかの実施形態の利点は、除去によって送信機から受信機への信号漏れを緩和するように設定されたアンテナインターフェースが与えられることである。
【0036】
いくつかの実施形態の利点は、除去によって、アンテナから受信信号の送信機への信号漏れを緩和するように設定されたアンテナインターフェースが与えられることである。
【0037】
いくつかの実施形態の利点は、送信機と受信機との間の分離を与えるように設定されたアンテナインターフェースが与えられることである。
【0038】
いくつかの実施形態の利点は、比較的大きい帯域幅にわたって分離が達成され得ることである。
【0039】
いくつかの実施形態の利点は、アンテナインターフェースは、トランシーバポートのインピーダンス変動(送信ポートインピーダンス変動と受信ポートインピーダンス変動とアンテナポートインピーダンス変動とのうちの1つまたは複数)に対してロバストであることである。
【0040】
いくつかの実施形態の利点は、送信経路中の損失が比較的低いことである。送信経路の最適化または少なくとも改善がシステム効率のために有益であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態の利点は、調整可能なダミー負荷が不要であり、それにより、いくつかの従来技術手法と比較して回路の複雑さが低減されることである。
【0042】
いくつかの実施形態の利点は、除去がインピーダンスによって達成されることにより、理想的でないトランスフォーマを用いた場合でも完全な(または完全に近い)除去が得られ得ることである。
【0043】
いくつかの実施形態の利点は、低電力および/または全二重要件を伴う通信規格(たとえば、Bluetooth低エネルギー(BLE)メッシュ)のために好適であるアンテナインターフェースが与えられることである。
【0044】
いくつかの実施形態の利点は、理想的でない構成要素を用いた場合でも十分な性能が達成可能であることである。
【0045】
いくつかの実施形態の利点は、それらが相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術、または任意の他の好適な半導体技術における完全な統合のために好適であることである。
【0046】
さらなる目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、実施形態の以下の詳細な説明から明らかになろう。図面は必ずしも縮尺が一定でなく、代わりに、例示的な実施形態を示すことに強調が置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】いくつかの実施形態による、例示的な構成を示す概略図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、例示的な構成を示す概略図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、例示的な構成を示す概略図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、例示的な構成を示す概略図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、例示的な装置を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
すでに上述のように、(「含む(include)/含む(including)」によって置換可能な)「含む(comprise)/含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定するように取られるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことが強調されるべきである。本明細書で使用される際、単数形「a」、「an」および「the」は、コンテキストが別段に明示しない限り、複数形をも含むものとする。
【0049】
以下で添付の図面を参照しながら、本開示の実施形態についてより十分に説明し、例示する。本明細書で開示するソリューションは、しかしながら、多くの異なる形式において実現され得、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきでない。
【0050】
以下で、送信機から受信機への信号漏れおよび/またはアンテナから送信機への受信信号の漏れを緩和するアンテナインターフェース構成が与えられる実施形態について説明する。緩和は除去によって達成される。
【0051】
送信信号漏れは、様々な実施形態によれば、受信機において完全にまたは部分的に除去され得る。本明細書で提示する実施形態は、送信信号の漏れた部分と比較して同じ振幅と逆位相(すなわち、πまたは180°位相差)とを有する信号の、受信機における追加によって、送信信号漏れの除去を達成することを目的とする。
【0052】
受信信号漏れは、様々な実施形態によれば、送信機において完全にまたは部分的に除去され得る。本明細書で提示する実施形態は、受信信号の漏れ部分と比較して同じ振幅と逆位相(すなわち、πまたは180°位相差)とを有する信号の、送信機における追加によって、受信信号漏れの除去を達成することを目的とする。
【0053】
いくつかの実施形態は、アンテナが送信機と受信機とによって共有されるトランシーバのために好適である。代替または追加として、いくつかの実施形態は、送信と受信とが同時におよび/または同じ周波数間隔において行われるトランシーバ、たとえば、時分割複信(TDD)トランシーバ、および/または全二重トランシーバまたは半二重トランシーバのために好適である。
【0054】
いくつかの実施形態は、トランシーバを備える通信デバイス(たとえば、無線通信デバイス)のために好適である。例示的な通信デバイスは、ユーザ機器(UE)、基地局(BS)、または任意の他の無線アクセスノードを含む。
【0055】
本明細書で、アンテナインターフェース構成について、アンテナを備える無線トランシーバのコンテキストにおいて説明する場合でも、アンテナインターフェース構成は、他のコンテキストにおいても同様に等しく適用可能であることに留意されたい。たとえば、アンテナインターフェース構成は、有線媒体を介した通信のために設定されたトランシーバのために使用され得る。そのような例では、アンテナポートに接続可能なアンテナインターフェース構成の部品はトランシーバの非アンテナポートに容易に接続される。
【0056】
したがって、本明細書で、部品について、トランシーバのアンテナポートに接続可能であるとして説明するとき、部品はトランシーバの非アンテナポートに等しく接続可能であり、非アンテナポートは通信媒体アクセスのためのポートであることを理解されたい。
【0057】
本明細書で説明するアンテナインターフェース構成は、いくつかの実施形態によれば、相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術または任意の他の好適な半導体技術に完全に統合され得る。
【0058】
本明細書で説明するアンテナインターフェース構成は、トランスフォーマベースであり、パッシブ除去手法の適用例として見られ得る。
【0059】
以下の例から明らかになるように、いくつかの実施形態のアンテナインターフェース構成は、受信ポートへの送信信号漏れの除去のためにトランシーバの送信ポートにおいて感知される信号を使用し、除去のために振幅(および位相)を調整するためにインピーダンスが使用される。同様に、いくつかの実施形態のアンテナインターフェース構成は、送信機への受信信号漏れの除去のためにトランシーバの受信ポートにおいて感知される信号を使用し、除去のために振幅(および位相)を調整するためにインピーダンスが使用される。
【0060】
図1は、いくつかの実施形態による例示的な構成を概略的に示す。
【0061】
図1は、トランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のための例示的なアンテナインターフェース構成100を示す。トランシーバの送信機(TX)101と受信機(RX)104とアンテナ(ANT)103とへのアンテナインターフェース構成の例示的な接続も示されている。
【0062】
アンテナインターフェース構成100は、(
図1に2つの抵抗106、107として示された)インピーダンスと、分散型トランスフォーマとを備える。分散型トランスフォーマは、第1の部分111と第2の部分112とをもつ1次側巻線と、第1の2次側巻線113と、第2の2次側巻線114とを有する。第1の2次側巻線113は1次側巻線の第1の部分111への第1の誘導結合133を有し、第2の2次側巻線114は1次側巻線の第2の部分112への第2の誘導結合134を有する。
【0063】
図1に例示されたトランシーバにおいて、送信ポート、受信ポート、およびアンテナポートは、正端子と負端子とを有する差動ポートである。
【0064】
1次側巻線の第1の部分111の第1の末端はトランシーバのアンテナポートの端子のうちの一方191(この例では端子「+」)に接続可能であり、1次側巻線の第1の部分111の第2の末端は1次側巻線の第2の部分112の第1の末端に接続され、1次側巻線の第2の部分112の第2の末端はトランシーバのアンテナポートの端子のうちの他方192(この例では端子「-」)に接続可能である。
【0065】
第1の2次側巻線113の第1の末端はトランシーバの送信ポートの端子のうちの一方193(この例では端子「+」)に接続可能であり、第1の2次側巻線113の第2の末端はトランシーバの送信ポートの端子のうちの他方194(この例では端子「-」)に接続可能である。
【0066】
第2の2次側巻線114の第1の末端はトランシーバの受信ポートの端子のうちの一方195(この例では端子「+」)に接続可能であり、第2の2次側巻線114の第2の末端はトランシーバの受信ポートの端子のうちの他方196(この例では端子「-」)に接続可能である。
【0067】
インピーダンスは第1の2次側巻線113と第2の2次側巻線114との間に接続される。より詳細には、この実装形態では、抵抗106は第1の2次側巻線の第1の末端と第2の2次側巻線の第1の末端との間に接続され、抵抗107は第1の2次側巻線の第2の末端と第2の2次側巻線の第2の末端との間に接続される。
【0068】
一般に、第1の誘導結合および第2の誘導結合は、受信ポートにおいて送信信号の第1のバージョンを与えるように適合され、インピーダンスは、受信ポートにおいて送信信号の第2のバージョンを与えるように適合される。また一般に、送信信号の第2のバージョンが送信信号の第1のバージョンを除去することが目的である。これを達成する1つの方法は、送信信号の第1のバージョンと同じ振幅と逆位相とを有する送信信号の第2のバージョンを与えることである。
【0069】
図1に示された実装において、第1の誘導結合133および第2の誘導結合134は非反転誘導結合であり、抵抗は、同じ極性をもつ送信ポートと受信ポートとの間に結合される(すなわち、一方の抵抗106は送信ポートの正端子「+」と受信ポートの正端子「+」との間に接続され、他方の抵抗107は送信ポートの負端子「-」と受信ポートの負端子「-」との間に接続される)。それにより、送信信号に対する第1の誘導結合133と第2の誘導結合134との位相効果と、送信信号に対するインピーダンス106、107の位相効果とは、周期送信信号についてのπに等しいモジュロ2π位相差(すなわち、逆位相)を有する。
【0070】
インピーダンス106、107は、好ましくは、受信ポートへの送信信号漏れの除去が達成されるように、および/または送信ポートへの受信信号漏れの除去が達成されるように選択されるべきである。これは、たとえば、送信信号に対する第1の誘導結合133と第2の誘導結合134との振幅効果がインピーダンス106、107の送信信号に対する振幅効果に等しくなるように、インピーダンス106、107を選択することによって達成され得る。
【0071】
トランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のための他の例示的なアンテナインターフェース構成は、
図1において第1の誘導結合133と第2の誘導結合134の両方を反転誘導結合にすることによって達成され得る。
【0072】
一般に、本明細書で例示されたアンテナインターフェース構成のうちの1つまたは複数(たとえば、
図1の例示的なアンテナインターフェース構成100)はまた、トランシーバの送信ポートにおける受信信号の除去を行い得ることに留意されたい。特に、第1の誘導結合は、さらに、送信ポートにおいて受信信号の第1のバージョンを与えるように適合され得、第2の誘導結合およびインピーダンスは、さらに、送信ポートにおいて受信信号の第2のバージョンを与えるように適合され得る。
【0073】
また一般に、受信信号の第2のバージョンが受信信号の第1のバージョンを除去することが目的である。これを達成する1つの方法は、受信信号の第1のバージョンと同じ振幅と逆位相とを有する受信信号の第2のバージョンを与えることであり、本明細書で例示されるアンテナインターフェース構成のうちの1つまたは複数がそれを達成する。また一般に、(アンテナポートがポート1であり、送信ポートがポート2であり、受信ポートがポート3であり、S12が送信機からアンテナへの結合を表し、S31がアンテナから受信機への結合を表し、S32が送信機から受信機への結合を表し、S23が受信機から送信機への結合を表すと仮定すると)、本明細書で、いくつかの実施形態において使用されるスタンドアロントランスフォーマは、送信機と受信機との間でアンテナを共有することを可能にし(たとえば、同等の巻線をもつトランスフォーマの場合、S12=S31=-3dBの結合損失が生じる)、送信機と受信機とはトランスフォーマによって磁気的に接続される(たとえば、同等の巻線をもつトランスフォーマの場合、S32=S23=-6dBである)ことに留意されたい。送信機と受信機との間の分離は、適切に接続された抵抗(または一般的なインピーダンス)を使用することによって得ることができる。共振が起こらないので、インダクタが磁気的に結合されたときの理論上の帯域幅は無限である。
【0074】
送信機と受信機との間の磁気的接続は、誘導結合133と誘導結合134が両方とも非反転であるかまたは両方とも反転である場合に180°位相回転をもたらし、送信機と受信機との間の分離は、同じ極性のポート端子間に抵抗を接続することによって得ることができる。
【0075】
送信機と受信機との間の磁気的接続は、誘導結合のうちの一方が非反転であり、誘導結合のうちの他方が反転である場合には位相回転をもたらさず、送信機と受信機との間の分離は、異なる極性のポート端子間に抵抗を接続することによって得ることができる。
【0076】
図2は、いくつかの実施形態による例示的な構成を概略的に示す。
【0077】
図2は、トランシーバの差動ポート送信機(TX)101と差動ポート受信機(RX)104と差動ポートアンテナ(ANT)103とに接続されたときの、トランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のための例示的なアンテナインターフェース構成を示す。アンテナインターフェース構成の境界(
図1の100と比較する)およびトランシーバポート(
図1の191、192、193、194、195、196と比較する)は表現を簡単にするために省略されている。
【0078】
アンテナインターフェース構成は、(
図2に2つの抵抗206、207として示された)インピーダンスと、分散型トランスフォーマとを備える。分散型トランスフォーマは、第1の部分211と第2の部分212とをもつ1次側巻線と、第1の2次側巻線213と、第2の2次側巻線214とを有する。第1の2次側巻線213は、1次側巻線の第1の部分211への第1の誘導結合233を有し、第2の2次側巻線214は1次側巻線の第2の部分212への第2の誘導結合234を有する。
【0079】
1次側巻線の第1の部分211の第1の末端はトランシーバのアンテナポートの端子のうちの一方(この例では端子「+」)に接続可能であり、1次側巻線の第1の部分211の第2の末端は1次側巻線の第2の部分212の第1の末端に接続され、1次側巻線の第2の部分212の第2の末端はトランシーバのアンテナポートの端子のうちの他方(この例では端子「-」)に接続可能である。
【0080】
第1の2次側巻線213の第1の末端はトランシーバの送信ポートの端子のうちの一方(この例では端子「+」)に接続可能であり、第1の2次側巻線213の第2の末端はトランシーバの送信ポートの端子のうちの他方(この例では端子「-」)に接続可能である。
【0081】
第2の2次側巻線214の第1の末端はトランシーバの受信ポートの端子のうちの一方(この例では端子「+」)に接続可能であり、第2の2次側巻線214の第2の末端はトランシーバの受信ポートの端子のうちの他方(この例では端子「-」)に接続可能である。
【0082】
インピーダンスは第1の2次側巻線213と第2の2次側巻線214との間に接続される。より詳細には、この実装形態では、抵抗206は第1の2次側巻線の第1の末端と第2の2次側巻線の第2の末端との間に接続され、抵抗207は第1の2次側巻線の第2の末端と第2の2次側巻線の第1の末端との間に接続される。
【0083】
図2に示された実装形態では、第1の誘導結合233は非反転誘導結合であり、第2の誘導結合234は反転誘導結合であり、抵抗は、異なる極性の送信ポートと受信ポートとの間に結合され(すなわち、一方の抵抗206は送信ポートの正端子「+」と受信ポートの負端子「-」との間に接続され、他方の抵抗207は送信ポートの負端子「-」と受信ポートの正端子「+」との間に接続される)。それにより、送信信号に対する第1の誘導結合233と第2の誘導結合234との位相効果と、送信信号に対するインピーダンス206、207の位相効果とは、周期送信信号についてのπ(すなわち、逆位相)に等しいモジュロ2π位相差を有する。
【0084】
インピーダンス206、207は、好ましくは、受信ポートへの送信信号漏れの除去が達成されるように、および/または送信ポートへの受信信号漏れの除去が達成されるように選択されるべきである。これは、たとえば、送信信号に対する第1の誘導結合233と第2の誘導結合234との振幅効果が送信信号に対するインピーダンス206、207の振幅効果に等しくなるように、インピーダンス106、107を選択することによって達成され得る。
【0085】
トランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のための他の例示的なアンテナインターフェース構成は、
図1において第1の誘導結合233を反転誘導結合にし、第2の誘導結合234を非反転誘導結合にすることによって達成され得る。
【0086】
図3は、いくつかの実施形態による例示的な構成を概略的に示す。
【0087】
図3は、トランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のための例示的なアンテナインターフェース構成300を示す。トランシーバの送信機(TX)301と受信機(RX)304とアンテナ(ANT)303とへのアンテナインターフェース構成の例示的な接続も示されている。
【0088】
アンテナインターフェース構成300は、(
図3に抵抗306として示された)インピーダンスと、分散型トランスフォーマとを備える。分散型トランスフォーマは、第1の部分311と第2の部分312とをもつ1次側巻線と、第1の2次側巻線313と、第2の2次側巻線314とを有する。第1の2次側巻線313は1次側巻線の第1の部分311への第1の誘導結合333を有し、第2の2次側巻線314は1次側巻線の第2の部分312への第2の誘導結合334を有する。
【0089】
図3において例示されたトランシーバにおいて、送信ポートと受信ポートとアンテナポートとはシングルエンドポートである。
【0090】
1次側巻線の第1の部分311の第1の末端はトランシーバのアンテナポート391に接続可能であり、1次側巻線の第1の部分311の第2の末端は1次側巻線の第2の部分312の第1の末端に接続され、1次側巻線の第2の部分312の第2の末端は基準電位(たとえば、接地電位)に接続可能である。
【0091】
第1の2次側巻線313の第1の末端はトランシーバの送信ポート393に接続可能であり、第1の2次側巻線313の第2の末端は基準電位(たとえば、接地電位)に接続可能である。
【0092】
第2の2次側巻線314の第1の末端はトランシーバの受信ポート395に接続可能であり、第2の2次側巻線314の第2の末端は基準電位(たとえば、接地電位)に接続可能である。
【0093】
インピーダンス306は第1の2次側巻線313の第1の末端と第2の2次側巻線314の第1の末端との間に接続される。
【0094】
図3に示された実装形態において、第1の誘導結合333と第2の誘導結合334とは非反転誘導結合である。それにより、送信信号に対する第1の誘導結合333と第2の誘導結合334との位相効果と、送信信号に対するインピーダンス306の位相効果とは、周期送信信号についてのπ(すなわち、逆位相)に等しいモジュロ2π位相差を有する。
【0095】
インピーダンス306は、好ましくは、受信ポートへの送信信号漏れの除去が達成されるように、および/または送信ポートへの受信信号漏れの除去が達成されるように選択されるべきである。これは、たとえば、送信信号に対する第1の誘導結合333と第2の誘導結合334との振幅効果がインピーダンス306の送信信号に対する振幅効果に等しくなるように、インピーダンス106、107を選択することによって達成され得る。
【0096】
トランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のための他の例示的なアンテナインターフェース構成は、
図3において第1の誘導結合133と第2の誘導結合134の両方を反転誘導結合にすることによって達成され得る。
【0097】
図4の部分(a)は、いくつかの実施形態による、例示的な調整された構成を概略的に示す。
図4中の部分(a)の調整された例示的なアンテナインターフェース構成は、
図1に示された例示的なアンテナインターフェース構成100と同様であるが、1つまたは複数の回路要素421、423、424が追加されている。対応する調整、すなわち、1つまたは複数の回路要素の追加は、本明細書で(たとえば、
図2で、または
図3で)説明した他の例示的なアンテナインターフェース構成のいずれかに関して適用され得る。
【0098】
図4中の部分(a)の調整された例示的なアンテナインターフェース構成はトランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のためのものである。トランシーバの送信機(TX)401と受信機(RX)404とアンテナ(ANT)403とへのアンテナインターフェース構成の例示的な接続も示されている。
【0099】
図1と類似して、アンテナインターフェース構成は、(2つの抵抗406、407として例示された)インピーダンスと、分散型トランスフォーマとを備える。分散型トランスフォーマは、第1の部分411と第2の部分412とをもつ1次側巻線と、第1の2次側巻線413と、第2の2次側巻線414とを有する。第1の2次側巻線413は1次側巻線の第1の部分411への第1の誘導結合を有し、第2の2次側巻線414は1次側巻線の第2の部分412への第2の誘導結合を有する。インピーダンスおよび分散型トランスフォーマは
図1のインピーダンスおよび分散型トランスフォーマと同様の様式で構成される。
【0100】
図4中の部分(a)のアンテナインターフェース構成は、第1の回路要素(たとえば、アンテナポートインピーダンス423)と、第2の回路要素(たとえば、送信ポートインピーダンス421)と、第3の回路要素(たとえば、受信ポートインピーダンス424)とのうちの1つまたは複数をさらに備える。
【0101】
図4中の部分(a)中に示されているように、第1の回路要素423は1次側巻線411、412に並列に接続され得、第2の回路要素421は第1の2次側巻線413に並列に接続され得、第3の回路要素424は第2の2次側巻線414に並列に接続され得る。
【0102】
一般に、本明細書でインピーダンスに言及するとき、インピーダンスとは、純実数値インピーダンス(抵抗)と、純虚数値インピーダンス(キャパシタンスまたはインダクタンス)と、複素数値インピーダンスの形態のそれらの任意の組合せとのうちの1つまたは複数を包含することを意味する。したがって、第1の回路要素と第2の回路要素と第3の回路要素とのいずれかは実数値部および/または虚数値部を含み得る。
【0103】
第1の回路要素と第2の回路要素と第3の回路要素とのいずれかは、任意の好適な補償手法に従って分散型トランスフォーマの不完全性および/またはインピーダンス不整合を補償するように適合され得る。
【0104】
図4中の部分(a)中で例示されたように1つまたは複数のポートインピーダンスが追加されたアンテナインターフェース構成は、トランシーバポートのうちの1つまたは複数が理想的でないときに特に有用であり得る。ポートインピーダンスのうちの1つまたは複数は、トランシーバポートのうちの1つまたは複数のインピーダンス変動に適応するために調整可能であり得る。
【0105】
図4の部分(b)は、いくつかの実施形態による例示的な構成を概略的に示す。
図4中の部分(b)の調整された例示的なアンテナインターフェース構成は、
図1に示された例示的なアンテナインターフェース構成100と同様であるが、より一般的な実装形態におけるインピーダンスを示す。対応する一般化、すなわち、1つまたは複数の抵抗を複素数値インピーダンスに切り替えることは、本明細書で(たとえば、
図2で、
図3で、または
図4の部分(a)で)説明する他の例示的なアンテナインターフェース構成のいずれかについて適用され得る。
【0106】
図4中の部分(b)のアンテナインターフェース構成はトランシーバの受信ポートにおける送信信号の除去のためのものである。トランシーバの送信機(TX)401と受信機(RX)404とアンテナ(ANT)403とへのアンテナインターフェース構成の例示的な接続も示されている。
【0107】
図1と類似して、アンテナインターフェース構成は、(2つのインピーダンス408、409として例示され、それぞれ実数値部および/または虚数値部を含む)インピーダンスと、分散型トランスフォーマとを備える。分散型トランスフォーマは、第1の部分411と第2の部分412とをもつ1次側巻線と、第1の2次側巻線413と、第2の2次側巻線414とを有する。第1の2次側巻線413は1次側巻線の第1の部分411への第1の誘導結合を有し、第2の2次側巻線414は1次側巻線の第2の部分412への第2の誘導結合を有する。インピーダンスおよび分散型トランスフォーマは、
図1のインピーダンスおよび分散型トランスフォーマと同様の様式で構成される。
【0108】
図1に関して説明したインピーダンス値を選択するための条件に加えて、
図4の部分(b)中の複素数値インピーダンスが、任意の好適な補償手法に従って、分散型トランスフォーマの不完全性および/またはインピーダンス不整合を補償するように適合され得る。
【0109】
一般に、1次側巻線の第1の部分のサイズと、1次側巻線の第2の部分のサイズと、第1の2次側巻線のサイズと、第2の2次側巻線のサイズと、インピーダンス値(408、409と比較する)と、回路要素値(421、423、424と比較する)とのうちの1つまたは複数は、送信ポートインピーダンスおよび/または受信ポートインピーダンスおよび/またはアンテナポートインピーダンスの整合のために選択され得る。
【0110】
本明細書の様々な実施形態において適用される、分散型トランスフォーマは、任意の好適な比(たとえば、比1:1、1:2など)を有し得る。
【0111】
図5は、いくつかの実施形態による例示的な装置510を概略的に示す。装置510は、たとえば、通信デバイスであり得る。装置はトランシーバ(TX/RX)530とアンテナインターフェース構成(AI)500とを備える。トランシーバは全二重トランシーバまたは半二重トランシーバであり得る。代替または追加として、トランシーバはTDDトランシーバであり得る。アンテナインターフェース構成500は、
図1~
図4に関して説明したアンテナインターフェース構成のいずれかであり得る。
【0112】
一般に、本明細書で提示する様々な実施形態の分散型トランスフォーマは任意の好適な様式で実装され得る。分散型トランスフォーマは、理想的なトランスフォーマ(結合係数(coupling factor)k=1)または理想的でないトランスフォーマ(結合係数k<1、たとえば、k=0.85)であり得る。理想的でないトランスフォーマを使用することからある程度の損失が生じ得、位相シフトは完全(すなわち、0°または180°)でないことがある。しかしながら、アンテナインターフェース構成の分離およびノイズ指数(noise figure)は、主に除去インピーダンスによって決定され、理想的でないトランスフォーマの場合でさえ比較的低いままである。
【0113】
また一般に、本明細書で例示したインピーダンスおよび/または回路要素の各々は、(図のいずれかにおいて純抵抗性として例示されている場合でも)好適である、実数値部および/または虚数値部を含み得る。たとえば、インピーダンスおよび/または回路要素は、純抵抗性、純容量性、純誘導性、またはそれらの任意の組合せであり得る。さらに、インピーダンスおよび/または回路要素は、任意の好適な手段を使用して(たとえば、任意の並列および/または直列構成において抵抗、キャパシタ、コイルを接続して)実装され得る。
【0114】
一般に、除去インピーダンス(106、107、206、207、306、406、407、408、409)はポートインピーダンスに基づいて選択され得る(たとえば、対応するポートインピーダンスに等しいか、または対応するポートインピーダンスと等しい絶対値をもつ)。
【0115】
理想的でないトランスフォーマ(および/または送信機/受信機/アンテナポートの理想的でないインピーダンス)によって引き起こされる課題に適応するために、アンテナインターフェース構成中に1つまたは複数のリアクタンス素子が(たとえば、望ましい除去位相差を得るために)導入され得る。
図4は、これがどのように実装され得るかの例を表す。
【0116】
理想的でないトランスフォーマを対象とする一実施形態は、
図4の部分(b)中に示されたインピーダンス408、409を含み、インピーダンス408、409は、それぞれ、抵抗とインダクタンスとの機能的直列接続を含む。
【0117】
送信機/受信機/アンテナポートの理想的でないインピーダンスを対象とする一実施形態は、送信ポートと受信ポートとについて望ましい整合を達成するようにトランスフォーマの巻線をサイズ決定することによるインピーダンス整合のために、
図3に示された構成を使用する。たとえば、アンテナポートが50Ωを受け、送信ポートが30Ωを受け、受信ポートが70Ωを受けると仮定すると、抵抗306は送信ポートの30Ωの近く(たとえば、35Ω)に選択され得、1次側巻線の第1の部分311および第2の部分312は等しくサイズ決定され得、第1の2次側巻線313は1次側巻線の第1の部分311の3分の1にサイズ決定され得、第2の2次側巻線314は1次側巻線の第2の部分312の5分の7にサイズ決定され得る。
【0118】
実施形態は、本明細書で説明する実施形態のいずれかによる構成、回路、および/または論理を備える(トランシーバまたは通信デバイスなど)電子装置内に現れ得る。
【0119】
一般に、本明細書で使用するすべての用語は、異なる意味が明らかに与えられない限り、および/またはその異なる意味が、その用語が使用されるコンテキストから暗示されない限り、当該技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。
【0120】
本明細書で様々な実施形態を参照した。しかしながら、当業者は、依然として特許請求の範囲内に入るであろう、説明した実施形態の多数の変形形態を認識するであろう。
【0121】
実施形態の説明において、特定のユニットへの機能ブロックの分割は決して限定的なものではないことに留意されたい。反対に、これらの分割は例にすぎない。本明細書で1つのユニットとして説明した機能ブロックは2つまたはそれ以上のユニットに分割され得る。さらに、本明細書で2つまたはそれ以上のユニットとして実装されるとして説明した機能ブロックはより少ない(たとえば単一の)ユニットに併合され得る。
【0122】
本明細書で開示した実施形態のいずれかのいかなる特徴も、好適な場合はいつでも、任意の他の実施形態に適用され得る。同様に、実施形態のいずれかのいかなる利点も任意の他の実施形態に適用され得、その逆も同様である。
【0123】
したがって、説明した実施形態の詳細は説明の目的で提出された例にすぎないこと、および特許請求の範囲内に入るすべての変形形態はその中に包含されるものであることを理解されたい。