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特許7486605ハニカム構造体、排気ガス浄化装置及びハニカム構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ハニカム構造体、排気ガス浄化装置及びハニカム構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20240510BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20240510BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240510BHJP
   B01D 46/84 20220101ALI20240510BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240510BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240510BHJP
   B01J 35/57 20240101ALI20240510BHJP
   B01J 35/50 20240101ALI20240510BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B01D46/00 302
B01D39/20 D ZAB
B01D53/94 300
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01D53/94 222
B01D53/94 228
B01D46/84
F01N3/24 L
F01N3/28 301P
B01J35/57 C
B01J35/57 E
B01J35/57 H
B01J35/57 K
B01J35/50 311
B01J35/57 G
B01J37/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022566764
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2021036521
(87)【国際公開番号】W WO2022118531
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2020200399
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 周一
(72)【発明者】
【氏名】宮入 由紀夫
(72)【発明者】
【氏名】桝田 昌明
(72)【発明者】
【氏名】石原 拓也
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-246340(JP,A)
【文献】国際公開第2020/195108(WO,A1)
【文献】特開2019-188272(JP,A)
【文献】国際公開第2020/195278(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/188973(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
B01D 39/00-41/04
B01D 53/73,53/86-53/90,53/94,53/96
F01N 3/00,3/02,3/04-3/38,9/00-11/00
B01J 21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びて流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、磁性体粒子と、を備える、ハニカム構造体であって、
前記磁性体粒子は、一次粒子が結合した二次粒子を含み、
前記ハニカム構造体の断面画像において、前記磁性体粒子の全一次粒子数における二次粒子を形成している一次粒子の個数割合が、40~100%であり、
前記一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50が5~100μmである、ハニカム構造体。
【請求項2】
前記一次粒子の積算頻度10個数%に対応する粒子径D10が2μm以上であり、積算頻度90個数%に対応する粒子径D90が120μm以下である、請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記磁性体粒子の二次粒子の平均ネック径Dnと、前記一次粒子のD50との比:Dn/D50が0.2~0.8である、請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記磁性体粒子が前記磁性体粒子を含むコート層からなる構造体を構成しており、前記ハニカム構造体の隔壁の表面に前記コート層が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記磁性体粒子が前記磁性体粒子を含む目封じ部からなる構造体を構成しており、前記ハニカム構造体の一方の端面のセル、または、一方の端面及び他方の端面のセルに、前記目封じ部が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記磁性体粒子が前記ハニカム構造体のセルに充填される前記磁性体粒子を含む充填材からなる構造体を構成している、請求項1~3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記磁性体粒子が前記磁性体粒子を含む環状の導電ループからなる構造体を構成しており、前記ハニカム構造体の一方の端面及び他方の端面の一方または両方に溝部が設けられており、前記溝部に、前記環状の導電ループが埋め込まれている、請求項1~3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記磁性体粒子の構造体の気孔率が、10~70%である、請求項4~7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記磁性体粒子は、周波数が10~1000kHzの電流により誘導加熱される磁性体粒子である、請求項1~8のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の外周に設けられたコイルと、
前記ハニカム構造体を保持するための筒状部材と、
を有する排気ガス浄化装置。
【請求項11】
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びて流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するハニカム基材を準備する工程と、
前記ハニカム基材に、磁性体粒子を含むスラリーを設ける工程と、
前記磁性体粒子を含むスラリーを設けたハニカム基材を、400~700℃で1~10時間の熱処理により脱脂を行う工程と、
前記脱脂後に、900~1400℃で0.5~10時間の真空または不活性雰囲気下における熱処理を行う工程と、
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体、排気ガス浄化装置及びハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱による導電体の加熱特性を向上させる方策として、使用する交流電流の周波数を高くし、渦電流が流れる表皮(浸透)深さを小さくして、導電体の表面抵抗を増大させることにより加熱特性を向上させる方法が知られている。
【0003】
導電体でないハニカム構造体を誘導加熱するために、特許文献1では、磁性体の金属棒をハニカム構造体のセルに挿入したり、ハニカム構造体のセル内に磁性体を分散させる構成が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、複数の金属粒子又は金属小片をハニカム構造体のセルの個別の内部空間に部分的に充填する構成が提案されている。
【0005】
また、特許文献3では、ハニカム構造体の隔壁の表面に磁性体粒子を含むコート層を設ける構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9488085号明細書
【文献】特開2019-188272号公報
【文献】国際公開第2020/031434号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
導電体を配置したハニカム構造体の誘導加熱による加熱特性を向上させるためには、使用する電流の周波数を高くし、渦電流が流れる表皮深さを小さくして、ハニカム構造体に配置した導電体の表面抵抗を増大させたいが、表皮深さが小さくなると、一般に加熱特性が低下していた。本発明者は、このような問題に対し、誘導加熱によってハニカム構造体に配置した導電体部位に発生する渦電流が形成するループの大きさ及び太さを大きくすることで、渦電流が流れる表皮深さを小さくして、ハニカム構造体に配置した導電体の表面抵抗を増大させた状態で、良好な渦電流により、加熱特性が向上することを見出した。
【0008】
そして、本発明者は更に検討を行った結果、誘導加熱によってハニカム構造体に配置した導電体部位に発生する渦電流が形成するループの大きさを大きくするには、ハニカム構造体に磁性体粒子を設け、更に当該磁性体粒子の二次粒子の数の割合を制御することが有効であることを見出した。
【0009】
以上の知見を基礎として完成した本発明は、誘導加熱による加熱特性が良好なハニカム構造体、排気ガス浄化装置及びハニカム構造体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の本発明によって解決されるものである。本発明は以下のように特定される。
(1) 外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びて流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、磁性体粒子と、を備える、ハニカム構造体であって、
前記磁性体粒子は、一次粒子が結合した二次粒子を含み、
前記ハニカム構造体の断面画像において、前記磁性体粒子の全一次粒子数における二次粒子を形成している一次粒子の個数割合が、40~100%であり、
前記一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50が5~100μmである、ハニカム構造体。
(2)(1)に記載のハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の外周に設けられたコイルと、
前記ハニカム構造体を保持するための筒状部材と、
を有する排気ガス浄化装置。
(3)外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びて流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するハニカム基材を準備する工程と、
前記ハニカム基材に、磁性体粒子を含むスラリーを設ける工程と、
前記磁性体粒子を含むスラリーを設けたハニカム基材を、400~700℃で1~10時間の熱処理により脱脂を行う工程と、
前記脱脂後に、900~1400℃で0.5~10時間の真空または不活性雰囲気下における熱処理を行う工程と、
を含む、ハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、誘導加熱による加熱特性が良好なハニカム構造体、排気ガス浄化装置及びハニカム構造体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(A)は、本発明の実施形態における、ハニカム構造体10のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。(B)は、本発明の実施形態における、ハニカム構造体10のセルの延伸方向に平行な断面模式図である。
図2】(A)は、本発明の実施形態における、ハニカム構造体20のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。(B)は、本発明の実施形態における、ハニカム構造体20のセルの延伸方向に平行な断面模式図である。
図3】(A)は、本発明の実施形態における、ハニカム構造体30のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。(B)は、本発明の実施形態における、ハニカム構造体30のセルの延伸方向に平行な断面模式図である。
図4】(A)は、本発明の実施形態における、ハニカム構造体40のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。(B)は、(A)に示すL-L線に沿って、ハニカム構造体40をセルの延伸方向に平行に切断したときの断面模式図である。
図5】磁性体粒子の二次粒子のネック径を説明するための模式図である。
図6】本発明の実施形態における、排気ガス浄化装置のガス流れ方向に平行な断面模式図である。
図7】実施例及び比較例に係る誘導加熱試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明のハニカム構造体、排気ガス浄化装置及びハニカム構造体の製造方法の実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0014】
<ハニカム構造体>
図1(A)は、本発明の実施形態における、ハニカム構造体10のセル11の延伸方向に垂直な断面模式図である。図1(B)は、本発明の実施形態における、ハニカム構造体10のセル11の延伸方向に平行な断面模式図である。
【0015】
ハニカム構造体10は、外周壁12と、外周壁12の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びて流路を形成する複数のセル11を区画形成する隔壁13と、磁性体粒子とを備える。
【0016】
ハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12の材質については特に制限はないが、通常は、セラミックス材料で形成される。例えば、コージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ムライト、アルミナ、珪素-炭化珪素系複合材料、炭化珪素-コージェライト系複合材料、特に珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とする焼結体が挙げられる。本明細書において「炭化珪素系」とは、ハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12が炭化珪素を、ハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12全体の50質量%以上含有していることを意味する。ハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12が珪素-炭化珪素複合材を主成分とするというのは、ハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12が珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、ハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。また、ハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12が炭化珪素を主成分とするというのはハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12が炭化珪素(合計質量)を、ハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0017】
好ましくは、ハニカム構造体10の隔壁13及び外周壁12は、コージェライト、炭化珪素、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ムライト、及び、アルミナからなる群から選択される少なくとも1つのセラミックス材料で形成される。
【0018】
ハニカム構造体10のセル形状は特に限定されないが、ハニカム構造体10の中心軸に直交する断面において、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形、円形、又は楕円形であることが好ましく、その他不定形であってもよい。好ましくは、多角形である。
【0019】
ハニカム構造体10の隔壁13の厚さは、0.05~0.50mmであることが好ましく、製造の容易さの点で、0.10~0.45mmであることが更に好ましい。例えば、0.05mm以上であると、ハニカム構造体10の強度がより向上し、0.50mm以下であると、圧力損失を小さくすることができる。なお、この隔壁13の厚さは、中心軸方向断面を顕微鏡観察する方法で測定した平均値である。
【0020】
隔壁13の気孔率は、20~70%であることが好ましい。隔壁13の気孔率は、製造の容易さの点で、20%以上が好ましく、70%以下であると、ハニカム構造体10の強度を維持できる。
【0021】
隔壁13の平均細孔径は、2~30μmであることが好ましく、5~25μmであることが更に好ましい。隔壁13の平均細孔径が、2μm以上であると、製造が容易になり、30μm以下であると、ハニカム構造体10の強度を維持できる。なお、本明細書において、「平均細孔径」、「気孔率」というときには、水銀圧入法により測定した平均細孔径、気孔率を意味するものとする。
【0022】
ハニカム構造体10のセル密度は、特に制限はないが、5~150セル/cm2の範囲であることが好ましく、5~100セル/cm2の範囲であることがより好ましく、31~80セル/cm2の範囲であることが更に好ましい。
【0023】
ハニカム構造体10の外形は、特に限定されないが、端面が円形の柱状(円柱形状)、端面がオーバル形状の柱状、端面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。
【0024】
このようなハニカム構造体10は、セラミックス原料を含有する坏土を、一方の端面から他方の端面まで延びて流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム状に成形して、ハニカム成形体を形成し、このハニカム成形体を、乾燥した後に焼成することによって作製される。そして、得られたハニカム構造体を、本実施形態のハニカム構造体10に用いる場合には、外周壁をハニカム構造体と一体的に押し出してそのまま外周壁として使用してもよいし、成形又は焼成後に、ハニカム構造体の外周を研削して所定形状とし、この外周を研削したハニカム構造体に、コーティング材を塗布して外周コーティングを形成してもよい。なお、本実施形態においては、例えば、ハニカム構造体の最外周を研削せずに、外周を有したハニカム構造体を用い、この外周を有するハニカム構造体の外周面(即ち、ハニカム構造体の外周の更に外側)に、更に、上記コーティング材を塗布して、外周コーティングを形成してもよい。即ち、前者の場合には、ハニカム構造体の外周面には、コーティング材からなる外周コーティングのみが最外周に位置する外周壁となる。一方、後者の場合には、ハニカム構造体の外周面に、更にコーティング材からなる外周コーティングが積層された、最外周に位置する、二層構造の外周壁が形成される。外周壁をハニカム構造部と一体的に押し出してそのまま焼成し、外周の加工無しに、外周壁として使用してもよい。
【0025】
ハニカム構造体10は、隔壁13が一体的に形成された一体型のハニカム構造体に限定されることはなく、例えば、セラミックス製の隔壁を有し、隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された柱状のハニカムセグメントが、接合材層を介して複数個組み合わされた構造を有するハニカム構造体(接合型ハニカム構造体)であってもよい。
【0026】
図1(A)及び図1(B)に示す実施形態では、磁性体粒子が磁性体粒子を含むコート層15からなる構造体を構成している。コート層15は、ハニカム構造体10の隔壁13上に設けられている。コート層15は、磁性体粒子が分散した固着材を含んでもよい。固着材としては、ケイ酸、ホウ酸、又はホウケイ酸を含むガラス、結晶化ガラス、セラミックス、または、その他の酸化物を含む、ガラス、結晶化ガラス、セラミックス等を用いることができる。ガラスとしては、融点が900~1100℃の高融点ガラスを用いることが好ましい。高融点ガラスを用いることにより、コート層15の耐熱性が向上する。コート層15は、上述のように、磁性体粒子が分散した固着材を含む層であってもよく、ハニカム構造体10の隔壁13上に、磁性体粒子が直接分散して担持されてなる層であってもよい。
【0027】
コート層15の厚みは、10~100μmであることが好ましい。コート層15の厚みが10μm以上であれば、より多くの磁性体粒子を含有することができ、誘導加熱による発熱効率が高まる。コート層15の厚みが100μm以下であれば、圧力損失を下げることができる。
【0028】
磁性体粒子を含むコート層15が隔壁13上に設けられているセル11は、縦横に隣接するセルに関し、1セルおきに配置されて千鳥状を構成していてもよく、2セル、3セル等の複数セルおきに配置されてもよい。また、全てのセルの隔壁13上に、磁性体粒子を含むコート層15が設けられていてもよい。磁性体粒子を含むコート層15が隔壁13上に設けられているセルの数、または配置等は制限されず、必要に応じて適宜設計することができる。加熱の効果を高める観点からは、磁性体粒子を含むコート層15が隔壁13上に設けられているセル数を増やした方が良いが、圧力損失を下げる観点からはできるだけ減らした方が良い。
【0029】
隔壁13上に設けられた磁性体粒子を含むコート層15は、ハニカム構造体10の一方の端面から他方の端面まで全てに渡って設けられていてもよい。また、ハニカム構造体10の一方の端面から、セル11の途中まで設けられていてもよい。
【0030】
磁性体粒子は、図2(A)及び図2(B)に示すように、磁性体粒子を含む目封じ部25からなる構造体を構成していてもよい。目封じ部25は、ハニカム構造体20の一方の端面のセル11、または、一方の端面及び他方の端面のセル11に設けられていてもよい。磁性体粒子が目封じ部25からなる構造体を構成することで、磁性体を含む材料を充填するためだけにハニカム構造体20のセル11を使用する必要がなくなり、その結果、圧力損失の増加を抑制することができる。
【0031】
目封じ部25が、一方の端面及び他方の端面のセル11に設けられている場合、一方の端面の目封じ部25が設けられたセルと、他方の端面の目封じ部25が設けられたセルとは隔壁13を挟んで交互に隣接配置されて、両端面が市松模様を形成してもよい。このようなハニカム構造体20は、排気ガスを浄化するフィルタ(ハニカムフィルタ)として用いることができる。一方の端面及び他方の端面の目封じ部25が設けられたセルの数や配置等は制限されず、必要に応じて適宜設計することができる。目封じ部25は、隔壁13を構成する材料と同じ材料、または、その他の目封じ部25の材料として公知の材料に磁性体粒子を含有させたものを用いることができる。
【0032】
磁性体粒子は、図3(A)及び図3(B)に示すように、ハニカム構造体30のセル11に充填される磁性体粒子を含む充填材35からなる構造体を構成していてもよい。充填材35が充填されたセル11は、縦横に隣接するセルに関し、1セルおきに配置されて千鳥状を構成していてもよく、2セル、3セル等の複数セルおきに配置されてもよく、連続して配置されていてもよい。磁性体粒子の充填材35が充填されたセルの数、または配置等は制限されず、必要に応じて適宜設計することができる。加熱の効果を高める観点からは、磁性体粒子の充填材35が充填されたセル数を増やした方が良いが、圧力損失を下げる観点からはできるだけ減らした方が良い。
【0033】
充填材35は、磁性体粒子と結合材または接着材料とで複合化した組成物で構成されていてもよい。結合材としては、例えば金属又はガラスを主成分とする材料が挙げられる。接着材料としては、シリカ又はアルミナを主成分とする材料が挙げられる。結合材または接着材料に加え、有機物又は無機物を更に含有してもよい。
【0034】
充填材35は、ハニカム構造体30の一方の端面から他方の端面まで全てに渡って充填されていてもよい。また、ハニカム構造体30の一方の端面から、セル11の途中まで充填されていてもよい。
【0035】
磁性体粒子は、図4(A)及び図4(B)に示すように、磁性体粒子を含む環状の導電ループ45からなる構造体を構成していてもよい。ハニカム構造体40の一方の端面及び他方の端面の一方または両方に溝部44が設けられており、溝部44に環状の導電ループ45が埋め込まれていてもよい。このような構成によれば、導電ループ45の形状が環状であるため、誘導加熱により導電ループ45を周回するように電流が流れやすくなり、渦電流が発生しやすい。導電ループにおける抵抗率が小さくなる効果で渦電流損による損失がより大きくなり、低い周波数でも加熱速度が良好なハニカム構造体40を得ることができる。
【0036】
溝部44は、ハニカム構造体40の複数のセル11にわたって形成されている。溝部44は、上述の通り、導電ループ45を埋め込むためのものである。このため、溝部44の深さは、導電ループ45の厚み以上であればよい。また、溝部44の形状、数、大きさ等についても同様に、導電ループ45を埋め込めるように形成されていればよく、導電ループ45の形状、数、大きさ等に合わせて形成されていればよい。
【0037】
導電ループ45の厚みは、0.1~5mmであるのが好ましい。導電ループ45の厚みが0.1mm以上であれば、より大きな渦電流を発生させることができる。導電ループ45の厚みが5mm以下であれば、ガス流れを阻害する部分の面積を減らせるため、より圧力損失を低減することができる。導電ループ45の厚みは、0.5~4mmであるのがより好ましく、1~3mmであるのが更により好ましい。
【0038】
図4(A)及び図4(B)に示す導電ループ45は、ハニカム構造体40の端面の中心をその中心とする略正四角形の環状に形成されている。導電ループ45における、ハニカム構造体40の端面側から見たときの大きさは特に限定されず、ハニカム構造体40の端面の大きさにもよる。図4(A)及び図4(B)に示すような環状の略正四角形の導電ループ45であれば、導電ループ45の幅が0.1~5mmであるのが好ましい。導電ループ45の幅が0.1mm以上であれば、より大きな渦電流を発生させることができる。導電ループ45の幅が5mm以下であれば、より圧力損失を低減することができる。導電ループ45の幅は、0.5~4mmであるのがより好ましく、1~3mmであるのが更により好ましい。
【0039】
導電ループ45は、四角形の環状に限られず、円形、楕円形、三角形、または五角形以上の矩形の環状に形成されていてもよい。
【0040】
導電ループ45は、接合材に磁性体粒子を含有させて構成した層であってもよい。接合材としては、例えば、セラミックス、ガラス、またはセラミックスとガラスとの複合材料を用いることができる。接合材を構成する複合材料としては、例えば、ガラスを50体積%以上、より好ましくは60体積%以上、更により好ましくは70体積%以上含有した材料を用いることができる。接合材を構成するセラミックスとしては、例えば、SiO2系、Al23系、SiO2-Al23系、SiO2-Al23-MgO系、SiO2-ZrO2系、SiO2-Al23-ZrO2系等のセラミックスを挙げることができる。また、接合材を構成するガラスとしては、例えば、無鉛系のB23-Bi23系、B23-ZnO-Bi23系、B23-ZnO系、V25-P25系、SnO-P25系、SnO-ZnO-P25系、SiO2-B23-Bi23系、SiO2-Bi23-Na2O系等のガラスを挙げることができる。
【0041】
本発明の実施形態において、ハニカム構造体が有する磁性体粒子が、コート層15からなる構造体、目封じ部25からなる構造体、ハニカム構造体のセルに充填される充填材35からなる構造体及び環状の導電ループ45からなる構造体を構成する例を説明したが、これらに限られず、ハニカム構造体において、磁性体粒子がどのような形態の構造体を構成していてもよい。
【0042】
ハニカム構造体は、加熱対象(磁性体粒子)が粒子形状であるため、金属とセラミックスであるハニカム構造体の熱膨張差による耐久性への影響を抑制することができ、加熱したい箇所にフレキシブルに担持することが可能性になる。
【0043】
磁性体粒子は一次粒子が結合した二次粒子を含み、ハニカム構造体の断面画像において、磁性体粒子の全一次粒子数における二次粒子を形成している一次粒子の個数割合が、40~100%である。ここで、二次粒子を形成している一次粒子の数をn1、二次粒子を形成していない一次粒子の数をn2としたとき、「磁性体粒子の全一次粒子数」は、n1+n2である。磁性体粒子の全一次粒子数における二次粒子を形成している一次粒子の個数割合が40%以上であると、誘導加熱によってハニカム構造体に設けた磁性体粒子に発生する渦電流が形成するループの大きさが大きくなり、誘導加熱特性が良好となる。当該二次粒子を形成している一次粒子の個数割合は、50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましい。上限については、特に限定はないが、90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましい。二次粒子を形成している一次粒子の数、二次粒子を形成していない一次粒子の数は、走査型電子顕微鏡(SEM)やマイクロX線CTで観察される断面画像を公知の画像解析ソフト等で解析することで計測することができる。例えば、走査型電子顕微鏡を用いて、ハニカム構造体の磁性体粒子を含む断面画像を取得し、1700μm×1400μmの範囲における、上記n1、n2を算出し、二次粒子を形成している一次粒子の個数割合を求める。同様の測定を最低3箇所で行い、それを平均して、本発明の二次粒子を形成している一次粒子の個数割合とする。画像解析の対象範囲は、一次粒子のサイズによって、適宜変更しても構わない。二次粒子を形成している一次粒子としては、ネック部を形成している一次粒子を意味する。
【0044】
磁性体粒子は、一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50が5~100μmである。磁性体粒子の一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50が5μm以上であると、表皮深さに対する粒子サイズが十分大きいため、抵抗が大きくなり、十分な加熱効果が得られる。磁性体粒子の一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50が100μm以下であると、1000~1500℃の熱処理を行ったとき、粒子同士の焼結が容易になり、粒子同士が結合し、渦電流が流れる経路が大きくなる。このため、抵抗が大きくなり、十分な加熱効果が得られる。磁性体粒子の一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50は、10~80μmであるのが好ましく、20~70μmであるのがより好ましい。磁性体粒子の一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50は、SEMやマイクロX線CTで観察される断面画像を公知の画像解析ソフト等で解析することで計測することができる。例えば、走査型電子顕微鏡を用いてハニカム構造体の磁性体粒子を含む断面画像を取得し、1700μm×1400μmの範囲における一次粒子の粒子径を求めることで、一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50を算出する。同様の測定を最低3箇所で行い、それを平均化して、本発明の粒子径D50とする。画像解析の対象範囲は、一次粒子のサイズによって、適宜変更しても構わない。
【0045】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体は、上述のように、磁性体粒子の全一次粒子数における二次粒子を形成している一次粒子の個数割合を40~100%に制御することで、誘導加熱によってハニカム構造体に発生する渦電流が形成するループの経路を長くしている。また、磁性体粒子の一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50を5~100μmに制御することで、誘導加熱によってハニカム構造体に発生する渦電流が形成するループの経路を太くしている。このように、誘導加熱によってハニカム構造体に発生する渦電流が形成するループの経路が長く且つ太くなるため、渦電流が流れる表皮深さを小さくして、ハニカム構造体の表面抵抗を増大させた状態で、良好な渦電流により、加熱特性を向上させることができる。
【0046】
磁性体粒子の一次粒子の積算頻度10個数%に対応する粒子径D10が2μm以上であるのが好ましい。磁性体粒子の一次粒子の積算頻度10個数%に対応する粒子径D10が2μm以上であると、上述の磁性体粒子の二次粒子形成による効果が増大する。磁性体粒子の一次粒子の積算頻度10個数%に対応する粒子径D10は、2~6μmであるのがより好ましく、4~6μmであるのが更により好ましい。
【0047】
磁性体粒子の一次粒子の積算頻度90個数%に対応する粒子径D90が120μm以下であるのが好ましい。磁性体粒子の一次粒子の積算頻度90個数%に対応する粒子径D90が120μm以下であると、磁性体粒子が二次粒子をより形成しやすくなる。磁性体粒子の一次粒子の積算頻度90個数%に対応する粒子径D90は、20~120μmであるのがより好ましく、20~100μmであるのが更により好ましい。磁性体粒子の一次粒子の積算頻度10個数%に対応する粒子径D10、及び、積算頻度90個数%に対応する粒子径D90は、それぞれSEMやマイクロX線CTで観察される断面画像を公知の画像解析ソフト等で解析することで計測することができる。例えば、走査型電子顕微鏡を用いてハニカム構造体の磁性体粒子を含む断面画像を取得し、1700μm×1400μmの範囲における一次粒子の粒子径を求めることで、一次粒子の積算頻度10個数%に対応する粒子径D10、一次粒子の積算頻度90個数%に対応する粒子径D90を算出する。同様の測定を最低3箇所で行い、それを平均化して、本発明の粒子径D10、及び粒子径D90とする。画像解析の対象範囲は、一次粒子のサイズによって、適宜変更しても構わない。
【0048】
磁性体粒子の二次粒子の平均ネック径Dn(μm)と、一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50(μm)との比:Dn/D50が0.2~0.8であるのが好ましい。ここで、磁性体粒子の二次粒子の平均ネック径Dnは、図5に示すように、一次粒子と一次粒子とが焼結により結合して、首部(凹み部)を形成しているときの、当該首部の長さをネック径とし、複数の二次粒子の当該ネック径を平均した数値である。二次粒子の平均ネック径Dnは、SEMやマイクロX線CTで観察される断面画像を公知の画像解析ソフト等で解析することで計測することができる。例えば、走査型電子顕微鏡を用いてハニカム構造体の磁性体粒子を含む断面画像を取得し、1700μm×1400μmの範囲における二次粒子のネック径Dnを求め、これを平均化して、本発明の平均ネック径Dnとする。ネック径は、上記断面画像から目視でネック部を特定し、そのネック部の上記首部の端から端までの2点間距離として測定する。画像解析の対象範囲は、一次粒子のサイズによって、適宜変更しても構わない。
【0049】
ハニカム構造体の表皮深さδは、導体の電気抵抗率、透磁率、周波数で決まる値である。磁性体粒子の粒径Dと同程度であるほど、渦電流が流れる経路が有効に確保され、磁性体粒子同士がつながることにより誘導加熱によってハニカム構造体に発生する渦電流が形成するループの経路が太く大きくなり、加熱特性が良好となる。一方、ハニカム構造体の表皮深さδが磁性体粒子の粒径Dより大きすぎると、誘導加熱によってハニカム構造体に発生する渦電流が形成するループの経路が細くなり、加熱特性が不良となる。また、ハニカム構造体の表皮深さδが磁性体粒子の粒径Dより小さすぎると、粒径が大きい粒子同士の焼結は進行しづらく、一次粒子の比率が大きくなるため、誘導加熱によってハニカム構造体に発生する渦電流が形成するループの経路が短くなり、加熱特性が不良となる。磁性体粒子の二次粒子の平均ネック径Dn(μm)と、一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50(μm)との比:Dn/D50が0.2~0.8となるように制御することで、誘導加熱によってハニカム構造体に発生する渦電流が形成するループの経路がより太く大きくなり、加熱特性がより良好となる。当該Dn/D50は、0.3~0.8であるのがより好ましく、0.4~0.8であるのが更により好ましい。
【0050】
磁性体粒子の構造体の気孔率は、10~70%であるのが好ましい。磁性体粒子の構造体の気孔率が10%以上であると、構造体としてのヤング率が低下し、加熱した際の熱応力が小さくなるため、磁性体粒子の構造体におけるクラックの発生を抑制することができる。磁性体粒子の構造体の気孔率が70%以下であると、磁性体粒子同士の結合が良好となり、抵抗が大きくなり、十分な加熱が得られ、強度も向上する。このため、加熱した際の熱応力による磁性体粒子の構造体におけるクラックの発生を抑制することができる。磁性体粒子の構造体の気孔率は、30~60%であるのがより好ましく、35~50%であるのが更により好ましい。磁性体粒子の構造体の気孔率は、水銀圧入法で測定することができる。なお、磁性体粒子の構造体がコート層である場合の気孔率は、試料切り出しの観点で水銀圧入法での測定が困難であることから、例えばSEMやマイクロX線CTによる撮像の画像解析で測定することが可能である。
【0051】
磁性体粒子は、周波数が10~1000kHzの電流により誘導加熱される磁性体粒子であるのが好ましい。このような高周波の電流によって、ハニカム構造体の渦電流が流れる表皮(浸透)深さを小さくして、表面抵抗を増大させることにより、加熱特性を向上させることができる。また、磁性体粒子が誘導加熱される電流の周波数が10kHz以上であると、磁性体が抵抗の小さい粉末形状であっても十分に加熱することができる。磁性体粒子が誘導加熱される電流の周波数が1000kHz以下であると、コイルにおけるリアクタンス及び共振を得るためのコンデンサー負荷の増大を抑制することができる。磁性体粒子が誘導加熱される電流の周波数は、より好ましくは100~600kHzであり、更により好ましくは100~500kHzである。
【0052】
磁性体粒子は、磁性材料であり、磁場により磁化され、磁場の強さにより磁化の状態も変わる。これを表したものが「磁化曲線」である。磁化曲線は、横軸には磁場Hを目盛り、縦軸には、磁束密度Bを目盛る場合(B-H曲線)がある。磁性材料に全く磁場が加えられていない状態を消磁状態といい原点Oで表す。磁場を加えていくと、原点Oから、磁束密度が増加していき飽和する曲線を描く。この曲線が「初磁化曲線」である。初磁化曲線上の点と原点を結ぶ直線の傾きが「透磁率」である。透磁率は、磁場が浸透するといったような意味合いで、磁性材料の磁化のしやすさの目安となる。原点付近の磁場が小さい所での透磁率が「初透磁率」であり、初磁化曲線上で最大となる透磁率が「最大透磁率」である。
【0053】
磁性体粒子は、500以上の最大透磁率を有するのが好ましい。このような構成によれば、ハニカム構造体を誘電加熱した際、触媒が活性化する温度(約300℃)まで、短時間に温度を上昇させることができる。
【0054】
磁性体粒子は、450℃以上のキュリー点を有するのが好ましい。磁性体粒子のキュリー点は、強磁性の特性を失う温度をさす。また、磁性体粒子は、25℃で20μΩcm以上の固有抵抗値を有するのが好ましい。また、磁性体粒子は、40A/m以上の保磁力を有するのが好ましい。このような構成によれば、触媒が活性化する温度(約300℃)まで、短時間に温度を上昇させることができる。
【0055】
磁性体粒子の種類としては、例えば、残部Co-20質量%Fe、残部Co-25質量%Ni-4質量%Fe、残部Fe-15~35質量%Co、残部Fe-17質量%Co-2質量%Cr-1質量%Mo、残部Fe-49質量%Co-2質量%V、残部Fe-18質量%Co-10質量%Cr-2質量%Mo-1質量%Al、残部Fe-27質量%Co-1質量%Nb、残部Fe-20質量%Co-1質量%Cr-2質量%V、残部Fe-35質量%Co-1質量%Cr、純コバルト、純鉄、電磁軟鉄、残部Fe-0.1~0.5質量%Mn、残部Fe-3質量%Si、残部Fe-6.5質量%Si、残部Fe-18質量%Cr、残部Fe-16質量%Cr-8質量%Al、残部Ni-13質量%Fe-5.3質量%Mo、残部Fe-45質量%Ni、残部Fe-10質量%Si-5質量%Al、残部Fe-36質量%Ni、残部Fe-45質量%Ni、残部Fe-35質量%Cr、残部Fe-13質量%Cr-2質量%Si、残部Fe-20質量%Cr-2質量%Si-2質量%Mo、残部Fe-20質量%Co-1質量%V、残部Fe-13質量%Cr-2質量%Si、残部Fe-17質量%Co-2質量%Cr-1質量%Mo等が挙げられる。
【0056】
<ハニカム構造体の製造方法>
次に、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法を説明する。まず、セラミックス製の隔壁及び外周壁を有し、隔壁によって複数のセルが区画形成されたハニカム構造体を作製する。例えば、コージェライトからなるハニカム構造体を作製する場合には、まず、坏土用材料としてコージェライト化原料を用意する。コージェライト化原料は、コージェライト結晶の理論組成となるように各成分を配合するため、シリカ源成分、マグネシア源成分、及びアルミナ源成分等を配合する。このうちシリカ源成分としては、石英、溶融シリカを用いることが好ましく、更に、このシリカ源成分の粒径を100~150μmとすることが好ましい。
【0057】
マグネシア源成分としては、例えば、タルク、マグネサイト等を挙げることができる。これらの中でも、タルクが好ましい。タルクは、コージェライト化原料中37~43質量%含有させることが好ましい。タルクの粒径(平均粒子径)は、5~50μmであることが好ましく、10~40μmであることが更に好ましい。また、マグネシア(MgO)源成分は、不純物としてFe23、CaO、Na2O、K2O等を含有していてもよい。
【0058】
アルミナ源成分としては、不純物が少ないという点で、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムの少なくとも一種を含有するものが好ましい。また、コージェライト化原料中、水酸化アルミニウムは10~30質量%含有させることが好ましく、酸化アルミニウムは0~20質量%含有させることが好ましい。
【0059】
次に、コージェライト化原料に添加する坏土用材料(添加剤)を用意する。添加剤として、少なくともバインダと造孔剤を用いる。そして、バインダと造孔剤以外には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。
【0060】
造孔剤としては、コージェライトの焼成温度以下において酸素と反応して酸化除去可能な物質、又は、コージェライトの焼成温度以下の温度に融点を有する低融点反応物質等を用いることができる。酸化除去可能な物質としては、例えば、樹脂(特に、粒子状の樹脂)、黒鉛(特に、粒子状の黒鉛)等を挙げることができる。低融点反応物質としては、鉄、銅、亜鉛、鉛、アルミニウム、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも一種の金属、これらの金属を主成分とする合金(例えば、鉄の場合には炭素鋼や鋳鉄、ステンレス鋼)、又は、二種以上を主成分とする合金を用いることができる。これらの中でも、低融点反応物質は、粉粒状又は繊維状の鉄合金であることが好ましい。更に、その粒径又は繊維径(平均径)は10~200μmであることが好ましい。低融点反応物質の形状は、球状、巻菱形状、金平糖状等が挙げられ、これらの形状であると、細孔の形状をコントロールすることが容易となるため好ましい。
【0061】
バインダとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。また、分散剤としては、例えば、デキストリン、ポリアルコール等を挙げることができる。また、界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸を挙げることができる。なお、添加剤は、一種単独又は二種以上用いることができる。
【0062】
次に、コージェライト化原料100質量部に対して、バインダを3~8質量部、造孔剤を3~40質量部、分散剤を0.1~2質量部、水を10~40質量部の割合で混合し、これら坏土用材料を混練し、坏土を調製する。
【0063】
次に、調製した坏土を、押出成形法、射出成形法、プレス成形法等でハニカム形状に成形し、生のハニカム成形体を得る。連続成形が容易であり、例えばコージェライト結晶を配向させることができることから、押出成形法を採用することが好ましい。押出成形法は、真空土練機、ラム式押出成形機、2軸スクリュー式連続押出成形機等の装置を用いて行うことができる。
【0064】
次に、ハニカム成形体を乾燥させて所定の寸法に調整してハニカム乾燥体を得る。ハニカム成形体の乾燥は、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等で行うことができる。なお、全体を迅速且つ均一に乾燥することができることから、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥と、を組み合わせて乾燥を行うことが好ましい。その後、ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を得る。焼成の条件は、コージェライト化原料を用いた場合には、通常、大気雰囲気下、1410~1440℃の温度で3~15時間とすることができる。
【0065】
次に、ハニカム焼成体に磁性体粒子を設ける。なお、ハニカム乾燥体に磁性体粒子を設けた後、磁性体粒子を設けたハニカム乾燥体を焼成したハニカム構造体を得るという方法であってもよい。ここで、種々の磁性体粒子の構造体の形態について、それぞれ製造工程を説明する。
【0066】
(1)磁性体粒子がコート層からなる構造体を構成しており、コート層がセルの隔壁上に設けられている場合。
まず、磁性体粒子、及び、ガラス等で構成された固着材を混在させた材料でコート層形成用スラリーを作製する。具体的には、例えば、磁性体粒子とガラス粉体を配合し、これにバインダ、分散剤、水を配合してコート層形成用スラリーを作製する。磁性体粒子とガラス粉体の配合比としては、体積基準で1:1以上、20:1以下である。
【0067】
次に、ハニカム焼成体の上流側の端面のセルの一部にマスクを施し、その端面を、コート層形成用スラリーが貯留された貯留容器中に浸漬して、マスクをしていないセルにコート層形成用スラリーを塗工する。このとき、コート層形成用スラリーは、ハニカム焼成体の一方の端面からセル内の全体、あるいは所定の長さの領域におけるセル内に塗工する。なお、ハニカム構造体のセルの全てにコート層を形成する場合は、上流側の端面にマスクを施すことなく、セルにコート層形成用スラリーを塗工すればよい。セル内へのスラリーの充填方法としては、ペースト状の材料を、スキージのようなヘラで押し込むのが簡単な方法である。スキージの押し込み回数で深さを制御するのが簡単である。あるいは他方の端面側よりスラリーを真空吸引して、セル内に塗工する方法も考えられる。
【0068】
次に、磁性体粒子を含むスラリーを設けたハニカム基材を、400~700℃で1~10時間の大気又は窒素雰囲気による熱処理により脱脂を行い、脱脂後に、900~1400℃で0.5~10時間の真空または不活性雰囲気下における熱処理を行うことで、磁性体粒子を含むコート層がセルの隔壁上に設けられたハニカム構造体を作製する。このように、熱処理を行う前に、400~700℃で1~10時間の熱処理により脱脂を行っておくことで、スラリー中のカーボンを除去する。その後に、900~1400℃で0.5~10時間の真空または不活性雰囲気下における熱処理を行う。磁性体粒子について、全磁性体粒子数における二次粒子数の個数割合を40~100%に制御する方法としては、例えば、上記の脱脂工程後に上記の熱処理を行う方法が挙げられる。
【0069】
(2)磁性体粒子が目封じ部からなる構造体を構成しており、ハニカム構造体の一方の端面のセルに目封じ部が設けられている場合。
まず、目封じ部の原料を用意する。目封じ部の材料(目封じ用スラリー)は、隔壁(ハニカム焼成体)と同じ坏土用材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。具体的には、セラミックス原料、界面活性剤、及び水を混合し、必要に応じて焼結助剤、造孔剤等を添加してスラリー状にし、ミキサー等を使用して混練することにより得ることができる。
【0070】
次に、ハニカム焼成体の一方の端面のセル開口部の一部にマスクを施し、その端面を、目封じ用スラリーが貯留された貯留容器中に浸漬して、マスク をしていないセルに目封じ用スラリーを充填する。目封じの方法としては、ペースト状の材料を、スキージのようなへらで押し込むのが簡単な方法である。スキージの押し込み回数で深さを制御するのが簡単である。
【0071】
次に、磁性体粒子を含むスラリーを設けたハニカム基材を、400~700℃で1~10時間の大気または窒素雰囲気下における熱処理により脱脂を行い、脱脂後に、900~1400℃で0.5~10時間の真空または不活性雰囲気下における熱処理を行うことで、一方の端面のセルに磁性体粒子を含む目封じ部が設けられたハニカム構造体を作製する。
【0072】
(3)磁性体粒子がハニカム構造体のセルに充填される充填材からなる構造体を構成している場合。
まず、磁性体粒子、磁性体粒子を含むスラリー、あるいはシリカ又はアルミナを主成分とする接着材料と磁性体粒子とを含むスラリーをハニカム焼成体のセル内に流し込む。このとき、磁性体粒子、磁性体粒子を含むスラリー、あるいはシリカ又はアルミナを主成分とする接着材料と磁性体粒子を含むスラリーは、ハニカム焼成体の一方の端面から全体、あるいは所定の長さの領域におけるセル内に塗工する。当該スラリーは、セラミックス、ガラス、またはセラミックスとガラスとの複合材料、界面活性剤、及び水を混合し、必要に応じて焼結助剤、造孔剤等を添加してスラリー状にし、ミキサー等を使用して混練することにより得ることができる。あるいはシリカ又はアルミナを主成分とする接着材料を用いる場合は、製造時に加熱乾燥によって接着材料が固化することができるものであることが好ましい。加熱乾燥によって上記接着材料が固化することができるものとしては、例えば、シリカまたはアルミナのコロイド分散体が挙げられ、シリカおよびアルミナを含むコロイド分散体であってもよい。また、使用環境における最高温度が約700℃に到達するため、この温度以上の耐熱温度を有するシリカ又はアルミナを用いることがより好ましい。
【0073】
次に、磁性体粒子を含むスラリーを設けたハニカム基材を、400~700℃で1~10時間の大気または窒素雰囲気下における熱処理により脱脂を行い、脱脂後に、900~1400℃で0.5~10時間の真空または不活性雰囲気下における熱処理を行うことで、磁性体粒子を含む充填材がセルに充填されたハニカム構造体を作製する。
【0074】
(4)磁性体粒子が環状の導電ループからなる構造体を構成しており、ハニカム構造体の一方の端面に溝部が設けられており、溝部に環状の導電ループが埋め込まれている場合。
まず、ハニカム焼成体の一方の端面を所定の深さだけ切削除去して溝部を形成する。または、溝部を形成した生のハニカム成形体を作製しておき、これを乾燥させてハニカム乾燥体を作製する。
次に、溝部に磁性体粒子を含むスラリーを流し込む。当該スラリーは、セラミックス、ガラス、またはセラミックスとガラスとの複合材料、界面活性剤、及び水を混合し、必要に応じて焼結助剤、造孔剤等を添加してスラリー状にし、ミキサー等を使用して混練することにより得ることができる。
溝部に流し込む方法以外に、予めセグメント状になったハニカムに、接合材と磁性体粒子を含むスラリーをそれぞれ環状の導電ループが形成されるように塗布して、セグメント同士を接合して一体化する工程でも、同様のハニカム構造体を得ることが可能である。
【0075】
次に、磁性体粒子を含むスラリーを設けたハニカム基材を、400~700℃で1~10時間の大気または窒素雰囲気下における熱処理により脱脂を行い、脱脂後に、900~1400℃で0.5~10時間の真空または不活性雰囲気下における熱処理を行うことで、溝部に磁性体粒子を含む環状の導電ループが埋め込まれたハニカム構造体を作製する。
【0076】
<排気ガス浄化装置>
上述した本発明の実施形態に係るハニカム構造体を用いて排気ガス浄化装置50を構成することができる。図6に示すように、本発明の実施形態に係る排気ガス浄化装置50は、ハニカム構造体10とハニカム構造体10の外周に設けられたコイル51とを有する。また、排気ガス浄化装置50は、ハニカム構造体10を保持するための筒状部材52を有する。筒状部材52は金属管等で構成することができ、拡径部53にハニカム構造体10を配置することができる。コイル51は固定部材54によって筒状部材52内に固定されてもよい。固定部材54は、セラミック繊維等の耐熱性部材であることが好ましい。ハニカム構造体10は触媒を担持してもよい。触媒は、酸化触媒、三元触媒、NOx吸蔵還元触媒、NOx選択還元触媒(SCR触媒)、炭化水素吸着触媒、炭化水素、一酸化炭素酸化触媒、及び、アンモニアスリップ(酸化)触媒からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0077】
コイル51は、ハニカム構造体10の外周に螺旋状に巻かれる。2以上のコイル51が用いられる形態も想定される。スイッチSWのオン(ON)に応じて交流電源CSから供給される交流電流がコイル51に流れ、この結果として、コイル51の周囲には周期的に変化する磁界が生じる。なお、スイッチSWのオン・オフが制御部55により制御される。制御部55は、エンジンの始動に同期してスイッチSWをオンさせ、コイル51に交流電流を流すことができる。なお、エンジンの始動とは無関係に(例えば、運転手により押される加熱スイッチの作動に応じて)制御部55がスイッチSWをオンする形態も想定される。
【0078】
本発明の実施形態においては、コイル51に流れる交流電流に応じた磁界の変化に応じてハニカム構造体10が昇温する。これによりハニカム構造体10により捕集されるカーボン微粒子などが燃焼する。また、ハニカム構造体10が触媒を担持する場合、ハニカム構造体10の昇温は担持された触媒の温度を高め、触媒反応が促進される。端的には、一酸化炭素(CO)、窒化酸化物(NOx)、炭化水素(CH)が、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、水(H2O)に酸化又は還元される。
【実施例
【0079】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0080】
<実施例1>
残部Fe-18質量%Crの組成を有する、平均粒径10μmの磁性体粉末1.5gと、平均粒径2μmのガラスフリットとを質量比率9:1で混合し、さらにスラリー粘度調整のためのレオロジー付与剤、カルボキシメチルセルロース、及び水を混合して、スラリーを作製し、貯留容器に貯めた。
また、別途、直径が25mm、長さが25mm、隔壁厚さが0.1mm、 隔壁間距離が約1mmの円柱状のコージェライト製ハニカム焼成体を準備した。次に、ハニカム焼成体の一方の端面のセル開口部の一部にマスクを施し、その端面を、スラリー(目封じ用スラリー)が貯留された貯留容器中に浸漬して、マスクをしていないセルにスラリーを充填した。次に、当該スラリーが充填されたハニカム焼成体を、窒素雰囲気下で500℃×5時間の脱脂を行った後に、真空雰囲気下、1100℃で5時間の熱処理を行い、図2(A)及び図2(B)に示すように、磁性体粒子を含む目封じ部からなる構造体を有するハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体の磁性体粒子を含む目封じ部からなる構造体の気孔率は、SEMによる撮像を画像解析する方法で測定したところ、45%であった。
【0081】
<誘導加熱試験>
次に、当該ハニカム構造体を内径27mmの石英ガラス管内に設置し、石英ガラス管中には、室温の大気を0.24L/秒で流した。次に、直径35mm、3巻数の誘導加熱コイルを、外側に巻いて、誘導加熱装置を用いて、当該ハニカム構造体の加熱試験を行った。ハニカム構造体の内部温度をシース熱電対で測定した。投入電力は1kWとし、誘導加熱周波数は450kHzで、ハニカム構造体の昇温性能を測定した。図7に、実施例1の当該誘導加熱試験に係る時間(秒)-温度(℃)の関係を表したグラフを示す。
また、本測定に用いたハニカム構造体は、SEM観察を実施し、70倍の倍率で撮像した。1700μm×1400μmの視野の写真を3枚用いて、画像解析を実施した。
画像解析で得られたD50は10μm、D10は4μm、D90は27μm、全一次粒子のうち、二次粒子を形成している個数割合は70%であった。また二次粒子の平均ネック径Dnと、前記一次粒子のD50との比:Dn/D50が0.4であった。
【0082】
<実施例2>
実施例1に対して、真空雰囲気下、1350℃で5時間の熱処理を実施した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。
【0083】
<実施例3>
実施例1に対して、真空雰囲気下、950℃で1時間の熱処理を実施した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。
【0084】
<実施例4>
磁性体粉末として、残部Fe-18質量%Crの組成を有する、平均粒径6μmの磁性体粉末1.5gを使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。
【0085】
<実施例5>
磁性体粉末として、残部Fe-18質量%Crの組成を有する、平均粒径80μmの磁性体粉末1.5gを使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。
【0086】
<比較例1>
実施例1と同様に、直径が25mm、長さが25mm、隔壁厚さが0.1mm、隔壁間距離が約1mmの円柱状のコージェライト製ハニカム焼成体の所定のセルに、実施例1のスラリーを充填し、磁性体粒子を含む目封じ部からなる構造体を有するハニカム焼成体を作製した。次に、当該スラリーがセル内に塗布されたハニカム焼成体を、脱脂を行わずに、真空雰囲気下において1100℃で5時間の熱処理を行なった。以降の加熱試験は実施例1と同様に実施した。図7に、比較例1の当該誘導加熱試験に係る時間(秒)-温度(℃)の関係を表したグラフを示す。画像解析で得られたD50は10μm、D10は4μm、D90は27μm、全一次粒子のうち、二次粒子を形成している個数割合は20%であった。また二次粒子の平均ネック径Dnと、前記一次粒子のD50との比:Dn/D50が0.1であった。実施例1~5及び比較例1の各評価結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
<考察>
実施例1~5は、いずれも磁性体粒子の全一次粒子数における二次粒子を形成している一次粒子の個数割合が、40~100%の範囲内であり、一次粒子の積算頻度50個数%に対応する粒子径D50が5~100μmの範囲内に制御されている。実施例1~5は、誘導加熱による加熱特性が良好であった。
これに対し、比較例1は、磁性体粒子の全一次粒子数における二次粒子を形成している一次粒子の個数割合が、40~100%の範囲外であった。そして比較例1は、誘導加熱による加熱特性が実施例1~5に対して劣っていた。
また、比較例1では、実施例1に対し、二次粒子を形成している個数割合が減少しているが、これは例えば、脱脂工程を省略したことによって、その後の一次粒子同士の焼結が、残存したカーボン分によって妨げられたためと考えられる。
また、図7に示すように、実施例1と比較例1とを対比すると、複合材に用いた磁性体の重量と、被加熱体のハニカム構造体が同一、また誘導加熱のための入力電力も同じである条件において、実施例1の方が早く加熱し、ハニカム構造体内の磁性体を含む複合材が存在する箇所を通過するガスを、効率的に昇温するにあたり有効であることがわかる。また、例えばNOx浄化に有効な選択還元触媒を活性化するために有効な加熱温度である200℃を、実施例1では最高温度が超えていることがわかる。
【符号の説明】
【0089】
10、20、30、40 ハニカム構造体
11 セル
12 外周壁
13 隔壁
15 コート層
25 目封じ部
35 充填材
44 溝部
45 導電ループ
50 排気ガス浄化装置
51 コイル
52 筒状部材
53 拡径部
54 固定部材
55 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7