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特許7486612ヘアクランプ要素の対のヘアクランプ性能の改善
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ヘアクランプ要素の対のヘアクランプ性能の改善
(51)【国際特許分類】
   A45D 26/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A45D26/00 F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022572350
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021063216
(87)【国際公開番号】W WO2021239524
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】20176618.5
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ベウゲルス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】グラゼンベルグ ヨースト トマス
(72)【発明者】
【氏名】デ フーエイ ヘールト ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル シェール ロベルト フレーク ヨハン
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-508821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアクランプ要素の対を少なくとも1つ備える、脱毛機器のヘッドユニットであって、前記ヘアクランプ要素は、互いに対面するように配置されており、互いに接触する及び接触が外れるように移動可能となるよう全体が互いに向かって及び互いから離れるように移動可能であるツイーザ表面であって、前記互いに接触するプロセスにおいて互いと位置合わせされるように移動する、当該ツイーザ表面を有し、一方の前記ヘアクランプ要素の前記ツイーザ表面の全体が、前一方のヘアクランプ要素に含まれている支持体に対して傾斜可能である、ヘッドユニット。
【請求項2】
前記一方のヘアクランプ要素は前記支持体上に傾斜可能に配置されている傾斜要素を具備しており、前記ツイーザ表面は前記傾斜要素に含まれている、請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項3】
一方のヘアクランプ要素は、前記傾斜要素を前記支持体に対する初期設定位置へと付勢するように前記傾斜要素に作用する付勢機構を更に具備している、請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項4】
前記付勢機構は板ばねを備える、請求項3に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
前記傾斜要素は前記付勢機構を介して前記支持体上でばね付勢される構成となっている、請求項3又は4に記載のヘッドユニット。
【請求項6】
前記支持体はリブを備え、前記傾斜要素は前記支持体上の前記リブの位置に配置されており、前記支持体に対して前記リブの長手方向に延在する傾斜軸を中心にして傾斜可能である、請求項2から4のいずれか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項7】
前記傾斜要素は前記支持体を周囲でクランプするブラケットを備える、請求項2から6のいずれか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項8】
他方の前記ヘアクランプ要素の前記ツイーザ表面が前記他方のヘアクランプ要素固定されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項9】
前記ツイーザ表面は平坦な外観を有し、前記ツイーザ表面はそれらが互いに対して位置合わせされるときに互いと平行に延在する状態にされる、請求項1から8のいずれか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項10】
前記ヘアクランプ要素は前記ヘッドユニット内に回転可能に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項11】
脱毛機器であって、請求項1から10のいずれか一項に記載のヘッドユニットと、使用者が前記脱毛機器を保持することを可能にするための本体ユニットと、を備える、脱毛機器。
【請求項12】
前記ヘッドユニット及び前記本体ユニットは互いに着脱可能に接続可能である、請求項11に記載の脱毛機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアクランプ要素の対を少なくとも1つ備える脱毛機器のヘッドユニットであって、ヘアクランプ要素は、互いに対面するように配置されたツイーザ表面であって、互いに接触する及び接触が外れるように移動可能となるよう全体が互いに向かって及び互いから離れるように移動可能である、ツイーザ表面を有する、ヘッドユニットに関する。
【0002】
本発明は、また、述べたようなヘッドユニットと、使用者が脱毛機器を保持できるように構成されている本体ユニットとを備える脱毛機器にも関する。
【背景技術】
【0003】
脱毛機器の分野では、皮膚からの毛の除去を目的としたいくつかの動作原理が適用され得る。これらの動作原理は全て、毛をクランプする動作と皮膚から毛を引き抜く動作とを連続して行うことに基づいている。
【0004】
一般に、電気脱毛機器は、皮膚に沿って移動されるように構成されているヘッドユニットと、使用者が脱毛機器を保持できるように構成されている本体ユニットとを備える。ヘッドユニットは、動作中に上述したような2つの動作、すなわち毛をクランプする動作及び皮膚から毛を引き抜く動作を実際に可能にするように駆動される、機能本体を備える。1つの知られているタイプの脱毛機器では、機能ユニットはヘアクランプ要素のいくつかの対を含み、各対のヘアクランプ要素は、互いに対面するように配置されたツイーザ表面であって、互いに接触する及び接触が外れるように移動可能となるよう全体が互いに向かって及び互いから離れるように移動可能である、ツイーザ表面を有する。また、ヘアクランプ要素はヘッドユニット内に回転可能に配置される。機能本体は動作中皮膚に近い位置にあり、皮膚から突出している毛が、ツイーザ表面が離間されるとツイーザ表面同士の間の狭い空間に入れるようになり、ツイーザ表面が互いに接触するように移動するとツイーザ表面同士の間にクランプされる。ヘアクランプ要素の回転移動に起因して、ツイーザ表面同士の間にクランプされている毛が皮膚から引き抜かれる。ツイーザ表面の互いに向かう及び互いから離れる移動、及びヘアクランプ要素の回転移動は、動作中に連続的に生じ、このようにして、連続した毛の束に対して皮膚に毛が残らなくなるまで皮膚から毛を除去するプロセスを実施することができる。
【0005】
脱毛機器のヘッドユニットの一般に知られているデザインでは、ヘアクランプ要素はディスクを備え、ディスクは、長手方向に、すなわちディスクの長手軸線が延在する方向に往復移動されるように、且つ長手方向に延在する回転軸を中心にして回転可能となるように配置され、また、ディスク上のディスクの本体表面の位置にツイーザ表面が存在する。代替のデザインでは、機能本体はローラを備え、ヘアクランプ要素は、動作中にローラ内で往復移動するように配置されるプレートを備える。いずれの場合も、ツイーザ表面は平坦な外観を有し、ツイーザ表面がそれらの間で実際に毛をクランプできる範囲は、ツイーザ表面が実際に互いに平行となる範囲によって影響される。製造公差又は反りなどの要因に起因して、ヘアクランプ要素の対のツイーザ表面の意図する平行な方向付けが実際には損なわれる場合が多く、そのためヘアクランプ要素の対のヘアクランプ性能が企図するよりも低くなるのが実状である。その理由は、ツイーザ表面が適切に位置合わせされていないとツイーザ表面同士の間の接触圧力が意図するよりも低くなり、ツイーザ表面同士の間の有効クランプ領域のサイズが意図するよりも小さくなり、その結果ツイーザ表面が、機能本体によって覆われた皮膚の領域のいくつかの個々の毛を、それらの毛を皮膚から実際に引っ張るのに十分な程度にしっかりとクランプできないことがあり得るからであり、このため、全ての毛が皮膚の領域から除去されるまでに、機能本体がより長い時間の期間の間皮膚のその領域を覆う位置にあることが必要となる。一般に、脱毛性能が最適でないと使用者は不快感を覚え、使用者にヘッドユニットを含む脱毛機器の品質を疑わせることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記で提示した課題、すなわち脱毛機器のヘッドユニットの知られているデザインと関連付けられる課題を軽減すること、及び、ヘアクランプ要素の対の改善されたヘアクランプ性能を達成することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を考慮して、本発明は、ヘアクランプ要素の対を少なくとも1つ備える脱毛機器のヘッドユニットであって、ヘアクランプ要素は、互いに対面するように配置されたツイーザ表面であって、互いに接触する及び接触が外れるように移動可能となるよう全体が互いに向かって及び互いから離れるように移動可能であり、互いに接触するプロセスにおいて互いと位置合わせされるように移動するよう構成されている、ツイーザ表面を有し、ヘアクランプ要素の一方のツイーザ表面の全体が、それぞれのヘアクランプ要素に含まれている支持体に対して傾斜可能である、ヘッドユニットを提供する。
【0008】
本発明の根底にある洞察によれば、ツイーザ表面の間に位置している毛を、皮膚から毛を引っ張る動作を効果的に行うことを可能にするのに十分な程度にしっかりとクランプする必要のあるときに、ツイーザ表面が互いに接触するように移動されるという事実が、有利に利用され得る。本発明の実施をするとき、ツイーザ表面の互いに向かう相対移動は、ツイーザ表面を移動させて互いに対して位置合わせするために使用される。このことは、ヘアクランプ要素の一方のツイーザ表面の全体が、それぞれのヘアクランプ要素に含まれている支持体に対して傾斜可能であるようなヘッドユニットのデザインに基づいて行われる。このデザインによるヘッドユニットでは、それぞれのヘアクランプ要素のツイーザ表面が傾斜可能であることによって、他方のツイーザ表面と接触するプロセスにおけるツイーザ表面の向きの調整が可能になるが、その場合、ツイーザ表面が押されて他方のツイーザ表面と位置合わせされると言ってもよい。ヘアクランプ要素内にツイーザ表面の傾斜可能な構成を有するという興味深い態様は、傾斜可能であることが後で説明するような付加要素によって実現可能であることによって与えられる。他方のツイーザ表面がそれぞれのヘアクランプ要素の中で固定位置を有していれば実用的である。
【0009】
従来のヘッドユニットに関して上記で説明されているように、ツイーザ表面が平坦な外観を有し、ツイーザ表面が、それらが互いに対して位置合わせされるときに互いと平行に延在する状態にされれば実用的である。このようにして可能な最大の有効クランプ領域を実現することができ、同時に、毛に対するクランプ動作を、理論上意図されるものと一致する可能な最高の力で行うことができる。いずれにしても、本発明によれば、ヘアクランプ要素の一方のツイーザ表面の全体が、それぞれのヘアクランプ要素に含まれている支持体に対して傾斜可能である。この点に関して、ヘアクランプ要素がそれぞれ支持体上に傾斜可能に配置されている傾斜要素を具備していれば実用的であり、その場合ツイーザ表面は傾斜要素に含まれている。
【0010】
以下では、明確にするために、ツイーザ表面がそれぞれのヘアクランプ要素に含まれている支持体に対して傾斜可能であるようなヘアクランプ要素を、調節可能なヘアクランプ要素と呼ぶこととする。傾斜要素は調節可能なヘアクランプ要素の主本体に対する付加要素として与えられてもよく、その場合、他方のヘアクランプ要素のツイーザ表面への接触が確立されるときに、調節可能なヘアクランプ要素のツイーザ表面を他方のヘアクランプ要素のツイーザ表面と位置合わせ可能であることが、複雑な手法を必要とせずに実現される。調節可能なヘアクランプ要素は、傾斜要素を支持体に対する初期設定位置へと付勢するように傾斜要素に作用する付勢機構を更に具備する。このことにより、傾斜要素に含まれているツイーザ表面を、ツイーザ表面が互いに向かっている最中であるか若しくは離れていくときに、ツイーザ表面が程度の差はあれ、他方のヘアクランプ要素のツイーザ表面と平行となる向きに、又は、任意の他の有利な向き、例えば調節可能なヘアクランプ要素の別の表面の向きに適合される向きにすることが可能になる。上述したような付勢機構は、例えば板ばねを備えるか、又は、任意の他の適切な様式でデザインされる。
【0011】
調節可能なヘアクランプ要素が上述したような付勢機構を含む場合、傾斜要素が付勢機構を介して支持体上でばね付勢される構成となる構成を有することが可能である。そのような構成によって、傾斜要素に含まれるツイーザ表面と他方のヘアクランプ要素のツイーザ表面との位置合わせが非常に良好に可能になり、その場合、ツイーザ表面が付勢機構の作用に逆らって互いに向かって前進されるときに、最初のツイーザ表面を後者のツイーザ表面に対して位置合わせされた位置まで押すことができる。ツイーザ表面の互いの接触が外れるとすぐに、傾斜要素は付勢機構によって調節可能なヘアクランプ要素における初期設定位置まで押し戻される。
【0012】
上述したような付勢機構を有しても有さなくてもよい、ヘッドユニットの別の実現可能な実施形態では、支持体はリブを備え、傾斜要素は支持体上のリブの位置に配置され、支持体に対してリブの長手方向に延在する傾斜軸を中心にして傾斜可能である。
【0013】
調節可能なヘアクランプ要素の傾斜要素は任意の好適なデザインのものであってよい。そのようなデザインの例は、傾斜要素が支持体を周囲でクランプするブラケットを備えるようなデザインである。
【0014】
ヘッドユニットがヘアクランプ要素の対を2つ以上含めば実用的である。ヘアクランプ要素の対の少なくとも1つのツイーザ表面の、互いに向かう及び互いから離れる移動を実現する目的で、ヘッドユニットは任意の好適な機構を具備していてもよく、この機構は例えば、ヘアクランプ要素を能動的に押し引きするように構成され得る。更に、毛を引っ張る動作を可能にする目的で、ヘアクランプ要素がヘッドユニット内に回転可能に配置されれば有利である。
【0015】
本発明はまた、先行する段落に記載されているようなヘッドユニットと、使用者が脱毛機器を保持できるように構成されている本体ユニットとを備える脱毛機器にも関する。また、ツイーザ表面の互いに向かう及び互いから離れる移動並びにヘアクランプ要素のあり得る回転移動を実現するために必要なエネルギーを供給するための供給源、例えば充電式バッテリを収容する役割を、本体ユニットが果たせれば実用的である。更に、ヘッドユニット及び本体ユニットが互いに着脱可能に接続可能であり、このため脱毛機器の使用者がヘッドユニットを交換することができれば、又はこのためヘッドユニットの洗浄が容易になれば実用的である。
【0016】
本発明の上記した及び他の態様は、脱毛機器のヘッドユニットのヘアクランプ要素のツイーザ表面に、動作中に互いに対して自動的に位置合わせを行う機能性を与えることを意図した、様々な手法の以下の詳細な説明から明らかとなり、これを参照して明確に説明される。
【0017】
本発明について図を参照して以下で更に詳細に説明する。これらの図では等しい又は同様の部分は同じ参照符号によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の脱毛機器のヘッドユニット及び本体ユニットの一部の斜視図を図式的に示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るヘッドユニットのヘアクランプ要素の一部の斜視図を図式的に示す図であり、ヘアクランプ要素は支持体と支持体上に配置されている傾斜要素とを含む。
図3】支持体及び傾斜要素拡大斜視図を図式的に示した図である。
図4】傾斜要素が支持体に対して移動可能である様子を示す図である。
図5】支持体に対する傾斜要素の初期設定位置に関する第1のオプションを示す図である。
図6】支持体に対する傾斜要素の初期設定位置に関する第2のオプションを示す図である。
図7】傾斜要素のツイーザ表面が隣り合うヘアクランプ要素のツイーザ表面と接触する様子を示す図である。
図8】傾斜要素のツイーザ表面が隣り合うヘアクランプ要素のツイーザ表面と接触する様子を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るヘッドユニットのヘアクランプ要素の一部の斜視図を図式的に示す図であり、ヘアクランプ要素は支持体と支持体上に配置されている傾斜要素とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本出願人名義の国際特許出願第WO2020/070218 A1号から知られる脱毛機器100のヘッドユニット110及び本体ユニット120の一部の斜視図を図式的に示しており、ヘッドユニット110のハウジング111及び本体ユニット120のハウジング121が点線で表されている。図1を参照すると、知られている脱毛機器100、特にそのヘッドユニット110の構造の全体的な態様が説明されており、それらは本発明に係る脱毛機器に等しく適用可能である。
【0020】
ヘッドユニット110及び本体ユニット120は、互いに着脱可能に接続可能である。好ましくは、示されている例の場合もそうであるが、ヘッドユニット110は、脱毛機器100の組み立てられた状態において、本体ユニット120に対して枢動可能である。ヘッドユニット110は、動作中に毛をクランプする動作及び皮膚から毛を引っ張る動作を行うように構成されている、機能本体10を備える。この目的のために、機能本体10は、ヘアクランプ要素12、13の対11をいくつか備え、ヘアクランプ要素12、13は、湾曲した支持軸(図1では見えていない)上に回転可能に配置されている、複数のディスクとして構成されている。ヘアクランプ要素12、13は、互いに対面するように配置されたツイーザ表面であって、互いに接触する及び接触が外れるように移動可能となるようそれらの全体が互いに向かって及び互いから離れるように移動可能である、ツイーザ表面14、15を有する。動作中に、ツイーザ表面14、15の位置において毛をクランプする動作が行われる。ツイーザ表面14、15の相対移動は、ヘアクランプ要素12、13の互いに向かう及び互いから離れる移動を引き起こすことによって実現され、その場合、本発明は、プロセスにおいて対11のヘアクランプ要素12、13の両方を移動させる、又は、対11のヘアクランプ要素12、13の一方だけを移動させる、異なるオプションを包含することに留意すべきである。
【0021】
ヘアクランプ要素12、13の互いに向かう及び互いから離れる連続的な移動を引き起こすための、及び同時にヘアクランプ要素12、13を回転させるための機構は、それ自体知られており、脱毛機器100のそれらの態様は本発明にとって重要ではないため、ここではこれ以上詳細に検討しない。一般に、脱毛機器100は、電気機器100の様々な構成要素を駆動するための電動モータを具備し得る、並びに、配電線への接続のための電気コード及び/又は好適なバッテリなどを有し得る、電気機器であることが留意される。
【0022】
示されている例では、ヘッドユニット110は、毛アクセスアクセス開口部21と皮膚接触表面22とを有する、皮膚接触部材20を備える。本発明に係るヘッドユニットは、そのような皮膚接触部材20を必ずしも含む必要のないことに留意すべきである。
【0023】
図2及び図3は、本発明の第1の実施形態に係るヘッドユニットのヘアクランプ要素12の異なる部分を示す。本テキストにおいてこのヘアクランプ要素12をそれぞれの対11の他方のヘアクランプ要素13と区別するために、このヘアクランプ要素12を調節可能なヘアクランプ要素12呼ぶこととする。図2には、調節可能なヘアクランプ要素12の長手軸線16が一点鎖線で描かれている。動作中、調節可能なヘアクランプ要素12は長手方向に延在する回転軸を中心にして回転され、この長手方向はまた、対11のヘアクランプ要素12、13が互いに向かって及び互いから離れるように連続的に移動される方向でもある。
【0024】
調節可能なヘアクランプ要素12は、支持体17と、支持体17上に配置されている傾斜要素30と、を含む。更に、調節可能なヘアクランプ要素12のツイーザ表面14は傾斜要素30に含まれており、平坦な外観を有することに留意すべきである。傾斜要素30の好適な材料の例は金属であり、その場合、調節可能なヘアクランプ要素12の残りの部分はプラスチックで製作されてもよく、また、それぞれの対11に含まれている他方のヘアクランプ要素13は全体がプラスチックで製作されてもよいが、このことは、本発明の枠組みの中で他の材料を選択してもよいという事実を変えるものではない。
【0025】
傾斜要素30は支持体17を周囲でクランプするブラケットを備え、示されている例では、傾斜要素30の断面形状は、Uの脚部の両端部が内側に曲がったU形状である。支持体17はリブ31を備え、図4に示すように、傾斜要素30は支持体17上のリブ31の位置に配置されており、支持体17に対してリブ31の長手方向に延在する傾斜軸32を中心に傾斜可能であり、図4において、傾斜軸32を中心にした傾斜要素30の傾斜移動が、傾斜要素30の両側にある2つの湾曲した矢印によって示されている。
【0026】
調節可能なヘアクランプ要素12は、傾斜要素30を支持体17に対する初期設定位置へと付勢するように傾斜要素30に作用する付勢機構40を更に含む。示されている例では、図4に見ることができるように、付勢機構40は、支持体17のリブ31が存在する側が前側と表されるときに後側と表すことのできる支持体17の側に配置される、板ばね41を備え、板ばね41の両端部は、傾斜要素30のU形状の脚部の内側に曲がった両端部と係合し、板ばね41の僅かに湾曲した中間区域は支持体17に接触する。
【0027】
図5及び図6では、支持体17に対する傾斜要素30の初期設定位置に関する2つのオプションが図示されている。図5に示すオプションによれば、支持体17に対する傾斜要素30の初期設定位置は、ツイーザ表面14が長手方向に対して実質的に垂直に延在するように傾斜要素30が方向付けられ、その結果ツイーザ表面14が、程度の差はあれそれぞれの対11に含まれる他方のヘアクランプ要素13のツイーザ表面15と平行になる位置である。図6に示すオプションによれば、支持体17に対する傾斜要素30の初期設定位置は、傾斜要素30が、ツイーザ表面14が傾斜され、それぞれの対11に含まれる他方のヘアクランプ要素13のツイーザ表面15と非平行になるように方向付けられる位置である。実際は、図6に示すオプションによれば、支持体17に対する傾斜要素30の初期設定位置は、示されているように、ツイーザ表面14が調節可能なヘアクランプ要素12の面取りした漏斗表面(beveled funnel surface)18と位置合わせされるように、傾斜要素30が方向付けられる位置であり得る。
【0028】
調節可能なヘアクランプ要素12内の傾斜要素30の存在に基づいて、プロセスにおいてそれぞれの対11に含まれている調節可能なヘアクランプ要素12及び他方のヘアクランプ要素13が互いに向かって移動され、ヘアクランプ要素12、13のツイーザ表面14、15の間で接触が確立されるときに、調節可能なヘアクランプ要素12のツイーザ表面14が他方のヘアクランプ要素13のツイーザ表面15と位置合わせされることが達成される。調節可能なヘアクランプ要素12のツイーザ表面14が実際に押されて他方のヘアクランプ要素13のツイーザ表面15と位置合わせされている状況が、図7及び図8に示されている。ツイーザ表面14、15を互いに対して位置合わせすることは有利であるが、その理由は、位置合わせが正確であるほど、ヘアクランプ要素12、13の対11のヘアクランプ性能が良好になるからである。この点に関して、本発明の手法がなければ、製造公差又は反りなどの要因に起因して、実際にツイーザ表面の位置のずれが生じ得ることが留意される。
【0029】
ツイーザ表面14、15を離れるように移動させると、付勢機構40の作用の影響下で、調節可能なヘアクランプ要素12のツイーザ表面14を初期設定位置に置くことが可能になる。完全を期すために言えば、調節可能なヘアクランプ要素12が付勢機構40を具備していれば有利であること(ただしこのことは必須ではない)に留意されたい。調節可能なヘアクランプ要素12内に付勢機構40が存在すると、実際に、調節可能なヘアクランプ要素12のツイーザ表面14が動作中、それぞれの対11の他方のヘアクランプ要素13のツイーザ表面15への接触の影響下にある位置合わせされた位置と、付勢機構40の作用の影響下にある初期設定位置とに、交互に置かれることが達成される。
【0030】
上記から、本発明に係るヘッドユニットは、ヘアクランプ要素12、13の対11のヘアクランプ要素12、13のツイーザ表面14、15が、それらの間で毛をクランプする目的で、ツイーザ表面14、15が互いに向けて移動されるにつれて、互いに対して漸進的に位置合わせされるようにデザインされることになる。図9は、上述したような機能性の実現を意図したヘッドユニットのデザインの代替のオプションを示す。
【0031】
図9は、本発明の第2の実施形態に係るヘッドユニットに関する。この図には、本発明の第1の実施形態に係るヘッドユニットの傾斜要素30と類似した傾斜要素30の適用が図示されている。傾斜要素30は調節可能なヘアクランプ要素12の支持体17上にやはり傾斜可能となるように配置されるが、このことは支持体17にリブ31を設けることなく異なる様式で達成される。実際には、傾斜要素30が付勢機構40を介して支持体17上でばね付勢される構成となっており、付勢機構40は、支持体17の前側と傾斜要素30の内側表面33との間に配置されている板ばね41を備える。
【0032】
本発明の範囲が上記において検討されている例に限定されず、付属の特許請求の範囲に定義されているような本発明の範囲から逸脱することなくそれらのいくつかの補正及び変更が可能であることが、当業者には明らかであろう。そのような補正及び変更が請求項又はそれらの等価物の範囲内にある限りは、本発明がそれらを全て含むものとして解釈されることが意図されている。本発明について図及び説明において詳しく図示し説明してきたが、そのような図示及び説明は説明的又は例示的なものに過ぎず、制限的ではないと見なすべきである。本発明は開示されている実施形態に限定されない。図面は概略的なものであって、本発明を理解するために必要な詳細が省略されている場合があり、また必ずしも正確な縮尺となっていない場合がある。
【0033】
特許請求される本発明の実施に際して、当業者は、図、説明、及び添付の特許請求の範囲を検討することによって、開示されている実施形態の変形を理解及び実現することができる。請求項において、単語「備える、含む」は他のステップ又は要素を除外せず、単数形は複数を除外しない。請求項におけるいかなる参照符号も、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0034】
特定の実施形態について又はそれと関連して検討される要素及び態様は、そうではないと明示的に述べられていない限りは、他の実施形態の要素及び態様と好適に組み合わされ得る。したがって、特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0035】
用語「備える」及び「含む」は本テキストで使用される場合、用語「から成る」を包含するものとして当業者に理解される。したがって、用語「備える」又は「含む」は、ある実施形態に関して「から成る」を意味する場合があるが、別の実施形態では、「少なくともその明示された種と任意選択的に1つ又は複数の他の種とを包含する/有する/具備する」を意味する場合がある。
【0036】
ツイーザ表面14、15が互いに接触するプロセスにおいて互いと位置合わせされるように移動するよう構成されているとの示唆は、ツイーザ表面14、15の少なくとも一方が、ツイーザ表面14、15の他方との接触のプロセスにおいて、ツイーザ表面14、15の他方との位置合わせを意図した移動を行うように構成されていることを示唆している。この場合、上述した示唆を代わりに妥当に表現すれば、ツイーザ表面14、15を移動させて互いに接触させるときに、それらを互いに対して能動的に位置合わせを行うように構成すること、及び、ツイーザ表面14、15を移動させて互いに接触させるときに、それらを互いに対して位置合わせを行うように移動するよう構成することである。
【0037】
本発明の注目すべき態様は以下のように要約される。脱毛機器のヘッドユニットは、ヘアクランプ要素12、13の対11を少なくとも1つ備え、ヘアクランプ要素12、13は、互いに対面するように配置されたツイーザ表面であって、互いに接触する及び接触が外れるように移動可能となるようそれらの全体が互いに向かって及び互いから離れるように移動可能である、ツイーザ表面14、15を有する。ヘアクランプ要素12、13の対11の少なくとも1つの改善されたヘアクランプ性能を達成するために、ツイーザ表面14、15は、互いに接触するプロセスにおいて互いと位置合わせされるように移動するよう更に構成されており、ヘアクランプ要素12、13の一方12のツイーザ表面14の全体は、それぞれのヘアクランプ要素12に含まれている支持体17に対して傾斜可能である。
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