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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】水路切替機構及び散水装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/14 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
F16K11/14 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023079623
(22)【出願日】2023-05-12
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】202223058687.3
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518436504
【氏名又は名称】厦門松霖科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 逢徳
(72)【発明者】
【氏名】陳 東海
(72)【発明者】
【氏名】曹 斌
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204083300(CN,U)
【文献】中国実用新案第205013826(CN,U)
【文献】特開2009-257390(JP,A)
【文献】特開2009-144925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路切替機構であって、
分水体と、伝動部材と、シール部材とを備え、
前記分水体には、少なくとも2つの吐水路が設けられ、各吐水路に、前記シール部材が前記分水体に対して第1の方向に沿って移動可能にそれぞれ設けられ、それによりシール部材が前記吐水路を開放し、
前記伝動部材は、回転過程に前記シール部材と順次に連動回転状態と相対回転状態になり、
前記伝動部材とシール部材が互いに連動係合し前記分水体に対して連動して回転する前記連動回転状態にある時、
前記分水体とシール部材は、反転嵌合によりシール部材を第1の方向に沿って移動させ、
前記伝動部材とシール部材とが相対的に回転する前記相対回転状態にある時、
前記シール部材は、前記伝動部材との前記連動係合が解除された状態で、前記伝動部材と係合し、前記伝動部材は前記シール部材に対して回転し、前記伝動部材とシール部材は、反転嵌合により第1の方向にシール部材をさらに移動させる
ことを特徴とする水路切替機構。
【請求項2】
水路切替機構であって、
分水体と、伝動部材と、シール部材とを備え、
前記分水体には、少なくとも2つの吐水路が設けられ、各吐水路に、前記シール部材が前記分水体に対して第1の方向に沿って移動可能にそれぞれ設けられ、それによりシール部材が前記吐水路を開放し、
前記伝動部材は、前記シール部材と連動して係合し、前記シール部材を自身の軸線周りに回転させることで、前記分水体に対して回転させ、
前記分水体および前記シール部材は、前記分水体に対する前記シール部材の回転を、前記分水体に対する前記第1の方向に沿った前記シール部材の移動に変換するための、反転嵌合する第1の反転部材および第1の反転嵌合部材を有し、
前記分水体は、さらに、伝動部材とシール部材との連動係合を解除するためのストッパーが設けられ、シール部材をストッパーと位置制限係合するまで回転させた後、伝動部材と相対回転させ、
前記伝動部材と前記シール部材は、前記シール部材に対する前記伝動部材の回転を前記分水体に対する前記第1の方向に沿った前記シール部材の移動に変換するための、反転嵌合する第2の反転部材と第2の反転嵌合部材を有することを特徴とする水路切替機構。
【請求項3】
前記伝動部材及びシール部材の側面に、それぞれ径方向に沿って外向きに突出する第1のボス及び第2のボスが設けられ、前記シール部材が前記吐水路を閉じる位置にある時、前記第1のボス及び前記第2のボスは、同一の水平面上にあることを特徴とする請求項2に記載の水路切替機構。
【請求項4】
前記第1の反転部材は第1のガイド斜面であり、前記第1の反転嵌合部材はシール部材の径方向に沿って外方向に突出するガイドブロックであることを特徴とする請求項3に記載の水路切替機構。
【請求項5】
位置規制部材は、前記第2のボスと位置規制嵌合するための、ガイド斜面の末端に設けられる面であることを特徴とする請求項4に記載の水路切替機構。
【請求項6】
前記第2の反転部材は、前記第1のボスの上面に設けられた第2のガイド斜面であり、前記第2の反転嵌合部材は、前記第2のボスの底面であり、前記シール部材が前記伝動部材との連動係合を解除する時、前記第2のボスの底面と前記第2のガイド斜面の底部とは、同一の水平面上にあることを特徴とする請求項3に記載の水路切替機構。
【請求項7】
前記第1のボスの上面の前記第2のガイド斜面から離れた側は、第3のガイド斜面を備え、前記伝動部材に対する前記シール部材の回転を、前記分水体に対する第2の方向に沿った前記シール部材の移動に変換するように、前記第3のガイド斜面は第2の反転嵌合部材と嵌合し、前記第2の方向は、前記第1の方向の逆方向であることを特徴とする請求項6に記載の水路切替機構。
【請求項8】
前記第3のガイド斜面と第2のガイド斜面は、第1のボスの中心軸線に対して設けられることを特徴とする請求項7に記載の水路切替機構。
【請求項9】
前記シール部材は、前記伝動部材を中心として回転対称に分布されることを特徴とする請求項2に記載の水路切替機構。
【請求項10】
前記シール部材は、バルブ本体と、該バルブ本体の外側に設けられたシールリングと、前記バルブ本体内に接続された復帰ばねとを有する通水弁であり、前記シール部材が前記第1の方向に移動する時、前記復帰ばねに弾性復帰力が蓄積されることを特徴とする請求項2に記載の水路切替機構。
【請求項11】
前記シール部材を収容するチャンバを形成するように、分水体に固定接続される固定座をさらに含み、前記復帰ばねの一端は前記チャンバの上端に接続されて固定端を形成し、他端はバルブ体内まで延びてバルブ体に固定接続されることを特徴とする請求項10に記載の水路切替機構。
【請求項12】
前記チャンバの内径は、前記吐水路の入水口の内径と同じであり、前記バルブ本体は、前記入水口と前記チャンバとを連通する開孔をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の水路切替機構。
【請求項13】
前記伝動部材を回転させるための操作部材を更に有することを特徴とする請求項10に記載の水路切替機構。
【請求項14】
前記操作部材はノブであり、前記ノブは、スナップ及び係止溝によって、分水体に固定接続される固定座の上面に伝動部材の回転方向に沿って回転連結され、且つ伝動部材の軸方向に沿って位置規制されて嵌合することを特徴とする請求項13に記載の水路切替機構。
【請求項15】
前記ノブの固定座の上面に向かう側に弾性位置決めピンが設けられ、前記固定座の上面にノブの回転方向に沿って位置決め溝が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の水路切替機構。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の水路切替機構を備えることを特徴とする散水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は散水装置に関し、特に、散水装置における水路切替機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CN204083300Uに開示された具体的な構造により、従来の水路切替機構は、固定部分と、固定部分に回転可能に接続された回転シャフトとを含んでおり、前記固定部分に複数の分水孔が設けられ、前記分水孔の各々に、固定部分に対して軸方向に移動可能なシール部材が配設され、シール部が移動することにより水路の切替を制御する。複数のシール部材が回転シャフトの軸線の周方向10に配置され、且つ周方向に配置された当該シール部材および回転シャフトが、軸線に沿って配置され、当該回転シャフトの端面に凹溝が凹設され、当該回転シャフトが回転することにより凹溝をシール部材のいずれかに整列させ、該シール部分が凹溝に遊嵌して分水孔を開放することにより、切替が行われる。当該水路切替機構は、軸線に沿った距離が長く、占有スペースが大きく、使用場所が限られ、且つ回転軸端面と固定部とが面接触するため、回転時の摩耗が大きく、摩擦力が大きいという欠点がある。
【0003】
前記した水路切替機構とは違い、CN205013826Uに開示された従来の他の水路切替機構は、当該複数のシール部材が回転シャフトの周囲を囲み、当該シール部材の移動方向が径方向であり、当該回転シャフトにカム機構が設けられ、カム機構の外周面がシール部材に当接することで、シール部材を動かして切替を行う。当該水路切替機構も、シール部材が径方向に移動するため、径方向の距離が長く、占有スペースが大きく、使用場所が限られるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする主な技術的課題は、シール部材が開く過程において、伝動部材とシール部材との間の力の伝動ロスが比較的に少なく、必要な切替力が比較的に小さい水路切替機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した技術的課題を解決するために、本発明は水路切替機構を提供するものであり、分水体と、伝動部材と、シール部材とを備え、前記分水体には、少なくとも2つの吐水路が設けられ、各吐水路に、前記シール部材が前記分水体に対して第1の方向に沿って移動可能にそれぞれ設けられ、それによりシール部材が前記吐水路を開放し、前記伝動部材は、回転過程に前記シール部材と順次に連動回転状態と相対回転状態になり、前記伝動部材とシール部材が連動して回転する状態にある時、前記分水体とシール部材は、反転嵌合によりシール部材を第1の方向に沿って移動させ、前記伝動部材とシール部材とが相対的に回転する状態にある時、前記伝動部材とシール部材は、反転嵌合により第1の方向にシール部をさらに移動させる。
【0006】
本発明はさらに水路切替機構を提供するものであり、分水体と、伝動部材と、シール部材とを備え、前記分水体には、少なくとも2つの吐水路が設けられ、各吐水路に、前記シール部材が前記分水体に対して第1の方向に沿って移動可能にそれぞれ設けられ、それによりシール部材が前記吐水路を開放し、前記伝動部材は、前記シール部材と連動して係合し、前記シール部材を自身の軸線周りに回転させることで、前記分水体に対して回転させ、前記分水体および前記シール部材は、前記分水体に対する前記シールの回転を、前記分水体に対する前記第1の方向に沿った前記シールの移動に変換するための、反転嵌合する第1の反転部材および第1の反転嵌合部材を有し、前記分水体は、さらに、伝動部材とシール部材との連動係合を解除するためのストッパーが設けられ、シール部材をストッパーと位置制限係合するまで回転させた後、伝動部材と相対回転させ、前記伝動部材と前記シール部材は、前記シール部材に対する前記伝動部材の回転を前記分水体に対する前記第1の方向に沿った前記シール部材の移動に変換するための、反転嵌合する第2の反転部材と第2の反転嵌合部材を有する。
【0007】
好ましい実施態様において、前記伝動部材及びシール部材の側面に、それぞれ径方向に沿って外向きに突出する第1のボス及び第2のボスが設けられ、前記シール部材が前記吐水路を閉じる位置にある時、前記第1のボス及び前記第2のボスは、同一の水平面上にある。
【0008】
好ましい実施態様において、前記第1の反転部材は第1のガイド斜面であり、前記第1の反転嵌合部材はシール部材の径方向に沿って外方向に突出するガイドブロックである。
【0009】
好ましい実施態様において、前記位置規制部材は、前記第2のボスと位置規制嵌合するための、ガイド斜面の末端に設けられる面である。
【0010】
好ましい実施態様において、前記第2の反転部材は、前記第1のボスの上面に設けられた第2のガイド斜面であり、前記第2の反転嵌合部材は、前記第2のボスの底面であり、前記シール部材が前記伝動部材との連動係合を解除する時、前記第2のボスの底面と前記第2のガイド斜面の底部とは、同一の水平面上にある。
【0011】
好ましい実施態様において、前記第1のボスの上面の前記第2のガイド斜面から離れた側は、第3のガイド斜面を備え、前記伝動部材に対する前記シール部材の回転を、前記分水体に対する第2の方向に沿った前記シール部材の移動に変換するように、前記第3のガイド斜面は、第2の変換嵌合部材と嵌合し、前記第2の方向は、前記第1の方向の逆方向である。
【0012】
好ましい実施態様において、前記第3のガイド斜面と第2のガイド斜面は、第1のボスの中心軸線に対して設けられる。
【0013】
好ましい実施態様において、前記シール部材は、前記伝動部材を中心として回転対称に分布される。
【0014】
好ましい実施態様において、前記シール部材は、バルブ本体と、該バルブ本体の外側に設けられたシールリングと、前記バルブ本体内に接続された復帰ばねとを有する通水弁であり、前記シール部材が前記第1の方向に移動する時、前記復帰ばねに弾性復帰力が蓄積される。
【0015】
好ましい実施態様において、前記シール部材を収容するチャンバを形成するように、分水体に固定接続される固定座をさらに含み、前記復帰ばねの一端は前記チャンバの上端に接続されて固定端を形成し、他端はバルブ体内まで延びてバルブ体に固定接続される。
【0016】
好ましい実施態様において、前記チャンバの内径は、前記吐水路の入水口の内径と同じであり、前記バルブ本体は、前記入水口と前記チャンバとを連通する開孔をさらに有する。
【0017】
好ましい実施態様において、前記伝動部材を回転させるための操作部材を更に有する。
【0018】
好ましい実施態様において、前記操作部材は、ノブであり、前記ノブは、スナップ及び係止溝によって前記固定座の上面に伝動部材の回転方向に沿って回転連結され、且つ伝動部材の軸方向に沿って位置規制されて嵌合する。
【0019】
好ましい実施態様において、前記ノブの固定座の上面に向かう側に弾性位置決めピンが設けられ、前記固定座の上面にノブの回転方向に沿って位置決め溝が設けられている。
【0020】
本発明はさらに散水装置を提供するものであり、前記した水路切替機構を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明の技術的解決策は、先行技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0022】
本発明は水路切替機構を提供し、伝動部材は、まずシール部材を共に回転させ、回転中、シール部材と分水体の反転嵌合によりシール部材を第1の方向に沿って一定距離移動させる。その後、シール部材と伝動部材との連動解除が相対運動に変わり、相対運動の過程にシール部材と伝動部材との反転嵌合により、シール部材が引き続き第1の方向に沿って所定距離移動し、これによりシール部材が吐水路の開口を完全に開放することが実現される。このとき、シール部材の第1の方向への移動を2段階に分け、第1段階に伝動部材がシール部材を共に回転させ、トルクが比較的に大きく、操作力が比較的に小さく、操作感がよい。さらに、伝動部材がシール部材を共に回転することも、伝動過程における力の伝動ロスを低減することができ、操作に必要な力の大きさをさらに低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の好ましい実施例1における水路切替機構の斜視図である。
図2】本発明の好ましい実施例1における水路切替機構の平面図である。
図3図2のA-A方向の断面図である。
図4図2のB-B方向の断面図である。
図5】本発明の好ましい実施例1における水路切替機構の分解図である。
図6】本発明の好ましい実施例における伝動部材とシール部材との嵌合斜視図である。
図7】本発明の好ましい実施例1における伝動部材の斜視図である。
図8】本発明の好ましい実施例1におけるシール部材の斜視図である。
図9】本発明の好ましい実施例1におけるノブの模式図である。
図10】本発明の好ましい実施例1におけるシール部材2が開放状態となった平面図である。
図11】本発明の好ましい実施例1におけるシール2が開放状態となった水路図である。
図12】本発明の好ましい実施例1におけるシール部材1が開放状態となった平面図である。
図13図12に示す状態におけるシール部材2が閉鎖状態となった断面図である。
図14図12に示す状態におけるシール部材1が開放状態となった断面図である。
図15】本発明の好ましい実施例1におけるシール部材3が開放状態となった平面図である。
図16】~
図17図15に示す状態におけるシール部材2が閉鎖状態、シール部材3が開放状態となった断面図である。
図18】本発明の好ましい実施例2におけるシャワーヘッドの分解図である。
図19】本発明の好ましい実施例2におけるシール部材2が開放された時のシャワーヘッドの内部の水路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決策を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明された実施例が本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではなく、本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的労働を作らない前提で獲得した全ての他の実施例も本発明の保護範囲に属する。
【0025】
本発明の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」、「頂部/底部」などの用語によって示される位置または位置関係は添付図面に示される位置または位置関係に基づくものであり、単に本発明の説明を容易にするためのものであり、示される装置または要素が特定の位置、および特定の位置における構成、動作を有しなければならないことを明示または暗示するものではなく、したがって、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、「第1の」、「第2の」という用語は、目的を説明するために過ぎなく、相対的な重要性を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。本発明の説明において、特に明記し、限定するものでない限り、「装着」、「設置」、「セット/接続」、「接続」等の用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、「接続」は、壁掛け接続でも、着脱可能な接続でも、一体的な接続でも、機械的な接続でも、電気的な接続でも、直接的な接続でも、介在物を介して間接的に接続されても、2つの素子の内部連通でもよく、当業者であれば、本発明における前記用語の具体的な意味を具体的に理解することができる。
【0026】
<実施例1>
図1図9を参照すると、本発明が提供する水路切替機構1は、分水体2と、伝動部材3と、シール部材4とを備える。前記分水体2には、三つの吐水路21が設けられており、各吐水路21には、前記分水体2に対して第1の方向に沿って移動可能な前記シール部材4がそれぞれ設けられ、それによりシール部材4が前記吐水路21を開放する。本実施例において、前記シール部材4は、伝動部材3を中心として回転対称に分布している。このように、伝動部材3が回転するとき、3つのシール部材4のうちの1つと伝動部材3は、回転過程において、シール部材4と順次に連動回転状態と相対回転状態にあり、前記伝動部材3とシール部材4が連動して回転する状態にある時、前記分水体2とシール部材4は、反転嵌合によりシール部材4を第1の方向に沿って移動させる。伝動部材3とシール部材4とが相対的に回転している状態では、伝動部材3とシール部材4とは、反転嵌合によりシール部材4を第1の方向にさらに移動させる。これにより、3つの吐水路21のうちの1つを開放させ、残りの2つを閉鎖させることを実現する。伝動部材3が更に回転すると、開かれたシール部材4は再び復帰し、もう1つのシール部材4が伝動部材3と協働してもう1つの吐水路21を開くことにより、水路の切替が繰り返される。
【0027】
本実施形態では、前記第1の方向は、シール部材4の軸方向に沿って分水体2から離れる方向に移動する方向である。本実施形態の簡単な代替として、第1の方向は、シール部材4の軸方向と角度をなしてもよく、シール部材4を分水体2から離れる方向に移動させて吐水路21を開くことができればよい。また、吐水路21の個数も実際の需要に応じて増加又は減少してもよく、いずれも本実施例の単なる代替例である。
【0028】
具体的には、初期状態にあるシール部材4を例として、即ちこのシール部材4に対応する吐水路21は閉鎖状態にある。前記伝動部材3が回転を開始すると、前記シール部材4は、前記伝動部材3と連動して係合して自身の軸周りに回転することで、分水体2に対して回転する。前記分水体2とシール部材4は、分水体2に対するシール部材4の回転を、分水体2に対する第1の方向に沿ったシール部材4の移動に反転させるための、反転嵌合する第1の反転部材22と第1の反転嵌合部材41を有する。この時、吐水路21が既に開放されているが、シール部材4の分水体2に対する第1の方向における移動距離が限られるため、この吐水路21の流量はまだ小さい。前記分水体2には、さらに、伝動部材3とシール部材4との連動係合を解除するためのストッパー23が設けられ、シール部材4がストッパー23と係合するまで回転した後、伝動部材3とシール部材4とが相対的に回転する。前記伝動部材3と前記シール部材4は、伝動部材3に対するシール部材4の回転を分水体2に対する第1の方向に沿ったシール部材4の移動に変換するための、反転嵌合する第2の反転部材31と第2の反転嵌合部材42を有する。これにより、該シール部材4の対応する吐水路21が完全に開放され、該吐水路21の流量が最大となる。
【0029】
前記水路切替装置1において、まず、伝動部材3がシール部材4を共に回転させ、回転中にシール部材4と分水体2との反転嵌合によりシール部材4を第1の方向に沿って所定距離移動させる。その後、シール部材4と伝動部材3との連動係合が解除されて相対運動に変換し、相対運動の過程でシール部材4と伝動部材3との反転嵌合により、シール部材4が第1の方向に沿ってさらに所定距離移動し、これによりシール部材4が吐水路21の開口を完全に開放することが実現される。このとき、シール部材4の第1の方向への移動を2段階に分け、第1段目に伝動部材3がシール部材4を回転させ、大きなトルクが必要とされ、操作力が小さく、操作感がよい。さらに、伝動部材3がシール部材4を共に回転させることも、力の伝動ロスを低減することができ、操作に必要な力の大きさをさらに低減することができる。
【0030】
伝動部材3とシール部材4とを共に回転させるために、前記伝動部材3及び前記シール部材4の側面に、それぞれ半径方向外向きに突出する第1のボス32及び第2のボス43が設けられる。前記シール部材4が初期位置にあるとき、前記第1のボス32と第2のボス43とは、同一水平面上にある。これにより、伝動部材3が回転すると、第1のボス32及び第2のボス43が当接して、回転方向の力を発生し、シール部材4を共に回転させる。なお、伝動部材の軸線から第2のボス43の外側までの距離をL1、第2のボス43の外側からシール部材の軸線までの距離をL2とし、L1とL2を調整することにより、切換力の値と移動のストロークを調整することができる。L1/L2の値が小さいほど、切換力は軽くなるが、ロータの回転角度のストロークが長くなる。
【0031】
反転作用を実現するために、第1の反転部材22は第1のガイド斜面であり、第1の反転嵌合部材41はシール部材4の半径方向外側に突出するガイドブロックである。これにより、シール部材4の回転中に、ガイドブロックが第1のガイド斜面に沿って基端側から先端側に移動し、シール部材4の全体を所定の高さだけ持ち上げる目的を実現する。また、ガイド斜面の先端すなわち末端は平坦面、すなわち直角三角形の直角辺を成し、この直角辺を前記ストッパー23として、前記第2のボス43は、ガイドブロックが第1のガイド斜面に沿って下端から上昇する過程において、前記平坦面に当接する位置まで移動し、シール部材4を現在の回転方向に伝動部材3との連動係合を解除することができる。
【0032】
シール部材4と伝動部材3との連動係合が解除された後、第2の反転部材31と第2の反転嵌合部材42によりシール部材4をさらに持ち上げる。そこで、本実施例では、前記シール部材4と伝動部材3との連動係合が解除されたときに、前記第2のボス43の底面と第2のガイド斜面の底部とが同一水平面上に位置するように、前記第1のボス32の高さを設計する。これにより、前記第2の反転部材31は第1のボス32の上面に設けられた第2のガイド斜面となり、前記第2の反転嵌合部材42は第2のボス43の底面となる。伝動部材3とシール部材4とが相対回転すると、第2のボス43の底面が第2のガイド斜面に沿って下から上に移動し、シール部材4を第1の方向にさらに移動させる。
【0033】
以上の構成により、シール部材4を第1の方向に移動させて吐水路21を開放する目的を完全に実現することができる。しかし、水路の切替は、1つの水路を開くことに加えて、1つの水路を閉じることによって行われる。したがって、シール部材4を第1の方向に移動させた後、逆方向に復帰させる構成が必要となる。
【0034】
このために、前記第1のボス32の上面の第2のガイド斜面から離れた側は、第1のボス32の中心軸に対して第2のガイド斜面34と対称に設けられた第3のガイド斜面33が備える。したがって、伝動部材3がシール部材4に対してさらに回転すると、第3のガイド斜面33は、第2の反転嵌合部材42と協働して、伝動部材3に対するシール部材4の回転を、分水体2に対する第2の方向に沿ったシール部材4の移動に変換する。前記第2の方向は、第1の方向の逆方向である。この時、シール部材4の第1段階の落下が完了する。その後、第2段階の落下を完成するために、シール部材4は第1のガイド斜面に沿って回転し、元の位置に復帰するまでは外力を加えて落下させる必要がある。
【0035】
この外力を提供するために、前記シール部材4は、バルブ本体44と、前記バルブ本体44の外側に設けられたシールリング45と、前記バルブ本体44に連結された復帰ばね46とを有する通水バルブである。復帰ばね46は、シール部材4が第1の方向に移動する際に弾性復帰力を蓄積する。シール部材4が下方に落下すると、復帰ばね46がバルブ本体44に弾性復帰力を加え、ガイドブロックを第1のガイド斜面に沿って移動させる。このとき、シール部材4の移動は、第2の方向の移動に加えて、伝動部材3と連動する際の回転方向とは逆方向のシール部材4自身の軸周りの回転を伴うので、シール部材4は軸方向及び軸周りの両方向の復帰が完了する。前記シールリング45は、OリングまたはYリング、または従来技術の他のタイプのシールリング45であってもよい。
【0036】
本実施例では、前記シール部材4を取り付けるために、さらに固定座5を備える。前記固定座5は分水体2に固定接続されて、前記シール部材4を収容するチャンバ51を形成する。前記復帰ばね46の一端は前記チャンバ51の上端に接続されて固定端を形成し、他端はバルブ本体44内に延びて固定接続される。
【0037】
水路切替時の手触りをさらに改善するために、前記チャンバ51の内径S1は、前記吐水路21の入水口内径S2と同じである。前記バルブ本体44は、前記水入口とチャンバ51とを連通する開口441をさらに有する。開口441は、吐水路21の水をチャンバ51に導くためのものであり、バルブ本体44の下端が、入口の水圧F1によって上方に付勢されている。バルブ本体44の上端は、チャンバ51内の水圧F2によって下方に付勢されている。前記チャンバ51の内径は、前記吐水路21の給水口の内径と同じに形成されているため、F1とF2とは同じ大きさであり、向きが逆である。これにより、バルブ本体44は、開状態でも閉鎖状態でも水圧が釣り合った状態となる。水圧に対抗する力が不要となり、スイッチ操作に要する力をさらに低減し、スイッチの手触りを向上させることができる。
【0038】
本実施例は、ユーザが力を加えて伝動部材3を回転させやすいように、前記伝動部材3を回転させるための操作部材6をさらに含む。具体的には、前記操作部材6は、ノブであり、スナップ及び係止溝を介して前記固定座5の上面に伝動部材3の回転方向に沿って回転連結され、且つ伝動部材3の軸方向に沿って位置制限嵌合される。なお、伝動体3の回転操作は、ノブ以外にも、ダイヤル、プッシュ、押しボタン等の通常の操作手段を用いて行うことができる。
【0039】
前記固定座5は、伝動部材3のDリブ34が貫通する開口53を有し、ノブと伝動部材3のDリブ34が固定連結されて連動係合を形成することができる。組み立ての際、ノブのD溝62と伝動部材3のDリブ34を合わせて、ノブの係止溝63が固定座5のスナップ54に係合するまで挿入すればよい。
【0040】
また、水路の切替を行う際に、ユーザが明確な感覚を持ち易いように、前記回転ノブの固定座5の上面への一側には、弾性位置決めピン61が設けられ、前記固定座5の上面には、回転ノブの回転方向に沿って位置決め溝52が設けられている。また、吐水路21の切替を行う度に、弾性位置決めピン61が一つの位置決め溝52に移動し、弾性位置決めピン61のバネ解除により、ピンが位置決め溝52に衝突して音が発生し、使用者に報知する。
【0041】
図10図17を参照して、3つのシール部材4の水路状態を完全に説明する。区別するために、3つのシール部材をそれぞれシール部材1、シール部材2、シール部材3と呼び、対応する吐水路をそれぞれ水路1、水路2、水路3とする。第1のボス32は、伝動部材3に2つ設けられており、2つの第1のボス32の間の角度は180°である。
【0042】
図10に示す初期状態では、一方の第1のボス32がシール部材2と協働してシール部材2を開放し、他方の第1のボス32がシール部材1とシール3部材との間に位置している。従って、シール部材1とシール部材3は閉鎖状態にあり、このとき水路2は開放され、水路1は閉鎖される。さらに伝動部材3を回転させた後、シール部材10と嵌合していた第1のボス32がシール部材2から離脱し、シール部材2とシール部材3との間に移動する。シール部材2は初期位置に復帰して水路2を閉鎖し、元々シール部材1とシール部材3との間にあった第1のボス32が移動してシール部材1と係合し、水路1が開放され、水路2と水路3が閉鎖状態となる。同様に、伝動部材3を更に回転させた後、シール部材と係合していた第1のボス32がシール部材1から離れ、シール部材1が元の位置に落下して水路1を閉じるが、元々シール部材2とシール部材3の間にあった第1のボス32が移動してシール部材3と係合し、水路3を開放して、水路1と水路2が閉鎖状態となる。
【0043】
<実施例2>
図18及び図19を参照すると、本実施例では、実施例1で述べた水路切替機構1を組み込んだシャワーヘッドが提供される。ノブはシャワー本体7の背部に設けられ、水路切替機構1はシャワー本体7内に設けられ、水路切替機構1の水流方向下方には、異なる吐水路21に対応して設けられた斜水孔81を有する斜水体8が設置されている。斜水体8の流水方向下方には、散水面カバー9と飾りカバー91とが設けられている。
【0044】
本実施例では手持ち式シャワーヘッドを例としたが、トップシャワーヘッドまたはキッチンシャワーヘッド等の他の散水機構にも前記の水路切替機構1を用いることができ、取付位置と操作原理は本実施例と類似しており、ここではこれ以上の例を示さない。
【0045】
以上のように、本発明の好ましい具体的な実施形態のみを説明したが、本発明の設計思想は、これに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の開示技術範囲内において、この思想を利用して本発明に非実質的な変更を加え、いずれも本発明の保護範囲を侵す行為に属する。
【要約】      (修正有)
【課題】切替力の小さい水路切替機構を提供する。
【解決手段】水路切替機構は、分水体2と、伝動部材3と、シール部材4とを備え、分水体2には、少なくとも2つの吐水路21が設けられ、各吐水路21に、シール部材4が分水体2に対して第1の方向に沿って移動可能にそれぞれ設けられ、それによりシール部材4が吐水路21を開放し、伝動部材3は、回転過程にシール部材4と順次に連動回転状態と相対回転状態になり、伝動部材3とシール部材4が連動して回転する状態にある時、分水体2とシール部材4は、反転嵌合によりシール部材4を第1の方向に沿って移動させ、伝動部材3とシール部材4とが相対的に回転する状態にある時、伝動部材3とシール部材4は、反転嵌合により第1の方向にシール部材4をさらに移動させる。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19