(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ポリジオルガノシロキサンの調製
(51)【国際特許分類】
C08G 77/08 20060101AFI20240510BHJP
C08G 77/16 20060101ALI20240510BHJP
C08G 77/18 20060101ALI20240510BHJP
C08L 83/06 20060101ALI20240510BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240510BHJP
【FI】
C08G77/08
C08G77/16
C08G77/18
C08L83/06
C08K3/013
(21)【出願番号】P 2023513187
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 CN2020112411
(87)【国際公開番号】W WO2022041180
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-03-15
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シュイェン
(72)【発明者】
【氏名】ポン、ジャン
(72)【発明者】
【氏名】グオ、イー
(72)【発明者】
【氏名】フー、チャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、マイケル エイチ.
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-096163(JP,A)
【文献】国際公開第2008/053875(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00-77/62
C08L 83/00-83/16
C08K 3/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセスであって、
工程(i)であって、前記シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を、構造
(R
2-O)
(4-b)-Si-R
1
b
(式中、bは、0、1、又は2であり、R
2は、1~15個の炭素を有する、直鎖又は分枝鎖であってもよいアルキル基であり、R
1は、任意の好適な基、すなわち、R
2、シクロアルキル基などの、一価炭化水素基;アルケニル基、アリール基;アラルキル基、アミノアルキル基、(メタ)アクリレート基、グリシジルエーテル基、及び前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基であってもよい)の1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質(複数可)と、
塩基性末端封鎖触媒出発物質の存在下で反応させる、工程(i)と、工程(i)に引き続く、
工程(ii)であって、
8~26個の炭素を有する1つ以上の脂肪酸;
1~10個の炭素を有するアルカンスルホン酸;
酸性ヒュームドシリカ、及び/若しくは
1つ以上の酸性液体ポリブタジエン、又はそれらの混合物から選択される酸性安定化剤/中和剤を添加する、工程(ii)と、を含み、
前記塩基性末端封鎖触媒は、前記出発物質を含む組成物の0.0005~0.75重量%の量の、少なくとも1つ
のグアニジン基
、及び/若しくは前記グアニジン基の誘導
体を含む1つ以上の直鎖状、分枝状又は環状分子からなる、プロセス。
【請求項2】
前記末端封鎖触媒中の前
記グアニジン基(複数可)は、以下に示される基(1)
及び(4):
【化1】
(式中、各R
4、R
5、R
6
、及びR
8は、同じであっても異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基から選択されてもよいか、又は代替的に、R
4及びR
5、若しくはR
6及びR
5
、若しくはR
8及びR
4は、環構造を形成するために任意選択的に不均一に置換されたアルキレン基を形成してもよく、前記不均一な置換は、酸素原子又は窒素原子による)のうちの1つを含有するケイ素含有分子又は有機分子から選択される、請求項1に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項3】
前記末端封鎖触媒は、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、
トリアザビシクロデセン(1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、
及び/又は
7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エ
ンから選択される、請求項1に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項4】
前記安定化剤/中和剤は、
10~20個の炭素を有する1つ以上の脂肪酸;
1~10個の炭素を有するアルカンスルホン酸;
酸性ヒュームドシリカ、及び/若しくは
1つ以上の官能化液体ポリブタジエン無水物、又はそれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項5】
前記安定化剤/中和剤は、オレイン酸、酸性ヒュームドシリカ、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布した無水コハク酸基を有する低分子量1,4-シスポリブタジエンの無水マレイン酸付加物、又はそれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項6】
前記安定化剤/中和剤の前記酸性ヒュームドシリカは、自身を添加前に疎水性にするために前処理されるか又は前処理されないかのいずれかである、請求項1又は2に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項7】
前記酸性安定化剤/中和剤の添加の導入後、工程(ii)で得られたアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンは、使用前に最長で12か月の期間にわたり貯蔵される、請求項1又は2に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項8】
前記1つ以上のポリアルコキシシラン(複数可)が過剰に提供されて、未反応ポリアルコキシシラン(aii)が、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物を製造するために利用される場合に、前記未反応ポリアルコキシシラン(aii)は、架橋剤として機能するために利用可能である、請求項1又は2に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発材料からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項9】
前記アルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンは、次の成分、
(a)請求項1~8のいずれか一項に従って調製された、工程(ii)で得られたアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン;
(b)充填剤;
(d)縮合硬化性触媒;並びに任意選択的に、
(c)架橋剤;及び/又は(e)接着促進剤を混合することによって、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物中の成分としてその後使用される、請求項1に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項10】
工程(ii)は、前記工程(i)の後に行われ、前記安定化剤/中和剤は、前記出発物質を含む組成物の0.05~2.5重量重量%の量で、工程(i)で得られたアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーに添加される、請求項1又は2のいずれか一項に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項11】
工程(ii)は、前記オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の前記調製中に行われ、前記安定化剤/中和剤は、前記出発物質を含む組成物の0.05~2.5重量重量%の量で添加される、請求項9に記載のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセス。
【請求項12】
ファサード、断熱ガラス、窓建築、自動車、ソーラー技術、及び建設分野におけるシーラントにおける、請求項1~8又は10のいずれか一項に従って調製されたアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラノール末端ポリジオルガノシロキサンを末端封鎖することによって調製されるアルコキシ末端封鎖ジオルガノポリシロキサンの調製のためのプロセスであって、アルコキシ末端基を有するジオルガノポリシロキサンが数か月の長期間にわたって安定化され得るプロセス、に関する。本発明はまた、水分が存在しない環境下で貯蔵安定性であり、周囲温度で大気中水分により架橋されるオルガノポリシロキサンエラストマー組成物の必須成分の1つとしての、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンの使用に関する。
【0002】
アルコキシ末端基を有するジオルガノポリシロキサンポリマーの調製のためのいくつかの経路が当該技術分野において知られている。アルコキシ末端基を有するジオルガノポリシロキサンポリマーは、末端封鎖触媒の存在下で、ジ-、トリ-、又はテトラアルコキシシラン(ポリアルコキシシラン)を、シラノール末端ジオルガノポリシロキサンポリマーと反応させることによって調製され得ることが当該技術分野において知られている。
【0003】
この反応は予想されるほど簡単ではない。実際、シラノール基は、末端封鎖触媒が存在しない環境下では、周囲温度でアルコキシシラン基と容易に反応しない。この目的に好適な触媒として多種多様な化合物が提案されてきた。そのいくつか、例えば、硫酸、塩酸、ルイス酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムは、化学的に過酷であり、シラノールとアルコキシシランとの縮合に関与する場合、結合切断及びランダム転位を引き起こすことが判明している。アミン、無機酸化物、酢酸カリウム、チタン/アミンの組み合せ、カルボン酸/アミンの組み合せ、アルコキシアルミニウムキレート、N,N’-二置換ヒドロキシルアミン、カルバメート、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、及びオキシム含有有機化合物を含む、好適な末端封鎖触媒として提案されている他の化合物は、様々な理由で望ましくない。例えば、アミン触媒系は、特にプロセスに関与する多くのアルコキシシランの反応性のレベルを考えると、遅い。更に、アミン及びカルボン酸触媒は、腐食性であり、反応が所望の完了状態まで進行すると、特別な取り扱い及び除去プロセスを必要とする。水酸化リチウムは無機固体であるが、それを溶液として反応に導入するためには、メタノールなどの極性溶媒を必要とする。しかしながら、メタノールの存在は、例えば、リチウムメトキシドの形態の触媒の連続的な再生成をもたらし、その結果、得られるポリマー生成物は、再生成されたリチウム触媒との相互作用のために、その粘度が急速に低下する。更に、これらの触媒の多くは不快な臭気を放出する可能性があり、目及び皮膚には危険であり、それらの除去はしばしば困難であり、面倒で費用のかかる余分な工程を必要とする。
【0004】
チタンテトライソプロピオネートなどの有機チタン触媒は、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーの調製のための末端封鎖触媒として使用することが以前に検討されてきたが、それらはシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質と錯体を形成し、ポリマーマトリックスの著しい増粘をもたらす。このチタン-ケイ素錯体形成は可逆的であるが、粘稠相を細かくするために高剪断混合を必要とし、これは追加のコスト及び時間を必要とするため、当該産業にとって望ましくない。
【0005】
また、末端封鎖触媒を除去することができないことは、例えば、架橋又はポリマー成長又はポリマー鎖切断(時には硬化前戻りと呼ばれる)によるゲル化のために、ポリマー反応生成物又はポリマーを含有する組成物の貯蔵安定性に有害であり得る。更に、アミン末端封鎖触媒のいくつかを完全に除去することができないことは、ポリマー反応生成物の貯蔵中、又はその後に調製されるシーラント、接着剤、コーキング組成物など及び/若しくは硬化する際のそれらのそれぞれのエラストマー生成物の貯蔵中のいずれかにおいて、変色をもたらし得る。
【0006】
したがって、従来技術の欠点を有さない末端封鎖触媒を使用して、シラノール末端ポリジオルガノシロキサンを末端封鎖することによって、粘度安定性アルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーを製造するためのプロセスが依然として必要とされている。
【0007】
本明細書において提供されるのは、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質からアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンを調製するプロセスであって、-
工程(i)であって、当該シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を、構造
(R2-O)(4-b)-Si-R1
b
(式中、bは、0、1、又は2であり、R2は、1~15個の炭素を有する、直鎖又は分枝鎖であってもよいアルキル基であり、R1は、任意の好適な基、すなわち、R2、シクロアルキル基などの、一価炭化水素基;アルケニル基、アリール基;アラルキル基、アミノアルキル基、(メタ)アクリレート基、グリシジルエーテル基、及び前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基であってもよい)の1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質(複数可)と、
塩基性末端封鎖触媒出発物質の存在下で、反応させる、工程(i)と、工程(i)に引き続く、
工程(ii)であって、
8~26個の炭素を有する1つ以上の脂肪酸;
1~10個の炭素を有するアルカンスルホン酸;
酸性ヒュームドシリカ、及び/若しくは
1つ以上の酸性液体ポリブタジエン、又はそれらの混合物から選択される酸性安定化剤/中和剤を添加する、工程(ii)と、を含む、プロセスである。
【0008】
本明細書でまた提供されるのは、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーであって、
工程(i)であって、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を、構造
(R2-O)(4-b)-Si-R1
b
(式中、bは、0、1、又は2であり、R2は、1~15個の炭素を有する、直鎖又は分枝鎖であってもよいアルキル基であり、R1は、任意の好適な基、すなわち、R2、シクロアルキル基などの、一価炭化水素基;アルケニル基、アリール基;アラルキル基、アミノアルキル基、(メタ)アクリレート基、グリシジルエーテル基、及び前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基であってもよい)の1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質(複数可)と、
塩基性末端封鎖触媒出発物質(複数可)の存在下で、反応させる、工程(i)と、工程(i)に引き続く、
工程(ii)であって、
8~26個の炭素を有する1つ以上の脂肪酸、
1~10個の炭素を有するアルカンスルホン酸、
酸性ヒュームドシリカ、及び/若しくは1つ以上の
酸性液体ポリブタジエン、又はそれらの混合物から選択される酸性安定化剤/中和剤を添加する、工程(ii)と、によって得ることが可能であるか又は得られる、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーである。
【0009】
本明細書ではまた、上述のようにシラノール末端ポリジオルガノシロキサンからアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンを調製し、次に、以下の成分:
(a)本明細書に記載のプロセスによって得られる当該アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー;
(b)充填剤;
(d)縮合触媒;並びに任意選択的に、
(e)接着促進剤、及び/又は
(c)架橋剤を一緒に混合することによってオルガノポリシロキサンエラストマー組成物を調製するためのプロセスも提供される。
【0010】
また、本明細書に記載されるプロセスによって調製されるアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマーを、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の調製におけるポリマーとして使用することも提供される。
【0011】
シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質は、1分子当たり少なくとも2個のシラノール基を有し、次式を有してもよい:
(HO)3-nRnSi-(Z)d-(O)q-(RySiO(4-y)/2)z-(SiR2-Z)d-Si-Rn(OH)3-n (1)
(式中、各Rは、アルキル基、アルケニル基又はアリール基であり、Zは、二価有機基であり;
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり、nは、0、1又は2であり、yは、0、1、又は2であり、zは、当該オルガノポリシロキサンポリマー出発物質が、スピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa・sの範囲の粘度用に設計された)を備えたBrookfield(登録商標)回転粘度計を使用し、ポリマー粘度に応じて速度を適合させて測定して、25℃で1,000~100,000mPa・s、あるいは25℃で5,000~90,000mPa・sの粘度を有するような整数である)。
【0012】
典型的には、上記において、dは、0であり、qは、1であり、かつnは、1若しくは2であるか、あるいはnは、2である。このような場合、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質は、以下の構造を有する:
(HO)3-nRnSi-O-(RySiO(4-y)/2)z-Si-Rn(OH)3-n
R、y及びzが上記の通りである場合、yの平均値は、約2であり、すなわち、シラノール末端ポリマーは、実質的に(すなわち、90%超が、あるいは97%超が)直鎖である。
【0013】
各Rは、アルキル基、あるいは1~10個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはメチル又はエチル基;アルケニル基、あるいは2~10個の炭素原子、あるいはビニル基、アリル基、及びヘキセニル基などの2~6個の炭素原子を有するアルケニル基;芳香族基、あるいは6~20個の炭素原子を有する芳香族基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などの置換脂肪族有機基 アミノアルキル基、ポリアミノアルキル基、及び/又はエポキシアルキル基、から個別に選択される。
【0014】
各Zは、独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。一代替例では、各Zは、独立して、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基から選択され、更なる代替例では、各Zは、独立して、2~4個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。各アルキレン基は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、及び/又はヘキシレン基から個別に選択され得る。しかしながら、先に示したように、本例では、dは、通常0(ゼロ)である。
【0015】
シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質は、スピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa・sの範囲の粘度用に設計された)を備えたBrookfield(登録商標)回転粘度計を使用し、ポリマー粘度に応じて速度を適合させて測定して、25℃で1,000~100,000mPa・sの粘度を有する、あるいは25℃で5,000~90,000mPa・sの粘土を有するため、zは、上記のような粘度を可能にする整数であるか、あるいはzは、200~5000の整数である。
【0016】
シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質は、式(1)によって表される単一のシロキサンであり得るか、又は上記の式によって表されるポリジオルガノシロキサンポリマーの混合物であり得る。したがって、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質に関する「シロキサンポリマー混合物」という用語は、任意の個々のポリジオルガノシロキサンポリマー出発物質又はポリジオルガノシロキサンポリマー出発物質の混合物を含むことを意味する。
【0017】
重合度(Degree of Polymerization、DP)(すなわち、実質的に上記式におけるz)は、通常、シリコーンの巨大分子、ポリマー分子、又はオリゴマー分子中のモノマー単位の数として定義される。合成ポリマーは、異なる重合度を有する巨大分子種、したがって異なる分子量を有する巨大分子種の混合物から本質的になる。異なるタイプの平均ポリマー分子量が存在し、それらは異なる実験で測定することができる。2つの最重要のものは、数平均分子量(number average molecular weight、Mn)及び重量平均分子量(weight average molecular weight、Mw)である。シリコーンポリマーのMn及びMwは、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel permeation chromatography、GPC)によって、約10~15%の精度で測定することができる。この技術は標準的であり、Mw、Mn、及び多分散指数(polydispersity index、PI)が得られる。重合度(DP)=Mn/Muであり、式中、Mnは、GPC測定からの数平均分子量であり、Muは、モノマー単位の分子量である。PI=Mw/Mnである。DPは、Mwによりポリマーの粘度に関連し、DPが高くなるほど粘度が高くなる。
【0018】
本プロセスの工程(i)では、上記のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を、構造:
(R2-O)(4-b)-Si-R1
b
(式中、bは、0、1、又は2、あるいは0又は1であり;R2は、1~15個の炭素、1~10個の炭素、あるいは1~6個の炭素を有するアルキル基であり、直鎖又は分枝鎖の、例えば、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、t-ブチル、ペンチル、及びヘキシルであってもよく、あるいはメチル又はエチルであってもよく、あるいはR2は、メチル基であってもよい)の1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質(複数可)と反応させる。R1は、任意の好適な基、すなわち、R2などの一価炭化水素基であってもよく、これは置換されていても置換されていなくてもよく、例えば、フッ素及び塩素などのハロゲンによって置換されてもよく、例えば、トリフルオロプロピル及び/又はペルフルオロプロピル;シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル);アルケニル基(例えば、ビニル及びアリル);アリール基(例えば、フェニル及びトリル);アラルキル基(例えば、2-フェニルエチル)、並びに前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンにより置き換えることにより得られた基であってもよい。一実施形態では、R1は、ビニル基、メチル基、又はエチル基、あるいはビニル基又はメチル基、あるいはメチル基であってもよい。bが0又は1である場合、これはポリアルコキシシランが4個又は3個のいずれかのアルコキシ基を有することを意味する。典型的には、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質は、1つの末端ケイ素当たり1つの末端シラノール結合(-Si-OH)を有し、そのような場合には、末端封鎖反応は、3つのSi-アルコキシ結合又は2つのSi-アルコキシ結合、及び例えば、アルキル又はビニルなどを含む、(-Si-OH)を置換する末端基を生成する。
【0019】
典型的には、末端封鎖反応のための出発物質中に存在するポリアルコキシシラン出発物質(複数可)の量は、ポリマー上の-OH基の量に対して少なくとも等モル量のポリアルコキシシランが存在するように決定される。したがって、出発材料として使用されるポリマーの粘度/鎖長が大きいほど、典型的には、ポリマー中に存在する-OH基が少なくなり、したがって、必要なポリアルコキシシランが少なくなる。同様に、その逆も正しい、すなわち、出発材料として使用されるポリマーの粘度/鎖長が小さいほど、典型的には、ポリマー出発材料中に存在する-OH基の数が多く、したがって、必要なポリアルコキシシランが多くなる。しかしながら、一部の場合には、かなりのモル過剰のポリアルコキシシランを含むことが好ましく、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物が、例えば、シリコーンシーラント組成物として、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物中の成分として使用される場合/ときには、末端封鎖反応終了時に、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物中に存在する残りの未反応ポリアルコキシシランは、その後、架橋剤として使用される。したがって、本明細書の一実施形態では、好ましくは、末端封鎖されるポリマー上の-OH基に対してモル過剰のポリアルコキシシランが存在する。
【0020】
本明細書の開示に従って利用される末端封鎖触媒出発物質は、アルコキシ末端封鎖反応を触媒する任意の好適な塩基性触媒であってもよい。このような好適な塩基性触媒としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウムアミン、塩基性無機酸化物、チタン/アミンの組み合わせ、カルボン酸/アミンの組み合わせ、N,N’-二置換ヒドロキシルアミン、カルバメート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、及びオキシム含有有機化合物が挙げられる。しかしながら、塩基性触媒の1つの特に好ましい群は、アミジン基、グアニジン基、アミジン基及び/又はグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物から選択される1つ以上の基を含む、1つ以上の直鎖状、分枝状又は環状分子である。
【0021】
アミジン基又はグアニジン基は、以下に示される基(1)~(4)のうちの1つ以上を含有する、直鎖、分枝鎖、若しくは環状ケイ素含有分子、又は直鎖、分枝鎖、若しくは環状有機分子を含んでもよい。
【0022】
【化1】
式中、各R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、同じであっても異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基から選択されてもよいか、又は代替的に、R
4及びR
5、若しくはR
6及びR
5、若しくはR
7及びR
5、若しくはR
8及びR
4は、環構造を任意選択的に形成してもよく、例えば、それらは、環構造を作り出すために不均一置換アルキレン基を形成してもよく、不均一置換は、酸素又は窒素原子による。
【0023】
一実施形態では、式(1)~(4)は、窒素がアルキレン基を介してケイ素原子に結合しているシラン構造の一部であってもよい。そのようなシラン構造は、例えば、-
(R10)3Si-Z-A
であり、式中、Zは、先に説明した通りであり、各R10は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシル基及び/又は加水分解性基(本明細書において後で架橋剤(c)に関連して記載されるものなど)、アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基であってもよく;Aは、上記(1)~(4)のうちの1つである。
【0024】
更なる代替例では、上記構造(1)~(4)のいずれか1つは、アルキド樹脂、油変性アルキド樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、天然油、エポキシド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、エチレン-プロピレンコポリマー、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド及びそれらの塩、フェノール樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー及びコポリマー、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリスルフィドゴム、ニトロセルロース、ビニルブチレート、ビニルポリマー、エチルセルロース、セルロースアセテート及び/又はセルロースブチレート、レーヨン、シェラック、ワックス、エチレンコポリマー、有機ゴム、ポリシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーン樹脂、ポリエーテル、ポリエーテルエステル及び/又はポリエーテルカーボネートからなる群から選択されるポリマー基に結合していてもよい。構造(1)~(4)がシロキサン基に結合している場合、それらは、206~50,000g/mol、特に280~25,000g/mol、特に好ましくは354~15,000g/molの範囲の平均分子量を有するポリシロキサン基に結合していてもよい。このようなポリシロキサン基を有する末端封鎖触媒は、典型的には室温で液体であり、低い蒸気圧を有し、シリコーンポリマーをベースとする硬化性組成物中で特に容易に相溶性であり、これに関連して特に分離又は泳動しにくい傾向がある。
【0025】
例えば、末端封鎖触媒出発材料は、構造(CH3)2N-C=NH(N(CH3)2)を有する1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)であってもよいか、又は以下の構造
(R2-O)(4-a-b)-Si-R3
aR1
b
(式中、R2、R1、及びbは、上に説明した通りであり、aは、1であり、R3は、-Z1-N=C-(NR5R4)2であり、
R5及びR4は、上で定義した通りであり、Z1は、炭素数2~6のアルキレン基又はオキシアルキレン基であり、aは、1である)のシランであってもよい。
【0026】
具体的な例としては、2-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、及び2-[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]-1,1,3,3-テトラメチルグアニジンが挙げられる。
【0027】
あるいは、末端封鎖触媒は、環状グアニジンであってもよく、例えば、
以下に示すようなトリアザビシクロデセン(1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)):
【0028】
【化2】
又は、以下に示すような7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(mTBD)であってもよい。
【0029】
【0030】
あるいは、末端封鎖触媒出発物質は、環状アミジンであってもよく、例えば、以下に示すような1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN):
【0031】
【化4】
又は以下に示すような1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)であってもよい。
【0032】
【0033】
本プロセスの工程(i)が、(例えば、磁気撹拌棒又はオーバーヘッド機械式撹拌機を用いて)連続的に混合することができる場合、末端封鎖触媒を固体として直接添加することができる。更に、末端封鎖触媒を微粉末の形態で反応環境に導入することができる場合、溶媒は、任意選択である。反応物が混合されてから、静置される場合には、末端封鎖触媒は、均一な分散を確実にするために溶液として送達される。溶液で送達される場合、溶媒は、例えば、トリメチル末端ポリジメチルシロキサン又はトルエンなどの相溶性シリコーン又は有機溶媒であってもよい。しかしながら、VOC問題を最小限にするために、末端封鎖触媒の送達のための好ましい液体は、実際には、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質を末端封鎖するために利用されるポリアルコキシシラン又はその1つ、例えば、ビニルトリメトキシシラン及び/又はメチルトリメトキシシランであることが判明している。
【0034】
先に示したように、工程(i)における末端封鎖反応の完了時に、酸性安定化剤/中和剤がアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物に添加される。これは、工程(i)の直後に、又はオルガノポリシロキサンエラストマー組成物を製造するために使用される場合にはその調製中、例えば、充填剤の導入後に行ってもよい。したがって、前者の場合、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物は、工程(i)及び(ii)の結果であり得るが、後者の場合、それは、本明細書において、工程(i)単独の結果であると考えられ得る。前者の場合、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物は、工程(ii)の酸性安定化剤/中和剤の添加によって安定化され、その後、得られたオルガノポリシロキサンエラストマー組成物によって、それが調製されるときに安定化されることが確定された。しかしながら、後者の場合、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物は、工程(ii)の酸性安定化剤/中和剤の使用によって安定化される。
【0035】
酸性安定化剤/中和剤は、8~26個の炭素を有する1つ以上の脂肪酸、1~10個の炭素を有するアルカンスルホン酸、酸性ヒュームドシリカ、及び/又は酸性液体ポリブタジエンから選択される。
【0036】
1つ以上の脂肪酸は、8~26個の炭素を有する飽和又は不飽和脂肪酸のいずれかであり得る。8~26個の炭素を有する不飽和脂肪酸には、例として以下のものが挙げられ得る。-
ミリストレイン酸(CH3(CH2)3CH=CH(CH2)7COOH)、
パルミトレイン酸(CH3(CH2)5CH=CH(CH2)7COOH)、
サピエン酸(CH3(CH2)8CH=CH(CH2)4COOH)、
オレイン酸(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH)、
エライジン酸(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH)、
バクセン酸(CH3(CH2)5CH=CH(CH2)9COOH)、
リノール酸(CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7COOH)、
リノールエライジン酸(CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7COOH)、
α-リノレン酸(CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7COOH)、
アラキドン酸CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3COOH)、
エイコサペンタエン酸CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3COOH、
エルカ酸(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11COOH)、及び
ドコサヘキサエン酸(CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)2COOH)。
【0037】
8~25個の炭素を有する飽和脂肪酸には、例として以下のものが挙げられ得る。-
カプリル酸(CH3(CH2)6COOH)、カプリン酸(CH3(CH2)8)、ラウリン酸(CH3(CH2)10COOH)、ミリスチン酸(CH3(CH2)12COOH)、ペンタデカン酸(CH3(CH2)13COOH)、パルミチン酸(CH3(CH2)14COOH)、ヘプタデカン酸(CH3(CH2)15COOH)、ステアリン酸(CH3(CH2)16COOH)、アラキジン酸(CH3(CH2)18COOH)、ベヘン酸(CH3(CH2)20COOH)、リグノセリン酸(CH3(CH2)22COOH)、クロチン酸(CH3(CH2)24COOH)。
【0038】
1つ以上の脂肪酸は、上に列挙したものなどの任意の好適な脂肪酸の混合物を含んでもよい。
【0039】
あるいは、酸性安定化剤/中和剤は、1~10個の炭素を有するアルカンスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などであってもよい。
【0040】
更にあるいは、酸性安定化剤/中和剤は、酸性液体ポリブタジエンであってもよい。酸性液体ポリブタジエンは、任意の好適な酸性液体ポリブタジエンであってもよいが、好ましくは、ポリスチレン標準に基づくゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて2000~7500g/molの平均モル質量を有する低分子量酸性液体ポリブタジエンである。酸性液体ポリブタジエンは、任意の好適な種類のポリブタジエン鎖からなってもよく、例えば、酸性液体ポリブタジエンは、例えば、1,4-シスポリブタジエンであってもよい。例えば、酸性液体ポリブタジエンは、無水物官能化液体ポリブタジエン、例えば、無水マレイン酸官能化液体ポリブタジエン及び/又はポリマー鎖に沿って分布した無水コハク酸基を有する無水物官能化液体ポリブタジエンであってもよい。無水物基が存在する場合、その無水物基は、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布していてもよい。上記の例は、Evonikから市販されている無水マレイン酸官能化液体ポリブタジエンであるPOLYVEST(登録商標)MA75である。POLYVEST(登録商標)MA75は、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布した無水コハク酸基を有する低分子量1,4-シスポリブタジエンの無水マレイン酸付加物である。
【0041】
本明細書における主な利点は、プロセスが架橋又はポリマー成長を最小限に抑えるので、ポリマー粘度の安定性を維持しながらポリマーを封鎖する能力である。得られたアルコキシ末端封鎖ポリマーを上記のように調製してから7日以内に使用する場合には、上記の中和/安定化剤を組成物に導入する必要はないが、より長い期間の後に、アルコキシ末端封鎖ポリマーをオルガノポリシロキサンエラストマー組成物などの調製に使用する場合には、上記の中和/安定化剤が数か月間アルコキシ末端封鎖ポリマーをうまく安定化させることができる。安定性とは、架橋又はゲル化、あるいは切断などによるアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーの有意な損失又は増加(すなわち、10%超の粘度変化)がないことを意味する。これは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)による試料の定期的な試験によって、又は好適な方法を使用する粘度測定によって、例えば、好適な粘度計、例えば、好適なブルックフィールド回転式粘度計を利用し、ASTM D 1084方法B(カップ/スピンドル用)又はASTM D 4287(コーン/プレート用)に従って粘度を試験することによって決定され得る。あるいは、粘度は、ASTM D-445、IP 71に従って「重力流」を使用して、一定体積の試料が較正されたガラス毛細管を通過するのに必要な時間を測定することによって定期的に試験することができる。
【0042】
所望であれば、使用される末端封鎖出発物質、すなわち、アミジン基、グアニジン基、当該アミジン基及び/又はグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物から選択される1つ以上の基を含む、1つ以上の直鎖、分枝鎖又は環状分子が、アルコキシ末端封鎖ポリマー反応最終生成物中に残っていてもよい。あるいは、その物理的特性に応じて、末端封鎖触媒は、その価値があるかつ/又は所望される場合、反応の完了後にポリマー反応最終生成物から抽出されてもよい。触媒抽出は、必要であれば、反応プロセスの最後に行われ、所望に応じて、中和/安定化剤の導入の前又は後に行ってもよい。選択される抽出方法は、末端封鎖触媒の物理的性質に依存し、例えば、濾過又は場合によっては真空蒸留による。
【0043】
典型的には、上記の末端封鎖プロセスは、他の出発物質の存在しない条件下で行われるが、必要に応じて、可塑剤/増量剤及び/又は顔料などの本明細書に記載の末端封鎖プロセスを妨げない追加の出発物質が、所望であれば、プロセスの前に組成物中に存在してもよい。しかしながら、これらは一般に、本明細書で後述するように、本発明のプロセスによって提供される末端封鎖されたポリマーを利用する組成物のその後の調製中に添加される。
【0044】
更に、所望であれば、先に説明されたプロセスの工程(i)の前に、又は工程(i)と同時に、鎖延長剤を導入して、ポリアルコキシシランで末端封鎖する前にポリマー鎖の長さを延長してもよい。
【0045】
鎖延長剤は、例えば、二官能性シランであってもよい。好適な二官能性シランは、以下の構造を有してもよい。
(R11)2-Si-(R12)2
式中、各R11は、同じであっても異なっていてもよく、かつ直鎖、分枝鎖、又は環状であってもよいが、オルガノポリシロキサンポリマー(a)の-OH基又は加水分解性基と非反応性であるという点で、非官能基である。したがって、各R11基は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はフェニルなどのアリール基から選択される。一代替例では、R11基は、アルキル基又はアルケニル基のいずれかであり、あるいは1分子当たり、1つのアルキル基及び1つのアルケニル基が存在し得る。アルケニル基は、例えば、ビニル基、プロペニル基、及びヘキセニル基などの直鎖又は分枝状アルケニル基から選択されてもよく、アルキル基は、メチル、エチル、又はイソプロピルなどの1~10個の炭素原子を有する。更なる代替的例では、2つのR11は、環状であり、2つの場所でSi原子に結合するR111によって置き換えられてもよい。
【0046】
それぞれの基R12は、同じであっても異なっていてもよく、水酸基又は加水分解性基と反応可能である。基R12の例としては、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、ヒドロキシ基、及び/又はアセトアミド基が挙げられる。あるいは、各R12は、アルコキシ基又はアセトアミド基のいずれかである。R12がアルコキシ基である場合、当該アルコキシ基は、1~10個の炭素原子を含有し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロプロキシ基、ブトキシ基、及びt-ブトキシ基であってもよい。本明細書の構成成分(c)のための好適なシランの具体例としては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシランなどのアルケニルアルキルジアルコキシシラン、ビニルメチルジオキシモシラン、ビニルエチルジオキシモシラン、ビニルメチルジオキシモシラン、ビニルエチルジオキシモシランなどのアルケニルアルキルジオキシモシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルエチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルエチルジアセトキシシランなどのアルケニルアルキルジアセトキシシラン、並びにビニルメチルジヒドロキシシラン、ビニルエチルジヒドロキシシラン、ビニルメチルジヒドロキシシラン及びビニルエチルジヒドロキシシランなどのアルケニルアルキルジヒドロキシシランが挙げられる。
【0047】
R12がアセトアミドである場合、ジシランは、ジアルキルジアセトアミドシラン、又はアルキルアルケニルジアセトアミドシランであり得る。そのようなジアセトアミドシランは、例えば、米国特許第5017628号及び同第3996184号に記載されているような低弾性率シーラント配合物のための公知の鎖延長材料である。ジアセトアミドシランは、例えば、以下の構造を有してもよい。
CH3-C(=O)-NR13-Si(R14)2-NR13-C(=O)-CH3
(式中、各R13は、同じであっても異なっていてもよく、上記で定義されるようなRと同じであってもよく、あるいは、各R13は、同じであっても異なっていてもよく、1~6個の炭素、あるいは1~4個の炭素を有するアルキル基を含んでもよい)。各R14はまた、同じであっても異なっていてもよく、また、上記で定義されるようなRと同じであってもよく、1~6個の炭素、あるいは1~4個の炭素を有するアルキル基、又は2~6個の炭素、あるいは2~4個の炭素を有するアルケニル基、あるいはビニルを含んでもよい。使用するとき、ジアセトアミドシランは、以下のうちの1つ以上から選択され得る。-
N,N'-(ジメチルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]
N,N'-(ジメチルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N'-(ジエチルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]
N,N'-(ジエチルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N'-(ジメチルシリレン)ビス[N-プロピルアセトアミド]
N,N'-(ジエチルシリレン)ビス[N-プロピルアセトアミド]
N,N'-(ジプロピルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]
N,N'-(ジプロピルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N'-(メチルビニルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N'-(エチルビニルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N'-(プロピルビニルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]
N,N'-(メチルビニルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]
N,N’-(エチルビニルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]及び/又は
N,N'-(プロピルビニルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]。
【0048】
代替例では、ジアルキルジアセトアミドシランは、N,N’-(ジメチルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]及び/又はN,N’-(ジメチルシリレン)ビス[N-メチルアセトアミド]から選択されるジアルキルジアセトアミドシランであり得る。あるいは、ジアルキルジアセトアミドシランは、N,N’-(ジメチルシリレン)ビス[N-エチルアセトアミド]である。
【0049】
鎖延長剤が存在する場合、その鎖延長剤は、組成物の0.01~5重量%、あるいは0.05~1重量%の量で存在する。
【0050】
上記のプロセスが行われる場合、それは、(例えば、最終オルガノポリシロキサンエラストマー組成物又は同様の組成物を作製するための、追加の工程の非存在下で)最終混合物の重量に基づいて:-
(ai)出発物質の40重量%~99.5重量%、あるいは出発物質の60~99.5重量%、あるいは出発物質の70~99.5重量%、あるいは出発物質の80~99.5重量%、あるいは出発物質の90~99.5重量%、あるいは出発物質の95~99.5重量%の量のシラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発物質と;
(aii)構造:-
(R2-O)(4-b)-Si-R1
b
(式中、bは、0、1、又は2であり、R2は、1~15個の炭素を有する、直鎖又は分枝鎖であってもよいアルキル基であり、R1は、任意の好適な基、すなわち、R2、シクロアルキル基などの、一価炭化水素基;アルケニル基、アリール基;アラルキル基、及び前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基であってもよい)の、出発物質の約0.5~60重量%、あるいは出発物質の0.5~40重量%、出発物質の0.5~30重量%、出発物質の0.5~20重量%、出発物質の0.5~10重量%、あるいは出発物質の0.5~5重量%、あるいは出発物質の0.25~2.5重量%の量の、1つ以上のポリアルコキシシラン出発物質(複数可)と、
(aiii)アルコキシ末端封鎖反応を触媒する任意の好適な塩基性触媒の形態の末端封鎖触媒と、を含み得る。このような好適な塩基性触媒としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウムアミン、塩基性無機酸化物、チタン/アミンの組み合わせ、カルボン酸/アミンの組み合わせ、N,N’-二置換ヒドロキシルアミン、カルバメート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、及びオキシム含有有機化合物が挙げられるが、好ましくは、少なくとも1つのアミジン基、グアニジン基、又は当該アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物を含む1つ以上の直鎖状、分枝状又は環状分子からなる。触媒は、使用のために選択された触媒に依存して、任意の好適な量で導入され得る。少なくとも1つのアミジン基、グアニジン基、又は当該アミジン基及び/若しくはグアニジン基の誘導体、又はそれらの混合物を含む、当該好ましい1つ以上の直鎖状、分枝状又は環状分子の場合、触媒は、出発材料組成物の0.0005~0.75重量%の量で提供される。
【0051】
必要に応じて、1種以上のポリアルコキシシラン(aii)は、他の箇所で説明した理由により大いに過剰な量で提供されてもよいことを想起されたい。
【0052】
先に述べたように、8~26個の炭素を有する1つ以上の脂肪酸から選択される安定化剤/中和剤の添加完了時に、1~10個の炭素を有するアルカンスルホン酸、酸性ヒュームドシリカ、及び/若しくは1つ以上の酸性液体ポリブタジエン、又はそれらの混合物が組成物に添加される。好ましくは、本プロセスの工程(ii)は、アルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物に導入されるか、又は後で、アルコキシ末端封鎖ジオルガノポリシロキサン最終生成物の製造中に導入される安定化剤/中和剤を、出発物質の0.05~10重量%の量で利用する。
【0053】
本明細書に記載のプロセスの工程(ii)は、工程(i)の完了直後に、又は完了後間もなく行ってもよい。この手段により、工程(i)のアルコキシ末端封鎖ジオルガノポリシロキサン最終生成物が安定化する。これにより、当該アルコキシ末端封鎖ジオルガノポリシロキサン最終生成物が安定化し、将来の使用のために数か月間貯蔵することが可能となる。
【0054】
あるいは、上記プロセスの工程(ii)は、本明細書に記載されるように、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の調製中又は調製後であってもよい。例えば、充填剤がオルガノポリシロキサンエラストマー組成物に導入された後である。工程(ii)を遅く実施した結果、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物が安定化され、前述のオルガノポリシロキサンエラストマー組成物が使用前に数か月間安定であることを可能にすることが判明している。これは、スズ系触媒が縮合触媒として使用されている場合に特に重要である。なぜなら、さもなければ逆戻りの問題が起こりやすいからである。
【0055】
一実施形態では、典型的には、シラノール末端ポリジオルガノシロキサン出発材料(ai)は、好適なミキサーに導入され、撹拌され;次いで、1つ以上のポリアルコキシシラン(aii)を添加し、得られた混合物を再び混合する。任意の好適な混合時間、例えば、10~30分、あるいは10~20分を工程(i)に使用することができる。
【0056】
任意選択的に、工程(i)における混合は、約100℃までの高温、例えば、35~100℃、あるいは50~80℃で行われてもよい。末端封鎖触媒は、必要と考えられる場合、1つ以上のポリアルコキシシランの添加の前に、それと同時に、又はその後に導入されてもよい。
【0057】
得られたアルコキシ基で末端封鎖されたポリマー反応最終生成物は、所望であれば、副生成物及び末端封鎖触媒などから単離されてもよい。あるいは、過剰のポリアルコキシシラン(aii)が存在しないように、等モル量のポリマー(ai)及びポリアルコキシシラン(aii)が反応プロセスにおいて利用されてもよいが、同様に、所望であれば、過剰のポリアルコキシシラン出発材料(aii)が上記反応混合物に添加されてもよく、過剰のポリアルコキシシラン(aii)があれば、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の調製において、架橋剤(c)として、又は架橋剤(c)の一部として利用されることが意図されている。
【0058】
ポリマーが鎖延長されることが望ましい場合には、鎖延長プロセス工程も行われる。典型的には、この場合、鎖延長剤は、1つ以上のポリアルコキシシランの代わりに第1の工程で添加され、次いで、上記の触媒を含む鎖延長工程が完了したとみなされた後、鎖延長されたポリマーの末端封鎖を意図してポリアルコキシシランが混合物に導入される。混合は、任意の好適なタイプのミキサー、例えば、スピードミキサー又はTurelloミキサーで行ってもよい。あるいは、鎖延長シラン及び末端封鎖シランは、それらが異なる場合、同時に添加されてもよい。あるいは、鎖延長シラン及び末端封鎖シランは、それらが同じシランである場合、別々に添加されてもよい。
【0059】
得られたアルコキシ末端封鎖ポリマー反応最終生成物は、所望であれば、副生成物及び末端封鎖触媒などから単離されてもよい。あるいは、過剰のポリアルコキシシラン(aii)が存在しないように、等モル量のポリマー(ai)及びポリアルコキシシラン(aii)が反応プロセスにおいて利用されてもよいが、同様に、所望であれば、過剰のポリアルコキシシラン出発材料(aii)が上記反応混合物に添加されてもよく、過剰のポリアルコキシシラン(aii)があれば、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の調製において、架橋剤として、又は架橋剤成分の一部として利用されることが意図されている。
【0060】
得られたアルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物は、回収され、将来の使用のために貯蔵されてもよい(この場合、工程(ii)は、本プロセスの工程(i)の完了直後に、若しくは完了後間もなく行われるか、又は以下を含むオルガノポリシロキサンエラストマー組成物の調製のためのプロセスの一部として直ちに使用される:-
(a)本明細書の先に説明されたに調製されたアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン;
(b)充填剤;
(d)縮合硬化触媒;
(c)架橋剤、及び任意選択的に、
(e)接着促進剤。
【0061】
後者の状況において先に示したように、上記プロセスの工程(ii)は、本プロセスの工程(i)の完了直後に、若しくは完了後間もなく行われるか、又はオルガノポリシロキサンエラストマー組成物の調製中に行ってもよく、すなわち、先に記載したように充填剤の添加後間もなく添加してもよい。
【0062】
本開示において、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物は、酸性安定化剤/中和剤の組み込みにより、長期保存後に使用されるように設計されているが、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物がオルガノポリシロキサンエラストマー組成物を直ちに調製するために連続プロセスにおいて使用される場合であっても、プロセスにおいて安定化剤/中和剤の導入を含むことが望ましい場合には問題はない。先に論じたように、アルコキシ末端封鎖ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物を長期間保存しようとする場合、上記酸性安定化剤/中和剤を使用する必要があることが判明している。
【0063】
アルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン(a)は、典型的には、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の40~80重量%、あるいはオルガノポリシロキサンエラストマー組成物の約40~65重量%の量で組成物中に存在する。
【0064】
上記組成物は、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物として好適であり、硬化時に低い弾性率を有し、かつ/又は可塑剤及び/若しくは増量剤(加工助剤と呼ばれることもある)が吸い出すことがなく、コンクリートブロック又は他の建築材料などの隣接する基材を汚染しないという点で非汚染性である製品を形成するように設計されてもよい。
【0065】
典型的には、低い弾性率のシーラント組成物が所望される場合、本明細書に記載のプロセスによって製造されるポリマーは、上記のように鎖延長され、アルコキシ末端封鎖ポリマー(a)が高い分子量/鎖長であるように設計される。
【0066】
充填剤(b)は、1つ以上の補強充填剤若しくは1つ以上の非補強充填剤、又は両方の組み合わせであってもよい。例えば、充填剤(b)は、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、及び/又は沈降シリカなどの、1つ以上の微粉化補強充填剤を含有してもよい。典型的には、充填剤(b)の表面積は、ISO 9277:2010に準拠してBET法によって測定して、沈降炭酸カルシウムの場合、少なくとも15m2/g、あるいは沈降炭酸カルシウムの場合、15~50m2/g、あるいは15~25m2/gである。シリカ補強充填剤は、少なくとも50m2/gの典型的な表面積を有する。一実施形態では、充填剤(b)は、沈降炭酸カルシウム、沈降シリカ、及び/又はヒュームドシリカであり、あるいは沈降炭酸カルシウムである。高表面積ヒュームドシリカ及び/又は高表面積沈降シリカの場合、これらは、ISO 9277:2010に準拠したBET法を用いて測定して75~400m2/gの表面積を有してもよいか、あるいはISO 9277:2010に準拠してBET法を用いて100~300m2/gの表面積を有してもよい。
【0067】
典型的には、充填剤(b)は、選択された充填剤に応じて、組成物の約5~45重量%、あるいは組成物の約5~30重量%、あるいは組成物の約5~25重量%の量で組成物中に存在する。中和剤/安定化剤として添加されるシリカ充填剤があれば、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の充填剤成分含有量に寄与するので、シリカがプロセスの工程(ii)で使用される場合には、必要とされる充填剤の量は、累積的であるということが理解されるであろう。したがって、2.5重量%のシリカが中和剤/安定剤として工程(ii)で使用される場合には、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物中の充填剤の総量は、別個に導入される場合に組成物中に添加される充填剤の量よりも2.5重量%多くなる。
【0068】
充填剤(b)は、例えば、1つ以上の脂肪酸、例えば、ステアリン酸などの脂肪酸若しくはステアレートなどの脂肪酸エステルを用いて、又は、オルガノシラン、ポリジオルガノシロキサン若しくはオルガノシラザンヘキサアルキルジシラザン、又は短鎖シロキサンジオールを用いて、疎水性処理を行って充填剤(複数可)(b)を疎水性にし、ひいては他の接着剤成分との均質混合物を処理すること、またそれを得ることをより容易にし得る。充填剤の表面処理により、ベース構成成分のオルガノシロキサンポリマー(a)による充填剤の湿潤が容易になる。これらの表面変性充填剤は凝集することがなく、ベース成分のアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン(a)に、均質に組み込むことができる。その結果、未硬化組成物の室温での機械的特性が改善される。充填剤は、前処理されてもよいか、又はアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン(a)と混合される場合には、その場で処理されてもよい。
【0069】
オルガノポリシロキサンエラストマー組成物はまた、縮合硬化触媒を含む。縮合硬化触媒は、スズ系触媒であってもよい。任意の好適なスズ触媒を利用してもよい。当該スズ触媒は、以下のスズトリフレート、トリエチルスズタートレート、スズオクトエート、スズオレエート、スズナフテネート、ブチルスズトリ-2-エチルヘキソエート、スズブチレート、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、イソブチルスズトリセロエートなどの有機スズ金属触媒、並びにジオルガノスズ塩、特に、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジブチレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジベンゾエート、第一スズオクトエート、ジブチルスズビス(2,4-ペンタンジオネート、ジメチルスズジネオデカノエート(DMTDN)、及びジブチルスズジオクトエートなどのジオルガノスズジカルボキシレート化合物、のうちの1つ以上を含み得る。
【0070】
代替的に又は追加的に、縮合硬化触媒(d)は、例えば、一般式Ti[OR22]4又はZr[OR22]4(式中、各R22は同一でも異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を含有し、直鎖又は分枝鎖であり得る、一価の、第一級、第二級、又は第三級脂肪族炭化水素基を表す)によるチタネート及び/又はジルコネート系触媒を含み得る。任意選択的に、チタネート及び/又はジルコネートは、部分不飽和基を含有してもよい。R22の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三級ブチル、及び2,4-ジメチル-3-ペンチルなどの分枝鎖第二級アルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、各R22が同一である場合、R22は、イソプロピル基、分枝鎖第二級アルキル基又は第三級アルキル基、特に、第三級ブチルである。一代替例では、触媒は、チタネートである。好適なチタネートの例としては、テトラn-ブチルチタネート、テトラt-ブチルチタネート、チタンテトラブトキシド、テトライソプロピルチタネートが挙げられる。好適なジルコネートの例としては、テトラn-プロピルジルコネート、テトラn-ブチルジルコネート、及びジルコニウムジエチルシトレートが挙げられる。
【0071】
あるいは、チタネート及び/又はジルコネートは、キレート化されていてもよい。キレート化は、メチルアセチルアセトネート又はエチルアセチルアセトネートなどのアルキルアセチルアセトネートなどの、任意の好適なキレート剤によってもよい。あるいは、チタネートは、例えば、2-プロパノラトチタネート、トリスイソオクタデカノアトチタネート、又はジイソプロポキシ-ビスエチルアセトアセタトチタネートなどの3種のキレート剤をもたらすモノアルコキシチタネートであってよい。
【0072】
縮合硬化触媒(d)は、典型的には、組成物の0.25~4.0重量%、あるいは組成物の0.25~3重量%、あるいは組成物の0.3重量%~2.5重量%の量で存在する。
【0073】
当該一液型オルガノポリシロキサンエラストマー組成物に、架橋剤(c)を別途添加することは、当該組成物の調製中に、任意選択で行われる。これは、架橋剤(c)は、当該オルガノポリシロキサンエラストマー組成物中の必須成分であるが、架橋剤(c)は、上述した末端封鎖反応において使用される構造(R2-O)(4-b)-Si-R1
b(式中、R2、R1及びbは、上述した通りである)の1つ以上のポリアルコキシシランと同じであってもよいためである。この場合、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の調製時に追加の架橋剤(c)を必要としない末端封鎖反応時に、シラノールポリマーを末端封鎖するために、ポリアルコキシシランを十分過剰に反応混合物に導入することが可能である。しかしながら、必要であると思われる場合には、一液型アルコキシ官能性シリコーンシーラント組成物の調製時に、追加の架橋剤(複数可)を添加してもよい。
【0074】
ある量の架橋剤(c)がオルガノポリシロキサンエラストマー組成物の調製時に添加される場合、ヒドロキシル基又は加水分解性基と反応可能である1分子当たり少なくとも3個の基を有する任意の好適な架橋剤、鎖延長アルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン(a)が利用され得る。典型的には、添加される任意の架橋剤(c)は、1つ以上のシラン又はシロキサンであり、これらは、ケイ素結合加水分解性基、例えば、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基);ケトキシイミノ基(例えば、ジメチルケトキシモ及びイソブチルケトキシイミノ);アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソブトキシ、及びプロポキシ)、並びにアルケニルオキシ基(例えば、イソプロペニルオキシ及び1-エチル-2-メチルビニルオキシ)を含有する。
【0075】
架橋剤(c)が必要とされる場合、それは、直鎖状、分枝状、又は環状分子構造を有するシロキサン系架橋剤を含んでもよい。
【0076】
架橋剤(c)は、1分子当たり少なくとも3つ又は少なくとも4つのヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有し、これらは、アルコキシ末端ポリジオルガノポリシロキサン(a)におけるヒドロキシル基及び/又は加水分解性基と反応性である。架橋剤(c)を添加する必要がある場合には、その架橋剤(c)は、代替的にはシランであってもよく、そのシランが1分子当たり合計3つのケイ素結合ヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する場合、第4の基は、好適には非加水分解性ケイ素結合有機基である。これらのケイ素結合有機基は、好適には、フッ素及び塩素などのハロゲンによって任意選択的に置換されたヒドロカルビル基である。このような第4の基の例としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、及びブチル);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル);アルケニル基(例えば、ビニル及びアリル);アリール基(例えば、フェニル及びトリル);アラルキル基(例えば、2-フェニルエチル)、及び前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンにより置き換えることにより得られた基が挙げられる。ただし、好ましくは、第4のケイ素結合有機基は、メチルである。
【0077】
架橋剤(c)として使用することができるシラン及びシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン(MTM)及びメチルトリエトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランなどのアルケニルトリアルコキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン(iBTM)が挙げられる。他の好適なシランとしては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アルコキシトリオキシモシラン、アルケニルトリオキシモシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジ-ブトキシジアセトキシシラン、フェニル-トリプロピオンオキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニル-トリス-メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペンオキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペンオキシ)シラン、エチルポリシリケート、n-プロピルオルトシリケート、エチルオルトシリケート、及び/又はジメチルテトラアセトキシジシロキサンが挙げられる。架橋剤(c)は、代替的に、上記の2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0078】
あるいは、架橋剤(c)は、2つ以上のシリル基を含有するシリル官能性分子を含んでもよく、各シリル基は、少なくとも1つの-OH基又は加水分解性基を含有し、架橋剤1分子当たりの-OH基及び/又は加水分解性基の数の合計は、少なくとも3である。したがって、ジシリル官能性分子は、各々少なくとも1つの加水分解性基を有する2つのケイ素原子を含み、これらのケイ素原子は、有機又はシロキサンスペーサーによって分離されている。典型的には、ジシリル官能性分子上のシリル基は、末端基であってもよい。スペーサーは、シロキサン又は有機ポリマー主鎖を有するポリマー鎖であってもよい。このようなシロキサン又は有機系架橋剤(c)の場合、分子構造は、直鎖状、分枝状、環状、又は巨大分子であってもよい。シロキサン系ポリマーの場合、架橋剤(c)の粘度は、スピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa・sの範囲の粘度用に設計されたもの)を備えたBrookfield(登録商標)回転式粘度計、又は1000mPa・s未満の粘度に対しては、スピンドルLV-1(15~20,000mPa・sの範囲の粘度用に設計されたもの)を備えたBrookfield(登録商標)回転式粘度計のいずれかを、ポリマー粘度に従って速度を適合させて測定して、25℃で15mPa・s~50,000mPa・sの範囲内である。
【0079】
例えば、架橋剤(c)を添加する必要がある場合には、その架橋剤(c)は、ジシリル官能性ポリマー、すなわち、各々が式
RnSi(X)3-n-Z4-Si(X)3-nRn
(式中、各R及びnは、先に説明されたように個々に選択することができる)少なくとも1つの加水分解性基を有する2つのシリル基を含有するポリマーであってもよい。Z4は、アルキレン(二価炭化水素基)、あるいは1~10個の炭素原子を有するアルキレン基、若しくは更にあるいは1~6個の炭素原子を有するアルキレン基、又は当該二価炭化水素基と二価シロキサン基との組み合わせである。
【0080】
各X基は、同じでも異なっていてもよく、ヒドロキシル基、又は任意の縮合性基若しくは加水分解性基であってもよい。用語「加水分解性基」は、室温で水によって加水分解されるケイ素に結合した任意の基を意味する。加水分解性基Xは、式-OTの基を含み、式中、Tは、メチル、エチル、イソプロピル、オクタデシルなどのアルキル基、アリル、ヘキセニルなどのアルケニル基、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、β-フェニルエチルなどの環状基、2-メトキシエチル、2-エトキシイソプロピル、2-ブトキシイソブチル、p-メトキシフェニル、又は-(CH2CH2O)2CH3などの炭化水素エーテル基である。最も好ましいX基は、ヒドロキシル基又はアルコキシ基である。例示的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ オクタデシルオキシ、及び2-エチルヘキソキシ;メトキシメトキシ又はエトキシメトキシなどのジアルコキシ基、及びエトキシフェノキシなどのアルコキシアリールオキシである。最も好ましいアルコキシ基は、メトキシ基又はエトキシ基である。
【0081】
好ましいジシリル官能性ポリマー架橋剤では、nは、0又は1であり、Xは、OMeであり、R4は、4~6個の炭素を有するアルキレン基である。
【0082】
アルコキシ官能性末端基を有するシリコーン又は有機ポリマー鎖を有するジシリルポリマー架橋剤の例としては、少なくとも1つのトリアルコキシ末端を有する、ポリジメチルシロキサンが挙げられ、その場合、アルコキシ基は、メトキシ基又はエトキシ基であってもよい。例としては、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサ-n-プロポキシジシロキサン、ヘキサ-n-ブトキシジシロキサン、オクタエトキシトリシロキサン、オクタ-n-ブトキシトリシロキサン、及びデカエトキシテトラシロキサンを挙げることができる。一実施形態では、架橋剤は、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン及び/又はビニルメチルジメトキシシランのうちの1つ以上であってもよい。
【0083】
組成物は、好適には、架橋剤(c)を、上述のアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン(a)と比較して、少なくとも化学量論量で含有し、これは、それが末端封鎖反応からの過剰量として生じるか、又は末端封鎖反応の完了後のその添加から生じるか、又はこれら2つの組み合わせから生じるかには関係ない。したがって、存在する量はまた、利用される架橋剤(c)の特定の性質、特に選択される分子の分子量にも依存する。したがって、架橋剤は、典型的には、組成物の0.1~5重量%の量で組成物中に存在するが、潜在的により多くの量で存在してもよい。
【0084】
成分(e)が存在する場合には、その成分(e)は、接着促進剤であり、好適な接着促進剤(e)は、式R14
hSi(OR15)(4-h)(式中、下付き文字hは、1、2、又は3である、あるいは、hは、3である)のアルコキシシランを含んでもよい。各R14は、独立して一価の有機官能基である。R14は、グリシドキシプロピル若しくは(エポキシシクロヘキシル)エチルなどのエポキシ官能基、アミノエチルアミノプロピル若しくはアミノプロピルなどのアミノ官能基、メタクリルオキシプロピル、メルカプトプロピルなどのメルカプト官能基、又は不飽和有機基であり得る。各R15は独立して、少なくとも1個の炭素原子を有する非置換飽和炭化水素基である。R15は、1~4個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子を有してもよい。R15の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルが挙げられる。
【0085】
あるいは、接着促進剤は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又は上記の2つ以上を反応させることによって得られた、他官能性材料であってもよい。例えば、アルキルアルコキシシリコーン、例えば、トリメトキシメチルシラン;アミノアルコキシシラン、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシランと、エポキシアルコキシシラン、例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの、(i):(ii):(iii)の重量比、0.1~6:0.1~5:1での反応生成物であってよい。
【0086】
好適な接着促進剤(e)の例としては、また、構造
(R’O)3Si(CH2)gN(H)-(CH2)qNH2
(式中、各R’は、同じであっても異なっていてもよく、1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、gは、2~10であり、qは、2~10である)の分子であってもよく、かつそれらも含んでもよい。
【0087】
オルガノポリシロキサンエラストマー組成物が存在する場合には、組成物の重量に基づいて、0.01~2重量%、あるいは0.05~2重量%、あるいは0.1~1重量%の接着促進剤を含んでもよい。好ましくは、生成物ネットワークへの組み込みよりも基材への分子の拡散に有利となるように、接着促進剤の加水分解速度は、架橋剤の加水分解速度よりも遅くする必要がある。
【0088】
必要であれば、当該オルガノポリシロキサンエラストマー組成物中に他の添加剤を使用してもよい。これらは、レオロジー調整剤、酸化防止剤などの安定化剤、UV及び/又は光安定化剤、顔料、-OHスカベンジャー(水分/水/アルコール)(典型的には、シラザン又は架橋剤として使用されるものと同じ化合物)、可塑剤及び/又は増量剤(加工助剤として特定されることもある)、並びに殺真菌剤及び/又は殺生物剤などを含み得る。添加剤の一部は複数の添加剤のリストに挙げられることが理解される。その場合、このような添加剤は言及されている全ての異なる用途で機能する能力を有する。
【0089】
本発明による水分硬化性組成物中に組み込むことができるレオロジー調整剤としては、ポリエーテル又はポリエステルのポリオールに基づく欧州特許第0802233号に記載されているものなどの、シリコーン有機コポリマー;ポリアミドワックスなどのワックス、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油、オレイン酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、コポリマー若しくはエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド、及びシリコーンポリエーテルコポリマーからなる群から選択されるノニオン性界面活性剤;並びにシリコーングリコールが挙げられる。いくつかの系について、これらのレオロジー調整剤、特に、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマー、及びシリコーンポリエーテルコポリマーにより、基材、特に可塑性基材に対する接着を増強することができる。
【0090】
必要と考えられる場合、任意の好適な酸化防止剤(複数可)を利用してもよい。例としては、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5(メチルヒドロシンナメート)36443-68-2;テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン6683-19-8;オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒロシンナメート2082-79-3;N,N’-ヘキサメチレン-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒロシンナムアミド)23128-74-7;3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸、C7~9分枝状アルキルエステル125643-61-0;N-フェニルベンゼンアミン、2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物68411-46-1;例えば、BASF製のIrganox(登録商標)の名称で販売されている酸化防止剤を挙げてもよい。
【0091】
UV及び/又は光安定化剤としては、例えば、Ciba Specialty Chemicals Inc.製のTINUVIN(登録商標)製品ラインなどの、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン光安定化剤(HALS)が挙げられ得る。
【0092】
顔料は必要に応じて利用され、組成物を着色する。組成物と相溶性がある限り、任意の好適な顔料を用いることができる。2液式組成物では、顔料及び/又は着色(非白色)充填剤、例えば、カーボンブラックを利用して、最終接着剤製品を着色することができる。カーボンブラックが存在する場合には、そのカーボンブラックは、非補強充填剤及び着色剤の両方として機能し、触媒パッケージ組成物の1~30重量%、あるいは触媒パッケージ組成物の1~20重量%、あるいは、組成物の5~20重量%、あるいは組成物の7.5~20重量%の量で存在する。
【0093】
任意の好適な-OH(水分/水/アルコール)スカベンジャー、例えば、オルトギ酸エステル、モレキュラーシーブ、シラザン、例えば、オルガノシラザン、ヘキサアルキルジシラザン、例えば、ヘキサメチルジシラザン、及び/又は構造
R20
jSi(OR21)4-j
(式中、各R21は、同じであっても異なっていてもよく、少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル基であり、
jは、1又は0であり、
R20は、少なくとも2個の炭素を有する置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分枝状の一価炭化水素基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は前述のいずれか1つから選択されるケイ素結合有機基であって、炭素に結合した少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子によって置換されたもの、又はエポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、エステル基、アミノ基、アミド基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、若しくはイソシアネート基を有する有機基である)の1つ以上のシランを使用してもよい。-OHスカベンジャーが存在する場合、その-OHスカベンジャーは、典型的には、全組成物の0.5~3.0重量%の範囲で存在するが、その量は、生成されるアルコール副生成物の量及び組成物を生成するために使用されるプロセスに、より大きく依存し得る。掃去された副生成物は、可能であれば、最終オルガノポリシロキサンエラストマー組成物から意図的に除去されて、安定性を達成し、貯蔵中に硬化前戻りを起こすのを防止する。
【0094】
可塑剤及び/又は増量剤(加工助剤として特定されることもある)
所望であれば、任意の好適な可塑剤又は増量剤を使用してもよい。これらは、参照により本明細書に組み込まれる英国特許第2445821号で特定される可塑剤又は増量剤のいずれかであってもよい。可塑剤又は増量剤が使用される場合、その可塑剤又は増量剤は、ポリマーの調製前、調製後、又は調製中に添加することができる。しかしながら、このことは、重合プロセスに寄与することも、又は関与することもない。
【0095】
可塑剤又は増量剤の例としては、ケイ素含有液体(ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンなど)、及び他の短鎖直鎖シロキサン(オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサンなど)、環状シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなど);アリール官能性シロキサンを任意選択的に含む、更なるポリジオルガノシロキサンが挙げられ、これは、0.5~5000mPa・s(5000mPa・sは100℃での試験を必要とする)に対しては、ガラス毛細管粘度計を使用し(ASTM D-445、IP 71)、25℃で測定すると0.5~12,500mPa・sの粘度を有する。5000~12500mPa・sについては、5rpmでコーンプレートCP-52を備えたBrookfieldコーンプレート粘度計RV DIIIを使用する(ASTM D4287)。
【0096】
代替的には可塑剤又は増量剤としては、酢酸ブチル、アルカン、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、又は構成成分の材料のいずれかに悪影響を及ぼすことなく組成物を希釈することができる任意の他の材料などの、有機液体が挙げられる。炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar(商標)L(C11~C13)、Isopar(商標)H(C11~C12)、水素添加ポリデセン、鉱油、特に水素添加鉱油若しくはホワイト油、液状ポリイソブテン、イソパラフィン系油、又は石油ゼリーが挙げられる。エーテル及びエステルとしては、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールnブチルエーテル、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、及びオクチルパルミテートが挙げられる。更なる有機希釈剤としては、脂肪、油、脂肪酸、及び脂肪族アルコールが挙げられる。混合物もまた使用してもよい。
【0097】
必要な場合、殺生物剤を組成物中で更に使用してもよい。用語「殺生物剤」は、殺菌剤、殺真菌剤、及び殺藻剤などを包含するものであることに留意されたい。本明細書に記載の組成物中で使用してもよい、有用な殺生物剤の好適な例としては、例えば:
メチル-N-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(カルベンダジム)及び他の好適なカルバメートなどのカルバメート、10,10’-オキシビスフェノキサアルシン、2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、N-(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、ジヨードメチルp-トリルスルホン、紫外線安定剤との組み合わせに適切な場合、2,6-ジ(tert-ブチル)-p-クレゾール、3-ヨード-2-プロピニル(2-propinyl)ブチルカルバメート(IPBC)、亜鉛2-ピリジンチオール=1-オキシド、トリアゾリル化合物、及び、4,5-ジクロロ-2-(n-オクチル)-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、2-(n-オクチル)4-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、及びn-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BBIT)などのイソチアゾリノンが挙げられる。他の殺生物剤としては、例えば、亜鉛ピリジンチオン、1-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-3-(1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)ペンタン-3-オール及び/又は1-[[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-イル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾールを挙げてもよい。
【0098】
殺真菌剤及び/又は殺生物剤は、適切には、組成物の総重量に基づいて0~0.3重量%の量で存在してもよく、欧州特許第2106418号などに記載されているように必要な場合には、カプセル化形態で存在してもよい。
【0099】
一般に、ポリマー(a)は、上に説明したように調製され、他の成分の添加前に少なくとも部分的に完成される。典型的には、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の他の成分を添加する前に、末端封鎖反応を完了させ、酸安定化剤/中和剤を添加し、所望であれば、末端封鎖触媒を除去する。所望であれば、本明細書に記載の末端封鎖プロセス(酸性安定化剤/中和剤を添加し、所望であれば末端封鎖触媒を除去することを含む)が完了した直後に、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の追加成分を導入してもよい。しかしながら、中和剤/安定化添加剤を添加することによる本明細書で特定される安定化効果は、末端封鎖ポリマー反応最終生成物が使用前に、数か月間貯蔵されることを可能にする。
【0100】
所望に応じて、アルコキシ末端封鎖ポリマー反応生成物は、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物中の成分(a)として使用してもよく、他の成分は、任意の好適な順序で組成物中に導入されてもよい。先に論じたように、末端封鎖反応からの過剰のポリアルコキシシランの全部又は一部を架橋剤として利用してもよく、したがって、組成物がエラストマー生成物へと硬化するのに十分な架橋剤が最終オルガノポリシロキサンエラストマー組成物中で利用可能であれば、更なる架橋剤は任意選択である。
【0101】
末端封鎖ポリマー反応最終生成物(a)に添加される第1の成分は、例えば、アルコキシ末端ポリジオルガノシロキサン(a)及び充填剤(b)を含むベースを効果的に形成するための充填剤(複数可)(b)であってもよい。次いで、他の成分を任意の好ましい添加順序で添加することができ、例えば、必要に応じて追加の架橋剤(c)を添加し、続いて硬化触媒(d)を添加し、続いて必要に応じて接着促進剤(e)を添加し、必要に応じて他の任意選択の追加成分を添加することができる。代替的には、接着促進剤(存在する場合)、追加の架橋剤(必要な場合)及び縮合硬化触媒を最初に添加し、続いて充填剤(複数可)、最後に安定剤を添加してもよい。
【0102】
本明細書に記載のプロセスは、アルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーを製造するために利用される。本明細書に記載のプロセスによって製造されるアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーは、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物に組み込まれてもよい。本組成物は、好ましくは、加熱することなく室温で硬化するという点で、室温硬化可能な組成物ではあるが、適切と考えられる場合には、加熱により硬化が促進されてもよい。
【0103】
本明細書に記載のプロセスによって製造されるアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物から調製されるオルガノポリシロキサンエラストマー組成物は、低弾性率かつ高伸長性のシーラント、接着剤、及び/又はコーティング組成物を提供するように設計され得る。低弾性率シリコーンシーラント組成物は、好ましくは「ガン塗布可能」であり、すなわち、ASTM C1183-04で測定される場合、10mL/分、あるいは10~1000mL/分、あるいは100~1000mL/分の好適な押出能力、すなわち、最小押出速度を有する。
【0104】
オルガノポリシロキサンエラストマー組成物中の成分及びそれらの量は、硬化後のシーラント材料に移動能力を付与するように選択されてもよい。移動能力は、ASTM C719-13によって測定される場合、25%より大きい、あるいは25%~50%の範囲である。
【0105】
先に説明されたようなオルガノポリシロキサンエラストマー組成物は、
(i)空間/隙間充填用途;
(ii)建設メンブレンにおけるラップ(lap)接合部の縁部を封止するなどの封止用途;又は
(iii)封止貫通用途、例えば、建設メンブレンにおけるベントを封止すること;
(iv)少なくとも2つの基材を一緒に接着すること。
(v)第1の基材、シーラント製品、及び第2の基材の積層体を生成するための2つの基材間の積層層用途、のために使用されるガン塗布可能なものであってもよい。
【0106】
上記(v)の場合、積層体における層として使用される場合、生成された積層構造体は、これらの3つの層に限定されない。硬化したシーラント及び基材の追加の層が、塗布されてもよい。ラミネート中のガン塗布可能なオルガノポリシロキサンエラストマー組成物の層は、連続的又は不連続的であり得る。
【0107】
本明細書に記載のプロセスによって製造されるアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーから調製されるオルガノポリシロキサンエラストマー組成物は、任意の好適な基材上に塗布されてもよい。好適な基材としては、以下に限定されないが、ガラス;コンクリート;煉瓦;化粧漆喰;アルミニウム、銅、金、ニッケル、ケイ素、銀、ステンレス鋼合金、及びチタンなどの金属;セラミック材料;The Dow Chemical Company(Midland、Michigan、U.S.A.)から市販されるもの、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレン修飾ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ビニルエステル、ポリフタルアミド、及びポリイミドなどのポリアミド樹脂のシンジオタクチオックポリスチレンとのブレンドなどの、エポキシ、ポリカーボネート、ポリ(ブチレンテレフタレート)樹脂、ポリアミド樹脂、及びそれらのブレンドなどの特製樹脂を含むプラスチック;紙、布、及び木材などのセルロース基材;並びにそれらの組み合わせが挙げられ得る。2つ以上の基材が使用される場合、基材が同じ材料で作製される必要はない。例えば、プラスチック及び金属基材又は木材及びプラスチック基材の積層体を形成することが、可能である。
【0108】
本明細書に記載のプロセスによって製造されるアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーから調製されるオルガノポリシロキサンエラストマー組成物の場合には、2つの基材間の空間を充填してそれらの間に封止体を形成する方法であって、
a)先に説明されたようなシリコーン組成物を用意することと、
b)シリコーン組成物を第1の基材に塗布し、第2の基材を、第1の基材に塗布されたシリコーン組成物と接触させること、又は
c)第1の基材及び第2の基材の配置によって形成された空間をシリコーン組成物で充填して、シリコーン組成物を硬化させること、のいずれかと、を含む、方法が提供される。
【0109】
一代替形態では、本明細書に記載のプロセスによって製造されるアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマーから調製されるオルガノポリシロキサンエラストマー組成物は、セルフレベリングシーラント、例えば、セルフレベリングハイウェイシーラントであってもよい。セルフレベリングシーラント組成物は、それが、保存容器から水平接合部に押し出される場合に、「セルフレベリング」であることを意味し、すなわち、シーラントは、シーラントと接合空間の側面との間に密接な接触を提供するのに十分な重力の下で流動することになる。これにより、接合面に対するシーラントの最大の接着を生じさせることができる。セルフレベリングはまた、水平接合部及び垂直接合部の両方で使用するように設計されたシーラントが必要とするように、シーラントを接合部の中に入れた後にシーラントを道具を使用して細工する必要性を排除する。したがって、シーラントは、塗布時に亀裂を充填するのに十分に良く流動する。シーラントは、重力の下で十分な流動を有する場合、不規則な亀裂壁の側面との密接な接触を形成し、良好な結合を形成することになるが、亀裂側壁と接触するように機械的に力を加えるために、クラックへ押し出された後にシーラントを道具を使用して細工する必要はない。
【0110】
本明細書に記載されるセルフレベリング組成物は、アスファルト舗装の封止における機能に必要な特性の独特な組み合わせを有するシーラントとして有用である。アスファルト舗装材料は、20.32cmなどのかなりの厚さの材料を積み上げることによってアスファルトハイウェイを形成するために、かつ10.16cmなどの厚さの層で覆うことによって劣化したコンクリートハイウェイを修復するために使用される。アスファルトの上塗りは、反射亀裂として知られる現象を受ける。この現象では、コンクリート中に存在する接合部で、下地にあるコンクリートの移動によってアスファルト上塗り中に亀裂が形成される。この反射亀裂は、亀裂への水の浸入を防ぐため封止する必要があり、この亀裂は、水が凍結して膨張した場合に、アスファルト舗装道路を更に破壊することになる。
【0111】
任意の理由、例えば、熱膨張及び収縮による移動に曝される亀裂に対する有効な封止を形成するため、封止材料を亀裂の側壁の界面に結合させなければならず、この封止材料は、亀裂が圧縮及び膨張するときに凝集破壊してはならない。アスファルト舗装の場合、シーラントは、界面でアスファルトに、アスファルト自体を破壊させるのに十分なひずみを発揮してはならず;すなわち、シーラントの弾性率は、結合線に加えられた応力がアスファルトの降伏強度を十分に下回るように、十分に低くなければならない。
【0112】
そのような事例では、硬化した材料の弾性率は、アスファルトを凝集破壊させるのに十分な力をアスファルトに対して発揮しないように、十分に低く設計される。硬化した材料は、張力下に置かれたとき、張力により生じた応力のレベルが時間と共に低下し、伸びが高度の場合でさえも接合部が高応力レベルに曝されないようなものである。
【0113】
あるいは、本明細書に記載のプロセスによって製造されるアルコキシ末端ポリジオルガノシロキサンポリマー反応最終生成物から調製されるシリコーンシーラント組成物は、エラストマーコーティング組成物として、例えば、建築材料のためのバリアコーティングとして、又は屋根のための耐候性コーティングとして利用されてもよく、組成物は、塗料と異ならない粘度を有してもよく、それによって、例えば、ブラシ、ローラー又はスプレーガンなどによる塗布を可能にする。本明細書に記載のコーティング組成物は、基材に塗工すると、通常の動きの状況下で、空気及び水の浸透、季節的な熱膨張及び/又は収縮、及び紫外線や天候に対し、長期にわたる保護を基材に与えるように設計され得る。
【0114】
実施例:
全ての粘度測定は、スピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa・sの範囲の粘度用に設計)を備えたBrookfield(登録商標)回転粘度計を用い、速度をポリマー粘度に応じて適合させて行われ、別段の指示がない限り、測定は25℃で行った。
【0115】
【0116】
表1に示したポリマー1は、約50,000mPa・sの粘度を有するジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンであり、以下に記載する反応中にアルコキシ末端封鎖された。TBDは、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンであった。Polyvest(登録商標)MA75は、Evonik Corporationから入手し、製造業者のデータシートにおいて「ポリマー鎖に沿ってランダムに分布した無水コハク酸基を有する低分子量1,4-シス液体ポリブタジエンの無水マレイン酸官能化付加物」として定義されている。
【0117】
アルコキシ末端封鎖反応は、高速ミキサー中で以下のプロセスを用いて行った:
1)TBD末端封鎖触媒をメチルトリメトキシシランに溶解して末端封鎖触媒溶液を調製することにより、メチルトリメトキシシラン中、TBD末端封鎖触媒の1重量%溶液を最初に調製し;
2)次に、ポリマー、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、及び触媒溶液を高速ミキサー混合カップに導入し、約2500rpmの速度で、20秒間を2回混合し;
3)次に、工程2から得られた混合物を室温で30分間反応させ、末端封鎖反応が完了したことを確認し;
4)オレイン酸又はPolyvest(登録商標)MA75が存在する場合、それらを次に工程(3)の反応生成物に添加し、約2500rpmの速度で、20秒間を2回混合した。
【0118】
上記プロセスからのアルコキシ末端封鎖化ポリマー反応生成物の粘度の変動を経時的に評価して、調製された各アルコキシ末端封鎖化ポリマー生成物の安定性のレベルがどれだけ長いかを決定した。粘度試験は、コーン52を備えたBrookfield DVIII Ultraを用いて、5rpmで1分間行った。組成物を混合し、室温(約25℃)で測定した。結果を以下の表2に示す。
【0119】
【0120】
表2から分かるように、0.1重量%以上のオレイン酸又はPolyvest(登録商標)MA75を含有する組成物は、室温で5か月間エージングした後でも安定なままであった。しかしながら、本明細書に説明されるようには安定化されなかった比較例では、安定であったのは数日間のみであったことが判明した。
【0121】
以下では、シラノールポリマーのアルコキシ末端封鎖の調製から始まり、得られたポリマー反応最終生成物を、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物のためのポリマーと架橋剤との混合物として使用する連続プロセスが提供される。表3a及び表3b中の成分は、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物の全ての成分の総組成が合計で、その組成物の最大100重量%になるように提供される。
【0122】
【0123】
表3aで使用した可塑剤は、25℃で100mPa・sの粘度を有するトリメチル末端ポリジメチルシロキサンであった。
【0124】
表3aの成分を使用したアルコキシ末端封鎖反応を、高速ミキサー中で以下のプロセスを使用して行った:。
1)TBD末端封鎖触媒をメチルトリメトキシシランに溶解して末端封鎖触媒溶液を調製することにより、メチルトリメトキシシラン中のTBD末端封鎖触媒の1重量%溶液を最初に調製し、次にビニルトリメトキシシランを添加して、末端封鎖触媒溶液を提供し;
2)ポリマーと可塑剤とを、10リットルのTurelloミキサー中で約400rpmで混合し;
3)次に、キャッピング触媒混合物を、上記の工程2から得られた混合物中に導入し、次いで、この組み合わせを室温で15分間、400rpmで撹拌し;
4)15分間混合した後、オレイン酸などの中和剤/安定化剤を混合物に添加し、混合して、先に説明されたような安定化されたアルコキシ末端封鎖ポリマー反応最終生成物を得た。
【0125】
これらの例において、上記は、オルガノポリシロキサンエラストマー組成物を調製するための連続プロセスの第1の部分を形成した。組成物中の残りの成分を表3bに示す。
【0126】
【0127】
Tyzor(登録商標)PITA SMは、メチルトリメトキシシラン中のジイソプロポキシ-ビスエチルアセトアセタトチタネートのブレンド(20/80重量比)であり、Dorf Ketal Chemicals,LLCから市販されている。上記の実施例5において、依拠した安定化剤/中和剤は、自然状態では弱酸性であるヒュームドシリカであるが、この事例では、連続プロセスのために、充填剤を導入する前に、縮合硬化触媒及び接着促進剤(存在する場合)を導入することが好ましかった。誤解を避けるために言えば、ジメチルビス(N-エチルアセトアミド)シランは、鎖延長剤である。
【0128】
上記のアルコキシ末端封鎖反応の生成物を利用して一液型オルガノポリシロキサンエラストマー組成物を生成するために、以下の更なる工程を行った:-
5)縮合硬化触媒及び接着促進剤(複数可)を予備混合して混合物2を形成し;
6)工程4(上記)が完了したとき、混合物2をミキサーに導入し、全てを更に5分間混合し;
7)次いで充填剤を添加した。これらは実施例4並びに比較例2及び3の炭酸カルシウム(複数可)であったが、実施例5の場合には、ヒュームドシリカを炭酸カルシウムと組み合わせて添加し、その酸性の性質に依存して、アルコキシ末端封鎖プロセスからのTBD末端封鎖触媒を中和及び安定化させた。充填剤をポットに徐々に添加し;
8)充填剤を完全に混合した後、ヘキサメチルジシラザンを加え;
9)次いで、組成物を真空下で10分間更に混合し、その後、最終的な一液型オルガノポリシロキサンエラストマー組成物を包装した。
【0129】
次いで、上記のプロセスによって調製された最終一液型オルガノポリシロキサンエラストマー組成物を、最初に50℃で2週間エージングした後、また50℃で4週間エージングした後に、それらの一般的な物理的特性について評価し、結果をそれぞれ表4a、表4b、及び表4cに示す。
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
表4a、表4b、及び表4cから分かるように、0.1%以上のオレイン酸を含む場合、又は実施例5の場合には、実施例4及び実施例5による一液型オルガノポリシロキサンエラストマー組成物中の中和剤/安定化剤としてのヒュームドシリカ、アルコキシ末端封鎖反応の完了後に添加される少量の酸性中和剤/安定化剤により、安定な一液型オルガノポリシロキサンエラストマー組成物は、かなり良好な貯蔵寿命を有することが、実施例4及び実施例5の場合に明らかであった。一方、比較例は、非常に劣った貯蔵寿命を示した。50℃で2週間エージングすると、押出速度は著しく増加し、試料はそれ以上硬化しなかった。