(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】試験装置および試験方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H04Q9/00 311W
(21)【出願番号】P 2023557883
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 JP2021040564
(87)【国際公開番号】W WO2023079615
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2023-12-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 一生
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-149205(JP,A)
【文献】特開2014-81708(JP,A)
【文献】特開2020-21109(JP,A)
【文献】国際公開第2018/172611(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置を介して、設備と監視装置との間で入出力される入出力信号の信号試験を行う試験装置であって、
模擬信号を用いて前記信号試験を行う制御部を備え、
前記模擬信号は、試験項目に基づき、前記信号試験のために生成される信号であり、
前記試験項目は、前記入出力信号に関する信号情報に基づき生成される項目であり、
前記模擬信号は、前記設備から出力される信号を模擬した設備模擬信号と、前記監視装置から送信される信号を模擬した監視模擬信号とを含み、
前記端末装置は、前記設備との間の信号を入出力するための端子を含み、
前記試験装置は、
前記信号試験を信号ごとに行うために前記端子と接続する一対のプローブと、
前記一対のプローブを介して前記端子に対して前記設備模擬信号を出力し、または
前記一対のプローブを介して前記端子から監視対応信号を入力する信号入出力部と、
前記監視模擬信号を送信し、または設備対応信号を受信する通信部とをさらに備え、
前記監視対応信号は、前記監視模擬信号に対応する信号であって、前記設備に入力される信号であり、
前記設備対応信号は、前記設備模擬信号に対応する信号であって、前記監視装置に受信される信号であり、
前記制御部は、
入力された前記監視対応信号が正常か否かを判定し、
受信された前記設備対応信号が正常か否かを判定する、試験装置。
【請求項2】
前記信号入出力部は、
前記監視対応信号を入力するための入力モードと、前記設備模擬信号を出力するための出力モードとのいずれかにモードを切り替え可能であり、
前記モードが前記入力モードであるときは、前記端子に接続された前記
一対のプローブを介して、前記端末装置から前記監視対応信号を入力可能であり、
前記モードが前記出力モードであるときは、前記端子に接続された前記
一対のプローブを介して、前記端末装置に対して前記設備模擬信号を出力可能である、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記試験装置は、音声を入出力する音声入出力部をさらに備え、
前記音声入出力部は、前記試験項目に基づき、前記信号試験の進行に関する音声を出力し、
前記制御部は、前記音声入出力部に入力された入力音声に基づき、前記信号試験を進行する、請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記信号情報は、少なくとも、前記入出力信号の名称と、前記入出力信号の出力範囲と、前記入出力信号に対応した前記端子を特定する情報とを含み、
前記入出力信号は、複数の信号を含み、
前記信号試験の進行に関する音声は、前記複数の信号のうち指定された信号に対応する前記端子に前記
一対のプローブを接触させるよう指示する音声と、前記指定された信号の判定結果を報知する音声と、前記信号試験の終了を報知する音声とを含み、
前記入力音声は、前記指定された信号の試験を開始するための音声と、前記指定された信号の次の信号を指定するための音声とを含む、請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
前記試験装置は、
画像を表示する表示部と、
ユーザからの入力を受け付ける受付部をさらに備え、
前記表示部は、前記試験項目に基づき、前記信号試験の進行に関する画像を表示し、
前記制御部は、前記受付部によって受け付けられた入力に基づき、前記信号試験を進行する、請求項2に記載の試験装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記信号試験が終了したときに、前記信号試験の結果を出力する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項7】
端末装置を介して、設備と監視装置との間で入出力される入出力信号の信号試験を行う試験方法であって、
模擬信号を用いて前記信号試験を行うステップを含み、
前記模擬信号は、試験項目に基づき、前記信号試験のために生成される信号であり、
前記試験項目は、前記設備と前記監視装置との間で入出力される信号に関する信号情報に基づき生成される項目であり、
前記模擬信号は、前記設備から出力される信号を模擬した設備模擬信号と、前記監視装置から送信される信号を模擬した監視模擬信号とを含み、
前記端末装置は、前記設備との間の信号を入出力するための端子を含み、
前記試験方法は、
前記信号試験を信号ごとに行うために前記端子と接続する一対のプローブを介して前記端子に対して前記設備模擬信号を出力し、または
前記一対のプローブを介して前記端子から監視対応信号を入力するステップと、
前記監視模擬信号を送信し、または設備対応信号を受信するステップとをさらに含み、
前記監視対応信号は、前記監視模擬信号に対応する信号であって、前記設備に入力される信号であり、
前記設備対応信号は、前記設備模擬信号に対応する信号であって、前記監視装置に受信される信号であり、
前記試験方法は、
入力された前記監視対応信号が正常か否かを判定するステップと、
受信された前記設備対応信号が正常か否かを判定するステップとをさらに含む、試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末装置を介して、設備と監視装置との間で入出力される入出力信号の信号試験を行う試験装置および試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場やビル内に設置された空調機器や照明機器などの各種設備を、監視装置において監視および制御する場合、たとえば、PLC(Programmable Logic Controller)で構成された端末装置を介して、監視装置と設備との間の信号が入出力される。
【0003】
このような入出力信号の信号試験を実施する場合、信号の入力作業を行い、出力された信号を確認して入出力に不整合がないかを確認する作業を行う。こうした信号試験を自動で行うものとして、たとえば、特開平11-46388号公報(特許文献1)に記載のインターフェイス試験装置が挙げられる。このインターフェイス試験装置では、対象となる装置に対して信号を入力し、その出力が妥当であるかを自動判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のインターフェイス試験装置は、主に、対象となる装置内部のソフトウェア処理に関して入出力データが妥当であるかを確認するものである。一方、設備と監視装置との間には端末装置等の装置やこれらの配線まで含めたハードウェアが介在している。たとえば、端末装置の入出力カードに故障がないか、入出力カードの端子と信号の割当にミスがないか、端子台に不具合がないか等、システム全体として正常に動作しているかを確認するためには、ソフトウェアのみならずハードウェアも含めて総合的に試験を実施すべきである。
【0006】
このように総合的に試験を行う場合、たとえば、1人の作業者が端末装置の端子に1点ずつ電流などの模擬信号を入力し、もう1人の作業者がその結果を監視装置の画面上の表示などにより確認し、入出力に不整合がないかを結果として記録する。
【0007】
この場合、最低2人の作業者が拘束されることや、試験中に行った記録を試験結果表として作り直す必要があるなど、作業者の負担が重い上、作業者間の認識のずれによる評価ミスも発生しやすい。また、端末装置の端子に入力する模擬信号は、複数の種類がある機器から該当信号に適した機器を選択して入力操作を行う必要があるため、ある程度の熟練度も必要とされる。
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、設備と監視装置との間の信号試験に関し、作業効率および品質を向上させることができる試験装置および試験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る試験装置は、端末装置を介して、設備と監視装置との間で入出力される入出力信号の信号試験を行う装置である。試験装置は、模擬信号を用いて信号試験を行う制御部を備える。模擬信号は、試験項目に基づき、信号試験のために生成される信号である。試験項目は、入出力信号に関する信号情報に基づき生成される項目である。模擬信号は、設備から出力される信号を模擬した設備模擬信号と、監視装置から送信される信号を模擬した監視模擬信号とを含む。端末装置は、設備との間の信号を入出力するための端子を含む。試験装置は、信号入出力部と、通信部とをさらに備える。信号入出力部は、端子に対して設備模擬信号を出力し、または端子から監視対応信号を入力する。通信部は、監視模擬信号を送信し、または設備対応信号を受信する。監視対応信号は、監視模擬信号に対応する信号であって、設備に入力される信号である。設備対応信号は、設備模擬信号に対応する信号であって、監視装置に受信される信号である。制御部は、入力された監視対応信号が正常か否かを判定する。制御部は、受信された設備対応信号が正常か否かを判定する。
【0010】
本開示に係る試験方法は、端末装置を介して、設備と監視装置との間で入出力される入出力信号の信号試験を行う試験方法である。試験方法は、模擬信号を用いて信号試験を行うステップを含む。模擬信号は、試験項目に基づき、信号試験のために生成される信号である。試験項目は、設備と監視装置との間で入出力される信号に関する信号情報に基づき生成される項目である。模擬信号は、設備から出力される信号を模擬した設備模擬信号と、監視装置から送信される信号を模擬した監視模擬信号とを含む。端末装置は、設備との間の信号を入出力するための端子を含む。試験方法は、設備模擬信号を出力し、または監視対応信号を入力するステップと、端子に対して監視模擬信号を送信し、または端子から設備対応信号を受信するステップとをさらに含む。監視対応信号は、監視模擬信号に対応する信号であって、設備に入力される信号である。設備対応信号は、設備模擬信号に対応する信号であって、監視装置に受信される信号である。試験方法は、入力された監視対応信号が正常か否かを判定するステップと、受信された設備対応信号が正常か否かを判定するステップとをさらに含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、設備と監視装置との間の信号試験に関し、作業効率および品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】ビル管理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図1B】ビル管理システムおよび試験装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】端末装置と設備との接続について説明するための図である。
【
図5】本実施の形態に係る試験方法を説明するための図である。
【
図9】入出力カード情報を説明するための図である。
【
図10】試験装置での表示例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
[ビル管理システム1および試験装置10]
図1Aは、ビル管理システム1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図1Bは、ビル管理システム1および試験装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施の形態においては、ビル管理システム1に試験装置10および試験に用いる中継装置20を接続して、ビル管理システム1内において入出力される信号の信号試験を行う。
【0015】
図1Aに示すように、ビル管理システム1は、監視装置(「中央監視装置」とも称する)100と、コントローラ210,220と、端末装置310,320と、設備410,420とを少なくとも備える。ビル管理システム1は、ビル内に設置される各種設備を管理するシステムである。
【0016】
本実施の形態においては、設備410は、空調設備である。設備420は、その他の設備である。設備420は、照明設備であってもよいし、空調設備であってもよい。また、本例はあくまでビル管理システム1の一例であり、コントローラ、端末装置、設備の台数はこれに限らず、これらがどのように構成されてもよい。
【0017】
ビル管理システム1においては、設備410,420から出力される各種信号が最終的に監視装置100に収集され、監視装置100において収集された各種信号を監視することができる。また、監視装置100が送信する各種信号は、設備410,420に入力され、設備410,420を制御する。
【0018】
監視装置100は、コントローラ210,220と通信可能に構成されている。コントローラ210は、端末装置310,320のそれぞれと通信可能に構成されている。端末装置310は、設備410と信号線(配線)で接続(結線)されている。端末装置320は、設備420と信号線(配線)で接続(結線)されている。
【0019】
なお、図示しないが、コントローラ220も端末装置と通信可能に構成され、この端末装置も設備と信号線(配線)で接続(結線)されている。本実施の形態では、各端末装置には、端末装置番号が割り振られている。端末装置310は、端末装置番号=1であり、端末装置320は、端末装置番号=2である。
【0020】
本実施の形態において、コントローラ210,220は、ビル管理システム用コントローラ、またはPLC(Programmable Logic Controller)である。コントローラ210,220は、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)と通信インターフェイスとを備える。
【0021】
コントローラ210は、通信インターフェイスを介して、監視装置100および端末装置310,320と通信する。コントローラ220も同様である。本実施の形態において、端末装置310,320は、CPUとROMとRAMと通信インターフェイスと入出力カードとを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。端末装置310は、入出力カードを介して、設備410の信号を入出力する(詳細は後述する)。端末装置320も、入出力カードを介して、設備420の信号を入出力する。
【0022】
監視装置100は、コントローラ210等から設備410等の状態を収集し、ユーザが設備410等の監視・制御を行うユーザインターフェースを提供する。コントローラ210等は、端末装置310等が取得した設備410等の状態を集約し、ネットワークを介して、監視装置100に伝達する。一方、制御は、監視装置100、コントローラ210等、端末装置310等、設備410等の方向に伝達される。
【0023】
端末装置310等は、設備410等の状態信号や制御信号を物理的に接続する端子を持ち、端子から入力された設備410等の状態をコントローラ210等に伝達する。日本国内では、監視装置100およびコントローラ210等の間の通信は、標準規格BACnet(Building Automation and Control Networking protocol)が採用され、監視装置100に様々なメーカーのコントローラを接続することができる。一方で、コントローラと端末装置間の通信は、メーカー独自の専用通信を採用されている。
【0024】
以下、
図1Bを用いて、信号試験を行う際の機器構成について説明する。本実施の形態においては、信号試験の一例として、監視装置100と設備410(空調設備)との間の試験を行うものとする。
図1Bに示すように、信号試験時においては、設備410を模擬する装置として試験装置10を端末装置310と接続するため、設備410は端末装置310と接続しない。同様に、設備420も端末装置320と接続しなくてもよい。このため、設備410等がない状態(たとえば、出荷前の工場や事務所等)において信号試験を行うことができる。試験装置10は、端末装置310とコントローラ210を介して、設備410と監視装置100との間で入出力される入出力信号の信号試験を行う。
【0025】
試験装置10は、試験装置10から模擬信号を入出力することで信号試験を行う。試験を行う際には、監視装置100とコントローラ210との間に、中継装置20を設置する。
【0026】
中継装置20は、試験装置10と通信可能に接続される。これにより、監視装置100に対する入出力信号を、試験装置10側でも取得することができる。また、試験装置10から、監視装置100から出力する信号の模擬信号を送信することができる。つまり、試験装置10は、監視装置100を模擬する装置として機能することができる。
【0027】
また、試験装置10は端末装置310と接続可能である。これにより、端末装置310に対する入出力信号を試験装置10側で取得することができる。また、試験装置10から、設備410から出力する信号の模擬信号を送信することができる。つまり、試験装置10は、設備410を模擬する装置としても機能することができる。模擬信号の詳細については、
図2以降を用いて詳細に説明する。
【0028】
[試験装置10]
図2は、試験装置10の機能ブロック図である。試験装置10は、プローブ31と、信号入出力部41と、音声入出力部42と、表示部43と、通信部44と、CPU45と、メモリ46と、ファイル処理部47とを備える。
【0029】
本実施の形態において、試験装置10は、マイコン(マイクロコンピュータ)によって構成された装置である。なお、これに限らず、試験装置10は、デスクトップコンピュータ、ノートパソコン等であってもよい。
【0030】
CPU45は、試験装置10全体を総括的に制御する。なお、CPU45は、本開示に係る「制御部」に相当する。ただし、本開示に係る「制御部」は、これに限定されるものではなく、CPU45およびメモリを含んだモジュールであってもよく、これらが実装された基板であってもよく、CPU45が実行するソフトウェアの処理であってもよい。メモリは、ROM、RAMおよび記憶装置を含む。記憶装置は、HDDやSSD等の不揮発性の記憶装置である。CPU45は、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMは、試験装置10の処理手順が記されたプログラムを格納する。RAMは、CPU45がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
【0031】
通信部44は、中継装置20と通信するためのインターフェイスである。表示部43は、各種情報画像を表示する液晶表示器(後述の
図10)である。表示部43は、ユーザからの入力を受け付ける受付部50を備える。受付部50は、タッチパネルにより構成されるが、キーボードやマウスであってもよい。
【0032】
プローブ31は、端末装置310の端子台(
図3の端子台312~315)の端子(+側と-側)と接続して使用する。信号入出力部41は、プローブ31を介して、端末装置310から出力される信号を取得すること、あるいは、端末装置310に対して信号を出力することができる。
【0033】
音声入出力部42は、音声を入出力可能である。具体的には、信号試験を進行するために、ユーザが発する音声を入力すること、あるいは、ユーザに対して音声による報知を行うことができる。
【0034】
ファイル処理部47は、データファイルの入出力処理を行う。具体的には、試験項目を作成するための信号-端子相対表(以下、単に「相対表」とも称する)91(後述)の読み込み、信号試験の結果である試験結果91の出力を行う。
【0035】
図3は、端末装置310と設備410との接続について説明するための図である。設備410の状態は、たとえば、無電圧接点、有電圧接点、電流、電圧、抵抗の信号種で設備410側から提供される。一方、監視装置100からの制御は、たとえば、無電圧接点、有電圧接点、電流の信号種で設備410側に出力する。端末装置310は、状態や制御の信号種に対応した入出力カードを実装し、該当信号の取込みおよび出力を行う。一般的に、端末装置310には複数種の入出力カードを実装できる場合が多い。
【0036】
空調設備の監視および制御を行う場合、空調設備の運転状態と故障状態は無電圧接点、冷房運転か暖房運転かを表す運転モードは無電圧接点、給気温度と吸込み温度は電流、空調設備への制御指令はONとOFFで各々無電圧接点(パルス)、温度設定は電流、とした場合、端末装置への入力は、無電圧接点×3点、電流×2点、端末装置からの出力は、無電圧接点(パルス)×2点、電流×1点となり、入力カード2種と出力カード2種の計4種類の入出力カードが端末装置に実装されることになる。
【0037】
図3に示すように、端末装置310は、端末装置の本体となる本体部311と、入出力カード部とを備える。本実施の形態では、入出力カード部は、デジタル信号を入力(無電圧接点入力)するためのデジタル入力(「DI」とも称する)カードと、アナログ信号を入力(電流入力)するためのアナログ入力(「AI」とも称する)カードと、デジタル信号を出力(無電圧出力接点(パルス))するためのデジタル出力(「DO」とも称する)カードと、アナログ信号を出力(電流出力)するためのアナログ出力(「AI」とも称する)カードとで構成される。以下、信号種は、DI、AI、DO、AOによっても表される。
【0038】
入出力カードは、各々端子台を有している。端子台は、複数の端子を有する。各端子には、端子番号が割り振られている。具体的には、DIカードは、端子台312に割り振られている。AIカードは、端子台313に割り振られている。DOカードは、端子台314に割り振られている。AOカードは、端子台315に割り振られている。端子台312~315の各端子は、設備410と信号線で接続されている。
【0039】
本実施の形態では、各入出力カードを実装するスロットには、スロット番号が割り振られている。スロット番号=1のスロットには、DIカードが実装されている。スロット番号=2のスロットには、AIカードが実装されている。スロット番号=3のスロットには、DOカードが実装されている。スロット番号=4のスロットには、AOカードが実装されている。
【0040】
設備410は、端子台312の端子を介して端末装置310にデジタル信号を入力する。設備410は、端子台313の端子を介して端末装置310にアナログ信号を入力する。端末装置310は、端子台314の端子を介して設備410にデジタル信号を出力する。端末装置310は、端子台315の端子を介して設備410にアナログ信号を出力する。信号1点につき信号線2本(+側の信号線および-側の信号線)が接続され、信号線は端子台の端子にネジ止めされる。
【0041】
端末装置310に入力される信号は、最終的に監視装置100で取得される。設備410に入力される信号は、端末装置310を介して監視装置100から出力される信号である。これらの設備410に対して入出力される信号は、プローブ31を介して、信号入出力部41により入出力することができる。
【0042】
[従来の試験方法]
本実施の形態における試験方法を説明する前に、まず、従来行われてきた試験方法について説明する。
図4は、従来の試験方法を説明するための図である。
【0043】
図4に示すように、
図1B同様、監視装置100と、コントローラ210と、端末装置310とが接続されている。
【0044】
監視装置100には、集合データ(
図8参照)が登録されており、これを用いて設備410の監視および制御を行う。集合データは、コントローラメーカーから提供される個別の信号情報を定義したデータである。この集合データには、端末装置310の入出力カードの端子等の設定情報は含まれていない。この端子等の設定情報は、入出力カード情報(
図9参照)としてコントローラ側で登録されている。たとえば、一度集合データを構築した後、監視する設備の信号数や信号種などが変更されたとする。このとき、端末装置310の入出力カード情報は変更を反映したが、監視装置100に変更後の集合データを渡していない場合などに、監視装置100と端末装置310での不整合が発生する。
【0045】
このため、実際の設備を接続する前に、このような不整合が発生していないことを確認する信号試験を行っている。たとえば、出荷前に工場において全点の信号(全台の空調設備の信号)を確認することで、めったに発生しない重要な設備の故障が発生であっても監視できることが担保できる。また、実際に、ビルに設置して設備を接続した際に行う統合試験においても、すでに模擬信号による全点試験を実施しているため、代表設備(設置する空調設備のうちのいくつかの空調設備)での統合試験で済ますことも可能となり、工期の短縮を図ることも可能となる。
【0046】
試験では実際に納入する装置を使用し、データの不整合だけではなく、装置自体に異常がないかも確認する。そのため、データ上での照合ではなく、実際に端末装置310の入出力カードの端子に模擬信号を入力して監視装置100に正しく表示されることを確認していく。
【0047】
信号試験においては、端末装置310の入出力カードの端子に信号を入力したり、端子からの信号を計測したりするには、入出力カード種に合った機器を使用する。たとえば、入出力カード種が「無電圧接点入力」である場合には、主な試験用機器として「短絡線」を使用する。入出力カード種が「有電圧接点入力」である場合には、主な試験用機器として「電流/電圧発生器」を使用する。
【0048】
同様に、入出力カード種と機器との組合せとしては、「電流入力」に対して「電流/電圧発生器」、「電圧入力」に対して「電流/電圧発生器」、「温度抵抗入力」に対して「測温抵抗体キャリブレータ」、「無電圧接点出力」に対して「電圧/導通計測器(テスター)」、「有電圧接点出力」に対して「電圧/導通計測器(テスター)」、「電流出力」に対して「電流計測器」が使用される。
【0049】
以下、信号試験の具体的な手順の例を説明する。たとえば、有電圧接点入力の試験について説明する。第1に、作業者11が作業者12に「空調設備No.1運転状態」信号(
図8,9を用いて後述)がOFFであることを確認し、OFFからONにする試験を行うことを連絡する。第2に、作業者11が端末装置310の入出力カード上にある「空調設備No.1運転状態」信号に該当する端子に電流/電圧発生器81を接続し電圧をかける。第3に、作業者12が監視装置100の監視画面120で「空調設備No.1運転状態」信号がOFFからONに変更されたことを確認し、試験結果の記録票にOFFからONへの変更を確認したことを記録する。第4に、作業者12が作業者11に「空調設備No.1運転状態」信号がOFFからONへの変更を確認したことを連絡する。
【0050】
第5に、作業者11が作業者12に「空調設備No.1運転状態」信号をONからOFFにする試験を行うことを連絡する。第6に、作業者11が端末装置310の入出力カード上にある「空調設備No.1運転状態」信号に該当する端子に接続した電流/電圧発生器81を停止した後、端子から外す。第7に、作業者12が監視装置100の監視画面120で「空調設備No.1運転状態」信号がONからOFFに変更されたことを確認し、試験結果の記録票にONからOFFへの変更を確認したことを記録する。最後に、作業者12が作業者11に「空調設備No.1運転状態」信号がONからOFFへの変更を確認したことを連絡する。
【0051】
図4の例では、作業者11が「空調設備No.1給気温度」信号を電流/電圧発生器81から出力する試験を行っている。ここでは、当該信号に該当する端子台313の端子に電流/電圧発生器81を接続し、「12mA」の電流を出力している。これに対し、作業者12は、監視装置100の監視画面120で、空調設備の項目において、「12mA」に対応する給気温度「25℃」が表示されているか否かを確認している。なお、ここでは、「状態」、「モード」、「吸込温度」の項目については表示がない。
【0052】
また、電流出力の試験について説明する。第1に、作業者12が作業者11に「空調設備No.1温度設定」信号の現在値を連絡するとともに変更する試験を行うことを伝える。第2に、作業者11は、端末装置310の入出力カードの該当端子に電流計測器を接続し、現在の電流値を記録する。第3に、作業者12が監視装置100の監視画面120で「空調設備No.1温度設定」信号を現在値と異なる値に変更する(たとえば、最小値、中央値、最大値の最低3回の試験を行う)。第4に、作業者11は該当端子の電流値が別の値に変更されたことを確認し記録する。第5に、作業者11は作業者12に該当端子が変更されたことを連絡する(電流値を温度に換算して電流値が妥当であることを確認できるとよい)。
【0053】
このような試験を行った場合、最低2人の作業者が拘束される。作業者11は、端子への入力機器や計測器などの取扱いに熟知している必要がある。作業12は、監視装置100の取扱いに熟知している必要がある(たとえば、空調機がON状態で画面上の空調機を示すシンボルが緑色に変化し、空調機がOFF状態で赤色に変化する等)。また、作業者11,12は、電流値から温度などへの換算をある程度熟知し、試験結果を妥当だと判断できる必要があり、監視装置100側の信号と端末装置310側の端子とのつながりを認識している必要がある。また、試験時の手書きの記録から試験結果表を作成する際に転記ミスなどが発生する虞がある。このように、従来の試験方法では、装置等の取り扱いを熟知した作業者が必要である上に、作業負担が重く、作業ミスがないように慎重に試験を実施する必要があった。
【0054】
[実施の形態に係る試験方法]
これに対して、本実施の形態に係る試験方法は、上記問題を解決した上で、試験の作業効率および品質を向上させるものである。
【0055】
本試験装置10では、監視装置100と端末装置310との間の試験を熟練者ではない作業者が一人で行うことができる。また、音声出力、音声入力によりハンズフリーで1人で試験進行が可能である。さらに、熟練が必要な計測機器等の機能を集約している(プローブ31および信号入出力部41で実現するモード切替機能)ため、個々の機器の操作を習得する必要がない。また、標準化されているインターフェース(BACnet、端子)から情報を取得し、コントローラ210や端末装置310における特殊な機能が必要とならないため、既存の装置にも本実施の形態の構成を適用可能である。
【0056】
以下、詳細に説明する。
図5は、本実施の形態に係る試験方法を説明するための図である。本実施の形態において、入出力信号に関する信号情報に基づき試験項目が生成される。信号試験は、試験項目に基づき信号試験のために生成される模擬信号を用いて行われる。信号情報については、後述する。
【0057】
模擬信号は、設備410から出力される信号を模擬した設備模擬信号と、監視装置100から送信される信号を模擬した監視模擬信号とを含む。
【0058】
試験装置10の信号入出力部41は、端子に対して設備模擬信号を出力するための出力モードと、端子からの監視対応信号を入力するための入力モードとのいずれかにモードを切り替え可能である。信号入出力部41は、モードが出力モードであるときは、端子台312~315の端子に接続されたプローブを介して、端末装置310に対して設備模擬信号(たとえば、空調機の給気温度として「12mA」の電流)を出力可能である。
【0059】
端末装置310は、設備模擬信号が入力されると、コントローラ210を介して、設備模擬信号がデジタル信号に変換された設備対応信号が、監視装置100に送信される(たとえば、空調機の給気温度として「12mA」の電流に対応した「25℃」に変換して送信する)。設備対応信号は、設備模擬信号に対応する信号であって、監視装置100に受信される信号である。試験装置10の通信部44は、中継装置20を介して、設備対応信号を受信可能である。
【0060】
CPU45は、出力された設備模擬信号に対して、受信した設備対応信号が正常であるか否かを確認する。これにより、信号試験を行うことができる。本例では、試験装置10が「12mA」の電流を出力し、最終的に、試験装置10に「25℃」のデータが受信されたか否かを判定する信号試験が実施される。
【0061】
一方、通信部44は、監視模擬信号を送信可能である。これにより、監視装置100から信号を送信せずともこれに相当した信号を監視模擬信号をして送信することができる。監視模擬信号は、中継装置20を経由し、コントローラ210を介して、監視対応信号に変換されて端末装置310に送信される(たとえば、空調機の設定温度「25℃」は「12mA」に変換されて送信される)。
【0062】
監視対応信号は、監視模擬信号に対応する信号であって、設備410に入力される信号である。信号入出力部41は、モードが入力モードであるときは、端子台312~315の端子に接続されたプローブ31を介して、端末装置310から監視対応信号を入力可能である。
【0063】
CPU45は、送信した監視模擬信号に対して、入力された監視対応信号が正常であるか否かを確認する。これにより、信号試験を行うことができる。本例では、試験装置10が「25℃」のデータを送信し、最終的に、試験装置10に「12mA」の電流が入力されたか否かを判定する信号試験が実施される。
【0064】
[フローチャート]
以下、フローチャート等を用いて詳細に説明する。
図6は、CPU45が実行するメイン処理のフローチャートである。メイン処理は、信号試験を実行する処理である。メイン処理は、たとえば、試験装置10において、ユーザからの指示に基づき起動するようにすればよい。以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。
【0065】
メイン処理を開始すると、CPU45は、S10において、集合データおよび入出力カード情報から相対表を生成し、相対表から試験順信号一覧を生成する。まず、集合データおよび入出力カード情報について、
図8,
図9を用いて説明する。
【0066】
図8は、集合データを説明するための図である。集合データは、オブジェクト名称に、インスタンス番号、不活性テキスト、活性テキスト等が対応付けられたデータ群である。
【0067】
本実施の形態では、各入出力信号には、信号名称がつけられている。たとえば、空調機No.1の運転状態を示す信号の信号名称は、「空調機No.1運転状態」である。また、空調機No.1の運転指令を示す信号の信号名称は、「空調機No.1運転指令(運転)」と「空調機No.1運転指令(停止)」とがある。前者は運転指令があったときに出力される信号であり、後者は停止指令があったときに出力される信号である。
【0068】
オブジェクト名称は、信号名称に対応した名称である。オブジェクト名称は、項目ごとに名称がつけられており、たとえば、信号名称「空調機No.1運転指令(運転)」および「空調機No.1運転指令(停止)」のオブジェクト名称は、いずれも「空調機No.1運転指令」である。インスタンス番号は、オブジェクト名称に対して1対1で割り振られた番号である。
【0069】
「活性テキスト」は、各信号(オブジェクト)がON状態になっているときを説明するものであり、「不活性テキスト」は、各信号がOFF状態になっているときを説明するものである。たとえば、「運転状態」に対して、「活性テキスト」は「運転中」と定義され、「不活性テキスト」は「停止中」と定義される。「運転指令」に対して、「活性テキスト」は「運転」と定義され、「不活性テキスト」は「停止」と定義される。「運転モード冷房」に対して、「活性テキスト」は「冷房」と定義され、「不活性テキスト」は定義されない。
【0070】
本例では、オブジェクト名称「空調機No.1運転状態」に、インスタンス番号「0100101」、不活性テキスト「停止中」、活性テキスト「運転中」が対応付けられたデータが記録されている。オブジェクト名称「空調機No.1運転モード冷房」に、インスタンス番号「0100102」、活性テキスト「冷房」が対応付けられたデータが記録されている。
【0071】
オブジェクト名称「空調機No.1運転モード暖房」に、インスタンス番号「0100103」、活性テキスト「暖房」が対応付けられたデータが記録されている。オブジェクト名称「空調機No.1給気温度」に、インスタンス番号「0100104」が対応付けられたデータが記録されている。
【0072】
オブジェクト名称「空調機No.1運転指令」に、インスタンス番号「0100106」、不活性テキスト「停止」、活性テキスト「運転」が対応付けられたデータが記録されている。オブジェクト名称「空調機No.1設定温度」に、インスタンス番号「0100107」が対応付けられたデータが記録されている。
【0073】
オブジェクト名称「空調機No.2運転状態」に、インスタンス番号「0200101」、不活性テキスト「停止中」、活性テキスト「運転中」が対応付けられたデータが記録されている。
【0074】
さらに、
図8の表には示していないが、オブジェクト名称には、入出力信号の範囲が対応付けられている。たとえば、オブジェクト名称「空調機No.1給気温度」および「空調機No.1設定温度」に、温度範囲「0.0~50.0℃」が対応付けられている。
【0075】
図9は、入出力カード情報を説明するための図である。入出力カード情報は、信号名称に、端末装置番号(「TN」とも称する)、スロット番号(「SN」とも称する)、入出力カード種(「入出力カード種別」とも称する)、端子番号、信号種、インスタンス番号、オブジェクト名称等が対応付けられたデータ群である。端子番号は、「XX.YY」で示され、「XX」は+側の端子番号、「YY」は-側の端子番号をそれぞれ示す。
【0076】
たとえば、信号名称「空調機No.1運転状態」に、TN番号「1」、SN番号「1」、入出力カード種別「無電圧接点入力」、端子番号「00.GND(グランド)」、信号種「DI」、インスタンス番号「0100101」、オブジェクト名称「空調機No.1運転状態」が対応付けられたデータが記録されている。
【0077】
信号名称「空調機No.1運転モード冷房」に、TN番号「1」、SN番号「1」、入出力カード種別「無電圧接点入力」、端子番号「01.GND」、信号種「DI」、インスタンス番号「0100102」、オブジェクト名称「空調機No.1運転モード冷房」が対応付けられたデータが記録されている。
【0078】
信号名称「空調機No.1給気温度」に、TN番号「1」、SN番号「2」、入出力カード種別「電流入力」、端子番号「00.01」、信号種「AI」、インスタンス番号「0100104」、オブジェクト名称「空調機No.1運転給気温度」が対応付けられたデータが記録されている。さらに、信号名称「空調機No.1給気温度」には、入出力信号の範囲として「4.0~20.0mA」が対応付けられている。
【0079】
信号名称「空調機No.1設定温度」に、TN番号「1」、SN番号「4」、入出力カード種別「電流出力」、端子番号「00.01」、信号種「AO」、インスタンス番号「0100107」、オブジェクト名称「空調機No.1運転給気温度」が対応付けられたデータが記録されている。さらに、信号名称「空調機No.1設定温度」には、入出力信号の範囲として「4.0~20.0mA」等の情報が対応付けられている。
【0080】
図6のS10においては、上述の集合データおよび入出力カード情報から相対表を生成し、さらに、相対表から試験順信号一覧を生成している。以下、生成する相対表および試験順信号一覧について、
図10を用いて説明する。
図10は、試験装置10での表示例を説明するための図である。
【0081】
図10には、試験装置10の表示部43が表示されている。表示部43の下部には、相対表を含む試験順信号一覧が表示されている。
【0082】
相対表は、集合データと入出力カード情報とを結合させたデータが記録されたものである。相対表は、インスタンス番号が一致する集合データおよび入出力カード情報のデータが結合されたものである。
【0083】
たとえば、集合データおよび入出力カード情報の1つ目のデータにおいて、インスタンス番号「0100101」(オブジェクト名称「空調機No.1運転状態」)が一致する。これらのデータが結合されて、相対表のデータとして登録される。
【0084】
図10の例においては、オブジェクト名称「空調機No.1運転状態」、「空調機No.1運転モード冷房」、「空調機No.1運転モード暖房」、「空調機No.1給気温度」、「空調機No.1設定温度」の相対表データが例示されている。
【0085】
相対表を順に並べたものが試験順信号一覧である。試験順信号一覧において、相対表の順に試験番号(No)が割り当てられている。上記例では、順に試験No.1~4・・・Nが割当てられている。また、試験信号一覧において、信号ごとに「試験結果」が設定される。
【0086】
図10の例においては、試験No.1~3は既に実行済であり、いずれも試験結果は「良(入力信号に対する出力信号が正常)」である。そして、試験No.4を実行中であることが示されている。
【0087】
たとえば、試験No.4の相対表は、インスタンス番号「0100104」、信号名称「空調機No.1給気温度」に、TN番号「1」、SN番号「2」、入出力カード種別「電流入力」、端子番号「00.01」、信号種「AI」、オブジェクト名称「空調機No.1運転給気温度」、入出力信号の範囲「4.0~20.0mA」、「0.0~50.0℃」である。
【0088】
ここで、
図8に示したように、集合データにおける給気温度の範囲は「0.0~50.0℃」であるのに対して、入出力カード情報における電流値の範囲は「4.0~20.0mA」である。これは、設備410から4.0mAが出力されたときに監視装置100において0.0℃が入力され、設備410から20.0mAが出力されたときに監視装置100において50.0℃が入力された場合に、信号が正常であることを意味する。設備410から12.0mAが出力されたときは、監視装置100において25.0℃が入力された場合に、信号が正常である。
【0089】
実行中の試験No.4については、表示部43の上部左側に詳細情報が表示されている。入出力信号の範囲「4.0~20.0mA」、「0.0~50.0℃」である。ここでは、「12mA」の電流が出力されて、それに対して「25℃」が取得されるか否かの試験が行われている。
【0090】
表示部43の上部右側には、受付部50が表示されている。受付部50は、「試験開始」、「次の試験」、「スキップ」、「一時中断」、「再試験」、「試験終了」の各ボタンを含む。表示部43の各領域をタッチすることで、各ボタンが押下されて、それぞれの処理が受け付けられる。
【0091】
「試験開始」の領域をタッチ(「試験開始」ボタンを押下)すると、信号試験を開始する。実行中の信号試験が終了して「次の試験」ボタンを押下すると、次の信号の試験を開始する。「スキップ」ボタンを押下すると、実行対象となっている信号をスキップして、次の信号の試験を開始する。「一時中断」ボタンを押下すると、信号試験を中断する。「再試験」ボタンを押下すると、既に終了した信号の試験を再度実行する。「試験終了」ボタンを押下すると、信号試験を終了する。このように、CPU45は、受付部50によって受け付けられた入力に基づき、信号試験を進行する。
【0092】
図6に戻り、CPU45は、S11において、試験順信号一覧から、現在試験対象となっている信号情報を表示する。試験開始直後であれば、試験No.1が試験対象となる。
図10の例においては、試験No.4が、現在試験対象である。表示部43は、試験項目に基づいて、信号試験の進行に関する画像を表示する。画面左上には、試験No.4の信号に関する信号情報が表示されている。
【0093】
信号情報には、入出力信号の名称(信号名称)「空調機No.1給気温度」と、入出力信号の出力範囲「4.0~20.0mA(0.0~50.0℃)」と、入出力信号に対応した端子台312~315の端子を特定する情報(端末装置番号:1、スロット番号:1、端子番号:00.01)とが含まれる。
【0094】
CPU45は、S12において、試験実行指令があったか否かを判定する。CPU45は、試験実行指令があったと判定した場合(S12においてYES)は、処理をS13に進める。一方、CPU45は、試験実行指令があったと判定しなかった場合(S12においてNO)は、処理をS12に戻す。
図10において、「試験開始」ボタンが押下されたときに、試験実行指令が発せられる。
【0095】
CPU45は、S13において、試験実行処理(
図7参照)を実行する。
図10の例においては、試験No.4の試験が実行される。CPU45は、S14において、タイムアウトがあったか否かを判定する。CPU45は、タイムアウトがあったと判定した場合(S14においてYES)は、処理をS22に進める。一方、CPU45は、タイムアウトがあったと判定しなかった場合(S14においてNO)は、処理をS15に進める。
【0096】
試験装置10において、試験信号を出力または送信したにもかかわらず、後述の検出許容時間(たとえば、60秒)が経過しても試験信号に対応する信号が試験装置10で入力または受信されなかった場合に、タイムアウトが発生する。
【0097】
CPU45は、S15において、合格範囲内であるか否かを判定する。CPU45は、合格範囲内であると判定した場合(S15においてYES)は、処理をS16に進める。一方、CPU45は、合格範囲内であると判定しなかった場合(S15においてNO)は、処理をS21に進める。たとえば、
図10の例において、試験装置10からの12mAの電流値の出力に対して、試験装置10で25℃(ただし、所定量の誤差範囲は許容される)を受信した場合に合格範囲内である(信号が正常である)と判定する。
【0098】
CPU45は、S16において、試験結果に「良」を記録し、S17に処理を進める。CPU45は、S21において、試験結果に「否」を記録する。
【0099】
CPU45は、S22において、再試験するか否かを判定する。CPU45は、再試験すると判定した場合(S22においてYES)は、処理をS11に進める。一方、CPU45は、再試験すると判定しなかった場合(S22においてNO)は、処理をS17に進める。ユーザが「再試験」ボタンを押下した場合、再試験すると判定される。
【0100】
CPU45は、S17において、試験順信号一覧を1行進める。
図10の例において、試験No.4の試験から試験No.5の試験に進められる。
【0101】
CPU45は、S18において、試験順信号一覧の末尾を超えたか否かを判定する。CPU45は、試験順信号一覧の末尾を超えたと判定した場合(S18においてYES)は、処理をS19に進める。一方、CPU45は、試験順信号一覧の末尾を超えたと判定しなかった場合(S18においてNO)は、処理をS11に進める。
【0102】
図10の例において、現在試験No.N(最後の試験)である場合、1行進めると末尾を越えてしまうので処理がS19に進められる。CPU45は、S19において、信号試験が終了し、信号試験の試験結果として試験結果91をファイルに出力する。これにより、メイン処理が終了する。
【0103】
試験結果91は、試験装置10の表示部43以外にも、監視装置100、あるいは、ネットワークを介して試験装置10に接続可能な装置の表示部において表示可能である。また、これらの装置において、試験結果91のファイルを取得可能である。
【0104】
図7は、試験実行処理のフローチャートである。試験実行処理を開始すると、CPU45は、S31において、信号の種別が「出力」であるか否かを判定する。CPU45は、信号の種別が「出力」であると判定した場合(S31においてYES)は、処理をS32に進める。一方、CPU45は、信号の種別が「出力」であると判定しなかった(信号の種別が「入力」である)場合(S31においてNO)は、処理をS41に進める。
【0105】
CPU45は、S32において、入力モードに切り替え、プローブ31の内部接続を測定器に切り替える。CPU45は、S33において、測定器のレンジ等を信号情報に合わせて設定する。これにより、監視対応信号が入力できる。CPU45は、S34において、対象となる監視模擬信号を通信部44(LANポート)から送信する。
【0106】
CPU45は、S35において、検出許容時間内に測定値に変化があった(対応する監視対応信号を入力した)か否かを判定する。CPU45は、検出許容時間内に測定値に変化があったと判定した場合(S35においてYES)は、試験実行処理を終了する。一方、CPU45は、検出許容時間内に測定値に変化があったと判定しなかった場合(S35においてNO)は、処理をS36に進める。
【0107】
CPU45は、S41において、出力モードに切り替え、プローブ31の内部接続を電流電圧発生器に切り替える。CPU45は、S42において、電流電圧発生器のレンジ等を信号情報に合せて設定する。これにより、設備模擬信号が出力可能となる。CPU45は、S43において、通信部44(LANポート)において設備対応信号を監視し、プローブに電流電圧等(設備模擬信号)を出力する。
【0108】
CPU45は、S44において、検出許容時間内に対応する設備対応信号を受信したか否かを判定する。CPU45は、検出許容時間内に対応する設備対応信号を受信したと判定した場合(S44においてYES)は、試験実行処理を終了する。一方、CPU45は、検出許容時間内に対応する設備対応信号を受信したと判定しなかった場合(S44においてNO)は、処理をS36に進める。CPU45は、S36において、試験結果に「タイムアウト」を記録し、試験実行処理を終了する。
【0109】
次に、音声入出力部42で入出力される音声と信号試験の進行の関係について、
図11を用いて説明する。本実施の形態では、端子にプローブを当てて、1点ずつ信号の入出力試験を行っている。このような試験においては、プローブをどの端子に当てるのか等、確認作業が負担となる。このような負担を低減するため、本実施の形態においては、音声入出力部42が、試験項目に基づき、信号試験の進行に関する音声(試験をガイドする音声)を出力するようにしている。CPU45は、音声入出力部42に入力された入力音声に基づき、信号試験を進行する。
図11は、試験の流れを説明するための図である。
【0110】
作業者11が試験装置10に対して「試験開始」の発声を行うと、試験装置10は試験を開始する。その後、たとえば、試験No.2の試験に移行すると、試験装置10は、音声「空調機No.1運転モード冷房(100102)の試験を行います。端子01.GNDにプローブをあててください。」を出力する。その際、表示部43には、当該音声に対応する表示が行われる。音声出力の際には、併せて、信号種(たとえば、「DI」、「AI」等)や入出力カード種(たとえば、「無電圧接点入力」、「電流入力」等)の音声を出力するようにしてもよい。
【0111】
作業者11が音声指示に従って、プローブ31を端子に当てて「試験実行」の発声を行うと、試験No.2の試験が実行される。試験が終了すると、試験装置10は、試験結果を報知する。この例では、試験装置10は、音声「試験結果は「良」です」を出力している。その際、表示部43には、当該音声に対応する表示が行われる。作業者11が「次の試験」の発声を行うと、試験No.3の試験に切り替わる。
【0112】
なお、端子装置番号またはスロット番号が切り替わるときは、まず、その旨の音声が出力される。たとえば、試験No.1を行う際には、まず、音声「端子装置番号1、スロット番号1の試験を行います。」が出力される。試験No.4を行う際には、まず、音声「次に、スロット番号2の試験を行います。」が出力される。
【0113】
その後、すべての試験が終了すると、試験装置10は、音声「試験が完了しました。試験結果を生成します。」を出力する。その際、表示部43には、当該音声に対応する表示が行われる。これにより、信号試験が終了するとともに、試験結果91が出力される。
【0114】
以上説明したように、音声入出力部42は、試験項目に基づき、信号試験の進行に関する音声(試験をガイドする音声)を出力する。CPU45は、音声入出力部42に入力された入力音声に基づき、信号試験を進行する。試験項目を生成するための信号情報は、少なくとも、入出力信号の名称と、入出力信号の出力範囲と、入出力信号に対応した端子台312~315の端子を特定する情報とを含んでいる。信号試験の進行に関する音声は、複数の信号のうち指定された信号に対応する端子にプローブ31を接触させるよう指示する音声と、指定された信号の判定結果を報知する音声と、信号試験の終了を報知する音声とを含んでいる。入力音声は、指定された信号の試験を開始するための音声と、指定された信号の次の信号を指定するための音声とを含んでいる。
【0115】
このように、本実施の形態における信号試験の進行に関する音声は、音声のみで試験を進行させる「試験の進行ガイド」としての役割を担っている。このため、単に、信号の状態変化(出力信号)を音声で報知するようなシステムとは、音声を用いる目的が異なる。以上のように構成することで、信号情報から信号試験に必要十分な試験項目を自動生成することができるとともに、信号試験の進行に必要十分な音声ガイドを行うことができる。その結果、ハンズフリーの状態で1人で信号試験を行うことができる。
【0116】
また、本実施の形態では、入出力信号に関する信号情報に基づき試験項目を生成し、試験項目に基づき模擬信号が生成される。信号入出力部41は端子に対してプローブ31を介して設備模擬信号を出力し、通信部44は設備対応信号を受信し、CPU45は受信された設備対応信号が正常であるか否かを判定する。一方、通信部44は監視模擬信号を送信し、信号入出力部41はプローブ31を介して端子からの監視対応信号を入力し、CPU45は入力された監視対応信号が正常であるか否かを判定する。信号入出力部41は、監視対応信号を入力するための入力モードと、設備模擬信号を出力するための出力モードとのいずれかにモードを自動で切り替えることで、試験用機器を取り替えることなく上記試験を実現可能とする。
【0117】
このように構成した場合、設備410と監視装置100との入出力信号について、信号を処理するソフトウェアのみならず、配線ミスやシステムを構成する装置や部品等の不具合等、ハードウェアも含めてシステム全体として正常に動作しているか否かを確認することができる。
【0118】
たとえば、信号試験を簡略化するならば、入出力カードの端子台を外して、入出力カードが備えるコネクタに直接模擬信号を与えて自動試験を実施することもできる。ただし、このようにした場合、ハードウェアも含めシステム全体として正常に動作しているか否かを確認するためには、さらに、次の(1)~(5)ような作業が必要となる。
【0119】
(1)試験対象とする入出力カードのコネクタ形状およびピンアサインの調査、(2)使用するコネクタおよび変換コネクタの数量確認(購入も含む)、(3)使用するコネクタおよび変換コネクタの導通確認(事前にピン折れや内部断線等がないことを確認)、(4)使用するコネクタ及び変換コネクタの接続先の表示(必須ではないが誤接続防止のため行うことが望ましい)、(5)信号試験後、コネクタおよび変換コネクタの異常有無確認(接続作業時などにピン折れなどの内部破損が発生していないかを確認し、試験結果に影響がないことを確認)。
【0120】
このような事前準備および試験後の作業により、結局のところ、上述の簡略化された試験では、従来の試験方法(
図4)に比べて試験に係る時間が長くなる可能性がある。また、入出力カードのコネクタに直接模擬信号を与えて自動試験を行った場合、コネクタを要因とする不具合が発生しても、不具合に気が付くのは試験終了後である。このため、不具合解消後に再試験を行うことになり、従来の試験に比べて試験に係る時間が長くなる。したがって、本実施の形態のように、プローブを1点ずつ端子にあてて試験を実施した方が作業効率が高い。
【0121】
本実施の形態のように構成した場合の効果を、以下にまとめる。音声ガイドに従って試験を実行すればよいため、事前準備の必要がない。従来の試験(
図4)と同様に、作業者が試験の状況を1点ずつ確認しながら進めるため、間違った端子にプローブを当てたり、データ設定をミスしたりしても、即時に対応することができる。また、模擬信号を扱う複数の機器を準備せずとも、信号入出力部41のモード切替によりこれを実現できるため、所有機器を削減することができる。コネクタや変換コネクタなど余剰な機材が不要なため、シンプルに試験装置10を構成でき、安価に試験装置10を構築することができる。さらに、試験記録をメモしてそれを転記する作業がなくなるため、漏れや抜けがなくなる。監視装置100の画面で確認する必要がなく、試験装置10を用いて作業を完結できるため、1人で作業を行うことができる。また、従来から存在する端末装置とコントローラの汎用通信を用いて行うため、現行で広く普及しているBACnet通信に対応した監視装置100に適用することができる。以上のことから、設備410と監視装置100との間の信号試験に関し、コストを低減させた上で、作業効率および品質を向上させることができる。
【0122】
[主な構成および効果]
以下、前述した実施の形態の主な構成および効果を説明する。
【0123】
(1) 試験装置10は、端末装置310を介して、設備410と監視装置100との間で入出力される入出力信号の信号試験を行う装置である。試験装置10は、模擬信号を用いて信号試験を行うCPU45を備える。模擬信号は、試験項目に基づき、信号試験のために生成される信号である。試験項目は、入出力信号に関する信号情報に基づき生成される項目である。模擬信号は、設備410から出力される信号を模擬した設備模擬信号と、監視装置100から送信される信号を模擬した監視模擬信号とを含む。端末装置310は、設備410との間の信号を入出力するための入出力カードと入出力カード上の端子台312~315を含む。試験装置10は、信号入出力部41と、通信部44とをさらに備える。信号入出力部41は、端子に対して設備模擬信号を出力し、または端子からの監視対応信号を入力する。通信部44は、監視模擬信号を送信し、または設備対応信号を受信する。監視対応信号は、監視模擬信号に対応する信号であって、設備410に入力される信号である。設備対応信号は、設備模擬信号に対応する信号であって、監視装置100に受信される信号である。CPU45は、入力された監視対応信号が正常か否かを判定する。CPU45は、受信された設備対応信号が正常か否かを判定する。これにより、設備と監視装置との間の信号試験に関し、作業効率および品質を向上させることができる。
【0124】
(2) 試験装置10は、端子台と接続するためのプローブ31をさらに備える。信号入出力部41は、監視対応信号を入力するための入力モードと、設備模擬信号を出力するための出力モードとのいずれかにモードを切り替え可能である。信号入出力部41は、モードが入力モードであるときは、端子台312~315の端子に接続されたプローブ31を介して、端末装置310から監視対応信号を入力可能である。信号入出力部41は、モードが出力モードであるときは、端子台312~315の端子に接続されたプローブを介して、端末装置310に対して設備模擬信号を出力可能である。これにより、ハードウェアも含めたシステム全体の信号試験を行うことができる。また、モードを切り替えにより異なる試験を行うことできるため、試験のための複数の機器を準備する必要がない。
【0125】
(3) 試験装置10は、音声を入出力する音声入出力部42をさらに備える。音声入出力部42は、試験項目に基づき、信号試験の進行に関する音声を出力する。CPU45は、音声入出力部42に入力された入力音声に基づき、信号試験を進行する。これにより、ハンズフリーで1人で信号試験を行うことができる。
【0126】
(4) 信号情報は、少なくとも、入出力信号の名称と、入出力信号の出力範囲と、入出力信号に対応した端子台312~315の端子を特定する情報とを含む。入出力信号は、複数の信号を含む。信号試験の進行に関する音声は、複数の信号のうち指定された信号に対応する端子にプローブ31を接触させるよう指示する音声と、指定された信号の判定結果を報知する音声と、信号試験の終了を報知する音声とを含む。入力音声は、指定された信号の試験を開始するための音声と、指定された信号の次の信号を指定するための音声とを含む。これにより、信号情報から信号試験に必要十分な試験項目を自動生成することができるとともに、信号試験の進行に必要十分な音声ガイドを行うことができる。
【0127】
(5) 試験装置10は、表示部43と、受付部50をさらに備える。表示部43は、画像を表示する。受付部50は、ユーザからの入力を受け付ける。表示部43は、試験項目に基づき、信号試験の進行に関する画像を表示する。CPU45は、受付部50によって受け付けられた入力に基づき、信号試験を進行する。これにより、音声情報のみならず、視覚情報によっても信号試験を進行させることができる。
【0128】
(6) CPU45は、信号試験が終了したときに、信号試験の結果として試験結果91を出力する。これにより、試験結果を記入する手間が省け、記載・転記ミス等を防ぐことができるため、作業効率および品質を向上させることができる。
【0129】
(7) 試験方法は、端末装置310を介して、設備410と監視装置100との間で入出力される入出力信号の信号試験を行う試験方法である。試験方法は、模擬信号を用いて信号試験を行うステップを含む。模擬信号は、試験項目に基づき、信号試験のために生成される信号である。試験項目は、設備410と監視装置100との間で入出力される信号に関する信号情報に基づき生成される項目である。模擬信号は、設備410から出力される信号を模擬した設備模擬信号と、監視装置100から送信される信号を模擬した監視模擬信号とを含む。端末装置310は、設備410との間の信号を入出力するための入出力カードと入出力カード上の端子台312~315を含む。試験方法は、端子に対して設備模擬信号を出力し、または端子からの監視対応信号を入力するステップと、監視模擬信号を送信し、または設備対応信号を受信するステップとをさらに含む。監視対応信号は、監視模擬信号に対応する信号であって、設備410に入力される信号である。設備対応信号は、設備模擬信号に対応する信号であって、監視装置100に受信される信号である。試験方法は、入力された監視対応信号が正常か否かを判定するステップと、受信された設備対応信号が正常か否かを判定するステップとをさらに含む。これにより、設備と監視装置との間の信号試験に関し、作業効率および品質を向上させることができる。
【0130】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0131】
1 ビル管理システム、10 試験装置、11,12 作業者、20 中継装置、31 プローブ、41 信号入出力部、42 音声入出力部、43 表示部、44 通信部、45 CPU、46 メモリ、50 受付部、47 ファイル処理部、81 電流/電圧発生器、91 試験結果、92 相対表、100 監視装置、110 入力部、120 表示部、210,220 コントローラ、310,320 端末装置、311 本体部、312~315 端子台、410,420 設備。