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特許7486683ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法
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  • 特許-ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法
(51)【国際特許分類】
   A01H 3/04 20060101AFI20240510BHJP
   C12N 5/00 20060101ALI20240510BHJP
   A01H 6/14 20180101ALI20240510BHJP
   C12N 5/04 20060101ALN20240510BHJP
【FI】
A01H3/04
C12N5/00
A01H6/14
C12N5/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023563181
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2022127164
(87)【国際公開番号】W WO2023109318
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】202111522786.X
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521440596
【氏名又は名称】中国▲熱▼▲帯▼▲農▼▲業▼科学院▲熱▼▲帯▼作物品▲種▼▲資▼源研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】陳暁鷺
(72)【発明者】
【氏名】于福来
(72)【発明者】
【氏名】肖永鋒
(72)【発明者】
【氏名】羅沁
(72)【発明者】
【氏名】黎玉蘭
(72)【発明者】
【氏名】陳振夏
(72)【発明者】
【氏名】陳英樺
(72)【発明者】
【氏名】于平
(72)【発明者】
【氏名】元超
(72)【発明者】
【氏名】王丹
(72)【発明者】
【氏名】官玲亮
(72)【発明者】
【氏名】張影波
(72)【発明者】
【氏名】黄梅
(72)【発明者】
【氏名】謝小麗
(72)【発明者】
【氏名】王凱
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102550421(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103250645(CN,A)
【文献】Natural Medicines,2003年,Vol. 57, No. 5,p. 196-199
【文献】東南アジア研究,1977年,第15巻第2号,p. 255-262
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01H 3/00
C12N 5/00
A01H 6/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法であって、
S1.ブルメアバルサミフェラの根を切り取り、次に根を切り、消毒し、根の切片を得て、前記根の切片は主根又は側根であり、根の切片の長さは1~25cmであり、
S2.0.025~0.1mg/LNAA、0.1~1.0mg/L6-BA、10~70g/Lスクロース2~8g/L寒天、0~10mg/LビタミンC、0~10mg/Lポリビニルピロリドン及び基礎培地である、不定芽誘導培地を調製し、
前記基礎培地は1/2MS~MS基礎培地であり、
S3.不定芽の誘導:ステップS1の根の切片をステップS2で調製した不定芽誘導培地に接種して培養し、ブルメアバルサミフェラ不定芽を得ることを特徴とするワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法。
【請求項2】
前記培養の条件は25~28℃であることを特徴とする請求項1に記載のワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法
【請求項3】
前記培養の時間は10~90日間であることを特徴とする請求項1に記載のワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は2021年12月14日に中国特許庁に提出され、出願番号202111522786.X、発明の名称「ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、植物組織培養の技術分野、特にワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ブルメアバルサミフェラ(Blumea balsamifera(L.)DC.)は、キク科のブルメアバルサミフェラ属の多年生草本植物であり、漢方薬ボルネオール(L(-)-Borneol)の供給源植物であり、その抽出物は、さまざまな漢方薬の主な原材料であり、食品、化粧品などの市場分野で広く使用されており、市場の見通しが優れている。
【0004】
長い間、ブルメアバルサミフェラの植栽技術は比較的に立ち後れ、生産の上で、主に種子繁殖と根分け繁殖である。種子繁殖は性的生殖であり、欠点は、出芽率が低く、子孫は性状が分離され、元の性質を維持できないことであり、根分け繁殖は無性繁殖であり、欠点は、元の植物の病原体を除外できず、効率が低いことであり、優良品種の種苗の繁殖拡大は、ブルメアバルサミフェラ植栽技術の主な難点である。したがって、ブルメアバルサミフェラ種苗の体外で拡大繁殖に関する研究を実施する必要がある。
【0005】
前人は、ブルメアバルサミフェラの体外の迅速的繁殖に対して、腋芽の増殖を誘導し、葉の外植体を最初にカルスを生成するように誘導し、次にカルスを分化するように誘導して不定芽等の技術を得る等の技術を含む、さまざまな技術的な試みを実行し、例えば特許文献1《ナガバコウゾリナ種苗の迅速的繁殖と栽培方法》には、ブルメアバルサミフェラの同属異種の植物であるナガバコウゾリナ腋芽花茎を、外植体として利用して群生芽を誘導する培養方法が開示され、例えば特許文献2《ツルハグマ生薬の迅速繁殖方法》には、ブルメアバルサミフェラの別の種類の同属異種の植物であるツルハグマのメリクロン茎の先端、嫩茎、老茎、葉、花のつぼみ及び種子を利用してカルスの誘導を行い、次に試管苗の誘導を行う培養方法が開示された。しかし、これらの技術は、現在のブルメアバルサミフェラの育種ニーズを満たしにくい。
【0006】
まず、腋芽増殖の誘導は、最も一般的に使用されているブルメアバルサミフェラ種苗の迅速繁殖技術であり、それは植物の元の側芽成長点を刺激して成長することにより、繁殖拡大の目的を達成し、細胞脱分化のプロセスは含まれない。この方法で人工変異または遺伝子組み換えを行うと、元の芽を構成する複数の細胞を全部変異または変換しにくく、2つの細胞が混合してキメラを生成するため、キメラを取得する可能性は非常に高くなる。キメラは、成長プロセス中、性状の不安定と性状の消失の問題が発生し、育種作業の失敗をもたらす。
【0007】
新しい技術は、葉外植体を使用することであり、最初に1種の培地を使用してカルスを生成し、次に別の培地に移してカルスを誘導して分化して不定芽を形成する。人工変異は通常、カルス段階で行われるが、失敗した変異の細胞の一部も分化して不定芽を形成する可能性があるため、該プロセスにもキメラの問題がある。また、この技術は、2つのステップで、少なくとも2つの培地を調製し、少なくとも2回接種し、少なくとも2つの段階培養するため、プロセスは繁雑で、かつ特定の確率で、カルスの段階で偶発する非目的変異があり、変異又は遺伝子変換の結果を干渉する。
【0008】
これを考慮して、現在では、キメラの生成を減少し、プロセスが簡便である、ブルメアバルサミフェラ不定芽をワンステップで取得する組織培養方法がまだ欠乏している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】中国特許出願公開第102550421号明細書
【文献】中国特許出願公開第103250645号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これを考慮して、本発明は、外植体の脱分化を誘導してカルスを形成した後に再び分化して不定芽を形成する必要がなく、体細胞から不定芽に直接分化し、キメラの生成を減少する、ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法を提供し、ブルメアバルサミフェラの人工変異、遺伝子組み換え等の育種作業に技術基礎を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の技術的解決手段はこのように実現される。
ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法は、
ブルメアバルサミフェラの根を切り取り、次に根を切り、消毒し、根の切片を得るステップS1と、
0.01~0.5mg/LNAA、0~1.0mg/L6-BA、10~70g/Lスクロースと2~8g/L寒天及び基礎培地を含む不定芽誘導培地を調製するステップS2と、
ステップS1の根の切片をステップS2で調製した不定芽誘導培地に接種して培養し、ブルメアバルサミフェラ不定芽を得る不定芽の誘導ステップS3と、を含む。
【0012】
好ましくは、前記根は、主根又は側根であり、根の切片の長さは1~25cmである。
【0013】
好ましくは、前記根は、不定根である。
【0014】
好ましくは、前記根の切片の長さは3~4cmであり、根の切片の長さが比較的に短い場合、誘導による不定芽の生成の効率は低くなり、長さが長すぎる場合、根の切片培養材料の数量は小さすぎて、根の切片リソースの無駄を引き起こし、長さが3~4cmの場合、誘導による不定芽の生成の効率は高くなり、且つより多くの根の切片培養材料を得ることができ、ブルメアバルサミフェラ根を十分に利用した。
【0015】
好ましくは、前記不定芽誘導培地は、基礎培地に0.025~0.1mg/LNAA、1mg/L6-BA、10~70g/Lスクロース及び2~8g/L寒天を添加したものである。
【0016】
好ましくは、前記不定芽誘導培地は、0~100mg/LビタミンC及び0~100mg/Lポリビニルピロリドンをさらに含む。
【0017】
好ましくは、前記不定芽誘導培地は、基礎培地に0.025~0.1mg/LNAA、1mg/L6-BA、10~70g/Lスクロース、2~8g/L寒天、0.01~10mg/LビタミンC及び0.01~10mg/Lポリビニルピロリドンを添加したものである。
【0018】
好ましくは、前記不定芽誘導培地は、基礎培地に0.05mg/LNAA、0.1mg/L6-BA、30g/Lスクロース及び2~8g/L寒天を添加したものである。
【0019】
好ましくは、前記不定芽誘導培地は、基礎培地に0.05mg/LNAA、1mg/L6-BA、30g/Lスクロース、6g/L寒天、10mg/LビタミンC及び10mg/Lポリビニルピロリドンを添加したものである。
【0020】
好ましくは、前記培養の条件は25~28℃である。
【0021】
好ましくは、前記培養の時間は10~90日間、最適な培養時間は20日間である。
【発明の効果】
【0022】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明は、ブルメアバルサミフェラの根を外植体材料として、ワンステップで根の細胞を直接分化するように誘導して不定芽を生成する培養方法を提供し、ブルメアバルサミフェラの根を外植体材料とする空白を埋め、培養可能な外植体材料対象を増加させ、即ちブルメアバルサミフェラが繁殖拡大・増殖プロセス中に有効な外植体源を増加させ、且つブルメアバルサミフェラの根を外植体として使用する培養効果がより良くなり、芽付き茎部又は葉を外植体として選択して、増殖又はカルスを介して不定芽を再生する欠点を克服する。
(2)本発明の培養方法は、ブルメアバルサミフェラ根に対して不定芽誘導培地を設計し、カルスを形成する段階を必要とせず、ブルメアバルサミフェラ根細胞を直接分化して不定芽を形成でき、従来技術より簡便で迅速であり、且つ後期にバイオテクノロジ育種により生成されたキメラを低減できる。
(3)本発明は、消耗品、時間及び人件費を節約し、且つブルメアバルサミフェラの指向変異又は遺伝変換の精度を向上させ、ブルメアバルサミフェラの人工変異、細胞工学育種に技術基礎を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明によるブルメアバルサミフェラ根の切片外植体から直接分化した不定芽である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の技術的な内容をよりよく理解するために、以下に、本発明をさらに説明するための具体的な実施例を提供する。本発明に記載の実施例は、本発明の範囲を制限するためではなく、本発明を説明するためにのみ使用される。
【0025】
本発明の実施例で使用される試験方法は、特殊に説明しない限り、すべて従来の方法である。
【0026】
本発明で使用された材料、試薬等は、特別に説明しない限り、商業チャネルから入手した試薬と材料である。
【0027】
本発明で使用された無菌苗はすべて2019年9月~2020年10月に海南省?州市に位置する熱帯作物科学院品種資源研究所南薬組織培養室に栽培したブルメアバルサミフェラ組織培養苗に由来する。
【0028】
実施例における有効な根の切片数とは、汚染されていない根の切片を指す。
【0029】
誘導率とは、30d接種した後に根の切片を分化するように順調に誘導して形成された不定芽の総数が外植体の総数を占める百分率を指し、計算式は誘導率(%)=不定芽の総数÷外植体の総数×100である。
【0030】
実施例1
ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法は、
ブルメアバルサミフェラ無菌実生苗を取り、主根及び側根を取り、根を切り、切片あたりの長さは1~4cmであり、消毒し、根の切片を得て、前記ブルメアバルサミフェラ無菌実生苗は、健康のブルメアバルサミフェラ種子を通常の滅菌した後に無菌播種を行い、12日間培養して得られたものであり、前記無菌播種培地は、1/2MSを基礎培地として、基礎培地に0.01~0.5mg/LNAA、20~50g/Lスクロース及び3~7g/L寒天を添加したものであるステップS1と、
MSを基礎培地として、基礎培地に0.05mg/LNAA、0.1mg/L6-BA、30g/Lスクロース、6g/L寒天、10mg/LビタミンC及び10mg/Lポリビニルピロリドンを添加し、不定芽誘導培地を得たステップS2と、
ステップS1の根の切片をステップS2で調製した不定芽誘導培地に接種し、25~28℃で20日間培養し、不定芽誘導培地を利用して根の切片を培養して不定芽を得たステップS3と、を含む。
【0031】
実施例2
ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法は、
健康の無病虫害の植物選択し、土壌に対して根灌漑消毒を行った3日後、根表皮を破壊しない場合、ブルメアバルサミフェラの根部組織を掘り、筆で表面の土壌顆粒を慎重に除去し、水道水で3回洗い流し、滅菌水で3回洗い流し、クリーンベンチにおいて従来の滅菌を行った後、根を切り、切片あたりの長さは3~6cmであるステップS1と、
1/2MSを基礎培地として、基礎培地に0.025mg/LNAA、0.1mg/L6-BA、10g/Lスクロース及び6g/L寒天を添加し、不定芽誘導培地を得たステップS2と、
ステップS1の根の切片をステップS2で調製した不定芽誘導培地に接種し、25~28℃で20日間培養し、不定芽誘導培地を利用して根部??の切片を培養して不定芽を得たステップS3と、を含む。
【0032】
実施例3
ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法は、
ブルメアバルサミフェラの不定根を切り、切片あたりの長さは25cmであり、消毒し、根の切片を得て、前記不定根は、外植体を不定根誘導培地に移植して30日間分化培養して得られたものであり、前記不定根誘導培地は、1/2MSを基礎培地として、基礎培地に0.01~0.5mg/LNAA、20~50g/Lスクロース及び3~7g/L寒天を添加したものであるステップS1と、
MSを基礎培地として、基礎培地に0.1mg/LNAA、2.0mg/L6-BA、70g/Lスクロース、8g/L寒天、10mg/LビタミンC及び10mg/Lポリビニルピロリドンを添加した、不定芽誘導培地の調製ステップS2と、
ステップS1の根の切片をステップS2で調製した不定芽誘導培地に接種し、25~28℃で90日間培養し、不定芽誘導培地を利用して根の切片を培養して不定芽を得たステップS3と、を含む。
【0033】
比較例1
ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法は、
ブルメアバルサミフェラ無菌実生苗を取り、芽付き茎部を取り、消毒し、前記ブルメアバルサミフェラ無菌実生苗は、健康のブルメアバルサミフェラ種子を通常の滅菌した後に無菌播種を行い、12日間培養して得られたものであり、前記無菌播種培地は、1/2MSを基礎培地として、基礎培地に0.01~0.5mg/LNAA、20~50g/Lスクロース及び3~7g/L寒天を添加したものであるステップS1と、
MSを基礎培地として、基礎培地に0.05mg/LNAA、0.1mg/L6-BA、30g/Lスクロース、6g/L寒天、10mg/LビタミンC及び10mg/Lポリビニルピロリドンを添加し、不定芽誘導培地を得たステップS2と、
ステップS1の芽付き茎部をステップS2で調製した不定芽誘導培地に接種し、25~28℃で20日間培養し、不定芽誘導培地を利用して芽付き茎部を培養して不定芽を得たステップS3と、を含む。
【0034】
比較例2
ワンステップでブルメアバルサミフェラ根の細胞の分化を誘導して不定芽を生成する培養方法は、
ブルメアバルサミフェラ無菌実生苗を取り、葉を摘み取り、消毒し、前記ブルメアバルサミフェラ無菌実生苗は、健康のブルメアバルサミフェラ種子を従来の滅菌した後に無菌播種を行い、12日間培養して得られたものであり、前記無菌播種培地は、1/2MSを基礎培地として、基礎培地に0.01~0.5mg/LNAA、20~50g/Lスクロース及び3~7g/L寒天を添加したものであるステップS1と、
MSを基礎培地として、基礎培地に0.05mg/LNAA、0.1mg/L6-BA、30g/Lスクロース、6g/L寒天、10mg/LビタミンC及び10mg/Lポリビニルピロリドンを添加し、不定芽誘導培地を得たステップS2と、
ステップS1の葉をステップS2で調製した不定芽誘導培地に接種し、25~28℃で20日間培養し、不定芽誘導培地を利用して葉を培養して不定芽を得なかったステップS3と、を含む。
【0035】
実施例1~3及び比較例1~2で誘導して培養した後の不定芽数を統計し、不定芽誘導率を計算し、結果は表1-1に示す。
【0036】
(表1-1不定芽誘導効果)
【0037】
(表1-2)
【0038】
結果は、本発明が根の切片を使用して不定芽を誘導した不定芽誘導率が芽付き茎部から不定芽を誘導した誘導率より高くはないが、葉から不定芽を誘導した誘導率より高いことを示した。
【0039】
外植体あたりで得られた芽数量(芽の数/統計した外植体、芽誘導率42%~58%)がより低いが、ソースとする各株植物より得られた根外植体数量[(48/20=)2.4~(100/20=)5.0個外植体/株]は、得られた芽付き茎部の数量[((60/40=)?1.5個/株)より大幅に多くなったため、汚染した外植体を除去しても、各株植物が得られた根外植体数量は依然として、より高い[(40/20=)2~(52/20=)2.6個外植体/株)。無菌苗を源植物として使用する時、根外植体の芽取得率は高く(芽数/外植体源、127%)、芽付き茎部を外植体とする時の芽取得率(108%)より高い。培養目的が繁殖拡大である時、芽付き茎部及び無菌苗を同時に使用して誘導して無菌不定根を得て外植体とした場合、明らかに、本発明の明細書で説明した効果を達することができ、即ち「ブルメアバルサミフェラの繁殖拡大・増殖プロセス中における有効な外植体源を増加させる」、芽取得率が最高(155%)である。
【0040】
生物育種プロセス中に、得られた特殊な遺伝質に対して、根部を培養する価値がない部分として直接捨てることではなく、限られた源植物を利用して価値がある外植体をできるだけ多く取得する必要がある場合が多く、これにより最も高い芽取得率を達成することができる。この場合、本発明の技術革新は特に意義を持つ。実際に、他のプロの技術者は、根外植体から不定芽を得ることができないため、ほとんどは、芽で芽を繁殖する方式で不定芽を誘導し、即ち、他のプロの技術者の経験及び認識は、根を外植体として培養する不定芽誘導効率が0%である。
【0041】
実施例4ブルメアバルサミフェラ根の細胞脱分化により生じる不定芽に対する異なる6-BA濃度の影響
【0042】
実験方法:MSを基本培地として、0.05mg/LNAA、30g/Lスクロース、2~8g/L寒天、10mg/LビタミンC及び10mg/Lポリビニルピロリドンを添加し、次にそれぞれ異なる濃度の6-BA、それぞれ0mg/L、1.0mg/L、1.5mg/L、2.0mg/Lを添加し、0mg/Lを対照群として、それぞれ培地に調製し、根部組織切片(根の切片長さが約3.0~4.0cm)を接種し、30d後に汚染された根外植体を排除した後に不定芽発生数を統計し、誘導率を計算した。
【0043】
(表2ブルメアバルサミフェラ根の細胞脱分化により生じる不定芽に対する異なる6-BA濃度の影響)
【0044】
結果は表2に示すように、6-BA濃度が1.0mg/Lである場合、根の切片あたりに出芽数が最も多く、ブルメアバルサミフェラ根外植体の細胞脱分化を誘導して不定芽を得る効果が最も良かった。6-BA濃度が1.5mg/Lである場合、根の切片あたりの出芽数は55.0%、6-BA濃度が2.0mg/Lである場合、根の切片あたりの出芽数は41.7%に低下し、すべて対照群より低かった。
【0045】
実施例5ブルメアバルサミフェラ根の細胞脱分化により生じる不定芽に対する異なるNAA濃度の影響
【0046】
実験方法:異なる濃度のNAAのホルモン添加量を設定し、MSを基礎培地として、1.0mg/lの6-BA、30g/Lスクロース、2~8g/L寒天、10mg/LビタミンC及び10mg/Lポリビニルピロリドンを添加し、次に異なる濃度のNAA溶液、それぞれ0mg/L、0.025mg/L、0.05mg/L、0.075mg/L、0.1mg/Lを添加し、0mg/Lを対照群として、それぞれ培地に調製し、根部組織切片(根の切片長さが約3.0~4.0cm)を接種し、30d後に汚染された根外植体を排除し、不定芽発生数を統計し、誘導率を計算した。
【0047】
(表3ブルメアバルサミフェラ根の細胞脱分化により生じる不定芽に対する異なるNAA濃度の影響)
【0048】
結果は表3に示すように、NAA濃度が0.05mg/Lである場合、根の切片あたりに出芽数が最も多く、不定芽再生の誘導効果が最も良かった。全体として、5つのNAA濃度は0.05mg/Lを臨界点として、NAA濃度が0.05mg/Lより低い場合、NAA濃度の増加とともに、得られた不定芽総数は増加し、この場合にNAAは、不定芽分化を促進し且つ効果が徐々に向上することを説明し、NAA濃度が0.05mg/Lより高い場合、NAA濃度の増加とともに、得られた不定芽総数は減少し、NAA濃度の添加濃度は0.025~0.1mg/Lであり、根の切片あたりの出芽数はすべて、対照群より高く、NAAが本出願の培地における他の成分と併用すると、不定芽再生の誘導効果を向上させることができると説明した。
【0049】
実施例6ブルメアバルサミフェラ根の細胞脱分化により生じる不定芽に対する異なるMS培地条件の影響
【0050】
実験方法:MS、1/2MS、3/4MSであるMS培地の3つのレベルを設定し、且つ0.05mg/LNAA、1.0mg/Lの6-BA、30g/Lスクロース、2~8g/L寒天、10mg/LビタミンC及び10mg/Lポリビニルピロリドンを添加し、それぞれ培地に調製し、根部組織切片(根の切片長さが約3.0~4.0cm)を接種し、30d後に不定芽発生数を統計し、誘導率を計算した。
【0051】
(表4ブルメアバルサミフェラ根の細胞脱分化により生じる不定芽に対する異なるMS培地条件の影響)
【0052】
結果は表4に示すように、本発明は、MSを基本培地として、有効な根の切片あたりに出芽数が最も多く、根外植体の脱分化を誘導して不定芽を生成する効果が良く、且つ誘導率が1/2MS及び3/4MS基本培地より大幅に高くなった。
【0053】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び原則内で、いかなる修正、同等の変更、改善等はすべて、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1