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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】ヘアスタイリング装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/04 20060101AFI20240513BHJP
   A45D 1/02 20060101ALI20240513BHJP
   A45D 2/36 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
A45D1/04 C
A45D1/02 C
A45D2/36 A
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021549438
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2020054791
(87)【国際公開番号】W WO2020169849
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】1902443.9
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521370879
【氏名又は名称】ジャプハム グループ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JAPHAM GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】First Floor,Woburn Court 2 Railton Road,Woburn Road Industrial Estate,Kempston,Bedfordshire,MK42 7PN (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】デベネディクティス,アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ホーランド,ジャヌス ルシエン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー,マーク クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,マーティン マルコム
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ジェームス ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ソレン,ソラジュ
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0109307(KR,A)
【文献】特開2012-085921(JP,A)
【文献】特表2011-506021(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02937839(FR,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0055290(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00-20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と握り部とを有するヘアスタイリング装置であって、
前記本体部が、空気吸込み口、空気吹出し口、前記空気吸込み口と前記空気吹出し口との間に設けられたインペラ、及び前記インペラを回転させる電気モータを有し、
前記握り部が一対の加熱パネルを有し、前記握り部が前記本体部から分離可能であり、
前記本体部が、前記加熱パネルから分離される少なくとも1つの加熱要素を有する、ヘアスタイリング装置。
【請求項2】
前記握り部が、2つの略面状の加熱パネルを有する、請求項1に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項3】
前記加熱パネルが、それぞれのアームに取り付けられ、それぞれのアームは、互いに近づいたり遠ざかったりすることが可能であり、前記アームがヒンジジョイントによって一緒に接続され、前記ヒンジジョイントが前記握り部の端部に隣接する、請求項1又は2に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項4】
前記握り部が、前記加熱パネルを覆うそれぞれのカバー部を有し、前記カバー部のそれぞれが、熱を放散させるように作用する複数の表面変形部を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項5】
前記表面変形部が、前記カバー部における細長リブである、請求項4に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項6】
前記本体部が、前記握り部を取り付けることができる取付構造体を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項7】
前記取付構造体が、前記本体部の残りの部分から突出する略面状のプラットフォームを備える、請求項6に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項8】
前記握り部が前記本体部に取り付けられたときに、前記取付構造体が、前記加熱パネルの側縁部の一部を覆う少なくとも1つの保護構造を有する、請求項6又は7に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項9】
前記取付構造体が、前記加熱パネルを収容するための寸法と形状の開口部を有する、請求項6から8のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項10】
請求項8に従属するとき、前記保護構造が前記開口部の側部に隣接する、請求項9に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項11】
前記握り部が前記本体部に取り付けられたときに、前記保護構造が連続的であり、前記加熱パネルの端部を超えて延在する、請求項10に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項12】
前記取付構造体が固定部と可動部とを有し、
前記固定部が前記本体部の残りの部分に対して固定され、
前記可動部が前記固定部に対して移動可能である、請求項6から11のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項13】
請求項9から11のいずれか一項に従属するとき、前記開口部が前記可動部に位置する、請求項12に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項14】
前記取付構造体の前記可動部と前記握り部とが協働構造を有し、前記可動部と前記握り部を確実に一緒に移動させる、請求項12又は13に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項15】
前記協働構造が、少なくとも1つの凸部と、前記凸部を収容可能な少なくとも1つの凹部とを備える、請求項14に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項16】
前記握り部が、ラッチ機構によって前記本体部に固定される、請求項1から15のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項17】
12から15のいずれか一項に従属するとき、前記ラッチ機構が、前記取付構造体の前記固定部に取り付けられて、前記取付構造体の前記可動部に解放可能に係合することができる、ラッチ部材を備える、請求項16に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項18】
前記握り部が前記本体部に取り付けられたときに、前記加熱パネルが、前記本体部の外側に位置する、請求項1から17のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項19】
前記本体部がカール付けチャンバを有し、
前記カール付けチャンバが回転自在要素と細長部材とを有し、
前記回転自在要素の少なくとも一部と前記細長部材の少なくとも一部が前記カール付けチャンバ内にあり、
前記カール付けチャンバが、毛髪部分を前記チャンバ内へ通過させることができる主開口部を有し、
前記回転自在要素が、前記開口部に隣接し、使用時に前記毛髪部分を前記開口部を通って引っ張るように形成され、
前記回転自在要素が、使用時に前記毛髪部分を前記細長部材の周りに巻き付け、
使用時に空気が、前記カール付けチャンバによって前記空気吸込み口から前記空気吹出し口へ流れる、請求項1から18のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項20】
前記カール付けチャンバが、前記毛髪部分を前記カール付けチャンバから外へ通過させることができる副開口部を有し、前記細長部材が自由端を有する、請求項19に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項21】
可動接合部が前記自由端及び前記副開口部に隣接し、
前記可動接合部が、前記毛髪部分が前記カール付けチャンバ内に保持される閉鎖位置と、前記毛髪部分が前記細長部材の前記自由端を外れて前記カール付けチャンバから外へ移動することができる開放位置とを有する、請求項20に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項22】
前記可動接合部が、前記副開口部の面積の少なくとも50%にわたる、請求項21に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項23】
前記インペラを回転させる前記電気モータが第1の電気モータであり、前記本体部が前記回転自在要素を回転させる第2の電気モータを有する、請求項19から22のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項24】
空気が、前記細長部材の複数の開口部又は穴を通って前記カール付けチャンバに進入する、請求項19から23のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項25】
前記カール付けチャンバは外壁を有し、前記外壁にも穴が開いており、前記外壁の前記穴と前記主開口部の面積との総面積が、前記細長部材の前記穴の総面積を超える、請求項24に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項26】
前記握り部が、前記加熱パネル用のコントローラ及びユーザ作動型制御装置を有し、前記本体部が、電気モータ用のコントローラ及びユーザ作動型制御装置を有する、請求項1から25のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアスタイリング装置、特に、多機能ヘアスタイリング装置に関する。
【0002】
後述するように、ヘアスタイリング装置は、いくつかの異なる(別個の)スタイリング作業、例えば、毛髪の矯正、毛髪のカール付け、及び毛髪の乾燥などを実行することができる構成要素を有するという点で多機能である。特定の実施形態は、例えば、カール付けと乾燥などの複数の作業を同時に行うために使用することができるが、本発明は、異なるスタイリング作業が必要とされる場合に順次実行されるように、一度に1つの作業を行うために使用される実施形態も含む。
【0003】
便宜上、以下の説明は、女性の毛髪のスタイリング用装置の使用に言及するが、本発明は男性によっても使用され得る。
【背景技術】
【0004】
女性の毛髪をスタイリングする、即ち、自然な直毛にウェーブ又はカールを加えるか、又はウェーブ又はカールした毛髪を自然な直毛にすることが長い間望まれてきた。毛髪をスタイリングするためには、化学結合の一部を変化させて、毛髪を自然な形状にする必要がある。化学結合は、パーマ液を用いて化学的に、又は通常は熱及び/若しくは圧力の印加により機械的に変化させることができる。
【0005】
多くの様々な種類のヘアスタイリング装置が既知であり、市販されている。
【0006】
第1の種類のヘアスタイリング装置はヘアドライヤーである。ヘアドライヤーは加熱空気流を生成し、ユーザはその加熱空気流を毛髪の選択された部分に方向付けることができる。その毛髪部分(例えば、スタイリングブラシなどに巻き付けた毛髪部分)を、空気流によって乾燥及び加熱させながらスタイリングすることができる。また、多くのヘアドライヤーは、スタイリング作業の一部で使用され得る非加熱(又は周囲)空気流も生成することができる。
【0007】
いくつかのヘアドライヤーは、空気吹出し口に嵌合されて、より集中的な空気流を生成することができるノズルアタッチメントを含む。いくつかのヘアドライヤーは、空気吹出し口に嵌合されて、より拡散的な空気流を生成することができるディフューザアタッチメントを含む。これは、比較的広い領域にわたって多数の空気吹出し口が分散されるディフューザ特有の特徴である。これにより、一部のヘアスタイルにとって所望されるように、毛髪の選択部分を吹き乱すことなく乾燥させることができる。
【0008】
第2の種類のヘアスタイリング装置は、ヘアストレーナーである。ヘアストレーナーは、熱及び圧力を利用して毛髪をスタイリングする特定の形態のヘアスタイリング装置である。ヘアストレーナーは、毛髪にアイロンをかける、即ち、加熱された「アイロン」と平坦面との間で毛髪を加圧する動作を繰り返す事実を反映して、当初は「ストレートアイロン」と呼ばれていた。
【0009】
ほとんどのヘアストレーナーは、互いにヒンジ接続される一対のアームを備え、各アームが加熱パネルを搭載している。加熱パネルは、通常、パネル毎の一又は複数の電気加熱要素によって電気的に加熱される。アームが開放状態にあるとき、ユーザは、選択された毛髪部分の近位側又は頭皮側端部をパネル間に挿入し、次いで、両アームを共に押圧して、毛髪部分を加熱パネル間で加圧する。次に、ヘアストレーナーは、頭皮から遠ざけられ、毛髪部分はパネル間で引っ張られながら加熱及び加圧される。
【0010】
毛髪部分を真っ直ぐにするため、アームは、加熱パネルが頭皮と略垂直になり、毛髪部分がパネル間で略直線方向に引っ張られるように配向される。しかしながら、毛髪が加熱パネルを離れる際、毛髪が比較的急峻なアーム縁部の周りで強制的に曲げられるように頭皮に対してアームを配向させることによって、ヘアストレーナーを用いて毛髪部分にウェーブを加えることも可能である。
【0011】
加熱パネルによって加えられる熱及び圧力は、毛髪のキューティクルを平坦化する役割も果たす。毛髪は、自然な状態では、断面が略円形であるが、キューティクルを平坦化する(及びそれによって断面を平坦化する)ことによって、毛髪からの反射を増加させて、毛髪の艶を向上させることができる。キューティクルの平坦化によって艶を向上させることができるために、多くのユーザは、ヘアストレーナーは毛髪をより健康的に見せると考えている。
【0012】
ヘアクリンパー及びヘアウェーバーは、第2の種類のヘアスタイリング装置の派生とみなすことができる。これらの装置では、平坦な加熱パネルが波形加熱パネルに置き換えられる。毛髪部分は、波形加熱パネル間で加圧されて、波形のカールのかかった、又はウェービーな形状となる。ヘアストレーナーの場合のように連続するスタイリング作業において毛髪部分がパネル間で引っ張られるのではなく、その代わりに、パネルが、選択された毛髪部分を順次加圧して、別の部分に移動する前に各部分をスタイリングする。
【0013】
第3の種類のヘアスタイリング装置は、自動ヘアカーラーである。自動ヘアカーラーは、回転自在要素を有し、この要素がスタイリングされる毛髪部分を捕捉又は捕集して、細長部材の周りにこの毛髪部分を巻き付ける。好適な実施形態は、細長部材を囲む加熱チャンバを利用する。チャンバ内の毛髪部分は、細長部材に巻き付けられている間に、加熱されることによってスタイリングされる。特許出願WO2009/077747、WO2012/080751、WO2013/186547、US2,906,272、US2,935,070、及びUS4,177,824は、自動ヘアカーラーの様々な設計について記載している。
【0014】
いくつかの多機能ヘアスタイリング装置も既知である。特許出願WO2015/132594は、例えば、所望に応じて、自動ヘアカーラー又はヘアストレーナーとして使用することができるヘアスタイリング装置について記載している。
【0015】
中国特許出願CN105942698も、各機能が加熱空気流を利用するにもかかわらず、多機能ヘアスタイリング装置とみなすことができる。この文献は、2つのアームを有する改良ヘアドライヤーを開示しており、加熱空気がアームに沿って流れる。アームは一緒に又は別々に移動させられて、スタイリング作業に変化をつけることができ、加熱空気が2つの比較的大きな端穴又は多数の比較的小さな側穴を通って、アームから外に流れ出すことができる。第1に、端穴が開放された状態でアームが一緒に移動すると、幾分かは従来のヘアドライヤーのように、比較的集中した加熱空気流が提供される。第2に、側穴が開放された状態でアームが一緒に移動すると、加熱空気が複数の側穴を通って、アーム間に位置する毛髪部分に吹き出される。第3に、側穴が開放された状態でアームが別々に移動すると、比較的拡散された加熱空気流が側穴から流れ出す。
【0016】
別の多機能ヘアスタイリング装置は、ヘアストレーナー(一対のヒンジ接続された加熱パネルを有する)、又はヘアドライヤー(加熱空気流を生成するためにモータ、インペラ、及びヒータを有する)、又はヘアカーラー(ある長さの毛髪を細長部材の周囲に巻き付ける回転自在要素を有する)に選択的に接続することができる握りを備える。ユーザは、所望するヘアスタイリング作業に応じて、適切なアタッチメントを握りに嵌合させることができ、各スタイリング作業が別々に行われる。
【発明の概要】
【0017】
発明者らは、いくつかの異なるスタイリング作業を達成するために使用することができる代替的なヘアスタイリング装置を提供しようと試みてきた。スタイリング作業は、同じ長さの毛髪上で同時に又は順次行うことができる、又はユーザは、装置の構成要素の少なくともいくつかを利用して、特定のスタイリング作業を実行することができ、装置の他の構成要素を利用して、別の時点で別のスタイリング作業を実行することができる。
【0018】
本発明の第1の態様によると、本体部と握り部とを有するヘアスタイリング装置であって、本体部が空気吸込み口、空気吹出し口、空気吸込み口と空気吹出し口との間に設けられたインペラ、及びインペラを回転させる電気モータを有し、握り部が一対の加熱パネルを有し、握り部が本体部から分離可能である、ヘアスタイリング装置が提供される。
【0019】
本体部は、使用時に空気を空気吸込み口から空気吹出し口へ送り、空気吹出し口からユーザの頭部に向けて吹き出すヘアドライヤーを提供することができる。握り部は、本体部に取り付けられたときにはヘアドライヤーの握りを提供し、本体部から取り外されたときにはヘアストレーナーなどを提供する。
【0020】
上述したような別の多機能装置と異なり、加熱パネルは、握り部に永久的に装着される。これにより、後述するように毛髪を真っ直ぐするために使用されるときの装置の作業が大幅に改善され、握り部と加熱パネルとの間の解除可能な電気接続の要件が回避される。
【0021】
第1の態様(及び下記の他の態様)はインペラに言及するが、空気流はファン又はタービンによって生成されてもよいと理解される。簡潔にするため、本願では、「インペラ」という用語は、モータによって回転させられて、空気吸込み口から空気吹出し口へ空気流を生成することができる任意の構成要素を指すために使用される。
【0022】
従来のヘアストレーナーと同様に、握り部は2つの略面状の加熱パネルを有してもよい。あるいは、パネルは、毛髪ウェーバーと同様に波形であってもよい。パネルは、互いに近づいたり遠ざかったりすることが可能なそれぞれのアームに取り付けられるように構成されることが好ましい、即ち、アームは「閉鎖」又は「開放」状態を採ることができる。望ましくは、アームは、ヒンジジョイントによって一緒に接続される。ヒンジジョイントは、従来のヘアストレーナーと同様に、握り部の端部、理想的には、加熱パネルと反対側の端部に隣接して設けることができる。また、従来のヘアストレーナーと同様に、開放状態では、毛髪部分を加熱パネル間の間隙に導入することができ、閉鎖状態では、毛髪部分を加熱パネル間で加熱して、毛髪部分をスタイリングすることができる。
【0023】
好ましくは、握り部の各アームは、加熱パネルと、使用時に加熱パネルを覆い、大部分を隠すカバー部とを備える。既知の方法で、カバー部は、理想的には、加熱パネルが作業温度であるときでも、ユーザが火傷せずにカバー部に触れることができるように、プラスチック又は伝熱性の低い他の材料からなる。望ましくは、カバー部は、複数の表面変形部(例えば、リブ、ドット、又は他の構造)を有し、これらの表面変形部は、空気を接触領域の周囲に流し、カバー部の表面積を増大させ、平滑面よりも迅速に周囲環境に熱を放散させるよう作用し、それにより、使用時のカバー部の接触温度を低下させる。
【0024】
従来のヘアストレーナーでは、ユーザは典型的には、手のどの部分も加熱パネルに直接重なるカバー部に当たることがないように、ヒンジと加熱パネルとの間の領域でアームを把持する。ユーザによって把持されるアームの温度は、第1に、各加熱パネルから加熱パネルに直接重なるカバー部への低伝熱性、第2に、アームに沿った低伝熱性のために、快適なレベルまで低下する。しかしながら、本発明では、握り部が本体部に取り付けられるときに、ユーザは、加熱パネルの少なくとも一部に直接重なって位置するカバー部を介して握り部を把持すると予測される。本体部に取り付けられる握り部の使用時間の大半で、加熱パネルは高温にはならないが、にもかかわらず、装置が、毛髪を真っ直ぐにするために、ある人によって使用され、そのすぐ後に毛髪を乾かすために、別の人によって使用される場合があり得ると予測される。従って、本発明は、加熱パネルが作業温度に近い状態で、握り部が把持されて使用される可能性を排除することはできない。カバー部の低伝熱性材料の使用にかかわらず、熱を放散させる表面変形部を追加することは、使用時間中のカバー部の温度を低下させ、ユーザの快適性を向上させるのに役立つ。
【0025】
代替的に、又は追加的に、一又は複数の追加の断熱層を加熱パネルと各アームのカバー部との間に配置することで、使用時のカバー部の温度をさらに低下させることができる。
【0026】
望ましくは、本体部は、握り部を取り付けることができる取付構造体を有する。好ましくは、取付構造体は、本体部の残りの部分から突出する略面状のプラットフォームを備える。望ましくは、取付構造体は、加熱パネルを収容するための寸法及び形状の開口部を有する。このような構成では、加熱パネルがプラットフォーム又は取付構造体の他の部分との直接接触を回避することが可能になる。こうした接触は、加熱パネルの損傷又は摩耗を引き起こす可能性がある。各アームの加熱パネルは、開口部内で他方の加熱パネルと係合するように構成することができるが、これは必須ではなく、その代わりに、加熱パネルは、取付構造体によってわずかな距離だけ互いに離間して保持されるように構成することができる。
【0027】
好ましくは、取付構造体は、開口部に隣接する少なくとも1つの保護構造を有する。望ましくは、保護構造は、開口部の側部に隣接する。また、望ましくは、保護構造は連続的であり、開口部の端部を超えて延在する。好ましくは、2つの保護構造が設けられ、各保護構造は開口部の対応する側部に隣接する。
【0028】
好ましくは、各保護構造は、熱伝導の低い材料を含む。代替的に、又は追加的に、各保護構造は少なくとも1つの断熱層を備える。従って、各保護構造は、(高温)加熱パネルからの保護構造を介した熱伝達を低減するように作用する。
【0029】
保護構造は、握り部が本体部に取り付けられたときに、加熱パネルの側縁部に重なり、覆い隠すように構成される。これに関して、アームが閉鎖状態にあるとき、従来のヘアストレーナーの加熱パネルの側縁部(及び、従って、本発明の握り部の加熱パネルの側縁部)は露出し、アクセス可能であると理解される。側縁部は使用時には非常に高温であり、多くのユーザが、露出した側縁部に触れて火傷することが知られている。側縁部に重なり、覆い隠す保護構造を設けることで、握り部の装着中、及び握り部が本体部に取り付けられた状態での装置の使用中に、ユーザが高温加熱パネルの側縁部に触れることによって火傷を負うリスクが低減又は回避される。
【0030】
望ましくは、取付構造体は固定部と可動部を備え、固定部は本体部の残りの部分に対して固定され、可動部は固定部に対して可動である。好ましくは、可動部は、固定部に対して摺動するように搭載される。また、好ましくは、開口部は可動部に位置する。使用時、握り部は、可動部に嵌合され、可動部に対して配置させることができる。握り部及び可動部は、固定部に対して、解放位置と保持位置とのいずれかへ一緒に移動させることができる。保持位置では、握り部が取付構造体にしっかりと取り付けられ、それにより本体部にしっかりと取り付けられる。
【0031】
握り部及び可動部は好ましくは、ラッチ機構によって保持位置に保持され、握り部及び可動部が保持位置に移動すると、自動的にラッチ機構に係合し、握り部を固定する。好ましくは、ラッチ機構は、取付構造体の固定部に取り付けられ、取付構造体の可動部に解放可能に係合するラッチ部材を備える。このような構造では、ラッチ部材は、握り部のどの部分にも係合しない。また、好ましくは、取付構造体の可動部の対応する部分に解放可能に係合することができる2つのラッチ部材が設けられる。
【0032】
望ましくは、取付構造体は2つの解放ボタンを有し、解放ボタンの一方は対応するラッチ部材に接続される。ラッチ部材を解放し、握り部及び可動部を解放位置まで移動させるために、望ましくは、解放ボタンの両方を一緒に作動させる必要がある。
【0033】
好ましくは、取付構造体の可動部と握り部とは、これらの要素を確実に一緒に移動させる協働構造を有する。望ましくは、協働構造は、少なくとも1つの凸部と、凸部を収容することのできる凹部とを備える。また、望ましくは、凸部は可動部に位置し、凹部は握り部のアームに位置する。
【0034】
好ましくは、従来のヘアドライヤーと共通して、空気は、本体部内の空気吸込み口から空気吹出し口への経路で加熱される。好ましくは、本体部は、加熱パネルから分離される少なくとも1つの加熱要素を有する。従って、装置がヘアドライヤーとして使用されるとき、空気は、握り部の加熱パネルではなく、本体部の加熱要素によって加熱される。
【0035】
また、好ましくは、握り部が本体部に取り付けられたときに、加熱パネルは本体部の外側に位置する。従って、このような実施形態では、加熱パネルは、本体部内の空気を加熱する役割を果たさない。
【0036】
あるいは(さほど好ましくはないが)、握り部が本体部に取り付けられたときに、加熱パネルの少なくとも一部が、本体部内、具体的には、空気吸込み口と空気吹出し口との間の空気流路に位置する。このような実施形態では、握り部の加熱パネルは、恐らく本体部の加熱要素に加えて使用されて、本体部を通過する際に空気を加熱する。
【0037】
上述したように、毛髪を真っ直ぐするために使用されるとき、握り部は本体部から分離され、単独で使用される。従来のヘアストレーナーと共通して、アームが一緒に押圧されるとき、加熱パネルが互いに係合するように構成することができる。あるいは、アームが一緒に押圧されるとき、加熱パネルが互いに係合するが、わずかに離間して保持されるように構成することができる。後者の構成では、毛髪部分が加熱パネル間で加圧も固定もされないにもかかわらず、熱を加えることだけで、自然なカール又はウェーブのかかった毛髪から、カールの一部を除去することができ(毛髪部分のいわゆる「ターミング」又は「スムージング」)、これは一部のユーザにとって望ましい。
【0038】
一実施形態では、加熱パネルはWO2019/238961に記載されるように構成することができ、ヘアストレーナーは同文献に記載されるのと同じように使用することができる。
【0039】
好ましくは、ノズルアタッチメント及び/又はディフューザアタッチメントは、空気吹出し口に隣接して本体部に取り外し可能に取り付けることができる。従来のヘアドライヤーと共通して、ノズルアタッチメントは、空気流を集中させ、所望に応じてユーザが空気流を方向付けるのを助ける機能を果たすことができる。また、ディフューザアタッチメントは、従来のように、ユーザが比較的拡散した(及び、より緩やかに流れる)空気流をユーザの毛髪に向けて方向付ける役割を果たすことができる。
【0040】
好ましくは、本体部はカール付けチャンバを有し、カール付けチャンバは回転自在要素と細長部材とを有し、回転自在要素の少なくとも一部と細長部材の少なくとも一部がカール付けチャンバ内にあり、カール付けチャンバが、毛髪部分をチャンバ内へ通過させることができる主開口部を有し、回転自在要素が開口部に隣接し、毛髪部分を開口部を通って引っ張るように形成され、回転自在要素が使用時に毛髪部分を細長部材の周りに巻き付け、空気が使用時に、カール付けチャンバによって空気吸込み口から空気吹出し口へ流れる。これらの実施形態では、本体部は、例えば、WO2009/077747のものとほぼ類似する自動ヘアカーラーを備える。これらの実施形態は、本体部から分離されて、ヘアストレーナーとして機能する分離可能な握り部を設けるという点で、WO2015/132594の多機能ツールを含む従来技術の構造と異なる。
【0041】
これらの実施形態では、空気は、空気吹出し口を通ってカール付けチャンバを離れる前に、空気吸込み口からカール付けチャンバまで流れる。空気は、所望に応じて、カール付けチャンバに入る前に加熱することができる。しかしながら、たとえ空気が加熱されなくても、カール付けチャンバへの空気流は、(毛髪が当初、乾いていても湿っていても)スタイリング作業を助けることができる。
【0042】
望ましくは、カール付けチャンバは、例えばスタイリング作業の最後に、毛髪部分をカール付けチャンバから外へ通過させることができる副開口部を有する。また、望ましくは、細長部材は自由端を有する。可動接合部は自由端と副開口部に隣接して配置することができ、可動接合部は、毛髪部分がカール付けチャンバに保持される閉鎖位置と、毛髪部分が細長部材の自由端を外れてカール付けチャンバから外へ移動することができる開放位置とを有する。また、閉鎖位置にある可動接合部は、好ましくは、毛髪部分が細長部材の自由端の周囲を通り、回転自在要素の回転によってカールされずにねじれるのを防止する。
【0043】
このようなカール付けチャンバ、細長部材、及び可動接合部はWO2012/080751に記載されており、これらの要素の詳細な構造は、所望に応じて、この先行技術文献に記載される構成要素と一致させることができる。しかしながら、閉鎖位置での可動接合部は、カール付けチャンバから空気が漏れるのを制限する役割も果たすように、副開口部の大部分にまたがることが好ましい。理想的には、可動接合部は(開放された)副開口部の面積(領域)の少なくとも50%にわたり、理想的には、副開口部の面積(領域)の約70%にわたる。これは、空気が加熱される実施形態では特に有用であり、可動接合部は、加熱空気がより長くカール付けチャンバ内に保持されて、毛髪部分がより迅速に及び/又はよりしっかりと加熱されることを確実にするのを助ける。
【0044】
好ましくは、インペラを回転させる電気モータは第1の電気モータであり、本体部は、回転自在要素を回転させる第2の電気モータを有する。あるいは、単独のモータが、インペラと回転自在要素を回転させることができる。しかしながら、カール付けチャンバ内で毛髪を乾燥させるために装置をより有用にするため、2つのモータが好ましい。具体的には、従来技術の構成と共通して、毛髪部分の全てが既に細長部材に巻き付けられているが、毛髪が乾くまで加熱空気流をカール付けチャンバ内に維持することが望ましいとき、回転自在要素の回転を停止することができる。
【0045】
好ましくは、空気は、細長部材の複数の開口部又は穴を通ってカール付けチャンバに進入する。使用時、細長部材の穴を通る空気流(空気が加熱されるか否かか、及び毛髪が乾いているか湿っているか否かにかかわらず)は、特に、毛髪部分の全てが既に細長部材に巻き付けられている巻付け作業の最後で、毛髪部分を細長部材から押し出すように作用する。よって、細長部材から流出する空気流は、チャンバ壁と係合する毛髪部分の外方への移動を助け、毛髪部分が全て均一にスタイリングされることを更に確実にすることができると理解される。
【0046】
カール付けチャンバの外壁又は壁にも、所望に応じて穴を開けられてもよい。外壁の開口部又は穴は、空気をカール付けチャンバから脱出させ、細長部材から外壁に向かう、より放射状の空気流を引き起こす。放射状の空気流は、毛髪部分を外壁に向けて、又は外壁に押し当てるのに更に有効であると予想される。カール付けチャンバの外壁が加熱される実施形態では、より効果的なことに、毛髪を外壁に押し当てる方が、より迅速で均一なスタイリング作業を実現すると予測される。
【0047】
望ましくは、外壁の穴(及び空気がチャンバを離れることができる主開口部の面積)の総面積は、外壁の穴がカール付けチャンバを通る空気流全体を制限しないように、細長部材の穴の総面積を超える。穴の開いた外壁、特に、穴の面積の大きい外壁を設けることは、細長部材から外壁への空気流を確実にほぼ放射状とし、それにより、毛髪部分を外方に押し出すのを助け、毛髪部分が空気流によって未制御又は未所望の方向に押される可能性を低減するのに役立つ。
【0048】
外壁に穴が開いている実施形態では、閉鎖位置での可動接合部は、副開口部の全てにまたがるため、スタイリング作業中、空気がほとんど(又はほぼ全く)副開口部を通らずにカール付けチャンバを離れない。外壁に穴が開いていない実施形態では、閉鎖位置において、可動接合部は好ましくは、副開口部の全てにまたがらない。使用時に、空気は主開口部と副開口部の開放部分とを通ってチャンバを離れる。
【0049】
本発明の第2の態様によると、本体部と握り部とを有するヘアスタイリング装置であって、本体部はカール付けチャンバを有し、カール付けチャンバは回転自在要素と細長部材を有し、回転自在要素の少なくとも一部と細長部材の少なくとも一部がカール付けチャンバ内にあり、カール付けチャンバが、毛髪部分をチャンバ内へ通過させることができる開口部を有し、回転自在要素が開口部に隣接し、毛髪部分を開口部を通って引っ張るように形成され、回転自在要素が使用時に毛髪部分を細長部材の周りに巻き付け、握り部が一対の加熱パネルを有し、握り部が本体部から分離可能である、ヘアスタイリング装置が提供される。
【0050】
第2の態様によるヘアスタイリング装置は、上述の第1の態様の特定の特徴を共有する。具体的には、取り外し可能な握り部の特徴を共有する。従って、第2の態様によるヘアスタイリング装置は、自動ヘアカーラー(握り部が本体部に取り付けられた状態で)として、又はヘアストレーナー/スムーサー(握り部が取り外された状態で)として使用することができる。
【0051】
本発明の第3の態様によると、本体部、握り部、及びカール付けチャンバを有するヘアスタイリング装置であって、本体部が、空気吸込み口、空気吹出し口、空気吸込み口と空気吹出し口との間に設けられたインペラ、及びインペラを回転させる電気モータを有し、カール付けチャンバが回転自在要素と細長部材を有し、回転自在要素の少なくとも一部と細長部材の少なくとも一部がカール付けチャンバ内にあり、カール付けチャンバが、毛髪部分をチャンバ内へ通過させることができる開口部を有し、回転自在要素が開口部に隣接し、毛髪部分を開口部を通って引っ張るように形成され、回転自在要素が使用時に毛髪部分を細長部材の周りに巻き付け、本体部が空気吹出し口に隣接する本体接続部を有し、カール付けチャンバが、本体接続部と協働することができるチャンバ接続部を有することにより、本体部に取り外し可能に取付可能であり、カール付けチャンバがチャンバ接続部に隣接するチャンバ空気吸込み口を有し、チャンバ空気吸込み口が、カール付けチャンバが本体部に取り付けられたときに本体空気吹出し口に連通し、握り部が一対の加熱パネルを有し、握り部が本体部から分離可能である、ヘアスタイリング装置が提供される。
【0052】
第3の態様によるヘアスタイリング装置は、上述の第1及び第2の態様の特徴を共有する。本態様によるヘアスタイリング装置は、ヘアドライヤーとして(握り部が本体部に取り付けられ、カール付けチャンバがない状態で)、自動ヘアカーラーとして(握り部とカール付けチャンバが本体部に取り付けられた状態で)、又はヘアストレーナー/スムーサーとして(握り部が取り外された状態で)使用することができる。
【0053】
好ましくは、上述の態様の全てで、ヘアスタイリング装置の各作業用のコントローラは、一部又は全部が握り部に位置する。また、好ましくは、ヘアスタイリング装置は、握り部に接続される単独の給電ケーブルを有する。電力は好ましくは、本体部と握り部の協働電気コネクタによって本体部に供給される。望ましくは、本体部は複数の突出する(又は「雄型」)電気コネクタを有し、握り部は対応する数の凹状(又は「雌型」)電気コネクタを有する。
【0054】
握り部上で雌型電気コネクタを使用することは、雌型コネクタが雄型電気コネクタと比較して、露出度が少なく、アクセスし難いために好ましい。これは、握り部が単独で使用され、電気コネクタがユーザにとってアクセス可能であるときに特に重要である。好ましくは、握り部は電気コネクタ用のカバーを有し、カバーはコネクタを露出させるように移動可能である。本体部が上述したような取付構造体を有する実施形態では、握り部及び可動部が保持位置に移動すると、カバーが開放位置まで自動的に移動するように構成することができる。逆に、握り部及び可動部が解放位置に移動すると、カバーが自動的に閉鎖位置に移動する。
【0055】
望ましくは、電気コネクタの少なくともいくつかは、(握り部の)コントローラが制御信号を本体部に送信し、制御情報を本体部から受信するのを可能にするように設けられる。それにより、ユーザは、握り部上の制御スイッチによって、本体部(例えば)の電気モータを作動させ、制御することができる。従って、ユーザは、いくつかの実施形態では、握り部上の制御スイッチによって、本体部を通る加熱空気の温度及び/又は流速を調節することを含むヘアドライヤー機能を制御することができる。同様に、ユーザはヘアカーラー機能を制御することができ、いくつかの実施形態では、握り部上の制御スイッチによって、カール付けチャンバの加熱要素の温度を制御することができる。
【0056】
本体部の主制御は好ましくは握り部のコントローラによって提供されるが、本体部の制御機能の一部が、本体部の副コントローラによって実行されることは排除されない(典型的には、空間がさほど制限されない場合)。
【0057】
カール付けチャンバが本体部に取り外し可能に取付可能である第3の態様によるヘアスタイリング装置では、本体部とカール付けチャンバとの間で電力及び/又は制御信号及び情報を伝送するために、本体部とカール付けチャンバの協働電気コネクタを設けることができる。電気接続部は、本体接続部とチャンバ接続部とに隣接して配置することができる。また、好ましくは、カール付けチャンバが協働接続部によって本体部に取り付けられたときに、電気接続部を自動的に接続することができる。電気コネクタは好ましくは、WO2012/080751に記載されるように、回転自在要素、可動接合部、一又は複数のセンサ、及び負荷検出回路に電力及び制御を提供することができる。
【0058】
カール付けチャンバに電力を供給して、回転自在要素用の(第2の)モータを駆動することができるが、その代わりに、第2のモータを本体部に置くように構成されてもよい。あるいは、WO2009/077747で提案されるように、回転自在要素は、本体部のインペラで生成される空気流によって回転するように駆動することができる。
【0059】
不要な繰り返しを回避するため、本発明の一態様によるヘアスタイリング装置に関連して記載した各特徴は、両立し得る他の態様によるヘアスタイリング装置にも組み込むことができる。
【0060】
本装置の多機能性質にかかわらず、発明者らは、個々の機能が損なわれない装置、即ち、(i)ヘアドライヤーとして使用されるとき、従来のヘアドライヤーと少なくとも同じくらい使い易く有効である装置、(ii)ヘアストレーナーとして使用されるとき、従来のヘアストレーナーと少なくとも同じくらい使い易く有効である装置、及び(iii)自動ヘアカーラーとして使用されるとき、従来の自動ヘアカーラーと少なくとも同じくらい使い易く有効である装置、を提供するように努めてきている。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明を、添付図面を参照して、例示のために以下詳細に説明する。
図1】握り部が本体部に取り付けられた状態における、本発明の第1の態様によるヘアスタイリング装置の斜視図である。
図2】握り部が本体部から取り外された状態における、図1のヘアスタイリング装置の握り部及び本体部の斜視図である。
図3】握り部が解放位置にある、握り部及び本体部の部分図である。
図4】アームが開放状態にある、握り部のみの斜視図である。
図5】カール付けチャンバを含むヘアスタイリング装置の本体部の斜視図である。
図6】カール付けチャンバ内に配置される細長部材及び回転自在要素の斜視図である。
図7図6と同様だが、チャンバの外壁も含む斜視図である。
図8】可動接合部が閉鎖位置にある、図5の本体部の前面図である。
図9図8と同様だが、可動接合部が開放位置にある図である。
図10】ノズルアタッチメントが嵌合した図1の装置を示す図である。
図11】ディフューザアタッチメントが嵌合した図1の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
ヘアスタイリング装置10は、本体部12及び握り部14を有する。従来のヘアドライヤーと共通して、本体部12は、空気吸込み口16及び空気吹出し口18を有する。インペラと、インペラを回転させる電気モータ(図示せず)とが、空気吸込み口16と空気吹出し口18との間で本体部12に搭載される。
【0063】
空気は、空気吸込み口16から空気吹出し口18へ流れる際に加熱することができる。本実施形態では、熱は、本体部内の電気加熱要素(図示せず)によって提供される。他の実施形態では、握り部14の加熱パネル20(1つのみが図3に示される)は、空気に熱の一部または全部を提供することができる。
【0064】
これらの構成要素及び本体部12におけるこれらの構成要素の配置は、本発明には関係せず、従来通りとしてもよい。本体部12は、詳細に後述するように、取付構造体22(図2)と、取付構造体に解放可能に取り付けられる握り部14とによって、従来のヘアドライヤーと区別される。
【0065】
図1に示されるように、従来のヘアドライヤーと同様に、本体部12及び握り部14は、一緒に使用することができる。この構造では、握り部14の2つのアーム24が握りを提供し、その握りを用いてユーザはヘアドライヤーを把持し操作する。図1に示されるヘアドライヤーの従来の構造を更に明瞭にするため、図10は、空気吹出し口18に嵌合され、加熱空気流を集中させ方向付ける任意のノズルアタッチメント26を示す。また、図11は、空気吹出し口18に嵌合されて、より拡散的な空気流を提供する任意のディフューザアタッチメント28を示す。
【0066】
図2に示されるように、握り部12は、本体部12から分離することができる。本実施形態では、本体部14は、後述するように、握り部を解放可能に取り付けることができる取付構造体22を有し、取付構造体は、本体部の残りの部分から突出する略面状のプラットフォームを提供する。
【0067】
取付構造体22は、握り部14の加熱パネル20を収容するための寸法と形状の開口部30を有する。加熱パネル20は、図1に示される閉鎖(及び取付)状態で互いに係合するように配置することができる、又は加熱パネルは、わずかに互いに離間した状態で取付構造体22によって保持することができる。いずれの場合も、加熱パネル20は開口部30内に位置し、加熱パネルの作用面(この場合、平面状である)は取付構造体のどの部分にも係合しない。取付構造体の各部との不要な接触を回避することで、加熱パネル20の損傷又は摩耗の可能性が最小化されると予測される。
【0068】
開口部30の両側に、取付構造体22は保護構造32を有する。保護構造32は、伝熱性は低いが、加熱パネル20の極高温の作業温度に耐えうる材料で作製される。本実施形態では、保護構造は、プラスチック、特にPEEKからなるが、任意の適切な高温プラスチック又は複合材料を使用することもできる。図1に示されるように、握り部14が本体部12に取り付けられると、保護構造32が加熱パネル20の側縁部に重なり覆い隠し、それにより側縁部が露出されアクセス可能となることがない。よって、保護構造32は、(例えば)加熱パネルを作業温度に近づけて装置がヘアドライヤーとして使用される場合、加熱パネルの側縁部との不注意な接触によってユーザが火傷を負う可能性を低減する。
【0069】
保護構造32は、加熱パネルの側縁部全体に重なり覆い隠すように、連続的であり、開口部30の端部を超えて(ひいては、加熱パネルの端部を超えて)延在する。
【0070】
保護構造32は、取付構造体22の固定部である、即ち、本体部12の残りの部分にしっかりと接続される。開口部30は、保護構造32及び取付構造体22の他の固定部に対して移動させる(本実施形態では、摺動する)ことができるスライド板34に形成される。
【0071】
スライド板34は、スライド板34の残りの部分から立ち上がる凸部36の形態の2つの協働構造を有する。図4に示されるように、握り部14のアーム24は、対応する凸部36を収容することができる凹部40(1つのみが図示される)の形態の協働構造を有する。所望に応じて、アーム24の両方は同一の凹部40を有することができ、それにより、握り部14を2つのやり方のいずれかで取付構造体に嵌合することができる。スライド板34は、両側から立ち上がる対応する凸部36を有することは必須ではないが、除外されるものではない。
【0072】
握り部14を本体部12に装着するために、握り部14のアーム24は図4に示されるように分離され、それぞれの加熱パネル20が、パネルが開口部30に重なるまで、取付構造体22の各側まで動かされる。アーム24は共に押圧されて、図3に示されるように、凸部36を凹部40に進入させ、加熱パネル20を開口部30に進入させる。握り部14は、図3に示される解放位置から図1に示される保持位置まで上向きに移動させられ、移動の間、スライド板34(従って、凸部36及び開口部30)は握り部14と共に(図2に示される位置から上方に)移動する。
【0073】
図2は、本体部12の電気コネクタ用のハウジング42を示す。図2は、握り部14の電気コネクタ(図示せず)を覆い隠すカバー44を更に示す。カバー44は可動であり、具体的には、アーム24の残りの部分にヒンジ接続され、図示されるように閉鎖位置まで弾性的に付勢される。カバー44はアーム24の開口部にまたがり、開口部はハウジング42を収容するための寸法を有する。
【0074】
図3に示されるように、解放位置では、ハウジング42はアーム24からわずかに離間し、カバー44はその位置で閉鎖されたままである。握り部14を図3の解放位置から図1の保持位置まで摺動させると、ハウジング42は、カバー44を押して開放させ開口部に進入するように配置される。握り部14を保持位置に移動させると、握り部14の電気コネクタが本体部12の電気コネクタに接触する。
【0075】
カバー44が設けられているが、本実施形態では、ユーザが指又はツールを使ってカバー44を開放して電気コネクタを係合させる可能性を低減するように、握り部14は雌型電気コネクタを有し、本体部12は雄型電気コネクタを有する。
【0076】
図示されていないが、アーム24の両方は、それぞれのカバー44の下に電気コネクタを有し、本体部12の電気コネクタと協働するためのハウジング42は、取付構造体22のプラットフォームの両側に配置される。
【0077】
装置は電池式とすることが可能だが、図1から分かるように、本実施形態では、電源が主ケーブル46によって握り部14に接続される。従って、インペラを駆動し、加熱要素を作動させる本体部12への電力は、協働電気コネクタによって握り部14から伝送される。最も簡易な実施形態では、インペラ及び加熱要素は、握り部14の本体部12への装着によって作動する。しかしながら、電気コネクタはまた、本体部に制御信号、例えば、インペラ及び加熱要素のオン/オフを切り換え、恐らくはインペラの速度を調整し加熱要素の温度を調節する制御信号を伝達することが好ましい。制御情報も本体部から握り部に伝達することができ、例えば、本体部12の温度センサが握り部14のコントローラと通信して、所定の最高温度に達した場合に加熱要素をオフに切り換えることができる。
【0078】
握り部14は、ラッチ機構によって図1の保持位置に固定される。ラッチ機構の構造は、実施される発明に必須ではないので図示しない。また、当業者であれば、適切なラッチ機構を適切な位置に容易に組み込むことができるであろう。握り部14が図1の保持位置まで押圧されると、ラッチ機構が自動的に作動して握り部14を固定する。好ましくは、ラッチ機構は、ラッチ機構が握り部14のどの部分とも係合する必要がないように、取付構造体22の固定部と可動部との間で動作する。
【0079】
ラッチ機構を解放するため、ユーザは、2つの互いに反対側にあるボタン50を一緒に押す必要がある。ボタンのうちの1つのみを図1及び2に示す。2つのボタンを一緒に押すという要件により、握り部14が不注意に解放される可能性が低減される。
【0080】
図4から分かるように、一対のアーム24がアームの一端でヒンジ52によって接続され、アームの他端で加熱パネル20に接続されるという点で、握り部14が従来のヘアストレーナーと非常に似せて形成される。また、従来のように、アーム24は、図3の開放状態まで離れるように弾性的に付勢される。ヘアストレーナーとしての使用中、アーム24は既知の方法でユーザによって一緒に押圧され、ユーザの手はヒンジ52近傍で両アーム24の周りに置かれ、毛髪部分は加熱パネル20間に置かれる。
【0081】
上述したように、本実施形態では、握り部14は、2つのやり方のいずれかで取付構造体22に取り付けることができる。これにより、握り部が本体部12に取り付けられる度に、ユーザが凸部36及び凹部40の位置を確認し、それに応じて握り部14を配向する必要性が回避される。したがって、両アーム24上の電気コネクタ及び両ハウジング42内の電気コネクタは同一であり、同じ構成要素に接続されなければならないため、装置は握り部の取付配向に関係なく動作することができる。代替的な一実施形態では、アーム24の一方のみが凹部40を有し、凸部36は取付構造体22のプラットフォームの一方側からのみ立ち上がるため、ユーザは取付構造体22に対して握り部14を正確に配向しなければならない。このような実施形態では、一方のアーム24の電気コネクタは他方のアーム24の電気コネクタと異なっていてもよく、それぞれの電気コネクタは本体部12の異なる構成要素に接続されてもよい。
【0082】
握り部14が本体部12に装着されるとき、アーム24が共にユーザによって押圧されて、アームを取付構造体と接触して保持し、握り部を図1の保持位置まで移動させる。保持位置では、ハウジング42は、カバー44及びアーム24の下の開口部に配置され、それにより弾性的な付勢に対抗して共に保持される。
【0083】
上述したように、使用中、ユーザは通常、ヒンジ52の近傍で握り部14を把持する。ユーザは同様に、本体部12への装着中も握り部14を把持すると予測される。200℃以上の加熱パネルの作業温度にかかわらず、アーム24は、アームの低伝熱性、及び加熱パネル20と把持領域との間の距離のため、ヒンジ近傍で快適に把持することができる。しかしながら、図1に示される取付位置では、握り部はヒンジから遠い領域、特に、加熱パネル20の少なくとも一部に直接重なる領域で把持されると予測される。
【0084】
加熱パネル20が作業温度に近い状態で、握り部14が本体部12に装着されることがあるため、アーム(即ち、加熱パネル20に直接重なるアームの部分)のカバー部48は、表面積を増大させることによって環境への熱放散を増やすように、表面変形部、本実施形態では、長手リブを有する。これにより、カバー部48の温度を低下させて、より快適にアーム24を把持させることができる。
【0085】
加熱パネル20は好ましくは、既知の方法でセラミックヒータによって電気的に加熱される。電力は、電源ケーブル46によってヒータに供給される。既知のように、アーム24の一方は、コントローラ(図示せず)とユーザにとってアクセス可能な制御スイッチとを有し、それらによって、ユーザは加熱パネル20への給電をオン/オフに切り換えて、加熱パネル20の温度を設定することができる。所望に応じて、握り部14が本体部12に装着されると、加熱パネル20用のヒータが自動的にオフに切り換えられるように構成することができる(しかし、ユーザは通常は、握り部を装着しようとする前にヒータをオフに切り換えると予測される)。例えば、握り部14のコントローラは、握り部14の電気コネクタと本体部12の電気コネクタとが接続されるときを認識し、ユーザがまだ切り換えていなければ、ヒータへの給電をオフに切り換えるように構成することができる。
【0086】
本実施形態では、加熱パネル20は、面状であり、毛髪がパネル間を通過する際に毛髪を加圧するように、共に加圧することができ、毛髪にかけられる圧力は、従来のヘアストレーナーと同様に、アーム24上のユーザの握力によって決定される。代替的な実施形態では、加熱パネルは波形とすることができ、更に別の実施形態では、加熱パネル20は、閉鎖状態においてわずかに互いに離間させて保持され、所望のスタイリングをより適切に提供することができる。
【0087】
代替的な一実施形態では、握り部の上端(図示される)は本体部の凹部に進入するため、取付状態では、加熱パネルの少なくとも一部が本体部の内部に位置する。加熱パネルは、空気吸込み口と空気吹出し口との間の空気路に配置され、2つの口の間に、空気が空気吸込み口から空気吹出し口への経路上でパネル間を通過するのに十分な小さな間隙が設けられるように構成することができる。従って、握り部の加熱パネルは、恐らくは本体部の別の又は追加の加熱要素の代わりに、又はそれに加えて、本体部を通過する際に空気を加熱するように作用する。
【0088】
図5は、カール付けチャンバ62を備える代替的なヘアスタイリング装置の本体部60を示す。握り部は図5には示されないが、本体部60が、取付構造体22と略同一である取付構造体64を有することが分かる。従って、図3の握り部14は、本体部12に関して上述したのと同じように、本体部60に対して脱着することができる。握り部14の装着に関しては、本体部12と本体部60との重要な唯一の違いは、取付構造体64が取付構造体22よりもわずかに長く、ラッチ機構を解放するボタン50が本体部60のハウジングの外側にあることである。これらの違いは副次的なものであり、単に、実際的な実施形態では、本体部12のハウジング内よりも本体部60のハウジング内の方がラッチ機構を収容する空間が小さいために生じる。
【0089】
既知の自動ヘアカーラーと共通して、本体部60は主開口部66(図7及び9も参照)を有し、毛髪部分はこの開口部を通ってチャンバ内へ進むことができる。本実施形態の本体部60は傾斜ガイド68を有し、傾斜ガイド68は、主開口部66に向かって収束し、ユーザが主開口部に隣接して毛髪部分を正確に位置決めするのを助ける。
【0090】
図6に示されるように、カール付けチャンバ内には、細長部材70と回転自在要素72が設けられる。回転自在要素72は、主開口部66を超えて延在する(及び、特に、図7に示される環状サブチャンバ74内で回転する)。回転自在要素72は細長部材70に並んで位置し、使用時、主開口部66に隣接する頭髪毛髪部分に係合し、細長部材70と外壁76間でカール付けチャンバ62内に毛髪部分を引き込む。回転自在要素72の詳細構造と、使用時に回転自在要素がチャンバ内に毛髪部分を引き込み、細長部材に毛髪部分を巻き付ける方法は、WO2009/077747及びWO2012/080751に詳細に記載されており、本願の説明で繰り返す必要はない。本実施形態では、回転自在要素72の形状は、それらの先行技術文献に図示及び記載される実施形態のうちの1つに類似するが、代替的な形状も使用することができると理解される。
【0091】
特にWO2009/077747に記載されるように、カール付け作業の最後で、毛髪部分は、カール付けチャンバ62内の細長部材70に巻き付けられる。
【0092】
本実施形態では、細長部材70に穴が開いており、開口部又は穴80は空気吸込み口82と連通している。本体部60はインペラを備え、空気吸込み口82から細長部材70の穴80までの連続空気路が形成される。
【0093】
図7に示されるように、カール付けチャンバ62の外壁76にも穴が開いており、それにより、空気が開口部又は穴84を通じてカール付けチャンバから流れ出ることができる。穴84と外壁76の主開口部66の総面積は、細長部材70の穴80の総面積よりも相当大きい。従って、外壁76は実質上、空気流を制限せず、その結果、空気は略放射方向に、細長部材70の穴80からカール付けチャンバ62を通って、外壁76から流れ出ることができる。その空気流は、巻き付けた毛髪部分を細長部材70から外し、外壁76に押し付けるように作用する。スタイリングしながら、巻き付けた毛髪部分を外方に又は外壁76に対して押すことで、(外壁76が直接加熱されているか否かにかかわらず)スタイリングされた毛髪部分に、より均一なカールが形成されるのを助ける。
【0094】
カール付けチャンバ62内で生成される略放射状の空気流は、乾いた毛髪と湿った髪の両方のスタイリング作業にとって有益である。いずれの場合も、空気は好ましくは、毛髪部分を加熱(及び適宜、乾燥する)ため、本体部60の加熱要素によって加熱され、熱を加えることはスタイリング作業を助けると理解される。あるいは、穴80を通って吹き出される空気を、略周囲温度としながら、外壁76及び/又は細長部材70内の加熱要素によって毛髪を加熱することができる(又は、これらの方法の組み合わせによって毛髪を加熱することができる)。
【0095】
図7は、断面が部分的に円形であり、単独の連続面を備える外壁76を示す。本実施形態の単独の外壁に言及することが適切であるが、代替的な実施形態では、外壁は複数の別個の湾曲部分を備えてもよいと理解すべきである。従って、「外壁」という用語は、本願全体を通じて、単独の連続的構成要素として、又はカール付けチャンバの外壁を共に形成する複数の別個の構成要素として解釈されるべきである。
【0096】
図1のヘアドライヤーと同様、電力及び制御信号が、握り部14から本体部60へ供給され、本体部60が電気コネクタ用のハウジングを含むことが、本発明のヘアカーラーの好適な特徴である。この結果、単独の電力ケーブルと単独セットのユーザスイッチのみしか必要としない分離可能な構成要素を備えた装置となる。また、本体部が独自の電源を必要とせず、装着された握り部14なしでも動作可能であるため、本体部60の構造が簡略化される。
【0097】
電気コネクタのための共通ハウジング42は、同じ握り部14を本体部12(毛髪の乾燥用)と本体部60(毛髪のカール付け用及び/又は毛髪の乾燥/カール付け用)に装着することを可能にする。
【0098】
図8及び9は、2つの異なる作業状態における本体部60の前面図である。図5、6、及び7から分かるように、細長部材70は自由端を有し、カール付けチャンバは自由端を囲む副開口部86を有する。図5は、カール付けチャンバ62の端部にほぼ揃った細長部材の自由端を示しているが、これは必須ではなく、他の実施形態では、細長部材はカール付けチャンバを超えて延在する、又はカール付けチャンバ内を終端とすることができる。WO2012/080751に説明されるように、副開口部に囲まれた自由端により、ある長さのカールした毛髪を、細長部材70に沿って摺動させ、カール付け作業の最後で、形成されたカールの消失を最小限にとどめて細長部材から外すことができる。
【0099】
毛髪部分が細長部材の周りで単にねじれてしまうのを防止し、その長さの毛髪をカール付けチャンバ内に保持するため、回転自在要素が回転している間、可動接合部が細長部材70の自由端に隣接する。上記の機能に加えて、本実施形態の可動接合部90は更に、スタイリング作業中に副開口部を通る空気を減らすために、副開口部86の大半を閉鎖するように機能する。図8は閉鎖位置における可動接合部90を示し、図9は開放位置における可動接合部を示す(可動接合部は細長部材の自由端を囲む本体部62内へ退却しているため、図9には示されない)。
【0100】
副開口部の更に多くの部分を閉鎖するため、本実施形態の可動接合部90は2つの別個の部分で形成され、代替的な実施形態では、所望に応じて、2つよりも多い部分で形成することができる。図8に示されるように、可動接合部は副開口部の全てを閉鎖せず、部分92は開放されたままである。本実施形態では、可動接合部90は、閉鎖位置で約70%を覆い、部分92は副開口部86の面積の約30%を占める。
【0101】
開口部92を通る空気流の速度は比較的低速であり、開口部92は、穴80から穴84へ流れる所望の略放射状の空気流を妨害しないことが分かっている。しかしながら、代替的な実施形態では、副開口部86の全て(又はほぼ全て)を、所望に応じて、可動接合部によって(例えば、カメラのシャッターに類似する複数の構成要素を用いることによって)閉鎖することができる。
【0102】
図6及び7は、細長部材70の端部に隣接する部分環状溝94を示し、可動接合部90は閉鎖状態において溝94に進入するように構成される。毛髪部分の毛髪が可動接合部を通ることを防止するのを助けることは好適な特徴であるが、これは必須ではなく、いずれにしても、可動接合部90は、細長部材70のどの部分にも係合する必要がない。
【0103】
インペラを回転させる本体部12の電気モータと、インペラ及び回転自在要素72を回転させる本体部60の電気モータとは、所望に応じて、握り部14のコントローラから完全に制御することができる。しかしながら、握り部14よりも本体部12/60に、モータ用のプリント回路基板(PCB)を取り付ける大きな空間が存在し、モータを制御するための別のPCBが本体部12/60に取り付けられると予測される。握り部14のコントローラは、本体部12/60のPCBと通信することができる自身のPCBを有すると予測される。従って、ヘアストレーナーの制御機能の全てが握り部14によって提供される一方、ヘアドライヤー及びヘアカーラーの制御機能の少なくともいくつかは本体部12/60によって提供することができる。しかしながら、どんな場合でも、ヘアドライヤー及びヘアカーラーのユーザ作動(始動)型の制御装置は全て、握り部14に搭載される。
【0104】
上述したように、本体部60の単独のモータがインペラを駆動し、回転自在要素72も駆動することができるであろう。しかしながら、第1に、これは、インペラと回転自在要素の回転速度は大きく異なるために好ましくない。また、2つの別個のモータにより、毛髪部分の全てが細長部材に巻き付けられたときに回転自在要素用のモータを停止し、その後、スタイリング作業が完了したときにインペラ用のモータを停止することが可能になる。
【0105】
握り部14と本体部12との間の機械的接続及び電気的接続の構造は、本発明にとっては重要でなく、記載されたものと代替の多くの構造を使用することができる。加えて、電力、並びに制御及び/又は情報用の電気コネクタの詳細な構造及び位置も本発明にとっては重要でなく、多くの様々な変形を使用することができる。
【0106】
本発明の第2の態様による、図示されない代替的な一実施形態では、カール付けチャンバは空気流を取り込まない。従って、本体部は、カール付けチャンバを有するが、空気吸込み口と空気のためのインペラ(及びヒータ)とを備えていない。また、細長部材及び外壁には穴が開いていない。本態様によると、装置は、例えば、WO2009/077747又はWO2012/080751に記載されるカール付けチャンバと同様のカール付けチャンバを有する本体部に解放可能に取り付けられ得る握り部14を備えることができる。
【0107】
回転自在要素72は、各スタイリング作業において完全に何回転かすべきであるように構成されることが好ましい。回転自在要素72は磁石94を有し、ホール効果センサなどを用いて、回転自在要素の回転を検出し、そのことを、回転自在要素用のモータを適切に動作させ、動作を停止させることができるようにコントローラに伝達することができる。また、WO2012/080751に記載されるように、回転自在要素を駆動するモータの回転速度の予期せざる低下、又はモータによって得られる電流の上昇によって、毛髪部分のもつれを検出することができ、この低下と上昇の両方をコントローラに伝達して、所望に応じて回転自在要素72を停止(及び逆回転させる)ことができる。本体部60が不適切に置かれた毛髪を検出するセンサを有する場合、それらのセンサは、コントローラと通信して、不適切に置かれた毛髪が外されるまで、回転自在要素の回転を防止することができる。

図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
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図11