(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】車両ドア開放アセンブリ
(51)【国際特許分類】
E05B 81/90 20140101AFI20240513BHJP
E05B 77/02 20140101ALI20240513BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
E05B81/90
E05B77/02
B60J5/00 H
B60J5/00 N
(21)【出願番号】P 2021550160
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2020054558
(87)【国際公開番号】W WO2020173813
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-09-07
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516180070
【氏名又は名称】ミネベア アクセスソリューションズ イタリア ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ゲラン
(72)【発明者】
【氏名】マヌ シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】サチン シャルマ
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/024405(WO,A1)
【文献】特表2016-537533(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015008122(DE,A1)
【文献】特開昭64-014485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ドアラッチ機構(201)を備え、作動時に車両ドア(101)を解除するようになっている前記車両ドア(101)の開放を制御するための車両ドア開放アセンブリ(200)であって、
バックアップ作動状態を検出するようになっているバックアップ作動状態検出手段(213)と、
バックアップ作動状態で前記車両ドア(101)を解除することができるように前記自動ドアラッチ機構(201)に機械的に連結されており、かつ、3つの位置を取りうるようになっている操作体(1)を備えるバックアップ解除モジュール(211)とを備えており、前記操作体(1)は、
バックアップ作動状態が検出されない場合に採用される隠れ位置と、
前記車両ドア(101)を機械的に解除するためにユーザがアクセスすることができ、前記バックアップ作動状態検出手段(213)によって発せられる制御コマンドの受信時に採用される準備位置と、
ユーザが前記準備位置で前記操作体(1)を操作するときに行われ、前記バックアップ解除モジュール(211)により、前記自動ドアラッチ機構(201)が前記車両ドア(101)を機械的に解除する解除位置との3つの位置を取りうるようになっている車両ドア開放アセンブリ(200)において、
前記車両ドア開放アセンブリは、前記操作体(1)を支持するガイド手段と、前記ガイド手段および前記操作体(1)を、前記隠れ位置から前記準備位置に動かすための弾性手段(9)とをさらに備えており、前記ガイド手段は、前記操作体(1)を運ぶスライダー(7)と、一端が開放した解除機構用シース(3)とを備えており、前記解除機構用シース(3)は、スライダー(7)を格納しており、前記スライダー(7)は、前記スライダー(7)および前記操作体(1)が前記解除機構用シース(3)に格納されている格納位置から、前記弾性手段(9)が解放されると、前記操作体(1)が前記解除機構用シース(3)から突出する展開位置まで並進運動するようになっており、前記操作体(1)は、前記スライダー(7)と同軸である格納位置と、前記解除機構用シース(3)からユーザの方向に横方向に突出するように傾斜している位置との間で、前記スライダー(7)の動きに直交する
ヒンジピン(75)まわりに回転することができるように前記スライダー(7)に固定されており、前記スライダー(7)が前記展開位置に到達したときに、前記操作体(1)を可視位置に回転させる第2弾性手段(77)をさらに備えていることを特徴とする車両ドア開放アセンブリ(200)。
【請求項2】
前記車両ドア開放アセンブリ(200)は、前記操作体(1)が前記隠れ位置にあるときに前記弾性手段(9)を拘束し、前記バックアップ作動状態検出手段(213)によって発せられる制御コマンドを受信すると、前記弾性手段(9)を解放するようになっている解除機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両ドア開放アセンブリ(200)。
【請求項3】
前記解除機構は、前記弾性手段(9)を拘束するために、格納位置で前記スライダー(7)を阻止し、前記解除機構が前記スライダー(7)を阻止しているときに、前記スライダー(7)を前記解除機構から開放するのに必要な強度よりも小さい破壊強度を有する
前記ヒンジピン(75)を備えるヒンジを使用して、前記操作体(1)が前記スライダーにつながっていることを特徴とする請求
項2に記載の車両ドア開放アセンブリ(200)。
【請求項4】
前記解除機構は、一方では前記スライダー(7)の側部にショルダー(79)を備えており、他方では電動アクチュエータ(15)と、アクチュエータフィンガー(151)とを備えており、前記アクチュエータフィンガー(151)は、前記スライダー(7)の前記ショルダー(79)に接して、前記スライダー(7)を格納位置で阻止す
る可動フィンガー(131)の阻止位置から、前記スライダー(7)が展開位置に到達することができるように、前記可動フィンガー(131)が前記ショルダー(79)を解放する前記可動フィンガー(131)の開放位置まで、前記電動アクチュエータ(15)によって駆動するようになっていることを特徴とする請求項
2または3に記載の車両ドア開放アセンブリ(200)。
【請求項5】
前記電動アクチュエータ(15)は、前記アクチュエータフィンガー(151)の2つの極値休止位置を有する双安定リレー(15)であり、その作動により、前記アクチュエータフィンガ
ー(151)が一方の極値位置から他方の極値位置に切り替わることにより、前記可動フィンガー(131)を開放位置に移動させるコイルであることを特徴とする請求項4に記載の車両ドア開放アセンブリ(200)。
【請求項6】
前記操作体(1)はリングを備えており、ユーザは、前記リングを引っ張って、当該リングを準備位置から解除位置へ持ってくることができるようになっていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両ドア開放アセンブリ。
【請求項7】
前記バックアップ作動状態検出手段(213)は、衝突の場合に所定の閾値より大きい加速度値を検出するための加速度計、およびバッテリーの低充電状態を検出するようになっている電圧計のうちの少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両ドア開放アセンブリ。
【請求項8】
前記バックアップ解除モジュール(211)は、一方ではガイド手段または前記操作体(1)に接続され、他方では前記操作体(1)が解除位置に達すると、スリーブに対して引っ張られているインナーケーブルを有するドアラッチ機構(201)に接続されるボーデンケーブル(5)を備えており、前記インナーケーブルを引っ張ると、前記ドアラッチ機構(201)が機械的に作動して、車両ドア(101)が解除されるようになっていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車両ドア開放アセンブリ(200)。
【請求項9】
車体を閉じるためにドアフレーム(107)に取り付けられ、車両の内部にアクセスできないようにする閉位置、および前記ドアフレーム(107)を通して、前記車両の内部へアクセスできるようにする開位置の間で移動できるようになっているドアパネル(103)と、ユーザを確実に認証した場合に、ドアラッチ機構(201)を自動的に作動させて、前記ドアパネル(103)を解除するようになってい
る制御ユニット(205)、および前
記制御ユニット(205)に接続され、ユーザを認証するようになっている認証ユニット(207)とを備える車両ドアアセンブリ(100)であって、請求項1から8のいずれか1項に記載の車両ドア開放アセンブリ(200)をさらに備えていることを特徴とする車両ドアアセンブリ(100)。
【請求項10】
隠れ位置にあるときに、前記操作体(1)を覆
うフラップ(31)をさらに備えていることを特徴とする請求項9に記載の車両ドアアセンブリ(100)。
【請求項11】
請求項9または10に記載の車両ドアアセンブリ(100)であって、前記操作体(1)が準備位置にあるときに、前記操作体(1)に近接して配置されている信号装置(17)を備えており、前記信号装置(17)は、
光源(173)と、
前記光源(173)からの光を車両の外部に放出することができる外面(171)を有する前記光源(173)を覆う透明なカバーと、
前記光源(173)に電力を供給するためのバックアップ電源とを備えており、
前記信号装置(17)は、バックアップ作動状態検出手段(213)に接続されており、前記操作体(1)が準備位置にあるときに視覚的表示を提供するために、バックアップ作動状態が前記バックアップ作動状態検出手段(213)によって検出されるとき、前記光源(173)に電力を供給するようになっていることを特徴とする車両ドアアセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアを開けることを制御するための車両ドア開放アセンブリに関し、特に機械的に作動するドアハンドルレバーまたはノブを備えておらず、電気的手段を介して制御されるようになっている自動ドアラッチにおいて、車両ドアを開けることを制御するための車両ドア開放アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドアラッチは、自動化された方法で車両のドアパネルを選択的にロックまたは解除する。自動ドアラッチとは、本明細書では、ラッチを作動させるために、ユーザがハンドルレバー、ノブまたは他の部材を把持して動かすとき、力を加えなくても済むように設計されたドアラッチのことをいう。特に、ほとんどの自動ドアラッチは、車両ドアを解除するための作動信号を受信すると、ボルト、フック、またはレバーを動かすようになっている電動アクチュエータを備えている。
【0003】
車両のドアパネルが解除されると、ユーザまたは電動パネルアクチュエータは、ドアパネルを回動させるか、またはスライドさせて、人が車両にアクセスできるようにする。特に、作動信号は、例えば、RFIDカードまたはRFIDモジュール、ブルートゥース(登録商標)接続電話などのような認証トークンの遠隔検出を使用して、認証プロセスの実行後に生成される。
【0004】
自動ドアラッチは、通常の状況では、車両の外面より突出するハンドルレバーを必要としない。そのため、車両の空気抵抗を減らし、かつ車両を、視覚的に流線形にすることができる。
【0005】
しかし、例えば、事故でバッテリーの接続が外れた場合や、例えば、空港や駅等で長時間駐車して、充電量が少なくなった場合など、特定の場合には、ドアラッチの電動作動ができなくなり、そのため、車両にアクセスできなくなる。一部の車両では、例えば、自動車メーカーのロゴの後ろに、バックアップの機械式タンブラー錠が隠して設けられている。ユーザは、車両キーをこのタンブラー錠に差し込んで、回すことにより、ドアパネルを機械的に解除することができる。
【0006】
交通事故や衝突の場合、第三者および最先の救済チームは、例えば車両から乗客を救出するか、または治療を施すために、ドアを開けることが必要になる。第三者および最先の救済チームは、通常、鍵を持っていない。さらに、追加のセキュリティ対策として、ほとんどの車両は、バッテリーとの接続を外し、エンジンを即座に停止させて、火花を避け、危険を減らす安全モジュールを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような場合、自動ドアラッチは、外側から操作できなくなり、運転手や同乗者は意識を失い、内部からラッチを作動することができなくなる恐れがある。他の対処としては、窓を壊すか、救助者が特別の油圧または電動救助工具(剪断機、プライヤなど)を使用して、ドアまたは車体の一部を強引に取り外すのを待つことがある。しかし、これらの対処には時間がかかり、かつ負傷している乗客の身的外傷が増す恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の欠点を解消するために、本発明は、作動時に車両ドアを解除するようになっている自動ドアラッチ機構を備える車両ドアの解除を制御するための車両ドア開放アセンブリを提案するものであり、この車両ドア開放アセンブリは、
バックアップ作動状態を検出するようになっているバックアップ作動状態検出手段と、
バックアップ作動状態で前記車両ドアを解除することができるように前記自動ドアラッチ機構に機械的に連結されており、かつ、3つの位置を取りうるようになっている操作体を備えるバックアップ解除モジュールと、を備えており、前記操作体は、
バックアップ作動状態が検出されない場合に採用される隠れ位置と、
前記車両ドアを機械的に開放するためにユーザがアクセスすることができ、前記バックアップ作動状態検出手段によって発せられる制御コマンドの受信時に採用される準備位置と、
ユーザが前記準備位置で前記操作体を操作するときに行われ、前記バックアップ解除モジュールにより、前記自動ドアラッチ機構が前記車両ドアを機械的に解除する解除位置との3つの位置を取りうるようになっている、車両ドア開放アセンブリにおいて、
前記車両ドア開放アセンブリは、前記操作体を支持するガイド手段と、前記ガイド手段および前記操作体を前記隠れ位置から前記準備位置に動かすための弾性手段とをさらに備えており、前記ガイド手段は、前記操作体を運ぶスライダーと、一端が開口した解除機構用シースとを備えており、前記解除機構用シースは、スライダーを格納しており、前記スライダーは、前記スライダーおよび前記操作体が前記解除機構用シースに格納されている格納位置から、前記弾性手段が解放されると、前記操作体が前記解除機構用シースから突出する展開位置まで並進運動するようになっており、前記操作体は、前記スライダーと同軸である格納位置と、前記解除機構用シースからユーザの方向に横方向に突出するように傾斜している位置との間で、前記スライダーの動きに直交するヒンジピンまわりに回転することができるように前記スライダーに固定されており、前記スライダーが前記展開位置に到達したときに、前記操作体を可視位置に回転させる第2弾性手段をさらに備えている。
【0009】
これにより、バックアップ解除モジュールを使用して、ドアパネルを機械的に解除することができる。これは、衝突時やバッテリーの充電量が少ない場合など、電力を利用することができない場合に選択的に適用される。
【0010】
車両ドア開放アセンブリは、以下の特徴の1つ以上を備えることができる。
【0011】
操作体が隠れ位置にあるとき、ユーザは、操作体にアクセスすることはできない。
【0012】
前記車両ドア開放アセンブリは、前記操作体が前記隠れ位置にあるときに、前記弾性手段を拘束し、前記バックアップ作動状態検出手段によって発せられる制御コマンドを受信すると、前記弾性手段を解放するようになっている解除機構を備えることができる。
【0013】
前記解除機構は、前記弾性手段を拘束して、格納位置で前記スライダーを阻止することができ、前記解除機構が前記スライダーを阻止しているときに、前記スライダーを前記解除機構から開放するのに必要な強度よりも小さい破壊強度を有するヒンジピンを備えるヒンジを使用して、前記操作体を前記スライダーにつなげることができる。
【0014】
前記解除機構は、一方では、前記スライダーの側部にショルダーを備えることができ、他方では、電動アクチュエータと、アクチュエータフィンガーとを備えることができ、前記アクチュエータフィンガーは、前記スライダーの前記ショルダーに接して、前記スライダーを格納位置で阻止する前記可動フィンガーの阻止位置から、前記スライダーが展開位置に到達することができるように、前記可動フィンガーが前記ショルダーを解放する前記可動フィンガーの開放位置まで、前記電動アクチュエータによって駆動することができる。
【0015】
前記電動アクチュエータは、前記アクチュエータフィンガーの2つの極値休止位置を有する双安定リレーとすることができ、その作動により、前記アクチュエータフィンガーが一方の極値位置から他方の極値位置に切り替わることにより、前記可動フィンガーを開放位置に移動させるコイルとすることができる。
【0016】
前記操作体は、リングを備えることができ、ユーザは、前記リングを引っ張って、当該リングを、準備位置から解除位置に持ってこなければならない。
【0017】
バックアップ作動状態検出手段は、衝突の場合に所定の閾値より大きい加速度値を検出するための加速度計、およびバッテリーの低充電状態を検出するようになっている電圧計のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0018】
バックアップ解除モジュールは、一方ではガイド手段または前記操作体に接続され、他方では前記操作体が開放位置に達すると、スリーブに対して引っ張られているインナーケーブルを有するドアラッチ機構に接続されるボーデンケーブルを備えることができ、前記インナーケーブルを引っ張ると、前記ドアラッチ機構が機械的に作動して、車両ドアが解除されるようになっている。
【0019】
本発明は、車両ドアアセンブリにも関しており、
車体を閉じるためにドアフレームに取り付けられ、車両の内部にアクセスできないようにする閉位置、および前記ドアフレームを通して、前記車両の内部へアクセスできるようにする開位置の間で移動できるようになっているドアパネルと、
ユーザを確実に認証した場合に、ドアラッチ機構を自動的に作動させて、前記ドアパネルを解除するようになっている制御ユニット、および前記制御ユニットに接続され、ユーザを認証するようになっている認証ユニットとを備える車両ドアアセンブリであって、
前述のように、車両ドア開放アセンブリをさらに備えていることを特徴とする。
【0020】
この車両ドアアセンブリは、さらに、隠れ位置にあるときに、前記操作体を覆うフラップを備えることができる。
【0021】
この車両ドアアセンブリは、前記操作体が準備位置にあるときに、前記操作体に近接して配置されている信号装置をさらに備えることができ、前記信号装置は、
光源と、
前記光源からの光を車両の外部に放出することができる外面を有する前記光源を覆う透明なカバーと、
前記光源に電力を供給するためのバックアップ電源とを備えており、
前記信号装置は、バックアップ作動状態検出手段に接続されており、前記操作体が準備位置にあるときに視覚的表示を提供するために、バックアップ作動状態が前記バックアップ作動状態検出手段によって検出されるとき、前記光源に電力を供給するようになっている。
【0022】
信号装置は、外面の少なくとも一部にマスクを備えることができ、光源が発光するとき、マスクは、バックアップ解除モジュールの存在、機能および/または作動指示を示すバックライト付き文字、またはピクトグラムを形成する。
【0023】
本発明の他の特徴および利点は、図面に例示的かつ非限定的な例として示してある実施例に関する、以下の説明を読むことにより、明らかになると思う。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】車両ドア開放アセンブリの主な構成要素のブロック図である。
【
図3】さまざまな位置にあるバックアップ解除モジュールを示す斜視図である。
【
図4】
図3のバックアップ解除モジュールの構成要素の分解斜視図である。
【
図5】
図3、
図4においてバックアップ解除モジュールの解除機構の特定の実施形態がどのように機能するかを示す斜視図である。
【
図6】解除機構用シースの他の実施形態の模式図である。
【
図7】車両の外側から見た
図3のバックアップ解除モジュールの斜視図である。
【
図8】バックアップ解除モジュールの信号装置のマスクの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
すべての図において、同じ構成要素には、同じ符号を付してある。
【0026】
図は、本発明の正確な実施形態を表しているが、この実施形態を組み合わせるか、またはわずかに変更することによって他の実施形態を得ることもできる。これらの新しい実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
【0027】
三次元的方向について述べると、長手方向の水平軸xは、まっすぐな(すなわち、カーブしていないときの)車輪における、対象車両の通常の前進方向である。垂直の上下軸zは、平坦な地面に車両があるときに、重力により定められる。ホイール軸(まっすぐなとき)は、x、z軸と直交する横軸である。「内側」「外側」などの用語は、車両の外面に対してのものであり、キャビンの外側から車両を見たときの車体の外見に関するものである。
【0028】
図1は、開位置にある、ドア101を備える車両ドアアセンブリ100の前部の模式図である。車両ドア101は、ドアパネル103およびドア本体105を備えている。ドアパネル103は、比較的薄く、車体の一部を形成している。ドア本体105は、窓を開ける際に窓の少なくとも一部を構成するハウジング、窓を開閉するモータ、(窓の開閉、インナードアハンドル、バックミラー調整等の)各種の制御要素、およびオーディオメディア用スピーカー等の異なるモジュールを収容している。
【0029】
ドア本体105には、車両ドア101を開けるために選択的にロックまたは解除される車両ドア開放アセンブリ200の少なくとも一部をも収容している。車両ドア開放アセンブリ200の相補的部分は、ドアフレーム107または車両内の他の場所に収容することができる。
【0030】
車両ドア101は、通常3つの状態、すなわちロックされ、ロックが解除され、ドアが開放されている状態のうちの1つの状態にある。ロックされた状態では、車両ドア101は、ドアフレーム107に嵌合することによって、車両ドアアセンブリ100を閉じ、車体を閉じることによって、物理的に車内へアクセスできないようにする。このロックされた状態では、車両ドア開放アセンブリ200は、車両ドア101の動きを妨げている。
【0031】
解除された状態では、車両ドア開放アセンブリ200は、車両ドア101の動きを妨げない。一方、車両ドア101は、依然として車内へのアクセスを阻止している。
【0032】
開放されている状態(
図1)では、車両ドア101は、乗客が車内にアクセスできる位置までスライドさせられるか、または開けられている。
【0033】
解除位置から開位置への動きは、モータによって、または、空気圧または機械的支援を受けるユーザの直接動作によって行うことができる。図示の車両ドアアセンブリ100において、ユーザは、固定ドア操作体をつかむ。固定ドア操作体とは、ここでは特に、ドアパネル103のリップ102のことである。リップ102は、その周囲のドアヒンジの反対側に位置し、車両ドア101は、ドアヒンジの周りでは開位置まで開く。
【0034】
このドアパネルのリップ102をつかむために、ユーザは、車両ドア101の後ろに位置し、および/またはこの車両ドア101によって部分的に重なる隣接する車体表面の凹部111を通してアクセスすることができるドア本体105の窪み109に、指を挿入する。この車体表面は、車体の支柱(中央または後部)または後部ドアパネルのいずれかとすることができる。
【0035】
代わりに、窪み109を、例えば車両のドア101の窓の下などに設けることができる。またはドアパネル103を、隣接する車体の表面に固定ドア操作体を突出させることができる。あるいは、専用の固定ハンドルレバー、ノブまたは他のものを、ドアパネル103の外面に突設することができる。
【0036】
車両ドア開放アセンブリ200は、自動ドアラッチを備えている。自動ドアラッチは、ラッチ機構を作動させて、車両ドア101を解除するための力を加える際に、ユーザが車両ドアハンドルを作動することを必要としないドアラッチである。
【0037】
このような車両ドア開放アセンブリ200の主要構成要素を、
図2のブロック図に示してある。
【0038】
車両ドア開放アセンブリ200は、ラッチ機構201を備えている。このラッチ機構201は、例えば、ドアフレーム107のストライクプレートと協働する可動ボルト、レバーまたはフックを備えている。車両ドア開放アセンブリ200を作動させて車両ドア101を解除するために、ボルトは、例えばラックアンドピニオン機構を介して、モータまたは電動アクチュエータ203によって、ストライクプレートに出入りするようにされている。電動アクチュエータ203には、特に、車両のバッテリーから電流が供給される。
【0039】
電動アクチュエータ203は、例えば、それに電流を選択的に提供するかしないかを決定するトランジスタを備える制御ユニット205によって制御される。
【0040】
車両へのアクセスを制御するために、制御ユニット205は、認証ユニット207および相互作用センサ209に接続されている。
【0041】
制御ユニット205は、プロセッサおよび電子メモリなどの電子またはデジタル処理手段を備えている。制御ユニット205は、例えば集積回路の形態の専用モジュールであるか、または他の車両機能を制御する車両制御ユニットに統合することができる。
【0042】
認証ユニット207は、例えば、カードまたはキー内のRFID回路などのセキュリティトークンと通信するためのアンテナと、セキュリティデータ(例えば、暗号化キーを含む)が格納されている電話と接続するためのブルートゥースアンテナとを備えている。代わりに、認証ユニット207に、指紋リーダーなどの生体認証リーダーを設けることもある。認証ユニット207は、許可されたユーザのみがドアを解除しうるように、適切なセキュリティトークンまたは生体認証特性を有するユーザを、識別し、かつ認証するものである。
【0043】
相互作用センサ209は、所定の境界内のユーザの存在、またはRFIDまたはブルートゥース接続電話などのセキュリティトークンのいずれかを検出するか、または、例えば容量検出器を使用して、固定ドア操作体である窪み109と凹部111とユーザの接触を検出するようになっている。
【0044】
相互作用センサ209は、車両にアクセスする意図を有するユーザの行動を検出し、制御ユニット205は、そのような行動を検出すると、認証ユニット207にセキュリティトークンの存在および信頼性を問い合わせる。
【0045】
認証ユニット207および相互作用センサ209の一部を、組み合わせて、単一の要素とすることができる。例えば、RFIDアンテナを、RFIDタグの存在を検出すること、および認証を行うことの両方に使用することができ、それにより、認証ユニット207と相互作用センサ209との両方で共有することができる。
【0046】
車両ドア開放アセンブリ200は、バックアップ解除モジュール211およびバックアップ作動状態検出手段213も備えている。
【0047】
バックアップ作動状態検出手段213は、ドア101を解除するためのモータ203を作動させることができない状態を検出するようになっている。このようなバックアップ作動条件には、例えば、バッテリーの消耗または故障もしくは車両の衝突が含まれる。特に、車両100の衝突または交通事故の場合、安全対策には、車両のモータを停止させること、並びに乗客、第三者、または最初の対応要員への潜在的な追加の危害を回避するために、バッテリーの接続を外すことが含まれる。
【0048】
バックアップ作動状態検出手段213は、バッテリーの消耗または故障を示す所定の閾値未満のバッテリー電圧値を示すための、例えばバッテリーに接続された電圧計、および車両の衝突や横転によって引き起こされる所定の閾値よりも大きい加速度値を示すための加速度計を備えている。
【0049】
バックアップ作動状態検出手段213は、特に、車両の他の情報、診断、およびセキュリティモジュールを共有することができる。加速度計は、例えば、セキュリティクッション(エアバッグ)の展開をトリガーするために使用することもでき、一方、電圧計は、例えばダッシュボードでのバッテリー充電レベルに関する情報、および診断を提供するために使用することもできる。
【0050】
セキュリティを強化するために、バックアップ作動状態検出手段213を、車両ドア101内の専用モジュール、より具体的には、それぞれの車両ドア101内に1つ実装することができる。この専用モジュールは、これらの状態を検出する前に電流供給が中断された場合でも、潜在的なバックアップ作動状態を検出するために、コンデンサまたは小型バッテリーのいずれかのバックアップ電源をさらに備えることができる。
【0051】
バックアップ作動状態が検出されると、ユーザは、ドア101を解除し、かつ車内へアクセスできるようにするためにバックアップ解除モジュール211をラッチ機構201の機械的作動を行うために利用できるようにする。
【0052】
バッテリーの消耗などの衝突に関連しないバックアップの場合、バックアップ解除モジュール211は、分離しているか、または隠れている機械式タンブラー錠などの機械式バックアップ認証ユニット215に接続される。ここで、ユーザは、車両キーを差し込み、バックアップ解除モジュール211を利用可能にし、車両ドア101を解除する。
【0053】
バックアップ解除モジュール211を、
図3(a)、
図3(b)、および
図3(c)に示してある。
【0054】
バックアップ解除モジュール211は、操作体1を備えており、それは、ユーザが少なくとも1本の指をその中に挿入するのに十分な直径のリングであり、この操作体1を引っ張ることができる。操作体1は、ラッチ機構201に機械的に連結しているので、操作体1に対するユーザの特定の動作(引っ張り)は、ラッチ機構201の作動を引き起こす。
【0055】
バックアップ解除モジュール211は、特に、固定ドア操作体を形成する窪み109の内側に実装することができ、これにより、操作体1の大部分が、ドアパネルのリップ102と平行な平面内となる。
【0056】
図3(a)では、操作体1は、バックアップ解除モジュール211の他の要素も収容する解除機構用シース3の内側に隠れている。この隠れ位置では、車両の外側にいるユーザは、操作体1を見ることができない。この隠れ位置は、バックアップ作動状態が検出されない場合、およびバッテリー不良の場合に、通常の状態とみなされる位置である。
【0057】
図3(b)では、操作体1は、解除機構用シース3の開放端Oから突出する準備位置で示されている。この準備位置では、ロック機構201のバックアップ作動のために、車両の外側にいるユーザは、操作体1を見ることができる。
【0058】
特に衝突が検出された場合には、準備位置とされる。準備位置では、車両の外側にいるユーザは、操作体1を見ることができ、つかむこともできる。例えば、操作体1は、車体の色と対照的な明るい色(赤、ピンク、緑、蛍光など)とすることができ、この操作体1の一部を、準備位置にあるとき、リップ102を越えて、窪み109から突出させることができる。
【0059】
図3(c)では、操作体1は、解除機構用シース3からさらに突出する解除位置で示されている。解除位置は、ユーザが操作体1をつかんで引っ張ったときに採用される。解除位置において、バックアップ解除モジュール211は、解除機構用シース3の下に一部が見えるボーデンケーブル5のインナーケーブルを引っ張ることによって、ラッチ機構201にドア101を解除させる。
【0060】
ボーデンケーブル5のもう一方の端は、ラッチ機構201に接続されている。ボーデンケーブル5のスリーブに対して、ボーデンケーブル5のインナーケーブルを引っ張る動作は、例えば、ストライクプレートからのボルトの動きを引き起こして、ドア101を解除する。
【0061】
バックアップ解除モジュール211に含まれる要素を、
図4に示してある。
図4は、バックアップ解除モジュール211の一部の分解図である。
【0062】
操作体1は、ここではスライダー7を備えるガイド手段によってガイドされる。スライダー7は、解除機構用シース3内で、格納位置と展開位置との間で並進運動する。格納位置では、スライダー7は、解除機構用シース3の底部に近く、解除機構用シース3の内側に包含されている。展開位置では、スライダー7は、解除機構用シース3の開放端Oの近くにあり、解除機構用シース3から部分的に突出している。
【0063】
スライダー7は、ボーデンケーブル5のノブ51と協働するフィンガー71と、ヒンジピン75を有する操作体ヒンジ73とを備えている。操作体1は、操作体ヒンジ73を介してスライダー7に接続している。したがって、ヒンジピン75を、操作体1とスライダー7との対応する穴に挿入する。
【0064】
操作体1は、スライダー7の動きに直角な軸でスライダー7とつながっている。この隠れ位置では、操作体1は、スライダー7と同軸であり、解除機構用シース3に包含されている格納位置にある。準備位置では、操作体1は、解除機構用シース3からユーザの方向に横方向に突出するように、解除機構用シース3の外側に傾斜している。第2弾性手段77、ここではブレードばねにより、スライダー7が展開位置に達すると、操作体1は、傾斜位置に回転する。
【0065】
ガイド手段は、スライダー7と解除機構用シース3の底板との間に位置する弾性手段9、ここではコイルばねも備えている。この弾性手段9は、スライダー7が格納位置にあり、操作体1が隠れ位置にあるときに拘束されている。拘束が解放されると、弾性手段9によりスライダー7が展開位置に到達し、操作体1は準備位置に到達する。
【0066】
弾性手段9を選択的に拘束または解放するために、バックアップ解除モジュール211は、操作体1が隠れ位置にあるときに、弾性手段を拘束し、バックアップ作動状態検出手段213が、バックアップ作動状態の確実な検出に対応する電気的または電子的制御コマンドを発するときに、弾性手段9を解放するようになっている解除機構を備えている。
【0067】
特定の実施形態では、例えばフラップ31で覆われていることにより、隠れ位置にあるとき、ユーザは、操作体1にアクセスすることはできない(
図6を参照)。
【0068】
この特定の実施形態によれば、潜在的な問題により徐々にバッテリーの消耗が検出された場合、解除機構は、ユーザに、セキュリティを強化するために、機械的バックアップ認証ユニット215を作動させ、操作体1を、その隠れ位置からアクセスすることができる準備位置に持ってくることをさらに要求する。
【0069】
或いは、ユーザは、操作体1を隠れ位置でつかむことができる。例えば、バックアップ状態が検出されない限り、操作体1の動きと、ラッチ機構201の作動とを切り離す、操作体1とラッチ機構201との結合解除手段によって、バックアップ状態がない場合の作動を、不可能にすることができる。
【0070】
スライダー7の解放機構および解放手順を、スライダー7の機能を説明するために、
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)に示してある。
図5(a)では、スライダー7が、格納位置にあることを示しており、操作体1は隠れ位置にある。
図5(b)では、スライダー7は、まだ格納位置にあるが、解放されている。
図5(c)では、スライダー7は、展開位置に到達し、操作体1は準備位置にある。
【0071】
スライダー7は、その動きと平行にその側部の1つに突出するショルダー79を備えている。阻止インデクサ13は、スライダー7の動きを制御するために使用される。阻止インデクサ13はまた、傾斜路133と、阻止インデクサ13を阻止位置に押し込むインデクサばね135とを備えている。
【0072】
図5(a)では、可動フィンガー131は、ショルダー79に接しており、その格納位置でスライダー7を拘束している。阻止インデクサ13のこの位置は、インデクサばね135の作用によって維持されている。
【0073】
電動アクチュエータ15は、傾斜路133に接しているアクチュエータフィンガー151を有している。バックアップ作動状態検出手段213が制御コマンドを発すると、電動アクチュエータ15が作動し、アクチュエータフィンガー151が傾斜路133を押し込む。
【0074】
電動アクチュエータ15は、作動すると、阻止インデクサ13を阻止位置からスライドさせ、それにより、インデクサばね135(
図5(a)には見えない)を圧縮する。可動フィンガー131は、ショルダー79から離れて後退し、その結果、スライダー7は解放される。
【0075】
アクチュエータフィンガー151の作用、およびその結果として生じる阻止インデクサ13の動きを、
図5(b)に矢印で示してある。
【0076】
電動アクチュエータ15は、特に、Valeo Sicherheitssystem GmbH(バレオ ジッヘルハイツシステム ゲーエムベーハー)の名前で、欧州特許第2163792号明細書に記載されているタイプの双安定リレーとすることができる。このようなアクチュエータは、アクチュエータ弾性手段の休止位置に対応する2つの極値位置の間で動くことができるアクチュエータフィンガーを有している。コイルを電気的に作動させると、アクチュエータフィンガー151が一方の極値位置から他方の極値位置に切り替わるため、アクチュエータフィンガー151をいずれかの極値位置に維持するために電流を連続的に供給する必要はない。
【0077】
阻止インデクサ13がスライダー7を解放すると、スライダー7の格納位置に拘束されていた弾性手段9は、スライダー7を展開位置に押し出す。次に、第2弾性手段77は、操作体1を回転させて、その準備位置に押し出す。
図5(c)では、スライダー7は、展開位置にある。
【0078】
スライダー7および操作体1の動きを、
図5(c)に矢印で示してある。
【0079】
特定の実施形態では、アクチュエータフィンガー151は、スライダー7のショルダー79を阻止するか、または操作体1を直接ブロックすることができる。しかし、阻止インデクサ13の存在は、解除機構用シース3の内側で、スライダー7の動きと同軸で、電動アクチュエータ15本体を配置することができる。それにより、解除機構用シース3を、スライダー7の動きに直交するより小さな断面とすることができる。
【0080】
バックアップ解除モジュール211内のコンデンサ、より小型のバッテリーなどの専用のバックアップ電源を使用して、電動アクチュエータ15に電流を供給することができる。
【0081】
セキュリティを強化するために、操作体1が意図せずに引っ張られるときのような特殊な場合には、スライダー7のヒンジピン75が破壊するようにしてもよい。特に、可動フィンガー131がスライダー7のショルダー79に接触しているとき、スライダー7を解除機構から解放するのに必要な強度よりも小さい強度で、ヒンジピン75が破壊するようにしてもよい。
【0082】
図6は、追加の特定の実施形態による解除機構用シース3の模式図である。
【0083】
この実施形態では、解除機構用シース3は、操作体1が隠れ位置にあるときに、解除機構用シース3の開放端Oを閉じる追加のフラップ31を備えている。このフラップ31は、特に、解除機構用シース3の開放端Oの外辺部にヒンジで固定されている。
【0084】
フラップ31は、弾性閉鎖手段33によって閉位置に維持されている。閉位置にあるとき、フラップ31は、周囲のドア本体105またはドアパネル103の表面と同一面であるか、またはわずかにくぼんでいる。そのため、フラップ31が閉じられると、許可されていない人が操作体1にアクセスすること、またはボーデンケーブル5のノブ51に直接アクセスして、車両ドア101を強制的に開くことがより困難になる。
【0085】
スライダー7が解放されると、操作体1は、フラップ31を解除機構用シース3の内側から(
図6のフラップ31の下から)押し開く。
【0086】
自動車警報トリガーは、バックアップ解除モジュール211またはその一部の不正な動きまたは作動に連結することもできる。特に、この警報は、例えば、現在のフラップ31の動きによってトリガーすることができる。バックアップ作動状態が検出されない場合のノブ51またはスライダー7の動き、またはノブ51とスライダー7のフィンガー71との分離は、車両に侵入しようとする試み、自動車の警報をトリガーする試みとして解釈することができる。
【0087】
図3(a)~
図3(c)および
図4のバックアップ解除
モジュール211は、準備位置にあるときに、操作体1に近接して配置されている信号装置17をさらに備えている。信号装置17を、
図7および
図8を参照して、次に説明する。
【0088】
図7は、車両の外側から見たバックアップ解除モジュール211の図である。特に、信号装置17の透明な外面171を見ることができる(
図1も参照)。信号装置17は、この特定の実施形態では、バックアップ解除
モジュール211のほとんどの部分を含んでいる解除機構用シース3の真上に配置されている。
図1の例では、透明な外面171は、車両の窓枠柱に組み込まれている。
【0089】
図7では、バックアップ解除モジュール211は、通常の状態が再開したときに、バックアップ解除モジュール211を再装備するようになっている再装備ユニット19をさらに備えている。例えば、バックアップ作動状態検出手段213が、バックアップ作動状態をもはや検出しなくなると、および/またはバッテリーからの電流が回復すると、再装備ユニット19の電動再装備モータは、スライダー7を格納位置に戻すことができ、電動アクチュエータ15は、スライダー7を再び格納位置にロックするために逆方向に作動する。
【0090】
信号装置17は、発光ダイオードなどの少なくとも1つの光源173(
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)を参照)を備えている。コンデンサまたは小型バッテリーなどの専用のバックアップ電源を信号装置17と一体化して、バッテリーからの電力が利用できないときに光源に電力を供給することができる。このバックアップ電源は、電動アクチュエータ15を作動させるための電力を供給することもできる。
【0091】
透明な外面171は、光源173を覆う透明なカバーの外面であり、これを通して、光源173からの光が、車両の外に放出されるため、第三者、または最初の対応要員が見ることができる。信号装置17は、光源173からの光を透明な外面171上により均一に分配するための導光手段または拡散手段をさらに備えることができる。
【0092】
特に、透明カバーは、ポリカーボネートプレートとすることができる。このカバーは、その材料に加えられた着色顔料、特に黒色または濃灰色の顔料を含むことができる。これにより、光源173に電力が供給されていないときに、暗く均一に見えるようになる。
【0093】
信号装置17は、バックアップ作動状態検出手段213に接続されており、バックアップ作動状態を検出したときに、光源173に電力を供給し、操作体1が準備位置にあるときに、視覚的表示を提供するようになっている。
【0094】
事故の場合に迅速かつ効率的な救助を行うために、信号装置17は、透明カバーの一部にマスクMを備えている。このマスクMは、光源がオンのときに、バックアップ解除モジュール211の存在、機能、および/または作動指示を示すバックライト付き文字および/またはピクトグラムを形成する。
【0095】
このようなマスクの例を
図8に示す。
図8のマスクMは、バックライトを当てると、「緊急開扉 リングを引っ張れ」の文字を表示する。リングおよび矢印の画像が表されており、操作体1を形成するリングの引っ張り方向を示している。衝突または事故の場合に、バッテリーの接続が外れているにもかかわらず、車両ドア101を解除する手順を示すために、文字および絵を、点灯または点滅させることができる。
【0096】
信号装置17は、事故ではなく(徐々に低いバッテリー電圧を検出することにより)バッテリーが故障した場合に、光源173に電力を供給しないようにすることもできる。
【0097】
バッテリーが、通常の場合のように自動ドア開放アセンブリ200を作動させるための電力を供給できない場合、本発明によるバックアップ解除モジュール211は、特に、車両ドア101を開放することができる移動ハンドルレバーなしで、流線形の自動ドア開放アセンブリ200を組み合わせることができる。
【0098】
その結果、自動車メーカーは、ドアの外面が整合していて、空気抵抗を低減させた車を、自由に創出できるようになり、バッテリーの故障、または事故が発生した場合でも、車内への緊急アクセスを可能にすることができ、乗客のセキュリティを向上させることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 操作体
3 解除機構用シース
5 ボーデンケーブル
7 スライダー
9 弾性手段
13 阻止インデクサ
15 電動アクチュエータ
17 信号装置
19 再装備ユニット
31 フラップ
33 弾性閉鎖手段
51 ノブ
71 フィンガー
73 操作体ヒンジ
75 ヒンジピン
77 第2弾性手段
79 ショルダー
100 車両ドアアセンブリ
101 車両ドア
102 リップ
103 ドアパネル
105 ドア本体
107 ドアフレーム
109 窪み
111 凹部
131 可動フィンガー
133 傾斜路
135 インデクサばね
151 アクチュエータフィンガー
171 透明な外面
173 光源
200 車両ドア開放アセンブリ
201 ラッチ機構
203 電動アクチュエータ
205 制御ユニット
207 認証ユニット
209 相互作用センサ
211 バックアップ解除モジュール
213 バックアップ作動状態検出手段
215 機械式バックアップ認証ユニット
O 開放端
M マスク