(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】医療材料の管理システム、管理サーバおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20240513BHJP
G06Q 10/0837 20230101ALI20240513BHJP
G16H 40/00 20180101ALI20240513BHJP
【FI】
G06Q10/087
G06Q10/0837
G16H40/00
(21)【出願番号】P 2020042093
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2019044403
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508049329
【氏名又は名称】シーオス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】松島 聡
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 克志
(72)【発明者】
【氏名】東谷 顕一
(72)【発明者】
【氏名】星野 達彦
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 智尋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 南
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-335926(JP,A)
【文献】特開2004-213338(JP,A)
【文献】特開2018-041234(JP,A)
【文献】特開2018-032219(JP,A)
【文献】特開2018-045424(JP,A)
【文献】特開2020-008907(JP,A)
【文献】特開2005-309702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療材料に付されたICタグの格納情報を読み取るICリーダと、
位置情報取得手段、入力手段および画面を有し、前記ICリーダおよび管理サーバと通信可能に構成された検品用端末と、を備える医療材料の管理システムであって、
前記検品用端末は、前記ICリーダから取得した前記ICタグに紐付けられた出荷情報と前記ICリーダから取得した前記ICタグの格納情報を突合した結果を画面上に表示し、前記位置情報取得手段から取得した位置情報を前記管理サーバに送信する検品手段を備えることを特徴とする医療材料の管理システム。
【請求項2】
前記検品手段は、前記画面に検品種別を入力するための画面を表示させることができ、前記検品種別の情報が入力されると当該情報を前記管理サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の医療材料の管理システム。
【請求項3】
前記検品手段は、前記出荷情報に含まれる前記ICタグのシリアル番号のうち前記ICリーダから受信した情報に含まれない前記ICタグのシリアル番号を判別し、当該ICタグが付され医療材料を使用済み商品として画面に表示し、前記使用済み商品の情報を前記管理サーバに送信することを特徴とする請求項1または2に記載の医療材料の管理システム。
【請求項4】
前記位置情報取得手段は、GPS受信装置であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の医療材料の管理システム。
【請求項5】
前記位置情報取得手段は、前記管理サーバから出荷情報に基づいて位置情報を算出するプログラムにより構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の医療材料の管理システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、実際に出荷した医療材料の出荷実績データおよび出荷された医療材料のうち実際に使用された医療材料の使用実績データを記憶したデータベースから、症例ごとの出荷実績データおよび使用実績データを取得する手段と、前記出荷実績データおよび前記使用実績データに基づいて、症例ごとに推奨される医療材料の組み合わせを提示する手段と、を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の医療材料の管理システム。
【請求項7】
前記管理サーバは、症例ごとに生成した医療材料の配送情報
を、配送者が配送を行うために使用する配送者端末に送信する手段を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の医療材料の管理システム。
【請求項8】
前記管理サーバは、返却元の位置情報を含む医療材料の返却予定情報および逼迫品情報に基づいて、前記医療材料の配送先を新たに決定し、当該決定した配送先への配送情報
を、配送者が配送を行うために使用する配送者端末に送信する配送指示手段を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の医療材料の管理システム。
【請求項9】
前記管理サーバは、前記検品用端末から受信し
た検品種別の情報が返却検品である場合に、
前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報を出荷割当可に更新する流通商品管理手段を備え、
前記配送指示手段は、前記ステータス情報、前記返却予定情報および逼迫品情報に基づいて、前記医療材料の配送先を新たに決定することを特徴とする請求項8に記載の
医療材料の管理システム。
【請求項10】
前記配送指示手段は、前記逼迫品情報に基づいて、逼迫している前記医療材料を優先して前記配送先に配送するように前記配送情報を作成することを特徴とする請求項8または9に記載の医療材料の管理システム。
【請求項11】
前記管理サーバは、前記医療材料を配送元から配送先へと配送する配送指示を行う場合であって、前記配送元から前記配送先の間に複数の経路が存在する場合は、前記経路における輸送コスト情報、前記経路上の各配送拠点における保管コスト情報、または、前記経路上の各配送拠点における業務コスト情報に基づいて、前記経路における配送コストを経路ごとに算出し、前記配送コストが最も低い経路を配送経路として決定する配送経路決定手段を備えることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の医療材料の管理システム。
【請求項12】
請求項1に記載の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバであって、
前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報と、病院端末から受信した発注情報と、を管理するデータベースと、
前記病院端末から受信した発注情報に基づき、出荷する医療材料を割り当てる商品割当手段と、
前記検品用端末から受信した突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、を備え、
前記商品割当手段は、前記ステータス情報および前記医療材料の位置情報に基づき出荷する医療材料を割り当てることを特徴とする管理サーバ。
【請求項13】
請求項2に記載の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバであって、
前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報と、病院端末から受信した発注情報と、を管理するデータベースと、
前記病院端末から受信した発注情報に基づき、出荷する医療材料を割り当てる商品割当手段と、
前記検品用端末から受信した前記検品種別の情報および突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、を備え、
前記商品割当手段は、前記ステータス情報および前記医療材料の位置情報に基づき出荷する医療材料を割り当てることを特徴とする管理サーバ。
【請求項14】
前記流通商品管理手段は、前記検品用端末から受信した前記検品種別の情報が返却検品である場合に、前記ステータス情報を出荷割当可に更新することを特徴とする請求項13に記載の管理サーバ。
【請求項15】
前記データベースには、出荷先となる病院の位置情報が登録されており、
前記検品用端末から受信した前記検品種別の情報が返却検品であり、かつ、前記検品用端末から受信した前記医療材料の位置情報が前記データベースに登録された病院の位置情報と一致または実質的に一致する場合に、一意の配送伝票番号が付された帳票の発行を指示する指令を前記検品用端末に送信する帳票発行手段を備えることを特徴とする請求項13または14に記載の医療材料の管理サーバ。
【請求項16】
請求項3に記載の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバであって、
前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の単価情報と、前記使用済み商品の情報と、を管理するデータベースと、
前記検品用端末から受信した突合結果情報とおよび検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、
前記使用済み商品および医療材料の単価情報から算出した売上計算用データを出力する手段と、を備えることを特徴とする管理サーバ。
【請求項17】
請求項1に記載の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバで実行されるプログラムであって、
前記管理サーバは、前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報と、病院端末から受信した発注情報と、を管理するデータベースを備え、
前記管理サーバを、
前記病院端末から受信した発注情報に基づき、出荷する医療材料を割り当てる商品割当手段と、
前記検品用端末から受信した突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、
して機能させること、
前記商品割当手段は、前記ステータス情報および前記医療材料の位置情報に基づき出荷する医療材料を割り当てることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
請求項2に記載の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバで実行されるプログラムであって、
前記管理サーバは、前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報と、病院端末から受信した発注情報と、を管理するデータベースを備え、
前記管理サーバを、
前記病院端末から受信した発注情報に基づき、出荷する医療材料を割り当てる商品割当手段と、
前記検品用端末から受信した前記検品種別の情報、突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、
して機能させること、
前記商品割当手段は、前記ステータス情報および前記医療材料の位置情報に基づき出荷する医療材料を割り当てることを特徴とするプログラム。
【請求項19】
請求項3に記載の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバで実行されるプログラムであって、
前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の単価情報と、医療材料の使用実績情報と、を管理するデータベースを備え、
前記管理サーバを、
前記検品用端末から受信した突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、
前記使用済み商品および医療材料の単価情報から算出した売上計算用データを出力する手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICタグを用いた医療材料の管理システム、管理サーバおよびプログラムに関する。本明細書では、「医療材料」の用語を、医療機器を含む意味で用いる場合がある。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関では消耗品である医療材料が取り扱われているが、治療や検査時に在庫切れが生じないように余裕を持って発注を行うことが重要である。従来は、医療材料に貼付されたラベルを剥がして台帳に貼ったり、買取物品であることをマジックでパッケージに記載したりするなどの手作業での管理が行われていた。しかし、手作業での管理は煩雑であり、また管理漏れの問題もあることから、近年はバーコードやICタグを用いたコンピュータシステムにより在庫管理を行うと共に、補充発注を自動化することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-259778号公報
【文献】特開2006-25941号公報
【文献】特開2006-14955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディーラ(卸業者)が病院に医療材料キット(後述)を提供するにあたっては、複数回の出荷検品と複数回の返却検品が必要であるが、各検品作業に多くの時間を要しており、効率化が求められていた。
また、医療材料キットがディーラに到着してからメーカに返却されるまでの間、実際に使用されない医療材料も流通状態にあり、割当の対象にはできないため、より多くの在庫を備えることが必要になるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、医療材料キットの検品作業を効率化し、メーカの在庫を削減することを可能とする医療材料の管理システム、管理サーバおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の医療材料の管理システムは、
医療材料に付されたICタグの格納情報を読み取るICリーダと、
位置情報取得手段、入力手段および画面を有し、前記ICリーダおよび管理サーバと通信可能に構成された検品用端末と、を備える医療材料の管理システムであって、
前記検品用端末は、前記ICリーダから取得した前記ICタグに紐付けられた出荷情報と前記ICリーダから取得した前記ICタグの格納情報を突合した結果を画面上に表示し、前記位置情報取得手段から取得した位置情報を前記管理サーバに送信する検品手段を備えることを特徴とする。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記検品手段は、前記画面に検品種別を入力するための画面を表示させることができ、前記検品種別の情報が入力されると当該情報を前記管理サーバに送信することを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記検品手段は、前記出荷情報に含まれる前記ICタグのシリアル番号のうち前記ICリーダから受信した情報に含まれない前記ICタグのシリアル番号を判別し、当該ICタグが付され医療材料を使用済み商品として画面に表示し、前記使用済み商品の情報を前記管理サーバに送信することを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記位置情報取得手段は、GPS受信装置であることを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記位置情報取得手段は、前記管理サーバから出荷情報に基づいて位置情報を算出するプログラムにより構成されることを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記管理サーバは、症例ごとに、実際に出荷した医療材料の出荷実績データと、出荷された医療材料のうち実際に使用された医療材料の使用実績データとを記憶しており、前記出荷実績データおよび前記使用実績データに基づいて、症例ごとに推奨される医療材料の組み合わせを提示することを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記管理サーバは、実際に出荷した医療材料の出荷実績データおよび出荷された医療材料のうち実際に使用された医療材料の使用実績データを記憶したデータベースから、症例ごとの出荷実績データおよび使用実績データを取得する手段と、前記出荷実績データおよび前記使用実績データに基づいて、症例ごとに推奨される医療材料の組み合わせを提示する手段と、を備えることを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記管理サーバは、症例ごとに生成した医療材料の配送情報を、配送者が配送を行うために使用する配送者端末に送信する手段を備えることを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記逼迫品情報に基づいて、逼迫している前記医療材料を優先して前記配送先に配送するように前記配送情報を作成することを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記管理サーバは、返却元の位置情報を含む医療材料の返却予定情報および逼迫品情報に基づいて、前記医療材料の配送先を新たに決定し、当該決定した配送先への配送情報を、配送者が配送を行うために使用する配送者端末に送信する配送指示手段を備えることを特徴としてもよい
上記医療材料の管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記検品用端末から受信した検品種別の情報が返却検品である場合に、前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報を出荷割当可に更新する流通商品管理手段を備え、
上記医療材料の管理システムにおいて、前記配送指示手段は、前記ステータス情報、前記返却予定情報および逼迫品情報に基づいて、前記医療材料の配送先を新たに決定することを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記配送指示手段は、前記逼迫品情報に基づいて、逼迫している前記医療材料を優先して前記配送先に配送するように前記配送情報を作成することを特徴としてもよい。
上記医療材料の管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記医療材料を配送元から配送先へと配送する配送指示を行う場合であって、前記配送元から前記配送先の間に複数の経路が存在する場合は、前記経路における輸送コスト情報、前記経路上の各配送拠点における保管コスト情報、または、前記経路上の各配送拠点における業務コスト情報に基づいて、前記経路における配送コストを経路ごとに算出し、前記配送コストが最も低い経路を配送経路として決定する配送経路決定手段を備えることを特徴としてもよい。
【0007】
本発明の第1の観点に係る管理サーバは、
上記の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバであって、
前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報と、病院端末から受信した発注情報と、を管理するデータベースと、
前記病院端末から受信した発注情報に基づき、出荷する医療材料を割り当てる商品割当手段と、
前記検品用端末から受信した突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、を備え、
前記商品割当手段は、前記ステータス情報および前記医療材料の位置情報に基づき出荷する医療材料を割り当てることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点に係る管理サーバは、
上記の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバであって、
前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報と、病院端末から受信した発注情報と、を管理するデータベースと、
前記病院端末から受信した発注情報に基づき、出荷する医療材料を割り当てる商品割当手段と、
前記検品用端末から受信した前記検品種別の情報および突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、を備え、
前記商品割当手段は、前記ステータス情報および前記医療材料の位置情報に基づき出荷する医療材料を割り当てることを特徴とする。
上記第2の観点に係る管理サーバにおいて、前記流通商品管理手段は、前記検品用端末から受信した前記検品種別の情報が返却検品である場合に、前記ステータス情報を出荷割当可に更新することを特徴としてもよい。
上記第2の観点に係る管理サーバにおいて前記データベースには、出荷先となる病院の位置情報が登録されており、前記検品用端末から受信した前記検品種別の情報が返却検品であり、かつ、前記検品用端末から受信した前記GPS位置情報が前記データベースに登録された病院の位置情報と一致または実質的に一致する場合に、一意の配送伝票番号が付された帳票の発行を指示する指令を前記検品用端末に送信する帳票発行手段を備えることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明の第3の観点に係る管理サーバは、
上記の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバであって、
前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の単価情報と、前記使用済み商品の情報と、を管理するデータベースと、
前記検品用端末から受信した突合結果情報とおよび検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、
前記使用済み商品および医療材料の単価情報から算出した売上計算用データを出力する手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の観点に係るプログラムは、上記の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバで実行されるプログラムであって、
前記管理サーバは、前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報と、病院端末から受信した発注情報と、を管理するデータベースを備え、
前記管理サーバを、
前記病院端末から受信した発注情報に基づき、出荷する医療材料を割り当てる商品割当手段と、
前記検品用端末から受信した突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、
して機能させること、
前記商品割当手段は、前記ステータス情報および前記医療材料の位置情報に基づき出荷する医療材料を割り当てることを特徴とする。
本発明の第2の観点に係るプログラムは、上記の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバで実行されるプログラムであって、
前記管理サーバは、前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の出荷割当の可不可を判別可能とするステータス情報と、病院端末から受信した発注情報と、を管理するデータベースを備え、
前記管理サーバを、
前記病院端末から受信した発注情報に基づき、出荷する医療材料を割り当てる商品割当手段と、
前記検品用端末から受信した前記検品種別の情報、突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、
して機能させること、
前記商品割当手段は、前記ステータス情報および前記医療材料の位置情報に基づき出荷する医療材料を割り当てることを特徴とする。
本発明の第3の観点に係るプログラムは、上記の検品用端末および病院端末と通信可能に構成された管理サーバで実行されるプログラムであって、
前記医療材料の商品情報と、前記医療材料の位置情報と、前記医療材料の単価情報と、医療材料の使用実績情報と、を管理するデータベースを備え、
前記管理サーバを、
前記検品用端末から受信した突合結果情報および検品作業場所の位置情報に基づき、前記データベースに登録された前記医療材料のステータス情報および前記医療材料の位置情報を更新する流通商品管理手段と、
前記使用済み商品および医療材料の単価情報から算出した売上計算用データを出力する手段と、
して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、医療材料キットの検品作業を効率化し、メーカの在庫を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態例に係る短貸業務、ディーラ長貸業務および病院長貸業務における医療材料の流れを説明する図である。
【
図2】実施形態例に係る短貸業務の流れを説明する図である。
【
図3】第1実施形態例に係る医療材料の管理システムの構成図である。
【
図4】第1実施形態例に係る医療材料の発注割当のイメージ図である。
【
図5】各手技で使用され物品数の例(イメージ)である。
【
図6】第1実施形態に係る検品機能の流れを示す図である。
【
図7】第1実施形態例に係る管理アプリケーションのメニュー画面を示す図である。
【
図8】第1実施形態例に係る出荷検品ヘッダ画面を示す図である。
【
図9】第1実施形態例に係る出荷検品明細画面を示す図である。
【
図10】第1実施形態例に係る返却検品ヘッダ画面を示す図である。
【
図11】第1実施形態例に係る返却検品明細画面を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る医療材料の管理システムの構成図である。
【
図13】第2実施形態例に係る短貸業務の流れを説明するための図である。
【
図14】検品用端末のディスプレイに表示される逼迫品情報の一例を示す図である。
【
図15】第2実施形態例に係る貸出処理を示すフローチャートである。
【
図16】第2実施形態例に係る返却処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では本発明の実施形態例に係る医療材料の管理システムを説明する。
本システムは、主としておけるディーラ(卸業者)の納品および返却時の検品作業を効率化するものである。本システムが管理対象とする業務は主として3つあり、
図1に示すとおりである。(1)短貸業務では、メーカから医療材料を病院に短期的に貸し出し、メーカに返却する。(2)ディーラ長貸業務では、メーカから医療材料をディーラに長期的に貸し出し、ディーラで管理する在庫から複数の病院への貸し出しを行う。(3)病院長貸業務では、メーカから医療材料を病院に長期的に貸し出し、病院で管理する在庫から必要な医療材料を取り出して使用する。
【0014】
次に、実施形態例に係る短貸業務の流れを、
図2を参照しながら説明する。
まず、病院から短貸の対象となる医療材料の注文がディーラに入る(STEP1)。ここでの注文は、手技単位で行われることが多い。
発注指示を受けたディーラは、必要な医療材料をメーカに発注する(STEP2)。発注を受けたメーカは、出荷する医療材料の名称、数量等の出荷情報を回答するのと共にディストリビューションセンターからの商品出荷を手配する(STEP3,4)。メーカが出荷した医療材料がディーラに届くと、ディーラは出荷検品1(STEP5)を行う。具体的には、先に受信した出荷情報と実際に届いた医療材料の突合を行う。ディーラは、メーカが出荷した医療材料を梱包し、或いは、自身が保有する在庫をメーカ出荷と組み合わせて注文に対応する医療材料キット4とする。
【0015】
続いて、ディーラは、ディストリビューションセンターから医療材料キット4を病院に出荷する(STEP6)。医療材料キット4が病院に到着すると、病院でディーラの担当者による出荷検品2(STEP7)が行われる。ここで、医療材料キット4の配送はディーラ担当者が行うのが通常であるが、宅配会社の配送サービスを利用してメーカから病院へ直送し、病院でディーラ担当者が出荷検品(1回目)を行うようにしてもよい。病院では、医療材料キット4の中から、手技に必要な医療材料(例えば、数個)を取り出して使用する。必要な医療材料は、注文時におおよその見当はついているが、実際には当初の予定よりも多くの或いは少ない医療材料が使用される場合がある。
【0016】
医療材料の使用が終わると、病院から使用済みキット4’がディーラへ返却される(STEP8,9)。使用済みキット4’がディーラに届くと、1回目の返却検品が行われる(STEP10)。返却検品により、実際に消費された医療材料5が明らかになり、売上計算用データが算出可能となる。返却検品後、ディーラから使用済みキット4’がメーカに返却される(STEP11)。使用済みキット4’がメーカのディストリビューションセンターに届くと、2回目の返却検品が行われる(STEP12)。ここで、宅配会社の配送サービスを利用して病院からメーカへ直送し、メーカのディストリビューションセンターでディーラ担当者が返却検品1(STEP10)を行うようにしてもよい。
以上が、実施形態例に係る短貸業務の流れである。本発明では、上述の出荷検品および返却検品を、携帯型の検品用端末2およびICリーダ3により行う。長貸業務においては、ディーラ出荷時に出荷検品1が行われ、病院出荷時に出荷検品2が行われ、使用済キット返却時に返却検品1が行われる。
【0017】
《第1実施形態》
次に、本発明の第1実施形態について説明する。
<構成>
図3は、第1実施形態例に係る医療材料の管理システムの構成図である。このシステムは、管理サーバ1と、検品用端末2と、ICリーダ3と、ICタグ41付きの医療材料キット4と、ICタグ51付きの医療材料5と、ディーラ端末6と、病院端末7と、メーカ端末8と、を主要な構成要素とする。従来はメーカ単位でシステムを構築して在庫管理していたが、本システムによれば、複数のメーカを横断的に管理することが可能となる。
【0018】
管理サーバ1は、CPUからなる演算部11と、管理プログラム12およびデータベース13を格納する記憶部14と、LANなどのネットワーク網による通信を可能とする通信部15と、電源部16とを備えた汎用PCサーバにより構成されている。管理サーバ1は、1台でもよいし複数台でもよく、クラウド上のリソースを借りる形態で構築してもよい。データベース13には、メーカ、ディーラ、病院および在庫保管場所10の位置情報(例えば、緯度と経度のGPS座標)が格納されている。本システムにおける在庫保管場所10は、メーカやディーラの社屋や倉庫である場合もあれば、宅配会社の営業所のような一時保管所である場合もある。
【0019】
演算部11により実行される管理プログラム12は、主として商品受注機能、在庫管理機能、流通商品管理機能、商品手配機能、結合検品機能、出荷伝票発行機能、売上計算用データ生成機能、配送伝票番号発行機能および当日出荷商品仕分け機能を備えている。
商品受注機能は、インターネットを介して病院端末7から商品の注文を受注する機能であり、例えば、Webサイト経由で注文を受注する。なお、病院端末7は、Webブラウザを搭載する任意の端末を兼用してもよく、例えば、検品用端末2により商品の注文を行ってもよい。
在庫管理機能は、検品用端末2による棚卸をすること、仕入先別、ロット別、有効期限別、在庫場所別の在庫管理を行うこと、および、棚卸レポートを出力することを可能とする機能である。
流通商品管理機能は、検品を行う毎に商品の位置情報、検品出別情報およびステータス情報を更新することを可能とする機能である。検品用端末2により医療材料5の検品が行われると、検品された医療材料5の位置情報および検品出別情報(出荷検品および返却検品の特定情報)が管理サーバ1に送信され、データベース13で位置情報および検品出別情報が管理される。ステータス情報は、注文情報に対して割り当てが可能であるかを判別するための情報であり、例えば、STEP10の返却検品が行われると対象商品のステータス情報を割当不可から割当可に更新することが開示される。
【0020】
商品手配機能は、ネットワーク経由で病院端末7から受信した注文情報に基づき出荷する商品の割り当てを行うことを可能とする機能である。商品の割り当てが行われると、受注IDとICタグシリアル番号とが紐付けられ、当該ICタグシリアル番号に対応するステータス情報は割当不可に更新され、データベース13で管理される。商品の受注に際しては、患者属性(性別、年齢等)についても注文情報に含めてもらうことが好ましい。患者属性に基づき使用しないことが明らかな医療材料5を医療材料キット4から除くことが可能となるからである。商品の割り当てに際しては、ステータス情報が割当可となっている在庫のうち、発注元の病院に最も効率よく配送することができる在庫保管場所10にある在庫が割り当てられる。例えば、
図4に示すように、同一の商品が在庫保管場所10a~10cにある場合、病院Aには最も近い在庫保管場所10aから割り当て、病院Bには最も近い在庫保管場所10cから割り当て、病院Cには最も近い在庫保管場所10bから割り当てることが開示される。
結合検品機能は、一つの注文に対する商品の出荷や返却が複数口に分けて行われる場合に、まとめて検品することを可能とする機能である。ここで、商品の出荷や返却は、異なる日に行われる場合もあるが、一つの注文に紐付けられた全てのICタグ41の読み取りが行われるまでは、検品を未完了のステータスとし、全てのICタグ41の読み取りが行われた際に検品結果を出力する。
【0021】
出荷伝票発行機能は、実際に病院に出荷する医療材料5の一覧を記した出荷伝票をプリンタ(不図示)から印刷する機能である。STEP6の病院出荷時に、手技に対応する標準的な医療材料キット4から、明らかに使用しない医療材料5を抜き取ることがディーラ担当者により行われることがあるからである。このような医療材料キット4の精査が行われた場合には、再度出荷検品(STEP5)を行うことで、データベース13の出荷情報およびディーラ在庫情報を更新することが可能である。
売上計算用データ生成機能は、出荷検品と返却検品との差分から、売上計算用データを生成する機能である。ICタグ41および51には商品の単価情報は入っていないので、データベース13から使用済み商品の単価情報を入手して、売上計算用データを生成する。生成した売上計算用データは、RPA(Robotic Process Automation)によるデータ入力やバッチ処理により基幹サーバ9と連携することも可能である。
配送伝票番号発行機能は、宅配会社から割り当てられた配送伝票番号を、返却検品時に発行する機能である。
当日出荷商品識別機能は、メーカ返却検品が行われるその日に出荷される医療材料4を検品用端末2の画面上で識別可能とする機能である。その日に出荷される医療材料4は、検品用端末2の画面に表示される検品済みの商品の明細フィールドに、当日出荷予定であることを示す文字や記号(例えば、星マーク)が表示される。
【0022】
検品用端末2は、位置情報取得手段としてのGPS(Global Positioning System)受信装置、入力手段および画面を備えた携帯型コンピュータであり、例えば、液晶タッチパネルおよび無線通信モジュールを備えたタブレット端末(例えば、iPad(登録商標))により構成される。検品用端末2は、後述の管理アプリケーション(以下、「管理アプリ」という)がインストールされており、管理サーバ1とインターネットを介して双方向通信が可能である。検品用端末2により検品作業が行われると、検品作業を行った場所のGPS位置情報が管理サーバ1に送信され、これにより検品対象の医療材料5の位置情報をデータベース13により管理することが可能となる。医療材料5に紐付けられる位置情報は、GPS位置情報としてもよいし、取得したGPS位置情報の最寄りのメーカ、ディーラ、病院または在庫保管場所10の緯度経度情報または名称を位置情報として紐付けるようにしてもよい。医療材料5の位置情報を管理することにより、流通状態にある医療材料5(少なくとも1度の返却検品がなされ、メーカに返却される前の医療材料5)も商品手配の対象とすることが可能となる。
【0023】
また、位置情報取得手段は例示のGPS受信装置に限定されるものではなく、検品用端末2が、移動体通信の基地局あるいはRF送信機(WiFiアクセスポイント)に登録された位置情報による位置測位機能を有する場合は、当該位置測位機能を位置情報取得手段とすることができる。また、管理サーバ1に予め登録された検品の順番と検品作業場所の関係および出荷情報の中に含まれるメーカ、ディーラ、病院等の名称(さらには名称と紐付けられた住所のマスタ情報)に基づき検品作業場所の位置情報を取得するプログラムを検品用端末2に組み込むことにより、位置情報取得手段を実現してもよい。これらの構成を採用した場合、GPS位置情報を取得することができない場所で検品作業をした場合であっても、検品作業場所の位置情報を取得することが可能である。なお、検品用端末2は、インターネット通信が不可能な場所で検品作業を行った場合、インターネット通信が可能になった時点で検品作業結果を管理サーバ1に送信する機能を備えている。
【0024】
ICリーダ3は、非接触でICタグ51と非接触通信してデータを読み書きするハンディ型ICリーダライタであり、複数のICタグ51を同時に検出可能とするアンチコリジョン(衝突防止)機能を備えている。ICリーダ3は、出力によっては数メートル以上の通信距離を実現可能な周波数(例えば、920MHz帯)を採用しており、免許が不要な特定小電力タイプのものでも1m程度の通信距離を実現可能である。高性能円偏波アンテナにより360°全方向読み取りが可能であり、段ボール等の箱に収納された多数のICタグ51を箱を空けることなく外部から読み取ることが可能である。読み取ったICタグ51の情報は、無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))により検品用端末2に送信される。
【0025】
医療材料キット4は、診療科目、術式(手技)、症例などの単位でセット化された複数の医療材料のことであり、これら医療材料がICタグ41が付されたボックスに収納されている。第1実施形態では、手技単位で医療材料キット4を構成しており、一つの医療材料キット4に収納される医療材料5の数は、例えば数十~数百個である。
図5に、各手技で使用される物品数の例(イメージであり数字はダミー)を示す。
ICタグ41は、電池を内蔵しないRFIDタグであり、ICリーダ3からの電波により電力供給される非接触型パッシブタグである。ICタグ41は、数メートル程度の通信距離が実現可能なUHF帯の周波数(例えば、920MHz帯)のものを採用している。ICタグ41には、ICタグシリアル番号、キット番号などが格納されている。
【0026】
医療材料5は、ICタグ51が付されたパッケージ(容器を含む)に封入された、カテーテル、超音波プローブ、ステントセット、人工骨、人工関節などの医療材料である。
ICタグ51は、ICタグ41と同じRFIDタグであり、数メートル程度の通信距離が実現可能なUHF帯の周波数のものを採用している。
【0027】
ICタグ51には、ICタグシリアル番号、JANコード、UBD(使用期限)、製造ロット、製造シリアル番号、製造メーカ商品番号、GS1識別コードなどが格納されている。
【0028】
ディーラ端末6、病院端末7およびメーカ端末8は、1台または複数台のパーソナルコンピュータであり、インターネットを介して管理サーバ1にアクセスし、各種データを権限の範囲内で参照し、編集し、出力することができる。
【0029】
[管理アプリ]
管理アプリは、管理サーバ1から取得したキット用ICタグ41に紐付けられた出荷情報とICリーダ3から送信された材料用ICタグ51の格納情報を突合した結果を画面上に表示する検品機能を備えている。
図6は、第1実施形態に係る検品機能の流れを示す図である。
STEP101:検品作業者は、管理アプリで検品機能を実行し、続いてICリーダ3を用いて、キット用ICタグ41および材料用ICタグ51の格納情報を読み取る。
STEP102:管理アプリは、読み取ったキット用ICタグ41および材料用ICタグ51に対応する出荷情報をネットワークを介して管理サーバ1から取得する。この際、検品情報(GPS位置情報、出荷検品または返却検品のいずれであるかなど)を管理サーバ1に送信する(なお、STEP104の通信時に検品情報を送信するのでもよい。)。
STEP103:管理アプリは、管理サーバ1から取得した出荷情報と読み取ったICタグ51の格納情報との突合を行い、突合結果を検品用端末2の画面に表示する。
STEP104:管理アプリは、出荷情報と読み取ったICタグ51の格納情報との突合結果を管理サーバ1に送信する。
STEP105:管理サーバ1は、受信した突合結果および検品情報に基づき必要な情報処理を実行する。検品情報には、GPS位置情報が含まれるため、未使用の医療材料5は位置情報と紐付けられてデータベースで管理される。これに加え、例えば、下記の情報処理を行うことが開示される。
【0030】
(1)検品が行われたのが出荷検品であり、不足する医療材料5がある場合には、当該医療材料5を自動で出荷手配する。
(2)検品が行われたのが返却検品であり、不足する医療材料5がある場合には、当該医療材料5が使用されたと判定し、当該医療材料5のシリアル番号と数量を売上計算用データとして出力する。
(3)検品が行われたのが返却検品であり、同日に出荷される医療材料5がある場合には、当該医療材料5の明細フィールドに当日出荷されることを識別可能とする文字や記号(例えば、星マーク)を表示する。
(4)上記(2)の処理後、外部の医事会計システムと連携して病院における保険請求を行うようにしもよい。また、外部の購買システムと連携してディーラに対する仕入処理を行うようにしてもよい。また、ディーラの基幹システムと連携してディーラにおける病院への売上とメーカへの仕入れを行うようにしてもよい。また、メーカへの基幹と連携してメーカにおけるディーラへの売上を計上するようにしてもよい。
【0031】
図7は、第1実施形態に係る管理アプリのメニュー画面20を示す図である。
貸出管理欄の出荷検品ボタン21を押下すると、
図8に示す出荷検品ヘッダ画面30が表示される。
出荷検品ヘッダ画面30は、上段の検索条件欄と、下段の検索結果欄とを備えている。検索条件欄に入力した検索条件による検索結果が、検索結果欄に表示される。検索結果欄には、1件の発注が1行の発注フィールド31により表示される。各発注フィールド31には、各発注に付された一意の貸出IDがそれぞれ表示される。発注は、手技単位で行われるため、1つの貸出先から同日に複数の発注が行われることも当然ある。
【0032】
図9は、出荷検品ヘッダ画面30の検索結果欄に表示された貸出ID「A12345688」の発注フィールドを押下した際に表示される出荷検品明細画面40を示す図である。
出荷検品明細画面40では、1行の明細フィールド41に1つの商品に関する情報が表示される。
図9では未実施であるが、出荷検品がなされると検品済みの商品の明細フィールド41は着色表示され、検品済みであることを示す文字や記号(例えば、丸マーク)が表示される。
【0033】
メニュー画面20において、貸出管理欄の返却検品ボタン22を押下すると、
図10に示す返却検品ヘッダ画面50が表示される。
返却検品ヘッダ画面50では、1件の貸出IDに対応する返却が1行の返却フィールド51により表示される。返却検品済みの貸出IDに対応する返却フィールド51は着色表示され、検品済みであることを示す丸マーク52が表示される。
【0034】
図11は、返却検品ヘッダ画面50に表示された貸出ID「A17245677」の返却フィールド51を押下した際に表示される返却検品明細画面60を示す図である。1行の明細フィールド61に1つの商品に関する情報が表示される。
図11中、明細フィールド61aは現品がないため着色されておらず、明細フィールド61bは現品があることから着色表示され、現品があることを示す丸マーク62が表示される。このように、返却検品明細画面60を確認することで、使用された商品が何であるかを容易に判別することが可能となる。
【0035】
以上に説明した本発明の第1実施形態例に係る医療材料の管理システムによれば、携帯型の検品用端末2およびICリーダ3により検品作業を行うことで、医療材料5の現在位置を正確に把握することが可能となる。このため、従来であれば、メーカの倉庫などの所定の在庫管理場所に医療材料が戻ってこないと商品割り当てをすることができなかったが、本システムによれば宅配会社の営業所などにある返却中の医療材料5も商品割り当ての対象とすることができるので、商品在庫を大幅に削減することが可能となる。また、検品作業は、携帯型の検品用端末2およびICリーダ3により行うことができるので、検品場所毎に特別なシステムを導入することが不要であり、導入コストを抑えることができる。さらには、検品が行われ場所のGPS位置情報も記録することができるので、検品が正しい場所で行われたかのチェックを行うことも可能である。
【0036】
《第2実施形態》
次に、
図12および
図13に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。
図12は、第2実施形態に係る医療材料の管理システムの構成図である。また、
図13は、第2実施形態に係る短貸業務の流れを説明するための図である。
図12に示すように、第2実施形態では、第1実施形態に係る医療材料の管理システムの構成に加えて、配送者(宅配業者等)が使用する配送者端末17をさらに有する。配送者端末17は、
図12に示すように、管理サーバ1と電気通信回線を介して通信可能となっている。配送者端末17は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット等の携帯型コンピュータである。なお、配送者端末17は、ヤマト運輸や佐川急便等の配送事業者のみならず、ディーラの営業員やディーラから委託を受けた者等が使用する場合もある。
【0037】
また、第2実施形態に係るデータベース13では、症例ごとに、実際に出荷された医療材料5の出荷実績データと、出荷された医療材料5のうち病院で実際に使用された医療材料5の使用実績データが記憶される。第2実施形態では、例えば、
図13に示すように、ディーラ担当者が検品用端末2を用いて病院Aで出荷検品を行うと、検品用端末2により医療材料5の出荷実績データが取得され、管理サーバ1に送信されることで、データベース13に出荷実績データが記憶される。なお、第2実施形態では、後述するように、症例ごとに医療材料が出荷されるため、症例ごとの出荷実績データが取得され記憶されることとなる。また、
図13に示すように、ディーラ担当者が検品用端末2を用いてディーラ営業所で返却検品を行うことで、検品用端末2により医療材料5の使用実績データが取得され、管理サーバ1に送信されることで、データベース13に使用実績データが記憶される。なお、使用実績データも症例ごとに取得されデータベース13に記憶される。
【0038】
第2実施形態において、管理サーバ1の演算部11は、第1実施形態に係る管理プログラム12に加えて、症例ごとに推奨される医療材料5の好適な組み合わせを作成する医療材料推奨機能と、医療材料推奨機能により作成された医療材料5の好適な組み合わせを病院担当者に提示する推奨提示機能と、配送者に配送指示を行う配送指示機能と、医療材料5を配送する配送経路を決定する配送経路決定機能と、を有する。
【0039】
医療材料推奨機能は、データベース13に記憶された、症例ごとの医療材料5の出荷実績データと医療材料5の使用実績データとに基づいて、症例ごとに推奨される医療材料5の好適な組み合わせを作成する。例えば、類似する複数の症例について、医療材料aが1つと、医療材料bが2つ使用された使用実績が最も多い場合には、この症例について推奨される医療材料の好適な組み合わせとして、医療材料aが1つと、医療材料bが2つの組み合わせを作成する。また、類似する複数の症例において、出荷実績データとして、医療材料aが2つと、医療材料bが4つとした組み合わせが多く、使用実績においても医療材料aが2つと医療材料bが4つ使用されているケースが多い場合には、この症例についての医療材料の好適な組み合わせとして、医療材料aが2つと、医療材料bが4つの組み合わせを、医療材料5の好適な組み合わせとして作成することができる。そして、医療材料推奨機能は、症例ごとに作成した医療材料5の好適な組み合わせを、データベース13に記憶しておく。なお、本実施形態では、症例情報に、病名の他に、術式や患者属性(性別、年齢など)も含まれており、これら全部または一部が一致する症例を、類似する症例として、推奨される医療材料5の好適な組み合わせを作成することができる。
【0040】
推奨提示機能は、病院の病院端末7において医療材料5の注文に際して症例の入力が行われた場合に、入力された症例に応じた医療材料5の好適な組み合わせを、データベース13から抽出し、病院端末7に送信することで、病院担当者に提示する。ここで、第2実施形態では、病院端末7を介して医療材料5の注文を行う場合、病院担当者が、当該医療材料5が使用される症例の情報も入力するように設計されている。そして、病院端末7において症例情報が入力されると、症例情報が病院端末7から管理サーバ1へと送信され、管理サーバ1により受信される。推奨提示機能は、受信した症例情報に基づいて、データベース13を参照することで、医療材料推奨機能により当該症例と類似の症例として作成された、推奨される医療材料5の好適な組み合わせを取得する。そして、推奨提示機能は、この症例における医療材料5の好適な組み合わせの情報を、病院端末7に送信することで、病院端末7のディスプレイに当該症例についての医療材料5の好適な組み合わせを表示させ、病院担当者に把握させることができる。
【0041】
配送指示機能は、各症例について注文された医療材料5の組み合わせを、症例ごとに配送するように、配送指示を行う。具体的には、配送指示機能は、病院端末7による注文が受注され、ディストリビューションセンターや在庫保管場所10など、メーカ、配送事業者、またはディーラの施設にある商品割り当てられると、配送者端末17に、割り当てられた医療材料5の配送情報を送信し、配送者に割り当てられた医療材料5の配送を行わせる。また、配送指示機能は、症例ごとの医療材料5が医療材料キット4として一括して配送されるように、配送者端末17に配送情報を送信する。例えば、
図13に示す例において、症例1について病院Aから医療材料5a~5cが注文され、医療材料5a~5cが倉庫A、倉庫Bおよび倉庫Cでそれぞれ割り当てられた場合には、配送指示機能は、病院Aに最も近い倉庫Cに、倉庫Aおよび倉庫Bから症例1についての医療材料5a,5bを出荷するように、配送者端末17に配送指示を行う。また、配送指示機能は、倉庫Cにおいて、倉庫Cで割り当てられた医療材料5cと、倉庫Aおよび倉庫Bから出荷された医療材料5a,5bとを荷合わせして医療材料キット4を構成するように配送者端末17に指示を行う。さらに、配送指示機能は、構成した医療材料キット4を倉庫Cから病院Aに出荷するように、配送者端末17に配送指示を行う。
【0042】
なお、第2実施形態では、ディーラ端末6や病院端末7において、配送者が配送する医療材料5の配送状態を確認することが可能となっている。具体的には、第2実施形態では、各倉庫における検品作業や出荷作業により、配送者が配送する医療材料5の配送状態(例えば、倉庫Cで荷合わせ中、倉庫Cから出荷など)が配送者端末17により入力され、配送者端末17から管理サーバ1へと送信される。管理サーバ1は、配送者端末17から送信された医療材料5の配送状態を、医療材料5の位置情報または配送状態としてデータベース13に記憶することができる。また、管理サーバ13は、現在の配送状態(位置情報)だけではなく、過去の配送状態(位置情報)も記憶しておくことができる。これにより、ディーラ端末6や病院端末7において、ディーラ担当者や病院担当者がこれまでの配送経緯を把握することが可能となる。
【0043】
さらに、配送指示機能は、医療材料5の返却情報と、医療材料5の逼迫品情報とに基づいて、医療材料5の配送指示を行う構成とすることができる。返却情報には、返却される医療材料5の情報、返却個口数、返却時の利用ユーザー(病院)の情報、返却時の病院の位置情報、返却先の情報などを含めることができる。ここで、返却情報としては、デフォルトの返却先(例えば、メーカの発送元倉庫)が設定されているが、返却先に返却される前に次に使う病院等が決まった場合には、その病院等を返却先(配送先)に変更することができる。これにより、デフォルトの返却先に返却してから出荷する場合と比べ、出荷のリードタイムを短縮し、また配送作業を削減することができる。なお、返却情報の指定は、例えば病院端末7において医療材料5の注文を行う場合に入力する構成としてもよいし、また、ディーラ担当者が返却検品において検品用端末2を用いて入力する構成としてもよい。
また、医療材料5の逼迫品情報とは、どの配送拠点におけるどの医療材料5が、返却後すぐに別の症例のために出荷される可能性が高いかを示す情報であり、メーカ端末6から随時入力される。返却情報および逼迫品情報はデータベース13に記憶される。配送指示機能は、データベース13に記憶された医療材料5の返却情報および逼迫品情報に基づいて、返却予定の医療材料5の配送指示を行う。例えば、配送指示機能は、医療材料5が貸出時に保管されていた倉庫に医療材料5を配送するように、配送者端末17に配送指示を出力する構成とすることができるが、逼迫品情報を参照し、逼迫している医療材料5(逼迫品)については優先的に配送するように、配送指示を行うこともできる。この配送指示により、配送者は、逼迫品と逼迫していない医療材料5とを仕分けて、別の症例に用いられる逼迫品を早期に配送することができる。
【0044】
また、配送指示機能は、逼迫品については、メーカやディーラの倉庫までは戻さずに、次に使用される病院まで直接配送するように、配送指示を行う構成とすることができる。例えば、
図13に示す例において、病院Aで使用され返却された医療材料5a~5cは、ディーラの営業所で返却検品が行われた後に、各倉庫A~Cに戻されるのではなく、そのまま病院Bへと配送する構成とすることができる。これにより、資産回転率の向上や配送リードタイムの向上を図ることができる。
【0045】
また、第2実施形態では、どの医療材料5が逼迫品であるかをディーラ担当者が把握できるように、検品用端末2のディスプレイに逼迫品であることを示す表示が行われる。
図14は、検品用端末2のディスプレイに表示される逼迫品情報の一例である。
図14に示す例では、症例ごとに逼迫品である医療材料5の表示が行われる。例えば
図14に示す例では、逼迫品である医療材料5(症例1~症例3の医療材料5)がグレーで表示されるとともに「逼迫品」である旨の表示がされ、逼迫品ではない医療材料5(症例4,5の医療材料5)が白抜きで表示される。また、ディーラ担当者は、ディーラ端末6を用いて、逼迫品情報を参照することで、使用頻度が高い医療材料5を特定することができる。そのため、ディーラ担当者は、使用頻度の高い医療材料5については、メーカから貸し出してもらうのではなく、購入しておき、ディーラにおいて管理するような運用を行うことができる。
【0046】
配送経路決定機能は、医療材料5の配送元から配送先までの配送経路を決定する。特に、配送経路決定機能は、医療材料5の配送元から配送先までに複数の経路が存在する場合に、いずれの経路を経由して医療材料5を配送するかを決定する。例えば、
図13に示す例において、ディーラ営業所から倉庫Bまで配送する経路として、経路d1およびd2を経由する経路D1と、経路d3を経由する経路D2と、経路d4およびd5を経由する経路D3とが存在している。このような場合に、配送経路決定機能は、経路D1~D3のうちいずれの配送経路で配送を行うかを決定する。
【0047】
例えば、
図13に示す例では、データベース13に、各経路d1~d5の単位時間当たりの輸送コスト、中継倉庫B,Dの単位時間当たりの保管コスト、中継倉庫B,Dでの荷分けによる業務コストなどのコスト情報を記憶している。配送経路決定機能は、データベース13に記憶されているこれらコスト情報を参照することで、各経路d1~d5を経由した場合の配送コスト(合計コスト)を算出し、配送コストが最も低い経路を、医療材料5を配送する配送経路として決定する。
【0048】
例えば、
図13に示す例において、経路d1~d5における1時間当たりの単位容量当たりの輸送コストがそれぞれ20円、25円、90円、35円、30円であり、また、中継倉庫B,Dでは医療材料5を保管しないが荷分けを行うものとして、その業務コストが40円、47円であるとする。この場合、経路d1およびd2を経由する経路D1の配送コストは20+25+40=85円となり、経路d3を経由する経路D2の配送コストは90円となり、経路d4およびd5を経由する経路D3の配送コストは35+30+47=112円となる。よって、配送経路決定機能は、経路D1~D3のうち、配送コストが最も低い経路D1を、病院Aで使用された医療材料5をディーラ営業所から倉庫Bへと配送するための配送経路として決定する。
【0049】
配送経路決定機能により配送経路が決定されると、配送指示機能により、配送経路D1を経由して配送するように、配送者端末17に配送指示が行われる。これにより、配送者により、配送経路決定機能により決定された配送経路D1により、医療材料5が配送されることとなる。なお、上述した例では、病院で使用された医療材料5を返却する静脈物流において、配送コストが最も低くなる経路を配送経路として決定する構成を例示したが、この構成に限定されず、病院で使用する医療材料5を病院まで配送する動脈物流においても、配送コストが最も低くなる経路を配送経路として決定する構成とすることができる。
【0050】
次いで、
図15に基づいて、第2実施形態に係る医療材料5の貸出処理について説明する。
図15は、第2実施形態に係る医療材料5の貸出処理を示すフローチャートである。なお、ここで説明する医療材料5の貸出処理とは、例えば
図13に示すように、病院Aで使用される医療材料5の注文が行われてから、医療材料5が病院Aに配送されるまでの処理を説明するものである。
【0051】
ステップS201~S203では、医療材料5が注文された場合に、症例ごとの推奨される医療材料5の好適な組み合わせを病院担当者に提示するために、症例ごとの医療材料5の好適な組み合わせを作成し、データベース13に記憶する処理である。すなわち、ステップS201では、管理サーバ1の医療材料推奨機能により、データベース13が参照され、症例ごとの医療材料5の出荷実績データが取得される。また、ステップS202では、医療材料推奨機能により、データベース13が参照され、症例ごとの医療材料5の使用実績データが取得される。そして、ステップS203では、医療材料推奨機能により、ステップS201で取得された症例ごとの医療材料5の出荷実績データと、ステップS202で取得された症例ごとの医療材料5の使用実績データとに基づいて、症例ごとに推奨される医療材料5の好適な組み合わせが作成される。例えば、類似する複数の症例における出荷実績データと使用実績データとに基づいて、当該症例において最も出荷された医療材料5の組み合わせや使用された医療材料5の組み合わせを、当該症例における医療材料5の好適な組み合わせとして作成することができる。なお、本実施形態では、病院端末7から注文が行われるまで、管理サーバ1は、ステップS201~S203の処理を所定の間隔で繰り返し(ステップS204=No)、症例ごとの医療材料5の好適な組み合わせを更新する。そして、病院担当者が病院端末7により注文を開始し、注文画面において症例情報を入力すると、ステップS205に進む(ステップS204=Yes)。
【0052】
ステップS205では、管理サーバ1の推奨提示機能により、病院端末7により入力された症例情報が取得され、ステップS203で作成された症例ごとの医療材料5の好適な組み合わせのうち、入力された症例における医療材料5の好適な組み合わせの情報が、データベース13から取得される。そして、推奨提示機能は、この症例に応じた医療材料5の好適な組み合わせの情報を病院端末7に送信し、病院端末7のディスプレイに表示させる。これにより、病院担当者は、今回の症例に応じた医療材料5の好適な組み合わせの情報に基づいて、医療材料5の注文を行うことができる。
【0053】
注文が確定されると(ステップS206=Yes)、ステップS207に進み、商品手配機能により、注文された医療材料5について割り当てが行われる。また、
図13に示すように、複数の倉庫に医療材料5がある場合は、各倉庫において医療材料5の割り当てが行われる。そして、ステップS208では、管理サーバ1の配送指示機能により、症例ごとに医療材料5が医療材料キット4として構成され、症例ごとに医療材料5が配送されるように、配送者端末17に配送指示が行われる。例えば、
図13に示す例では、症例1に用いられる医療材料5が5a~5cであるとする。この場合、倉庫Aから医療材料5aが、倉庫Bから医療材料5bがそれぞれ倉庫Cへと配送され、倉庫Cにおいて、倉庫Cで保管されていた医療材料5cと荷合わせされて、医療材料5a~5cで医療材料キット4を構成し、病院Aへと配送されることとなる。
【0054】
そして、ステップS209では、ディーラ担当者により、病院に配送された医療材料5の検品処理が行われる。第2実施形態では、配送者により医療材料5が病院まで配送されると、ディーラ担当者は病院において、検品用端末2を用いて、配送された医療材料5の出荷検品を行う。なお、検品処理は、
図6に示す方法にて行うことができる。
【0055】
次に、
図16に基づいて、第2実施形態に係る医療材料5の返却処理について説明する。
図16は、第2実施形態に係る医療材料5の返却処理を示すフローチャートである。なお、ここで説明する医療材料5の返却処理とは、例えば
図13に示すように、病院Aで使用される医療材料5が返却されてから、医療材料5が倉庫や別の病院などの返却先に配送されるまでの処理を説明するものである。
【0056】
ステップS301では、管理サーバ1の配送指示機能により、データベース13が参照され、メーカ端末8から随時更新される逼迫品情報の取得が行われる。また、ステップS302では、配送指示機能により、データベース13が参照され、返却情報の取得が行われる。
【0057】
そして、ステップS303では、配送指示機能により、ステップS301で取得された逼迫品情報と、ステップS302で取得された返却情報とに基づいて、どの医療材料5をどの返却先に配送するかを決定する処理が行われる。例えば、
図13に示す例において、配送指示機能は、返却情報に含まれる返却先情報に基づいて、病院Aで使用された医療材料5a~5cを、医療材料5a~5cがそれぞれ保管されていた倉庫A~Cに返却するように、配送指示を行うことができる。また、配送指示機能は、医療材料5a~5cが逼迫品であり、医療材料5a~5cを病院Aに貸し出している間に、別の病院Bでの同様の症例のために医療材料5a~5cの貸出が注文された場合には、医療材料5a~5cを元の倉庫まで戻すことはせずに、病院Aまたはディーラ営業所から病院Bへと配送するように、配送指示が行われる。さらに、配送指示機能は、逼迫品情報に基づいて、営業所やディーラや配送事業者の倉庫に保管されている医療材料5のうち、一部の医療材料5について逼迫していると判断できる場合には、逼迫している医療材料5を早期に次の配送先に配送するように、配送指示を行うこともできる。
【0058】
ステップS304では、配送経路決定機能により、医療材料5を配送する際の配送経路が決定される。配送経路決定機能は、データベース13に記憶されている輸送コスト情報、各配送拠点における保管コスト情報や業務コスト情報を参照し、各経路における各コストの合計を配送コストとして算出する。そして、配送経路決定機能は、配送コストが最も安い経路を医療材料5の配送経路として決定する。そして、ステップS306では、配送指示機能により、ステップS305で決定された配送経路を経由して配送を行うように、配送指示が行われる。
【0059】
以上のように、第2実施形態に係る医療材料5の管理システムでは、医療材料5の出荷実績データと医療材料5の使用実績データとに基づいて、症例ごとに推奨される医療材料5の好適な組み合わせを作成し、推奨された医療材料5の好適な組み合わせを病院担当者に提示することで、実際に使用される医療材料5の過不足を低減させることができる。特に、病院担当者は医療材料5が不足しないように、医療材料5を多めに注文する傾向があり、それが、在庫数の増大や、調達コストおよび廃棄コストの増大の原因となってしまう場合があった。これに対して、第2実施形態に係る医療材料5の管理システムでは、症例ごとの医療材料の出荷実績データと医療材料の使用実績データとに基づいて、症例ごとの医療材料の好適な組み合わせを作成し、病院担当者に提示することで、病院担当者が当該組み合わせに基づいて注文を行うことで、症例に適した数の医療材料5が出荷されることとなるため、在庫数の低減や、調達コストおよび廃棄コストの低減を図ることができる。
【0060】
また、第2実施形態では、配送者端末17に配送指示を行い、メーカ倉庫、配送事業者倉庫、ディーラ倉庫、ディーラ営業所、および病院間における医療材料5の配送を、症例単位で、配送者に行わせることで、資産回転率の向上、配送リードタイムの短縮、メーカやディーラの納品業務コストの削減を図ることができる。
【0061】
さらに、第2実施形態では、管理サーバ1は、医療材料5の返却情報と、医療材料5の逼迫品情報とに基づいて、医療材料5の配送指示を行う構成とすることができる。特に、管理サーバ1は、逼迫品情報を参照し、逼迫している医療材料5(逼迫品)については優先的に倉庫に配送するように、配送指示を行うことで、別の症例に用いるために逼迫品を早期に配送することができる。また、管理サーバ1は、逼迫品については、メーカやディーラの倉庫までは戻さずに、次に使用される病院まで直接配送するように、配送指示を行う構成とすることができる。これにより、資産回転率の向上や配送リードタイムの向上を実現することができる。
【0062】
加えて、第2実施形態に係る管理システムでは、医療材料5の配送元から配送先まで配送する場合に、配送コストが最も低い経路を配送経路として決定し、決定した配送経路において医療材料5を配送する。これにより、配送コストを削減することも可能となる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0064】
例えば、上述した第2実施形態では、管理サーバ1の演算部11の医療材料推奨機能は、データベース13に記憶されている症例ごとの医療材料5の出荷実績データと医療材料5の使用実績データとに基づいて、症例ごとの医療材料5の好適な組み合わせを予め作成し、データベース13に記憶しておくことで、病院端末7から医療材料5の注文があった場合に、当該注文情報に含まれる症例に適した医療材料5の組み合わせを提示する構成を例示したが、この構成に限定されず、病院端末7から医療材料5の注文があった場合に、データベース13を参照し、データベース13に記憶されている症例ごとの医療材料5の出荷実績データと医療材料5の使用実績データとに基づいて、病院端末7により入力された症例に適した医療材料5の好適な組み合わせを提示する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0065】
1 管理サーバ
2 検品用端末
3 ICリーダ
4 医療材料キット
41 (キット用)ICタグ
5 医療材料
51 (材料用)ICタグ
6 ディーラ端末
7 病院端末
8 メーカ端末
9 メーカ管理サーバ
10 在庫保管場所
17 配送者端末
20 メニュー画面