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特許7486755電磁波発振機構、電磁波発生装置および配管構造
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  • 特許-電磁波発振機構、電磁波発生装置および配管構造 図1
  • 特許-電磁波発振機構、電磁波発生装置および配管構造 図2
  • 特許-電磁波発振機構、電磁波発生装置および配管構造 図3
  • 特許-電磁波発振機構、電磁波発生装置および配管構造 図4
  • 特許-電磁波発振機構、電磁波発生装置および配管構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】電磁波発振機構、電磁波発生装置および配管構造
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/48 20230101AFI20240513BHJP
   C02F 5/00 20230101ALI20240513BHJP
【FI】
C02F1/48 A
C02F5/00 610A
C02F5/00 620D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023005309
(22)【出願日】2023-01-17
(62)【分割の表示】P 2019015343の分割
【原出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2023052448
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515243246
【氏名又は名称】株式会社サイライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】山崎 正志
(72)【発明者】
【氏名】森 豊
(72)【発明者】
【氏名】本山 信行
(72)【発明者】
【氏名】深町 尭
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-073164(JP,A)
【文献】特開2001-046521(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03089374(EP,A1)
【文献】特開2006-110422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/30、46-48、5/00-14
B01J10/00-19/32
F16L57/00-58/18
B08B1/00-13/00
H02J50/00-90
H04B5/00-06
A61N1/00-5/10
A61M36/10-14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形状に折り曲げたケーブルまたは軸線方向に直交する断面の形状が略矩形状のケーブルコイルよりなる電磁波発振部と、
可撓性を有し、前記電磁波発振部が固定されたシート状固定部材と、
を備え、
前記電磁波発振部が、前記シート状固定部材の一方の表面上に結束バンドを有するケーブル固定手段を用いて固定されている、電磁波発振機構であって、
前記電磁波発振機構は、流体が流れる配管に巻き付けられていることを特徴とする、電磁波発振機構
【請求項2】
前記シート状固定部材を湾曲させた状態で固定する固定機構を更に備える、請求項1に記載の電磁波発振機構。
【請求項3】
平面視において、前記ケーブルの両端が前記シート状固定部材の端縁よりも外側に位置する、請求項1または2に記載の電磁波発振機構。
【請求項4】
前記シート状固定部材が非導電性材料からなる、請求項1~の何れかに記載の電磁波発振機構。
【請求項5】
請求項1~の何れかに記載の電磁波発振機構と、前記電磁波発振機構の電磁波発振部に交流電流を流す交流電流発生器とを備える、電磁波発生装置。
【請求項6】
流体が流れる配管と、請求項に記載の電磁波発生装置とを備え、
前記電磁波発生装置の電磁波発振機構は、前記配管に巻き付けられている、配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波発振機構、電磁波発生装置および配管構造に関し、特には、被処理水の電磁波処理に好適に使用し得る電磁波発振機構、電磁波発生装置および配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、周波数が時間的に変化する交流電流をコイルに流し、発生した電磁波で被処理水を処理することにより、錆びやスケール等の発生を防止する技術が知られている。
【0003】
具体的には、例えば特許文献1には、略矩形状に折り曲げたケーブルよりなる電磁波発振部を流路内の排水中に浸漬し、電磁波発振部に交流電流を流すことにより、略矩形状に折り曲げたケーブルの内側を流れる排水を良好に電磁波処理する技術が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、下水が流れる配管に巻き付けたコイルよりなる電磁波発振部に交流電流を流すことにより、配管内を流れる下水を良好に電磁波処理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-47389号公報
【文献】特開2005-296796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されているような、水中に電磁波発振部を浸漬して電磁波処理を行う技術には、水中での電磁波発振部の固定や取り外し等の作業が煩雑であるという点において改善の余地があった。
【0007】
また、特許文献2に記載されているような、配管の外周面に設置したコイルよりなる電磁波発振部に交流電流を流して電磁波処理を行う技術には、コイルを構成するケーブルが設置時または使用中に位置ずれを起こし、所望の電磁波の印加効率が得られなくなる虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、設置および取り外しが容易で、且つ、設置時および使用中にケーブルの位置ずれが起こり難い電磁波発振機構、並びに、当該電磁波発振機構を有する電磁波発生装置を提供することを目的とする。また、本発明は、当該電磁波発生装置を用いた配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の電磁波発振機構は、略矩形状に折り曲げたケーブルまたは軸線方向に直交する断面の形状が略矩形状のケーブルコイルよりなる電磁波発振部と、可撓性を有し、前記電磁波発振部が固定されたシート状固定部材とを備えることを特徴とする。このように、略矩形状に折り曲げたケーブルまたは略矩形状のケーブルコイルよりなる電磁波発振部をシート状固定部材に固定すれば、設置時および使用中にケーブルの位置ずれが起こるのを防止し、電磁波を効率的に発振させることができる。また、可撓性を有するシート状固定部材を使用すれば、配管等の被取付物に対する設置および被取付物からの取り外しが容易になる。
なお、本発明において、「略矩形状」には、四隅に位置する角部のうちの一つ以上を丸くした矩形状や、四辺のうちの一辺以上を屈曲させた矩形状が含まれる。
【0010】
ここで、本発明の電磁波発振機構は、前記シート状固定部材を湾曲させた状態で固定する固定機構を更に備えることが好ましい。固定機構を設ければ、配管等の被取付物に対して電磁波発振機構を更に容易に設置することができる。
【0011】
また、本発明の電磁波発振機構は、前記電磁波発振部が前記シート状固定部材に包埋されていることが好ましい。電磁波発振部がシート状固定部材に包埋されていれば、電磁波発振機構の設置環境中に存在する湿気や腐食性ガスによって電磁波発振部が劣化するのを抑制することができる。
【0012】
更に、本発明の電磁波発振機構は、前記電磁波発振部が前記シート状固定部材の一方の表面上に固定されていることが好ましい。電磁波発振部をシート状固定部材の一方の表面上に固定していれば、電磁波発振部およびシート状固定部材の一方が劣化または損傷した場合であっても、他方を容易に再利用することができる。
【0013】
そして、本発明の電磁波発振機構は、前記シート状固定部材が非導電性材料からなることが好ましい。非導電性材料からなるシート状固定部材を使用すれば、電磁波発振機構の絶縁性を高めることができるので、導電性を有する被取付物に対する適用性を高めることができる。
【0014】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の電磁波発生装置は、上述した電磁波発振機構の何れかと、前記電磁波発振機構の電磁波発振部に交流電流を流す交流電流発生器とを備えることを特徴とする。このように、上述した電磁波発振機構を使用すれば、設置および取り外しが容易で、且つ、電磁波を効率的に発振させることが可能な電磁波発生装置が得られる。
【0015】
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の配管構造は、配管と、上述した電磁波発生装置とを備え、前記電磁波発生装置の電磁波発振機構は、前記配管に巻き付けられていることを特徴とする。このように、電磁波発生装置の電磁波発振機構を配管に巻き付ければ、配管内を流れる気体や液体などの流体を良好に電磁波処理することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、設置および取り外しが容易で、且つ、設置時および使用中にケーブルの位置ずれが起こり難い電磁波発振機構を提供することができる。
また、本発明によれば、設置および取り外しが容易で、且つ、電磁波を効率的に発振させることが可能な電磁波発生装置を提供することができる。
更に、本発明によれば、配管内を流れる流体を良好に電磁波処理することができる配管構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電磁波発振機構の一例の概略構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はI-I線に沿う断面図である。
図2】電磁波発振機構の他の例の概略構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はII-II線に沿う断面図である。
図3】ケーブル固定手段の変形例を示す断面図である。
図4】(a)~(d)は、電磁波発振機構の電磁波発振部の形状の変形例を示す図である。
図5】配管構造の一例の概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の構成要素を示すものとする。
【0019】
(電磁波発振機構)
本発明の電磁波発振機構は、電磁波発振部と、電磁波発振部が固定されたシート状固定部材とを備えており、電磁波発振部に交流電流を流すことにより電磁波を発生させる際に用いられるものである。そして、本発明の電磁波発振機構は、任意に、シート状固定部材を湾曲させた状態で固定する固定機構を更に備え得る。
【0020】
ここで、電磁波発振部は、略矩形状に折り曲げたケーブルまたは軸線方向に直交する断面の形状が略矩形状のケーブルコイルよりなる。このように、略矩形状に折り曲げたケーブルまたは軸線方向に直交する断面の形状が略矩形状のケーブルコイルを用いれば、交流電流を流した際に共鳴作用を利用して電磁波を高い強度で発振することができる。
【0021】
また、電磁波発振部は、シート状固定部材に固定されていることを必要とする。電磁波発振部を構成するケーブルの位置がずれた場合には、所期の共鳴作用が得られずに所望の強度の電磁波を発振することができなくなる虞があるところ、電磁波発振部をシート状固定部材に固定すれば、設置時および使用中にケーブルの位置ずれが起こるのを防止し、電磁波を効率的に発振させることができる。
なお、シート状固定部材への電磁波発振部の固定方法は、ケーブルの位置ずれの発生を抑制することが可能なものであれば、特に限定されず、例えば図1に示すように電磁波発振部を包埋することにより固定する方法であってもよいし、図2および図3に示すようにケーブル固定手段を用いる方法であってもよい。
【0022】
そして、シート状固定部材は、可撓性を有するシート状の部材であることを必要とする。シート状部材が可撓性を有していれば、配管等の被取付物に対する電磁波発振機構の設置および被取付物からの電磁波発振機構の取り外しが容易になる。
【0023】
なお、可撓性を有するシート状固定部材は、特に限定されることなく、樹脂組成物やゴム組成物などの材料を用いて形成することができるが、非導電性材料を用いて形成することが好ましい。非導電性材料からなるシート状固定部材を使用すれば、電磁波発振機構の絶縁性を高め、例えば高いサージ電流対策機能を発揮させることができる。従って、導電性を有する被取付物に対する電磁波発振機構の適用性を高めることができる。
ここで、非導電性材料からなるシート状固定部材の体積抵抗率は、1010Ω・cm以上であることが好ましい。
【0024】
また、任意に設けられる固定機構は、シート状固定部材を湾曲させた状態、好ましくは、筒状または軸線方向に直交する断面の形状が円弧状(例えば、半円弧状やC字状)の略筒状に湾曲させた状態で固定するものである。
そして、固定機構としては、特に限定されることなく、例えば、フック、面ファスナー、ボタンなどを用いることができる。なお、固定機構の設置位置は、シート状固定部を湾曲させた状態で固定可能な位置であれば限定されないが、例えば、シート状固定部材を湾曲させた際に互いに係合または対向するシート状固定部材の端縁と、電磁波発振部を構成するケーブルとの間とすることができる。
【0025】
ここで、図1に、上述した本発明の電磁波発振機構の一例の概略構成を示す。図1(a)に斜視図を示し、図1(b)に図1(a)のI-I線に沿う断面図を示すように、本発明の一例の電磁波発振機構10は、四隅に位置する角部を丸くした矩形状に折り曲げたケーブル11aよりなる電磁波発振部11と、可撓性を有するシート状固定部材12とを備えている。そして、図1(b)に示すように、電磁波発振部11は、シート状固定部材12で包埋されている。なお、シート状固定部材12中への電磁波発振部11の埋設は、特に限定されることなく、例えば、一体成形や、複数枚の可撓性シートを接着剤や溶接などの既知の接着法で貼り合わせてシート状固定部材を形成する際に可撓性シート間に電磁波発振部を介在させる方法などの既知の手法を用いて行うことができる。
【0026】
そして、電磁波発振機構10によれば、電磁波発振部11が略矩形状に折り曲げたケーブルよりなるので、交流電流を流した際に共鳴作用を利用して電磁波を高い強度で発振することができる。また、電磁波発振機構10では、電磁波発振部11がシート状固定部材12に固定されているので、設置時および使用中にケーブル11aの位置ずれが起こるのを防止し、電磁波を効率的に発振させることができる。
【0027】
更に、電磁波発振機構10では、電磁波発振部11がシート状固定部材12に包埋されているので、周囲環境中に存在する湿気や腐食性ガスによって電磁波発振部11が劣化するのを抑制することができる。
【0028】
なお、電磁波発振部11を包埋するシート状固定部材12を非導電性材料で形成した場合には、電磁波発振機構10の絶縁性を高め、導電性を有する被取付物に対する電磁波発振機構10の適用性を高めることができる。
【0029】
また、図2に、上述した本発明の電磁波発振機構の他の例の概略構成を示す。図2(a)に斜視図を示し、図2(b)に図2(a)のII-II線に沿う断面図を示すように、本発明の一例の電磁波発振機構10Aは、軸線方向(シート状固定部材12の主面に直交する方向)に直交する断面の形状が四隅に位置する角部を丸くした矩形状となるようにケーブル11aを巻き回してなるケーブルコイルよりなる電磁波発振部11と、可撓性を有するシート状固定部材12とを備えている。そして、図2(a)および(b)に示すように、電磁波発振部11は、ケーブル固定手段14としての結束線14aおよび結束バンド14bによりシート状固定部材12の一方の表面上に固定されている。具体的には、図2(b)に示すように、電磁波発振部11は、電磁波発振部11を構成するケーブル11aを結束線14aで結束すると共に、結束線14aで結束されたケーブル11aを結束バンド14bでシート状固定部材12に固定することにより、シート状固定部材12の一方(図2(b)では上側)の表面上に固定されている。
【0030】
なお、シート状固定部材12の一方の表面上に電磁波発振部11を固定するケーブル固定手段14は、図3図2(b)と同じ位置における断面を示す電磁波発振機構10Bのように、結束バンド14bのみで構成されていてもよい。
【0031】
そして、電磁波発振機構10A,10Bによれば、電磁波発振部11が、軸線方向に直交する断面の形状が略矩形状のケーブルコイルよりなるので、交流電流を流した際に共鳴作用を利用して電磁波を高い強度で発振することができる。また、電磁波発振機構10A,10Bでは、電磁波発振部11がシート状固定部材12に固定されているので、設置時および使用中にケーブル11aの位置ずれが起こるのを防止し、電磁波を効率的に発振させることができる。
【0032】
更に、電磁波発振機構10A,10Bでは、電磁波発振部11がシート状固定部材12の一方の表面上に固定されており、シート状固定部材12から電磁波発振部11を容易に取り外すことができるので、電磁波発振部11およびシート状固定部材12の一方が劣化または損傷した場合であっても、他方を容易に再利用することができる。
【0033】
なお、シート状固定部材12を非導電性材料で形成した場合には、電磁波発振機構10A,10Bの絶縁性を高め、導電性を有する被取付物に対する電磁波発振機構10A,10Bの適用性を高めることができる。
【0034】
以上、具体例を用いて本発明の電磁波発振機構を説明したが、本発明の電磁波発振機構は上述した例に限定されるものではない。具体的には、シート状固定部材で包埋される電磁波発振部は、軸線方向に直交する断面の形状が略矩形状のケーブルコイルよりなるものであってもよい。また、シート状固定部材の一方の表面上に固定される電磁波発振部は、略矩形状に折り曲げたケーブルよりなるものであってもよい。
【0035】
更に、電磁波発振部の形状は、例えば図4に示すような形状であってもよい。ここで、図4(a)~(d)に示す電磁波発振部11A~11Dは、平面視形状が、内周側に向かって凸となる折り曲げ部を少なくとも一つ有する略矩形状となるようにケーブルを折り曲げて形成されている。具体的には、図4(a)に示す電磁波発振部11Aは、上辺の一部が下方に向かって凸となるように折り曲げられた略矩形状(換言すれば凹字状)となるようにケーブルを折り曲げて形成されている。また、図4(b)に示す電磁波発振部11Bは、両側辺の一部が水平方向内側に向かって凸となるように折り曲げられた略矩形状(換言すれば横倒しH字状)となるようにケーブルを折り曲げて形成されている。更に、図4(c)に示す電磁波発振部11Cは、側辺(図示例では右辺)の一部が水平方向(図示例では左方向)に向かって凸となるように折り曲げられた略矩形状(換言すれば逆コ字状)となるようにケーブルを折り曲げて形成されている。また、図4(d)に示す電磁波発振部11Dは、底辺の一部が上方に向かって凸となるように折り曲げられ、且つ、上辺の一部が下方に向かって凸となるように折り曲げられた略矩形状(換言すればH字状)となるようにケーブルを折り曲げて形成されている。
なお、ケーブルが折り曲げてられている部分において、互いに対向するケーブル同士(即ち、電流が180°異なる方向に流れるケーブル同士)の間隔は、例えば100mm以上150mm以下であることが好ましい。
【0036】
(電磁波発生装置)
また、本発明の電磁波発生装置は、上述した本発明の電磁波発振機構と、当該電磁波発振機構の電磁波発振部に交流電流を流す交流電流発生器とを備えるものであり、例えば配管内を流れる流体の電磁波処理に好適に用いることができる。
【0037】
ここで、交流電流発生器としては、特に限定されることなく、例えば特開2011-255345号公報や特開2013-167160号公報に記載の装置や、株式会社サイライズ製の「ウォーター・ウォッチャー」などを用いることができる。中でも、交流電流発生器としては、周波数が時間的に変化する方形波またはサイン波などの交流電流を発生させる交流電流発生器、並びに、単一周波数の交流電流または互いに周波数の異なる2つ以上の単一周波数の交流電流を発生させる交流電流発生器を用いることが好ましく、単一周波数の交流電流または互いに周波数の異なる2つ以上の単一周波数の交流電流を発生させる交流電流発生器を用いることがより好ましい。なお、交流電流発生器が発生する交流電流の周波数は、特に限定されることなく、例えば10Hz以上1MHz以下とすることができる。また、電磁波発生装置が発生させる電磁波の磁束密度は、10mG以上とすることが好ましい。なお、磁束密度は、電磁波発振機構の電磁波発振部を構成するケーブル上で測定することができる。
【0038】
そして、本発明の電磁波発生装置は、上述した電磁波発振機構を使用しているので、設置および取り外しが容易であると共に、電磁波を効率的に発振させることができる。
【0039】
(配管構造)
更に、本発明の配管構造は、配管と、上述した本発明の電磁波発生装置とを備えるものであり、配管内を流れる流体を良好に電磁波処理し得るものである。具体的には、図5に示すように、本発明の一例の配管構造100は、配管30と、電磁波発振機構10および交流電流発生器20を有する電磁波発生装置とを備えている。なお、配管構造100では、電磁波発振機構10は、固定機構13を使用し、軸線方向に直交する断面の形状がC字状の略筒状となるように湾曲させた状態で配管30に巻き付けられている。また、電磁波発振機構10は、通常、シート状固定部材が配管30と接触するように巻き付けられる。更に、配管構造100では、交流電流発生器20と電磁波発振機構10の電磁波発振部とは、ケーブル21を介して接続されている。
【0040】
そして、本発明の配管構造によれば、本発明の電磁波発生装置の電磁波発振機構を配管に巻き付けているので、配管内を流れる気体や液体などの流体を良好に電磁波処理することができる。
なお、電磁波処理の対象は、液体であることが好ましく、下水または排水であることがより好ましい。
【0041】
以上、一例を用いて本発明の配管構造を説明したが、本発明の配管構造は上述した例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、設置および取り外しが容易で、且つ、設置時および使用中にケーブルの位置ずれが起こり難い電磁波発振機構を提供することができる。
また、本発明によれば、設置および取り外しが容易で、且つ、電磁波を効率的に発振させることが可能な電磁波発生装置を提供することができる。
更に、本発明によれば、配管内を流れる流体を良好に電磁波処理することができる配管構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
10,10A,10B 電磁波発振機構
11,11A~11D 電磁波発振部
11a ケーブル
12 シート状固定部材
13 固定機構
14 ケーブル固定手段
14a 結束線
14b 結束バンド
20 交流電流発生器
21 ケーブル
30 配管
100 配管構造
図1
図2
図3
図4
図5