(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】支持装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0317 20190101AFI20240513BHJP
F24F 13/32 20060101ALI20240513BHJP
F16M 11/10 20060101ALI20240513BHJP
F16M 11/18 20060101ALI20240513BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20240513BHJP
F16M 13/02 20060101ALI20240513BHJP
【FI】
F24F1/0317
F24F13/32
F16M11/10 Z
F16M11/18 Z
F16M13/00 N
F16M13/02 C
(21)【出願番号】P 2020146534
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】398034319
【氏名又は名称】エヌパット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】生野 真
(72)【発明者】
【氏名】石川 将司
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特許第6709485(JP,B2)
【文献】実開昭50-111956(JP,U)
【文献】特開2019-207095(JP,A)
【文献】実開平05-036214(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0317
F24F 13/32
F16M 11/10
F16M 11/18
F16M 13/00
F16M 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機本体の前後方向の少なくとも一端にチャンバが装着される空気調和機を天井空間に吊り下げた状態で支持する支持装置であって、
前記空気調和機本体の上面側を左右方向に横断するように配置され、両端部が前記空気調和機本体の左右両側面に設けられる取付片の上方位置まで延設され、前記両端部から垂下する支持ボルトの下部が前記取付片に接続されることにより、前記空気調和機本体を支持する第1フレーム部材と、
前記空気調和機本体の上面側を前後方向に横断するように配置され、前記第1フレーム部材と交差する交差部において前記第1フレーム部材と連結され、少なくとも一方の端部から垂下する支持ボルトの下部が前記チャンバの端面に設けられる係合片に接続されることにより、前記チャンバを支持する第2フレーム部材と、
を備え、
前記第2フレーム部材は、
前記空気調和機本体の上面側において前記第1フレーム部材と連結された状態で固定される固定フレームと、
前記固定フレームに対向する面にスリットが形成され、前記スリットを介して前記固定フレーム
にスライド可能に取り付けられ、前記チャンバを支持するスライドフレームと、
を有し、
前記スライドフレームを前記固定フレームに重ね合わせて前後方向の長さを縮小した状態と、前記スライドフレームを前記固定フレームの端部から突出させて前後方向の長さを拡大した状態とに変化させることが可能であ
り、
前記スライドフレームは、前記スリットに、前記支持ボルトを固定するための固定金具が取り付けられることを特徴とする支持装置。
【請求項2】
前記第2フレーム部材は、前記固定フレームに対して前記スライドフレームを固定するための締着部材を更に有し、前記締着部材を緩めることにより前記スライドフレームが前記固定フレームに対してスライド可能となり、前記締着部材を締め付けることにより前記スライドフレームを前記固定フレームに固定することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記空気調和機は、前記空気調和機本体の前後方向両端のそれぞれにチャンバが装着され、
前記スライドフレームは、
前記固定フレームの前方側に向かってスライドする第1スライドフレームと、
前記固定フレームの後方側に向かってスライドする第2スライドフレームと、
を有し、
前記第1スライドフレームは、前記固定フレームに重ね合わせた状態として前後方向の長さを縮小した状態とすることが可能であると共に、前記第2スライドフレームは、前記固定フレームと前記第1スライドフレームとが重なった部分に対して更に重ね合わせた状態として前後方向の長さを縮小した状態とすることが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記固定フレームは、縦板部を有し、
前記スライドフレームは、前記固定フレームの
前記縦板部に対してスライド可能に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の支持装置。
【請求項5】
前記スライドフレームは、前記縦板部と対向する面に、
前記スリットを有
することを特徴とする請求項4に記載の支持装置。
【請求項6】
前記固定金具は、前記スライドフレームとの間に前記支持ボルトを挟み込んで固定することを特徴とする請求項
1乃至5のいずれかに記載の支持装置。
【請求項7】
下端部が前記第1フレーム部材及び前記第2フレーム部材のいずれか一方に連結され、上端部が天井構造に接続される吊りボルト、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれかに記載の支持装置。
【請求項8】
前記吊りボルトの上端部には、前記天井構造に取り付けられたボルトに固定するための天井取付金具が取り付けられることを特徴とする請求項
7に記載の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機本体の端部にチャンバが装着される空気調和機を天井空間に吊り下げた状態で支持する支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天井空間に隠蔽された状態で設置される空気調和機として、空気調和機本体の端部に吹出チャンバなどのチャンバが一体的に装着された状態で設置されるものが知られている。従来、この種の空気調和機を天井空間に設置する作業を効率化するため、空気調和機本体に対してチャンバが装着された状態の空気調和機を支持する支持装置が提案されている(例えば特許文献1)。この従来の支持装置を用いれば、支持装置を空気調和機に取り付ける作業を床面作業で行うことができる。つまり、空気調和機本体にチャンバが接続された状態の空気調和機に対して床面作業で支持装置を取り付けることにより、高所作業を軽減することができる。その後、支持装置によって支持された空気調和機を天井スラブなどの天井構造の近傍高さ位置まで持ち上げ、天井構造から垂下する吊りボルトに支持装置を連結することにより、空気調和機を天井空間に設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の支持装置は、互いに平行に配置される複数の上段フレーム材と、複数の上段フレーム材に対して直交する状態に配置される複数の下段フレーム材とが井桁状に組み付けられたフレーム枠体を備えている。このフレーム枠体の平面サイズは、空気調和機本体に対してチャンバが一体的に装着された空気調和機の平面サイズよりも大きいサイズとなる。そのため、フレーム枠体を予め工場で作成して空気調和機の設置現場へ搬入しようとすると、建築現場の仮設エレベータに積載することできないことがある。特に、建築現場の仮設エレベータは、奥行きが1m程度と狭いため、空気調和機の平面サイズよりも大きいフレーム枠体を積載することが困難である。
【0005】
そのため、従来の支持装置は、空気調和機の設置現場でフレーム枠体を組み立てる作業を行わなければならず、設置現場での作業効率向上を阻害する要因となっている。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、予め工場で作成して空気調和機の設置現場に搬入することが可能であり、空気調和機の設置現場における作業効率を更に向上させることができる支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、空気調和機本体の前後方向の少なくとも一端にチャンバが装着される空気調和機を天井空間に吊り下げた状態で支持する支持装置であって、前記空気調和機本体の上面側を左右方向に横断するように配置され、両端部が前記空気調和機本体の左右両側面に設けられる取付片の上方位置まで延設され、前記両端部から垂下する支持ボルトの下部が前記取付片に接続されることにより、前記空気調和機本体を支持する第1フレーム部材と、前記空気調和機本体の上面側を前後方向に横断するように配置され、前記第1フレーム部材と交差する交差部において前記第1フレーム部材と連結され、少なくとも一方の端部から垂下する支持ボルトの下部が前記チャンバの端面に設けられる係合片に接続されることにより、前記チャンバを支持する第2フレーム部材と、を備え、前記第2フレーム部材は、前記空気調和機本体の上面側において前記第1フレーム部材と連結された状態で固定される固定フレームと、前記固定フレームに対向する面にスリットが形成され、前記スリットを介して前記固定フレームにスライド可能に取り付けられ、前記チャンバを支持するスライドフレームと、を有し、前記スライドフレームを前記固定フレームに重ね合わせて前後方向の長さを縮小した状態と、前記スライドフレームを前記固定フレームの端部から突出させて前後方向の長さを拡大した状態とに変化させることが可能であり、前記スライドフレームは、前記スリットに、前記支持ボルトを固定するための固定金具が取り付けられることを特徴とする構成である。
【0008】
第1の構成を有する支持装置によれば、第2フレーム部材が固定フレームと、固定フレームに対してスライド可能に取り付けられ、チャンバを支持するスライドフレームと、を有しており、スライドフレームを固定フレームに重ね合わせて前後方向の長さを縮小した状態と、スライドフレームを固定フレームの端部から突出させて前後方向の長さを拡大した状態とに変化させることが可能であるため、予め工場で作成して空気調和機の設置現場に搬入する際に、サイズを縮小させた状態で搬入することができる。そのため、第1フレーム部材と第2フレーム部材とを予め工場で組み付けておくことが可能であり、空気調和機の設置現場で第1フレーム部材と第2フレーム部材とを組み付ける作業を行う必要がなくなる。
【0009】
第2に、本発明は、上記第1の構成を有する支持装置において、前記第2フレーム部材は、前記固定フレームに対して前記スライドフレームを固定するための締着部材を更に有し、前記締着部材を緩めることにより前記スライドフレームが前記固定フレームに対してスライド可能となり、前記締着部材を締め付けることにより前記スライドフレームを前記固定フレームに固定することが可能であることを特徴とする構成である。
【0010】
第3に、本発明は、上記第1又は第2の構成を有する支持装置において、前記空気調和機は、前記空気調和機本体の前後方向両端のそれぞれにチャンバが装着され、前記スライドフレームは、前記固定フレームの前方側に向かってスライドする第1スライドフレームと、前記固定フレームの後方側に向かってスライドする第2スライドフレームと、を有し、前記第1スライドフレームは、前記固定フレームに重ね合わせた状態として前後方向の長さを縮小した状態とすることが可能であると共に、前記第2スライドフレームは、前記固定フレームと前記第1スライドフレームとが重なった部分に対して更に重ね合わせた状態として前後方向の長さを縮小した状態とすることが可能であることを特徴とする構成である。
【0011】
第4に、本発明は、上記第1乃至第3のいずれかの構成を有する支持装置において、前記固定フレームは、縦板部を有し、前記スライドフレームは、前記固定フレームの縦板部に対してスライド可能に取り付けられることを特徴とする構成である。
【0012】
第5に、本発明は、上記第4の構成を有する支持装置において、前記スライドフレームは、前記縦板部と対向する面に、前記スリットを有することを特徴とする構成である。
【0014】
第6に、本発明は、上記第1乃至5のいずれかの構成を有する支持装置において、前記固定金具は、前記スライドフレームとの間に前記支持ボルトを挟み込んで固定することを特徴とする構成である。
【0015】
第7に、本発明は、上記第1乃至第6のいずれかの構成を有する支持装置において、下端部が前記第1フレーム部材及び前記第2フレーム部材のいずれか一方に連結され、上端部が天井構造に接続される吊りボルト、を更に備えることを特徴とする構成である。
乃至6のいずれかに記載の支持装置。
【0016】
第8に、本発明は、上記第7の構成を有する支持装置において、前記吊りボルトの上端部には、前記天井構造に取り付けられたボルトに固定するための天井取付金具が取り付けられることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の支持装置によれば、予め工場で第1フレーム部材と第2フレーム部材とを組み付けた状態で空気調和機の設置現場に搬入することが可能となり、空気調和機の設置現場における作業を軽減することができ、現場での作業効率を向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】支持装置を用いた空気調和機の支持構造を示す斜視図である。
【
図2】支持装置を用いた空気調和機の支持構造を示す側面図である。
【
図3】支持装置を用いた空気調和機の支持構造を示す正面図である。
【
図4】支持装置が支持する空気調和機の一構成例を示す図である。
【
図6】フレーム枠体における第1フレーム部材と第2フレーム部材との組み付け態様を示す斜視図である。
【
図7】固定フレームに対するスライドフレームの取り付け態様を示す図である。
【
図9】固定フレームに対してスライドフレームをスライドさせる態様を示す図である。
【
図10】第2フレーム部材を収縮させた状態のフレーム枠体を示す図である。
【
図11】収縮させた複数のフレーム枠体を積み重ねた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態である支持装置1を用いた空気調和機100の支持構造を示す斜視図であり、
図2は、その側面図であり、
図3は、その正面図である。
図1乃至
図3に示すXYZ三次元座標系は、XY平面を水平面とし、Z方向を鉛直方向とする座標系であって互いに共通する座標系である。尚、他の図に示すXYZ三次元座標系も同様である。本実施形態では、便宜上、X方向を空気調和機100の左右方向と定義し、Y方向を空気調和機100の前後方向と定義する。
【0021】
本実施形態の支持装置1は、隠蔽式の空気調和機100を天井空間に吊り下げた状態で支持する装置である。隠蔽式の空気調和機100は、天井スラブなどの天井構造と天井パネルとの間の天井空間に隠蔽された状態で設置される空気調和機である。
【0022】
図4は、空気調和機100の一構成例を示す図である。空気調和機100は、空気調和機本体120と、フィルタユニット130と、吹出チャンバ140と、吸気チャンバ150とが一体的に組み付けられることにより構成され、平面視略矩形状の箱形ユニットである。空気調和機本体120は、内部に熱交換機やファンなどが設けられ、後方側の吸気口から空気を流入させ、前方側の吹出口から空調された空気を吹き出すユニットである。フィルタユニット130は、空気調和機本体120の後方側に組み付けられ、空気調和機本体120と一体物となる。フィルタユニット130の内部には、空気調和機本体120の内部へ流入する空気から塵埃などを除去するフィルタが設けられる。尚、フィルタユニット130は、予め空気調和機本体120に対して一体的に組み付けられたものであっても構わない。
【0023】
空気調和機本体120の前方側には吹出口が設けられる。その吹出口の周縁部は前方側に突出させたフランジ部121として形成され、そのフランジ部121に吹出チャンバ140を装着することが可能である。また、空気調和機本体120の後方側(フィルタユニット130の後方側)には、吸気口が設けられる。その吸気口の周縁部は後方側に突出させたフランジ部131として形成され、そのフランジ部131に吸気チャンバ150を装着することが可能である。
【0024】
また、空気調和機本体120の左右両側面には、空気調和機本体120を吊り下げた状態で支持するボルト部材を取り付けるための取付片123が設けられる。本実施形態では、空気調和機本体120の左右両側面の上端近傍に取付片123が設けられる場合を例示しているが、これに限られるものではない。すなわち、取付片123は、空気調和機本体120の左右両側面の中央又は下端近傍に設けられるものであっても構わない。このような取付片123は、例えば、ビスなどによって空気調和機本体120の側面に取り付けられる。
【0025】
吹出チャンバ140は、内部が中空の箱形ユニットであり、その外周面に複数の吹出口142が設けられている。これら吹出口142には、図示を省略するフレキシブルダクトなどが接続される。フレキシブルダクトは、吹出チャンバ140と室内空間とを接続し、空調された空気を室内空間へ供給する。吹出チャンバ140の空気調和機本体120と対向する面(後方側の面)には、空気調和機本体120との接続口が設けられる。その接続口の周縁部は後方側に突出させたフランジ部141として形成される。吹出チャンバ140に形成されるフランジ部141は、空気調和機本体120に形成されるフランジ部121の内側又は外側に重ね合わせるように装着することが可能である。2つのフランジ部141,121のうちのいずれか一方を他方の内側に差し込んで互いに重ね合わせた状態とし、外部からビス等を打ち込むことで2つのフランジ部141,121が相互に固定される。そして互いに個体されたフランジ部141,121の外周面に断熱材を巻き付けることで吹出チャンバ140が空気調和機本体120に組み付けられる。また、吹出チャンバ140の前方側の端面上部には、吹出チャンバ140を吊り下げた状態で支持するボルト部材が接続される係合片143が設けられる。この係合片143は、例えばビスなどによって吹出チャンバ140の任意の位置に取り付け可能である。そのため、作業者が、空気調和機100の設置現場で係合片143を吹出チャンバ140に取り付けることも可能である。
【0026】
吸気チャンバ150は、吹出チャンバ140と同様に、内部が中空の箱形ユニットである。この吸気チャンバ150には、図示を省略する吸気口が設けられ、その吸気口から室外又は室内の空気を取り入れ、空気調和機本体120へ供給する。吹出チャンバ140の空気調和機本体120と対向する面(前方側の面)には、空気調和機本体120との接続口が設けられる。その接続口の周縁部は前方側に突出させたフランジ部151として形成される。吸気チャンバ150に形成されるフランジ部151は、空気調和機本体120に形成されるフランジ部131の内側又は外側に重ね合わせるように装着することが可能である。2つのフランジ部151,131のうちのいずれか一方を他方の内側に差し込んで互いに重ね合わせた状態とし、外部からビス等を打ち込むことで2つのフランジ部151,131が相互に固定される。これにより、吸気チャンバ150が空気調和機本体120に組み付けられる。また、吸気チャンバ150の後方側の端面上部には、吸気チャンバ150を吊り下げた状態で支持するボルト部材が接続される係合片153が設けられる。この係合片153は、例えばビスなどによって吸気チャンバ150の任意の位置に取り付け可能である。そのため、作業者が、空気調和機100の設置現場で係合片153を吸気チャンバ150に取り付けることも可能である。
【0027】
空気調和機100は、上記のように空気調和機本体120の前後方向の両端に対して吹出チャンバ140と吸気チャンバ150とが装着されることにより、一体物となる。尚、本実施形態では、空気調和機本体120の前後方向の両端に対して吹出チャンバ140と吸気チャンバ150とが装着される空気調和機100を例示しているが、空気調和機本体120の前後方向の少なくとも一端に吹出チャンバ140又は吸気チャンバ150が装着されるものであれば良い。
【0028】
吹出チャンバ140や吸気チャンバ150は、上述のように内部が中空のユニットであり、空気調和機本体120とは異なるメーカーによって作成されることが多い。すなわち、吹出チャンバ140や吸気チャンバ150のサイズや形状は、空気調和機本体120のサイズと形状、並びに、空気調和機100が設置される天井空間に基づいて設計され、空気調和機本体120とは別に設置現場に搬送される。そのため、上記のように、空気調和機本体120に対して吹出チャンバ140や吸気チャンバ150を組み付けて一体的な空気調和機100を作成する作業は、空気調和機100の設置現場で行われるのが一般的である。
【0029】
本実施形態の支持装置1は、上記のように設置現場で吹出チャンバ140と吸気チャンバ150とが空気調和機本体120に組み付けて一体的な空気調和機100を作成する作業が行われることに伴い、
図1に示すように、空気調和機100に取り付けられる。以下、支持装置1の詳細について説明する。
【0030】
図1、
図2及び
図3に示すように、支持装置1は、吹出チャンバ140及び吸気チャンバ150が空気調和機本体120に対して一体的に組み付けられた空気調和機100の上面側に配置され、空気調和機本体120の左右両側面に設けられる取付片123と、吹出チャンバ140の端面に設けられる係合片143と、吸気チャンバ150の端面に設けられる係合片153とのそれぞれに対して支持ボルト40を係合させることにより、空気調和機100を吊り下げた状態で支持する。
【0031】
図5は、支持装置1を示す斜視図である。この支持装置1は、空気調和機本体120の上面側を左右方向(X方向)に横断するように配置される一対の第1フレーム部材10と、空気調和機本体120の上面側を前後方向(Y方向)に横断するように配置される一対の第2フレーム部材20と、空気調和機100を支持する支持ボルト40と、上端部が天井スラブなどの天井構造に取り付けられる吊りボルト50と、吊りボルト50の上端部に予め取り付けられる天井取付金具51と、を備えている。
【0032】
一対の第1フレーム部材10は、空気調和機本体120の左右方向(X方向)の長さよりも長尺であり、その左右両端部が空気調和機本体120の左右両側面に設けられる取付片123の上方位置まで延設される。これら一対の第1フレーム部材10は、Y方向に所定間隔を隔てて互いに平行な状態で空気調和機本体120の上面に配置される。本実施形態では、第1フレーム部材10は、例えば断面L型のアングル鋼材(山形鋼)によって構成される。そのため、第1フレーム部材10は、互いに直角を成す平板部11と縦板部12とを有している。そして第1フレーム部材10は、例えば平板部11が縦板部12の上部に位置する姿勢で配置される。
【0033】
一対の第2フレーム部材20は、X方向に所定間隔を隔てて互いに平行な状態で空気調和機100の上方位置に配置される。例えば、第2フレーム部材20は、第1フレーム部材10の上側に配置され、第1フレーム部材10との交点がボルトとナットによる締着部材30によって第1フレーム部材10に一体的に固定される。これにより、第1フレーム部材10及び第2フレーム部材20は、井桁状のフレーム枠体4を構成する。
【0034】
一対の第2フレーム部材20は、空気調和機100の前後方向(Y方向)の長さよりも長尺であり、その前後方向両端部が空気調和機100の前後方向両端面に設けられる係合片143,153の上方位置まで延設される。ただし、第2フレーム部材20を1本の棒状材で形成すると、第2フレーム部材20が長くなってしまう。そのため、第2フレーム部材20は、固定フレーム21と、スライドフレーム22とを備えている。特に本実施形態の第2フレーム部材20は、スライドフレーム22として、第1スライドフレーム22aと、第2スライドフレーム22bとを備えており、これら2つのスライドフレーム22a,22bが固定フレーム21の両端部に取り付けられた構成である。
【0035】
固定フレーム21は、例えば断面L型のアングル鋼材(山形鋼)によって構成される。そのため、固定フレーム21は、互いに直角を成す平板部18と縦板部19とを有している。そして固定フレーム21は、例えば平板部18が縦板部19の下部に位置する姿勢で配置される。固定フレーム21は、Y方向の長さが、一対の第1フレーム部材10の設置間隔よりも若干長尺である。そのため、固定フレーム21は、前後方向の両端部において平板部18の下面が第1フレーム部材10の平板部11の上面と接合するように配置され、その接合部に対して締着部材30が取り付けられる。
【0036】
図6は、フレーム枠体4における第1フレーム部材10と第2フレーム部材20との組み付け態様を示す斜視図である。第1フレーム部材10の平板部11には、固定フレーム21を固定するための孔13と、支持ボルト40を挿通する孔14とが設けられる。一方、固定フレーム21の平板部18には、第1フレーム部材10を固定するための孔16と、吊りボルト50を挿通する孔17とが設けられる。締着部材30は、ボルト31と、ワッシャ32と、ナット33とを備えて構成され、第1フレーム部材10の平板部11と固定フレーム21の平板部18とが接合した状態で2つの孔13,16に、ワッシャ32が装着されたボルト31の雄螺子部が挿通され、平板部11の下面から突出する雄螺子部に対してナット33が装着される。そしてボルト31に対してナット33が締め付けられることにより、第1フレーム部材10と固定フレーム21は互いに直角な状態で固定される。
【0037】
図7は、固定フレーム21に対するスライドフレーム22の取り付け態様を示す図である。スライドフレーム22は、例えばアルミの押出成型によって形成される部材であり、互いに所定間隔を隔てた背面板60と前面板61とを有し、前面板61の中央部にY方向に沿って形成されるスリット61aを有している。背面板60と前面板61との間には、所定サイズの空間62が形成されている。スライドフレーム22は、その空間62にボルト部材63を収容することが可能である。ボルト部材63は、平板状の頭部64と、雄螺子部65とを有しており、頭部64はスライドフレーム22の内側の空間62に収容可能な形状及びサイズとして形成される。例えば、頭部64は、矩形状に形成され、スライドフレーム22の内壁と干渉することにより雄螺子部65を回転させないように形成される。また、ボルト部材63の雄螺子部65の直径はスリット61aの幅よりも小さく、雄螺子部65の先端を前面板61から突出させた状態に配置される。このボルト部材63は、スライドフレーム22の内側の空間62に収容されると、前面板61から雄螺子部65を突出させた状態でスリット61aの形成方向(Y方向)に沿って任意の位置に移動させることが可能である。
【0038】
本実施形態では、スライドフレーム22に対して3つのボルト部材63が取り付けられる。それら3つのボルト部材63のうち、2つのボルト部材63は、スライドフレーム22の一端を固定フレーム21に取り付けるためのものである。また、残り1つのボルト部材63は、スライドフレーム22の他端において支持ボルト40を取り付けるためのものである。
【0039】
固定フレーム21の縦板部19には、2つのボルト部材63の雄螺子部65を挿通するための孔15が形成される。また、スライドフレーム22は、スリット61aが形成された前面板61を固定フレーム21の縦板部19に対向させた状態に配置される。そして縦板部19の孔15に対してボルト部材63の雄螺子部65が挿通され、縦板部19から突出する雄螺子部65の先端にワッシャ23a及びナット23が締着されることにより、スライドフレーム22が固定フレーム21に取り付けられる。すなわち、スライドフレーム22は、ボルト部材63とナット23とを備える締着部材によって固定フレーム21に取り付けられる。そして雄螺子部65に対してナット23が緩められた仮止め状態のとき、スライドフレーム22は固定フレーム21に固定されず、固定フレーム21に沿ってY方向にスライド可能である。これに対し、雄螺子部65に対してナット23が締め付けられると、スライドフレーム22は固定フレーム21に対して固定されて固定フレーム21と一体物となる。
【0040】
また、支持ボルト40を取り付けるためのボルト部材63には、固定金具24が取り付けられる。この固定金具24は、支持ボルト40をスライドフレーム22との間に挟み込んで固定するための金具である。
【0041】
図8は、固定金具24の一構成例を示す図である。
図8(a)に示すように、固定金具24は、スライドフレーム22の前面板61と平行に配置される板部71と、板部71の両端部を略直角に折り曲げて形成した押圧部72とを有する。板部71には、ボルト部材63の雄螺子部65を挿通する孔73が設けられる。また、押圧部72には、支持ボルト40の外周面に係合する概略半円状の係合部74が形成される。係合部74の深さD2は、支持ボルト40の直径D1よりも小さい。
【0042】
この固定金具24は、
図8(b)に示すように、係合部74に対して支持ボルト40の外周面を係合させた状態でボルト部材63の雄螺子部65を孔73に挿通し、その雄螺子部65の先端にナット25を締着することにより、スライドフレーム22との間に支持ボルト40を挟み込んだ状態で固定される。このとき、作業者は、1つのナット25を締め付ける作業を行うことによって支持ボルト40をスライドフレーム22に固定することができるため、作業効率に優れている。また、ナット25を緩めれば、固定金具24が仮止め状態となり、スライドフレーム22のスリット61aに沿って任意の位置に移動させることができる。そのため、支持ボルト40の取り付け位置を簡単に調整することができるという点でも作業効率に優れている。
【0043】
図6に戻り、第1フレーム部材10の平板部11に設けられた孔14にも支持ボルト40が取り付けられる。すなわち、支持ボルト40は、その上端部が孔14に挿通され、ナットが締着されることにより、
図5に示すように、第1フレーム部材10の両端部に取り付けられる。尚、支持ボルト40の上端部には2つのナットが取り付けられ、それら2つのナットで平板部11を挟み込んだ状態で締め付けることにより、支持ボルト40を平板部11に固定することができる。
【0044】
また、
図5に示すように、第1フレーム部材10及び第2フレーム部材20に取り付けられる支持ボルト40の下部には、ゴムなどで構成される防振部材41が取り付けられる。防振部材41は、例えば円錐台状の形状を有し、中央に支持ボルト40を挿通する孔が設けられる。その孔に支持ボルト40を挿通し、支持ボルト40の下端部にナット42が装着されることで、防振部材41は、支持ボルト40の下端部に取り付けられる。この防振部材41は、
図1に示すように、取付片123又は係合片143,153の下側に配置される。そのため、第1フレーム部材10及び第2フレーム部材20によって構成されるフレーム枠体4が天井構造に設置されると、支持ボルト40は、防振部材41を介して取付片123及び係合片143,153の下面側を支持する状態となる。
【0045】
支持装置1は、防振部材41を介して空気調和機100を支持することにより、例えば空気調和機100の運転中に空気調和機本体120の内部の熱交換機やファンによって発生する振動が第1フレーム部材10及び第2フレーム部材20に伝わることを抑制することができ、吊りボルト50を介して上のフロアに振動が伝わることを防止することができる。
【0046】
また、第2フレーム部材20の平板部18に設けられた孔17(
図6参照)には、吊りボルト50が取り付けられる。すなわち、支持ボルト40は、その下端部が孔17に挿通され、ナットが締着されることにより、
図5に示すように、固定フレーム21の両端部に取り付けられる。尚、吊りボルト50の下端部には2つのナットが取り付けられ、2つのナットで平板部18を挟み込んだ状態で締め付けることにより、吊りボルト50を固定フレーム21の平板部18に固定することができる。
【0047】
尚、吊りボルト50は、必ずしも固定フレーム21に取り付けられるものに限られない。例えば、吊りボルト50は、第2フレーム部材20のスライドフレーム22に対して上述した固定金具24を用いて取り付けるようにしても良い。また、吊りボルト50は、第1フレーム部材10の平板部18に取り付けるようにしても構わない。
【0048】
吊りボルト50の上端部には、天井取付金具51が取り付けられる。この天井取付金具51は、空気調和機100を支持する支持装置1が天井構造の近傍位置まで持ち上げられたときに、天井構造から垂下するボルトに対して吊りボルト50の上端部を取り付けるための金具である。吊りボルト50の上端部に、天井取付金具51が取り付けられることにより、支持装置1を床面作業で空気調和機100に取り付けることが可能となり、支持装置1を空気調和機100に取り付ける作業の効率化を図ることができる。
【0049】
上記のような支持装置1は、第1フレーム部材10と第2フレーム部材20とが工場で組み付けられ、フレーム枠体4が予め作成される。そして支持装置1は、フレーム枠体4が作成された状態で、空気調和機100の設置現場へ搬入される。そのため、空気調和機100の設置現場では、第1フレーム部材10と第2フレーム部材20とを組み付けてフレーム枠体4を作成する作業を行う必要がなく、現場での作業負担を軽減することができる。尚、支持ボルト40及び吊りボルト50は、工場ではフレーム枠体4に組み付けられず、空気調和機100の設置現場に付属部品として搬入される。支持装置1を工場から建築現場へ搬送するときのフレーム枠体4の高さ寸法を低減することが可能であり、搬送効率を向上させることができると共に、搬送コストを抑えることも可能である。
【0050】
特に本実施形態の支持装置1は、第1フレーム部材10と、第2フレーム部材20の固定フレーム21とを交差させた状態で固定することにより、フレーム枠体4が構成されており、第2フレーム部材20のスライドフレーム22は第1フレーム部材10には固定されていない。そのため、工場から建築現場へフレーム枠体4を搬送する際には、
図9に示すように、固定フレーム21に対してスライドフレーム22を取り付けるナット23を緩めることにより、スライドフレーム22を固定フレーム21に対して重ね合わせる方向(矢印F1で示す方向)にスライドさせ、フレーム枠体4の前後方向(Y方向)の長さを縮小した状態にして搬送することが可能である。
【0051】
このとき、2つのスライドフレーム22は、いずれも固定フレーム21の端部に設けられるボルト部材63とナット23とによって固定フレーム21に取り付けられている。そのため、ナット23を緩めることにより、スライドフレーム22と固定フレーム21との間隔を広げることが可能であり、特にボルト部材63及びナット23が設けられた位置から離れる程、スライドフレーム22と固定フレーム21との間隔をより大きく広げることができるようになる。
【0052】
図10は、スライドフレーム22を固定フレーム21に重ね合わせることにより、第2フレーム部材20を収縮させた状態を示す図である。本実施形態の支持装置1は、
図10に示すように、第2フレーム部材20の2つのスライドフレーム22を固定フレーム21に重ね合わせた状態に収縮させることにより、搬送時におけるフレーム枠体4のサイズを縮小することができる。特に、第2フレーム部材20の2つのスライドフレーム22a,22bのうち、一方のスライドフレーム22aを固定フレーム21と重ね合わせた状態で他方のスライドフレーム22bをスライドさせることにより、他方のスライドフレーム22bを、固定フレーム21とスライドフレーム22aとの双方に重ね合わせた状態に収縮させることができるため、フレーム枠体4の面積を1/3程度に縮小できるという利点がある。つまり、第2フレーム部材20は、空気調和機100を支持する使用状態のときには第1フレーム部材10よりも長尺の部材となるのに対し、
図10に示すようにスライドフレーム22を固定フレーム21に重ね合わせることにより、搬送時には第1フレーム部材10よりも短尺の状態にして搬送することが可能であり、搬送時の取り扱いに優れている。また、例えば、固定フレーム21を90cm程度の長さに形成すれば、
図10に示すように2つのスライドフレーム22a,22bを固定フレーム21に重ね合わせることにより、前後方向(Y方向)の長さを1m程度に抑えることが可能であり、建築現場における奥行きが1m程度の仮設エレベータにも積載することが可能であり、空気調和機100の設置現場へスムーズに搬入することができる。
【0053】
例えば、
図11に示すように、複数のフレーム枠体4を上積みした状態でパレットなどの載置台に載せれば、そのままの状態で工場から設置現場へ搬送することができる。このとき、支持ボルト40や吊りボルト50といった付属部品は、フレーム枠体4から取り外されているため、複数のフレーム枠体4を上積みしたときの高さ寸法も抑えることができるため、1つの載置台に対して多くのフレーム枠体4を積載することが可能であり、搬送効率にも優れているのである。尚、支持ボルト40や吊りボルト50などの付属部品は、フレーム枠体4の中央の空きスペースに収容して搬送することも可能である。
【0054】
それ故、本実施形態の支持装置1は、フレーム枠体4を井桁状に組み立てた状態で工場から設置現場へ搬入することが可能であり、空気調和機100の設置現場で支持装置1のフレーム枠体4を組み立てる必要がなくなるため、現場での作業効率を著しく軽減することができるのである。
【0055】
そして支持装置1は、空気調和機100の設置現場に搬入されると、スライドフレーム22a,22bをスライドさせて固定フレーム21の両端から延長させてスライドフレーム22a,22bを固定フレーム21に固定することにより、第2フレーム部材20を、空気調和機100の前後方向の長さよりも長尺にすることができる。その後、フレーム枠体4に対して支持ボルト40と吊りボルト50とを取り付けると共に、支持ボルト40の下端部を空気調和機本体120の取付片123と、吹出チャンバ140及び吸気チャンバ150の係合片143,153に取り付けることにより、支持装置1を空気調和機100に装着することができる。尚、支持装置1を空気調和機100に装着する作業は、設置現場において床面作業として行うことができる。
【0056】
床面作業で支持装置1を空気調和機100に取り付けた後、空気調和機100を昇降台などに乗せて天井スラブなどの天井構造の近傍高さ位置まで持ち上げ、天井構造から垂下するボルトに対して天井取付金具51を取り付けることにより、空気調和機100は、天井空間に設置される。したがって、本実施形態の支持装置1を用いれば、高所作業を軽減することが可能である。
【0057】
以上のように本実施形態における支持装置1は、空気調和機本体120の前後方向の少なくとも一端に吹出チャンバ140又は吸気チャンバ150が装着される空気調和機100を天井空間に吊り下げた状態で支持する装置であり、空気調和機本体120の上面側を左右方向に横断するように配置され、両端部が空気調和機本体120の左右両側面に設けられる取付片123の上方位置まで延設され、その両端部から垂下する支持ボルト40の下部が取付片123に接続されることにより、空気調和機本体120を支持する第1フレーム部材10と、空気調和機本体120の上面側を前後方向に横断するように配置され、第1フレーム部材10と交差する交差部において第1フレーム部材10と連結され、少なくとも一方の端部から垂下する支持ボルト40の下部が吹出チャンバ140又は吸気チャンバ150の端面に設けられる係合片143,153に接続されることにより、吹出チャンバ140又は吸気チャンバ150を支持する第2フレーム部材20と、を備えている。
【0058】
この支持装置1において、第1フレーム部材10と第2フレーム部材20とは互いに直交する状態に固定され、井桁状のフレーム枠体4を構成する。このフレーム枠体4は、複数の支持ボルト40を垂下させることにより、天井空間に設置される空気調和機100の端面に設けられる取付片123及び係合片143,153を支持する。そのため、フレーム枠体4は、空気調和機100を天井空間において支持する状態となるとき、空気調和機100の平面サイズよりも大きい平面サイズとなる。
【0059】
一方、第2フレーム部材20は、空気調和機本体120の上面側において第1フレーム部材10と連結された状態で固定される固定フレーム21と、固定フレーム21に対してスライド可能に取り付けられ、吹出チャンバ140又は吸気チャンバ150を支持するスライドフレーム22と、を備えている。このような構成を備える第2フレーム部材20は、スライドフレーム22をスライドさせることにより、スライドフレーム22を固定フレーム21に重ね合わせて前後方向の長さを縮小した状態と、スライドフレーム22を固定フレーム21の端部から突出させて前後方向の長さを拡大した状態とに変化させることが可能である。そのため、フレーム枠体4は、予め工場で作成し、前後方向の長さを縮小させた状態で工場から建築現場へ搬送することが可能であると共に、空気調和機100の設置現場では前後方向の長さを拡大させて支持ボルト40を取り付けることにより、空気調和機100の端面に設けられる取付片123及び係合片143,153を支持することができる。
【0060】
特に、固定フレーム21に対するスライドフレーム22のスライド量は、無段階に調整することが可能である。そのため、設置現場において第2フレーム部材20の前後方向の長さを拡大させるときには、空気調和機100の前後方向の長さに応じて適合な長さに調整することが可能であり、空気調和機100が設置される天井空間において、周囲の他の吊り下げ物に接触しない長さに調整することが可能である。
【0061】
また、スライドフレーム22に設けられる固定金具24は、スライドフレーム22に設けられたスリット61aに沿って前後方向に移動させることが可能である。そのため、吹出チャンバ140又は吸気チャンバ150を支持する支持ボルト40の取り付け位置を簡単に調整することが可能である。特に、吹出チャンバ140又は吸気チャンバ150を支持する支持ボルト40は、固定金具24をスライドフレーム22に固定するための1つのナット25を締め付けることによってスライドフレーム22に固定することができる。つまり、支持ボルト40をスライドフレーム22に固定する際には、1つのナット25を締め付けるだけで良いため、作業効率に優れている。
【0062】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態において説明したものに限定されるものではない。すなわち、本発明には、上記各実施形態において説明したものに種々の変形例を適用したものの含まれる。
【0063】
例えば、上記実施形態では、支持装置1が支持する空気調和機100の一例として隠蔽式の空気調和機を例示した。しかし、上述した支持装置1を使用して吊り下げ可能な空気調和機100は、必ずしも隠蔽式の空気調和機に限られない。すなわち、上述した支持装置1は、概略箱形形状を有する空気調和機であれば、どのような空気調和機であっても構わない。
【0064】
また、上記実施形態では、第2フレーム部材20の固定フレーム21の両端部に2つのスライドフレーム22a,22bが取り付けられる構成を例示した。しかし、これに限られるものではなく、第2フレーム部材20は、固定フレーム21に対して1つのスライドフレーム22が取り付けられた構成であっても構わない。
【0065】
また、上記実施形態では、第2フレーム部材20と第1フレーム部材10との交点がボルトとナットによる締着部材30によって互いに接合するように固定され、一体的な井桁状のフレーム枠体4を構成する例を説明した。しかし、第2フレーム部材20と第フレーム部材10とは必ずしも互いに接合した状態に連結されない態様であっても構わない。例えば、第2フレーム部材20は、第1フレーム部材10に取り付けられる一定の高さ寸法を有する連結部材に対して固定されることにより、第1フレーム部材10から離間した位置で第1フレーム部材10に固定されるものであっても構わない。この場合、井桁状のフレーム枠体4は、一定の高さ寸法を有することになる。ただし、フレーム枠体4の小型化という観点からすれば、上記実施形態で説明したように第2フレーム部材20と第1フレーム部材10とを互いに接合させた状態で固定することがより好ましい。
【0066】
また、上記実施形態では、第2フレーム部材20が、空気調和機100の前後方向(Y方向)の長さよりも長尺であり、その前後方向両端部が空気調和機100の前後方向両端面を超える位置まで延設される場合を例示した。しかし、これに限られるものではない。例えば、吹出チャンバ140や吸気チャンバ150の左右方向の寸法が空気調和機本体120の寸法よりも小さく、上述した係合片143,153が吹出チャンバ140や吸気チャンバ150の左右両側面に設けられる場合には、それら係合片143,153の上方位置まで第2フレーム部材20が延設されていれば良い。そのため、第2フレーム部材20の前後方向の長さは、空気調和機100の前後方向(Y方向)の長さよりも短尺であっても構わない。
【符号の説明】
【0067】
1…支持装置、4…フレーム枠体、10…第1フレーム部材、19…縦板部、20…第2フレーム部材、21…固定フレーム、22(22a,22b)…スライドフレーム、24…固定金具、40…支持ボルト、50…吊りボルト、51…天井取付金具、61a…スリット、100…空気調和機、120…空気調和機本体、140…吹出チャンバ、150…吸気チャンバ。